JP2004359799A - インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、並びに、インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、並びに、インクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光学濃度が充分で、滲みや色間滲みのない画像を、短い乾燥時間で形成でき、且つ、記録装置内における長期噴射性を満足しうるインクジェット用インクセット、それを用いたインクジェット記録方法、及び、インクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】少なくとも2種類以上の液体を用いたインクジェット記録液であって、第1の液体は色材、水溶性溶媒及び水を含み、第2の液体は多価金属塩、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤、水溶性溶媒、及び、水を含むことを特徴とするインクジェット用インクセット。前記第1の液体中に、前記第2の液体中に含まれる多価金属塩と水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤を含有することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット用インクセット、インクジェット記録方法、並びに、インクジェット記録装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ノズル、スリットあるいは多孔質フィルム等のインク吐出口から液体あるいは溶融固体等のインクを吐出する、いわゆるインクジェット方式は、用いる装置が小型で、安価である等の特徴から、多くのプリンターに用いられている。これらインクジェット方式の中でも、圧電素子の変形を利用しインクを吐出させるピエゾインクジェット方式、あるいは、熱エネルギーによるインクの沸騰現象を利用した熱インクジェット方式等が高解像度、高速印字性などの観点から多く利用されている。また、インクジェットプリンターは、普通紙、インクジェット専用紙等のいわゆる紙に印字されるだけでなく、OHPシート等のフィルムあるいは布等に対しても印字することができるという利点も有し、応用範囲がひろい。
【0003】
インクジェットプリンターにおいては、現在、高速化及び高画質化が重要な課題の一つとして挙げられている。高速化、高画質化の両立を目的として、カチオン性基を有する化合物を含む液体を記録媒体上に付着させた後、その液体が記録媒体に浸透し、媒体中に存在し、かつ、媒体表面から無くなった直後に、アニオン染料を含むインクを付着させて画像を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法では、インクの乾燥時間を短くした場合に、画像濃度が不十分となる場合があり、また、少ないドロップ量で印字した場合には、長期噴射性が不十分となる場合があり、これらの条件での安定な印字特性の向上にはなお改良の余地があった。
【0004】
また、高画質化を目的として、記録媒体に、多価金属塩を含む反応液及び顔料と樹脂エマルジョンを含有するインク組成物とを付着させて、印字を行うインクジェット記録方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。この方法では、記録媒体上で両者が反応して凝集するためにじみの少ない印字が可能であるが、例えば、サーマルインクジェット方式のヒータなど金属部材を有するプリントヘッドを用いて多価金属塩を含む反応液を印字させた場合、含有する多価金属塩に起因する金属部材の故障が短時間で発生し、長期噴射性を確保することが困難であるという傾向があった。
【0005】
インクの焦げ付き防止、及び、インク吐出安定性を目的として、アニオン染料、水、及び、多価金属と難溶性の錯体を形成する化合物、及び、上記多価金属を水溶性化する無機硫酸塩を含むインクが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。このインクは、インク流路などの金属部材から溶出する多価金属イオンなどにより染料などが不溶化することを防止する目的で無機硫酸塩を含有し、この無機硫酸塩の機能により併存する多価金属イオンを安定化している。しかしながら、多価金属を含む液体と混合させた場合には凝集が生じやすくなるため、メンテナンスユニットの寿命が不十分となる場合があった。
上記のように、従来の方法では、光学濃度が充分で、滲みや色間滲みのない画像を、短い乾燥時間で形成でき、且つ、記録装置内における長期噴射性を満足しうるインクセットは得られていないのが実情であった。
【0006】
【特許文献1】
特許登録第2667401号公報
【特許文献2】
特許登録第3206797号公報
【特許文献3】
特開平8−337747号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記課題を考慮した本発明の目的は、光学濃度が充分で、滲みや色間滲みのない画像を、短い乾燥時間で形成でき、且つ、記録装置内における長期噴射性を満足しうるインクジェット用インクセットを提供することにある。また、本発明の他の目的は、前記光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間及び長期噴射性を満足しうるインクジェット用インクセットを用いたインクジェット記録方法、及び、その方法に好適に使用しうるインクジェット記録装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る課題を解決するため鋭意検討を行った結果、少なくとも2種類以上の液体を用いたインクジェット用インクセットにおいて、少なくとも1つの液体中に、多価金属塩、及び、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤とを含有させることにより、前記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のインクジェット用インクセットは、少なくとも2種類以上の液体を用いたインクジェット記録液であって、第1の液体は色材、水溶性溶媒及び水を含み、第2の液体は多価金属塩、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤、水溶性溶媒、及び、水を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項13に係るインクジェット記録方法は、色材と、水溶性溶媒と、水と、を含む第1の液体、及び、多価金属塩と、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、水溶性溶媒と、水と、を含む第2の液体を含むインクセットを用いたインクジェット記録方法であって、第1の液体及び第2の液体が互いに接するように記録媒体上に付与され、画像が形成されることを特徴とする。
このインクジェット記録方式においては、前記第1の液体と第2の液体とを、互いに接するように記録媒体上に付与するに際して、その付与する順には特に制限はなく、第1の液体の付与後に第2の液体を付与してもよく、第2の液体の付与後に第1の液体を付与してもよく、同時に付与してもよい。
【0010】
更に、本発明の請求項17に係るインクジェット記録装置は、色材と、水溶性溶媒と、水と、を含む第1の液体、及び、多価金属塩と、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、水溶性溶媒と、水と、を含む第2の液体を含むインクセットを用いたインクジェット記録装置であって、第1の液体及び第2の液体を互いに接するように記録媒体上に付与しうる液体吐出部材を備えることを特徴とする。
一般に、多価金属塩を含有する液体をサーマル方式のインクジェットプリントヘッドで印字する場合、印字パルス数が増加するにつれて、不吐出が発生する場合がある。この原因は、多価金属塩がヒーター上の保護膜を破壊し、ヒーター電極部にまで液体が浸入することで、ヒーターが断線することが原因であると推測している。
【0011】
