JP2004364046A - 位相変調信号復調装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】8PSK信号とQPSK信号及び/又はBPSK信号を、簡易な構成で復調することができる位相変調信号復調装置を提供する。
【解決手段】直交検波した8PSK信号の同相成分及び直交成分に基づいて、復調データを出力する復調手段11と、前記同相成分及び直交成分と復調データとに基づいて基準角からの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、8PSK信号より相数が少ない少相数位相変調信号の同相成分及び直交成分を、当該少相位相変調信号の基準点を8PSK信号の基準点に一致するように回転させる位相回転手段と、該位相回転手段の出力を復調手段に入力したときに、前記位相誤差検出手段で検出した位相誤差と前記復調データとに基づいて当該位相誤差を補正する位相誤差補正値及び復調データを補正する補正データとを形成する補正手段とを備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】直交検波した8PSK信号の同相成分及び直交成分に基づいて、復調データを出力する復調手段11と、前記同相成分及び直交成分と復調データとに基づいて基準角からの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、8PSK信号より相数が少ない少相数位相変調信号の同相成分及び直交成分を、当該少相位相変調信号の基準点を8PSK信号の基準点に一致するように回転させる位相回転手段と、該位相回転手段の出力を復調手段に入力したときに、前記位相誤差検出手段で検出した位相誤差と前記復調データとに基づいて当該位相誤差を補正する位相誤差補正値及び復調データを補正する補正データとを形成する補正手段とを備えている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、8相位相シフトキーイング(8PSK)変調信号と、これより相数が少ない少相位相シフトキーイング(QPSK,BPSK)変調信号とを復調可能な位相変調信号復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の位相変調信号復調装置としては、従来、数種類のPSK変調信号を復調する場合に、搬送波位相誤差検出器を、同相成分及び直交成分のビット数を加算した加算値のべき乗分のワードサイズのROMで構成される絶対位相検出器と位相誤差算出器とで構成するようにしたPSK復調回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、変調相数に対応して複数の信号領域に分割される複素平面に変調信号の受信位相をマッピングし、変調信号の受信位相と最多の変調相数に対応した複数の基準位相との位相誤差を、誤差算出手段でマッピング位置と基準直線との距離として各々算出すると共に、複数の信号領域から受信位相がマッピングされた一つを領域判定手段で判定し、この信号領域に対応して誤差選択手段で複数の位相誤差から一つを選択するようにした誤差検出手段も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、8相PSK方式の位相検出装置を、QPSK復調用の4相位相比較器の出力である仮位相値TPVから位相領域判別回路によって受信信号の領域を判別し、仮位相値判別回路により角位相値TPVに固定値を加算若しくは減算して極性を変換した変換位相値CTPVを生成し、受信信号が存在する領域によって、仮位相値TPVをそのまま出力するか、変換位相値CTPVを出力するか選択して出力することにより、8相PSK方式の信号点配置に対応した基準搬送波を得るようにした位相検出装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−341264号公報(第1頁〜第5頁、図1)
【特許文献2】
特許第3185867号公報(第10頁〜第13頁、図1,図2)
【特許文献3】
特開2002−271432号公報(第11頁〜第13頁、図12)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、位相点誤差を求める方法としては、各相の変調方式に対して共通な僅かな演算で済むものであるが、同相成分及び直交成分から位相点を求める絶対位相検出器として、大容量のROMを用いる必要があり、回路規模が大きくなるという未解決の課題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、8PSKに関しては、位相誤差を検出することはできるが、QPSKの2つの基準位相と8PSKとのデータ判定領域が異なるため、8PSKのデータ判定を別途行う必要があると共に、位相誤差を距離として近似的に算出するので、位相誤差がサインカーブとなり、QPSKやBPSKに適用した場合に、位相誤差が大きくなるにつれて、近似誤差が大きくなるという未解決の課題がある。
【0008】
さらに、上記特許文献3に記載された従来例にあっては、QPSKから8PSKの位相誤差を算出するようにしているため、マッピングされた信号の領域により、誤差が生じることになると共に、データ領域範囲が複雑となるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡易な構成で、8相位相変調信号と4相位相変調信号及び2相位相変調信号等の少相変調信号とを少ない近似誤差で正確に復調することができる位相変調信号復調装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の技術手段は、送信側から送信される8相位相変調信号と、4相位相変調信号及び2相位相変調信号の何れかでなる少相位相変調信号とを少なくとも受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、受信した8相位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて8個の位相点存在領域から位相点の存在領域を検出して復調データを出力する復調手段と、該復調手段で復調された復調データと、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点存在領域における基準角からの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、前記少相位相変調信号の同相成分及び直交成分を前記8相位相変調信号の位相点に一致するように回転させる位相回転手段と、該位相回転手段で回転させた同相成分及び直交成分を前記復調手段に入力したときに、前記位相誤差検出手段で検出した位相誤差と、前記復調データとに基づいて当該位相誤差を補正する位相誤差補正値及び復調データを補正する補正データとを形成する補正手段と、該補正手段で形成した位相誤差補正値に基づいて同相成分及び直交成分の位相誤差を除去する位相誤差除去手段と、前記復調手段で復調した復調データを前記補正手段で形成した補正データで補正する復調データ補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
この第1の技術手段では、位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分に基づいて復調手段で位相点の存在領域を検出し、検出した位相点存在領域に対応する復調データを形成し、この復調データと同相成分及び直交成分とに基づいて位相誤差検出手段で位相点領域における基準角からの位相誤差を検出する。
このとき、8相位相変調信号については位相誤差検出手段で検出した位相誤差をそのまま位相誤差として使用するが、4相位相変調信号又は2相位相変調信号については、これらの位相点を8相位相変調信号の位相点に一致するように位相回転手段で位相を回転させてから復調手段及び位相誤差検出手段に入力し、このときの位相誤差検出手段で検出した位相誤差を、補正手段で位相誤差と復調データとに基づいて算出した位相誤差補正値で補正することにより、少相変調信号に対応した正確な位相誤差を算出して、位相誤差を除去すると共に、正確な復調データを形成する。
【0011】
このように、上記第1の技術手段によれば、8相位相変調信号の位相誤差を同相成分及び直交成分と復調データとに基づいて位相誤差検出手段で算出し、この位相誤差検出手段に、少相位相変調信号を、位相点が8相位相変調信号の位相点に一致するように回転させて供給したときに、算出される位相誤差が8相位相変調信号に対応するものとなるので、この位相誤差を補正手段で算出した位相誤差補正値で補正することにより、少相位相変調信号の位相誤差を正確に求めることができ、ROMや複雑な回路を用いることなく、簡易な構成で8相位相変調信号とこれより相数の少ない少相位相変調信号とを正確に復調することができる。
【0012】
また、第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記少相位相変調信号が、4相位相変調信号及び2相位相変調信号であることを特徴としている。
この第2の技術手段では、8相位相変調信号、4相位相変調信号及び2相位相変調信号を同一の復調手段、位相誤差検出手段及び補正手段を使用して正確に復調することができる。
【0013】
さらに、第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記復調手段は、前記位相点領域検出手段は、入力される同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とに基づいて復調データを求めるように構成されていることを特徴としている。
この第3の技術手段では、8相位相変調信号及び少相位相変調信号の同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とから位相点の存在する位相存在領域に対応する復調データを正確に求めることができる。
【0014】
さらにまた、第4の技術手段は、第1乃至第3の何れかの技術手段において、前記位相誤差検出手段は、位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じた基準角に対応する正弦値及び余弦値を個別に出力する第1及び第2のデコーダと、該第1のデコーダから出力される正弦値と前記同相成分とを乗算する同相成分乗算手段と、前記第2のデコーダから出力される余弦値と前記直交成分とを乗算する直交成分乗算手段と、該直交成分乗算手段の乗算値から前記同相成分乗算手段の乗算値を減算して位相誤差角を算出する減算手段とを備えていることを特徴としている。
【0015】
この第4の技術手段では、位相点存在領域情報に基づいて第1のデコーダから位相点存在領域における基準角の正弦値を出力すると共に、第2のデコーダから位相点存在領域おける基準角の余弦値を出力し、同相成分に正弦値を乗算し、直交成分に余弦値を乗算して、余弦値を乗算した直交成分から正弦値を乗算した同相成分を減算することにより、位相誤差角を算出する。
【0016】
すなわち、位相点存在領域の基準角をαとし、この基準角αからの位相誤差角をθとしたときに、同相成分はcos(α−θ)で表され、直交成分はsin(α−θ)で表される。したがって、直交成分sin(α−θ)に基準角αの余弦値cosαを乗算した乗算値sin(α−θ)・cosαから同相成分cos(α−θ)に基準角αの正弦値sinαを乗算した乗算値cos(α−θ)・sinαを減算することにより、位相誤差角θの近似値としてsinθを算出する。
【0017】
したがって、8つの位相存在領域の正弦値及び余弦値はsin(π/8)及びcos(π/8)の正負値で表すことができるので、位相点存在領域情報に基づいて第1及び第2のデコーダで正負のsin(π/8)及びcos(π/8)を選択するだけでよく、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と減算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0018】
なおさらに、第5の技術手段は、第1乃至第3の何れかの技術手段において、前記位相誤差検出手段は、同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力する比較選択手段と、該比較選択手段で選択した小さい成分にcos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段と、前記比較選択手段で選択した大きい成分にsin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段と、前記余弦値乗算手段及び正弦値乗算手段で算出した乗算値に対して位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じて正負の符号付けする符号付与手段と、該符号付与手段で符号付けされた乗算値を加算する加算手段とで構成されていることを特徴としている。
【0019】
この第5の技術手段では、比較選択手段で同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力し、小さい成分にcos(π/8)を乗算し、大きい成分にsin(π/8)を乗算し、両乗算値に正負の符号付けを行うことにより、前述した第4の技術手段と同様に、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と符号付与手段と加算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0020】
また、第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記余弦値乗算手段は、入力データを4ビットシフトさせる4ビットシフト器と、入力データから前記4ビットシフト器の出力値を減算する減算器とで構成され、前記正弦値乗算手段は、入力データを夫々2ビット及び3ビットシフトさせる2ビットシフト器及び3ビットシフト器と、両ビットシフト器の出力を加算する加算器とで構成されていることを特徴としている。
【0021】
この第6の技術手段では、さらに入力データを4ビットシフト器で4ビットシフトさせることにより、入力データの1/16(=入力データ×0.0625)を演算し、この演算値を入力データから減算することにより、cos(π/8)の近似値0.9375を入力データに乗算した値を得ることができ、入力データを2ビットシフト器で2ビットシフトさせることにより入力データの1/4(=入力データ×0.25)を演算し、同様に入力データを3ビットシフト器で3ビットシフトさせることにより、入力データの1/8(=入力データ×0.125)を演算し、両者を加算することにより、sin(π/8)の近似値0.375を入力データに乗算した値を得ることができ、ビットシフト器と加算器及び減算器とで乗算器を用いることなく正弦値乗算手段及び余弦値乗算手段を構成することができ、位相誤差検出手段をより簡易に構成することができる。
【0022】
さらに、第7の技術手段は、第1乃至第6の何れかの技術手段において、前記補正手段が、少相位相変調信号が4相位相変調信号であるときに、復調データの最下位ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて4相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0023】
この第7の技術手段では、4相位相変調信号の同相成分及び直交成分か復調手段及び位相誤差検出手段に入力されたときに、8相位相変調信号に対応する位相誤差検出手段で検出された位相誤差を、4相位相変調信号に対応する位相誤差に正確に補正する位相誤差補正値を算出することができ、4相位相変調信号を正確に復調することが可能となる。
【0024】
さらにまた、第8の技術手段は、第1乃至第6の何れかの技術手段において、前記補正手段は、少相位相変調信号が2相位相変調信号であるときに、復調データの下位2ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて2相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0025】
この第8の技術手段では、2相位相変調信号の同相成分及び直交成分が復調手段及び位相誤差検出手段に入力されたときに、8相位相変調信号に対応する位相誤差検出手段で検出された位相誤差を、2相位相変調信号に対応する位相誤差に正確に補正する位相誤差補正値を算出することができ、2相位相変調信号を正確に復調することが可能となる。
【0026】
なおさらに、第9の技術手段は、第1乃至第6の何れかの技術手段において、前記補正手段が、少相位相変調信号が4相位相変調信号であるときに、復調データの最下位ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて4相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力し、少相位相変調信号が2相位相変調信号であるときに、復調データの下位2ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて2相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0027】
