JP2004501209A - ポリマーコーティングされた炭素生成物及び他の顔料を含有するエラストマー組成物 - Google Patents

ポリマーコーティングされた炭素生成物及び他の顔料を含有するエラストマー組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1種のエラストマー及びポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有するエラストマー組成物に関する。ここでは、ポリマーは少なくとも部分的に改質炭素生成物をコーティングしている。改質生成物は好ましくは、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有し、この有機基は好ましくは、極性又は水性媒体中での調製のために、イオン性、イオン化可能又は極性基で置換されている。ポリマーコーティングされた改質炭素生成物の製造方法も説明する。これは例えば、水性又は溶媒を使用しない重合方法、有機溶媒に基づく重合方法、又は溶媒コーティング方法による。ポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有する重合生成物及びマスターバッチ、並びに衝撃性質及び引張性質のような性質を改良する方法も説明する。

Description

【0001】
[発明の背景]
本発明は、炭素生成物及び他の顔料並びにポリマー、より特にポリマーを伴う顔料生成物のコーティングに関する。更に本発明は、カーボンブラックのような炭素生成物及び他の顔料を少なくとも部分的にコーティングするための、エマルション若しくはサスペンション技術のような水性媒体重合、又は溶媒に基づく方法の使用に関する。
【0002】
炭素生成物、特にカーボンブラックは、充填材及び/又は強化材として様々な分野で使用されている。カーボンブラックは、それを含有する様々なポリマーの性質に有利に貢献することができるが、カーボンブラックは、衝撃性質のようなある種の好ましくない性質、例えば引張性質、並びに応力及びひずみに関する性質にも関係することが分かっている。更に、ポリマー中で使用する場合、カーボンブラックは通常マスターバッチを使用して加える。これは、カーボンブラックの物理的性質、例えば小さい一次粒子粒度及び高度に構造化した凝集体のために、ポリマー中に分散させることが困難な場合があるからである。
【0003】
従って、これらの問題の1又は複数を解決する方法が求められている。
【0004】
[発明の概略]
本発明の1つの態様では、本発明は、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物に関する。ここでは、ポリマーが少なくとも部分的に、改質炭素生成物をコーティングしている。好ましくは改質炭素生成物は、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する。この有機基は好ましくは、イオン性基、イオン化可能基又は極性基によって置換されており、これは水性媒体中での安定な分散体の形成を促進することができる。この態様では、ポリマーは部分的に又は完全に、改質炭素生成物を覆っており、又は改質炭素生成物が核で炭素が殻である。
【0005】
本発明は更に、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物を製造する方法に関する。この方法は、水性媒体中において、開始剤、少なくとも1種のモノマー、及び改質炭素生成物を組み合わせる工程を含む。好ましくは改質炭素生成物は、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する。この有機基は好ましくは、イオン性基、イオン化可能基又は極性基によって置換されている。開始剤、少なくとも1種のモノマー、及び改質炭素生成物でエマルション、サスペンション、又は他の水性重合を行って、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物を製造する。ここでは、モノマーは水性環境で重合させることができ、且つ改質炭素生成物は水性媒体に分散可能であり又は分散する。この方法は、安定な水性分散体を作ることができ、且つモノマーの重合の間に形成されるポリマーに物理的及び/又は化学的に結合することができる改質炭素生成物の使用に関する。
【0006】
本発明は更に、上述のようなポリマーコーティングされた改質炭素生成物を作る方法に関する。ここではポリマーを別個に調製し、その後で適当な有機溶媒中に溶解させる。改質炭素生成物は、ポリマーを含有する溶媒と組み合わせ、その後で、例えば蒸発又は他の手段によって溶媒を除去する。
【0007】
更に本発明は、上述のようなポリマーコーティングされた改質炭素生成物の製造方法に関する。ここでは重合可能モノマーが有機溶媒中に存在しており、改質炭素生成物をモノマーを含有する溶媒と組み合わせ、その後でモノマーを重合させ、そして溶媒を除去する。
【0008】
また本発明は、ポリマーコーティングされた改質顔料に関する。
【0009】
上述の一般的な説明及び以下の詳細な説明の両方が単なる例示又は説明であり、特許請求の範囲で示される本発明の説明を意図していることを理解すべきである。
【0010】
[本発明の詳細な説明]
本発明の1つの態様では、本発明はポリマーコーティングされた改質炭素生成物に関する。改質炭素生成物は、1又は複数のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされており、また1又は複数のポリマーによって実質的に又は完全にコーティングされていてよい。「コーティングされた」という用語は、部分的に及び完全にコーティングされた炭素生成物及び改質炭素生成物を包含する。本発明のポリマーは、部分的に又は完全に改質炭素生成物を覆っており、ここでは改質炭素生成物が核でポリマーが殻である。改質炭素生成物をコーティングする又は改質炭素生成物を覆うために使用するポリマーは好ましくは、改質炭素生成物上に好ましくは存在しており、それによってポリマーが実質的に有機溶媒によって除去されない。より好ましくは、改質炭素生成物上のポリマーは、物理的(例えば吸着)及び/又は化学的(例えば化学結合、グラフト化)手段によって結合している。
【0011】
ポリマーでコーティングされた炭素生成物は、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する改質炭素生成物でよい。好ましくは有機基は、イオン性基、イオン化可能基又は極性基によって置換されている。結合した有機基を有する炭素生成物は、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有することができる任意の炭素生成物でよい。例えば炭素生成物は、ジアゾニウム塩と反応して改質炭素生成物をつくることができる任意の炭素生成物でよい。炭素は結晶質又は非結晶質のものでよい。例えば限定するわけではないが、グラファイト、カーボンブラック、ガラス質カーボン、活性炭、活性カーボン、炭素繊維、及びそれらの混合を挙げることができる。上述のものの微細に分割したものが好ましい。また異なる炭素生成物の混合を使用することもできる。
【0012】
改質顔料は、少なくとも1つの有機基が結合した顔料である。顔料の例としては、限定するわけではないが、任意の有色顔料、カーボンブラック、炭素繊維、活性カーボン、グラファイト、活性グラファイト、カーボン生地、ガラス質カーボン等を挙げることができる。好ましい改質顔料は、改質カーボン生成物、例えば改質カーボンブラックである。顔料に結合している有機基は、任意の様々な有機基でよく、例えば米国特許第5,955,232号、同第5,922,118号、同第5,575,845号、同第5,630,868号、同第5,900,029号、同第5,895,522号、同第5,885,335号、同第5,851,280号、同第5,837,045号、同第5,803,959号、同第5,672,198号、同第5,571,311号、同第5,630,868号、同第5,707,432号、同第5,803,959号、同第5,554,739号、同第5,698,016号、及び同第5,713,988号明細書、並びにPCT国際公開WO96/18688号、同WO97/47697号、同WO99/31175号、同WO99/41304号、同WO97/47692号、同WO97/47699号明細書で説明されているものでよい。これらの明細書の記載はここで参照してその記載の全てを本明細書の記載に含める。
【0013】
また本発明では、改質炭素生成物は、炭素相とケイ素含有種相を含む凝集体を含む。この凝集体の説明及びこの凝集体の製造方法は、PCT国際公開WO96/37547号明細書、並びに米国特許第5,830,930号、同第6,008,272号、同第5,977,213号、同第5,948,835号、同第5,919,841号、同第5,904,762号、同第5,877,238号、及び同第5,869,550号明細書で説明されている。この改質炭素生成物はそのまま使用すること、又は有機基を結合することができる。これら全ての特許明細書、文献及び特許出願明細書の全てはここで参照して、その記載の全てを本願明細書の記載に含める。
【0014】
本発明のための改質炭素生成物は、炭素相及び金属含有物相を有する凝集体であってもよい。ここで金属含有種相は様々な異なる金属、例えばマグネシウム、カルシウム、チタン、バナジウム、コバルト、ニッケル、ジルコニウム、スズ、アンチモン、クロム、ネオジム、鉛、テルル、バリウム、セシウム、鉄、モリブデン、アルミニウム及び亜鉛、並びにそれらの混合であってよい。炭素相及び金属含有種相を有する凝集体は、1997年3月27日出願の米国特許出願第08/828,785号明細書及びPCT国際公開WO98/42778号明細書で説明されており、これら明細書の記載はここで参照してその全てを本明細書の記載に含める。この炭素生成物はそのまま使用すること、又は有機基を結合することができる。
【0015】
また、本発明のための改質炭素生成物としてはシリカコーティングされたカーボンブラックを挙げることができる。これは例えば、1996年11月28日に公開されたPCT国際公開WO96/37547号明細書及び米国特許第5,916,934号明細書で説明されている。これら明細書の記載は、ここで参照してその全てを本明細書の記載に含める。この改質炭素生成物はそのまま使用すること、又は有機基を結合することができる。
【0016】
改質炭素生成物の代わりに又はこれに加えて、改質願料を使用することができる。改質願料は、少なくとも1つの有機基が結合した願料である。顔料の例としては、限定するわけではないが、任意の有色顔料、カーボンブラック、炭素繊維、活性カーボン、グラファイト、活性グラファイト、カーボン生地、ガラス質カーボン等を挙げることができる。好ましくは改質願料は、改質炭素生成物、例えば改質カーボンブラックである。願料に結合している有機基は、任意の様々な有機基、例えば米国特許第5,955,232号、同第5,922,118号、同第5,575,845号、同第5,630,868号、同第5,900,029号、同第5,895,522号、同第5,885,335号、同第5,851,280号、同第5,837,045号、同第5,803,959号、同第5,672,198号、同第5,571,311号、同第5,630,868号、同第5,707,432号、同第5,803,959号、同第5,554,739号、同第5,698,016号、及び同第5,713,988号明細書、並びにPCT国際公開WO96/18688号、同WO97/47697号、同WO99/31175号、同WO99/41304号、同WO97/47692号、及び同WO97/47699号明細書で説明されているものでよい。これら明細書の記載は、ここで参照してその全てを本明細書の記載に含める。
【0017】
炭素生成物又は改質願料に有機基を結合する1つの方法は、ジアゾニウム塩を還元するのに十分な外部電流の存在なしで、少なくとも1種のジアゾニウム塩と炭素生成物とを反応させることを含む。すなわち、ジアゾニウム塩を還元するのに十分な電子の外部供給源なしで、ジアゾニウム塩と炭素生成物との反応を行う。本発明の方法では、異なるジアゾニウム塩の混合物を使用することができる。この方法は、様々な反応条件で、プロトン性及び非プロトン性溶媒系又はスラリーの両方を包含する任意のタイプの反応媒体中において行うことができる。
【0018】
他の方法では、少なくとも1種のジアゾニウム塩を、プロトン性反応媒体中において炭素生成物と反応させる。本発明の方法では、異なるジアゾニウム塩の混合物を使用することができる。またこの方法は、様々な反応条件において行うことができる。
【0019】
両方の方法において、ジアゾニウム塩をその場で作ることができる。望ましい場合、いずれの方法においても、当該技術分野で既知の手段によって、炭素生成物を分離及び乾燥することができる。更に、既知の技術によって、得られる炭素生成物を処理して、不純物を除去することができる。
【0020】
この方法は、ジアゾニウム塩と炭素生成物の反応を進行させる任意の反応媒体中において行うことができる。この反応媒体は、溶媒に基づく系でよい。溶媒はプロトン性溶媒、非プロトン性溶媒、又は溶媒の混合物でよい。プロトン性溶媒は、酸素又は窒素に結合した水素を有する水又はメタノールのような溶媒であり、従って水素結合を作るのに十分に酸性のものである。非プロトン性溶媒は、上述のような酸性の水素を有さない溶媒である。非プロトン性溶媒としては、例えばヘキサン、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、及びベンゾニトリルのような溶媒を挙げることができる。プロトン性溶媒及び非プロトン性溶媒に関する議論については、Morrison and Boyd、Organic Chemistry、第5版、p.228〜231(Allyn and Bacon社、1987年)を参照。
【0021】
ジアゾニウム塩と炭素生成物との反応は、任意のタイプの炭素生成物、例えばふわふわした状態又はペレット状の炭素生成物で行うことができる。
【0022】
ジアゾニウム塩と炭素生成物との反応は、炭素生成物に結合した有機基を有する改質炭素生成物をもたらす。ジアゾニウム塩は、炭素生成物に結合する有機基を有することができる。当業者に既知の任意の他の手段によって、本発明で使用する改質炭素生成物を作ることができる。
【0023】
有機基は、脂肪族基、環状有機基、又は脂肪族部分及び環状部分を有する有機化合物でよい。この方法で使用するジアゾニウム塩は、これらの基のうちの1つを有し且つ一時的であってもジアゾニウム塩を作ることができる第1級アミンからもたらすことができる。有機基は、置換されていても置換されていなくてもよく、また枝分かれしていても枝分かれしていなくてもよい。脂肪族基としては、例えばアルカン、アルケン、アルコール、エーテル、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、及び炭水化物からもたらすことができる基を挙げることができる。環状有機基としては、限定するわけではないが、脂環式炭化水素基(例えばシクロアルキル、シクロアルケニル)、ヘテロ環炭化水素基(例えばピロリジニル、ピロリニル、ピペリジニル、モルフォリニル等)、アリール基(例えばフェニル、ナフチル、アントラセニル等)、及びヘテロアリール基(イミダゾルイル、ピラゾルイル、ピリジニル、チエニル、チアゾルイル、フリル、インドルイル等)を挙げることができる。置換有機基の立体遮蔽が増加すると、ジアゾニウム塩と炭素生成物との反応によって炭素生成物に結合する有機基の数は減少することがある。
【0024】
