JPH0716998A - 抗菌性シート - Google Patents

抗菌性シート

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JPH0716998A
JPH0716998A JP19169693A JP19169693A JPH0716998A JP H0716998 A JPH0716998 A JP H0716998A JP 19169693 A JP19169693 A JP 19169693A JP 19169693 A JP19169693 A JP 19169693A JP H0716998 A JPH0716998 A JP H0716998A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 病院、療養施設、食品加工所、各種の研究所
などのように、細菌の繁殖を嫌う各施設における椅子,
ベッド,診察台などの調度品、その他の家具類、電化製
品、車両などの表面材として、前掛け、帽子類、履物類
などの装身具材として、壁紙、床材などの内装材などと
して好適に使用される抗菌性に優れるとともに、耐薬品
性,耐汚染性,耐摩耗性にも優れた抗菌性シートを提供
する。 【構成】 接着層2を介して、抗菌剤を含有する塩化ビ
ニル系樹脂層1とフッ素系樹脂層3とを積層してなる。
この塩化ビニル系樹脂層3は複数層であってもよく、こ
の場合、少なくともいずれか1層が抗菌剤を含有してい
る。また、塩化ビニル系樹脂層3が複数層であって、し
かも接着層2側から非接着層側に行くにしたがって、軟
質度が順次高くなっていてもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、耐薬品性,耐汚染性,
耐摩耗性に優れるとともに、抗菌性にも優れた抗菌性シ
ートに関し、特に、病院、療養施設、食品加工所、各種
の研究所などのように、細菌の繁殖を嫌う各施設におけ
る椅子,ベッド,診察台などの調度品、その他の家具
類、電化製品、車両などの表面材として、前掛け、帽子
類、履物類などの装身具材として、壁紙、床材などの内
装材などとして好適に使用される抗菌性シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル系樹脂製のシートは、
塩ビシートと呼ばれ、清掃が容易なことから、上記のよ
うな素材として広く使用されてきている。
【0003】ところで、塩化ビニル系樹脂は、周知の通
り、加工性や耐寒性を付与したり、硬度を変化させるな
どの目的で大量の可塑剤が配合されて使用される。した
がって、上記の塩ビシートに使用される塩化ビニル系樹
脂においても、可塑剤が大量に配合されている。
【0004】この可塑剤は、塩ビシートを使用するうち
に、シートの表面側に徐々に移行し、シート表面の随所
に可塑剤が浸出してくる(この現象をブリードと呼んで
いる)。可塑剤がブリードすると、可塑剤の油性に起因
して、汚れが付着し易く、ベタ付き感が発生する。しか
も、表面にブリードした可塑剤、あるいは該可塑剤に同
伴する安定剤などを栄養源として、各種の細菌が繁殖す
る虞れもある。
【0005】また、塩化ビニル系樹脂や可塑剤は、極性
の高い薬剤に対する耐性が低く、上記のシートの表面を
このような極性の高い消毒薬で消毒する場合、材質変化
が生じて、表面が劣化、硬化、変色などするため、実際
上、消毒が不可能な材料とされている。
【0006】上記のような欠点に対処するために、従
来、シートの表面を表面処理剤で処理する技術が開発さ
れている。この技術によれば、可塑剤(あるいはこれに
同伴する各種添加剤)の表面へのブリードを抑制するこ
とができるため、塵や埃などの付着を防止し、付着して
も落ち易く、ベタ付き感をも解消するなどある程度の効
果を得ることができる。
【0007】しかし、油性の汚れに対しては、完全な対
策とはなっておらず、付着自体を防止することができな
いばかりか、一旦付着すると、落ち難い上、シートの表
面への付着にとどまらず、塩化ビニル系樹脂層にエンボ
ス加工により形成された細かい凹凸紋(シボと呼ばれ
る)の内部にまで入り込み、さらには塩化ビニル系樹脂
層中に滲み込み、除去不可能となる。しかも、この油性
の汚れが、各種細菌の栄養源となる虞れもある。
【0008】また、従来の表面処理剤は、耐薬品性、特
に極性の高い薬剤に対する耐性が優れているとは言え
ず、頻繁な消毒を必要とする箇所で使用されるシートの
