JP2004351914A - 木材又は木材の削片に不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで含浸注入を施し、燃えなくした削片を用い、製板した板状製品の製造方法 - Google Patents
木材又は木材の削片に不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで含浸注入を施し、燃えなくした削片を用い、製板した板状製品の製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】人工的に製版した難燃性および寸法安定性が高められた板状製品を提供する。
【解決手段】不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで、木材の導管、仮導管及び、木材の細胞内までも含浸注入を施した木材を削片する。その削片した小片に合成樹脂接着剤を塗布し、人工的に製版する。この人工的に製版した製品は難燃性および寸法安定性が高められた板状製品である。
【選択図】なし
【解決手段】不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで、木材の導管、仮導管及び、木材の細胞内までも含浸注入を施した木材を削片する。その削片した小片に合成樹脂接着剤を塗布し、人工的に製版する。この人工的に製版した製品は難燃性および寸法安定性が高められた板状製品である。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
従来、合板等を用い、不燃性薬剤を塗布する事により、難燃性及び防炎性を高めた製板は見られるが、木材の廃材、小径木の有効利用をもとに開発されたパーティクルボード、ファイバーボード、フレークボード等の難燃化、防炎化は、木材を削片し、ホーミングする時に不燃性薬剤を混入、溶解した合成樹脂接着剤を塗布し、製板するか、木材を削片し合成樹脂接着剤を塗布し製板した後、表面に不燃性薬剤を塗布するか、不燃化シートを張り上げる方法がとられていた。このため燃焼性の高い木片はそのまま存在し、火災が発生した場合、一次的に不燃性薬剤により燃えるのを押さえる事ができるが、充分な消火活動が行われるまで、燃え移る事を防止する事は困難であった。
本発明は、木材又は、木材の削片に不燃性薬剤を芯部まで含浸注入をする事により、より難燃性、防炎性を高めた人工的に製板した製品を製造する方法を提供する。さらに、木材又は、木材の削片に合成樹脂と不燃性薬剤を同時に含浸注入させ製板する事により、寸法安定性の高い、難燃性、防炎性をより高めた板状製品の製造する方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
1.木材を削片し、これに合成樹脂接着剤を塗布し、熱圧又は、冷圧下に於いて、人工的に成形し、パーティクルボード、ファイバーボード、フレークボード等を製造する方法は公知の技術である。
2.これらボード製造過程で、合成樹脂接着剤の中に不燃性薬剤を混合、溶解し、木材の削片に塗布し、製板を得る方法は公知の技術である。又、製板されたボードに上塗塗料として不燃性薬剤を合成樹脂の中に混合し、塗装する事により、難燃性を高める製造方法も公知の技術である。
3.ボードが製板された後に、不燃性薬剤を浸透されたレジンシートを張り付け、難燃性を高める製造方法も公知の技術である。
4.いずれの手法も、元来燃焼性の高い木片は、木片自身が何ら不燃化される事なく、火災を防御する事は不可能な現状にある。
5.塗装に於ける不燃性薬剤の塗布は、成形した板の表面層のみが燃えにくい構造となり、塗装されていない次層に於いては、木材の主成分であるセルロース等有機物で構成されているために燃焼する。又、表面に塗布された塗料は、自然界の紫外線や雨等により劣化する事は避けられず、経年後塗装されていない木質部が露出し、外部からの炎や熱により燃焼は避けられない。
6.ボードが製板された上に不燃性薬剤を浸透させたレジンシートを張り付けた場合、表面は燃えにくい構造であるが、ボードそのものは木材の主成分であるセルロース等有機物で構成され、燃えやすい状態にある。また、レジンシートを合成樹脂接着剤で張り付けた場合、自然界の紫外線、雨、風、温度差等で接着力が劣化し、剥がれ脱落し、全く難燃効果を失ってしまう。
