JP2004360115A - 炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法 - Google Patents

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朝男 大谷
Michie Kawai
理江 川井
Patel Nirav
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Abstract

【課題】ナノスケールに細径化された炭化ケイ素繊維を製造する。
【解決手段】炭化ケイ素前駆体としてのポリカルボシランの粒子を熱分解消失性樹脂に分散混合し、次いで溶融紡糸した後に熱処理する炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法であって、熱分解消失性樹脂はその軟化点(T)がポリカルボシランの軟化点(Tに対し、T −15<T<T+20の範囲にあるものとする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明は、炭化ケイ素(SiC)系ナノ繊維の製造方法に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、ナノスケールに細径化された炭化ケイ素系繊維の選択的な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
無機繊維の主な使用目的は複合材料の補強用である。その中でもっとも多量に使用されているのはガラス繊維と炭素繊維である。炭素繊維はその優れた力学特性により先端複合材料用として使用されているが、大気中では400℃付近より酸化反応が始まること、また金属との複合材料においては反応により炭化物が生じて強度が大幅に低下するといった問題点もある。これに対して炭化ケイ素系繊維は、1300℃の高温まで引張強さや弾性率に変化がなく、耐酸化性も炭素繊維よりも格段に優れ、金属との反応性も極めて低いために、金属系複合材料の強化材料として注目されている。
【0003】
炭化ケイ素系繊維は、化学気相析出法(Chemical Vapor Deposition, CVD)、ケイ素系ポリマーの熱分解による方法(前駆体(プレカーサー)法)などにより、調製されている。CVD法は、原料ガスを高温で反応させ、炭素やタングステンの芯線にSiCを蒸着する方法である。CVD法で得られる炭化ケイ素系繊維については、力学特性は優れているが、繊維径が100μm程度と太く、複合材料強化用に用いるには、加工が非常に困難である。一方、プレカーサー法により得られる繊維は、長繊維であり、かつ10〜14μm程度と細く、強化用繊維として期待されている。
【0004】
プレカーサー法は、1975年、矢島らによって開発された方法であって、ケイ素系ポリマーのポリカルボシラン(Polycarbosilane,PCS)を出発物質として、溶融紡糸、不融化、熱処理(焼成)という3つの工程を経て工業的に製造されている。この中で、不融化処理は溶融紡糸したポリマー繊維中の分子同士を架橋し、その後の熱処理工程において、繊維が溶融せずに形状を保持するための重要な処理である。現在工業的には、空気または酸素雰囲気下で熱酸化することによって行われている。この熱酸化法によりPCSを前駆体とする炭化ケイ素系繊維(Si−C−O系繊維)がすでに上市されている)。
【0005】
しかしながら、これまでに開発されている炭化ケイ素系繊維は、引張強度が2.8GPaと高強度であるが、弾性率が270GPaと高く硬直であり、また平均直径が約14μmと太いために、取り扱いが難しく、加工性の面で若干問題が残されている。加工性を改善するためには、より細い炭化ケイ素系繊維を調製する必要がある。弾性率が同じであっても、繊維直径が小さくなると繊維の可とう性が向上するからである)。さらに複合材料の特性は、強化繊維の性質に強く依存するので、高強度で極細の炭化ケイ素系繊維を調製することは、高性能な複合材料を合成する上で極めて重要である。
【0006】
一方、近年、ポリマーブレンドを紡糸し、極細の炭素繊維(カーボンナノファイバー)を調製する新規な調製方法がこの出願の発明者らによって開発されている(文献1)。この方法では炭素繊維となる炭素前駆体樹脂とマトリックスとなる熱分解消失性樹脂の2種類の樹脂を原料として使用する。具体的な調製方法は、熱分解消失性樹脂中に炭素前駆体樹脂が微分散するように混合しポリマーブレンドを調製した後、紡糸、不融化、炭素化(熱処理)をして、カーボンナノファイバーを得るというものである。
【0007】
