JP2004358640A - 電着工具の製造方法及び電着工具 - Google Patents

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Koji Shigematsu
孝治 重松
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Abstract

【課題】CMP用コンディショナなどの電着工具の研削面に超砥粒の砥粒密度を疎に構成し、且つ、その砥粒を任意的且つ規則的に配列し、更に、砥粒の鋭いエッジ部分が被削材に当接する電着工具を製造する方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る電着工具の製造方法は、凹設加工用マスキング工程(S1)と、凹設加工工程(S2)と、砥粒載置工程(S3)と、メッキ仮固定工程(S4)と、凹設加工用マスキング剥離工程(S5)と、メッキ固着工程(S6)とを含む構成とした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属その他の研削加工に用いられる電着工具の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、電着工具は図10に示すように通電性を有する台金10をメッキ浴20に浸漬し、研削面90にダイヤモンドやCBNなどの超砥粒40を単層に載置し、メッキを行うことで仮固定し、さらに電気メッキや無電解メッキを施し、固着用メッキ層50(点線部)を形成することにより超砥粒40を強固に固着することによって作製される。このようにして作製された電着工具80は、研削効率が高く、高精度の研削加工を行うことができることから、例えば、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属をはじめとする様々な被削材を研削するために広く使用されている他、半導体ウエハの表面研磨に用いる研磨用のパッドの表面を調整するコンディショナとしても用いられている。
【0003】
特に、昨今の半導体デバイスの高集積化・多層線化が進む中で、半導体ウエハの化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing/Planarization;CMP)プロセスは半導体デバイス製造上、非常に重要な位置を占めるものとなっており、高精度な表面研磨が要求されている。
【0004】
そして、前記半導体ウエハの表面研磨において、前記要求を満たし、半導体ウエハの表面を高精度に研磨するため、ポリエステル不織布にポリウレタン樹脂を含浸させたベロアタイプパッド、ポリエステル不織布を基材としてその上に発泡ウレタン層を形成したスエードタイプパッド、あるいは独立気泡を有する発泡ポリウレタンのパッドや、これらの多層構造体からなる研磨用ポリッシングパッド(以下、これらをまとめて「研磨用ポリッシングパッド」という。)などを用いて下記のように処理することにより半導体ウエハの表面を研磨している。
【0005】
すなわち、図11に示すように、半導体ウエハの表面を研磨するウエハ加工装置100では、自転する円盤状の定盤110の上に研磨用ポリッシングパッド120を貼り付け、これの上面に一枚又は複数枚の半導体ウエハ130の研磨面を下向きに載置し、これら半導体ウエハ130をキャリア140によって研磨用ポリッシングパッド120上で自転させつつ、研磨用ポリッシングパッド120と半導体ウエハ130の間に微細な研磨粒子を混入した研磨液150を供給して、研磨用ポリッシングパッド120と半導体ウエハ130の界面の化学的機械的作用によりCMPを行っている。
【0006】
しかし、前記研磨用ポリッシングパッド120は、半導体ウエハ130の研磨を繰り返すうちに当該パッドの微細な孔に研磨粒子や研磨クズなどが入り込んで目詰まりを起こしたり、研磨粒子と研磨液の化学反応熱によってパッドの表面が鏡面化し、研磨速度が低下するという問題がある。
【0007】
このため、研磨用ポリッシングパッド120の表面を初期の状態に再生し、研磨精度と研磨速度を回復させるため、コンディショニングと呼ばれる操作を常時又は定期的に行う必要がある。そして、かかるコンディショニング操作においては、研磨用ポリッシングパッドのコンディショニングを行うコンディショナとして、電着工具(以下、このような電着工具を「CMP用コンディショナ」という。)が用いられている。
【0008】
前記CMP用コンディショナ180の多くは、その研磨材料としてダイヤモンド砥粒やCBN砥粒などの超砥粒が用いられているが、このような超砥粒を用いたCMP用コンディショナは、研磨用ポリッシングパッドの表面状態を常に一定の研磨精度及び研磨速度を保持し得る状態にすること、つまり、当該研磨用ポリッシングパッドに目詰まりを生じさせないこと、前記半導体ウエハの研磨用ポリッシングパッド自体の摩耗は出来るだけ抑制すること、及び、超砥粒の脱落が無く、半導体ウエハにスクラッチを生じさせないことなどが要求される。
【0009】
このため、従来のCMP用コンディショナにおいては、ダイヤモンド砥粒の使用中の脱落防止のために、電着によるニッケルメッキなどで当該砥粒をしっかりと固着させるとともに、予め使用前にドレッシングを行うなどして不安定な砥粒を脱落させておくなどの手段が講じられている。
【0010】
しかし、従来のCMP用コンディショナは、砥粒の固着密度が密であるために、被削材の磨耗粉や、研削の際に研磨液とともに用いる研磨粒子が砥粒間に入り込み、CMP用コンディショナの目詰まりが発生し易いという欠点があった。
【0011】
また、前記したCMP用コンディショナなどの電着工具では個々の砥粒の配置・形状等については、ほとんど制御されてこなかったために、アンギュラーな砥粒を多く含んでいたので以下のような欠点があった。
すなわち、アンギュラーな砥粒は非常に鋭利な角を有する砥粒であるので、研削能力は高いが、歪な形状であるために比較的脆く、砥粒の脱落や砥粒の一部の欠落が生じ易い。このため、砥粒の一部が脱落したものが研磨用ポリッシングパッドに残存し、半導体ウエハ表面にスクラッチを生ずるおそれがあった。また、前記砥粒の脱落や、一部の欠落により電着工具の砥粒層が早期に磨耗し、研削能力が著しく低くなり、製品寿命が比較的短いという欠点もあった。
【0012】
前記の欠点のうち、砥粒の磨耗によって生じるCMP用コンディショナの早期の研削能力の低下という欠点を解決することを目的として、例えば、特許文献1では、ほぼ同一径であって、実質的に同形のダイヤモンド粒子をほぼ等間隔に配置して構成したことを特徴とする技術が公開されている。
【0013】
また、CMP用コンディショナの目詰まり防止を目的として、例えば、特許文献2には、CMP用コンディショナなどの電着工具の作用面に、前記超砥粒からなる層を幅1〜5mmの縞状あるいは島状となるよう形成し、さらに超砥粒の全面積が電着砥粒の作用面の2〜50%となるように構成したことを特徴とする技術が公開されている。
【0014】
【特許文献1】
特開2002−299289号公報(段落番号[0013]、図1)
【特許文献2】
特開平10−193269号公報(段落番号[0005]−[0007]、図1乃至図3、及び、図5乃至図7)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のCMP用コンディショナは、前記した欠点の他、砥粒密度が高すぎるために研磨用ポリッシングパッドのコンディショニングの際に研磨用ポリッシングパッドが変形するという問題や、目詰まりによって研磨用ポリッシングパッドの表面の再生効率が悪くなるという問題、更には、研磨用ポリッシングパッドの再生性能にばらつきが生じるなどの問題があった。
【0016】
