JP2004364131A - 位相変調信号復調装置及び復調方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】位相シフトキーイング変調信号を復調する際に、複雑な構成を有する乗算器や大容量ROMを使用することなく簡易な構成の復調装置を提供する。
【解決手段】送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出手段21と、該位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出手段22と、前記位領域検出手段で検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出手段で検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出手段23とを備えている。
【選択図】 図2
【解決手段】送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出手段21と、該位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出手段22と、前記位領域検出手段で検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出手段で検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出手段23とを備えている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相シフトキーイング(PSK)変調信号を復調する位相変調信号復調装置及び復調方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の位相変調信号復調装置としては、入力位相変調信号を直交検波したI,Q信号をデジタル値に変換し、デジタル化したI,Q信号に再生キャリアを乗算して複素乗算を行い、複素乗算信号において連続する2シンボルの位置から連続する2シンボルの値の同一又は相違を判定しシリアルデータを生成し、生成したシリアルデータからフレーム同期の検出結果に基づいて伝送位相変調信号のB−PSK期間を確定し、この期間の位相変調信号を用いてキャリアを再生し、再生したキャリアを複素乗算器に入力するようにしたデジタル復調装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、直交復調したIch,Qchのデータを各々A/D変換してから角度計算器により角度θを求め、差動検波復調器で角度θからシンボルごとにθn−θn−1の差動復調を行い、その差分からその差動検波の位相歪をもとめ、次に角度θの値をデジタルPLLに入力し、PLLのロックアップタイム後、その出力値θ′からシンボルごとにθ′n−θ′n−1の差動復調を行い、その差分から同期検波位相歪を求め、位相歪値比較器でその2つの位相歪値を比較して、切換スイッチで、同期検波の方がデータクオリティが優れていれば復調動作を同期検波に切り替えることにより、空間伝搬環境上での最適な復調動作を選択する無線データ通信の復調装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−24726号公報(第1頁〜第11頁、図1)
【特許文献2】
特許第3130773号公報(第1頁〜第4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、I,Q信号から搬送波同期を取るので、受信信号の位相補正を複素乗算器で行うようにしており、複素乗算には4つの乗算器が必要となるため、回路規模が大きくなるという未解決の課題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、角度計算器で位相情報へ変換した後に、位相補正を行うので、位相補正は加算器となり、乗算器を必要としないが、位相情報への変換には、θ=tan−1(Q/I)の演算が必要であり、これを実現するはROMを用いるのが一般的であり、大きな容量のROMが必要となるという未解決の課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、複素乗算器やROMを用いることなく、簡易な構成とすることが可能な位相変調信号復調装置及び復調方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の技術手段は、送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出手段と、該位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出手段と、前記位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出手段で検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】
この第1の技術手段では、位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を位相点領域検出手段で検出し、検出した位相点存在領域情報と、同相成分及び直交成分とに基づいて位相点領域における基準角からの位相角を位相誤差検出手段で検出し、検出した位相角と位相点存在領域の基準角とを位相情報算出手段で加算して位相情報を算出する。このように構成することにより、同相成分及び直交成分に基づいて位相情報を、ROMを設けることなく、正確に検出することができる。
【0010】
また、第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記位相点領域検出手段は、入力される同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とに基づいて位相点存在領域情報を求めるように構成されていることを特徴としている。
この第2の技術手段では、同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とから位相点の存在する位相存在領域情報を正確に求めることができる。
【0011】
さらに、第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記位相誤差検出手段は、位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じた基準角の正弦値及び余弦値を個別に出力する第1及び第2のデコーダと、該第1のデコーダから出力される正弦値と前記同相成分とを乗算する同相成分乗算手段と、前記第2のデコーダから出力される余弦値と前記直交成分とを乗算する直交成分乗算手段と、該直交成分乗算手段の乗算値から前記同相成分乗算手段の乗算値を減算して位相誤差角を算出する減算手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
この第3の技術手段では、位相点存在領域情報に基づいて第1のデコーダから位相点存在領域における基準角の正弦値を出力すると共に、第2のデコーダから位相点存在領域おける基準角の余弦値を出力し、同相成分に正弦値を乗算し、直交成分に余弦値を乗算して、余弦値を乗算した直交成分から正弦値を乗算した同相成分を減算することにより、位相誤差角を算出する。
【0013】
すなわち、位相点存在領域の基準角をαとし、この基準角αからの位相誤差角をθとしたときに、同相成分はcos(α−θ)で表され、直交成分はsin(α−θ)で表される。したがって、直交成分sin(α−θ)に基準角αの余弦値cosαを乗算した乗算値sin(α−θ)・cosαから同相成分cos(α−θ)に基準角αの正弦値sinαを除算した乗算値cos(α−θ)・sinαを減算することにより、位相誤差角θの近似値としてsinθを算出する。
【0014】
したがって、8つの位相存在領域の正弦値及び余弦値はsin(π/8)及びcos(π/8)の正負値で表すことができるので、位相点存在領域情報に基づいて第1及び第2のデコーダで正負のsin(π/8)及びcos(π/8)を選択するだけでよく、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と減算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0015】
