JP2004501222A - 選択的水素処理およびメルカプタン除去 - Google Patents

選択的水素処理およびメルカプタン除去 Download PDF

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Abstract

非メルカプタンおよびメルカプタン硫黄のいずれも含む分解ナフサを、まず選択的に水素化脱硫して、減少量の非メルカプタン硫黄を有する第一生成物を生成することによって、減少量の硫黄を有するガソリンブレンド基材が生成される。第一生成物中のメルカプタン硫黄が、次いで転化または除去されて、減少量のメルカプタン硫黄を有する第二生成物が得られる。

Description

【0001】
発明の分野
将来のEPAガソリン硫黄規制基準(30ppmの範囲またはそれ以下)に合致するのに役立つ硫黄レベルを有する分解ナフサからの、ナフサストリームの生成方法が開示される。
【0002】
発明の背景
自動車ガソリン(モーガス)の硫黄レベルに対して環境的に余儀なくされた規制基準の結果として、2004年までに120ppm硫黄のモーガス、および2006年までに30ppmの生成が広く行き渡ることになるであろう。多くの場合、これらの硫黄レベルは、流動接触分解から生成されたナフサ(接触ナフサ)を水素化処理することによって達成されるであろう。これは、モーガスプールにおける硫黄への最大の貢献要因である。その結果、例えばオクタンなどの有益な特性を低下させることなく、接触ナフサ中の硫黄を低下させる技術が必要とされる。
【0003】
通常の固定床水素化処理は、分解ナフサの硫黄レベルを非常に低いレベルに低下させる。しかしながら、かかる水素化処理は、結果として、オレフィン含量の大規模な低下によって、過酷なオクタン損失も生じる。多量のオレフィン飽和およびオクタン損失を防ぐために、例えばSCANfiningなどの選択的水素化処理プロセスが最近開発された。残念ながら、かかるプロセスにおいて、放出されたHSは、保持されたオレフィンと反応し、戻り(reversion)によってメルカプタン硫黄を形成する。かかるプロセスは、硫黄規制範囲内の生成物を生成させる過酷度において実施することができるが、しかしながら有意なオクタン損失も発生する。
【0004】
したがってこの技術において必要とされるものは、規制量範囲内の硫黄レベルを生じ、かつ生成物オクタンの損失を最小限にするプロセスである。
【0005】
発明の概要
本発明は、減少量の硫黄を有するガソリンブレンド基材油の製造方法であって、
(a)分解ナフサ、非メルカプタンおよびメルカプタン硫黄を含む石油原料ストリームを選択的に水素化脱硫して、分解ナフサ、メルカプタン硫黄、および所望量未満の非メルカプタン硫黄を含む第一生成物を生成する工程であって、メルカプタン硫黄量が前記非メルカプタン硫黄量より大(≧)である工程と、
(b)前記メルカプタン硫黄を前記第一生成物から除去または転化して、減少量のメルカプタン硫黄を有する第二生成物を得る工程と、
を含むことを特徴とするガソリンブレンド基材油の製造方法について記載する。
【0006】
ここで用いられている前記所望量または目標量の非メルカプタン硫黄とは、精油業者がこのプロセスの工程(b)後の最終生成物において許容しうると考える量である。一般的にこの所望量は、環境規制によって許される量またはそれ以下であろう。
【0007】
発明の詳細な説明
水素化脱硫(HDS)プロセスは、この技術でよく知られている。かかるプロセスの間、追加反応が発生し、これによって、このプロセスの間に生成された硫化水素が原料オレフィンと反応し、アルキルメルカプタンを形成する。この反応は通常、メルカプタン戻り(reversion)と呼ばれている。したがってかかるメルカプタン戻りを防ぐには、原料オレフィンの飽和が必要であり、その結果、オクタン損失を生じる。
【0008】
反応器におけるメルカプタン硫黄の量は、反応器出口温度、出口オレフィン、およびHS分圧によって確立される平衡によって制御されること、およびSCANfiningプロセスを実施して、所望の規格量よりも高いことが多い、反応器内のメルカプタン硫黄量を生じる一方で、許容しうる規制レベルまで非メルカプタン硫黄を除去しうることが発見された。したがってSCANfinerあるいは他の選択的水素化脱硫プロセスをこのように運転することによって、かつこれと第二工程とを組合わせて、生成された望ましくないメルカプタンを除去することによって、生成された生成物中にオクタンを保持しつつ、規制硫黄レベルに合致させることができる。
【0009】
したがって、本発明において、所望の規格よりもはるかに高いメルカプタン硫黄含量を有するが、許容しうる非メルカプタン硫黄レベル(予め決定されているもの)を有するHDS装置の生成物は、メルカプタン除去工程に送られ、ここでメルカプタンは、選択的に除去され、これによって規格に合致する生成物が生成される。
【0010】
メルカプタンの除去または転化は、本発明によって容易に実施されるので、より高い総硫黄レベルを得るためにHDS装置を操作し、これによって原料オレフィンおよびオクタンを保持することが可能である。
【0011】
例えば、中間接触ナフサを60wppmの総硫黄まで水素化処理することができ、この場合約45wppmの硫黄がメルカプタン硫黄である。この第一生成物は、将来の30wppmの硫黄規格には合致しないであろう。次いでこの生成物は、メルカプタン除去工程に送られ、そこで硫黄レベルは、約20wppmの総硫黄まで低下されて、規格に合致するであろう。サンプルを直接20wppmの硫黄に水素処理しないことによって、オレフィン飽和は、直接20wppmに水素処理することによって得られるものよりも少ないであろう。したがって、かなり多くのオクタンが保持され、経済的および規制的に許容しうる生成物が得られる。
【0012】
【化1】
Figure 2004501222
【0013】