また、特許文献1で提案されているCMP用コンディショナなどの電着工具によると、作用面には何ら工夫を凝らしていないので、図7、図8(a)及び(b)に模式的に示すような立方八面体構造の砥粒を用いた場合、砥粒の最も安定する平面y1が台金の表面に接するように固着された場合、このように構成された電着工具の砥粒は、前記台金の表面に固着している当該砥粒の前記平面y1の対称位置となる平面y2が被削材に当接する箇所となり、長寿命ではあるが研削能力の低い電着工具となるという問題があった。
【0017】
また、特許文献2で提案されている技術では、縞−縞間或いは島−島間からなる砥粒層を構成する砥粒群と砥粒群の間の目詰まり防止を図ることができるものの、かかる砥粒層を構成する砥粒群に含まれる個々の砥粒間の密度が密であるために、個々の砥粒間において目詰まりを生じ易いという問題がある。また、砥粒の形状がブロッキーなもののみならず、アンギュラーなものをも用い得るところ、このようなアンギュラーな砥粒からその一部が欠落し、電着工具の十分な長寿命化が図れないことや、欠けた砥粒の一部が研磨用ポリッシングパッドの表面に入り込み、半導体ウエハの表面にスクラッチを形成するなど、半導体ウエハの表面に深刻な欠陥を生じる虞があった。
【0018】
本発明は前記課題に鑑みて創案されたものであり、その目的はCMP用コンディショナなどの電着工具の研削面に超砥粒の砥粒密度を疎に構成し、且つ、その砥粒を任意的且つ規則的に配列し、更に、砥粒の鋭いエッジ部分が被削材に当接する電着工具を製造する方法を提供することにある。特に、半導体ウエハ研磨用ポリッシングパッドをコンディショニングする際に当該パッドの摩耗を出来るだけ抑えることができ、且つ、常に所望の研磨精度・研磨速度を得ることができるように半導体ウエハの研磨用ポリッシングパッドの表面状態を一定に保持するとともに、砥粒の脱落がなく、砥粒の目詰まりを起こし難いCMP用コンディショナをはじめとする電着工具を製造する方法を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決した本発明に係る電着工具の製造方法は以下のようなものである。
すなわち、請求項1記載の電着工具の製造方法は、凹設加工用マスキング工程と、凹設加工工程と、砥粒載置工程と、メッキ仮固定工程と、凹設加工用マスキング剥離工程と、メッキ固着工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
このように、請求項1記載の電着工具の製造方法は、凹設加工用マスキング工程によって台金の表面を覆うマスキング部分と、当該マスキング部分に任意的且つ規則的に非マスキング部分を配設することができる。また、凹設加工工程によって前記非マスキング部分に現れている台金の表面にエッチング等を行うことにより、砥粒の平均粒径の3〜80%の深さの窪み部分を設けることができる。
さらに、当該窪み部分に、砥粒載置工程を施すことによって窪みの一番低い部分の略中央付近にブロッキーな砥粒のエッジがくるようにすることができるので、被削材に対して当該砥粒のエッジを立てた状態でこれを載置することができる。
そして、メッキ仮固定工程によって前記のように載置された砥粒をメッキ層によって台金の表面に仮固定し、砥粒の仮固定後に行う凹設加工用マスキング剥離工程によってマスキング部分を除去した後、メッキ固着工程を台金の表面に施すことによって、仮固定されていた砥粒を強固に固着することができる。
【0021】
なお、ブロッキーな砥粒とは特に目立った鋭利な角を有しておらず、概してほぼ安定した面、角、稜によって構成された砥粒をいい、例えば図8(a)及び(b)に模式的に示すような立方八面体構造を有する砥粒や、より好ましくは図7に示す立方八面体構造を有する砥粒を示すことができる。
また、ブロッキーな砥粒に相対する砥粒としてアンギュラーな砥粒があるが、アンギュラーな砥粒とは、必要以上に鋭利な突起部分を有し、比較的破砕し易い双晶構造を有する砥粒をいう。
【0022】
さらに、請求項2記載の電着工具の製造方法は、請求項1に記載の電着工具の製造方法において、前記メッキ固着工程が、仮固定されている砥粒の隙間に、当該砥粒よりも小径の砥粒を載置し、当該砥粒と小径の砥粒とを台金の表面に固着させることを特徴とする。
【0023】
このような電着工具の製造方法とすることにより、前記非マスキング部分に載置した砥粒と、この砥粒の間に小径の砥粒をさらに載置し、固着した構成とする電着工具を製造することができる。
【0024】
また、請求項3記載の電着工具の製造方法は、請求項1又は2に記載の電着工具の製造方法において、前記メッキ固着工程後、少なくとも前記メッキ層に耐硝酸性の保護用メッキ層を被覆することを特徴とする。
このような電着工具の製造方法とすることで、メッキ層の上に耐酸性の保護用のメッキ層を被覆した電着工具を製造することができる。
【0025】
また、請求項4記載の電着工具の製造方法は、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の電着工具の製造方法において、前記砥粒載置工程が、固着された砥粒の上面投影面積が台金の表面の総面積の2〜80%になるように砥粒を載置することを特徴とする。
【0026】
このような電着工具の製造方法とすることによって、固着された砥粒の上面投影面積が台金の表面の総面積の2〜80%になるように砥粒を載置するので、砥粒密度が密になり過ぎない電着工具、特に、CMP用コンディショナとして好適に用いることのできる電着工具を製造することが可能である。
【0027】
さらに、請求項5記載の電着工具の製造方法は、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電着工具の製造方法において、前記凹設加工用マスキング工程又は前記砥粒載置用マスキング工程において、非マスキング部分の大きさを、砥粒1個の上面投影面積に対して50〜700%の大きさに設けることを特徴とする。
【0028】
このような電着工具の製造方法によれば、前記凹設加工用マスキング工程又は前記砥粒載置用マスキング工程によって作製される非マスキング部分の大きさを砥粒1個の上面投影面積に対して50〜700%の大きさとするので、1つの非マスキング部分に載置される砥粒の個数を、望ましくは1個から任意の複数個まで自在に載置した電着工具を製造することができる。
【0029】
請求項6記載の電着工具は、台金と、当該台金の研削側表面上にメッキ層によってエッジが立つように固着された砥粒と、を含んで構成される電着工具であって、当該砥粒は、電着工具の中心から規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように不連続的に分布するように配置されていることを特徴とする。
更に、請求項7記載の電着工具は、台金と、当該台金の研削側表面上にメッキ層によってエッジが立つように固着された砥粒と、を含んで構成される電着工具であって、当該砥粒は、電着工具の中心から規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように不連続的に分布するように配置されており、かつ、固着されている当該砥粒の上面投影面積が、当該台金の研削側表面の総面積の2〜80%であることを特徴とする。
【0030】
このような電着工具の構成としたことにより、ブロッキーな砥粒のエッジを立てて固着されているので、被削材を効率良く研削することができ、かつ、当該砥粒はメッキ層によって固着しているので、強固に台金に固着することができ、更に、当該砥粒は単層に固着されているので、研削精度の高い電着工具を具現することができる。また、その砥粒の配置は、電着工具の中心から規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように不連続的に分布して配置されているので、どのような角度から研削しても研削残しのない電着工具を具現することができる。
