JP2004356874A - センサ入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサからの信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じないセンサ入力装置を提供する。
【解決手段】本センサ入力装置では、第1および第2の入力抵抗器R11,R12を介して熱電対からなるセンサから入力される2つの信号間の電位差(V2−V1)を、第1の帰還抵抗器Rf1が接続される第1の演算増幅器110により増幅し第1のA/D変換器120によりデジタル値に変換してCPU300に与える。また第3および第4の入力抵抗器R21,R22を介して与えられる、電圧V2を示すセンサからの信号とグランドとの電位差を、第2の帰還抵抗器Rf2が接続される第2の演算増幅器210により増幅し第2のA/D変換器220によりデジタル値に変換してCPU300に与える。CPU300は、電圧V2を補正値として電位差(V2−V1)を算出し、対応する温度を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】本センサ入力装置では、第1および第2の入力抵抗器R11,R12を介して熱電対からなるセンサから入力される2つの信号間の電位差(V2−V1)を、第1の帰還抵抗器Rf1が接続される第1の演算増幅器110により増幅し第1のA/D変換器120によりデジタル値に変換してCPU300に与える。また第3および第4の入力抵抗器R21,R22を介して与えられる、電圧V2を示すセンサからの信号とグランドとの電位差を、第2の帰還抵抗器Rf2が接続される第2の演算増幅器210により増幅し第2のA/D変換器220によりデジタル値に変換してCPU300に与える。CPU300は、電圧V2を補正値として電位差(V2−V1)を算出し、対応する温度を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ入力装置に関し、より詳細には、差動入力構成のセンサ入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電対などのセンサは、電位差を有する2つの電圧信号を出力する。この熱電対などのセンサから、上記電圧信号を受け取り、当該信号に対応する測定値(例えば温度)を得るセンサ入力回路が従来より知られている。
【0003】
図3は、演算増幅器、複数の抵抗器、およびA/D変換器からなるセンサ入力回路の構成を例示した図である。この従来のセンサ入力回路に含まれる演算増幅器10の反転入力端子は、第1の入力抵抗器R1(抵抗値R1)の一端に接続され、第1の入力抵抗器R1の他端には、熱電対などからなる図示されないセンサからの−側の信号(電圧値V1)が与えられる。また、演算増幅器10の非反転入力端子は、接地抵抗器Rsの一端と第2の入力抵抗器R2の一端とに接続され、第2の入力抵抗器R2(抵抗値R2)の他端には、図示されない上記センサからの+側の信号(電圧値V2)が与えられ、接地抵抗器Rsの他端は接地される。また、演算増幅器10の出力端子は、A/D変換器20の入力端子に接続されるとともに、帰還抵抗器Rf(抵抗値Rf)の一端に接続される。この帰還抵抗器Rfの他端は、演算増幅器10の反転入力端子に接続される。これらの抵抗器R1,R2,Rf,Rsおよび演算増幅器10は差動増幅回路を構成しており、この回路により、図示されないセンサからの入力信号の電圧が当該差動増幅回路における電圧利得に従い増幅または減衰され、出力信号(電圧値Vout)が得られる。この電圧値Voutの出力信号は、A/D変換器20に与えられる。A/D変換器20は、演算増幅器10から与えられるアナログ信号である上記出力信号をデジタル信号に変換し出力する。このデジタル信号は、中央演算装置(以下「CPU」という)30の入力端子に与えられ、与えられたデジタル信号に示される電圧値に基づき、CPU30は、図示されないセンサにより測定された温度を算出する。
【0004】
このように、上記センサ入力回路の演算増幅器10は差動入力構成であり、センサからの+側の入力信号と−側の入力信号との間に発生する電位差を増幅する。ここで、演算増幅器10が理想演算増幅器であって、R1=R2,Rs=Rfとなるように各抵抗器の抵抗値が定められるとき、出力電圧値Voutは、次式(1)のように表すことができる。
Vout=(Rf/R1)(V2−V1) …(1)
【0005】
しかし、図3に示すセンサ入力回路では、接地電位の変動による影響を受けることが知られている。このため、接地電位の変動による影響を受けることがないよう、非反転入力端子を接地しない方式(フローティング入力方式と呼ばれる)のセンサ入力回路が用いられることがある。一般的に、バッテリー動作の回路や熱電対などの多くのトランスデューサからの信号は、接地電位をリファレンスとしないいわゆるフローティング信号であり、当該信号はグランドから絶縁されている。そのため、図3に示す回路の構成により測定が行われると、測定エラーが生じたり、信号線や回路を壊してしまうことがあることから、フローティング入力方式のセンサ入力回路が用いられることが多い。
【0006】
図4は、このフローティング入力方式のセンサ入力回路の構成を示す図である。この従来のセンサ入力回路は、図3に示す回路から接地抵抗器Rsが取り除かれているほかは、図3に示す回路とほぼ同様の構成であるため、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。この従来のセンサ入力回路は、接地抵抗器Rsが存在しないため、接地電位の変動によるコモンモードノイズの影響を受けない。ここでコモンモードノイズとは、演算増幅器10の反転入力端子および非反転点入力端子において、当該演算増幅器10の接地点に対して測定される電圧の変動による共通のノイズをいう。このコモンモードノイズは、反転入力端子および非反転点入力端子に共通して加わるため、センサからの+側入力信号と−側入力信号との間に発生する電位差はコモンモードノイズによって変化することがない。よって、上記センサ回路により、コモンモードノイズの影響を除去することができる。
【0007】
【特許文献1】
実開平4−136579号公報
【特許文献2】
特開平10−19945号公報
【特許文献3】
特開2002−48597号公報
【特許文献4】
