JP2004360320A - クッション性巾木 - Google Patents
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Abstract
【課題】病院や介護施設などの車椅子が日常的に使用される場所において、車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃を緩和することができるクッション性巾木を提供すること。
【解決手段】壁面に接着される下層部2と、その外側に形成される意匠表面材を有する上層部3とで構成された巾木1であって、前記下層部2と上層部3が少なくとも2ヶ所以上で結合され、内側に中空部5を有するように、共押出されてなるクッション性巾木1である。
【選択図】 図1
【解決手段】壁面に接着される下層部2と、その外側に形成される意匠表面材を有する上層部3とで構成された巾木1であって、前記下層部2と上層部3が少なくとも2ヶ所以上で結合され、内側に中空部5を有するように、共押出されてなるクッション性巾木1である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として病院や介護施設等の室内での車椅子や台車などの衝撃から人および壁面を保護するためのクッション性巾木に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、室内、通路等の内装は、壁面には壁材が施工され、その表面には床からの壁の立ち上がり部に合成樹脂製の巾木が設けられている。
このような従来の巾木は、例えば、病院などのベッドや治療器具が壁に当たり、壁や器具が破損するので、これを防止することが望まれている。
このようなクッション性を有する巾木としては、発泡樹脂からなる下層と、熱可塑性樹脂などからなる表層としての上層とで構成される中実巾木(例えば、特許文献1参照)、また、軟質発泡基材を基部とし、この表面に繊維補強材及び印刷層を形成した中実巾木(例えば、特許文献2参照)、あるいは、軟質発泡体の表面に、透明表面層を設けた中実巾木(例えば、特許文献3)などが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−239907号公報
【特許文献2】
特開平9−125563号公報
【特許文献3】
特開平5−239907号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の巾木において、特許文献1〜3の技術は、いずれも基部層として発泡性もしくは軟質性の樹脂材料を採用し、その表面に、表面層として被覆層を形成させた中実構造のものとなっている。
このため、病院や介護施設等の室内で車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃をある程度は防止することができるものの、強い衝撃を必ずしも十分に緩和することはできず、安全第一を目的とする病院や介護施設等の室内では、危険な環境状態であるという不利があった。
また、表面層は被覆層であって、発泡効果がなく、緩衝性については不充分であった。
【0005】
従って、本発明は、前述した従来技術の問題点を解決し、病院や介護施設などの車椅子が日常的に使用される場所において、車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃を有効に緩和することができるクッション性巾木を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、壁面に接着される下層部と、その外側に形成される上層部とを構成し、下層部と上層部とを内側に中空部を有するように構成させることにより、クッション性に優れた巾木を提供でき、上記問題点を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明のクッション性巾木は、壁面に接着される下層部と、その外側に形成される意匠表面材を有する上層部とで構成された巾木であって、前記下層部と上層部が少なくとも2ヶ所以上で結合され、その内側に中空部を有するように、共押出されてなるクッション性巾木である。
【0008】
前記中空部の中にリブが設けられているクッション性巾木が好ましく、また、前記下層部と上層部が塩化ビニル系樹脂組成物からなり、それぞれが異なる成分組成であるクッション性巾木が好ましく採用される。
【0009】
更に、本発明のクッション性巾木は、下層部が平均重合度300〜1,300の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤50重量部以下からなり、上層部が平均重合度1,000〜5,000の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜100重量部を配合してなるものである。なお、下層部には、可塑剤を添加しないことも可能である。
【0010】
また、壁面に設けられたレール部との着脱が可能であるクッション性巾木であることがより好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクッション性巾木について詳細に説明する。
本発明のクッション性巾木は、通常、一般に使用されている巾木と同様に、主として壁面の下端に配置される。
【0012】
次に、本発明のクッション性巾木について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のクッション性巾木の一実施の形態を示す断面説明図、図2は、本発明のクッション性巾木の他の実施の形態を示す断面説明図、図3は、本発明のクッション性巾木の別の実施の形態を示す断面説明図、図4は、本発明のクッション性巾木の更に別の実施の形態を示す断面説明図、図5は、図1の高さと比の関係を示す断面説明図である。
【0013】
図1に示すように、本発明のクッション性巾木1は、下層部2と上層部3とから構成されている。下層部2の下端には、通常、凸部4が形成されている。