有機基を置換する場合、ジアゾニウム塩の生成に適応可能な任意の官能基を有することができる。官能基としては、限定するわけではないが、R、RO、COR、COOR、OCOR、カルボン酸塩、例えばCOOLi、COONa、COOK、COONR 、ハロゲン、CN、NR、SOH、スルホン酸塩、例えばSOLi、SONa、SOK、SO NR 、OSOH、OSO 塩、NR(COR)、CONR、NO、PO、ホスホン酸塩、例えばPOHNa及びPONa、リン酸塩、例えばOPOHNa及びOPONa、N=NR、NR 、PR 、SR、SSOH、SSO 塩、SONRR’、SOSR、SNRR’、SNQ、SONQ、CONQ、S−(1,4−ピペラジンジイル)−SR,2−(1,3−ジチアニル)2−(1,3−ジチオラニル)、SOR、及びSORを挙げることができる。同じであっても異なっていてもよいR及びR’は、独立に、水素、枝分かれした又は枝分かれしていないC〜C20の置換又は非置換で飽和又は不飽和の炭化水素、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、置換又は非置換アリール、置換又は非置換ヘテロアリール、置換又は非置換アルキルアリール、又は置換又は非置換アリールアルキルである。kは1〜8の整数であり、好ましくは2〜4の整数である。アニオンXは、ハロゲン又は無機若しくは有機酸からもたらされたアニオンである。Qは、(CH、(CHO(CH、(CHNR(CH、又は(CHS(CHであり、ここでwは2〜6の整数であり、x及びzは1〜6の整数である。
【0025】
有機基は、式AArの芳香族基でよく、これは式AArNHの第1級アミンに対応する。この式では、変数は以下の意味を有する:Arは、アリール又はヘテロアリール基のような芳香族ラジカルである。好ましくはArは、フェニル、ナフチル、アントラセニル、フェナントレニル、ビフェニル、ピリジニル、ベンゾチアジアゾルイル、及びベンゾチアゾルイルからなる群より選択する。Aは、好ましくは上述の官能基から独立に選択される芳香族ラジカル上の置換基であり、又はAは、1又は複数のそれらの官能基によって置換された若しくは置換されていない、直鎖の、枝分かれした又は環状のラジカル(好ましくは1〜20個の炭素原子を有する)である。yは、1〜芳香族ラジカルの全−CHラジカル数の整数である。例えば、Arがフェニルである場合、yは1〜5の整数であり、Arがナフチルである場合、yは1〜7の整数であり、Arがアントラセニル、フェナントレニル又はビフェニルである場合、yは1〜9の整数であり、又はArがピリジニルである場合、yは1〜4の整数である。上述の式において、R及びR’の特定の例はNH−C−、CHCH−C−NH−、CH−C−NH及びCである。
【0026】
炭素生成物に結合させることができる他の有機基の組は、官能基としてのイオン性基又はイオン化可能基で置換された有機基である。イオン化可能基は、使用する媒体中でイオン性基を作ることができる基である。イオン性基は、アニオン性基又はカチオン性基でよく、イオン化可能基はアニオン又はカチオンを作ることができる。
【0027】
アニオンを作るイオン化可能官能基としては、例えば酸性基又は酸性基の塩を挙げることができる。従って有機基としては、有機酸からもたらされた基を挙げることができる。有機基が、アニオンを作るイオン化可能基を有する場合、そのような有機基は、(a)芳香族基、及び(b)pKaが11未満の少なくとも1つの酸性基、又はpKaが11未満の少なくとも1つの酸性基の塩、又はpKaが11未満の少なくとも1つの酸性基とpKaが11未満の少なくとも1つの酸性基の塩の混合物を有することができる。酸性基のpKaとは、酸性置換基のpKaではなく、有機基全体のpKaに言及している。より好ましくはpKaは10未満、最も好ましくはpKaは9未満である。有機基の芳香族基は、炭素生成物に直接に結合していてもよい。芳香族基は、例えばアルキル基で、更に置換されていても置換されていなくてもよい。有機基は、フェニル又はナフチル基でよく、酸性基はスルホン酸基、スフフィン酸基、ホスホン酸基、又はカルボン酸基である。これらの酸性基及びそれらの塩の例は上述のものである。有機基は、置換若しくは非置換スルホフェニル基若しくはその塩、置換若しくは非置換(ポリスルホ)フェニル基若しくはその塩、置換若しくは非置換スルホナフチル基若しくはその塩、又は置換若しくは非置換(ポリスルホ)ナフチル基若しくはその塩でよい。置換スルホフェニル基の例は、ヒドロキシスルホフェニル基若しくはその塩である。
【0028】
アニオン(及びそれらの対応する第1級アミン)を作るイオン化可能官能基を有する特定の有機基は、p−スルホフェニル(p−スルファニル酸)、4−ヒドロキシ−3−スルホフェニル(2−ヒドロキシ−5−アミノ−ベンゼンスルホン酸)、及び2−スルホエチル(2−アミノエタンスルホン酸)である。アミンを作るイオン化可能官能基を有する他の有機基も使用できる。
【0029】
アミンは、カチオン性基を作るイオン化可能官能基の例を示している。例えば酸性媒体中では、アミンはプロトン化されてアンモニウム基を作ることができる。アミン置換基を有する有機基のpKaは5未満にできる。第4級アンモニウム基(−NR )及び第4級ホスホニウム基(−PR )も、カチオン性基の例である。有機基は、芳香族基、例えばフェニル又はナフチル基、及び第4級アンモニウム又は第4級ホスホニウム基を有することができる。芳香族基は、炭素生成物に直接に結合させることができる。第4級化環状アミン及び更に第4級化芳香族アミンも、有機基として使用することができる。従って、N−置換ピリジニウム化合物、例えばN−メチル−ピリジルをこれに関して使用することができる。有機基の例としては、限定するわけではないが、(CN)C 、C(NC、CCOCHN(CH 、CCOCH(NC、(CN)CH 、及びCCHN(CH を挙げることができる。
【0030】
イオン性基又はイオン化可能基で置換された結合した有機基を有する改質炭素生成物の利点は、改質炭素生成物の水分散性が、未処理の炭素生成物と比較して増加していることである。改質炭素生成物の水分散性は、イオン化可能基を有するカーボンブラックに結合した有機基の数又は所定の有機基に結合したイオン化可能基の数と共に増加する。従って改質炭素生成物に結合したイオン化可能基の数は、その水分散性を増加させ、所望のレベルまで水分散性を制御することを可能にする。炭素生成物に結合した有機基としてアミンを有する改質炭素生成物の水分散性は、水性媒体を酸性化することによって増加させられることに注目すべきである。
【0031】
改質炭素生成物の水分散性は、いくらか電荷安定性に依存しており、水性媒体のイオン強度は0.1モル未満でよい。またイオン強度は0.01モル未満であってもよい。
【0032】
そのような水分散性改質炭素生成物を調製する場合、イオン性、イオン化可能又は極性の基を反応媒体中でイオン化することができる。得られる生成物溶液又はスラリーは、そのまま又は使用前に希釈して使用することができる。あるいは、改質炭素生成物は、従来のカーボンブラックのために使用する技術によって乾燥することができる。これらの技術としては、限定するわけではないが、炉及びロータリーキルンにおいて乾燥させることを挙げることができる。しかしながら過剰な乾燥は、水分散性の損失をもたらすことがある。
【0033】
水分散性に加えて、イオン性基又はイオン化可能基で置換された有機基を有する改質炭素生成物は、極性有機溶媒、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)及びホルムアミドに分散させることもできる。メタノール又はエタノールのようなアルコール中では、クラウンエーテルのような錯化剤の使用が、酸性基の金属塩を含む有機基を有するカーボンブラック生成物の分散性を増加させる。
【0034】
硫化芳香族は、有機基の他の群を包含する。硫化芳香族基を有する改質炭素生成物は、ゴム組成物で特に有益である。これらの硫化芳香族は、式Ar(CH(CHAr’又はA−(CH(CHAr”で表すことができる。ここでAr及びAr’は独立に、置換又は非置換アリーレン又はヘテロアリーレン基であり、Ar”はアリール又はヘテロアリール基であり、kは1〜8であり、且つq及びrは0〜4である。置換アリール基としては、置換アルキルアリール基を挙げることができる。アリーレン基としては、フェニレン基、特にp−フェニレン基又はベンゾチアゾリレン基を挙げることができる。アリール基としては、フェニル、ナフチル及びベンゾチアゾルイルを挙げることができる。存在する硫黄の数はkで表され、これは好ましくは2〜4である。改質炭素生成物は、式−(C)−S−(C)−の結合した硫化芳香族有機基を有することができる。ここではkは1〜8の整数であり、より好ましくはkは2〜4である。硫化芳香族基は、ビス−パラ−(C)−S−(C)−及びパラ−(C)−S−(C)でよい。これらの硫化芳香族基のジアゾニウム塩は、それらの対応する第1級アミンHN−Ar−S−Ar’−NH又はHN−Ar−S−Ar”から調製することが便利である。基としては、ジチオジ−4,1−フェニレン、テトラチオジ−4,1−フェニレン、フェニルジチオフェニレン、ジチオジ−4,1−(3−クロロフェニレン)、−(4−C)−S−S−(2−CNS)、−(4−C)−S−S−(4−C)−OH、−6−(2−CNS)−SH、−(4−C)−CHCH−S−S−CHCH−(4−C)−、−(4−C)−CHCH−S−S−S−CHCH−(4−C)−、−(2−C)−S−S−(2−C)−、−(3−C)−S−S−(3−C)−、−6−(CS)、−6−(2−CNS)−S−NRR’(ここでRR’は−CHCHOCHCH−)、−(4−C)−S−S−S−S−(4−C)−、−(4−C)−CH=CH、−(4−C)−S−SOH、−(4−C)−SONH−(4−C)−S−S−(4−C)−NHSO−(4−C)−、−6−(2−CNS)−S−S−2−(6−CNS)−、−(4−C)−S−CH−(4−C)−、−(4−C)−SO−S−(4−C)−、−(4−C)−CH−S−CH−(4−C)−、−(3−C)−CH−S−CH−(3−C)−、−(4−C)−CH−S−S−CH−(4−C)−、−(3−C)−CH−S−S−CH−(3−C)−、−(4−C)−S−NRR’(ここでRR’は−CHCHOCHCH−)、−(4−C)−SONH−CHCH−S−S−CHCH−NHSO−(4−C)−、−(4−C)−2−(1,3−ジチアニル)、及び−(4−C)−S−(1,4−ピペリジンジイル)−S−(4−C)を挙げることができる。
【0035】
炭素生成物に結合させることができる他の有機基の群は、アミノフェニルを有する有機基、例えば(C)−NH、(C)−CH−(C)−NH、(C)−SO−(C)−NHである。また有機基としては、Ar−S−Ar’又はAr−S−Ar”で表される硫化芳香族を挙げることができる。ここで、Ar及びAr’は独立にアリーレン基であり、Ar”はアリールであり、またnは1〜8である。そのような有機基を炭素生成物に結合する方法は、米国特許出願第08/356,660号、同第08/572,525号、及び同第08/356,459号明細書で示されている。これら明細書の記載はここで参照してその全てを本明細書の記載に含める。
【0036】
好ましくは有機基は、イオン性基、イオン可能基又は極性基を伴う又は伴わない炭素生成物に直接に結合した芳香族基及び/又はC〜C100のアルキル基(より好ましくはC〜C12のアルキル基)を有して、水性媒体中での分散を改良する。トルエンのような有機溶媒中での分散のためには、結合した基が非極性又は非イオン性である。
【0037】
有機基の追加の例は、米国特許第5,803,959号、同第5,851,280号、同第5,571,311号、同第5,554,739号、同第5,575,845号、同第5,630,868号、同第5,672,198号、同第5,698,016号、同第5,707,432号、及び同第5,713,988号明細書、並びにPCT国際公開WO97/47692号、同WO97/47699号、及び同WO96/18688号明細書、並びに1997年12月19日出願の米国特許出願第08/990,715号明細書で説明されている。これら全ての明細書の記載は、ここで参照してその全てを本明細書の記載に含める。
【0038】
複数のタイプの有機基を炭素生成物に結合すること、又は異なる結合した有機基を有する2種類又はそれよりも多くの改質炭素生成物を使用することができる。2種類又はそれよりも多くの異なるタイプの有機基を使用することは、性質を組み合わせることを可能にする。2つの異なるタイプの有機基を結合する場合、例えばスルファニル基及びスチレン基では、スルファニル基が分散性を促進し、スチレン基がラジカルグラフト部位として作用する。異なる有機基の比は、同じであっても異なっていてもよい。好ましくは最小処理レベルのイオン性基、イオン化可能基又は極性基を使用して、分散に対する安定を与える。例えばイオン性種のような基(例えばスルフェート、ホスフェート、有機酸のアルカリ塩、又は第4級アンモニウム塩)、非イオン性種(例えばヒドロキシル、有機酸)、又は界面活性安定化剤(例えばSDMS、SDS、Antarox)を使用して、水性媒体中で安定な炭素生成物分散体を提供することができる。有機液体中での改質炭素生成物の分散は同様な様式で促進することができるが、これらの比較的極性が低い環境に比較的適応できる処理を使用する。ラジカルグラフト部位のための有機基の処理レベルは、材料の用途に依存している。例えばエポキシ基の結合は、ヒドロキシル基を有するポリマーマトリックス、例えばポリウレタン若しくはポリカーボネート、又はアミンマトリックス、例えばナイロンへのグラフトを促進する。他の例としては、ラジカル重合での架橋タイプの反応を促進するために、スチレン又はアクリレートのようなラジカル感受性ビニル基の結合を挙げることができる。これらの結合基は、これらの改質炭素生成物を含有する材料の性質に最終的に影響を与える。影響を与えられるこれらの性質としては、限定するわけではないが、衝撃性能、弾性応答、及びブラスチック中での分散性を挙げることができる。
【0039】
また、異なる改質炭素生成物の組み合わせを使用することもできる。例えば1つのタイプの有機基か結合した改質炭素生成物を、異なる有機基が結合した他の改質炭素生成物と組み合わせて使用することができる。また炭素相とケイ素含有種相とを有する凝集体のような改質炭素生成物を、有機基が結合した改質炭素生成物と組み合わせて使用することなどができる。
【0040】
1又は複数のポリマーによってコーティングされた改質炭素生成物は、粒子を1又は複数のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングできる限り、任意の粒度及び/又は表面積を有することができる。好ましくは改質炭素生成物の一次粒度は約5nm〜約100nmであり、より好ましくは約8nm〜約75nmである。改質炭素生成物のBET法によって測定される窒素表面積は、好ましくは約20m/g〜1,500m/g、より好ましくは約25m/g〜約700m/g、最も好ましくは約30m/g〜約250m/gである。改質炭素生成物が粒状ではなく、例えば繊維状である場合、好ましくは改質炭素生成物は以下の好ましい性質を有する:強化若しくは伝導性、又は充填粒子と関連した他の物理的性質。
【0041】
改質炭素生成物上のコーティングの厚さは、均一であっても様々な厚さであってもよい。コーティングの厚さは、約1nm又はそれよりも厚くてよい。好ましくは改質炭素生成物上のポリマーコーティングの厚さは、実質的に均一である。好ましくは改質炭素生成物上のポリマーコーティングの厚さは、約10nm〜約100nm、より好ましくは約20nm〜約75nm、最も好ましくは約30nm〜約50nmである。図3及び4は、カーボンブラックの周囲のコーティングを示す顕微鏡写真である。
【0042】