この第9の技術手段では、4相変調信号及び2相変調信号の何れかの同相成分及び直交成分が位相誤差検出手段に入力されたときに、8相位相変調信号に対応する位相誤差を、入力された4相変調信号又は2相変調信号に対応する位相誤差に正確に対応させた補正を行うことができ、少相位相変調信号についても正確な復調を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す2.4GHzのISM帯を使用する近距離無線通信システムに適用した場合の無線データ受信装置を示すブロック図である。
【0029】
図中、WRは無線データ受信装置であって、この無線データ受信装置WRは、受信アンテナ1を有し、この受信アンテナ1で送信側から送信される8相位相シフトキーイング(8PSK)変調信号を受信し、受信した受信信号はミキサ2に供給されて、このミキサ2で、受信信号に位相同期ループ(以下、PLLと称す)回路3から入力される局部発振信号を乗算してダウンコンバートして中間周波信号(IF信号)に変換される。
【0030】
そして、ミキサ2から出力される中間周波信号は、バンドパスフィルタ4を通じて受信信号を位相シフトキーイング復調するPSK復調部5に供給される。
このPSK復調部5は、入力される中間周波信号を同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)に変換する直交検波回路6と、この直交検波回路6から出力される同相成分及び直交成分が入力され、これらから次段のA/D変換器8a,8bのサンプリング周波数の1/2以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ7a及び7bと、これらローパスフィルタ7a及び7bのフィルタ出力が入力され、このフィルタ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器8a及び8bと、A/D変換器23a及び23bの出力信号が入力される位相同期ループ(PLL)式の復調回路9とを備えている。
【0031】
直交検波回路6は、中間周波信号が分岐されて入力される2つのミキサ6a及び6bと、これらミキサ6a及び6bに供給する局部発振信号を出力する発振器6cとを有し、発振器6cから出力される局部発振信号が直接ミキサ6aに供給されると共に、局部発振信号を90度移相する移相器6dを介してミキサ6bに供給することにより、ミキサ6aから同相成分(I成分)が出力され、ミキサ6bから直交成分(Q成分)が出力され、これら同相成分及び直交成分が複素ベースバンド信号を表している。
【0032】
復調回路9は、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号の同相成分I及び直交成分Qが入力されて、これら同相成分I及び直交成分Qを位相誤差を除去する方向に回転させる複素乗算器10と、この複素乗算器10から出力される位相回転された同相成分I′及び直交成分Q′が入力される復調手段としての復調器11と、複素乗算器10から出力される位相回転された同相成分I′及び直交成分Q′が入力される位相同期ループ(PLL)回路12と、復調器2から出力される復調データDDと位相同期ループ回路12から出力される補正データADとを加算して復調データを出力する復調データ補正手段としての加算器13とで構成されている。
【0033】
ここで、複素乗算器10は、A/D変換器8a及び8bから入力される同相成分I及び直交成分Qに後述する位相同期ループ回路12の数値制御発振器から入力される正弦値sinθ及び余弦値cosθを個別に乗算して、4つの乗算値Isinθ、Icosθ、Qsinθ及びQcosθを算出し、Isinθ及びQcosθを加算して回転同相成分I′を算出すると共に、Qsinθ及びIcosθを加算して回転直交成分Q′を算出し、これら回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力する。
【0034】
復調器11は、複素乗算器10から入力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号と絶対値の大小比較とに基づいて位相点が存在する位相点存在領域を特定し、特定した位相点存在領域に対応する3ビットの復調データを出力する。
すなわち、8相PSK変調信号の位相配置図は、図2に示すように、横軸に同相成分I′を、縦軸に直交成分Q′を夫々とったときに、8つの基準点PB1〜PB8は夫々、第1象限〜第4象限に夫々2つずつ横軸を“0”としたときに、位相角π/8、3π/8、5π/8、7π/8、9π/8、11π/8、13π/8及び15π/8位置となる。
【0035】
このため、各基準点PB1〜PB8を中心として隣接する基準点との中間位相角0、2π/8、4π/8、6π/8、8π/8、10π/8、12π/8、14π/8及び16π/8を境界線としたときに、位相角0〜2π/8の範囲を基準点PB1の存在する位相点存在領域A1、2π/8〜4π/8の範囲を基準点PB2の存在する位相点存在領域A2、……14π/8〜0の範囲を基準点PB8の存在する位相点存在領域A8として設定する。
【0036】
そして、入力される同相成分I′及び直交成分Q′の絶対値の大小比較結果と、同相成分I′及び直交成分Q′の符号とから実際の位相点が前述した位相点存在領域A1〜A8の何れの領域に存在するかを判定し、下記表1に示すように、該当する位相点存在領域Ai(i=1〜8)を3ビットの“000”,“001”,……“111”で表した復調データDDを加算器13及び位相同期ループ回路12に出力する。
【0037】
【表1】
【0038】
位相同期ループ回路12は、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′と復調器11から出力される復調データDDが入力されて位相誤差θを検出する位相誤差検出回路21と、この位相誤差検出回路21から出力される位相誤差θと復調器11から出力される復調データDDとが入力されて、4相位相変調信号(以下、QPSKと称す)を受信したときの位相誤差補正値PA及び補正データADを算出する補正回路22と、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差θと補正回路22から出力される位相誤差補正値PAとを加算する加算器23と、加算器23の加算出力を平均化するループフィルタ24と、このループフィルタ24のフィルタ出力に応じた正弦値sinθ及び余弦値cosθを演算して複素乗算器10に出力する数値制御発振器25とで構成されている。
【0039】
ここで、位相誤差検出回路21は、図3に示すように、復調器11から入力される位相点存在領域を表す復調器データDDが入力され、これに基づいてsinα(α=π/8、3π/8、……、15π/8)に対応して正弦値(=sin(π/8)=±0.38268)及び余弦値(=cos(π/8)=±0.92387)の何れかを選択して出力する第1及び第2のデコーダ31及び32と、第1のデコーダ31の出力値と同相成分I′とを乗算する乗算器33と、第2のデコーダ32の出力値と直交成分Q′とを乗算する乗算器34と、乗算器34から出力される乗算値から乗算器33から出力される乗算値を減算して位相誤差θを算出する減算器35とを備えている。
【0040】
ここで、第1及び第2のデコーダ31及び32は、復調器データDDに基づいて下記表2に示すように正弦値及び余弦値を選択して乗算器33及び34に出力する。
【0041】
【表2】
【0042】
また、補正回路22は、図4に示すように、セレクト信号形成回路41と、このセレクト信号形成回路41から出力されるセレクト信号SSに基づいて3つの入力値から1つを選択するセレクタ42及び43とを備えている。
ここで、セレクト信号形成回路41は、予め設定された“1”を表す領域指定信号と復調器データDDの最下位ビット(LSB)とが入力される排他的論理和回路41aと、この排他的論理和回路41aの排他的論理和出力と、受信した位相変調信号の相数を表し、QPSKであるときに“0”、8PSKであるときに“1”となる相数選択信号と、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差信号θの符号を表す最上位ビット(MSB)とが入力され、これらに基づいて下記表3を参照してセレクト信号SSを形成するデコーダ41bとで構成されている。
【0043】
【表3】
【0044】
また、セレクタ42は、選択データとして“0”、“−π/4”及び“+π/4”が入力されており、下記表4に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、位相補正値PAとして加算器23に出力する。
【0045】
【表4】
【0046】
さらに、セレクタ43は、選択データとして“0”、“+1”及び“−1”が入力されており、下記表5に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、補正データADとして加算器13に出力する。
【0047】
【表5】
【0048】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、図示しない送信装置から8相PSK変調信号を無線送信し、これを無線データ受信装置WRで受信すると、受信アンテナ1で受信した受信信号がミキサ2に供給されて中間周波信号(IF信号)に変換されてバンドパスフィルタ4を介してPSK復調部5に供給される。
【0049】
このPSK復調部5では、入力される中間周波信号を直交検波器6で検波することにより、同相成分I及び直交成分Qをローパスフィルタ7a及び7bを介してA/D変換器8a及び8bに供給してデジタル信号に変換する。
そして、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号が位相同期ループ(PLL)式の復調回路9に入力されてPSK復調される。
【0050】
このとき、復調回路9では、まず、複素乗算器10で、入力される同相成分I及び直交成分Qと位相同期ループ回路12の数値制御発振器25から出力される正弦値sinθ及び余弦値cosθとを4つの乗算器で互いに乗算して、これらの乗算値を加算することにより、入力される同相成分I及び直交成分Qを位相誤差を除去する方向に回転させた回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を算出し、算出した回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を復調器11及び位相誤差検出回路21に供給する。
【0051】
復調器11では、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号と、これら同相成分I及び直交成分Qの絶対値大小比較によって、位相点(シンボル点)Piが存在する位相点存在領域Aiを特定する。
今、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点Piが、図5に示すように、図2の位相配置図における第1象限における位相点存在領域A2で、基準点PB2に対して反時計方向に位相誤差角+θだけずれた位置に存在するものとする。
【0052】
この状態では、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号が共に正であり、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいので、仮復調器21で、位相点Piが位相点存在領域A2に存在することを検出し、位相点存在領域A2を表す“001”の復調データDDを位相同期ループ回路12の位相誤差検出回路21及び加算器13に出力する。
【0053】
このため、位相誤差検出回路21では、第1及び第2のデコーダ31及び32で入力された復調データDDに基づいてsin(3π/8)〔=cos(π/8)〕及びcos(3π/8)〔=sin(π/8)〕に対応する正弦値+0.92387及び余弦値+0.38268を乗算器33及び34に出力する。
これら乗算器33及び34には回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が入力されているので、これらが乗算され、その乗算出力I′×0.92387及びQ′×0.38268が減算器35に出力されることにより、Q′×0.38268−I′×0.92387が算出されて、位相誤差角+θが算出される。
【0054】
すなわち、図5に示すように、基準点PB2の座標は位相角をαとしたとき、(cosα,sinα)で表され、位相点P2が基準点PB2から反時計方向にθだけずれているので、位相点P2の座標は(cos(α+θ)=I′,sin(α+θ)=Q′)で表される。
したがって、第1及び第2のデコーダ31及び32で夫々正弦値sinα及び余弦値cosαを算出し、これらと同相成分cos(α+θ)及び直交成分sin(α+θ)を乗算することにより、乗算値sinα・cos(α+θ)及びcosα・sin(α+θ)が算出され、これが減算器35に供給されるので、下記(1)式で表される減算値S即ち位相誤差角θを算出する。
【0055】
ここで、θは位相点存在領域Ai内の値であって、−π/8≦θ≦+π/8であるので、sinθを位相誤差角θの近似値として採用することができる。
【0056】
この位相誤差検出回路21で算出された位相誤差角θが補正回路22及び加算器23に供給される。補正回路22では、受信信号が8PSKであるので、相数選択信号が“1”となることにより、領域指定信号及び位相誤差検出回路21から出力される位相誤差信号θの符号を表す最上位ビットの値にかかわらず、前記表2からセレクト信号SSが“00”となり、これがセレクタ42及び43に供給されることにより、これらセレクタ42及び43で“0”の位相誤差補正値PA及び補正データADが選択され、位相誤差補正値PAが加算器23に供給され、補正データADが加算器13に供給される。
【0057】
このため、8PSK信号では、位相誤差検出回路21で検出した位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されるので、この数値制御発振器25で、位相誤差角θに応じた正弦値sinθ及び余弦値cosθが複素乗算器10に供給されて、位相誤差を除去する回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が算出される。
【0058】
一方、加算器13では、復調器11で検出された“001”で表される復調データDDに“0”の補正データADが加算されることにより、復調データDDがそのまま復調データとして出力される。
また、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び直交成分Q′で表される位相点Piが基準角PBiに対して時計方向に遅れている場合には、位相点Piを構成する同相成分Iがcos(α−θ)で表され、直交成分Qがsin(α−θ)で表されることになる。このため、これらにデコーダ31及び32から出力されるsinα及びcosαを乗算してから減算器35で減算することにより、減算器35の減算出力Sは下記(2)式で表される。
【0059】
このため、負値の位相誤差角−θを算出することができる。
【0060】
この8PSK信号の受信状態から、QPSK信号の受信状態に切換わると、先ず、位相同期ループ回路12の数値制御発振器25でQPSK信号と8PSK信号との位相点のずれ角π/8だけ回転させるオフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)が複素乗算器10に出力され、これによって、複素乗算器11から、図2で●で表されるQPSK信号の基準点P41〜P44をπ/8だけ回転させた図2で◎で示すPB2、PB4、PB6及びPB8にシフトさせた回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0061】
このとき、位相誤差が図2でハッチング図示の8PSK信号の位相誤差範囲内であるときには、復調器11から出力される復調データDDが“001”となり、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差角θが−π/8≦θ≦+π/8の範囲となり、補正回路22の排他的論理和回路41の出力が領域指定信号“1”と復調データDDの最下位ビット“1”とが一致することにより、“0”となるので、セレクト信号形成回路41から“00”のセレクト信号SSがセレクタ42及び43に出力されるので、位相誤差検出回路21で検出される位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されて、オフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)に加算されて正弦値sin(π/8+θ)及び余弦値cos(π/8+θ)が複素乗算器10に出力されて、位相誤差を解消する方向に回転した回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を算出し、この回転同相成分I′及び回転直交成分Q′に応じた復調データDDが加算器13を介してそのまま復調データとして図示しない信号処理回路に出力され、この信号処理回路で上位2ビット“00”がQPSK信号の復調データとして信号処理される。