下層部2及び上層部3は共押出しにより少なくとも二点で接合されている長尺体であり、下層部2と上層部3との内側には、断面中空状の中空部5が形成されている。下層部2としては、比較的硬質な材料が使用されるが、特に塩化ビニル系樹脂に少量の可塑剤を添加配合してなるものが好ましく採用される。
また、上層部3としては、比較的軟質な材料が使用されるが、特に塩化ビニル系樹脂に多量の可塑剤を添加配合してなるものであり、下層部2に比べて、軟質である。これによって、中空部5の存在と相俟って、クッション効果を発揮でき、極めて高い効果を奏する。
【0014】
本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部とが塩化ビニル系樹脂組成物からなるものが好ましいが、これに使用される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体、50重量%以上の塩化ビニル単量体と、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、またはこれら以外の重合体に塩化ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体などが例示されるが、これらの内では塩化ビニル単独重合体が好ましい。
これらの塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、下層部と上層部とによって異なることが好ましいが、成形性と機械的物性とのバランスから下層部が、平均重合度300〜1,300の範囲内が好ましく、700〜1,000の範囲内がより好ましい。また、上層部は、平均重合度が1,000〜5,000、好ましくは1,300〜3,000のものが使用される。
【0015】
上記した共重合体における塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアクリル酸のエステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリル酸のエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、などの不飽和カルボン酸又はその酸無水物類;塩化ビニリデン、臭化ビニル、各種ウレタンなどが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
【0016】
塩化ビニル単量体とグラフト重合可能な重合体としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・α−メチルスチレン共重合体、ポリブチルアクリレート、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリルゴムなどが挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。また、これらは上記塩化ビニル単量体と共重合可能な不飽和基を1個以上有する単量体と併用してもよい。
【0017】
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂組成物において、第2成分として用いられる可塑剤としては、上記で例示した塩化ビニル系樹脂と相溶性のあるものであればよく、これには例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジルまたは炭素数11〜13程度の高級アルコールのフタル酸エステルなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−n−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニルなどのリン酸エステル類;トリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリブチルなどのトリメリット酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル、ジエチレングリコールベンゾエートなどのグリコールエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ化エステル類;アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレートなどのクエン酸エステル類;テトラ−n−オクチルピロメリテート、ポリプロピレンアジペート、その他のポリエステル系可塑剤などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで使用される。
また、上記で例示した可塑剤は、上層部と下層部とでは配合割合が異なる。
例えば、上層部は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、20〜100重量部の範囲内で添加配合されることが好ましい。
また、下層部は、上記塩化ビニル系樹脂に対して、50重量部以下の割合で添加配合される。この添加量が50重量部を超えると、強度が低下して破損する虞があるので好ましくなく、場合によっては、可塑剤を省略してもよい。
【0018】
本発明のクッション性巾木を構成する塩化ビニル系樹脂組成物は、上記各成分の他に、必要に応じて一般に使用される安定剤、改質剤、充填剤、発泡剤、着色剤などを、本発明の目的を損なわない範囲で添加配合することができる。
なお、上層部は、意匠表面材を有している。上層部にも必要に応じて上記各成分を添加配合することができる。表面に意匠を形成するか、全体を意匠材として形成する。
【0019】
本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部との内側に形成された中空部5を有することが重要であって、緩衝効果が極めて高い。これによって、従来の巾木では十分に達成されなかった緩衝効果を発揮することができる。
【0020】
上層部3と下層部2とは、少なくとも2ヶ所で結合されていることが必要であり、両端部で結合されていることが好ましく、特に上層部は、断面アーチ状であることが安定した中空部を有することができるため好ましい。これによって、クッション性の効果を向上させることができる。また、図2に示すように、その中空部5にリブ6を設けることもできる。
