JP2004500332A - Hdlコレステロール値を上昇させる組成物および方法 - Google Patents
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Abstract
本発明はLXRアゴニスト、およびそのようなLXRアゴニストを用いて哺乳動物における高比重リポ蛋白質(HDL)血漿レベルを上昇させ、アテローム硬化性心疾患およびその関連病態の進行を予防、停止または減速させる方法に関する。
Description
【0001】
発明分野
本発明はLXRアゴニスト、およびそのようなLXRアゴニストを用いて哺乳動物における高比重リポ蛋白質(HDL)血漿レベルを上昇させ、アテローム硬化性心疾患およびその関連病態の進行を予防、停止または減速させる方法に関する。
【0002】
発明の背景技術
高脂血症は血清脂質、例えばコレステロール、トリグリセリドおよびリン脂質の異常な増加を特徴とする病態である。これらの脂質は血漿中溶液中自由に循環はせず、蛋白質に結合して、リポ蛋白質と呼ばれる高分子複合体として輸送される。リポ蛋白質はその比重の程度を基にして5種類に分類されている:カイロミクロン;超低密度リポ蛋白質(VLDL);低密度リポ蛋白質(LDL);中間密度リポ蛋白質(IDL);および高密度リポ蛋白質(HDL)である。そのような分類は一般的に本分野の技術者にはよく知られており、例えば、メルク・マニュアル、16版、1992(例えば1039−1040頁参照)およびMetabolic Basis of Inherited Disease、6版、1989、1129−1138頁の「血漿リポ蛋白質の構造と代謝」に記載されている。
【0003】
高脂血症の一つの形に、上昇したLDLコレステロール値の存在を特徴とする高コレステロール血症がある。高コレステロール血症の初期治療ではしばしば、脂肪とコレステロールが低い食事に変更し、併せて適当な身体運動と併用し、ついでLDL低下目標が食事療法と運動療法のみでは達成されない場合は薬物療法が続く。LDLは一般的に「悪玉」コレステロールとして知られ、一方HDLは「善玉」コレステロールである。LDLコレステロールの上昇した値を低下することは望ましいが、HDLコレステロール値を上昇させることもまた望ましい。一般的に、HDLの上昇した値は冠状動脈性心臓病(CHD)のリスク低下を伴う。例えば、ゴードンら、Am. I. Med., 62: 707−714 (1997);スタンファーら、N. England J. Med., 325: 373−381 (1991);およびカーネルら、Ann. Internal Med., 90: 85−91 (1979)参照。HDL上昇剤の例としてはニコチン酸があるが、HDL上昇達成に必要な量は顔面紅潮などの望ましくない副作用を伴う。
【0004】
近年、高脂血症およびコレステロール代謝を伴う他の疾病の治療用治療剤の開発は、関与する生化学的経路(pathway)のさらに完全な解明の達成に注目されている。ごく最近では、肝臓X受容体(LXR、Liver X Receptor)がコレステロール恒常性における重要成分であると同定された。LXRは当初そのリガンドと機能が未知の核受容体スーパーファミリーのオーファンメンバーとして同定された。2つのLXRプロテイン(つまり、αおよびβ)が哺乳動物に存在することが知られている。LXRαの発現は限定され、その最高レベルが肝臓で観察され、それより低いレベルが腎臓、腸、脾臓、および副腎で見られる(ウィリーら、Genes Dev. 9(9): 1033−45 (1995)参照)。LXRβはかなり遍在していて、調べた殆どすべての組織で発見されている。LXRの最近の研究では、LXRは、22(R)−ヒドロキシコレステロール、24(S)−ヒドロキシコレステロール、および24,25(S)−エポキシコレステロールを含む、ある種の天然のコレステロール酸化誘導体により活性化されることが示されている(レーマンら、J. Biol. Chem. 272 (6):3137−3140 (1997)参照)。LXRおよびそのオキシステロールリガンドの発現パターンから、これらの受容体がコレステロール代謝において役割を担っていることが初めて示唆された(ヤノウスキ(Janowski)ら、Nature 383: 728−731 (1996)参照)。
【0005】
哺乳動物におけるコレステロール代謝はステロイドホルモンあるいは胆汁酸への変換を介して生じる。コレステロール恒常性におけるLXRの役割は、コレステロール7α−ヒドキシラーゼ(CYP7A)が律速的に作用する、胆汁酸合成経路に関係すると最初に仮定された。この仮定を支持するものとして、オキシステロール−およびレチノイド−依存的にRXR/LXRヘテロ二量体により活性化され得る、機能的LXR応答エレメントをCYP7Aプロモーターが含有することが、追加の実験により発見されたことがある。コレステロール代謝における転写コントロールポイントとしてのLXR機能の確認は、ノックアウトマウス、特にオキシステロール受容体LXRαの欠如したものを用いて行われた(ピートら、Cell 93: 693−704 (1998)参照)。
【0006】
受容体LXRαが欠損したマウス(例えば、ノックアウトあるいは(−/−)マウス)は食餌性コレステロールの増加に正常に応答するその能力を失っており、新たに合成されるものより過剰のコレステロールに耐えることが出来ない。LXRα(−/−)マウスは、追加のコレステロールを含む食餌を与えられた場合は、CYP7αをコードする遺伝子の転写を誘発することが出来ない。これは、LXRα(−/−)マウスの肝臓においてコレステロールの大量蓄積を起こし、肝機能障害を引起こす。これらの結果により、コレステロール恒常性の必須の調節成分としてのLXRαの役割が立証された。LXRαはまた脂肪酸合成に関与していると信じられている。よって、LXRの調節、特にLXRαの調節により、肥満や糖尿病を含む多様な脂質障害の治療法を提供できる。
【0007】
前述を鑑みて、LXRの調節に使用できる、言い換えると、コレステロール代謝と脂肪酸生合成の微妙なバランスの調節に使用できる化合物および方法が依然としてこの分野で求められている。特に、HDL値の増加に使用でき、よって、胆汁酸およびコレステロール代謝に関連する疾病、例えば、コレステロール性胆石、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、脂質蓄積疾病、肥満、糖尿病等の治療に使用できる化合物および方法が依然としてこの分野で求められている。非常に驚くべきことには、本発明は、そのような化合物および方法を提示することにより、これらおよび他の要求を満たすものである。
【0008】
発明の概要
LXRのアゴニスト、特にLXRαのアゴニストであるリガンドは高比重リポ蛋白質(HDL)値の上昇に有用である。従って、一つの態様では、本発明はそのような治療を要する哺乳動物におけるHDL血漿値を上昇、つまり増加させる方法を提供し、該方法は例えばヒトなどの哺乳動物にLXRアゴニスト、特にLXRαアゴニストのHDL上昇量を投与することを特徴とする。
【0009】
LXRを活性化し、よってLXRのアゴニストであるいかなる化合物も、本発明の方法に使用できる。特に、インビトロまたはインビボいずれの検査工程を用いてLXRアゴニストであることが判明したいずれの化合物、例えばここに開示の化合物は本発明の方法に使用することができる。好ましい態様において、LXRアゴニストは下記一般式で示される。
【化11】
式I中、Arはアリール基;
R1は−OH、−O−(C1−C7)アルキル、−OC(O)−(C1−C7)アルキル、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2または−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキル;
R2は(C1−C7)アルキル、アリールおよびアリール(C1−C7)アルキル;
X1、X2、X3、X4、X5およびX6はそれぞれ独立して−H、(C1−C5)アルキル、−F、または−Cl、但し、X1からX6中2基を超えて−Hあるいは(C1−C5)アルキルであることはない;および
Yは−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)mN(R13)−、−N(R12)C(O)−、−N(R12)C(O)N(R13)−、−N(R12)C(S)−、または−N(R12)C(O)O−(式中、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C7)アルキル、アリール、およびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる基で、Yが−N(R12)S(O)m−または−N(R12)S(O)mN(R13)−の場合は、R12はArへの共有結合を介してArに縮合した5員、6員または7員環を形成してもよい);
上記Y基中、インデックス「m」は1〜2の整数である。
【0010】
他の態様では、本発明はそのような治療を要する哺乳動物のアテローム硬化性心疾患およびその関連疾患の進行を予防、停止または減速する方法を提供し、該方法はLXRアゴニストのHDL上昇量を該哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0011】
他の態様では、本発明はそのような治療を要する哺乳動物のアテローム硬化性心疾患およびその関連疾患の進行を予防、停止または減速する方法を提供し、該方法はLXRアゴニストのHDL上昇量と、胆汁酸金属イオン封鎖剤、ニコチン酸、フィブリン酸誘導体、HMG−CoA還元酵素阻害剤等の追加の活性薬剤の1つまたはそれ以上と組み合わせて該哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0012】
本発明の他の特徴、目的および有利性およびその好ましい態様は以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【0013】
発明の詳細な説明および好ましい態様
定義
単独、あるいは他の置換基の一部としての用語「アルキル」は、特に言及しない限り、指定の数(つまり、C1−C10は1〜10個の炭素原子を意味する)の炭素原子を持つ、直鎖または分岐鎖の、あるいは環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合されたもので、完全に飽和、モノ不飽和あるいはポリ不飽和の、二価および多価の基を意味する。飽和炭化水素基の例としては、これに限定されるのもではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の同族体および異性体などが挙げられる。不飽和アルキル基としては、1個あるいはそれ以上の二重結合または三重結合を持つものである。不飽和アルキル基の例としては、これらに限定されるのもではないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、およびその高級同族体および異性体が挙げられる。特に言及しない限り、用語「アルキル」は、以下に「シクロアルキル」および「アルキレン」としてさらに詳細に定義するアルキルの誘導体もまた意味する。単独、あるいは他の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、例えば−CH2CH2CH2CH2−などのアルカンから誘導される二価の基を意味する。一般的には、アルキル基は1〜24個の炭素原子を持ち、10個あるいはそれ以下の炭素原子のものが本発明では望ましい。「低級アルキル」あるいは「低級アルキレン」は比較的短い鎖のアルキルあるいはアルキレン基を意味し、一般的には8あるいはそれ以下の炭素原子のものを意味し、好ましくは4あるいはそれ以下の炭素原子を持つものである。
【0014】
単独で、あるいは他の用語と組み合わされて用いられる用語「アルコキシ」とは、特に言及しない限り、酸素原子を介して分子の残りと結合した上記のアルキル基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、およびその高級同族体および異性体を意味する。
【0015】
単独、あるいは他の用語と組み合わされて用いられる用語「ヘテロアルキル」は、特に言及しない限り、規定の数の炭素原子およびO、N、Si、Sから選ばれる1〜3個のヘテロ原子で構成される、安定な直鎖または分岐鎖、あるいは環状の炭化水素基、またはその組合されたものを意味し、窒素原子およびイオウ原子は酸化されていてもよく、窒素へテロ原子は4級化されていてもよい。へテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基のどの位置にあってもよい。ヘテロ原子Siは、ヘテロアルキル基のいずれの位置にあってもよく、分子の残りにアルキル基が結合する位置であってもよい。例としては、これらに限定されないが、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、および−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。2個までのヘテロ原子は、例えば、−CH2−NH−OCH3や−CH2−O−Si(CH3)3のように連続していてもよい。用語「ヘテロアルキル」には「ヘテロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキル」として以下に詳細に述べる基も含まれる。単独、あるいは他の置換基の一部としての用語「ヘテロアルキレン」は、例えば−CH2−CH2−S−CH2CH2−、−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−のような、ヘテロアルキルから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子がその鎖の一端あるいは両端に位置することが出来る。さらには、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基としては、ここに述べる他のすべての連結基と同様に、その連結基の特定の配向性を意味するものではない。
【0016】
単独で、あるいは他の用語と組み合わされて用いられる用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」とは、特に言及しない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状形を意味する。用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」はまたそれらの2環、3環および多環形も意味するものである。さらに、ヘテロシクロアルキルでは、ヘテロ原子はヘテロ環基が分子の残りと結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル等が挙げられ、ヘテロシクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等が挙げられる。
【0017】
単独で、あるいは他の置換基の一部として用いられる用語「ハロ」あるいは「ハロゲン」とは、特に言及しない限り、フッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素原子を意味する。さらに、一般的には「ハロアルキル」はモノハロアルキルおよびポリハロアルキルを意味するものであるので、「フルオロアルキル」などの用語はモノフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキルを包含するものである。
【0018】
単独で、あるいは他の用語と組み合わされて(例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)用いられる用語「アリール」とは、特に言及しない限り、単環あるいは多環(3環まで)の、共縮合した、あるいは共有的に結合した芳香族置換基を意味する。環はそれぞれN、OおよびSから選ばれる0〜4個のヘテロ原子を含有し、その窒素原子およびイオウ原子は酸化されていてもよく、窒素原子は4級化されていてもよい。ヘテロ原子を含有するアリール基は「ヘテロアリール」と称され、炭素原子あるいはヘテロ原子を介して分子の残りと結合することができる。アリール基の例としては、これらに限定されないが、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記の各アリール環系の置換基は以下に述べる許容される置換基から選ばれる。
【0019】
用語「アリールアルキル」および「アリールヘテロアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合した基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)やヘテロアルキル基に結合した基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、1−ナフチルオキシ−3−プロピル等)を含むものである。アリールアルキルおよびアリールヘテロアルキル基は一般的には、共有結合、あるいは環を、例えば、シクロアルキルかヘテロシクロアルキル基に縮合することにより、該アルキルあるいはヘテロアルキル部に結合した1〜3個のアリール部を含む。アリールヘテロアルキル基では、該基が分子の残りと結合している位置をヘテロ原子が占めていてもよい。例えば、用語「アリールヘテロアルキル」はベンジルオキシ、2−フェニルエトキシ、フェネチルアミン等を包含するものである。
【0020】
上記の各用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」および「アリール」)はその基の置換および非置換形両者を含むものである。各基の好ましい置換基は以下に挙げるものである。
【0021】
アルキルおよびヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしてしばしば称される基も含む)の置換基としては、以下の−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NR”C(O)2R’、−NHC(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2から選ばれる多様な基であり、その数は0から(2N+1)(Nはその基の炭素原子の総数である)個の間の数である。好ましくは、置換アルキル基は1〜6個の独立して選択した置換基を持ち、さらに好ましくは1〜4個の独立して選択した置換基を持ち、もっとも好ましくは1〜3個の独立して選択した置換基を持つ。上記に挙げた置換基のなかで、R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して選択され、それらに限定されないが、以下の官能基である:水素原子、非置換(C1−C8)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換のアルキル、アルコキシあるいはチオアルコキシ基、あるいはアリール−(C1−C4)アルキル基である。R’およびR”が同じ窒素原子に結合している場合は、それらは該窒素原子と結合して5員、6員または7員環を形成していてもよい。例えば、−NR’R”は1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むものである。
【0022】
同様に、アリール基の置換基は多様で、これらに限定されるものではないが、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R”、−SR’、−R’、−CN、−NO2、−CO2R’、−CONR’R”、−SiR’R”R’”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)2R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NH−C(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−N3、−CH(Ph)2、パーフルオロ(C1−C4)アルコキシ、およびパーフルオロ(C1−C4)アルキル(R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して、水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、および(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基である)から選ばれる基であり、その数は0からその芳香環系における開放原子価の総数の間の数である。好ましくは、置換アリール基は1〜4個のそれぞれ独立して選択した置換基を有し、さらに好ましくは、1〜3個のそれぞれ独立して選択した置換基を有し、最も好ましくは、1〜2個のそれぞれ独立して選択した置換基を有する。
【0023】
アリール環の隣接する原子上の置換基の2個は、式−T−C(O)−(CH2)q−U−(TおよびUはそれぞれ独立して、−NH−、−O−、−CH2−、あるいは単結合であり、qは0〜2の整数である)で示される置換基と置き換わってもよい。あるいは、アリール環の隣接する原子上の置換基の2個は、式−A−(CH2)r−B−(AおよびBはそれぞれ独立して、−CH2−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O2)−、−S(O2)NR’、あるいは単結合であり、rは1〜3の整数である)で示される置換基と置き換わってもよい。かくして形成される新しい環の単結合中のひとつは二重結合で置き換わってもよい。あるいは、アリール環の隣接する原子上の置換基の2個は、式−(CH2)s−X−(CH2)t−(sおよびtはそれぞれ独立して0〜3の整数、およびXは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−S(O)2NR’−である)で示される置換基と置き換わってもよい。−NR’−と−S(O)2NR’−の置換基R’は水素原子または非置換(C1−C6)アルキルである。
【0024】
ここで用いる用語「ヘテロ原子」は酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、およびシリコン(Si)を意味するものである。
【0025】
