JP2004241886A - 周波数制御回路、及びそれを用いた無線送受信装置とその周波数制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】AFC回路をデジタル化し、高速引込み及びクロック速度を低下させると共に、受信周波数の誤差に応じて送信周波数の誤差の補正を可能とする。
【解決手段】直交復調器15は、受信中間周信号を直交復調し、I/Qの複素符号を出力する。位相誤差検出部21は、I/Qの実際の位相と基準位相との位相差を周波数ずれに対応した誤差データとして出力する。DVCO部23は、誤差データに対応した周波数のsin/cos波を出力する。複素乗算器19は、直交復調器15の出力I/Qをsin/cos波で複素乗算し、周波数ずれを補正してシンボル判定部20に入力する。直交変調器26は、送受共通の発振器14の基準周波信号に対しDVCO部23からのsin/cos波により直交変調し、周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する。
【選択図】 図1
【解決手段】直交復調器15は、受信中間周信号を直交復調し、I/Qの複素符号を出力する。位相誤差検出部21は、I/Qの実際の位相と基準位相との位相差を周波数ずれに対応した誤差データとして出力する。DVCO部23は、誤差データに対応した周波数のsin/cos波を出力する。複素乗算器19は、直交復調器15の出力I/Qをsin/cos波で複素乗算し、周波数ずれを補正してシンボル判定部20に入力する。直交変調器26は、送受共通の発振器14の基準周波信号に対しDVCO部23からのsin/cos波により直交変調し、周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル変調方式の無線システムにおいて安定した周波数追従を行うために用いる周波数制御回路と、それを用いた無線送受信装置と、その周波数制御方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
双方向無線通信システムに用いられる送信部及び受信部を備えた無線送受信装置では、送信部用ローカル(局部)発振周波数及び受信部用ローカル発振周波数を同一発振源(発振器)からの発振周波数に基づいてそれぞれ生成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、4値PSK(Phase Sift Keying:位相偏移変調)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)等のデジタル変調方式の無線通信システムにおいては、送信側の周波数(送信元が送信した周波数)と受信側の周波数(受信先が受信しようとする周波数)とのずれはビットエラーを生む最大の要因となる。同期検波方式を行う上で、受信側はAFC(Auto Frequensy Control:自動周波数制御)を行い、送信側からの周波数をかなりの精度で再生(周波数追従)しなければならない。
【0004】
周波数追従を行うために、通常、アナログにてAFC回路を実現させている。精度の高いAFCを実現させるにはループ帯域を狭め応答を遅くするが、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)などの時間多重方式においては高速な引き込みが要求されている。このため、AFC回路の部分のPLL(Phase−Locked Loop:位相同期ループ)、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)をデジタル化した技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−280924号公報(第2頁、図6)
【特許文献2】
特開2002−164945号公報(第2頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の無線送受信装置では、受信部の受信周波数に対向装置からの送信周波数とのずれ(誤差)が生じるのは、受信部用ローカル(局部)発振周波数を生成するための発振源の発振周波数の変動の影響が一番大きい。ところで、送信部用ローカル発振周波数もこの発振源(共用発振源)の発振周波数から生成しているので、受信部の受信周波数にずれが生じるということは、送信部の送信周波数が変動することになり、対向装置側で受信周波数ずれを生じることになる。またこのことは、対向装置側の共用発振源における発振周波数の変動についても当てはまる。このため、無線送受信装置において、対向装置からの受信周波数の変動(受信部用ローカル発振周波数の変動)に応じて、対向装置向けの送信周波数を変動(送信部用ローカル発振周波数を変動)させ、システムとして周波数を安定させる仕組みが必要となる。
【0007】
本発明の目的は、受信部の受信周波数の誤差を補正するAFC回路として、従来とは異なる構成のデジタルAFC回路を用いた周波数制御回路を提供するとともに、この周波数制御回路により検出された受信部の受信周波数の誤差に応じて送信部の送信周波数の誤差の補正を可能とした周波数制御回路、及びそれを用いた無線送受信装置と、その周波数制御方法とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る周波数制御回路は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置に用いられ、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御回路において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力する位相誤差検出手段と、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段と、前記誤差データに基づいて前記周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを出力させるアドレス変換手段と、前記直交復調器の出力複素符号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により複素乗算し、前記周波数ずれを補正する複素乗算手段と、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する直交変調手段とを有する。
【0009】
本発明の請求項2に係る周波数制御回路は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置に用いられ、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御回路において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力する位相誤差検出手段と、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段と、前記誤差データに基づいて前記周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを出力させるアドレス変換手段と、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成する直交変調手段とを有する。
【0010】
本発明の請求項3に係る周波数制御回路は、請求項2または3に係る周波数制御回路において、前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する手段を有する。
【0011】