また、固着されている砥粒の上面投影面積を台金の研削側表面の総面積の2〜80%としているので、研削効率の良い電着工具を得ることができる。
【0031】
また、請求項8記載の電着工具は、前記電着工具の研削側表面上に電着された前記砥粒の隙間に、前記砥粒よりも小径の砥粒を固着させてなることを特徴とする請求項6又は7に記載の電着工具に関する。
このような構成としたことにより、この電着工具は渦巻状に不連続的に電着工具の表面に固着された大径の砥粒と、この大径の砥粒の間に固着された小径の砥粒を有するので、研削後の被削材の表面を調整する性能や、被削材の研磨速度に優れた電着工具とすることができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
次に、本発明に係る電着工具の製造方法の実施の態様について、適宜図面を参照しつつ説明する。
図1は電着工具の製造方法の実施の態様を説明するフローチャートを示す図であり、図2は電着工具の製造方法の製造過程について説明する拡大縦断面説明図であって、(a)は台金の表面にマスキングを施し、非マスキング部分を形成した図、(b)はエッチングによって窪み部分を作製した図、(c)は砥粒を載置し、メッキによる砥粒の仮固定を行った図、(d)はマスキングを剥離し、メッキによる砥粒の固着を行った図、(e)はメッキによる砥粒の固着後に、メッキ表面を保護するための保護用メッキを施した図である。なお、図6に示す図は電着工具の全体外観斜視図である。
【0033】
まず、本発明に係る電着工具の製造方法について図1及び図2を参照して詳細に説明する。なお、本発明に係る電着工具の製造方法によって製造された電着工具8は、図6に示すように、台金1の表面に研削面9を備えている。この電着工具8の研削面9は、ブロッキーな砥粒4、または、ブロッキーな砥粒4及びこれより小径な砥粒7をメッキ層によって固着されることにより構成されている。
【0034】
電着工具の研削面9の作製方法は、図1のフローチャートに示すように、凹設加工用マスキング工程(S1)によって台金1の研削側表面11をマスキング部分2で覆い、このマスキング部分2に規則的に配列した非マスキング部分21を作製し(図2(a)参照)、この凹設加工用マスキング工程(S1)により作製された非マスキング部分21に現れた台金1の研削側表面11に、凹設加工工程(S2)を施し、砥粒の平均粒径の3〜80%、より好ましくは30〜60%の深さで窪み部分3を設ける(図2(b))。
【0035】
そして、砥粒載置工程(S3)を施すことにより、ブロッキーな砥粒4を前記凹設加工工程(S2)によって設けられた窪み部分3にエッジを立てた状態で載置し、前記砥粒載置工程(S3)によって載置された砥粒4にメッキ仮固定工程(S4)を施し、仮固定用メッキ51を形成することによって台金1の研削側表面11に凹設された窪み部分3に砥粒4を仮固定する(図2(c))。
【0036】
次に、凹設加工用マスキング剥離工程(S5)を施すことによって、前記凹設加工用マスキング工程(S1)によってマスキングされたマスキング部分2を剥離し、このマスキング部分2を剥離した後に、前記仮固定用メッキ51によって台金1の研削側表面11に仮固定されている砥粒4にメッキ固着工程(S6)を施し、固着用メッキ層5を形成することにより固着する(図2(d))。このように構成することによって、台金1の研削側表面11に窪み部分3を設け、そこに被削材に対し砥粒4の角が当接するようにメッキ層5によって固着された研削面9を有する電着工具8の製造方法を具現することができる(図2(d))。
なお、図2(e)は後記する保護用メッキ層6を固着用メッキ層5の上に施した電着工具8の研削面9の様子を示す断面図である。
【0037】
また、次に本発明の他の実施の形態に係る電着工具の製造方法について、図3及び図4を参照して説明する。図3は電着工具の製造方法の他の実施の態様を説明するフローチャートを示す図であり、図4は電着工具の製造方法の他の実施の態様の製造過程について説明する拡大縦断面説明図であって、(a)は台金の表面にマスキングを施し、非マスキング部分を形成した図、(b)は砥粒を載置し、メッキによる砥粒の仮固定を行った図、(c)はマスキングを剥離し、メッキによる砥粒の固着を行った図である。
【0038】
すなわち、本発明の他の実施の形態に係る電着工具の製造方法としては、台金の表面に、砥粒の平均粒径の3〜80%の厚さでマスキングを行い、当該マスキング部分に、規則的に配列した非マスキング部分を設ける砥粒載置用マスキング工程と、前記砥粒載置用マスキング工程により設けられた非マスキング部分に現れた台金の表面にブロッキーな砥粒をエッジを立てた状態で載置する砥粒載置工程と、前記砥粒載置工程によって載置された砥粒をメッキにより台金の表面に仮固定するメッキ仮固定工程と、前記砥粒載置用マスキング工程によってマスキングされたマスキング部分を剥離する砥粒載置用マスキング剥離工程と、前記砥粒載置用マスキング剥離工程後に、前記メッキ仮固定工程によって台金の表面に仮固定されている砥粒群を、更にメッキ層により固着するメッキ固着工程と、を含むことを特徴とする電着工具の製造方法を挙げることができる。
【0039】
本発明の他の実施の形態に係る電着工具の製造方法は、図3のフローチャートに示すように、まず、砥粒載置用マスキング工程(S7)によって、砥粒4の平均粒径の3〜80%の厚さのマスキング部分2と、規則的に配列した非マスキング部分21を台金1の研削側表面11に設ける(図4(a))。
【0040】
砥粒載置工程(S8)を施すことによって、ブロッキーな砥粒4を、前記非マスキング部分21と台金1の研削側表面11で構成される穴211にこの砥粒4のエッジが被削材に当接する状態で載置し、更にこの砥粒4を仮固定するためのメッキ仮固定工程(S9)を施し、仮固定用メッキ51をこの砥粒4と台金1の研削側表面11の間に形成することによって、これらを仮固定する(図4(b))。
【0041】
次に、砥粒載置用マスキング剥離工程(S10)を施すことによって、前記砥粒載置用マスキング工程(S7)によって台金1の研削側表面11をマスキングしているマスキング部分2を剥離した後に、メッキ固着工程(S11)を施すことにより、前記仮固定用メッキ51によって台金1の研削側表面11に仮固定されている砥粒4を固着用メッキ層5によって固着する。
このように構成することによっても、本発明に係る電着工具の製造方法を具現することができ、台金1の研削側表面11に、固着用メッキ層5によって被削材に対し砥粒4の角(エッジ)が当接するように固着された研削面9を有する電着工具8の製造方法を具現することができる(図4(c))。なお、前記と同様、後記する保護用メッキ層6によって、固着用メッキ層5の表面を保護することができることはいうまでもない(図2(e)参照)。
【0042】
図5は更に他の実施の態様による電着工具の製造方法によって作製された電着工具の表面の拡大縦断面図である。
前記で説明した電着工具の製造方法において、前記メッキ固着工程(S6及びS11)の際に、メッキ固着作業に先立って任意的且つ規則的に配列されている砥粒4,4・・・間に、前記砥粒4よりも小径の砥粒7を載置し、固着用メッキ層5により固着することにより、砥粒4と小径の砥粒7とをその研削面9に有する電着工具を得ることが可能である(図5参照)。
【0043】
ここで、本発明の電着工具の製造方法で用いることのできる台金1としては、従来電着工具において慣用され、且つメッキ処理が可能な導電性材料からなるものの中から適宣選択して用いることができ、例えば、ステンレス鋼、チタン鋼、タングステン鋼、モリブデン鋼などの各種金属やこれらの合金を用いて作製することができる。また、その形状は、特に限定されるものではないが、電着工具をCMP用ポリッシングパッドのコンディショナ18として用いる場合においては、図6に示すように使用する台金1は円柱状又は円盤状とすることが好ましく、更に、その研削面9は面取り91をしておくことがより好ましい。なお、電着工具の用途に応じて通常用いられる形状を適宜選択することができ、例えば、円錐形状の電着工具を製造することや、円柱形状の電着工具であって当該円柱の円周面に砥粒を固着させた電着工具を製造することができることはいうまでもない。
