JP2004363221A - 真空体の封止方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の真空体の封止は、溶接・ろう付け・低融点ガラスによる溶着などを用い堅固に構成材が接合されているため、断熱性能や防音性能が低下する。又、作業性については、いずれの方法も熱溶着のため複雑な工程を要し、生産性が悪くまたコストも高いものとなっている。これらに対し、表裏の気密面材が直接接しない構造として断熱性能や防音性能を向上させ、また熱を用いないで真空体の接合部や排気口の封止をして、性能の向上と生産性の向上を図る。
【解決手段】中空部を真空にして用いる容器またはパネルの周縁部の封止において、相対する気密面材1,3間に封止材5を挟持し、封止材5の外気側に気密面材を延設して接着材溜りを形成し、該接着材溜り部の気密面材と封止材の接触部に接着材6を塗布して接合一体化し、気密面材1,3と封止材5の接触部から外気が真空部へ漏入するのを防止する真空封止方法。
【選択図】図1
【解決手段】中空部を真空にして用いる容器またはパネルの周縁部の封止において、相対する気密面材1,3間に封止材5を挟持し、封止材5の外気側に気密面材を延設して接着材溜りを形成し、該接着材溜り部の気密面材と封止材の接触部に接着材6を塗布して接合一体化し、気密面材1,3と封止材5の接触部から外気が真空部へ漏入するのを防止する真空封止方法。
【選択図】図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、真空を利用した断熱パネル、断熱容器、断熱管、防音パネル、モーターケース、消音ケース、自動車の防音車体などに用いる真空体の構成材の接合部、排気口部、管の封止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の金属やガラスを用いた真空体の構成材の接合部の封止は、溶接・ろう付け・低融点ガラスによる溶着などが用いられている。そのため断熱を目的とした真空容器などの溶接やろう付けは、表裏の構成材間で熱伝達量が多いため断熱性能が低下している。また、防音を目的とした場合は、いずれの接合方法においても振動吸収がなく、構成材間で振動が低減されずに伝達されるため防音性能が低下している。
【0003】一方、作業性については、構成材の接合および真空排気口の封止は、熱によるため一部あるいは全ての作業を真空装置内でする必要性から複雑な工程や管理を要し、生産性が悪くまたコストも高いものとなっている。
【0004】封止材と気密面材間に塑性変形する接着材を挟持して封止する方法は、特願2002−18471に出願されているが、塑性変形するため気密面材と封止材が位置ずれを生じ、補助材を用いて固定する必要があった。又、可塑剤が混合した状態にあるため、封止材と気密面材間から漏入して真空圧を上昇させ、断熱や防音の性能低下を生じさせる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
問題点は、真空体の構成材の接合および封止に高温度の熱を用いていることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点に対し、封止材に接着材を用いることにより常温下で真空体の構成材の気密接合および真空排気口の封止を可能とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
真空体の気密面材の周縁部の接合においては、気密面材間に封止材を配し、大気側または気密面材と封止材間に接着材溜りを設けて接着材を塗布し、接合と気密化を同時にしている。
【0008】他の方法として、気密面材間に配したゴム状弾性体からなる封止材に、気密面材に作用する大気圧荷重を局部に集中させ封止する。真空排気口においては、ゴム状弾性体からなる封止材を配し、接着材による気密化、又は押圧材で押圧して気密面材に密着させて封止する。
【0009】接着材には気体透過率の小さい接着材や硬化して接着するプラスチックのシーリング材を用いる。
接着材の真空層への吸込みを防止する封止材にはゴム状弾性体、金属やプラスチックの板や成型材、テープなどから選択して用いる。テープは、接着テープ又はテープを接着にて被着体に留め付ける。
【0010】ゴム状弾性体には金属の箔や板などのガス不透過材を真空層側に貼ったものを、プラスチックの成型材では金属メッキしたものを放出ガスの許容量に対し必要に応じて用いる。
【0011】
【実施例】
図1は、封止材から外気側に延設した気密面材により接着材溜りを形成し、封止材と気密面材の接触部外側に接着材を塗布して接合すると共に気密化している。
相対する気密面材間が狭い場合は、気密面材間を充填した状態となる。
【0012】図1(a)は、気密面材1の縁端2と気密面材3の先端に接着材溜りを形成する折り返しのある曲折部4間に、曲折部4に沿う形状の端部2を嵌合する形状の封止材5を挟持し接着材溜りに接着材6を充填して気密化している。
【0013】図1(b)は、断面コ型の封止材を気密面材7,8の周縁内側に配し、外気側に接着材9を塗布して封止材10と気密面材7,8を接合すると共に接触部を気密化している。封止材10の気密面材7,8との接触面には、小さな突起11が一体成形されており、真空化時の押圧により、気密面材との接触部を押圧変形させることにより隙間のない接触を得る。図1(c)は、相対する気密面材12の縁端部に外気側が接着材溜り14となった封止材13を挟持し、接着材溜り14に接着材15を充填して気密化している。
