JP2004357826A - 医療用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】生体内組織や血液に接触した際に、凝固系、補体系、血小板系の活性化を抑制することができる、血液適合性に優れた医療用具を提供する。
【解決手段】一般式Aで表される繰返し単位を主構成成分とする高分子を、血液と接触する表面の少なくとも一部に有することを特徴とする生体内組織や血液に接して使用される医療用具。
【化1】
Figure 2004357826

(式中、RはCH,C,C,C、RはCH,C,C,Cであり、また、Rは水素またはメチル基をそれぞれ表す。)
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体内組織や血液に接して使用された際に、生体成分へのダメージを軽微にできる医療用具とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医療用材料表面に血液等の生体成分が接触すると、生体組織中のタンパタ質の非特異吸着、変性、多層吸着が生起し、凝固系、補体系、血小板系等の活性化が起こる。したがって、医療用具の開発には、生体との接触界面である医療用材料表面に血液適合性を付与することが必要不可欠である。具体的には、人工肺装置、透析装置、血液保存バッグ、血小板保存バッグ、血液回路、留置針、カテーテル、ガイドワイヤー、ステントなどの医療用具では、優れた血液適合性が要求される。輸血分野に用いられる血液フィルターでは、血液の濾過時に凝固系や補体系の活性化に基づくと考えられる副作用が問題になっている。したがって、上記の副作用の原因となる血液の活性化(凝固系、補体系、血小板系)を抑制することが必要とされている。例えば、凝固系および補体系の活性化の代表例であるブラジキニンの産生は、血液フィルター表面への血漿タンパク質である凝固第XII因子の吸着、および変性等の接触活性が引き金になることが知られている。したがって、濾過時の血液成分へ与えるダメージを抑制できれば、輸血時の副作用も低減できると考えられる。
【0003】
血液との接触時に、血液成分の粘着が少ないとされる公知の医療用材料としては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)やポリビニルアルコールを主成分とする医療用材料が知られており(非特許文献1または非特許文献2参照。)、ソフトコンタクトレンズのほか、人工硝子体、ドラッグデリバリーシステムの担体として利用されている。しかし、ヒドロキシル基を有するため、補体系の活性化が起こり問題とされている。
また、アクリルアミドを主成分とする高分子材料を表面に有する医療用具が知られており、ヒドロキシル基を含まないため、補体系を活性化することなく使用されるが、血液との接触時に血小板が活性化され、その血液が体内に返血されると、血栓形成を誘発するという問題がある。
【0004】
その他の医療用材料としては、ポリエチレングリコール(poly(ethylene glycol),PEG)(非特許文献3または非特許文献4参照。) がある。PEGは非常に優れた血液適合性を有しており、医療分野への応用研究も多くなされている。しかし、PEGは、水溶性であるため、医療用材料として使用する場合は、他のポリマーとのブロック共重合体やグラフト共重合体にして使用する必要がある。また、プラズマ活性化を利用して、材料表面をPEG鎖で修飾する方法も知られているが、高度な技術や設備が必要である。
以上のように、従来の生体内組織や血液に接触させて使用する医療用具においては、凝固系、補体系または血小板系の活性化の抑制といった機能を満たす合成高分子材料を容易に得ることができなかった。
【0005】
【非特許文献1】
中林宣男,石原一彦,岩崎泰彦,「バイオマテリアル」,コロナ社,1999年
【非特許文献2】
Tsuruta,T.,Contemporary topics in polymeric materials for biomedical applicatios,“ADVANCED POLYMER SCIENCE”,1996,126,p.1−51
【非特許文献3】
Mori,Y.;Nagaoka,S.;Takiguchi,T.;Kikuchi,T.;Noguchi,N.;Tanzawa,H.;Noishiki,Y.,A new antithrombogenic material with long polyethylene oxide chains,“Journal of American Society of Artificial Organs”,1982,28,p.459−463
【非特許文献4】
Harris JM,ed,Poly(ethylene glycol)chemistry,Biotechnical and Biomedical Application,(U.S.A.),Plenum Pless,1992
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、生体内組織や血液に接触した際に、凝固系、補体系、または血小板系の活性化を抑制することができる、血液適合性に優れた医療用具を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(2 )の本発明により達成される。
【0008】
(1)一般式Aで表される繰返し単位を主構成成分とする高分子を、血液と接触する表面の少なくとも一部に有することを特徴とする生体内組織や血液に接して使用される医療用具。
