JP2004353099A - サポーター - Google Patents
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Abstract
【課題】易着脱性に優れ、保温性、消臭効果が高いサポーターを提供すること。
【解決手段】幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ厚さが3mm以下の布帛を使用したことを特徴とするサポーター。
【選択図】図1
【解決手段】幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、かつ厚さが3mm以下の布帛を使用したことを特徴とするサポーター。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、サポーターに関する。さらに詳しくは、伸縮性に富み、薄くて適度な圧迫を加えることができ、着脱が容易なサポーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スポーツ、医療などの分野では身体の保護や固定を目的に用いられる補装具として、各種のサポーターが提案され実用化されてきた。また、オフィスや外出時の脚の疲れを軽減するための圧迫機能付きパンストや靴下が市販され、若い女性を中心に着用されている。
【0003】
一方、特許公報においては、下肢循環器系疾患患者の静脈潰瘍後の脚を圧して支持するための靴下が提案されている。例えば、足首から始まって脚の全部または一部に徐々に圧力を降下させながら圧せるように設計されているつま先のない靴下タイプの整形術具(例えば、特許文献1参照)が、また、前面を二分して開放し着脱性を向上させた治療用靴下(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
また、ふくらはぎ用のサポーターとして、ふくらはぎの形態に個人差があってもベルトで調節できるサポーターが(例えば、特許文献3参照)、また、厚い断熱層を有したレッグウオーマーが(例えば、特許文献4参照)提案されている。
【0005】
一方、非特許文献においては、サポートタイプの靴下やパンティストッキングの圧迫が皮膚血流量に及ぼす影響が論じられている。例えば、脚部圧迫による快適圧および限界圧と、その要因分析(例えば、非特許文献1参照)が、また、下腿部周径上の加圧割合が皮膚血流量に及ぼす影響(例えば、非特許文献2参照)が報告されている。これらの特許文献や非特許文献には、下肢部を圧迫することにより、心拍数が減少し、心拍出量が増加することにより、下肢部の血行が改善され心臓への静脈環流が増し、むくみも減るという効果が報告されている。
【0006】
しかし、いずれにおいても下肢部を強く圧迫させるため、例えば、気圧が変化する飛行機のフライト中などで、このようなサポートタイプの靴下やストッキングを長時間着用すると、静脈環流が減少し、かえってむくみを増大させ、高じると鬱血状態に近づき、健康障害を起こしかねない。また、サポートタイプの靴下やパンティストッキングは着脱しにくく、特に着座した状態で必要な時だけ装着できるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特表2000−512176号公報(第1−2頁)
【0008】
【特許文献2】
実用新案登録第3068191号公報(第1−2頁)
【0009】
【特許文献3】
特開2001−254214号公報(第1−2頁)
【0010】
【特許文献4】
実用新案登録第3054074号(第1−2頁)
【0011】
【非特許文献1】
(社)日本繊維製品消費科学会発刊 繊維製品消費科学2000年版 Vol.41(第45頁)
【0012】
【非特許文献2】
(社)日本繊維製品消費科学会発刊 繊維製品消費科学1998年版 Vol.39(第64頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、かかる従来技術の実状に鑑み、伸縮性に富み、薄くて優れた保温性を有し、軽くて肌触りが良く、着脱が容易なサポーターを提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。すなわち、
(1)幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上150%以下、伸長回復率が60%以上99%以下、かつ厚さが0.1mm以上3mm以下の布帛を使用したことを特徴とするサポーター。
(2)目付が50g/cm2以上300g/cm2 以下の布帛を使用したことを特徴とする前記(1)に記載のサポーター。
(3)下腿部を覆う長さを有し、下腿上端部の周り寸法と下腿下端部の周り寸法の差寸が5〜20cmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のサポーター。
(4)幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、該幅方向の両端側に係止具が取り付けられていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサポーター。
(5)幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、該幅方向の一端側に突出したループを付設したことを特徴とする前記(4)に記載のサポーター。
(6)下腿上端部から足首部を覆う下腿下端部までの距離が1〜8cmの間で変化していることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のサポーター。
(7)前記使用布帛が水分子吸着発熱性能を有し、繊維表面に吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させてなることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のサポーター。
(8)前記使用布帛の繊維表面上にチタンとケイ素からなる複合酸化物と、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒とを有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のサポーターである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり伸縮性に富み、薄くて優れた保温性を有し、軽くて肌触りが良く、着脱が容易なサポーターについて、鋭意検討した結果、次の構成を有することにより解決することを究明したものである。
【0016】
本発明に使用するサポーターの布帛の構成は以下のとおりである。すなわち、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、厚さが3mm以下の布帛を用いるものである。
【0017】
かかる伸長率は、布帛の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、サポーターにして着用した時、身体の曲線にフィットし易く、着脱も容易である。
【0018】
かかる伸長率が50%未満であると、サポーターとして着用しづらく、身体の動きにフィットし難いものとなる。したがって、布帛のタテまたはヨコ方向いずれかまたは双方の伸長率は、50%以上あるものであり、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0019】
また、伸長回復率は、身体の動きで伸長した布帛が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、サポーターとして着用した時、よりフィット性に富み、動き易いものである。かかる伸長回復率が60%未満であると、身体の動きにより伸長された布帛が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから、身体の動きに追従しにくくなる。
【0020】
なお、タテ方向とヨコ方向で、布帛伸長率と伸長回復率の数値に大小がある場合は、伸長率の大きい方向をサポーターの幅方向7(図1参照)に優先して使用することが好ましい。
【0021】
かかる伸長率および伸長回復率は、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に基づいて測定されたものである。
【0022】
さらに、本発明においては、生地厚さが3mm以下の布帛を用いる。布帛の生地の厚さが3mmより厚くなると、着用時にかさばり、外衣の上から目立つため好ましくない。また、着用時にはその上に身につける外衣のサイズを未着用時より大きくしないと入らなくなる可能性もある。