さらにまた、第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記位相誤差検出手段は、同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力する比較選択手段と、該比較選択手段で選択した小さい成分にcos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段と、前記比較選択手段で選択した大きい成分にsin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段と、前記余弦値乗算手段及び正弦値乗算手段で算出した乗算値に対して位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じて正負の符号付けする符号付与手段と、該符号付与手段で符号付けされた乗算値を加算する加算手段とで構成されていることを特徴としている。
【0016】
この第4の技術手段では、比較選択手段で同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力し、小さい成分にcos(π/8)を乗算し、大きい成分にsin(π/8)を乗算し、両乗算値に正負の符号付けを行うことにより、前述した第3の技術手段と同様に、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と符号付与手段と加算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0017】
なおさらに、第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記余弦値乗算手段は、入力データを4ビットシフトさせる4ビットシフト器と、入力データから前記4ビットシフト器の出力値を減算する減算器とで構成され、前記正弦値乗算手段は、入力データを夫々2ビット及び3ビットシフトさせる2ビットシフト器及び3ビットシフト器と、両ビットシフト器の出力を加算する加算器とで構成されていることを特徴としている。
【0018】
この第5の技術手段では、さらに入力データを4ビットシフト器で4ビットシフトさせることにより、入力データの1/16(=入力データ×0.0625)を演算し、この演算値を入力データから減算することにより、cos(π/8)の近似値0.9375を入力データに乗算した値を得ることができ、入力データを2ビットシフト器で2ビットシフトさせることにより入力データの1/4(=入力データ×0.25)を演算し、同様に入力データを3ビットシフト器で3ビットシフトさせることにより、入力データの1/8(=入力データ×0.125)を演算し、両者を加算することにより、sin(π/8)の近似値0.375を入力データに乗算した値を得ることができ、ビットシフト器と加算器及び減算器とで乗算器を用いることなく正弦値乗算手段及び余弦値乗算手段を構成することができ、位相誤差検出手段をより簡易に構成することができる。
【0019】
また、第6の技術手段は、送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調方法において、 受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出ステップと、該位相点領域検出ステップで検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出ステップと、前記位相点領域検出ステップで検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出ステップで検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出ステップとを備えていることを特徴としている。
【0020】
この第6の技術手段によれば、前述した第1の技術手段と同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す例えば2.4GHzのISM帯を使用する近距離無線通信システムに適用した場合の無線データ受信装置を示すブロック図である。
【0022】
図中、WRは無線データ受信装置であって、この無線データ受信装置WRは、受信アンテナ1を有し、この受信アンテナ1で送信側から送信される8相位相シフトキーイング(8PSK)変調信号、QPSK変調信号、BPSK変調信号等の位相変調信号を受信し、受信した受信信号はミキサ2に供給されて、このミキサ2で、受信信号に位相同期ループ(以下、PLLと称す)回路3から入力される局部発振信号を乗算してダウンコンバートして中間周波信号(IF信号)に変換される。
【0023】
そして、ミキサ2から出力される中間周波信号は、バンドパスフィルタ4を通じて受信信号を位相シフトキーイング復調するPSK復調部5に供給される。
このPSK復調部5は、入力される中間周波信号を同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)に変換する直交検波回路6と、この直交検波回路6から出力される同相成分及び直交成分が入力され、これらから次段のA/D変換器8a,8bのサンプリング周波数の1/2以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ7a及び7bと、これらローパスフィルタ7a及び7bのフィルタ出力が入力され、このフィルタ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器8a及び8bと、A/D変換器23a及び23bの出力信号が入力される位相同期ループ(PLL)式の復調回路9とを備えている。
【0024】
直交検波回路6は、中間周波信号が分岐されて入力される2つのミキサ6a及び6bと、これらミキサ6a及び6bに供給する局部発振信号を出力する発振器6cとを有し、発振器6cから出力される局部発振信号が直接ミキサ6aに供給されると共に、局部発振信号を90度移相する移相器6dを介してミキサ6bに供給することにより、ミキサ6aから同相成分(I成分)が出力され、ミキサ6bから直交成分(Q成分)が出力され、これら同相成分及び直交成分が複素ベースバンド信号を表している。
【0025】
復調回路9は、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号が入力される位相計算器10と、この位相計算器10から出力される位相情報が入力される位相同期ループ(PLL)回路11と、この位相同期ループ回路11で形成される位相情報をデコードしてPSK復調データを出力する判定回路12とで構成されている。
【0026】
ここで、位相計算器10は、図2に示すように、A/D変換器8a及び8bから入力されるデジタル信号の同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)に基づいて仮復調を行い、仮位相データDP及び位相点存在領域情報PAを出力する仮復調器21と、同相成分及び直交成分が入力されると共に、位相点存在領域情報PAが入力され、これらに基づいて基準角αに対する位相誤差角θを検出する位相誤差検出回路22と、仮復調器21から出力される仮位相データDPに位相誤差角θを加算して位相情報PIを算出する加算器23とで構成されている。
【0027】
仮復調器21は、入力される同相成分I及び直交成分Qの符号と絶対値の大小比較とに基づいて位相点が存在する領域を特定し、特定した位相点存在領域を表す位相点存在情報PAと位相存在領域の基準点を表す仮位相データDPを形成する。
すなわち、8相PSK変調信号の位相配置図は、図3に示すように、横軸に同相成分Iを、縦軸に直交成分Qを夫々とったときに、8つの基準点PB1〜PB8は夫々、第1象限〜第4象限に夫々2つずつ横軸を“0”としたときに、位相角π/8、3π/8、5π/8、7π/8、9π/8、11π/8、13π/8及び15π/8位置となる。
【0028】
このため、各基準点PB1〜PB8を中心として隣接する基準点との中間位相角0、2π/8、4π/8、6π/8、8π/8、10π/8、12π/8、14π/8及び16π/8を境界線としたときに、位相角0〜2π/8の範囲を基準点PB1の存在する位相点存在領域A1、2π/8〜4π/8の範囲を基準点PB2の存在する位相点存在領域A2、……14π/8〜0の範囲を基準点PB8の存在する位相点存在領域A8として設定する。
【0029】
そして、入力される同相成分I及び直交成分Qの絶対値の大小比較結果と、同相成分I及び直交成分Qの符号とから実際の位相点が前述した位相点存在領域A1〜A8の何れの領域に存在するかを判定し、下記表1に示すように、該当する位相点存在領域Ai(i=1〜8)の基準点PBiの位相角を位相データDPとして加算器23に出力すると共に、各位相点存在領域A1,A2,……A8を3ビットの“000”,“001”,……“111”で表した位相点存在領域情報PAを位相誤差検出回路22に出力する。