本発明の請求項4に係る無線送受信装置は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置において、請求項1に係る周波数制御回路と、前記共通の発振器からの基準周波信号を受信用ローカル発振信号として受信無線搬送波周波信号に混合し、受信中間周波信号に周波数変換する受信用混合手段と、前記受信中間周波信号を同期検波のための周波数で直交復調し、複素符号化されたI信号及びQ信号として出力し、前記周波数制御回路の複素乗算手段に入力する直交復調手段と、前記複素乗算手段から出力される周波数ずれを補正されたI信号及びQ信号から受信データを復調するシンボル判定手段と、送信データを送信中間周波信号に変調する変調手段と、前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を送信用ローカル発振信号として前記送信中間周波信号に混合し、送信無線搬送波周波信号に周波数変換する送信用混合手段とを有する。
【0012】
本発明の請求項5に係る無線送受信装置は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置において、請求項2に係る周波数制御回路と、前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を受信用ローカル発振信号として受信無線搬送波周波信号に混合し、受信中間周波信号に周波数変換する受信用混合手段と、前記受信中間周波信号を同期検波のための周波数で直交復調し、複素符号化されたI信号及びQ信号として出力する直交復調手段と、前記直交復調手段から出力されるI信号及びQ信号から受信データを復調するシンボル判定手段と、送信データを送信中間周波信号に変調する変調手段と、前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を送信用ローカル発振信号として前記送信中間周波信号に混合し、送信無線搬送波周波信号に周波数変換する送信用混合手段とを有する。
【0013】
本発明の請求項6に係る無線送受信装置は、本発明の請求項4または5に係る無線送受信装置において、前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記周波数制御回路の位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する手段を有する。
【0014】
本発明の請求項7に係る周波数制御方法は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置における、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御方法において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力し、前記誤差データに基づいて、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを生成し、前記直交復調器の出力複素符号に対し、前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により複素乗算して前記周波数ずれを補正し、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する工程を有する。
【0015】
本発明の請求項8に係る周波数制御方法は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置における、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御方法において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力し、前記誤差データに基づいて、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを生成し、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成する工程を有する。
【0016】
本発明の請求項9に係る周波数制御方法は、請求項7または8に係る周波数制御方法において、前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する工程を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の概要を説明する。本発明は受信部のAFC回路の部分のPLL、VCOをデジタル化し、すなわち、受信した信号をデジタル的に解析し周波数偏差値をDVCO(Digital VCO)に周波数制御情報として渡すことにより、DVCOから直交した周波数成分を出力している。この直交周波数成分により送信部(及び受信部)のローカル発振信号の直交変調を行い周波数偏差を補正し、その補正出力で送信周波数をミキシングすることで送信周波数を制御している。
【0018】
これにより、受信周波数より送信周波数を変動させ、システムとして周波数を安定させるということができる。また、AFCのループを極力デジタル化しているので、一度引き込んでしまえばデジタル値として制御データを保存しておけ、高速な引き込みに対応できる。さらに、直交変調器にて周波数操作を行うためデジタル部分の動作クロックを極力抑えることができる。このように、デジタル化による温度特性のよさと直交変調器による周波数変換のため、DVCOの動作クロックを下げるという効果が得られる。
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態(第一の実施の形態)を示すブロック構成図である。図1において、本例の無線送受信装置は、周波数制御回路を含んだ受信部及び送信部のうち、本発明に関連する部分のみが示されている。
【0021】
受信部は、受信用アンテナ10と、縦列接続された受信用ミキサ11,12と、受信用シンセサイザ(RX SYNTH)13と、直交復調器15と、直交復調器15用の発振器16と、I信号及びQ信号用のアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)17、18と、シンボル判定部20とを有している。
【0022】
送信部は、変調器27と、縦列接続された送信用ミキサ28,29と、送信用シンセサイザ(TX SYNTH)30と、送信用アンテナ31とを有している。
【0023】
受信部及び送信部に対する共用部として、複素乗算器19,位相誤差検出部21,ループフィルタ22,DVCO部(デジタルVCO部)23,sin波及びcos波用のデジタル/アナログ変換器(D/Aコンバータ)24及び25,直交変調器26を含む周波数制御回路(AFC回路)と、受信部,送信部,及び周波数制御回路に固定周波数の基準発振信号を供給する発振器14とを有している。
【0024】
まず、受信部の動作を説明する。
【0025】
受信用アンテナ10で受信した無線搬送波周波数の電波信号(RF)は、第1の受信用ミキサ11にて、共用の発振器14の発振周波数(f1とする:搬送波周波数に近い周波数)を基準として受信用シンセサイザ13にて生成されるチャネルに見合った周波数信号(第1のローカル発振信号)と混合され、周波数変換(第1次周波数変換)される。第1の受信用ミキサ11の出力信号は、さらに第2の受信用ミキサ12にて、発振器14の発振信号(第2のローカル発振信号:周波数f1)と混合され、中間周波数(例えば、455KHz)に周波数変換(第2次周波数変換)され、中間周波信号(IF)として直交復調器15に入力される。
【0026】
直交復調器15にはさらに、発振器16からの固定周波数(中間周波数とほぼ同じ)の発振信号が入力されている。直交復調器15は、この発振信号により中間周波信号を直交検波し、ベースバンドの同相成分であるI信号と直交成分であるQ信号と(複素符号)を生成する。ただし、この直交復調器15の出力(I,Q)は、送信側のベースバンド信号の周波数(規定周波数)とずれ(差分周波数Δf)を生じている。この周波数ずれが自装置に起因する場合は、2つの発振器14,16のうち、特に周波数の高い発振器14の発振周波数の偏移による影響が大きい。
【0027】