特開平11−316167号公報
【特許文献5】
実開平4−116780号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図4に示す上記従来のセンサ回路からの出力電圧値Voutは、図3に示す回路のときと同様に上式(1)により表されるわけではない。すなわち、演算増幅器10の非反転入力端子は接地されていないため、演算増幅器10の出力電圧値Voutには、接地電位に対して所定のオフセット値(接地電位からのずれ量)が加算されていることが知られている。そこで、従来のセンサ回路では、上記所定のオフセット値に対応する値が補正値として予め定められており、出力電圧値Voutから当該補正値を差し引く演算がCPU30によって行われることにより、図示されないセンサで測定された温度が算出される。
【0009】
しかし、熱電対などのセンサから出力される信号の電位は、温度変化等の各種原因により接地電位に対してドリフトすることがある。そのため、上記所定のオフセット値は、必ずしも一定ではない。にもかかわらず、従来のセンサ回路では、CPU30に記憶された固定値である上記所定の補正値を出力電圧値Voutから差し引く演算が行われており、上記ドリフトに応じた演算が行われているわけではない。そのため、従来のセンサ入力回路では、温度等の測定値を算出する際に誤差が生じることになる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、センサから出力される信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じないセンサ入力装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、所定のセンサから、その測定値に対応する電位差を有しており、かつグランドから絶縁された第1および第2の信号を受け取るフローティング入力方式のセンサ入力装置であって、
前記第1および第2の信号を受け取り、受け取られた信号間の電位差を増幅または減衰して得られる電圧に対して所定のオフセット値が加えられた電圧を有する信号を出力する第1の差動増幅手段と、
前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から、前記第1または第2の信号の電圧値に基づき算出される値を前記オフセット値として差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出する演算手段と
を含むことを特徴とする。
【0012】
このような第1の発明によれば、固定値ではなく、第1または第2の信号の電圧値に基づき算出される値をオフセット値とする補正を行うことにより、センサから出力される第1または第2の信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じない。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記第1の差動増幅手段は、
第1の入力抵抗器と、
前記第1の入力抵抗器を介して前記第1の信号を受け取る反転入力端子および前記第2の信号を受け取る非反転入力端子を有し、前記第1および第2の信号間の電位差が所定の電圧利得で増幅または減衰された電圧信号を出力する第1の演算増幅器と、
前記第1の演算増幅器から出力される信号を前記第1の演算増幅器の反転入力端子に帰還する第1の帰還抵抗器とを含み、
前記演算手段は、前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から、前記第2の信号の電圧値を前記オフセット値として差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出することを特徴とする。
【0014】
このような第2の発明によれば、第1の演算増幅器110は、第1および第2の信号の差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰する。そのため、演算手段への最大入力電圧をそのフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく測定することができる。
【0015】
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記第2の信号を受け取り、受け取られた信号とグランドとの電位差を増幅または減衰して得られる電圧を有する信号を出力する第2の差動増幅手段をさらに備え、
前記第2の差動増幅手段は、
第2の入力抵抗器と、
前記第2の入力抵抗器を介して前記第2の信号を受け取る反転入力端子およびグランドの電位を受け取る非反転入力端子を有し、前記第2の信号とグランドとの電位差が所定の電圧利得で増幅または減衰された電圧信号を出力する第2の演算増幅器と、
前記第2の演算増幅器から出力される信号を前記第2の演算増幅器の反転入力端子に帰還する第2の帰還抵抗器とを含み、
前記演算手段は、前記第2の演算増幅器から出力される信号の電圧値を前記第2の差動増幅手段における所定の電圧利得で除算して得られる前記第2の信号の電圧値を前記オフセット値として、前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出することを特徴とする。
【0016】
このような第3の発明によれば、第2の演算増幅器は、第2の信号とグランドとの電位差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰する。そのため、演算手段への最大入力電圧をそのフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく測定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
<1.センサ入力装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサ入力装置の構成を例示した回路図である。このセンサ入力装置は、図4に示す従来のセンサ入力装置と同様、第1の入力抵抗器R11、第2の入力抵抗器R12、第1の帰還抵抗器Rf1、第1の演算増幅器110、第1のA/D変換器120、および中央演算装置(以下「CPU」という)300を備えるとともに、新たに第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、第2の演算増幅器210、および第2のA/D変換器220を備える。このセンサ入力装置は、熱電対などからなる図示されないセンサから、電位差を有する2つの電圧信号を受け取り、当該信号に対応する測定値(温度)を得る。