【0030】
【表1】
【0031】
位相誤差検出回路22は、図4に示すように、仮復調器21から入力される位相点存在領域情報PAが入力され、これに基づいてsinα(α=π/8、3π/8、……、15π/8)に対応して正弦値(=sin(π/8)=±0.38268)及び余弦値(=cos(π/8)=±0.92387)の何れかを選択して出力する第1及び第2のデコーダ25及び26と、第1のデコーダ25の出力値と同相成分Iとを乗算する乗算器27と、第2のデコーダ26の出力値と直交成分Qとを乗算する乗算器28と、乗算器28から出力される乗算値から乗算器27から出力される乗算値を減算して位相誤差角θを算出する減算器29とを備えている。
【0032】
ここで、第1及び第2のデコーダ25及び26は、位相点存在領域情報PAに基づいて下記表2に示すように正弦値及び余弦値を選択して乗算器27及び28に出力する。
【0033】
【表2】
【0034】
また、位相同期ループ回路11は、位相計算器10から入力される位相情報PIから後述するループフィルタ33のフィルタ出力を減算して搬送波に同期した出力位相を出力する位相比較手段としての減算器31と、この減算器31から出力される出力位相が入力され、これに基づいて位相オフセット値poを算出する位相オフセット検出回路32と、この位相オフセット検出回路32から出力される位相オフセット値poが入力されてループ積算器を構成し、フィルタ出力を減算器31に出力するループフィルタ33とで構成されている。
【0035】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、図示しない送信装置からPSK変調信号を無線送信し、これを無線データ受信装置WRで受信すると、受信アンテナ1で受信した受信信号がミキサ2に供給されて中間周波信号(IF信号)に変換されてバンドパスフィルタ4を介してPSK復調部5に供給される。
【0036】
このPSK復調部5では、入力される中間周波信号を直交検波器6で検波することにより、同相成分I及び直交成分Qをローパスフィルタ7a及び7bを介してA/D変換器8a及び8bに供給してデジタル信号に変換する。
そして、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号が位相同期ループ(PLL)式の復調回路9に入力されてPSK復調される。
【0037】
このとき、復調回路9では、まず、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル化された同相成分I及び直交成分Qが位相計算器10に供給されて位相情報PIを算出する。
この位相計算器10では、同相成分I及び直交成分Qが仮復調器21に入力されることにより、この仮復調器21で、同相成分I及び直交成分Qの符号と、これら同相成分I及び直交成分Qの絶対値大小比較によって、位相点(シンボル点)Piが存在する位相点存在領域Aiを特定する。
【0038】
今、同相成分I及び直交成分Qで表される位相点Piが、図5に示すように、図3の位相配置図における第1象限における位相点存在領域A2で、基準点PB2に対して反時計方向に位相誤差角+θだけずれた位置に存在するものとする。この状態では、同相成分I及び直交成分Qの符号が共に正であり、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいので、仮復調器21で、位相点Piが位相点存在領域A2に存在することを検出し、位相点存在領域A2の基準点PB2の位相角3π/8を位相データDPとして加算器23に出力すると共に、位相点存在領域A2を表す“001”の位相点存在領域情報PAを位相誤差検出回路22に出力する。
【0039】
このため、位相誤差検出回路22では、第1及び第2のデコーダ25及び26で入力された位相点存在領域情報PAに基づいてsin(3π/8)〔=cos(π/8)〕及びcos(3π/8)〔=sin(π/8)〕に対応する正弦値+0.92387及び余弦値+0.38268を乗算器27及び28に出力する。
【0040】
これら乗算器27及び28には同相成分I及び直交成分Qが入力されているので、これらが乗算され、その乗算出力I×0.92387及びQ×0.38268が減算器29に出力されることにより、Q×0.38268−I×0.92387が算出されて、位相誤差角θが算出される。
すなわち、図5に示すように、基準点PB2の座標は位相角をαとしたとき、(cosα,sinα)で表され、位相点P2が基準点PB2から反時計方向にθだけずれているので、位相点P2の座標は(cos(α+θ)=I,sin(α+θ)=Q)で表される。
【0041】
したがって、第1及び第2のデコーダ25及び26で夫々正弦値sinα及び余弦値cosαを算出し、これらと同相成分cos(α+θ)及び直交成分sin(α+θ)を乗算することにより、乗算値sinα・cos(α+θ)及びcosα・sin(α+θ)が算出され、これが減算器29に供給されるので、下記(1)式で表される減算値S即ち位相誤差角θを算出する。
【0042】
ここで、θは位相点存在領域Ai内の値であって、−π/8≦θ≦+π/8であるので、sinθを位相誤差角θの近似値として採用することができる。
【0043】
この位相誤差検出回路22で算出された位相誤差角θが加算器23に供給されて基準点αを表す位相データDP(=3π/8)に加算されるので、(α+θ)の位相情報PIが算出される。
そして、位相情報PIが位相同期ループ(PLL)回路11に供給されて、この位相同期ループ回路11の位相オフセット検出回路32で位相情報PIのオフセット成分poを検出し、このオフセット成分をループフィルタ33に供給して平均化してから減算器31に供給することにより、位相計算器10で計算した位相情報PIの位相誤差を除去し、この位相誤差が除去された位相情報PIが判定回路12に供給されて、レベル判定することにより、PSK復調データが得られる。
【0044】
また、同相成分I及び直交成分Qで表される位相点Piが基準角PBiに対して時計方向に遅れている場合には、位相点Piを構成する同相成分Iがcos(α−θ)で表され、直交成分Qがsin(α−θ)で表されることになる。このため、これらにデコーダ25及び26から出力されるsinα及びcosαを乗算してから減算器29で減算することにより、減算器29の減算出力Sは下記(2)式で表される。
【0045】
このため、負値の位相誤差角−θを算出することができる。
【0046】
このように、上記第1の実施形態によれば、直交検波した同相成分I及び直交成分Qに基づいて位相情報を算出する位相計算器10を、同相成分I及び直交成分Qに基づいて位相点存在領域を検出して、位相点存在領域情報PA及び位相データDPを出力する位相点存在領域検出手段としての仮復調器21と、同相成分I及び直交成分Qと位相点存在領域情報とに基づいて位相誤差角θを算出する位相誤差検出回路22と、位相データと位相誤差角θとを加算する加算器23とで構成したので、位相情報を算出するための大容量のROMを必要とすることなく、簡易な構成で位相情報を正確に算出することができる。
【0047】
しかも、位相誤差検出回路22が位相点存在領域情報PAに基づいて位相角の正弦値及び余弦値を出力するデコーダ25及び26と、これらデコーダ25及び26の正弦値及び余弦値と同相成分I及び直交成分Qとを乗算する乗算器27及び28と、乗算器28の乗算出力から乗算器27の乗算出力を減算して位相誤差角θを算出する減算器29とで構成されているので、複雑な乗算等を行うことなく、正確な位相誤差角θを容易に検出することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態を図6について説明する。
この第2の実施形態では、前述した第1の実施形態の位相誤差検出回路22におけるデコーダ25及び26を用いることなく位相誤差角θを算出するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、位相誤差検出回路22が、図6に示すように、直交検波された同相成分I及び直交成分Qが入力されてその絶対値の大小を比較して、小さい成分CS 及び大きい成分CL を出力する比較選択手段としての比較選択器41と、この比較選択器41から出力される小さい成分CS に余弦値cos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段としての余弦値乗算器42と、比較選択器41から出力される大きい成分CL に正弦値sin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段としての正弦値乗算器43と、これら乗算器42及び43で算出された乗算値が入力され、これらに仮復調器21から供給される位相点存在領域情報PAに基づいて正負の符号付けを行う符号付与手段としての符号付与回路44と、符号付けされた乗算値を加算する加算手段としての加算器45とで構成されている。