本発明のインクセットにおいては、第2の液体中に多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤を添加することで、多価金属塩添加時の長期噴射性を改善することが可能となった。この作用機構は明確ではないが、この特定のキレート化剤は、ヒーター保護膜表面を覆う構造をとっており、多価金属塩によるヒーター保護膜の破壊を抑制するとともに、該特定キレート化剤と多価金属塩により形成されるキレート化合物が水易溶性であるため、ヒーター上に水難溶性キレート化合物が堆積することに起因する噴射性低下を抑制することができ、金属製のヒーターの劣化の抑制と長期間にわたる良好な噴射性の維持とが可能となったものと推定される。
【0012】
更に、本発明の好ましい態様において、第1の液体に、多価金属塩共存下で凝集する色材、或いは、多価金属塩と水難溶性のキレート化合物を形成するキレート化剤を添加することで、光学濃度、滲み、色間滲みが向上する傾向が認められた。これは、第1の液体と第2の液体とを記録媒体上で混合させることで、混合時に迅速に色材が凝集し、紙表面近傍において色材を高密度に存在させることができるためであると考えている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明のインクジェット用インクセットにおいては、色材、水溶性溶媒及び水を含む第1の液体と、多価金属塩、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤、水溶性溶媒、及び、水を含む第2の液体を含むことを特徴とするが、所望により他の液体を含むものであってもよい。
以下、本発明の要件である第1の液体及び第2の液体に含まれる各成分について順次説明する。
【0014】
まず、第1の液体について述べる。
本発明において、第1の液体に含まれる色材としては、顔料、染料のいずれも使用できる。また、色材は後述するように第2の液体中に含まれてもよい。
本発明に使用しうる顔料としては、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。黒色顔料としては、具体的には、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック顔料等が好ましく挙げられる。色材としては、黒色、及び、シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料のほか、赤、緑、青、茶、白等の特定色顔料や、金、銀等の金属光沢顔料、無色または淡色の体質顔料、プラスチックピグメント等を使用しても良い。また、本発明のために、新規に合成した顔料でも構わない。
【0015】
更に、本発明における色材として、シリカ、アルミナ、又は、ポリマービード等をコアとして、その表面に染料又は顔料を固着させた粒子、染料の不溶レーキ化物、着色エマルション、着色ラテックス等も顔料として使用することも可能である。
本発明に色材として用いうる市販色材の具体例としては、Raven7000, Raven5750, Raven5250, Raven5000 ULTRA II, Raven 3500, Raven2000, Raven1500, Raven1250, Raven1200, Raven1190 ULTRA II, Raven1170, Raven1255, Raven1080, Raven1060(以上、コロンビアン・カーボン社製)、Regal400R, Regal330R, Regal660R, Mogul L, Black Pearls L, Monarch 700, Monarch 800, Monarch 880, Monarch 900, Monarch 1000, Monarch 1100, Monarch 1300, Monarch 1400(以上、キャボット社製)、Color Black FW1, Color Black FW2, Color Black FW2V, Color Black 18, Color Black FW200, Color Black S150, Color Black S160, Color Black S170, Printex35, Printex U, Printex V, Printex140U, Printex140V, Special Black 6,Special Black 5 ,Special Black 4A ,Special Black4(以上、デグッサ社製)、No.25, No.33, No.40, No.47, No.52, No.900, No.2300, MCF−88, MA600, MA7, MA8, MA100(以上、三菱化学社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0016】
シアン色の顔料としては、C.I.Pigment Blue−1, −2, −3, −15, −15:1, −15:2, −15:3, −15:4, −16, −22, −60等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
マゼンタ色の顔料としては、C.I.Pigment Red −5, −7, −12, −48, −48:1, −57, −112, −122, −123, −146 , −168, −184, −202等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow −1, −2, −3, −12, −13, −14, −16, −17, −73, −74, −75, −83, −93, −95, −97, −98, −114, −128, −129, −138, −151, −154,−180等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0017】
また、本発明においては、顔料として水に自己分散可能な顔料を用いることもできる。水に自己分散可能な顔料とは、顔料表面に水に対する可溶化基を数多く有し、高分子分散剤が存在しなくとも水中で安定に分散する顔料のことを指す。具体的には、通常のいわゆる顔料に対して酸・塩基処理、カップリング剤処理、ポリマーグラフト処理、プラズマ処理、酸化/還元処理等の表面改質処理等を施すことにより、水に自己分散可能な顔料が得られる。
水に自己分散可能な顔料としては、上記顔料に対して表面改質処理を施した顔料の他、キャボット社製のCab−o−jet−200、Cab−o−jet−300、IJX−253、IJX−266、IJX−273、IJX−444、IJX−55、オリエント化学社製のMicrojet Black CW−1、CW−2等の市販の自己分散顔料等も使用できる。
顔料として水に自己分散可能な顔料を使用する場合には、液体中に高分子物質を含有することもできる。
【0018】
更に、色材として樹脂により被覆された顔料等を使用することも出来る。これは、マイクロカプセル顔料と呼ばれ、大日本インキ化学工業社製、東洋インキ社製などの市販のイクロカプセル顔料だけでなく、本発明のために試作されたマイクロカプセル顔料等を使用することも出来る。
【0019】
本発明に用いうる色材は染料であってもよい。
水溶性染料、分散染料のいずれも本発明において使用することができる。