【化2】
Figure 2004357826
(式中、RはCH,C,C,またはC、RはCH,C,C,またはCであり、また、Rは水素またはメチル基をそれぞれ表す。)
【0009】
(2)前記Rはエチレン基、前記Rはメチル基であり、前記Rは水素またはメチル基である(1)に記載の医療用具。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の医療用具について詳細に説明する。
本発明の医療用具は、下記一般式Aで表される繰り返し単位を主構成成分とする高分子、いわゆるアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを主構成成分とする高分子を表面に有することを特徴とする。
本発明でいう医療用具の表面とは、医療用具が使用される際に血液等が接触する医療用具を構成する材料の表面ならびに材料内の孔の表面部分をいう。
なお、本明細書において、「生体内組織や血液に接して使用される」とは、生体の外表面組織である皮膚(表皮,真皮までをここでいう皮膚に含める)や目(角膜)と接して使用される形態を除いて、その他の全ての場合を含む意味であり、例えば、生体内に入れられた状態、生体内組織が露出した状態で当該組織や血液と接して使用される形態、および体外循環医用材料において体外に取り出した生体内成分である血液と接して使用される形態などを当然に含むものとする。
【0011】
【化3】
Figure 2004357826
(式中、RはCH,C,C,またはC、RはCH,C,C,またはCであり、また、Rは水素またはメチル基をそれぞれ表す。)
【0012】
本発明におけるアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを主構成成分とする高分子は、以下のアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドの1種または2種以上よりなる重合体、またはこれと共重合しうる他のモノマーとの共重合体である。なお、アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドはRが水素の場合とメチル基の場合のそれぞれを1つであらわしたものでそれぞれ単独でも両方の混合物でもよい。
【0013】
アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドとしては、例えばメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、メトキシブチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、エトキシブチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシエチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、プロポキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられ、このうち経済性や操作性の点からメトキシアルキル(メタ)アクリルアミドが好ましい。さらに、メトキシエチル(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
【0014】
アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドと共重合しうる他のモノマーとしては、アクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、n−ブチルアクリルアミド、i−ブチルアクリルアミド、ヘキシルアクリルアミド、ヘプチルアクリルアミドなどのアルキルアクリルアミド;N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドなどのジアルキルアクリルアミド;アミノメチルアクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノイソプロピルアクリレートなどのアミノアルキルアクリレート;ジアミノメチルアクリレート、ジアミノエチルアクリレート、ジアミノブチルアクリレートなどのジアミノアルキルアクリレート;メタクリルアミド;N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミドなどのN,N−ジアルキルメタクリルアミド;アミノメチルメタクリレート、アミノエチルメタクリレートなどのアミノアルキルメタクリレート;ジアミノメチルメタクリレート、ジアミノエチルメタクリレートなどのジアミノアルキルメタクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートなどのアルキルアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレートなどのアルキルメタクリレート等が挙げられる。
【0015】
これらの他のモノマーは、得られる高分子の血液適合性が損なわれない程度の組成比で使用される。その共重合体中の全モノマーの重量に対して、アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドは約30重量%〜99重量%であることが好ましく、50重量%〜99重量%であることが更に好ましい。