【0018】
このセンサ入力装置に備えられる第1の演算増幅器110の反転入力端子は、第1の入力抵抗器R11(抵抗値R11)の一端に接続され、第1の入力抵抗器R11の他端には、熱電対からなる図示されないセンサからの−側の信号(電圧値V1)が与えられる。また、第1の演算増幅器110の非反転入力端子は、第2の入力抵抗器R12(抵抗値R12)の一端とに接続され、第2の入力抵抗器R12の他端には、図示されない上記センサからの+側の信号(電圧値V2)が与えられる。また、第1の演算増幅器110の出力端子は、A/D変換器120の入力端子に接続されるとともに、第1の帰還抵抗器Rf1(抵抗値Rf1)の一端に接続される。この第1の帰還抵抗器Rf1の他端は、第1の演算増幅器110の反転入力端子に接続される。これらの抵抗器R11,R12,Rfおよび第1の演算増幅器110は第1の差動増幅回路を構成する。この回路により、図示されないセンサからの入力信号の電位差が当該第1の差動増幅回路における電圧利得に従い増幅または減衰され、出力信号(電圧値Vout)が得られる。なお、この第1の差動増幅回路の電圧利得が1である場合には信号は増幅されず、電圧利得が1未満である場合には信号は減衰される。上記電圧値Voutの出力信号は、A/D変換器120に入力される。A/D変換器120は、第1の演算増幅器110から与えられるアナログ信号である上記出力信号をデジタル信号に変換し出力する。このデジタル信号は、CPU300の入力端子に与えられる。以上の構成および動作は、図4に示す従来のセンサ入力装置と同様である。
【0019】
第2の演算増幅器210の反転入力端子は、第3の入力抵抗器R21(抵抗値R21)の一端に接続され、第3の入力抵抗器R21の他端には、図示されないセンサからの+側の信号(電圧値V2)が与えられる。また、第2の演算増幅器210の非反転入力端子は、第4の入力抵抗器R22を介して接地される。また、第2の演算増幅器210の出力端子は、A/D変換器220の入力端子に接続されるとともに、第2の帰還抵抗器Rf2(抵抗値Rf2)を介して、第2の演算増幅器210の反転入力端子に接続される。これらの抵抗器R21,R22,Rf2と第2の演算増幅器210とにより第2の差動増幅回路が構成される。この回路により、センサからの+側の信号(電圧値V2)と接地電位との電位差が当該第2の差動増幅回路における電圧利得に従い増幅または減衰され、出力信号が得られる。この出力信号は、A/D変換器220によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、CPU300の入力端子に与えられる。なお、第2の差動増幅回路の電圧利得が1である場合には信号は増幅されず、電圧利得が1未満である場合には信号は減衰される。
【0020】
以上のように、上記センサ入力回路の第1および第2の演算増幅器110,210は差動入力構成であり、センサからの+側の入力信号と−側の入力信号との間に発生する電位差を増幅する。なお、これらの演算増幅器は、理想増幅器に近い差動増幅器であれば、例えばアナログICやトランジスタ素子などを用いたどのような回路構成であってもよい。また、このセンサ入力装置に備えられるCPU300にA/D変換器の機能が内蔵される場合には、第1および第2のA/D変換器120,220は省略される。
【0021】
<2.センサ入力装置の動作>
次に、上記センサ入力装置の動作につき説明する。第1の演算増幅器110が理想演算増幅器であるとすると、入力抵抗が無限大となるため、第1の入力抵抗器R11を流れる電流は全て第1の帰還抵抗器Rf1を流れることになる。そこで、反転入力端子の電位をVmとするとき、これらの抵抗器を流れる電流は次式(2)のように表される。
(V1−Vm)/R11 = (Vm−Vout)/Rf1 …(2)
【0022】
また、非反転入力端子には電流が流れ込まないため、非反転入力端子の電位Vpは、第2の入力抵抗器R12の抵抗値にかかわらずセンサからの+側の入力信号の電圧値V2とほぼ同一の電位となる。すなわち、Vp=V2としてよい。
【0023】
ここで、反転入力端子の電位と非反転入力端子の電位とは同じであるとみなすことができるため(「イマジナリショート」と呼ばれる)、Vm=Vp(=V2)とすることができる。これを上式(2)に代入すると、次式(3)のように表される。
(V1−Vm)/R11 = (V2−Vout)/Rf1 …(3)
【0024】
この上式(3)を整理して出力電圧値Voutを求めると、次式(4)のように表される。
Vout = −(V1−V2)・(Rf1/R11)+V2 …(4)
【0025】
この上式(4)に示す出力電圧値Voutは、図3に示す従来のセンサ入力装置における前述の式(1)に示す出力電圧値と比較すると、V2だけ高いことが分かる。すなわち、本センサ入力装置の構成では、センサからの入力信号間の電位差(V2−V1)に所定の電圧利得(Rf1/R11)を乗じた値が出力電圧値Voutと等しくなるのではなく、常にその値よりV2だけ高い値となる。したがって、この電圧値V2が前述のオフセット値にあたる。そこで、補正のためにこの電圧値V2を、第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、第2の演算増幅器210、および第2のA/D変換器220からなる回路により取得する。すなわち、センサからの+側の信号とグランドとの電位差はV2であり、非反転入力端子は第4の入力抵抗器R21を介して接地されているので、第2の演算増幅器210からの出力電圧値は、上式(1)のV1をV2とし、上式(1)のV2を0とすることにより、−(Rf2/R21)・V2と表すことができる。この出力電圧値は第2のA/D変換器220によりデジタル値bに変換され、CPU300に与えられる。また、第1の演算増幅器110からの出力電圧値Voutは、第1のA/D変換器120によりデジタル値aに変換され、CPU300に与えられる。
【0026】
