JP2004359517A - 電磁遮蔽ガラス - Google Patents

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JP2004359517A
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conductive
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Masaaki Katano
正昭 片野
Toru Hirotsu
透 弘津
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Central Glass Co Ltd
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Abstract

【課題】導電体を2枚の中間膜の間に設けて合わせガラスの構成とし、導電体を金属製の窓枠等の外部にアースするために、端面から突出させた導電体を導電性テープでガラス面に固定する場合、導電性テープとガラス面との間に水分が侵入することを防ぐため、導電性テープのエッジをシーリングしている。
【解決手段】導電体が板ガラスの端部から突出させられて一方の板ガラス面に折り曲げられ、導電体を覆うように導電性テープが、2枚の板ガラスの、一方の板ガラスの表面から他方の板ガラスの表面に跨り粘着し、導電性テープの粘着力を1N〜15Nとすうる。また、ガラス面に折り曲げられた導電体の幅を2mm〜5mmとする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物、特にOA化の進んだインテリジェントビルにおいて、使用される合わせガラス構造の電磁遮蔽ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、商用建物において、OA機器や通信機器等の電子機器・装置が多量に使用されている。これらの電子機器・装置の多くが発生させる電磁波は、他の電子機器や電子制御機器が誤動作する原因となる。また、ノイズを発生させる原因にもなっている。
【0003】
さらに、高度情報化に伴い、開口部から侵入する電磁波が、建物内の電子機器を誤動作させることがある。
【0004】
また、開口部から出ていく電磁波も、外部の電子機器などを誤動作させる原因となる。
【0005】
このため、多くの建物で、開口部に電磁遮蔽性能を付与するようになった。
【0006】
開口部に電磁遮蔽機能を付与する方法として、2枚の板ガラスを中間膜で接着する合わせガラス構造の電磁遮蔽ガラスが知られている(特許文献1)。
【0007】
さらに、合わせガラス構造の電磁遮蔽ガラスにおいて、金属メッシュあるいは透明導電膜が成膜されている透明樹脂フィルム等の導電体を、2枚の中間膜で挟持し、2枚の中間膜の間に挟持されている該導電体を、板ガラスの端面から突出させ、突出させた導電体の部分は、板ガラスの表面に折り曲げられ、導電性テープを用いて、導電体を板ガラスの表面に接着させることが特許文献2に開示されている。
【0008】
特許文献2に示されているような、導電体を2枚の中間膜の間に設けて合わせガラスの構成とし、導電体を金属製の窓枠等の外部にアースするために、端面から突出させた導電体を導電性テープでガラス面に固定する場合、水分の侵入に対する配慮がなく、水分が導電性テープとガラス面との間に侵入するという問題が生じた。
【0009】
導電性テープとガラス面との間に水分が侵入すると、導電体を劣化させ、電磁遮蔽性能を低下させ、さらに、ポリビニールブチラールなどの中間膜を白濁させる恐れもあった。
【0010】
特許文献3では、導電性テープとガラス面との間に水分が侵入するのを防ぐために、導電性テープのエッジをシーリングする手段が開示されている。
【0011】
【特許文献1】
特開昭64−5099号報
【特許文献2】
特開平9−100143号公報
【特許文献3】
特開平11−312893号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
導電性テープのエッジをシーリングする方法は、シーリングするという工程が煩雑であり、また、生産コストアップとなる。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の電磁遮蔽ガラスは、2枚の板ガラスが2枚の中間膜によって接着され、2枚の中間膜の間に、金属製網又は透明導電性フィルムでなる導電体が挿入され、導電体が板ガラスの端部から突出させられて一方の板ガラス面に折り曲げられ、導電体を覆うように導電性テープが、2枚の板ガラスの、一方の板ガラスの表面から他方の板ガラスの表面に跨り粘着されている電磁遮蔽ガラスにおいて、導電性テープの粘着力を1N〜15Nとしたことを特徴とする電磁遮蔽ガラスである。
【0014】