反応器において、接触ナフサと水素とが水素処理触媒上を通過させられ、ここで有機硫黄が硫化水素(Rxn1)に転化され、オレフィンがその対応パラフィン(Rxn2)に飽和される。一般的な中間接触ナフサにおいて、有機硫黄の95%より大(>)がチオフェン型構造にある。水素化脱硫(HDS)が、オレフィンを保持するために前記条件で実施されるとき、チオフェンHDSからの硫化水素は、原料オレフィンと反応してメルカプタンを形成する(Rxn3)。このメルカプタン戻りは、より有利な熱力学によって、反応器においてよりは、反応器流出物系統において大部分発生すると、当初は仮定された。したがってメルカプタン形成を制御するために、反応器流出物系統生成物の滞留時間が制御された。冷分離器温度(100°F、38℃)における平衡定数は、約500〜1600であり、一方、反応器温度(575°F、302℃)における平衡定数は、0.006〜0.03である。出願人は、このシステムの熱力学を厳密に調べたとき、パイロットプラントにおいて見られた生成物メルカプタンのレベルは、反応器温度において熱力学的に許容されることを発見した。22psi(152kPa)の一般的な反応器ICNオレフィン分圧は、メルカプタンとして約60〜140wppm硫黄を、結果として生じ、この結果は現在提案されている目標である30よりも十分に高い。メルカプタン戻りは、高温反応器条件においてでさえ、高選択性接触ナフサ水素処理にとって限定的反応であることが、これらの熱力学的計算から明らかであった。
【0014】
メルカプタン戻りの限度および位置は完全に、反応器において生じるであろう触媒反応に対する生成物回収系統における非触媒反応についての相対的反応動力学によるであろう。反応器条件下における反応速度は、極端に迅速であり、非常に高い空間速度で熱力学レベルのメルカプタンを生成するが、一方で、非触媒反応は、予測された生成物回収温度およびHS濃度よりも高い場合でさえ比較的緩慢である。
【0015】
モーガス規格以下のレベルにおける非メルカプタン硫黄、ならびに有意量のメルカプタン硫黄を含む水素化処理ナフサストリームを生成するために必要とされるHDS条件は、硫黄濃度の関数として、およびHDS装置への分解ナフサ原料中の有機硫黄の種類の関数として変わるであろう。一般にこれらのプロセス条件は、下記の範囲内にある。すなわち、475〜600°F(246〜316℃)、150〜500psig(1136〜3548kPa)全圧、100〜300psig(791〜2170kPa)水素分圧、1000〜2500SCF/B水素処理ガス、および1〜10LHSVである。
【0016】
用いるのに好ましい水素処理工程は、SCANfiningである。しかしながら、例えばMitsubishiによって教示されているプロセス(参照して本明細書に組込まれる米国特許第5,853,570号および第5,906,730号参照)などの、その他の選択的接触ナフサ水素化脱硫プロセスも、同様に本発明において用いることができる。SCANfiningは、National Petroleum Refiners Associationの論文#AM−99−31、論文名“Selective Cat Naphtha Hydrofining with Minimal Octane Loss”、および参照して本明細書に組込まれる米国特許第5,985,136号および第6,013,598号に記載されている。選択的接触ナフサHDSは、また、米国特許第4,243,519号および第4,131,537号にも記載されている。
【0017】
典型的なSCANfining条件は、ナフサ原料の1段階および2段階水素化脱硫プロセスであって、第一反応段階において水素化脱硫条件下に、約1〜10wt%MoO;および約0.1〜5wt%CoO;およびCo/Mo原子比約0.1〜1.0;および中間細孔直径約60(オングストローム)〜200(オングストローム);および約0.5×10−4〜3×10−4のMoO表面濃度(gMoO/m);および約2.0mm未満の平均粒子サイズ直径から成る触媒と接触させて、前記原料を反応させる工程;および任意に、例えばアルミナなどの無機酸化物担体物質上の、CoとNiとから成る群から選択される少なくとも1つの第VIII族金属と、MoとWとから成る群から選択される少なくとも1つの第VI族金属、より好ましくはMoから成る触媒と接触させて、同様に水素化脱硫条件下に操作されている第二段階へ、第一段階の反応生成物を送る工程を含むプロセスを含む。
【0018】
本発明についての1つの可能なフロー計画において、SCANfining反応器は、総有機硫黄(x線吸着によって決定されたもの)とストリッパーから来る液体生成物のメルカプタン硫黄(ポテンシオメーターテストASTM3227によって測定されたもの)との差が、所望の(目標)規格(非メルカプタン硫黄について一般的には30ppm)であるかまたはそれ以下になるような十分な条件で運転される。このストリームは、次いで、メルカプタンの第二除去工程に送られる。
【0019】
メルカプタン除去工程において、C+より大(≧)のメルカプタン硫黄を除去しうる、当業者に知られているあらゆる技術を用いることができる。例えばスイートニング(次いで分留)、熱分解、抽出、吸着、および膜分離である。第一工程において生成された種類のC+メルカプタン硫黄を選択的に除去するその他の技術も、同様に用いることができる。
【0020】
本プロセスの工程(b)にしたがってメルカプタン硫黄を除去または転化する1つの可能な方法は、スイートニング、次いで分留によって実施することができる。かかるプロセスは、この技術において普通に知られており、例えば米国特許第5,961,819号に記載されている。サワー留出物炭化水素の処理に関するかかるプロセスは、多くの特許に記載されている。例えば、かかるプロセスに特に適した繊維束の使用を含む質量移行装置およびプロセスについて記載している米国特許第3,758,404号;第3,977,829号;および第3,992,156号である。
【0021】
メルカプタン酸化(スイートニング)、次いで分留を実施するためのその他の方法は、知られており、石油精製工業において十分に確立されている。用いることができるメルカプタン酸化プロセスには、塩化銅酸化プロセス、Mercapfining、キレートスイートニング、およびMeroxがあり、このうちMeroxプロセスが好ましいが、その理由は、これが後部(back end)に対する最終処理工程においてメルカプタン抽出と容易に統合されうるからである。