CPU300は、上記デジタル値bを(Rf2/R21)で除算することによりV2を得て、得られたV2を補正値とし上記デジタル値aから差し引いた値を得る。この得られた値と上記センサの測定温度との間には所定の対応関係があり、CPU300には、当該対応関係を示すテーブルまたは関数式等が予め記憶されている。CPU300は、このテーブル等を参照することにより、Voutから測定温度を算出する。
【0027】
上記の(Rf2/R21)および(Rf1/R11)は任意に設定可能であるが、第1および第2のA/D変換器120,220へ入力される電圧値が適切な値となるよう適宜に設定されることが好ましい。例えば、第1のA/D変換器120のフルスケール値(レンジ)が3Vであり、電位差(V2−V1)が最大で1.5Vであるときには、Rf1がR11の2倍の抵抗値になるよう設定する。そうすれば、第1のA/D変換器120への最大入力電圧を第1のA/D変換器120のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換できるため好ましい。また例えば、第2のA/D変換器220のフルスケール値(レンジ)が3Vであり、電圧値V2が最大で6Vであるときには、Rf2がR21の半分の抵抗値になるよう設定する。そうすれば、第2のA/D変換器220への最大入力電圧を第2のA/D変換器220のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換できるため好ましい。なおこの場合、第2の演算増幅器210を含む第2の差動増幅回路は、0.5の電圧利得を有する増幅器、すなわち減衰器として動作することになる。このように、第1および第2のA/D変換器120,220の各フルスケール値(レンジ)に合わせて、Rf1,Rf2,R11,R21の各値は適宜に設定される。
【0028】
ここで、(Rf2/R21)および(Rf1/R11)はCPU300に予め記憶されるが、Rf1=Rf2,R11=R21とすれば、これらの値は同じ値となり、簡易に計算可能となるため好ましい。また、この場合、第1および第2の差動増幅回路の電圧利得は一致する。したがって、温度等の環境変化やその他の原因によって第1および第2の演算増幅器110,210の動作状態が所定の初期状態からずれを生じるとき、これらの増幅器からの出力電圧がともに等しいずれを生じるため、当該ずれによる測定温度の算出誤差を小さくするよう容易に補正することができる。
【0029】
<3.変形例>
以上のように、上記一実施形態に係るセンサ入力装置では、第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、第2の演算増幅器210、および第2のA/D変換器220により電圧値V2を取得する。しかし、電圧値V2が第2のA/D変換器220に直接与えられる簡易な構成例も考えられる。図2は、上記一実施形態の変形例である簡易な構成のセンサ入力装置の構成を示す図である。このセンサ入力装置は、図1に示すセンサ入力装置に備えられる第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、および第2の演算増幅器210が省略されており、その他の構成要素は図1に示すセンサ入力装置と同様であるため、同一の構成要素に同一の符号を付してその説明を省略する。本センサ入力装置に備えられる第2のA/D変換器220には、図示されないセンサからの+側の信号(電圧値V2)が直接与えられる。このことにより、図1に示すセンサ入力装置よりもコストを抑えることができる。しかし、この構成では、前述のようにA/D変換器のフルスケール値(レンジ)を考慮することができないため、適切なフルスケール値(レンジ)を有するA/D変換器を適宜選択する必要がある。
【0030】
上記一実施形態に係るセンサ入力装置は、第2のA/D変換器220に上記センサからの+側の信号(電圧値V2)を与える構成であるが、上記センサからの−側の信号(電圧値V1)を与える構成であってもよい。その場合、CPU300は、上式(4)を参照することにより、電圧値V1に基づいて電圧値V2を算出する。
【0031】
<4.効果>
上記一実施形態に係るセンサ入力装置は、上記センサからの+側の信号(電圧値V2)のグランドに対する電位差を得て、これをオフセット値とする補正を行うことにより、センサから出力される信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じない。
【0032】
また、本センサ入力装置に備えられる第1の演算増幅器110は、上記センサからの+側の信号(電圧値V2)と−側の信号(電圧値V1)との差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰する。そのため、第1のA/D変換器120への最大入力電圧を第1のA/D変換器120のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換することができる。同様に、本センサ入力装置に備えられる第2の演算増幅器210は、上記センサからの+側の信号(電圧値V2)と接地電位との差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰するため、第2のA/D変換器220への最大入力電圧を第2のA/D変換器220のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るセンサ入力装置の構成を示す図である。
【図2】上記一実施形態の変形例に係るセンサ入力装置の構成を示す図である。
【図3】従来のセンサ入力回路の構成を例示した図である。
【図4】従来のフローティング入力方式のセンサ入力回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
110,210 …演算増幅器
120,220 …A/D変換器
300 …中央演算装置(CPU)
R11〜R22 …入力抵抗器
Rf1,Rf2 …帰還抵抗器
Vout …出力電圧値
V1,V2 …センサからの信号の電位
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ入力装置に関し、より詳細には、差動入力構成のセンサ入力装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱電対などのセンサは、電位差を有する2つの電圧信号を出力する。この熱電対などのセンサから、上記電圧信号を受け取り、当該信号に対応する測定値(例えば温度)を得るセンサ入力回路が従来より知られている。