【0014】図2は、気密面材16の縁端部17と気密面材18の先端に折り返しのある曲折部19間の隙間に沿う形状で気密面材16,18との間に接着材溜り21,22を形成する封止材20を配し、気密面材16,18と接着材溜り21,22間に接着材を充填して接合と気密化をしている。
【0015】図3は、ゴム状弾性体からなる帯状の封止材の中央部に、相対する気密面材の端部の曲折部分又は切断面を配し、真空排気時の大気圧荷重により気密面材間が狭まって気密面材が封止材を局部的に押圧することにより、気密面材と封止材の密着性を強くして気密化する接合部の封止方法である。
【0016】図3(a)は気密面材23の端部の小さな曲折部分24が相対する気密面材25の平面部との間に挟持された封止材26の幅の中央部を押圧して気密化した状態を示している。図3(b)は気密材27の端部の曲折部28が、気密面材29の曲折部30間の封止材31を挟持押圧して気密化した状態を示している。図3(c)は、気密面材32の縁端33が気密面材34の先端に折り返しのある曲折部35との間に配した封止材36を挟持押圧して気密化した状態を示している。
【0017】図4は、断熱保温庫や断熱ガラスに用いる真空パネルの周縁部の封止に関するものである。図4(a)は、球などの間隔保持材40により空隙を形成した気密面材38,39の周縁に封止材としてテープ42を貼り、テープ42の縁端を覆う接着材41を真空パネル45の支持用材43間に配して気密面材46,39と密着させ気密化している。
【0018】支持用材43は金属又はプラスチックを用いる。隅部44は材厚を薄くして基材45から曲折せずに曲折片46を延設し、気密面材38,39の周縁に接着材41を塗布した後、所定位置に配し隅部44を曲折することにより容易に密着させることができる。
【0019】図4(b)の真空パネル47は、気密面材48,49間に球などの間隔保持材50を挟持し、端部には断面T型の封止材53の一辺を挟持して空隙を形成し、気密面材48,49端部を覆う柔軟なプラスチック又はゴムからなる支持用材51との間に接着材54を配して密着させ気密化している。支持用材51は、上部の外側端部52がサッシ枠55上端に係止している。封止材53は放出ガスを少なくするため金属製が望ましい。
【0020】図4(c)は、気密面材56,57端部に球などの間隔保持材58により形成した空隙に対し開口のある中空体59を配してテープ61で気密面材56,57に留付け、テープ61の縁端を覆う接着材62を支持用材63間に配して気密面材56,57と密着させ気密化している。尚、支持用材に緩衝機能が必要な場合は、断面中空形状や支持用材外側に起立片を成形したものを用いる。
【0021】中空体59は空隙に放出される水蒸気やガスに対する吸着剤を収納するためのもので、両端は封止されている。真空パネル60のサッシ枠64への取付けは図4(b)に準ずる。
【0022】図4(d)は、気密面材間の空隙に挟持させる舌片66を間隔を設けて成形し、舌片66のない部分を開口67した中空体65で、気密面材間への取り付けを容易にするものである。尚、舌片の代わりに気密面材の周縁両側を挟持する挟持片を中空体の側壁を延設して設けてもよい。
【0023】図5は、断熱容器や真空パネルの排気口の封止に関するもので、図5(a)は、鎖線左側が真空排気時を、右側が封止後を示している。気密面材68の排気口70の外周にカバー材75を留付ける環状のカバー接合材69が接合されている。
【0024】下面が環状の凸形状になったゴム状弾性体72に押圧板73を一体化した封止材71を用いた排気口70の封止に関するものである。封止方法は、真空排気装置中央の上下に動く脚74に磁石や接着により封止材71を着脱可能に接合し、封止材71と排気口70間に隙間がある状態で排気する。
【0025】所定の真空圧にした後、脚74により押圧板73をゴム状弾性体72が密着して気密化するまで押し下げ、真空排気装置を取り外す。その後気密状態を保持するために、封止カバー材75をカバー接合材69に螺合76してゴム状弾性体72を締め付けて気密性を保持する。
【0026】尚、接触面が湾曲している場合は、湾曲面に合わせて押圧板を成形する。カバー材の取付け方法は、カバー接合材とカバー材の接触部をフランジ形状にしてクランプで締め付けてもよい。
【0027】図5(b)は、カバー接合材がない場合のカバー材の留め付け方法で、封止材83と気密接合する曲折片82を縁端部に成形した円筒形材81を排気口79の周囲に設けたもので、円筒形材81はカバー材と螺合する形状になっている。円筒形材81は一体成形が可能な場合は一体成形で、別部品を用いる場合は溶接等で気密面材80に気密接合する。
【0028】図6は、真空排気口の封止に関するものである。図6(a)は気密面材85の排気口86に排気口を覆う大きさの封止材87を押圧封止し、外側をカバー材88で覆って気密面材85と封止材87との間を接着材89で接着して固定し気密化したものである。封止材87は、真空層側に環状の凸形状部90のある高硬度のゴム状弾性体を用いている。柔かいゴム状弾性体を用いる場合は、外気側に硬質板を一体化して用いる。
【0029】図6(b)は、真空パネルの気密面材に金属箔や金属を蒸着したプラスチックフィルムのように薄いシート状材を用い、気密面材自体では排気口部分の平面が得られない場合の封止に関するものである。金属箔を気密面材に用いた真空体は、表裏の気密面材間に隙間を形成するため間隔保持材が必要である。
【0030】間隔保持材は点状あるいは線状に気密面材と接して大気圧荷重を支持するため、真空排気時には気密面材の表面に凹凸が生じ、そのままでは真空排気装置との間に隙間が生じて排気ができない。
【0031】これに対処するため、気密面材91の真空層側に真空排気装置との接触面より大きい中央部に気密面材91の排気口93と略同じ大きさの孔のある平面状の押圧受材92を留付け、押圧受材92を間隔保持材に支持させることで真空排気装置が気密材と密着して気密化する。