【0023】
さらに、目付300g/cm2 以下の布帛を使用することが好ましい。
【0024】
本発明の布帛としては、織物、編物、不織布などが採用でき、いずれも単独もしくは組み合わせて使用してもよい。
【0025】
布帛を構成する繊維は、合成繊維、天然繊維、あるいは長繊維、単繊維の区別なく使用でき、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合性繊維、羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維のいずれか、これらの組み合わせが含まれていてもよい。また、挿入糸や芯糸を入れても良いし、ポリウレタンなどの弾性糸を使用しても良い。
【0026】
次に、本発明のサポーターの形状について、一態様を示す図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明のサポーターを開放したときの状態を示す前面図、図2、図3は、本発明のサポーターの他の態様を示す前面図、図4は、市販されているサポート靴下の一例を示す図である。
【0027】
本発明のサポーターは、下腿部を覆う幅7と長さ8を有し、下腿上端部3の周り寸法と下腿下端部4の周り寸法の差寸が5〜20cmであるように下腿上端部3の周り寸法を下腿下端部4の周り寸法より大きくすることが好ましい。これにより、人体の膝下部と足首囲との差寸をカバーすることができ、下腿部に余分なシワが入ったり、下腿部に不均一な圧迫を強いることを防止でき、着用感が向上する。差寸は、布帛を裁断する時に入れても縫製工程でダーツやタック9で処理してもよい。
【0028】
本発明のサポーターは幅方向の両端が開放された形状で、解放された両端側には係止具2が取り付けられ、着用時には、これらの係止具を夫夫係止してサポーターの幅方向の両端部を密着、閉止し、また、サポーターを脱ぐときは係止具を外すことにより、サポーターを着脱することができるようになっている。
【0029】
本発明で使用する係止具は、面ファスナー、ファスナー、紐、フック、ボタン、ドットボタン、織テープなどを用いることができる。さらに、一端には突出したループ5を付設することにより、ループ5を指先で持ち、引っ張り上げることにより、係止しやすくすることができる。突出したループ5がないと、力を入れにくく、サポーターを固定しにくくなる。図3に示す、両端が開放されていない靴下6では、着脱時には、その都度履き物を脱ぎ、靴下6を膝下まで引き上げる必要があった。特にサポートタイプの靴下は伸びにくく、戻る力が強いために履き難く、人前で着脱するには、下腿部を十分伸ばせるような空間が必要であった。本発明のサポーターは、幅方向の両端が開放された形状であるため、履き物を履いた状態でサポーター1を下腿部に巻き付け、係止具2で係止すればよいため、狭い空間でも他人に目立たぬよう容易に着脱することができる。特に、飛行機や新幹線など乗り物内でも、自由に着脱することができるため好ましい。
【0030】
本発明のサポーターにおいては、下腿上端部3から足首部を覆う下腿下端部4までの長さ、すなわち、長部長さ10と短部長さ11との差寸が1〜8cmの間で変化していることが好ましい。従って下腿下端部は一直線ではなく、図2や図3のように曲線となることが好ましい。このように変化させることにより、図3のように後方では足首からかかと部分までを、図2のように前方においては足の甲の一部を覆うことができ、保温性の面から好ましい。
【0031】
本発明のサポーターに用いる布帛に水分子吸着発熱性能を付与させることが好ましい。
【0032】
布帛を構成する繊維として、吸湿性を有する繊維を用いればよく、例えば、羊毛、蛋白質繊維であるアーディル、ビスコースレーヨン、絹、綿等の湿潤熱の高い繊維を用いてもよいし、または、合成繊維に、紡糸あるいは後加工において吸湿性を付与・向上させたものを用いてもよい。
【0033】
例えば、紡糸においては、ナイロンにポリビニルピロリドン等の吸湿ポリマーを練り込み紡糸して得られた吸湿性向上ナイロン糸等を使用することができる。すなわち、ナイロンにポリビニールピロリドンを5重量%練り込むことにより、後述する発熱エネルギーが13程度の糸を得ることができる。
【0034】
また、後加工においては、吸湿性のあるポリマーおよび/または吸湿性のある微粒子を繊維表面に固着させることが実用上好ましく用いられる。固着させる例としては、吸湿率の高い、ケイ素を含む化合物の微粒子を用い、これをバインダーで繊維表面に固着することが好ましい。
【0035】
後加工で吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させることにより、繊維が吸湿性となることは、布帛の柔軟性を増すことにもなり好ましい。吸湿性のある微粒子を繊維表面に水分子吸着発熱性能を有する布帛は、身体から出る不感蒸泄や汗などの水分を吸着して発熱するため、保温性が格段に向上する。
【0036】
後加工により吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を繊維表面に固着させる手段としては特に限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、下記化学式で表される化合物の1種もしくは2種以上を混合した溶液に重合開始剤を混ぜ、パディング法、スプレー法、キスロールコータ、スリットコータなどの処理方法で方法で処理液を付与後、乾熱処理、湿熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理等によりポリマー化して繊維表面に固着する方法などが好ましく使用される。
【0037】
【化1】
【0038】
(式中、X=HまたはCH3、n=9〜23の整数である。)
【0039】
【化2】
【0040】
(式中、X=HまたはCH3、m+n=は9〜23の整数である。)
【0041】
【化3】
【0042】
(式中、R=HまたはCH3、R1=Cl、Br、I、OCH3、OC2H5またはSCH3、m=0〜9の整数、l=10〜30の整数である)。
【0043】
ビニルスルホン酸はpHが低く、そのまま用いると綿やナイロンは脆化するため、予め中和したビニルスルホン酸ナトリウムを用いるとよい。また、ビニルスルホン酸亜鉛を用いると消臭性能も付与できる。ビニルスルホン酸としては、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が水分子吸着発熱性能の点で好ましい。
【0044】
重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を使用できる。
【0045】
また、処理液を繊維材料に付与する際、真空脱水機で処理するなどして付与量を調整することも好ましく行われる。
【0046】
また、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維に対しては製糸、製紡の段階での付与も可能である。例えば、ポリエステルフィラメントの場合、溶融紡糸法でUY(未延伸糸)やPOY(半延伸糸)等を紡糸する際、上記化合物の1種もしくは2種以上、炭素数25〜33の高級炭化水素、炭素数が3〜6の多価アルコールと炭素数が14〜18の脂肪酸とのエステル、炭素数が12〜17の脂肪酸とアミノアルコールとの反応により得られる脂肪族アミドおよび水溶性シリコーン化合物から成る群から選ばれた少なくとも一種の化合物とポリオキシエチレン系界面活性剤の混合組成物を紡糸油剤とともに付与し、後の延伸工程において乾熱処理されることによって化合物が繊維に強固に付着し、耐洗濯性のある水分子吸着発熱性能を得ることができる。また、アクリル繊維の場合は、湿式紡糸法で紡糸、延伸、水洗された後、上記化学式群で表される化合物の1種もしくは2種以上を混合した溶液を、0.05〜5.0重量%付着させ、乾燥緻密化処理、スチーム処理、乾燥工程を経て、上記化合物が繊維に強固に付着し、耐洗濯性のある水分子吸着発熱性能を付与することができる。
【0047】
本発明のサポーターは、繊維表面に、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒剤を付着させた素材を用いることが好ましい。
【0048】
本発明において、光触媒剤としては、紫外線により励起され、強い酸化力によって有機物を酸化分解する特性を有するものであり、具体的には、アナターゼ型、ルチル型と呼ばれる結晶型の構造をもつものが含まれる。かかる光触媒は、消臭性、着色物分解除去性(防汚性)、殺菌性(抗菌、防カビ)を有するものである。
【0049】