【0022】
Merox酸化プロセスにおいて、メルカプタンは原料から抽出され、次いでMerox触媒、すなわち鉄族キレート(コバルトフタロシアニン)の存在下に苛性アルカリ相において空気によって酸化され、二硫化物を形成し、次いでこれらの二硫化物は炭化水素相に再溶解され、炭化水素生成物中の二硫化物としてこのプロセスを離れる。塩化銅スイートニングプロセスにおいて、メルカプタンは、塩化銅での酸化によって除去される。この塩化銅は、酸化工程への原料と共に導入される空気で再生される。
【0023】
このプロセスのこの段階における酸化プロセスがどんなものであっても、メルカプタンは、比較的高沸騰の二硫化物に転化され、これらは、比較的高沸騰のフラクションに転移され、チオフェン、および分解原料の比較的高沸騰部分中に存在するその他の硫黄形態と共に水素添加除去を受ける。
【0024】
メルカプタン酸化プロセスは、Modern Petroleum Technology,G.D.Hobson(Ed.),Applied Science Publishers Ltd.,1973,ISBN 085334487、ならびにPetroleum Processing Handbook,Bland and Davidson(Ed.),McGraw−Hill,New York 1967,pp3−125〜3−130に記載されている。Meroxプロセスは、Oil and Gas Journal 63,No.1、pp.90−93(1965年1月)に記載されている。これらのプロセスの説明については、これらの研究を参照する。これらのプロセスは、前部(front end)の比較的低沸騰の硫黄成分を、分解原料の後部におけるより高沸騰の物質に転化するために用いることができる。
【0025】
工程(b)にしたがってメルカプタン硫黄を除去するもう1つの方法は、苛性アルカリメルカプタン抽出工程を用いるものである。本発明において、この技術で知られている水性塩基と相間移動触媒(PTC)との組合わせは、抽出剤または十分に塩基性のPCとして用いられる。
【0026】
相間移動触媒の添加によって、迅速な速度で、メルカプタン(≧C+)の水性苛性アルカリ物質(caustic)への、HDSの間に生成されたより高分子量の抽出が可能にされる。次いで水性相を、既知の技術によって石油ストリームから分離することができる。同様により低分子量メルカプタンが存在するとすれば、これらもこのプロセスの間に除去される。
【0027】
本発明において、用いることができる相間移動触媒(PTC)は、担持されていてもよく、担持されていなくてもよい。PTCの固体支持体への接着は、その分離および回収を容易にし、PTCでの生成物石油ストリームの汚染の可能性を減少させる。PTCを担持するために用いられる一般的な物質は、ポリマー、シリカ、アルミナ、および炭素質担体である。
【0028】
PTCおよび水性塩基抽出剤は、担持されていてもよく、あるいはメルカプタン抽出を実施するための固体状態物質の細孔内に含まれていてもよい。酸素の実質的不存在下に、メルカプチドでの担持PTC床の飽和後、この床は、空気およびストリッパー溶媒の洗浄によって二硫化物を洗い流すことによって再生することができる。この二硫化物は再生されるであろう。必要であれば、この床は、ストリーム上に戻される前に、新塩基/PTCで再活性化することもできるであろう。このスイング床型の操作は、下記の点において液−液抽出に対して有利であろう。すなわち液−液分離工程は、固体吸着床技術について典型的な固−液分離と置き換えられるであろうという点である。HDS生成物の二硫化物へのスイートニングに対してメルカプタンを除去しようとするならば、酸素の実質的不存在が必要とされることに注目すべきである。実質的不存在とは、酸素の存在を排除するための注意にもかかわらず、精製所プロセスに存在する酸素の量以下を意味する。一般的には10ppmまたはそれ以下、好ましくは2ppmまたはそれ以下の酸素が、最大の存在量であろう。好ましくはこのプロセスは、酸素の不存在下に運転される。
【0029】
かかる抽出は、液−液抽出を含み、この場合、この抽出を実施するために水性塩基および水溶性PTCが用いられるか、または塩基性水性PTCが用いられる。水性塩基、およびPTCが例えばポリマー担体などの担体の表面上またはその細孔内に存在する担持PTCでの液−液抽出;および塩基性水性PTCまたは水性塩基およびPTCのいずれも、担体の細孔内に保持されている液−固抽出である。
【0030】
したがって、まずチオールが空気の実質的な不存在下に石油原料ストリームから水性相中に抽出され、次いでメルカプタンフリーな石油原料ストリームが水性相から分離され、さらなる精製処理のために送られる「抽出」プロセスを実施することができる。次いで水性相が空気酸化を受け、抽出されたメルカプタンから二硫化物を形成しうる。この二硫化物の分離および処分は、この水性抽出剤の再循環を可能にするであろう。使用済み苛性アルカリ物質の再生は、The Oil and Gas Journal,September 9,1948,pp95−103に記載されている蒸気ストリッピングか、あるいは酸化、次いで炭化水素ストリーム中への抽出を用いて行なうことができる。かかる抽出剤は、当業者が容易に選ぶことができ、例えばリホーメートストリームを含んでいてもよい。
【0031】
スイートニングプロセスを実施することが望まれるならば、抽出工程は、空気中で実施されてもよく、チオール損失は、二硫化物の発生と同時に発生する。これは、次の点において「スイートニングプロセス」を示している。すなわち、総硫黄は、本質的に原料ストリーム中で一定のままであるが、メルカプタン硫黄は二硫化物に転化されるという点である。さらにはチオールは、二硫化物への転化に先立って、有機相から水性相に輸送され、次いで石油相に戻される。本発明者らは、メルカプチドの二硫化物へのこの酸化が、その他のあらゆる酸化触媒の添加を伴なわずに室温において、容易に行なわれることを発見した。スイートニングプロセスを実施するとき、抽出媒質は、本質的に水性塩基とPTCまたは水性塩基性PTCとから成る。