【0032】その後、真空装置を取り外し、封止材94周囲の気密面材91に接着材96を塗布し、保護カバー95で覆って押圧伸展して接合し、外力に対して安定した気密性を得る。
【0033】図7(a)は、真空二重管97の端部の封止に関するものである。
端部は外側管99より突き出ている内側管98との間に環状のゴム状弾性体又はプラスチックからなる封止材100を挿入し、外気側に接着材101,102を内外管98,99と封止材100の接触部に塗布し接着させている。
【0034】封止材100にゴム状弾性体を用いた場合の大きさは、内外管98,99の空隙より僅かに大きい径とし、内外管98,99間への挿入により圧縮状態にして気密性を高めている。大きい径は、全体を僅かに大きくする他、内外管との接触面を数条の環状に大きく形成した部分をもつ径としてもよい。プラスチックなどの硬質板の場合は、大きい径の部分を薄片にすることにより、挿入時に薄片部が曲折して密封性を高める。
【0035】ストッパー103は真空化による封止材100の真空層への吸引や管の熱による伸縮に伴う移動を防止するためのもので、外側管99の所定位置に留付けている。尚、ストッパー103の取り付けは、内外管で温度変化の小さい方に取り付ける。熱反射材105は真空二重管内の略全長に所定回数巻きつけ、断熱性の向上させるためのものである。連結管106は真空二重管の真空圧の上昇に対して再真空排気が必要な場合に隣接する真空二重管に取り付けるもので、多数本同時に真空排気が可能とするものである。
【0036】外側管99中央部の変形防止リング104は、外側管99の内面に接する大きさである。外側管99が長い場合など真空化による変形を防止するためのもので、図7(b)のように一部の全幅を切断し、わずかな隙間106を設けた金属の環状材で、隙間106は真空化時に外側管が圧縮されて変形したとき、切断面が接触して環状材となり、外側管99のそれ以上の変形を防止する。
【0037】図7(c)は、内外管の熱膨張による伸長差を吸収するために形状変形し易くしたゴム状弾性体を用いた封止材109で、形状は内外管のすき間より大きい径の部分110と小さい径の部分111が交互に複数形成されている。
【0038】一点鎖線の中心から上部が管間に挿入する前の形状、下部は挿入後内管が熱膨張により矢印方向に伸長した状態を示している。挿入後は、大きい径の部分143が押圧されて管壁に密着し気密化する。封止材の挿入を真空装置内で行うことにより、小さい径の部分が複数の小さな副真空室114となる。
【0039】このような真空二重管の内側管に高温度の流体が流れると、熱膨張により内側管107が伸長して外側管108との長さに差が生じる。この時、ゴム状弾性体からなる封止材109は、管の伸長に応じて大きい径の部分110が変形して内外管に密着して気密性を保持するが、外気の漏入がある場合でも、いずれかの副真空室114で気密性が保持できるので、内外管の真空部への外気の漏入を防止する。
【0040】封止材の外側の接着材112は、必要な場合に用いるが、内外管それぞれに接着させることにより接着材の硬化に伴う封止材109の変形抵抗を小さくすることができる。封止材109の真空層側には必要に応じてガス不透過材を一体化して用いる。
【0041】図7(d)は、熱反射材の配設を容易にするもので、内径より僅かに大きい環状の網目材116に熱反射材117を所定数巻きつけた輻射断熱用材115である。長さは管長に応じた長さにする他、管が長い場合には数分割にしてパーツ化することにより、内管に直接巻きつけるより生産性が向上する。
【0042】図8(a)は真空容器119と対になった真空の蓋120のある金属製容器に関するものである。真空容器119および蓋120は、金属製の内側気密面材121,123と外側気密面材122,124からなり、容器と蓋の接触部125は図8(b)のようにプラスチックまたはゴム製の封止材129,131を配し、外気側を接着材130,132で内外気密面材間を充填して気密接合し、容器と蓋の接触部は隙間を塞ぐためのプラスチック成型材133を留付けている。
【0043】外側容器の円筒部の長さが長く、真空化時の大気圧による撓みが許容範囲を超える場合には、図8(b)と同様に全幅を切断し僅かな隙間のある環状材128を取付ける。図では強度を増すために、断面溝型にしている。
【0044】図8(c)の貫通孔126はヒーターやヒートパイプなど容器内の温度コントロールをする場合などに設けるものである。貫通孔部分の接合は、気密面材121,122間に封止材134を挟持して接着材135で密封して封止し、外側を保護材136でカバーしている。容器および蓋の真空化のための排気口127,128の封止は、図5の封止方法を用いる。
【0045】
【発明の効果】
真空体の表裏に用いる気密面材には金属又はガラスが使用され、その気密接合は熱抵抗を及び振動減衰が殆どない溶接又はろう付けが用いられている。そのため真空部分では空気の対流がなく高い断熱性能および防音性能を示す真空体も、表裏の気密面材の接合部分の熱および振動の伝達により真空部分の性能と比較して著しくその性能を低下させている。
【0046】これに対し本発明の図1、図2、図3の封止方法は、熱伝導率が金属やガラスに比べて低いゴム状弾性体あるいはプラスチックを気密面材間に挟持しているため、気密面材が直接接触する部分がないので熱伝達が小さくなり断熱性能が向上する。そのため、保温容器では容器内の温度が長時間保持されたり、断熱パネルでは断面性能が良い分、省エネルギー化が図れる。