【0062】
ところが、QPSK信号の位相誤差が大きく、位相点P2が位相点存在領域A2を越える位相点存在領域A1におけるπ/8〜2π/8の領域に存在する場合には、復調回路11では“000”の復調データDDが加算器13に出力され、位相誤差検出回路21では位相点存在領域A1の基準点PB1からの位相誤差角+θが出力される。
【0063】
このとき、補正回路22では、排他的論理和回路41で領域指定信号が“1”であり、復調データDDの最下位ビットが“0”であることから排他的論理和出力が“1”となり、さらに位相誤差検出回路21から出力される位相誤差角θの最上位ビットが正値を表す“0”となり、相数選択信号が“0”であるので、デコーダ41bで表3を参照して、“01”のセレクト信号SSがセレクタ42及び43に出力される。
【0064】
このため、セレクタ42で−π/4が位相誤差補正値PAとして選択されて加算器23に出力され、セレクタ43で“+1”が補正データADとして選択されて加算器13に出力される。
このため、加算器23で図2における位相点存在領域A2の基準点PB2から負方向の位相誤差角−θ′を表すQPSK信号の位相誤差角+θ−π/4が算出される。そして、算出される位相誤差角+θ−π/4がループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されて、前述したようにオフセット正弦値及びオフセット余弦値に加算されて、複素乗算器10に供給されることにより、この複素乗算器10でQPSK信号の位相誤差を解消する回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0065】
一方、加算器13では、復調データ“000”に“+1”が加算されることにより、正規の位相点存在領域A2を表す“001”の復調データが算出され、これが図示しない信号処理回路に出力される。
また、位相点が位相点存在領域A1における0〜π/8の領域に存在する場合には、位相誤差検出回路21で算出される位相誤差角が−θとなり、排他的論理和回路41aの出力は“1”、相数選択信号は“0”であるので、デコーダ41bから“10”のセレクト信号SSがセレクタ42及び43に出力される。
【0066】
このため、セレクタ42では+π/4が位相誤差補正値PAとして選択されて、これが加算器23に出力され、セレクタ43では“−1”が補正データADとして選択されて、これが加算器13に出力される。
したがって、加算器23の出力は、位相点存在領域A8の基準点PB8からの+θ″を表す位相誤差角θ+π/4が算出され、加算器13では“000”の復調データDDに“−1”が加算されることにより、正規の位相点存在領域A8を表す“111”の復調データが図示しない信号処理回路に出力され、この信号処理回路で上位2ビット“11”をQPSK信号の復調データとして信号処理を行う。
【0067】
このように、上記第1の実施形態によれば、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′に基づいて復調器11で復調データDDを復調すると共に、位相誤差検出回路21で8相位相変調信号に対応する位相誤差角θを算出し、受信信号が8相PSK信号であるときには、補正回路22で“0”の位相誤差補正値PAを算出すると共に、“0”の補正データADを算出することにより、位相誤差検出回路21で検出した位相誤差角θをそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給することにより、位相誤差を除去すると共に、復調データDDをそのまま出力することにより、8PSK受信信号を正確に復調することができる。
【0068】
また、受信信号が4相位相変調信号(QPSK)である場合には、数値制御発振器25でオフセット正弦値及びオフセット余弦値を発生させて、これを複素乗算器10に供給することにより、QPSK信号の基準点を8PSKの基準点に一致させると共に、位相誤差検出回路21で検出された8PSK信号に対応する位相誤差角θを補正回路22で、QPSK信号の基準点から位相誤差角θ′,θ″に補正する位相誤差補正値PA及び復調データDDを補正する補正データADを算出し、これらに基づいて位相誤差検出値θ及び復調データDDを補正することにより、正確な位相誤差を検出することができると共に、正確な復調データを得ることができる。
【0069】
しかも、このための構成が、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号と絶対値の大小比較に基づいて復調データを出力する復調器11と、復調データに基づいて正弦値及び余弦値を選択するデコーダ31,32と乗算器33,34と減算器35とで構成される位相誤差検出回路21と排他的論理和回路41a、デコーダ41b、セレクタ42,43とで構成される補正回路22とを設けるだけでよく、従来例に比較して回路規模を大幅に縮小することができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態を図6について説明する。
この第2の実施形態では、8PSK信号、QPSK信号に加えて2相位相変調(BPSK)信号も復調可能に構成したものである。
すなわち、第2の実施形態では、補正回路22が図4に変えて図6に示すように構成されている。
【0071】
この補正回路22は、3ビットのセレクト信号SSを形成するセレクト信号形成回路51と、このセレクト信号形成回路51から出力されるセレクト信号SSによって5つの入力値から1つを選択するセレクタ52及び53とを備えている。
ここで、セレクト信号形成回路51は、予め設定されたBPSK信号の位相点を−π/8を回転させて8PSK信号の位相点と一致させたときの基準点が存在する基準点存在領域を表す3ビットのデータの中位ビットと復調データDDの中位ビットとが入力される排他的論理和回路51aと、基準点存在領域を表す最下位ビットと復調データDDの最下位ビットとが入力される排他的論理和回路51bと、排他的論理和回路51a,52bの排他的論理和出力と相数を表す2ビットの相数選択信号とが入力されるデコーダ51cと、このデコーダ51cの出力と位相誤差検出回路21の位相誤差角θの符号を表す最上位ビットが入力されたデコーダ51dとで構成されている。
【0072】
デコーダ51cは、下記表6に示すように、相数選択信号が8PSK信号を表す“上位ビットが“1”であるときに、排他的論理和回路51a,51bの排他的論理和出力に拘わらず“00”を出力し、また、相数選択信号がQPSK信号を表す“01”であるときには、排他的論理和回路51a及び51bの出力が“0”及び“0”であるときと“1”及び“0”であるときに“00”を出力し、排他的論理和回路51a及び51bの出力が“0”及び“1”であるときと“1”及び“1”であるときに“01”を出力する。さらに、相数選択信号がBPSK信号を表す“00”であるときには、排他的論理和回路51a及び51bが“0”及び“0”であるときに“00”を出力し、“0”及び“1”であるときに“10”を出力し、“1”及び“0”であるときと“1”及び“1”であるときに“01”を出力する。
【0073】
【表6】
【0074】
また、デコーダ51dは、下記表7に示すように、デコーダ51cの出力が“00”であるときに位相誤差角θの符号に拘わらず、“000”をセレクト信号SSとして出力し、デコーダ51cの出力が“01”であるときには位相誤差角θが正であることを表す“0”であるときに“001”、負であることを表す“1”であるときに“101”を夫々セレクト信号SSとして出力し、デコーダ51cの出力が“10”であるときに位相誤差角θが正であることを表す“0”であるときに“010”、負であることを表す“1”であるときに“110”を夫々セレクト信号SSとして出力する。
【0075】
【表7】
【0076】
さらに、セレクタ52は選択データとして“0”、“+π/2”、“−π/2”、“+π/4”、“−π/4”が入力されており、下記表8に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、位相補正値PAとして加算器23に出力する。
【0077】
【表8】
【0078】
さらにまた、セレクタ53は、選択データとして“0”、“−2”、“+2”、“−1”及び“+1”が入力され、ており、下記表9に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、補正データADとして加算器13に出力する。
【0079】
【表9】
【0080】
次に、上記第2の実施形態の動作を説明する。
今、8PSK信号を受信しているときには、相数選択信号が“10”に設定されることから、セレクト信号形成回路51のデコーダ51cの出力信号は、“00”となり、デコーダ51dの出力は“000”となることから、セレクタ52で“0”の位相誤差補正値PAが選択されると共に、セレクタ53で“0”の補正データADが選択されるので、前述した第1の実施形態と同様に、8PSK信号の位相誤差を正確に検出することができ、複素乗算器10で位相誤差を解消するように回転同相成分I′及び回転同相成分Q′が出力されると共に、復調器11で正確な復調データDDが出力される。
【0081】
この8PSK信号の受信状態からQPSK信号を受信する状態となると、前述した第1の実施形態と同様に数値制御発振器25からQPSK信号の基準点を8PSK信号の基準点に一致させるように同相成分I及び直交成分Qをπ/8だけ回転させるオフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)を複素乗算器10に供給して、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力する。このときの位相点が例えば図7において○で示した例えば位相点存在領域A6で基準角PB6に対して+θだけ位相誤差を生じているものとすると、復調器11で“101”の復調データDDが出力される。
【0082】
また、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が位相誤差検出回路21に供給されることにより、8PSK信号に対応する位相誤差角+θが出力される。また、補正回路22では、領域指定信号が“01”であり、復調データDDの下位2ビットが“01”であるので、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“0”となって、デコーダ51cから“00”が出力されることになり、デコーダ51dから“000”のセレクト信号SSがセレクタ52及び53に出力される。
【0083】
このため、セレクタ52から“0”が位相誤差補正値PAとして加算器23に出力されることにより、位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に入力され、この数値制御発振器25から第1の実施形態と同様にオフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)に位相誤差角θを加算した正弦値sin(π/8+θ)及び余弦値cos(π/8+θ)が複素乗算器10に供給されて、位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0084】
また、セレクタ53から同様に“0”が補正データADとして加算器13に出力されることにより、復調器11から出力される復調データDDがそのまま図示しない信号処理回路に出力され、この信号処理回路で3ビットの復調データ“101”の上位2ビット“10”が復調データとして信号処理される。
また、位相点が図7で×印のように位相点存在領域A7の12π/8〜13π/8の範囲に存在する場合には、復調器11の復調データDDが“110”となり、位相誤差検出回路21から位相誤差角−θが出力される。
【0085】
このため、補正回路22では、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“1”となるので、デコーダ51cの出力が“01”となり、位相誤差角が−θであるので、デコーダ51dの出力は“101”となる。したがって、セレクタ52で“+π/4”が選択されてこれが位相誤差補正値PAとして加算器23に出力されるので、この加算器23からQPSKの基準点PB6からの位相誤差角θ′(=π/4−θ)が出力され、これがループフィルタ24を介して数値制御発振器25に入力されることにより、これに応じた正弦値及び余弦値が複素乗算器10に供給されて、位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0086】
一方、セレクタ53では、“−1”が選択され、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、復調データ“110”(=7)から“1”を減算した値“101”が復調データとして図示しない信号処理回路に出力される。
さらに、上記QPSK信号の受信状態からBPSK信号を受信する状態となると、数値制御発振器25で、BPSK信号の基準点P21及びP22を8PSK信号の基準点PB2及びPB6に一致させるように同相成分I及び直交成分Qを−π/8だけ回転させるオフセット正弦値−sin(π/8)及びオフセット余弦値−cos(π/8)を複素乗算器10に供給することにより、この複素乗算器10から入力されるBPSK信号の同相成分I及び直交成分Qを−π/8だけ回転させた回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力する。
【0087】
これら回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が復調器11に供給されるので、今、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点が図7で○で示すように、例えば位相点存在領域A2内の3π/8〜4π/8の範囲内にあるものとすると、復調器11から“001”を表す復調データDDが出力され、位相誤差検出回路21から位相誤差角+θが出力される。
【0088】
このため、補正回路22では、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“0”となり、相数選択信号が“00”であるので、デコーダ51cから“00”が出力されるので、デコーダ51dから“000”のセレクト信号SSが出力される。
このため、セレクタ52で“0”が選択されて、これが位相誤差補正値PAとして加算器23に供給されるので、位相誤差検出回路21で検出された位相誤差角+θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給され、この数値制御発振器25で、オフセット正弦値−sin(π/8)及びオフセット余弦値−cos(π/8)に加算されて、複素乗算器10に供給されるので、この複素乗算器10から位相誤差を解消する方向に回転された回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0089】
また、セレクタ53でも“0”が選択されて、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、この加算器13で復調器11から出力される復調データDDがそのまま補正されることなく復調データとして図示しない信号処理回路に供給され、この信号処理回路で、復調データ“001”の最上位ビット“0”が復調データとして選択され、この復調データに基づいて信号処理が行われる。
【0090】
また、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点が図7で×で示すように、例えば位相点存在領域A3における4π/8〜5π/8の範囲内にある場合には、復調器11で“010”の復調データDDが加算器13に出力され、位相誤差検出回路21で位相誤差角−θが出力される。
【0091】
このとき、補正回路22では、復調データDDの下位2ビットが“10”であるので、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“1”となり、これがデコーダ51cに供給され、このデコーダ51cには“00”の相数選択信号が入力されているので、このデコーダ51cから“01”がデコーダ51dに出力される。
【0092】
このため、デコーダ51dでは、位相誤差角−θの最上位ビットが“1”であるので、“101”がセレクト信号SSとしてセレクタ52及び53に出力される。