改質炭素生成物は、複数のコーティング又は殻を有することができる。言い換えると、改質炭素生成物は、改質炭素生成物又は先に存在するコーティング又は殻を部分的に又は完全に覆っている複数の殻又はコーティングの層を有することができる。様々な層を構成するポリマーは同じであっても異なっていてもよい。例えば、1つの層を架橋させ、次の層を架橋させないことができる。改質炭素生成物上に1よりも多くのコーティングが存在する場合、様々なコーティングのそれぞれが、所望に応じて実質的に同じ又は異なる厚さであってよい。
【0043】
改質炭素生成物にコーティングされるポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー及び/又は任意の数の異なる反復単位を有するポリマーであってよい。
【0044】
ポリマーは任意のタイプのポリマー、例えばランダムポリマー、交互ポリマー、グラフトポリマー、ブロックポリマー、星状ポリマー及び/又はくし状ポリマーでよい。ポリマーは、1又は複数のポリマーブレンドであってもよい。ポリマーは、インターペネトレイティングポリマーネットワーク(IPN)、疑似インターペネトレイティングポリマーネットワーク(SIN)、又はインターペネトレイティングエラストマーネットワーク(IEN)でもよい。ポリマーは熱可塑性又は熱硬化性であってよい。
【0045】
ポリマーの特定の例としては、限定するわけではないが、直鎖及び非直鎖ポリマー、例えばポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン等を挙げることができる。ポリマーの他の一般的な分類としては、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、硫黄を含有するポリマー(例えばポリスルフィド、(ポリフェニレン)スルフィド及びポリスルホン)、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン及びスチレンコポリマー(ABSを含む)、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマー及びコポリマー、ハロゲンを有するポリオレフィン(例えばポリ塩化ビニル及びポリ塩化ビニリデン)、フルオロポリマー、イオノマーポリマー、ケトン基を有するポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン二重結合を有するポリマー(例えばポリブタジエン、ポリジシクロペンタジエン)、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、尿素−、メラミン−又はフェノール−ホルムアルデヒド樹脂等を挙げることができる。好ましくはポリマーは、主に意図した用途に依存して、アクリルポリマー、メタクリルポリマー、又はスチレンポリマーである。例えば強化の用途では一般に、ゴム生成物が好ましくは抽出されないように、例えば溶媒中に抽出されないようにして、改質炭素生成物に結合することができるゴム生成物の生成を含む。これは、表面にスチレン基が結合した改質炭素生成物を使用して達成することができる。水性媒体ラジカル重合の間に、成長連鎖が、改質炭素生成物の表面のこれらの部位にグラフトし、ゴム状コーティングされた粒子をもたらすことができる。
【0046】
ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、多くの方法で作ることができる。好ましくは改質炭素生成物は、限定するわけではないが、水性媒体重合環境、例えばエマルション重合又はサスペンション重合プロセス及び溶媒系での重合によって作ることができる。ここで起こる重合は一般に、連鎖成長重合及び/又は段階成長重合である。水性重合プロセスの例は以下で説明する。
【0047】
エマルション重合プロセスに関して、一般に、開始剤、少なくとも1種のモノマー、及び上述の改質炭素生成物を、水性媒体中において組み合わせ又は加える。これらの成分は任意の順序で加えることができるが、好ましくは改質炭素生成物を初めに水性媒体に加え、その後で開始剤そしてモノマーを加える。その後、エマルション重合を行って、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物を作る。
【0048】
その後、更なる量の開始剤を随意に加えて、モノマー重合の継続及び/又は完了を確実にすることができる。
【0049】
この重合で使用するモノマーは、安定遊離ラジカル重合(SFRP)及び原子移動ラジカル重合(ATRP)のような高度に特殊な遊離ラジカル重合を含む任意のタイプの遊離ラジカル重合によって重合させることができる。そのようなオレフィンタイプのモノマーの例としては、限定するわけではないが、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ジエン、又はビニルエステル、並びにマレイン酸無水物又はビニルスルホン、ビニルピリジン、又はビニルピロリドンのようなモノマーを挙げることができる。好ましくはモノマーは、スチレン、アクリル、メタクリル又はそれらの混合若しくはそれらの組み合わせである。
【0050】
これら様々なモノマーの誘導体、並びに2又はそれよりも多くのモノマーの混合物も使用することができる。
【0051】
一般に、存在するモノマーの量は、少なくとも重合し、水性又は溶媒性媒体中の改質炭素生成物を部分的にコーティングするのに十分な量である。一般にこのモノマーの量は、全体積に基づいて、約20vol%〜80vol%、より好ましくは約25vol%〜約60vol%、最も好ましくは約30vol%〜約50vol%である。
【0052】
使用する水性媒体は、遊離ラジカル重合をもたらすことができる任意の水性媒体でよい。好ましくは水性媒体は、水又は水に基づき、より好ましくは脱イオン水である。
【0053】
水性媒体の量は、少なくとも遊離ラジカル重合をもたらし、それによって改質炭素生成物の少なくとも一部を部分的に重合したモノマーでコーティングするのに十分な量である。
【0054】
開始剤に関しては、存在するモノマーの少なくとも一部のラジカル重合を開始することができる任意の開始剤を使用することができる。この例としては、限定するわけではないが、過酸化水素及び過酸化硫酸アンモニウムのようなペルオキシドを挙げることができる。他の例としては、アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチルニトリル、レドックス開始剤、例えば鉄(II)イオン(例えばFeCl)、銀アルキル反応体、及び他の様式による開始、例えば光誘導又は電解移動プロセスを挙げることができる。特定の例としては、限定するわけではないが、過酸化二硫酸アンモニウム、過酸化二硫酸カリウム、過酸化二硫酸ナトリウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、又はそれらと、亜硫酸水素ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート及び鉄(II)塩のような還元剤との組み合わせを挙げることができる。
【0055】
一般に、開始剤は、水性媒体中に存在するモノマーの重合を完全には開始させないまでも少なくとも部分的に開始させる量で存在し、それによって重合したモノマーで少なくとも部分的に改質炭素生成物をコーティングする。典型的な量及び成分は、エマルション重合の分野の当業者には明らかである。
【0056】
改質炭素生成物をエマルション重合の間に実質的にポリマーで覆う又はコーティングするために、改質炭素生成物は水性媒体中に適当に分散させるべきである。改質炭素生成物は、機械的手段、例えば撹拌によって分散させて、改質炭素生成物が水性媒体中で実質的に懸濁された状態を維持すること、及び/又は1又は複数の界面活性剤を水性媒体に加えて、サスペンションを安定させることができる。更に、改質炭素生成物を水性媒体に導入する前に改質炭素生成物に分散助剤を適用して、水性媒体中での比較的良好な分散を提供することができる。使用する改質炭素生成物に、イオン性基、イオン化可能基又は極性基で置換された有機基が結合している場合、一般に界面活性剤又は分散助剤は使用せず、又は使用する場合でも、比較的少量の界面活性剤及び/又は分散助剤を使用することができる。これは、置換イオン性基、イオン化可能基又は極性基を有する有機基が結合した改質炭素生成物は、十分に水分散性であり、従って界面活性剤又は分散助剤が必要とされないことによる。従ってこれは、水性媒体重合のための経済的な系を可能にし、且つ所望で有れば、改質炭素生成物上の均一な被覆を提供する。更に、水分散性改質炭素生成物を使用すると、撹拌さえも不要になる。
【0057】
イオン性基、イオン化可能基又は極性基を有する有機基が結合した改質炭素生成物程は水分散性ではない改質炭素生成物を使用する場合、界面活性剤を使用して、エマルションを更に安定化することができる。使用することができる界面活性剤の例としては、限定するわけではないが、エトキシ化アルコール、例えばポリエチレングリコール、SDS、SDMS及び/又はAntarox界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤を使用する場合、これは、改質炭素生成物の重量に基づいて、約0.01〜約30、より好ましくは約0.1〜約10、最も好ましくは約1〜約5の範囲で存在していてよい。
【0058】
遊離ラジカル重合反応で典型的に使用される従来の成分、例えば界面活性剤(サスペンション又はエマルション技術のような水性媒体調製のために)、及び抑制剤又は急冷剤(例えばキノン又はヒドロキノン)、ジビニルベンゼンのような架橋剤、並びに連鎖改質剤、例えばメルカプタン、CBr又は遊離ラジカル重合で典型的に使用されており且つポリマー合成及び改質の分野で当業者に既知の他の改質剤が存在していてよい。これらの様々な随意の成分の量は、使用する開始剤、モノマー及び改質炭素生成物に依存して変化させることができる。
【0059】
エマルション重合は好ましくは、例えば又はより詳細には、水のような水性媒体及び改質カーボンブラックを、約70℃の水浴中に維持されているフラスコに投入して行う。フラスコは窒素でパージし、そして開始剤をこのフラスコに加える。モノマーはその後、Watson−Marlowぜん動ポンプのようなぜん動ポンプ、又は例えば流量制御又は手動調節である重量制御デバイスのような他の適当な導入手段を使用して、一定の速度で反応フラスコに導入する。
【0060】
反応は、完了まで、例えば10時間まで行って、その後でフラスコを室温に冷却する。随意に、冷却の前に、約70℃でフラスコを撹拌しつつ、更なる量の開始剤を加えてモノマーの完全な重合を確実することができる。
【0061】
ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、ろ過又は蒸発のような任意の手段によって、又は凍結乾燥及び噴霧乾燥のような他の直接的な乾燥方法によって、水性媒体及び任意の未反応モノマー又は副生成物から分離することができる。あるいは、十分なコーティング重量を有する材料を沈降させて、水性上澄みをデカントすることができる。残った湿潤固体は、炉バッチ乾燥のような従来の技術又は流動床乾燥機で達成されるような連続乾燥を使用して乾燥することができる。
【0062】
モノマーは任意の速度で加えることができるが、好ましくは約15分〜約24時間、より好ましくは約1時間〜約10時間、最も好ましくは約2時間〜約5時間の期間をかけてモノマーを完全に加えて、改質炭素生成物上の最適化されたコーティングを得る。
【0063】
上述の重合を行う条件は、温度、撹拌、重合を行う雰囲気、圧力等のような多くの要素によって最適化することができる。これらの要素及びそれらの影響は、一般的な重合に関して当業者が有する知識と同じ又は同様であり、また本明細書で提供される詳細な説明とこの知識を考慮して容易に決定することができる。好ましくは、例で示されているように、雰囲気は不活性であり、且つ重合の間の温度は使用する開始剤系にいくらか依存している。本明細書の開示を考慮して本発明に適用可能な一般的な重合の要素及びパラメータは、「The Chemistry of Free Radical Polymerization」、G.Moad and D.Solomon、Pergaman Press 1995年、及び「Principles of Polymerization」、第2版、G.Odian、Wiley−Interscience出版、1981年で示されている。これらはここで参照して、その記載の全てを本明細書の記載に含める。
【0064】
ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、水性重合法と同様な溶媒性重合法によっても作ることができる。トルエンのような溶媒中での分散を促進し及び/又は炭素生成物への成長ポリマーのグラフトを可能にする基を有する改質炭素生成物が好ましい。溶媒の他の例としては、限定するわけではないが、連鎖移動定数が小さい溶媒、例えばトルエン、キシレン、THF、及び酢酸エチルを挙げることができる。
【0065】
溶媒性重合の例としては、限定するわけではないが、溶液重合及び溶液コーティングを挙げることができる。溶液コーティングでは、一般に重合を完了した後で、改質炭素生成物を任意の手段によって加え、好ましくはポリマー溶液中で、溶液中のポリマーによって改質炭素生成物を少なくとも部分的にコーティングするのに十分な時間にわたって分散させる。その後、例えば溶媒を制御して蒸発させること又は非溶媒中に沈殿させることによって、ポリマー及びポリマーコーティングされた改質炭素生成物から溶媒を制御して除去する。ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、その後例えば40℃の減圧下で乾燥する。
【0066】
従って1つのタイプの溶液コーティング法は、溶液(例えば溶媒)中でポリマーを調製することを含む。ここでは改質炭素生成物はその後でポリマー溶液に加え、そして例えば蒸発又は他の手段によって、ポリマーを含有する溶媒を除去する。コーティングプロセスで使用する溶媒は一般にトルエンのような有機溶媒であるが、改質炭素生成物を覆うことを意図したポリマー材料の性質に依存して、メタノールのような極性溶媒を使用することもできる。
【0067】
溶液重合では、有機溶媒中の改質炭素生成物の存在下で、その場でモノマーの重合を行う。典型的にそのような溶媒性重合で使用する他の従来の成分も、従来の量で存在していてよい。しかしながら、遊離ラジカル重合では、好ましくは従来の量よりも比較的多量の開始剤が存在する。
【0068】
これらのタイプの重合プロセスでは、溶媒性の溶液は、上述のような遊離ラジカル開始剤、及び所望のモノマーを含有する。熱的に誘導される開始の場合、例えば約70℃まで数時間にわたって反応溶液を加熱する。このタイプの重合は一般に、例えば30時間にわたって60℃で窒素雰囲気において完了まで行うことができる。最終的な生成物は、蒸発技術のような従来の回収技術を使用して回収する。
【0069】
本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、バルク重合によって調製することができる。この方法では重合可能モノマーが、改質炭素生成物及び開始剤と共に存在する。一般にこの方法では、制御された量の開始剤が存在し、それによって未反応のモノマーが常に存在して溶媒として作用するようにする。この方法のはじめには、形式的な溶媒が存在しなくてもよい。これは、未反応のモノマーが溶媒として作用することによる。この方法で使用できる様々なタイプのモノマーとしては、限定するわけではないが、上述のモノマーを挙げることができる。
【0070】