【0047】一方、防音材では表裏の気密面材間に封止材を挟持して直接接触していないため、振動伝達が低減されるので遮音性が向上する。また、封止材にゴム状弾性体を用いると、柔軟性による形状への対応性があるため真空体の単品生産が容易になる。
【0048】一方、生産性においては、溶接やろう付けなどのように高温度の熱を使用せず、また熟練作業者も不要で、常温下で予め成形された部品を嵌め込んだり接着させる単純な作業で封止が可能となる。そのため真空体製造の生産性が向上しコストダウンが図れる。
【0049】図4は、真空パネルを断熱に用いると、表裏の雰囲気温度や放射熱の差によって気密面材の膨張に差が生じる。その結果、表裏の気密面材の周囲が固定されているとパネルが高温側に膨らむ変形が生じるが、本図のような封止方法を用いると接着材が変形して、高温側の気密面材の膨張を吸収するのでパネルの変形を防止することができる。
【0050】図5の真空排気口の封止について、従来の大気と真空層との気圧差を利用した封止方法は、排気口周囲の温度上昇や外力による衝撃でズレたり剥れるなど空気が真空層へ流入する危険性があり安定性に欠けていたが、カバー材により封止材を気密面材に押圧挟持したままの状態を保つので安定した封止となる。
【0051】封止材は着脱可能なため経時による真空層内の放出ガスによる気体圧力の上昇にも容易に再排気が可能である。又、デザイン上では、従来の熱を用いないOリングを用いた封止部材の高さが数cmあるのに対し、厚みを薄くすることができるので、図8のように真空層の厚み以下に収納することが可能となり制約が少なくなる。
【0052】図7は、封止に溶接を用いた従来の真空二重管は内外管の温度差による伸縮差を吸収するために、内外いずれかの管の中間に伸縮継手管を必要としていた。これに対し、本発明は、接着材により伸縮時にこれらの材が気密性を保持したまま変形追従して封止する。
【0053】そのため伸縮継手が不要になる分、生産性が向上しコスト低減が図れる。また管の曲げ強度の低下がないので、長尺材の生産が可能となり、それに伴う使用現場の作業性の向上が図れる。内側管は伸縮量が許容範囲を超える場合に、管の継ぎ手部分に伸縮管を設ける。
【0054】図8の真空容器について、超低温用など特殊用途を除くと、従来は内外の容器器材の接合に溶接を用いていたため、製造装置の効率的稼働とコストから家庭用品などの主として量産品にしか用いられていない。これに対し、本発明の封止方法を用いると、常温下の容易な作業で真空容器の製造が可能となるので、非量産品でも製作が容易で、また安価なコストで製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】封止材の外気側に接着材溜りを設けた気密面材周縁部の封止断面図
【図2】封止材と気密面材間に接着材溜りを設けた気密面材周縁部の封止断面図
【図3】ゴム状弾性体による気密面材周縁部の封止断面図
【図4】封止材と真空体の支持材間に接着材を充填した封止断面図
【図5】ゴム状弾性体を用いた封止材による排気口の封止断面図
【図6】封止材を接着材で密封した排気口の封止断面図
【図7】真空二重管端部の封止断面図
【図8】真空断熱容器の断面図。
【符号の説明】
1:気密面材 3:気密面材 5:封止材
6:接着材 7:気密面材 9:接着材
10:封止材 12:気密面材 14:接着材溜り
15:接着材 16:気密面材 18:気密面材
20:封止材 22:接着材溜り 23:気密面材
25:気密面材 26:封止材
27:気密面材 29:気密面材 31:封止材
32:気密面材 34:気密面材 36:封止材
38:気密面材 40:間隔保持材 41:接着材
42:テープ 43:支持用材 48:気密面材
51:支持用材 53:封止材 54:接着材
56:気密面材 58:間隔保持材 59:中空体
61:テープ 62:接着材 63:支持用材
64:サッシ枠 65:中空体
68:気密面材 70:排気口 72:ゴム状弾性体
73:押圧板 75:カバー材
79:排気口 80:気密面材 83:封止材
85:気密面材 86:孔 87:封止材
88:カバー材 89:接着材
91:気密面材 92:押圧受け材 93:孔
94:封止材 95:カバー材 96:接着材
97:真空二重管 98:内側管 99:外側管
100:封止材 101:接着材 103:ストッパー
104:変形防止リング 105:熱反射材 107:内側管
108:外側管 109:封止材 112:接着材
114:副真空室 115:輻射断熱用材 116:網目材
119:真空容器 120:真空蓋 121:内側気密面材
122:外側気密面材 123:内側気密面材 124:外側気密面材
127:容器の排気口 128:蓋の排気口 129:封止材
130:接着材 131:封止材 132:接着材
134:封止材 135:接着材
【産業上の利用分野】
本発明は、真空を利用した断熱パネル、断熱容器、断熱管、防音パネル、モーターケース、消音ケース、自動車の防音車体などに用いる真空体の構成材の接合部、排気口部、管の封止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の金属やガラスを用いた真空体の構成材の接合部の封止は、溶接・ろう付け・低融点ガラスによる溶着などが用いられている。そのため断熱を目的とした真空容器などの溶接やろう付けは、表裏の構成材間で熱伝達量が多いため断熱性能が低下している。また、防音を目的とした場合は、いずれの接合方法においても振動吸収がなく、構成材間で振動が低減されずに伝達されるため防音性能が低下している。
【0003】一方、作業性については、構成材の接合および真空排気口の封止は、熱によるため一部あるいは全ての作業を真空装置内でする必要性から複雑な工程や管理を要し、生産性が悪くまたコストも高いものとなっている。