したがって、セレクタ52では+π/4が選択され、これが位相誤差補正値PAとして加算器23に供給されるので、この加算器23の出力がπ/4−θとなり、BPSK信号の基準点P21からの位相誤差角+θ′に対応した値となり、これがループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されるので、この数値制御発振器25で、オフセット値正弦値sin(−π/8)及びオフセット余弦値cos(−π/8)に加算されて複素乗算器10に供給されることにより、この複素乗算器10から位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0093】
また、セレクタ53では“−1”が選択され、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、この加算器13で復調器11から入力される“010”(=2)の復調データDDに“−1”が加算されることにより、正規の位相点存在領域を表す“001”が算出され、これが復調データとして図示しない信号処理回路に供給されることにより、この信号処理回路で最上位ビット“0”をBPSK信号の復調データとして選択し、この復調データに基づいて信号処理を行う。
【0094】
さらに、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点が図7において△で示すように、位相点存在領域A8のπ/8〜15π/8の領域に存在する場合には、復調器11から“111”の復調データDDが加算器13に出力され、位相誤差検出回路21から位相誤差角+θが出力される。
【0095】
このため、補正回路22では、復調データDDの下位2ビットが“11”であるので、排他的論理和回路51aから“1”が、排他的論理和回路51bから“0”が夫々出力され、これらがデコーダ51cに供給されるので、このデコーダ51cから“10”がデコーダ51dに出力され、このデコーダ51dから位相誤差角+θの最上位ビットが“0”であるので、“010”のセレクト信号SSがセレクタ52及び53に出力される。
【0096】
このため、セレクタ52では−π/2が位相誤差補正値PAとして加算器23に出力されるので、この加算器23でBPSK信号の基準点P21からの位相誤差角−θ″を表す位相誤差角(θ−π/2)が出力され、これがループフィルタ/4を介して数値制御発振器25に供給されるので、この数値制御発振器25で、オフセット正弦値sin(−π/8)及びオフセット余弦値cos(−π/8)にループフィルタの出力が加算されて複素乗算器10に供給されることにより、この複素乗算器10から位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0097】
また、セレクタ53では、“+2”が選択され、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、この加算器13で、復調器11の“111”(=7)の復調データDDに“+2”が加算されるので、正規の位相点存在領域A2を表す“001”に変換され、これが復調データとして図示しない信号処理回路に供給され、この信号処理回路で復調データの最上位ビット“0”をBPSK信号の復調データとして信号処理が行われる。
【0098】
このように、上記第2の実施形態によれば、8PSK信号を受信した場合には、復調器11で復調された復調データDDがそのまま8PSK信号の復調データとして出力されると共に、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されて、この数値制御発振器25で位相誤差角θに応じた正弦値sinθ及び余弦値cosθを複素乗算器10に出力することにより、この複素乗算器10で位相誤差を解消する方向の回転同相信号I′及び回転直交信号Q′が出力されて、フェージング等によって無線伝送中に生じる位相誤差を除去して正確な復調データを得ることができる。
【0099】
また、QPSK信号(又はBPSK信号)を受信した場合には、このQPSK信号(又はBPSK信号を直交検波した同相成分I及び直交成分Qを、数値制御発振器25にオフセット正弦値sin(+π/8)(又はsin(−π/8))及びオフセット余弦値cos(+π/8)(又はcos(−π/8))を設定することにより、複素乗算器10でQPSK信号(又はBPSK)の基準点を8PSK信号の基準点に一致させるように、回転させて回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力し、この回転同相成分I′及び回転直交成分Q′に基づいて復調器11で復調データDDを出力し、位相誤差検出回路で8PSK信号の基準点からの位相誤差角θを算出し、補正回路22で、位相誤差角θがQPSK信号(又はBPSK信号)の基準点からの位相誤差角となるように補正して、数値制御発振器25に供給して、複素乗算器10で位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力し、復調器11で復調した復調データについては補正回路22でQPSK信号(又はBPSK信号)の基準点を含む位相点存在領域の復調データに補正する補正データADを加算器13に出力することにより、QPSK信号(又はBPSK信号)の位相誤差を除去して正確な復調データを得ることができる。
【0100】
したがって、補正回路22を排他的論理和回路51a,51b、デコーダ51c,51dと、セレクタ52及び53とで構成するだけの簡易な構成で、8PSK信号、QPSK信号及びBPSK信号を受信して正確な復調データを得ることができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、4相位相変調信号としてQPSKを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、π/4シフトQPSK信号を受信する場合には、奇数シンボルと偶数シンボルとで基準点の位置がπ/4だけシフトしているので、奇数シンボルの基準点が8PSK信号の最下位ビットが“0”となる位相点存在領域にあり、偶数シンボルの基準点が8PSK信号の最下位ビットが“1”となる位相点存在領域にあるものとすると、奇数シンボル及び偶数シンボルを受信する毎に、第1の実施形態では補正回路22の排他的論理和回路41aに供給する領域指定信号を“0”及び“1”に切換え、第2の実施形態では、補正回路22の排他的論理和回路51bに供給する領域指定信号を“0”及び“1”に切換えるようにすればよい。
【0101】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、位相誤差検出回路21がデコーダ31,32、乗算器33,34及び減算器35で構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、直交検波された同相成分I及び直交成分Qが入力されてその絶対値の大小を比較して、小さい成分CS 及び大きい成分CL を出力する比較選択手段としての比較選択器61と、この比較選択器61から出力される小さい成分CS に余弦値cos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段としての余弦値乗算器62と、比較選択器61から出力される大きい成分CL に正弦値sin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段としての正弦値乗算器63と、これら乗算器62及び63で算出された乗算値が入力され、これらに復調器11から供給される復調データDDに基づいて正負の符号付けを行う符号付与手段としての符号付与回路64と、符号付けされた乗算値を加算する加算手段としての加算器65とで構成されている。
【0102】
ここで、符号付与回路64は、下記表10に示すように、復調データDDに基づいて乗算器62及び63の乗算値に対して符号付けを行う。
【0103】
【表10】
【0104】
上記構成を有する位相誤差検出回路22によれば、例えば第1の実施形態と同様に、位相点Piが位相点存在領域A2に存在し、基準点PB2〔sin(3π/8),cos(3π/8)〕より反時計方向にずれており、I=sin{(3π/8)+θ)}、Q=cos{(3π/8)+θ)}で表されるものとすると、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいため、小さい成分CS =I、大きい成分CL =Qとなる。このため、乗算器62でI・cos(π/8)が算出され、乗算器63でQ・sin(π/8)が算出される。
【0105】
したがって、乗算器62の乗算値M1は、
となる。
【0106】
これら乗算値が符号付与回路64に供給されて、位相点存在領域情報PAが“001”であるので、乗算値M1に対して“−”が、乗算値M2に対して“+”が付与され、これらが加算器65で加算されることにより、加算器65の加算出力Aは、下記式で表される。
したがって、前述した第1又は第2の実施形態と同様に、比較選択器61にデジタル値で表される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を入力することにより、この比較選択器61で小さい成分CS として回転同相成分I′が選択され、大きい成分CL として回転直交成分Q′が選択され、これらが夫々乗算器62及び63に供給されて、夫々「0.92387」及び「0.38267」を乗算し、これら乗算器62及び63の乗算値−I×0.92387及びQ×0.38267とを加算器65で加算することにより、位相誤差角θを算出することができる。
【0107】
また、位相点Piが位相点存在領域A3に存在し、基準点PB3から時計方向にずれているものとすると、この場合の回転同相成分I′は−sin(π/8−θ)で表され、回転直交成分Q′はcos(π/8−θ)で表される。
このとき、回転直交成分Q′の絶対値が回転同相成分I′の絶対値より大きいので、小さい成分CS =I′、大きい成分CL =Q′となり、乗算器62及び63の乗算値M1及びM2は、
となり、符号付与回路64で、復調データDDが“010”であるので、乗算値M1及びM2に対して夫々“−”が付与されるので、加算器65での加算値Aは、
となり、加算器65の加算値Aが位相誤差角−θを表すことになる。
【0108】
このように、位相誤差検出回路22を、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の絶対値を比較して小さい成分CS 及び大きい成分CL を選択する比較選択器61、この比較選択器61の小さい成分CS 及び大きい成分CL に余弦値cos(π/8)及び正弦値sin(π/8)を乗算する乗算器62及び63と、これら乗算器62及び63の乗算値M1及びM2に対して、復調データDDに基づいて符号を付与する符号付与回路64と、符号付与された乗算値M1及びM2を加算する加算器65との簡易な構成とすることができ、複素乗算を行うための複雑な乗算器や位相情報を算出するための大容量のROMを必要とすることなく、簡易な構成で位相情報を正確に算出することができる。
【0109】
また、上記図8の構成では、比較選択器61から出力される小さい成分CS 及び大きい成分CL に乗算器62及び63で余弦値及び正弦値を乗算する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図9に示すように、比較選択器61の小さい成分CS が入力される4ビットシフト器71と小さい成分CS から4ビットシフト器71のシフト出力を減算する減算器72とで乗算器62を構成すると共に、比較選択器61の大きい成分CL が入力される2ビットシフト器73及び3ビットシフト器74と、これら2ビットシフト器73及び3ビットシフト器74のシフト出力を加算する加算器75とで乗算器63を構成することにより、実際に乗算器を使用することなく位相誤差角θを算出するようにしてもよい。このように構成することにより、4ビットシフト器71でCS /16(=0.0625CS )を算出し、これを小さい成分CS から減算することにより、CS (1−1/16)=0.9375CS 即ち余弦値cos(π/8)=0.92387に近似する0.9375を小さい成分Cs に乗算した乗算値M1を得ることができ、また、2ビットシフト器71でCL /4(=0.25CL )を算出し、3ビットシフト器72でCL /8(=0.125CL )を算出し、両者を加算することにより、正弦値sin(π/8)=0.38268に近似する0.375を大きい成分CL に乗算した乗算値M2を得ることができ、乗算器を用いることなく、4ビットシフト器71、減算器72、2ビットシフト器73、3ビットシフト器74及び加算器75で乗算器を構成することができ、位相誤差検出回路22の回路規模をより減少させることができる。
【0110】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の位相誤差を位相誤差検出回路21で検出し、検出した位相誤差をループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給して、この数値制御発振器25から出力される正弦値及び余弦値を複素乗算器10にフィードバックする位相同期ループ系を形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図10に示すように、複素乗算器10及び数値制御発振器25を省略し、これらに代えてA/D変換器8a及び8bの出力をロールオフフィルタ81a及び81bを介して復調器10及び位相誤差検出回路21に供給し、ループフィルタ24の出力を直交検波器6を構成する電圧制御発振器6eに供給する位相同期ループ系を構成した無線データ受信装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】PSK受信信号の位相配置図である。
【図3】位相誤差検出回路を示すブロック図である。
【図4】補正回路を示すブロック図である。
【図5】位相誤差の検出原理を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の補正回路を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態の動作の説明に供する位相配置図である。
【図8】位相誤差検出回路の他の例を示すブロック図である。
【図9】位相誤差検出回路のさらに他の例を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用し得る無線データ受信装置の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
WR…無線データ受信装置、1…受信アンテナ、2…ミキサ、3…PLL回路、4…バンドパスフィルタ、5…PSK復調部、6…直交検波器、7a,7b…ローパスフィルタ、8a,8b…A/D変換器、9…位相同期ループ式の復調回路、10…複素乗算器、11…復調器、12…位相同期ループ回路、13…加算器、21…位相誤差検出回路、22…補正回路、23…加算器、24…ループフィルタ、25…数値制御発振器、31…第1のデコーダ、32…第2のデコーダ、33…第1の乗算器、34…第2の乗算器、35…減算器、41…セレクト信号形成回路、41a…排他的論理和回路、41b…デコーダ、42,43…セレクタ、51…セレクト信号形成回路、51a,51b…排他的論理和回路、51c…デコーダ、52,53…セレクタ、61…比較選択器、62…余弦値乗算器、63…正弦値乗算器、64…符号付与回路、65…加算器、71…4ビットシフト器、72…減算器、73…2ビットシフト器、74…3ビットシフト器、75…加算器、6e…電圧制御発振器、81a,81b…ロールオフフィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、8相位相シフトキーイング(8PSK)変調信号と、これより相数が少ない少相位相シフトキーイング(QPSK,BPSK)変調信号とを復調可能な位相変調信号復調装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の位相変調信号復調装置としては、従来、数種類のPSK変調信号を復調する場合に、搬送波位相誤差検出器を、同相成分及び直交成分のビット数を加算した加算値のべき乗分のワードサイズのROMで構成される絶対位相検出器と位相誤差算出器とで構成するようにしたPSK復調回路が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、変調相数に対応して複数の信号領域に分割される複素平面に変調信号の受信位相をマッピングし、変調信号の受信位相と最多の変調相数に対応した複数の基準位相との位相誤差を、誤差算出手段でマッピング位置と基準直線との距離として各々算出すると共に、複数の信号領域から受信位相がマッピングされた一つを領域判定手段で判定し、この信号領域に対応して誤差選択手段で複数の位相誤差から一つを選択するようにした誤差検出手段も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
さらに、8相PSK方式の位相検出装置を、QPSK復調用の4相位相比較器の出力である仮位相値TPVから位相領域判別回路によって受信信号の領域を判別し、仮位相値判別回路により角位相値TPVに固定値を加算若しくは減算して極性を変換した変換位相値CTPVを生成し、受信信号が存在する領域によって、仮位相値TPVをそのまま出力するか、変換位相値CTPVを出力するか選択して出力することにより、8相PSK方式の信号点配置に対応した基準搬送波を得るようにした位相検出装置が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−341264号公報(第1頁〜第5頁、図1)