【0049】
ここで、符号付与回路44は、下記表3に示すように、位相点存在領域情報PAに基づいて乗算器42及び43の乗算値に対して符号付けを行う。
【0050】
【表3】
【0051】
この第2の実施形態によれば、例えば第1の実施形態と同様に、位相点Piが位相点存在領域A2に存在し、基準点PB2〔sin(3π/8),cos(3π/8)〕より反時計方向にずれているおり、I=sin{(3π/8)+θ)}、Q=cos{(3π/8)+θ)}で表されるものとすると、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいため、小さい成分CS =I、大きい成分CL =Qとなる。このため、乗算器42でI・cos(π/8)が算出され、乗算器43でQ・sin(π/8)が算出される。
【0052】
したがって、乗算器42の乗算値M1は、
となる。
【0053】
これら乗算値が符号付与回路44に供給されて、位相点存在領域情報PAが“001”であるので、乗算値M1に対して“−”が、乗算値M2に対して“+”が付与され、これらが加算器45で加算されることにより、加算器45の加算出力Aは、下記式で表される。
したがって、前述した第1の実施形態と同様に、比較選択器41にデジタル値で表される同相成分I及び直交成分Qを入力することにより、この比較選択器41で小さい成分CS として同相成分Iが選択され、大きい成分CL として直交成分Qが選択され、これらが夫々乗算器42及び43に供給されて、夫々「0.92387」及び「0.38267」を乗算し、これら乗算器42及び43の乗算値−I×0.92387及びQ×0.38267とを加算器45で加算することにより、位相誤差角θを算出することができる。
【0054】
また、位相点Piが位相点存在領域A3に存在し、基準点PB3から時計方向にずれているものとすると、この場合の同相成分Iは−sin(π/8−θ)で表され、直交成分Qはcos(π/8−θ)で表される。
このとき、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいので、小さい成分Cs =I、大きい成分CL =Qとなり、乗算器42及び43の乗算値M1及びM2は、
となり、符号付与回路44で、位相点存在領域情報PAが“010”であるので、乗算値M1及びM2に対して夫々“−”が付与されるので、加算器45での加算値Aは、
となり、加算器45の加算値Aが位相誤差角−θを表すことになる。
【0055】
このように、上記第2の実施形態によれば、位相誤差検出回路22を、直交検波した同相成分I及び直交成分Qの絶対値を比較して小さい成分CS 及び大きい成分CL を選択する比較選択器41、この比較選択器41の小さい成分CS 及び大きい成分CL に余弦値cos(π/8)及び正弦値sin(π/8)を乗算する乗算器42及び43と、これら乗算器42及び43の乗算値M1及びM2に対して、位相点存在領域情報PAに基づいて符号を付与する符号付与回路44と、符号付与された乗算値M1及びM2を加算する加算器45との簡易な構成とすることができ、複素乗算を行うための複雑な乗算器や位相情報を算出するための大容量のROMを必要とすることなく、簡易な構成で位相情報を正確に算出することができる。
【0056】
なお、上記第2の実施形態においては、比較選択器41から出力される小さい成分CS 及び大きい成分CLに乗算器42及び43で余弦値及び正弦値を乗算する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、比較選択器41の小さい成分CSが入力される4ビットシフト器51と小さい成分CSから4ビットシフト器51のシフト出力を減算する減算器52とで乗算器42を構成すると共に、比較選択器41の大きい成分CSが入力される2ビットシフト器53及び3ビットシフト器54と、これら2ビットシフト器53及び3ビットシフト器54のシフト出力を加算する加算器55とで乗算器43を構成することにより、実際に乗算器を使用することなく位相誤差角θを算出するようにしてもよい。このように構成することにより、4ビットシフト器51でCS/16(=0.0625CS)を算出し、これを小さい成分CSから減算することにより、CS(1−1/16)=0.9375CS即ち余弦値cos(π/8)=0.92387に近似する0.9375を小さい成分CSに乗算した乗算値M1を得ることができ、また、2ビットシフト器51でCL/4(=0.25CL)を算出し、3ビットシフト器52でCL/8(=0.125CL)を算出し、両者を加算することにより、正弦値sin(π/8)=0.38268に近似する0.375を大きい成分CLに乗算した乗算値M2を得ることができ、乗算器を用いることなく、4ビットシフト器51、減算器52、2ビットシフト器53、3ビットシフト器54及び加算器55で乗算器を構成することができ、位相誤差検出回路22の回路規模をより減少させることができる。
【0057】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、本発明を位相計算器10の出力側に位相同期ループ回路11を設けた無線データ受信装置WRに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、直交検波器6の発振器6cを数値制御発振器6eで構成すると共に、A/D変換器8a及び8bのデジタル出力をロールオフフィルタ61a及び61bを介して、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態の構成を有する位相計算器10に供給し、この位相計算機10から出力される位相情報PIをそのままPSK復調データとして出力すると共に、位相情報PIを位相オフセット検出回路62に供給して位相オフセット値poを検出し、検出した位相オフセットpoをループフィルタ63で平均化して数値制御発振器6eに供給することにより位相誤差を除去するようにした無線データ受信装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】位相計算器を示すブロック図である。
【図3】PSK受信信号の位相配置図である。
【図4】位相誤差検出回路を示すブロック図である。
【図5】位相誤差の検出原理を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明を適用し得る無線データ受信装置の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
WR…無線データ受信装置、1…受信アンテナ、2…ミキサ、3…PLL回路、4…バンドパスフィルタ、5…PSK復調部、6…直交検波器、7a,7b…ローパスフィルタ、8a,8b…A/D変換器、9…位相同期ループ式の復調回路、10…位相計算器、11…位相同期ループ回路、12…判定回路、21…仮復調器、22…位相誤差検出回路、23…加算器、35…第1のデコーダ、36…第2のデコーダ、27…第1の乗算器、28…第2の乗算器、29…減算器、31…減算器、32…位相オフセット検出回路、33…ループフィルタ、41…比較選択器、42…余弦値乗算器、43…正弦値乗算器、44…符号付与回路、45…加算器、51…4ビットシフト器、52…減算器、53…2ビットシフト器、54…3ビットシフト器、55…加算器、6e…数値制御発振器、61a,61b…ロールオフフィルタ、62…位相オフセット検出回路、63…ループフィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相シフトキーイング(PSK)変調信号を復調する位相変調信号復調装置及び復調方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の位相変調信号復調装置としては、入力位相変調信号を直交検波したI,Q信号をデジタル値に変換し、デジタル化したI,Q信号に再生キャリアを乗算して複素乗算を行い、複素乗算信号において連続する2シンボルの位置から連続する2シンボルの値の同一又は相違を判定しシリアルデータを生成し、生成したシリアルデータからフレーム同期の検出結果に基づいて伝送位相変調信号のB−PSK期間を確定し、この期間の位相変調信号を用いてキャリアを再生し、再生したキャリアを複素乗算器に入力するようにしたデジタル復調装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、直交復調したIch,Qchのデータを各々A/D変換してから角度計算器により角度θを求め、差動検波復調器で角度θからシンボルごとにθn−θn−1の差動復調を行い、その差分からその差動検波の位相歪をもとめ、次に角度θの値をデジタルPLLに入力し、PLLのロックアップタイム後、その出力値θ′からシンボルごとにθ′n−θ′n−1の差動復調を行い、その差分から同期検波位相歪を求め、位相歪値比較器でその2つの位相歪値を比較して、切換スイッチで、同期検波の方がデータクオリティが優れていれば復調動作を同期検波に切り替えることにより、空間伝搬環境上での最適な復調動作を選択する無線データ通信の復調装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−24726号公報(第1頁〜第11頁、図1)