また本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、ラテックス組成物中に改質炭素生成物を分散させることによって製造できる。このラテックス組成物は、炭素生成物の分散性によって、炭素生成物をコーティングすること、そして蒸発、凍結乾燥、噴霧乾燥、凝固、遠心分離、ろ過等のような当業者に既知の分離手段によって分離することができる。
【0071】
本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、多くの用途で使用することができる。特に、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、低〜高濃度の炭素生成物、例えばカーボンブラックを含有するマスターバッチで使用することができる。ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、従来のカーボンブラックをポリマーマスターバッチにするのと同じ様式で、マスターバッチ中に導入することができる。あるいは、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物自身は、改質炭素生成物をコーティングしており、すでに存在するポリマーの量に応じて高度に濃縮された又は標準のマスターバッチとして作用させることができる。
【0072】
マスターバッチの成分として本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を使用する場合、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、従来のマスターバッチを作るのと同様にして、マスターバッチにすることができる。従って、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、ワックス及びポリマー並びに他の随意の成分のような標準のマスターバッチ成分と共に加えることができる。本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を使用してマスターバッチを作る場合、一般に、存在する改質炭素生成物の量は、マスターバッチ中のカーボンブラックのような従来の炭素生成物を従来使用していた量でよい。しかしながら、本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物では、炭素生成物含有量が比較的高いマスターバッチが可能である。従って本発明のマスターバッチは、マスターバッチの重量に基づいて、約10wt%〜約95wt%又はそれよりも多くの炭素生成物、より好ましくは約50wt%〜約90wt%の炭素生成物を含有することができる。
【0073】
本発明の改質炭素生成物は、従来の強化材、充填材又はカーボンブラックのような着色剤を導入することができる任意の手段を使用して、ポリマー中に分散させ又はポリマーと組み合わせて、ポリマー生成物を作ることができる。例としては、一軸若しくは多軸スクリュー押出機のような押出機又は射出成形機に改質炭素生成物を供給するホッパーを挙げることができる。ポリマーに改質炭素生成物を導入する他の手段としては、内部混合機のような混合機、例えばバンバリー及びブラベンダー混合機を挙げることができる。改質炭素生成物をポリマーに導入する、好ましくは分散させる他の手段としては、限定するわけではないが、長連続混合機、連続配合押出機(例えばバスニーダー)、タンブルブレンダー、ペレット化機等を挙げることができる。
【0074】
ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、コーティングの前によく分散させることができるので、それぞれの個々の一次凝集体を好ましくは均一にコーティングする。これは、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物を希釈するマトリックス中での、この改質炭素生成物の良好な表面濡れ性を可能にする。この効果は、未処理の若しくは従来の炭素生成物、又は相当する商業的なマスターバッチで行われる同様な方法と比較して、良好な分散特性をもたらす。更に、マスターバッチを調製する方法に関するこれらの材料の調製の容易さは、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物を比較的良好な添加剤にする。更に、改質炭素粒子は別個のポリマーコーティング中に存在するので、コーティング樹脂の形成を適当に設計すると、ポリマーと炭素粒子との直接の混合では必ずしも得られない独自の性質を得ることができる。例えば、別個の炭素粒子とポリマーとを別々に配合した材料と比較して、硬質マトリックスの強化のような性質を得ることができる。
【0075】
本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、ポリマーコーティングと化学的に作用する能力を有し、適当に配合すると、このコーティングは、それを導入するマトリックスポリマー生成物とも作用することができる。改質炭素生成物とポリマーコーティングとの反応は上述のようなものである。コーティング樹脂がマトリックスポリマーと作用する場合、コーティングされた改質炭素生成物は、ポリマーマトリックスに結合すること、例えばポリマー生成物のポリマーマトリックスにグラフトすることができる。この能力は、衝撃強度及び引張強度のような改良された性質をもたらすことができる。溶融流れ粘度のような他の性質にも、この様式で影響を与えることができる。この方法の利点としては、厳密に限定するわけではないが、良好な衝撃強度、制御された流動性、有益な材料表面付着性及び改良された色特性の材料を作る能力を挙げることができる。本発明の他の利点は、本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有するポリマー生成物の改良されたUV安定性である。図1及び2は、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物をポリマーマトリックス、例えばSANに導入したときに、それが引張及び衝撃強さに関する改良された性質を提供する能力を有することを示している。これらのグラフでは、「Sterling」は従来のカーボンブラックであり、「コーティングSterling」は、スチレン基が結合し、その上に約20nmのPS/BA/GMAポリマーがコーティングされている改質カーボンブラックである。
【0076】
任意の従来のポリマーのような本発明のポリマー生成物は、任意の所望の物品又は形状に作ること及び成形することができる。
【0077】
更に本発明のポリマー生成物としては、溶媒に基づく又は溶媒を伴わないポリマーコーティング及びポリマー発泡体を挙げることができる。ポリマーコーティングに関しては、典型的に、従来のポリマーコーティングに関して典型的に見出される量の水性又は非水性媒体が存在する。ポリマー発泡体に関しては、典型的に、従来のポリマー発泡体に関して通常見出される量の発泡剤が存在する。
【0078】
本発明のポリマー生成物としては、ポリマー中で典型的に見出される追加の通常の成分、酸化防止剤、安定化剤(例えば光/UV及び熱タイプ)、可塑化剤、充填材、衝撃改質剤、滑剤、殺生物剤、難燃剤、プロセス改質剤、静電気防止剤、吹出(発泡)剤、着色剤、殺菌剤、粘着防止剤、有機ペルオキシド、光沢剤、カップリング剤、相溶化剤、加工助剤、離型助剤、粘着添加剤、粘性抑制剤、反応性添加繊維、曇り止め剤、ヘーズ防止剤、殺微生物剤、導電性剤、架橋剤、艶消し剤、分散剤、可撓化剤、流動性制御剤、蛍光剤、融合促進剤、殺ミルデュー剤及び殺真菌剤、成核剤、有機キレート化剤、表面処理剤等、又はPlastic Additives and Modifiers Handbook、Jesse Edenbaum出版、p.193〜1086(1992年)で説明されているような他の材料を含むことができる。この文献の記載はここで参照して本明細書の記載に含める。
【0079】
ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は好ましくは、未処理のカーボンブラック自身及び/又はポリマー生成物に炭素生成物を加えたときに炭素生成物上にコーティングされるポリマー自身と比較して改良された性質を有する。例えば本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有するポリマー生成物は好ましくは、未処理のカーボンブラックを含有するポリマー生成物と比較して改良された衝撃性能及び/又は引張性能を有する。
【0080】
より詳しくは、ポリマーコーティングされた改質炭素生成物は、改質されていないカーボンブラック及びゴム強化剤を含有するSAN(スチレンアクリロニトリル)と比較して、SANのような樹脂の最終的な衝撃強さを改良することができる。他の利点としては、制御された粘度と比較的良好な色特性を有する通常のマスターバッチと比較して、分散性着色剤又は強化剤として容易に(小さい剪断力で)作用させられる能力を有する。あるいは、その場で製造される樹脂中の改質炭素生成物の最終的な重量分率が0.01wt%〜3.0wt%である場合、良好な分散特性によって、剪断強力混合の使用なしに、樹脂を直接投入材料として考慮できる。
【0081】
改質炭素生成物と並んで、炭素生成物以外の改質顔料も、ポリマーコーティングされた改質顔料を作るために使用できる。本発明に関して、改質顔料とは、少なくとも1つの結合した有機基を有することができる全てのタイプの顔料を包含する。上述のポリマーコーティングされた改質炭素生成物の製造及び適用の詳細は、改質顔料にも等しく適用することができる。有色顔料は、芳香族基又はアルキル基のような有機基の結合によって改質することができる任意の顔料である。炭素生成物以外の有色顔料としては、限定するわけではないが、ブラック、ブルー、ホワイト、シアン、グリーン、バイオレット、マゼンダ、レッド、イエロー、それらのシェード及び/又はトーン、並びにそれらの混合を挙げることができる。有色顔料の適当な分類としては、限定するわけではないが、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、ヘテロ環イエロー、キナクリドン、及び(チオ)インディゴイドを挙げることができる。有機基が結合した有色顔料及び有色顔料の製造方法に関する特定の例及び更なる情報は、米国特許第5,837,045号及びPCT国際公開WO97/47699号明細書で説明されている。これら明細書の記載は、ここで参照してその全てを本明細書の記載に含める。
【0082】
ポリマーコーティングされた改質炭素生成物及び顔料は、本発明のゴム及びエラストマー組成物で使用できる。本発明で使用するのに適当なゴムは、天然ゴム及び塩化ゴムのようなその誘導体である。本発明の改質顔料生成物は、スチレンゴム、例えば19部のスチレンと81部のブタジエンとのコポリマー、30部のスチレンと70部のブタジエンのコポリマー、43部のスチレンと57部のブタジエンとのコポリマー、及び50部のスチレンと50部のブタジエンとのコポリマーのような約10〜約70重量%のスチレンと約90〜約30重量%のブタジエンのコポリマー;ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン等のような共役ジエンのポリマー及びコポリマー、並びにそのような共役ジエンとこれと共重合可能なエチレン基を有するモノマー、例えばスチレン、メチルスチレン、クロロスチレン、アクリロニトリル、2−ビニル−ピリジン、5−メチル2−ビニルピリジン、5−エチル−2−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、アルキル置換アクリレート、ビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン、メチルビニルエーテル、αメチレンカルボン酸、並びにそれらのエステル及びアミド、例えばアクリル酸及びジアルキルアクリル酸アミドとのコポリマーと共に使用できる。またここで使用するのに適当なものは、エチレンと他の高級αオレフィン、例えばプロピレン、ブテン−1、及びペンテン−1のコポリマーである。
【0083】
従って本発明のゴム組成物は、少なくとも1種のエラストマー、硬化剤、強化充填材、カップリング剤、及び随意に様々な加工助剤、油展剤、及び劣化防止剤を含有することができる。上述の例に加えて、エラストマーは、限定するわけではないが、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン等から作ったポリマー(例えばホモポリマー、コポリマー、及びターポリマー)でよい。好ましくは、DSCによって測定されるこれらのエラストマーのガラス転移温度(Tg)は、−120℃〜0℃である。そのようなエラストマーの例としては、ポリ(ブタジエン)、ポリ(スチレン―コ―ブタジエン)、ポリ(イソプレン)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、天然ゴム、及びそれらの油展誘導体を挙げることができる。上述のものの任意の配合も使用することができる。
【0084】
本発明で開示されており調製できるエラストマー組成物の例としては、限定するわけではないが、加硫組成物(VR)、熱可塑性加硫ゴム(TPV)、熱可塑性エラストマー(TPE)及び熱可塑性ポリオレフィン(TPO)を挙げることができ、TPV、PTE、及びTPO材料は、性能特性の損失なく複数回にわたって延伸及び成形できる能力によって更に分類される。
【0085】
エラストマー組成物としては、1又は複数の硬化剤、例えば硫黄、硫黄ドナー、活性化剤、促進剤、ペルオキシド、及びエラストマー組成物の加硫を行うために使用する他の系を挙げることができる。
【0086】
改質顔料、好ましくは本発明の改質カーボンブラックを含有し、且つ随意に1又は複数のカップリング剤を含有する得られるエラストマーコンパウンドを、様々なエラストマー生成物、例えばタイヤ及びそれらの部品、例えばトレッドコンパウンド、アンダートレッドコンパウンド、サイドウォールコンパウンド、ワイヤスキムコンパウンド、インナーライナーコンパウンド、ビード、アペックス、カーカスで使用する任意のコンパウンド、又は自動車タイヤのための他のコンパウンド、工業的ゴム生成物、シール、タイミングベルト、動力伝達ベルト、及び他のゴム製品のために使用することができる。
【0087】
有利には、改質顔料生成物、特に本発明の改質カーボンブラック生成物は、それらを含有するゴム又はエラストマー組成物に、改良された耐摩耗性を与え及び/又はこれらの組成物のヒステリシスを減少させる。
【0088】
本発明は、以下の説明によってより明らかにする。これらの説明は単に、本発明を例示することを意図している。
【0089】
[例]
これらの例のそれぞれにおいて、SはSterling(商標)カーボンブラックを表し、RはRegal(商標)カーボンブラックを表し、「nf」は結合した有機基を表し、1番目の数は炭素生成物上のポリマーコーティングの厚さを表しており、2番目の数は、充填材を伴うポリマーマトリックスの重量に関して、カーボンブラック上にコーティングされたポリマー及びカーボンブラックの量を表している。例えば、R−nf−0−50は未処理の(有機基が結合していない)Regal(商標)カーボンブラックを示しており、0はポリマーコーティング厚さであり、50は重量%による炭素生成物の量である。
【0090】
例1
スチレン(PS)、アクリロニトリル(PAN)及びグリシジルメタクリレート(PGMA)のホモポリマー、並びにこれら3つのターポリマー(PS/AN/GMA)を、溶媒:モノマーの重量比が70:30の、トルエン中での溶液重合によって調製した。AZBNは、モノマーの1wt%で開始剤として使用した。重合は、窒素雰囲気下で60℃において、16時間にわたって行った。得られるポリマーは、大過剰の石油エーテル(60/80)中への沈降によって分離及び純化し、一定重量になるまで減圧下において40℃で乾燥した。使用したコモノマー組成物は表1で示している。