【0004】封止材と気密面材間に塑性変形する接着材を挟持して封止する方法は、特願2002−18471に出願されているが、塑性変形するため気密面材と封止材が位置ずれを生じ、補助材を用いて固定する必要があった。又、可塑剤が混合した状態にあるため、封止材と気密面材間から漏入して真空圧を上昇させ、断熱や防音の性能低下を生じさせる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
問題点は、真空体の構成材の接合および封止に高温度の熱を用いていることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題点に対し、封止材に接着材を用いることにより常温下で真空体の構成材の気密接合および真空排気口の封止を可能とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
真空体の気密面材の周縁部の接合においては、気密面材間に封止材を配し、大気側または気密面材と封止材間に接着材溜りを設けて接着材を塗布し、接合と気密化を同時にしている。
【0008】他の方法として、気密面材間に配したゴム状弾性体からなる封止材に、気密面材に作用する大気圧荷重を局部に集中させ封止する。真空排気口においては、ゴム状弾性体からなる封止材を配し、接着材による気密化、又は押圧材で押圧して気密面材に密着させて封止する。
【0009】接着材には気体透過率の小さい接着材や硬化して接着するプラスチックのシーリング材を用いる。
接着材の真空層への吸込みを防止する封止材にはゴム状弾性体、金属やプラスチックの板や成型材、テープなどから選択して用いる。テープは、接着テープ又はテープを接着にて被着体に留め付ける。
【0010】ゴム状弾性体には金属の箔や板などのガス不透過材を真空層側に貼ったものを、プラスチックの成型材では金属メッキしたものを放出ガスの許容量に対し必要に応じて用いる。
【0011】
【実施例】
図1は、封止材から外気側に延設した気密面材により接着材溜りを形成し、封止材と気密面材の接触部外側に接着材を塗布して接合すると共に気密化している。
相対する気密面材間が狭い場合は、気密面材間を充填した状態となる。
【0012】図1(a)は、気密面材1の縁端2と気密面材3の先端に接着材溜りを形成する折り返しのある曲折部4間に、曲折部4に沿う形状の端部2を嵌合する形状の封止材5を挟持し接着材溜りに接着材6を充填して気密化している。
【0013】図1(b)は、断面コ型の封止材を気密面材7,8の周縁内側に配し、外気側に接着材9を塗布して封止材10と気密面材7,8を接合すると共に接触部を気密化している。封止材10の気密面材7,8との接触面には、小さな突起11が一体成形されており、真空化時の押圧により、気密面材との接触部を押圧変形させることにより隙間のない接触を得る。図1(c)は、相対する気密面材12の縁端部に外気側が接着材溜り14となった封止材13を挟持し、接着材溜り14に接着材15を充填して気密化している。
【0014】図2は、気密面材16の縁端部17と気密面材18の先端に折り返しのある曲折部19間の隙間に沿う形状で気密面材16,18との間に接着材溜り21,22を形成する封止材20を配し、気密面材16,18と接着材溜り21,22間に接着材を充填して接合と気密化をしている。
【0015】図3は、ゴム状弾性体からなる帯状の封止材の中央部に、相対する気密面材の端部の曲折部分又は切断面を配し、真空排気時の大気圧荷重により気密面材間が狭まって気密面材が封止材を局部的に押圧することにより、気密面材と封止材の密着性を強くして気密化する接合部の封止方法である。
【0016】図3(a)は気密面材23の端部の小さな曲折部分24が相対する気密面材25の平面部との間に挟持された封止材26の幅の中央部を押圧して気密化した状態を示している。図3(b)は気密材27の端部の曲折部28が、気密面材29の曲折部30間の封止材31を挟持押圧して気密化した状態を示している。図3(c)は、気密面材32の縁端33が気密面材34の先端に折り返しのある曲折部35との間に配した封止材36を挟持押圧して気密化した状態を示している。
【0017】図4は、断熱保温庫や断熱ガラスに用いる真空パネルの周縁部の封止に関するものである。図4(a)は、球などの間隔保持材40により空隙を形成した気密面材38,39の周縁に封止材としてテープ42を貼り、テープ42の縁端を覆う接着材41を真空パネル45の支持用材43間に配して気密面材46,39と密着させ気密化している。
【0018】支持用材43は金属又はプラスチックを用いる。隅部44は材厚を薄くして基材45から曲折せずに曲折片46を延設し、気密面材38,39の周縁に接着材41を塗布した後、所定位置に配し隅部44を曲折することにより容易に密着させることができる。
【0019】図4(b)の真空パネル47は、気密面材48,49間に球などの間隔保持材50を挟持し、端部には断面T型の封止材53の一辺を挟持して空隙を形成し、気密面材48,49端部を覆う柔軟なプラスチック又はゴムからなる支持用材51との間に接着材54を配して密着させ気密化している。支持用材51は、上部の外側端部52がサッシ枠55上端に係止している。封止材53は放出ガスを少なくするため金属製が望ましい。
【0020】図4(c)は、気密面材56,57端部に球などの間隔保持材58により形成した空隙に対し開口のある中空体59を配してテープ61で気密面材56,57に留付け、テープ61の縁端を覆う接着材62を支持用材63間に配して気密面材56,57と密着させ気密化している。尚、支持用材に緩衝機能が必要な場合は、断面中空形状や支持用材外側に起立片を成形したものを用いる。