【0032】
担持PTCを用いるとき、多孔質担体は、例えば分子ふるい(モレキュラーシーブ)、ポリマービーズ、炭素質固体、および無機酸化物から選ばれてもよい。
【0033】
本出願人らは、比較的高い分子量のメルカプタンは、石油原料ストリームから、例えば「モレキュラーシーブ」などの適切な固体担体の細孔内に含まれている塩基性溶液中に抽出されると考える。これは、例えばこの技術でよく知られている固体吸着剤技術において用いられているような通常の方法によって、石油ストリームと固体担持水性塩基性溶液とを接触させることによって実施される。メルカプチドアニオンは、接触したときに発生させられ、モレキュラーシーブの細孔内の水性相中に輸送される方がよい。メルカプタンフリーな石油流出物ストリームは今や、通常の処理の準備ができている。経時的に、この床の容量の限度以上になり、流出物のチオール含量が上昇する。この時点で、この床は再生される必要がある。第二吸着床が、スイング作動される(swung into operation)。第一床の再生は、有機相と共にこの床への酸素(空気)の導入によって実施され、この有機相は、メルカプチドアニオンの酸化のときに形成する方がよい二硫化物に適した抽出剤ストリームを供給する。かかる抽出剤は、当業者が容易に選ぶことができる。圧力および熱を、酸化プロセスを刺激するために用いることができるであろう。必要であれば、ストリッピングされた床は、再びスイング作動される前に、新塩基/PTC溶液での再飽和によって再生することができるであろう。この塩基もPTCも、汚染物質による損失によるもの以外は、このプロセスにおいて消費されない。担持PTCを用いる利点は、メルカプタンが担体の細孔内に捕らえられ、分離を促進するということである。
【0034】
抽出工程に用いるうる塩基は、強塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム、およびこれらの混合物である。これらは、十分な強度の水溶液として用いられてもよい。一般的に塩基は、水性媒質の50重量%(wt%)まで、好ましくはオニウム塩PTCと共に用いられるときは、約15%〜約25wt%、ポリエチレングリコール型PTCと共に用いられるときは、30〜50wt%であろう。
【0035】
相間移動触媒(PTC)は、減少したメルカプタン含量を有する処理済み原料を結果として生じるのに十分な濃度で存在する。したがって接触的有効量の相間移動触媒が用いられる。相間移動触媒は、処理されることになる石油ストリームと混和性であるかまたは不混和性であってもよい。一般的にこれは、分子内のヒドロカルビル鎖の長さによって影響される。これらは当業者によって選ばれてもよい。これは選ばれた触媒によって異なってもよいが、一般的に水溶液の量を基準にして、約0.01〜約10wt%、好ましくは約0.05〜約1wt%の濃度が用いられる。
【0036】
このプロセスに用いるのに適した相間移動触媒(PTC)には、例えばCharles M.Starks,Charles L.LiottaおよびMarc Halpernによる“Phase Transfer Catalysis:Fundamentals,Applications and Industrial Perspectives、(ISBN 0−412−04071−9 Chapman and Hall,1994)”などの、PTCに関する標準的文献に記載されているPTCの種類が含まれる。これらの試薬は、一般的に、反応性アニオンを、水性相から有機相中に輸送するために用いられる。さもなければこれは、この有機相中に不溶であろう。次いでこの「相間移動された」アニオンは、次いで、有機相における反応を受け、この相間移動触媒は次いで水性相に戻ってこのサイクルを繰返し、したがってこれは、「接触」剤である。本発明において、PTCは、水酸化物アニオンOHを、石油ストリーム中に輸送し、ここでこれは単純酸塩基反応においてチオールと反応し、脱プロトン化チオールまたはチオレートアニオンを生成する。この電荷種は、水性相においてはるかに可溶性であり、したがって石油ストリーム中のチオールの濃度は、この化学反応によって低下する。
【0037】
非常に多様なPTCがこの用途に適しているであろう。これらには、例えば第四アンモニウム、第四ホスホニウムハロゲン化物、水酸化物および硫酸水素などのオニウム塩が含まれる。相間移動触媒が第四アンモニウム水酸化物であるとき、第四アンモニウムカチオンは、好ましくは下記の式を有する:
【0038】
【化2】
Figure 2004501222
【0039】
式中、q=1/w+1/x+1/y+1/zであり、q≧1.0である。好ましくはq≧3である。この式において、Cw、Cx、Cy、およびCzは、それぞれw、x、y、およびz炭素原子の炭素鎖長を有するアルキル基を表わす。好ましい第四アンモニウム塩は、第四アンモニウムハロゲン化物である。
【0040】
第四カチオン上の4つのアルキル基は、一般的に、4〜40の総炭素を有するアルキル基であるが、これらにはまた、シクロアルキル、アリール、およびアリールアルキル基が含まれる。使用しうるオニウムカチオンのいくつかの例は、テトラブチルアンモニウム、テトラブチルホスホニウム、トリブチルメチルアンモニウム、セチルトリメチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、およびメチルトリカプリルアンモニウムである。オニウム塩に加えて、その他のPTCも、水酸化物移動に効果的であることが発見された。これらには、例えば18−クラウン−6およびジシクロヘキサノ−18−クラウン−6などのクラウンエーテル、および例えばポリエチレングリコール400などの開鎖ポリエーテルが含まれる。一部キャップされたおよび完全にキャップされたポリエチレングリコールも適切である。このリストは、網羅的なものではなく、例証を目的として示されている。担持または不担持PTCおよびこれらの混合物を、本発明において用いることができる。
【0041】