これによって、外部からの衝撃を更に防止することができ、また、いわゆる、へたりを防止することもできる。
【0021】
このリブ6は、下層部2に設けられ、図2に示すように、2ヶ所であるが、中空部5の高さが比較的短い場合には、1ヶ所でもよく、また強度を高めるため、必要に応じて3ヶ所または4ヶ所、あるいはそれ以上のヶ所に設置することもできる。
【0022】
本発明のクッション性巾木は、図3に示すように、壁面7の下端と床面8との位置に接着配置される。
この場合、下層部2の下端に形成された凸部(図示せず)は、床面7中に埋設される。
【0023】
図4は、本発明のクッション性巾木の別の例を示す断面説明図である。
この図からも明らかなように、壁面に鈎状のレール部9を設け、これに対応するように下層部3の端部に、レール受け部10を備えた下層部3を有する巾木が形成されている。これによって、取り外しが可能となり、老朽化した巾木を部分的に交換することができるという利点を有する。
【0024】
本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部とからなる中空部を有しているが、下層部と上層部との接続部分の長さと、中空部分の巾との寸法関係が重要である。
この場合、例えば、図5に示すように、下層部と上層部との接続部分の長さHと、中空部分の巾Dとの関係において、H/Dが、5/1〜1/1の範囲が好ましく、4/1〜2/1の範囲内がより好ましい。これによって、緩衝効果を向上させることができる。
なお、長さHが5を超える場合は、接合部の数を増やし、一つの中空部分が5/1〜1/1の範囲になるようにすれば衝撃効果としては問題ない。
【0025】
本発明のクッション性巾木は、上記各成分からなる組成物を用いて、これを共押出しによって、下層部と上層部とを有するクッション性巾木に作製することができる。
【0026】
本発明のクッション性巾木を構成する上層部と下層部とは、上記した材料が用いられるが、共押出しを行うため、同様の材料であることが望ましい。
更に、本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部とからなり、中空部を有しているため、配線、モジュラーを取り入れることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の具体的態様を実施例により説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
(実施例1)
下層部として、平均重合度700の塩化ビニル系樹脂[TK−700・信越化学工業社製商品名]100重量部に対し、可塑剤として、DOP[新日本理化社製商品名]30重量部を配合し、上層部として、平均重合度2,450の塩化ビニル系樹脂[TK−2500HS・信越化学工業社製商品名]100重量部に対し、可塑剤として、DOP[同上]70重量部を配合し、図1に示すような形状の長さ60mm、断面中空部状を有するクッション製巾木を作製した。なお、このときの図5に示す長さHと巾Dとの関係比:H/Dは、3/1であった。
得られたクッション性巾木について、車椅子を歩行速度で衝突させたところ、衝撃を十分に緩衝することができ、クッション製巾木が破壊するなどの問題は特にはなかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、
1.病院や介護施設などの車椅子が日常的に使用される場所において、車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃を緩和することができる。
2.中空部の中に電話のモジュラーなどの電線を通すこともできるので、目隠し材としての効果もある。
以上のような効果を奏するので、その産業上の利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のクッション性巾木の一例を示す断面説明図である。
【図2】図2は、図1とは異なるクッション性巾木の一例を示す断面説明図である。
【図3】図3は、図2とは更に異なるクッション性巾木の一例を示す断面説明図である。
【図4】図4は、図1とは更に別の例を示す断面説明図である。
【図5】図5は、図1の巾及び高さとの関係を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 クッション性巾木
2 下層部
3 上層部
4 凸部
5 中空部
6 リブ
7 壁面
8 床面
9 レール部
10 レール受け部
H 下層部と上層部との接続部分の長さ
D 中空部分の巾
【発明の属する技術分野】
本発明は、主として病院や介護施設等の室内での車椅子や台車などの衝撃から人および壁面を保護するためのクッション性巾木に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、室内、通路等の内装は、壁面には壁材が施工され、その表面には床からの壁の立ち上がり部に合成樹脂製の巾木が設けられている。
このような従来の巾木は、例えば、病院などのベッドや治療器具が壁に当たり、壁や器具が破損するので、これを防止することが望まれている。
このようなクッション性を有する巾木としては、発泡樹脂からなる下層と、熱可塑性樹脂などからなる表層としての上層とで構成される中実巾木(例えば、特許文献1参照)、また、軟質発泡基材を基部とし、この表面に繊維補強材及び印刷層を形成した中実巾木(例えば、特許文献2参照)、あるいは、軟質発泡体の表面に、透明表面層を設けた中実巾木(例えば、特許文献3)などが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平5−239907号公報
【特許文献2】
特開平9−125563号公報
【特許文献3】
特開平5−239907号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の巾木において、特許文献1〜3の技術は、いずれも基部層として発泡性もしくは軟質性の樹脂材料を採用し、その表面に、表面層として被覆層を形成させた中実構造のものとなっている。