かかる光触媒剤の作用は、皮膚下のエクリン腺、アポクリン腺から出た水分に皮膚の周囲にある常在菌により汗の臭い(主成分:アンモニアやイソ吉草酸)が発生し、この臭いに光触媒剤で励起された・OH基(水酸基ラジカル)が汗の主成分に触れ、これをCO2(炭酸ガス)とH20(水)に分解して消臭すると考えられている。また、加齢臭(中高年臭)では、主成分:ノネナールが、老人臭(中高年臭)では、主成分:インドール、スカトールが 、糞尿臭では、主成分:アンモニアが、他の体臭では、主成分:アセトアルデヒド、メチルメルカプタンが、タバコ臭では、主成分:ニコチンが、それぞれ同様に光触媒剤で分解することができるのである。
【0050】
本発明において、光触媒剤の中でも、チタンとケイ素の複合酸化物が好ましく使用されるが、かかる複合酸化物としては、例えば、特公平5−55184号公報に記載された方法で製造した触媒などを用いることができる。一般に、チタンとケイ素からなる二元系複合酸化物は、例えば、触媒(第17巻、No.3、72頁、1975年、触媒学会発行)に記載されているように、固体酸として知られ、チタンとケイ素の割合は、酸化物に換算して酸化チタンが20〜95モル%、酸化ケイ素が5〜80モル%の範囲にあるものが、消臭効果の点で好ましい結果を与える。
【0051】
本発明においては、例えば、チタンとケイ素の複合酸化物の如き光触媒剤を繊維表面に付着させるため、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーを用いることが好ましい。かかるバインダーの存在により、有機系樹脂特有の光触媒剤の酸化による分解、着色、臭気の発生を防止することができる。
【0052】
本発明に好ましく用いられるアルキルシリケートは、下記のように主にSi−Oの結合部分と直鎖または分岐のある飽和アルキルからなり、その両端にOH基をもつものである。
OH−(Si−O)n −R−OH
(式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のある飽和アルキル基であり、nは1以上の整数を意味し、無機性を高めるために、好ましくは1000〜10000の範囲である)。
【0053】
かかるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等直鎖または分岐のある飽和アルキル基である。
【0054】
かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜10重量%が好ましい。
【0055】
また、シリコーン系樹脂としては、シリコーンレジンもしくはシリコーンワニスという分類に属する縮合架橋型樹脂を使用することができ、かかる樹脂は、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどの縮合架橋型樹脂を、単独または数種の配合物を縮合して得ることができるものが含まれる。これらは、3次元構造の樹脂を形成し、シリコーン樹脂の中でも、最も耐熱性や耐薬品性に優れたものである。かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする観点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜100重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましい。
【0056】
また、フッ素系樹脂としては、ビニルエーテルおよび/またはビニルエステルとフルオロオレフィン重合性化合物が、非常に優れた特性を持っていて好ましく使用される。例えば、ポリフッ化ビニルやポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエステルやビニルエステル−フルオロオレフィンなどが分解、劣化が少ないので好ましく使用される。かかる樹脂の付着量は、シリコーン系樹脂と同量の条件で好ましく使用される。かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする観点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜100重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましい。
【0057】
かかるシリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂と、通常よく使用されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などとの違いは、熱や薬品の作用で分解されやすい炭化水素基をほとんど含まず、シリコーン系樹脂はSi−O結合、フッ素系樹脂はF−C結合を主体に構成されており、末端基や側鎖に少量のメチル基やフェニル基が炭化水素として含まれる程度であるところにある。
【0058】
また、かかるバインダーに、ゼオライトをさらに添加すると、抗菌性能をさらに高める効果があるので好ましい。すなわち、臭い成分の吸着力の向上と構造物中の無機系成分比を増加させ、光触媒剤による分解を抑制する作用がある。かかるゼオライトは、金、白金、銀、パラジウム等の貴金属を、好ましくは0.01〜5重量%の範囲で担持したものを用いると、さらに抗菌効果が向上するという機能を発揮する。かかるゼオライトの付着量は、繊維に対して、塗布法では好ましくは0.01〜10重量%であり、また、含浸法では、風合いの点から、好ましくは0.01〜5重量%の範囲に制御するのがよい。
【0059】
次に、上述のバインダーにシランカップリング剤などのカップリング剤をさらに添加すると、無機物と有機物の接着力を向上させることができる。かかるカップリング剤より、繊維、バインダー、光触媒剤の相互間に化学的結合力が働き、洗濯耐久性を著しく向上させる効果を発揮する。かかるカップリング剤の付着量は、繊維に対して、塗布法では好ましくは0.01〜30重量%であり、また、含浸法では、風合いの点から、好ましくは0.01〜10重量%の範囲に制御するのがよい。
【0060】
本発明においては、かかる光触媒を表面上に固定するために、特定の中間層を設けてもよい。
【0061】
この中間層としては、過酸化チタン粒子層、ゼオライトの層、ゼオライトとシリコーン系もしくはフッ素系樹脂で固定した層、アルキルシリケートの層が好ましく用いられる。これらいずれかの中間層を用いることにより、有機系樹脂特有の光触媒の酸化による分解、着色、臭気の発生をより効果的に防止することができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明のサポーターについて実施例ならびに比較例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中での品質評価は次の方法を用いた。
【0063】
(測定方法)
(1)伸長率
伸長率の試験法はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のストリップ法に基づいて行った。すなわち、5cm×約30cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を20cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。
これを引張速度20cm/minで14.7N(1.5Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である20cmまで戻した。この荷重−除重による挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた。
これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、布帛のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100
L :つかみ間隔(mm)
L1:14.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)。
【0064】
(2)伸長回復率
また、伸長回復率LB(%)は、前記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留伸び(mm)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、布帛のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。
伸長回復率LB(%)={(L1−L2)/L1}×100
L1:14.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)
L2:残留伸び(mm)。
【0065】
(3)目付、厚さ測定