処理されつつある前記石油ストリームに添加されることになる水性媒質の量は、石油原料に対して約5容量%〜約200容量%である。
【0042】
25℃〜80℃の抽出についてのプロセス温度が適切であるが、用いられる原料および相間移動触媒の種類に応じて、25℃未満のより低い温度を用いてもよい。圧力は、石油ストリームを液体状態に維持するのに十分な圧力である方がよい。二硫化物の時期尚早な形成を防ぐために、抽出および相分離工程の間、酸素は排除されるか、あるいは十分に不存在でなければならない。これらの二硫化物は次いで、原料中に再溶解されるであろう。酸素はスイートニングプロセスに必要である。
【0043】
メルカプタンの抽出およびメルカプタンフリーな石油ストリームの分離に続いて、このストリームは次いで、残りの精製プロセス(もしあるとすれば)を通過させられる。次いで塩基およびPTCまたは塩基性PTCは、水素化脱硫された新石油ストリームから追加メルカプタンを抽出するために再循環されてもよい。
【0044】
PTCと塩基との混合物は、PTCと塩基とから本質的に成っていてもよく、あるいはこれらから構成されていてもよい。塩基性PTCを用いるとき、これらは塩基性PTCから本質的に成っていてもよく、あるいはこれらから構成されていてもよい。好ましくは本発明は、例えばメルカプタンを酸化するために用いられる触媒、例えば米国特許第4,124,493号;第4,156,641号;第4,206,079号;第4,290,913号;および第4,337,147号に記載されているような金属キレートなどの相間移動触媒以外のあらゆる触媒の不存在下に実施される。したがってかかる場合には、PTCが、存在する唯一の触媒であろう。
【0045】
HDS装置が操作される条件は、原料(例えばチオフェン、ベンゾチオフェン、メルカプタン、硫化物、二硫化物、およびテトラヒドロチオフェン)中に存在する有機硫黄種が、オレフィン飽和に有意な影響を与えることなく、実質的に硫化水素に転化されるように選ばれる。このことは、選ばれた条件が、原料中の有機硫黄の転化を実施するのに十分であるという意味である。したがってオレフィン飽和は、HDS有機硫黄転化条件によって引起こされる程度まで行なわれるだけであろう。このような条件を、当業者は容易に選ぶことができる。
【0046】
有機硫黄およびメルカプタンが除去されているナフサが、抽出剤混合物からひとたび分離されたら、この抽出剤混合物は、次いで、水素処理された新ストリームを抽出するために再循環されてもよい。本発明にしたがって処理された好ましいストリームは、ナフサストリームであり、より好ましくは中間ナフサストリームである。処理済み苛性アルカリ物質の再生は、The Oil and Gas Journal,September 9,1948,pp95−103に記載されている蒸気ストリッピングあるいは酸化、次いで炭化水素ストリーム中への抽出を用いて行なうことができる。
【0047】
一般に苛性アルカリストリームを含むメルカプタンの再生は、苛性アルカリストリーム中のメルカプタンを酸化するのに必要な少なくとも化学量論量の酸素を供給する速度で供給される空気流と、このストリームとを混合することによって実施される。空気または他の酸化剤は、液体苛性アルカリストリームとよく混合され、次いでこの混合相混合物は、酸化域の中に送られる。メルカプタンの酸化は、酸化域において見られる条件で作動しうる接触的有効量の酸化触媒の存在を通して促進される。いくつかの適切な物質は、この技術において知られている。
【0048】
触媒として好ましいものは、例えばコバルトフタロシアニンまたはバナジウムフタロシアニン等などの金属フタロシアニンである。より高い触媒活性は、金属フタロシアニンの極性誘導体、特にモノスルホ誘導体、ジスルホ誘導体、トリスルホ誘導体、およびテトラスルホ誘導体の使用を通して得ることができる。
【0049】
好ましい酸化触媒は、アルカリ溶液中に可溶であるかまたは懸濁された形態で用いられてもよく、あるいはこれは固体キャリヤー物質上に配置されてもよい。触媒がこの溶液中に存在するならば、これは、好ましくは、約5〜1000wtppmの濃度におけるコバルトまたはバナジウムフタロシアニンジスルホネートである。キャリヤー物質は、高度に吸収性であり、アルカリ環境に耐えうるものである方がよい。活性炭が、この目的に非常に適することが発見された。動物炭あるいは植物炭を用いてもよい。キャリヤー物質は、固定床中に懸濁され、これは苛性アルカリ溶液の効率的な循環を生じる。好ましくは金属フタロシアニン化合物は、最終複合体の約0.1〜2.0wt%含まれている。
【0050】
用いられる酸化条件は、大気圧〜約6895kPag(1000psig)の圧力を含む。この圧力は、通常、500kPag(72.5psig)未満である。温度は、周囲温度から、大気圧付近で操作するときは、約95℃(203°F)まで、超大気圧で操作するときは、約205℃(401°F)までであってもよい。一般に、約38〜約80℃の範囲内の温度を用いるのが好ましい。
【0051】
メルカプタンを苛性アルカリ物質から分離するために、相分離域の圧力は、大気圧〜約2068kPag(300psig)またはそれ以上であってもよいが、約65〜300kPagの範囲の圧力が好ましい。この帯域の温度は、約10〜約120℃(50〜248°F)、好ましくは約26〜54℃に制限される。相分離域は、より密度の高い苛性アルカリ混合物が重力によって二硫化物化合物から分離されるようなサイズにされる。これは、この帯域内に配置された融合助剤によって補助されてもよい。
【0052】
