JP2004361699A - トナー現像剤容器 - Google Patents
トナー現像剤容器 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004361699A JP2004361699A JP2003160394A JP2003160394A JP2004361699A JP 2004361699 A JP2004361699 A JP 2004361699A JP 2003160394 A JP2003160394 A JP 2003160394A JP 2003160394 A JP2003160394 A JP 2003160394A JP 2004361699 A JP2004361699 A JP 2004361699A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polypropylene
- container
- polypropylene resin
- resin
- toner developer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Dry Development In Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】粉体トナーの付着防止性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れたポリプロピレン系樹脂製の粉体トナー現像剤容器の提供。
【解決手段】ポリプロピレン中の塩素の濃度が20wtppm以下で、添加する脂肪酸金属塩類の濃度を0.005wt%以下にし、好ましくは、中和剤としてハイドロタルサイトを0.005〜0.5wt%および/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を0.005〜0.5wt%配合したポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリプロピレン中の塩素の濃度が20wtppm以下で、添加する脂肪酸金属塩類の濃度を0.005wt%以下にし、好ましくは、中和剤としてハイドロタルサイトを0.005〜0.5wt%および/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を0.005〜0.5wt%配合したポリプロピレン系樹脂からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子複写機等で使用される粉体トナー現像剤容器に関し、さらに詳しくはトナー現像剤の残量が明瞭に確認でき、かつ現像性を安定させることができる粉体トナー現像剤容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機等で使用される粉体トナー現像剤容器の材料としては剛性、価格の観点よりポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂等が用いられてきた。この中でもプロピレンとα−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレンランダム共重合体は、透明性に優れるためトナー現像剤残量の確認が容易でき、かつ耐衝撃性と剛性にも優れるため粉体トナー現像剤透明容器として主に用いられてきた。
ところが、粉体トナー現像剤は、ポリエステル系樹脂やスチレン−アクリル系樹脂にカーボンブラック等の着色剤、低分子量ポリオレフィン等の結着樹脂、静電荷量を安定化させるための帯電制御剤等を溶融混練し、微粉砕したものにシリカ粉末等を添加する方法等で製造されているものであり、この粉体トナー現像剤は、帯電性を利用して用いられるものである。さらに、この粉体トナー現像剤容器は、複写機等に装着時トナーをほぐす目的で容器ごと振り混ぜられたり、複写機等の使用環境が湿度の少ない状態で使用されることが多い。このためポリプロピレン系樹脂容器中で帯電しやすく、容器内面の全面に粉体トナーが付着し現像剤の内容量が確認しにくい問題があった。さらに、トナーが付着するとトナー現像剤粒子同士がかたまり画像の鮮明度が劣る問題があった。
【0003】
ポリオレフィンに用いる帯電防止剤は種々検討されていて、アルキルジアルカノールアミドアミンを用いる方法(例えば、特許文献1参照。)などが提案されている。上記帯電防止剤が配合された組成物は、粉体トナー現像剤を用いたダートチャンバーテストにおいては、付着防止効果が認められる。しかし、容器とトナー現像剤が長時間接触する実使用環境下では、経時とともに付着が進行する問題があった。さらに画像の鮮明度が悪化することも判明した。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−38020号公報
【0005】
【発明が解決しようする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、粉体トナーの付着防止性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れたポリプロピレン系樹脂製の粉体トナー現像剤容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、容器への粉体トナー付着について鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂に一般的に配合されている脂肪酸金属塩類を低減させることで、トナー付着を防止し、帯電防止剤の配合を不要とできることを見出した。すなわち、ポリプロピレンの重合用触媒として一般的に用いる塩化チタン、塩化有機アルミニウム、塩化マグネシウム等の成分に含まれる塩素を中和するためにポリプロピレン系樹脂に中和剤として配合されている脂肪酸金属塩および、またはヒドロキシ脂肪酸金属塩を含有しないポリプロピレン系樹脂を用いた容器にし、また、ポリプロピレン系樹脂に中和剤を配合する場合は、中和効果が高くトナーの付着性のないハイドロタルサイトおよび、またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を特定量配合したポリプロピレン系樹脂を用いた容器にし、さらに、好ましくは、実用性能の観点からポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合であり、中空成形法で得られる容器にすることにより、トナーの付着防止性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れたポリプロピレン系樹脂製の粉体トナー現像剤容器を開発するに至り、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレン系樹脂中の塩素の濃度が20wtppm以下で、添加する脂肪酸金属塩類の濃度を0.005wt%以下にしたポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0008】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリプロピレン系樹脂に中和剤としてハイドロタルサイトを0.005〜0.5wt%および/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を0.005〜0.5wt%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0009】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体であることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0010】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、容器が中空成形法によって得られ、胴部の霞度が50%以下であることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の粉体トナー現像剤用容器は、塩素含有量を低くしたポリプロピレン系樹脂に、塩素の中和剤として用いられる脂肪酸金属塩類の添加を極力抑え、必要に応じて、ハイドロタルサイトおよび/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩等を添加したポリプロピレン系樹脂組成物からなる容器である。以下に、ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分、樹脂組成物の製造、容器について詳細に説明する。
【0012】
[I]ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.ポリプロピレン系樹脂
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独ホモ重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合ゴム成分を含むブロック共重合体等が挙げられ、一種類でも二種類以上の混合物としても用いることができる。
これら共重合体に用いるα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられ、このα−オレフィンは一種類でなく、二種類以上の多元系共重合体でもよい。
これらポリプロピレン系樹脂の中では、透明性、耐衝撃性、剛性に優れたプロピレンとα−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレンランダム共重合体が好ましい。
ポリマー構造は、アイソタクチックタイプでもシンジオタクチックタイプのどちらでもよい。
【0013】
2.ポリプロピレン系樹脂の物性
(1)塩素含量