本発明の共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれでも良い。
このようにして製造される種々の高分子は、医療用具の表面処理剤として用いる場合、本発明の高分子のうちいずれかを単独使用することもできるし、複数の高分子を混合して使用することもできる。
【0016】
このようにして得られるアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド重合体の数平均分子量は,好ましくは10,000〜500,000、さらに好ましくは30,000〜100,000である。
【0017】
また、本発明の生体内組織や血液と接して使用される医療用具は、アルコシキアルキル(メタ)アクリルアミドを構成成分とする高分子を表面に有していればよく、該高分子のみよりなる物品である必要はない。これは材料の表面構造が生体適合性と密接な関係があるからである。したがって、基材の表面に該高分子を被覆したものでよい。また、医療用具自体が該高分子で構成されていても良い。
【0018】
本発明において基材の材質や形状は特に制限されることなく、例えば、多孔質体、繊維、不織布、粒子、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等いずれでも良い。その材質としては木錦、麻等の天然高分子、ナイロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ(メタ)アクリレート、エチレンービニルアルコール共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体等の合成高分子あるいはこれらの混合物が挙げられる。また、金属、セラミクスおよびそれらの複合材料等が例示でき、複数の基材より構成されていても構わない。
【0019】
本発明の医療用基材は、生体内組織や血液と接して使用される医療用具に用いることができ、体内埋め込み型の人工器官や治療器具、体外循環型の人工臓器類、さらにカテーテル類(血管造影用カテーテル、ガイドワイヤー、PTCA用カテーテル等の循環器用カテーテル、胃管カテーテル、胃腸カテーテル、食道チューブ等の消化器用カテーテル、チューブ、尿道カテーテル、尿菅カテーテル等の泌尿器科用カテーテル)等の医療用具の血液と接する表面の少なくとも一部,好ましくは血液と接する表面のほぼ全部にポリアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを有する。
本発明のポリアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを主成分とする高分子は、止血剤、生体組織の粘着材、組織再生用の補修材、薬物徐放システムの担体、人工すい臓や人工肝臓等のハイブリッド人工臓器、人工血管、塞栓材、細胞工学用の足場のためのマトリックス材料等に用いても良い。
【0020】
これらの医療器具においては、血管や組織への挿入を容易にし組織を損傷しないためさらに表面潤滑性を付与してもよい。
表面潤滑性を付与する方法としては水溶性高分子を不溶化して材料表面に吸水性のゲル層を形成させる方法が優れている。この方法によれば、生体適合性と表面潤滑性を併せ持つ材料表面を提供できる。
本発明の高分子はそれ自体血液適合性に優れた材料であるが、様々な生理活性物質をさらに担持させることもできるため、血液フィルターのみならず、血液保存容器、血液回路、留置針、カテーテル、ガイドワイヤー、ステント、人口肺装置、透析装置などの様々な医療用具に用いることができる。
【0021】
具体的には、本発明の高分子を、血液フィルターを構成する基材表面の少なくとも一部にコーティングした血液フィルターの例がある。
また、血液バッグと前記血液バッグに連通するチューブの血液と接する表面の少なくとも一部に前記高分子をコーティングした血液バッグの例がある。
また、チューブ、動脈フィルター、遠心ポンプ、ヘモコンセントレーター、カーディオプレギア等からなる器械側血液回路部、チューブ、カテーテル、サッカー等からなる術野側血液回路部から構成される体外循環血液回路の血液と接する表面の少なくとも一部が前記高分子でコーティングされた体外循環血液回路の例がある。
また、先端に鋭利な針先を有する内針と、前記内針の基端側に設置された内針ハブと、前記内針が挿入可能な中空の外針と、前記外針の基端側に設置された外針ハブと、前記内針に装着され、かつ前記内針の軸方向に移動可能なプロテクタと、前記外針ハブと前記プロテクタとを連結する連結手段とを備えた留置針組立体の、血液と接する表面の少なくとも一部が前記高分子でコーティングされた留置針組立体の例がある。
また、長尺チューブとその基端(手元側)に接続させたアダプターから構成されるカテーテルの血液と接触する表面の少なくとも一部が前記高分子でコーティングされたカテーテルの例がある。
【0022】
また、ガイドワイヤーの血液と接触する表面の少なくとも一部が前記高分子でコーティングされたガイドワイヤーの例がある。
また、金属材料や高分子材料よりなる中空管状体の側面に細孔を設けたものや金属材料のワイヤや高分子材料の繊維を編み上げて円筒形に成形したもの等様々な形状のステントの血液と接触する表面の少なくとも一部が前記高分子でコーティングされたステントの例がある。
【0023】