【0091】
【表1】
Figure 2004501209
(a)wt%は、全モノマー混合物中のスチレンの重量百分率
(b)wtAN%は、全モノマー混合物中のアクリロニトリルの重量百分率
(c)wtGMA%は、全モノマー混合物中のグリシジルメタクリレートの重量百分率
【0092】
調製したターポリマーは下記の構造を有する:
【0093】
【化1】
Figure 2004501209
【0094】
カーボンブラック又は改質カーボンブラック粒子のコーティングは、溶液蒸発法によって達成した。粒子をコーティングするための方法には、以下の3つの工程が存在する:第1に適当な溶媒(100:5の溶媒(wt%):ターポリマー(wt%))中に、ターポリマー(PS/AN/GMA)を溶解させること;次にこの溶液中に洗浄した粒子を分散させること;最後に溶媒を制御して蒸発させること。トルエン溶解コポリマー中への粒子の分散は、Silverson L4R高剪断混合機を使用して達成した。溶媒は、70℃の回転フィルム蒸発装置を使用して、水ポンプ減圧条件で混合物から除去した。3つの異なる試料を、それぞれのカーボンブラック等級又は改質カーボンブラックから調製した。全ての場合において、自由流れ粉末が得られた。表2Aは、カーボンブラック又は改質カーボンブラック1gに対して、コーティングされた試料を調製するために使用したターポリマーの質量を示している。
【0095】
【表2】
Figure 2004501209
(a)全てがCabot社から商業的に入手可能な等級のカーボンブラック
(b)wtはカーボンブラックに対するターポリマーの質量分率
【数1】
Figure 2004501209
【0096】
DSC実験を、コーティングされた粒子及びコーティングされていない粒子について行った。Tgでの熱流の標準化した変化ΔHfnorは、明らかに、ターポリマーが効果的に粒子上にコーティングされていることを示した。
【0097】
例2
本発明の発明者等は、エマルション重合技術を使用して、その場で改質カーボンブラックの表面にポリマーを提供した。モノマーとしてスチレンを選択し、且つ開始剤として4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)を選択した。カーボンブラックは、カーボンブラックに結合した−CSONa基を有するSterling(商標)4620等級(Cabot社)であった。
【0098】
これらのエマルション重合は、使用する開始剤の量のみを変化させて行った。使用した組成は、表2Bで示している。使用したポリマーの量は、改質カーボンブラックと同じ直径を有する等価の非多孔質球体の表面積及び体積に基づいて、20nmのコーティングを提供するように選択した。
【0099】
【表3】
Figure 2004501209
(a)E1、E2及びE3は、行った3つの異なるエマルション重合を示している。
【0100】
これらの重合は、70℃の5口フランジ反応フラスコ中において窒素雰囲気で行った。正確な量の改質カーボンブラックを、反応フラスコ中の水(20g)に分散させた。反応フラスコの内容物を連続的に撹拌し、窒素ガスの流れを提供して不活性雰囲気を維持した。フラスコの内容物が浴温度になった後で、水(5g)中の開始剤の溶液を加えた。その後、モノマーの全量を、15分間にわたって滴下漏斗によって加えた。5時間後に、反応フラスコを室温まで冷却し、4番の焼結体を通してろ過した。生成物は、60℃の減圧下で乾燥した。
【0101】
最も少量の開始剤を使用する反応(E1及びE2)では、重合していないモノマーが水の上の第2の層として観察され、またスチレンの強い臭いが明らかであった。最も多量の開始剤を使用した反応(E3)では、未反応のモノマーは検知されなかった。E2重合を改質カーボンブラックなしで反復すると、この反応はラテックスをもたらした。反応生成物は、0〜200℃の温度範囲でDSCによって解析した。
【0102】
Cycolac SAN 29283を、2つの等級(Regal80(商標)及びSterling4620(商標)カーボンブラック)の、コーティングされた及びコーティングされていない改質カーボンブラックと配合した。配合は、表3において概略を示す混合条件でバンバリー混合機を使用して行った。調製したコンパウンド及びそれらの解析データは、表4に概略を示している。
【0103】
【表4】
Figure 2004501209
【0104】
コンパウンドのシートへの加工は、150℃での従来の圧縮成形によって行った。引張試料は、厚さ3mmの成形シートを帯のこによって切断し、150mm×25mm×3mmのストリップにして調製した。これらの試料は、移送装置を使用し、そして研磨して全ての表面及び縁欠陥を除去して、ASTM D638標準ダンベル型試料に加工した。衝撃試料は、厚さ6mmのシートを切断して、150mm×25mm×6mmのストリップにした。この試料を研磨し、研削装置を使用して様々な深さまで切り欠きをつけ、試験の直前に切り欠きの底にかけて新しいかみそりの刃をすべらせることによって切り欠きを鋭くした。衝撃試料は、ASTM D5045−95によって調製及び試験した。
【0105】
【表5】
Figure 2004501209
【0106】
例3
例1で説明したものよりもTgが小さいスチレン、ブチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートのターポリマー(PS/BA/GMA)を合成するために試験を行った。
【0107】
スチレン(Aldrich社、98%)を、分離漏斗中で10%水酸化ナトリウム溶液によって複数回洗浄し、そして蒸留水で複数回洗浄した。抑制剤を含有しないモノマーを、無水塩化カルシウムで乾燥し、その後で減圧の窒素雰囲気で蒸留した。ブチルアクリレート(Aldrich社、97%)を、分離漏斗中で2%水酸化ナトリウム溶液によって複数回洗浄し、そして蒸留水で複数回洗浄した。抑制剤を含有しないモノマーを、無水塩化カルシウムで乾燥し、その後でろ過した。30℃のトルエン中において飽和溶液を作り、そしてこの溶液を0℃まで氷浴中において冷却することによって、アゾ−ビス(イソブチロニトリル)(AZBN)を純化した。グリシジルメタクリレート(Aldrich社、97%)は供給されたままで使用した。
【0108】
初期の溶媒:モノマーの重量比が70:30のトルエン中での溶液重合によって、ターポリマーを調製した。AZBNを、モノマーの0.1重量%の量で開始剤として使用した。窒素雰囲気下において60℃で30時間にわたって撹拌して、重合を行った。2種類の異なるターポリマーを、異なるコモノマー組成で調製した。
【0109】
表5は、使用したコポリマー組成を示している。
【0110】
【表6】
Figure 2004501209
(a)wtBA%は、全モノマー混合物中のブチルアクリレートの重量百分率
(b)wt%は、全モノマー混合物中のスチレンの重量百分率
(c)wtGMA%は、全モノマー混合物中のグリシジルメタクリレートの重量百分率
【0111】
【表7】
Figure 2004501209
(a)wtBA%は、ターポリマー中のブチルアクリレートの重量百分率
(b)wt%は、ターポリマー中のスチレンの重量百分率
(c)wtGMA%は、ターポリマー中のグリシジルメタクリレートの重量百分率
【0112】
ターポリマー(PS/BA/GMA)はTgが14℃であり、比較的多量のブチルアクリレートを含有するターポリマー(PS/BA/GMA)は、Tgが−30℃であった。
【0113】
ターポリマー(PS/BA/GMA)は、その低いTg(−30℃)のために、カーボンブラック又は改質カーボンブラック粒子をコーティングするためのものとして選択した。コーティングは、上述の方法と同じ方法を使用して、溶液蒸発法によって行った。様々の粒子を、調製したままのターポリマー溶液に分散させ、その後で溶媒を制御蒸発させた。厚さ20nmのコーティング及び硬質粒子の試料のコーティングが、減圧下の40℃での乾燥の後で得られた。
【0114】
コーティングされた試料は、DSCによって特徴づけた。これは、約−30℃の単一のTgを示すターポリマーと同様なトレースを示した。
【0115】
多量(約800g)のポリマーコーティングされた改質カーボンブラックを、溶液蒸発法によって調製した。コーティングのために使用したポリマーは、スチレン、ブチルアクリレート及びグリシジルメタクリレートのターポリマー(PS/BA/GMA)であった。特に合成されたターポリマーによる改質カーボンブラックの目標コーティング厚さは20nmであった。コーティングされた改質カーボンブラックを微細粉末にするために、乳鉢を使用して粉砕した。その後で、コーティングされた改質カーボンブラックを、SANと配合した。
【0116】
Cycolac SAN29283を、2つの等級(Regal80(商標)及びSterling4620(商標)カーボンブラック)のコーティングされた及びコーティングされていないカーボンブラックと配合した。配合は、表7に概略を示す混合条件でバンバリー混合機を使用して行った。調製したコンパウンド及びそれらの解析データの概略を表8に示す。
【0117】
CIPは、表8に示すいくつかの組成物のために、ISO R527タイプIIに従って、引張試料の射出成形を行った。
【0118】
【表8】
Figure 2004501209
(a)混合組成に依存する値
【0119】
【表9】
Figure 2004501209
(a)射出成形もした組成物
【0120】
例4
改質カーボンブラックの表面でのポリマーのその場での形成のためのエマルション重合技術の使用も、試験した。2種類の異なるモノマースチレン及びブチルアクリレート、並びに2種類の異なる開始剤4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)及び過硫酸アンモニウムを使用した。使用したカーボンブラックは、−CSONa基が結合したSterling4620(商標)等級であった。
【0121】
エマルション重合で使用した材料は、スチレン(Aldrich社、98%)、ブチルアクリレート(Aldrich社、97%)(第3.1.1章で説明したようにして純化)、溶解したOを除去するためにN雰囲気において沸騰させた脱イオン水、メタノールで洗浄し一定重量になるまで乾燥した改質カーボンブラック、並びに共に供給されたままの開始剤4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)(Aldrich社、75+%)及び過硫酸アンモニウム(Aldrich社、99.0%)であった。
【0122】
合計で30通りのエマルション重合を行って、3つのモノマー/開始剤の組み合わせを試験した。それぞれの組み合わせでの反応の違いは、使用した開始剤の濃度である。試験した組み合わせは以下のようなものである:
(a)スチレン/4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)
(b)スチレン/過硫酸アンモニウム
(c)ブチルアクリレート/過硫酸アンモニウム
【0123】
重合は、70℃のシールされた系において行った。20nmのコーティングを提供するためのポリマーの量の計算は、官能化カーボンブラックと直径が同じ等価非多孔質球体の体積及び表面積に基づいて行った。重合は下記のようにして行った。
【0124】
反応フラスコに初めに、水(25g)及び改質カーボンブラック(10g)を投入した。反応フラスコの内容物を連続的に撹拌し、窒素流れを提供した。フラスコの内容物が浴の温度になった後で、水(5g)中の開始剤の溶液を加えて、系を密封した。モノマーの全量を、滴下漏斗で、15分かけて加えた。10時間後に、反応フラスコを室温まで冷却し、4番の焼結体に通すろ過によって反応生成物を回収し、そして60℃の減圧下で乾燥した。ろ過の前に、試料の一部を取り出して、気液クロマトグラフィー(GLC)を使用して反応の転化率を計算した。
【0125】
エマルション重合で使用した組成物は、表9、10及び11で示している。
【0126】
GLCを使用して、反応の後で取り出した試料中の未反応モノマーの量を測定し、それによってエマルション重合の転化率を計算した。Anala Rメタノールをこの試料に加えて、水とモノマーとの混和性を提供した。GLCは、Perkin−Elmer Autosystem Gas Chromatographを使用して行った。内部標準としてプロパン−1−オールを使用して、定量的な試験を行った。
【0127】
【表10】
Figure 2004501209
(a)行った11の反応で、開始剤含有率は0.0007〜1.0000gであった
【0128】
【表11】
Figure 2004501209
(a)気液クロマトグラフィー(GLC)によって測定
【0129】
【表12】
Figure 2004501209
(a)気液クロマトグラフィー(GLC)によって測定
【0130】
IR分光分析を使用して、エマルション重合生成物中のポリマーの存在について調べた。エマルション重合生成物の沈殿を、重合反応成功のもう1つの指標として使用した。従ってこれは、うまくいったエマルション重合で改質カーボンブラック上にポリマーが均一に形成されたことを示す。
【0131】
例5
エマルションの経路についても試験を行った:
(a)エマルション重合経路は以下のものを使用:
(1)単一のモノマーであるブチルアクリレート(BA)
(2)ブチルアクリレート(BA)及びアリルメタクリレート(ALMA)のモノマー混合物。相対的なモノマー比の影響も解析した。
(b)カーボンブラック又は改質カーボンブラック上のコーティング厚さの変化。
【0132】
溶解したOを除去するためにN雰囲気下で沸騰させた脱イオン水を全ての調製において使用した。使用した2種類のモノマーは、ブチルアクリレート(BA、Aldrich社、97%)及びアリルメタクリレート(ALMA、Aldrich社、98%)であった。ブチルアクリレートは、2%の水酸化ナトリウムで複数回洗浄した後で使用した。アリルメタクリレートは供給されたままで使用した。改質カーボンブラック(−CSONa基が結合した、及び−CCH=CH基が結合したSterling4620(商標)カーボンブラック)をメタノールで洗浄し、一定重量になるまで乾燥し、開始剤である過硫酸アンモニウム(Aldrich社、99.0%)を供給されたままで使用した。重合は、半連続エマルション重合を使用して行った。
【0133】
水及び改質カーボンブラックを、70℃の水浴に維持された丸底フラスコに投入した。フラスコは窒素でパージした。混合物が浴温度に達した後で、開始剤を加え、Watson−Marlowぜん動ポンプを使用して、一定の速度でモノマーを反応器に加えた。反応を10時間にわたって行わせ、その後で室温まで冷却し、4番の焼結体に通してろ過し、そして60℃の減圧下で乾燥した。水中の更なる開始剤を3時間の反応時間の後で加え、厚さ15nm超のコーティングを調製した。
【0134】
エマルション重合生成物を、重量損失及び抽出の実験、気液クロマトグラフィー(GLC)及び示差走査熱量計(DSC)によって解析した。試料の重量損失に基づく重量分析法及び抽出実験を行って、試料中に存在するポリマーの量を定量的に計算した。これらの方法としては以下の方法である:
【0135】
(a)炉法
この方法では、よく乾燥したエマルション重合生成物を、550℃の炉に3時間にわたって維持し、それによってポリマーを分解させた。コーティングされていない改質カーボンブラックの試料も、同じ条件で処理した。
【0136】
(b)抽出法