図3に直交復調器15の構成例を示す。入力信号Sa(IFに相当)は2分され、2つの乗算器152,153にそれぞれ入力される。発振信号Sf(発振器16の出力に相当)は、一方の乗算器152にはそのまま、他方の乗算器153にはπ/2移相器151を通して90度位相を遅らせて入力される。一方の乗算器152からは同相成分信号Si(I信号に相当)が、他方の乗算器153からは直交成分信号Sq(Q信号に相当)が出力される。
【0028】
直交復調器15から出力されたI信号,Q信号はそれぞれ、A/Dコンバータ17,18にて、アナログ/デジタル変換される。
【0029】
各A/Dコンバータ17,18の出力(I/Q信号)は、後に詳細を説明するが、複素乗算器19にて、DVCO部23からのsin(サイン)/cos(コサイン)の値と複素乗算が行われる。DVCO部23からは送信側の周波数と受信側の周波数の差分(Δf)の直交関係にあるsin(2πΔft)とcos(2πΔft)が出力されているため、この周波数をI/Q信号に複素乗算することで周波数のずれがなくなる。
【0030】
その周波数ずれのなくなったI/Q信号をシンボル判定部20にてシンボル判定を行い、データ復調を行う。
【0031】
次に、周波数制御回路の動作を説明する。
【0032】
位相誤差検出部21は、各A/Dコンバーター17,18からそれぞれ出力されるI/Q信号を解析し、位相誤差を検出し誤差成分(Δfに対応)をループフィルタ22に出力する。
【0033】
ループフィルタ22にて帯域制限された誤差成分は、DVCO部23に入力され、DVCO部23は、入力された信号に見合った周波数(Δfに相当)の直交した信号(sin/cos波)として出力する。
【0034】
図5にDVCO部23の構成例を示す。加算器231は、入力してきた誤差データを、図示していないバッファに一時蓄積していた前回のデータと加算し、バッファに一時蓄積するとともに、アドレス変換部232に出力する。アドレス変換部232は、この加算器232の出力を周波数ROMテーブル233に見合ったアドレスに変換する。周波数ROMテーブル233の各アドレスには、データとして1周期分のサイン波(sin波:正弦波)の位相に見合った振幅値が格納されているため、アドレス変換部232にて出力されるアドレスの変化状態に見合った周波数のsin波(デジタルデータ)を出力する。このとき、位相の90度ずれに相当するアドレスも同時に指定することにより、sin波及びcos波を同時に出力することができる。
【0035】
DVCO部23から出力されるsin/cos波成分を、複素乗算器19に入力するとともに、各D/Aコンバータ24,25に入力し、デジタル/アナログ変換を行い、直交変調器26に入力する。
【0036】
図4に複素乗算器19の構成例を示す。I信号は2分配され、2つの乗算器191及び192にそれぞれ入力される。Q信号も同様に2分配され、他の2つの乗算器193及び194にそれぞれ入力される。sin波は乗算器192及び193に入力され、cos波は乗算器191及び194に入力される。一方(I系)の加算器(減算器)195は乗算器191の出力から乗算器193の出力の減算を行い、他方(Q系)の加算器196は乗算器192の出力と乗算器194の出力との加算を行う。
【0037】
複素乗算器19は、(I+jQ)*(cos+jsin)の複素乗算を行う。複素乗算の結果、I系の加算器195は、実数部の(I*cos−Q*sin)を周波数補正後のI信号として出力し、Q系の加算器196は、虚数部の(I*sin+Q*cos)を周波数補正後のQ信号として出力する。
【0038】
直交変調器26には、DVCO部23からのsin/cos波成分の他に、共用の発振器14からの基準発振信号(f1)が入力されている。直交変調器26は、発振器14の発振信号と、D/Aコンバータ24,25からのsin/cos波成分とで直交変調し、元の基準周波数(f1)から周波数ずれ分だけずらした周波数(ずれの方向により、f1+Δf、あるいはf1−Δf)の発振信号を生成し、送信部に対する第1のローカル発振信号として第1の送信用ミキサ28へ出力する。
【0039】
図2に直交変調器26の構成例を示す。直交する2つの信号Si,Sq(sin成分/cos成分に相当)が2つの乗算器262,263にそれぞれ入力される。発振信号Sf(発振器14の出力に相当)は、一方の乗算器262にはそのまま、他方の乗算器263にはπ/2移相器261を通して90度位相を遅らせて入力される。2つの乗算器262、263の出力を加算器264で加算することにより、発振信号Sfの周波数から直交2信号Si,Sqの周波数分だけずれた周波数の信号を得ることができる。
【0040】
ここで、周波数制御回路の動作をさらに詳細に説明する前に、送信部の動作を説明する。
【0041】
変調器27は、ベースバンドの送信データを信号I,Qにマッピングし、固定周波数(中間周波数)の発振信号で直交変調し中間周波信号とする。この中間周波数は任意の周波数とすることとができる。例えば、受信部の中間周波数(455kHz)と同じにしてもよいし、受信用のチャネルと送信用のチャネルとが一定の周波数差であるとき、受信部の中間周波数にその周波数差を加算した周波数としてもよい。後者の周波数にした場合、後に説明するが、位相誤差検出部の出力誤差データにオフセットを持たせることにより、チャネル対応のローカル発振信号用の受信用シンセサイザ(RX SYNTH)13及び送信用シンセサイザ(TX SYNTH)30の役割も担うことができる。
【0042】
この中間周波信号は、第1の送信用ミキサ28にて、直交変調器26からの送信部の第1のローカル発振信号と混合され、周波数変換(第1次周波数変換)される。
【0043】
第1の送信用ミキサ28の出力信号は、さらに第2の送信用ミキサ29にて、発振器14の発振周波数を基準として送信用シンセサイザ30にて生成されるチャネルに見合った周波数信号(送信部の第2のローカル発振信号)と混合され、周波数変換(第2次周波数変換)され、無線搬送波周波数の電波信号(RF)として送信用アンテナ31から送出される。
【0044】
次に、周波数制御回路による自動周波数制御(AFC)の動作を詳細に説明する。
【0045】
位相誤差検出部21は、A/Dコンバータ17,18を通した直交復調器15の出力I/Q信号を解析し、位相誤差を検出し誤差成分をループフィルタ22に出力する。
【0046】
位相誤差検出部21における位相誤差の検出方法を、図6を参照して説明する。I/Q信号は直交関係にあるため、例えば4値PSKにおいて、I/Q信号をXY座標上で表わすと、信号点(シンボル)配置図は図6の分図(A)に示すようになる。ここで受信周波数とのずれが生じると、分図(B)に示すように本来45度上で停止しているべき信号がΔfHzで回転してしまう。ここで第4象限まであるが、分図(C)の矢印のようにすべて第1象限(分図(D))に折り返して考える。分図(D)のように、周波数のずれが生じたため、信号点が45度からθずつずれてしまうが、このθがΔfの瞬時位相角となり、位相誤差のデータとなる。位相誤差検出部はこのデータを出力する。16QAMにおいては分図(E)のように丸で囲んだシンボルのみを選択してθを計算すればよい。AFCはこの誤差を0とするように動作する。
【0047】
ここで、位相誤差検出部21の出力誤差データは、次のような値をとるものとする。周波数ずれ(Δf)として受信周波数が送信周波数より高い場合に、Δfは正(>0)とし、信号点(θ)は時計方向に回転するものとする。信号点が45度のときθ=0度、信号点が0度のときθ=45度、信号点が90度のときθ=−45度となる(第1象限の範囲内で考えているため、信号点の0度と90度とは連続している)。誤差データはθの値に線形に対応した正規化値であり、θ=−45度のとき“−1”、θ=0度のとき“0”、θ=45度のとき“1”となる。
【0048】
ループフィルタ22にて帯域制限された誤差データはDVCO部23に入力される。誤差データは、Δfの瞬時位相情報であるため、DVCO部23の動作クロックで、加算器231で加算していけばΔfの位相状態を生成することとなる。
【0049】