このプロセスの工程(b)を実施するためのもう1つの可能な手段は、接触分解を含んでいる。高温蒸気条件でオレフィンおよびHSを形成するためのメルカプタンの接触分解は、この技術においてよく知られている。単純な非接触熱分解は、一次(primary)メルカプタンについては、まったく緩慢であることがよく知られており(W.M.MalisoffおよびE.M.Marks,Industrial and Engineering Chemistry 1931,23,pp1114−1120)、10%よりも高い転化率を達成するためには、400℃以上の温度を必要とする。したがって触媒が好ましい。非常に多様な固体酸化物が、この反応を触媒することがよく知られている。この反応を触媒するために用いられている一般的な物質は、C.P.C.BradshawおよびL.Turnerの1969年12月の英国特許第1,174,407号に記載されている。例えば2−ブタンチオールの32%転換率が、250℃、LHSV6、および1気圧において、アルミナ触媒上で得られる。例えば非晶質および結晶質シリカ−アルミナなどの混合固体酸化物も、この反応を触媒することがよく知られている。従来の金属硫化物触媒も、この反応に適しているが、触媒上のオレフィン水素転化官能基の不存在によって、固体酸化物が好ましいであろう。
【0053】
例えば触媒は、下記のものから選ばれてもよい。すなわち、アルミナ、シリカ、チタニア、第IIA族金属酸化物、アルミニウムと第IIA族金属との混合酸化物、シリカ−アルミナ、結晶質シリカ−アルミナ、リン酸アルミニウム、結晶質リン酸アルミニウム、シリカ−アルミナホスフェート、第VI族金属硫化物、第VIII族金属助触媒を施された第VI族金属硫化物、およびこれらの混合物である。
【0054】
好ましい触媒は、下記のものから選ばれてもよい。すなわち、アルミナ、シリカ、チタニア、第IIA族金属酸化物、アルミニウムと第IIA族金属との混合酸化物、シリカ−アルミナ、結晶質シリカ−アルミナ、リン酸アルミニウム、結晶質リン酸アルミニウム、シリカ−アルミナホスフェート、およびこれらの混合物である。最も好ましい触媒は、アルミナである。
【0055】
この発明の1つの実施態様において、SCANfiningからの反応器流出物は、分離ドラムにおいて凝縮され、例えばHSなどのHDS反応の気体生成物が、液体生成物から分離される。次いでこの液体生成物は、ストリッパーまたはスタビライザー容器に送られ、ここで溶解HSおよび軽質炭化水素が除去される。次いでストリッパー/スタビライザーからの液体が、大気圧〜200psig(1480kPa)の圧力において、蒸発に至るまで加熱される。次いでこの蒸気原料および水素は、追加のメルカプタン分解反応器に送られる。この反応器には、メルカプタンを分解するのに適しているものの所望の原料オレフィンを飽和させない触媒が入っている。かかる触媒の非限定的な例は、上に記載されている。この反応器に対する一般的な温度は、200〜450℃の温度であり、圧力が大気圧〜200psig、水素処理速度が100〜5000SCF/Bであろう。選ばれた温度および圧力は、反応器への完全な蒸気原料を生成するようなものでなければならないと理解される。この反応に続いて、今やメルカプタンフリーである生成物が別の分離ドラムにおいて凝縮され、次いで追加ストリッパーにおいてあらゆる残留溶解HSがストリッピングされる。
【0056】
この発明の第二実施態様において、メルカプタン分解反応器は、第一分離ドラムのすぐ後に配置され、ストリッピングを行なわすに、前記条件でメルカプタン分解反応器に直接送られる。この実施態様では、中間ストリッパーの必要が無くなり、その結果としてメルカプタン分解反応器において何らかのHSを生じるであろうが、これは、メルカプタン反応器をわずかに高い温度および/またはより低い圧力において運転して埋め合わせることによって克服することができ、当業者はこれを容易に実施することができる。
【0057】
したがって、このプロセスは2つの工程を含んでいてもよい。第一に、接触ナフサ、コーカーナフサ、蒸気分解ナフサ、またはこれらの混合物であってもよく、多量の望ましくない硫黄種と望ましい高オクタンオレフィン種とを含む分解ナフサが、選択的水素化処理プロセス(例えばSCANfining)において処理される。この選択的水素化処理プロセスは、最小限のオレフィン飽和を伴なって、原料からメルカプタンおよび非メルカプタン(例えばチオフェン)硫黄種を除去する。この脱硫プロセスの間にHSが放出され、ナフサ生成物中のオレフィンと反応して、メルカプタンを形成する。選択的ナフサ水素化処理プロセスにおける条件は、この生成物中の非メルカプタン硫黄種のレベルを好ましくは30wppm未満まで低下させるために選ばれる。第二工程は、第一工程において形成されたメルカプタンを除去することを含む。オレフィン飽和、したがってオクタン損失を最小限にしつつこのことを実施するために、多様な技術を用いることができる。これらには、スイートニングおよび分留、抽出、吸着、マイルド水素化処理、および熱分解が含まれる。この2工程配列からの最終ナフサ生成物は、非常に低い硫黄含量(すなわち30ppmまたはそれ以下)および増加したオクタンを有する。
【0058】
本プロセスからの生成物は、30ppmおよびそれ以下の硫黄規格に合致する自動車ガソリンを製造するために、ブレンドするのに適している。
【0059】
例証的であって限定的なものではない下記の実施例は、選択的ハイドロファイニングプロセスが、変化するレベルの総硫黄およびメルカプタン硫黄を生成するように操作された特別なケースを示すことによって、本発明の潜在的な利点を例証する。これらのケースを参照すれば、かかる選択的水素化処理と、その後のメルカプタン除去技術とを組合わせた結果、オレフィンおよびオクタン損失の低下と共に、低硫黄生成物を生成する能力の改良を生じるであろう。
【0060】
【実施例】
実施例1
工業用流動接触分解装置から来るナフサ生成物のサンプルを分留して、標準沸騰範囲180〜370°Fを有する中間接触ナフサ(ICN)ストリームを供給した。このICNストリームは、3340wppmの硫黄と32.8vol%のオレフィン(FIAによって測定されたもの)とを含み、臭素価が50.7を有していた。このICNストリームを、500°F、250psig、1500SCF/B水素処理ガス、および0.5LHSVにおいて「RT−225」触媒を用いて、SCANfining条件において水素化処理した。このSCANfiner生成物は、93wppmの硫黄を含み、臭素価が19.4を有していた。93wppmの硫黄のうち、66wppmはメルカプタン硫黄であり、残りは非メルカプタン硫黄であった。このSCANfiner生成物を、空気中で水中20wt%NaOH溶液および水中500wppmセチルトリメチルアンモニウム臭化物と接触させてスイートニングした。結果として生じたスイートニングSCANfiner生成物は、5wppmのメルカプタン硫黄を含んでいた。次いでこのスイートニングSCANfiner生成物を、15/5蒸留によって分留し、350°F留分(cut)点が得られた。21wppmの総硫黄、5wppmのメルカプタン硫黄を含み、臭素価が19.5を有する350°F−脱硫生成物として、90重量%が回収された。残りの350°F+生成物は、スイートニング工程からの高沸騰二硫化物から主として構成されている538wppmの硫黄を含んでいた。この脱硫350°F−生成物は、低硫黄ガソリン中にブレンドするのに適している。二硫化物を除去するために、この350°F+生成物を、さらに水素化処理によって処理することができる。