目付、厚さの測定はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に基づいて、目付は標準状態における単位面積あたりの質量を算出し、厚さは0.7kpa時の厚さを異なる5ヶ所測定し平均値を求めた。
【0066】
(4)着脱性、着用感、圧迫感、審美性評価
実着用による官能評価とした。その評価基準を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
(5)発熱エネルギー指数
発熱エネルギー指数とは、ポリエステル繊維100%素材と比較した水分子吸着発熱エネルギーであり、ポリエステル繊維100%素材を1とした場合の比較値である。測定法としては、アルコール温度計に3gの試料を巻き付け、30℃、30%RHの環境で調温、調湿させた後、30℃、90%RHの環境へ移動させた場合の吸湿時の温度上昇を経時的に観察し、横軸に時間、縦軸に温度としたグラフに30℃から上昇し再び30℃に復元するまでプロットし、その面積を測定するものである。
具体的には、幅約3.5cmの試料3gを、アルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、摂氏30度×湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定した。次に、摂氏30度×湿度90%RHの環境まで湿度を3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定した。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表した。
発熱エネルギー指数={試料の発熱エネルギー量/ポリエチレンテレフタレート繊維タフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量}。
【0069】
(6)消臭性評価
検知管法によりおこなった。試料を10g入れた500mlの容器に初期濃度が200ppmになるようにアンモニアガスをいれて密閉し、1時間放置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定した。
同様な方法でアセトアルデヒド200ppm−1時間後、メチルメルカプタン60ppm−3時間後の残留ガス濃度も測定した。
【0070】
(実施例1)
表側に、地糸のナイロンに吸湿ポリマーであるポリビニルピロリドンを5重量%練り込んだ78デシテックス−24フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸を、裏側に30番手の綿100%の紡績糸を用い、ダブル丸編機を使って、表側が凹凸組織の生機を作製した。この生機をリラックス精練、中間セットを行った後、染色した。
【0071】
四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。
これに、前記布帛を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、190℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する編物を得た。
次に、この布帛を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する処理布を得た。この繊維布帛を用いて表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0072】
(実施例2)
ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、数平均分子量約1000のポリグリコール、1,4−ブタンジオールから重合されたポリエーテルエステル共重合ポリマを、特公昭44−22525号公報に記載のジェット紡糸法により繊維化して、コンベア上に捕集し、弾性繊維不織シートを得た。
四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。これに、前記布帛を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、190℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する布帛を得た。
次に、この布帛を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する処理布を得た。この不織布を用いて表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0073】
(実施例3)
ポリウレタン弾性糸にナイロンフィラメントをカバーリングした糸をタテ糸、ヨコ糸に用いて織布した平織物を通常の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥を行った。
この染色・乾燥後の生地を、下記組成の処方Aの処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
(処方A)
・AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸) 20g/l
・PEG#1000ジメタクリレート(上述した一般式[1]) 40g/l
・過硫酸アンモニウム 2g/l。
乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットしてさらに、この編地を四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。
これに、前記布帛を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、170℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する布帛を得た。
次に、この布帛を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する処理布を得た。この繊維布帛を用いて表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0074】
(比較例1)
300デシテックス相当のアクリル手編み糸を用い、直径20cmの筒編み機械を用いて筒状の編地を得た。この編地を長さ30cmとなるよう裁断し、周囲の端糸を始末した。このようにして得られたサポーターにについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0075】
(比較例2)
脚部を133デシテックスのスパンデックス糸に44デシテックス24フィラメントのナイロン仮撚加工糸を巻き付けて製造した被覆弾性糸を用いて平編地を編成し、くるぶし部において編成糸を切り替え、切り替え部から下を22デシテックスのスパンデックス糸に13デシテックス5フィラメントのナイロン糸を巻き付けて製造した被覆弾性糸を用いて平編み編成を行い、膝下ストッキングを編成した。
【0076】
(比較例3)
第1成分として極限粘土0.66のポリエチレンテレフタレート、第2成分として極限粘土0.47のポリエチレンテレフタレートを原料として通常の不織布製法に準じてスパンボンド不織布を得た。この不織布を表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、伸縮性に富み、薄くて優れた保温性を有し、着脱性に優れたサポーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサポーターを開放した形態の一例を示す前面図である。
【図2】本発明のサポーターの他の態様を示す前面図である。
【図3】本発明のサポーターの他の態様を示す前面図である。
【図4】市販されているサポート靴下の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:サポーター本体
2:係止具
3:サポーター上端部
4:サポーター下端部
5:ループ
6:靴下
7:サポーターの幅方向
8:サポーターの長さ方向
9:ダーツ
10:サポーターの長部長さ
11:サポーターの短部長さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、サポーターに関する。さらに詳しくは、伸縮性に富み、薄くて適度な圧迫を加えることができ、着脱が容易なサポーターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、スポーツ、医療などの分野では身体の保護や固定を目的に用いられる補装具として、各種のサポーターが提案され実用化されてきた。また、オフィスや外出時の脚の疲れを軽減するための圧迫機能付きパンストや靴下が市販され、若い女性を中心に着用されている。