また、本発明の電磁遮蔽ガラスは、前記電磁遮蔽ガラスにおいて、ガラス面に折り曲げられた導電体の幅が2mm〜5mmであることを特徴とする電磁遮蔽ガラスである。
【0015】
また、本発明の電磁遮蔽ガラスは、前記電磁遮蔽ガラスにおいて、導電性テープを介して測定される、対向する2辺の間の電気抵抗が、100Ω以下であることを特徴とする電磁遮蔽ガラスである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の電磁遮蔽ガラスは、2枚の板ガラスをポリビニルブチラール、エチレン酢酸ビニル等の中間膜を2枚用い、2枚の中間膜の間に導電体を挿入して、合わせガラスとしたものである。導電体には、金属製網あるいは導電性フィルムが使用できる。
【0017】
金属製網は、ステンレス鋼、銅、モネルなどの金属製ワイヤに反射防止用の黒染酸化被膜、シリコン、ネオプレンなどの絶縁被覆をしたものなど各種の金属製網を採用できる。
【0018】
導電性フィルムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアリレートなどの樹脂フィルムに、ITO膜、酸化スズ膜などの導電膜を形成したものが使用できる。
【0019】
導電性テープは、銅、アルミ、SUS、亜鉛などの金属箔に、導電性の粘着剤が積層されもの、あるいは前記金属箔に孔を開け導電性の粘着剤を積層したものが使用できる。導電性の粘着剤は、カーボン、Cu、Ni、Agなどの導電性粒子をアクリル樹脂などの合成樹脂に含有したものを用いることが好ましい。導電性微粒子の粒径は、1μm〜50μmであることが好ましく、この粒径の範囲から、粘着力が1N〜15Nとなるように導電性微粒子を選ぶことが望ましい。
【0020】
導電性テープの接着面から水分の侵入を完全に防ぐために、導電性テープの粘着力を、「JIS C 2107;電気絶縁用粘着テープ試験方法」に規定される試験方法に基づいて測定し、1N〜15Nの範囲とすることが好適である。
【0021】
粘着力が1N未満では耐水性が無く、粘着力の強い方が耐水性能は良くなる。しかし、15Nを越えると張り直しが困難となり、作業性が著しく低下するので、本発明の導電性テープの粘着力を1N〜15Nの範囲にすることが好ましい。導電テープの粘着力の範囲を1N〜15Nの範囲にすることにより、水分の侵入を完全に防ぐことができ、その結果合わせガラス内面に配設された透明導電膜への影響をなくすだけでなく、導電性テープの導電性微粒子に用いる金属の酸化をも防ぎ、電磁遮蔽性能の低下や中間膜の白濁を防ぐことができる。
【0022】
図1は、実施例1で作製した本発明の電磁遮蔽ガラスである。導電体3は、中間膜2、2′の間に配置することが好ましい。エッジから突出させた導電体3′は、板ガラス1′の面に折り曲げられ、導電性テ−プ4を用いて、ガラス面に接着される。導電性テ−プ4と突出させた導電体3′の重なる幅aは、2〜5mmとすることが好ましい。
【0023】
導電性テ−プ4と導電体3′の重なる幅aが2mm未満では、導通性が悪く、十分な電磁遮蔽性能が得られない。また、5mm以上にするとサッシののみ込みが限定されているため、導電性テープとの接触面積が小さくなり、導電性テープの剥がれや浸入水等により、長期に渡っては電磁遮蔽性能が低下する。
【0024】
また、導電性テ−プ4がガラス面に重なる幅bおよび幅cは、3〜8mmとすることが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、図面を参考にしながら本発明を詳細に説明する。
【0026】
実施例1
導電体に金属製網を使用した。図1に示すように、本実施例の電磁遮蔽ガラスは、板厚3mmの2枚の板ガラス1、1′を2枚の中間膜2、2′で接着した。中間膜2、2′にはポリビニルブチラールを用いた。中間膜2、2′の間には、導電体3を配設した。導電体3には、金属製網を用いた。金属製網は、線径が0.05mmのステンレス鋼製のワイヤを、100メッシュ(開口率58%)で平織にしたもので、ワイヤは、反射防止用の黒染酸化被膜が被覆されたものを用いた。
【0027】
導電体3は、板ガラス1、1′の4辺において、エッジから先端を8mm(板ガラス1′の端面と接する幅が3mm、板ガラス1′の表面と接する幅aが5mm)突出させた。導電体3が突出した状態で、合わせ処理を行い、その後4辺の周縁部分に突出した金属製網を、サンドペーパーを用いて研磨し、金属製ワイヤの被膜を削って金属面を露出させた。
【0028】
次いで、金属面を露出させた金属製網をガラス面に折り曲げ、金属製網をガラス面に導電性テープ4を用いて接着した。導電性テ−プ4には、アルミニウム箔のテ−プを用いた。導電性テープ4の粘着力(JIS C 2107;電気絶縁用粘着テープ試験方法に規定される試験方法で測定した値)を1Nとした。
【0029】