水溶性染料の具体例としては、C. I. Direct Black −2, −4, −9, −11, −17,−19, −22, −32, −80, −151, −154, −168, −171, −194, −195、 C. I. Direct Blue −1, −2, −6, −8, −22, −34, −70, −71, −76, −78, −86, −112, −142, −165, −199, −200, −201, −202, −203, −207, −218, −236, −287, −307, C. I. Direct Red 1, −2, −4, −8, −9, −11, −13, −15, −20, −28, −31, −33, −37, −39, −51, −59, −62, −63, −73, −75, −80, −81, −83, −87, −90, −94, −95, −99, −101, −110, −189, −227、 C. I. Direct Yellow −1, −2, −4, −8, −11, −12, −26, −27, −28, −33, −34, −41, −44, −48, −58, −86, −87, −88, −132, −135, −142, −144, −173、 C. I. Food Black −1, −2、 C. I. Acid Black −1, −2, −7, −16, −24, −26, −28, −31, −48, −52, −63, −107, −112, −118, −119, −121, −156, −172, −194, −208、 C. I. Acid Blue −1, −7, −9, −15, −22, −23, −27, −29, −40, −43, −55, −59, −62, −78, −80, −81, −83, −90, −102, −104, −111, −185, −249, −254、 C. I. Acid Red −1, −4, −8, −13, −14, −15, −18, −21, −26, −35, −37, −52, −110, −144, −180, −249, −257,−289、 C.I.Acid Yellow −1, −3, −4, −7, −11, −12, −13, −14, −18, −19, −23, −25, −34, −38, −41, −42, −44, −53, −55, −61, −71, −76, −78, −79, −122などが挙げられる。
【0020】
分散染料の具体例としては、C.I.Disperse Yellow ‐3、‐5、‐7、‐8、‐42、‐54、‐64、‐79、‐82、‐83、‐93、‐100、‐119、‐122、‐126、‐160、‐184:1、 ‐186、‐198、‐204、‐224、C.I.Disperse Orange ‐13、‐29、‐31:1、‐33、‐49、‐54、‐66、‐73、‐119、‐163、C.I.Disperse Red ‐1、‐4、‐11、‐17、‐19、‐54、‐60、‐72、‐73、‐86、‐92、‐93、‐126、‐127、‐135、‐145、‐154、‐164、‐167:1、‐177、‐181、‐207、‐239、‐240、‐258、‐278、‐283、‐311、‐343、‐348、‐356、‐362、C.I.Disperse Violet ‐33、C.I.Disperse Blue ‐14、‐26、‐56、‐60、‐73、‐87、‐128、‐143、‐154、‐165、‐165:1、‐176、‐183、‐185、‐201、‐214、‐224、‐257、‐287、‐354、‐365、‐368、C.I.Disperse Green ‐6:1、‐9などが挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる色材は、十分な光学濃度が得られ、且つ、長期間にわたる液体の噴射特性の不安定性を維持するといった観点から、第1の液体の質量に対し0.5から20質量%含まれることが好ましく、さらに好ましくは1から10質量%の範囲で使用される。
なお、後述する第2の液体にも色材を含んでいてもよく、その場合の含有量は目的に応じて適宜選択できるが、液体中における安定性の観点から色材量が20質量%以下であることが好ましい。
【0022】
本発明においては、顔料の分散性を向上させるために高分子分散剤を使用することができる。また、水に自己分散可能な顔料を用いた場合に添加する高分子物質として、高分子分散剤を用いることも出来る。
高分子分散剤としては、ノニオン性化合物、アニオン性化合物、カチオン性化合物、両性化合物等が使用でき、例えば、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの共重合体等が使用できる。
具体的には、α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーとして、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン化ビニルナフタレン、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート、ビスメタクリロキシエチルホスフェート、メタクリロキシエチルフェニルアシドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体、ビニルシクロヘキサン、ビニルナフタレン、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸フェニルエステル、メタクリル酸シクロアルキルエステル、クロトン酸アルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル、マレイン酸ジアルキルエステル等が挙げられる。
【0023】
上記α,β−エチレン性不飽和基を有するモノマーの単独若しくは複数を共重合して得られる共重合体が高分子分散剤として使用される。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0024】
本発明において使用される高分子分散剤は、顔料の分散安定性、及び、液体の粘度を吐出性に適する範囲に維持するといった観点から、質量平均分子量で2000〜15000のものが好ましい。高分子分散剤の分子量はより好ましくは、質量平均分子量で3500〜10000の範囲である。
液体中に添加する高分子分散剤は、顔料の分散安定性、及び、液体の粘度を吐出特性が安定な範囲に維持するといった観点から、0.1〜3質量%の範囲で使用される。高分子分散剤添加量としては、0.15〜2.5質量%がより好ましく、更に好ましくは、0.2〜2質量%である。
【0025】
第1の液体に含まれる水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等が挙げられる。
具体例としては、多価アルコール類では、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等が挙げられる。多価アルコール誘導体としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジグリセリンのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。含窒素溶媒としては、ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、トリエタノールアミン等が、アルコール類としてはエタノール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール類が、含硫黄溶媒としては、チオジエタノール、チオジグリセロール、スルホラン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。その他、炭酸プロピレン、炭酸エチレン等を用いることも出来る。
【0026】
第1の液体に使用される水溶性有機溶媒は、1種類のみであっても2種以上を混合して使用してもよい。水溶性有機溶媒の含有量としては、インクが充分な光学濃度を維持し、且つ、安定な噴射特性に適する液体粘度を維持するという観点から、1〜60質量%が好ましく、さらに好ましくは5〜40質量%の範囲である。
第1の液体においてこれら必須成分と高分子分散剤や以下に説明する任意の成分との残部は、水であることが好ましい。本発明のインクセットに溶媒として用いる水としては、純水、イオン交換水、蒸留水が好ましい。
【0027】
第1の液体には、界面活性剤を添加することも可能である。界面活性剤としては、分子内に親水部と疎水部を合わせ持つ構造を有する化合物等が有効に使用することができ、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤のいずれも使用することが出来る。更には、前記高分子分散剤を界面活性剤として使用することもできる。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの硫酸エステル塩およびスルホン酸塩、高級アルキルスルホコハク酸塩、高級アルキルリン酸エステル塩、高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩等が使用でき、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ケリルベンゼンスルホン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブチルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩等も有効に使用される。
