JP2004353254A - 建築物の基礎構造及びその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋼製基礎梁の高さ調整と、鉄骨柱の水平方向の位置出しとを簡易に行うことができるようにする。
【解決手段】ベース部分である鉄筋コンクリート層1と、該鉄筋コンクリート層1にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれたアンカーボルト2と、前記鉄筋コンクリート層1の上側に溶融したモルタルを打設することにより積層されたモルタル層3と、該モルタル層3の上に配置され前記アンカーボルト2により固定された鋼製基礎梁4と、該鋼製基礎梁に取着された鉄骨柱とを備えており、前記モルタル層3によって鋼製基礎梁支持面の高さ調整を行うことができ、鉄骨柱の水平方向の位置出しを高精度にできるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】ベース部分である鉄筋コンクリート層1と、該鉄筋コンクリート層1にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれたアンカーボルト2と、前記鉄筋コンクリート層1の上側に溶融したモルタルを打設することにより積層されたモルタル層3と、該モルタル層3の上に配置され前記アンカーボルト2により固定された鋼製基礎梁4と、該鋼製基礎梁に取着された鉄骨柱とを備えており、前記モルタル層3によって鋼製基礎梁支持面の高さ調整を行うことができ、鉄骨柱の水平方向の位置出しを高精度にできるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の基礎構造及び基礎構造の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅用の鉄骨建築物の基礎構造は、扁平状のベース部分と、該ベース部分に立設された立上り部分と、該立上り部分に載置された鋼製土台と、該鋼製土台を前記立上り部分に固定するアンカーボルトとを備えており、鋼製土台の上に鉄骨柱が取着される構成になっている。
【0003】
ベース部分は鉄筋の配筋部にコンクリートを打設することにより鉄筋コンクリート層になっている。また、立上り部分は鉄筋及びアンカーボルトの配筋部にコンクリートを打設することにより前記ベース部分と一体の鉄筋コンクリート層になっており、この立上り部分から上方へアンカーボルトのねじ部が突設されている。
【0004】
また、前記立上り部分をH型鋼からなる鋼製基礎梁とし、この鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する構成とすることにより、前記鋼製土台をなくすることができるようにした基礎構造が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0005】
この特許文献1の基礎構造は、ベース部分に一部の鉄筋を配筋し、この配筋部に複数のジャッキ金具を配設し、各ジャッキ金具に鋼製基礎梁を載置し、各ジャッキ金具を操作して鋼製基礎梁の高さ位置を調整した後、前記配筋部に残りの鉄筋及び鋼製基礎梁固定用のアンカーボルトを配筋し、鋼製基礎梁よりも下側の配筋部にコンクリートを打設することによりベース部分としての鉄筋コンクリート層を施工し、予め鋼製基礎梁の上面に溶接された固定ボルトにより鉄骨柱の下端部を鋼製基礎梁に取着するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−303583号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが前記立上り部分にアンカーボルトを有する基礎構造にあっては、鋼製土台は工場で加工されるため、前記アンカーボルトによる取着部は比較的高精度に加工することができるのに対し、アンカーボルトはねじ部を除いた部分が鉄筋コンクリート層に埋め込まれるため、ねじ部の水平方向の位置精度出しが行い難く、しかも、コンクリートの打設時に前記ねじ部の水平方向の位置が狂い易かった。この結果、基礎構造の施工現場で鋼製土台を取着する作業に多大の時間と労力とを必要とした。
【0008】
また、特許文献1の基礎構造にあっては、配筋部に配設された複数のジャッキ金具により鋼製基礎梁の高さ位置を調整するため、鋼製基礎梁の高さ位置の調整作業が行い難いし、また、複数のジャッキ金具が鉄筋コンクリート層に埋め込まれ、ジャッキ金具を再使用することができないと言う問題があった。また、コンクリートが打設される前の工程で鋼製基礎梁を施工現場に搬入し、コンクリートの打設により鉄筋コンクリート層を施工した後に鉄骨柱等の鉄骨部材を施工現場に搬入する必要があるため、鉄骨部材の搬入回数が複数となり、1回の搬入に比べて運搬費用が高くなる。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は鉄筋コンクリート層にモルタル層を積層し、該モルタル層の上側に鋼製基礎梁を配置し、該鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する構成とすることにより、鋼製基礎梁の高さ調整と、鉄骨柱の水平方向の位置出しとを簡易に行うことができる建築物の基礎構造を提供することにある。