また、図1に示すように、多数のガス交換用多孔質中空糸膜3をハウジング2内に収納し、中空糸膜3の外面側に血液が流れ、中空糸膜3の内部に酸素含有ガスが流れるタイプの中空糸膜外部血液灌流型人工肺1の、図2に示す中空糸膜3の外面もしくは外面層3aに、前記高分子18が被覆されており、かつ中空糸膜3の内部3cには、前記高分子が実質的に存在していない人工肺の例がある。
また、透析液が充填された少なくとも一つの透析液容器と、透析液を回収する少なくとも一つの排液容器とを含む透析液回路と、前記透析液容器を起点とし、または、前記排液容器を終点として、透析液を送液する送液手段とを有する透析装置の血液と接する表面の少なくとも一部が前記高分子でコーティングされた透析装置の例がある。
【0024】
本発明の高分子を製造するための重合反応それ自体には特別の制限はなく、ラジカル重合やイオン重合や光重合、マクロマーを利用した重合等の公知の方法で重合される。なお、マクロマーとは、末端に重合性官能基、特に二重結合を有するオリゴマーを指す。
【0025】
上記重合反応は、好ましくは40℃〜100℃の温度範囲で行われ、より好ましくは60℃〜90℃の温度範囲、更に好ましくは70℃〜80℃の温度範囲で行われる。圧力は、常庄であることが好ましい。
上記重合反応において、溶媒としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを溶解することができる溶媒が好ましい。溶媒は、脂肪族又は芳香族の有機溶媒が用いられる。例えば、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルのようなエーテル系溶媒;o−ジクロロベンゼンのようなハロゲン化芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘキサン又はペンタンのような脂肪族炭化水素が用いられ、ジオキサン等のエーテル系溶媒を用いることが好ましい。
【0026】
前記高分子を医療用具表面に保持させる方法としては、コーティング法、放射線、電子線および紫外線によるグラフト重合、基材の官能基との化学反応を利用して導入する方法等の公知の方法が挙げられる。この中でも特にコーティング法は製造操作が容易であるため、実用上好ましい。さらにコーティング方法についても、塗布法、スプレー法、ディップ法等があるが、特に制限なくいずれも適用できる。
その膜厚は、好ましくは、0.1μm〜1mmである。例えば、前記高分子の塗布法によるコーティング処理は、適当な溶媒に前記共重合体を溶解したコーティング溶液に、濾材を浸漬した後、余分な溶液を除き、ついで風乾させるなどの簡単な操作で実施できる。また、濾材に該共重合体をより強固に固定化させるために、コーティング後のフィルター濾材に熱を加え、濾材と該共重合体との接着性を更に高めることもできる。
また、表面を架橋することで固定化しても良い。架橋する方法として、コモノマー成分として架橋性モノマーを導入しても良い。また、電子線、γ線、光照射によって架橋しても良い。
【0027】
架橋性モノマーとしては、メチレンビスアクリルアミド、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリアリルイソシアネート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート等のビニル基またはアリル基を1分子中に複数個有する化合物のほかに、ポリエチレングリコールジアクリレートがあげられる。このうち、ポリエチレングリコールジアクリレートを用いて、種々の官能基を導入した場合が、官能基を有する化合物の導入率が高く、更にポリエチレングリコール鎖も導入でき親水性化されることにより上記のように目的以外の細胞やタンパク質等の非特異的吸着が抑制されるので好ましい。この場合のポリエチレングリコール鎖の分子量は好ましくは100〜10000、さらに好ましくは500〜6000である。
【0028】
以上のようにアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを主構成成分とする高分子を、医療用具の血液と接触する表面の少なくとも一部に導入すると、水酸基が存在することなく適度の親水性を有しているので、凝固系、補体系、血小板系の活性化を抑制することが可能であり、優れた血液適合性を発現することとなる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
[実施例1および比較例1〜4]
(モノマー合成)
トルエン(関東化学)100mlに溶解したメトキシエチルアミン(ナカライテスク)33gとトリエチルアミン40g(東京化成)に、アクリル酸クロライド(東京化成)36.2gを、氷冷下攪拌しながら3時間滴下し、さらに室温で3時間攪拌を行った。得られた黄色固形物質をトルエンに溶解し濾過した。濾液をエバポレーションして黄色液体を得た。得られた液体を蒸留し(83℃、0.25mmHg)メトキシエチルアクリルアミドモノマー40gを得た。
【0030】
(ポリマー合成)
メトキシエチルアクリルアミドモノマー10gにアゾビスイソブチロニトリル(ラジカル重合開始剤)(東京化成)を総モノマーの0.2重量%添加し、1,4−ジオキサン(関東化学)60g中で、窒素バブリングしながら75℃、8時間重合を行った。重合反応終了後、白色固形物質をメタノール(関東化学)に溶解し、n−へキサン(関東化学)/ジエチルエーテル(関東化学)=3/2(v/v)に滴下し沈殿させ、生成物を得た。得られた生成物をメタノールに溶解し、同様の方法でさらに2回精製を行い、一昼夜減圧乾燥した。得られたポリマーの構造は、H‐NMRによって確認した。GPCの分子量分析の結果から、数平均分子量(Mn)が38,000であり分子量分布(Mw/Mn)は2.5であった。得られたポリマー溶液をポリエチレンテレフタレート板上に表面被覆し、溶媒を蒸発乾固して、ポリメトキシエチルアクリルアミドを構成成分とした膜を得た。この薄膜に、60Coを放射線源として、80kGy(10kGy/hで8時間)のγ線を照射して架橋を行った(実施例1)。