【0061】
比較例
実施例1の中間接触ナフサ(ICN)ストリームを、525°F、227psig、2124SCF/B水素処理ガス、および1.29LHSVにおいて、「RT−225」触媒を用いて、SCANfining条件で水素化処理した。このSCANfiner生成物は、35wppmの硫黄を含み、臭素価が10.1を有していた。このSCANfiner生成物は、実施例1の350°F−のように、50ppm未満(<)の総硫黄含量を有していたが、この臭素価は、有意に低く(10.1対19.5)、これは、オレフィン含量がより低く、その結果オクタン損失の増加を生じることを示していた。
【0062】
実施例2
4.34wt%MoO、1.19wt%CoOからなる、工業用に調製された触媒(RT−225)を用いた。SCANfining操作は、等温下降流全蒸気相パイロットプラントにおいて、商品として入手しうる1.3mm非対称4ローブ(quadralobe)サイズにおける触媒を、2125wppmの総硫黄、および27.4の臭素価の重質接触ナフサ原料と共に用いて証明した。触媒容積負荷は、35立方センチメートルであった。反応器条件は、560°F、2600scf/b、100%水素処理ガス、および300psig総流入圧力であった。ポンプセッティングを調節する間に発生する小さいランダムな変化によって、空間速度を3〜5LHSV(毎時触媒1容積あたりの原料容積として規定されるもの)の間で変えた。全体の硫黄除去レベルが93.9〜98.5%、オレフィン飽和が21.9〜35.8%であった。図1は、オレフィン飽和の関数としての、生成物硫黄レベル、すなわち総硫黄と生成物硫黄との両方マイナスメルカプタン硫黄を示している。メルカプタン硫黄除去を行なわずに生成物中の30ppm硫黄にするには、メルカプタン除去を伴なう場合の26.5%と比べて、約34%のオレフィン水素添加を必要とするであろう。より低い硫黄レベルが必要とされるならば、オレフィン水素添加におけるこの差は、さらに高いことさえあるであろう。最高のオレフィン飽和または臭素価の除去における3つの最低硫黄データ点は、パイロットプラント運転の開始近く(接触ナフサでは11〜13日)で得られた。触媒が老化するかまたはコークス沈着するにつれて、オレフィン水素添加における硫黄除去の選択率が改良されることは知られている。その結果、この実施例は、その他のデータ点が、運転の終了近く(接触ナフサでは29〜33日)で収集されるので、SCANfining後メルカプタン硫黄除去の潜在的利点を少し誇張しているかもしれない。
【0063】
実施例3
このテストでは、工業用に調製された、「KF−742」の対照バッチ(10cc仕込み原料)の通常の水素化処理触媒を用いた。この触媒(KF−742)は、15.0wt%MoO、4.0wt%CoOから構成されていた。SCANfining操作は、等温下降流全蒸気相パイロットプラントにおいて、商品として入手しうる1.3mm非対称4ローブサイズにおける触媒を、2125wppmの総硫黄、および27.4の臭素価の重質接触ナフサ原料と共に用いて証明した。反応器条件は、560°F、2600scf/b、100%水素処理ガス、および300psig総流入圧力であった。このテストのために、空間速度を7〜28LHSVに調節し、このデータのすべては、運転の終了近く(接触ナフサでは30〜38日)で収集された。毎日、原料速度の小さい減少を行なった。全体の硫黄除去レベルは、92.5〜99.2%であり、オレフィン飽和は21.9〜35.8%であった。図2は、オレフィン飽和の関数としての、生成物硫黄レベル、すなわち総硫黄と生成物硫黄との両方マイナスメルカプタン硫黄を示している。メルカプタン硫黄除去を行なわずに生成物中の30ppm硫黄にするには、33%と比べて、約40%のオレフィン水素添加を必要とするであろう。より低い硫黄レベルが必要とされるならば、オレフィン水素添加またはオクタン損失におけるこの差は、さらに高いことさえあるであろう。最後の2つの点の場合、測定されたメルカプタン硫黄は、測定された総硫黄よりもわずかに大きいことに注目すべきである。その結果、すべての硫黄は、メルカプタンであると思われた。
【0064】
実施例4
ICNのサンプル(3340wppmの総硫黄および50.7の臭素価)を、実施例に記載されている「RT−225」高分散触媒を用いて、等温下降流全蒸気相パイロットプラントにおいて、SCANfining操作を行った。実施例は、表1に示されているが、この表は、メルカプタン戻り生成物が、残留生成物硫黄の大きい割合を形成することを示している。
【0065】
【表1】
Figure 2004501222
【0066】
実施例5
60wppmの総硫黄、メルカプタンとして43wppmの硫黄、および臭素価が19.3を有する、既に水素処理された中間接触ナフサが、下記条件で固定床ミクロ反応器において、g−アルミナ触媒上で接触メルカプタン分解を受けた。下記のデータから分かるように、高いメルカプタン転化率(>90%)が、示されている蒸気条件のほとんどすべてにおいて得られる。より高い温度および処理速度が、メルカプタン分解を促進することも、このデータから同様に明らかである。
【0067】
【表2】
Figure 2004501222