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、塩素濃度が20wtppm以下であり、好ましくは1ppm以下である。この濃度が低いほど樹脂の腐食性が低くなるため中和剤の添加量を抑制でき好ましい。
ここで、塩素濃度は、蛍光X線分析にて、X線強度から求める値である。
【0014】
(2)MFR
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、0.1〜5g/10分が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/10分である。MFRが上記範囲未満の場合は、成形時に押し出しが困難になり、また樹脂の外表面が肌荒れを起こす恐れがある。一方、MFRが上記範囲を超える場合は、落下強度が低下し、また成形時樹脂がたれるドローダウン現象が発生し、成形が困難になる問題を引き起こす恐れもある。
MFRを調整する方法としては、重合時の水素濃度、重合温度を変化させる方法等の一般的な方法で調整でき、水素濃度が高く、重合温度が高いほどMFRは高くなる。
ここで、MFRは、JIS−K7210(230℃、21.18N荷重)により測定する値である。
【0015】
(3)Q値
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂のQ値は、1.5〜10が好ましく、より好ましくは2〜6である。Q値が上記範囲未満の場合は、同じMFRを有するQ値が1.5〜10のポリプロピレンと比較してドローダウン性が悪くなることがあるばかりでなく、溶融パリソンが肌荒れし、容器の光沢が悪化する場合がある。一方、このQ値が上記範囲を超える場合は、透明性が劣り落下強度も低下する場合がある。
ここで、Q値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として求められる値であり、この値は小さいほど分子量が均一で分子量分布が狭いことを意味する。
【0016】
(4)密度
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の密度は、0.890〜0.920g/cm3が好ましく、より好ましくは0.895〜0.910g/cm3である。密度が低いと透明性、落下強度が改善されるが、容器の剛性が低下することがある。一方、密度が上記範囲を超える場合は、透明性が劣り、落下強度も低下することがある。
密度を調整する方法としては、プロピレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させる方法で調整でき、α−オレフィンの量が高いほど密度は低くなる。
ここで、密度は、JIS−K7112により測定する値である。
【0017】
3.ポリプロピレン系樹脂の製造
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂中の塩素は、重合触媒成分、重合後に必要に応じ配合される添加剤、反応器など重合環境からのコンタミ等により混入する。重合触媒成分には塩素をはじめハロゲン成分を必須とするものが多いので、特にどのような重合触媒によって得られたポリプロピレンであるか選択が重要である。
【0018】
(1)重合用触媒
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の重合用触媒としては、チーグラーナッタ型触媒、メタロセン触媒等が挙げられる。これらの触媒は触媒活性が高く、触媒単位重量当たりのポリプロピレン生成量が多いので、相対的に金属を腐食させやすいハロゲンの残さ量が少なくなるので好ましい。より好ましくは、塩化マグネシウム担持のチーグラーナッタ型触媒、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属化合物を用いた活性点がシングルサイトであるメタロセン触媒であり、さらに好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属化合物を用いた活性点がシングルサイトであるメタロセン触媒が挙げられる。
これら触媒の作用によって得られるポリプロピレン樹脂は、塩素の触媒残さが少ないため脂肪酸金属塩類の添加量を抑制でき好ましい。
【0019】
(2)重合方法
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の汎用プロセスが適用できる。これら重合反応は単独反応器だけでなく複数用いることができ、重合方法も複数組み合わせて用いることもできる。
脱触行程を含む重合法は、塩素の残さ量を低減できるので好ましい方法である。
【0020】
4.脂肪酸金属塩類
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、上記のように塩素含量が20wtppm以下であるので、塩素を中和する脂肪酸金属塩類は必要としないが、ポリプロピレン系樹脂の0.005wt%以下、好ましくは0.001wt%以下であれば添加することができる。脂肪酸金属塩の濃度が上記範囲を超過するとトナーが容器に付着しやすくなる。
【0021】
本発明でポリプロピレン系樹脂中に添加できる脂肪酸金属塩は、炭素数10〜40程度の飽和脂肪酸、モノ脂肪酸、多脂肪酸と周期表2族の金属との化合物である。また脂肪酸にはOH基を有するビドロキシ脂肪酸も含む。
具体的な脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ベヘニン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、12ビドロキシステアリン酸カルシウム等である。
これら脂肪酸金属塩類は、ポリポロピレン重合触媒残さのハロゲン中和剤、あるいは樹脂の流動滑剤、離形剤として通常ポリプロピレン系樹脂に配合されているものである。
【0022】
5.ハイドロタルサイト又はリチウムアルミニウム複合水酸化物塩
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、中和剤としてハイドロタルサイト又はリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の少なくとも一種が配合されていてもよい。ハロゲン残さが比較的多く、金属腐食の恐れがある場合にはハイドロタルサイト又はリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の少なくとも一種を配合することが効果的である。
【0023】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いることのできるハイドロタルサイトは、マグネシウム及びアルミニウムを含む含水塩基性炭酸塩であり、天然産のものと合成されたものがある。天然に産出するものに対しては、Mg6Al2(OH)16(CO3)・4H2Oの組成が与えられ、別名マナセアイトとも呼ばれ、ASTMカードにX線回折図が記載されている。また、合成されたハイドロタルサイトは、種々の公知方法、例えば、「薬剤学」第29巻(1969年)第215頁、「日本化学雑誌」第92巻(1971年)第514頁に記載の方法により容易に得られる。合成ハイドロタルサイトとしては、種々の組成のものが得られ、例えば、Mg4.5Al2(OH)13(CO3)・3.5H2O、Mg5Al4(OH)20(CO3)・4H2O、Mg7Al3(OH)19(CO3)2・2H2O等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物中のハイドロタルサイトの濃度は、0.005〜0.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1wt%である。この濃度が上記未満では中和効果が低くハロゲン残さを比較的多く含む樹脂の場合、成形機、金型等の腐食が発生しやすくなる。一方、上記範囲を超過すると透明性が悪化することがある。
【0025】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いることのできるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩は、下記一般式で示されるものである。
〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O
(式中、Xは無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である。)
【0026】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物中のリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の濃度は、0.005〜0.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1wt%である。この濃度が上記未満では中和効果が低くハロゲン残さを比較的多く含む樹脂の場合、成形機、金型等の腐食が発生しやすくなる。一方、上記範囲を超過すると透明性が悪化することがある。
【0027】
6.その他の成分
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、前述のようにプロピレンの単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体等の一種類又は二種以上を任意の割合で混合することができる。また、必要に応じて、ポリプロピレン系樹脂に高密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、高圧法ラジカル重合ポリエチレン、エチレンと酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、さらにα−オレフィンとの共重系ゴム等を50重量%以内でブレンドして使用することもできる。
【0028】