対向する2辺にのみ導電性テ−プ4を接着した状態で、図3に示すように、2辺間の抵抗値をテスタ−で測定したところ、抵抗値は100Ωであった。
【0030】
4辺に導電性テ−プ4を接着し、屋外暴露試験(1年間)とJIS R 3212に規定される耐候性試験(50℃―95%RH雰囲気中、2週間放置)を行った。耐候性試験の結果、導電性テープ4の剥離や剥がれはなく、合わせ中間膜の白濁化もなかった。
【0031】
さらに、対向する2辺の導電性テ−プを剥がし、他の対向する2辺の抵抗を、図3に示す方法で再度測定した結果、100Ωの抵抗を示し、抵抗値の変化はなかった。
【0032】
耐光性試験の結果から、十分な耐候性が得られることを確認した。
【0033】
本誌作によって得られた電磁遮蔽ガラスを、図2に示すようにして、アルミニウム製のサッシ5に篏め込み、電磁遮蔽窓とした。
【0034】
サッシ12にはアルミ箔で作製した導電性被膜10を設け、電磁遮蔽ガラス8のア−スを行った。また、導電性テ−プとサッシとを導通させるために、スズメッキ銅の金属線を編んでメッシュ構造としたものを金属製導電体14、14′に用いた。
【0035】
作製した電磁遮蔽窓の電磁遮蔽性能をMIL−STD−285法(米国軍用規格)に規定される方法で測定した結果、−60dB(1GHz)の性能値を得た。
【0036】
実施例2
実施例1に示される電磁遮蔽ガラス構成で行い、導電性テープ4の粘着力を15Nとした他は、実施例1と同様にして、電磁遮蔽ガラスを作製した。
【0037】
本実施例の電磁遮蔽ガラスの電磁遮蔽性能および耐候性は、実施例1と同等の性能が得られた。
【0038】
実施例3
面積抵抗値20Ω/□の透明導電膜(ITO膜)が形成されているポリエステルテレフタレ−トのフィルムを導電体3に用いた他は、全て実施例1と同様にして、電磁遮蔽ガラスを作製した。
【0039】
得られた電磁遮蔽ガラスの耐候性は、実施例1と同等であった。また、実施例1と同様にして電磁遮蔽窓を作製し、電磁遮蔽性能を測定したところ、−20dB(1GHz)の性能であった。
【0040】
実施例4
導電性テープ4の粘着力を15Nとしたほかは、実施例3と同様にして電磁遮蔽ガラスを作製した。
【0041】
得られた電磁遮蔽ガラスの耐候性および電磁遮蔽性能は、実施例3と同等であった。
【0042】
比較例1
粘着力が0.5Nの導電性テープ4を用い、 実施例1と同様にして、電磁遮蔽ガラスを作製したが、導電性テ−プ4が部分的に接着しない所が生じ、電磁遮蔽ガラスの作製ができなかった。
【0043】
比較例2
粘着力が16Nの導電性テープ4を用いて、実施例1と同様の電磁遮蔽ガラスの作製を行った。
【0044】
作製において、導電性テープ4の粘着力が強すぎるため、貼り直しができないという不具合が生じた。
【0045】
比較例3
実施例3に示される電磁遮蔽ガラス構成で行い、粘着力を0.5Nとした導電性テープ4を用いて、実施例3と同様の電磁遮蔽ガラスを作製した。
【0046】
得られた電磁遮蔽ガラスは、屋外暴露試験においては3ヶ月で導電性テープ4がガラス面から剥離生じ、導電性薄膜にも異状が観察され、十分な耐候性がなかった。
【0047】
【発明の効果】
本発明の電磁遮蔽ガラスは、簡単な構成により、耐候性を向上させ、電磁遮蔽性能の低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における電磁遮蔽ガラスを示す要部断面図である。
【図2】実施例1の電磁遮蔽ガラスを応用した電磁遮蔽窓を示す要部断面図である。
【図3】対向する2辺の間の、電気抵抗の測定方法を示す概略図である。
【符号の説明】
1、1′ 板ガラス
2、2′ 透明導電膜
3 導電体
3′ エッジから突出させた導電体
4 導電性テープ
9 セッティングブロック
11 押縁
13、13′ バックアップ材
14、14′ 金属製導電体
15、15′ シーリング材
20 電気抵抗測定器
21 測定用端子

Claims (3)

  1. 2枚の板ガラスが2枚の中間膜によって接着され、2枚の中間膜 の間に、金属製網又は透明導電性フィルムでなる導電体が挿入され、導電体が 板ガラスの端部から突出させられて一方の板ガラス面に折り曲げられ、導電体 を覆うように導電性テープが、2枚の板ガラスの、一方の板ガラスの表面から 他方の板ガラスの表面に跨り粘着されている電磁遮蔽ガラスにおいて、導電性 テープの粘着力を1N〜15Nとしたことを特徴とする電磁遮蔽ガラス。
  2. ガラス面に折り曲げられた導電体の幅が2mm〜5mmであること
    を特徴とする請求項1記載の電磁遮蔽ガラス。
  3. 導電性テープを介して測定される、対向する2辺の間の電気抵抗が、100Ω以下であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の
    電磁遮蔽ガラス。
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