【特許文献2】
特許第3130773号公報(第1頁〜第4頁、図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、I,Q信号から搬送波同期を取るので、受信信号の位相補正を複素乗算器で行うようにしており、複素乗算には4つの乗算器が必要となるため、回路規模が大きくなるという未解決の課題がある。
【0006】
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、角度計算器で位相情報へ変換した後に、位相補正を行うので、位相補正は加算器となり、乗算器を必要としないが、位相情報への変換には、θ=tan−1(Q/I)の演算が必要であり、これを実現するはROMを用いるのが一般的であり、大きな容量のROMが必要となるという未解決の課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、複素乗算器やROMを用いることなく、簡易な構成とすることが可能な位相変調信号復調装置及び復調方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
第1の技術手段は、送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出手段と、該位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出手段と、前記位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出手段で検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出手段とを備えていることを特徴としている。
【0009】
この第1の技術手段では、位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を位相点領域検出手段で検出し、検出した位相点存在領域情報と、同相成分及び直交成分とに基づいて位相点領域における基準角からの位相角を位相誤差検出手段で検出し、検出した位相角と位相点存在領域の基準角とを位相情報算出手段で加算して位相情報を算出する。このように構成することにより、同相成分及び直交成分に基づいて位相情報を、ROMを設けることなく、正確に検出することができる。
【0010】
また、第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記位相点領域検出手段は、入力される同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とに基づいて位相点存在領域情報を求めるように構成されていることを特徴としている。
この第2の技術手段では、同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とから位相点の存在する位相存在領域情報を正確に求めることができる。
【0011】
さらに、第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記位相誤差検出手段は、位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じた基準角の正弦値及び余弦値を個別に出力する第1及び第2のデコーダと、該第1のデコーダから出力される正弦値と前記同相成分とを乗算する同相成分乗算手段と、前記第2のデコーダから出力される余弦値と前記直交成分とを乗算する直交成分乗算手段と、該直交成分乗算手段の乗算値から前記同相成分乗算手段の乗算値を減算して位相誤差角を算出する減算手段とを備えていることを特徴としている。
【0012】
この第3の技術手段では、位相点存在領域情報に基づいて第1のデコーダから位相点存在領域における基準角の正弦値を出力すると共に、第2のデコーダから位相点存在領域おける基準角の余弦値を出力し、同相成分に正弦値を乗算し、直交成分に余弦値を乗算して、余弦値を乗算した直交成分から正弦値を乗算した同相成分を減算することにより、位相誤差角を算出する。
【0013】
すなわち、位相点存在領域の基準角をαとし、この基準角αからの位相誤差角をθとしたときに、同相成分はcos(α−θ)で表され、直交成分はsin(α−θ)で表される。したがって、直交成分sin(α−θ)に基準角αの余弦値cosαを乗算した乗算値sin(α−θ)・cosαから同相成分cos(α−θ)に基準角αの正弦値sinαを除算した乗算値cos(α−θ)・sinαを減算することにより、位相誤差角θの近似値としてsinθを算出する。
【0014】
したがって、8つの位相存在領域の正弦値及び余弦値はsin(π/8)及びcos(π/8)の正負値で表すことができるので、位相点存在領域情報に基づいて第1及び第2のデコーダで正負のsin(π/8)及びcos(π/8)を選択するだけでよく、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と減算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0015】
さらにまた、第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記位相誤差検出手段は、同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力する比較選択手段と、該比較選択手段で選択した小さい成分にcos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段と、前記比較選択手段で選択した大きい成分にsin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段と、前記余弦値乗算手段及び正弦値乗算手段で算出した乗算値に対して位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じて正負の符号付けする符号付与手段と、該符号付与手段で符号付けされた乗算値を加算する加算手段とで構成されていることを特徴としている。
【0016】
この第4の技術手段では、比較選択手段で同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力し、小さい成分にcos(π/8)を乗算し、大きい成分にsin(π/8)を乗算し、両乗算値に正負の符号付けを行うことにより、前述した第3の技術手段と同様に、大容量のROMを必要とすることなく、簡易な乗算器と符号付与手段と加算器とで位相誤差を正確に検出することができる。
【0017】
なおさらに、第5の技術手段は、第4の技術手段において、前記余弦値乗算手段は、入力データを4ビットシフトさせる4ビットシフト器と、入力データから前記4ビットシフト器の出力値を減算する減算器とで構成され、前記正弦値乗算手段は、入力データを夫々2ビット及び3ビットシフトさせる2ビットシフト器及び3ビットシフト器と、両ビットシフト器の出力を加算する加算器とで構成されていることを特徴としている。
【0018】
この第5の技術手段では、さらに入力データを4ビットシフト器で4ビットシフトさせることにより、入力データの1/16(=入力データ×0.0625)を演算し、この演算値を入力データから減算することにより、cos(π/8)の近似値0.9375を入力データに乗算した値を得ることができ、入力データを2ビットシフト器で2ビットシフトさせることにより入力データの1/4(=入力データ×0.25)を演算し、同様に入力データを3ビットシフト器で3ビットシフトさせることにより、入力データの1/8(=入力データ×0.125)を演算し、両者を加算することにより、sin(π/8)の近似値0.375を入力データに乗算した値を得ることができ、ビットシフト器と加算器及び減算器とで乗算器を用いることなく正弦値乗算手段及び余弦値乗算手段を構成することができ、位相誤差検出手段をより簡易に構成することができる。