【0028】
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロールアミド、アセチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエチレン付加物、脂肪族アルカノールアミド、グリセリンエステル、ソルビタンエステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、テトラアルキルアンモニウム塩、アルキルアミン塩、ベンザルコニウム塩、アルキルピリジウム塩、イミダゾリウム塩等が挙げられ、例えば、ジヒドロキシエチルステアリルアミン、2−ヘプタデセニル−ヒドロキシエチルイミダゾリン、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ステアラミドメチルピリジウムクロライド等が挙げられる。
その他、スピクリスポール酸やラムノリピド、リゾレシチン等のバイオサーファクタント等も使用できる。
【0029】
本発明の第1液に添加する界面活性剤としては、疎水性が高いこと、若しくは、分子量が大きいことが好ましい。第2の液体を付与する際の記録媒体との接触角が所望の特性となるように、HLB値、SP値、酸価等を基に、添加する界面活性剤の疎水性を調整することが好ましい。
本発明に係る第1の液体中に添加する界面活性剤量は、10質量%未満であることが好ましく、より好ましくは0.01〜5質量%、更に好ましくは0.01〜3質量%の範囲で使用される。添加量を10質量%以上とすると、界面活性剤の種類によっては、光学濃度や顔料インクの保存安定性に好ましくない影響を与える可能性がでてくる場合がある。
【0030】
本発明において第1の液体の表面張力は、20mN/m以上60mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上45mN/m以下であり、更に好ましくは、20mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となるとノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、60mN/mを超えると記録媒体への浸透性が低下し、乾燥時間が長くなる傾向が認められた。
【0031】
本発明において第1の液体の粘度は、1.2mPa・s以上8.0 mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5 mPa・s以上 6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上 4.5 mPa・s未満である。粘度がこの範囲において、優れた吐出性と、長期間にわたる良好な噴射性の維持が達成できる。
第1の液体の表面張力や粘度は、含有する界面活性剤や水溶性溶媒の種類や添加量を調整するにより上記の好ましい範囲に維持することができる。
【0032】
なお、本発明の前記第1の液体には、さらに、後述する第2の液体に含まれる多価金属塩と水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤を含有することが好ましい。このキレート化剤は以下に詳述する第2の液体中に含まれる多価金属塩との間で水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤を含有すると反応して水難溶性化合物を形成可能な化合物であれば特に制限はなく、例えば、分子内にカルボン酸基を複数有する化合物などが挙げられる。
具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、イタコン酸モノエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、フマル酸、フマル酸モノエステル等をモノマーユニットとして少なくとも含む共重合体が挙げられ、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−メタクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸アルキルエステル−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニルエステル−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸シクロヘキシルエステル−メタクリル酸共重合体等が挙げられる。
【0033】
第1の液体中における多価金属塩と水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、第2の液体における多価金属塩とによって形成される水難溶性キレート化合物の23℃における水に対する溶解度は、0.1g/L未満であることが好ましい。水難溶性キレート化物の水に対する溶解度は0.075g/L未満であることがより好ましく、更に好ましくは、0.05g/L未満である。水難溶性キレート化物の23℃における水に対する溶解度が0.1g/L以上である場合、光学濃度、滲み、色間滲みの向上効果が充分に得られない傾向が認められた。
【0034】
本発明第1の液体中に用いられる多価金属塩と水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤の添加量としては、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。添加量が0.01質量%未満の場合には、光学濃度、滲み、色間滲み向上効果が充分に得られない傾向が認められた。
【0035】
次に、本発明のインクジェット用インクセットを構成する第2の液体について説明する、第2の液体は、多価金属塩、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤、水溶性溶媒、及び、水を含有する。
【0036】
第2の液体中に添加される多価金属塩とは、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、及び、安息香酸等からなる群より選択される酸との塩を指す。
【0037】
具体例としては、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、酢酸アルミニウム、塩化バリウム、臭化バリウム、ヨウ化バリウム、酸化バリウム、硝酸バリウム、チオシアン酸バリウム、塩化カルシウム、臭化カルシウム、ヨウ化カルシウム、亜硝酸カルシウム、硝酸カルシウム、リン酸二水素カルシウム、チオシアン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、酢酸カルシウム、サリチル酸カルシウム、酒石酸カルシウム、乳酸カルシウム、フマル酸カルシウム、クエン酸カルシウム、塩化銅、臭化銅、硫酸銅、硝酸銅、酢酸銅、塩化鉄、臭化鉄、ヨウ化鉄、硫酸鉄、硝酸鉄、蓚酸鉄、乳酸鉄、フマル酸鉄、クエン酸鉄、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨウ化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、乳酸マグネシウム、塩化マンガン、硫酸マンガン、硝酸マンガン、リン酸二水素マンガン、酢酸マンガン、サリチル酸マンガン、安息香酸マンガン、乳酸マンガン、塩化ニッケル、臭化ニッケル、硫酸ニッケル、硝酸ニッケル、酢酸ニッケル、硫酸スズ、塩化チタン、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、チオシアン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の多価金属類の塩等が挙げられる。
