JP2003285271A - ダイヤモンド工具 - Google Patents
ダイヤモンド工具Info
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Abstract
ダイヤモンド工具において、異なる結晶構造の砥粒の使
用によって、砥粒に依存するダイヤモンド工具の研削性
能をより一層向上させる。 【解決手段】 砥粒層を形成するのに切頭八面体ダイヤ
モンド砥粒と六・八面体ダイヤモンド砥粒の両方を使用
することで、六・八面体砥粒の作用により、切頭八面体
砥粒先端面が被加工材に深く食い込むことを防止し、ま
た、砥粒の負荷が小さくなり、切頭八面体砥粒先端の摩
耗が抑えられて、研削性が安定し、工具の寿命が長くな
る。切れ味が劣る六・八面体砥粒の不具合は切頭八面体
砥粒の切れ味の良さによって補われる。
Description
どの平坦化に用いられるポリッシングパッドのパッドコ
ンディショナのような、砥粒の結晶構造、形状が研削性
能に大きく関与するダイヤモンド工具に関する。
上げのために行われるポリッシングは、とくに半導体L
SIデバイス製造工程においては、素材加工をはじめ各
種積層膜の平坦化において重要な加工技術であり、半導
体の高記憶容量化に対応して、その加工精度(面粗度、
平坦度)、加工品位(無欠陥、無歪み)、加工性能はよ
り高いものが求められている。ポリッシングは、ポリッ
シャのポリッシングパッド上に軟質砥粒を散布して被加
工物を押しつけることにより実施され、軟質砥粒と被加
工物間の化学的、機械的作用により材料除去を行う方法
はCMP(Chemical & Mechanica
l Polishing)加工と称されている。
ウエハなどをポリッシングする場合、ポリッシャとして
は一定の弾性率、繊維形状、形状パターンを持ったポリ
ウレタン製のポリッシングパッドが使用される。ポリッ
シュは機械加工としては最終工程であり、平面度1μm
前後、面粗度RMAX 10Åレベルが達成されなければな
らない。このポリッシング加工工程において、安定した
加工性能を維持するためには、ポリッシングパッド表面
の定期的修正が必要であり、ダイヤモンド砥粒を固着さ
せて砥粒層を形成したパッドコンディショナを使用し、
CMP加工と同時に、または定期的にポリッシングパッ
ド表面の劣化層を除去するとともに、適正な面状態を得
るようにしている。
の表面に砥粒を単層に固着した工具は、砥粒を多層に固
着した工具に比べて砥粒の突き出し量が大きく切れ味に
優れ、また複雑な総型形状が創生しやすいという特徴が
あり、その反面、有効な砥粒が一層のみであるため、砥
粒の配列状態や先端切れ刃状態がその研削性能に大きく
影響を与える。とくにCMP加工用パッドコンディショ
ナは、シリコンデバイスなどのポリッシングパッドのコ
ンディショニングに使用されるため、ポリッシング条件
に合った所定の切れ味を有したうえで、使用中における
砥粒脱落、砥粒欠損によるポリッシングパッド上への硬
質物質の付着がなく、かつパッドコンディショニング面
の平坦性、均質性、安定性の確保が大きな課題となる。
状の例として電着パッドコンディショナの形状例を示す
図で、(a)は母材に砥粒層を形成した複数個のセグメ
ントをリング状の台金に連続配置したリングタイプのパ
ッドコンディショナであり、(b)は母材に砥粒層を形
成した多数個のペレットをリング状の台金に間隔をおい
て配置したペレットタイプのパッドコンディショナであ
り、(c)は比較的小径の台金を母材としてこの母材の
全面に砥粒層を形成したディスクタイプのパッドコンデ
ィショナである。
パッドコンディショナの一例を示す斜視図であり、ダイ
ヤモンド砥粒をNiメッキ層によって鉄製母材に電着さ
せたプレート10をフランジ41に取り付け、裏面から
ネジで固定してパッドコンディショナ40としたもので
ある。このパッドコンディショナ40を、図6に示すよ
うなCMP加工装置のポリッシャ50表面のポリッシン
グパッド51に押し付けてコンディショニングを行う。
なお図中、60はシリコンウエハなどの被研磨材の吸着
盤であり、70は研磨スラリーの供給装置である。
従来の製造工程の例を示す図で、同図(a)に示す母材
11を同図(b)に示すように絶縁体21でマスキング
した状態で、同図(c)に示すようにメッキ液31中に
浸漬し、まず、Niメッキ層14aで砥粒13を保持す
る仮固定を行う。この仮固定工程の後に、浮いた砥粒1
3aを除去して所定の砥粒密度となるようにする。つい