【0003】
図3は、演算増幅器、複数の抵抗器、およびA/D変換器からなるセンサ入力回路の構成を例示した図である。この従来のセンサ入力回路に含まれる演算増幅器10の反転入力端子は、第1の入力抵抗器R1(抵抗値R1)の一端に接続され、第1の入力抵抗器R1の他端には、熱電対などからなる図示されないセンサからの−側の信号(電圧値V1)が与えられる。また、演算増幅器10の非反転入力端子は、接地抵抗器Rsの一端と第2の入力抵抗器R2の一端とに接続され、第2の入力抵抗器R2(抵抗値R2)の他端には、図示されない上記センサからの+側の信号(電圧値V2)が与えられ、接地抵抗器Rsの他端は接地される。また、演算増幅器10の出力端子は、A/D変換器20の入力端子に接続されるとともに、帰還抵抗器Rf(抵抗値Rf)の一端に接続される。この帰還抵抗器Rfの他端は、演算増幅器10の反転入力端子に接続される。これらの抵抗器R1,R2,Rf,Rsおよび演算増幅器10は差動増幅回路を構成しており、この回路により、図示されないセンサからの入力信号の電圧が当該差動増幅回路における電圧利得に従い増幅または減衰され、出力信号(電圧値Vout)が得られる。この電圧値Voutの出力信号は、A/D変換器20に与えられる。A/D変換器20は、演算増幅器10から与えられるアナログ信号である上記出力信号をデジタル信号に変換し出力する。このデジタル信号は、中央演算装置(以下「CPU」という)30の入力端子に与えられ、与えられたデジタル信号に示される電圧値に基づき、CPU30は、図示されないセンサにより測定された温度を算出する。
【0004】
このように、上記センサ入力回路の演算増幅器10は差動入力構成であり、センサからの+側の入力信号と−側の入力信号との間に発生する電位差を増幅する。ここで、演算増幅器10が理想演算増幅器であって、R1=R2,Rs=Rfとなるように各抵抗器の抵抗値が定められるとき、出力電圧値Voutは、次式(1)のように表すことができる。
Vout=(Rf/R1)(V2−V1) …(1)
【0005】
しかし、図3に示すセンサ入力回路では、接地電位の変動による影響を受けることが知られている。このため、接地電位の変動による影響を受けることがないよう、非反転入力端子を接地しない方式(フローティング入力方式と呼ばれる)のセンサ入力回路が用いられることがある。一般的に、バッテリー動作の回路や熱電対などの多くのトランスデューサからの信号は、接地電位をリファレンスとしないいわゆるフローティング信号であり、当該信号はグランドから絶縁されている。そのため、図3に示す回路の構成により測定が行われると、測定エラーが生じたり、信号線や回路を壊してしまうことがあることから、フローティング入力方式のセンサ入力回路が用いられることが多い。
【0006】
図4は、このフローティング入力方式のセンサ入力回路の構成を示す図である。この従来のセンサ入力回路は、図3に示す回路から接地抵抗器Rsが取り除かれているほかは、図3に示す回路とほぼ同様の構成であるため、同一の構成要素に同一の符号を付して説明を省略する。この従来のセンサ入力回路は、接地抵抗器Rsが存在しないため、接地電位の変動によるコモンモードノイズの影響を受けない。ここでコモンモードノイズとは、演算増幅器10の反転入力端子および非反転点入力端子において、当該演算増幅器10の接地点に対して測定される電圧の変動による共通のノイズをいう。このコモンモードノイズは、反転入力端子および非反転点入力端子に共通して加わるため、センサからの+側入力信号と−側入力信号との間に発生する電位差はコモンモードノイズによって変化することがない。よって、上記センサ回路により、コモンモードノイズの影響を除去することができる。
【0007】
【特許文献1】
実開平4−136579号公報
【特許文献2】
特開平10−19945号公報
【特許文献3】
特開2002−48597号公報
【特許文献4】
特開平11−316167号公報
【特許文献5】
実開平4−116780号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、図4に示す上記従来のセンサ回路からの出力電圧値Voutは、図3に示す回路のときと同様に上式(1)により表されるわけではない。すなわち、演算増幅器10の非反転入力端子は接地されていないため、演算増幅器10の出力電圧値Voutには、接地電位に対して所定のオフセット値(接地電位からのずれ量)が加算されていることが知られている。そこで、従来のセンサ回路では、上記所定のオフセット値に対応する値が補正値として予め定められており、出力電圧値Voutから当該補正値を差し引く演算がCPU30によって行われることにより、図示されないセンサで測定された温度が算出される。
【0009】
しかし、熱電対などのセンサから出力される信号の電位は、温度変化等の各種原因により接地電位に対してドリフトすることがある。そのため、上記所定のオフセット値は、必ずしも一定ではない。にもかかわらず、従来のセンサ回路では、CPU30に記憶された固定値である上記所定の補正値を出力電圧値Voutから差し引く演算が行われており、上記ドリフトに応じた演算が行われているわけではない。そのため、従来のセンサ入力回路では、温度等の測定値を算出する際に誤差が生じることになる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、センサから出力される信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じないセンサ入力装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、所定のセンサから、その測定値に対応する電位差を有しており、かつグランドから絶縁された第1および第2の信号を受け取るフローティング入力方式のセンサ入力装置であって、
前記第1および第2の信号を受け取り、受け取られた信号間の電位差を増幅または減衰して得られる電圧に対して所定のオフセット値が加えられた電圧を有する信号を出力する第1の差動増幅手段と、