用語「薬理学的に許容される塩」とは、比較的非毒性の酸あるいは塩基(これはここで開示のLXRアゴニストに見られる特殊な置換基に依存する)と活性化合物との塩を意味する。本発明化合物が相対的に酸性の官能基を持っている場合は、該化合物の中性体を十分量の所望の塩基とを、無溶媒下あるいは適当な不活性溶媒中で接触させることにより、塩基付加塩が得られる。薬理学的に許容される塩基付加塩の例としては、これらに限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、あるいはマグネシウム塩、あるいは他の同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を持っている場合は、該化合物の中性体を十分量の所望の酸とを、無溶媒下あるい適当な不活性溶媒中で接触させることにより、酸付加塩が得られる。薬理学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸モノ水素酸、リン酸、リン酸モノ水素酸、リン酸ジ水素酸、硫酸、硫酸モノ水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等の無機酸から誘導される塩や、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の相対的非毒性の有機酸から誘導される塩が含まれる。例えば、アルギニン塩などのアミノ酸との塩、例えば、グルクロン酸あるいはガラクツロン酸などの有機酸との塩等も含まれる(例えば、バージェら、“薬理学的塩”、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス、66巻、1−19頁(1977)参照)。塩基性および酸性官能基の両方持つ本発明のある特殊な化合物は、塩基付加塩あるいは酸付加塩の両方に変換できる。
【0026】
化合物の中性体は、塩を塩基あるいは酸と接触させて、常法により親化合物を単離することにより再生成できる。化合物の親形態は種々の塩形態とはある物理学的性状、例えば極性溶媒への溶解性等が異なるが、それ以外では、塩は本発明の目的にとっては化合物の親形態と同等である。
【0027】
塩形態の他に、本発明はプロドラッグ形態の化合物も提供する。ここで述べる本化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受け式Iの化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは生体外環境下で化学的あるいは生化学的方法により本発明化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは適当な酵素と共に経皮用パッチ式リザーバ(transdermal patch reservoir)に入れておくと、本発明の化合物へとゆっくりと変換され得る。
【0028】
本発明のある種の化合物は非溶媒和形で存在し、同様に水和形を含む溶媒和形でも存在する。一般的には、溶媒和物は非溶媒和物と同等であり、本発明範囲に包含されるものである。本発明のある種の化合物は多晶体あるいはアモルファスで存在し得る。一般的には、すべての物理的形態は本発明で意図される用途においては同等であり、本発明範囲に包含されるべきものである。
【0029】
本発明のある化合物は不斉炭素原子(光学中心)あるいは二重結合を持ち、ラセミ体、ジアステレオマー体、幾何異性体および個々の異性体もすべて本発明範囲に包含されるものである。
【0030】
本発明化合物は、その化合物を構成している1つまたは複数の原子上に、不自然な割合の原子同位体を含んでいてもよい。例えば、化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)や炭素−14(14C)のような、放射性同位元素を用いて標識できる。本発明化合物のすべてのアイソトープ異性体は、放射活性にしろ非活性にしろ、本発明範囲に包含されるものである。
【0031】
一般的概要
本発明はアテローム性動脈硬化症の罹患のリスクを予防あるいは減少させる方法を提供し、該方法はLXRαアゴニストの予防有効量、あるいは特に、HDL上昇量を、単独であるいは一つまたは複数の追加の薬理学的活性薬剤と一緒に、哺乳動物、特にアテローム性動脈硬化症の罹患リスクにあるヒトに投与することを特徴とする。
【0032】
LXRαアゴニストは、臨床的に明白になった場合に、アテローム硬化性疾患の進行を治療、中止あるいは減速させる方法に用いることができ、該方法はLXRαアゴニストの治療有効量、あるいは特に、HDL上昇量を、単独であるいは一つまたは複数の追加の薬理学的活性薬剤と一緒に、哺乳動物、特にアテローム硬化性疾病をすでに罹患したヒトに投与することを特徴とする。
【0033】
アテローム性動脈硬化症は、医薬の関連分野で開業している内科医により認識・理解される血管疾患および病態を包含する。アテローム硬化性心疾患、冠状動脈性心臓病(冠動脈疾患または虚血性心疾患として知られている)、脳血管疾患および末梢血管疾患はすべてアテローム性動脈硬化症の臨床的発症であり、それゆえ、用語「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム硬化性疾患」に包含される。
【0034】
本発明はまた原発あるいは後発(再発の潜在性が存在する)アテローム硬化性疾病現象のリスクを予防あるいは減少させる方法を提供し、該方法はLXRαアゴニストの予防有効量、あるいは特に、HDL上昇量を、単独であるいは一つまたは複数の追加の薬理学的活性薬剤と一緒に、哺乳動物、特にアテローム硬化性疾病現象の発症リスクを有するヒトに投与することを特徴とする。ここで用いる用語「アテローム硬化性疾病現象」は、冠状動脈性心臓病現象、脳血管現象、および間欠性跛行を包含するものである。冠状動脈性心臓病現象はCHD死、心筋梗塞(例えば、心臓麻痺)および冠状動脈性血行再開後症候群を包含する。脳血管現象は虚血性または出血性脳卒中(脳血管発作として知られている)および一過性虚血性発作を包含する。間欠性跛行は末梢血管疾病の臨床的兆候である。過去に1つあるいは複数の致命的でないアテローム硬化性疾病現象を経験した人間はそのような現象の再発の潜在性を有する者である。
【0035】
本治療法で治療される人はアテローム硬化性疾患発症のリスクを有し、アテローム硬化性疾病現象を有する者である。標準的アテローム硬化性疾患リスクファクターは医薬関連分野で開業している平均的内科医には既知である。そのようなリスクファクターとしては、これらに限定されないが、高血圧、喫煙、糖尿病、高比重リポ蛋白質コレステロールの低値、低比重リポ蛋白質コレステロールの高い値、およびアテローム硬化性心疾患の家族性歴史がある。アテローム硬化性疾患の発症リスクを有する人間を決定する為の発刊されているガイドラインは次のものに見られる:ナショナル・コレステロール・エデュケイション・プログラム、「大人における血中コレステロール高値の検知、評価および治療」に対するエキスパートパネルの第2報告(Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults)(アダルト・トリートメント・パネルII;Adult Treatment Panel II), 国立保健研究所(National Institute of Health)、国立心臓、肺および血液研究所(National Heart Lung and Blood Institute)、NIH発行番号93−3095、1993年9月;省略バージョン:「大人における血中コレステロール高値の検知、評価および治療」に対するエキスパートパネル、ナショナル・コレステロール・エデュケイション・プログラム(NCEP)の「大人における血中コレステロール高値の検知・評価および治療」に対するエキスパートパネルの第2報告の概略(アダルト・トリートメント・パネルII;Adult Treatment Panel II))、JAMA、1993、269:3015−23。上記のリスクファクターの1つまたはそれ以上を有する者として同定された人は、アテローム硬化性疾患の発症リスクにあると見なされる人間範囲に包含される。すでにアテローム性動脈硬化症を発症している人間と同様、上記のリスクファクターの1つまたはそれ以上を有する者として同定された人間は、アテローム硬化性疾患現象を持つリスクにある者として見なされた人間範囲に包含される。
【0036】
LXRアゴニスト
上記に説明した通り、本発明は哺乳動物における高比重リポ蛋白質(HDL)血漿レベルを上昇、つまり増加させる方法を提供し、該方法はLXRアゴニストのHDL上昇量を該哺乳動物に投与することを特徴とする。つまり、LXRを活性化する、つまりLXRアゴニストである化合物は本発明方法に使用できる。特に、インビトロまたはインビボいずれの検査工程を用いてLXRアゴニストであることが判明したいずれの化合物、例えばここに開示の化合物は本発明の方法に使用することができる。
【0037】
A.典型的LXRアゴニスト
1つの態様において、本発明は本発明方法に有用なLXRアゴニストを提供し、該LXRアゴニストは以下の一般式で示される。
【化12】
式Iにおいて、「Ar」はアリール基を示す。置換あるいは非置換の両者を含む多様なアリール基が本発明のLXRアゴニストで有用である。好ましいアリール基は単環あるいは縮合2環式芳香族環である。特に好ましいアリール環基は、これらに限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピロール、フランおよびチオフェンである。さらに好ましい態様において、アリール基、つまりArはベンゼンあるいはピリジン環であり、さらに好ましい態様においては、アリール基はベンゼン環である。
【0038】
アリール基が置換芳香環(−Y−R2と、R1を保持する炭素原子以外にも置換基を有する)である場合は、置換基は通常以下の官能基から選ばれる:−OH、−NH2、低級アルキル(例えば、メチル、ブチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル等)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ブトキシ等)、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)2R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NHC(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2(式中、R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基である)。
【0039】
アリール基に結合する置換基はいかなる空間配置であってもよい。例えば、Arがベンゼン環の場合、式Iにおける2基は好ましくは1,3−配向(メタ位)あるいは1,4−配向(パラ位)でArに結合しているだろう。さらに好ましくは、式Iにおける2基は1,4−配向(パラ位)でベンゼンあるいはピリジン環に結合しているだろう。
【0040】
式Iにおいて、「R’」は、これらに限定されないが、−OH、−O−(C1−C7)アルキル、−OC(O)−(C1−C7)アルキル、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2あるいは−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルから選ばれる官能基である。好ましい態様において、R1は−OH、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2あるいは−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルである。さらに好ましい態様において、R1は−OHである。R1がジアルキルアミノ基(−N((C1−C7)アルキル)2)である態様においては、アルキル基は同一または異なっていてもよい。
【0041】
式I中の「X1、X2、X3、X4、X5およびX6」はそれぞれ独立して、これらに限定されないが、−H、(C1−C5)アルキル、−F、および−Clから選ばれる官能基である。X1からX6の2基を超えてHまたは(C1−C5)アルキルであることはない。さらに好ましい態様において、X1からX6中の2基を超えてHではなく、残りが−Fである。最も好ましい態様においては、X1からX6は各々−Fである。
【0042】
式Iにおいて、「Y」は連結基であり、−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)mN(R13)−、−N(R12)C(O)−、−N(R12)C(O)N(R13)−、−N(R12)C(S)−または−N(R12)C(O)O−(式中、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C7)アルキル、アリール、およびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれ、Yが−N(R12)S(O)m−または−N(R12)S(O)mN(R13)−の場合は、R12はArへの共有結合を介してArに縮合した5員、6員、または7員環を形成してもよい)から選ばれる基である。連結基、つまりY基中、インデックス「m」は1〜2の整数である。好ましい態様において、Yは−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)N(R13)−または−N(R12)C(O)O−である。最も好ましい態様においては、Yは−N(R12)S(O)m−である。
【0043】
上記のように、R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子、(C1−C7)アルキル、アリールおよびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる基であり、後者2基の場合は、置換されていてもよい。好ましい態様の1群において、R12は水素原子または(C1−C4)アルキル、好ましくはフルオロ(C1−C4)アルキルである。特に好ましいR12基は2,2,2−トリフルオロエチルである。好ましい態様の他の群において、R12はArに結合して縮合環系、例えば、インドリン、テトラヒドロキノリンあるいはテトラヒドロイソキノリンを形成する。
【0044】
式Iにおいて、Yに結合したR2は、これらに限定しないが、(C1−C7)アルキル、アリールまたはアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる官能基である。そのようなR2基は置換されていてもよい。好ましい態様においては、R2はアリール基である。さらに好ましくは、R2はこれらに限定されないが、フェニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリルおよびピリジルを含むアリール基である。さらに好ましい態様において、R2はフェニルあるいは2−チエニル、3−チエニルを含むチエニルである。好ましい置換されたR2基としては、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、3−シアノフェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−3−チエニルおよび2,5−ジクロロ−3−チエニルが挙げられる。
【0045】
式Iの範囲内において、上記列挙した官能基の或る種の組合せが好ましい。例えば、好ましい態様の1群においては、本発明のLXRアゴニストは下記式で示される化合物から選ばれる。
【0046】
【化13】
上記の各式中、インデックス「n」は0〜4の整数;各「R11」はそれぞれ独立して選択され、これらに限定しないが、−OH、−NH2、低級アルキル、低級アルコキシ、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NR”C(O)2R’、−NH−C(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2から選ばれる官能基であり、各R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基である。上記式中の残りの基は、式Iで示したLXRアゴニストに関した上記記載と同じ意味を有する。
【0047】
他の好ましい態様において、本発明のLXRアゴニストは下記式で示される化合物から選ばれる。
【化14】
好ましい態様の本群において、種々の基(例えば、R1、X1、X6、R2、R11、R12およびR13)は式IのLXRアゴニストに関した上記記載と同じ意味を有する。好ましくは、R1は−OHあるいは−NH2、およびX1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子である。さらに好ましいLXRアゴニストは、R2が置換アリール基で、さらに好ましくは置換フェニルあるいは置換チエニル基であるものである。
【0048】
さらに好ましい他の態様において、本発明のLXRアゴニストは下記式で示される化合物から選ばれる。
【化15】
【0049】
他の好ましい態様において、本発明のLXRアゴニストは下記群の式で示される。
【化16】
【0050】
好ましい化合物のこの群においては、上記の官能基のある種の組合せが特に好ましい。そのような態様の第1群においては、R1は−OHまた−NH2;X1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子;R12はフルオロ(C1−C4)アルキル;およびR2はアリール(例えばフェニル)である。好ましい第二の態様において、R1は−OHまた−NH2;X1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子;R12は水素原子または(C1−C4)アルキル;およびR2は置換または非置換チエニルである。好ましい第三の態様においては、R1は−OHまた−NH2;X1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子;R12は(C1−C4)アルキル;およびR2は−CN、−CF3、−O−(C1−C4)アルキル、−C(O)−(C1−C4)アルキル、−C(O)−O(C1−C4)アルキル、−C(O)−NH(C1−C4)アルキルおよび−C(O)N((C1−C4)アルキル)2から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたフェニルである。さらに好ましくは、R1は−OH;およびR2は−CN、−CF3および−O−(C1−C4)アルキルから選ばれる少なくとも1つの基で置換されたフェニル基である。
【0051】
さらに好ましいLXRアゴニストは、LXRの、特に好ましくはLXRαのリガンド結合ドメインに、少なくとも10μMあるいはそれ以下の親和性で、さらに好ましくは1μMあるいはそれ以下の親和性で結合した化合物である。
【0052】
他の態様において、本発明は上記の式Iの化合物(列記した各置換基は上記の意味を有する)(但し「Y−R2」が−N(R12)S(O)m−R2または−N(R12)C(O)N(R13)−R12で、Arに結合している四級炭素原子にパラ位置で結合している場合、および「R2」が置換または非置換フェニル、ベンジル、またはベンゾイルである場合は、i)R12またはR13の少なくともひとつは水素原子または非置換アルキル以外の基で、またはii)R2がアミノ、アセタミド、ジ(C1−C7)アルキルアミノ、(C1−C7)アルキルアミノ、ハロゲン、水酸基、ニトロ、あるいは(C1−C7)アルキル以外の基で置換されており、またはiii)R2のベンゼン環部はY基以外に少なくとも3個の独立して選ばれる基で置換されている)を提供する。
【0053】
本分野の技術者には容易に明白であるが、式Iの化合物のいくつかは立体異性体として存在することがあり、本発明はこれらの化合物のすべての活性立体異性体を包含する。光学活性異性体の場合は、そのような化合物は対応する光学活性前駆体から上記の方法で、あるいはラセミ体混合物を分割して得ることができる。分割はクロマトグラフィー、誘導した不斉塩の反復再結晶、あるいは誘導化などの様々な技術を用いて行うことができ、これらの技術はこの分野の通常の技術者にはよく知られている。
【0054】
さらに、本発明のLXRアゴニストは様々な方法で標識できる。例えば、化合物は3H(トリチウム)と14C(炭素−14)などの放射活性アイソトープを含有できる。同様に、本化合物は、それによりプロドラッグとして、または担体、標識、アジュバンド、共活性体、安定剤等として機能する、広範囲の他の化合物と共有結合または非共有結合で、直接的にあるいは連結分子を介して有利に結合することができる。そのような標識された、および結合した化合物は本発明範囲内に包含される。
【0055】
B.LXRアゴニストの合成
上記の式IのLXRアゴニストは入手容易な出発物質あるいは既知の中間体を用いて調製することができる。反応工程式Iは本発明のLXRアゴニストの製造の為の多様な合成経路を示す。この分野の技術者であれば、他の方法も有用であることは理解するであろう。
【0056】
反応工程式1
【化17】
【0057】
反応工程式Iに示すように、アニリン(i、置換アニリンおよび他のアリールアミンの代表として)はアルキル化、アシル化あるいはアリール化(R基の一般的付加)してiiとなり、あるいは芳香環は例えばヘキサフルオロアセトンで誘導されてiiiとなる。iiiを適当なアルキル化剤、アシル化剤あるいはアリール化剤で処理してivを得、これを例えば適当はスルホニルハライドでスルホニル化してviを得ることが出来る。別法として、アニリン誘導体iiiをスルホニル化してvを得、これをアルキル化あるいはアシル化して式viの化合物を得ることもできる。
【0058】
他の本発明の他のLXRアゴニストは置換されたアニリンiv(あるいは別法としてiii)をアミドvii、カルバメートviii、およびウレアixの生成に適した試薬で処理して生成できる。
【0059】
多様な試薬が上記反応工程式に有用で、例えば、マーチ、Advanced Organic Chemistry 4th Ed., John Wiley & Sons, New York, NY (1992)に開示されている。LXRアゴニストを合成するための好ましい試薬および条件は、出願中の米国特許出願第60/115,292(1999年1月8日出願)および第60/124,525(1999年3月15日出願)に開示されており、それらの教示するところは本明細書に参照として組み込まれる。
【0060】
C.化合物のスクリーニング
上記で説明した通り、LXRを活性化し、よってLXRのアゴニストであるいかなる化合物も本発明の方法に使用できる。特に、科学的に信頼できるインビトロまたはインビボのいずれかの検査工程を用いて、LXRアゴニスト、特にLXRαアゴニストであることが判明したいずれの化合物も本発明の方法に使用することができる。
【0061】