発明者らは、炭素前駆体樹脂としてノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂、熱分解消失性樹脂として高密度ポリエチレンをこの方法に適用して繊維径数100nm(平均200nm)という通常の炭素繊維の1/10〜1/100という繊維径をもつカーボンナノファイバーの調製に成功している。この調製方法の利点としては、特殊な装置を必要とせず、汎用の紡糸装置を用いて製造できる点、また金属粒子などの触媒を用いないために、触媒除去も不要であり、非常に生産性が高いという点がある。このため新たな極細の繊維の量産法として期待されている。
【0008】
このような背景を踏まえて、この出願の発明者らは、炭化ケイ素系繊維が、高温まで引張強さや弾性率に変化がなく、耐酸化性も炭素繊維よりも格段に優れており、また金属との反応性も極めて低いこと、また現在開発されている炭化ケイ素系繊維は、最も細いもので5μm程度で、ナノスケールのものが開発されていないことに注目し、炭化ケイ素系ナノ繊維の新しい製造法についての検討を進めてきた。
【0009】
そして、その際のナノ繊維の細径化の方法として、図1にその工程概要を示したポリマーブレンド法を用いることにした。
【0010】
しかしながら、検討を進めるに従って、従来のプレカーサー法で原料として用いられているポリカルボシラン(PCS)を使用してのポリマーブレンド法では、これまでの技術的知見によっては充分に不溶化できない等の問題があることが明らかになってきた。
【0011】
【文献1】
Asao Oya and Naoto Kasahara, Carbon, 38, 2000, 1411
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、この出願の発明は、前記のとおりのポリマーブレンド法の適用についての問題点を解消し、ナノスケールに細径化された炭化ケイ素系繊維の選択的な製造を可能とする新しい方法を提供することを課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には炭化ケイ素前駆体としてのポリカルボシランを熱分解消失性樹脂に分散混合し、次いで溶融紡糸した後に熱処理する炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法であって、熱分解消失性樹脂はその軟化点(T)がポリカルボシランの軟化点(T)に対し、T−15<T<T+20の範囲にあるものとすることを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を提供する。
【0014】
また、第2には、ポリカルボシランは中実体粒子であって、ナノファイバーを製造することを特徴とする前記の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を、第3には、ポリカルボシランは、コア/シェル構造体粒子であって、熱分解消失性樹脂のコアとポリカルボシランのシェルとを有し、ナノチューブを製造することを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を、第4には、ポリカルボシランは、次式:
【0015】
【化2】
Figure 2004360115
【0016】
(RおよびRは、各々、水素原子または炭化水素基を示し、このうちの一方は少くとも水素原子であることを示し、mは重合単位数を示している)
で表わされる1種以上であることを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を提供する。
【0017】
そしてまた、この出願の発明は、第5には、熱分解消失性樹脂は、鎖状ホモ重合体もしくはその共重合体によって構成されたものであることを特徴とする前記の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を提供し、第6には、熱分解消失性樹脂の軟化点(T)とポリカルボシランの軟化点(T)は、次の関係:
−5<T<T+15
にあることを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を提供する。
【0018】