前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から、前記第1または第2の信号の電圧値に基づき算出される値を前記オフセット値として差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出する演算手段と
を含むことを特徴とする。
【0012】
このような第1の発明によれば、固定値ではなく、第1または第2の信号の電圧値に基づき算出される値をオフセット値とする補正を行うことにより、センサから出力される第1または第2の信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じない。
【0013】
第2の発明は、第1の発明において、
前記第1の差動増幅手段は、
第1の入力抵抗器と、
前記第1の入力抵抗器を介して前記第1の信号を受け取る反転入力端子および前記第2の信号を受け取る非反転入力端子を有し、前記第1および第2の信号間の電位差が所定の電圧利得で増幅または減衰された電圧信号を出力する第1の演算増幅器と、
前記第1の演算増幅器から出力される信号を前記第1の演算増幅器の反転入力端子に帰還する第1の帰還抵抗器とを含み、
前記演算手段は、前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から、前記第2の信号の電圧値を前記オフセット値として差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出することを特徴とする。
【0014】
このような第2の発明によれば、第1の演算増幅器110は、第1および第2の信号の差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰する。そのため、演算手段への最大入力電圧をそのフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく測定することができる。
【0015】
第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記第2の信号を受け取り、受け取られた信号とグランドとの電位差を増幅または減衰して得られる電圧を有する信号を出力する第2の差動増幅手段をさらに備え、
前記第2の差動増幅手段は、
第2の入力抵抗器と、
前記第2の入力抵抗器を介して前記第2の信号を受け取る反転入力端子およびグランドの電位を受け取る非反転入力端子を有し、前記第2の信号とグランドとの電位差が所定の電圧利得で増幅または減衰された電圧信号を出力する第2の演算増幅器と、
前記第2の演算増幅器から出力される信号を前記第2の演算増幅器の反転入力端子に帰還する第2の帰還抵抗器とを含み、
前記演算手段は、前記第2の演算増幅器から出力される信号の電圧値を前記第2の差動増幅手段における所定の電圧利得で除算して得られる前記第2の信号の電圧値を前記オフセット値として、前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出することを特徴とする。
【0016】
このような第3の発明によれば、第2の演算増幅器は、第2の信号とグランドとの電位差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰する。そのため、演算手段への最大入力電圧をそのフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく測定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
<1.センサ入力装置の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係るセンサ入力装置の構成を例示した回路図である。このセンサ入力装置は、図4に示す従来のセンサ入力装置と同様、第1の入力抵抗器R11、第2の入力抵抗器R12、第1の帰還抵抗器Rf1、第1の演算増幅器110、第1のA/D変換器120、および中央演算装置(以下「CPU」という)300を備えるとともに、新たに第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、第2の演算増幅器210、および第2のA/D変換器220を備える。このセンサ入力装置は、熱電対などからなる図示されないセンサから、電位差を有する2つの電圧信号を受け取り、当該信号に対応する測定値(温度)を得る。
【0018】
このセンサ入力装置に備えられる第1の演算増幅器110の反転入力端子は、第1の入力抵抗器R11(抵抗値R11)の一端に接続され、第1の入力抵抗器R11の他端には、熱電対からなる図示されないセンサからの−側の信号(電圧値V1)が与えられる。また、第1の演算増幅器110の非反転入力端子は、第2の入力抵抗器R12(抵抗値R12)の一端とに接続され、第2の入力抵抗器R12の他端には、図示されない上記センサからの+側の信号(電圧値V2)が与えられる。また、第1の演算増幅器110の出力端子は、A/D変換器120の入力端子に接続されるとともに、第1の帰還抵抗器Rf1(抵抗値Rf1)の一端に接続される。この第1の帰還抵抗器Rf1の他端は、第1の演算増幅器110の反転入力端子に接続される。これらの抵抗器R11,R12,Rfおよび第1の演算増幅器110は第1の差動増幅回路を構成する。この回路により、図示されないセンサからの入力信号の電位差が当該第1の差動増幅回路における電圧利得に従い増幅または減衰され、出力信号(電圧値Vout)が得られる。なお、この第1の差動増幅回路の電圧利得が1である場合には信号は増幅されず、電圧利得が1未満である場合には信号は減衰される。上記電圧値Voutの出力信号は、A/D変換器120に入力される。A/D変換器120は、第1の演算増幅器110から与えられるアナログ信号である上記出力信号をデジタル信号に変換し出力する。このデジタル信号は、CPU300の入力端子に与えられる。以上の構成および動作は、図4に示す従来のセンサ入力装置と同様である。
【0019】