【0010】
また、他の目的は予め標準化され、工場で加工された複数の梁部材を組み合わせて建築物の形状に対応した適宜の形状の鋼製基礎梁を形成し、該鋼製基礎梁の角部の直角度を確保することにより、鉄骨柱の水平方向の位置出しを簡易に、しかもより一層高精度に出すことができる建築物の基礎構造を提供することにある。
【0011】
また、他の目的は鋼製基礎梁の幅方向に貫通する貫通孔を鋼製基礎梁に設け、該鋼製基礎梁の一側面と向き合い前記貫通孔に挿入されるねじ軸によって前記鋼製基礎梁に取着される隠し板を設けることにより、該隠し板を鋼製基礎梁に簡易に取着することができる建築物の基礎構造を提供することにある。
【0012】
さらに、他の目的は鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設してモルタル層を施工するモルタル打設工程と、モルタル層が硬化した後該モルタル層に鋼製基礎梁を配置する梁配置工程と、アンカーボルトにより鋼製基礎梁を固定する梁固定工程と、前記鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する柱取着工程とを備えることにより、鋼製基礎梁の高さ調整と、鉄骨柱の水平方向の位置出しとを簡易にできるとともに、鉄骨部材の搬入回数を少なくすることができる建築物の基礎構造の施工方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る建築物の基礎構造は、鉄筋コンクリート層と、該鉄筋コンクリート層にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれたアンカーボルトと、前記鉄筋コンクリート層に積層されたモルタル層と、該モルタル層の上側に配置され前記アンカーボルトにより固定された鋼製基礎梁と、該鋼製基礎梁に取着された鉄骨柱とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る建築物の基礎構造は、前記鋼製基礎梁は複数の梁部材を組み合わせて適宜の形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る建築物の基礎構造は、前記鋼製基礎梁は該鋼製基礎梁の幅方向へ貫通する貫通孔を有しており、前記鋼製基礎梁の一側面と向き合い前記貫通孔に挿入されるねじ軸によって前記鋼製基礎梁に取着される隠し板を備えていることを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る建築物の基礎構造の施工方法は、鉄筋及びアンカーボルトを配置する配筋工程と、前記鉄筋及びアンカーボルトの配置部にコンクリートを打設して鉄筋コンクリート層を施工するコンクリート打設工程と、前記鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設してモルタル層を施工するモルタル打設工程と、前記モルタル層が硬化した後該モルタル層に鋼製基礎梁を配置する梁配置工程と、前記アンカーボルトにより前記鋼製基礎梁を固定する梁固定工程と、前記鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する柱取着工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
第1発明及び第4発明にあっては、ベース部分となる鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設することにより、その表面が水平となるようにモルタルが流動し、このモルタルが自然に硬化するのを待つことにより鋼製基礎梁の高さ調整を行うことができる。従って、ジャッキ金具を用いる場合に比べて高さ調整作業が行い易く、また、ジャッキ金具に比べて安価なモルタルを用いるため、基礎構造のコストを低減できる。しかも、施工現場では鉄筋コンクリート層、モルタル層及びアンカーボルトは施工現場で施工し、鋼製基礎梁及び鉄骨柱は標準化され工場で加工された部材の組み合わせで建築物の形状に対応して構成できるようにシステム化してあるため、鉄骨柱の水平方向の位置出しを高精度に行うことができる。従って、施工現場では鉄骨柱の水平方向の位置出しを行う必要がなく、工場で加工した鋼製基礎梁及び鉄骨柱を施工現場に搬入してアンカーボルトにより鋼製基礎梁を固定し、鉄骨柱を鋼製基礎梁に取着することにより簡易に組み立てることができ、施工現場での作業性を向上できる。また、鋼製基礎梁は鉄骨部材とともに施工現場に搬入することができるため、鉄骨部材の運搬費用を低減できる。
【0018】
第2発明にあっては、予め標準化された梁部材を工場で加工することができ、建築物の形状に対応して複数の梁部材を組み合わせることにより適宜の形状の鋼製基礎梁を構成することができるため、この鋼製基礎梁の角部の直角度を高精度に出すことができ、鉄骨柱の水平方向の位置をより一層高精度に出すことができる。
【0019】