周波数ROMテーブル233には各位相の振幅値が格納されているため(例えば、1度ごとに1アドレスが割当てられ、対応する振幅データが格納されている)、アドレス変換部232により算出された加算器231の位相に対応したアドレスの振幅値を出力すればΔfを生成できる。また、このアドレスを90°分ずらせることにより、直交関係にあるΔfを生成できる。このようにして、DVCO部23は入力された信号に見合った周波数を、直交した信号sin(2πΔft)、cos(2πΔft)として出力する。
【0050】
なお、周波数ずれ(Δf)が正のときθが正になるように設定されている場合(上記に説明した場合)は、周波数ROMテーブル233の出力信号(sin/cos波成分)により周波数を減じる必要がある。この場合は、出力信号の符号を反転するか、周波数ROMテーブル233からの読み出しアドレスの進行方向を反転させればよい。
【0051】
よって復調は、このsin/cos波成分を複素乗算器19にて信号I/Qに複素乗算することで、周波数ずれ(Δf)を解消し同期検波を行うことができる。
【0052】
次に送信周波数を受信した周波数に追従させるため、sin/cos波成分をD/Aコンバータ24,25に入力し、デジタル/アナログ変換を行い、直交変調器26に入力する。
【0053】
直交変調器26は共用固定発振器14の周波数f1も入力されており、この周波数をデジタル/アナログ変換されたsin/cos波信号で直交変調する。直交変調の式は、sin(2πf1)・cos(2πΔf)+cos(2πf1)・sin(2πΔf)=sin(2π(f1+Δf)t)のため、f1+Δfという周波数を生み出せる。よってこの周波数(送信用第1ローカル発振周波数)により、変調器27から出力された信号(送信データ)と送信用ミキサ28で周波数変換を行う。
【0054】
このように本実施の形態によれば、自装置の発振器の周波数ずれ、あるいは対向装置の発振器の周波数ずれのいずれの場合でも、送信側の周波数と受信側の周波数とを合わせることができる。
【0055】
次に、本発明の他の実施の形態(第2の実施の形態)について、図7を参照して詳細に説明する。
【0056】
図7に示す第2の実施の形態においては、その基本的構成は図1に示す第1の実施の形態と同じであるが、相異点は、直交変調器26の出力を受信用ミキサ12に入力することで、直交復調器15の出力I/Qにsin/cosを複素乗算することなく(複素乗算器19の不使用)、AFCを実現している。
【0057】
さらに、他の実施の形態として、無線搬送波信号が複数の受信用チャネルと送信用チャネルとを有し、送受信の対象として任意に選択された受信用チャネルと送信用チャネルとの周波数差が一定の場合、すなわち、選択された受信用チャネルと受信用の基準となる特定のチャネル(例えば、受信用第1チャネル)との周波数差と、選択された送信用チャネルと送信用の基準となる特定のチャネル(例えば、送信用第1チャネル)との周波数差とが常に同一の場合に、位相誤差検出部の出力誤差データにその周波数差に対応するオフセットを持たせることが考えられる。
【0058】
DVCO部は、図示していない制御手段により誤差データにオフセットが与えられることで、出力周波数に対応するオフセット周波数を持たせられる。これにより、DVCO部の可変周波数範囲であれば、オフセット周波数をチャネル対応の周波数差分に相当する周波数に設定することができ、チャネル対応のローカル発振信号用の受信用シンセサイザ(RX SYNTH)及び送信用シンセサイザ(TX SYNTH)等がなくても受信周波数及び送信周波数を瞬時にして切り替えることができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、周波数制御回路(AFC回路)の部分のアナログ回路で構成されたPLL、VCOをデジタル化(アドレス変換手段,周波数データ記憶手段(DVCO))し、送信機のローカルに直交変調器を使用することで温度変化や経年変化に依存することのないAFC回路が実現できる。また、直交変調器を使用することでDVCOは周波数ずれ分の周波数を出力するだけでよいため、低動作クロックで使用することが可能となる。また、DVCOへの誤差データにオフセットを持たせることで、チャネル対応のシンセサイザー等がなくてもDVCOの可変周波数範囲であれば受信及び送信周波数を瞬時にして切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示す直交変調器の構成例を示す図である。
【図3】図1に示す直交復調器の構成例を示す図である。
【図4】図1に示す複素乗算器の構成例を示す図である。
【図5】図1に示すDVCO部の構成例を示す図である。
【図6】図1に示す位相誤差検出部における位相誤差の検出方法を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
11,12 受信用ミキサ
13 受信用シンセサイザ(RX SYNTH)
14,16 発振器
15 直交復調器
17,18 アナログ/デジタル変換器(A/D)
19 複素乗算器
20 シンボル判定部
21 位相誤差検出部
22 ループフィルタ
23 DVCO部
24,25 デジタル/アナログ変換器(D/A)
26 直交変調器
27 変調器
28,29 送信用ミキサ
30 送信用シンセサイザ(TX SYNTH)
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタル変調方式の無線システムにおいて安定した周波数追従を行うために用いる周波数制御回路と、それを用いた無線送受信装置と、その周波数制御方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
双方向無線通信システムに用いられる送信部及び受信部を備えた無線送受信装置では、送信部用ローカル(局部)発振周波数及び受信部用ローカル発振周波数を同一発振源(発振器)からの発振周波数に基づいてそれぞれ生成しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、4値PSK(Phase Sift Keying:位相偏移変調)や16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)等のデジタル変調方式の無線通信システムにおいては、送信側の周波数(送信元が送信した周波数)と受信側の周波数(受信先が受信しようとする周波数)とのずれはビットエラーを生む最大の要因となる。同期検波方式を行う上で、受信側はAFC(Auto Frequensy Control:自動周波数制御)を行い、送信側からの周波数をかなりの精度で再生(周波数追従)しなければならない。
【0004】
周波数追従を行うために、通常、アナログにてAFC回路を実現させている。精度の高いAFCを実現させるにはループ帯域を狭め応答を遅くするが、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)などの時間多重方式においては高速な引き込みが要求されている。このため、AFC回路の部分のPLL(Phase−Locked Loop:位相同期ループ)、VCO(Voltage Controlled Oscillator:電圧制御発振器)をデジタル化した技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−280924号公報(第2頁、図6)
【特許文献2】
特開2002−164945号公報(第2頁、図1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の無線送受信装置では、受信部の受信周波数に対向装置からの送信周波数とのずれ(誤差)が生じるのは、受信部用ローカル(局部)発振周波数を生成するための発振源の発振周波数の変動の影響が一番大きい。ところで、送信部用ローカル発振周波数もこの発振源(共用発振源)の発振周波数から生成しているので、受信部の受信周波数にずれが生じるということは、送信部の送信周波数が変動することになり、対向装置側で受信周波数ずれを生じることになる。またこのことは、対向装置側の共用発振源における発振周波数の変動についても当てはまる。このため、無線送受信装置において、対向装置からの受信周波数の変動(受信部用ローカル発振周波数の変動)に応じて、対向装置向けの送信周波数を変動(送信部用ローカル発振周波数を変動)させ、システムとして周波数を安定させる仕組みが必要となる。