表面処理剤としては必ずしも適してはいない。加えて、
表面処理剤は、溶剤などにより流出し易いと言う欠点も
ある。
【0009】そこで、近年、上記の表面処理剤による処
理技術に代えて、フッ素系樹脂フィルムを接着剤により
塩ビシート上に貼着する技術が開発され、広く採用され
つつある。この技術によれば、上記のような油性の汚れ
に対しても良好な効果を発揮し、耐汚染性、延いては細
菌の繁殖防止性が充分となる上、フッ素系樹脂フィルム
による耐薬品性、延いては消毒適性性、あるいは耐摩耗
性、耐久性などの特性をも付与する。したがって、フッ
素系樹脂フィルムを表面に貼着したシートは、耐汚染
性,耐薬品性,耐摩耗性,耐久性に優れた言わゆる機能
性シートとして、広い範囲での使用が期待される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところで、以上のよう
な機能性シートにおいては、通常、長尺物として製造さ
れ、これを使用箇所の寸法に応じて適宜の大きさに裁断
して使用される。この裁断面から塩化ビニル系樹脂層の
断面が露出し、該断面から細菌が塩化ビニル系樹脂層に
入り込む場合には、該樹脂層に混入されている可塑剤や
安定剤などによって細菌が繁殖することが懸念される。
【0011】しかも、裁断された機能性シートは、何ら
かの形にした後、使用箇所に取付けることも行われてい
る。この形作りは、ウエルダーによる場合や、縫製によ
る場合など種々の方法により行われるが、縫製による場
合は、糸がシートの内部を通って両表面を繋ぐこととな
り、この糸を伝わって細菌が内部に進入し、繁殖するこ
とも考えられる。
【0012】また、機能性シートの使用中に、表面に貼
着したフッ素系樹脂フィルムに微細な亀裂が発生するこ
とも考えられ、このような場合には、亀裂から上記の塩
化ビニル系樹脂層に細菌が進入して繁殖すると言う虞れ
もある。
【0013】このようなことから、以上のような機能性
シートにおいては、フッ素系樹脂フィルムによる表面に
おける諸対策のみならず、内部(すなわち、塩化ビニル
系樹脂層)における諸対策の必要性もが生じている。
【0014】本発明は、このような要請に応えるべくな
されたものであって、耐薬品性,耐汚染性,耐摩耗性な
どに優れるとともに、優れた抗菌性をも有するシート
(本発明では、「抗菌性シート」と言う)を提供するこ
とを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の抗菌性シート
は、接着層を介して塩化ビニル系樹脂層とフッ素系樹脂
層とを積層してなるシートであって、少なくともこの塩
化ビニル系樹脂層が抗菌剤を含有していることを特徴と
する。
【0016】本発明のシートにおける軟質塩化ビニル系
樹脂層としては、ポリ塩化ビニル,塩化ビニルモノマー
と共重合可能な他のモノマーとの共重合体,あるいはこ
れら樹脂のブレンド体など、この種のシートの素材とし
て従来から使用されている軟質の塩化ビニル系樹脂によ
る層が使用できる。
【0017】上記の塩化ビニルモノマーと共重合可能な
他のモノマーとしては、例えば、エチレン,プロピレ
ン,酢酸ビニル,塩化ビニリデン,アクリル酸,アクリ
ル酸エステル,メタクリル酸,メタクリル酸エステル,
マレイン酸,フマル酸アクリロニトリルなどが挙げられ
る。
【0018】このような塩化ビニル系樹脂には、可塑剤
として、ジブチルフタレート,ジイソブチルフタレー
ト,ジオクチルフタレート,ジドデシルフタレート,ブ
チルベンジルフタレート,ジイソデシルフタレート,ジ
ヘキシルフタレート,ジイソノニルフタレート,ジオク
チルアジペート,ジイソデシルアジペート,ジブチルセ
バケート,ジオクチルセバケート,トリブチルフォスフ
ェート,トリクレジルフォスフェート,トリフェニルフ
ォスフェート,トリクロルエチルフォスフェート,トリ
オクチルフォスフェート,ジフェニルクレジルフォスフ
ェートなどの他、トリメリット酸エステル系可塑剤、エ
ポキシ系可塑剤、ポリエステル系可塑剤などが、単独で
または複数混合して配合される。
【0019】これら可塑剤の配合割合は、可塑剤の種類
にもよるが、一般には可塑剤の量が多いほど塩化ビニル
系樹脂は軟質となるため、本発明では、製品シートの用
途などに応じて必要な軟質度となるように、塩化ビニル
系樹脂100重量部に対し、30〜150重量部程度の
範囲内から、適宜最適な割合が選定される。
【0020】これらの可塑剤とともに、本発明における