【0044】
凹設加工用マスキング工程(S1)及び砥粒載置用マスキング工程(S7)としては、台金1の研削側表面11にマスキング部分2と規則的に配列した非マスキング部分21とを設けることができるものであればどのようなものでもよく、斯かる凹設加工用マスキング工程(S1)及び砥粒載置用マスキング工程(S7)に用いるマスキング剤としては、後述するエッチング等による凹設加工処理時に台金を保護し、且つ、砥粒を保持できるような非マスキング部分を容易に形成することのできるものであって、更に、絶縁作用を有するものが好ましい。例えば、紫外線硬化型レジストインク、紫外線硬化型レジストフィルム、マスキングシート、溶剤系マスキング剤、或いはゴム系マスキング剤などを好適に用いることができ、これらの中でも取り扱い性や非マスキング部分の作製時における位置・寸法等を適切に制御する観点から、特に、紫外線硬化型レジストインク、紫外線硬化型レジストフィルム、或いは溶剤系マスキング剤を用いることが好ましい。
なお、凹設加工用マスキングとは、前記台金1の研削側表面11をエッチング等の処理から保護し、非マスキング部における台金1の研削側表面11のみを凹設加工処理(窪み部分3)できるようにするために施すマスキングをいう。
一方、砥粒載置用マスキングとは、図4(a)に示すように、前記台金1の研削側表面11にエッチング等による凹設加工処理を行うことを目的とするものではなく、マスキング2によって形成されるマスキング側壁部21w,21wと前記台金1の研削側表面11とで形成される穴211を設けるために施すマスキングをいう。
【0045】
そして、凹設加工用マスキング工程(S1)及び/又は砥粒載置用マスキング工程(S7)において形成される非マスキング部分21の配列としては、例えば、登録実用新案第1942602号に添付の図面の第1図に示されている、中心より外側に向かって順次渦巻き状となるように、不連続的に分布形成したドット・パターンを有するような配列を好適に示すことができ(図9)、このような配列を有する穴211を、任意的且つ規則的に配列することで、被削材を研磨した場合に、被削材の無研磨部分の少ない電着工具を製造することができる。しかし、非マスキング部分21の配列としてはこれに限定されるものではなく、電着工具の用途、使用方法及び使用条件等に応じて適宣配列やドット密度を変更・選択することができる。
【0046】
また、前記非マスキング部分21の作製方法としては、例えば、紫外線硬化型のマスキング剤を利用したフォトエッチング、スクリーン印刷、或いはパッド印刷、又はレーザーカットなどの方法による非マスキング部分を作製することを好適に用いることができるが、これらに限られるものではなく、非マスキング部分21を設け得る作製方法であればどのようなものでもよく、例えば、微小ドリルによって穿孔してもよい。
【0047】
そして、前記非マスキング部分21の大きさとしては、後述するように1箇所の非マスキング部分21で凹設される窪み部分3に対して砥粒1個を仮固定するのが理想的であることから、砥粒4の平均粒径に対して50〜700%程度、より好ましくは100〜500%程度の大きさとすることが望ましい。
【0048】
次に、凹設加工工程(S2)としては、前記凹設加工用マスキング工程(S1)により設けられた非マスキング部分21に現れた台金1の研削側表面11に、砥粒4の平均粒径の3〜80%、より好ましくは30〜60%の深さD(図2(b)参照)で窪み部分3を設けることのできるものであればどのようなものでもよく、斯かる窪み部分3の作製方法としては、例えば、従来公知のエッチング法を用いることにより、前記非マスキング部分21に現れている台金1の金属部分に化学的な変化を及ぼし、窪み部分3を設けることを好適に例示できる。また、その他の窪み部分3の作製方法としては、研削側表面11上に所望の深さと形状に窪みを作製することのできる微小ドリルや、レーザー照射による穴加工方法によっても前記と同様の窪み部分を作製することが可能である。
【0049】
なお、凹設加工工程(S2)で設けられる窪み部分3の深さDが砥粒4の平均粒径の3%未満であると、砥粒4のエッジを立てるのに十分な深さが得られないので、本発明に係る電着工具の製造方法が目的とする砥粒のエッジ部分が被削材に当接する電着工具を十分に具現化することができない。一方、非マスキング部分21に設けられる窪み部分3の深さDが砥粒4の平均粒径の80%を超えるとメッキ固着工程(S6)を経て製造された電着工具は、被削材に当接する砥粒が十分に突出したものではなくなり、研削能力が著しく劣ることとなる。
従って、本発明において、凹設加工工程(S2)で設けられる非マスキング部分21の深さDは、砥粒の平均粒径の3〜80%とする。より好ましくは、30〜60%とする。
【0050】
また、凹設加工工程(S2)によって作製される窪み部分3の形状としては、砥粒4が当該窪み部分3に固定された時に砥粒4の鋭い角(エッジ)(図7及び図8中のx)や、稜(同図中のz)が電着工具の被削材に当接するように形成されるものであれば特に制限はないが、例えばすり鉢状や円錐形状を呈するように形成することを好適に示すことができる。
【0051】
なお、砥粒載置用マスキング工程(S7;図4参照)のように、マスキング部分2の厚さHを砥粒4の平均粒径の3%〜80%とすることで、後記するように、前記凹設加工工程(S2)で凹設された窪み部分3の底部に、砥粒4のエッジxがくるように載置することができるので、砥粒4の他のエッジx又は/及び稜zを立てて砥粒4を載置したものとほぼ同様の電着工具、すなわち砥粒4のエッジx又は/及び稜zの部分が被削材に当接する電着工具を製造することが可能である。
なお、砥粒載置用マスキング工程(S7)で設けられるマスキング部分2の厚さHが3%未満であると、砥粒4のエッジを立てて載置するのに十分な強度を得ることができず、厚さHが80%を超えると、マスキング部分2を剥離する作業が煩雑なものとなり、好ましくない。
従って、本発明に係る電着工具の製造方法において、砥粒載置用マスキング工程(S7)で設けられるマスキング部分の厚さHは、砥粒の平均粒径の3〜80%とする。
【0052】
砥粒載置工程(S3又はS8)としては、前記凹設加工工程(S2)により設けられた窪み部分3、又は、砥粒載置用マスキング工程(S7)により設けられた穴211にブロッキーな砥粒4を、当該砥粒4のエッジx又は/及び稜zを立てた状態で載置することができればどのようなものでもよい。例えば、凹設加工用マスキング工程(S1)により、砥粒4の平均粒径の40%の深さで窪み部分3を形成した台金1を、砥粒4を懸濁、攪拌したメッキ溶液の中に浸漬し、当該砥粒4を自然沈降させることにより台金1の研削側表面11上に均一に載置することによって、当該研削側表面11上に設けた前記窪み部分3の底部に、当該砥粒4のエッジxがくるように載置することができるので、当該砥粒4の他のエッジx又は/及び稜zが被削材に当接するように載置することができる。なお、当該砥粒載置工程(S3又はS8)においては、必要に応じて、砥粒4を載置した後に当該砥粒を適当な載置状態(例えばエッジxを立てた状態)とするため微振動を与えるなどしてもよい。
【0053】
そして、砥粒載置工程(S3又はS8)において載置される砥粒4の数は、理想的には、1つの凹設された窪み部分3に対して1個の砥粒4を載置することが望ましいが、凹設された窪み部分3の60%以上、より好ましくは80%以上が、1つの凹設された窪み部分3に対して1個の砥粒4が載置されているものであれば、本発明に係る製造方法によって製造された電着工具として、何ら問題なく使用することができる。