【0031】
同様にして、2−ヒドロキシエチルメタクリレートをエタノール中で、アゾビスイソブチロニトリル(0.1重量%)を開始剤として重合させた。得られたポリマー溶液をポリエチレンテレフタレート板上に表面被覆し、溶媒を蒸発乾固して、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を構成成分とした膜にγ線を照射して架橋を行った(比較例1)。
同様にして、ポリアクリルアミドの架橋膜を作製した(比較例2)。
血液との適合性を調べるために、実施例1、比較例1、比較例2、表面処理されていないポリプロピレンシート(比較例3)、表面処理されていないポリエチレンテレフタレートシート(比較例4)について、血小板の粘着テストを行った。すなわち、クエン酸ナトリウムで抗凝固した人新鮮多血小板血漿と材料表面とを37℃、120分間接触させた後、リン酸緩衝溶液でリンスし、グルタルアルデヒドで固定し、サンプル表面1×10μmあたりに粘着した血小板数を電子顕微鏡で観察した。血小板の粘着形態変化の進行度により、I(正常)、II(偽足形成)、III (伸展)型に分類して血液との適合性の評価を行った。
ポリエチレンテレフタレートシート(比較例4)に粘着した全血小板数を1000とした場合の粘着血小板の相対数を表1に示す。これにより、ポリメトキシエチルアクリルアミドを構成成分とする表面は、血小板粘着数が少なく、粘着した血小板の形態変化(偽足形成や伸展)が小さく、血小板の活性化が小さいことが示された。
【0032】
【表1】
Figure 2004357826
【0033】
[実施例2および比較例5〜7]
実施例1で調整したポリマー溶液に、ポリウレタン多孔質体を浸漬してポリマーをコーティングした後、60℃の温水で4時間シャワー洗浄を行った。上記多孔質体を乾燥後、厚さ0.6mm、直径55mmに打ち抜き、血液フィルターとし、血液回路に組み込み、人血液濾過時に血液をサンプリングしてブラジキニンの産生量を求めた(実施例2)。なお、ブラジキニンの産生量は、サンプリングした血液にブラジキニン分解抑制剤である1,10−フェナントロリン(東京化成)を5mM添加した後、遠心分離により血漿分離を行い、凍結保存して、RIA−PEG法により測定した。表2にブラジキニン産生量を示す。
またコーティングを施さない未処理のウレタン多孔質体を実施例2と同様な血液回路に装着し(比較例5)、人血液を濾過し、ブラジキニン産生量を求めた。結果を表2に示す。
【0034】
そしてコーティングポリマーとして、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(比較例6)、ポリアクリルアミド(比較例7)を実施例2と同様にウレタン多孔質体にコーティングして血液フィルターを得、血液回路で人血液を濾過し、ブラジキニン産生量を求めた。結果を表2に示す。
【0035】
【表2】
Figure 2004357826
【0036】
表2から明らかなように、実施例2の表面において、濾過時のブラジキニンの産生量は比較例5の未処理フィルターと比較して約1/4に抑制された。比較例6、7では、比較例5に比ベ、ブラジキニンの産生量の大きな低下は見られなかった。
【0037】
【発明の効果】
以上のように、本発明はアルコキシアルキル(メタ)アクリルアミドを主構成成分とする高分子を、血液と接触する表面の少なくとも一部に有することを特徴とするため、生体内組織や血液に接した際に、凝固系、補体系、血小板系の活性化を抑制することが可能である。したがって、優れた血液適合性を有する。このため、人工腎臓用膜、血漿分離膜、カテーテル、人工肺用膜、人工血管等の人工臓器ないし医療用具として極めて有用である材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一態様である中空糸膜外部血液灌流型人工肺の一実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の一態様である中空糸膜外部血液灌流型人工肺に使用されている中空糸膜の断面図である。
【符号の説明】
1 中空糸膜外部血液灌流型人工肺
2 ハウジング
3 中空糸膜
3a 外面層
3b 内面層
3c 内面層
3d ガス通路
4,5 隔壁
6 血液流入口
7 血液流出口
8 ガス流入口
9 ガス流出口
12 血液室
18 高分子

Claims (2)

  1. 一般式Aで表される繰返し単位を主構成成分とする高分子を、血液と接触する表面の少なくとも一部に有することを特徴とする生体内組織や血液に接して使用される医療用具。
    Figure 2004357826
    (式中、RはCH,C,C,またはC、RはCH,C,C,またはCであり、また、Rは水素またはメチル基をそれぞれ表す。)
  2. 前記Rはエチレン基、前記Rはメチル基であり、前記Rは水素またはメチル基である請求項1に記載の医療用具。
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