【0003】
一方、特許公報においては、下肢循環器系疾患患者の静脈潰瘍後の脚を圧して支持するための靴下が提案されている。例えば、足首から始まって脚の全部または一部に徐々に圧力を降下させながら圧せるように設計されているつま先のない靴下タイプの整形術具(例えば、特許文献1参照)が、また、前面を二分して開放し着脱性を向上させた治療用靴下(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【0004】
また、ふくらはぎ用のサポーターとして、ふくらはぎの形態に個人差があってもベルトで調節できるサポーターが(例えば、特許文献3参照)、また、厚い断熱層を有したレッグウオーマーが(例えば、特許文献4参照)提案されている。
【0005】
一方、非特許文献においては、サポートタイプの靴下やパンティストッキングの圧迫が皮膚血流量に及ぼす影響が論じられている。例えば、脚部圧迫による快適圧および限界圧と、その要因分析(例えば、非特許文献1参照)が、また、下腿部周径上の加圧割合が皮膚血流量に及ぼす影響(例えば、非特許文献2参照)が報告されている。これらの特許文献や非特許文献には、下肢部を圧迫することにより、心拍数が減少し、心拍出量が増加することにより、下肢部の血行が改善され心臓への静脈環流が増し、むくみも減るという効果が報告されている。
【0006】
しかし、いずれにおいても下肢部を強く圧迫させるため、例えば、気圧が変化する飛行機のフライト中などで、このようなサポートタイプの靴下やストッキングを長時間着用すると、静脈環流が減少し、かえってむくみを増大させ、高じると鬱血状態に近づき、健康障害を起こしかねない。また、サポートタイプの靴下やパンティストッキングは着脱しにくく、特に着座した状態で必要な時だけ装着できるものではなかった。
【0007】
【特許文献1】
特表2000−512176号公報(第1−2頁)
【0008】
【特許文献2】
実用新案登録第3068191号公報(第1−2頁)
【0009】
【特許文献3】
特開2001−254214号公報(第1−2頁)
【0010】
【特許文献4】
実用新案登録第3054074号(第1−2頁)
【0011】
【非特許文献1】
(社)日本繊維製品消費科学会発刊 繊維製品消費科学2000年版 Vol.41(第45頁)
【0012】
【非特許文献2】
(社)日本繊維製品消費科学会発刊 繊維製品消費科学1998年版 Vol.39(第64頁)
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、かかる従来技術の実状に鑑み、伸縮性に富み、薄くて優れた保温性を有し、軽くて肌触りが良く、着脱が容易なサポーターを提供せんとするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は以下の手段を採用する。すなわち、
(1)幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上150%以下、伸長回復率が60%以上99%以下、かつ厚さが0.1mm以上3mm以下の布帛を使用したことを特徴とするサポーター。
(2)目付が50g/cm2以上300g/cm2 以下の布帛を使用したことを特徴とする前記(1)に記載のサポーター。
(3)下腿部を覆う長さを有し、下腿上端部の周り寸法と下腿下端部の周り寸法の差寸が5〜20cmであることを特徴とする前記(1)または(2)に記載のサポーター。
(4)幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、該幅方向の両端側に係止具が取り付けられていることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載のサポーター。
(5)幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、該幅方向の一端側に突出したループを付設したことを特徴とする前記(4)に記載のサポーター。
(6)下腿上端部から足首部を覆う下腿下端部までの距離が1〜8cmの間で変化していることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載のサポーター。
(7)前記使用布帛が水分子吸着発熱性能を有し、繊維表面に吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させてなることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載のサポーター。
(8)前記使用布帛の繊維表面上にチタンとケイ素からなる複合酸化物と、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒とを有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載のサポーターである。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり伸縮性に富み、薄くて優れた保温性を有し、軽くて肌触りが良く、着脱が容易なサポーターについて、鋭意検討した結果、次の構成を有することにより解決することを究明したものである。
【0016】
本発明に使用するサポーターの布帛の構成は以下のとおりである。すなわち、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上、伸長回復率が60%以上、厚さが3mm以下の布帛を用いるものである。
【0017】
かかる伸長率は、布帛の伸びの程度を表すものであり、この数値が大きい程、サポーターにして着用した時、身体の曲線にフィットし易く、着脱も容易である。
【0018】
かかる伸長率が50%未満であると、サポーターとして着用しづらく、身体の動きにフィットし難いものとなる。したがって、布帛のタテまたはヨコ方向いずれかまたは双方の伸長率は、50%以上あるものであり、好ましくは60%以上、さらに好ましくは70%以上である。
【0019】
また、伸長回復率は、身体の動きで伸長した布帛が、素早く元の状態に戻ろうとする回復程度を表すものであり、この数値が大きい程、サポーターとして着用した時、よりフィット性に富み、動き易いものである。かかる伸長回復率が60%未満であると、身体の動きにより伸長された布帛が伸ばされた状態となり、身体へのフィット感に劣ることから、身体の動きに追従しにくくなる。
【0020】
なお、タテ方向とヨコ方向で、布帛伸長率と伸長回復率の数値に大小がある場合は、伸長率の大きい方向をサポーターの幅方向7(図1参照)に優先して使用することが好ましい。
【0021】
かかる伸長率および伸長回復率は、JIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に基づいて測定されたものである。
【0022】
さらに、本発明においては、生地厚さが3mm以下の布帛を用いる。布帛の生地の厚さが3mmより厚くなると、着用時にかさばり、外衣の上から目立つため好ましくない。また、着用時にはその上に身につける外衣のサイズを未着用時より大きくしないと入らなくなる可能性もある。
【0023】
さらに、目付300g/cm2 以下の布帛を使用することが好ましい。
【0024】
本発明の布帛としては、織物、編物、不織布などが採用でき、いずれも単独もしくは組み合わせて使用してもよい。
【0025】
布帛を構成する繊維は、合成繊維、天然繊維、あるいは長繊維、単繊維の区別なく使用でき、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリプロピレン系繊維等の合成繊維、アセテート、レーヨン等の半合性繊維、羊毛、絹、木綿、麻等の天然繊維のいずれか、これらの組み合わせが含まれていてもよい。また、挿入糸や芯糸を入れても良いし、ポリウレタンなどの弾性糸を使用しても良い。
【0026】
次に、本発明のサポーターの形状について、一態様を示す図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明のサポーターを開放したときの状態を示す前面図、図2、図3は、本発明のサポーターの他の態様を示す前面図、図4は、市販されているサポート靴下の一例を示す図である。
【0027】
本発明のサポーターは、下腿部を覆う幅7と長さ8を有し、下腿上端部3の周り寸法と下腿下端部4の周り寸法の差寸が5〜20cmであるように下腿上端部3の周り寸法を下腿下端部4の周り寸法より大きくすることが好ましい。これにより、人体の膝下部と足首囲との差寸をカバーすることができ、下腿部に余分なシワが入ったり、下腿部に不均一な圧迫を強いることを防止でき、着用感が向上する。差寸は、布帛を裁断する時に入れても縫製工程でダーツやタック9で処理してもよい。