【特許文献2】
特許第3185867号公報(第10頁〜第13頁、図1,図2)
【特許文献3】
特開2002−271432号公報(第11頁〜第13頁、図12)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、位相点誤差を求める方法としては、各相の変調方式に対して共通な僅かな演算で済むものであるが、同相成分及び直交成分から位相点を求める絶対位相検出器として、大容量のROMを用いる必要があり、回路規模が大きくなるという未解決の課題がある。
【0007】
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、8PSKに関しては、位相誤差を検出することはできるが、QPSKの2つの基準位相と8PSKとのデータ判定領域が異なるため、8PSKのデータ判定を別途行う必要があると共に、位相誤差を距離として近似的に算出するので、位相誤差がサインカーブとなり、QPSKやBPSKに適用した場合に、位相誤差が大きくなるにつれて、近似誤差が大きくなるという未解決の課題がある。
【0008】
さらに、上記特許文献3に記載された従来例にあっては、QPSKから8PSKの位相誤差を算出するようにしているため、マッピングされた信号の領域により、誤差が生じることになると共に、データ領域範囲が複雑となるという未解決の課題がある。
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、簡易な構成で、8相位相変調信号と4相位相変調信号及び2相位相変調信号等の少相変調信号とを少ない近似誤差で正確に復調することができる位相変調信号復調装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
第1の技術手段は、送信側から送信される8相位相変調信号と、4相位相変調信号及び2相位相変調信号の何れかでなる少相位相変調信号とを少なくとも受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、受信した8相位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて8個の位相点存在領域から位相点の存在領域を検出して復調データを出力する復調手段と、該復調手段で復調された復調データと、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点存在領域における基準角からの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、前記少相位相変調信号の同相成分及び直交成分を前記8相位相変調信号の位相点に一致するように回転させる位相回転手段と、該位相回転手段で回転させた同相成分及び直交成分を前記復調手段に入力したときに、前記位相誤差検出手段で検出した位相誤差と、前記復調データとに基づいて当該位相誤差を補正する位相誤差補正値及び復調データを補正する補正データとを形成する補正手段と、該補正手段で形成した位相誤差補正値に基づいて同相成分及び直交成分の位相誤差を除去する位相誤差除去手段と、前記復調手段で復調した復調データを前記補正手段で形成した補正データで補正する復調データ補正手段とを備えたことを特徴としている。
【0010】
この第1の技術手段では、位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分に基づいて復調手段で位相点の存在領域を検出し、検出した位相点存在領域に対応する復調データを形成し、この復調データと同相成分及び直交成分とに基づいて位相誤差検出手段で位相点領域における基準角からの位相誤差を検出する。
このとき、8相位相変調信号については位相誤差検出手段で検出した位相誤差をそのまま位相誤差として使用するが、4相位相変調信号又は2相位相変調信号については、これらの位相点を8相位相変調信号の位相点に一致するように位相回転手段で位相を回転させてから復調手段及び位相誤差検出手段に入力し、このときの位相誤差検出手段で検出した位相誤差を、補正手段で位相誤差と復調データとに基づいて算出した位相誤差補正値で補正することにより、少相変調信号に対応した正確な位相誤差を算出して、位相誤差を除去すると共に、正確な復調データを形成する。
【0011】
このように、上記第1の技術手段によれば、8相位相変調信号の位相誤差を同相成分及び直交成分と復調データとに基づいて位相誤差検出手段で算出し、この位相誤差検出手段に、少相位相変調信号を、位相点が8相位相変調信号の位相点に一致するように回転させて供給したときに、算出される位相誤差が8相位相変調信号に対応するものとなるので、この位相誤差を補正手段で算出した位相誤差補正値で補正することにより、少相位相変調信号の位相誤差を正確に求めることができ、ROMや複雑な回路を用いることなく、簡易な構成で8相位相変調信号とこれより相数の少ない少相位相変調信号とを正確に復調することができる。
【0012】
また、第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記少相位相変調信号が、4相位相変調信号及び2相位相変調信号であることを特徴としている。
この第2の技術手段では、8相位相変調信号、4相位相変調信号及び2相位相変調信号を同一の復調手段、位相誤差検出手段及び補正手段を使用して正確に復調することができる。
【0013】
さらに、第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記復調手段は、前記位相点領域検出手段は、入力される同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とに基づいて復調データを求めるように構成されていることを特徴としている。
この第3の技術手段では、8相位相変調信号及び少相位相変調信号の同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とから位相点の存在する位相存在領域に対応する復調データを正確に求めることができる。
【0014】
さらにまた、第4の技術手段は、第1乃至第3の何れかの技術手段において、前記位相誤差検出手段は、位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じた基準角に対応する正弦値及び余弦値を個別に出力する第1及び第2のデコーダと、該第1のデコーダから出力される正弦値と前記同相成分とを乗算する同相成分乗算手段と、前記第2のデコーダから出力される余弦値と前記直交成分とを乗算する直交成分乗算手段と、該直交成分乗算手段の乗算値から前記同相成分乗算手段の乗算値を減算して位相誤差角を算出する減算手段とを備えていることを特徴としている。
【0015】
この第4の技術手段では、位相点存在領域情報に基づいて第1のデコーダから位相点存在領域における基準角の正弦値を出力すると共に、第2のデコーダから位相点存在領域おける基準角の余弦値を出力し、同相成分に正弦値を乗算し、直交成分に余弦値を乗算して、余弦値を乗算した直交成分から正弦値を乗算した同相成分を減算することにより、位相誤差角を算出する。
【0016】
すなわち、位相点存在領域の基準角をαとし、この基準角αからの位相誤差角をθとしたときに、同相成分はcos(α−θ)で表され、直交成分はsin(α−θ)で表される。したがって、直交成分sin(α−θ)に基準角αの余弦値cosαを乗算した乗算値sin(α−θ)・cosαから同相成分cos(α−θ)に基準角αの正弦値sinαを乗算した乗算値cos(α−θ)・sinαを減算することにより、位相誤差角θの近似値としてsinθを算出する。
【0017】
したがって、8つの位相存在領域の正弦値及び余弦値はsin(π/8)及びcos(π/8)の正負値で表すことができるので、位相点存在領域情報に基づいて第1及び第2のデコーダで正負のsin(π/8)及びcos(π/8)を選択するだけでよく、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と減算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0018】
なおさらに、第5の技術手段は、第1乃至第3の何れかの技術手段において、前記位相誤差検出手段は、同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力する比較選択手段と、該比較選択手段で選択した小さい成分にcos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段と、前記比較選択手段で選択した大きい成分にsin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段と、前記余弦値乗算手段及び正弦値乗算手段で算出した乗算値に対して位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じて正負の符号付けする符号付与手段と、該符号付与手段で符号付けされた乗算値を加算する加算手段とで構成されていることを特徴としている。
【0019】
この第5の技術手段では、比較選択手段で同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力し、小さい成分にcos(π/8)を乗算し、大きい成分にsin(π/8)を乗算し、両乗算値に正負の符号付けを行うことにより、前述した第4の技術手段と同様に、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と符号付与手段と加算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0020】
また、第6の技術手段は、第5の技術手段において、前記余弦値乗算手段は、入力データを4ビットシフトさせる4ビットシフト器と、入力データから前記4ビットシフト器の出力値を減算する減算器とで構成され、前記正弦値乗算手段は、入力データを夫々2ビット及び3ビットシフトさせる2ビットシフト器及び3ビットシフト器と、両ビットシフト器の出力を加算する加算器とで構成されていることを特徴としている。
【0021】
この第6の技術手段では、さらに入力データを4ビットシフト器で4ビットシフトさせることにより、入力データの1/16(=入力データ×0.0625)を演算し、この演算値を入力データから減算することにより、cos(π/8)の近似値0.9375を入力データに乗算した値を得ることができ、入力データを2ビットシフト器で2ビットシフトさせることにより入力データの1/4(=入力データ×0.25)を演算し、同様に入力データを3ビットシフト器で3ビットシフトさせることにより、入力データの1/8(=入力データ×0.125)を演算し、両者を加算することにより、sin(π/8)の近似値0.375を入力データに乗算した値を得ることができ、ビットシフト器と加算器及び減算器とで乗算器を用いることなく正弦値乗算手段及び余弦値乗算手段を構成することができ、位相誤差検出手段をより簡易に構成することができる。
【0022】
さらに、第7の技術手段は、第1乃至第6の何れかの技術手段において、前記補正手段が、少相位相変調信号が4相位相変調信号であるときに、復調データの最下位ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて4相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0023】
この第7の技術手段では、4相位相変調信号の同相成分及び直交成分か復調手段及び位相誤差検出手段に入力されたときに、8相位相変調信号に対応する位相誤差検出手段で検出された位相誤差を、4相位相変調信号に対応する位相誤差に正確に補正する位相誤差補正値を算出することができ、4相位相変調信号を正確に復調することが可能となる。
【0024】
さらにまた、第8の技術手段は、第1乃至第6の何れかの技術手段において、前記補正手段は、少相位相変調信号が2相位相変調信号であるときに、復調データの下位2ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて2相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0025】
この第8の技術手段では、2相位相変調信号の同相成分及び直交成分が復調手段及び位相誤差検出手段に入力されたときに、8相位相変調信号に対応する位相誤差検出手段で検出された位相誤差を、2相位相変調信号に対応する位相誤差に正確に補正する位相誤差補正値を算出することができ、2相位相変調信号を正確に復調することが可能となる。
【0026】
なおさらに、第9の技術手段は、第1乃至第6の何れかの技術手段において、前記補正手段が、少相位相変調信号が4相位相変調信号であるときに、復調データの最下位ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて4相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力し、少相位相変調信号が2相位相変調信号であるときに、復調データの下位2ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて2相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴としている。
【0027】
この第9の技術手段では、4相変調信号及び2相変調信号の何れかの同相成分及び直交成分が位相誤差検出手段に入力されたときに、8相位相変調信号に対応する位相誤差を、入力された4相変調信号又は2相変調信号に対応する位相誤差に正確に対応させた補正を行うことができ、少相位相変調信号についても正確な復調を行うことができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す2.4GHzのISM帯を使用する近距離無線通信システムに適用した場合の無線データ受信装置を示すブロック図である。
【0029】
図中、WRは無線データ受信装置であって、この無線データ受信装置WRは、受信アンテナ1を有し、この受信アンテナ1で送信側から送信される8相位相シフトキーイング(8PSK)変調信号を受信し、受信した受信信号はミキサ2に供給されて、このミキサ2で、受信信号に位相同期ループ(以下、PLLと称す)回路3から入力される局部発振信号を乗算してダウンコンバートして中間周波信号(IF信号)に変換される。
【0030】
そして、ミキサ2から出力される中間周波信号は、バンドパスフィルタ4を通じて受信信号を位相シフトキーイング復調するPSK復調部5に供給される。
このPSK復調部5は、入力される中間周波信号を同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)に変換する直交検波回路6と、この直交検波回路6から出力される同相成分及び直交成分が入力され、これらから次段のA/D変換器8a,8bのサンプリング周波数の1/2以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ7a及び7bと、これらローパスフィルタ7a及び7bのフィルタ出力が入力され、このフィルタ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器8a及び8bと、A/D変換器23a及び23bの出力信号が入力される位相同期ループ(PLL)式の復調回路9とを備えている。
【0031】
直交検波回路6は、中間周波信号が分岐されて入力される2つのミキサ6a及び6bと、これらミキサ6a及び6bに供給する局部発振信号を出力する発振器6cとを有し、発振器6cから出力される局部発振信号が直接ミキサ6aに供給されると共に、局部発振信号を90度移相する移相器6dを介してミキサ6bに供給することにより、ミキサ6aから同相成分(I成分)が出力され、ミキサ6bから直交成分(Q成分)が出力され、これら同相成分及び直交成分が複素ベースバンド信号を表している。
【0032】
復調回路9は、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号の同相成分I及び直交成分Qが入力されて、これら同相成分I及び直交成分Qを位相誤差を除去する方向に回転させる複素乗算器10と、この複素乗算器10から出力される位相回転された同相成分I′及び直交成分Q′が入力される復調手段としての復調器11と、複素乗算器10から出力される位相回転された同相成分I′及び直交成分Q′が入力される位相同期ループ(PLL)回路12と、復調器2から出力される復調データDDと位相同期ループ回路12から出力される補正データADとを加算して復調データを出力する復調データ補正手段としての加算器13とで構成されている。
【0033】