さらにこの出願の発明は、第7には、前記いずれかの製造方法において、溶融紡糸後のポリマーブレンド繊維に対し不溶化処理を行い、次いで熱処理により熱分解消失性樹脂を分解除去することを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を提供し、第8には、大気中での加熱による不溶化処理を行うことを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を、第9には、ヨウ素による不溶化処理を行うことを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を、第10には、ホルマリンと塩酸を主成分とする硬化溶液による不溶化処理を行うことを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を、第11には、放射線照射により不溶化処理を行うことを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法を提供する。
【0019】
【発明の実施の形態】
この出願の発明は前記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
【0020】
この出願の発明においては、発明者らがすでにカーボンナノファイバーの製造においてその可能性を確認しているポリマーブレンド法の適用によって炭化ケイ素(SiC)系ナノ繊維の製造を実現している。ここで製造される炭化ケイ素系ナノ繊維の「系」であることの意味は、炭化ケイ素(SiC)や、炭素成分を伴う炭化ケイ素(SiC)もしくは非晶質体として炭化ケイ素(SiC)の前駆体としての性格をもつナノスケールの直径の繊維であるものを包含している。
【0021】
そしてこの出願の発明のポリマーブレンド法は、たとえば図1にその概要を示したように、
<1>炭化ケイ素前駆体樹脂としてのポリカルボシラン(PCS)と熱分解消失性樹脂との混合によるポリマーブレンドの調製(ポリカルボシラン(PCS)の分散)
<2>ポリマーブレンドの溶融紡糸によるポリマーブレンド繊維の生成
<3>不溶化と熱処理による炭化ケイ素系ナノ繊維の生成
の工程によって基本的に構成されている。
【0022】
このような工程によって炭化ケイ素系ナノ繊維を製造するこの出願の発明では、ポリカルボシラン(PCS)は粒状のものとして中実体、あるいは中空体、もしくはコア/シェル型の構造をもつものであってよい。たとえばポリカルボシラン(PCS)が中実体のものを用いることによって炭化ケイ素系ナノファイバーの製造が可能とされ、また、たとえばコア/シェル型の構造体として熱分解消失性樹脂のコアとポリカルボシラン(PCS)のシェルの構造の粒子を用いることにより、炭化ケイ素系ナノチューブの製造も可能とされる。粒子径については、一般的には、50nm〜5μmの範囲であることが考慮される。
【0023】
いずれの場合であっても、ポリカルボシラン(PCS)については、各種の分子構造と重合度のものから選択することができ、市販品として、あるいは合成により入手することができる。より好適なものとしては、前記の式で表わされるポリカルボシラン(PCS)が例示され、たとえば、
Figure 2004360115
のメチル基を有するもの等がより好適なものとして示される。
【0024】
また、この出願の発明においては、工程<1>でポリカルボシラン(PCS)と混合する熱分解消失性樹脂の選択が大変に重要であって、その軟化点の温度(T)が、ポリカルボシラン(PCS)の軟化点温度(T)に可及的に近いことが望ましい。
【0025】
また、紡糸時の溶融粘度も可及的に近いことが望ましい。
【0026】
この出願の発明では、このような観点から、
−15<T<T+20
の範囲となるようにしている。
【0027】
このような熱分解消失性樹脂としては、炭化水素系の鎖状ホモ重合体もしくはその共重合体が好適なものとして例示される。たとえば不飽和炭化水素の重合体であって、高分子構造として不飽和な炭素結合を持たないものが望ましい。また、側鎖に芳香族基、たとえばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等を有する鎖状ホモ重合体もしくはその共重合体によって構成されたもの等も例示示される。なかでも、ポリスチレン(PS)やポリプロピレン(PP)等が代表例として示される。
【0028】
これらの樹脂はポリマー鎖に官能基を有していてもよいが、カルボキシル基、エステル基等の含酸素基は酸化反応を誘導するものとして好ましくない。
【0029】
そして、前記のとおり、軟化点については、T−15<T<T+20の範囲であるが、より実際操作上は、Tは、T−5とT+15の範囲にある熱分解消失性樹脂が望ましい。熱分解消失性樹脂の軟化点(T)がポリカルボシラン(PCS)の軟化点(T)よりも15度を超えて低い場合には炭化ケイ素系ナノ繊維の製造は困難になる。一方、TよりもTが20度以上高い場合には、ポリカルボシランの溶融粘度が低下して粒子が合体しやすくなり、相分離が進行して選択的な炭化ケイ素ナノ繊維の効率的な製造が難しくなる。
【0030】