【0021】中空体59は空隙に放出される水蒸気やガスに対する吸着剤を収納するためのもので、両端は封止されている。真空パネル60のサッシ枠64への取付けは図4(b)に準ずる。
【0022】図4(d)は、気密面材間の空隙に挟持させる舌片66を間隔を設けて成形し、舌片66のない部分を開口67した中空体65で、気密面材間への取り付けを容易にするものである。尚、舌片の代わりに気密面材の周縁両側を挟持する挟持片を中空体の側壁を延設して設けてもよい。
【0023】図5は、断熱容器や真空パネルの排気口の封止に関するもので、図5(a)は、鎖線左側が真空排気時を、右側が封止後を示している。気密面材68の排気口70の外周にカバー材75を留付ける環状のカバー接合材69が接合されている。
【0024】下面が環状の凸形状になったゴム状弾性体72に押圧板73を一体化した封止材71を用いた排気口70の封止に関するものである。封止方法は、真空排気装置中央の上下に動く脚74に磁石や接着により封止材71を着脱可能に接合し、封止材71と排気口70間に隙間がある状態で排気する。
【0025】所定の真空圧にした後、脚74により押圧板73をゴム状弾性体72が密着して気密化するまで押し下げ、真空排気装置を取り外す。その後気密状態を保持するために、封止カバー材75をカバー接合材69に螺合76してゴム状弾性体72を締め付けて気密性を保持する。
【0026】尚、接触面が湾曲している場合は、湾曲面に合わせて押圧板を成形する。カバー材の取付け方法は、カバー接合材とカバー材の接触部をフランジ形状にしてクランプで締め付けてもよい。
【0027】図5(b)は、カバー接合材がない場合のカバー材の留め付け方法で、封止材83と気密接合する曲折片82を縁端部に成形した円筒形材81を排気口79の周囲に設けたもので、円筒形材81はカバー材と螺合する形状になっている。円筒形材81は一体成形が可能な場合は一体成形で、別部品を用いる場合は溶接等で気密面材80に気密接合する。
【0028】図6は、真空排気口の封止に関するものである。図6(a)は気密面材85の排気口86に排気口を覆う大きさの封止材87を押圧封止し、外側をカバー材88で覆って気密面材85と封止材87との間を接着材89で接着して固定し気密化したものである。封止材87は、真空層側に環状の凸形状部90のある高硬度のゴム状弾性体を用いている。柔かいゴム状弾性体を用いる場合は、外気側に硬質板を一体化して用いる。
【0029】図6(b)は、真空パネルの気密面材に金属箔や金属を蒸着したプラスチックフィルムのように薄いシート状材を用い、気密面材自体では排気口部分の平面が得られない場合の封止に関するものである。金属箔を気密面材に用いた真空体は、表裏の気密面材間に隙間を形成するため間隔保持材が必要である。
【0030】間隔保持材は点状あるいは線状に気密面材と接して大気圧荷重を支持するため、真空排気時には気密面材の表面に凹凸が生じ、そのままでは真空排気装置との間に隙間が生じて排気ができない。
【0031】これに対処するため、気密面材91の真空層側に真空排気装置との接触面より大きい中央部に気密面材91の排気口93と略同じ大きさの孔のある平面状の押圧受材92を留付け、押圧受材92を間隔保持材に支持させることで真空排気装置が気密材と密着して気密化する。
【0032】その後、真空装置を取り外し、封止材94周囲の気密面材91に接着材96を塗布し、保護カバー95で覆って押圧伸展して接合し、外力に対して安定した気密性を得る。
【0033】図7(a)は、真空二重管97の端部の封止に関するものである。
端部は外側管99より突き出ている内側管98との間に環状のゴム状弾性体又はプラスチックからなる封止材100を挿入し、外気側に接着材101,102を内外管98,99と封止材100の接触部に塗布し接着させている。
【0034】封止材100にゴム状弾性体を用いた場合の大きさは、内外管98,99の空隙より僅かに大きい径とし、内外管98,99間への挿入により圧縮状態にして気密性を高めている。大きい径は、全体を僅かに大きくする他、内外管との接触面を数条の環状に大きく形成した部分をもつ径としてもよい。プラスチックなどの硬質板の場合は、大きい径の部分を薄片にすることにより、挿入時に薄片部が曲折して密封性を高める。
【0035】ストッパー103は真空化による封止材100の真空層への吸引や管の熱による伸縮に伴う移動を防止するためのもので、外側管99の所定位置に留付けている。尚、ストッパー103の取り付けは、内外管で温度変化の小さい方に取り付ける。熱反射材105は真空二重管内の略全長に所定回数巻きつけ、断熱性の向上させるためのものである。連結管106は真空二重管の真空圧の上昇に対して再真空排気が必要な場合に隣接する真空二重管に取り付けるもので、多数本同時に真空排気が可能とするものである。
【0036】外側管99中央部の変形防止リング104は、外側管99の内面に接する大きさである。外側管99が長い場合など真空化による変形を防止するためのもので、図7(b)のように一部の全幅を切断し、わずかな隙間106を設けた金属の環状材で、隙間106は真空化時に外側管が圧縮されて変形したとき、切断面が接触して環状材となり、外側管99のそれ以上の変形を防止する。
【0037】図7(c)は、内外管の熱膨張による伸長差を吸収するために形状変形し易くしたゴム状弾性体を用いた封止材109で、形状は内外管のすき間より大きい径の部分110と小さい径の部分111が交互に複数形成されている。