【0019】
また、第6の技術手段は、送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調方法において、 受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出ステップと、該位相点領域検出ステップで検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出ステップと、前記位相点領域検出ステップで検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出ステップで検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出ステップとを備えていることを特徴としている。
【0020】
この第6の技術手段によれば、前述した第1の技術手段と同様の作用効果を得ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の第1の実施形態を示す例えば2.4GHzのISM帯を使用する近距離無線通信システムに適用した場合の無線データ受信装置を示すブロック図である。
【0022】
図中、WRは無線データ受信装置であって、この無線データ受信装置WRは、受信アンテナ1を有し、この受信アンテナ1で送信側から送信される8相位相シフトキーイング(8PSK)変調信号、QPSK変調信号、BPSK変調信号等の位相変調信号を受信し、受信した受信信号はミキサ2に供給されて、このミキサ2で、受信信号に位相同期ループ(以下、PLLと称す)回路3から入力される局部発振信号を乗算してダウンコンバートして中間周波信号(IF信号)に変換される。
【0023】
そして、ミキサ2から出力される中間周波信号は、バンドパスフィルタ4を通じて受信信号を位相シフトキーイング復調するPSK復調部5に供給される。
このPSK復調部5は、入力される中間周波信号を同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)に変換する直交検波回路6と、この直交検波回路6から出力される同相成分及び直交成分が入力され、これらから次段のA/D変換器8a,8bのサンプリング周波数の1/2以上の周波数成分を除去するローパスフィルタ7a及び7bと、これらローパスフィルタ7a及び7bのフィルタ出力が入力され、このフィルタ出力をデジタル信号に変換するA/D変換器8a及び8bと、A/D変換器23a及び23bの出力信号が入力される位相同期ループ(PLL)式の復調回路9とを備えている。
【0024】
直交検波回路6は、中間周波信号が分岐されて入力される2つのミキサ6a及び6bと、これらミキサ6a及び6bに供給する局部発振信号を出力する発振器6cとを有し、発振器6cから出力される局部発振信号が直接ミキサ6aに供給されると共に、局部発振信号を90度移相する移相器6dを介してミキサ6bに供給することにより、ミキサ6aから同相成分(I成分)が出力され、ミキサ6bから直交成分(Q成分)が出力され、これら同相成分及び直交成分が複素ベースバンド信号を表している。
【0025】
復調回路9は、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号が入力される位相計算器10と、この位相計算器10から出力される位相情報が入力される位相同期ループ(PLL)回路11と、この位相同期ループ回路11で形成される位相情報をデコードしてPSK復調データを出力する判定回路12とで構成されている。
【0026】
ここで、位相計算器10は、図2に示すように、A/D変換器8a及び8bから入力されるデジタル信号の同相成分(I成分)及び直交成分(Q成分)に基づいて仮復調を行い、仮位相データDP及び位相点存在領域情報PAを出力する仮復調器21と、同相成分及び直交成分が入力されると共に、位相点存在領域情報PAが入力され、これらに基づいて基準角αに対する位相誤差角θを検出する位相誤差検出回路22と、仮復調器21から出力される仮位相データDPに位相誤差角θを加算して位相情報PIを算出する加算器23とで構成されている。
【0027】
仮復調器21は、入力される同相成分I及び直交成分Qの符号と絶対値の大小比較とに基づいて位相点が存在する領域を特定し、特定した位相点存在領域を表す位相点存在情報PAと位相存在領域の基準点を表す仮位相データDPを形成する。
すなわち、8相PSK変調信号の位相配置図は、図3に示すように、横軸に同相成分Iを、縦軸に直交成分Qを夫々とったときに、8つの基準点PB1〜PB8は夫々、第1象限〜第4象限に夫々2つずつ横軸を“0”としたときに、位相角π/8、3π/8、5π/8、7π/8、9π/8、11π/8、13π/8及び15π/8位置となる。
【0028】
このため、各基準点PB1〜PB8を中心として隣接する基準点との中間位相角0、2π/8、4π/8、6π/8、8π/8、10π/8、12π/8、14π/8及び16π/8を境界線としたときに、位相角0〜2π/8の範囲を基準点PB1の存在する位相点存在領域A1、2π/8〜4π/8の範囲を基準点PB2の存在する位相点存在領域A2、……14π/8〜0の範囲を基準点PB8の存在する位相点存在領域A8として設定する。
【0029】
そして、入力される同相成分I及び直交成分Qの絶対値の大小比較結果と、同相成分I及び直交成分Qの符号とから実際の位相点が前述した位相点存在領域A1〜A8の何れの領域に存在するかを判定し、下記表1に示すように、該当する位相点存在領域Ai(i=1〜8)の基準点PBiの位相角を位相データDPとして加算器23に出力すると共に、各位相点存在領域A1,A2,……A8を3ビットの“000”,“001”,……“111”で表した位相点存在領域情報PAを位相誤差検出回路22に出力する。
【0030】
【表1】
【0031】
位相誤差検出回路22は、図4に示すように、仮復調器21から入力される位相点存在領域情報PAが入力され、これに基づいてsinα(α=π/8、3π/8、……、15π/8)に対応して正弦値(=sin(π/8)=±0.38268)及び余弦値(=cos(π/8)=±0.92387)の何れかを選択して出力する第1及び第2のデコーダ25及び26と、第1のデコーダ25の出力値と同相成分Iとを乗算する乗算器27と、第2のデコーダ26の出力値と直交成分Qとを乗算する乗算器28と、乗算器28から出力される乗算値から乗算器27から出力される乗算値を減算して位相誤差角θを算出する減算器29とを備えている。
【0032】
ここで、第1及び第2のデコーダ25及び26は、位相点存在領域情報PAに基づいて下記表2に示すように正弦値及び余弦値を選択して乗算器27及び28に出力する。
【0033】
【表2】
【0034】
また、位相同期ループ回路11は、位相計算器10から入力される位相情報PIから後述するループフィルタ33のフィルタ出力を減算して搬送波に同期した出力位相を出力する位相比較手段としての減算器31と、この減算器31から出力される出力位相が入力され、これに基づいて位相オフセット値poを算出する位相オフセット検出回路32と、この位相オフセット検出回路32から出力される位相オフセット値poが入力されてループ積算器を構成し、フィルタ出力を減算器31に出力するループフィルタ33とで構成されている。
【0035】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
今、図示しない送信装置からPSK変調信号を無線送信し、これを無線データ受信装置WRで受信すると、受信アンテナ1で受信した受信信号がミキサ2に供給されて中間周波信号(IF信号)に変換されてバンドパスフィルタ4を介してPSK復調部5に供給される。
【0036】
このPSK復調部5では、入力される中間周波信号を直交検波器6で検波することにより、同相成分I及び直交成分Qをローパスフィルタ7a及び7bを介してA/D変換器8a及び8bに供給してデジタル信号に変換する。
そして、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル信号が位相同期ループ(PLL)式の復調回路9に入力されてPSK復調される。
【0037】
このとき、復調回路9では、まず、A/D変換器8a及び8bから出力されるデジタル化された同相成分I及び直交成分Qが位相計算器10に供給されて位相情報PIを算出する。