このため、病院や介護施設等の室内で車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃をある程度は防止することができるものの、強い衝撃を必ずしも十分に緩和することはできず、安全第一を目的とする病院や介護施設等の室内では、危険な環境状態であるという不利があった。
また、表面層は被覆層であって、発泡効果がなく、緩衝性については不充分であった。
【0005】
従って、本発明は、前述した従来技術の問題点を解決し、病院や介護施設などの車椅子が日常的に使用される場所において、車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃を有効に緩和することができるクッション性巾木を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、壁面に接着される下層部と、その外側に形成される上層部とを構成し、下層部と上層部とを内側に中空部を有するように構成させることにより、クッション性に優れた巾木を提供でき、上記問題点を解決できることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明のクッション性巾木は、壁面に接着される下層部と、その外側に形成される意匠表面材を有する上層部とで構成された巾木であって、前記下層部と上層部が少なくとも2ヶ所以上で結合され、その内側に中空部を有するように、共押出されてなるクッション性巾木である。
【0008】
前記中空部の中にリブが設けられているクッション性巾木が好ましく、また、前記下層部と上層部が塩化ビニル系樹脂組成物からなり、それぞれが異なる成分組成であるクッション性巾木が好ましく採用される。
【0009】
更に、本発明のクッション性巾木は、下層部が平均重合度300〜1,300の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤50重量部以下からなり、上層部が平均重合度1,000〜5,000の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤20〜100重量部を配合してなるものである。なお、下層部には、可塑剤を添加しないことも可能である。
【0010】
また、壁面に設けられたレール部との着脱が可能であるクッション性巾木であることがより好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のクッション性巾木について詳細に説明する。
本発明のクッション性巾木は、通常、一般に使用されている巾木と同様に、主として壁面の下端に配置される。
【0012】
次に、本発明のクッション性巾木について、添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のクッション性巾木の一実施の形態を示す断面説明図、図2は、本発明のクッション性巾木の他の実施の形態を示す断面説明図、図3は、本発明のクッション性巾木の別の実施の形態を示す断面説明図、図4は、本発明のクッション性巾木の更に別の実施の形態を示す断面説明図、図5は、図1の高さと比の関係を示す断面説明図である。
【0013】
図1に示すように、本発明のクッション性巾木1は、下層部2と上層部3とから構成されている。下層部2の下端には、通常、凸部4が形成されている。
下層部2及び上層部3は共押出しにより少なくとも二点で接合されている長尺体であり、下層部2と上層部3との内側には、断面中空状の中空部5が形成されている。下層部2としては、比較的硬質な材料が使用されるが、特に塩化ビニル系樹脂に少量の可塑剤を添加配合してなるものが好ましく採用される。
また、上層部3としては、比較的軟質な材料が使用されるが、特に塩化ビニル系樹脂に多量の可塑剤を添加配合してなるものであり、下層部2に比べて、軟質である。これによって、中空部5の存在と相俟って、クッション効果を発揮でき、極めて高い効果を奏する。
【0014】
本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部とが塩化ビニル系樹脂組成物からなるものが好ましいが、これに使用される塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル単独重合体、50重量%以上の塩化ビニル単量体と、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体、またはこれら以外の重合体に塩化ビニル単量体をグラフト重合させたグラフト共重合体などが例示されるが、これらの内では塩化ビニル単独重合体が好ましい。
これらの塩化ビニル系樹脂の平均重合度は、下層部と上層部とによって異なることが好ましいが、成形性と機械的物性とのバランスから下層部が、平均重合度300〜1,300の範囲内が好ましく、700〜1,000の範囲内がより好ましい。また、上層部は、平均重合度が1,000〜5,000、好ましくは1,300〜3,000のものが使用される。
【0015】
上記した共重合体における塩化ビニル単量体と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどの脂肪酸ビニルエステル類;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートなどのアクリル酸のエステル類;メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどのメタクリル酸のエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテルなどのビニルエーテル類;エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα−オレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、などの不飽和カルボン酸又はその酸無水物類;塩化ビニリデン、臭化ビニル、各種ウレタンなどが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで用いられる。