図1はコレステロール低下剤として有用なLXRαアゴニストの同定およびスクリーニングに用いることが出来る典型的戦略の説明図を例示する。初めに、ハイスループットスクリーン(high throughput screen:HTS)をLXRαに結合する化合物を同定するために用いる。次に、結合を示す化合物について、LXRα介在転写活性化(transactivation)の強化能、およびLXRαへの結合の特異性を試験する。次に、有利な活性を示す化合物についてその細胞毒を試験する。さらに、予想される臨床投与量範囲で非毒性である化合物について、その薬物動態(PK)および構造−活性関係(SAR)活性を試験する。最後に、最も有利な性質を有するリード化合物について、高コレステロール血症モデルシステムでの実験を含む、動物実験で試験する。
【0062】
特に、化合物は、LXR受容体機能を活性化するその能力を、生化学アッセイ(出願中の米国特許出願番号第08/975,614(1997年11月21日出願)および09/163,713(1998年9月30日出願)参照)、あるいは、レーマンら、J. Biol. Chem., 272 (6), 3137−3140 (1997)に記載のような細胞ベースアッセイを用いてインビトロで評価できる。別法として、化合物および組成物は、ウエスタン・ブロット法を用いて、LXRで調節される遺伝子発現を増加あるいは減少するその能力で評価できる。化合物のコレステロール低下能を評価するために確立された動物モデルはこの分野で既知である。例えば、スパディーら、J. Clin. Invest.、81巻、300頁(1988);エバンスら、J. Lipid. Res.、35巻、1634頁(1994)、;リンら、J. Med. Chem.、38巻、277頁(1995)に記載の方法に類似のプロトコールを用いて、本明細書で開示の化合物は高コレステロール食餌で飼育されたハムスターのコレステロール値を低くすることが出来る。さらに、LXRα動物モデル(例えば、LXRα(+/−)および(−/−)マウス)は本発明化合物および組成物の評価に用いることが出来る(例えば、ピートら、Cell, 93: 693−704 (1998)参照)。
【0063】
上記のアッセイを用いて、多くの化合物のLXR、特にLXRαを調節、つまり活性化するその能力がスクリーニングできる。基本的には、水溶液に溶解できる化合物を用いることが多いが、いかなる化学的化合物もLXRの潜在的調節剤としてスクリーニングできる。好ましい態様において、アッセイは、検査工程を自動化し、いかなる通常の供給源からの化合物を検査に提供し(これらは通常は同時に並行して実行されている(例えば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイターフォーマットにおける))ことのより、大きな化学ライブラリーをスクリーニングするよう設計されている。多くの化学化合物の市販供給者、例えばシグマ・ケミカル社(セントルイス、ミズーリ州)、アルドリッチ・ケミカル社(セントルイス、ミズーリ州)、シグマ−アルドリッチ(セントルイス、ミズーリ州)。フルカ・ケミカ−バイオケミカ・アナライティカ(ブックス、スイス)等が存在することは、本分野の技術者には認識されるであろう。
【0064】
好ましい1態様において、ハイスループットスクリーニング法は、多数の潜在的治療化合物(つまり、LXRアゴニスト)を含有するコンビナトリアルライブラリーを提供することを包含する。そのような「コンビナトリアル・ケミカル・ライブラリー」はここで述べる1個あるいは複数のアッセイでスクリーニングして、所望の特性活性を発揮する、つまりLXRを活性化するライブラリー構成員(特に化学的スペシーズあるいはサブクラス)を同定する。こうして同定された化合物は通常の「リード化合物」の役目を果たし、あるいはそれ自身が潜在的あるいは実際の治療剤として使用され得る。
【0065】
コンビナトリアルケミカルライブラリーは、化学合成あるいは生物学的合成により、例えば試薬などの化学的「基礎的要素(building block)」の多くを集めて、生じた多様化した化学化合物の収集(コレクション)である。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの一次(linear)コンビナトリアルケミカルライブラリーは、化学的基礎的要素(アミノ酸)の1セットを、得られる化合物長さ(つまり、ポリペプチド化合物のアミノ酸数)をあらゆる可能性のある方法で集めることのより形成される。無数の化学化合物が化学的基礎的要素のこのようなコンビナトリアル混合により合成できる。
【0066】
コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製およびスクリーニングは本分野の技術者には良く知られている。そのようなコンビナトリアケミカルライブラリーとしては、これらに限定されないが、以下のものがある。ペプチドライブラリー(米国特許第5,010,175、フルカ、Int. J. Pept. Prot. Res., 37: 487−493 (1991) およびほートンら、Nature, 354: 84−88 (1991)参照)がある。化学ダイバシティライブラリーを合成する他の化学も用いることが出来る。そのような化学としては、これらに限定されないが、ペプトイド(PCT公開第WO91/19735);コードされたペプチド(PCT公開第WO93/20242);ランダムバイオオリゴマー(PCT公開第WO92/00091);ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514);ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(DIVERSOMER)(ホブスら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 90: 6909−6913 (1993));ビニル性(vinylogous)ポリペプチド(ハギハラら、J Amer. Chem. Soc. 114: 6568 (1992));β−D−グルコーススカホルディング(Scaffolding)とのノンペプチド性ペプチド模倣(nonpeptidal peptidomimetics)(ハーシュマンら、J. Amer. Chem. Soc., 114: 9217−9218 (1992)); 小化合物ライブラリーの類縁有機合成(チェンら、J Amer. Chem. Soc., 116: 2661 (1994));オリゴカルバメート(チョら、Science, 261: 1303 (1993));および/またはホスホン酸ペプチジル(キャンベルら、J. Org. Chem. 59: 658 (1994));核酸ライブラリー(オースベル、ベーガーおよびサムブロック同上参照);ペプチド核酸ライブラリー(米国特許第5,539,083参照);抗体ライブラリー(ヴァーンら、Nature Biotechnology, 14 (3): 309−314 (1996)およびPCT/US96/10287参照); 炭水化物ライブラリー(リャングら、Science, 274: 1520−1522 (1996)および米国特許第5593853参照);小有機分子ライブラリー(ベンゾジアゼピン類、バームC&E、ニュース,1月、18, 33頁 (1993);イソプレノイド (米国特許第5,569,588); チアゾリジノン類およびメタチアザノン類(米国特許第5,549,974); ピロリジン類(米国特許第5,525,735および5,519,134);モルホリノ化合物(米国特許第5,506,337);ベンゾジアゼピン類(米国特許第5,288,514)等。
【0067】
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は市販品から入手できる(357MPS、390MPS、アドバンスド・ケム・テック、ルイスビル、ケンタッキー州、シンフォニー、レイニン、ウーバーン、マサチュッセッツ州、433A、アプライド・バイオシステムス、フォスター・シティー、カリフォルニア州、9050プラス、ミリポア、ベッドフォード、マサチュッセッツ州)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリーがそれ自体市販されている(コムゲニックス、プリンセトン、ニュージャージー州、アシネックス、モスクワ、ロシア、トリポス・インク、セントルイス、ミズーリ州、ケムスター・リミテッド、モスクワ、ロシア、3Dファーマシューティカルズ、エクストン、ペンシルベニア州、マルテック・バイオサイエンシス、コロンビア、メリーランド州)。
【0068】
多くのよく知られたロボットシステムが液相ケミストリー用に開発されている。これらのシステムは、武田薬品工業株式会社(大阪、日本)で開発された自動合成装置などのような、自動化ワークステーションと、化学者により行われる手動合成操作を模倣したロボットアームを用いる多くのロボットシステム(ザイメートII、ザイマーク・コーポレーション、ホプキントン、マサチュセッツ;オルカ、ヒューレットパッカード、パロ・アルト、カリフォルニア)を包含する。上記の装置はいずれも本発明の使用に適している。ここで述べたように作動する様に、これらの装置への変更の本質および実施は関連分野の技術者には明白である。さらに、多くのコンビナトリアルライブラリーがそれ自体市販されている(コムゲネックス、プリンストン、ニュージャージー州;アシネックス、モスクワ、ロシア;トリポス・インク、セントルイス、ミズーリ州;ケミスター・リミティッド、モスクワ、ロシア;3Dファーマシューティカルズ、エクストン、ペンシルベニア州;マルテック・バイオサイエンシス、コロンビア、メリーランド州等)。
【0069】
ここに開示のインビトロアッセイを用いて、化合物はハイスループットフォーマットにおけるそのLXR活性化能を容易にスクリーニングできる。そのようなハイスループットアッセイにおいて、一日中に最大数千の異なる潜在的LXRアゴニストをスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルは、選択した潜在的LXR調節剤に対して異なるアッセイを行うことができ、あるいは濃度あるいはインキュベーション時間効果が観察されるなら、5〜10分毎に一つのLXR調節剤を試験することが出来る。よって、一つの標準的マイクロタイタープレートは約100(96)調節剤を試験することが出来る。1536ウェルプレートを使用するなら、一つのプレートで約100〜約1500の異なる化合物を容易に試験すること出来る。一日当り多くの異なるプレートを試験することが可能であり、例えば、約6,000〜20,000、約100,000〜1,000,000の異なる化合物のスクリーニングアッセイが本発明の統合されたシステムを用いて可能である。
【0070】
ハイスループットスクリーニングシステムは市販品から入手できる(例えば、ザイマーク・コーポレーション、ホプキントン、マサチュセッツ州;エアー・テクニカル・インダストリー、メントール、オハイオ州;ベックマン・インストルーメント・インク、フラートン、カルフォルニア州;プレシション・システムズ・インク、ナティック、マサチューセッツ州等)。これらのシステムは通常、すべての試料および試薬のピペッティング、液体分配、時限のインキュベーション、およびアッセイに適した検知器でのマイクロプレートの最終解読を含む、すべての工程が自動化されている。これらの設定(変更)可能なシステムは、高度な柔軟性およびカスタマイズ化と同様、高度な処理能力(ハイスループット)と迅速な始動を提供する。このようなシステムの製造会社は様々なハイスループットシステムの詳細なプロトコールを提供している。よって、例えば、ザイマーク・コーポレーションは遺伝子転写、リガンド結合等の調節を検知するスクリーニングシステムを説明する技術的会報を提供している。
【0071】
LXRアゴニスト組成物
本発明の化合物、つまりLXRアゴニストは治療投与のための種々の製剤へ組み込むことが出来る。特に、本発明の化合物は、適当な薬理学的に許容される担体または希釈剤と混合して医薬組成物に製剤化することができる。本発明の使用に適した製剤とは、レミントンの製薬科学(マック出版社、フィラデルフィア、ペンシルベニア州、17編(1985)、これは参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。さらに、薬物輸送の方法の簡単な参考として、ランガー、Science, 249: 1527−1533 (1990)を参照(これは参照として本明細書に組み込まれる)。
【0072】
ここで用いられる用語「組成物」はその量が限定された特異な量の特異な構成要素(例えばLXRアゴニスト)からなる生成物、およびその量が限定された特異な量の特異な構成要素の組合せから直接的または間接的に得られるいずれの生成物を包含する。
【0073】
本発明の活性LXRアゴニスト化合物は医薬組成物として、例えば、不活性希釈剤と、あるいは同化性で食用に適する担体と経口投与でき、あるいはそれらは硬あるいは軟カプセルに封印され、あるいは錠剤に製剤化され、あるいは食餌中の食物と直接に混合されて投与される。舌下投与を含む経口治療用投与では、これらの活性化合物は賦形剤と混合され、錠剤、丸剤、カプセル剤、アンプル剤、サシュー剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤等の形態で使用することが出来る。活性化合物はまた、例えば、液体点滴あるいはスプレー剤として経鼻的に投与できる。経口投与が好ましい。そのような組成物および製剤は少なくとも0.1パーセントの活性化合物、つまりLXRアゴニストを含有すべきである。これらの製剤中の活性化合物のパーセンテージは、もちろん、変更でき、通常は単位投与形重量の約2%〜約60%の間である。
【0074】
LXRアゴニストの治療有効量、予防有効量および/または高比重リポ蛋白質上昇量は本発明の組成物および方法への使用に適している。用語「治療有効量」は、臨床医、例えば研究者、獣医、医師、あるいは整骨療法師などが求める組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医薬的応答を引き出す、薬剤または医薬の量を意味するものである。
【0075】
用語「予防有効量」とは、アテローム性動脈硬化症やアテローム硬化性疾患現象の発生のリスクを予防あるいは減少させる、薬剤または医薬の量を意味するものである。
【0076】
用語「高比重リポ蛋白質上昇量」とは、対象の血漿HDL値を薬剤または医薬が投与される以前の値より上昇させる、薬剤または医薬の量を意味するものである。血漿HDL値の測定は医学分野の技術者に既知の医学的に許容される工程、例えば消費者に直接使用できる様設計されたアッセイキッドを用いて行うことが出来る。
【0077】
LXRアゴニストを用いる処方計画は、患者の型、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療する疾病の重篤度;投与方法;患者の腎臓および肝臓機能;および使用するLXRアゴニストまたはその誘導体を含む、多くのファクターによって選択される。これらのファクターの考慮は、病態の進行を予防、対抗あるいは停止させる為に要するLXRアゴニストの治療有効量と同様に、LXRアゴニストの適当なHDL上昇量を決定する目的で、通常の熟練した臨床医の権限範囲である。
【0078】
例えば、本発明の化合物は1日あたり、動物体重1kgに対し、約0.1mgから約100mgの範囲で、1日1回または1日2回〜6回、分割した投与形にして、あるいは持続性製剤にして投与できる。殆どの大きい動物に対しては、1日あたりの総投与量は約1.0mgから約1000mgの間であり、好ましくは約1mgから約50mgの間である。70kgの成人では、1日あたりの総投与量は通常は約7mgから約350mgの間である。この投与計画は至適治療応答を得るように調節できる。
【0079】
錠剤、丸剤、カプセル剤等はトラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸2カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンなどの甘味料を含有してもよい。投与単位形がカプセルの場合は、上記タイプの物質のほかに、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。
【0080】
他の種々の物質がコーティング剤として、或いは投与単位形の物理形状を変更するために存在していてもよい。例えば、錠剤はシェラック、糖あるいは両者で皮膜されていてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性成分の他に、甘味料としてショ糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素あるいはさくらんぼあるいはオレンジ風味の風味剤を含有してもよい。
【0081】
これらの活性化合物、つまりLXRアゴニストは非経口的にも投与できる。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と水中で適当に混合して調製できる。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの油中混合物から調製出来る。貯蔵および使用の通常の条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する
【0082】
注射投与に適した医薬製剤は、無菌の注射できる溶液または分散液を即席に調製するための、無菌水性溶液あるいは分散液と無菌粉末を含有する。すべてのケースで、製剤は無菌でなくてはならず、容易にシリンジで吸い上げられる程度までは流動性でなくてはならない。製造および保存条件下では安定でなくてはならず、細菌やかびなどの微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、これらの適当な混合物および植物油を含有する溶媒あるいは分散媒質である。
【0083】
上記の方法において、LXRアゴニストは単独であるいは他の1つあるいは複数の追加の活性薬剤と共に投与することができる。組合せ治療(combination therapy)は、LXRアゴニストと1つあるいはそれ以上の活性薬剤を含有する単一の医薬製剤を投与すること、およびLXRアゴニストと各活性薬剤をそれぞれ別々の医薬製剤で投与することを意味する。例えば、LXRアゴニストとHMG−CoA還元酵素阻害剤は単一の経口投与用組成物、例えば錠剤やカプセル剤で一緒に患者に投与することができるが、あるいは各活性薬剤を別々の経口投与製剤で投与することも出来る。別々の投与製剤を使用する場合は、LXRアゴニストと1つあるいは複数の追加の活性薬剤は基本的には同時に、つまり、並行して投与でき、あるいは別々の時差的な時間で、つまり順次に投与することもできる。組合せ治療はこれらすべての投与計画を包含するものと理解される。
【0084】
例えば、LXRアゴニストは以下の活性薬剤の1つあるいは複数と組合せて投与できる。高脂血症低下剤;血漿HDL上昇剤;コレステロール生合成阻害剤、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレン・エポキシダーゼ阻害剤、あるいはスクアレン・シンセターゼ阻害剤(スクアレン・シンターゼ阻害剤としても知られている)などの高コレステロール血症低下剤;メリナミドなどのアシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩およびナイアシンアミド;βシトステロールなどのコレステロール吸収阻害剤:コレスチラミンやコレスチポールあるいは架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体などの胆汁酸金属イオン封鎖剤アニオン交換樹脂;LDL(低密度リポ蛋白質)受容体誘導物質;クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブリゾールなどのフィブラート;ビタミンB6(ピリドキシンとしても公知)および塩酸塩などのその薬理学的に許容される塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても公知);ビタミンC、Eおよびβ−カロチンなどの抗酸化ビタミン;βブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;およびフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(つまり、グリコプロテインIIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト)およびアスピリンなどの血小板凝集阻害薬。上記のとおり、LXRアゴニストは1つあるいはそれ以上の追加の活性薬剤と組合せて投与でき、例えば、LXRアゴニストとHMG−CoA還元酵素阻害剤およびアスピリンと組合せて、あるいはLXRアゴニストとHMG−CoA還元酵素阻害剤およびβブロッカーと組合せて投与できる。
【0085】
LXRアゴニストは好ましくはコレステロール生合成阻害剤、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤と投与する。用語HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素阻害活性を有する化合物の薬理的に許容される塩、エステル、遊離酸およびラクトン型のすべてを包含し、よって、そのような塩、エステル、遊離酸およびラクトン形の使用もまた本発明範囲に包含される。HMG−CoA還元酵素の阻害活性を有する化合物は、本分野でよく知られたアッセイを用いて容易に同定することができる。例えば、適したアッセイは米国特許第4、231、938とWO84/02131(これらは参照して本明細書に組み込まれる)に記載、開示されている。適したHMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、これらに限定されないが、以下のものがある。ロバスタチン(lovastatin、MEVACOR(登録商標)、米国特許第4,231,938参照) ; シムバスタチン(simvastatin、ZOCOR(登録商標)、米国特許第4,444,784参照); プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium、PRAVACHOL(登録商標)、米国特許第4,346,227参照);フルバスタチンナトリウム(fluvastatin sodium、LESCOL(登録商標)、米国特許第5,354,772参照); アトルバスタチンカルシウム(atorvastatin calcium、LIPITOR(登録商標)、米国特許第5,273,995参照)およびリバスタチン(rivastatin、セリバスタチン(cerivastatin)としても知られている;米国特許第5,177,080参照)。これらおよび本発明の方法に使用できる他のHMG−CoA還元酵素阻害剤の構造式はM.ヤルパニ、「コレステロール低下薬」Chemistry & Industry, pp. 85−89 (1996年2月5日)に記載されている。現在のところ好ましい態様においては、HMG−CoA還元酵素阻害剤はロバスタチンおよびシムバスタチンから選択される。