塩化ビニル系樹脂は、抗菌剤を含有している。この抗菌
剤としては、一般に使用されている銀系、銅系、亜鉛
系、塩素化芳香族系、有機窒素硫黄化合物系、有機窒素
化合物系などの抗菌剤が使用でき、これらは単独で、あ
るいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0021】これら抗菌剤の配合割合は、少なすぎれ
ば、所期の抗菌効果が発現せず、多すぎても、この効果
が飽和して不経済となるのみならず、相対的に他の添加
剤の配合量が少なくなりすぎて、高品質の製品シートを
高歩留りで製造することができなかったり、あるいは種
々の分野において実用的に使用し得る優れた諸特性を有
する製品シートを得ることができなくなる。したがっ
て、本発明では、塩化ビニル系樹脂100重量部に対
し、抗菌剤0.1〜5重量部程度となるようにすること
が好ましい。
【0022】また、本発明における塩化ビニル系樹脂
は、上記の可塑剤や抗菌剤の他に、必要に応じて着色
剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,難燃剤などの添加
剤を適量添加したものであってもよい。
【0023】以上のような塩化ビニル系樹脂からなる層
の厚味は、本発明では、塩化ビニル系樹脂層の全体で、
0.1〜1.5mm程度とすることが好ましい。
【0024】また、本発明のシートにおいて、上記の塩
化ビニル系樹脂層上に、接着層を介して積層させるフッ
素系樹脂層としては、四フッ化エチレン,三フッ化塩化
エチレン,フッ化ビニリデン,フッ化ビニル,六フッ化
プロピレン,パーフルオロビニルエーテル,その他のフ
ッ素含有モノマーの単独重合体または共重合体、あるい
はこれらのフッ素含有モノマーとフッ素を含有しないモ
ノマーとの共重合体、例えばエチレン−四フッ化エチレ
ン共重合体,エチレン−三フッ化塩化エチレン共重合体
などによる層が使用される。
【0025】このようなフッ素系樹脂層は、必要に応じ
て紫外線吸収剤,着色剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑
剤,難燃剤などの添加剤を適量添加したものであっても
よい。
【0026】フッ素系樹脂層の厚味は、厚すぎると本発
明のシートの表面が硬くなりすぎて、柔軟な風合いとな
らないばかりか、該層の表面にエンボス加工や湿熱条件
下での揉み加工(本発明者らによる先願の特開平3−3
5849号公報参照)などにより微細な凹凸紋(以下、
「シボ」と言う)を形成する場合には、シボ形成も不良
となり、加えて材料コストが大幅にアップする。逆に薄
すぎると、耐薬品性が向上しないのみならず、表面強度
が低下して耐摩耗性,耐久性も向上しない。したがっ
て、本発明では、1〜50μm程度、好ましくは5〜2
0μm程度とすることが適している。
【0027】上記のフッ素系樹脂層と塩化ビニル系樹脂
層とは接着性に欠けるため、これら両層の間には接着層
を介在させる。この接着層としては、フッ素系樹脂と塩
化ビニル系樹脂とを強固に接着し得る性質のものであれ
ばどのようなものでも使用でき、例えばアクリル系,ア
クリルエポキシ系,アクリルフェノール変性ビニル系,
塩化ビニリデン系,ポリエステル系などの感温接着剤な
どによる層が使用される。
【0028】フッ素系樹脂層と塩化ビニル系樹脂層との
接着手法は、それぞれの樹脂層を上記のような樹脂系接
着剤で接着させる手法、フッ素系樹脂と上記のような接
着剤用の樹脂との2層押出品(このように、複数種の樹
脂を同時に押出し、複数層を同時に積層成形する方法を
一般に「共押出」と呼ぶ;したがって、本発明において
も、この押出法を以下「共押出」と記す)をつくり、こ
の共押出品と塩化ビニル系樹脂層とを熱ラミネートによ
り接着させる手法、あるいはフッ素系樹脂と該接着剤用
樹脂と塩化ビニル系樹脂との3層を同時に共押出して接
着させる手法など適宜のものが採用できる。
【0029】接着層の厚味は特に限定されず、上記の両
樹脂を強固に接着することのできる厚味があれば充分で
ある。
【0030】本発明のシートは、以上の3つの樹脂から
なる層構造を基本とするが、この基本構造に、次のよう
な変更を加えることもできる。
【0031】その1つは、上記の塩化ビニル系樹脂層を
発泡層とするものである。この場合の発泡倍率は、特に
制限せず、例えば、130〜350%、好ましくは15
0〜200%が適している。
【0032】他の1つは、上記の塩化ビニル系樹脂層を