【0038】一点鎖線の中心から上部が管間に挿入する前の形状、下部は挿入後内管が熱膨張により矢印方向に伸長した状態を示している。挿入後は、大きい径の部分143が押圧されて管壁に密着し気密化する。封止材の挿入を真空装置内で行うことにより、小さい径の部分が複数の小さな副真空室114となる。
【0039】このような真空二重管の内側管に高温度の流体が流れると、熱膨張により内側管107が伸長して外側管108との長さに差が生じる。この時、ゴム状弾性体からなる封止材109は、管の伸長に応じて大きい径の部分110が変形して内外管に密着して気密性を保持するが、外気の漏入がある場合でも、いずれかの副真空室114で気密性が保持できるので、内外管の真空部への外気の漏入を防止する。
【0040】封止材の外側の接着材112は、必要な場合に用いるが、内外管それぞれに接着させることにより接着材の硬化に伴う封止材109の変形抵抗を小さくすることができる。封止材109の真空層側には必要に応じてガス不透過材を一体化して用いる。
【0041】図7(d)は、熱反射材の配設を容易にするもので、内径より僅かに大きい環状の網目材116に熱反射材117を所定数巻きつけた輻射断熱用材115である。長さは管長に応じた長さにする他、管が長い場合には数分割にしてパーツ化することにより、内管に直接巻きつけるより生産性が向上する。
【0042】図8(a)は真空容器119と対になった真空の蓋120のある金属製容器に関するものである。真空容器119および蓋120は、金属製の内側気密面材121,123と外側気密面材122,124からなり、容器と蓋の接触部125は図8(b)のようにプラスチックまたはゴム製の封止材129,131を配し、外気側を接着材130,132で内外気密面材間を充填して気密接合し、容器と蓋の接触部は隙間を塞ぐためのプラスチック成型材133を留付けている。
【0043】外側容器の円筒部の長さが長く、真空化時の大気圧による撓みが許容範囲を超える場合には、図8(b)と同様に全幅を切断し僅かな隙間のある環状材128を取付ける。図では強度を増すために、断面溝型にしている。
【0044】図8(c)の貫通孔126はヒーターやヒートパイプなど容器内の温度コントロールをする場合などに設けるものである。貫通孔部分の接合は、気密面材121,122間に封止材134を挟持して接着材135で密封して封止し、外側を保護材136でカバーしている。容器および蓋の真空化のための排気口127,128の封止は、図5の封止方法を用いる。
【0045】
【発明の効果】
真空体の表裏に用いる気密面材には金属又はガラスが使用され、その気密接合は熱抵抗を及び振動減衰が殆どない溶接又はろう付けが用いられている。そのため真空部分では空気の対流がなく高い断熱性能および防音性能を示す真空体も、表裏の気密面材の接合部分の熱および振動の伝達により真空部分の性能と比較して著しくその性能を低下させている。
【0046】これに対し本発明の図1、図2、図3の封止方法は、熱伝導率が金属やガラスに比べて低いゴム状弾性体あるいはプラスチックを気密面材間に挟持しているため、気密面材が直接接触する部分がないので熱伝達が小さくなり断熱性能が向上する。そのため、保温容器では容器内の温度が長時間保持されたり、断熱パネルでは断面性能が良い分、省エネルギー化が図れる。
【0047】一方、防音材では表裏の気密面材間に封止材を挟持して直接接触していないため、振動伝達が低減されるので遮音性が向上する。また、封止材にゴム状弾性体を用いると、柔軟性による形状への対応性があるため真空体の単品生産が容易になる。
【0048】一方、生産性においては、溶接やろう付けなどのように高温度の熱を使用せず、また熟練作業者も不要で、常温下で予め成形された部品を嵌め込んだり接着させる単純な作業で封止が可能となる。そのため真空体製造の生産性が向上しコストダウンが図れる。
【0049】図4は、真空パネルを断熱に用いると、表裏の雰囲気温度や放射熱の差によって気密面材の膨張に差が生じる。その結果、表裏の気密面材の周囲が固定されているとパネルが高温側に膨らむ変形が生じるが、本図のような封止方法を用いると接着材が変形して、高温側の気密面材の膨張を吸収するのでパネルの変形を防止することができる。
【0050】図5の真空排気口の封止について、従来の大気と真空層との気圧差を利用した封止方法は、排気口周囲の温度上昇や外力による衝撃でズレたり剥れるなど空気が真空層へ流入する危険性があり安定性に欠けていたが、カバー材により封止材を気密面材に押圧挟持したままの状態を保つので安定した封止となる。
【0051】封止材は着脱可能なため経時による真空層内の放出ガスによる気体圧力の上昇にも容易に再排気が可能である。又、デザイン上では、従来の熱を用いないOリングを用いた封止部材の高さが数cmあるのに対し、厚みを薄くすることができるので、図8のように真空層の厚み以下に収納することが可能となり制約が少なくなる。
【0052】図7は、封止に溶接を用いた従来の真空二重管は内外管の温度差による伸縮差を吸収するために、内外いずれかの管の中間に伸縮継手管を必要としていた。これに対し、本発明は、接着材により伸縮時にこれらの材が気密性を保持したまま変形追従して封止する。
【0053】そのため伸縮継手が不要になる分、生産性が向上しコスト低減が図れる。また管の曲げ強度の低下がないので、長尺材の生産が可能となり、それに伴う使用現場の作業性の向上が図れる。内側管は伸縮量が許容範囲を超える場合に、管の継ぎ手部分に伸縮管を設ける。
【0054】図8の真空容器について、超低温用など特殊用途を除くと、従来は内外の容器器材の接合に溶接を用いていたため、製造装置の効率的稼働とコストから家庭用品などの主として量産品にしか用いられていない。これに対し、本発明の封止方法を用いると、常温下の容易な作業で真空容器の製造が可能となるので、非量産品でも製作が容易で、また安価なコストで製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】封止材の外気側に接着材溜りを設けた気密面材周縁部の封止断面図