第2の演算増幅器210の反転入力端子は、第3の入力抵抗器R21(抵抗値R21)の一端に接続され、第3の入力抵抗器R21の他端には、図示されないセンサからの+側の信号(電圧値V2)が与えられる。また、第2の演算増幅器210の非反転入力端子は、第4の入力抵抗器R22を介して接地される。また、第2の演算増幅器210の出力端子は、A/D変換器220の入力端子に接続されるとともに、第2の帰還抵抗器Rf2(抵抗値Rf2)を介して、第2の演算増幅器210の反転入力端子に接続される。これらの抵抗器R21,R22,Rf2と第2の演算増幅器210とにより第2の差動増幅回路が構成される。この回路により、センサからの+側の信号(電圧値V2)と接地電位との電位差が当該第2の差動増幅回路における電圧利得に従い増幅または減衰され、出力信号が得られる。この出力信号は、A/D変換器220によりデジタル信号に変換される。このデジタル信号は、CPU300の入力端子に与えられる。なお、第2の差動増幅回路の電圧利得が1である場合には信号は増幅されず、電圧利得が1未満である場合には信号は減衰される。
【0020】
以上のように、上記センサ入力回路の第1および第2の演算増幅器110,210は差動入力構成であり、センサからの+側の入力信号と−側の入力信号との間に発生する電位差を増幅する。なお、これらの演算増幅器は、理想増幅器に近い差動増幅器であれば、例えばアナログICやトランジスタ素子などを用いたどのような回路構成であってもよい。また、このセンサ入力装置に備えられるCPU300にA/D変換器の機能が内蔵される場合には、第1および第2のA/D変換器120,220は省略される。
【0021】
<2.センサ入力装置の動作>
次に、上記センサ入力装置の動作につき説明する。第1の演算増幅器110が理想演算増幅器であるとすると、入力抵抗が無限大となるため、第1の入力抵抗器R11を流れる電流は全て第1の帰還抵抗器Rf1を流れることになる。そこで、反転入力端子の電位をVmとするとき、これらの抵抗器を流れる電流は次式(2)のように表される。
(V1−Vm)/R11 = (Vm−Vout)/Rf1 …(2)
【0022】
また、非反転入力端子には電流が流れ込まないため、非反転入力端子の電位Vpは、第2の入力抵抗器R12の抵抗値にかかわらずセンサからの+側の入力信号の電圧値V2とほぼ同一の電位となる。すなわち、Vp=V2としてよい。
【0023】
ここで、反転入力端子の電位と非反転入力端子の電位とは同じであるとみなすことができるため(「イマジナリショート」と呼ばれる)、Vm=Vp(=V2)とすることができる。これを上式(2)に代入すると、次式(3)のように表される。
(V1−Vm)/R11 = (V2−Vout)/Rf1 …(3)
【0024】
この上式(3)を整理して出力電圧値Voutを求めると、次式(4)のように表される。
Vout = −(V1−V2)・(Rf1/R11)+V2 …(4)
【0025】
この上式(4)に示す出力電圧値Voutは、図3に示す従来のセンサ入力装置における前述の式(1)に示す出力電圧値と比較すると、V2だけ高いことが分かる。すなわち、本センサ入力装置の構成では、センサからの入力信号間の電位差(V2−V1)に所定の電圧利得(Rf1/R11)を乗じた値が出力電圧値Voutと等しくなるのではなく、常にその値よりV2だけ高い値となる。したがって、この電圧値V2が前述のオフセット値にあたる。そこで、補正のためにこの電圧値V2を、第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、第2の演算増幅器210、および第2のA/D変換器220からなる回路により取得する。すなわち、センサからの+側の信号とグランドとの電位差はV2であり、非反転入力端子は第4の入力抵抗器R21を介して接地されているので、第2の演算増幅器210からの出力電圧値は、上式(1)のV1をV2とし、上式(1)のV2を0とすることにより、−(Rf2/R21)・V2と表すことができる。この出力電圧値は第2のA/D変換器220によりデジタル値bに変換され、CPU300に与えられる。また、第1の演算増幅器110からの出力電圧値Voutは、第1のA/D変換器120によりデジタル値aに変換され、CPU300に与えられる。
【0026】
CPU300は、上記デジタル値bを(Rf2/R21)で除算することによりV2を得て、得られたV2を補正値とし上記デジタル値aから差し引いた値を得る。この得られた値と上記センサの測定温度との間には所定の対応関係があり、CPU300には、当該対応関係を示すテーブルまたは関数式等が予め記憶されている。CPU300は、このテーブル等を参照することにより、Voutから測定温度を算出する。
【0027】
上記の(Rf2/R21)および(Rf1/R11)は任意に設定可能であるが、第1および第2のA/D変換器120,220へ入力される電圧値が適切な値となるよう適宜に設定されることが好ましい。例えば、第1のA/D変換器120のフルスケール値(レンジ)が3Vであり、電位差(V2−V1)が最大で1.5Vであるときには、Rf1がR11の2倍の抵抗値になるよう設定する。そうすれば、第1のA/D変換器120への最大入力電圧を第1のA/D変換器120のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換できるため好ましい。また例えば、第2のA/D変換器220のフルスケール値(レンジ)が3Vであり、電圧値V2が最大で6Vであるときには、Rf2がR21の半分の抵抗値になるよう設定する。そうすれば、第2のA/D変換器220への最大入力電圧を第2のA/D変換器220のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換できるため好ましい。なおこの場合、第2の演算増幅器210を含む第2の差動増幅回路は、0.5の電圧利得を有する増幅器、すなわち減衰器として動作することになる。このように、第1および第2のA/D変換器120,220の各フルスケール値(レンジ)に合わせて、Rf1,Rf2,R11,R21の各値は適宜に設定される。
【0028】
ここで、(Rf2/R21)および(Rf1/R11)はCPU300に予め記憶されるが、Rf1=Rf2,R11=R21とすれば、これらの値は同じ値となり、簡易に計算可能となるため好ましい。また、この場合、第1および第2の差動増幅回路の電圧利得は一致する。したがって、温度等の環境変化やその他の原因によって第1および第2の演算増幅器110,210の動作状態が所定の初期状態からずれを生じるとき、これらの増幅器からの出力電圧がともに等しいずれを生じるため、当該ずれによる測定温度の算出誤差を小さくするよう容易に補正することができる。
【0029】