第3発明にあっては、隠し板を鋼製基礎梁の一側面と向き合う位置に配置し、鋼製基礎梁の貫通孔にねじ軸を挿入することにより、隠し板を鋼製基礎梁に取着することができるため、隠し板の位置ずれをなくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る建築物の基礎構造の構成を示す断面図、図2は隠し板取着部分の拡大断面図、図3は隠し板部分の裏側断面図である。
本発明に係る基礎構造は鉄骨住宅用建築物の基礎構造であり、扁平状のベース部分である鉄筋コンクリート層1と、該鉄筋コンクリート層1にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれた複数本のアンカーボルト2と、前記鉄筋コンクリート層1の上側に積層されたモルタル層3と、該モルタル層3の上側に配置され前記アンカーボルト2により固定された鋼製基礎梁4と、該鋼製基礎梁4の上面に取着された鉄骨柱5と、鋼製基礎梁4の一側に取着された隠し板6とを備えている。
【0021】
図4はモルタル層から下側部分の平面図である。
鉄筋コンクリート層1は、掘作された地盤の凹所に鉄筋7及び複数本のアンカーボルト2を配置し、コンクリートを打設することにより各アンカーボルト2のねじ部がモルタル層3よりも上方へ突出するように扁平状に施工されている(図1参照)。各アンカーボルト2は複数の梁部材が結合されて適宜の形状となるように形成される鋼製基礎梁4の各梁部材の結合部近傍に複数本が配置されている(図4参照)。
【0022】
モルタル層3は、鉄筋コンクリート層1の上側であり、鋼製基礎梁4が配置される部分(図1、図4参照)に溶融したモルタルを打設し、このモルタルを自然に硬化させることによりその表面が水平となるようにしてある。
【0023】
図5は鋼製基礎梁部分の平面図、図6は鋼製基礎梁の一部を拡大した斜視図、図7は鋼製基礎梁を構成する複数の梁部材を結合するための梁結合体の構成を示す斜視図である。
鋼製基礎梁4は鉄骨住宅用の一般的な基礎構造におけるベース部分上の立上り部分及び該立上り部分の上に載置される鋼製土台を一体にしたものであり、標準化された複数の梁部材40の両端部が梁結合体8によって結合され、建築物の形状に対応して鋼製基礎梁4が構成される。各梁部材40は離隔して向き合う2枚の板部4a,4bが上下に配置され、各板部4a,4bに複数の第1の貫通孔41を有するH形鋼からなり、適宜長さの梁部材40が梁結合体8により結合されて枠状に形成されている。
【0024】
下側の板部4bの第1の貫通孔41はアンカーボルト2に対応する4つの位置に該アンカーボルト2よりも大径に穿設されており、アンカーボルト2のねじ部の水平方向位置が多少ずれてもアンカーボルト2を第1の貫通孔41に挿入することができるようにしてある。上側の板部4aの第1の貫通孔41は鉄骨柱5に対応する位置に、1本の鉄骨柱5に対して4つの第1の貫通孔41が穿設されている。また、上下の板部4a,4bを連結する連結板部4cに鋼製基礎梁4の幅方向へ貫通する複数の第2の貫通孔42が長手方向へ離隔して穿設されている。また、梁部材40の長手方向両端には複数の挿通孔43aを有する接合板43が設けられており、さらに、梁部材40の長手方向両端部には方杖部材取着用の挿通孔44が設けられている。
【0025】
梁結合体8はH形鋼8aの両端及び両側部に接合板8bを結合することにより6面構造とし、この6面のそれぞれに複数の挿通孔81が穿設されている。
この梁結合体8により複数の梁部材40を結合する場合、複数の梁部材40を図5のように平面視で枠状に配置し、隣合う梁部材40間に梁結合体8を配置し、この梁結合体8が有する挿通孔81及び鋼製基礎梁4の接合板43が有する挿通孔43aにボルト(図示せず)を挿通し、該ボルトにナットを緊締することにより、互いに結合される。また、交差する梁部材40の長手方向両端部間には方杖部材15が挿通孔44に挿通するボルト、ナット(何れも図示せず)により取着される。この方杖部材15の取着により鋼製基礎梁4の結合部分の直角度を高精度に出すことができ、鉄骨柱5の水平方向の位置をより一層高精度に出すことができる。
【0026】
鉄骨柱5はその端面に柱結合体51が固定されたパイプからなる。柱結合体51は十文字に交える4つの板部を有する柱部51aと、該柱部51aの一端に固定された接合板51bと、柱部51aの他端に固定され、上側の板部4aの第1の貫通孔41に対応すべき第3の貫通孔52を有する接合板51cとを備えており、接合板51bが鉄骨柱5の端面に固定されている。
【0027】
隠し板6は押出し成形されたセメントの成形板部6aと、該成形板部6aの裏面に接合された補強板6bとを有しており、第2の貫通孔42に対応すべき第4の貫通孔61が成形板部6a及び補強板6bに穿設されている。また、この補強板6bと連結板部4cとの間には対向する板片に貫通孔を有する略U字形の取着部材10が介装されており、第4の貫通孔61から取着部材10の貫通孔及び第2の貫通孔42にねじ軸11を挿入し、該ねじ軸11にナット12を螺合することにより隠し板6を鋼製基礎梁4に取着してある。
【0028】
尚、図において13は隣合う鉄骨柱5の間に配置された板壁、14はこの板壁13の下部及び隠し板6の上部間の隙間から鋼製基礎梁4部分に雨水等が浸入するのを防ぐための水切り板である。
【0029】
次に以上のように構成された基礎構造の施工は次の方法により行われる。