【0028】
本発明のサポーターは幅方向の両端が開放された形状で、解放された両端側には係止具2が取り付けられ、着用時には、これらの係止具を夫夫係止してサポーターの幅方向の両端部を密着、閉止し、また、サポーターを脱ぐときは係止具を外すことにより、サポーターを着脱することができるようになっている。
【0029】
本発明で使用する係止具は、面ファスナー、ファスナー、紐、フック、ボタン、ドットボタン、織テープなどを用いることができる。さらに、一端には突出したループ5を付設することにより、ループ5を指先で持ち、引っ張り上げることにより、係止しやすくすることができる。突出したループ5がないと、力を入れにくく、サポーターを固定しにくくなる。図3に示す、両端が開放されていない靴下6では、着脱時には、その都度履き物を脱ぎ、靴下6を膝下まで引き上げる必要があった。特にサポートタイプの靴下は伸びにくく、戻る力が強いために履き難く、人前で着脱するには、下腿部を十分伸ばせるような空間が必要であった。本発明のサポーターは、幅方向の両端が開放された形状であるため、履き物を履いた状態でサポーター1を下腿部に巻き付け、係止具2で係止すればよいため、狭い空間でも他人に目立たぬよう容易に着脱することができる。特に、飛行機や新幹線など乗り物内でも、自由に着脱することができるため好ましい。
【0030】
本発明のサポーターにおいては、下腿上端部3から足首部を覆う下腿下端部4までの長さ、すなわち、長部長さ10と短部長さ11との差寸が1〜8cmの間で変化していることが好ましい。従って下腿下端部は一直線ではなく、図2や図3のように曲線となることが好ましい。このように変化させることにより、図3のように後方では足首からかかと部分までを、図2のように前方においては足の甲の一部を覆うことができ、保温性の面から好ましい。
【0031】
本発明のサポーターに用いる布帛に水分子吸着発熱性能を付与させることが好ましい。
【0032】
布帛を構成する繊維として、吸湿性を有する繊維を用いればよく、例えば、羊毛、蛋白質繊維であるアーディル、ビスコースレーヨン、絹、綿等の湿潤熱の高い繊維を用いてもよいし、または、合成繊維に、紡糸あるいは後加工において吸湿性を付与・向上させたものを用いてもよい。
【0033】
例えば、紡糸においては、ナイロンにポリビニルピロリドン等の吸湿ポリマーを練り込み紡糸して得られた吸湿性向上ナイロン糸等を使用することができる。すなわち、ナイロンにポリビニールピロリドンを5重量%練り込むことにより、後述する発熱エネルギーが13程度の糸を得ることができる。
【0034】
また、後加工においては、吸湿性のあるポリマーおよび/または吸湿性のある微粒子を繊維表面に固着させることが実用上好ましく用いられる。固着させる例としては、吸湿率の高い、ケイ素を含む化合物の微粒子を用い、これをバインダーで繊維表面に固着することが好ましい。
【0035】
後加工で吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させることにより、繊維が吸湿性となることは、布帛の柔軟性を増すことにもなり好ましい。吸湿性のある微粒子を繊維表面に水分子吸着発熱性能を有する布帛は、身体から出る不感蒸泄や汗などの水分を吸着して発熱するため、保温性が格段に向上する。
【0036】
後加工により吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を繊維表面に固着させる手段としては特に限定されないが、例えば、ビニルスルホン酸、下記化学式で表される化合物の1種もしくは2種以上を混合した溶液に重合開始剤を混ぜ、パディング法、スプレー法、キスロールコータ、スリットコータなどの処理方法で方法で処理液を付与後、乾熱処理、湿熱処理、マイクロ波処理、紫外線処理等によりポリマー化して繊維表面に固着する方法などが好ましく使用される。
【0037】
【化1】
【0038】
(式中、X=HまたはCH3、n=9〜23の整数である。)
【0039】
【化2】
【0040】
(式中、X=HまたはCH3、m+n=は9〜23の整数である。)
【0041】
【化3】
【0042】
(式中、R=HまたはCH3、R1=Cl、Br、I、OCH3、OC2H5またはSCH3、m=0〜9の整数、l=10〜30の整数である)。
【0043】
ビニルスルホン酸はpHが低く、そのまま用いると綿やナイロンは脆化するため、予め中和したビニルスルホン酸ナトリウムを用いるとよい。また、ビニルスルホン酸亜鉛を用いると消臭性能も付与できる。ビニルスルホン酸としては、例えばアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸が水分子吸着発熱性能の点で好ましい。
【0044】
重合開始剤としては、通常のラジカル開始剤を使用できる。
【0045】
また、処理液を繊維材料に付与する際、真空脱水機で処理するなどして付与量を調整することも好ましく行われる。
【0046】
また、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維に対しては製糸、製紡の段階での付与も可能である。例えば、ポリエステルフィラメントの場合、溶融紡糸法でUY(未延伸糸)やPOY(半延伸糸)等を紡糸する際、上記化合物の1種もしくは2種以上、炭素数25〜33の高級炭化水素、炭素数が3〜6の多価アルコールと炭素数が14〜18の脂肪酸とのエステル、炭素数が12〜17の脂肪酸とアミノアルコールとの反応により得られる脂肪族アミドおよび水溶性シリコーン化合物から成る群から選ばれた少なくとも一種の化合物とポリオキシエチレン系界面活性剤の混合組成物を紡糸油剤とともに付与し、後の延伸工程において乾熱処理されることによって化合物が繊維に強固に付着し、耐洗濯性のある水分子吸着発熱性能を得ることができる。また、アクリル繊維の場合は、湿式紡糸法で紡糸、延伸、水洗された後、上記化学式群で表される化合物の1種もしくは2種以上を混合した溶液を、0.05〜5.0重量%付着させ、乾燥緻密化処理、スチーム処理、乾燥工程を経て、上記化合物が繊維に強固に付着し、耐洗濯性のある水分子吸着発熱性能を付与することができる。
【0047】
本発明のサポーターは、繊維表面に、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒剤を付着させた素材を用いることが好ましい。
【0048】
本発明において、光触媒剤としては、紫外線により励起され、強い酸化力によって有機物を酸化分解する特性を有するものであり、具体的には、アナターゼ型、ルチル型と呼ばれる結晶型の構造をもつものが含まれる。かかる光触媒は、消臭性、着色物分解除去性(防汚性)、殺菌性(抗菌、防カビ)を有するものである。
【0049】
かかる光触媒剤の作用は、皮膚下のエクリン腺、アポクリン腺から出た水分に皮膚の周囲にある常在菌により汗の臭い(主成分:アンモニアやイソ吉草酸)が発生し、この臭いに光触媒剤で励起された・OH基(水酸基ラジカル)が汗の主成分に触れ、これをCO2(炭酸ガス)とH20(水)に分解して消臭すると考えられている。また、加齢臭(中高年臭)では、主成分:ノネナールが、老人臭(中高年臭)では、主成分:インドール、スカトールが 、糞尿臭では、主成分:アンモニアが、他の体臭では、主成分:アセトアルデヒド、メチルメルカプタンが、タバコ臭では、主成分:ニコチンが、それぞれ同様に光触媒剤で分解することができるのである。
【0050】
本発明において、光触媒剤の中でも、チタンとケイ素の複合酸化物が好ましく使用されるが、かかる複合酸化物としては、例えば、特公平5−55184号公報に記載された方法で製造した触媒などを用いることができる。一般に、チタンとケイ素からなる二元系複合酸化物は、例えば、触媒(第17巻、No.3、72頁、1975年、触媒学会発行)に記載されているように、固体酸として知られ、チタンとケイ素の割合は、酸化物に換算して酸化チタンが20〜95モル%、酸化ケイ素が5〜80モル%の範囲にあるものが、消臭効果の点で好ましい結果を与える。
【0051】
本発明においては、例えば、チタンとケイ素の複合酸化物の如き光触媒剤を繊維表面に付着させるため、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーを用いることが好ましい。かかるバインダーの存在により、有機系樹脂特有の光触媒剤の酸化による分解、着色、臭気の発生を防止することができる。
【0052】
本発明に好ましく用いられるアルキルシリケートは、下記のように主にSi−Oの結合部分と直鎖または分岐のある飽和アルキルからなり、その両端にOH基をもつものである。