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、RT−225触媒を用いたHCNのHDSのメルカプタン戻り限界を示している。Y軸は、生成物硫黄(wppm)、メルカプタンからの生成物正味生成物(wppm)を示す。X軸はオレフィン飽和パーセントである。
【図2】
図2は、KF 742触媒を用いたHCNのHDSのメルカプタン戻り限界を示している。Y軸は、生成物硫黄(wppm)、メルカプタンからの正味生成物硫黄(wppm)を示す。X軸はオレフィン飽和パーセントである。

Claims (17)

  1. 減少量の硫黄を有するガソリンブレンド基材油の製造方法であって、
    (a)分解ナフサ、非メルカプタンおよびメルカプタン硫黄を含む石油原料ストリームを選択的に水素化脱硫して、分解ナフサ、メルカプタン硫黄、および所望量未満の非メルカプタン硫黄を含む第一生成物を生成する工程であって、メルカプタン硫黄量が前記非メルカプタン硫黄量より大(≧)である工程と、
    (b)前記メルカプタン硫黄を前記第一生成物から除去または転化して、減少量のメルカプタン硫黄を有する第二生成物を得る工程と、
    を含むことを特徴とするガソリンブレンド基材油の製造方法。
  2. 前記第一生成物は、50ppm未満の非メルカプタン硫黄を含むことを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  3. 前記第一生成物は、30wppm未満の非メルカプタン硫黄を含むことを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  4. 前記除去工程(b)は、抽出、吸着、分留、スイートニング(次に分留)、熱分解、および膜分離から成る群から選択されるプロセスによって実施されることを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  5. 前記第二工程(b)は、
    (i)酸素の実質的不存在下に、水性塩基および接触的有効量の相間移動触媒、または接触的有効量の塩基性相間移動触媒の水溶液を含む抽出剤で、前記第一石油生成物を抽出し、前記メルカプタンを前記石油ストリームから除去する工程と、
    (ii)メルカプチドアニオンを含む使用済み抽出剤ストリームと、減少量のメルカプタンを有する第二石油生成物ストリームとを分離および回収する工程と、
    を含むことを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  6. 前記相間移動触媒は、オニウム塩、クラウンエーテル、開鎖ポリエーテル、およびこれらの混合物から本質的に成る群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  7. 前記オニウム塩は、第四アンモニウム水酸化物、第四アンモニウムハロゲン化物、第四アンモニウム硫酸水素塩、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項6に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  8. 前記相間移動触媒は、ポリエチレングリコール、テトラブチルアンモニウム水酸化物、セチルトリメチルアンモニウム臭化物、テトラブチルホスホニウム、トリブチルメチルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、メチルトリカプリルアンモニウム塩、およびこれらの混合物から選択されることを特徴とする請求項7に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  9. 前記塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項5に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  10. 前記相間移動触媒は、前記抽出剤の0.01〜10重量%の量で添加されることを特徴とする請求項5に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  11. 前記塩基は、前記抽出剤の50重量%までの量で添加されることを特徴とする請求項10に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  12. 前記メルカプタンは、C より大(≧)の分子量メルカプタンであることを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  13. 前記第二工程(b)は、スイートニング、次いで分留を含むことを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  14. 少なくとも70%メルカプタンの除去が得られることを特徴とする請求項5に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  15. 前記分解ナフサは、接触ナフサ、コーカーナフサ、蒸気分解ナフサ、およびこれらの混合物から本質的に成る群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  16. 前記工程(b)は、接触分解を含むことを特徴とする請求項1に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
  17. 前記接触分解用触媒は、アルミナ、シリカ、チタニア、第IIA金属酸化物、アルミニウムと第IIA金属との混合酸化物、シリカ−アルミナ、結晶質シリカ−アルミナ、リン酸アルミニウム、結晶質リン酸アルミニウム、シリカ−アルミナホスフェート、第VI族金属硫化物、第VIII族金属助触媒を施された第VI族金属硫化物、およびこれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項16に記載のガソリンブレンド基材油の製造方法。
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