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、ブロー成形時に発生したバリ樹脂、及び各種目的に応じて配合成分を配合することができる。それらの付加的成分としては、通常のポリオレフィン用添加剤や配合剤等として用いられる結晶化核剤、酸化防止剤、無機系中和剤、耐候性改良剤、気泡防止剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、分子量調整剤(過酸化物等)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、難燃剤、導電性付与剤、架橋剤、架橋助剤、金属不活性化剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種助剤、他のフィラー、着色剤等を挙げることができる。
ただし、顔料や結晶化核剤等の中には脂肪酸金属塩やヒドロキシ脂肪酸金属塩を分散剤として混合されている場合があるので注意が必要である。また、これら配合物の一部には塩素を含む物質を含む場合があるので注意が必要である。
【0029】
[II]ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、前記ポリプロピレン系樹脂に直接配合物を溶融混練機でブレンドする方法、あるいは成形機でペレット同士をドライブレンドする方法等により製造することができる。ただし、添加剤をドライブレンドする場合は、予め添加剤を高濃度にしたマスターバッチペレットを使用することが好ましい。
上記機械的混合或いは溶融混練に用いられる混合機或いは混練機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を挙げることができる。また、溶融混練温度は一般に100〜300℃で行われる。
【0030】
[III]容器
1.容器の成形
本発明の粉体トナー現像剤容器は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、射出成形、中空成形、熱成形など公知の成形法により、容器に賦型される。本発明の容器の好ましい方法は、中空成形法である。
【0031】
本発明で好ましく用いる中空成形法としては、一般的なブロー成形法が適用出来る。具体的には、単頭または多頭のダイレクト押出ブロー成形機、金型が多数個回転しながら連続的に押し出すローター式ブロー成形機、または樹脂を一度溜めてから間欠的に射出押し出しするアキューム式ブロー成形機、あるいは2種以上の層に出来る多層ブロー成形機の構造を合わせたもの等でもよい。ただし、他樹脂との多層ブローの場合、トナー現像剤に対する付着性の観点より本発明に用いるポリプロピレン系樹脂を最内層に用いることが必要である。
【0032】
成形条件もポリプロピレン系樹脂として用いられている一般的な条件でよい。具体的には、成形温度160〜280℃、ブロー圧力3〜10kg/cm2、金型での冷却時間5〜30秒で、ボトル容量としては100ミリリットルから20リットル程度のものである。
【0033】
2.中空容器の霞度
本発明の中空容器の胴部の霞度は、50%以下が好ましく、より好ましくは45%以下、更に好ましくは30%以下である。霞度が上記範囲を超えると容器の透明性が悪くなり、トナーの残量が外部から目視確認しづらくなる問題が生じる。一方、容器の厚みを薄くすることにより霞度を下げることはできるが落下強度、剛性が低下する問題があるため材料として高透明なものが求められる。
また、中空容器の厚みは、0.5〜1mmが好ましい。
ここで、霞度は、容器の胴部を切り出し、積分球式光線透過率測定装置を用いJIS−K7105により測定した値である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、物性評価及び容器の品質評価の方法は次の通りである。
【0035】
1.物性評価
(1)MFR:樹脂ペレットをJIS−K7210にてMFR計を用い温度230℃℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。
(2)Q値:樹脂ペレットをゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用い、以下の条件により重量平均分子量と数平均分子量を測定し、それらの比を求めた。
GPC装置:ウォーターズ社製ISOC−ALC/GPC
カラム :東ソー社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
溶媒 :o−ジクロルベンゼン
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し140℃で1〜3時間溶解させる。
測定温度 :140℃
流速 :1m/min
標準材 :東ソー社製単分散ポリスチレン
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
(3)密度:中空容器の胴部をサンプリングし、温度23℃の室内で48時間状態調節した後、JIS−K7112に従い密度勾配管に入れ密度を測定した。
(4)塩素濃度:樹脂ペレットを加熱プレスにより厚み5mmのシートを作成し、蛍光X線分析装置を用い、以下の条件により塩素濃度を測定した。
X線装置:理学電気工業社製3270
管球 :RH
分光結晶:ゲルマニウム
計数管 :PC
管球電圧:50kv
管球電流:50mA
カウント:100秒
2θKα:92.78度
なお、X線強度と塩素濃度を予め標準サンプルにて検量線を作成し、測定したX線強度から塩素濃度を求めた。
(5)耐腐食性:樹脂ペレットをサンドペーパー等で研磨し、ヘプタンで脱脂した鉄板で挟み、温度230℃で10分間加熱した状態で圧縮シートを作製する。次に鉄板で挟んだまま温度80℃、湿度80%の恒温恒湿槽に48時間入れ、鉄板の樹脂との接触部を目視で観察し腐食状態を試験した。この耐腐食性は下記の基準で判定した。
◎:ほとんど腐食せず(樹脂との接触面積の0〜5%)
○:一部のみ腐食(樹脂との接触面積の5〜30%)
△:約半分程度腐食(樹脂との接触面積の30〜70%)
×:ほぼ全面に腐食(樹脂との接触面積の70〜90%)
××:全面腐食(樹脂との接触面積の90〜100%)
【0036】
2.容器性能評価
(1)トナー付着性:500ミリリットルの中空容器にシャープ株式会社製トナーAR−ST17−Bを70ミリリットル入れ、手で容器を上下左右に各50回振り混ぜる。つぎに、この容器を静置し上部から軽くたたいてトナー現像剤が容器内壁面に付着している量を目視観察した。この付着量は下記の基準で判定した。
◎:ほとんど付着せず
○:一部のみ付着
△:約半分程度付着
×:ほぼ全面に付着
××:全面付着
(2)圧縮強度:500ミリリットルの中空容器を温度23℃の恒温室内で東洋精機株式会社製ストログラフを用い、ボトル上部から50mm/minの速度で圧縮したときの最高応力を圧縮強度として求めた。
(3)落下強度:500ミリリットルの中空容器に水道水を口部まで満たし密栓した後、温度5℃の低温室で24時間状態調節し、ボトルの底面が床面に当たるよう1mの高さから垂直方向に繰り返し落下させた。
この落下試験で容器が割れ始める落下回数を落下強度として求めた。
(4)霞度:500ミリリットルの中空容器の胴部を切り出し、肉厚が0.7mmの部分を積分球式光線透過率測定装置を用い霞度を求めた。
【0037】
実施例1
(1)チーグラーナッタ系固体触媒の合成
充分に窒素置換したフラスコに、脱水・脱酸素したn−ヘプタン4000ミリリットルを導入し、次いで、MgCl2を8モル、Ti(O−n−C4H9)4を16モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いで、メチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を960ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタン1000ミリリットルを導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で4.8モル導入した。次いで、n−ヘプタン500ミリリットルにSiCl4を8モル混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、n−ヘプタン500ミリリットルにフタル酸クロライドを0.48モル混合して、70℃、30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、SiCl4200ミリリットルを30℃、30分間でフラスコへ導入し、80℃で6時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄して固体成分を得た。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタン1000ミリリットルを導入し、上記で合成した固体成分を100g導入し、(t−C4H9)Si(CH3)(OCH3)224ミリリットル、トリエチルアルミニウム34gを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、MgCl2を主体とする固体触媒成分を得た。この固体触媒成分のチタン含量は、1.1重量%であった。
【0038】
(2)重合
上記チーグラーナッタ系触媒を用い、気相重合法で得たプロピレン−エチレンランダム共重合体パウダーを重合した。
内容積10Lの反応器からなる攪拌式連続気相重合反応装置を用いて、プロピレン−エチレンランダム共重合体の連続製造を実施した。まず反応器内を充分に精製した窒素で置換した後、充分に脱水・脱酸素したポリマー担体を2.2kg充填し、その後に充分にプロピレンでガス置換を行った。併用する水素およびエチレンは、気相部の水素濃度およびエチレン濃度で制御した。また、トリエチルアルミニウム、前記固体触媒成分を連続的に導入し、重合温度を75℃、全圧を14.5kg/cm2で連続的にプロピレン−エチレンランダム共重合を行った。共重合したパウダーは、断続的に抜き出した。このようにして、パウダー状プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。