複数層とするものである。この場合、複数層のうちの1
層が発泡層であってもよい。また、各層を同一の軟質度
のものとしてもよいし、本発明者らが「機能性シート」
として平成5年6月28日付けにて特許出願(以下、こ
れを「別途提案」と言う)したもののように、接着層側
から非接着層側に順次軟質度が高くなる(すなわち、柔
軟になる)ようにしてもよい。
【0033】後者の接着層側から非接着層側に順次軟質
度が高くなるようにする場合は、本発明のシートに優れ
た耐屈曲性および耐揉性を付与することとなり、本発明
のシートを椅子やベッドなどに取付ける際にシートに加
えられる張力によっても、あるいはシートを取付けた後
の使用中にこれらに加えられる頻繁な曲げ力や揉み力に
よっても、シート表面に亀裂が発生することはない。
【0034】このような塩化ビニル系樹脂層の軟質度を
変える手法としては、別途提案のように前述の可塑剤の
配合量を変える手法が挙げられる。すなわち、非接着層
側の比較的軟質度の高い塩化ビニル系樹脂層が、接着層
側の比較的軟質度の低い塩化ビニル系樹脂層よりも、高
い配合割合で可塑剤を含むようにし、この間に塩化ビニ
ル系樹脂層が存在する場合には可塑剤の配合量を順次変
化させるようにすればよい。
【0035】具体的には、非接着層側の塩化ビニル系樹
脂層が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、可塑剤
60〜150重量部程度、接着層に接する側の塩化ビニ
ル系樹脂層が、塩化ビニル系樹脂100重量部に対し、
可塑剤30〜80重量部程度とし、非接着層側から接着
層側に行くにしたがって可塑剤の割合が順次少なくなる
ようにする。
【0036】なお、抗菌剤は、各層に上記の割合で配合
してもよいし、上記の割合であればいずれか1層に配合
するのみでも十分抗菌効果を得ることができる。
【0037】このように塩化ビニル系樹脂層を複数層と
する場合は、各層それぞれの厚味は特に制限しない。
【0038】さらに他の1つは、塩化ビニル系樹脂層の
非接着層側面に、発泡体層と基布とをこの順序で積層す
る(すなわち、レザーの構造とする)ものである。この
基布としては、天然または合成繊維製の織布,不織布,
編布など、通常この種のシートに使用されている基布材
が好ましく使用できる。基布の厚味は、特に限定せず、
本発明のシートの使用目的に応じて、適宜の厚味が選定
される。
【0039】また、発泡体層としては、塩化ビニル樹
脂,酢酸ビニル樹脂,塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹
脂,アクリル系樹脂などのこの種シートに使用されてい
る通常の合成樹脂、発泡剤、および必要に応じて使用さ
れる可塑剤,着色剤,安定剤,防汚剤,防黴剤,滑剤,
難燃剤などの各種添加剤により調製される発泡体層が挙
げられる。この発泡体層の発泡倍率も、特に制限しない
が、低すぎれば良好な風合いにならず、高すぎれば発泡
不良や積層不良あるいは機械的強度を低下させるため、
本発明では、130〜350%、好ましくは150〜2
50%が適している。
【0040】さらに、本発明のシートにおいて、抗菌剤
は塩化ビニル系樹脂層に限らず、接着層やフッ素系樹脂
層に配合してもよいし、あるいは抗菌剤入りの基布を使
用したり、発泡体層にも抗菌剤を含有させてよいことは
言うまでもない。
【0041】以上のような構成を有する本発明のシート
は、抗菌剤を配合させた塩化ビニル系樹脂組成物を使用
して通常の積層技術により容易に製造することができ
る。また、前述したように、エンボス加工や湿熱条件下
での揉み加工などにより本発明のシート表面にシボを形
成してもよいし、あるいは接着層を介してフッ素系樹脂
層を設けるのに先立って、塩化ビニル系樹脂層上に、通
常の塩ビシートや塩ビレザーの場合と同様に、天然レザ
ーの表面模様に近似させた言わゆる雲柄などの模様、そ
の他適宜の模様をプリントすることもできる。
【0042】
【作用】本発明のシートでは、塩化ビニル系樹脂層に配
合された抗菌剤の作用により、シート内部における抗菌
作用が発現する。したがって、本発明のシートの裁断面
に露出する塩化ビニル系樹脂層に細菌が入り込んでも、
また縫製に使用されている糸を伝わって、あるいは表面
に発生した微細な亀裂から、細菌が内部に進入しても、
繁殖することはない。
【0043】しかも、本発明のシートの表面には、フッ