で同図(d)に示すように、砥粒粒径の60〜70%に
相当する厚さのNiメッキ層14で砥粒13を固定する
埋め込み固定を行い、この後、絶縁体21を剥がし、配
線除去、母材磨きなどを施してプレート(図5のプレー
ト10参照)とする。
ド砥粒は合成条件によりその結晶形は異なり、{11
1}面を主体とする八面体、{100}面を主体とする
六面体、{111}面と{100}面からなる六・八面
体などがある。また、六面体および八面体においても完
璧なものは存在が難しく、実際には砥粒の結晶形が整っ
たものとしては切頭八面体と六・八面体が一般的であ
り、通常ダイヤモンド工具に用いられている砥粒は、切
頭八面体の砥粒または六・八面体の砥粒である。しかし
ながら、ダイヤモンド工具用の砥粒として切頭八面体の
砥粒または六・八面体の砥粒を用いた場合、双方ともそ
れぞれ不具合な点を有している。
加工用パッドコンディショナにおいて切頭八面体の砥粒
または六・八面体の砥粒を用いる場合、結晶の{11
1}面の垂線をパッドコンディショナ基体固定面に投影
した線分がパッドコンディショナの研削方向とほぼ平行
となる方向に揃えて配置したときに、ポリッシングパッ
ドのコンディショニングが最も効果的に行われ、かつパ
ッドコンディショナの砥粒の欠けが生じにくい配置とな
ることを本出願人は先に特願2001−72996号で
特許出願しているが、この場合の砥粒の姿勢は図8の
(a)および(b)に示すようになる。
8の(a))は、砥粒先端のフラット面が少なく、{1
00}面から形成される稜辺は相対的に鋭角であり切れ
味に優れ、パッド表面の微小な気孔を押し潰すことなく
スラリーの保持のよいパッド作用面を創生することがで
きる。しかし切れ刃が小面積、鋭角であるために摩耗、
摩滅により切れ味の持続が困難となり、パッドコンディ
ショナの寿命としては短くなる。また六・八面体(図8
の(b))は、砥粒先端にフラットな結晶面が存在し、
また{111}面と{100}面が形成する稜辺が鈍角
となり、切れ刃としては不充分となる。ただし、砥粒先
端の摩耗は小さいため、コンディショニング性は安定す
る。
工程において製品であるウエハの研磨レートおよび平面
度に与える影響は大きく、コンディショニング性の安定
化、パッドコンディショナの長寿命化が強く望まれてい
る。とくにパッドコンディショナの性能はダイヤモンド
砥粒の特性に依存する面が大きく、従来のように単一種
類の砥粒で今まで以上のコンディショニング性と寿命の
向上を図ることは困難になってきている。
ディショナに限らず、他のダイヤモンド工具においても
言えることである。本発明において解決すべき課題は、
CMP加工用パッドコンディショナのようなダイヤモン
ド工具において、異なる結晶構造の砥粒の使用によっ
て、砥粒に依存するダイヤモンド工具の研削性能をより
一層向上させることにある。
ダイヤモンド砥粒を固着させたダイヤモンド工具におい
て、ダイヤモンド砥粒として結晶構造が切頭八面体を基
本とした砥粒と六・八面体を基本とした砥粒とを使用し
たダイヤモンド工具である。ここで、切頭八面体または
六・八面体を基本とした砥粒という意味は、結晶形が完
璧な形状に整ったものだけではなく、多少不整形なもの
も含むという意味である。
切頭八面体を基本としたダイヤモンド砥粒(以下、たん
に切頭八面体砥粒という)と六・八面体を基本としたダ
イヤモンド砥粒(以下、たんに六・八面体砥粒という)
の両方を使用することで、それぞれの砥粒の特性が互い
に作用して、両砥粒を単独に使用した場合の不具合を解
消することができる。具体的には、ダイヤモンド工具が
パッドコンディショナの場合、砥粒先端部に比較的広い
フラットな面が存在する六・八面体砥粒の作用により、
切頭八面体砥粒の先端面がポリッシングパッドに深く食
い込むことを防止して、ポリッシングパッドの摩耗が抑
えられる。また、切頭八面体砥粒の先端面がポリッシン
グパッドに深く食い込むことがなくなるため、砥粒の負
荷が小さくなり、切頭八面体砥粒の先端の摩耗が抑えら
れ、コンディショニング性が安定し、パッドコンディシ
ョナの寿命が長くなる。一方、切れ味が劣る六・八面体
砥粒の不具合は切頭八面体砥粒の切れ味の良さによって
補われる。
面体砥粒(Db)の混合比(Da/Db)は30/70
〜70/30の範囲内とするのが好ましい。混合比がこ
の範囲内であれば、上記の両砥粒の相互作用が期待で
き、ポリッシングパッドのコンディショニング性の安定
化、パッドコンディショナの長寿命化、スクラッチレス