(1) 掘作された地盤の凹所に鉄筋7及び複数本のアンカーボルト2を配置する(配筋工程)。
(2) 鉄筋7及びアンカーボルト2の配置部にコンクリートを打設してベース部分となる扁平状の鉄筋コンクリート層1を施工し、各アンカーボルト2のねじ部を鉄筋コンクリート層1よりも上方へ突出させる(コンクリート打設工程)。
(3) 鉄筋コンクリート層1の上側であり、鋼製基礎梁4が配置される部分に溶融したモルタルを打設してモルタル層3を施工し(図4参照)、自然乾燥によりモルタル層3を硬化させる(モルタル打設工程)。この場合、各アンカーボルト2のねじ部はモルタル層3よりも上方へ突出させる。
(4) H形鋼からなり、上下の板部4a,4bに第1の貫通孔41を有する複数の梁部材40を適宜の形状となるように結合してなる鋼製基礎梁4をモルタル層3の上に配置する(梁配置工程)。
(5) 鋼製基礎梁4をモルタル層3の上に配置するとき、下側の板部4bの第の1貫通孔41にアンカーボルト2のねじ部を挿入し、該ねじ部にナット16を緊締することにより鋼製基礎梁4をモルタル層3の上に固定する(梁固定工程)。
(6) 柱結合体51が固定されている鉄骨柱5を鋼製基礎梁4の上側の板部4aに載置し、柱結合体51の接合板51cを上側の板部4aに接合させ、上側の板部4aの第1の貫通孔41から柱結合体51の第3の貫通孔52へボルト9を挿入し、該ボルト9にナット17を緊締することにより、柱結合体51、ひいては鉄骨柱5を鋼製基礎梁4に取着する(柱取着工程)。
(7) 鋼製基礎梁4の一側面と向き合う位置に隠し板6を配置するとともに、隠し板6と連結板部4cとの間に取着部材10を介装し、第4の貫通孔61及び第2の貫通孔42にねじ軸11を挿入し、該ねじ軸11にナット12を緊締することにより隠し板6を取着する。
【0030】
以上のように基礎構造を施工する場合、ベース部分となる鉄筋コンクリート層1の上側に溶融したモルタルを打設することにより、その表面が水平となるようにモルタルが流動し、水平な状態でモルタルが自然乾燥され、硬化することになるため、鋼製基礎梁支持面aの高さ調整作業を簡易に行うことができる。従って、ジャッキ金具を用いる場合に比べて高さ調整作業が行い易く、また、ジャッキ金具に比べて安価なモルタルを用いるため、基礎構造のコストを低減できる。しかも、鉄骨柱5を施工する場合、該鉄骨柱5とともに鋼製基礎梁4を施工現場に搬入することができるため、鉄骨部材の運搬回数を低減でき、運搬費用を低減できる。
【0031】
また、鋼製基礎梁4は鋼製土台を兼ねており、この鋼製基礎梁4及び鉄骨柱5を工場で加工することができるため、鉄骨柱5の水平方向の位置を高精度に出すことができ、しかも、施工現場では第1の貫通孔41に挿入するボルト9によって鉄骨柱5を簡易に取着することができる。
【0032】
また、施工現場では、鋼製基礎梁4の下側の板部4bに設けられている第1貫通孔41にアンカーボルト2のねじ部を挿入し、該ねじ部にナット16を緊締することにより鋼製基礎梁4を鉄筋コンクリート層1に固定することができる。この場合のアンカーボルト2は鋼製基礎梁4を鉄筋コンクリート層1に固定するものであり、板部4bの第1の貫通孔41はアンカーボルト2のねじ部よりも大径に形成されているため、アンカーボルト2のねじ部の水平位置等の位置精度が出ていない場合においても、鋼製基礎梁4を鉄筋コンクリート層1に固定することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明及び第4発明によれば、モルタル層によって鋼製基礎梁支持面の高さ調整を簡易に行うことができ、しかも施工現場では鉄筋コンクリート層、モルタル層及びアンカーボルトを施工現場で施工し、鋼製基礎梁及び鉄骨柱は標準化され工場で加工された部材の組み合わせで建築物の形状に対応して構成できるようにシステム化してあるため、鉄骨柱の水平方向の位置出しを高精度で行うことができ、施工現場での作業性を向上できる。また、鋼製基礎梁は鉄骨部材とともに施工現場に搬入することができるため、鉄骨部材の運搬費用を低減できる。
【0034】
第2発明によれば、予め標準化され、工場で加工された複数の梁部材を組み合わせて建築物の形状に対応した適宜の形状の鋼製基礎梁を構成することができるため、鉄骨柱の水平方向の位置出しをより一層高精度に出すことができ、しかも、施工現場での作業性を向上できる。
【0035】
第3発明によれば、隠し板を鋼製基礎梁の一側面と向き合う位置に配置し、鋼製基礎梁の貫通孔にねじ軸を挿入することにより、隠し板を鋼製基礎梁に取着することができるため、隠し板の位置ずれをなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築物の基礎構造の構成を示す断面図である。
【図2】隠し板取着部分の拡大断面図である。
【図3】隠し板部分の裏側断面図である。
【図4】モルタル層から下側部分の平面図である。
【図5】鋼製基礎梁部分の平面図である。
【図6】鋼製基礎梁の一部を拡大した斜視図である。
【図7】鋼製基礎梁を構成する複数の梁部材を結合するための梁結合体の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鉄筋コンクリート層