7.いずれのボード製板手法も、木材の削片が湿度の変化等により寸法変化を生じるため、製板そのものの変形、接着面の剥離が生じるために、屋外で使用する事は困難とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術的欠点を除き、木材の削片の芯部まで充分に不燃性薬剤を含浸注入を施し削片を不燃化する事により、経年変化により表面層が劣化した場合でも、難燃性を持続する手法として発明された。又、本発明は、従来の製板方法では屋外に使用するのが困難であったが、合成樹脂と不燃性薬剤を木材の削片の中へ含浸注入し、合成樹脂を硬化させる事により削片の寸法安定性を高め、製板したボードが湿度等により変形をしないで屋外に使用できるボードの製板手法として発明された。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、木材及び、木材の削片の芯部まで不燃性薬剤を含浸注入する事により、木質部を不燃化し、製板する方法を提供する。さらに本発明は、合成樹脂と不燃性薬剤とを同時に木材又は、木材の削片の芯部まで含浸注入し、含浸された合成樹脂を硬化させる事により、ボードの寸法安定性を高め、屋外に使用できる難燃性の高いボードの製造方法を提供する。
【0005】
本発明の請求項1については、減圧加圧漕内に充分に乾燥させた木材を投入し、減圧脱気を行う。この事により、木材の中の導管、仮導管等の水分や空気を充分に除去する。その後、不燃性薬剤を溶解した溶液を減圧加圧漕内に流入させる。木材が溶液内に浸せきした事を確認した後、さらに溶液を加圧ポンプで押し込み、木材の芯部に溶液が浸透するように加圧を行う。これを取り出し、従来のボード製造方法に準じて木材を削片してボードの原材料とする。この時使用する不燃性薬剤は、一般的に防火合板等に使用されているシュウ酸アンモニウム系、リン酸アンモニウム系等の水溶性防火薬剤やポリリン酸アンモニウム、スルフォン酸アンモニウム、テトラキスオキシメチルホスホニウムクロリド、ホスホリルアシド等、一般的薬剤を用いる。又、非発泡性防炎剤として、ホウ砂、ホウ素系等を用いる事もできる。
【0006】
本発明の請求項2については、従来のボード製造の過程で、木材を削片した後の減圧加圧漕の中に投入し、これを減圧する事により削片内の水分及び、空気を除去する。この減圧加圧漕内に、不燃性薬剤の溶解した溶液を流入させ、充分に削片を浸した後、さらに溶液を加圧ポンプで押し込み、削片内の導管、仮導管や木材の粉砕にし生じた割れ、ササクレ等に薬剤を含浸注入する。
この事により、削片の各々を燃えにくい材料に造り替える事により、これを用いてボード化した場合、ボード形成時の密度の上昇と相乗作用を行い、より不燃性の高いボードを形成する。
【0007】
本発明の請求項3については、合成樹脂の中に不燃性薬剤を溶解した溶液を減圧加圧手法を用いて木材の中に含浸する。又、合成樹脂の溶剤は100%硬化可能なモノマー類を用いた場合、ボードを製板する時、削片後に乾燥する事なく熱圧、冷圧工程へ進み、さらなる工程の簡素化ができる。又、熱を掛けた時に較化又は、流動化する合成樹脂を木材の芯部まで充分に含浸注入を施した場合、木材を削片した後、従来のボード製板方法の如く、接着剤を削片に散布する事なく、熱圧工程へ進み、熱圧を行うと木材の削片の中に含浸注入された合成樹脂が削片の外部に流れ出し、さらに熱硬化反応を起こし接着する。この手法により工程の簡素化が進み、生産のコストダウンにつながる。この手法を取る場合、木材の削片各々の内部から浸み出した合成樹脂が一本化し、削片の寸法安定化が同時になされた製板を得る事ができる。しかしながら、湿地帯や池周辺等、水分による寸法変化の起きやすい場所や腐れが生じやすい場所に使用する場合、請求項5に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合もある。請求項5に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合、ボード内の樹脂量が高く製板の一体化が顕微であり、より強度なものとなる。そのため圧縮率を下げる事ができ、ホーミングの際、削片の投入量が少量で済む。
【0008】