【0007】
本発明の目的は、受信部の受信周波数の誤差を補正するAFC回路として、従来とは異なる構成のデジタルAFC回路を用いた周波数制御回路を提供するとともに、この周波数制御回路により検出された受信部の受信周波数の誤差に応じて送信部の送信周波数の誤差の補正を可能とした周波数制御回路、及びそれを用いた無線送受信装置と、その周波数制御方法とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る周波数制御回路は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置に用いられ、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御回路において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力する位相誤差検出手段と、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段と、前記誤差データに基づいて前記周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを出力させるアドレス変換手段と、前記直交復調器の出力複素符号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により複素乗算し、前記周波数ずれを補正する複素乗算手段と、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する直交変調手段とを有する。
【0009】
本発明の請求項2に係る周波数制御回路は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置に用いられ、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御回路において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力する位相誤差検出手段と、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段と、前記誤差データに基づいて前記周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを出力させるアドレス変換手段と、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成する直交変調手段とを有する。
【0010】
本発明の請求項3に係る周波数制御回路は、請求項2または3に係る周波数制御回路において、前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する手段を有する。
【0011】
本発明の請求項4に係る無線送受信装置は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置において、請求項1に係る周波数制御回路と、前記共通の発振器からの基準周波信号を受信用ローカル発振信号として受信無線搬送波周波信号に混合し、受信中間周波信号に周波数変換する受信用混合手段と、前記受信中間周波信号を同期検波のための周波数で直交復調し、複素符号化されたI信号及びQ信号として出力し、前記周波数制御回路の複素乗算手段に入力する直交復調手段と、前記複素乗算手段から出力される周波数ずれを補正されたI信号及びQ信号から受信データを復調するシンボル判定手段と、送信データを送信中間周波信号に変調する変調手段と、前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を送信用ローカル発振信号として前記送信中間周波信号に混合し、送信無線搬送波周波信号に周波数変換する送信用混合手段とを有する。
【0012】
本発明の請求項5に係る無線送受信装置は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置において、請求項2に係る周波数制御回路と、前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を受信用ローカル発振信号として受信無線搬送波周波信号に混合し、受信中間周波信号に周波数変換する受信用混合手段と、前記受信中間周波信号を同期検波のための周波数で直交復調し、複素符号化されたI信号及びQ信号として出力する直交復調手段と、前記直交復調手段から出力されるI信号及びQ信号から受信データを復調するシンボル判定手段と、送信データを送信中間周波信号に変調する変調手段と、前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を送信用ローカル発振信号として前記送信中間周波信号に混合し、送信無線搬送波周波信号に周波数変換する送信用混合手段とを有する。
【0013】
本発明の請求項6に係る無線送受信装置は、本発明の請求項4または5に係る無線送受信装置において、前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記周波数制御回路の位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する手段を有する。
【0014】
本発明の請求項7に係る周波数制御方法は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置における、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御方法において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力し、前記誤差データに基づいて、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを生成し、前記直交復調器の出力複素符号に対し、前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により複素乗算して前記周波数ずれを補正し、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する工程を有する。
【0015】
本発明の請求項8に係る周波数制御方法は、共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置における、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御方法において、前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力し、前記誤差データに基づいて、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを生成し、前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成する工程を有する。
【0016】
本発明の請求項9に係る周波数制御方法は、請求項7または8に係る周波数制御方法において、前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する工程を有する。
【0017】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の概要を説明する。本発明は受信部のAFC回路の部分のPLL、VCOをデジタル化し、すなわち、受信した信号をデジタル的に解析し周波数偏差値をDVCO(Digital VCO)に周波数制御情報として渡すことにより、DVCOから直交した周波数成分を出力している。この直交周波数成分により送信部(及び受信部)のローカル発振信号の直交変調を行い周波数偏差を補正し、その補正出力で送信周波数をミキシングすることで送信周波数を制御している。