【図2】封止材と気密面材間に接着材溜りを設けた気密面材周縁部の封止断面図
【図3】ゴム状弾性体による気密面材周縁部の封止断面図
【図4】封止材と真空体の支持材間に接着材を充填した封止断面図
【図5】ゴム状弾性体を用いた封止材による排気口の封止断面図
【図6】封止材を接着材で密封した排気口の封止断面図
【図7】真空二重管端部の封止断面図
【図8】真空断熱容器の断面図。
【符号の説明】
1:気密面材 3:気密面材 5:封止材
6:接着材 7:気密面材 9:接着材
10:封止材 12:気密面材 14:接着材溜り
15:接着材 16:気密面材 18:気密面材
20:封止材 22:接着材溜り 23:気密面材
25:気密面材 26:封止材
27:気密面材 29:気密面材 31:封止材
32:気密面材 34:気密面材 36:封止材
38:気密面材 40:間隔保持材 41:接着材
42:テープ 43:支持用材 48:気密面材
51:支持用材 53:封止材 54:接着材
56:気密面材 58:間隔保持材 59:中空体
61:テープ 62:接着材 63:支持用材
64:サッシ枠 65:中空体
68:気密面材 70:排気口 72:ゴム状弾性体
73:押圧板 75:カバー材
79:排気口 80:気密面材 83:封止材
85:気密面材 86:孔 87:封止材
88:カバー材 89:接着材
91:気密面材 92:押圧受け材 93:孔
94:封止材 95:カバー材 96:接着材
97:真空二重管 98:内側管 99:外側管
100:封止材 101:接着材 103:ストッパー
104:変形防止リング 105:熱反射材 107:内側管
108:外側管 109:封止材 112:接着材
114:副真空室 115:輻射断熱用材 116:網目材
119:真空容器 120:真空蓋 121:内側気密面材
122:外側気密面材 123:内側気密面材 124:外側気密面材
127:容器の排気口 128:蓋の排気口 129:封止材
130:接着材 131:封止材 132:接着材
134:封止材 135:接着材
Claims (12)
- 中空部を真空にして用いる容器またはパネルの周縁部の封止において、相対する気密面材間に封止材を挟持し、封止材の外気側に気密面材を延設して接着材溜りを形成し、該接着材溜り部の気密面材と封止材の接触部に接着材を塗布して接合一体化し、気密面材と封止材の接触部から外気が真空部へ漏入するのを防止する真空封止方法。
- 中空部を真空にして用いる容器またはパネルの周縁部の封止において、気密面材との接触部に凹み部を形成した封止材の凹み部に接着材を充填して気密面材と一体化し、気密面材と封止材の接触部から外気が真空部へ漏入するのを防止する真空封止方法。
- 中空部を真空にして用いる容器またはパネルの周縁部の封止において、気密面材の縁端部分がゴム状弾性体からなる封止材の幅の中央部分に接し、真空排気により相対する気密面材が封止材の一部を押圧して密着し気密化する真空封止方法。
- 構成材間を真空にして用いるパネルの周縁部の封止において、パネルの周縁にガス不透過材からなる封止材を配し、該封止材を覆うパネルの支持用材との間に接着材を充填し接着材が封止材縁端部を密封して気密化する真空封止方法。
- 容器またはパネルに用いる真空体の真空排気口の封止において、ゴム状弾性体からなる封止材で排気口を覆って密着させた後、該封止材と気密面材の接触部を接着材で接合して気密化する真空封止方法。
- 容器またはパネルに用いる真空体の排気口の封止において、排気口を覆う大きさのゴム状弾性体からなる封止材を排気口と隙間を設けて配し、真空体内を所定の真空圧にして封止材で排気口を塞いだ後、封止材を覆うカバー材が封止材を押圧して気密性を保持する真空封止方法。
- 気密面材に薄いシート材を用いた真空体の排気口の封止において、気密面材の排気口の真空層側に該排気口と略同じ大きさの孔のある平板状の押圧受材を配し、真空排気装置による封止材の押圧に対し押圧受材が気密面材の平面性を保持して気密面材と封止材が密着して気密化する真空封止方法。
- 内側管と外側管からなる真空二重管の縁端部の封止において、内外管の隙間より大きい径の環状部と小さい径の環状部が交互に一体成形されたゴム状弾性体からなる封止材を管の端部に挿入して封止し、内外管の熱膨張差を大きい径の環状部が変形して気密性を保持する真空封止方法。
- 内側管と外側管からなる真空二重管の縁端部の封止において、二重管の空隙に環状の封止材を挟持し、該封止材の外気側面と管の接触部に接着材溜りを形成し、管と封止材の接触部を接着材で接合一体化して気密化する真空封止方法。
- 内側管と外側管からなる真空二重管または内側容器と外側容器からなる真空二重容器において、全幅を切断して切断面間に僅かな隙間を設けた環状材を外側管の内面に接触配設し、真空排気による外側管又は外側容器の変形を該環状材の隙間部分の断面の接触により環状材となって外側の管又は容器の変形を防止する防止方法。
- 内側管と外側管の端部を封止し内部を真空にした真空二重管の断熱方法において、熱反射材を環状の網目材からなる筒体に巻いた熱反射体を内外管の隙間に配設する断熱材配設方法。
- 内側容器と外側容器からなる真空二重容器において、請求項1、請求項2、請求項3、請求項5、請求項6のいずれかの真空封止方法用いて封止した真空容器。
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