2 アンカーボルト
3 モルタル層
4 鋼製基礎梁
42 貫通孔
5 鉄骨柱
6 隠し板
11 ねじ軸
【発明の属する技術分野】
本発明は建築物の基礎構造及び基礎構造の施工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅用の鉄骨建築物の基礎構造は、扁平状のベース部分と、該ベース部分に立設された立上り部分と、該立上り部分に載置された鋼製土台と、該鋼製土台を前記立上り部分に固定するアンカーボルトとを備えており、鋼製土台の上に鉄骨柱が取着される構成になっている。
【0003】
ベース部分は鉄筋の配筋部にコンクリートを打設することにより鉄筋コンクリート層になっている。また、立上り部分は鉄筋及びアンカーボルトの配筋部にコンクリートを打設することにより前記ベース部分と一体の鉄筋コンクリート層になっており、この立上り部分から上方へアンカーボルトのねじ部が突設されている。
【0004】
また、前記立上り部分をH型鋼からなる鋼製基礎梁とし、この鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する構成とすることにより、前記鋼製土台をなくすることができるようにした基礎構造が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0005】
この特許文献1の基礎構造は、ベース部分に一部の鉄筋を配筋し、この配筋部に複数のジャッキ金具を配設し、各ジャッキ金具に鋼製基礎梁を載置し、各ジャッキ金具を操作して鋼製基礎梁の高さ位置を調整した後、前記配筋部に残りの鉄筋及び鋼製基礎梁固定用のアンカーボルトを配筋し、鋼製基礎梁よりも下側の配筋部にコンクリートを打設することによりベース部分としての鉄筋コンクリート層を施工し、予め鋼製基礎梁の上面に溶接された固定ボルトにより鉄骨柱の下端部を鋼製基礎梁に取着するように構成されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−303583号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが前記立上り部分にアンカーボルトを有する基礎構造にあっては、鋼製土台は工場で加工されるため、前記アンカーボルトによる取着部は比較的高精度に加工することができるのに対し、アンカーボルトはねじ部を除いた部分が鉄筋コンクリート層に埋め込まれるため、ねじ部の水平方向の位置精度出しが行い難く、しかも、コンクリートの打設時に前記ねじ部の水平方向の位置が狂い易かった。この結果、基礎構造の施工現場で鋼製土台を取着する作業に多大の時間と労力とを必要とした。
【0008】
また、特許文献1の基礎構造にあっては、配筋部に配設された複数のジャッキ金具により鋼製基礎梁の高さ位置を調整するため、鋼製基礎梁の高さ位置の調整作業が行い難いし、また、複数のジャッキ金具が鉄筋コンクリート層に埋め込まれ、ジャッキ金具を再使用することができないと言う問題があった。また、コンクリートが打設される前の工程で鋼製基礎梁を施工現場に搬入し、コンクリートの打設により鉄筋コンクリート層を施工した後に鉄骨柱等の鉄骨部材を施工現場に搬入する必要があるため、鉄骨部材の搬入回数が複数となり、1回の搬入に比べて運搬費用が高くなる。
【0009】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、主たる目的は鉄筋コンクリート層にモルタル層を積層し、該モルタル層の上側に鋼製基礎梁を配置し、該鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する構成とすることにより、鋼製基礎梁の高さ調整と、鉄骨柱の水平方向の位置出しとを簡易に行うことができる建築物の基礎構造を提供することにある。
【0010】
また、他の目的は予め標準化され、工場で加工された複数の梁部材を組み合わせて建築物の形状に対応した適宜の形状の鋼製基礎梁を形成し、該鋼製基礎梁の角部の直角度を確保することにより、鉄骨柱の水平方向の位置出しを簡易に、しかもより一層高精度に出すことができる建築物の基礎構造を提供することにある。
【0011】
また、他の目的は鋼製基礎梁の幅方向に貫通する貫通孔を鋼製基礎梁に設け、該鋼製基礎梁の一側面と向き合い前記貫通孔に挿入されるねじ軸によって前記鋼製基礎梁に取着される隠し板を設けることにより、該隠し板を鋼製基礎梁に簡易に取着することができる建築物の基礎構造を提供することにある。
【0012】
