JP2004351969A - 自動車の側突用エアバッグ装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カバー部材6とベース部材4の上端部9、14同士を露出状態で重合させたため、その上端部9、14同士を車体に対して共締めするだけで、モジュール化されたエアバッグ装置5の取付けが完了し、取付作業が非常に容易である。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車の側突用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体の車室内側における乗員頭部よりも高い位置にはサイドルーフレールが配され、このサイドルーフレールに沿って、側面衝突時における乗員保護用のエアバッグが設けられている。サイドルーフレールには、前後方向に沿った状態でベース部材が設けられる。そして、このベース部材には、前後方向に沿った複数箇所に、ベース部材と同じ材質で形成されたブラケットがヒンジを介して一体形成されている。
【0003】
そして、ベース部材に折りたたみ状態のエアバッグをセットした後に、このブラケットをヒンジから折り返してエアバッグをベース部材との間で挟み込むように保持し、ブラケットの先端をベース部材に重合させる。
【0004】
ベース部材にセットされたエアバッグの全体は、ベース部材の上端に設定されたヒンジを中心にして回動自在なカバー部材により覆われる。カバー部材の内面には先端をベース部材の係止孔に係合させて、カバー部材がベース部材を覆った状態を保持する係止脚が形成されている。
【0005】
このようにベース部材とカバー部材の間の空間に、ブラケットで保持した状態のエアバッグを収納してモジュールを形成する。このモジュールを車体に取付ける場合は、まずカバー部材の係止脚をベース部材の係止孔から抜いてカバー部材を開いた状態にし、内部でエアバッグを保持しているブラケットの先端をベース部材を貫通するボルトにより共締め状態で車体へ固定する。そして、固定後に再度カバー部材の係止脚をベース部材の係止孔に係合させて、カバー部材でエアバッグを覆い隠す。
【0006】
このようにして取付けられたモジュール構造のエアバッグ装置は、車両の側面衝突時に、膨張したエアバッグがブラケットを薄肉部から破断し、その後にカバー部材全体を上端のヒンジを中心に車室内側へ回動させることにより、エアバッグが下方へ向けてカーテン状に展開できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開20000−71925号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、モジュール化されたエアバッグ装置を車体に取付ける場合に、カバー部材にて隠された内部に車体への取付点が設定されているため、取付けの際に、カバー部材とベース部材との係合状態を解除してカバー部材を開き、取付け後に再度カバー部材を閉じてベース部材に係合させる必要があるため、取付作業が面倒である。
【0009】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、車体への取付作業が容易な自動車の側突用エアバッグ装置を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、車室内側の車体上部に沿うベース部材の下端部と、該ベース部材の車室内側を覆うカバー部材の下端部とを開裂可能なヒンジを介して連結し、該ベース部材とカバー部材とで形成された空間内に折りたたみ状態のエアバッグを収納し、ベース部材とカバー部材との間に、ベース部材とカバー部材の上端部同士を重合させた閉断面モジュール構造を保持する係合手段を設け、該重合された上端部同士を車体に共締め自在で、自動車の側面衝突時にエアバッグの膨張力により下端部のヒンジが開裂して、エアバッグがカバー部材を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開することを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明は、ベース部材とカバー部材の各上端部が、前後方向において複数形成された突片形状であることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明は、係合手段が、ベース部材の上端部付近にカバー部材の上面部と近接した状態で突設させたフックの先端を、カバー部材の上端部付近の内面に形成された突起に係合させた構造であることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明は、カバー部材がルーフトリムと連続した表面を有していることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明は、カバー部材に上端部同士を覆う蓋体が設けられ、該該蓋体がカバー部材及びルーフトリムと連続した表面を有していることを特徴とする。