【0016】
塩化ビニル単量体とグラフト重合可能な重合体としては、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・エチルアクリレート・一酸化炭素共重合体、エチレン・メチルメタクリレート共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体、ポリウレタン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン共重合体、アクリロニトリル・ブタジエン・α−メチルスチレン共重合体、ポリブチルアクリレート、ブチルゴム、ポリスチレン、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリルゴムなどが挙げられ、これらは1種用いてもよいし、2種以上組み合わせてもよい。また、これらは上記塩化ビニル単量体と共重合可能な不飽和基を1個以上有する単量体と併用してもよい。
【0017】
本発明に用いられる塩化ビニル系樹脂組成物において、第2成分として用いられる可塑剤としては、上記で例示した塩化ビニル系樹脂と相溶性のあるものであればよく、これには例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ブチルベンジルまたは炭素数11〜13程度の高級アルコールのフタル酸エステルなどのフタル酸エステル類;アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、セバシン酸ジブチルなどの脂肪族二塩基酸エステル類;リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−n−エチルヘキシル、リン酸トリクレジル、リン酸トリフェニルなどのリン酸エステル類;トリメリット酸−トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸トリブチルなどのトリメリット酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル、ジエチレングリコールベンゾエートなどのグリコールエステル類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油などのエポキシ化エステル類;アセチルトリブチルシトレート、アセチルトリオクチルシトレート、トリ−n−ブチルシトレートなどのクエン酸エステル類;テトラ−n−オクチルピロメリテート、ポリプロピレンアジペート、その他のポリエステル系可塑剤などが挙げられ、これらは1種単独または2種以上の組み合わせで使用される。
また、上記で例示した可塑剤は、上層部と下層部とでは配合割合が異なる。
例えば、上層部は、上記塩化ビニル系樹脂100重量部に対して、20〜100重量部の範囲内で添加配合されることが好ましい。
また、下層部は、上記塩化ビニル系樹脂に対して、50重量部以下の割合で添加配合される。この添加量が50重量部を超えると、強度が低下して破損する虞があるので好ましくなく、場合によっては、可塑剤を省略してもよい。
【0018】
本発明のクッション性巾木を構成する塩化ビニル系樹脂組成物は、上記各成分の他に、必要に応じて一般に使用される安定剤、改質剤、充填剤、発泡剤、着色剤などを、本発明の目的を損なわない範囲で添加配合することができる。
なお、上層部は、意匠表面材を有している。上層部にも必要に応じて上記各成分を添加配合することができる。表面に意匠を形成するか、全体を意匠材として形成する。
【0019】
本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部との内側に形成された中空部5を有することが重要であって、緩衝効果が極めて高い。これによって、従来の巾木では十分に達成されなかった緩衝効果を発揮することができる。
【0020】
上層部3と下層部2とは、少なくとも2ヶ所で結合されていることが必要であり、両端部で結合されていることが好ましく、特に上層部は、断面アーチ状であることが安定した中空部を有することができるため好ましい。これによって、クッション性の効果を向上させることができる。また、図2に示すように、その中空部5にリブ6を設けることもできる。
これによって、外部からの衝撃を更に防止することができ、また、いわゆる、へたりを防止することもできる。
【0021】
このリブ6は、下層部2に設けられ、図2に示すように、2ヶ所であるが、中空部5の高さが比較的短い場合には、1ヶ所でもよく、また強度を高めるため、必要に応じて3ヶ所または4ヶ所、あるいはそれ以上のヶ所に設置することもできる。
【0022】
本発明のクッション性巾木は、図3に示すように、壁面7の下端と床面8との位置に接着配置される。
この場合、下層部2の下端に形成された凸部(図示せず)は、床面7中に埋設される。
【0023】
図4は、本発明のクッション性巾木の別の例を示す断面説明図である。
この図からも明らかなように、壁面に鈎状のレール部9を設け、これに対応するように下層部3の端部に、レール受け部10を備えた下層部3を有する巾木が形成されている。これによって、取り外しが可能となり、老朽化した巾木を部分的に交換することができるという利点を有する。
【0024】
本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部とからなる中空部を有しているが、下層部と上層部との接続部分の長さと、中空部分の巾との寸法関係が重要である。
この場合、例えば、図5に示すように、下層部と上層部との接続部分の長さHと、中空部分の巾Dとの関係において、H/Dが、5/1〜1/1の範囲が好ましく、4/1〜2/1の範囲内がより好ましい。これによって、緩衝効果を向上させることができる。
なお、長さHが5を超える場合は、接合部の数を増やし、一つの中空部分が5/1〜1/1の範囲になるようにすれば衝撃効果としては問題ない。
【0025】