この方法では、よく乾燥したエマルション重合生成物をクロロホルムで抽出した。ソックスレー抽出を、クロロホルムの沸点において3時間にわたって行った。コーティングされていない改質カーボンブラックの試料も、同じ条件で処理した。
【0137】
気液クロマトグラフィー(GLC)を使用して、未反応モノマーの量を測定した。GLCは、Perkin−Elmer8500ガスクロマトグラフィーを使用して行った。溶液(1□l)を入口圧力7.0psiで、Carbowax20Mカラム(長さ25m、内径0.3mm)に注入した。炉の温度は、7℃/分で60℃から160℃に上昇させた。この技術のために、反応体から試料を取り出し、それによってエマルション重合における転化率を計算した。AnalaRメタノールを試料に加えて、水とモノマーとの混和性を提供した。プロパン−1−オールを内部標準として使用して、定量解析を行った。
【0138】
DSC実験を反応生成物に行い、それによってポリマーを調べた。実験は、DSCセルを取り付けられたDuPont910セルベースを具備するDuPont Thermal Analyst2000装置を使用して、20℃/分の加熱速度で、窒素雰囲気下において行った。解析の前に、生成物を、一定重量になるまで40℃の減圧炉でよく乾燥した。
【0139】
複数のエマルション重合を、異なるモノマー組成で行った。改質カーボンブラック(−CSONa基及び−CCH=CH基が結合したSterling(商標)カーボンブラック)は、水分散性が優れているので、全てのエマルション重合で使用した。目標コーティング厚さは、全ての場合に10nmであった。行ったエマルション重合の3つの代表的な例を、表12で示している。
【0140】
【表13】
Figure 2004501209
(a)気液クロマトグラフィー(GLC)によって測定
【0141】
ブチルアクリレートはホモポリマーがゴム状の性質を有するので、これらの試験においてはブチルアクリレートを使用した。いくらかの反応においてはALMAも導入して、架橋を提供した。架橋は、ポリマー分子の動きを減少させ、配合の間のコーティングの損失を防ぐことによって、剪断抵抗を増加させることができる。更に、改質カーボンブラック中に導入された二重結合官能性も反応に参加することができる。
【0142】
重量損失及び抽出実験によって得られる結果は表13に報告している。
【0143】
【表14】
Figure 2004501209
【数2】
Figure 2004501209
【0144】
選択したポリマーコーティング組成物(98mol%BA/2mol%ALMA)で、ポリマーコーティング厚さを変化させることの影響を調べた。コモノマー組成が2mol%ALMA及び98mol%BAで、結合した有機基(−CSONa/−CCH=CH基)を有するSterling(商標)カーボンブラックの複数のエマルション重合を行った。表3は、最も代表的な重合の組成を示している。
【0145】
E6重合は、使用した開始剤量で反応を完了しなかった。これは、20nm又はそれよりも厚いコーティング厚さのエマルション重合のためには、追加の開始剤の添加が必要であることを示している。
【0146】
【表15】
Figure 2004501209
(a)かっこ内の数字は目標コーティング厚さを示している
(b)気液クロマトグラフィー(GLC)によって決定
(c)3時間の反応後に0.41gを添加
【0147】
【表16】
Figure 2004501209
【数3】
Figure 2004501209
【0148】
例6
様々なエマルション重合の試験から、例5のE3を、大規模エマルション重合のためにスケールアップする組成として選択した。
【0149】
ポリマーコーティングされた改質カーボンブラックの2つのバッチ(約450g)を、結合した−CSONa/−CCH=CH基を有するカーボンブラックから、エマルション重合法によって調製した。コーティングのために使用したモノマーは、ブチルアクリレート(BA)及びアリルメタクリレート(ALMA)であった。目標コーティング厚さは10nmであった。重合法は上述のようなものであった。反応の後で、得られた生成物をろ過し、乾燥し、粉砕して微細粉末にした。生成物の特徴付は、気液クロマトグラフィー(GLC)、示差走査熱量分析(DSC)、及び熱質量分析(TG)によって行った。GLCは、反応が完了したことを示し、DSCはポリマーのTgが−43℃であることを示した。TGは、約10.5%の重量損失を与えた。
【0150】
特徴付の後で、2つのバッチを一緒にして混合し、続いてSANと配合した。ポリマーコーティングされた改質カーボンブラックの組成の詳細は表16に示している。
【0151】
【表17】
Figure 2004501209
【0152】
Cycolac SAN 29283を、コーティングされた改質カーボンブラックと配合した。この配合は、表17に概略を示す混合機条件でバンバリー(Banbury)混合機を使用して行った。調製したコンパウンド及びそれらの解析データの概略は表18に示している。
【0153】
【表18】
Figure 2004501209
(a)混合組成に依存する値
【0154】
【表19】
Figure 2004501209
(a)射出成形もした組成物
【0155】
コンパウンドの処理は、圧縮成型によって上述のように行った。引張試料は、ASTM D638標準に従って作った。衝撃試料は、ASTM D5045−95に従って調製及び試験した。長方形の棒状体(45mm×10mm×3mm)も、動的機械熱解析(DMTA)による解析のために調製した。
【0156】
引張試料の射出成形は、ISO R527タイプIIに従って、表18で示す組成のいくつかについて行った。
【0157】
SAN及びコーティングされた改質カーボンブラックを含有する以下の一連のコンパウンドを特徴付けた(表19):
○SAN及び溶液蒸発法によってコーティングした改質カーボンブラックを含有するコンパウンド。コーティングのための使用したポリマーは、先に例3で説明したスチレン、アクリロニトリル及びグリシジルメタクリレートのターポリマー(PS/BA/GMA)であった。2つの等級の改質カーボンブラックをこの方法によってコーティングした。
○SAN及びエマルション法によってコーティングした改質カーボンブラックを含有するコンパウンド(表18)。
【0158】
ASTM D638に従って、Instron1122引張試験装置を使用して引張試験を行い、それによって様々なコンパウンドの引張性を得た。試験は、64mmのゲージ長さ及び10mm/分のクロスヘッド速度を使用して行った。Instron2630−30伸張装置を使用して、正確に10%までひずみを測定した。それぞれの材料のために全部で6つの試料を試験し、機械的性質の平均値を計算した。
【0159】
表20は、コンパウンドの引張性質について示している。充填物がないSAN、及びコーティングされていないカーボンブラックを充填されたSANでの値も、比較のために提供している。
【0160】
【表20】
Figure 2004501209
(a)R−NH−20(BA)及びS−NH−20(BA)として示されている試料は、溶液蒸発法によってコーティングした。E−100A−10として示されている試料は、エマルション重合法によってコーティングした。
(b)PS/BA/GMAの組成は2/95/3wt%であり、BA/ALMAの組成は98/2wt%であった。
【0161】
【表21】
Figure 2004501209
(a)wt(CB)は、理論カーボンブラック含有率(%)
(b)Eは、0.1%伸張でのセカントとして計算された引張弾性率
(c)σは最終的な引張応力
(d)σは最終的な引張ひずみ
(e)射出成形もした組成物
【0162】
3点曲げ単一エッジ切り欠き衝撃試験を、PCと共にMK4マイクロプロセッサに接続されたCeast6545デジタル振り子(開放角15°に設定)を使用して行った。標準試料は、名目上幅Wの4倍に等しい支持体間隔S(=96.0mm)の3点曲げ装置の単一エッジ切り欠きビームであった。
【0163】
切り欠き−深さ比(a/w)は0.50±0.05であり、それぞれの材料について少なくとも6個の試料を解析し、平均結果を計算した。ASTM D5045−95によって計算される破壊エネルギーの測定値GIcは、表21に示している。
【0164】
【表22】
Figure 2004501209
(a)wt(CB)は、理論カーボンブラック含有率(%)
(b)GIcは、ASTM D5045−95から計算される破壊エネルギー
【0165】
図5(a)〜(b)は、GIcへのカーボンブラック含有率への影響を示している。コーティングされていないカーボンブラックのコンパウンドでは、カーボンブラック含有率が増加すると、GIcの値はかなり減少する。この傾向は、エマルションコーティングされた改質カーボンブラックでも同じである。しかしながら、溶液コーティングのコンパウンドでは反対の傾向が存在し、充填材含有率が増加するとGIcが増加する。充填されたSANは、50%の充填物含有率でさえも、充填物が存在しない材料よりも強いことが示されている。
【0166】
例7
雰囲気において沸騰させて溶解したOを除去した脱イオン水を、全ての調製において使用した。使用した2種類のモノマーは、ブチルアクリレート(BA、Aldrich社、97%)及びアリルメタクリレート(ALMA、Aldrich社、98%)であった。ブチルアクリレートは、上述のように2%水酸化ナトリウムで複数回にわたって洗浄した後で使用した。アリルメタクリレートは、供給されたままで使用した。カーボンブラックSterling(−CSONa/−CCH=CH)(試料番号010−100A)を、メタノールで洗浄し、一定の重量になるまで乾燥し、開始剤である過硫酸アンモニウム(Aldrich社、99.0%)を供給されたままで使用した。
【0167】
重合は、半連続エマルション重合を使用して行った。水及びカーボンブラックを、70℃の水浴中に維持されている丸底フラスコに投入した。フラスコを窒素でパージした。混合物が浴温度に達した後で、開始剤を加え、Watson−Marlowぜん動ポンプを使用して、モノマーを一定の速度で反応器に加えた。更なる量の開始剤(水に溶解)も、シリンジポンプを使用して、3時間にわたって連続様式で加えた。このゆっくりとした速度の開始剤の添加(約0.23ml/分)を選択して、開始剤を一度に加えたときに起こることがある反応の不安定化を避けた。
【0168】
試料の一部(約3g)を、一定の間隔でシリンジを使用して採取し、これを気液クロマトグラフィー(GLC)を使用して解析し、未反応モノマーの濃度を測定した。重合反応は、転化が完了したことをGLCが示すまで行った。その後、重合物を室温まで冷却し、4番の焼結体を通してろ過し、60℃で減圧乾燥した。表22は、それぞれのエマルション重合で使用した組成物を示している。
【0169】
【表23】
Figure 2004501209
(a)目標コーティング厚さ
(b)生成物記号
(c)気液クロマトグラフィー(GLC)によって測定
(d)2.5時間の反応後に、2.31gの開始剤(25mlの水中)を連続的に加えた
【0170】
試料中に残っている未反応モノマーの量を決定することによって、動的な試験を行った。試験は、重合の初期段階(0〜120分)の間に、高い割合(約90%)の転化が瞬間的に起こったことを示している。次に、瞬間的な転化が、モノマー添加の終了まで減少した。この減少は、E2(30nmコーティング)でより明確である。この点から、瞬間的な転化は、反応の開始から300分で100%の転化が得られるまで堅実に増加した。
【0171】
それぞれ(E−100A−20及びE−100A−30)のスケールアップのために、ポリマーコーティングされたカーボンブラックの2つのバッチを調製した。上述のように、カーボンブラックは洗浄及び乾燥したSterling(−CSONa/−CCH=CH)(試料番号010−100A)であり、コーティングのために使用したモノマーは、98:2mol%のブチルアクリレート(BA)及びアリルメタクリレート(ALMA)であった。目標コーティング厚さは、試料E−100A−20では20nmであり、試料E−100A−30では30nmであった。重合方法は上述のものである。反応の後で、得られた生成物をろ過、乾燥及び粉砕して微細粉末にした。表23は、コーティングされたカーボンブラックのスケールアップの詳細な組成を示している。
【0172】
【表24】
Figure 2004501209
【0173】
反応生成物にDSC実験を行って、ポリマーコーティングを調べた。実験は、DSCセルを有するDuPont910セルベースを具備したDuPont Thermal Analyst2000装置を使用して、20℃/分の加熱速度で、窒素雰囲気において行った。生成物は、40℃の減圧炉において重量が一定になるまでよく乾燥し、その後で解析を行った。
【0174】
スケールアップ生成物は、IR分光分析によっても特徴付けた。赤外スペクトルは、KBrディスク及びPerkin−Elmer2000FT−IR分光分析機を使用して得た。ポリマーコーティング(BA/ALMA)のIRスペクトルの主な特徴は、C=O伸張による1735cm−1での強いピーク、及びC−O伸張振動による1160cm−1での強いバンドである。スケールアップ生成物のIRスペクトルは、カーボンブラックによる高レベルのノイズによって純粋なポリマー程は強くないが、これらのピークはブチルアクリレートによるものであることを示す。
【0175】
分散性についての実験も、スケールアップ生成物に行った。少量(約1g)の乾燥生成物(E−100A−10、E−100A−20及びE−100A−30)を、水(約10g)に分散させ、沈殿させた。実験は、水中での分散性がコーティング厚さが増加するにつれて劣ることを示し、E−100A−30及びE−100A−20の沈降が非常に迅速であることを示した。E−100A−10の沈降は、比較的長い期間を必要とした。これらの実験は、ポリマーをカーボンブラック上にうまくコーティングできたことを示し、また異なるコーティング厚さの影響を質的に示した。
【0176】
2組のコンパウンドを調製した。1番目の組は、Cycolac SAN29283をコーティングされたカーボンブラック(E−100A−20)と様々な割合で配合することによって調製し、2番目の組は、SANとE−100A−30を配合することによって調製した。配合は、表24に概略を示す混合条件でバンバリー混合機を使用して行った。調製したコンパウンド及びそれらの解析データは、表25にまとめている。
【0177】
【表25】
Figure 2004501209
【0178】
【表26】
Figure 2004501209
(a)射出成形した組成物
【0179】
コンパウンドの加工は上述のようにして行った。引張試料は、ASTM D638標準に従って調製した。衝撃試料は、ASTM D5045−95に従って調製及び試験した。長方形の棒状体(45mm×10mm×3mm)も、動的機械熱解析(DMTA)による解析のために調製した。
【0180】
引張試験試料の射出成形は、表6に示される組成物のいくつかに対して、ISO R527タイプIIに従って行った。また組成物E−100A−30−10及びE−100A−30−30は、ISO R527タイプIによって推奨される大きさを使用して射出成形した。
【0181】
Instron 1122引張試験装置を使用してASTM D638に従って引張試験を行って、様々なコンパウンドの引張性質を調べた。引張試験は、ゲージ長さ64mm及びクロスヘッド速度10mm/分で行った。Instron2630−30伸び計を使用して、ひずみを10%まで正確に測定した。全部で6つの試料をそれぞれの材料について試験し、機械的性質の平均値を計算した。
【0182】