このような軟化点の調整については、熱分解消失性樹脂や、あるいはポリカルボシラン(PCS)について複数種のものを混合することで、軟化点:T、Tを前記の範囲のものに調整してもよい。
【0031】
前記の工程<1>の混合、そして<2>の溶融紡糸に際しての温度や雰囲気等の条件は、具体的なポリカルボシラン(PCS)や熱分解消失性樹脂の種類、物性等に応じて選択することができ、後述の実施例を参照することもできる。
【0032】
そして、この出願の発明の工程<3>については、溶融紡糸後のポリマーブレンド繊維に対し不溶化処理を行い、次いで熱処理により熱分解消失性樹脂を分解除去することを望ましい形態としている。
【0033】
この不溶化処理は、その後の熱処理における融着を抑えて、細径化されたナノ繊維を形成することを目的としている。各種の方法が考慮されてよいが、たとえばこの不溶化処理については、乾燥大気中での150〜250℃の範囲での加熱や、ヨウ素との接触処理、あるいはホルマリンと塩酸を主成分とするノボラック樹脂の硬化溶液による処理等が好適なものとして例示される。さらには放射線等のエネルギー線の放射等も考慮される。
【0034】
これらの不溶化後の熱処理は、熱分解消失性樹脂を分解除去するものであって、たとえば800℃〜1200℃、より好ましくは900〜1100℃の温度範囲で、不活性な雰囲気(N、アルゴン等)中で行うことが考慮される。
【0035】
この出願の発明においては、1μm以下のナノスケールの径をもつ炭化ケイ素(SiC)系ナノ繊維を得ることができ、この繊維を用いてのナノ複合材の展開や、センサー、電子デバイス等への応用も期待されることになる。
【0036】
そこで以下に実施例を示し、さらに詳しくこの出願の発明について説明する。もちろん以下の例によって発明が限定されることはない。
【0037】
【実施例】
<実施例1>
図2に示した工程に従って、次に示される
【0038】
【化3】
Figure 2004360115
【0039】
軟化点240℃と80℃の2種のポリカルボシランを4:6に混合した。この混合ポリカルボシランの軟化点は180℃であった。一方、前記のポリスチレン(軟化点190℃)のトルエン溶液のスプレードライにより、1〜5ミクロン程度のポリスチレン粒子を調製した。混合ポリカルボシラン3に対して、重量比で7のポリスチレンを加え、ミニエクストルーダーを用いて機械的に混練してポリマーブレンドを得た。このポリマーブレンドを180〜190℃で連続溶融紡糸した。ポリマーブレンド繊維とヨウ素をガラス容器に入れ、100℃で12時間保持した。この操作でヨウ素はポリマーブレンド中の水素を引き抜いてヨウ化水素となり、不融化が進行する。最後に窒素気流中で1000℃で1時間熱処理した。得られた繊維のTEM写真を図3に示した。直径が50nm程度の繊維が得られた。X線回析によれば、繊維は非晶質である。
【0040】
1500℃で熱処理したところβ型炭化ケイ素の生成がみられた。このことから、炭化ケイ素系ナノファイバーであることが確認された。
<実施例2>
図4の工程に従って、前記と同様の軟化点240℃と80℃の2種のポリカルボシランを4:6に混合した。一方、ポリスチレンのトルエン溶液のスプレードライにより、1〜5ミクロン程度のポリスチレン粒子を調製した。混合ポリカルボシラン3に対して、重量比で7のポリスチレンを加え、ミニエクストルーダーを用いて機械的に混練してポリマーブレンドを得た。このポリマーブレンドを180〜190℃で連続溶融紡糸に供した。図5は紡糸後の繊維についてのSEM写真である。次いで、この得られたポリマーブレンド紡糸繊維をホルマリンと塩酸の混合溶液中に80℃で40時間浸漬した。取り出して乾燥した後、2.5℃/分の昇温速度で150℃まで昇温、その後5℃/時の昇温速度でさらに200℃まで昇温、この温度で1時間保持した。最後に、窒素気流中で100℃/時の昇温速度で1000℃まで昇温し、そのまま1時間保持して熱処理した。図6は、試料の一部のSEM写真である。ナノスケールの繊維の生成が観察される。
【0041】
繊維は非晶質であるが1500℃で熱処理するとβ型炭化ケイ素へと変化した。得られた繊維は炭化ケイ素前駆体(炭化ケイ素系)ナノファイバである。
<実施例3>
図7の工程に従って、ポリカルボシラン(PCS)とポリスチレンとのコア/シェル型粒子を用いてSiC系ナノチューブを製造した。
【0042】
ポリカルボシラン(PCS)とポリスチレンは実施例1と同様のものを用いた。なお、コア/シェル型粒子については、図8に示したスプレードライヤーを用いる方法によって調製した。
【0043】
1000℃の熱処理後に、図9に示したSEM写真のように長細い柱状生成物の存在が確認された。この生成物は、図10に示したTEM写真に見られるように、ナノチューブ(A)とナノファイバー(B)であって、ナノチューブ(A)の拡大写真が図11に示されるものであった。