好ましい電解質としては、硫酸アルミニウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸スズ、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、硝酸アルミニウム等が挙げられる。
【0038】
本発明中において、上記多価金属塩は単独で使用しても、あるいは2種類以上を混合して使用しても構わない。また、第2の液体中における凝集剤の含有量としては、0.1〜15質量%が好ましく、0.5〜10質量%であることがさらに好ましい。
【0039】
本発明第2の液体中に用いられる多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤(以下、適宜、特定キレート化剤と称する)としては、前記多価金属塩と反応して水易溶性化合物を形成し売るものであれば、特に限定されるものではないが、代表的なものとして、例えば、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−プロピレンジアミンテトラ酢酸、1−フェニルエチレンジアミンテトラ酢酸、3,3−ジメチルブタン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、1,2,3−トリアミノプロパンヘキサ酢酸、トリメチレンジアミンテトラ酢酸、ニトリロ三酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、グリコールエチレンジアミン四酢酸、トリエチレンテトラミン六酢酸、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロパン−1,2−ジアミン、ブタン−1,2−ジアミン、3,3−ジメチルブタン−1,2−ジアミン、1,2,3−トリアミノプロパン、トリメチレンジアミン、テトラリン−2,3−ジアミンテトラ酢酸、デカリン−2,3−テトラ酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサン−1,3−ジアミンテトラ酢酸、シクロヘキサン−1,4−ジアミンテトラ酢酸、シュウ酸、タイロン、アセチルアセトン等が挙げられる。
【0040】
なお、ここで前記多価金属塩と該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤によって形成される水易溶性化合物(水易溶性キレート化物)の23℃における水に対する溶解度は0.1g/L以上であることが好ましい。より好ましくは、水易溶性キレート化物の23℃における水に対する溶解度が0.5g/L以上であり、更に好ましくは、1.0g/L以上である。水易溶性キレート化物の水に対する溶解度が23℃において0.1g/L未満である場合には、第2の液体中において凝集が生じ、長期噴射性が悪化する傾向が認められる。
【0041】
本発明第2の液体中に用いられる特定キレート化剤の添加量としては、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、更に好ましくは0.2質量%以上5質量%以下である。添加量が0.01質量%未満の場合には、長期信頼性が悪化する傾向が認められ、本発明の効果が充分に発現されない懸念がある。
【0042】
なお、第2の液体中に含まれる多価金属塩と特定キレート化剤との好ましい含有量は前述の通りであるが、両者の添加量の比率を考慮すれば、特定キレート化剤に対する多価金属塩の添加量の質量比をαとした場合に、両者の添加量の関係が下記式を満たすことが好ましい。
(式) 1≦α≦10
より詳細には、第2の液体中におけるキレート化剤添加量に対する多価金属塩添加量の質量比は、前記の式にある如く1以上10以下であることが好ましいが、より好ましくは、1.5以上7.5以下であり、更に好ましくは、2以上5以下である。特定キレート化剤添加量に対する多価金属塩添加量の質量比が1未満である場合、長期噴射性が悪化する傾向が認められた。一方、10を超える場合には、第1液と第2液混合時の色材の凝集が不充分となり、光学濃度、滲み、色間滲みなどが悪化する傾向が認められた。
【0043】
第2の液体には、前記他価金属塩及び特定キレート化剤の他、水溶性有機溶媒及び水を必須成分として含む。水溶性有機溶媒としては、前記第1の液体において例示したもの、例えば、多価アルコール類、多価アルコール類誘導体、含窒素溶媒、アルコール類、含硫黄溶媒等を同様に用いることができる。また、好ましい含有量も第1の液体におけるのと同様である。
【0044】
なお、第2の液体には、多価金属塩添加時の長期噴射性を改善する目的で、第1の液体において好ましく例示した多価アルコール類のエチレンオキサイド付加物、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1、5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン等の、エチレンオキサイド付加物を添加することが好ましい。
このメカニズムは明らかとなっていないが、この化合物のエチレンオキサイド基が多価金属塩との間で弱い相互作用を形成し、多価金属塩の周囲を覆うことで、保護コロイド的な効果により、多価金属塩とヒーター保護膜との相互作用を弱める効果が存在するためであると考えている。
【0045】
このような多価アルコールのエチレンオキサイド付加物の重量平均分子量としては、500以上であることが好ましい。重量平均分子量が500未満の場合、添加による長期噴射性の向上効果が充分に得られない傾向が認められる。
多価アルコールのエチレンオキサイド付加物の添加量は、第2の液体に対して、0.1〜10質量%程度であることが好ましい。
【0046】
本発明において第2の液体の表面張力は、20mN/m以上45mN/m以下であることが好ましい。より好ましくは、20mN以上39mN/m以下であり、更に好ましくは、20mN/m以上35mN/m以下である。表面張力が20mN/m未満となるとノズル面に液体が溢れ出し、正常に印字できない場合がある。一方、45mN/mを超えると記録媒体への浸透性が低下し、乾燥時間が長くなる傾向が認められた。
【0047】
本発明において第2の液体の粘度は、1.2mPa・s以上8.0 mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1.5 mPa・s以上 6.0mPa・s未満、更に好ましくは1.8mPa・s以上 4.5 mPa・s未満である。粘度がこの範囲において、優れた吐出性と、長期間にわたる良好な噴射性の維持が達成できる。
【0048】
なお、第2の液体にも、第1の液体と同様に目的に応じて界面活性剤を添加することができる。第2の液体に好適に用いられる界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
第2の液体の表面張力や粘度は、含有する界面活性剤、水溶性溶媒などの種類や添加量を調整するにより上記の好ましい範囲に維持することができる。
【0049】
なお、第1の液体、第2の液体には、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じインクジェット用インクに汎用される添加剤を併用することができる。
例えば、吐出性改善等の特性制御を目的とし、ポリエチレンイミン、ポリアミン類、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、多糖類及びその誘導体、その他水溶性ポリマー、アクリル系ポリマーエマルション、ポリウレタン系エマルション等のポリマーエマルション、シクロデキストリン、大環状アミン類、デンドリマー、クラウンエーテル類、尿素及びその誘導体、アセトアミド、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を用いることができる。
【0050】
また、導電率、pHを調整するため、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属類の化合物、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の含窒素化合物、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属類の化合物、硫酸、塩酸、硝酸等の酸、硫酸アンモニウム等の強酸と弱アルカリの塩等を使用することが出来る。