得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体のパウダーを脱臭処理するため東洋精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分1000ml)流しながら80℃で60分間、乾燥処理を行った。
【0039】
(3)パウダーのペレタイズ
この乾燥処理を行ったパウダーに対して、添加剤としてフェノール系酸化防止剤であるペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;以下、IR1010と略す。)0.05wt%、リン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;以下、IR168と略す。)0.05wt%を添加し、ヘンシェル型スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、30mmD押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で造粒、ペレット化した。
【0040】
(4)中空成形
この溶融混練ペレット樹脂を小型ダイレクトブロー成形機(株式会社日本製鋼所社製JB105)を用い、温度210℃、スクリュー回転20rpm、ダイス径22mm、コア径20mmの条件で容量が500ミリリットル、形状が縦長の重量30gの扁平ボトルを中空成形した。なお、このときのボトル金型の温度は30℃、ブロー空気圧力は6kg/cm2、ボトル金型での冷却水は20秒間で実施した。
【0041】
(5)評価結果
上記ペレットサンプルを用いてMFR、エチレン含量、Q値、密度、耐腐食性を測定した。また、上記中空容器を用いてトナー付着性、圧縮強度、落下強度、霞度を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
【0042】
実施例2、比較例1、比較例2
添加剤として、中和剤であるステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)社製;以下、StCaと略す。)を実施例2は0.005wt%、比較例1は0.01wt%、比較例2は0.05wt%それぞれ追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表1に示す。比較例1、比較例2ではトナーの付着が多く内容物の視認性が悪かった。
【0043】
比較例3
添加剤として、中和剤である12ヒドロキシステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)社製;以下、12−OH−StCaと略す。)を0.05wt%追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表1に示す。トナーの付着が多く内容物の視認性が悪かった。
【0044】
実施例3
添加剤として、ハイドロタルサイト中和剤であるハイドロタルサイトDHT4A(協和化学工業(株)社製;以下、DHT4Aと略す。)を0.01wt%追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。実施例1と比較して耐腐食性が向上した。
【0045】
実施例4
添加剤として、リチウムアルミニウム複合水酸化物塩中和剤であるミズカラック(水澤化学工業(株)社製;以下、ミズカラックと略す。)を0.01wt%追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。実施例1と比較して耐腐食性が向上した。
【0046】
比較例4
添加剤として、帯電防止剤である非イオン系活性剤エレクトロストリッパーEA(花王(株)社製;以下、E−EAと略す。)を0.20wt%追加した以外は比較例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。帯電防止はなされたがトナーの付着は逆に悪化した。
【0047】
実施例5
(1)メタロセン触媒の調製
内容積0.5リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に、WITCO社製シリカ担持MAO(MAO on SiO2:TA0279/HL103)2.4g(20.7mmol−Al)を添加し、n−ヘプタン50mlを導入し、(r)−ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液20.0ml(0.0637mmol)を加え、続いてトリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液4.14ml(3.03mmol)を加えた。その後、室温にて2時間反応させ、さらに、プロピレンをフローさせて予備重合を実施し、固体触媒を得た。
(2)重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分に置換した後、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液3g、液化プロピレン45kg、エチレン0.6kgを導入し、内温を30℃に維持した。次いで、固体触媒(予備重合によるポリマー成分を除いた量として)0.8gを加えた。その後、50℃に昇温して重合を開始させ、6時間その温度を維持した。ここで、エタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、ポリマーを乾燥した。その結果、MFRが2.0g/10分、エチレン含量1.9重量%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体が13.7kg得られた。このポリマーの分析を行ったところ、DSCによる融解ピーク温度は126.5℃であった。また、GPCによる重量平均分子量と数平均分子量の比(Q値)は2.3、塩素濃度は0.25wtppmであった。
(3)パウダーのペレタイズ
実施例1と同様実施した。
(4)中空成形
実施例1と同様実施した。
(5)評価結果
実施例1と同様実施した。これらの評価結果を表2に示す。
【0048】
実施例6
実施例1の重合時、モノマーをプロピレン単独に変えた以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。
【0049】
比較例5
(1)チーグラーナッタ系固体触媒の合成
TiCl4をトリエチルアルミニウムでTiCl3に還元し乾燥したものをボールミルで粉砕した三塩化チタン型固体触媒を得た。
(2)重合
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分に置換した後、十分に脱水したヘプタン60Lを導入した。これにジエチルアルミニウムクロライド50g、重合触媒25gを50℃で、プロピレン雰囲気下で添加した。さらに、気相部水素濃度を3容量%に保ちながら、55℃の温度で、プロピレンを6.6kg/hr、エチレンを0.22kg/hrで連続フィードし、5時間重合を継続した。その後、生成重合体をヘプタンから濾別し、乾燥を行ったところ、28kgのポリマーが得られた。
(3)パウダーのペレタイズ
この乾燥処理を行ったパウダーに対して、IR1010を0.05wt%、IR168を0.05wt%、StCaを0.005wt%を添加しヘンシェル型スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、30mmD押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で造粒、ペレット化した。
(4)中空成形
実施例1と同様実施した。
(5)評価結果
実施例1と同様実施した。これらの評価結果を表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】
本発明によって、電子複写機等で使用されるトナー現像剤容器中のトナー現像剤の残量が明瞭に確認でき、トナーの付着防止性に優れるため現像性の安定がはかれ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れる容器が提供できる。このため、本発明の容器は、産業的利用価値が極めて高い容器として利用できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子複写機等で使用される粉体トナー現像剤容器に関し、さらに詳しくはトナー現像剤の残量が明瞭に確認でき、かつ現像性を安定させることができる粉体トナー現像剤容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子複写機等で使用される粉体トナー現像剤容器の材料としては剛性、価格の観点よりポリプロピレン系樹脂、高密度ポリエチレン系樹脂等が用いられてきた。この中でもプロピレンとα−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレンランダム共重合体は、透明性に優れるためトナー現像剤残量の確認が容易でき、かつ耐衝撃性と剛性にも優れるため粉体トナー現像剤透明容器として主に用いられてきた。
ところが、粉体トナー現像剤は、ポリエステル系樹脂やスチレン−アクリル系樹脂にカーボンブラック等の着色剤、低分子量ポリオレフィン等の結着樹脂、静電荷量を安定化させるための帯電制御剤等を溶融混練し、微粉砕したものにシリカ粉末等を添加する方法等で製造されているものであり、この粉体トナー現像剤は、帯電性を利用して用いられるものである。さらに、この粉体トナー現像剤容器は、複写機等に装着時トナーをほぐす目的で容器ごと振り混ぜられたり、複写機等の使用環境が湿度の少ない状態で使用されることが多い。このためポリプロピレン系樹脂容器中で帯電しやすく、容器内面の全面に粉体トナーが付着し現像剤の内容量が確認しにくい問題があった。さらに、トナーが付着するとトナー現像剤粒子同士がかたまり画像の鮮明度が劣る問題があった。