【0044】
【発明の効果】
この出願の発明によって、以上詳しく説明したとおり、ポリマーブレンド法の適用についての問題点を解消し、ナノスケールに細径化された炭化ケイ素繊維の選択的な製造を可能とする新しい方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】ポリマーブレンド法について説明した概要図である。
【図2】実施例1についての工程を示した図である。
【図3】実施例1における炭化ケイ素系ナノファイバーのTEM写真図である。
【図4】実施例2についての工程を示した図である。
【図5】実施例2における溶融紡糸後のポリマー繊維のSEM写真図である。
【図6】実施例2における熱処理後の炭化ケイ素系ナノファイバーのSEM写真図である。
【図7】実施例3についての工程を示した図である。
【図8】コア/シェル粒子の調製法を示した図である。
【図9】実施例3におけるナノ繊維のSEM写真図である。
【図10】炭化ケイ素系ナノチューブ(A)とナノファイバー(B)とを示したTEM写真図である。
【図11】図10に示されたナノチューブについて拡大して示したTEM写真図である。

Claims (11)

  1. 炭化ケイ素前駆体としてのポリカルボシランを熱分解消失性樹脂に分散混合し、次いで溶融紡糸した後に熱処理する炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法であって、熱分解消失性樹脂はその軟化点(T)がポリカルボシランの軟化点(T)に対し、T−15<T<T+20の範囲のものとすることを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  2. ポリカルボシランは中実体粒子であって、ナノファイバーを製造することを特徴とする請求項1の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  3. ポリカルボシランは、コア/シェル構造体粒子であって、熱分解消失性樹脂のコアとポリカルボシランのシェルとを有し、ナノチューブを製造することを特徴とする請求項1の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  4. ポリカルボシランは、次式:
    Figure 2004360115
    (RおよびRは、各々、水素原子または炭化水素基を示し、このうちの一方は少くとも水素原子であることを示し、mは重合単位数を示している)
    で表わされる1種以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかの炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  5. 熱分解消失性樹脂は、鎖状ホモ重合体もしくはその共重合体によって構成されたものであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかの炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  6. 熱分解消失性樹脂の軟化点(T)とポリカルボシランの軟化点(T)は、次の関係:
    −5<T<T+15
    にあることを特徴とする請求項5の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかの製造方法において、溶融紡糸後のポリマーブレンド繊維に対し不溶化処理を行い、次いで熱処理により熱分解消失性樹脂を分解除去することを特徴とする炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  8. 大気中での加熱による不溶化処理を行うことを特徴とする請求項7の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  9. ヨウ素による不溶化処理を行うことを特徴とする請求項7の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  10. ホルマリンと塩酸を主成分とする硬化溶液による不溶化処理を行うことを特徴とする請求項7の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
  11. 放射線の照射により不溶化処理を行うことを特徴とする請求項7の炭化ケイ素系ナノ繊維の製造方法。
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