【0018】
これにより、受信周波数より送信周波数を変動させ、システムとして周波数を安定させるということができる。また、AFCのループを極力デジタル化しているので、一度引き込んでしまえばデジタル値として制御データを保存しておけ、高速な引き込みに対応できる。さらに、直交変調器にて周波数操作を行うためデジタル部分の動作クロックを極力抑えることができる。このように、デジタル化による温度特性のよさと直交変調器による周波数変換のため、DVCOの動作クロックを下げるという効果が得られる。
【0019】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
図1は本発明の一実施の形態(第一の実施の形態)を示すブロック構成図である。図1において、本例の無線送受信装置は、周波数制御回路を含んだ受信部及び送信部のうち、本発明に関連する部分のみが示されている。
【0021】
受信部は、受信用アンテナ10と、縦列接続された受信用ミキサ11,12と、受信用シンセサイザ(RX SYNTH)13と、直交復調器15と、直交復調器15用の発振器16と、I信号及びQ信号用のアナログ/デジタル変換器(A/Dコンバータ)17、18と、シンボル判定部20とを有している。
【0022】
送信部は、変調器27と、縦列接続された送信用ミキサ28,29と、送信用シンセサイザ(TX SYNTH)30と、送信用アンテナ31とを有している。
【0023】
受信部及び送信部に対する共用部として、複素乗算器19,位相誤差検出部21,ループフィルタ22,DVCO部(デジタルVCO部)23,sin波及びcos波用のデジタル/アナログ変換器(D/Aコンバータ)24及び25,直交変調器26を含む周波数制御回路(AFC回路)と、受信部,送信部,及び周波数制御回路に固定周波数の基準発振信号を供給する発振器14とを有している。
【0024】
まず、受信部の動作を説明する。
【0025】
受信用アンテナ10で受信した無線搬送波周波数の電波信号(RF)は、第1の受信用ミキサ11にて、共用の発振器14の発振周波数(f1とする:搬送波周波数に近い周波数)を基準として受信用シンセサイザ13にて生成されるチャネルに見合った周波数信号(第1のローカル発振信号)と混合され、周波数変換(第1次周波数変換)される。第1の受信用ミキサ11の出力信号は、さらに第2の受信用ミキサ12にて、発振器14の発振信号(第2のローカル発振信号:周波数f1)と混合され、中間周波数(例えば、455KHz)に周波数変換(第2次周波数変換)され、中間周波信号(IF)として直交復調器15に入力される。
【0026】
直交復調器15にはさらに、発振器16からの固定周波数(中間周波数とほぼ同じ)の発振信号が入力されている。直交復調器15は、この発振信号により中間周波信号を直交検波し、ベースバンドの同相成分であるI信号と直交成分であるQ信号と(複素符号)を生成する。ただし、この直交復調器15の出力(I,Q)は、送信側のベースバンド信号の周波数(規定周波数)とずれ(差分周波数Δf)を生じている。この周波数ずれが自装置に起因する場合は、2つの発振器14,16のうち、特に周波数の高い発振器14の発振周波数の偏移による影響が大きい。
【0027】
図3に直交復調器15の構成例を示す。入力信号Sa(IFに相当)は2分され、2つの乗算器152,153にそれぞれ入力される。発振信号Sf(発振器16の出力に相当)は、一方の乗算器152にはそのまま、他方の乗算器153にはπ/2移相器151を通して90度位相を遅らせて入力される。一方の乗算器152からは同相成分信号Si(I信号に相当)が、他方の乗算器153からは直交成分信号Sq(Q信号に相当)が出力される。
【0028】
直交復調器15から出力されたI信号,Q信号はそれぞれ、A/Dコンバータ17,18にて、アナログ/デジタル変換される。
【0029】
各A/Dコンバータ17,18の出力(I/Q信号)は、後に詳細を説明するが、複素乗算器19にて、DVCO部23からのsin(サイン)/cos(コサイン)の値と複素乗算が行われる。DVCO部23からは送信側の周波数と受信側の周波数の差分(Δf)の直交関係にあるsin(2πΔft)とcos(2πΔft)が出力されているため、この周波数をI/Q信号に複素乗算することで周波数のずれがなくなる。
【0030】
その周波数ずれのなくなったI/Q信号をシンボル判定部20にてシンボル判定を行い、データ復調を行う。
【0031】
次に、周波数制御回路の動作を説明する。
【0032】
位相誤差検出部21は、各A/Dコンバーター17,18からそれぞれ出力されるI/Q信号を解析し、位相誤差を検出し誤差成分(Δfに対応)をループフィルタ22に出力する。
【0033】
ループフィルタ22にて帯域制限された誤差成分は、DVCO部23に入力され、DVCO部23は、入力された信号に見合った周波数(Δfに相当)の直交した信号(sin/cos波)として出力する。
【0034】
図5にDVCO部23の構成例を示す。加算器231は、入力してきた誤差データを、図示していないバッファに一時蓄積していた前回のデータと加算し、バッファに一時蓄積するとともに、アドレス変換部232に出力する。アドレス変換部232は、この加算器232の出力を周波数ROMテーブル233に見合ったアドレスに変換する。周波数ROMテーブル233の各アドレスには、データとして1周期分のサイン波(sin波:正弦波)の位相に見合った振幅値が格納されているため、アドレス変換部232にて出力されるアドレスの変化状態に見合った周波数のsin波(デジタルデータ)を出力する。このとき、位相の90度ずれに相当するアドレスも同時に指定することにより、sin波及びcos波を同時に出力することができる。
【0035】
DVCO部23から出力されるsin/cos波成分を、複素乗算器19に入力するとともに、各D/Aコンバータ24,25に入力し、デジタル/アナログ変換を行い、直交変調器26に入力する。
【0036】
図4に複素乗算器19の構成例を示す。I信号は2分配され、2つの乗算器191及び192にそれぞれ入力される。Q信号も同様に2分配され、他の2つの乗算器193及び194にそれぞれ入力される。sin波は乗算器192及び193に入力され、cos波は乗算器191及び194に入力される。一方(I系)の加算器(減算器)195は乗算器191の出力から乗算器193の出力の減算を行い、他方(Q系)の加算器196は乗算器192の出力と乗算器194の出力との加算を行う。
【0037】
複素乗算器19は、(I+jQ)*(cos+jsin)の複素乗算を行う。複素乗算の結果、I系の加算器195は、実数部の(I*cos−Q*sin)を周波数補正後のI信号として出力し、Q系の加算器196は、虚数部の(I*sin+Q*cos)を周波数補正後のQ信号として出力する。
【0038】
直交変調器26には、DVCO部23からのsin/cos波成分の他に、共用の発振器14からの基準発振信号(f1)が入力されている。直交変調器26は、発振器14の発振信号と、D/Aコンバータ24,25からのsin/cos波成分とで直交変調し、元の基準周波数(f1)から周波数ずれ分だけずらした周波数(ずれの方向により、f1+Δf、あるいはf1−Δf)の発振信号を生成し、送信部に対する第1のローカル発振信号として第1の送信用ミキサ28へ出力する。
【0039】
図2に直交変調器26の構成例を示す。直交する2つの信号Si,Sq(sin成分/cos成分に相当)が2つの乗算器262,263にそれぞれ入力される。発振信号Sf(発振器14の出力に相当)は、一方の乗算器262にはそのまま、他方の乗算器263にはπ/2移相器261を通して90度位相を遅らせて入力される。2つの乗算器262、263の出力を加算器264で加算することにより、発振信号Sfの周波数から直交2信号Si,Sqの周波数分だけずれた周波数の信号を得ることができる。