【0003】
ポリオレフィンに用いる帯電防止剤は種々検討されていて、アルキルジアルカノールアミドアミンを用いる方法(例えば、特許文献1参照。)などが提案されている。上記帯電防止剤が配合された組成物は、粉体トナー現像剤を用いたダートチャンバーテストにおいては、付着防止効果が認められる。しかし、容器とトナー現像剤が長時間接触する実使用環境下では、経時とともに付着が進行する問題があった。さらに画像の鮮明度が悪化することも判明した。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−38020号公報
【0005】
【発明が解決しようする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、粉体トナーの付着防止性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れたポリプロピレン系樹脂製の粉体トナー現像剤容器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、容器への粉体トナー付着について鋭意検討した結果、ポリプロピレン系樹脂に一般的に配合されている脂肪酸金属塩類を低減させることで、トナー付着を防止し、帯電防止剤の配合を不要とできることを見出した。すなわち、ポリプロピレンの重合用触媒として一般的に用いる塩化チタン、塩化有機アルミニウム、塩化マグネシウム等の成分に含まれる塩素を中和するためにポリプロピレン系樹脂に中和剤として配合されている脂肪酸金属塩および、またはヒドロキシ脂肪酸金属塩を含有しないポリプロピレン系樹脂を用いた容器にし、また、ポリプロピレン系樹脂に中和剤を配合する場合は、中和効果が高くトナーの付着性のないハイドロタルサイトおよび、またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を特定量配合したポリプロピレン系樹脂を用いた容器にし、さらに、好ましくは、実用性能の観点からポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合であり、中空成形法で得られる容器にすることにより、トナーの付着防止性に優れ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れたポリプロピレン系樹脂製の粉体トナー現像剤容器を開発するに至り、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明の第1の発明によれば、ポリプロピレン系樹脂中の塩素の濃度が20wtppm以下で、添加する脂肪酸金属塩類の濃度を0.005wt%以下にしたポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0008】
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、ポリプロピレン系樹脂に中和剤としてハイドロタルサイトを0.005〜0.5wt%および/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を0.005〜0.5wt%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0009】
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体であることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0010】
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、容器が中空成形法によって得られ、胴部の霞度が50%以下であることを特徴とする粉体トナー現像剤容器が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の粉体トナー現像剤用容器は、塩素含有量を低くしたポリプロピレン系樹脂に、塩素の中和剤として用いられる脂肪酸金属塩類の添加を極力抑え、必要に応じて、ハイドロタルサイトおよび/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩等を添加したポリプロピレン系樹脂組成物からなる容器である。以下に、ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分、樹脂組成物の製造、容器について詳細に説明する。
【0012】
[I]ポリプロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.ポリプロピレン系樹脂
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独ホモ重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合ゴム成分を含むブロック共重合体等が挙げられ、一種類でも二種類以上の混合物としても用いることができる。
これら共重合体に用いるα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられ、このα−オレフィンは一種類でなく、二種類以上の多元系共重合体でもよい。
これらポリプロピレン系樹脂の中では、透明性、耐衝撃性、剛性に優れたプロピレンとα−オレフィンとの共重合体であるポリプロピレンランダム共重合体が好ましい。
ポリマー構造は、アイソタクチックタイプでもシンジオタクチックタイプのどちらでもよい。
【0013】
2.ポリプロピレン系樹脂の物性
(1)塩素含量
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、塩素濃度が20wtppm以下であり、好ましくは1ppm以下である。この濃度が低いほど樹脂の腐食性が低くなるため中和剤の添加量を抑制でき好ましい。
ここで、塩素濃度は、蛍光X線分析にて、X線強度から求める値である。
【0014】
(2)MFR
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、0.1〜5g/10分が好ましく、より好ましくは0.3〜3g/10分である。MFRが上記範囲未満の場合は、成形時に押し出しが困難になり、また樹脂の外表面が肌荒れを起こす恐れがある。一方、MFRが上記範囲を超える場合は、落下強度が低下し、また成形時樹脂がたれるドローダウン現象が発生し、成形が困難になる問題を引き起こす恐れもある。
MFRを調整する方法としては、重合時の水素濃度、重合温度を変化させる方法等の一般的な方法で調整でき、水素濃度が高く、重合温度が高いほどMFRは高くなる。
ここで、MFRは、JIS−K7210(230℃、21.18N荷重)により測定する値である。
【0015】
(3)Q値
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂のQ値は、1.5〜10が好ましく、より好ましくは2〜6である。Q値が上記範囲未満の場合は、同じMFRを有するQ値が1.5〜10のポリプロピレンと比較してドローダウン性が悪くなることがあるばかりでなく、溶融パリソンが肌荒れし、容器の光沢が悪化する場合がある。一方、このQ値が上記範囲を超える場合は、透明性が劣り落下強度も低下する場合がある。
ここで、Q値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として求められる値であり、この値は小さいほど分子量が均一で分子量分布が狭いことを意味する。
【0016】
(4)密度
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の密度は、0.890〜0.920g/cm3が好ましく、より好ましくは0.895〜0.910g/cm3である。密度が低いと透明性、落下強度が改善されるが、容器の剛性が低下することがある。一方、密度が上記範囲を超える場合は、透明性が劣り、落下強度も低下することがある。
密度を調整する方法としては、プロピレンと共重合させるα−オレフィンの量を変化させる方法で調整でき、α−オレフィンの量が高いほど密度は低くなる。
ここで、密度は、JIS−K7112により測定する値である。
【0017】
3.ポリプロピレン系樹脂の製造
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂中の塩素は、重合触媒成分、重合後に必要に応じ配合される添加剤、反応器など重合環境からのコンタミ等により混入する。重合触媒成分には塩素をはじめハロゲン成分を必須とするものが多いので、特にどのような重合触媒によって得られたポリプロピレンであるか選択が重要である。
【0018】
(1)重合用触媒
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の重合用触媒としては、チーグラーナッタ型触媒、メタロセン触媒等が挙げられる。これらの触媒は触媒活性が高く、触媒単位重量当たりのポリプロピレン生成量が多いので、相対的に金属を腐食させやすいハロゲンの残さ量が少なくなるので好ましい。より好ましくは、塩化マグネシウム担持のチーグラーナッタ型触媒、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属化合物を用いた活性点がシングルサイトであるメタロセン触媒であり、さらに好ましくはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含むジルコニウム、ハフニウム等の遷移金属化合物を用いた活性点がシングルサイトであるメタロセン触媒が挙げられる。