【0086】
数種のHMG−CoA還元酵素阻害剤が米国で市販されているので、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与情報は本分野でよく知られている。特に、HMG−CoA還元酵素阻害剤の1日あたりの投与量は高コレステロール血症の治療に用いられ、内科医のデスク参照(Physicians’Desk Reference (PDR))に記載の量と同じか同等である。例えば、PDRの50版、1996(メディカル・エコノミックス社)、特に216頁の見出し「コレステロール低下剤」、準見出し「HMG−CoA還元酵素阻害剤」およびそこに引用されている参照頁を参照。好ましくは、HMG−CoA還元酵素阻害剤の経口投与量は約1から200mg/日であり、さらに好ましくは約5から160mg/日である。しかしながら、投与量は用いる個々のHMG−CoA還元酵素阻害剤の能力および上記の他のファクターによって変動するであろう。充分に大きな能力を持つHMG−CoA還元酵素阻害剤はミリグラム以下の1日当りの投与量で与えることが出来る。
【0087】
例として、シムバスタチンの1日あたりの投与量は、5mg、10mg、20mg、40mg、80mgおよび160mgから選択される;ロバスタチンは10mg、20mg、40mgおよび80mgから選択される;フルバスタチンナトリウムは、20mg、40mgおよび80mgから選択される;プラバスタチンナトリウムは、10mg、20mgおよび40mgから選択される。アトルバスタチンの1日あたりの投与量は1mgから160mgの範囲であり、特に5mgから80mgの範囲である。MG−CoA還元酵素阻害剤は1日あたり1回の投与が好ましいが、経口投与は単回投与あるいは分割した投与で、1日2、3または4回である。
【0088】
本発明によれば、LXRアゴニストのHDL上昇量は、哺乳動物、特にヒトの高密度リポ蛋白質の血漿レベルを上昇させるために有用な薬剤の調製に用いることが出来る。さらに、LXRアゴニストの予防有効量は、哺乳動物、特にヒトのアテローム性動脈硬化症の発生リスクを予防または減少するために、あるいは原発たは後続アテローム硬化性疾病現象を持つリスクを予防または減少するために有用な薬剤の調製に用いることが出来る。さらに、LXRアゴニストの治療有効量は、哺乳動物、特にヒトのアテローム性動脈硬化症の治療に有用な薬剤の調製に用いることが出来る。
【0089】
さらには、上記の薬剤の調製にあたっては、LXRアゴニストは治療有効量の以下の追加の活性薬剤の1つあるいはそれ以上と混合することが出来る:LDL低下剤;高脂血症低下剤;HDL上昇剤;HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレン・エポキシダーゼ阻害剤;スクアレン・シンセターゼ阻害剤;アシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩;ナイアシンアミド;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸金属イオン封鎖剤アニオン交換樹脂;低密度リポ蛋白質受容体誘導物質;クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブリゾール;ビタミンB6およびその薬理学的に許容できる塩;ビタミンB12;抗酸化ビタミン;βブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;血小板凝集阻害薬;フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト;およびアスピリン。
【0090】
特に、LXRアゴニストおよび治療有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤は上記記載の治療に有用な薬剤の調製に一緒に混合される。特に、LXRアゴニストと、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスチンおよびリバスタチンの薬理学的に許容されるラクトン、遊離酸、エステルおよび塩から選ばれる、治療有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤は、上記記載の治療に有用な経口投与に適した薬剤の調製に一緒に混合される。現在のところ好ましい態様において、薬剤調製に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害剤はロバスタチンまたはシンバスタチンである。
【0091】
本理論に束縛されることなく、LXR活性化、例えばLXRアゴニストによるLXR活性化とHDL値との本関連はABCファミリーメンバーのLXRによる活性化により介在されると考えられている。特に、LXRアゴニストがABCファミリーメンバーの、特にステロール輸送に関与しているABCファミリーメンバーの発現を誘発できることが発見された。特に、LXR活性化はABCファミリーメンバーの転写に劇的な増加を引き起こす。つまり、この増加したABC活性はステロール、つまりコレステロール、および他の脂質の細胞膜を越えた輸送の増加を引き起こし、それによりHDL値の総体的増加を導く。
【0092】
実施例
本発明は特定の実施例により非常に詳細に説明される。以下の実施例は例示の目的のために示されたものであり、いかなる方法でも本発明を限定するものではない。本分野の技術者は、本質的に同じ結果を生じるよう、変更または修正され得る、様々な非限定的パラメーターを容易に認識するであろう。
【0093】
実施例1
LXRαアゴニストの同定および特徴付け
この実施例では、数種の化合物について、LXRαアゴニストとして作用するその能力を試験する(図1参照)。まず、化合物はLXRαへのその結合能を試験した。ついで、LXRαアゴニストはついで細胞ベースハイスループットスクリーンおよびペプチドセンサーLXRアッセイの両方で同定した。
【0094】
LXRα結合能
最初に、推定のアゴニストのLXRαに結合する能力を試験した。LXRαがグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)に融合した融合プロテインを調製した。放射能標識した推定のアゴニスト化合物の融合プロテインに結合する能力を次に試験した。
放射性リガンド結合アッセイの結果を図2に示す。このアッセイは、化合物T314407がLXRα融合プロテインに直接結合し、GST単独には認めうるほどには結合しないことを示す。
化合物T314407について、LXRαに結合する他のリガンドとの競合能を試験した。様々な濃度の非標識T314407、T900546、T901433または24,25−エポキシコレステロールの存在下、LXRαに結合した放射能標識T314407のパーセンテージを測定した。図3に示す結果より、T314407が0.2μMのKiでLXRαに競合的に結合することが示された。
さらなる試験では、T314407とT900546について、LXRαへの結合に関してオキシコレステロールと競合する能力を試験した。放射能標識オキシコレステロール3H−24,25−エポキシコレステロールの量を、様々な濃度の非標識24,25−エポキシコレステロールあるいは推定のLXRアゴニストのT900546とT314407の存在下で比較した。図4に示すとおり、T900546とT314407は両者共、LXRαへの結合においてオキシコレステロールと競合できた。
【0095】
LXRαのリガンド介在構造変化
この実施例では、ペプチドセンサーアッセイを、推定のLXRαアゴニストのLXRαの構造変化を誘発する能力を示すために用いた。リガンド介在構造変化はLXRαなどの核ホルモン受容体の共通性質であると信じられている。PCT特許出願PCT/US98/24969(公開番号WO99/27365)で開示のとおり実施されたペプチドセンサーアッセイはインビトロアッセイである。
図5に示すとおり、LXRαアゴニストT900546、T314407およびT280404の増加する量の追加により、蛍光増加により証明される構造変化が生じた。オキシステロール24,25−エポキシコレステロールもまた蛍光増加を生じた。
【0096】
実施例2
LXRα介在転写に対するLXRアゴニストの効果
LXRアゴニストのLXRα介在転写を刺激する能力をこの実施例で説明する実験で試験した。最初に、コアクチベーター(coactivator)SRC−1のLXRαへのリクルートメントに対するアゴニストT314407の効果を哺乳類のツーハイブリッドアッセイ(two−hybrid assay)で試験した。次にT314407のLXR介在転写活性化能を、リポーター遺伝子コトランスフェクション(cotransfection)アッセイで試験した。最後に、様々なLXRアゴニストの転写に対する効果がLXR特異的であることが判明した。
簡単には、細胞ベースアッセイでは、非受容体転写因子GAL4のDNA結合ドメインはLXRαの推定のリガンド結合ドメインに融合した。得られた構築物は、GAL4アップストリーム活性化配列(UAS)のコントロール下、ルシフェラーゼリポーター構築物とともに、293個の細胞に導入された。トランスフェクションされた細胞をついで化合物で処理し、ルシフェラーゼ活性を測定した。個々の化合物を対照(化合物無添加)に比較して評価し、最大ルシフェラーゼ活性の50%を達成するために必要な濃度として、EC50を測定した。
【0097】
LXRαアゴニストはSRC−1コアクチベーターのリクルートメントを強化する
これらの実験の初期において、GLA4転写因子のDNA結合ドメインがSRC−1コアクチベーターに融合している融合ポリペプチドを用いた。GAL4 DNA結合ドメイン−SRC−1融合プロテインを発現するプラスミドと、LXRαリガンド結合ドメインがVP−16に融合している第二の融合プロテインを発現するプラスミドを使用した。HepG2細胞はpG5(5つのGAL4結合サイトのコントロール下のルシフェラーゼリポーターコード配列)ルシフェラーゼリポータープラスミド(0.25μg/1.5×105細胞)および2つの融合プロテインを発現するプラスミドと一時的にトランスフェクションした。シフェラーゼリポーター活性を、細胞をLXRアゴニスト(指定した濃度の)で処理後あるいは処理せずに測定した。相対的ルシフェラーゼ活性は処理および非処理細胞間のルシフェラーゼ活性の比(βガラクトシダーゼ活性により標準化)である。
【0098】
図6に示すとおり、推定のLXRアゴニストT314407とT280404は驚異的にSRC−1コアクチベーターのLXRαへのリクルートメントを刺激した。DMSO対照がリクルートメントを全く強化しないが、一方オキシステロール24,25−エポキシコレステロールもまたリクルートメントを刺激した。
【0099】
LXRαアゴニストはLXR介在転写を活性化する
LXRαアゴニストT280404とT314407のLXR介在転写を活性化する能力を試験した。推定のアゴニスト化合物のルシフェラーゼリポーター遺伝子のLXR介在転写に対する効果を図7に示す。T280404とT314407の両者がLXR介在転写を活性化した。
【0100】
LXRαアゴニストは特異的にLXR介在転写を活性化する
この実験では、LXRαおよび他の核受容体により活性化した転写に対する、LXRαアゴニストの効果を試験した。GAL4 DNA結合ドメインを含むプラスミドpM3(クローンテック・インク)に各々のコード領域を導入することにより、LXRα、LXRβ、CPF、HNF4、およびRXRのリガンド結合ドメインの融合プロテインをコードするプラスミドを構築した。得られたプラスミドを個々に、ルシフェラーゼリポーター遺伝子をGAL4アップストリーム活性化配列のコントロール下で含有するリポータープラスミドと共に細胞内にコトランスフェクションした。推定のLXRαアゴニストのT170400、T280404、T314393、T314407、T513892、T210943、T588142、および既知のLXRα調節剤24,25−エポキシコレステロールの存在下あるいは非存在下で、相対的ルシフェラーゼ活性を測定した。
図8に示すとおり、各推定のLXRαアゴニストは強力にLXR介在転写を活性化した。LXRβ介在転写に対しては、それより少ない程度の活性化が見られた。LXRαアゴニストはCPF、HNF4、FXRまたはRXRで介在される転写を活性化しなかった。
【0101】
化合物T314407で、最高値の活性化が観察され、T314407はLXRα介在転写を0.2μMのEC50(EC50は最大ルシフェラーゼ活性の50%を達成するために要する化合物量と定義されている)で活性化した。この化合物は、上記の競合アッセイで証明されたように、0.2μmのKiでLXRαに直接に結合する。さらに、T314407は細胞毒性ではなく、50μmより大きいEC50値を示す。T314407はまた、コレステロール異化の主経路である胆汁酸合成の律速酵素であるヒトコレステロール7α−ヒドロキシラーゼ(CYP7A)遺伝子の発現を転写活性化(transactivate)することが示された。よって、T314407および他のLXRαアゴニストはコレステロール値を低下し、他の脂質疾病の治療に有用である。
【0102】
T0314407の類縁体について、コレステロール低下、HDLコレステロール増加医薬として望ましい特質を試験した。いくつかの類縁体の構造、および化合物の対応する薬物動態データを図9に示す。ペプチドセンサー(FP)での化合物の活性、ルシフェラーゼ発現、細胞毒性、および血漿濃度を示す。これらの類縁体のひとつ、T0901317をインビボでの更なる実験用に選んだ。
【0103】
実施例3
LXRアゴニストの経口投与はインビボでHDLコレステロール値を増加させる
この実施例は、LXRアゴニストT0901317の経口投与による、血漿トリグリセリド値とHDLコレステロール値に対する効果を測定するための実験を説明する。実験は2週間に亘って、各タイムポイントで20匹のマウス(C57BL/6、10雄性と10雌性)を用いて行った。T0901317をマウスに1日1回、5または50mg/kg体重の投与量で投与した。7日目および14日目に、マウスの血液の血漿脂質濃度および肝臓遺伝子発現を測定した。
【0104】
T0901317の5mg/kgまたは50mg/kgの経口投与により、血漿総コレステロール値が雄性および雌性マウスの両者で増加した(図10、左側パネル)。HDLコレステロール値もまたLXRアゴニストの投与により増加した(図10、右側パネル)。血漿総コレステロールとHDLコレステロールの増加量は各投与でのT0901317の投与量に依存したが、投与14日間では、投与7日間投与に比較して、効果に著明は違いは得られなかった。T0901317の経口投与により、血漿トリグリセリド値の増加が得られた(図11)。これらの結果は、マウスを高コレステロール食事で飼育した場合でも有意に変化しなかった。
【0105】
これらの結果により、LXRアゴニストT0901317の経口投与でマウスにおいてHDLコレステロールフラクションが増加することが示される。HDLはアテローム発生に対して直接的に保護するので、これらの結果より、LXRアゴニストの投与はアテローム性動脈硬化症に対して保護出来ることが示唆される。
【0106】
ここに開示の実施例および態様は例示の目的のみのものであり、これらを鑑みて種々の修正や変更が本分野の技術者に提案され、それらが本出願の精神および範囲内、および添付の請求の範囲の範囲内であることは、理解されるであろう。本明細書に引用されたすべての出版物、特許および特許出願は、すべての目的のため参照して本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はコレステロール低下剤としての使用の為の、LXRαアゴニストのスクリーニング戦略の説明図を例示する。初めに、ハイスループットスクリーン(HTS)をLXRαに結合する化合物を同定するために用いる。次に、結合を示す化合物について、LXRα介在転写活性化(transactivation)の強化能、およびLXRαへの結合の特異性を試験する。次に、有利な活性を示す化合物についてその細胞毒を試験する。さらに、予想される臨床投与量範囲で非毒性である化合物について、その薬物動態(PK)および構造−活性関係(SAR)活性を試験する。最後に、最も有利な性質を有するリード化合物について、高コレステロール血症モデルシステムでの実験を含む、動物実験で試験する。
【図2】図2は、放射能標識LXRαアゴニストT314407がLXRαに直接結合することが示された、放射リガンド結合試験の結果を例示する。T314407のグルタチオン−S−トランスフェラーゼのみの結合は極わずかである。
【図3】図3は、LXRαアゴニストT314407の、LXRαへの結合に関して他の分子との競合能を試験したリガンド競合試験の結果を例示する。LXRαへ結合した放射能標識されたT314407の量は、T314407自身、他のアゴニストT900546およびT901433、および既知のLXRαリガンド24,25−エポキシコレステロールにより競合的に阻害された。
【図4】図4は、LXRαアゴニストT900546およびT314407が、放射能標識オキシステロール24,25−エポキシコレステロールのLXRα受容体への結合を競合的に阻害することを例示する。
【図5】図5は、LXRαアゴニストT900546、T314407およびT280404がLXRαの構造変化を誘発することが証明された、ペプチドセンサーアッセイの結果を例示する。オキシステロール24,25−エポキシコレステロールはまたペプチドセンサーアッセイにおいて構造変化を誘発した。
【図6】図6は、SRC−1ポリペプチドに融合したGAL4 DNA結合ドメインと、VP16活性化ドメインに融合したLXRαリガンド結合ドメインを含んだ第2の融合プロテインを含む融合プロテインで介在される転写に対するLXRαアゴニストの効果を示された、哺乳類ツーハイブリッド(two−hybrid)アッセイの結果を例示する。GAL4アップストリーム活性配列のコントロール下でのルシフェラーゼ遺伝子の発現量を示す。
【図7】図7は、コトランスフェクションアッセイにおけるLXR介在転写を活性化するLXRαアゴニストの能力を試験したアッセイの結果を例示する。ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を示す。
【図8】図8は、LXRαアゴニストが特異的にLXR介在転写を活性化することを実証するデータを示す。
【図9】図9は、LXRαアゴニストT0314407の数種の類縁体およびそれらの薬物動態データを示す。
【図10】図10は、マウスにおいてLXRαアゴニストT0901317の経口投与により総コレステロールが上昇し、さらにHDLコレステロールのフラクションが増加することを示す、実験の結果を例示する。
【図11】図11は、LXRαアゴニストT0901317の経口投与によりマウス血漿トリグリセリド値の増加が起こることを示すデータを例示する。
発明分野
本発明はLXRアゴニスト、およびそのようなLXRアゴニストを用いて哺乳動物における高比重リポ蛋白質(HDL)血漿レベルを上昇させ、アテローム硬化性心疾患およびその関連病態の進行を予防、停止または減速させる方法に関する。
【0002】
発明の背景技術
高脂血症は血清脂質、例えばコレステロール、トリグリセリドおよびリン脂質の異常な増加を特徴とする病態である。これらの脂質は血漿中溶液中自由に循環はせず、蛋白質に結合して、リポ蛋白質と呼ばれる高分子複合体として輸送される。リポ蛋白質はその比重の程度を基にして5種類に分類されている:カイロミクロン;超低密度リポ蛋白質(VLDL);低密度リポ蛋白質(LDL);中間密度リポ蛋白質(IDL);および高密度リポ蛋白質(HDL)である。そのような分類は一般的に本分野の技術者にはよく知られており、例えば、メルク・マニュアル、16版、1992(例えば1039−1040頁参照)およびMetabolic Basis of Inherited Disease、6版、1989、1129−1138頁の「血漿リポ蛋白質の構造と代謝」に記載されている。
【0003】
高脂血症の一つの形に、上昇したLDLコレステロール値の存在を特徴とする高コレステロール血症がある。高コレステロール血症の初期治療ではしばしば、脂肪とコレステロールが低い食事に変更し、併せて適当な身体運動と併用し、ついでLDL低下目標が食事療法と運動療法のみでは達成されない場合は薬物療法が続く。LDLは一般的に「悪玉」コレステロールとして知られ、一方HDLは「善玉」コレステロールである。LDLコレステロールの上昇した値を低下することは望ましいが、HDLコレステロール値を上昇させることもまた望ましい。一般的に、HDLの上昇した値は冠状動脈性心臓病(CHD)のリスク低下を伴う。例えば、ゴードンら、Am. I. Med., 62: 707−714 (1997);スタンファーら、N. England J. Med., 325: 373−381 (1991);およびカーネルら、Ann. Internal Med., 90: 85−91 (1979)参照。HDL上昇剤の例としてはニコチン酸があるが、HDL上昇達成に必要な量は顔面紅潮などの望ましくない副作用を伴う。
【0004】
近年、高脂血症およびコレステロール代謝を伴う他の疾病の治療用治療剤の開発は、関与する生化学的経路(pathway)のさらに完全な解明の達成に注目されている。ごく最近では、肝臓X受容体(LXR、Liver X Receptor)がコレステロール恒常性における重要成分であると同定された。LXRは当初そのリガンドと機能が未知の核受容体スーパーファミリーのオーファンメンバーとして同定された。2つのLXRプロテイン(つまり、αおよびβ)が哺乳動物に存在することが知られている。LXRαの発現は限定され、その最高レベルが肝臓で観察され、それより低いレベルが腎臓、腸、脾臓、および副腎で見られる(ウィリーら、Genes Dev. 9(9): 1033−45 (1995)参照)。LXRβはかなり遍在していて、調べた殆どすべての組織で発見されている。LXRの最近の研究では、LXRは、22(R)−ヒドロキシコレステロール、24(S)−ヒドロキシコレステロール、および24,25(S)−エポキシコレステロールを含む、ある種の天然のコレステロール酸化誘導体により活性化されることが示されている(レーマンら、J. Biol. Chem. 272 (6):3137−3140 (1997)参照)。LXRおよびそのオキシステロールリガンドの発現パターンから、これらの受容体がコレステロール代謝において役割を担っていることが初めて示唆された(ヤノウスキ(Janowski)ら、Nature 383: 728−731 (1996)参照)。