さらに、他の目的は鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設してモルタル層を施工するモルタル打設工程と、モルタル層が硬化した後該モルタル層に鋼製基礎梁を配置する梁配置工程と、アンカーボルトにより鋼製基礎梁を固定する梁固定工程と、前記鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する柱取着工程とを備えることにより、鋼製基礎梁の高さ調整と、鉄骨柱の水平方向の位置出しとを簡易にできるとともに、鉄骨部材の搬入回数を少なくすることができる建築物の基礎構造の施工方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1発明に係る建築物の基礎構造は、鉄筋コンクリート層と、該鉄筋コンクリート層にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれたアンカーボルトと、前記鉄筋コンクリート層に積層されたモルタル層と、該モルタル層の上側に配置され前記アンカーボルトにより固定された鋼製基礎梁と、該鋼製基礎梁に取着された鉄骨柱とを備えていることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る建築物の基礎構造は、前記鋼製基礎梁は複数の梁部材を組み合わせて適宜の形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る建築物の基礎構造は、前記鋼製基礎梁は該鋼製基礎梁の幅方向へ貫通する貫通孔を有しており、前記鋼製基礎梁の一側面と向き合い前記貫通孔に挿入されるねじ軸によって前記鋼製基礎梁に取着される隠し板を備えていることを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る建築物の基礎構造の施工方法は、鉄筋及びアンカーボルトを配置する配筋工程と、前記鉄筋及びアンカーボルトの配置部にコンクリートを打設して鉄筋コンクリート層を施工するコンクリート打設工程と、前記鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設してモルタル層を施工するモルタル打設工程と、前記モルタル層が硬化した後該モルタル層に鋼製基礎梁を配置する梁配置工程と、前記アンカーボルトにより前記鋼製基礎梁を固定する梁固定工程と、前記鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する柱取着工程とを含むことを特徴とする。
【0017】
第1発明及び第4発明にあっては、ベース部分となる鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設することにより、その表面が水平となるようにモルタルが流動し、このモルタルが自然に硬化するのを待つことにより鋼製基礎梁の高さ調整を行うことができる。従って、ジャッキ金具を用いる場合に比べて高さ調整作業が行い易く、また、ジャッキ金具に比べて安価なモルタルを用いるため、基礎構造のコストを低減できる。しかも、施工現場では鉄筋コンクリート層、モルタル層及びアンカーボルトは施工現場で施工し、鋼製基礎梁及び鉄骨柱は標準化され工場で加工された部材の組み合わせで建築物の形状に対応して構成できるようにシステム化してあるため、鉄骨柱の水平方向の位置出しを高精度に行うことができる。従って、施工現場では鉄骨柱の水平方向の位置出しを行う必要がなく、工場で加工した鋼製基礎梁及び鉄骨柱を施工現場に搬入してアンカーボルトにより鋼製基礎梁を固定し、鉄骨柱を鋼製基礎梁に取着することにより簡易に組み立てることができ、施工現場での作業性を向上できる。また、鋼製基礎梁は鉄骨部材とともに施工現場に搬入することができるため、鉄骨部材の運搬費用を低減できる。
【0018】
第2発明にあっては、予め標準化された梁部材を工場で加工することができ、建築物の形状に対応して複数の梁部材を組み合わせることにより適宜の形状の鋼製基礎梁を構成することができるため、この鋼製基礎梁の角部の直角度を高精度に出すことができ、鉄骨柱の水平方向の位置をより一層高精度に出すことができる。
【0019】
第3発明にあっては、隠し板を鋼製基礎梁の一側面と向き合う位置に配置し、鋼製基礎梁の貫通孔にねじ軸を挿入することにより、隠し板を鋼製基礎梁に取着することができるため、隠し板の位置ずれをなくすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る建築物の基礎構造の構成を示す断面図、図2は隠し板取着部分の拡大断面図、図3は隠し板部分の裏側断面図である。
本発明に係る基礎構造は鉄骨住宅用建築物の基礎構造であり、扁平状のベース部分である鉄筋コンクリート層1と、該鉄筋コンクリート層1にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれた複数本のアンカーボルト2と、前記鉄筋コンクリート層1の上側に積層されたモルタル層3と、該モルタル層3の上側に配置され前記アンカーボルト2により固定された鋼製基礎梁4と、該鋼製基礎梁4の上面に取着された鉄骨柱5と、鋼製基礎梁4の一側に取着された隠し板6とを備えている。
【0021】
図4はモルタル層から下側部分の平面図である。
鉄筋コンクリート層1は、掘作された地盤の凹所に鉄筋7及び複数本のアンカーボルト2を配置し、コンクリートを打設することにより各アンカーボルト2のねじ部がモルタル層3よりも上方へ突出するように扁平状に施工されている(図1参照)。各アンカーボルト2は複数の梁部材が結合されて適宜の形状となるように形成される鋼製基礎梁4の各梁部材の結合部近傍に複数本が配置されている(図4参照)。
【0022】
モルタル層3は、鉄筋コンクリート層1の上側であり、鋼製基礎梁4が配置される部分(図1、図4参照)に溶融したモルタルを打設し、このモルタルを自然に硬化させることによりその表面が水平となるようにしてある。