表26は、コンパウンドの引張性質を示している。SAN及びコーティングされていないカーボンブラックを充填したSANコンパウンドの値を、対応する目的に関して与えた。図4〜6は、コンパウンドのカーボンブラック含有率に関して、ヤング率E、最終応力σ及び最終ひずみεの変化を示している。E−100A−10で調製されるコンパウンドで得られる値も、比較のために示している。
【0183】
【表27】
Figure 2004501209
(a)wt(CB)は、理論カーボンブラック含有率(%)
(b)Eは、0.1%の伸びでのセカントとして計算された引張弾性率
(c)σは、最終引張応力
(d)εは、最終引張ひずみ
【0184】
【表28】
Figure 2004501209
(a)wt(CB)は、理論カーボンブラック含有率(%)
(b)Eは、0.1%の伸びでのセカントとして計算された引張弾性率
(c)σは、最終引張応力
(d)εは、最終引張ひずみ
【0185】
表26及び27は、ヤング率、最終応力及び最終ひずみが、圧縮成型試料に関して説明したカーボンブラック含有率に関する傾向と同じであることを示している。但し、コーティングされた試料E−100A−30と他のもの(E−100A−10及びE−100A−20)とでは有意の違いがあることが注目される。E−100A−30を含有する試料は、わずかに比較的小さいヤング率、及び有意に比較的大きい最終応力及びひずみの値を示している。このことは、これらの例において使用したポリマーコーティングとカーボンブラックとの比(約0.4gのポリマー/1gのカーボンブラック)が機械的性質を変化させるのに適当であることを示している。同じ割合のポリマーコーティングとカーボンブラックとを、改良された機械的性質を示す溶液コーティングカーボンブラックでも使用した。
【0186】
3点曲げ単一エッジ切り欠き衝撃試験を、Ceast6545デジタル振り子(開放角15°)を使用して行った。これは、PCとともにMK4マイクロプロセッサに結合されていた。標準試料は、幅Wの4倍に名目上等しい支持体間隔S(=96.0)で3点曲げをした単一エッジ切り欠きビームであった。
【0187】
切り欠き−深さ比(a/w)は0.50±0.05であり、それぞれの材料について、少なくとも6個の試料を解析し、平均結果を計算した。ASTM 5045−95でのようにして計算した破壊エネルギーの測定値GIcは、表28に示している。
【0188】
【表29】
Figure 2004501209
(a)wt(CB)は、理論カーボンブラック含有率(%)
(b)GIcは、ASTM D5045−95で計算した破壊エネルギー
【0189】
コーティングしていないカーボンブラックのコンパウンドに関しては、カーボンブラック含有率が増加するとGIcはかなり減少する。これと同じ傾向が、エマルションコーティングしたカーボンブラックで観察された。しかしながら、異なる厚さでコーティングされたカーボンブラックの間では有意の違いはなかったが、異なるスケールに関して値をプロットすると、30nmのコーティングを有するカーボンブラックのコンパウンドでは破壊エネルギー値がわずかに大きかった。10及び20nmのコーティングと比較したときの30nmのコーティングの性質のこの変化は、射出成形試料の引張性質でも観察された。
【0190】
例8
他の3つの調製を行った。これらの調製におけるカーボンブラックの等級は、一定に維持した(Sterling、単一の処理(−CSONa))。この組の調整の変化は、ポリマーコーティング組成であり、ブチルアクリレート(BA)及びアリルメタクリレート(ALMA)を異なる割合で使用した。また新しいモノマー、例えばメチルメタクリレート(MMA)及びスチレン(S)を導入した。これらの変更は、下記のようにして調製したスケールアップを比較することによって、コーティングされたカーボンブラックを充填されたSANの機械的性質及び分散性への影響を調べることを可能にする:
○異なる等級のカーボンブラック(2つの処理対1つの処理)
○異なる架橋剤含有率(2対1mol%のALMA)
○異なるポリマーコーティング組成(BA:ALMA対BA:ALMA:MMA:S)
【0191】
30nmのコーティング厚さを選択して、コーティングポリマーの重量分率(wt%ポリマー)とカーボンブラックの重量分率(wt%CB)の比を、約0.4gポリマー/1gCBにした。この比は、コーティングされていないカーボンブラックを超える改良された機械的性質を示した溶液蒸発法で使用したもの[S−NH−20(BA)及びR−NH−20(BA)]と同様である。
【0192】
第1に、小規模の反応を行って、適当な反応体組成及び反応時間を決定した。動的試験も行った。予備反応方法は例7で示したようなものである。ブチルアクリレート(BA)は上述のように洗浄した。メチルメタクリレート(MMA、Aldrich社、98.0%)は、2%の水酸化ナトリウムで数回洗浄した後で使用した。スチレン(S、Aldrich社、98.0%)は上述の報告で説明されるように蒸留した後で使用した。アリルメタクリレートは供給されたままで使用した。カーボンブラック(スルホン化Sterling4620)はメタノールで洗浄し、一定重量になるまで乾燥し、そして開始剤である過硫酸アンモニウム(Aldrich社、99.0%)を供給されたままで使用した。
【0193】
重合は、半連続エマルション重合を使用して行った。表29は、最も代表的な重合の組成を示している。
【0194】
【表30】
Figure 2004501209
(a)かっこ内の記号は生成物記号
(b)気液クロマトグラフィー(GLC)によって測定
(c)2.5時間の反応後に連続様式で、2.1gの開始剤(25mlの水中)を加えた
(d)2.5時間の反応後に連続様式で、4.18gの開始剤(25mlの水中)を加えた
【0195】
表29が示すように、使用した開始剤の量では、長い反応期間(10時間)の後でさえも、重合E3は反応が完了しなかった。開始剤の含有率は、同じポリマーコーティング重合で使用した含有率と同じであったが、カーボンブラック等級は異なっており、2処理Sterling(−CSONa/−CCH=CH)であった。これは、カーボンブラックに行った第2の処理がカーボンブラックの表面を遮蔽し、消費される開始剤が比較的少なくなったことを示唆している。重合E3を反復した(E4)。但しここでは、開始剤の量を増加させ、この場合には転化が完了した。重合E3では、反応の初期段階における瞬間的な転化が迅速に減少し、これは最終的に約51%で安定した。150分のときの追加の開始剤の添加は、転化に有意の影響を与えなかった。反応E4は、開始剤含有率を増加させた後で、転化が100%に達した。
【0196】
重合E5は重合E4と同様であるが、この場合にはBA:ALMA比が99:1mol%であった。瞬間的な転化は、20〜80分の反応時間の間に、90%超の転化が達成されることを示した。これはその後減少し、追加の量の開始剤の添加を開始すると、約220分で100%になるまで転化が再び増加した。
【0197】
これらの例では、コーティングプロセスのスケールアップのために、E4、E5及びE6の組成を選択した。
【0198】
ポリマーコーティングされたカーボンブラックの2つのバッチを、スケールアップのそれぞれのために調製した(E−16A−30、E−16A−30(99BA)及びE−16A−30(94BA))。使用したカーボンブラックは、上述のような洗浄及び乾燥したSterling(−CSONa)(試料番号T016−84A)であった。スケールアップE−16A−30及びE−16A−30(99BA)でのコーティングのために使用したモノマーは、それぞれ98:2及び99:1mol%のブチルアクリレート(BA)及びアリルメタクリレート(ALMA)であった。スケールアップE−16A−30(94BA)のために使用したモノマーは、94:1:3:2mol%の、ブチルアクリレート(BA):アリルメタクリレート(ALMA):メチルメタクリレート(MMA):スチレン(S)であった。目標コーティング厚さは30nmであった。重合方法は、上述のようなものであった。気液クロマトグラフィー(GLC)で監視した反応の後で、得られた生成物をろ過し、乾燥及び粉砕して微細粉末にした。
【0199】
【表31】
Figure 2004501209
【0200】
DSC実験を反応生成物に行って、コーティングポリマーを試験し、ガラス転移温度Tgを測定した。
【0201】
DSC結果は、E−16A−30及びE−16A−30(99BA)のTgが−43℃であることを示した(反応E−100A−30で得られたもの(−44℃)と同様)。スケールアップE−16A−30(94BA)のTgは−30℃であった。このTgの上昇は、コポリマー中の比較的低いBA含有率(94mol%)、及びBAと比較してよりガラス状であり且つ比較的ゴム状ではない特性を有するMMA及びSの存在による。
【0202】
スケールアップ生成物もIR分光分析によって特徴付けた。スケールアップ試料のIR分光分析の主要な特徴は、ポリマーコーティング中のBAの存在によるピークであった(C=O伸張による1735cm−1の強いピーク、及びC−O伸張振動による1160cm−1の強いバンド)。またカーボンブラックの存在によってスペクトルは高レベルのノイズを示した。試料E−16A−30(94BA)では、コーティング中で使用した他のモノマー(S、MMA又はALMA)によるピークは、BAと比較してこれらのモノマーの割合が比較的少ないので明確でなかった。
【0203】
分散性実験も、これらのスケールアップ生成物に行った。この単純な試験は、E−16A−30、E−16A−30(99BA)及びE−16A−30(94BA)が、水への分散の後で迅速に沈降することを示した。これは、ポリマーがカーボンブラックをうまくコーティングしていることを示す。水の上の層が存在しないことは、ポリマーが別個の相として重合していないことを示す。
【0204】
本発明の他の態様は、ここで開示された本発明を実施すること及び明細書の記載を考慮することによって、当業者に明らかになる。これらの特定の態様及び例は単なる例示であり、本発明の実際の範囲及び本質は特許請求の範囲で示される。
【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、ヤング率対カーボンブラック又は本発明のポリマーコーティング(20nm)された改質カーボンブラックの重量分率のグラフである。
【図2】
図2は、破壊エネルギー対カーボンブラック又は本発明のポリマーコーティング(20nm)された改質カーボンブラックの重量分率のグラフである。
【図3】
図3は、本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物の顕微鏡写真である。
【図4】
図4は、本発明のポリマーコーティングされた改質炭素生成物の顕微鏡写真である。
【図5】
図5(a)〜(c)は、従来のカーボンブラック、溶液ポリマーコーティングされた改質カーボンブラック、及びエマルションポリマーコーティングされた改質カーボンブラックを含有するポリマーマトリックスの破壊エネルギーの変化を示す図である。ここでは、カーボンブラック(a)R−nf−0及びR−NH−20(BA)、(b)S−nf−0及びS−NH−20(BA)、並びに(c)S−nf−0及びE−100A−10の、重量分率wt(CB)による破壊エネルギーGIcの変化を示している。

Claims (77)

  1. (a)少なくとも1種のエラストマー、及び(b)少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた改質炭素生成物を含むポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有する、エラストマー組成物。
  2. 前記改質炭素生成物が、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  3. 前記少なくとも1種のポリマーが単層で存在する、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  4. 前記少なくとも1種のポリマーが複数の層で存在し、ここで前記少なくとも1種のポリマーが、それぞれの層において同じ又は異なっている、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  5. 前記有機基が、イオン性基、イオン化可能基又は極性基によって置換されている、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  6. 前記イオン性基、イオン化可能基又は極性基が、スルホン酸基若しくはその塩、スルフィン酸基若しくはその塩、カルボン酸基若しくはその塩、ホスホン基若しくはその塩、又は第4級アンモニウム基である、請求項5に記載のエラストマー組成物。
  7. 前記有機基が、置換された若しくは置換されていないスルホフェニル基若しくはその塩であり、又は前記有機基が、置換された若しくは置換されていない(ポリスルホ)フェニル基若しくはその塩である、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  8. 前記有機基が、置換された若しくは置換されていないスルホナフチル基若しくはその塩であり、又は前記有機基が、置換された若しくは置換されていない(ポリスルホ)ナフチル基若しくはその塩である、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  9. 前記有機基が、置換された又は置換されていないp−スルホフェニル基又はその塩である、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  10. 前記有機基が、p−CSONaである、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  11. 前記炭素生成物が、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質カーボン、活性カーボン、活性炭、炭素繊維、又はそれらの混合である、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  12. 前記炭素生成物がカーボンブラックである、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  13. 前記有機基が、少なくとも1つの芳香族基を有し、この芳香族基が前記炭素生成物に直接に結合している、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  14. 前記有機基が、C〜C12のアルキル基を有し、このアルキル基が前記炭素生成物に直接に結合している、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  15. 前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、硫黄を含有するポリマー、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマー及びコポリマー、ハロゲンを含有するポリオレフィン、フルオロポリマー、イオノマーポリマー、ケトン基を有するポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン二重結合を有するポリマー、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、又は尿素−、メラミン−若しくはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  16. 前記少なくとも1種のポリマーが、前記改質炭素生成物を実質的にコーティングしている、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  17. 前記少なくとも1種のポリマーが、前記改質炭素生成物を部分的にコーティングしている、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  18. 前記少なくとも1種のポリマーの厚さが約1nm〜100nmである、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  19. 前記改質炭素生成物が、炭素相とケイ素含有種相とを有する凝集体である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  20. 前記改質炭素生成物が、炭素相と金属含有種相とを有する凝集体である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  21. 前記改質炭素生成物が、少なくとも一種の部分的にシリカコーティングされたカーボンブラックを含む、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  22. 前記炭素生成物が、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質カーボン、活性カーボン、活性化化学種、炭素繊維、又はそれらの混合である、請求項3に記載のエラストマー組成物。