【0005】
哺乳動物におけるコレステロール代謝はステロイドホルモンあるいは胆汁酸への変換を介して生じる。コレステロール恒常性におけるLXRの役割は、コレステロール7α−ヒドキシラーゼ(CYP7A)が律速的に作用する、胆汁酸合成経路に関係すると最初に仮定された。この仮定を支持するものとして、オキシステロール−およびレチノイド−依存的にRXR/LXRヘテロ二量体により活性化され得る、機能的LXR応答エレメントをCYP7Aプロモーターが含有することが、追加の実験により発見されたことがある。コレステロール代謝における転写コントロールポイントとしてのLXR機能の確認は、ノックアウトマウス、特にオキシステロール受容体LXRαの欠如したものを用いて行われた(ピートら、Cell 93: 693−704 (1998)参照)。
【0006】
受容体LXRαが欠損したマウス(例えば、ノックアウトあるいは(−/−)マウス)は食餌性コレステロールの増加に正常に応答するその能力を失っており、新たに合成されるものより過剰のコレステロールに耐えることが出来ない。LXRα(−/−)マウスは、追加のコレステロールを含む食餌を与えられた場合は、CYP7αをコードする遺伝子の転写を誘発することが出来ない。これは、LXRα(−/−)マウスの肝臓においてコレステロールの大量蓄積を起こし、肝機能障害を引起こす。これらの結果により、コレステロール恒常性の必須の調節成分としてのLXRαの役割が立証された。LXRαはまた脂肪酸合成に関与していると信じられている。よって、LXRの調節、特にLXRαの調節により、肥満や糖尿病を含む多様な脂質障害の治療法を提供できる。
【0007】
前述を鑑みて、LXRの調節に使用できる、言い換えると、コレステロール代謝と脂肪酸生合成の微妙なバランスの調節に使用できる化合物および方法が依然としてこの分野で求められている。特に、HDL値の増加に使用でき、よって、胆汁酸およびコレステロール代謝に関連する疾病、例えば、コレステロール性胆石、冠状動脈性心臓病、アテローム性動脈硬化症、脂質蓄積疾病、肥満、糖尿病等の治療に使用できる化合物および方法が依然としてこの分野で求められている。非常に驚くべきことには、本発明は、そのような化合物および方法を提示することにより、これらおよび他の要求を満たすものである。
【0008】
発明の概要
LXRのアゴニスト、特にLXRαのアゴニストであるリガンドは高比重リポ蛋白質(HDL)値の上昇に有用である。従って、一つの態様では、本発明はそのような治療を要する哺乳動物におけるHDL血漿値を上昇、つまり増加させる方法を提供し、該方法は例えばヒトなどの哺乳動物にLXRアゴニスト、特にLXRαアゴニストのHDL上昇量を投与することを特徴とする。
【0009】
LXRを活性化し、よってLXRのアゴニストであるいかなる化合物も、本発明の方法に使用できる。特に、インビトロまたはインビボいずれの検査工程を用いてLXRアゴニストであることが判明したいずれの化合物、例えばここに開示の化合物は本発明の方法に使用することができる。好ましい態様において、LXRアゴニストは下記一般式で示される。
【化11】
式I中、Arはアリール基;
R1は−OH、−O−(C1−C7)アルキル、−OC(O)−(C1−C7)アルキル、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2または−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキル;
R2は(C1−C7)アルキル、アリールおよびアリール(C1−C7)アルキル;
X1、X2、X3、X4、X5およびX6はそれぞれ独立して−H、(C1−C5)アルキル、−F、または−Cl、但し、X1からX6中2基を超えて−Hあるいは(C1−C5)アルキルであることはない;および
Yは−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)mN(R13)−、−N(R12)C(O)−、−N(R12)C(O)N(R13)−、−N(R12)C(S)−、または−N(R12)C(O)O−(式中、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C7)アルキル、アリール、およびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる基で、Yが−N(R12)S(O)m−または−N(R12)S(O)mN(R13)−の場合は、R12はArへの共有結合を介してArに縮合した5員、6員または7員環を形成してもよい);
上記Y基中、インデックス「m」は1〜2の整数である。
【0010】
他の態様では、本発明はそのような治療を要する哺乳動物のアテローム硬化性心疾患およびその関連疾患の進行を予防、停止または減速する方法を提供し、該方法はLXRアゴニストのHDL上昇量を該哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0011】
他の態様では、本発明はそのような治療を要する哺乳動物のアテローム硬化性心疾患およびその関連疾患の進行を予防、停止または減速する方法を提供し、該方法はLXRアゴニストのHDL上昇量と、胆汁酸金属イオン封鎖剤、ニコチン酸、フィブリン酸誘導体、HMG−CoA還元酵素阻害剤等の追加の活性薬剤の1つまたはそれ以上と組み合わせて該哺乳動物に投与することを特徴とする。
【0012】
本発明の他の特徴、目的および有利性およびその好ましい態様は以下の詳細な記述から明らかになるであろう。
【0013】
発明の詳細な説明および好ましい態様
定義
単独、あるいは他の置換基の一部としての用語「アルキル」は、特に言及しない限り、指定の数(つまり、C1−C10は1〜10個の炭素原子を意味する)の炭素原子を持つ、直鎖または分岐鎖の、あるいは環状の炭化水素基、あるいはそれらの組合されたもので、完全に飽和、モノ不飽和あるいはポリ不飽和の、二価および多価の基を意味する。飽和炭化水素基の例としては、これに限定されるのもではないが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチル、例えば、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル等の同族体および異性体などが挙げられる。不飽和アルキル基としては、1個あるいはそれ以上の二重結合または三重結合を持つものである。不飽和アルキル基の例としては、これらに限定されるのもではないが、ビニル、2−プロペニル、クロチル、2−イソペンテニル、2−(ブタジエニル)、2,4−ペンタジエニル、3−(1,4−ペンタジエニル)、エチニル、1−および3−プロピニル、3−ブチニル、およびその高級同族体および異性体が挙げられる。特に言及しない限り、用語「アルキル」は、以下に「シクロアルキル」および「アルキレン」としてさらに詳細に定義するアルキルの誘導体もまた意味する。単独、あるいは他の置換基の一部としての用語「アルキレン」は、例えば−CH2CH2CH2CH2−などのアルカンから誘導される二価の基を意味する。一般的には、アルキル基は1〜24個の炭素原子を持ち、10個あるいはそれ以下の炭素原子のものが本発明では望ましい。「低級アルキル」あるいは「低級アルキレン」は比較的短い鎖のアルキルあるいはアルキレン基を意味し、一般的には8あるいはそれ以下の炭素原子のものを意味し、好ましくは4あるいはそれ以下の炭素原子を持つものである。
【0014】
単独で、あるいは他の用語と組み合わされて用いられる用語「アルコキシ」とは、特に言及しない限り、酸素原子を介して分子の残りと結合した上記のアルキル基を意味し、例えば、メトキシ、エトキシ、1−プロポキシ、2−プロポキシ、およびその高級同族体および異性体を意味する。
【0015】
単独、あるいは他の用語と組み合わされて用いられる用語「ヘテロアルキル」は、特に言及しない限り、規定の数の炭素原子およびO、N、Si、Sから選ばれる1〜3個のヘテロ原子で構成される、安定な直鎖または分岐鎖、あるいは環状の炭化水素基、またはその組合されたものを意味し、窒素原子およびイオウ原子は酸化されていてもよく、窒素へテロ原子は4級化されていてもよい。へテロ原子O、N、Sは、ヘテロアルキル基のどの位置にあってもよい。ヘテロ原子Siは、ヘテロアルキル基のいずれの位置にあってもよく、分子の残りにアルキル基が結合する位置であってもよい。例としては、これらに限定されないが、−CH2−CH2−O−CH3、−CH2−CH2−NH−CH3、−CH2−CH2−N(CH3)−CH3、−CH2−S−CH2−CH3、−CH2−CH2−S(O)−CH3、−CH2−CH2−S(O)2−CH3、−CH=CH−O−CH3、−Si(CH3)3、−CH2−CH=N−OCH3、および−CH=CH−N(CH3)−CH3が挙げられる。2個までのヘテロ原子は、例えば、−CH2−NH−OCH3や−CH2−O−Si(CH3)3のように連続していてもよい。用語「ヘテロアルキル」には「ヘテロアルキレン」および「ヘテロシクロアルキル」として以下に詳細に述べる基も含まれる。単独、あるいは他の置換基の一部としての用語「ヘテロアルキレン」は、例えば−CH2−CH2−S−CH2CH2−、−CH2−S−CH2−CH2−NH−CH2−のような、ヘテロアルキルから誘導される二価の基を意味する。ヘテロアルキレン基では、ヘテロ原子がその鎖の一端あるいは両端に位置することが出来る。さらには、アルキレンおよびヘテロアルキレン連結基としては、ここに述べる他のすべての連結基と同様に、その連結基の特定の配向性を意味するものではない。
【0016】
単独で、あるいは他の用語と組み合わされて用いられる用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」とは、特に言及しない限り、それぞれ「アルキル」および「ヘテロアルキル」の環状形を意味する。用語「シクロアルキル」および「ヘテロシクロアルキル」はまたそれらの2環、3環および多環形も意味するものである。さらに、ヘテロシクロアルキルでは、ヘテロ原子はヘテロ環基が分子の残りと結合している位置を占めることができる。シクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、シクロペンチル、シクロヘキシル、1−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、シクロヘプチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、ビシクロ[2.2.2]オクチル、アダマンチル等が挙げられ、ヘテロシクロアルキルの例としては、これらに限定されないが、1−(1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−モルホリニル、3−モルホリニル、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクト−2−イル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロフラン−3−イル、テトラヒドロチエン−2−イル、テトラヒドロチエン−3−イル、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル等が挙げられる。
【0017】
単独で、あるいは他の置換基の一部として用いられる用語「ハロ」あるいは「ハロゲン」とは、特に言及しない限り、フッ素、塩素、臭素あるいはヨウ素原子を意味する。さらに、一般的には「ハロアルキル」はモノハロアルキルおよびポリハロアルキルを意味するものであるので、「フルオロアルキル」などの用語はモノフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキルを包含するものである。
【0018】
単独で、あるいは他の用語と組み合わされて(例えばアリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)用いられる用語「アリール」とは、特に言及しない限り、単環あるいは多環(3環まで)の、共縮合した、あるいは共有的に結合した芳香族置換基を意味する。環はそれぞれN、OおよびSから選ばれる0〜4個のヘテロ原子を含有し、その窒素原子およびイオウ原子は酸化されていてもよく、窒素原子は4級化されていてもよい。ヘテロ原子を含有するアリール基は「ヘテロアリール」と称され、炭素原子あるいはヘテロ原子を介して分子の残りと結合することができる。アリール基の例としては、これらに限定されないが、例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、4−ビフェニル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−ピラゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、ピラジニル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、2−フリル、3−フリル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジル、4−ピリミジル、5−ベンゾチアゾリル、プリニル、2−ベンズイミダゾリル、5−インドリル、1−イソキノリル、5−イソキノリル、2−キノキサリニル、5−キノキサリニル、3−キノリル、および6−キノリルが挙げられる。上記の各アリール環系の置換基は以下に述べる許容される置換基から選ばれる。
【0019】
用語「アリールアルキル」および「アリールヘテロアルキル」は、アリール基がアルキル基に結合した基(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチル等)やヘテロアルキル基に結合した基(例えば、フェノキシメチル、2−ピリジルオキシメチル、1−ナフチルオキシ−3−プロピル等)を含むものである。アリールアルキルおよびアリールヘテロアルキル基は一般的には、共有結合、あるいは環を、例えば、シクロアルキルかヘテロシクロアルキル基に縮合することにより、該アルキルあるいはヘテロアルキル部に結合した1〜3個のアリール部を含む。アリールヘテロアルキル基では、該基が分子の残りと結合している位置をヘテロ原子が占めていてもよい。例えば、用語「アリールヘテロアルキル」はベンジルオキシ、2−フェニルエトキシ、フェネチルアミン等を包含するものである。
【0020】
上記の各用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」および「アリール」)はその基の置換および非置換形両者を含むものである。各基の好ましい置換基は以下に挙げるものである。
【0021】
アルキルおよびヘテロアルキル基(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルとしてしばしば称される基も含む)の置換基としては、以下の−OR’、=O、=NR’、=N−OR’、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NR”C(O)2R’、−NHC(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2から選ばれる多様な基であり、その数は0から(2N+1)(Nはその基の炭素原子の総数である)個の間の数である。好ましくは、置換アルキル基は1〜6個の独立して選択した置換基を持ち、さらに好ましくは1〜4個の独立して選択した置換基を持ち、もっとも好ましくは1〜3個の独立して選択した置換基を持つ。上記に挙げた置換基のなかで、R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して選択され、それらに限定されないが、以下の官能基である:水素原子、非置換(C1−C8)アルキルおよびヘテロアルキル、非置換アリール、1〜3個のハロゲンで置換されたアリール、非置換のアルキル、アルコキシあるいはチオアルコキシ基、あるいはアリール−(C1−C4)アルキル基である。R’およびR”が同じ窒素原子に結合している場合は、それらは該窒素原子と結合して5員、6員または7員環を形成していてもよい。例えば、−NR’R”は1−ピロリジニルおよび4−モルホリニルを含むものである。
【0022】
同様に、アリール基の置換基は多様で、これらに限定されるものではないが、−ハロゲン、−OR’、−OC(O)R’、−NR’R”、−SR’、−R’、−CN、−NO2、−CO2R’、−CONR’R”、−SiR’R”R’”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)2R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NH−C(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−N3、−CH(Ph)2、パーフルオロ(C1−C4)アルコキシ、およびパーフルオロ(C1−C4)アルキル(R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して、水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、および(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基である)から選ばれる基であり、その数は0からその芳香環系における開放原子価の総数の間の数である。好ましくは、置換アリール基は1〜4個のそれぞれ独立して選択した置換基を有し、さらに好ましくは、1〜3個のそれぞれ独立して選択した置換基を有し、最も好ましくは、1〜2個のそれぞれ独立して選択した置換基を有する。
【0023】
アリール環の隣接する原子上の置換基の2個は、式−T−C(O)−(CH2)q−U−(TおよびUはそれぞれ独立して、−NH−、−O−、−CH2−、あるいは単結合であり、qは0〜2の整数である)で示される置換基と置き換わってもよい。あるいは、アリール環の隣接する原子上の置換基の2個は、式−A−(CH2)r−B−(AおよびBはそれぞれ独立して、−CH2−、−O−、−NH−、−S−、−S(O)−、−S(O2)−、−S(O2)NR’、あるいは単結合であり、rは1〜3の整数である)で示される置換基と置き換わってもよい。かくして形成される新しい環の単結合中のひとつは二重結合で置き換わってもよい。あるいは、アリール環の隣接する原子上の置換基の2個は、式−(CH2)s−X−(CH2)t−(sおよびtはそれぞれ独立して0〜3の整数、およびXは−O−、−NR’−、−S−、−S(O)−、−S(O)2−、または−S(O)2NR’−である)で示される置換基と置き換わってもよい。−NR’−と−S(O)2NR’−の置換基R’は水素原子または非置換(C1−C6)アルキルである。
【0024】
ここで用いる用語「ヘテロ原子」は酸素(O)、窒素(N)、イオウ(S)、およびシリコン(Si)を意味するものである。
【0025】
用語「薬理学的に許容される塩」とは、比較的非毒性の酸あるいは塩基(これはここで開示のLXRアゴニストに見られる特殊な置換基に依存する)と活性化合物との塩を意味する。本発明化合物が相対的に酸性の官能基を持っている場合は、該化合物の中性体を十分量の所望の塩基とを、無溶媒下あるいは適当な不活性溶媒中で接触させることにより、塩基付加塩が得られる。薬理学的に許容される塩基付加塩の例としては、これらに限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、あるいはマグネシウム塩、あるいは他の同様の塩が挙げられる。本発明の化合物が相対的に塩基性の官能基を持っている場合は、該化合物の中性体を十分量の所望の酸とを、無溶媒下あるい適当な不活性溶媒中で接触させることにより、酸付加塩が得られる。薬理学的に許容される酸付加塩の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、炭酸、炭酸モノ水素酸、リン酸、リン酸モノ水素酸、リン酸ジ水素酸、硫酸、硫酸モノ水素酸、ヨウ化水素酸、亜リン酸等の無機酸から誘導される塩や、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、蓚酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸等の相対的非毒性の有機酸から誘導される塩が含まれる。例えば、アルギニン塩などのアミノ酸との塩、例えば、グルクロン酸あるいはガラクツロン酸などの有機酸との塩等も含まれる(例えば、バージェら、“薬理学的塩”、ジャーナル・オブ・ファーマシューティカル・サイエンス、66巻、1−19頁(1977)参照)。塩基性および酸性官能基の両方持つ本発明のある特殊な化合物は、塩基付加塩あるいは酸付加塩の両方に変換できる。
【0026】
化合物の中性体は、塩を塩基あるいは酸と接触させて、常法により親化合物を単離することにより再生成できる。化合物の親形態は種々の塩形態とはある物理学的性状、例えば極性溶媒への溶解性等が異なるが、それ以外では、塩は本発明の目的にとっては化合物の親形態と同等である。
【0027】
塩形態の他に、本発明はプロドラッグ形態の化合物も提供する。ここで述べる本化合物のプロドラッグは、生理学的条件下で容易に化学変化を受け式Iの化合物を提供する化合物である。さらに、プロドラッグは生体外環境下で化学的あるいは生化学的方法により本発明化合物に変換され得る。例えば、プロドラッグは適当な酵素と共に経皮用パッチ式リザーバ(transdermal patch reservoir)に入れておくと、本発明の化合物へとゆっくりと変換され得る。
【0028】
本発明のある種の化合物は非溶媒和形で存在し、同様に水和形を含む溶媒和形でも存在する。一般的には、溶媒和物は非溶媒和物と同等であり、本発明範囲に包含されるものである。本発明のある種の化合物は多晶体あるいはアモルファスで存在し得る。一般的には、すべての物理的形態は本発明で意図される用途においては同等であり、本発明範囲に包含されるべきものである。
【0029】
本発明のある化合物は不斉炭素原子(光学中心)あるいは二重結合を持ち、ラセミ体、ジアステレオマー体、幾何異性体および個々の異性体もすべて本発明範囲に包含されるものである。
【0030】
本発明化合物は、その化合物を構成している1つまたは複数の原子上に、不自然な割合の原子同位体を含んでいてもよい。例えば、化合物は、トリチウム(3H)、ヨウ素−125(125I)や炭素−14(14C)のような、放射性同位元素を用いて標識できる。本発明化合物のすべてのアイソトープ異性体は、放射活性にしろ非活性にしろ、本発明範囲に包含されるものである。
【0031】
一般的概要