【0023】
図5は鋼製基礎梁部分の平面図、図6は鋼製基礎梁の一部を拡大した斜視図、図7は鋼製基礎梁を構成する複数の梁部材を結合するための梁結合体の構成を示す斜視図である。
鋼製基礎梁4は鉄骨住宅用の一般的な基礎構造におけるベース部分上の立上り部分及び該立上り部分の上に載置される鋼製土台を一体にしたものであり、標準化された複数の梁部材40の両端部が梁結合体8によって結合され、建築物の形状に対応して鋼製基礎梁4が構成される。各梁部材40は離隔して向き合う2枚の板部4a,4bが上下に配置され、各板部4a,4bに複数の第1の貫通孔41を有するH形鋼からなり、適宜長さの梁部材40が梁結合体8により結合されて枠状に形成されている。
【0024】
下側の板部4bの第1の貫通孔41はアンカーボルト2に対応する4つの位置に該アンカーボルト2よりも大径に穿設されており、アンカーボルト2のねじ部の水平方向位置が多少ずれてもアンカーボルト2を第1の貫通孔41に挿入することができるようにしてある。上側の板部4aの第1の貫通孔41は鉄骨柱5に対応する位置に、1本の鉄骨柱5に対して4つの第1の貫通孔41が穿設されている。また、上下の板部4a,4bを連結する連結板部4cに鋼製基礎梁4の幅方向へ貫通する複数の第2の貫通孔42が長手方向へ離隔して穿設されている。また、梁部材40の長手方向両端には複数の挿通孔43aを有する接合板43が設けられており、さらに、梁部材40の長手方向両端部には方杖部材取着用の挿通孔44が設けられている。
【0025】
梁結合体8はH形鋼8aの両端及び両側部に接合板8bを結合することにより6面構造とし、この6面のそれぞれに複数の挿通孔81が穿設されている。
この梁結合体8により複数の梁部材40を結合する場合、複数の梁部材40を図5のように平面視で枠状に配置し、隣合う梁部材40間に梁結合体8を配置し、この梁結合体8が有する挿通孔81及び鋼製基礎梁4の接合板43が有する挿通孔43aにボルト(図示せず)を挿通し、該ボルトにナットを緊締することにより、互いに結合される。また、交差する梁部材40の長手方向両端部間には方杖部材15が挿通孔44に挿通するボルト、ナット(何れも図示せず)により取着される。この方杖部材15の取着により鋼製基礎梁4の結合部分の直角度を高精度に出すことができ、鉄骨柱5の水平方向の位置をより一層高精度に出すことができる。
【0026】
鉄骨柱5はその端面に柱結合体51が固定されたパイプからなる。柱結合体51は十文字に交える4つの板部を有する柱部51aと、該柱部51aの一端に固定された接合板51bと、柱部51aの他端に固定され、上側の板部4aの第1の貫通孔41に対応すべき第3の貫通孔52を有する接合板51cとを備えており、接合板51bが鉄骨柱5の端面に固定されている。
【0027】
隠し板6は押出し成形されたセメントの成形板部6aと、該成形板部6aの裏面に接合された補強板6bとを有しており、第2の貫通孔42に対応すべき第4の貫通孔61が成形板部6a及び補強板6bに穿設されている。また、この補強板6bと連結板部4cとの間には対向する板片に貫通孔を有する略U字形の取着部材10が介装されており、第4の貫通孔61から取着部材10の貫通孔及び第2の貫通孔42にねじ軸11を挿入し、該ねじ軸11にナット12を螺合することにより隠し板6を鋼製基礎梁4に取着してある。
【0028】
尚、図において13は隣合う鉄骨柱5の間に配置された板壁、14はこの板壁13の下部及び隠し板6の上部間の隙間から鋼製基礎梁4部分に雨水等が浸入するのを防ぐための水切り板である。
【0029】
次に以上のように構成された基礎構造の施工は次の方法により行われる。
(1) 掘作された地盤の凹所に鉄筋7及び複数本のアンカーボルト2を配置する(配筋工程)。
(2) 鉄筋7及びアンカーボルト2の配置部にコンクリートを打設してベース部分となる扁平状の鉄筋コンクリート層1を施工し、各アンカーボルト2のねじ部を鉄筋コンクリート層1よりも上方へ突出させる(コンクリート打設工程)。
(3) 鉄筋コンクリート層1の上側であり、鋼製基礎梁4が配置される部分に溶融したモルタルを打設してモルタル層3を施工し(図4参照)、自然乾燥によりモルタル層3を硬化させる(モルタル打設工程)。この場合、各アンカーボルト2のねじ部はモルタル層3よりも上方へ突出させる。
(4) H形鋼からなり、上下の板部4a,4bに第1の貫通孔41を有する複数の梁部材40を適宜の形状となるように結合してなる鋼製基礎梁4をモルタル層3の上に配置する(梁配置工程)。
(5) 鋼製基礎梁4をモルタル層3の上に配置するとき、下側の板部4bの第の1貫通孔41にアンカーボルト2のねじ部を挿入し、該ねじ部にナット16を緊締することにより鋼製基礎梁4をモルタル層3の上に固定する(梁固定工程)。
(6) 柱結合体51が固定されている鉄骨柱5を鋼製基礎梁4の上側の板部4aに載置し、柱結合体51の接合板51cを上側の板部4aに接合させ、上側の板部4aの第1の貫通孔41から柱結合体51の第3の貫通孔52へボルト9を挿入し、該ボルト9にナット17を緊締することにより、柱結合体51、ひいては鉄骨柱5を鋼製基礎梁4に取着する(柱取着工程)。