その他必要に応じ、pH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、及び、紫外線吸収剤等も添加することができる。
【0051】
本発明のインクジェット用インクセットは、少なくとも前記第1の液体と第2の液体とを含むものであり、これら第1の液体と、第2の液体と、が互いに接するように記録媒体上に付与され、画像が形成されることになる。
本発明のインクジェット用インクセットは、通常のインクジェット記録装置は勿論、インクのドライングを制御するためのヒーター等を搭載した記録装置、または、中間体転写機構を搭載し、中間体に記録材料を印字した後、紙等の記録媒体に転写する記録装置等においても用いることもできる。
【0052】
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明の記録方法は、前記色材と、水溶性溶媒と、水と、を含む第1の液体、及び、多価金属塩と、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、水溶性溶媒と、水と、を含む第2の液体を含むインクセットを用いたインクジェット記録方法であって、記録媒体上に、第1の液体及び第2の液体が互いに接するように付与される工程を含み、両者が接触することにより、高画質の画像が形成されることを特徴とする。
【0053】
本発明のインクジェット記録方法においては、これら第1の液体、第2の液体が記録媒体上に付与される場合、それぞれの液体の1ドロップ当たりの液体質量は25ng以下であることが好ましい。より好ましくは、0.5ng以上20ng以下であり、更に好ましくは、1ng以上8ng以下である。
1ドロップ当たりの液体質量が25ngを超える場合には、滲みが悪化する傾向が認めらた。これは、第1の液体及び第2の液体の記録媒体に対する接触角がドロップ量に依存して変化するためであり、ドロップ量が増えるにつれてドロップが紙表面方向に広がりやすくなるためであると考えている。
【0054】
前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体に付与する手段としては、熱インクジェット方式またはピエゾインクジェット方式を用いることが好ましい。
本発明の方法においては、前記第1の液体と第2の液体とを、互いに接するように記録媒体上に付与するに際して、その付与する順には特に制限はなく、第1の液体の付与後に第2の液体を付与してもよく、第2の液体の付与後に第1の液体を付与してもよく、同時に付与してもよい。
【0055】
1画素を形成するために付与される前記第1の液体と第2の液体の付与量は、必ずしも等量でなくてもよいが、質量比で1:10〜10:1の範囲内となるようにインクを付与することが好ましい態様である。
【0056】
また、前記インクジェット用インクセットを用いるための本発明のインクジェット記録装置は、色材と、水溶性溶媒と、水と、を含む第1の液体、及び、多価金属塩と、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、水溶性溶媒と、水と、を含む第2の液体を含むインクセットを用いたインクジェット記録装置であって、第1の液体及び第2の液体を互いに接するように記録媒体上に付与しうる液体吐出部材を備えることを特徴とする。
このような液体吐出部材としては、熱インクジェット方式またはピエゾインクジェット方式による液体吐出部材を用いることが好ましい。
【0057】
また、前記液体吐出部材が、前記第1のインク及び第2のインク前記2種類の液体を1ドロップ当たり25ng以下の重量で記録媒体に付与しうる部材であることが好ましい。なお、本発明においては、一つのノズルから複数の体積のドロップを噴射することが可能であるインクジェット記録装置を用いることも可能であり、そのような装置においては、上記1ドロップの重量とは、印字可能な最小ドロップのドロップ量を指すものとする。
さらに、前記液体吐出部材が、1画素を形成するために付与される前記第1の液体と第2の液体の付与量を質量比で1:10〜10:1の範囲内となるようにインクを付与しうる部材であることが好ましい態様である。
【0058】
本発明のインクジェット用インクセットは、少なくとも2つの液体からなり、双方の液体が安定性に優れ、記録装置の金属部材に与える影響も抑制されており、2つの液体が記録媒体上に付与されると色材が速やかに凝集して画像を形成するため、光学濃度が充分で、滲みや色間滲みのない画像を、短い乾燥時間で形成でき、且つ、記録装置内において安定であり、長期噴射性を満足しうるという特徴を有し、その応用範囲は広い。
【0059】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明する。
〔自己分散顔料の作製〕
顔料に次亜塩素酸ナトリウムで表面酸化処理を施した後、脱塩処理を行なった。このようにして得られた表面処理顔料を顔料濃度が20wt%となるようにイオン交換水中に加え、pHを7.5に調整した後、超音波ホモジナイザーを用いて分散を行なった。この分散液を遠心分離装置で、遠心分離処理(8000rpm×30分)を施し、残渣部分(全量に対して20%)を除去した
【0060】
〔液体の調製方法〕
下記の各組成に従って、色材溶液、水溶性有機溶媒、界面活性剤、イオン交換水等を適量加え、混合液を、混合、攪拌した。得られた液体を、1μmフィルターを通過させることにより、所望の液体を得た。
なお、以下、本実施例では、「第1の液体」を「液体1」、「第2の液体」を「液体2」というように略して表記する。
【0061】
(液体A:液体1)
・Cabojet−300 (顔料/キャボット社製) 4.5質量%
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体 0.6質量%
(多価金属塩と水難溶性化合物を形成するキレート化剤)
・ジエチレングリコール 10質量%
・尿素 4.5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.3質量%
・イオン交換水 (残部)
前記液体の調製方法に従って得られたこのインク(第1の液体)の粘度は2.8mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0062】
(液体B:液体2)
・ジエチレングリコール 20質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1.2質量%
・硝酸マグネシウム(多価金属塩) 0.3質量%
・エチレンジアミンテトラ酢酸(特定キレート化剤) 0.1質量%
・イオン交換水 (残部)
前記液体の調製方法に従って得られたこの液体(第2の液体)の粘度は1.6mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0063】
(液体C:液体1)
・CW−1(顔料/オリエント化学社製) 3.5質量%
・スチレン−マレイン酸−マレイン酸ナトリウム共重合体 0.15質量%
(多価金属塩と水難溶性化合物を形成するキレート化剤)
・ジエチレングリコール 15質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・尿素 5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.15質量%
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0.15質量%
・イオン交換水 (残部)
前記液体の調製方法に従って得られたこのインク(第1の液体)の粘度は2.6mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0064】
(液体D:液体2)
前記自己分散顔料作成方法に従って処理した顔料を用い、所定の方法により調製したインク。
・C.I.Pigment Yellow74(表面処理顔料) 5質量%
・ジエチレングリコール 15質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・硝酸マグネシウム(多価金属塩) 0.95質量%