ここで、複素乗算器10は、A/D変換器8a及び8bから入力される同相成分I及び直交成分Qに後述する位相同期ループ回路12の数値制御発振器から入力される正弦値sinθ及び余弦値cosθを個別に乗算して、4つの乗算値Isinθ、Icosθ、Qsinθ及びQcosθを算出し、Isinθ及びQcosθを加算して回転同相成分I′を算出すると共に、Qsinθ及びIcosθを加算して回転直交成分Q′を算出し、これら回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力する。
【0034】
復調器11は、複素乗算器10から入力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号と絶対値の大小比較とに基づいて位相点が存在する位相点存在領域を特定し、特定した位相点存在領域に対応する3ビットの復調データを出力する。
すなわち、8相PSK変調信号の位相配置図は、図2に示すように、横軸に同相成分I′を、縦軸に直交成分Q′を夫々とったときに、8つの基準点PB1〜PB8は夫々、第1象限〜第4象限に夫々2つずつ横軸を“0”としたときに、位相角π/8、3π/8、5π/8、7π/8、9π/8、11π/8、13π/8及び15π/8位置となる。
【0035】
このため、各基準点PB1〜PB8を中心として隣接する基準点との中間位相角0、2π/8、4π/8、6π/8、8π/8、10π/8、12π/8、14π/8及び16π/8を境界線としたときに、位相角0〜2π/8の範囲を基準点PB1の存在する位相点存在領域A1、2π/8〜4π/8の範囲を基準点PB2の存在する位相点存在領域A2、……14π/8〜0の範囲を基準点PB8の存在する位相点存在領域A8として設定する。
【0036】
そして、入力される同相成分I′及び直交成分Q′の絶対値の大小比較結果と、同相成分I′及び直交成分Q′の符号とから実際の位相点が前述した位相点存在領域A1〜A8の何れの領域に存在するかを判定し、下記表1に示すように、該当する位相点存在領域Ai(i=1〜8)を3ビットの“000”,“001”,……“111”で表した復調データDDを加算器13及び位相同期ループ回路12に出力する。
【0037】
【表1】
【0038】
位相同期ループ回路12は、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′と復調器11から出力される復調データDDが入力されて位相誤差θを検出する位相誤差検出回路21と、この位相誤差検出回路21から出力される位相誤差θと復調器11から出力される復調データDDとが入力されて、4相位相変調信号(以下、QPSKと称す)を受信したときの位相誤差補正値PA及び補正データADを算出する補正回路22と、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差θと補正回路22から出力される位相誤差補正値PAとを加算する加算器23と、加算器23の加算出力を平均化するループフィルタ24と、このループフィルタ24のフィルタ出力に応じた正弦値sinθ及び余弦値cosθを演算して複素乗算器10に出力する数値制御発振器25とで構成されている。
【0039】
ここで、位相誤差検出回路21は、図3に示すように、復調器11から入力される位相点存在領域を表す復調器データDDが入力され、これに基づいてsinα(α=π/8、3π/8、……、15π/8)に対応して正弦値(=sin(π/8)=±0.38268)及び余弦値(=cos(π/8)=±0.92387)の何れかを選択して出力する第1及び第2のデコーダ31及び32と、第1のデコーダ31の出力値と同相成分I′とを乗算する乗算器33と、第2のデコーダ32の出力値と直交成分Q′とを乗算する乗算器34と、乗算器34から出力される乗算値から乗算器33から出力される乗算値を減算して位相誤差θを算出する減算器35とを備えている。
【0040】
ここで、第1及び第2のデコーダ31及び32は、復調器データDDに基づいて下記表2に示すように正弦値及び余弦値を選択して乗算器33及び34に出力する。
【0041】
【表2】
【0042】
また、補正回路22は、図4に示すように、セレクト信号形成回路41と、このセレクト信号形成回路41から出力されるセレクト信号SSに基づいて3つの入力値から1つを選択するセレクタ42及び43とを備えている。
ここで、セレクト信号形成回路41は、予め設定された“1”を表す領域指定信号と復調器データDDの最下位ビット(LSB)とが入力される排他的論理和回路41aと、この排他的論理和回路41aの排他的論理和出力と、受信した位相変調信号の相数を表し、QPSKであるときに“0”、8PSKであるときに“1”となる相数選択信号と、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差信号θの符号を表す最上位ビット(MSB)とが入力され、これらに基づいて下記表3を参照してセレクト信号SSを形成するデコーダ41bとで構成されている。
【0043】
【表3】
【0044】
また、セレクタ42は、選択データとして“0”、“−π/4”及び“+π/4”が入力されており、下記表4に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、位相補正値PAとして加算器23に出力する。
【0045】
【表4】
【0046】
さらに、セレクタ43は、選択データとして“0”、“+1”及び“−1”が入力されており、下記表5に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、補正データADとして加算器13に出力する。
【0047】
【表5】
【0048】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、図示しない送信装置から8相PSK変調信号を無線送信し、これを無線データ受信装置WRで受信すると、受信アンテナ1で受信した受信信号がミキサ2に供給されて中間周波信号(IF信号)に変換されてバンドパスフィルタ4を介してPSK復調部5に供給される。
【0049】
このPSK復調部5では、入力される中間周波信号を直交検波器6で検波することにより、同相成分I及び直交成分Qをローパスフィルタ7a及び7bを介してA/D変換器8a及び8bに供給してデジタル信号に変換する。
そして、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号が位相同期ループ(PLL)式の復調回路9に入力されてPSK復調される。
【0050】
このとき、復調回路9では、まず、複素乗算器10で、入力される同相成分I及び直交成分Qと位相同期ループ回路12の数値制御発振器25から出力される正弦値sinθ及び余弦値cosθとを4つの乗算器で互いに乗算して、これらの乗算値を加算することにより、入力される同相成分I及び直交成分Qを位相誤差を除去する方向に回転させた回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を算出し、算出した回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を復調器11及び位相誤差検出回路21に供給する。
【0051】
復調器11では、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号と、これら同相成分I及び直交成分Qの絶対値大小比較によって、位相点(シンボル点)Piが存在する位相点存在領域Aiを特定する。
今、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点Piが、図5に示すように、図2の位相配置図における第1象限における位相点存在領域A2で、基準点PB2に対して反時計方向に位相誤差角+θだけずれた位置に存在するものとする。
【0052】
この状態では、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号が共に正であり、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいので、仮復調器21で、位相点Piが位相点存在領域A2に存在することを検出し、位相点存在領域A2を表す“001”の復調データDDを位相同期ループ回路12の位相誤差検出回路21及び加算器13に出力する。
【0053】
このため、位相誤差検出回路21では、第1及び第2のデコーダ31及び32で入力された復調データDDに基づいてsin(3π/8)〔=cos(π/8)〕及びcos(3π/8)〔=sin(π/8)〕に対応する正弦値+0.92387及び余弦値+0.38268を乗算器33及び34に出力する。
これら乗算器33及び34には回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が入力されているので、これらが乗算され、その乗算出力I′×0.92387及びQ′×0.38268が減算器35に出力されることにより、Q′×0.38268−I′×0.92387が算出されて、位相誤差角+θが算出される。
【0054】
すなわち、図5に示すように、基準点PB2の座標は位相角をαとしたとき、(cosα,sinα)で表され、位相点P2が基準点PB2から反時計方向にθだけずれているので、位相点P2の座標は(cos(α+θ)=I′,sin(α+θ)=Q′)で表される。
したがって、第1及び第2のデコーダ31及び32で夫々正弦値sinα及び余弦値cosαを算出し、これらと同相成分cos(α+θ)及び直交成分sin(α+θ)を乗算することにより、乗算値sinα・cos(α+θ)及びcosα・sin(α+θ)が算出され、これが減算器35に供給されるので、下記(1)式で表される減算値S即ち位相誤差角θを算出する。
【0055】
ここで、θは位相点存在領域Ai内の値であって、−π/8≦θ≦+π/8であるので、sinθを位相誤差角θの近似値として採用することができる。
【0056】
この位相誤差検出回路21で算出された位相誤差角θが補正回路22及び加算器23に供給される。補正回路22では、受信信号が8PSKであるので、相数選択信号が“1”となることにより、領域指定信号及び位相誤差検出回路21から出力される位相誤差信号θの符号を表す最上位ビットの値にかかわらず、前記表2からセレクト信号SSが“00”となり、これがセレクタ42及び43に供給されることにより、これらセレクタ42及び43で“0”の位相誤差補正値PA及び補正データADが選択され、位相誤差補正値PAが加算器23に供給され、補正データADが加算器13に供給される。
【0057】
このため、8PSK信号では、位相誤差検出回路21で検出した位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されるので、この数値制御発振器25で、位相誤差角θに応じた正弦値sinθ及び余弦値cosθが複素乗算器10に供給されて、位相誤差を除去する回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が算出される。
【0058】
一方、加算器13では、復調器11で検出された“001”で表される復調データDDに“0”の補正データADが加算されることにより、復調データDDがそのまま復調データとして出力される。
また、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び直交成分Q′で表される位相点Piが基準角PBiに対して時計方向に遅れている場合には、位相点Piを構成する同相成分Iがcos(α−θ)で表され、直交成分Qがsin(α−θ)で表されることになる。このため、これらにデコーダ31及び32から出力されるsinα及びcosαを乗算してから減算器35で減算することにより、減算器35の減算出力Sは下記(2)式で表される。
【0059】
このため、負値の位相誤差角−θを算出することができる。
【0060】
この8PSK信号の受信状態から、QPSK信号の受信状態に切換わると、先ず、位相同期ループ回路12の数値制御発振器25でQPSK信号と8PSK信号との位相点のずれ角π/8だけ回転させるオフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)が複素乗算器10に出力され、これによって、複素乗算器11から、図2で●で表されるQPSK信号の基準点P41〜P44をπ/8だけ回転させた図2で◎で示すPB2、PB4、PB6及びPB8にシフトさせた回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0061】
このとき、位相誤差が図2でハッチング図示の8PSK信号の位相誤差範囲内であるときには、復調器11から出力される復調データDDが“001”となり、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差角θが−π/8≦θ≦+π/8の範囲となり、補正回路22の排他的論理和回路41の出力が領域指定信号“1”と復調データDDの最下位ビット“1”とが一致することにより、“0”となるので、セレクト信号形成回路41から“00”のセレクト信号SSがセレクタ42及び43に出力されるので、位相誤差検出回路21で検出される位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されて、オフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)に加算されて正弦値sin(π/8+θ)及び余弦値cos(π/8+θ)が複素乗算器10に出力されて、位相誤差を解消する方向に回転した回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を算出し、この回転同相成分I′及び回転直交成分Q′に応じた復調データDDが加算器13を介してそのまま復調データとして図示しない信号処理回路に出力され、この信号処理回路で上位2ビット“00”がQPSK信号の復調データとして信号処理される。
【0062】
ところが、QPSK信号の位相誤差が大きく、位相点P2が位相点存在領域A2を越える位相点存在領域A1におけるπ/8〜2π/8の領域に存在する場合には、復調回路11では“000”の復調データDDが加算器13に出力され、位相誤差検出回路21では位相点存在領域A1の基準点PB1からの位相誤差角+θが出力される。
【0063】
このとき、補正回路22では、排他的論理和回路41で領域指定信号が“1”であり、復調データDDの最下位ビットが“0”であることから排他的論理和出力が“1”となり、さらに位相誤差検出回路21から出力される位相誤差角θの最上位ビットが正値を表す“0”となり、相数選択信号が“0”であるので、デコーダ41bで表3を参照して、“01”のセレクト信号SSがセレクタ42及び43に出力される。
【0064】
このため、セレクタ42で−π/4が位相誤差補正値PAとして選択されて加算器23に出力され、セレクタ43で“+1”が補正データADとして選択されて加算器13に出力される。
このため、加算器23で図2における位相点存在領域A2の基準点PB2から負方向の位相誤差角−θ′を表すQPSK信号の位相誤差角+θ−π/4が算出される。そして、算出される位相誤差角+θ−π/4がループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されて、前述したようにオフセット正弦値及びオフセット余弦値に加算されて、複素乗算器10に供給されることにより、この複素乗算器10でQPSK信号の位相誤差を解消する回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0065】
一方、加算器13では、復調データ“000”に“+1”が加算されることにより、正規の位相点存在領域A2を表す“001”の復調データが算出され、これが図示しない信号処理回路に出力される。
また、位相点が位相点存在領域A1における0〜π/8の領域に存在する場合には、位相誤差検出回路21で算出される位相誤差角が−θとなり、排他的論理和回路41aの出力は“1”、相数選択信号は“0”であるので、デコーダ41bから“10”のセレクト信号SSがセレクタ42及び43に出力される。
【0066】
このため、セレクタ42では+π/4が位相誤差補正値PAとして選択されて、これが加算器23に出力され、セレクタ43では“−1”が補正データADとして選択されて、これが加算器13に出力される。
したがって、加算器23の出力は、位相点存在領域A8の基準点PB8からの+θ″を表す位相誤差角θ+π/4が算出され、加算器13では“000”の復調データDDに“−1”が加算されることにより、正規の位相点存在領域A8を表す“111”の復調データが図示しない信号処理回路に出力され、この信号処理回路で上位2ビット“11”をQPSK信号の復調データとして信号処理を行う。
【0067】
このように、上記第1の実施形態によれば、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′に基づいて復調器11で復調データDDを復調すると共に、位相誤差検出回路21で8相位相変調信号に対応する位相誤差角θを算出し、受信信号が8相PSK信号であるときには、補正回路22で“0”の位相誤差補正値PAを算出すると共に、“0”の補正データADを算出することにより、位相誤差検出回路21で検出した位相誤差角θをそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給することにより、位相誤差を除去すると共に、復調データDDをそのまま出力することにより、8PSK受信信号を正確に復調することができる。