化を達成することができる。また、この混合比を調整す
ることで、コンディショニング性の強弱を調整すること
ができる。たとえばポリッシングパッドの研磨スラリー
保持性を良くし、高能率なポリッシング性を得たい場合
は、Da/Dbを70/30とし、逆にポリッシングパ
ッドの損耗量を少なくしかつパッドコンディショナの切
れ味の持続性、寿命を長くするためには、Da/Dbを
30/70とし、中間の性能が必要な場合は適宜その混
合比を変化させる。
切頭八面体砥粒の単独使用の場合と大差なく、ポリッシ
ングパッドの損耗が激しくかつパッドコンディショナの
砥粒先端摩耗が激しく、安定したコンディショニング性
能が得られない。またDa/Dbが30/70より小さ
い場合は六・八面体砥粒の単独使用の場合と大差なく、
砥粒先端の切れ刃面がフラットなものの比率が大きくな
り、コンディショニング性が悪くポリッシング性能に問
題を生じる。
砥粒の混合比を適正に設定し、かつ両砥粒を規則的に配
列させることで、安定したコンディショニング性が得ら
れる。しかし、砥粒の稜辺が作用面に立った姿勢で台金
に固着された場合は、ポリッシングパッドの研削性が変
化することとなり、砥粒の稜辺の方向性によりコンディ
ショニング性が不安定になる傾向がある。この問題に対
しては、砥粒先端の{100}面が台金基準面に平行に
なる姿勢で台金に固着させることで、ポリッシングパッ
ドの研削性が安定し、さらにコンディショニング性が安
定する。ただし、砥粒層の形成工程において使用される
絶縁シートの各孔に砥粒を配設(後述の
が台金基準面に平行な姿勢で固着される砥粒の割合は4
0〜50%である。これは、絶縁シートの孔の壁に砥粒
が接触することで傾いた姿勢で砥粒が固着されるためで
ある。本発明者の実験研究によれば、コンディショニン
グ性を安定化するためには、砥粒先端の{100}面が
台金基準面と平行に固着されている砥粒の割合が全固着
砥粒の50%以上あることが望ましく、更に安定性を増
すためには80%以上あることが望ましい。このような
状態にするためには、砥粒を絶縁シートの孔に配設した
後、絶縁シートに振動を付与すれば絶縁シートの孔の壁
に接触して傾いている姿勢の砥粒が確実に孔の中に配設
でき、50%以上の砥粒が台金基準面に対して{10
0}面が平行な姿勢となる。また切頭八面体砥粒を配設
する絶縁シートの孔径を砥粒平均粒径の80%として
{100}面を基準に砥粒を配設し、絶縁シートに振動
を付加することで、80%以上の砥粒が台金基準面に対
して{100}面が平行な姿勢となる。
面体砥粒の粒径より大きい粒径の切頭八面体砥粒を使用
するのが効果的である。逆に砥粒先端の摩耗を抑え、ポ
リッシングパッドの損耗を少なくしたいときは、切頭八
面体砥粒の粒径より大きい粒径の六・八面体砥粒を使用
するのが効果的である。さらに使用条件に応じ、切頭八
面体砥粒を砥粒層の外周側に配設し、六・八面体砥粒を
砥粒層の内周側に配設したり、逆に、切頭八面体砥粒を
砥粒層の内周側に配設し、六・八面体砥粒を砥粒層の外
周側に配設したりすることも効果的である。
ドコンディショナに適用した実施形態におけるパッドコ
ンディショナのプレートを模式的に示す図であり、
(a)は平面図、(b)は(a)のA−A線断面図であ
る。図2は図1のプレートの砥粒層の形成手順を示す説
明図である。
ート1は、円盤状の鉄製母材2と、母材2の一面側に形
成された砥粒層3とで構成されており、母材2の外径は
100mm、厚さは6mmである。ただし、図面は厚さ
を誇張して示している。
径165μm、最小粒径139μm)の切頭八面体砥粒
4aと六・八面体砥粒4bと厚さ90μmのNiメッキ
層5とにより構成されており、図2の(a)から(e)
に示す手順により形成される。図2において、(a)は
砥粒層形成前の母材2を示し、(b)は砥粒層を形成し
ない周面に絶縁体21をコーティングしてマスキングし
た状態を示し、(c)はステンレス鋼製の定盤6、
(d)はポリイミド製の絶縁シート7をそれぞれ示す。
の砥粒の先端高さの差が5μm以内の範囲となるよう
に、定盤上面の平坦度を5μm以下としている。絶縁シ
ート7は厚さ75μmで、面内に孔7aを多数形成して
いる。孔7aは、六・八面体砥粒用として内径0.2m
m、切頭八面体砥粒用として内径0.12mmで、隣り
合う孔どうしの中心間隔は0.4mmである。孔どうし
の中心間隔は、隣り合う砥粒の中心間隔を砥粒平均粒径
の2〜10倍の範囲になるよう設定する。
7をメッキ槽30内の定盤6上に載置し、絶縁シート7