・トリメチレンジアミンテトラ酢酸(特定キレート化剤) 0.01質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.1mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
【0065】
(液体E:液体2)
Figure 2004359799
このインクの粘度は1.8mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0066】
(液体F:液体1)
・Mogul L(顔料) 4質量%
・スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸ナトリウム共重合体 0.5質量%
(分散剤および水難溶性キレート化剤)
・ジエチレングリコール 15質量%
・2−ピロリドン 5質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 0.15質量%
・尿素 2質量%
・イソプロピルアルコール 3.5質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.4mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0067】
(液体G:液体2 比較組成物)
・Cabojet250(顔料/キャボット社製) 5質量%
・スチレン−アクリル酸−アクリル酸ナトリウム共重合体 0.5質量%
(水難溶性キレート化剤)
・ジエチレングリコール 15質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・硝酸マグネシウム(多価金属塩) 0.1質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.7mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0068】
(液体H:液体2 比較組成物)
・ジエチレングリコール 20質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・硝酸マグネシウム (多価金属塩) 10質量%
・イオン交換水 (残部)
この液体の粘度は1.5mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0069】
(液体I:液体2 比較組成物)
・ジエチレングリコール 20質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・イオン交換水 (残部)
この液体の粘度は1.5mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0070】
(液体J:液体3)
・Cabojet250(自己分散顔料/キャボット社製) 5質量%
・ジエチレングリコール 15質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・硝酸マグネシウム(多価金属塩) 0.1質量%
・グリコールエチレンジアミンテトラ酢酸(特定キレート化剤)0.03質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.1mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0071】
(液体K:液体2)
・C.I.アシッドイエロー 23(染料) 3質量%
・ジエチレングリコール 10質量%
・ジグリセリンエチレンオキサイド付加物 5質量%
(重量平均分子量 750)
Figure 2004359799
このインクの粘度は1.9mPa・s、表面張力は30mN/mであった。
【0072】
(液体L:液体3)
・Cabojet250(自己分散顔料/キャボット社製) 5質量%
・ジエチレングリコール 20質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.2mPa・s、表面張力は32mN/mであった。
【0073】
(液体M:液体4)
・Cabojet260(自己分散顔料/キャボット社製) 5質量%
・ジエチレングリコール 20質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.2mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0074】
(液体N:液体2)
・Cabojet270(自己分散顔料/キャボット社製) 5質量%
・ジエチレングリコール 20質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.2mPa・s、表面張力は31mN/mであった。
【0075】
(液体O:液体2)
前記自己分散顔料作成方法に従って処理した顔料を用い、所定の方法によりインク化した。
・C.I.Pigment Yellow74(表面処理顔料) 5質量%
・ジエチレングリコール 15質量%
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル 5質量%
・尿素 3質量%
・アセチレングリコールエチレンオキサイド付加物 1質量%
・硝酸マグネシウム (多価金属塩) 1.05質量%
・トリメチレンジアミンテトラ酢酸 (水易溶性キレート化剤) 0.1質量%
・イオン交換水 (残部)
このインクの粘度は2.1mPa・s、表面張力は33mN/mであった。
【0076】
〔インクセットの評価方法〕
印字は、800dpi、256ノズルの試作プリントヘッドを用い、FX−P紙(富士ゼロックス社製)に図1乃至図3に概略的に示す印字パターンに従って印字し、各種評価を行った。
図1に示す印字パターンAは、第2の液を付与した領域10(右上がり斜線で示す)の一部に第1の液体が重ねて付与され、第1の液体の印字部分(左上がり斜線で示す)が第2の液体の印字部分10に重なっている態様を示す。すなわち、図1中、左上がり斜線と右上がり斜線が交差して示される領域12が第1の液体と第2の液体の双方が付与された領域である。図2に示す印字パターンBは、第1の液体の付与領域14(左上がり斜線で示す)と第2の液体の付与領域10とが隣接しており、それぞれの印字部分が互いに接している態様を示す。
図3に示す印字パターンCは、第1の液体から第4の液体を用いたインクセットにおいて、第2の液体を付与した領域10の一部である同一の領域に、第1の液体、第3の液体、及び、第4の液体が付与され、第1の液体と第2の液体の重複印字部分12、第3の液体の印字部分16、及び、第4の液体の印字部分18が同一領域に重なっている態様を示す。
なお、以下、特に記載が無い場合、印字は一般環境下(温度23±0.5℃、湿度55±5%RH)で行い、評価は印字後24時間一般環境下に放置したサンプルに対して行った。
なお、インクセットとして、前記各液体A〜液体Oのいずれの液体を用いたかと、それぞれの液体の物性と、2種の液体を併用することにより形成されたキレート化物の溶解度と、を下記表1〜表2に示す。
【0077】
【表1】
Figure 2004359799
【0078】
【表2】
Figure 2004359799
【0079】
前記の条件で印字した画像について、下記の条件で評価を行なった。
〔光学濃度〕
印字部分をエックスライト404(エックスライト社製)を用いて光学濃度を測定した。
〔評価基準(黒インク)〕
○…光学濃度が1.4以上
△…光学濃度が1.3以上1.4未満
×…光学濃度が1.3未満
【0080】
〔評価基準(カラーインク)〕
○…光学濃度が1.1以上
△…光学濃度が1.0以上1.1未満
×…光学濃度が1.0未満
【0081】
〔色間滲み〕
色間滲みの評価は、異なる色が隣接するパターンを印字し、境界部分の滲み度合いを予め定めておいた限度見本に照合し、官能評価を行なった。
(色間滲みの評価基準)
○…滲みが少ないもの
△…滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×…滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0082】
〔滲み〕
細線パターンを印字し、印字部の滲み度合いを限度見本に照合し、官能評価を行なった。
(滲みの評価基準)
○…滲みが少ないもの