【0068】
また、受信信号が4相位相変調信号(QPSK)である場合には、数値制御発振器25でオフセット正弦値及びオフセット余弦値を発生させて、これを複素乗算器10に供給することにより、QPSK信号の基準点を8PSKの基準点に一致させると共に、位相誤差検出回路21で検出された8PSK信号に対応する位相誤差角θを補正回路22で、QPSK信号の基準点から位相誤差角θ′,θ″に補正する位相誤差補正値PA及び復調データDDを補正する補正データADを算出し、これらに基づいて位相誤差検出値θ及び復調データDDを補正することにより、正確な位相誤差を検出することができると共に、正確な復調データを得ることができる。
【0069】
しかも、このための構成が、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の符号と絶対値の大小比較に基づいて復調データを出力する復調器11と、復調データに基づいて正弦値及び余弦値を選択するデコーダ31,32と乗算器33,34と減算器35とで構成される位相誤差検出回路21と排他的論理和回路41a、デコーダ41b、セレクタ42,43とで構成される補正回路22とを設けるだけでよく、従来例に比較して回路規模を大幅に縮小することができる。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態を図6について説明する。
この第2の実施形態では、8PSK信号、QPSK信号に加えて2相位相変調(BPSK)信号も復調可能に構成したものである。
すなわち、第2の実施形態では、補正回路22が図4に変えて図6に示すように構成されている。
【0071】
この補正回路22は、3ビットのセレクト信号SSを形成するセレクト信号形成回路51と、このセレクト信号形成回路51から出力されるセレクト信号SSによって5つの入力値から1つを選択するセレクタ52及び53とを備えている。
ここで、セレクト信号形成回路51は、予め設定されたBPSK信号の位相点を−π/8を回転させて8PSK信号の位相点と一致させたときの基準点が存在する基準点存在領域を表す3ビットのデータの中位ビットと復調データDDの中位ビットとが入力される排他的論理和回路51aと、基準点存在領域を表す最下位ビットと復調データDDの最下位ビットとが入力される排他的論理和回路51bと、排他的論理和回路51a,52bの排他的論理和出力と相数を表す2ビットの相数選択信号とが入力されるデコーダ51cと、このデコーダ51cの出力と位相誤差検出回路21の位相誤差角θの符号を表す最上位ビットが入力されたデコーダ51dとで構成されている。
【0072】
デコーダ51cは、下記表6に示すように、相数選択信号が8PSK信号を表す“上位ビットが“1”であるときに、排他的論理和回路51a,51bの排他的論理和出力に拘わらず“00”を出力し、また、相数選択信号がQPSK信号を表す“01”であるときには、排他的論理和回路51a及び51bの出力が“0”及び“0”であるときと“1”及び“0”であるときに“00”を出力し、排他的論理和回路51a及び51bの出力が“0”及び“1”であるときと“1”及び“1”であるときに“01”を出力する。さらに、相数選択信号がBPSK信号を表す“00”であるときには、排他的論理和回路51a及び51bが“0”及び“0”であるときに“00”を出力し、“0”及び“1”であるときに“10”を出力し、“1”及び“0”であるときと“1”及び“1”であるときに“01”を出力する。
【0073】
【表6】
【0074】
また、デコーダ51dは、下記表7に示すように、デコーダ51cの出力が“00”であるときに位相誤差角θの符号に拘わらず、“000”をセレクト信号SSとして出力し、デコーダ51cの出力が“01”であるときには位相誤差角θが正であることを表す“0”であるときに“001”、負であることを表す“1”であるときに“101”を夫々セレクト信号SSとして出力し、デコーダ51cの出力が“10”であるときに位相誤差角θが正であることを表す“0”であるときに“010”、負であることを表す“1”であるときに“110”を夫々セレクト信号SSとして出力する。
【0075】
【表7】
【0076】
さらに、セレクタ52は選択データとして“0”、“+π/2”、“−π/2”、“+π/4”、“−π/4”が入力されており、下記表8に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、位相補正値PAとして加算器23に出力する。
【0077】
【表8】
【0078】
さらにまた、セレクタ53は、選択データとして“0”、“−2”、“+2”、“−1”及び“+1”が入力され、ており、下記表9に示すように、これらのうちの1つを、入力されるセレクト信号SSに応じて選択し、補正データADとして加算器13に出力する。
【0079】
【表9】
【0080】
次に、上記第2の実施形態の動作を説明する。
今、8PSK信号を受信しているときには、相数選択信号が“10”に設定されることから、セレクト信号形成回路51のデコーダ51cの出力信号は、“00”となり、デコーダ51dの出力は“000”となることから、セレクタ52で“0”の位相誤差補正値PAが選択されると共に、セレクタ53で“0”の補正データADが選択されるので、前述した第1の実施形態と同様に、8PSK信号の位相誤差を正確に検出することができ、複素乗算器10で位相誤差を解消するように回転同相成分I′及び回転同相成分Q′が出力されると共に、復調器11で正確な復調データDDが出力される。
【0081】
この8PSK信号の受信状態からQPSK信号を受信する状態となると、前述した第1の実施形態と同様に数値制御発振器25からQPSK信号の基準点を8PSK信号の基準点に一致させるように同相成分I及び直交成分Qをπ/8だけ回転させるオフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)を複素乗算器10に供給して、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力する。このときの位相点が例えば図7において○で示した例えば位相点存在領域A6で基準角PB6に対して+θだけ位相誤差を生じているものとすると、復調器11で“101”の復調データDDが出力される。
【0082】
また、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が位相誤差検出回路21に供給されることにより、8PSK信号に対応する位相誤差角+θが出力される。また、補正回路22では、領域指定信号が“01”であり、復調データDDの下位2ビットが“01”であるので、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“0”となって、デコーダ51cから“00”が出力されることになり、デコーダ51dから“000”のセレクト信号SSがセレクタ52及び53に出力される。
【0083】
このため、セレクタ52から“0”が位相誤差補正値PAとして加算器23に出力されることにより、位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に入力され、この数値制御発振器25から第1の実施形態と同様にオフセット正弦値sin(π/8)及びオフセット余弦値cos(π/8)に位相誤差角θを加算した正弦値sin(π/8+θ)及び余弦値cos(π/8+θ)が複素乗算器10に供給されて、位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0084】
また、セレクタ53から同様に“0”が補正データADとして加算器13に出力されることにより、復調器11から出力される復調データDDがそのまま図示しない信号処理回路に出力され、この信号処理回路で3ビットの復調データ“101”の上位2ビット“10”が復調データとして信号処理される。
また、位相点が図7で×印のように位相点存在領域A7の12π/8〜13π/8の範囲に存在する場合には、復調器11の復調データDDが“110”となり、位相誤差検出回路21から位相誤差角−θが出力される。
【0085】
このため、補正回路22では、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“1”となるので、デコーダ51cの出力が“01”となり、位相誤差角が−θであるので、デコーダ51dの出力は“101”となる。したがって、セレクタ52で“+π/4”が選択されてこれが位相誤差補正値PAとして加算器23に出力されるので、この加算器23からQPSKの基準点PB6からの位相誤差角θ′(=π/4−θ)が出力され、これがループフィルタ24を介して数値制御発振器25に入力されることにより、これに応じた正弦値及び余弦値が複素乗算器10に供給されて、位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0086】
一方、セレクタ53では、“−1”が選択され、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、復調データ“110”(=7)から“1”を減算した値“101”が復調データとして図示しない信号処理回路に出力される。
さらに、上記QPSK信号の受信状態からBPSK信号を受信する状態となると、数値制御発振器25で、BPSK信号の基準点P21及びP22を8PSK信号の基準点PB2及びPB6に一致させるように同相成分I及び直交成分Qを−π/8だけ回転させるオフセット正弦値−sin(π/8)及びオフセット余弦値−cos(π/8)を複素乗算器10に供給することにより、この複素乗算器10から入力されるBPSK信号の同相成分I及び直交成分Qを−π/8だけ回転させた回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力する。
【0087】
これら回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が復調器11に供給されるので、今、回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点が図7で○で示すように、例えば位相点存在領域A2内の3π/8〜4π/8の範囲内にあるものとすると、復調器11から“001”を表す復調データDDが出力され、位相誤差検出回路21から位相誤差角+θが出力される。
【0088】
このため、補正回路22では、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“0”となり、相数選択信号が“00”であるので、デコーダ51cから“00”が出力されるので、デコーダ51dから“000”のセレクト信号SSが出力される。
このため、セレクタ52で“0”が選択されて、これが位相誤差補正値PAとして加算器23に供給されるので、位相誤差検出回路21で検出された位相誤差角+θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給され、この数値制御発振器25で、オフセット正弦値−sin(π/8)及びオフセット余弦値−cos(π/8)に加算されて、複素乗算器10に供給されるので、この複素乗算器10から位相誤差を解消する方向に回転された回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0089】
また、セレクタ53でも“0”が選択されて、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、この加算器13で復調器11から出力される復調データDDがそのまま補正されることなく復調データとして図示しない信号処理回路に供給され、この信号処理回路で、復調データ“001”の最上位ビット“0”が復調データとして選択され、この復調データに基づいて信号処理が行われる。
【0090】
また、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点が図7で×で示すように、例えば位相点存在領域A3における4π/8〜5π/8の範囲内にある場合には、復調器11で“010”の復調データDDが加算器13に出力され、位相誤差検出回路21で位相誤差角−θが出力される。
【0091】
このとき、補正回路22では、復調データDDの下位2ビットが“10”であるので、排他的論理和回路51a及び51bの出力が共に“1”となり、これがデコーダ51cに供給され、このデコーダ51cには“00”の相数選択信号が入力されているので、このデコーダ51cから“01”がデコーダ51dに出力される。
【0092】
このため、デコーダ51dでは、位相誤差角−θの最上位ビットが“1”であるので、“101”がセレクト信号SSとしてセレクタ52及び53に出力される。
したがって、セレクタ52では+π/4が選択され、これが位相誤差補正値PAとして加算器23に供給されるので、この加算器23の出力がπ/4−θとなり、BPSK信号の基準点P21からの位相誤差角+θ′に対応した値となり、これがループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されるので、この数値制御発振器25で、オフセット値正弦値sin(−π/8)及びオフセット余弦値cos(−π/8)に加算されて複素乗算器10に供給されることにより、この複素乗算器10から位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0093】
また、セレクタ53では“−1”が選択され、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、この加算器13で復調器11から入力される“010”(=2)の復調データDDに“−1”が加算されることにより、正規の位相点存在領域を表す“001”が算出され、これが復調データとして図示しない信号処理回路に供給されることにより、この信号処理回路で最上位ビット“0”をBPSK信号の復調データとして選択し、この復調データに基づいて信号処理を行う。
【0094】
さらに、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′で表される位相点が図7において△で示すように、位相点存在領域A8のπ/8〜15π/8の領域に存在する場合には、復調器11から“111”の復調データDDが加算器13に出力され、位相誤差検出回路21から位相誤差角+θが出力される。
【0095】
このため、補正回路22では、復調データDDの下位2ビットが“11”であるので、排他的論理和回路51aから“1”が、排他的論理和回路51bから“0”が夫々出力され、これらがデコーダ51cに供給されるので、このデコーダ51cから“10”がデコーダ51dに出力され、このデコーダ51dから位相誤差角+θの最上位ビットが“0”であるので、“010”のセレクト信号SSがセレクタ52及び53に出力される。
【0096】
このため、セレクタ52では−π/2が位相誤差補正値PAとして加算器23に出力されるので、この加算器23でBPSK信号の基準点P21からの位相誤差角−θ″を表す位相誤差角(θ−π/2)が出力され、これがループフィルタ/4を介して数値制御発振器25に供給されるので、この数値制御発振器25で、オフセット正弦値sin(−π/8)及びオフセット余弦値cos(−π/8)にループフィルタの出力が加算されて複素乗算器10に供給されることにより、この複素乗算器10から位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′が出力される。
【0097】
また、セレクタ53では、“+2”が選択され、これが補正データADとして加算器13に供給されるので、この加算器13で、復調器11の“111”(=7)の復調データDDに“+2”が加算されるので、正規の位相点存在領域A2を表す“001”に変換され、これが復調データとして図示しない信号処理回路に供給され、この信号処理回路で復調データの最上位ビット“0”をBPSK信号の復調データとして信号処理が行われる。
【0098】
このように、上記第2の実施形態によれば、8PSK信号を受信した場合には、復調器11で復調された復調データDDがそのまま8PSK信号の復調データとして出力されると共に、位相誤差検出回路21から出力される位相誤差角θがそのままループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給されて、この数値制御発振器25で位相誤差角θに応じた正弦値sinθ及び余弦値cosθを複素乗算器10に出力することにより、この複素乗算器10で位相誤差を解消する方向の回転同相信号I′及び回転直交信号Q′が出力されて、フェージング等によって無線伝送中に生じる位相誤差を除去して正確な復調データを得ることができる。
【0099】