本発明のクッション性巾木は、上記各成分からなる組成物を用いて、これを共押出しによって、下層部と上層部とを有するクッション性巾木に作製することができる。
【0026】
本発明のクッション性巾木を構成する上層部と下層部とは、上記した材料が用いられるが、共押出しを行うため、同様の材料であることが望ましい。
更に、本発明のクッション性巾木は、下層部と上層部とからなり、中空部を有しているため、配線、モジュラーを取り入れることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の具体的態様を実施例により説明するが、本発明はこれらの記載に限定されるものではない。
(実施例1)
下層部として、平均重合度700の塩化ビニル系樹脂[TK−700・信越化学工業社製商品名]100重量部に対し、可塑剤として、DOP[新日本理化社製商品名]30重量部を配合し、上層部として、平均重合度2,450の塩化ビニル系樹脂[TK−2500HS・信越化学工業社製商品名]100重量部に対し、可塑剤として、DOP[同上]70重量部を配合し、図1に示すような形状の長さ60mm、断面中空部状を有するクッション製巾木を作製した。なお、このときの図5に示す長さHと巾Dとの関係比:H/Dは、3/1であった。
得られたクッション性巾木について、車椅子を歩行速度で衝突させたところ、衝撃を十分に緩衝することができ、クッション製巾木が破壊するなどの問題は特にはなかった。
【0028】
【発明の効果】
本発明によれば、
1.病院や介護施設などの車椅子が日常的に使用される場所において、車椅子の車輪が壁に衝突した時の衝撃を緩和することができる。
2.中空部の中に電話のモジュラーなどの電線を通すこともできるので、目隠し材としての効果もある。
以上のような効果を奏するので、その産業上の利用価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のクッション性巾木の一例を示す断面説明図である。
【図2】図2は、図1とは異なるクッション性巾木の一例を示す断面説明図である。
【図3】図3は、図2とは更に異なるクッション性巾木の一例を示す断面説明図である。
【図4】図4は、図1とは更に別の例を示す断面説明図である。
【図5】図5は、図1の巾及び高さとの関係を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 クッション性巾木
2 下層部
3 上層部
4 凸部
5 中空部
6 リブ
7 壁面
8 床面
9 レール部
10 レール受け部
H 下層部と上層部との接続部分の長さ
D 中空部分の巾
Claims (5)
- 壁面に接着される下層部と、その外側に形成される意匠表面材を有する上層部とで構成された巾木であって、前記下層部と上層部が少なくとも2ヶ所以上で結合され、内側に中空部を有するように、共押出されてなることを特徴とするクッション性巾木。
- 前記中空部の中にリブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のクッション性巾木。
- 前記下層部と上層部が塩化ビニル系樹脂組成物からなり、それぞれが異なる成分組成である請求項1または2に記載のクッション性巾木。
- 前記下層部が平均重合度300〜1,300の塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤50重量部以下からなり、上層部が平均重合度1,000〜5,000の塩化ビニル系樹脂100重量部、可塑剤20〜100重量部からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のクッション性巾木。
- 壁面に設けられたレール部との着脱が可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のクッション性巾木。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003160748A JP2004360320A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | クッション性巾木 |
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JP2003160748A JP2004360320A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | クッション性巾木 |
Publications (1)
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JP2004360320A true JP2004360320A (ja) | 2004-12-24 |
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ID=34053442
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JP2003160748A Pending JP2004360320A (ja) | 2003-06-05 | 2003-06-05 | クッション性巾木 |
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Country | Link |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008291640A (ja) * | 2008-06-19 | 2008-12-04 | Gop Kk | 作業台の手摺り |
JP2009287294A (ja) * | 2008-05-29 | 2009-12-10 | Ykk Ap株式会社 | 建具用パネル部材、及び、建具 |
-
2003
- 2003-06-05 JP JP2003160748A patent/JP2004360320A/ja active Pending
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