【0015】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、カバー部材を下端部のヒンジを介してベース部材に連結し、カバー部材とベース部材の上端部同士を、カバー部材にて覆われない露出状態で重合させたため、その露出状態の上端部同士を車体に対して共締めするだけで、モジュール化されたエアバッグ装置の取付けが完了し、取付作業が非常に容易である。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、ベース部材とカバー部材の上端部が突片形状のため、車体側の取付面の凹凸や曲率に追従した柔軟な取付けが可能になる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、係合手段のフックがカバー部材の上面部と近接した状態で形成されているため、フックがエアバッグの収納スペースを圧迫しない。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、カバー部材がルーフトリムと連続した表面を有しているため、外観的にカバー部材でルーフトリムの端部を形成することができ、見映えが良い。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、ルーフトリムの端部を気にすることなく上端部同士を車体に取付ける作業が行え、取付け後にはカバー部材及びルーフトリムと連続した表面を有する蓋体で覆うため、車室内からの見映えも良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図5は、この発明の第1実施形態を示す。図1は、自動車の上部を車室内側から見た図で、エアバッグ1が展開した状態を示している。車体の上部には、前後方向に沿ってサイドルーフレール2が形成されている。サイドルーフレール2の下端にはウエザストリップ3が取付けられている。
【0022】
このサイドルーフレール2に沿った状態で、モジュール化されたエアバッグ装置5が取付けられる。このエアバッグ装置5は、基本的に、サイドルーフレール2に沿う樹脂製のベース部材4の下端部と、該ベース部材4の車室内側を覆うカバー部材6の下端部とを、開裂可能なヒンジ7を介して連結し、該ベース部材4とカバー部材6とで形成された空間内に折りたたみ状態のエアバッグ1を収納した構造をしている。
【0023】
ベース部材4とカバー部材6とを連結するヒンジ7は、薄肉状で且つ所定間隔ごとにスリット8が形成されている(図4参照)。
【0024】
ベース部材4は平板形状で、その上端部9は前後方向において複数形成された突片形状をしている。上端部9には円形の取付孔10が形成されている。また、この上端部9の付け根部からはベース部材4に対して直角のフック11が突設されている。フック11の先端には上向きの爪部12が形成されている。
【0025】
カバー部材6は湾曲形状で、その上面部13は直角に曲折され、この上面部13も前後方向において複数形成された突片形状をしている。そして、この上面部13の先端からは更に上端部14が直角に形成されている。この上端部14は、前記ベース部材4の上端部9に重合可能で、対応する取付孔15が形成されている。更に、上面部13の付け根部付近には内面側に突起16が形成されている。
この実施形態では、この突起16と前記フック11により「係合手段」が形成される。
【0026】
エアバッグ1は折りたたみ状態で、筒状のラップ17にて包まれている。エアバッグ1の後端のガス導入口18にはインフレータ19が接続されている。エアバッグ1の上縁にはラップ17から突出する支持片20が形成され、この支持片20にも取付孔21が形成されている共に、ベース部材4のフック11を挿通可能な長孔22が形成されている。
【0027】
そして、このエアバッグ1の支持片20を長孔22からフック11へ通すことにより、エアバッグ1をベース部材4とカバー部材6との間にセットし、その後に、カバー部材6を閉じて、カバー部材6の上端部14を、ベース部材4の上端部9に重合させる。そうすると、フック11の爪部12が上面部13の突起16に係合し、ベース部材4とカバー部材6とが閉断面モジュール構造となる。フック11は上面部13に近接した状態となるため、フック11がエアバッグ1の収納スペースを圧迫することはない。
【0028】
このようにモジュール化されたエアバッグ装置5では、フック11と突起16の係合により、閉断面状のモジュール構造が維持されるため、図5に示すように取付け前の部品状態であっても、モジュール構造が崩れることはなく、取り扱いが容易である。
【0029】
そして、このモジュール化されたエアバッグ装置5では、カバー部材6とベース部材4の上端部9、14同士が、エアバッグ1の支持片20を間に挟んだ状態で露出状態になっているため、その露出状態の上端部9、14同士及び支持片20の各取付孔10、15、21に、車室内側からボルト23を挿入し、そのボルト23をサイドルーフレール2の裏面に設けられた溶接ナット24に締結することにより、上端部9、14同士を共締めすることができる。このように、互いに重合され且つ露出した上端部9、14同士を、サイドルーフレール2に共締めするだけで、モジュール化されたエアバッグ装置5の取付けが完了するため、取付作業が非常に容易である。