【0054】
さらに、本発明の電着工具の製造方法において用いることのできる砥粒4の種類としては、サファイヤ、ルビー、ガーネット、炭化珪素、窒化ケイ素、天然ダイヤモンド、合成ダイヤモンド又はCBN等の中から選択される1種又は2種以上から構成される砥粒を具体的に列挙することができるが、これらの中でも特にダイヤモンド砥粒やCBN砥粒は硬度が高く、耐摩耗性に優れているので好適に用いることができる。
【0055】
特に、本発明の電着工具の製造方法により製造された電着工具をCMP用コンディショナとして用いる場合は、前記砥粒はダイヤモンド砥粒を用いることが好ましく、そのダイヤモンド砥粒の形状としては、図8(a)及び(b)に模式的に示すような立方八面体構造を有するダイヤモンド砥粒を用いることができるが、図7に示す立方八面体構造を有するブロッキーなダイヤモンド砥粒を用いることが特に好ましい。なお、本発明において用いることのできる砥粒としては、前記立法八面体構造を有する砥粒に限られず、ブロッキーな形状を有する立方六面体構造や立方十四面体構造を有する砥粒も用いることができる。
【0056】
また、必要以上に鋭利な突起部分を有し、比較的破砕し易い双晶ダイヤモンド砥粒(アンギュラーな砥粒)の含有率は1wt%以下であることが好ましく、0.5wt%以下であることがより望ましい。更に、使用するダイヤモンド砥粒の粒度は、JIS B 4130に規定する粒度#270/325〜#30/40の粒径を有するダイヤモンド砥粒であることが好ましい。このようにダイヤモンド砥粒の粒度を適切に規定することにより、研磨用ポリッシングパッドの表面の摩耗を抑え、且つ当該表面を好ましい状態に再生することが可能なCMP用コンディショナなどの電着工具を具現できる。
【0057】
また、更に、本発明の製造方法により得られる電着工具をCMP用コンディショナとして用いる場合、前記したように当該電着工具の研削作用面積に対する凹設された窪み部分3の規則的な配列は、図9に示す渦巻き状の不連続的に分布形成することが望ましい。
そして、当該電着工具の研削作用面積に対する凹設された窪み部分3の面積は、2%以下であると研磨用ポリッシングパッドの表面をコンディショニングする能力が十分でなく、80%以上であると砥粒の密度が高過ぎるために、研磨作業において砥粒に負荷がかかり難くなるため、研磨能力が低くなり、また、研磨粒子や研磨クズ等による目詰まりが生じ易い。
従って、本発明においては、当該電着工具の研削作用面積に対する凹設された窪み部分3の面積を2〜80%の範囲とすることとした。
【0058】
凹設加工用マスキング剥離工程(S5)や、砥粒載置用マスキング剥離工程(S10)によって、凹設加工用マスキング工程(S1)や、砥粒載置用マスキング工程(S7)で施されたマスキングを剥離するが、当該剥離作業は、使用したマスキング剤によって剥離する方法が異なるので、用いたマスキング剤に応じた剥離方法、例えば、当該マスキング剤に添付されている取り扱い説明書や、カタログなどに従って剥離作業を行うことが好ましい。なお、この剥離作業において仮固定されている砥粒が脱落しないようにすることが望ましい。
【0059】
メッキ仮固定工程(S4又はS9)、及び、メッキ固着工程(S6又はS11)において、前記砥粒4を仮固定又は固着する方法としては、従来公知の電気メッキ、無電解メッキによる仮固定又は固着する方法を用いることができる(図10、図2(c)及び図4(b)参照)。このときのメッキ浴中の金属イオンとしては銅、クロム、ニッケル等を用いることができるが、硬度などの点からニッケルを用いることが好ましい。この場合のニッケルメッキ浴としてはスファミン酸ニッケルメッキ浴やワット浴を使用することができる。なお、メッキ仮固定工程(S4又はS9)によって仮固定されなかった砥粒4は、ブラッシング等を行うことにより、マスキング部分2により仮固定されなかった砥粒や、仮固定が不十分であった砥粒を除去することができる。なお、必要に応じてこれらメッキ仮固定処理や、メッキ固着処理に先立って、ニッケルストライクメッキ処理や、ワット浴によるメッキ処理による前処理(下地メッキ処理)を行ってもよい。
【0060】
また、砥粒4を固着するための固着用メッキ層5の厚さTが砥粒の平均粒径の50%未満であると、砥粒4を保持する力が不足するおそれがあり、CMPにおけるポリッシング時に砥粒4が当該固着用メッキ層5から脱落し、これが研磨用ポリッシングパッドに残存した場合、ワーク(半導体ウエハ)にスクラッチが入るおそれがある。
従って、砥粒4を固着するための固着用メッキ層5の厚さTは、砥粒の平均粒径の50%〜90%とすることが好ましく、60%〜80%とすることがより好ましい。
【0061】
なお、本発明に係る電着工具の製造方法は前記に記載した内容に限定されるものではなく、電着工具の使用目的等に合わせて種々変更することができる。
例えば、仮固定された砥粒4の保持力の強化、及びコンディショニング後の研磨用ポリッシングパッド表面の調整など、電着工具の性能を向上させることを目的として、メッキ固着工程(S6又はS11)による固着処理の際、砥粒4間に当該砥粒4よりも小径の砥粒7を台金1の研削側表面11上に載置することにより、これらを固着することができる(図5参照)。
なお、このときに用いる小径の砥粒7についても、前記砥粒4と同様、ブロッキーな形状を有する砥粒を使用することが望ましく、その大きさは、例えば砥粒4の平均粒径に対して好ましくは40〜90%、より好ましくは60〜70%程度の径を有する砥粒を好適に用いることができるが、これに限られるものではない。
【0062】
また、例えば、電着工具8(特にCMP用コンディショナ18)を酸性条件下であっても使用することができるように、前記メッキ固着工程(S6又はS11)による固着用メッキ層5によって砥粒4を固着した後に、少なくとも台金1の研削側表面11(電着工具の研削面9)を保護する保護用メッキ層6によって更に被覆することも可能である(図2(e)参照)。
【0063】
すなわち、コンディショニングを行う対象が、半導体ウエハの金属膜用の研磨用ポリッシングパッドである場合、研削液として酸性溶液(硝酸溶液(特に希硝酸))が使用されるので、本発明により製造されたCMP用コンディショナ18(電着工具8)をそのまま使用すると、金属メッキ(ニッケルメッキ)が溶出するため酸性条件下において当該電着工具をそのまま使用することはできない。従って、このような酸性条件下であっても本発明の製造方法によって製造された電着工具を使用する場合には、メッキ固着工程(S6又はS11)により形成された固着用メッキ層5の上を、さらに耐酸性の保護用のメッキ層(保護用メッキ層6)で被覆することが有効である。
【0064】
なお、本発明の製造方法によって製造された電着工具8をCMP用コンディショナ18として用いる場合であって、コンディショニングを行う対象が、半導体ウエハのケイ素酸化皮膜用の研磨用ポリッシングパッドである場合、研削液としてアルカリ性の研削液が使用されるので、CMP用コンディショナ18(電着工具8)を保護用メッキ層6で被覆しない状態であっても使用することができる。
【0065】
そして、斯かるCMP用コンディショナ18(電着工具8)に耐酸性(耐硝酸性)を付与するために行う保護用のメッキ層を被覆する方法としては、従来公知の方法の中から適宣選択して用いることができるが、特に、高濃度のリンを包含するニッケルメッキを使用した無電解ニッケルメッキ法により、砥粒4を固着している固着用メッキ層5を被覆するのが好ましい。例えば、10%〜12%のリンを含有するメッキ層とすることにより耐硝酸性の効果を奏することから、本発明においては、好ましくは11〜11.5%のリンを含有する保護用メッキ層6を形成し、更に好ましくは12%のリンを含有する保護用メッキ層6を形成する。このような保護用メッキ層6を具現するために、本発明においては、例えば、上村工業(株)製の無電解ニッケルメッキ液NDX(11.5%リン含有)、または、無電解ニッケルメッキ液HDX(12%リン含有)のメッキ液を使用することによって好適に耐硝酸性の保護用メッキ層6を形成することができる。なお、当該無電解ニッケルメッキによる保護用メッキ層6のメッキ厚さtは、好ましくは10〜40μm、より好ましくは30〜40μmとすることにより酸性溶液(硝酸溶液)から固着用メッキ層5を保護することができる(図2(e)参照)。