この位相計算器10では、同相成分I及び直交成分Qが仮復調器21に入力されることにより、この仮復調器21で、同相成分I及び直交成分Qの符号と、これら同相成分I及び直交成分Qの絶対値大小比較によって、位相点(シンボル点)Piが存在する位相点存在領域Aiを特定する。
【0038】
今、同相成分I及び直交成分Qで表される位相点Piが、図5に示すように、図3の位相配置図における第1象限における位相点存在領域A2で、基準点PB2に対して反時計方向に位相誤差角+θだけずれた位置に存在するものとする。この状態では、同相成分I及び直交成分Qの符号が共に正であり、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいので、仮復調器21で、位相点Piが位相点存在領域A2に存在することを検出し、位相点存在領域A2の基準点PB2の位相角3π/8を位相データDPとして加算器23に出力すると共に、位相点存在領域A2を表す“001”の位相点存在領域情報PAを位相誤差検出回路22に出力する。
【0039】
このため、位相誤差検出回路22では、第1及び第2のデコーダ25及び26で入力された位相点存在領域情報PAに基づいてsin(3π/8)〔=cos(π/8)〕及びcos(3π/8)〔=sin(π/8)〕に対応する正弦値+0.92387及び余弦値+0.38268を乗算器27及び28に出力する。
【0040】
これら乗算器27及び28には同相成分I及び直交成分Qが入力されているので、これらが乗算され、その乗算出力I×0.92387及びQ×0.38268が減算器29に出力されることにより、Q×0.38268−I×0.92387が算出されて、位相誤差角θが算出される。
すなわち、図5に示すように、基準点PB2の座標は位相角をαとしたとき、(cosα,sinα)で表され、位相点P2が基準点PB2から反時計方向にθだけずれているので、位相点P2の座標は(cos(α+θ)=I,sin(α+θ)=Q)で表される。
【0041】
したがって、第1及び第2のデコーダ25及び26で夫々正弦値sinα及び余弦値cosαを算出し、これらと同相成分cos(α+θ)及び直交成分sin(α+θ)を乗算することにより、乗算値sinα・cos(α+θ)及びcosα・sin(α+θ)が算出され、これが減算器29に供給されるので、下記(1)式で表される減算値S即ち位相誤差角θを算出する。
【0042】
ここで、θは位相点存在領域Ai内の値であって、−π/8≦θ≦+π/8であるので、sinθを位相誤差角θの近似値として採用することができる。
【0043】
この位相誤差検出回路22で算出された位相誤差角θが加算器23に供給されて基準点αを表す位相データDP(=3π/8)に加算されるので、(α+θ)の位相情報PIが算出される。
そして、位相情報PIが位相同期ループ(PLL)回路11に供給されて、この位相同期ループ回路11の位相オフセット検出回路32で位相情報PIのオフセット成分poを検出し、このオフセット成分をループフィルタ33に供給して平均化してから減算器31に供給することにより、位相計算器10で計算した位相情報PIの位相誤差を除去し、この位相誤差が除去された位相情報PIが判定回路12に供給されて、レベル判定することにより、PSK復調データが得られる。
【0044】
また、同相成分I及び直交成分Qで表される位相点Piが基準角PBiに対して時計方向に遅れている場合には、位相点Piを構成する同相成分Iがcos(α−θ)で表され、直交成分Qがsin(α−θ)で表されることになる。このため、これらにデコーダ25及び26から出力されるsinα及びcosαを乗算してから減算器29で減算することにより、減算器29の減算出力Sは下記(2)式で表される。
【0045】
このため、負値の位相誤差角−θを算出することができる。
【0046】
このように、上記第1の実施形態によれば、直交検波した同相成分I及び直交成分Qに基づいて位相情報を算出する位相計算器10を、同相成分I及び直交成分Qに基づいて位相点存在領域を検出して、位相点存在領域情報PA及び位相データDPを出力する位相点存在領域検出手段としての仮復調器21と、同相成分I及び直交成分Qと位相点存在領域情報とに基づいて位相誤差角θを算出する位相誤差検出回路22と、位相データと位相誤差角θとを加算する加算器23とで構成したので、位相情報を算出するための大容量のROMを必要とすることなく、簡易な構成で位相情報を正確に算出することができる。
【0047】
しかも、位相誤差検出回路22が位相点存在領域情報PAに基づいて位相角の正弦値及び余弦値を出力するデコーダ25及び26と、これらデコーダ25及び26の正弦値及び余弦値と同相成分I及び直交成分Qとを乗算する乗算器27及び28と、乗算器28の乗算出力から乗算器27の乗算出力を減算して位相誤差角θを算出する減算器29とで構成されているので、複雑な乗算等を行うことなく、正確な位相誤差角θを容易に検出することができる。
【0048】
次に、本発明の第2の実施形態を図6について説明する。
この第2の実施形態では、前述した第1の実施形態の位相誤差検出回路22におけるデコーダ25及び26を用いることなく位相誤差角θを算出するようにしたものである。
すなわち、第2の実施形態では、位相誤差検出回路22が、図6に示すように、直交検波された同相成分I及び直交成分Qが入力されてその絶対値の大小を比較して、小さい成分CS 及び大きい成分CL を出力する比較選択手段としての比較選択器41と、この比較選択器41から出力される小さい成分CS に余弦値cos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段としての余弦値乗算器42と、比較選択器41から出力される大きい成分CL に正弦値sin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段としての正弦値乗算器43と、これら乗算器42及び43で算出された乗算値が入力され、これらに仮復調器21から供給される位相点存在領域情報PAに基づいて正負の符号付けを行う符号付与手段としての符号付与回路44と、符号付けされた乗算値を加算する加算手段としての加算器45とで構成されている。
【0049】
ここで、符号付与回路44は、下記表3に示すように、位相点存在領域情報PAに基づいて乗算器42及び43の乗算値に対して符号付けを行う。
【0050】
【表3】
【0051】
この第2の実施形態によれば、例えば第1の実施形態と同様に、位相点Piが位相点存在領域A2に存在し、基準点PB2〔sin(3π/8),cos(3π/8)〕より反時計方向にずれているおり、I=sin{(3π/8)+θ)}、Q=cos{(3π/8)+θ)}で表されるものとすると、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいため、小さい成分CS =I、大きい成分CL =Qとなる。このため、乗算器42でI・cos(π/8)が算出され、乗算器43でQ・sin(π/8)が算出される。
【0052】
したがって、乗算器42の乗算値M1は、
となる。
【0053】
これら乗算値が符号付与回路44に供給されて、位相点存在領域情報PAが“001”であるので、乗算値M1に対して“−”が、乗算値M2に対して“+”が付与され、これらが加算器45で加算されることにより、加算器45の加算出力Aは、下記式で表される。
したがって、前述した第1の実施形態と同様に、比較選択器41にデジタル値で表される同相成分I及び直交成分Qを入力することにより、この比較選択器41で小さい成分CS として同相成分Iが選択され、大きい成分CL として直交成分Qが選択され、これらが夫々乗算器42及び43に供給されて、夫々「0.92387」及び「0.38267」を乗算し、これら乗算器42及び43の乗算値−I×0.92387及びQ×0.38267とを加算器45で加算することにより、位相誤差角θを算出することができる。
【0054】
また、位相点Piが位相点存在領域A3に存在し、基準点PB3から時計方向にずれているものとすると、この場合の同相成分Iは−sin(π/8−θ)で表され、直交成分Qはcos(π/8−θ)で表される。
このとき、直交成分Qの絶対値が同相成分Iの絶対値より大きいので、小さい成分Cs =I、大きい成分CL =Qとなり、乗算器42及び43の乗算値M1及びM2は、
となり、符号付与回路44で、位相点存在領域情報PAが“010”であるので、乗算値M1及びM2に対して夫々“−”が付与されるので、加算器45での加算値Aは、
となり、加算器45の加算値Aが位相誤差角−θを表すことになる。
【0055】