の各孔7a内に切頭八面体砥粒4aと六・八面体砥粒4
bを交互に1個づつ配設し、この上から母材2の電着面
を下にし砥粒上に載置する。この状態でメッキ槽30に
メッキ液31を充填し、電着により切頭八面体砥粒4a
と六・八面体砥粒4bをNiメッキ層15により35μ
mの厚さで仮固定し、その後、定盤6と絶縁シート7を
除いて再び電着により砥粒4を本固定して、図1に示す
プレート1を得る。
八面体砥粒4aと六・八面体砥粒4bが交互に母材2上
に1層に配設されているので、砥粒先端部に比較的広い
フラットな面が存在する六・八面体砥粒4bの作用によ
り、切頭八面体砥粒4aの先端面がポリッシングパッド
に深く食い込むことを防止して、ポリッシングパッドの
摩耗が抑えられる。また、切頭八面体砥粒4a先端面が
ポリッシングパッドに深く食い込むことがなくなるた
め、砥粒の負荷が小さくなり、切頭八面体砥粒4a先端
の摩耗が抑えられ、コンディショニング性が安定し、パ
ッドコンディショナの寿命が長くなる。一方、切れ味が
劣る六・八面体砥粒4bの不具合は切頭八面体砥粒4a
の切れ味の良さによって補われる。これにより、コンデ
ィショニング性の安定化、パッドコンディショナの長寿
命化、スクラッチレス化を達成することができる。
ら、このプレート1をフランジに取り付け、ポリッシン
グ用パッドコンディショナとして使用したとき、ドレッ
シング中に砥粒が脱落することがない。また、砥粒4の
突出量がほぼ一定でかつ先端高さが揃っているので、ポ
リッシャのプロファイルを安定させ、CMP加工におけ
るウエハの平面度の向上に寄与する。
じ形状寸法で、切頭八面体砥粒4aと六・八面体砥粒4
bの混合比を表1に示すように種々変えたプレートを用
いた電着パッドコンディショナを製作し、これらのパッ
ドコンディショナでドレッシングしたポリッシャでウエ
ハのポリッシング加工試験を行った。試験条件は以下の
通りである。
に、従来例1は、使用初期からパッド研磨レートが低
く、そのうえウエハにスクラッチが発生したために試験
を中止した。従来例2は、使用初期はパッド研磨レート
が高いが、時間経過とともに砥粒の摩耗が大きくなり、
コンディショニング性が安定しなかった。実施例1〜3
は、時間経過によるパッド研磨レートの変化が少なく、
コンディショニング性が安定することが確認された。
するのに結晶構造が切頭八面体のダイヤモンド砥粒と六
・八面体のダイヤモンド砥粒の両方を使用することで、
六・八面体砥粒の作用により、切頭八面体砥粒先端面が
被加工材に深く食い込むことを防止し、また、砥粒の負
荷が小さくなり、切頭八面体砥粒先端の摩耗が抑えられ
て、研削性が安定し、工具の寿命が長くなる。切れ味が
劣る六・八面体砥粒の不具合は切頭八面体砥粒の切れ味
の良さによって補われる。
混合比を30/70〜70/30の範囲内とすることに
より、両砥粒の相互作用によって研削性の安定化、工具
の長寿命化を達成することができる。また、この混合比
を調整することで、研削性の程度を調整することができ
る。
ョナのプレートを模式的に示す図であり、(a)は平面
図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
明図である。
示す図である。
ある。
図である。
明図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 台金に単層のダイヤモンド砥粒を固着さ
せたダイヤモンド工具において、ダイヤモンド砥粒とし
て結晶構造が切頭八面体を基本とした砥粒と六・八面体
を基本とした砥粒とを使用したダイヤモンド工具。 - 【請求項2】 前記切頭八面体を基本とした砥粒(D
a)と前記六・八面体を基本とした砥粒(Db)の混合
比(Da/Db)が30/70〜70/30である請求
項1記載のダイヤモンド工具。 - 【請求項3】 台金に固着させた砥粒の先端面が{10
0}面であり、前記{100}面が台金の基準面と平行
に固着されている砥粒の割合が全固着砥粒の50%以上
である請求項1または2記載のダイヤモンド工具。
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2002
- 2002-03-28 JP JP2002092021A patent/JP3797948B2/ja not_active Expired - Fee Related
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