【0040】
ここで、周波数制御回路の動作をさらに詳細に説明する前に、送信部の動作を説明する。
【0041】
変調器27は、ベースバンドの送信データを信号I,Qにマッピングし、固定周波数(中間周波数)の発振信号で直交変調し中間周波信号とする。この中間周波数は任意の周波数とすることとができる。例えば、受信部の中間周波数(455kHz)と同じにしてもよいし、受信用のチャネルと送信用のチャネルとが一定の周波数差であるとき、受信部の中間周波数にその周波数差を加算した周波数としてもよい。後者の周波数にした場合、後に説明するが、位相誤差検出部の出力誤差データにオフセットを持たせることにより、チャネル対応のローカル発振信号用の受信用シンセサイザ(RX SYNTH)13及び送信用シンセサイザ(TX SYNTH)30の役割も担うことができる。
【0042】
この中間周波信号は、第1の送信用ミキサ28にて、直交変調器26からの送信部の第1のローカル発振信号と混合され、周波数変換(第1次周波数変換)される。
【0043】
第1の送信用ミキサ28の出力信号は、さらに第2の送信用ミキサ29にて、発振器14の発振周波数を基準として送信用シンセサイザ30にて生成されるチャネルに見合った周波数信号(送信部の第2のローカル発振信号)と混合され、周波数変換(第2次周波数変換)され、無線搬送波周波数の電波信号(RF)として送信用アンテナ31から送出される。
【0044】
次に、周波数制御回路による自動周波数制御(AFC)の動作を詳細に説明する。
【0045】
位相誤差検出部21は、A/Dコンバータ17,18を通した直交復調器15の出力I/Q信号を解析し、位相誤差を検出し誤差成分をループフィルタ22に出力する。
【0046】
位相誤差検出部21における位相誤差の検出方法を、図6を参照して説明する。I/Q信号は直交関係にあるため、例えば4値PSKにおいて、I/Q信号をXY座標上で表わすと、信号点(シンボル)配置図は図6の分図(A)に示すようになる。ここで受信周波数とのずれが生じると、分図(B)に示すように本来45度上で停止しているべき信号がΔfHzで回転してしまう。ここで第4象限まであるが、分図(C)の矢印のようにすべて第1象限(分図(D))に折り返して考える。分図(D)のように、周波数のずれが生じたため、信号点が45度からθずつずれてしまうが、このθがΔfの瞬時位相角となり、位相誤差のデータとなる。位相誤差検出部はこのデータを出力する。16QAMにおいては分図(E)のように丸で囲んだシンボルのみを選択してθを計算すればよい。AFCはこの誤差を0とするように動作する。
【0047】
ここで、位相誤差検出部21の出力誤差データは、次のような値をとるものとする。周波数ずれ(Δf)として受信周波数が送信周波数より高い場合に、Δfは正(>0)とし、信号点(θ)は時計方向に回転するものとする。信号点が45度のときθ=0度、信号点が0度のときθ=45度、信号点が90度のときθ=−45度となる(第1象限の範囲内で考えているため、信号点の0度と90度とは連続している)。誤差データはθの値に線形に対応した正規化値であり、θ=−45度のとき“−1”、θ=0度のとき“0”、θ=45度のとき“1”となる。
【0048】
ループフィルタ22にて帯域制限された誤差データはDVCO部23に入力される。誤差データは、Δfの瞬時位相情報であるため、DVCO部23の動作クロックで、加算器231で加算していけばΔfの位相状態を生成することとなる。
【0049】
周波数ROMテーブル233には各位相の振幅値が格納されているため(例えば、1度ごとに1アドレスが割当てられ、対応する振幅データが格納されている)、アドレス変換部232により算出された加算器231の位相に対応したアドレスの振幅値を出力すればΔfを生成できる。また、このアドレスを90°分ずらせることにより、直交関係にあるΔfを生成できる。このようにして、DVCO部23は入力された信号に見合った周波数を、直交した信号sin(2πΔft)、cos(2πΔft)として出力する。
【0050】
なお、周波数ずれ(Δf)が正のときθが正になるように設定されている場合(上記に説明した場合)は、周波数ROMテーブル233の出力信号(sin/cos波成分)により周波数を減じる必要がある。この場合は、出力信号の符号を反転するか、周波数ROMテーブル233からの読み出しアドレスの進行方向を反転させればよい。
【0051】
よって復調は、このsin/cos波成分を複素乗算器19にて信号I/Qに複素乗算することで、周波数ずれ(Δf)を解消し同期検波を行うことができる。
【0052】
次に送信周波数を受信した周波数に追従させるため、sin/cos波成分をD/Aコンバータ24,25に入力し、デジタル/アナログ変換を行い、直交変調器26に入力する。
【0053】
直交変調器26は共用固定発振器14の周波数f1も入力されており、この周波数をデジタル/アナログ変換されたsin/cos波信号で直交変調する。直交変調の式は、sin(2πf1)・cos(2πΔf)+cos(2πf1)・sin(2πΔf)=sin(2π(f1+Δf)t)のため、f1+Δfという周波数を生み出せる。よってこの周波数(送信用第1ローカル発振周波数)により、変調器27から出力された信号(送信データ)と送信用ミキサ28で周波数変換を行う。
【0054】
このように本実施の形態によれば、自装置の発振器の周波数ずれ、あるいは対向装置の発振器の周波数ずれのいずれの場合でも、送信側の周波数と受信側の周波数とを合わせることができる。
【0055】
次に、本発明の他の実施の形態(第2の実施の形態)について、図7を参照して詳細に説明する。
【0056】
図7に示す第2の実施の形態においては、その基本的構成は図1に示す第1の実施の形態と同じであるが、相異点は、直交変調器26の出力を受信用ミキサ12に入力することで、直交復調器15の出力I/Qにsin/cosを複素乗算することなく(複素乗算器19の不使用)、AFCを実現している。
【0057】
さらに、他の実施の形態として、無線搬送波信号が複数の受信用チャネルと送信用チャネルとを有し、送受信の対象として任意に選択された受信用チャネルと送信用チャネルとの周波数差が一定の場合、すなわち、選択された受信用チャネルと受信用の基準となる特定のチャネル(例えば、受信用第1チャネル)との周波数差と、選択された送信用チャネルと送信用の基準となる特定のチャネル(例えば、送信用第1チャネル)との周波数差とが常に同一の場合に、位相誤差検出部の出力誤差データにその周波数差に対応するオフセットを持たせることが考えられる。
【0058】
DVCO部は、図示していない制御手段により誤差データにオフセットが与えられることで、出力周波数に対応するオフセット周波数を持たせられる。これにより、DVCO部の可変周波数範囲であれば、オフセット周波数をチャネル対応の周波数差分に相当する周波数に設定することができ、チャネル対応のローカル発振信号用の受信用シンセサイザ(RX SYNTH)及び送信用シンセサイザ(TX SYNTH)等がなくても受信周波数及び送信周波数を瞬時にして切り替えることができる。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、周波数制御回路(AFC回路)の部分のアナログ回路で構成されたPLL、VCOをデジタル化(アドレス変換手段,周波数データ記憶手段(DVCO))し、送信機のローカルに直交変調器を使用することで温度変化や経年変化に依存することのないAFC回路が実現できる。また、直交変調器を使用することでDVCOは周波数ずれ分の周波数を出力するだけでよいため、低動作クロックで使用することが可能となる。また、DVCOへの誤差データにオフセットを持たせることで、チャネル対応のシンセサイザー等がなくてもDVCOの可変周波数範囲であれば受信及び送信周波数を瞬時にして切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示すブロック構成図である。
【図2】図1に示す直交変調器の構成例を示す図である。