なお、この無電解ニッケルメッキ法によって形成される耐硝酸性の保護用メッキ層6は、研削面の固着用メッキ層5上に施すことができる他、必要に応じてCMP用コンディショナ18の研削面9以外の金属部分、すなわち、台金1の全面に施すことも可能である(図6参照)。
【0066】
更に、ここで用いる無電解ニッケルメッキ法は、メッキ層の付きまわり性や、形成されるメッキ層の厚さの均一性等が良好であり、研削面に固着された砥粒の隙間にも確実に被覆することができる。また、メッキ処理時間を変更することによって保護用メッキ層6の厚さを定量的に管理することが可能であり、メッキが施される箇所によるメッキ層の厚さのバラツキを解消することができるので、メッキ層を保護するための樹脂を被覆する方法と比較して、砥粒の突き出し量を高くとることができ、かつ厳密に制御することができる。更に、当該無電解ニッケルメッキ法による被覆は、金属部分(すなわち、表面が活性化されている部分)のみに被覆することができ、還元性を有しない当該砥粒は当該無電解ニッケルメッキ法によっては被覆されないので、通常は石出し(目出し)作業を行う必要がないが、必要に応じて目出し作業を行ってもよい。
【0067】
次に本発明の電着工具の製造方法によって作製された電着工具について図6及び図9を参照して説明する。なお、図9は本発明において好適に用いることのできる規則的に配列された砥粒のパターンについての模式図である。
本発明の製造方法によって製造された電着工具8(CMP用コンディショナ18)は、台金1の研削側表面上にメッキ層によってエッジが立つように固着された砥粒を含んで構成されている。そして、その砥粒の配置は、電着工具8の中心から規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように不連続的に分布するように配置されている(図9参照)。
【0068】
ここで、砥粒の配置において、前記の「規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように」とは、すなわち、図9の渦巻き状に構成された線で表されるように、砥粒の配置の始点を当該電着工具18の中心Cとした場合に、中心Cから外側に向かって旋回して渦巻きを描いた場合に、線分n,n+1・・・が等しい間隔をもって外側に展開していくことをいうが、台金1の研削側表面上に形成されるその線分の本数やn,n+1・・・の幅は特に限定されることはなく、任意に設定することが可能である。
【0069】
また、砥粒の配置において、前記の「不連続的に分布」とは、図9中のドット「●」で表されるように、規則的に外側に向かって展開された渦巻きの上に、砥粒同士が連ならないようある程度の間隔を保って不連続的な配置となるように分布していることをいう。
なお、この場合であっても、前述したように、砥粒を載置する窪み部分の面積は、当該電着工具の研削作用面積に対して2〜80%の範囲とすることが望ましい。
すなわち、本発明の電着工具の製造方法によれば、図9に表されたような砥粒の分布配置を有する電着工具8(CMP用コンディショナ)を具現することができる(図6)。
【0070】
【実施例】
次に、本発明に係る電着工具の製造方法によって製造された電着工具について、本発明の製造方法による実施例と、従来の製造方法による比較例とを対比することにより、本発明に係る電着工具の製造方法について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>
実施例1は、寸法が直径108mm、厚さ6mmのステンレス鋼の台金の表面にレジストインクを用いてパッド印刷により、図9に示すような規則的に配列した複数の非マスキング部分を作製した。当該非マスキング部分の大きさは、非マスキング部分に固着される砥粒の平均粒径の300%とした。また、非マスキング部分すべての面積は台金の研削作用面積の28%とした。
【0071】
次いで、この台金の非研削面を絶縁テープ及び、マスキング剤によってマスキングを行い、このマスキングを施した台金を金属エッチング用のエッチング溶液(塩化第二鉄液)に10分間浸漬し、台金の表面の非マスキング部分の底部に窪み部分を作製した。なお、この時の窪みの深さは60μmであって、すり鉢状の窪みを形成した。
【0072】
非マスキング部分の台金の表面を洗浄した後に、塩化ニッケル200g/L、塩酸100g/Lを含有するニッケルストライク浴に、前記マスキングを施した台金を浸漬して、陰極側にセットし、電流密度5A/dmで常温にてストライクメッキを10分間行った。次に、ワット浴で電流密度1A/dmで10分間メッキを行い、下地メッキを3μm形成した。メッキ応力と硬度を調節するための添加剤(上村工業株式会社製 アサヒライト)を加えたワット浴に前記台金を浸漬し、この台金の表面に粒度#100/120平均粒径135μmの立方八面体構造のブロッキーなダイヤモンド砥粒(GE社製 MBG−680T)を均一に載置し、電流密度0.3A/dmで1.5時間メッキ処理を行い、非マスキング部分に1〜3個のダイヤモンド砥粒を仮固定した。
【0073】
次に、余剰のダイヤモンド砥粒を払い落とし、電流密度0.3A/dmで2時間、埋め込みメッキ処理を行った後に、表面のマスキングをマスキング剥離液にて剥離した。
【0074】
続いて、マスキングを取り除いた台金の表面をブラッシングと超音波洗浄をする事によって浮き石となっているダイヤモンド砥粒を除去した。なお、この時の非マスキング部分1個に対し、ダイヤモンド砥粒が1個仮固定されていた割合は、台金の表面の非マスキング部分の個数に対して85%であった。
【0075】
そして、マスキングを取り除いた台金の表面を脱脂、活性化等の前処理を行い、前記と同様のニッケルストライク浴に浸漬し、常温、電流密度5A/dmの条件にて10分間メッキを行った。
【0076】
次に、ワット浴で電流密度1A/dmで10分間メッキを行い、下地メッキを形成した。この際、メッキ応力と硬度を調節するための添加剤(上村工業株式会社製 アサヒライト)を加えた。そして、ワット浴に台金を浸漬し、電流密度1A/dmで5.5時間埋め込みメッキを行い、厚さ80μmのメッキ層を形成し、ダイヤモンド砥粒を固着した。
【0077】
最後に、台金のマスキングをすべて取り除き、台金の表面をブラッシングと超音波洗浄を行う事によって浮き石となっているダイヤモンド砥粒を完全に除去し、水洗、乾燥を行い、ダイヤモンド砥粒を用いたCMP用コンディショナ(電着工具)を製造した。
【0078】
このようにして製造されたCMP用コンディショナを用いて、研磨機(ビューラー社製 ECOMET4)、研磨用ポリッシングパッド(ローデル・ニッタ社製 IC−1000)、研磨液(キャボット社製 セミスーパーSS−25)を用いて、荷重35KPa、研磨用ポリッシングパッド回転数100回/min、CMP用コンディショナ回転数56回/minの条件で5分間、研磨用ポリッシングパッドのドレッシングを行った。
【0079】
次に、シリコンウエハ(半導体ウエハ)を用いてCMPを行った。以後、同様に研磨用ポリッシングパッドのコンディショニングとシリコンウエハのCMPを交互に12回ずつ繰り返して行い、研磨用ポリッシングパッドのコンディショニング速度とシリコンウエハの研磨速度を測定した。その結果を表1に示す。
【0080】
<実施例2>