これら触媒の作用によって得られるポリプロピレン樹脂は、塩素の触媒残さが少ないため脂肪酸金属塩類の添加量を抑制でき好ましい。
【0019】
(2)重合方法
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂の重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の汎用プロセスが適用できる。これら重合反応は単独反応器だけでなく複数用いることができ、重合方法も複数組み合わせて用いることもできる。
脱触行程を含む重合法は、塩素の残さ量を低減できるので好ましい方法である。
【0020】
4.脂肪酸金属塩類
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂は、上記のように塩素含量が20wtppm以下であるので、塩素を中和する脂肪酸金属塩類は必要としないが、ポリプロピレン系樹脂の0.005wt%以下、好ましくは0.001wt%以下であれば添加することができる。脂肪酸金属塩の濃度が上記範囲を超過するとトナーが容器に付着しやすくなる。
【0021】
本発明でポリプロピレン系樹脂中に添加できる脂肪酸金属塩は、炭素数10〜40程度の飽和脂肪酸、モノ脂肪酸、多脂肪酸と周期表2族の金属との化合物である。また脂肪酸にはOH基を有するビドロキシ脂肪酸も含む。
具体的な脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ベヘニン酸カルシウム、オレイン酸カルシウム、12ビドロキシステアリン酸カルシウム等である。
これら脂肪酸金属塩類は、ポリポロピレン重合触媒残さのハロゲン中和剤、あるいは樹脂の流動滑剤、離形剤として通常ポリプロピレン系樹脂に配合されているものである。
【0022】
5.ハイドロタルサイト又はリチウムアルミニウム複合水酸化物塩
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて、中和剤としてハイドロタルサイト又はリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の少なくとも一種が配合されていてもよい。ハロゲン残さが比較的多く、金属腐食の恐れがある場合にはハイドロタルサイト又はリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の少なくとも一種を配合することが効果的である。
【0023】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いることのできるハイドロタルサイトは、マグネシウム及びアルミニウムを含む含水塩基性炭酸塩であり、天然産のものと合成されたものがある。天然に産出するものに対しては、Mg6Al2(OH)16(CO3)・4H2Oの組成が与えられ、別名マナセアイトとも呼ばれ、ASTMカードにX線回折図が記載されている。また、合成されたハイドロタルサイトは、種々の公知方法、例えば、「薬剤学」第29巻(1969年)第215頁、「日本化学雑誌」第92巻(1971年)第514頁に記載の方法により容易に得られる。合成ハイドロタルサイトとしては、種々の組成のものが得られ、例えば、Mg4.5Al2(OH)13(CO3)・3.5H2O、Mg5Al4(OH)20(CO3)・4H2O、Mg7Al3(OH)19(CO3)2・2H2O等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物中のハイドロタルサイトの濃度は、0.005〜0.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1wt%である。この濃度が上記未満では中和効果が低くハロゲン残さを比較的多く含む樹脂の場合、成形機、金型等の腐食が発生しやすくなる。一方、上記範囲を超過すると透明性が悪化することがある。
【0025】
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物に用いることのできるリチウムアルミニウム複合水酸化物塩は、下記一般式で示されるものである。
〔Al2Li(OH)6〕nX・mH2O
(式中、Xは無機または有機のアニオンであり、nはアニオンXの価数であり、mは3以下の数である。)
【0026】
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物中のリチウムアルミニウム複合水酸化物塩の濃度は、0.005〜0.5wt%が好ましく、より好ましくは0.01〜0.1wt%である。この濃度が上記未満では中和効果が低くハロゲン残さを比較的多く含む樹脂の場合、成形機、金型等の腐食が発生しやすくなる。一方、上記範囲を超過すると透明性が悪化することがある。
【0027】
6.その他の成分
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、前述のようにプロピレンの単独重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとのブロック共重合体等の一種類又は二種以上を任意の割合で混合することができる。また、必要に応じて、ポリプロピレン系樹脂に高密度ポリエチレン、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、高圧法ラジカル重合ポリエチレン、エチレンと酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、さらにα−オレフィンとの共重系ゴム等を50重量%以内でブレンドして使用することもできる。
【0028】
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、ブロー成形時に発生したバリ樹脂、及び各種目的に応じて配合成分を配合することができる。それらの付加的成分としては、通常のポリオレフィン用添加剤や配合剤等として用いられる結晶化核剤、酸化防止剤、無機系中和剤、耐候性改良剤、気泡防止剤、分散剤、帯電防止剤、滑剤、分子量調整剤(過酸化物等)、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、潤滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、難燃剤、導電性付与剤、架橋剤、架橋助剤、金属不活性化剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種助剤、他のフィラー、着色剤等を挙げることができる。
ただし、顔料や結晶化核剤等の中には脂肪酸金属塩やヒドロキシ脂肪酸金属塩を分散剤として混合されている場合があるので注意が必要である。また、これら配合物の一部には塩素を含む物質を含む場合があるので注意が必要である。
【0029】
[II]ポリプロピレン系樹脂組成物の製造
本発明で用いるポリプロピレン系樹脂組成物は、前記ポリプロピレン系樹脂に直接配合物を溶融混練機でブレンドする方法、あるいは成形機でペレット同士をドライブレンドする方法等により製造することができる。ただし、添加剤をドライブレンドする場合は、予め添加剤を高濃度にしたマスターバッチペレットを使用することが好ましい。
上記機械的混合或いは溶融混練に用いられる混合機或いは混練機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を挙げることができる。また、溶融混練温度は一般に100〜300℃で行われる。
【0030】
[III]容器
1.容器の成形
本発明の粉体トナー現像剤容器は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、射出成形、中空成形、熱成形など公知の成形法により、容器に賦型される。本発明の容器の好ましい方法は、中空成形法である。
【0031】
本発明で好ましく用いる中空成形法としては、一般的なブロー成形法が適用出来る。具体的には、単頭または多頭のダイレクト押出ブロー成形機、金型が多数個回転しながら連続的に押し出すローター式ブロー成形機、または樹脂を一度溜めてから間欠的に射出押し出しするアキューム式ブロー成形機、あるいは2種以上の層に出来る多層ブロー成形機の構造を合わせたもの等でもよい。ただし、他樹脂との多層ブローの場合、トナー現像剤に対する付着性の観点より本発明に用いるポリプロピレン系樹脂を最内層に用いることが必要である。
【0032】
成形条件もポリプロピレン系樹脂として用いられている一般的な条件でよい。具体的には、成形温度160〜280℃、ブロー圧力3〜10kg/cm2、金型での冷却時間5〜30秒で、ボトル容量としては100ミリリットルから20リットル程度のものである。
【0033】
2.中空容器の霞度
本発明の中空容器の胴部の霞度は、50%以下が好ましく、より好ましくは45%以下、更に好ましくは30%以下である。霞度が上記範囲を超えると容器の透明性が悪くなり、トナーの残量が外部から目視確認しづらくなる問題が生じる。一方、容器の厚みを薄くすることにより霞度を下げることはできるが落下強度、剛性が低下する問題があるため材料として高透明なものが求められる。
また、中空容器の厚みは、0.5〜1mmが好ましい。
ここで、霞度は、容器の胴部を切り出し、積分球式光線透過率測定装置を用いJIS−K7105により測定した値である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、物性評価及び容器の品質評価の方法は次の通りである。
【0035】
1.物性評価
(1)MFR:樹脂ペレットをJIS−K7210にてMFR計を用い温度230℃℃、荷重2.16kgの条件でMFRを測定した。
(2)Q値:樹脂ペレットをゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用い、以下の条件により重量平均分子量と数平均分子量を測定し、それらの比を求めた。
GPC装置:ウォーターズ社製ISOC−ALC/GPC