このように、上記第2の実施形態によれば、位相誤差検出回路22を、直交検波した同相成分I及び直交成分Qの絶対値を比較して小さい成分CS 及び大きい成分CL を選択する比較選択器41、この比較選択器41の小さい成分CS 及び大きい成分CL に余弦値cos(π/8)及び正弦値sin(π/8)を乗算する乗算器42及び43と、これら乗算器42及び43の乗算値M1及びM2に対して、位相点存在領域情報PAに基づいて符号を付与する符号付与回路44と、符号付与された乗算値M1及びM2を加算する加算器45との簡易な構成とすることができ、複素乗算を行うための複雑な乗算器や位相情報を算出するための大容量のROMを必要とすることなく、簡易な構成で位相情報を正確に算出することができる。
【0056】
なお、上記第2の実施形態においては、比較選択器41から出力される小さい成分CS 及び大きい成分CLに乗算器42及び43で余弦値及び正弦値を乗算する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図7に示すように、比較選択器41の小さい成分CSが入力される4ビットシフト器51と小さい成分CSから4ビットシフト器51のシフト出力を減算する減算器52とで乗算器42を構成すると共に、比較選択器41の大きい成分CSが入力される2ビットシフト器53及び3ビットシフト器54と、これら2ビットシフト器53及び3ビットシフト器54のシフト出力を加算する加算器55とで乗算器43を構成することにより、実際に乗算器を使用することなく位相誤差角θを算出するようにしてもよい。このように構成することにより、4ビットシフト器51でCS/16(=0.0625CS)を算出し、これを小さい成分CSから減算することにより、CS(1−1/16)=0.9375CS即ち余弦値cos(π/8)=0.92387に近似する0.9375を小さい成分CSに乗算した乗算値M1を得ることができ、また、2ビットシフト器51でCL/4(=0.25CL)を算出し、3ビットシフト器52でCL/8(=0.125CL)を算出し、両者を加算することにより、正弦値sin(π/8)=0.38268に近似する0.375を大きい成分CLに乗算した乗算値M2を得ることができ、乗算器を用いることなく、4ビットシフト器51、減算器52、2ビットシフト器53、3ビットシフト器54及び加算器55で乗算器を構成することができ、位相誤差検出回路22の回路規模をより減少させることができる。
【0057】
また、上記第1及び第2の実施形態においては、本発明を位相計算器10の出力側に位相同期ループ回路11を設けた無線データ受信装置WRに適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、図8に示すように、直交検波器6の発振器6cを数値制御発振器6eで構成すると共に、A/D変換器8a及び8bのデジタル出力をロールオフフィルタ61a及び61bを介して、前述した第1の実施形態又は第2の実施形態の構成を有する位相計算器10に供給し、この位相計算機10から出力される位相情報PIをそのままPSK復調データとして出力すると共に、位相情報PIを位相オフセット検出回路62に供給して位相オフセット値poを検出し、検出した位相オフセットpoをループフィルタ63で平均化して数値制御発振器6eに供給することにより位相誤差を除去するようにした無線データ受信装置にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】位相計算器を示すブロック図である。
【図3】PSK受信信号の位相配置図である。
【図4】位相誤差検出回路を示すブロック図である。
【図5】位相誤差の検出原理を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図7】第2の実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図8】本発明を適用し得る無線データ受信装置の他の例を示すブロック図である。
【符号の説明】
WR…無線データ受信装置、1…受信アンテナ、2…ミキサ、3…PLL回路、4…バンドパスフィルタ、5…PSK復調部、6…直交検波器、7a,7b…ローパスフィルタ、8a,8b…A/D変換器、9…位相同期ループ式の復調回路、10…位相計算器、11…位相同期ループ回路、12…判定回路、21…仮復調器、22…位相誤差検出回路、23…加算器、35…第1のデコーダ、36…第2のデコーダ、27…第1の乗算器、28…第2の乗算器、29…減算器、31…減算器、32…位相オフセット検出回路、33…ループフィルタ、41…比較選択器、42…余弦値乗算器、43…正弦値乗算器、44…符号付与回路、45…加算器、51…4ビットシフト器、52…減算器、53…2ビットシフト器、54…3ビットシフト器、55…加算器、6e…数値制御発振器、61a,61b…ロールオフフィルタ、62…位相オフセット検出回路、63…ループフィルタ
Claims (6)
- 送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調装置において、
受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出手段と、該位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出手段と、前記位相点領域検出手段で検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出手段で検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出手段とを備えていることを特徴とする位相変調信号復調装置。 - 前記位相点領域検出手段は、入力される同相成分及び直交成分の符号と絶対値の大小とに基づいて位相点存在領域情報を求めるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の位相変調信号復調装置。
- 前記位相誤差検出手段は、位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じた基準角に対応する正弦値及び余弦値を個別に出力する第1及び第2のデコーダと、該第1のデコーダから出力される正弦値と前記同相成分とを乗算する同相成分乗算手段と、前記第2のデコーダから出力される余弦値と前記直交成分とを乗算する直交成分乗算手段と、該直交成分乗算手段の乗算値から前記同相成分乗算手段の乗算値を減算して位相誤差角を算出する減算手段とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相変調信号復調装置。
- 前記位相誤差検出手段は、同相成分及び直交成分の絶対値を比較して大きい成分と小さい成分とに分けて出力する比較選択手段と、該比較選択手段で選択した小さい成分にcos(π/8)を乗算する余弦値乗算手段と、前記比較選択手段で選択した大きい成分にsin(π/8)を乗算する正弦値乗算手段と、前記余弦値乗算手段及び正弦値乗算手段で算出した乗算値に対して位相点存在領域検出手段で検出した位相点存在領域情報に応じて正負の符号付けする符号付与手段と、該符号付与手段で符号付けされた乗算値を加算する加算手段とで構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の位相変調信号復調装置。
- 前記余弦値乗算手段は、入力データを4ビットシフトさせる4ビットシフト器と、入力データから前記4ビットシフト器の出力値を減算する減算器とで構成され、前記正弦値乗算手段は、入力データを夫々2ビット及び3ビットシフトさせる2ビットシフト器及び3ビットシフト器と、両ビットシフト器の出力を加算する加算器とで構成されていることを特徴とする請求項4に記載の位相変調信号復調装置。
- 送信側から送信される位相変調信号を受信して復調処理する位相変調信号復調方法において、
受信した位相変調信号を直交検波した同相成分及び直交成分が入力され、該同相成分及び直交成分に基づいて位相点の存在領域を検出する位相点領域検出ステップと、該位相点領域検出ステップで検出した位相点存在領域情報と、前記同相成分及び直交成分とに基づいて前記位相点領域における基準角からの位相角を検出する位相誤差検出ステップと、前記位相点領域検出ステップで検出した位相点存在領域の基準角と、位相誤差検出ステップで検出した位相角を加算して位相情報を算出する位相情報算出ステップとを備えていることを特徴とする位相変調信号復調方法。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2003
- 2003-06-06 JP JP2003162341A patent/JP2004364131A/ja not_active Withdrawn
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