実施例2は、寸法が直径108mm、厚さ6mmのステンレス鋼の台金の表面にレジストインクを用いてパッド印刷により、図9に示すような規則的に配列した複数の非マスキング部分を作製した。当該非マスキング部分の大きさは、非マスキング部分に固着される砥粒の平均粒径の300%とした。また、非マスキング部分すべての面積は台金の研削作用面積の28%とした。
【0081】
次いで、この台金の非研削面を絶縁テープ及び、マスキング剤によってマスキングを行い、このマスキングを施した台金を金属エッチング用のエッチング液(塩化第二鉄液)に10分間浸漬し台金の表面の非マスキング部分の底部に窪み部分を作製した。なお、この時の窪みの深さは60μmであって、すり鉢状の窪みを形成した。
【0082】
非マスキング部分の台金の表面を洗浄した後に、塩化ニッケル200g/L、塩酸100g/Lを含有するニッケルストライク浴に、前記マスキングを施した台金を浸漬して、陰極側にセットし、電流密度5A/dmで常温にてストライクメッキを10分間行った。次に、ワット浴で電流密度1A/dmで10分間メッキを行い、下地メッキを3μm形成した。メッキ応力と硬度を調節するための添加剤(上村工業株式会社製 アサヒライト)を加えたワット浴に前記台金を浸漬し、この台金の表面に粒度#100/120平均粒径135μmの立方八面体構造のブロッキーなダイヤモンド砥粒(GE社製 MBG−680T)を均一に載置し、電流密度0.3A/dmで1.5時間メッキ処理を行い、非マスキング部分に1〜3個のダイヤモンド砥粒を仮固定した。
【0083】
次に、余剰のダイヤモンド砥粒を払い落とし、電流密度0.3A/dmで2時間、埋め込みメッキ処理を行った後に、台金の表面のマスキングをマスキング剥離液にて剥離した。
【0084】
続いて、マスキングを取り除いた台金の表面をブラッシングと超音波洗浄をする事によって浮き石となっているダイヤモンド砥粒を除去した。なお、この時の非マスキング部分1個に対しダイヤモンド砥粒が1個仮固定されていた割合は、台金の表面の非マスキング部分の個数に対して85%であった。
【0085】
そして、マスキングを取り除いた台金の表面を脱脂、活性化、等の前処理を行い、前記と同様のニッケルストライク浴に浸漬し、常温、電流密度5A/dmの条件にて10分間メッキを行った。次に、ワット浴で電流密度11A/dmで10分間メッキを行い、下地メッキを形成した。そして、メッキ応力と硬度を調節するための添加剤(上村工業株式会社製 アサヒライト)を加えたワット浴に台金を浸漬し、台金の表面に粒度#140/170平均粒径85μmのブロッキーなダイヤモンド砥粒(GE社製 MBG−620T)を均一に載置し、電流密度0.2A/dmで0.5時間メッキを行った。
【0086】
続いて、余剰のダイヤモンド砥粒を払い落とし、電流密度1A/dmで5時間固着用メッキ処理を行い、厚さ80μmの固着用メッキ層を形成することでダイヤモンド砥粒を固着した。
【0087】
最後に、台金のマスキングをすべて取り除き、台金の表面をブラッシングと超音波洗浄を行う事によって浮き石となっているダイヤモンド砥粒を完全に除去し、水洗、乾燥を行い、規則的に配列するダイヤモンド砥粒と、これら砥粒間に配設された小径のダイヤモンド砥粒を用いたCMP用コンディショナ(電着工具)を製造した。
【0088】
このようにして製造されたCMP用コンディショナを実施例1と同様、研磨機(ビューラー社製 ECOMET4)、研磨用ポリッシングパッド(ローデル・ニッタ社製 IC−1000)、研磨液(キャボット社製 セミスーパーSS−25)を用いて、荷重35KPa、研磨用ポリッシングパッド回転数100回/min、CMP用コンディショナ回転数56回/minの条件で5分間、研磨用ポリッシングパッドのドレッシングを行った。
【0089】
<比較例1>
比較例1は、寸法が直径108mm、厚さ6mmのステンレス鋼の台金の非研削面を絶縁テープ及びマスキング剤によってマスキングを行った。そして、この台金を脱脂、活性化等の前処理を行い、塩化ニッケル200g/L、塩酸100g/Lを含有するニッケルストライク浴に、前記マスキングを施した台金を浸漬して、陰極側にセットし、常温下、電流密度5A/dmの条件でストライクメッキを10分間行った。次に、ワット浴で電流密度1A/dmで10分間メッキを行い、下地メッキを3μm形成した。メッキ応力と硬度を調節するための添加剤(上村工業株式会社製 アサヒライト)を加えたワット浴に台金を浸漬し、台金の表面に粒度#100/120平均粒径135μmの立方八面体構造のブロッキーなダイヤモンド砥粒(GE社製 MBG−680T)を均一に載置し、電流密度0.3A/dmで1時間メッキ処理を行った。
【0090】
次に、余剰のダイヤモンド砥粒を払い落とし、電流密度0.3A/dmで2時間埋め込みメッキ処理を行った後に、台金の表面をブラッシングと超音波洗浄をする事によって浮き石となっているダイヤモンド砥粒を除去した。
【0091】
そして、電流密度1A/dmで6時間固着用メッキ処理を行い、厚さ80μmのメッキ層を形成し、ダイヤモンド砥粒を固着した。最後に、台金のマスキングをすべて取り除き、台金の表面をブラッシングと超音波洗浄を行う事によって浮き石となっているダイヤモンド砥粒を完全に除去し、水洗、乾燥を行い、ダイヤモンド砥粒を用いたCMP用コンディショナ(電着工具)を製造した。
【0092】
このようにして製造されたCMP用コンディショナを実施例1と同様、研磨機(ビューラー社製 ECOMET4)、研磨用ポリッシングパッド(ローデル・ニッタ社製 IC−1000)、研磨液(キャボット社製 セミスーパーSS−25)を用いて、荷重35KPa、研磨用ポリッシングパッド回転数100回/min、CMP用コンディショナ回転数56回/minの条件で5分間、研磨用ポリッシングパッドのドレッシングを行った。
【0093】
次に、シリコンウエハ(半導体ウエハ)を用いてCMPを行った。以後、同様に研磨用ポリッシングパッドのコンディショニングとシリコンウエハのCMPを交互に12回ずつ繰り返して行い、研磨用ポリッシングパッドのコンディショニング速度とシリコンウエハの研磨速度を測定した。その結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
Figure 2004358640
【0095】
その結果、表1に示すように、実施例1のCMP用コンディショナを用いて研磨用ポリッシングパッドをコンディショニングした結果、コンディショニング速度は179μm/hr、ウエハ研磨速度は2970Å/hrであった。また、実施例2のCMP用コンディショナを用いて研磨用ポリッシングパッドをコンディショニングした結果、コンディショニング速度は184μm/hr、ウエハ研磨速度は3200Å/hrであった。
これに対し、比較例1のCMP用コンディショナを用いて研磨用ポリッシングパッドをコンディショニングした結果、コンディショニング速度は127μm/hr、ウエハ研磨速度は2510Å/hrという結果であった。
【0096】
前記のように、実施例1及び実施例2のCMP用コンディショナは、比較例1のCMP用コンディショナよりも研磨用ポリッシングパッドのコンディショニング速度(単位時間当たりの研磨量)が約42%程度早くなった。また、半導体ウエハの研磨速度(単位時間当たりの研磨量)についても、前記と同様に実施例1及び実施例2のCMP用コンディショナは、比較例1のCMP用コンディショナよりも25%程度早くなった。
【0097】
従って、実施例1及び実施例2によって作製されたCMP用コンディショナは、従来の電着工具の製造方法によって製造されたCMP用コンディショナよりも切れ味が良く、コンディショニング効率に優れていることが分かる。なお、実施例1と実施例2を比較すると、実施例2によるCMP用コンディショナの方がコンディショニング効率が優れていることが分かる。
【0098】