OH−(Si−O)n −R−OH
(式中、Rは、炭素数1〜10の直鎖または分岐のある飽和アルキル基であり、nは1以上の整数を意味し、無機性を高めるために、好ましくは1000〜10000の範囲である)。
【0053】
かかるアルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル等直鎖または分岐のある飽和アルキル基である。
【0054】
かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜10重量%が好ましい。
【0055】
また、シリコーン系樹脂としては、シリコーンレジンもしくはシリコーンワニスという分類に属する縮合架橋型樹脂を使用することができ、かかる樹脂は、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどの縮合架橋型樹脂を、単独または数種の配合物を縮合して得ることができるものが含まれる。これらは、3次元構造の樹脂を形成し、シリコーン樹脂の中でも、最も耐熱性や耐薬品性に優れたものである。かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする観点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜100重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましい。
【0056】
また、フッ素系樹脂としては、ビニルエーテルおよび/またはビニルエステルとフルオロオレフィン重合性化合物が、非常に優れた特性を持っていて好ましく使用される。例えば、ポリフッ化ビニルやポリ四フッ化エチレン、四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエステルやビニルエステル−フルオロオレフィンなどが分解、劣化が少ないので好ましく使用される。かかる樹脂の付着量は、シリコーン系樹脂と同量の条件で好ましく使用される。かかる樹脂の付着量は、風合いを良くする観点から、塗布法では、繊維に対して0.05〜100重量%が好ましく、また、含浸法では、繊維に対して0.05〜30重量%が好ましい。
【0057】
かかるシリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂と、通常よく使用されるアクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などとの違いは、熱や薬品の作用で分解されやすい炭化水素基をほとんど含まず、シリコーン系樹脂はSi−O結合、フッ素系樹脂はF−C結合を主体に構成されており、末端基や側鎖に少量のメチル基やフェニル基が炭化水素として含まれる程度であるところにある。
【0058】
また、かかるバインダーに、ゼオライトをさらに添加すると、抗菌性能をさらに高める効果があるので好ましい。すなわち、臭い成分の吸着力の向上と構造物中の無機系成分比を増加させ、光触媒剤による分解を抑制する作用がある。かかるゼオライトは、金、白金、銀、パラジウム等の貴金属を、好ましくは0.01〜5重量%の範囲で担持したものを用いると、さらに抗菌効果が向上するという機能を発揮する。かかるゼオライトの付着量は、繊維に対して、塗布法では好ましくは0.01〜10重量%であり、また、含浸法では、風合いの点から、好ましくは0.01〜5重量%の範囲に制御するのがよい。
【0059】
次に、上述のバインダーにシランカップリング剤などのカップリング剤をさらに添加すると、無機物と有機物の接着力を向上させることができる。かかるカップリング剤より、繊維、バインダー、光触媒剤の相互間に化学的結合力が働き、洗濯耐久性を著しく向上させる効果を発揮する。かかるカップリング剤の付着量は、繊維に対して、塗布法では好ましくは0.01〜30重量%であり、また、含浸法では、風合いの点から、好ましくは0.01〜10重量%の範囲に制御するのがよい。
【0060】
本発明においては、かかる光触媒を表面上に固定するために、特定の中間層を設けてもよい。
【0061】
この中間層としては、過酸化チタン粒子層、ゼオライトの層、ゼオライトとシリコーン系もしくはフッ素系樹脂で固定した層、アルキルシリケートの層が好ましく用いられる。これらいずれかの中間層を用いることにより、有機系樹脂特有の光触媒の酸化による分解、着色、臭気の発生をより効果的に防止することができる。
【0062】
【実施例】
以下、本発明のサポーターについて実施例ならびに比較例をあげてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中での品質評価は次の方法を用いた。
【0063】
(測定方法)
(1)伸長率
伸長率の試験法はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」の定速伸長法のストリップ法に基づいて行った。すなわち、5cm×約30cmの試験片をタテ、ヨコ方向にそれぞれ3枚ずつ採取した。自記記録装置付定速伸長形引張試験機を用い、上下つかみとも表側は2.54cm×2.54cm、裏側は2.54cm×5.08cmのものを取り付け、つかみ間隔を20cmとして試験片のたるみや、張力を除いてつかみに固定した。
これを引張速度20cm/minで14.7N(1.5Kg)荷重まで引伸ばし、その時のつかみ間隔を測った。次に即、荷重を取り除く方向へ元のつかみ間隔である20cmまで戻した。この荷重−除重による挙動を自記記録計に荷重−伸長−回復曲線として描いた。
これを基に、次の式により伸長率LA(%)を求め、布帛のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。
伸長率LA(%)=[(L1−L)/L]×100
L :つかみ間隔(mm)
L1:14.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)。
【0064】
(2)伸長回復率
また、伸長回復率LB(%)は、前記自記記録計で描いた荷重−伸長−回復曲線を基に、回復曲線がゼロ荷重になった時点から残留伸び(mm)を求め、次の式により伸長回復率LB(%)を算出し、布帛のタテ方向、ヨコ方向の各々について3枚の平均値で表した。
伸長回復率LB(%)={(L1−L2)/L1}×100
L1:14.7Nまで伸ばした時のつかみ間隔(mm)
L2:残留伸び(mm)。
【0065】
(3)目付、厚さ測定
目付、厚さの測定はJIS L 1018「メリヤス生地試験方法」に基づいて、目付は標準状態における単位面積あたりの質量を算出し、厚さは0.7kpa時の厚さを異なる5ヶ所測定し平均値を求めた。
【0066】
(4)着脱性、着用感、圧迫感、審美性評価
実着用による官能評価とした。その評価基準を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
(5)発熱エネルギー指数
発熱エネルギー指数とは、ポリエステル繊維100%素材と比較した水分子吸着発熱エネルギーであり、ポリエステル繊維100%素材を1とした場合の比較値である。測定法としては、アルコール温度計に3gの試料を巻き付け、30℃、30%RHの環境で調温、調湿させた後、30℃、90%RHの環境へ移動させた場合の吸湿時の温度上昇を経時的に観察し、横軸に時間、縦軸に温度としたグラフに30℃から上昇し再び30℃に復元するまでプロットし、その面積を測定するものである。
具体的には、幅約3.5cmの試料3gを、アルコール温度計あるいは熱電対の測定部に巻き、摂氏30度×湿度30%RHの環境下に12時間以上放置後の温度を測定した。次に、摂氏30度×湿度90%RHの環境まで湿度を3%/分の速度で変化させ、この間1分ごとに4時間後まで温度を測定した。測定後、上昇温度を積分したものを発熱エネルギー量として求め、次の式によって表した。
発熱エネルギー指数={試料の発熱エネルギー量/ポリエチレンテレフタレート繊維タフタ(JIS染色堅牢度試験用添付布)の発熱エネルギー量}。
【0069】
(6)消臭性評価
検知管法によりおこなった。試料を10g入れた500mlの容器に初期濃度が200ppmになるようにアンモニアガスをいれて密閉し、1時間放置後、ガス検知管で残留アンモニア濃度を測定した。
同様な方法でアセトアルデヒド200ppm−1時間後、メチルメルカプタン60ppm−3時間後の残留ガス濃度も測定した。
【0070】
(実施例1)
表側に、地糸のナイロンに吸湿ポリマーであるポリビニルピロリドンを5重量%練り込んだ78デシテックス−24フィラメントのポリアミドマルチフィラメント糸を、裏側に30番手の綿100%の紡績糸を用い、ダブル丸編機を使って、表側が凹凸組織の生機を作製した。この生機をリラックス精練、中間セットを行った後、染色した。