【0030】
また、各上端部9、14及び上面部13が突片形状のため、サイドルーフレール2側の取付面に、凹凸や曲率の変化があっても、追従した柔軟な取付けが可能である。
【0031】
更に、取付けた状態で、下端部のヒンジ7は、サイドルーフレール2のウエザストリップ3にて隠され、車室内側に露出しない。また、カバー部材6の表面がルーフトリム25と連続した状態になるため、外観的にカバー部材6でルーフトリム25の端部を形成することができ、見映えが良い。
【0032】
そして、自動車の側面衝突時には、インフレータ19からのガスによりエアバッグ1が膨張して下端部のヒンジ7を開裂させ、そこからカバー部材6を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開し、乗員の頭部を保護することができる。
【0033】
図6は、この発明の第2実施形態を示す図である。この実施形態では、カバー部材26における上端部14の先端から更に折返部27を形成し、上面部13と折返部27との間に、ボルト23による取付点を覆う蓋体28を設けた。ルーフトリム29は、この蓋体28の分だけ切り欠かれた状態になっている。但し、この蓋体28は、カバー部材26及びルーフトリム29と連続する表面を有しているため、車室内からの見映えは良い。
【0034】
ボルト23による取付作業を行っている時は蓋体28は外される。従って、ボルト23にて締結される上端部9、14が完全に露出するため、ルーフトリム29の端部を気にすることなく取付作業が行える。取付け後には蓋体28にて覆われ、取付点が見えないようにする。蓋体28は図示せぬ凹凸構造により、上面部13と折返部27との間に嵌合され、容易に外れないようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態に係るエアバッグが下向きに展開した状態を示す車室内斜視図。
【図2】エアバッグの膨張前の状態を示す図1相当の車室内斜視図。
【図3】図2中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【図4】図1のエアバッグ装置の構造を示す斜視図。
【図5】図3の車体への取付け前のモジュール部品としてのエアバッグ装置を示す断面図。
【図6】この発明の第2実施形態に係るエアバッグ装置を示す図3相当の断面図。
【符号の説明】
1 エアバッグ
2 サイドルーフレール
4 ベース部材
6、26 カバー部材
7 ヒンジ
9 ベース部材の上端部
11 フック(係合手段)
13 上面部
14 カバー部材の上端部
16 突起(係合手段)
25、29 ルーフトリム
28 蓋体
Claims (5)
- 車室内側の車体上部に沿うベース部材の下端部と、該ベース部材の車室内側を覆うカバー部材の下端部とを開裂可能なヒンジを介して連結し、該ベース部材とカバー部材とで形成された空間内に折りたたみ状態のエアバッグを収納し、
ベース部材とカバー部材との間に、ベース部材とカバー部材の上端部同士を重合させた閉断面モジュール構造を保持する係合手段を設け、該重合された上端部同士を車体に共締め自在で、
自動車の側面衝突時にエアバッグの膨張力により下端部のヒンジが開裂して、エアバッグがカバー部材を車室内側へ押し開きながら下方へ向けてカーテン状に展開することを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。 - 請求項1記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、
ベース部材とカバー部材の各上端部が、前後方向において複数形成された突片形状であることを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。 - 請求項1又は請求項2記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、
係合手段が、ベース部材の上端部付近にカバー部材の上面部と近接した状態で突設させたフックの先端を、カバー部材の上端部付近の内面に形成された突起に係合させた構造であることを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、
カバー部材がルーフトリムと連続した表面を有していることを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動車の側突用エアバッグ装置であって、
カバー部材に上端部同士を覆う蓋体が設けられ、該該蓋体がカバー部材及びルーフトリムと連続した表面を有していることを特徴とする自動車の側突用エアバッグ装置。
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