  23. 前記炭素生成物がカーボンブラックである、請求項5に記載のエラストマー組成物。
  24. 前記改質炭素生成物に結合した有機基を更に含む、請求項19に記載のエラストマー組成物。
  25. 前記改質炭素生成物に結合した有機基を更に含む、請求項20に記載のエラストマー組成物。
  26. 前記改質炭素生成物に結合した有機基を更に含む、請求項21に記載のエラストマー組成物。
  27. 前記少なくとも1種のエラストマーが、加硫組成物、熱可塑性加硫ゴム、熱可塑性エラストマー、熱可塑性ポリオレフィン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  28. 前記少なくとも1種のエラストマーが、1,3−ブタジエン、スチレン、イソプレン、イソブチレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、プロピレン又はそれらの組み合わせのホモ−又はコ−ポリマーを含む、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  29. 請求項1に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  30. タイヤのトレッド、タイヤのアンダートレッド、タイヤのサイドウォール、ワイヤスキム、タイヤのインナーライナー、タイヤのビード、タイヤのアペックス、又はタイヤのカーカスを含む、請求項29に記載の物品。
  31. 工業的なゴム生成物、シール、タイミングベルト、動力伝達ベルト、気密用充填材、又は押出成型品を含む、請求項29に記載の物品。
  32. 請求項1に記載のエラストマー組成物で作られたタイヤ又はタイヤの部品。
  33. 請求項2に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  34. タイヤ又はタイヤの部品である、請求項33に記載の物品。
  35. 請求項5に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  36. タイヤ又はタイヤの部品を含む、請求項35に記載の物品。
  37. 請求項11に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  38. 請求項12に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  39. 請求項15に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  40. 請求項19に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  41. 請求項20に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  42. 請求項21に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  43. 請求項28に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  44. タイヤ又はタイヤの部品を含む、請求項43に記載の物品。
  45. 少なくとも1種のエラストマーをポリマーコーティングされた改質炭素生成物と組み合わせることを含む、エラストマー組成物の製造方法であって、前記ポリマーコーティングされた改質炭素生成物が、水性媒体中で、開始剤、少なくとも1種のモノマー、及び改質炭素生成物を組み合わせ、そして重合させてポリマーコーティングされた改質炭素生成物を作ることによって作られており、ここで前記モノマーが、遊離ラジカル重合によって重合することができる、エラストマー組成物の製造方法。
  46. 前記改質炭素生成物が、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する、生成物45に記載の方法。
  47. 前記少なくとも1つの有機基が、イオン性基、イオン化可能基又は極性基によって置換されており、且つ前記改質炭素生成物が、水性媒体中に分散可能である、生成物46に記載の方法。
  48. 前記イオン性基、イオン化可能基又は極性基が、スルホン酸基若しくはその塩、スルフィン酸基若しくはその塩、カルボン酸基若しくはその塩、ホスホン酸基若しくはその塩、又は第4級アンモニウム基である、請求項47に記載の方法。
  49. 前記有機基が、置換又は非置換スルホフェニル基若しくはその塩であり、又は前記有機基が、置換又は非置換(ポリスルホ)フェニル基若しくはその塩である、請求項46に記載の方法。
  50. 前記炭素生成物が、カーボンブラック、グラファイト、ガラス質カーボン、微細化カーボン、活性カーボン、活性炭又はそれらの混合である、請求項46に記載の方法。
  51. 前記炭素生成物がカーボンブラックである、請求項46に記載の方法。
  52. 少なくとも1種のエラストマーとポリマーコーティングされた改質炭素生成物とを組み合わせることを含む、エラストマー組成物の製造方法であって、前記ポリマーコーティングされた改質炭素生成物が、少なくとも1種の改質炭素生成物、少なくとも1種の溶媒及び前記溶媒に溶解可能な少なくとも1種のポリマーを組み合わせて、前記少なくとも1種のポリマーで前記少なくとも1種の改質炭素生成物を少なくとも部分的にコーティングし、そして前記少なくとも1種の改質炭素生成物への前記少なくとも1種のポリマーの堆積の後で、前記溶媒を除去することを含む方法によって作られる、エラストマー組成物の製造方法。
  53. 前記少なくとも1種の改質炭素生成物が、炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する、請求項52に記載の方法。
  54. 前記炭素生成物が、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、ガラス質カーボン、活性カーボン、活性炭又はそれらの混合である、請求項52に記載の方法。
  55. 前記炭素生成物がカーボンブラックである、請求項52に記載の方法。
  56. 前記少なくとも1種のポリマーが、ポリエチレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリイソブチレン、ポリスチレン、ポリカプロラクタム(ナイロン)、ポリイソプレン、ポリアミド、ポリカーボネート、高分子電解質、ポリエステル、ポリエーテル、(ポリヒドロキシ)ベンゼン、ポリイミド、硫黄を含有するポリマー、ポリオレフィン、ポリメチルベンゼン、ポリスチレン、スチレンコポリマー、アセタールポリマー、アクリルポリマー、アクリロニトリルポリマー及びコポリマー、ハロゲンを含有するポリオレフィン、フルオロポリマー、イオノマーポリマー、ケトン基を有するポリマー、液晶ポリマー、ポリアミド−イミド、オレフィン二重結合を有するポリマー、ポリオレフィンコポリマー、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、熱可塑性エラストマー、シリコーンポリマー、アルキド、エポキシ、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、又は尿素−、メラミン−若しくはフェノール−ホルムアルデヒド樹脂を含む、請求項52に記載の方法。
  57. (a)少なくとも1種のエラストマー、及び(b)少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた少なくとも1種の改質炭素生成物を含むポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有するエラストマー組成物であって、前記改質炭素生成物が、少なくとも1つの有機基が結合した少なくとも1種の改質炭素生成物;炭素相及びケイ素含有種相を含む少なくとも1種の凝集体、炭素相と金属含有種相とを含む少なくとも1種の凝集体;又は少なくとも1種の部分的にシリカコーティングされたカーボンブラックを含む、エラストマー組成物。
  58. 前記改質炭素生成物が、少なくとも1種の炭素生成物に結合した少なくとも1つの有機基を有する、請求項57に記載のエラストマー組成物。
  59. 前記少なくとも1つの有機基が、炭素生成物に直接に結合している少なくとも1つの芳香族基又はC〜C12のアルキル基を有する、請求項58に記載のエラストマー組成物。
  60. 前記改質炭素生成物が、随意に有機基が結合している炭素相とケイ素含有種相を含む凝集体である、請求項57に記載のエラストマー組成物。
  61. 前記改質炭素生成物が、随意に有機基が結合している炭素相と金属含有種相とを含む凝集体を含む、請求項57に記載のエラストマー組成物。
  62. 少なくとも1種のエラストマーをポリマーコーティングされた炭素生成物と組み合わせることを含むエラストマー組成物の製造方法であって、前記ポリマーコーティングされた炭素生成物が、水性媒体中で、少なくとも1種の開始剤、少なくとも1種のモノマー、少なくとも1種の改質炭素生成物、及び少なくとも1種の界面活性剤を組み合わせ、そしてエマルション重合を行ってポリマーコーティングされた改質炭素生成物を得ることによって作られており、ここで前記モノマーは、遊離ラジカル重合によって重合させることができ、且つ前記少なくとも1種の改質炭素生成物が、少なくとも1つの有機基が結合した少なくとも1種の改質炭素生成物;炭素相及びケイ素含有種相を含む少なくとも1種の凝集体;炭素相と金属含有種相とを含む少なくとも1種の凝集体;又は少なくとも1種の部分的にシリカコーティングされたカーボンブラック;又はそれらの組み合わせを含む、エラストマー組成物の製造方法。
  63. (a)少なくとも1種のエラストマー、及び(b)少なくとも1種のポリマーによって実質的にそれぞれコーティングされた複数のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有する、エラストマー組成物。
  64. 請求項63に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  65. タイヤ又はタイヤの部品を含む、請求項64に記載の物品。
  66. (a)少なくとも1種のエラストマー、及び(b)実質的に均一な厚さのポリマーコーティングをそれぞれ有する複数のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有する、エラストマー組成物。
  67. 請求項66に記載のエラストマー組成物で作られた物品。
  68. タイヤ又はタイヤの部品を含む、請求項67に記載の物品。
  69. (a)少なくとも1種のエラストマーと(b)少なくとも1種のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を組み合わせることを含む、エラストマー組成物の製造方法であって、前記生成物が、少なくとも1種の改質炭素生成物、少なくとも1種のポリマー、及び少なくとも1種の有機溶媒を組み合わせ、ここで前記少なくとも1種のポリマーが、前記少なくとも1種の溶媒中に溶解していること、及び前記少なくとも1種の溶媒を除去して前記少なくとも1種のポリマーでコーティングされた改質炭素生成物を回収することを含む方法によって作られている、エラストマー組成物の製造方法。
  70. エラストマーマトリックス中に分散した請求項1に記載のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を含有するエラストマーポリマー生成物。
  71. 請求項1に記載のエラストマー組成物及びワックスを含有する、エラストマーマスターバッチ。
  72. 十分な量のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を、エラストマー生成物の製造の間に導入することを含む、エラストマー組成物の衝撃強さを増加させる方法であって、ここで前記ポリマーコーティングされた改質炭素生成物が、少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた改質炭素生成物を含む、エラストマー組成物の衝撃強さを増加させる方法。
  73. 十分な量のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を、エラストマー組成物の製造の間に導入することを含む、エラストマー組成物を含むタイヤ部品の衝撃強さを増加させる方法であって、ここで前記ポリマーコーティングされた改質炭素生成物が、少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた改質炭素生成物を含む、エラストマー組成物を含むタイヤ部品の衝撃強さを増加させる方法。
  74. 十分な量のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を、エラストマー組成物の製造の間に導入することを含む、エラストマー組成物の引張強さを増加させる方法であって、ここで前記ポリマーコーティングされた改質炭素生成物が、少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた改質炭素生成物を含む、エラストマー組成物の引張強さを増加させる方法。
  75. 十分な量のポリマーコーティングされた改質炭素生成物を、エラストマー組成物の製造の間に導入することを含む、エラストマー組成物を含むタイヤ部品の引張強さを増加させる方法であって、ここで前記ポリマーコーティングされた改質炭素生成物が、少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた改質炭素生成物を含む、エラストマー組成物を含むタイヤ部品の引張強さを増加させる方法。
  76. 炭素生成物に結合した1又は複数の有機基を更に含む、請求項2に記載のエラストマー組成物。
  77. (a)少なくとも1種のエラストマー、及び(b)少なくとも1種のポリマーによって少なくとも部分的にコーティングされた改質顔料を含むポリマーコーティングされた改質顔料を含有する、エラストマー組成物。
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