カラム :東ソー社製 GMHHR−H(S)HT 60cm×1
溶媒 :o−ジクロルベンゼン
溶液濃度 :5mg/3.4ml
試料調整 :o−ジクロロベンゼンを用い、5mg/3.4mlの溶液に調整し140℃で1〜3時間溶解させる。
測定温度 :140℃
流速 :1m/min
標準材 :東ソー社製単分散ポリスチレン
検量線次数:1次
PP分子量:PS×0.639
(3)密度:中空容器の胴部をサンプリングし、温度23℃の室内で48時間状態調節した後、JIS−K7112に従い密度勾配管に入れ密度を測定した。
(4)塩素濃度:樹脂ペレットを加熱プレスにより厚み5mmのシートを作成し、蛍光X線分析装置を用い、以下の条件により塩素濃度を測定した。
X線装置:理学電気工業社製3270
管球 :RH
分光結晶:ゲルマニウム
計数管 :PC
管球電圧:50kv
管球電流:50mA
カウント:100秒
2θKα:92.78度
なお、X線強度と塩素濃度を予め標準サンプルにて検量線を作成し、測定したX線強度から塩素濃度を求めた。
(5)耐腐食性:樹脂ペレットをサンドペーパー等で研磨し、ヘプタンで脱脂した鉄板で挟み、温度230℃で10分間加熱した状態で圧縮シートを作製する。次に鉄板で挟んだまま温度80℃、湿度80%の恒温恒湿槽に48時間入れ、鉄板の樹脂との接触部を目視で観察し腐食状態を試験した。この耐腐食性は下記の基準で判定した。
◎:ほとんど腐食せず(樹脂との接触面積の0〜5%)
○:一部のみ腐食(樹脂との接触面積の5〜30%)
△:約半分程度腐食(樹脂との接触面積の30〜70%)
×:ほぼ全面に腐食(樹脂との接触面積の70〜90%)
××:全面腐食(樹脂との接触面積の90〜100%)
【0036】
2.容器性能評価
(1)トナー付着性:500ミリリットルの中空容器にシャープ株式会社製トナーAR−ST17−Bを70ミリリットル入れ、手で容器を上下左右に各50回振り混ぜる。つぎに、この容器を静置し上部から軽くたたいてトナー現像剤が容器内壁面に付着している量を目視観察した。この付着量は下記の基準で判定した。
◎:ほとんど付着せず
○:一部のみ付着
△:約半分程度付着
×:ほぼ全面に付着
××:全面付着
(2)圧縮強度:500ミリリットルの中空容器を温度23℃の恒温室内で東洋精機株式会社製ストログラフを用い、ボトル上部から50mm/minの速度で圧縮したときの最高応力を圧縮強度として求めた。
(3)落下強度:500ミリリットルの中空容器に水道水を口部まで満たし密栓した後、温度5℃の低温室で24時間状態調節し、ボトルの底面が床面に当たるよう1mの高さから垂直方向に繰り返し落下させた。
この落下試験で容器が割れ始める落下回数を落下強度として求めた。
(4)霞度:500ミリリットルの中空容器の胴部を切り出し、肉厚が0.7mmの部分を積分球式光線透過率測定装置を用い霞度を求めた。
【0037】
実施例1
(1)チーグラーナッタ系固体触媒の合成
充分に窒素置換したフラスコに、脱水・脱酸素したn−ヘプタン4000ミリリットルを導入し、次いで、MgCl2を8モル、Ti(O−n−C4H9)4を16モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いで、メチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を960ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタン1000ミリリットルを導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で4.8モル導入した。次いで、n−ヘプタン500ミリリットルにSiCl4を8モル混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、n−ヘプタン500ミリリットルにフタル酸クロライドを0.48モル混合して、70℃、30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いで、SiCl4200ミリリットルを30℃、30分間でフラスコへ導入し、80℃で6時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄して固体成分を得た。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタン1000ミリリットルを導入し、上記で合成した固体成分を100g導入し、(t−C4H9)Si(CH3)(OCH3)224ミリリットル、トリエチルアルミニウム34gを30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、MgCl2を主体とする固体触媒成分を得た。この固体触媒成分のチタン含量は、1.1重量%であった。
【0038】
(2)重合
上記チーグラーナッタ系触媒を用い、気相重合法で得たプロピレン−エチレンランダム共重合体パウダーを重合した。
内容積10Lの反応器からなる攪拌式連続気相重合反応装置を用いて、プロピレン−エチレンランダム共重合体の連続製造を実施した。まず反応器内を充分に精製した窒素で置換した後、充分に脱水・脱酸素したポリマー担体を2.2kg充填し、その後に充分にプロピレンでガス置換を行った。併用する水素およびエチレンは、気相部の水素濃度およびエチレン濃度で制御した。また、トリエチルアルミニウム、前記固体触媒成分を連続的に導入し、重合温度を75℃、全圧を14.5kg/cm2で連続的にプロピレン−エチレンランダム共重合を行った。共重合したパウダーは、断続的に抜き出した。このようにして、パウダー状プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。
得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体のパウダーを脱臭処理するため東洋精機製ギアーオーブンを用い窒素を微量(約毎分1000ml)流しながら80℃で60分間、乾燥処理を行った。
【0039】
(3)パウダーのペレタイズ
この乾燥処理を行ったパウダーに対して、添加剤としてフェノール系酸化防止剤であるペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;以下、IR1010と略す。)0.05wt%、リン系酸化防止剤であるトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファィト(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;以下、IR168と略す。)0.05wt%を添加し、ヘンシェル型スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、30mmD押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で造粒、ペレット化した。
【0040】
(4)中空成形
この溶融混練ペレット樹脂を小型ダイレクトブロー成形機(株式会社日本製鋼所社製JB105)を用い、温度210℃、スクリュー回転20rpm、ダイス径22mm、コア径20mmの条件で容量が500ミリリットル、形状が縦長の重量30gの扁平ボトルを中空成形した。なお、このときのボトル金型の温度は30℃、ブロー空気圧力は6kg/cm2、ボトル金型での冷却水は20秒間で実施した。
【0041】
(5)評価結果
上記ペレットサンプルを用いてMFR、エチレン含量、Q値、密度、耐腐食性を測定した。また、上記中空容器を用いてトナー付着性、圧縮強度、落下強度、霞度を測定した。これらの評価結果を表1に示す。
【0042】
実施例2、比較例1、比較例2
添加剤として、中和剤であるステアリン酸カルシウム(日本油脂(株)社製;以下、StCaと略す。)を実施例2は0.005wt%、比較例1は0.01wt%、比較例2は0.05wt%それぞれ追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表1に示す。比較例1、比較例2ではトナーの付着が多く内容物の視認性が悪かった。
【0043】
比較例3
添加剤として、中和剤である12ヒドロキシステアリン酸カルシウム(日東化成工業(株)社製;以下、12−OH−StCaと略す。)を0.05wt%追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表1に示す。トナーの付着が多く内容物の視認性が悪かった。
【0044】
実施例3
添加剤として、ハイドロタルサイト中和剤であるハイドロタルサイトDHT4A(協和化学工業(株)社製;以下、DHT4Aと略す。)を0.01wt%追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。実施例1と比較して耐腐食性が向上した。
【0045】
実施例4
添加剤として、リチウムアルミニウム複合水酸化物塩中和剤であるミズカラック(水澤化学工業(株)社製;以下、ミズカラックと略す。)を0.01wt%追加した以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。実施例1と比較して耐腐食性が向上した。
【0046】
比較例4
添加剤として、帯電防止剤である非イオン系活性剤エレクトロストリッパーEA(花王(株)社製;以下、E−EAと略す。)を0.20wt%追加した以外は比較例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。帯電防止はなされたがトナーの付着は逆に悪化した。
【0047】
実施例5
(1)メタロセン触媒の調製