素系樹脂層が存在しており、該樹脂に由来する優れた耐
薬品性,耐汚染性,耐摩耗性を有しており、頻繁な消毒
に充分に耐えるのみならず、細菌の栄養源となる可塑剤
や安定剤などのブリードもないため、細菌の繁殖を極力
抑えることができる。
【0044】
【実施例】
〔本発明のシートの調製例〕 実施例1 フッ化ビニリデン樹脂(厚さ10μm)とポリメチルメ
タクリレート(厚さ10μm)とを共押出して、総厚2
0μmの2層構造のフィルムIを作製した。次に、表1
の配合の塩化ビニル系樹脂組成物を用い、カレンダー法
により、厚さ0.2mmのフィルムIIを作製した。こ
のフィルムIIの表面を150℃に加熱し、フィルムI
のポリメチルメタクリレート面と貼り合わせて本発明の
シートを得た。このシートの断面の模式図を図1に示
す。図1中、1はフィルムIIの抗菌剤を含有する塩化
ビニル系樹脂層を示しており、2はフィルムIのポリメ
チルメタクリレートからなる接着層、3はフィルムIの
フッ化ビニリデン樹脂層を示している。
【0045】
【表1】
【0046】実施例2 基布(厚さ0.35mmのメリヤス)上に表2の組成か
らなる発泡体層(厚さ0.3mm,発泡倍率200%)
をカレンダー法により積層し、この上に実施例1で使用
した表1の組性物からなる抗菌剤入り塩化ビニル系樹脂
層(厚さ0.2mm)をカレンダー法により積層した
後、200℃で1分間加熱し、発泡させて積層体III
を調製した。次いで、150℃に加熱した上記積層体I
IIの塩化ビニル系樹脂層上に、実施例1で作製したポ
リメチルメタクリレート(厚さ10μm)とフッ化ビニ
リデン樹脂(厚さ10μm)とからなる2層構造のフィ
ルムIのポリメチルメタクリレート面が接するように載
置し、ロール間で加圧し、積層体IIIとフィルムIと
を強固に接着させて、本発明のシートを得た。
【0047】
【表2】
【0048】〔本発明のシートの抗菌性の評価例〕以上
のようにして得た2種類の本発明のシートから3×3c
mの試料をサンプリングして、抗菌試験を行った。評価
方法は、阻止円法により試給菌(黄色ブドウ状球菌、大
腸菌)を加えたブイヨン寒天培地上に試料を貼付し、3
3℃、18時間培養後に形成された阻止帯を測定するこ
とにより行った。結果を、表3に示す。
【0049】また、比較のために、従来市販されていた
通常の塩ビシート(椅子の表面材などに使用されるも
の)を同様の大きさに裁断した試料についても、同様の
抗菌試験を行った。この結果も、表3に合わせて示す。
【0050】
【表3】
【0051】表3より、本発明のシートにおいては、明
らかに抗菌性が確認されるが、従来の塩ビシートにおい
ては、抗菌性は確認されないことが判る。
【0052】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のシートに
よれば、塩化ビニル系樹脂層が優れた抗菌効果を奏する
とともに、フッ素系樹脂層が優れた耐薬品効果,耐汚染
効果,耐移行(可塑剤や安定剤の耐ブリード)効果,耐
摩耗効果,耐久効果などを奏する。したがって、本発明
のシートは、椅子や、病院の診察台などのように、抗菌
性が要求されるとともに、頻繁な消毒によっても材料変
化のない耐薬品性あるいは耐久性が要求される表面材と
して極めて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートの一実施例を示す説明図であ
る。
【符号の説明】
1 抗菌剤を含有する塩化ビニル系樹脂層 2 接着層 3 フッ素系樹脂層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 接着層を介して塩化ビニル系樹脂層とフ
    ッ素系樹脂層とを積層してなるシートであって、 少なくとも前記塩化ビニル系樹脂層が抗菌剤を含有して
    いることを特徴とする抗菌性シート。
  2. 【請求項2】 塩化ビニル系樹脂層が複数層で、かつ少
    なくともいずれか1層が抗菌剤を含有していることを特
    徴とする請求項1記載の抗菌性シート。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル系樹脂層が複数層で、かつ接
    着層側から非接着層側に行くにしたがって、軟質度が順
    次高くなることを特徴とする請求項2記載の抗菌性シー
    ト。
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