【0071】
四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。
これに、前記布帛を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、190℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する編物を得た。
次に、この布帛を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する処理布を得た。この繊維布帛を用いて表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0072】
(実施例2)
ジメチルテレフタレート、ジメチルイソフタレート、数平均分子量約1000のポリグリコール、1,4−ブタンジオールから重合されたポリエーテルエステル共重合ポリマを、特公昭44−22525号公報に記載のジェット紡糸法により繊維化して、コンベア上に捕集し、弾性繊維不織シートを得た。
四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。これに、前記布帛を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、190℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する布帛を得た。
次に、この布帛を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する処理布を得た。この不織布を用いて表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0073】
(実施例3)
ポリウレタン弾性糸にナイロンフィラメントをカバーリングした糸をタテ糸、ヨコ糸に用いて織布した平織物を通常の染色法に準じ、リラックス・精練と染色および乾燥を行った。
この染色・乾燥後の生地を、下記組成の処方Aの処理液に浸漬後、ピックアップ率80%に設定したマングルで絞り、乾燥機で120℃、2分乾燥させた。
(処方A)
・AMPS(アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸) 20g/l
・PEG#1000ジメタクリレート(上述した一般式[1]) 40g/l
・過硫酸アンモニウム 2g/l。
乾燥後直ちに、105℃の加熱スチーマーで5分間処理し、湯水洗、乾燥した。次いで、乾燥機で170℃、1分でセットしてさらに、この編地を四塩化チタンTiCl4 の30重量%溶液に、水酸化ナトリウムNaOHの5重量%溶液を加え、しばらく放置したのち、水酸化チタンTi(OH)4 を得た。これを25重量%の過酸化水素水で処理し、非結晶質過酸化チタンゾルを得た。
これに、前記布帛を浸し、マングルロールでピックアップ80重量%で絞り、120℃で2分乾燥した後、170℃で1分間熱処理し、繊維表面に非結晶質過酸化チタン粒子層を有する布帛を得た。
次に、この布帛を、チタン、ケイ素複合酸化物水分散液(粒子径12nm、比表面積150m2 /g、日本触媒株式会社製:処理液A)に含浸し、マングルロールで絞り、100℃で1分乾燥した後、195℃で30秒の加熱処理をして、光触媒を有する処理布を得た。この繊維布帛を用いて表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0074】
(比較例1)
300デシテックス相当のアクリル手編み糸を用い、直径20cmの筒編み機械を用いて筒状の編地を得た。この編地を長さ30cmとなるよう裁断し、周囲の端糸を始末した。このようにして得られたサポーターにについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0075】
(比較例2)
脚部を133デシテックスのスパンデックス糸に44デシテックス24フィラメントのナイロン仮撚加工糸を巻き付けて製造した被覆弾性糸を用いて平編地を編成し、くるぶし部において編成糸を切り替え、切り替え部から下を22デシテックスのスパンデックス糸に13デシテックス5フィラメントのナイロン糸を巻き付けて製造した被覆弾性糸を用いて平編み編成を行い、膝下ストッキングを編成した。
【0076】
(比較例3)
第1成分として極限粘土0.66のポリエチレンテレフタレート、第2成分として極限粘土0.47のポリエチレンテレフタレートを原料として通常の不織布製法に準じてスパンボンド不織布を得た。この不織布を表2の条件で縫製したサポーターについて、生地物性、発熱エネルギー指数、着脱性、着用感、圧迫性、審美性、消臭性などの評価を行い、結果を表2に併記した。
【0077】
【表2】
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、伸縮性に富み、薄くて優れた保温性を有し、着脱性に優れたサポーターを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサポーターを開放した形態の一例を示す前面図である。
【図2】本発明のサポーターの他の態様を示す前面図である。
【図3】本発明のサポーターの他の態様を示す前面図である。
【図4】市販されているサポート靴下の一例を示す図である。
【符号の説明】
1:サポーター本体
2:係止具
3:サポーター上端部
4:サポーター下端部
5:ループ
6:靴下
7:サポーターの幅方向
8:サポーターの長さ方向
9:ダーツ
10:サポーターの長部長さ
11:サポーターの短部長さ
Claims (8)
- 幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、タテ方向またはヨコ方向のいずれかまたは双方の伸長率が50%以上150%以下、伸長回復率が60%以上99%以下、かつ厚さが0.1mm以上3mm以下の布帛を使用したことを特徴とするサポーター。
- 目付が50g/cm2以上300g/cm2 以下の布帛を使用したことを特徴とする請求項1に記載のサポーター。
- 下腿部を覆う長さを有し、下腿上端部の周り寸法と下腿下端部の周り寸法の差寸が5〜20cmであることを特徴とする請求項1または2に記載のサポーター。
- 幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、該幅方向の両端側に係止具が取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のサポーター。
- 幅方向の両端が開放された形状のサポーターにおいて、該幅方向の一端側に突出したループを付設したことを特徴とする請求項4に記載のサポーター。
- 下腿上端部から足首部を覆う下腿下端部までの距離が1〜8cmの間で変化していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のサポーター。
- 前記使用布帛が水分子吸着発熱性能を有し、繊維表面に吸湿性ポリマーおよび/または吸湿性微粒子を固着させてなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のサポーター。
- 前記使用布帛の繊維表面上にチタンとケイ素からなる複合酸化物と、アルキルシリケート系樹脂、シリコーン系樹脂およびフッ素系樹脂から選ばれた少なくとも1種のバインダーと、光触媒とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のサポーター。
Priority Applications (1)
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JP2003148837A JP2004353099A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | サポーター |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012187289A (ja) * | 2011-03-11 | 2012-10-04 | Jms Co Ltd | 肢体用保温部材 |
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2003
- 2003-05-27 JP JP2003148837A patent/JP2004353099A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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