【図3】図1に示す直交復調器の構成例を示す図である。
【図4】図1に示す複素乗算器の構成例を示す図である。
【図5】図1に示すDVCO部の構成例を示す図である。
【図6】図1に示す位相誤差検出部における位相誤差の検出方法を説明するための図である。
【図7】本発明の他の実施の形態を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
11,12 受信用ミキサ
13 受信用シンセサイザ(RX SYNTH)
14,16 発振器
15 直交復調器
17,18 アナログ/デジタル変換器(A/D)
19 複素乗算器
20 シンボル判定部
21 位相誤差検出部
22 ループフィルタ
23 DVCO部
24,25 デジタル/アナログ変換器(D/A)
26 直交変調器
27 変調器
28,29 送信用ミキサ
30 送信用シンセサイザ(TX SYNTH)
Claims (9)
- 共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置に用いられ、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御回路において、
前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力する位相誤差検出手段と、
1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段と、
前記誤差データに基づいて前記周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを出力させるアドレス変換手段と、
前記直交復調器の出力複素符号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により複素乗算し、前記周波数ずれを補正する複素乗算手段と、
前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成する直交変調手段とを有することを特徴とする周波数制御回路。 - 共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置に用いられ、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御回路において、
前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力する位相誤差検出手段と、
1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段と、
前記誤差データに基づいて前記周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを出力させるアドレス変換手段と、
前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成する直交変調手段とを有することを特徴とする周波数制御回路。 - 前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の周波数制御回路。
- 共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置において、
請求項1記載の周波数制御回路と、
前記共通の発振器からの基準周波信号を受信用ローカル発振信号として受信無線搬送波周波信号に混合し、受信中間周波信号に周波数変換する受信用混合手段と、
前記受信中間周波信号を同期検波のための周波数で直交復調し、複素符号化されたI信号及びQ信号として出力し、前記周波数制御回路の複素乗算手段に入力する直交復調手段と、
前記複素乗算手段から出力される周波数ずれを補正されたI信号及びQ信号から受信データを復調するシンボル判定手段と、
送信データを送信中間周波信号に変調する変調手段と、
前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を送信用ローカル発振信号として前記送信中間周波信号に混合し、送信無線搬送波周波信号に周波数変換する送信用混合手段とを有することを特徴とする無線送受信装置。 - 共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置において、
請求項2記載の周波数制御回路と、
前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を受信用ローカル発振信号として受信無線搬送波周波信号に混合し、受信中間周波信号に周波数変換する受信用混合手段と、
前記受信中間周波信号を同期検波のための周波数で直交復調し、複素符号化されたI信号及びQ信号として出力する直交復調手段と、
前記直交復調手段から出力されるI信号及びQ信号から受信データを復調するシンボル判定手段と、
送信データを送信中間周波信号に変調する変調手段と、
前記周波数制御回路の直交変調手段からの出力信号を送信用ローカル発振信号として前記送信中間周波信号に混合し、送信無線搬送波周波信号に周波数変換する送信用混合手段とを有することを特徴とする無線送受信装置。 - 前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記周波数制御回路の位相誤差検出手段の出力誤差データに加算する手段を有することを特徴とする請求項4または5記載の無線送受信装置。
- 共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置における、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御方法において、
前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力し、
前記誤差データに基づいて、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを生成し、
前記直交復調器の出力複素符号に対し、前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により複素乗算して前記周波数ずれを補正し、
前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の送信用ローカル発振信号を生成することを特徴とする周波数制御方法。 - 共通の発振器からの基準周波数に基づいて受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成し、デジタル変調された無線搬送波周波信号の受信及び送信を行う無線送受信装置における、前記受信用ローカル発振信号により周波数変換された受信信号の周波数を同期検波用の規定周波数に一致させる周波数制御方法において、
前記周波数変換された受信信号から直交復調器により複素符号化された各シンボルのうち所定の基準位相に位置すべきシンボルの実際の位相と前記基準位相との位相差を前記規定周波数からの周波数ずれに対応した誤差データとして出力し、
前記誤差データに基づいて、1周期分のサイン波の位相対応のアドレスに、該当位相に対応する振幅データを格納した周波数データ記憶手段に対するアドレスを生成し、前記周波数ずれに相当する周波数の直交する2成分であるサイン波及びコサイン波の各データを生成し、
前記共通の発振器の出力基準周波信号に対し前記周波数データ記憶手段の出力サイン波及びコサイン波により直交変調し、前記周波数ずれ分だけずれた周波数の受信用ローカル発振信号及び送信用ローカル発振信号を生成することを特徴とする周波数制御方法。 - 前記無線搬送波周波信号における送受信対象の任意のチャネルと基準となる特定のチャネルとの差分周波数に相当するオフセットデータを前記位相誤差検出手段の出力誤差データに加算することを特徴とする請求項7または8記載の周波数制御方法。
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