内容積0.5リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に、WITCO社製シリカ担持MAO(MAO on SiO2:TA0279/HL103)2.4g(20.7mmol−Al)を添加し、n−ヘプタン50mlを導入し、(r)−ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液20.0ml(0.0637mmol)を加え、続いてトリイソブチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液4.14ml(3.03mmol)を加えた。その後、室温にて2時間反応させ、さらに、プロピレンをフローさせて予備重合を実施し、固体触媒を得た。
(2)重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分に置換した後、トリエチルアルミニウムのn−ヘプタン溶液3g、液化プロピレン45kg、エチレン0.6kgを導入し、内温を30℃に維持した。次いで、固体触媒(予備重合によるポリマー成分を除いた量として)0.8gを加えた。その後、50℃に昇温して重合を開始させ、6時間その温度を維持した。ここで、エタノール100mlを添加して反応を停止させた。残ガスをパージし、ポリマーを乾燥した。その結果、MFRが2.0g/10分、エチレン含量1.9重量%であるプロピレン・エチレンランダム共重合体が13.7kg得られた。このポリマーの分析を行ったところ、DSCによる融解ピーク温度は126.5℃であった。また、GPCによる重量平均分子量と数平均分子量の比(Q値)は2.3、塩素濃度は0.25wtppmであった。
(3)パウダーのペレタイズ
実施例1と同様実施した。
(4)中空成形
実施例1と同様実施した。
(5)評価結果
実施例1と同様実施した。これらの評価結果を表2に示す。
【0048】
実施例6
実施例1の重合時、モノマーをプロピレン単独に変えた以外は実施例1と同様に実施した。これらの評価結果を表2に示す。
【0049】
比較例5
(1)チーグラーナッタ系固体触媒の合成
TiCl4をトリエチルアルミニウムでTiCl3に還元し乾燥したものをボールミルで粉砕した三塩化チタン型固体触媒を得た。
(2)重合
内容積200リットルの攪拌式オートクレーブ内をプロピレンで充分に置換した後、十分に脱水したヘプタン60Lを導入した。これにジエチルアルミニウムクロライド50g、重合触媒25gを50℃で、プロピレン雰囲気下で添加した。さらに、気相部水素濃度を3容量%に保ちながら、55℃の温度で、プロピレンを6.6kg/hr、エチレンを0.22kg/hrで連続フィードし、5時間重合を継続した。その後、生成重合体をヘプタンから濾別し、乾燥を行ったところ、28kgのポリマーが得られた。
(3)パウダーのペレタイズ
この乾燥処理を行ったパウダーに対して、IR1010を0.05wt%、IR168を0.05wt%、StCaを0.005wt%を添加しヘンシェル型スーパーミキサーで窒素シール後、3分間混合した。その後、30mmD押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で造粒、ペレット化した。
(4)中空成形
実施例1と同様実施した。
(5)評価結果
実施例1と同様実施した。これらの評価結果を表2に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】
本発明によって、電子複写機等で使用されるトナー現像剤容器中のトナー現像剤の残量が明瞭に確認でき、トナーの付着防止性に優れるため現像性の安定がはかれ、かつ剛性、耐衝撃性、透明性にも優れる容器が提供できる。このため、本発明の容器は、産業的利用価値が極めて高い容器として利用できる。
Claims (4)
- ポリプロピレン系樹脂中の塩素の濃度が20wtppm以下で、添加する脂肪酸金属塩類の濃度を0.005wt%以下にしたポリプロピレン系樹脂組成物からなることを特徴とする粉体トナー現像剤容器。
- ポリプロピレン系樹脂に中和剤としてハイドロタルサイトを0.005〜0.5wt%および/またはリチウムアルミニウム複合水酸化物塩を0.005〜0.5wt%配合した樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の粉体トナー現像剤容器。
- ポリプロピレン系樹脂がプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉体トナー現像剤容器。
- 容器が中空成形法によって得られ、胴部の霞度が50%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体トナー現像剤容器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160394A JP2004361699A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | トナー現像剤容器 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160394A JP2004361699A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | トナー現像剤容器 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004361699A true JP2004361699A (ja) | 2004-12-24 |
Family
ID=34053187
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003160394A Pending JP2004361699A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | トナー現像剤容器 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004361699A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024024600A1 (ja) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | キヤノン株式会社 | 容器、容器の製造方法およびトナー容器 |
-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003160394A patent/JP2004361699A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2024024600A1 (ja) * | 2022-07-27 | 2024-02-01 | キヤノン株式会社 | 容器、容器の製造方法およびトナー容器 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
CN1068356C (zh) | 改进光学特性的直链低密度聚乙烯基础组合物 | |
EP1308466B1 (en) | Butene copolymer, resin composition comprising the copolymer and moldings of the composition | |
WO2006057260A1 (ja) | マスターバッチ組成物、それを含有するポリオレフィン系樹脂組成物およびその成形体 | |
WO1998006781A1 (fr) | Composition a base de polypropylene, procede de production et catalyseur permettant sa polymerisation | |
EP0476660B1 (en) | Polybutene-1 resin composition | |
JP4595316B2 (ja) | プロピレン系重合体、その重合体を含むポリプロピレン系樹脂組成物、および、その組成物からなる射出成形体 | |
JP2019189818A (ja) | ポリプロピレン組成物および成形体 | |
WO2007052368A1 (ja) | 熱可塑性樹脂組成物の製造方法 | |
JP4019748B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物、その製造方法及びそれからなる射出成形体 | |
JPH09241442A (ja) | 表面保護フィルム・シート | |
JP2004361699A (ja) | トナー現像剤容器 | |
JPS6226339B2 (ja) | ||
JP2009035581A (ja) | 難燃性ポリプロピレン樹脂組成物 | |
JP3966036B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物およびそのフィルム | |
JP3368657B2 (ja) | 結晶性プロピレン重合体組成物 | |
WO2016107830A1 (en) | Polypropylene compound with improved optical property and gel level | |
JPH07247318A (ja) | 押出成形可能なポリオレフィン系樹脂及びそれを用いた異形押出成形体 | |
JP2002275217A (ja) | 生分解性樹脂改質用エチレン−α−オレフィン共重合体、その組成物及びその成形体 | |
JPH059352A (ja) | ポリ1−ブテン樹脂組成物 | |
JP3879500B2 (ja) | 無機微粒子を含有する樹脂組成物の製造方法 | |
JP3367585B2 (ja) | ポリプロピレン系樹脂組成物 | |
JP3275949B2 (ja) | 難燃性ポリオレフィン組成物 | |
JP3544872B2 (ja) | 液体添加剤含浸グラニュラー状エチレン−α−オレフィン共重合体組成物、及びこれを用いた樹脂組成物並びにこれら組成物からなる成形物 | |
JPS601229A (ja) | 無機充填剤含有ポリオレフィン材料の製造方法 | |
JP2001114838A (ja) | エチレン−α−オレフィン共重合体 |