<3.変形例>
以上のように、上記一実施形態に係るセンサ入力装置では、第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、第2の演算増幅器210、および第2のA/D変換器220により電圧値V2を取得する。しかし、電圧値V2が第2のA/D変換器220に直接与えられる簡易な構成例も考えられる。図2は、上記一実施形態の変形例である簡易な構成のセンサ入力装置の構成を示す図である。このセンサ入力装置は、図1に示すセンサ入力装置に備えられる第3の入力抵抗器R21、第4の入力抵抗器R22、第2の帰還抵抗器Rf2、および第2の演算増幅器210が省略されており、その他の構成要素は図1に示すセンサ入力装置と同様であるため、同一の構成要素に同一の符号を付してその説明を省略する。本センサ入力装置に備えられる第2のA/D変換器220には、図示されないセンサからの+側の信号(電圧値V2)が直接与えられる。このことにより、図1に示すセンサ入力装置よりもコストを抑えることができる。しかし、この構成では、前述のようにA/D変換器のフルスケール値(レンジ)を考慮することができないため、適切なフルスケール値(レンジ)を有するA/D変換器を適宜選択する必要がある。
【0030】
上記一実施形態に係るセンサ入力装置は、第2のA/D変換器220に上記センサからの+側の信号(電圧値V2)を与える構成であるが、上記センサからの−側の信号(電圧値V1)を与える構成であってもよい。その場合、CPU300は、上式(4)を参照することにより、電圧値V1に基づいて電圧値V2を算出する。
【0031】
<4.効果>
上記一実施形態に係るセンサ入力装置は、上記センサからの+側の信号(電圧値V2)のグランドに対する電位差を得て、これをオフセット値とする補正を行うことにより、センサから出力される信号の電位が接地電位に対してドリフトする場合であっても、測定値に誤差が生じない。
【0032】
また、本センサ入力装置に備えられる第1の演算増幅器110は、上記センサからの+側の信号(電圧値V2)と−側の信号(電圧値V1)との差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰する。そのため、第1のA/D変換器120への最大入力電圧を第1のA/D変換器120のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換することができる。同様に、本センサ入力装置に備えられる第2の演算増幅器210は、上記センサからの+側の信号(電圧値V2)と接地電位との差に相当する電圧を所定の電圧利得に従って増幅または減衰するため、第2のA/D変換器220への最大入力電圧を第2のA/D変換器220のフルスケール値(レンジ)に合わせることができるので、精度よく変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るセンサ入力装置の構成を示す図である。
【図2】上記一実施形態の変形例に係るセンサ入力装置の構成を示す図である。
【図3】従来のセンサ入力回路の構成を例示した図である。
【図4】従来のフローティング入力方式のセンサ入力回路の構成を示す図である。
【符号の説明】
110,210 …演算増幅器
120,220 …A/D変換器
300 …中央演算装置(CPU)
R11〜R22 …入力抵抗器
Rf1,Rf2 …帰還抵抗器
Vout …出力電圧値
V1,V2 …センサからの信号の電位
Claims (3)
- 所定のセンサから、その測定値に対応する電位差を有しており、かつグランドから絶縁された第1および第2の信号を受け取るフローティング入力方式のセンサ入力装置であって、
前記第1および第2の信号を受け取り、受け取られた信号間の電位差を増幅または減衰して得られる電圧に対して所定のオフセット値が加えられた電圧を有する信号を出力する第1の差動増幅手段と、
前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から、前記第1または第2の信号の電圧値に基づき算出される値を前記オフセット値として差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出する演算手段と
を含むことを特徴とする、センサ入力装置。 - 前記第1の差動増幅手段は、
第1の入力抵抗器と、
前記第1の入力抵抗器を介して前記第1の信号を受け取る反転入力端子および前記第2の信号を受け取る非反転入力端子を有し、前記第1および第2の信号間の電位差が所定の電圧利得で増幅または減衰された電圧信号を出力する第1の演算増幅器と、
前記第1の演算増幅器から出力される信号を前記第1の演算増幅器の反転入力端子に帰還する第1の帰還抵抗器とを含み、
前記演算手段は、前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から、前記第2の信号の電圧値を前記オフセット値として差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出することを特徴とする、請求項1に記載のセンサ入力装置。 - 前記第2の信号を受け取り、受け取られた信号とグランドとの電位差を増幅または減衰して得られる電圧を有する信号を出力する第2の差動増幅手段をさらに備え、
前記第2の差動増幅手段は、
第2の入力抵抗器と、
前記第2の入力抵抗器を介して前記第2の信号を受け取る反転入力端子およびグランドの電位を受け取る非反転入力端子を有し、前記第2の信号とグランドとの電位差が所定の電圧利得で増幅または減衰された電圧信号を出力する第2の演算増幅器と、
前記第2の演算増幅器から出力される信号を前記第2の演算増幅器の反転入力端子に帰還する第2の帰還抵抗器とを含み、
前記演算手段は、前記第2の演算増幅器から出力される信号の電圧値を前記第2の差動増幅手段における所定の電圧利得で除算して得られる前記第2の信号の電圧値を前記オフセット値として、前記第1の差動増幅手段から出力される信号の電圧値から差し引くことにより、前記第1および第2の信号間の電位差を算出することを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のセンサ入力装置。
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