以上説明したように、本発明に係る電着工具の製造方法によって製造される電着工具はCMP用コンディショナとして好適に用いることができるが、これに限定されるものではなく、本発明に係る電着工具の製造方法によって製造される電着工具は、プラスチック、ガラス、セラミックス、金属その他の研削加工においても好適に用いることができることはいうまでもない。
また、本発明は前記した実施の形態や実施例に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲において広く変形実施することができることはいうまでもない。
【0099】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、電着工具の台金の表面にエッチング等により窪み部分を設けているので、当該窪み部分に砥粒を載置し、メッキ層によって強固に固着することにより、被削材に当接する砥粒箇所を、砥粒のエッジ又は/及び稜とすることができるので、従来の電着工具よりも研削能力に優れた電着工具の製造方法を具現することができる。
【0100】
また、請求項2に記載の発明によれば、固着用メッキ層の上に、当該メッキ層を酸性溶液から保護するための保護用メッキを被覆するので、酸性溶液を用いる場合であっても使用することのできる電着工具の製造方法を具現することができる。
【0101】
また、請求項3に記載の発明によれば、規則的に配置された径の大きな砥粒と、これら砥粒の間に径の小さな砥粒を載置しているので、固着メッキ層による砥粒の保持力の強化及び研削能力がより向上した電着工具の製造方法を具現することができる。特に、得られた電着工具をCMP用コンディショナとして用いた場合において、研磨用ポリッシングパッドのコンディショニングの際に、当該パッドの表面の調整(再生)を効率良く行うことのできる電着工具の製造方法を具現することができる。
【0102】
請求項4に記載の発明によれば、固着される砥粒の量を規制しているので、被削材に合わせた砥粒密度を有する電着工具の製造方法を具現することができる。
【0103】
更に、請求項5に記載の発明によれば、非マスキング部分の大きさを砥粒の大きさの50〜700%としているので、斯かる非マスキング部分に載置する砥粒の個数を任意に変更することのできる電着工具の製造方法を具現することができる。
【0104】
請求項6及び請求項7に記載の発明によれば、被削材を効率良く研削することができ、研削精度の高い電着工具を具現することができる。また、研削残しのない電着工具を具現することができる。
【0105】
請求項8に記載の発明によれば、研削後の被削材の表面を調整する性能や、被削材の研磨速度に優れた電着工具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電着工具の製造方法の実施の態様を説明するフローチャートを示す図である。
【図2】電着工具の製造方法の製造過程について説明する拡大縦断面説明図であって、(a)は台金の表面にマスキングを施し、非マスキング部分を形成した図、(b)はエッチングによって窪み部分を作製した図、(c)は砥粒を載置し、メッキによる砥粒の仮固定を行った図、(d)はマスキングを剥離し、メッキによる砥粒の固着を行った図、(e)はメッキによる砥粒の固着後に、メッキ表面を保護するための保護用メッキを施した図である。
【図3】電着工具の製造方法の他の実施の態様を説明するフローチャートを示す図である。
【図4】電着工具の製造方法の他の実施の態様の製造過程について説明する拡大縦断面説明図であって、(a)は台金の表面にマスキングを施し、非マスキング部分を形成した図、(b)は砥粒を載置し、メッキによる砥粒の仮固定を行った図、(c)はマスキングを剥離し、メッキによる砥粒の固着を行った図である。
【図5】更に他の実施の態様による電着工具の製造方法によって作製された電着工具の表面の拡大縦断面図である。
【図6】電着工具の全体外観斜視図である。
【図7】本発明において好適に用いることのできる立方八面体構造を有する砥粒を示す図である。
【図8】(a)及び(b)は、それぞれ本発明において使用することのできる立方八面体構造を有する砥粒を模式的に示す図である。
【図9】本発明において好適に用いることのできる規則的に配列された砥粒のパターンについての模式図である。
【図10】メッキ処理についての説明図である。
【図11】CMP(ケミカルメカニカルポリッシング)の様子を示す図である。
【符号の説明】
1,10 台金
2 マスキング部分
21 非マスキング部分
3 窪み部分
4,40 砥粒
5,50 固着用メッキ層
51 仮固定用メッキ
6 保護用メッキ層
7 小径の砥粒
8,80 電着工具
18,180 CMP用コンディショナ
9,90 研削面
211 穴
x 角(エッジ)
y 面
z 稜
D 窪み部分の深さ
H 砥粒載置用マスキング部分の厚さ
T 固着用メッキ層の厚さ
t 保護用メッキ層の厚さ

Claims (8)

  1. 台金の表面を覆うマスキング部分に規則的に配列した非マスキング部分を設ける凹設加工用マスキング工程と、
    前記凹設加工用マスキング工程により設けられた非マスキング部分に現れる台金の表面に、砥粒の平均粒径の3〜80%の深さで窪み部分を設ける凹設加工工程と、
    前記凹設加工工程により設けられた窪み部分にブロッキーな砥粒をエッジを立てた状態で載置する砥粒載置工程と、
    前記砥粒載置工程によって載置された砥粒をメッキにより台金の表面に仮固定するメッキ仮固定工程と、
    前記凹設加工用マスキング工程によってマスキングされたマスキング部分を剥離する凹設加工用マスキング剥離工程と、
    前記凹設加工用マスキング剥離工程後に、前記メッキ仮固定工程によって台金の表面に仮固定されている砥粒群を、更にメッキ層により固着するメッキ固着工程と、
    を含むことを特徴とする電着工具の製造方法。
  2. 前記メッキ固着工程が、仮固定されている砥粒の隙間に、当該砥粒よりも小径の砥粒を載置し、当該砥粒と小径の砥粒とを台金の表面に固着させることを特徴とする請求項1に記載の電着工具の製造方法。
  3. 前記メッキ固着工程後、少なくとも前記メッキ層に耐酸性の保護用メッキ層を被覆することを特徴とする請求項1又は2に記載の電着工具の製造方法。
  4. 前記砥粒載置工程が、固着された砥粒の上面投影面積が台金の表面の総面積の2〜80%になるように砥粒を載置することを特徴とする請求項1から3のうちいずれか一項に記載の電着工具の製造方法。
  5. 前記凹設加工用マスキング工程又は前記砥粒載置用マスキング工程において、非マスキング部分の大きさを、砥粒1個の上面投影面積に対して50〜700%の大きさに設けることを特徴とする請求項1から4のうちいずれか一項に記載の電着工具の製造方法。
  6. 台金と、当該台金の研削側表面上にメッキ層によってエッジが立つように固着された砥粒と、を含んで構成される電着工具であって、
    当該砥粒は、電着工具の中心から規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように不連続的に分布するように配置されていることを特徴とする電着工具。
  7. 台金と、当該台金の研削側表面上にメッキ層によってエッジが立つように固着された砥粒と、を含んで構成される電着工具であって、
    当該砥粒は、電着工具の中心から規則的に外側に向かって順次渦巻き状となるように不連続的に分布するように配置されており、かつ、
    固着されている当該砥粒の上面投影面積が、当該台金の研削側表面の総面積の2〜80%であることを特徴とする電着工具。
  8. 前記電着工具の研削側表面上に電着された前記砥粒の隙間に、前記砥粒よりも小径の砥粒を固着させてなることを特徴とする請求項6又は7に記載の電着工具。
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