本発明はアテローム性動脈硬化症の罹患のリスクを予防あるいは減少させる方法を提供し、該方法はLXRαアゴニストの予防有効量、あるいは特に、HDL上昇量を、単独であるいは一つまたは複数の追加の薬理学的活性薬剤と一緒に、哺乳動物、特にアテローム性動脈硬化症の罹患リスクにあるヒトに投与することを特徴とする。
【0032】
LXRαアゴニストは、臨床的に明白になった場合に、アテローム硬化性疾患の進行を治療、中止あるいは減速させる方法に用いることができ、該方法はLXRαアゴニストの治療有効量、あるいは特に、HDL上昇量を、単独であるいは一つまたは複数の追加の薬理学的活性薬剤と一緒に、哺乳動物、特にアテローム硬化性疾病をすでに罹患したヒトに投与することを特徴とする。
【0033】
アテローム性動脈硬化症は、医薬の関連分野で開業している内科医により認識・理解される血管疾患および病態を包含する。アテローム硬化性心疾患、冠状動脈性心臓病(冠動脈疾患または虚血性心疾患として知られている)、脳血管疾患および末梢血管疾患はすべてアテローム性動脈硬化症の臨床的発症であり、それゆえ、用語「アテローム性動脈硬化症」および「アテローム硬化性疾患」に包含される。
【0034】
本発明はまた原発あるいは後発(再発の潜在性が存在する)アテローム硬化性疾病現象のリスクを予防あるいは減少させる方法を提供し、該方法はLXRαアゴニストの予防有効量、あるいは特に、HDL上昇量を、単独であるいは一つまたは複数の追加の薬理学的活性薬剤と一緒に、哺乳動物、特にアテローム硬化性疾病現象の発症リスクを有するヒトに投与することを特徴とする。ここで用いる用語「アテローム硬化性疾病現象」は、冠状動脈性心臓病現象、脳血管現象、および間欠性跛行を包含するものである。冠状動脈性心臓病現象はCHD死、心筋梗塞(例えば、心臓麻痺)および冠状動脈性血行再開後症候群を包含する。脳血管現象は虚血性または出血性脳卒中(脳血管発作として知られている)および一過性虚血性発作を包含する。間欠性跛行は末梢血管疾病の臨床的兆候である。過去に1つあるいは複数の致命的でないアテローム硬化性疾病現象を経験した人間はそのような現象の再発の潜在性を有する者である。
【0035】
本治療法で治療される人はアテローム硬化性疾患発症のリスクを有し、アテローム硬化性疾病現象を有する者である。標準的アテローム硬化性疾患リスクファクターは医薬関連分野で開業している平均的内科医には既知である。そのようなリスクファクターとしては、これらに限定されないが、高血圧、喫煙、糖尿病、高比重リポ蛋白質コレステロールの低値、低比重リポ蛋白質コレステロールの高い値、およびアテローム硬化性心疾患の家族性歴史がある。アテローム硬化性疾患の発症リスクを有する人間を決定する為の発刊されているガイドラインは次のものに見られる:ナショナル・コレステロール・エデュケイション・プログラム、「大人における血中コレステロール高値の検知、評価および治療」に対するエキスパートパネルの第2報告(Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults)(アダルト・トリートメント・パネルII;Adult Treatment Panel II), 国立保健研究所(National Institute of Health)、国立心臓、肺および血液研究所(National Heart Lung and Blood Institute)、NIH発行番号93−3095、1993年9月;省略バージョン:「大人における血中コレステロール高値の検知、評価および治療」に対するエキスパートパネル、ナショナル・コレステロール・エデュケイション・プログラム(NCEP)の「大人における血中コレステロール高値の検知・評価および治療」に対するエキスパートパネルの第2報告の概略(アダルト・トリートメント・パネルII;Adult Treatment Panel II))、JAMA、1993、269:3015−23。上記のリスクファクターの1つまたはそれ以上を有する者として同定された人は、アテローム硬化性疾患の発症リスクにあると見なされる人間範囲に包含される。すでにアテローム性動脈硬化症を発症している人間と同様、上記のリスクファクターの1つまたはそれ以上を有する者として同定された人間は、アテローム硬化性疾患現象を持つリスクにある者として見なされた人間範囲に包含される。
【0036】
LXRアゴニスト
上記に説明した通り、本発明は哺乳動物における高比重リポ蛋白質(HDL)血漿レベルを上昇、つまり増加させる方法を提供し、該方法はLXRアゴニストのHDL上昇量を該哺乳動物に投与することを特徴とする。つまり、LXRを活性化する、つまりLXRアゴニストである化合物は本発明方法に使用できる。特に、インビトロまたはインビボいずれの検査工程を用いてLXRアゴニストであることが判明したいずれの化合物、例えばここに開示の化合物は本発明の方法に使用することができる。
【0037】
A.典型的LXRアゴニスト
1つの態様において、本発明は本発明方法に有用なLXRアゴニストを提供し、該LXRアゴニストは以下の一般式で示される。
【化12】
式Iにおいて、「Ar」はアリール基を示す。置換あるいは非置換の両者を含む多様なアリール基が本発明のLXRアゴニストで有用である。好ましいアリール基は単環あるいは縮合2環式芳香族環である。特に好ましいアリール環基は、これらに限定されないが、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピロール、フランおよびチオフェンである。さらに好ましい態様において、アリール基、つまりArはベンゼンあるいはピリジン環であり、さらに好ましい態様においては、アリール基はベンゼン環である。
【0038】
アリール基が置換芳香環(−Y−R2と、R1を保持する炭素原子以外にも置換基を有する)である場合は、置換基は通常以下の官能基から選ばれる:−OH、−NH2、低級アルキル(例えば、メチル、ブチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル等)、低級アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、トリフルオロメトキシ、ブトキシ等)、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−C(O)R’、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)2R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NHC(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2(式中、R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基である)。
【0039】
アリール基に結合する置換基はいかなる空間配置であってもよい。例えば、Arがベンゼン環の場合、式Iにおける2基は好ましくは1,3−配向(メタ位)あるいは1,4−配向(パラ位)でArに結合しているだろう。さらに好ましくは、式Iにおける2基は1,4−配向(パラ位)でベンゼンあるいはピリジン環に結合しているだろう。
【0040】
式Iにおいて、「R’」は、これらに限定されないが、−OH、−O−(C1−C7)アルキル、−OC(O)−(C1−C7)アルキル、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2あるいは−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルから選ばれる官能基である。好ましい態様において、R1は−OH、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2あるいは−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルである。さらに好ましい態様において、R1は−OHである。R1がジアルキルアミノ基(−N((C1−C7)アルキル)2)である態様においては、アルキル基は同一または異なっていてもよい。
【0041】
式I中の「X1、X2、X3、X4、X5およびX6」はそれぞれ独立して、これらに限定されないが、−H、(C1−C5)アルキル、−F、および−Clから選ばれる官能基である。X1からX6の2基を超えてHまたは(C1−C5)アルキルであることはない。さらに好ましい態様において、X1からX6中の2基を超えてHではなく、残りが−Fである。最も好ましい態様においては、X1からX6は各々−Fである。
【0042】
式Iにおいて、「Y」は連結基であり、−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)mN(R13)−、−N(R12)C(O)−、−N(R12)C(O)N(R13)−、−N(R12)C(S)−または−N(R12)C(O)O−(式中、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C7)アルキル、アリール、およびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれ、Yが−N(R12)S(O)m−または−N(R12)S(O)mN(R13)−の場合は、R12はArへの共有結合を介してArに縮合した5員、6員、または7員環を形成してもよい)から選ばれる基である。連結基、つまりY基中、インデックス「m」は1〜2の整数である。好ましい態様において、Yは−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)N(R13)−または−N(R12)C(O)O−である。最も好ましい態様においては、Yは−N(R12)S(O)m−である。
【0043】
上記のように、R12およびR13はそれぞれ独立して、水素原子、(C1−C7)アルキル、アリールおよびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる基であり、後者2基の場合は、置換されていてもよい。好ましい態様の1群において、R12は水素原子または(C1−C4)アルキル、好ましくはフルオロ(C1−C4)アルキルである。特に好ましいR12基は2,2,2−トリフルオロエチルである。好ましい態様の他の群において、R12はArに結合して縮合環系、例えば、インドリン、テトラヒドロキノリンあるいはテトラヒドロイソキノリンを形成する。
【0044】
式Iにおいて、Yに結合したR2は、これらに限定しないが、(C1−C7)アルキル、アリールまたはアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる官能基である。そのようなR2基は置換されていてもよい。好ましい態様においては、R2はアリール基である。さらに好ましくは、R2はこれらに限定されないが、フェニル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリルおよびピリジルを含むアリール基である。さらに好ましい態様において、R2はフェニルあるいは2−チエニル、3−チエニルを含むチエニルである。好ましい置換されたR2基としては、3−クロロフェニル、3−ブロモフェニル、3−シアノフェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、2−クロロ−3−チエニルおよび2,5−ジクロロ−3−チエニルが挙げられる。
【0045】
式Iの範囲内において、上記列挙した官能基の或る種の組合せが好ましい。例えば、好ましい態様の1群においては、本発明のLXRアゴニストは下記式で示される化合物から選ばれる。
【0046】
【化13】
上記の各式中、インデックス「n」は0〜4の整数;各「R11」はそれぞれ独立して選択され、これらに限定しないが、−OH、−NH2、低級アルキル、低級アルコキシ、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NR”C(O)2R’、−NH−C(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2から選ばれる官能基であり、各R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基である。上記式中の残りの基は、式Iで示したLXRアゴニストに関した上記記載と同じ意味を有する。
【0047】
他の好ましい態様において、本発明のLXRアゴニストは下記式で示される化合物から選ばれる。
【化14】
好ましい態様の本群において、種々の基(例えば、R1、X1、X6、R2、R11、R12およびR13)は式IのLXRアゴニストに関した上記記載と同じ意味を有する。好ましくは、R1は−OHあるいは−NH2、およびX1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子である。さらに好ましいLXRアゴニストは、R2が置換アリール基で、さらに好ましくは置換フェニルあるいは置換チエニル基であるものである。
【0048】
さらに好ましい他の態様において、本発明のLXRアゴニストは下記式で示される化合物から選ばれる。
【化15】
【0049】
他の好ましい態様において、本発明のLXRアゴニストは下記群の式で示される。
【化16】
【0050】
好ましい化合物のこの群においては、上記の官能基のある種の組合せが特に好ましい。そのような態様の第1群においては、R1は−OHまた−NH2;X1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子;R12はフルオロ(C1−C4)アルキル;およびR2はアリール(例えばフェニル)である。好ましい第二の態様において、R1は−OHまた−NH2;X1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子;R12は水素原子または(C1−C4)アルキル;およびR2は置換または非置換チエニルである。好ましい第三の態様においては、R1は−OHまた−NH2;X1およびX6はそれぞれ独立して水素原子またはフッ素原子;R12は(C1−C4)アルキル;およびR2は−CN、−CF3、−O−(C1−C4)アルキル、−C(O)−(C1−C4)アルキル、−C(O)−O(C1−C4)アルキル、−C(O)−NH(C1−C4)アルキルおよび−C(O)N((C1−C4)アルキル)2から選ばれる少なくとも1つの基で置換されたフェニルである。さらに好ましくは、R1は−OH;およびR2は−CN、−CF3および−O−(C1−C4)アルキルから選ばれる少なくとも1つの基で置換されたフェニル基である。
【0051】
さらに好ましいLXRアゴニストは、LXRの、特に好ましくはLXRαのリガンド結合ドメインに、少なくとも10μMあるいはそれ以下の親和性で、さらに好ましくは1μMあるいはそれ以下の親和性で結合した化合物である。
【0052】
他の態様において、本発明は上記の式Iの化合物(列記した各置換基は上記の意味を有する)(但し「Y−R2」が−N(R12)S(O)m−R2または−N(R12)C(O)N(R13)−R12で、Arに結合している四級炭素原子にパラ位置で結合している場合、および「R2」が置換または非置換フェニル、ベンジル、またはベンゾイルである場合は、i)R12またはR13の少なくともひとつは水素原子または非置換アルキル以外の基で、またはii)R2がアミノ、アセタミド、ジ(C1−C7)アルキルアミノ、(C1−C7)アルキルアミノ、ハロゲン、水酸基、ニトロ、あるいは(C1−C7)アルキル以外の基で置換されており、またはiii)R2のベンゼン環部はY基以外に少なくとも3個の独立して選ばれる基で置換されている)を提供する。
【0053】
本分野の技術者には容易に明白であるが、式Iの化合物のいくつかは立体異性体として存在することがあり、本発明はこれらの化合物のすべての活性立体異性体を包含する。光学活性異性体の場合は、そのような化合物は対応する光学活性前駆体から上記の方法で、あるいはラセミ体混合物を分割して得ることができる。分割はクロマトグラフィー、誘導した不斉塩の反復再結晶、あるいは誘導化などの様々な技術を用いて行うことができ、これらの技術はこの分野の通常の技術者にはよく知られている。
【0054】
さらに、本発明のLXRアゴニストは様々な方法で標識できる。例えば、化合物は3H(トリチウム)と14C(炭素−14)などの放射活性アイソトープを含有できる。同様に、本化合物は、それによりプロドラッグとして、または担体、標識、アジュバンド、共活性体、安定剤等として機能する、広範囲の他の化合物と共有結合または非共有結合で、直接的にあるいは連結分子を介して有利に結合することができる。そのような標識された、および結合した化合物は本発明範囲内に包含される。
【0055】
B.LXRアゴニストの合成
上記の式IのLXRアゴニストは入手容易な出発物質あるいは既知の中間体を用いて調製することができる。反応工程式Iは本発明のLXRアゴニストの製造の為の多様な合成経路を示す。この分野の技術者であれば、他の方法も有用であることは理解するであろう。
【0056】
反応工程式1
【化17】
【0057】
反応工程式Iに示すように、アニリン(i、置換アニリンおよび他のアリールアミンの代表として)はアルキル化、アシル化あるいはアリール化(R基の一般的付加)してiiとなり、あるいは芳香環は例えばヘキサフルオロアセトンで誘導されてiiiとなる。iiiを適当なアルキル化剤、アシル化剤あるいはアリール化剤で処理してivを得、これを例えば適当はスルホニルハライドでスルホニル化してviを得ることが出来る。別法として、アニリン誘導体iiiをスルホニル化してvを得、これをアルキル化あるいはアシル化して式viの化合物を得ることもできる。
【0058】
他の本発明の他のLXRアゴニストは置換されたアニリンiv(あるいは別法としてiii)をアミドvii、カルバメートviii、およびウレアixの生成に適した試薬で処理して生成できる。
【0059】
多様な試薬が上記反応工程式に有用で、例えば、マーチ、Advanced Organic Chemistry 4th Ed., John Wiley & Sons, New York, NY (1992)に開示されている。LXRアゴニストを合成するための好ましい試薬および条件は、出願中の米国特許出願第60/115,292(1999年1月8日出願)および第60/124,525(1999年3月15日出願)に開示されており、それらの教示するところは本明細書に参照として組み込まれる。
【0060】
C.化合物のスクリーニング
上記で説明した通り、LXRを活性化し、よってLXRのアゴニストであるいかなる化合物も本発明の方法に使用できる。特に、科学的に信頼できるインビトロまたはインビボのいずれかの検査工程を用いて、LXRアゴニスト、特にLXRαアゴニストであることが判明したいずれの化合物も本発明の方法に使用することができる。
【0061】
図1はコレステロール低下剤として有用なLXRαアゴニストの同定およびスクリーニングに用いることが出来る典型的戦略の説明図を例示する。初めに、ハイスループットスクリーン(high throughput screen:HTS)をLXRαに結合する化合物を同定するために用いる。次に、結合を示す化合物について、LXRα介在転写活性化(transactivation)の強化能、およびLXRαへの結合の特異性を試験する。次に、有利な活性を示す化合物についてその細胞毒を試験する。さらに、予想される臨床投与量範囲で非毒性である化合物について、その薬物動態(PK)および構造−活性関係(SAR)活性を試験する。最後に、最も有利な性質を有するリード化合物について、高コレステロール血症モデルシステムでの実験を含む、動物実験で試験する。
【0062】
特に、化合物は、LXR受容体機能を活性化するその能力を、生化学アッセイ(出願中の米国特許出願番号第08/975,614(1997年11月21日出願)および09/163,713(1998年9月30日出願)参照)、あるいは、レーマンら、J. Biol. Chem., 272 (6), 3137−3140 (1997)に記載のような細胞ベースアッセイを用いてインビトロで評価できる。別法として、化合物および組成物は、ウエスタン・ブロット法を用いて、LXRで調節される遺伝子発現を増加あるいは減少するその能力で評価できる。化合物のコレステロール低下能を評価するために確立された動物モデルはこの分野で既知である。例えば、スパディーら、J. Clin. Invest.、81巻、300頁(1988);エバンスら、J. Lipid. Res.、35巻、1634頁(1994)、;リンら、J. Med. Chem.、38巻、277頁(1995)に記載の方法に類似のプロトコールを用いて、本明細書で開示の化合物は高コレステロール食餌で飼育されたハムスターのコレステロール値を低くすることが出来る。さらに、LXRα動物モデル(例えば、LXRα(+/−)および(−/−)マウス)は本発明化合物および組成物の評価に用いることが出来る(例えば、ピートら、Cell, 93: 693−704 (1998)参照)。
【0063】
上記のアッセイを用いて、多くの化合物のLXR、特にLXRαを調節、つまり活性化するその能力がスクリーニングできる。基本的には、水溶液に溶解できる化合物を用いることが多いが、いかなる化学的化合物もLXRの潜在的調節剤としてスクリーニングできる。好ましい態様において、アッセイは、検査工程を自動化し、いかなる通常の供給源からの化合物を検査に提供し(これらは通常は同時に並行して実行されている(例えば、ロボットアッセイにおけるマイクロタイタープレート上のマイクロタイターフォーマットにおける))ことのより、大きな化学ライブラリーをスクリーニングするよう設計されている。多くの化学化合物の市販供給者、例えばシグマ・ケミカル社(セントルイス、ミズーリ州)、アルドリッチ・ケミカル社(セントルイス、ミズーリ州)、シグマ−アルドリッチ(セントルイス、ミズーリ州)。フルカ・ケミカ−バイオケミカ・アナライティカ(ブックス、スイス)等が存在することは、本分野の技術者には認識されるであろう。
【0064】
好ましい1態様において、ハイスループットスクリーニング法は、多数の潜在的治療化合物(つまり、LXRアゴニスト)を含有するコンビナトリアルライブラリーを提供することを包含する。そのような「コンビナトリアル・ケミカル・ライブラリー」はここで述べる1個あるいは複数のアッセイでスクリーニングして、所望の特性活性を発揮する、つまりLXRを活性化するライブラリー構成員(特に化学的スペシーズあるいはサブクラス)を同定する。こうして同定された化合物は通常の「リード化合物」の役目を果たし、あるいはそれ自身が潜在的あるいは実際の治療剤として使用され得る。
【0065】