△…滲みは発生しているが、許容レベルのもの
×…滲みが激しく、許容範囲外のもの
【0083】
〔乾燥時間〕
100%カバレッジパターンを印字してから所定の時間経過後に印字パターン上に別のFX−P紙を1.9×10N/mの荷重で押し当てる。この時、押し当てたFX−P紙側にインクが転写されなくなる時間を乾燥時間とした。
(評価基準)
○…乾燥時間が3秒未満
△…乾燥時間が3秒以上10秒未満
×…乾燥時間が10秒以上
【0084】
〔長期噴射性〕
長期噴射性については、1×10pulse印字させた時点での噴射ノズル数を基準に評価を行なった。
(評価基準)
○…1×10pulse時点での噴射ノズル数が初期噴射ノズル数に対して100%
△…1×10pulse時点での噴射ノズル数が初期噴射ノズル数に対して97%以上100%未満
×…1×10pulse時点での噴射ノズル数が初期噴射ノズル数に対して97%未満
上記の各評価結果を下記の表3〜表4に示す。
【0085】
【表3】
Figure 2004359799
【0086】
【表4】
Figure 2004359799
【0087】
表1に明らかなように、本発明のインクジェット用インクセットを用いて印字した画像は、光学濃度が充分で、滲みや色間滲みのない優れた画像を形成でき、乾燥時間も短く、且つ、記録装置内における長期噴射性を満足することがわかった。一方、第2の液体として本発明に係る特定キレート化剤を用いていない比較例1〜4は、多価金属塩や一般に知られているキレート化剤を用いることで、評価した前記いずれかの性能の向上は実現させうるものの、光学濃度や滲みなどの画像形成性、乾燥時間、及び、長期噴射性のいずれをも満足するものではないことがわかった。
【0088】
【発明の効果】
本発明のインクジェット用インクセットは、光学濃度が充分で、滲みや色間滲みのない画像を、短い乾燥時間で形成でき、且つ、記録装置内における長期噴射性を満足しうるという効果を相する。また、本発明のインクジェット用インクセットを用いたインクジェット記録方法及びその方法に適用し得る本発明のインクジェット記録装置によれば、光学濃度、滲み、色間滲み、乾燥時間に優れ、長期噴射性を満足することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の液体と第2の液体とを用いた実施例、比較例における印字パターンAの液体の付与領域を示す概略図である。
【図2】第1の液体と第2の液体とを用いた実施例、比較例における印字パターンBの液体の付与領域を示す概略図である。
【図3】第1の液体乃至第4の液体を用いた実施例、比較例における印字パターンCの液体の付与領域を示す概略図である。

Claims (20)

  1. 少なくとも2種類以上の液体を用いたインクジェット記録液であって、第1の液体は色材、水溶性溶媒及び水を含み、第2の液体は多価金属塩、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤、水溶性溶媒、及び、水を含むことを特徴とするインクジェット用インクセット。
  2. 前記第1の液体中に、前記第2の液体中に含まれる多価金属塩と水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  3. 前記第2の液体中に含まれるキレート化剤添加量に対する多価金属塩の添加量の質量比をαとした場合に、下記式を満たすことを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
    (式) 1≦α≦10
  4. 前記第2の液体中に、多価アルコールのエチレンオキサイド付加物を含むことを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  5. 前記多価アルコールのエチレンオキサイド付加物の重量平均分子量が500以上であることを特徴とする請求項4記載のインクジェット用インクセット。
  6. 前記第1の液体中含まれる色材の少なくとも1種が、高分子分散剤により分散されている顔料、自己分散可能な顔料、及び、樹脂により被覆された顔料からなる群の中から選ばれる顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  7. 前記第2の液体中に、色材を含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  8. 前記第1の液体の表面張力が20mN/m以上60mN/m以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット
  9. 前記第2の液体の表面張力が20mN/m以上45mN/m以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  10. 前記第1の液体、及び第2の液体の粘度が1.2mPa・s以上8.0mPa・s以下であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  11. 前記多価金属塩と該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤によって形成されるキレート化物の23℃における水に対する溶解度が0.1g/L以上であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット用インクセット。
  12. 第1の液体中における多価金属塩と水難溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、第2の液体における多価金属塩とによって形成されるキレート化合物の23℃における水に対する溶解度が0.1g/L未満であることを特徴とする請求項2記載のインクジェット用インクセット
  13. 色材と、水溶性溶媒と、水と、を含む第1の液体、及び、多価金属塩と、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、水溶性溶媒と、水と、を含む第2の液体を含むインクセットを用いたインクジェット記録方法であって、第1の液体及び第2の液体が互いに接するように記録媒体上に付与され、画像が形成されることを特徴とするインクジェット記録方法。
  14. 前記第1の液体及び第2の液体を、熱インクジェット方式またはピエゾインクジェット方式を用いて記録媒体上に付与することを特徴とする請求項13記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記第1の液体及び第2の液体を、それぞれ1ドロップ当たり25ng以下の重量で記録媒体に付与することを特徴とする請求項13記載のインクジェット記録方法。
  16. 1画素を形成するために付与される前記第1の液体と第2の液体の付与量が質量比で1:10〜10:1の範囲内となるように液体を付与することを特徴とする請求項13記載のインクジェット記録方法。
  17. 色材と、水溶性溶媒と、水と、を含む第1の液体、及び、多価金属塩と、該多価金属塩と水易溶性化合物を形成可能なキレート化剤と、水溶性溶媒と、水と、を含む第2の液体を含むインクセットを用いたインクジェット記録装置であって、第1の液体及び第2の液体を互いに接するように記録媒体上に付与しうる液体吐出部材を備えたインクジェット記録装置。
  18. 前記液体吐出部材が、熱インクジェット方式またはピエゾインクジェット方式による液体吐出部材であり、該液体吐出部材により、前記第1の液体及び第2の液体を記録媒体上に付与することを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録装置
  19. 前記液体吐出部材が、前記第1の液体及び第2の液体前記2種類の液体を1ドロップ当たり25ng以下の重量で記録媒体に付与しうることを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録装置
  20. 前記液体吐出部材が、1画素を形成するために付与される前記第1の液体と第2の液体の付与量を質量比で1:10〜10:1の範囲内となるように液体を付与しうることを特徴とする請求項17記載のインクジェット記録装置
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