また、QPSK信号(又はBPSK信号)を受信した場合には、このQPSK信号(又はBPSK信号を直交検波した同相成分I及び直交成分Qを、数値制御発振器25にオフセット正弦値sin(+π/8)(又はsin(−π/8))及びオフセット余弦値cos(+π/8)(又はcos(−π/8))を設定することにより、複素乗算器10でQPSK信号(又はBPSK)の基準点を8PSK信号の基準点に一致させるように、回転させて回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力し、この回転同相成分I′及び回転直交成分Q′に基づいて復調器11で復調データDDを出力し、位相誤差検出回路で8PSK信号の基準点からの位相誤差角θを算出し、補正回路22で、位相誤差角θがQPSK信号(又はBPSK信号)の基準点からの位相誤差角となるように補正して、数値制御発振器25に供給して、複素乗算器10で位相誤差を解消する方向の回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を出力し、復調器11で復調した復調データについては補正回路22でQPSK信号(又はBPSK信号)の基準点を含む位相点存在領域の復調データに補正する補正データADを加算器13に出力することにより、QPSK信号(又はBPSK信号)の位相誤差を除去して正確な復調データを得ることができる。
【0100】
したがって、補正回路22を排他的論理和回路51a,51b、デコーダ51c,51dと、セレクタ52及び53とで構成するだけの簡易な構成で、8PSK信号、QPSK信号及びBPSK信号を受信して正確な復調データを得ることができる。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、4相位相変調信号としてQPSKを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、π/4シフトQPSK信号を受信する場合には、奇数シンボルと偶数シンボルとで基準点の位置がπ/4だけシフトしているので、奇数シンボルの基準点が8PSK信号の最下位ビットが“0”となる位相点存在領域にあり、偶数シンボルの基準点が8PSK信号の最下位ビットが“1”となる位相点存在領域にあるものとすると、奇数シンボル及び偶数シンボルを受信する毎に、第1の実施形態では補正回路22の排他的論理和回路41aに供給する領域指定信号を“0”及び“1”に切換え、第2の実施形態では、補正回路22の排他的論理和回路51bに供給する領域指定信号を“0”及び“1”に切換えるようにすればよい。
【0101】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、位相誤差検出回路21がデコーダ31,32、乗算器33,34及び減算器35で構成されている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、直交検波された同相成分I及び直交成分Qが入力されてその絶対値の大小を比較して、小さい成分CS 及び大きい成分CL を出力する比較選択手段としての比較選択器61と、この比較選択器61から出力される小さい成分CS に余弦値cos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段としての余弦値乗算器62と、比較選択器61から出力される大きい成分CL に正弦値sin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段としての正弦値乗算器63と、これら乗算器62及び63で算出された乗算値が入力され、これらに復調器11から供給される復調データDDに基づいて正負の符号付けを行う符号付与手段としての符号付与回路64と、符号付けされた乗算値を加算する加算手段としての加算器65とで構成されている。
【0102】
ここで、符号付与回路64は、下記表10に示すように、復調データDDに基づいて乗算器62及び63の乗算値に対して符号付けを行う。
【0103】
【表10】
【0104】
上記構成を有する位相誤差検出回路22によれば、例えば第1の実施形態と同様に、位相点Piが位相点存在領域A2に存在し、基準点PB2〔sin(3π/8),cos(3π/8)〕より反時計方向にずれており、I=sin{(3π/8)+θ)}、Q=cos{(3π/8)+θ)}で表されるものとすると、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいため、小さい成分CS =I、大きい成分CL =Qとなる。このため、乗算器62でI・cos(π/8)が算出され、乗算器63でQ・sin(π/8)が算出される。
【0105】
したがって、乗算器62の乗算値M1は、
となる。
【0106】
これら乗算値が符号付与回路64に供給されて、位相点存在領域情報PAが“001”であるので、乗算値M1に対して“−”が、乗算値M2に対して“+”が付与され、これらが加算器65で加算されることにより、加算器65の加算出力Aは、下記式で表される。
したがって、前述した第1又は第2の実施形態と同様に、比較選択器61にデジタル値で表される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′を入力することにより、この比較選択器61で小さい成分CS として回転同相成分I′が選択され、大きい成分CL として回転直交成分Q′が選択され、これらが夫々乗算器62及び63に供給されて、夫々「0.92387」及び「0.38267」を乗算し、これら乗算器62及び63の乗算値−I×0.92387及びQ×0.38267とを加算器65で加算することにより、位相誤差角θを算出することができる。
【0107】
また、位相点Piが位相点存在領域A3に存在し、基準点PB3から時計方向にずれているものとすると、この場合の回転同相成分I′は−sin(π/8−θ)で表され、回転直交成分Q′はcos(π/8−θ)で表される。
このとき、回転直交成分Q′の絶対値が回転同相成分I′の絶対値より大きいので、小さい成分CS =I′、大きい成分CL =Q′となり、乗算器62及び63の乗算値M1及びM2は、
となり、符号付与回路64で、復調データDDが“010”であるので、乗算値M1及びM2に対して夫々“−”が付与されるので、加算器65での加算値Aは、
となり、加算器65の加算値Aが位相誤差角−θを表すことになる。
【0108】
このように、位相誤差検出回路22を、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の絶対値を比較して小さい成分CS 及び大きい成分CL を選択する比較選択器61、この比較選択器61の小さい成分CS 及び大きい成分CL に余弦値cos(π/8)及び正弦値sin(π/8)を乗算する乗算器62及び63と、これら乗算器62及び63の乗算値M1及びM2に対して、復調データDDに基づいて符号を付与する符号付与回路64と、符号付与された乗算値M1及びM2を加算する加算器65との簡易な構成とすることができ、複素乗算を行うための複雑な乗算器や位相情報を算出するための大容量のROMを必要とすることなく、簡易な構成で位相情報を正確に算出することができる。
【0109】
また、上記図8の構成では、比較選択器61から出力される小さい成分CS 及び大きい成分CL に乗算器62及び63で余弦値及び正弦値を乗算する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図9に示すように、比較選択器61の小さい成分CS が入力される4ビットシフト器71と小さい成分CS から4ビットシフト器71のシフト出力を減算する減算器72とで乗算器62を構成すると共に、比較選択器61の大きい成分CL が入力される2ビットシフト器73及び3ビットシフト器74と、これら2ビットシフト器73及び3ビットシフト器74のシフト出力を加算する加算器75とで乗算器63を構成することにより、実際に乗算器を使用することなく位相誤差角θを算出するようにしてもよい。このように構成することにより、4ビットシフト器71でCS /16(=0.0625CS )を算出し、これを小さい成分CS から減算することにより、CS (1−1/16)=0.9375CS 即ち余弦値cos(π/8)=0.92387に近似する0.9375を小さい成分Cs に乗算した乗算値M1を得ることができ、また、2ビットシフト器71でCL /4(=0.25CL )を算出し、3ビットシフト器72でCL /8(=0.125CL )を算出し、両者を加算することにより、正弦値sin(π/8)=0.38268に近似する0.375を大きい成分CL に乗算した乗算値M2を得ることができ、乗算器を用いることなく、4ビットシフト器71、減算器72、2ビットシフト器73、3ビットシフト器74及び加算器75で乗算器を構成することができ、位相誤差検出回路22の回路規模をより減少させることができる。
【0110】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、複素乗算器10から出力される回転同相成分I′及び回転直交成分Q′の位相誤差を位相誤差検出回路21で検出し、検出した位相誤差をループフィルタ24を介して数値制御発振器25に供給して、この数値制御発振器25から出力される正弦値及び余弦値を複素乗算器10にフィードバックする位相同期ループ系を形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図10に示すように、複素乗算器10及び数値制御発振器25を省略し、これらに代えてA/D変換器8a及び8bの出力をロールオフフィルタ81a及び81bを介して復調器10及び位相誤差検出回路21に供給し、ループフィルタ24の出力を直交検波器6を構成する電圧制御発振器6eに供給する位相同期ループ系を構成した無線データ受信装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】PSK受信信号の位相配置図である。
【図3】位相誤差検出回路を示すブロック図である。
【図4】補正回路を示すブロック図である。
【図5】位相誤差の検出原理を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の補正回路を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態の動作の説明に供する位相配置図である。
【図8】位相誤差検出回路の他の例を示すブロック図である。
【図9】位相誤差検出回路のさらに他の例を示すブロック図である。
【図10】本発明を適用し得る無線データ受信装置の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
WR…無線データ受信装置、1…受信アンテナ、2…ミキサ、3…PLL回路、4…バンドパスフィルタ、5…PSK復調部、6…直交検波器、7a,7b…ローパスフィルタ、8a,8b…A/D変換器、9…位相同期ループ式の復調回路、10…複素乗算器、11…復調器、12…位相同期ループ回路、13…加算器、21…位相誤差検出回路、22…補正回路、23…加算器、24…ループフィルタ、25…数値制御発振器、31…第1のデコーダ、32…第2のデコーダ、33…第1の乗算器、34…第2の乗算器、35…減算器、41…セレクト信号形成回路、41a…排他的論理和回路、41b…デコーダ、42,43…セレクタ、51…セレクト信号形成回路、51a,51b…排他的論理和回路、51c…デコーダ、52,53…セレクタ、61…比較選択器、62…余弦値乗算器、63…正弦値乗算器、64…符号付与回路、65…加算器、71…4ビットシフト器、72…減算器、73…2ビットシフト器、74…3ビットシフト器、75…加算器、6e…電圧制御発振器、81a,81b…ロールオフフィルタ
Claims (9)
- 送信側から送信される8相位相変調信号と、4相位相変調信号及び2相位相変調信号の何れかでなる少相位相変調信号とを少なくとも受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、
受信した8相位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて8個の位相点存在領域から位相点の存在領域を検出して復調データを出力する復調手段と、該復調手段で復調された復調データと、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点存在領域における基準角からの位相誤差を検出する位相誤差検出手段と、前記少相位相変調信号の同相成分及び直交成分を前記8相位相変調信号の位相点に一致するように回転させる位相回転手段と、該位相回転手段で回転させた同相成分及び直交成分を前記復調手段に入力したときに、前記位相誤差検出手段で検出した位相誤差と、前記復調データとに基づいて当該位相誤差を補正する位相誤差補正値及び復調データを補正する補正データとを形成する補正手段と、該補正手段で形成した位相誤差補正値に基づいて同相成分及び直交成分の位相誤差を除去する位相誤差除去手段と、前記復調手段で復調した復調データを前記補正手段で形成した補正データで補正する復調データ補正手段とを備えたことを特徴とする位相変調信号復調装置。 - 前記少相位相変調信号は、4相位相変調信号及び2相位相変調信号であることを特徴とする請求項1記載の位相変調信号復調装置。
- 前記復調手段は、前記位相点領域検出手段は、入力される同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とに基づいて復調データを求めるように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相変調信号復調装置。
- 前記位相誤差検出手段は、位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じた基準角に対応する正弦値及び余弦値を個別に出力する第1及び第2のデコーダと、該第1のデコーダから出力される正弦値と前記同相成分とを乗算する同相成分乗算手段と、前記第2のデコーダから出力される余弦値と前記直交成分とを乗算する直交成分乗算手段と、該直交成分乗算手段の乗算値から前記同相成分乗算手段の乗算値を減算して位相誤差角を算出する減算手段とを備えていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の位相変調信号復調装置。
- 前記位相誤差検出手段は、同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力する比較選択手段と、該比較選択手段で選択した小さい成分にcos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段と、前記比較選択手段で選択した大きい成分にsin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段と、前記余弦値乗算手段及び正弦値乗算手段で算出した乗算値に対して位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じて正負の符号付けする符号付与手段と、該符号付与手段で符号付けされた乗算値を加算する加算手段とで構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の位相変調信号復調装置。
- 前記余弦値乗算手段は、入力データを4ビットシフトさせる4ビットシフト器と、入力データから前記4ビットシフト器の出力値を減算する減算器とで構成され、前記正弦値乗算手段は、入力データを夫々2ビット及び3ビットシフトさせる2ビットシフト器及び3ビットシフト器と、両ビットシフト器の出力を加算する加算器とで構成されていることを特徴とする請求項5に記載の位相変調信号復調装置。
- 前記補正手段は、少相位相変調信号が4相位相変調信号であるときに、復調データの最下位ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて4相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の位相変調信号復調装置。
- 前記補正手段は、少相位相変調信号が2相位相変調信号であるときに、復調データの下位2ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて2相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の位相変調信号復調装置。
- 前記補正手段は、少相位相変調信号が4相位相変調信号であるときに、復調データの最下位ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて4相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力し、少相位相変調信号が2相位相変調信号であるときに、復調データの下位2ビットと位相誤差検出手段で検出した位相誤差符号とに基づいて2相位相変調信号に基づく位相点存在領域の位相誤差に変換する位相誤差補正値を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の位相変調信号復調装置。
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