コンビナトリアルケミカルライブラリーは、化学合成あるいは生物学的合成により、例えば試薬などの化学的「基礎的要素(building block)」の多くを集めて、生じた多様化した化学化合物の収集(コレクション)である。例えば、ポリペプチドライブラリーなどの一次(linear)コンビナトリアルケミカルライブラリーは、化学的基礎的要素(アミノ酸)の1セットを、得られる化合物長さ(つまり、ポリペプチド化合物のアミノ酸数)をあらゆる可能性のある方法で集めることのより形成される。無数の化学化合物が化学的基礎的要素のこのようなコンビナトリアル混合により合成できる。
【0066】
コンビナトリアルケミカルライブラリーの調製およびスクリーニングは本分野の技術者には良く知られている。そのようなコンビナトリアケミカルライブラリーとしては、これらに限定されないが、以下のものがある。ペプチドライブラリー(米国特許第5,010,175、フルカ、Int. J. Pept. Prot. Res., 37: 487−493 (1991) およびほートンら、Nature, 354: 84−88 (1991)参照)がある。化学ダイバシティライブラリーを合成する他の化学も用いることが出来る。そのような化学としては、これらに限定されないが、ペプトイド(PCT公開第WO91/19735);コードされたペプチド(PCT公開第WO93/20242);ランダムバイオオリゴマー(PCT公開第WO92/00091);ベンゾジアゼピン(米国特許第5,288,514);ヒダントイン、ベンゾジアゼピンおよびジペプチドなどのダイバーソマー(DIVERSOMER)(ホブスら、Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 90: 6909−6913 (1993));ビニル性(vinylogous)ポリペプチド(ハギハラら、J Amer. Chem. Soc. 114: 6568 (1992));β−D−グルコーススカホルディング(Scaffolding)とのノンペプチド性ペプチド模倣(nonpeptidal peptidomimetics)(ハーシュマンら、J. Amer. Chem. Soc., 114: 9217−9218 (1992)); 小化合物ライブラリーの類縁有機合成(チェンら、J Amer. Chem. Soc., 116: 2661 (1994));オリゴカルバメート(チョら、Science, 261: 1303 (1993));および/またはホスホン酸ペプチジル(キャンベルら、J. Org. Chem. 59: 658 (1994));核酸ライブラリー(オースベル、ベーガーおよびサムブロック同上参照);ペプチド核酸ライブラリー(米国特許第5,539,083参照);抗体ライブラリー(ヴァーンら、Nature Biotechnology, 14 (3): 309−314 (1996)およびPCT/US96/10287参照); 炭水化物ライブラリー(リャングら、Science, 274: 1520−1522 (1996)および米国特許第5593853参照);小有機分子ライブラリー(ベンゾジアゼピン類、バームC&E、ニュース,1月、18, 33頁 (1993);イソプレノイド (米国特許第5,569,588); チアゾリジノン類およびメタチアザノン類(米国特許第5,549,974); ピロリジン類(米国特許第5,525,735および5,519,134);モルホリノ化合物(米国特許第5,506,337);ベンゾジアゼピン類(米国特許第5,288,514)等。
【0067】
コンビナトリアルライブラリーの調製のための装置は市販品から入手できる(357MPS、390MPS、アドバンスド・ケム・テック、ルイスビル、ケンタッキー州、シンフォニー、レイニン、ウーバーン、マサチュッセッツ州、433A、アプライド・バイオシステムス、フォスター・シティー、カリフォルニア州、9050プラス、ミリポア、ベッドフォード、マサチュッセッツ州)。さらに、多数のコンビナトリアルライブラリーがそれ自体市販されている(コムゲニックス、プリンセトン、ニュージャージー州、アシネックス、モスクワ、ロシア、トリポス・インク、セントルイス、ミズーリ州、ケムスター・リミテッド、モスクワ、ロシア、3Dファーマシューティカルズ、エクストン、ペンシルベニア州、マルテック・バイオサイエンシス、コロンビア、メリーランド州)。
【0068】
多くのよく知られたロボットシステムが液相ケミストリー用に開発されている。これらのシステムは、武田薬品工業株式会社(大阪、日本)で開発された自動合成装置などのような、自動化ワークステーションと、化学者により行われる手動合成操作を模倣したロボットアームを用いる多くのロボットシステム(ザイメートII、ザイマーク・コーポレーション、ホプキントン、マサチュセッツ;オルカ、ヒューレットパッカード、パロ・アルト、カリフォルニア)を包含する。上記の装置はいずれも本発明の使用に適している。ここで述べたように作動する様に、これらの装置への変更の本質および実施は関連分野の技術者には明白である。さらに、多くのコンビナトリアルライブラリーがそれ自体市販されている(コムゲネックス、プリンストン、ニュージャージー州;アシネックス、モスクワ、ロシア;トリポス・インク、セントルイス、ミズーリ州;ケミスター・リミティッド、モスクワ、ロシア;3Dファーマシューティカルズ、エクストン、ペンシルベニア州;マルテック・バイオサイエンシス、コロンビア、メリーランド州等)。
【0069】
ここに開示のインビトロアッセイを用いて、化合物はハイスループットフォーマットにおけるそのLXR活性化能を容易にスクリーニングできる。そのようなハイスループットアッセイにおいて、一日中に最大数千の異なる潜在的LXRアゴニストをスクリーニングすることが可能である。特に、マイクロタイタープレートの各ウェルは、選択した潜在的LXR調節剤に対して異なるアッセイを行うことができ、あるいは濃度あるいはインキュベーション時間効果が観察されるなら、5〜10分毎に一つのLXR調節剤を試験することが出来る。よって、一つの標準的マイクロタイタープレートは約100(96)調節剤を試験することが出来る。1536ウェルプレートを使用するなら、一つのプレートで約100〜約1500の異なる化合物を容易に試験すること出来る。一日当り多くの異なるプレートを試験することが可能であり、例えば、約6,000〜20,000、約100,000〜1,000,000の異なる化合物のスクリーニングアッセイが本発明の統合されたシステムを用いて可能である。
【0070】
ハイスループットスクリーニングシステムは市販品から入手できる(例えば、ザイマーク・コーポレーション、ホプキントン、マサチュセッツ州;エアー・テクニカル・インダストリー、メントール、オハイオ州;ベックマン・インストルーメント・インク、フラートン、カルフォルニア州;プレシション・システムズ・インク、ナティック、マサチューセッツ州等)。これらのシステムは通常、すべての試料および試薬のピペッティング、液体分配、時限のインキュベーション、およびアッセイに適した検知器でのマイクロプレートの最終解読を含む、すべての工程が自動化されている。これらの設定(変更)可能なシステムは、高度な柔軟性およびカスタマイズ化と同様、高度な処理能力(ハイスループット)と迅速な始動を提供する。このようなシステムの製造会社は様々なハイスループットシステムの詳細なプロトコールを提供している。よって、例えば、ザイマーク・コーポレーションは遺伝子転写、リガンド結合等の調節を検知するスクリーニングシステムを説明する技術的会報を提供している。
【0071】
LXRアゴニスト組成物
本発明の化合物、つまりLXRアゴニストは治療投与のための種々の製剤へ組み込むことが出来る。特に、本発明の化合物は、適当な薬理学的に許容される担体または希釈剤と混合して医薬組成物に製剤化することができる。本発明の使用に適した製剤とは、レミントンの製薬科学(マック出版社、フィラデルフィア、ペンシルベニア州、17編(1985)、これは参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。さらに、薬物輸送の方法の簡単な参考として、ランガー、Science, 249: 1527−1533 (1990)を参照(これは参照として本明細書に組み込まれる)。
【0072】
ここで用いられる用語「組成物」はその量が限定された特異な量の特異な構成要素(例えばLXRアゴニスト)からなる生成物、およびその量が限定された特異な量の特異な構成要素の組合せから直接的または間接的に得られるいずれの生成物を包含する。
【0073】
本発明の活性LXRアゴニスト化合物は医薬組成物として、例えば、不活性希釈剤と、あるいは同化性で食用に適する担体と経口投与でき、あるいはそれらは硬あるいは軟カプセルに封印され、あるいは錠剤に製剤化され、あるいは食餌中の食物と直接に混合されて投与される。舌下投与を含む経口治療用投与では、これらの活性化合物は賦形剤と混合され、錠剤、丸剤、カプセル剤、アンプル剤、サシュー剤、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤等の形態で使用することが出来る。活性化合物はまた、例えば、液体点滴あるいはスプレー剤として経鼻的に投与できる。経口投与が好ましい。そのような組成物および製剤は少なくとも0.1パーセントの活性化合物、つまりLXRアゴニストを含有すべきである。これらの製剤中の活性化合物のパーセンテージは、もちろん、変更でき、通常は単位投与形重量の約2%〜約60%の間である。
【0074】
LXRアゴニストの治療有効量、予防有効量および/または高比重リポ蛋白質上昇量は本発明の組成物および方法への使用に適している。用語「治療有効量」は、臨床医、例えば研究者、獣医、医師、あるいは整骨療法師などが求める組織、システム、動物またはヒトの生物学的または医薬的応答を引き出す、薬剤または医薬の量を意味するものである。
【0075】
用語「予防有効量」とは、アテローム性動脈硬化症やアテローム硬化性疾患現象の発生のリスクを予防あるいは減少させる、薬剤または医薬の量を意味するものである。
【0076】
用語「高比重リポ蛋白質上昇量」とは、対象の血漿HDL値を薬剤または医薬が投与される以前の値より上昇させる、薬剤または医薬の量を意味するものである。血漿HDL値の測定は医学分野の技術者に既知の医学的に許容される工程、例えば消費者に直接使用できる様設計されたアッセイキッドを用いて行うことが出来る。
【0077】
LXRアゴニストを用いる処方計画は、患者の型、種、年齢、体重、性別および医学的状態;治療する疾病の重篤度;投与方法;患者の腎臓および肝臓機能;および使用するLXRアゴニストまたはその誘導体を含む、多くのファクターによって選択される。これらのファクターの考慮は、病態の進行を予防、対抗あるいは停止させる為に要するLXRアゴニストの治療有効量と同様に、LXRアゴニストの適当なHDL上昇量を決定する目的で、通常の熟練した臨床医の権限範囲である。
【0078】
例えば、本発明の化合物は1日あたり、動物体重1kgに対し、約0.1mgから約100mgの範囲で、1日1回または1日2回〜6回、分割した投与形にして、あるいは持続性製剤にして投与できる。殆どの大きい動物に対しては、1日あたりの総投与量は約1.0mgから約1000mgの間であり、好ましくは約1mgから約50mgの間である。70kgの成人では、1日あたりの総投与量は通常は約7mgから約350mgの間である。この投与計画は至適治療応答を得るように調節できる。
【0079】
錠剤、丸剤、カプセル剤等はトラガカントゴム、アカシア、トウモロコシデンプンまたはゼラチンなどの結合剤;リン酸2カルシウムなどの賦形剤;トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、アルギン酸などの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;およびショ糖、乳糖またはサッカリンなどの甘味料を含有してもよい。投与単位形がカプセルの場合は、上記タイプの物質のほかに、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。
【0080】
他の種々の物質がコーティング剤として、或いは投与単位形の物理形状を変更するために存在していてもよい。例えば、錠剤はシェラック、糖あるいは両者で皮膜されていてもよい。シロップ剤またはエリキシル剤は、活性成分の他に、甘味料としてショ糖、保存剤としてメチルおよびプロピルパラベン、色素あるいはさくらんぼあるいはオレンジ風味の風味剤を含有してもよい。
【0081】
これらの活性化合物、つまりLXRアゴニストは非経口的にも投与できる。これらの活性化合物の溶液または懸濁液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と水中で適当に混合して調製できる。分散剤は、グリセロール、液体ポリエチレングリコールおよびこれらの油中混合物から調製出来る。貯蔵および使用の通常の条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防止するために保存剤を含有する
【0082】
注射投与に適した医薬製剤は、無菌の注射できる溶液または分散液を即席に調製するための、無菌水性溶液あるいは分散液と無菌粉末を含有する。すべてのケースで、製剤は無菌でなくてはならず、容易にシリンジで吸い上げられる程度までは流動性でなくてはならない。製造および保存条件下では安定でなくてはならず、細菌やかびなどの微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。担体は、例えば水、エタノール、多価アルコール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、これらの適当な混合物および植物油を含有する溶媒あるいは分散媒質である。
【0083】
上記の方法において、LXRアゴニストは単独であるいは他の1つあるいは複数の追加の活性薬剤と共に投与することができる。組合せ治療(combination therapy)は、LXRアゴニストと1つあるいはそれ以上の活性薬剤を含有する単一の医薬製剤を投与すること、およびLXRアゴニストと各活性薬剤をそれぞれ別々の医薬製剤で投与することを意味する。例えば、LXRアゴニストとHMG−CoA還元酵素阻害剤は単一の経口投与用組成物、例えば錠剤やカプセル剤で一緒に患者に投与することができるが、あるいは各活性薬剤を別々の経口投与製剤で投与することも出来る。別々の投与製剤を使用する場合は、LXRアゴニストと1つあるいは複数の追加の活性薬剤は基本的には同時に、つまり、並行して投与でき、あるいは別々の時差的な時間で、つまり順次に投与することもできる。組合せ治療はこれらすべての投与計画を包含するものと理解される。
【0084】
例えば、LXRアゴニストは以下の活性薬剤の1つあるいは複数と組合せて投与できる。高脂血症低下剤;血漿HDL上昇剤;コレステロール生合成阻害剤、例えば、HMG−CoA還元酵素阻害剤、HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレン・エポキシダーゼ阻害剤、あるいはスクアレン・シンセターゼ阻害剤(スクアレン・シンターゼ阻害剤としても知られている)などの高コレステロール血症低下剤;メリナミドなどのアシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩およびナイアシンアミド;βシトステロールなどのコレステロール吸収阻害剤:コレスチラミンやコレスチポールあるいは架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体などの胆汁酸金属イオン封鎖剤アニオン交換樹脂;LDL(低密度リポ蛋白質)受容体誘導物質;クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブリゾールなどのフィブラート;ビタミンB6(ピリドキシンとしても公知)および塩酸塩などのその薬理学的に許容される塩;ビタミンB12(シアノコバラミンとしても公知);ビタミンC、Eおよびβ−カロチンなどの抗酸化ビタミン;βブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;およびフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト(つまり、グリコプロテインIIb/IIIaフィブリノーゲン受容体アンタゴニスト)およびアスピリンなどの血小板凝集阻害薬。上記のとおり、LXRアゴニストは1つあるいはそれ以上の追加の活性薬剤と組合せて投与でき、例えば、LXRアゴニストとHMG−CoA還元酵素阻害剤およびアスピリンと組合せて、あるいはLXRアゴニストとHMG−CoA還元酵素阻害剤およびβブロッカーと組合せて投与できる。
【0085】
LXRアゴニストは好ましくはコレステロール生合成阻害剤、特にHMG−CoA還元酵素阻害剤と投与する。用語HMG−CoA還元酵素阻害剤は、HMG−CoA還元酵素阻害活性を有する化合物の薬理的に許容される塩、エステル、遊離酸およびラクトン型のすべてを包含し、よって、そのような塩、エステル、遊離酸およびラクトン形の使用もまた本発明範囲に包含される。HMG−CoA還元酵素の阻害活性を有する化合物は、本分野でよく知られたアッセイを用いて容易に同定することができる。例えば、適したアッセイは米国特許第4、231、938とWO84/02131(これらは参照して本明細書に組み込まれる)に記載、開示されている。適したHMG−CoA還元酵素阻害剤の例としては、これらに限定されないが、以下のものがある。ロバスタチン(lovastatin、MEVACOR(登録商標)、米国特許第4,231,938参照) ; シムバスタチン(simvastatin、ZOCOR(登録商標)、米国特許第4,444,784参照); プラバスタチンナトリウム(pravastatin sodium、PRAVACHOL(登録商標)、米国特許第4,346,227参照);フルバスタチンナトリウム(fluvastatin sodium、LESCOL(登録商標)、米国特許第5,354,772参照); アトルバスタチンカルシウム(atorvastatin calcium、LIPITOR(登録商標)、米国特許第5,273,995参照)およびリバスタチン(rivastatin、セリバスタチン(cerivastatin)としても知られている;米国特許第5,177,080参照)。これらおよび本発明の方法に使用できる他のHMG−CoA還元酵素阻害剤の構造式はM.ヤルパニ、「コレステロール低下薬」Chemistry & Industry, pp. 85−89 (1996年2月5日)に記載されている。現在のところ好ましい態様においては、HMG−CoA還元酵素阻害剤はロバスタチンおよびシムバスタチンから選択される。
【0086】
数種のHMG−CoA還元酵素阻害剤が米国で市販されているので、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与情報は本分野でよく知られている。特に、HMG−CoA還元酵素阻害剤の1日あたりの投与量は高コレステロール血症の治療に用いられ、内科医のデスク参照(Physicians’Desk Reference (PDR))に記載の量と同じか同等である。例えば、PDRの50版、1996(メディカル・エコノミックス社)、特に216頁の見出し「コレステロール低下剤」、準見出し「HMG−CoA還元酵素阻害剤」およびそこに引用されている参照頁を参照。好ましくは、HMG−CoA還元酵素阻害剤の経口投与量は約1から200mg/日であり、さらに好ましくは約5から160mg/日である。しかしながら、投与量は用いる個々のHMG−CoA還元酵素阻害剤の能力および上記の他のファクターによって変動するであろう。充分に大きな能力を持つHMG−CoA還元酵素阻害剤はミリグラム以下の1日当りの投与量で与えることが出来る。
【0087】
例として、シムバスタチンの1日あたりの投与量は、5mg、10mg、20mg、40mg、80mgおよび160mgから選択される;ロバスタチンは10mg、20mg、40mgおよび80mgから選択される;フルバスタチンナトリウムは、20mg、40mgおよび80mgから選択される;プラバスタチンナトリウムは、10mg、20mgおよび40mgから選択される。アトルバスタチンの1日あたりの投与量は1mgから160mgの範囲であり、特に5mgから80mgの範囲である。MG−CoA還元酵素阻害剤は1日あたり1回の投与が好ましいが、経口投与は単回投与あるいは分割した投与で、1日2、3または4回である。
【0088】
本発明によれば、LXRアゴニストのHDL上昇量は、哺乳動物、特にヒトの高密度リポ蛋白質の血漿レベルを上昇させるために有用な薬剤の調製に用いることが出来る。さらに、LXRアゴニストの予防有効量は、哺乳動物、特にヒトのアテローム性動脈硬化症の発生リスクを予防または減少するために、あるいは原発たは後続アテローム硬化性疾病現象を持つリスクを予防または減少するために有用な薬剤の調製に用いることが出来る。さらに、LXRアゴニストの治療有効量は、哺乳動物、特にヒトのアテローム性動脈硬化症の治療に有用な薬剤の調製に用いることが出来る。
【0089】
さらには、上記の薬剤の調製にあたっては、LXRアゴニストは治療有効量の以下の追加の活性薬剤の1つあるいはそれ以上と混合することが出来る:LDL低下剤;高脂血症低下剤;HDL上昇剤;HMG−CoAシンターゼ阻害剤、スクアレン・エポキシダーゼ阻害剤;スクアレン・シンセターゼ阻害剤;アシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩;ナイアシンアミド;コレステロール吸収阻害剤;胆汁酸金属イオン封鎖剤アニオン交換樹脂;低密度リポ蛋白質受容体誘導物質;クロフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブリゾール;ビタミンB6およびその薬理学的に許容できる塩;ビタミンB12;抗酸化ビタミン;βブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;血小板凝集阻害薬;フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト;およびアスピリン。
【0090】
特に、LXRアゴニストおよび治療有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤は上記記載の治療に有用な薬剤の調製に一緒に混合される。特に、LXRアゴニストと、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスチンおよびリバスタチンの薬理学的に許容されるラクトン、遊離酸、エステルおよび塩から選ばれる、治療有効量のHMG−CoA還元酵素阻害剤は、上記記載の治療に有用な経口投与に適した薬剤の調製に一緒に混合される。現在のところ好ましい態様において、薬剤調製に用いられるHMG−CoA還元酵素阻害剤はロバスタチンまたはシンバスタチンである。
【0091】