(7) 鋼製基礎梁4の一側面と向き合う位置に隠し板6を配置するとともに、隠し板6と連結板部4cとの間に取着部材10を介装し、第4の貫通孔61及び第2の貫通孔42にねじ軸11を挿入し、該ねじ軸11にナット12を緊締することにより隠し板6を取着する。
【0030】
以上のように基礎構造を施工する場合、ベース部分となる鉄筋コンクリート層1の上側に溶融したモルタルを打設することにより、その表面が水平となるようにモルタルが流動し、水平な状態でモルタルが自然乾燥され、硬化することになるため、鋼製基礎梁支持面aの高さ調整作業を簡易に行うことができる。従って、ジャッキ金具を用いる場合に比べて高さ調整作業が行い易く、また、ジャッキ金具に比べて安価なモルタルを用いるため、基礎構造のコストを低減できる。しかも、鉄骨柱5を施工する場合、該鉄骨柱5とともに鋼製基礎梁4を施工現場に搬入することができるため、鉄骨部材の運搬回数を低減でき、運搬費用を低減できる。
【0031】
また、鋼製基礎梁4は鋼製土台を兼ねており、この鋼製基礎梁4及び鉄骨柱5を工場で加工することができるため、鉄骨柱5の水平方向の位置を高精度に出すことができ、しかも、施工現場では第1の貫通孔41に挿入するボルト9によって鉄骨柱5を簡易に取着することができる。
【0032】
また、施工現場では、鋼製基礎梁4の下側の板部4bに設けられている第1貫通孔41にアンカーボルト2のねじ部を挿入し、該ねじ部にナット16を緊締することにより鋼製基礎梁4を鉄筋コンクリート層1に固定することができる。この場合のアンカーボルト2は鋼製基礎梁4を鉄筋コンクリート層1に固定するものであり、板部4bの第1の貫通孔41はアンカーボルト2のねじ部よりも大径に形成されているため、アンカーボルト2のねじ部の水平位置等の位置精度が出ていない場合においても、鋼製基礎梁4を鉄筋コンクリート層1に固定することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上詳述したように第1発明及び第4発明によれば、モルタル層によって鋼製基礎梁支持面の高さ調整を簡易に行うことができ、しかも施工現場では鉄筋コンクリート層、モルタル層及びアンカーボルトを施工現場で施工し、鋼製基礎梁及び鉄骨柱は標準化され工場で加工された部材の組み合わせで建築物の形状に対応して構成できるようにシステム化してあるため、鉄骨柱の水平方向の位置出しを高精度で行うことができ、施工現場での作業性を向上できる。また、鋼製基礎梁は鉄骨部材とともに施工現場に搬入することができるため、鉄骨部材の運搬費用を低減できる。
【0034】
第2発明によれば、予め標準化され、工場で加工された複数の梁部材を組み合わせて建築物の形状に対応した適宜の形状の鋼製基礎梁を構成することができるため、鉄骨柱の水平方向の位置出しをより一層高精度に出すことができ、しかも、施工現場での作業性を向上できる。
【0035】
第3発明によれば、隠し板を鋼製基礎梁の一側面と向き合う位置に配置し、鋼製基礎梁の貫通孔にねじ軸を挿入することにより、隠し板を鋼製基礎梁に取着することができるため、隠し板の位置ずれをなくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る建築物の基礎構造の構成を示す断面図である。
【図2】隠し板取着部分の拡大断面図である。
【図3】隠し板部分の裏側断面図である。
【図4】モルタル層から下側部分の平面図である。
【図5】鋼製基礎梁部分の平面図である。
【図6】鋼製基礎梁の一部を拡大した斜視図である。
【図7】鋼製基礎梁を構成する複数の梁部材を結合するための梁結合体の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 鉄筋コンクリート層
2 アンカーボルト
3 モルタル層
4 鋼製基礎梁
42 貫通孔
5 鉄骨柱
6 隠し板
11 ねじ軸
Claims (4)
- 鉄筋コンクリート層と、該鉄筋コンクリート層にそのねじ部が上方へ突出するように埋め込まれたアンカーボルトと、前記鉄筋コンクリート層に積層されたモルタル層と、該モルタル層の上側に配置され前記アンカーボルトにより固定された鋼製基礎梁と、該鋼製基礎梁に取着された鉄骨柱とを備えていることを特徴とする建築物の基礎構造。
- 前記鋼製基礎梁は複数の梁部材を組み合わせて適宜の形状に形成されている請求項1記載の建築物の基礎構造。
- 前記鋼製基礎梁は該鋼製基礎梁の幅方向へ貫通する貫通孔を有しており、前記鋼製基礎梁の一側面と向き合い前記貫通孔に挿入されるねじ軸によって前記鋼製基礎梁に取着される隠し板を備えている請求項1記載の建築物の基礎構造。
- 鉄筋及びアンカーボルトを配置する配筋工程と、前記鉄筋及びアンカーボルトの配置部にコンクリートを打設して鉄筋コンクリート層を施工するコンクリート打設工程と、前記鉄筋コンクリート層の上側に溶融したモルタルを打設してモルタル層を施工するモルタル打設工程と、前記モルタル層が硬化した後該モルタル層に鋼製基礎梁を配置する梁配置工程と、前記アンカーボルトにより前記鋼製基礎梁を固定する梁固定工程と、前記鋼製基礎梁に鉄骨柱を取着する柱取着工程とを含むことを特徴とする建築物の基礎構造の施工方法。
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