本理論に束縛されることなく、LXR活性化、例えばLXRアゴニストによるLXR活性化とHDL値との本関連はABCファミリーメンバーのLXRによる活性化により介在されると考えられている。特に、LXRアゴニストがABCファミリーメンバーの、特にステロール輸送に関与しているABCファミリーメンバーの発現を誘発できることが発見された。特に、LXR活性化はABCファミリーメンバーの転写に劇的な増加を引き起こす。つまり、この増加したABC活性はステロール、つまりコレステロール、および他の脂質の細胞膜を越えた輸送の増加を引き起こし、それによりHDL値の総体的増加を導く。
【0092】
実施例
本発明は特定の実施例により非常に詳細に説明される。以下の実施例は例示の目的のために示されたものであり、いかなる方法でも本発明を限定するものではない。本分野の技術者は、本質的に同じ結果を生じるよう、変更または修正され得る、様々な非限定的パラメーターを容易に認識するであろう。
【0093】
実施例1
LXRαアゴニストの同定および特徴付け
この実施例では、数種の化合物について、LXRαアゴニストとして作用するその能力を試験する(図1参照)。まず、化合物はLXRαへのその結合能を試験した。ついで、LXRαアゴニストはついで細胞ベースハイスループットスクリーンおよびペプチドセンサーLXRアッセイの両方で同定した。
【0094】
LXRα結合能
最初に、推定のアゴニストのLXRαに結合する能力を試験した。LXRαがグルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)に融合した融合プロテインを調製した。放射能標識した推定のアゴニスト化合物の融合プロテインに結合する能力を次に試験した。
放射性リガンド結合アッセイの結果を図2に示す。このアッセイは、化合物T314407がLXRα融合プロテインに直接結合し、GST単独には認めうるほどには結合しないことを示す。
化合物T314407について、LXRαに結合する他のリガンドとの競合能を試験した。様々な濃度の非標識T314407、T900546、T901433または24,25−エポキシコレステロールの存在下、LXRαに結合した放射能標識T314407のパーセンテージを測定した。図3に示す結果より、T314407が0.2μMのKiでLXRαに競合的に結合することが示された。
さらなる試験では、T314407とT900546について、LXRαへの結合に関してオキシコレステロールと競合する能力を試験した。放射能標識オキシコレステロール3H−24,25−エポキシコレステロールの量を、様々な濃度の非標識24,25−エポキシコレステロールあるいは推定のLXRアゴニストのT900546とT314407の存在下で比較した。図4に示すとおり、T900546とT314407は両者共、LXRαへの結合においてオキシコレステロールと競合できた。
【0095】
LXRαのリガンド介在構造変化
この実施例では、ペプチドセンサーアッセイを、推定のLXRαアゴニストのLXRαの構造変化を誘発する能力を示すために用いた。リガンド介在構造変化はLXRαなどの核ホルモン受容体の共通性質であると信じられている。PCT特許出願PCT/US98/24969(公開番号WO99/27365)で開示のとおり実施されたペプチドセンサーアッセイはインビトロアッセイである。
図5に示すとおり、LXRαアゴニストT900546、T314407およびT280404の増加する量の追加により、蛍光増加により証明される構造変化が生じた。オキシステロール24,25−エポキシコレステロールもまた蛍光増加を生じた。
【0096】
実施例2
LXRα介在転写に対するLXRアゴニストの効果
LXRアゴニストのLXRα介在転写を刺激する能力をこの実施例で説明する実験で試験した。最初に、コアクチベーター(coactivator)SRC−1のLXRαへのリクルートメントに対するアゴニストT314407の効果を哺乳類のツーハイブリッドアッセイ(two−hybrid assay)で試験した。次にT314407のLXR介在転写活性化能を、リポーター遺伝子コトランスフェクション(cotransfection)アッセイで試験した。最後に、様々なLXRアゴニストの転写に対する効果がLXR特異的であることが判明した。
簡単には、細胞ベースアッセイでは、非受容体転写因子GAL4のDNA結合ドメインはLXRαの推定のリガンド結合ドメインに融合した。得られた構築物は、GAL4アップストリーム活性化配列(UAS)のコントロール下、ルシフェラーゼリポーター構築物とともに、293個の細胞に導入された。トランスフェクションされた細胞をついで化合物で処理し、ルシフェラーゼ活性を測定した。個々の化合物を対照(化合物無添加)に比較して評価し、最大ルシフェラーゼ活性の50%を達成するために必要な濃度として、EC50を測定した。
【0097】
LXRαアゴニストはSRC−1コアクチベーターのリクルートメントを強化する
これらの実験の初期において、GLA4転写因子のDNA結合ドメインがSRC−1コアクチベーターに融合している融合ポリペプチドを用いた。GAL4 DNA結合ドメイン−SRC−1融合プロテインを発現するプラスミドと、LXRαリガンド結合ドメインがVP−16に融合している第二の融合プロテインを発現するプラスミドを使用した。HepG2細胞はpG5(5つのGAL4結合サイトのコントロール下のルシフェラーゼリポーターコード配列)ルシフェラーゼリポータープラスミド(0.25μg/1.5×105細胞)および2つの融合プロテインを発現するプラスミドと一時的にトランスフェクションした。シフェラーゼリポーター活性を、細胞をLXRアゴニスト(指定した濃度の)で処理後あるいは処理せずに測定した。相対的ルシフェラーゼ活性は処理および非処理細胞間のルシフェラーゼ活性の比(βガラクトシダーゼ活性により標準化)である。
【0098】
図6に示すとおり、推定のLXRアゴニストT314407とT280404は驚異的にSRC−1コアクチベーターのLXRαへのリクルートメントを刺激した。DMSO対照がリクルートメントを全く強化しないが、一方オキシステロール24,25−エポキシコレステロールもまたリクルートメントを刺激した。
【0099】
LXRαアゴニストはLXR介在転写を活性化する
LXRαアゴニストT280404とT314407のLXR介在転写を活性化する能力を試験した。推定のアゴニスト化合物のルシフェラーゼリポーター遺伝子のLXR介在転写に対する効果を図7に示す。T280404とT314407の両者がLXR介在転写を活性化した。
【0100】
LXRαアゴニストは特異的にLXR介在転写を活性化する
この実験では、LXRαおよび他の核受容体により活性化した転写に対する、LXRαアゴニストの効果を試験した。GAL4 DNA結合ドメインを含むプラスミドpM3(クローンテック・インク)に各々のコード領域を導入することにより、LXRα、LXRβ、CPF、HNF4、およびRXRのリガンド結合ドメインの融合プロテインをコードするプラスミドを構築した。得られたプラスミドを個々に、ルシフェラーゼリポーター遺伝子をGAL4アップストリーム活性化配列のコントロール下で含有するリポータープラスミドと共に細胞内にコトランスフェクションした。推定のLXRαアゴニストのT170400、T280404、T314393、T314407、T513892、T210943、T588142、および既知のLXRα調節剤24,25−エポキシコレステロールの存在下あるいは非存在下で、相対的ルシフェラーゼ活性を測定した。
図8に示すとおり、各推定のLXRαアゴニストは強力にLXR介在転写を活性化した。LXRβ介在転写に対しては、それより少ない程度の活性化が見られた。LXRαアゴニストはCPF、HNF4、FXRまたはRXRで介在される転写を活性化しなかった。
【0101】
化合物T314407で、最高値の活性化が観察され、T314407はLXRα介在転写を0.2μMのEC50(EC50は最大ルシフェラーゼ活性の50%を達成するために要する化合物量と定義されている)で活性化した。この化合物は、上記の競合アッセイで証明されたように、0.2μmのKiでLXRαに直接に結合する。さらに、T314407は細胞毒性ではなく、50μmより大きいEC50値を示す。T314407はまた、コレステロール異化の主経路である胆汁酸合成の律速酵素であるヒトコレステロール7α−ヒドロキシラーゼ(CYP7A)遺伝子の発現を転写活性化(transactivate)することが示された。よって、T314407および他のLXRαアゴニストはコレステロール値を低下し、他の脂質疾病の治療に有用である。
【0102】
T0314407の類縁体について、コレステロール低下、HDLコレステロール増加医薬として望ましい特質を試験した。いくつかの類縁体の構造、および化合物の対応する薬物動態データを図9に示す。ペプチドセンサー(FP)での化合物の活性、ルシフェラーゼ発現、細胞毒性、および血漿濃度を示す。これらの類縁体のひとつ、T0901317をインビボでの更なる実験用に選んだ。
【0103】
実施例3
LXRアゴニストの経口投与はインビボでHDLコレステロール値を増加させる
この実施例は、LXRアゴニストT0901317の経口投与による、血漿トリグリセリド値とHDLコレステロール値に対する効果を測定するための実験を説明する。実験は2週間に亘って、各タイムポイントで20匹のマウス(C57BL/6、10雄性と10雌性)を用いて行った。T0901317をマウスに1日1回、5または50mg/kg体重の投与量で投与した。7日目および14日目に、マウスの血液の血漿脂質濃度および肝臓遺伝子発現を測定した。
【0104】
T0901317の5mg/kgまたは50mg/kgの経口投与により、血漿総コレステロール値が雄性および雌性マウスの両者で増加した(図10、左側パネル)。HDLコレステロール値もまたLXRアゴニストの投与により増加した(図10、右側パネル)。血漿総コレステロールとHDLコレステロールの増加量は各投与でのT0901317の投与量に依存したが、投与14日間では、投与7日間投与に比較して、効果に著明は違いは得られなかった。T0901317の経口投与により、血漿トリグリセリド値の増加が得られた(図11)。これらの結果は、マウスを高コレステロール食事で飼育した場合でも有意に変化しなかった。
【0105】
これらの結果により、LXRアゴニストT0901317の経口投与でマウスにおいてHDLコレステロールフラクションが増加することが示される。HDLはアテローム発生に対して直接的に保護するので、これらの結果より、LXRアゴニストの投与はアテローム性動脈硬化症に対して保護出来ることが示唆される。
【0106】
ここに開示の実施例および態様は例示の目的のみのものであり、これらを鑑みて種々の修正や変更が本分野の技術者に提案され、それらが本出願の精神および範囲内、および添付の請求の範囲の範囲内であることは、理解されるであろう。本明細書に引用されたすべての出版物、特許および特許出願は、すべての目的のため参照して本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はコレステロール低下剤としての使用の為の、LXRαアゴニストのスクリーニング戦略の説明図を例示する。初めに、ハイスループットスクリーン(HTS)をLXRαに結合する化合物を同定するために用いる。次に、結合を示す化合物について、LXRα介在転写活性化(transactivation)の強化能、およびLXRαへの結合の特異性を試験する。次に、有利な活性を示す化合物についてその細胞毒を試験する。さらに、予想される臨床投与量範囲で非毒性である化合物について、その薬物動態(PK)および構造−活性関係(SAR)活性を試験する。最後に、最も有利な性質を有するリード化合物について、高コレステロール血症モデルシステムでの実験を含む、動物実験で試験する。
【図2】図2は、放射能標識LXRαアゴニストT314407がLXRαに直接結合することが示された、放射リガンド結合試験の結果を例示する。T314407のグルタチオン−S−トランスフェラーゼのみの結合は極わずかである。
【図3】図3は、LXRαアゴニストT314407の、LXRαへの結合に関して他の分子との競合能を試験したリガンド競合試験の結果を例示する。LXRαへ結合した放射能標識されたT314407の量は、T314407自身、他のアゴニストT900546およびT901433、および既知のLXRαリガンド24,25−エポキシコレステロールにより競合的に阻害された。
【図4】図4は、LXRαアゴニストT900546およびT314407が、放射能標識オキシステロール24,25−エポキシコレステロールのLXRα受容体への結合を競合的に阻害することを例示する。
【図5】図5は、LXRαアゴニストT900546、T314407およびT280404がLXRαの構造変化を誘発することが証明された、ペプチドセンサーアッセイの結果を例示する。オキシステロール24,25−エポキシコレステロールはまたペプチドセンサーアッセイにおいて構造変化を誘発した。
【図6】図6は、SRC−1ポリペプチドに融合したGAL4 DNA結合ドメインと、VP16活性化ドメインに融合したLXRαリガンド結合ドメインを含んだ第2の融合プロテインを含む融合プロテインで介在される転写に対するLXRαアゴニストの効果を示された、哺乳類ツーハイブリッド(two−hybrid)アッセイの結果を例示する。GAL4アップストリーム活性配列のコントロール下でのルシフェラーゼ遺伝子の発現量を示す。
【図7】図7は、コトランスフェクションアッセイにおけるLXR介在転写を活性化するLXRαアゴニストの能力を試験したアッセイの結果を例示する。ルシフェラーゼ遺伝子の発現量を示す。
【図8】図8は、LXRαアゴニストが特異的にLXR介在転写を活性化することを実証するデータを示す。
【図9】図9は、LXRαアゴニストT0314407の数種の類縁体およびそれらの薬物動態データを示す。
【図10】図10は、マウスにおいてLXRαアゴニストT0901317の経口投与により総コレステロールが上昇し、さらにHDLコレステロールのフラクションが増加することを示す、実験の結果を例示する。
【図11】図11は、LXRαアゴニストT0901317の経口投与によりマウス血漿トリグリセリド値の増加が起こることを示すデータを例示する。
Claims (43)
- LXRアゴニストのHDL上昇量を哺乳動物に投与することを特徴とする、哺乳動物の高比重リポ蛋白(HDL)の血漿値を上昇させる方法。
- 該LXRアゴニストがLXRαアゴニストである、請求項1記載の方法。
- 該LXRアゴニストが下記一般式で示される化合物またはその薬理学的に許容される塩である、請求項1記載の方法。
R1は−OH、−O−(C1−C7)アルキル、−OC(O)−(C1−C7)アルキル、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2および−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルから選ばれる基;
R2は(C1−C7)アルキル、アリールおよびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる基;
X1、X2、X3、X4、X5およびX6はそれぞれ独立して−H、(C1−C5)アルキル、−F、および−Clから選ばれる基、但し、X1からX6中2基を超えて−Hあるいは(C1−C5)アルキルであることはない;および
Yは−N(R12)S(O)m−、−N(R12)S(O)mN(R13)−、−N(R12)C(O)−、−N(R12)C(O)N(R13)−、−N(R12)C(S)−、および−N(R12)C(O)O−(式中、R12およびR13はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C7)アルキル、アリール、およびアリール(C1−C7)アルキルから選ばれる基で、Yが−N(R12)S(O)m−または−N(R12)S(O)mN(R13)−の場合は、R12はArへの共有結合を介してArに縮合した5員、6員または7員環を形成してもよい、およびmは1〜2の整数である)から選ばれる基。 - 該アリール基がベンゼン、ナフタレン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、ピロール、フランおよびチオフェンから選ばれる基である、請求項3記載の方法。
- 該アリール基がベンゼンである、請求項3記載の方法。
- R1が−OH、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2および−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルから選ばれる基である、請求項3記載の方法。
- R2がアリール基である、請求項3記載の方法。
- 該アリール基がフェニルである、請求項7記載の方法。
- 該フェニル基がY基に結合する位置に対してオルト位またはメタ位で少なく1つの置換基で置換されている、請求項8記載の方法。
- X1からX6中2基を超えて−Hあるいは(C1−C5)アルキルではない、請求項3記載の方法。
- 該LXRアゴニストが下記式から選ばれる化合物である、請求項3記載の方法。
各R11はそれぞれ独立して−OH、−NH2、低級アルキル、低級アルコキシ、−NR’R”、−SR’、−ハロゲン、−SiR’R”R’”、−OC(O)R’、−C(O)R’、−CO2R’、−CONR’R”、−OC(O)NR’R”、−NR”C(O)R’、−NR”C(O)NR’R’”、−NR”C(O)2R’、−NH−C(NH2)=NH、−NR’C(NH2)=NH、−NH−C(NH2)=NR’、−S(O)R’、−S(O)2R’、−S(O)2NR’R”、−CNおよび−NO2から選ばれる基(式中、R’、R”およびR’”はそれぞれ独立して水素原子、(C1−C8)アルキル、(C1−C8)ハロアルキル、(C1−C8)ヘテロアルキル、非置換アリール、(非置換アリール)−(C1−C4)アルキル、および(非置換アリール)オキシ−(C1−C4)アルキルから選ばれる基)。 - X1からX6がそれぞれFである、請求項3記載の方法。
- X1からX6がそれぞれ−F;R1が−OH、−CO2H、−NH2、−NH(C1−C7)アルキル、−N((C1−C7)アルキル)2および−NH−S(O)2−(C1−C5)アルキルから選ばれる基;Yが−N(R12)S(O)m−、−N(R12)C(O)−、および−N(R12)C(O)N(R13)−から選ばれる基;およびR2がアリールである、請求項3記載の方法。
- 該哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
- 該ヒトがアテローム性動脈硬化症の発症リスクにある、あるいはアテローム硬化症関連疾病に罹患している、請求項21記載の方法。
- 該ヒトがアテローム性動脈硬化症に罹患している、請求項21記載の方法。
- 該哺乳動物に、高脂血症低下剤;血漿HDL上昇剤;高コレステロール血症低下剤;コレステロール生合成阻害剤;アシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩;ナイアシンアミド;コレステロール吸収阻害剤:胆汁酸金属イオン封鎖剤アニオン交換樹脂;低密度リポ蛋白質受容体誘導物質;クロフィブラート、フェノフィブラートおよびゲムフィブリゾール;ビタミンB6およびその薬理学的に許容される塩;ビタミンB12;抗酸化ビタミン;βブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;血小板凝集阻害薬;フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト;およびアスピリンから選ばれる追加の活性薬剤を投与することを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 該追加の活性薬剤がコレステロール生合成阻害剤である、請求項24記載の方法。
- 該コレステロール生合成阻害剤がHMG−CoA還元酵素阻害剤である、請求項25記載の方法。
- 該HMG−CoA還元酵素阻害剤がロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチンおよびリバスタチンから選ばれる、請求項26記載の方法。
- 該LXRアゴニストが転写アッセイにおいて10μMあるいはそれ以下のEC50を持つ、請求項1記載の方法。
- 該LXRアゴニストが転写アッセイにおいて1.0μMあるいはそれ以下のEC50を持つ、請求項1記載の方法。
- 該LXRアゴニストが24,25−エポキシコレステロールとの競合結合アッセイにおいて、10μMあるいはそれ以下のKi値を持つ、請求項1記載の方法。
- 該LXRアゴニストが24,25−エポキシコレステロールとの競合結合アッセイにおいて、1.0μMあるいはそれ以下のKi値を持つ、請求項1記載の方法。
- 該LXRアゴニストが24,25−エポキシコレステロールとの競合結合アッセイにおいて、0.1μMあるいはそれ以下のKi値を持つ、請求項1記載の方法。
- 該LXRアゴニストが細胞毒性アッセイにおいて30μMあるいはそれ以上のEC50をもつ、請求項1記載の方法。
- 哺乳動物にLXRアゴニストの有効量を投与することを特徴とする、哺乳動物のアテローム性動脈硬化症を治療する方法。
- 該LXRアゴニストがLXRαアゴニストである、請求項34記載の方法。
- 該LXRアゴニストが請求項3記載のLXRアゴニストである、請求項34記載の方法。
- 該哺乳動物がヒトである、請求項34記載の方法。
- 該哺乳動物に、高脂血症低下剤;血漿HDL上昇剤;高コレステロール血症低下剤;コレステロール生合成阻害剤;アシル−コエンザイムA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤;プロブコール;ニコチン酸およびその塩;ナイアシンアミド;コレステロール吸収阻害剤:胆汁酸金属イオン封鎖剤アニオン交換樹脂;低密度リポ蛋白質受容体誘導物質;クロフィブラート、フェノフィブラートおよびゲムフィブリゾール;ビタミンB6およびその薬理学的に許容できる塩;ビタミンB12;抗酸化ビタミン;βブロッカー;アンギオテンシンIIアンタゴニスト;アンギオテンシン変換酵素阻害剤;血小板凝集阻害薬;フィブリノーゲン受容体アンタゴニスト;およびアスピリンから選ばれる、追加の活性薬剤を投与することを特徴とする、請求項34記載の方法。
- 哺乳動物にLXRアゴニストの予防有効量を投与することを特徴とする、哺乳動物のアテローム性動脈硬化症あるいはアテローム硬化関連疾患の発症リスクを減少させる方法。
- 該LXRアゴニストが請求項3記載のLXRアゴニストである、請求項40記載の方法。
- 心筋梗塞を罹患した患者にLXRアゴニストのHDL上昇量を投与することを特徴とする、心筋梗塞後治療。
- 該LXRアゴニストが請求項3記載のLXRアゴニストである、請求項42記載の方法。
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