本発明の請求項4については、木材の削片を乾燥後、減圧加圧漕内に投入し、合成樹脂の中へ不燃性薬剤を溶解した溶液を減圧加圧方法を用いて木材の中へ注入する。この手法は、薬液と合成樹脂を木材の中に含浸注入しているため、従来のボード製板方法の如く、接着剤を削片に散布する事なく、熱圧、冷圧工程へ進み、工程の簡素化が進み、生産のコストダウンにつながる。この手法は、木材をあらかじめ削片して、乾燥するため、削片する時、木材の含水率が高くても良く、刃物の消耗を助け、小片化しているために乾燥時間を短縮する事ができる。しかしながら、湿地帯や池周辺等、水分による寸法変化の起きやすい場所や腐れが生じやすい場所に使用する場合、請求項6に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合もある。請求項6に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合、ボード内の樹脂量が高く製板の一体化が顕微であり、より強度なものとなる。そのため圧縮率を下げる事ができ、ホーミングの際、削片の投入量が少量で済む。
【0009】
【実施例】
実施例1
直径10mm長さ1000mm含水率80%の杉の小径木を定温乾燥機を用いて60℃の乾気中で1週間乾燥させ、含水率4%の木材Aを得た。注入溶液として、無機リン酸チッソ系化合物を10%溶解させた水溶液Bをあらかじめ用意した。木材Aを減圧加圧漕内へ投入し、25トールの減圧状態で2時間吸引し、木材の導管、仮導管及び、細胞内の空気、水分を除去した。その後、水溶液Bを減圧下で減圧加圧漕内に流入させた。木材Aが充分に浸せきするまで水溶液Bを流入させた後、加圧ポンプを用いてさらに水溶液Bを加圧注入した。この時加圧された水溶液Bは30kg/cm2の圧力下で20時間加圧を続け、常圧に戻してから水溶液Bを排出し、薬剤注入木材Cを得た。この時木材Cの比重は1.14となり、木材Aの比重0.42と比べて水溶液Bの注入量は比重0.72増えた事が判明した。これは重量換算で1本当たり5650g水溶液Bが成された事になる。この木材Cをボード製作用のディスクタイプチッパを用い、削片を行い定温乾燥機にて80℃で3時間乾燥させ小片Dを得た。接着剤として、ユリアメラシン共縮合樹脂に、硬化剤のNH4Clを1.5%添加したものを使用した。この接着剤をスプレーで小片Dに塗布しながら、撹拌機で撹拌を行った。これにより充分に接着剤が塗布された事を確認した上でホーミングを行い、小片Dの厚み100mmの層を整えプレスに挿入し、常温で8kg/cm2で30分間圧縮し、予備締めを行った。予備締めを行った後に熱板の温度130℃、圧力15kg/cm2で5分間熱圧プレスを行い、製板Eを得た。製板Eの燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である消防法施行規則及び、JASにより定められている消防合板の試験方法に準じた検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0010】
実施例2
小径木のカラマツ材をディスクタイプチッパを用い、ボードの中芯用削片F及び、表面層用微小削片Gを製作した。中芯用削片Fを直径600mm長さ1000mmの円筒形の網カゴの中へ投入する。網カゴはポリプロピレン製で、網目3mmの穴のあいたものを使用した。
同様に表面層用、微小削片Gを含浸するためには、中芯用削片Fと同種の網カゴで網目が1mmのメッシュ網を使用した。削片F、Gを入れた網を減圧加圧漕の中に挿入し、減圧を行った。減圧状態は40トールで1時間吸引した。減圧度を40トールとしたのは、微小削片の飛散を防止するために、真空減圧の状態を悪くし、飛散する事を防止した。この状態で1時間吸引を行った後に、シュウ酸アンモニウム系不燃性薬剤が12%溶解された水溶液Hを減圧加圧漕内に流入した。削片F、Gが充分浸せきした事を確認の上、加圧ポンプで15kg/cm2で3時間、水溶液Hをさらに押し込み含浸させた。この削片F、Gを乾燥機にて60℃で12時間乾燥させ、含水率を6%までにした。削片Eを20mm、削片Fを40mm、削片Eを20mmと三層にホーミングを行いながら、接着剤としてフェノール樹脂を1000cm2当り50gスプレーに於いて散布した。このホーミングしたブロックを常温で8kg/cm2で30分間圧縮し、予備締めを行い、後に熱板の温度が140℃、圧力20kg/cm2で10分間熱圧プレスを行い製板Iを得た。製板Iの燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。さらに製板Iは炎を上げて燃える事はなく、バーナーの炎があたった部分では炭化するにとどまった。
【0011】
実施例3
直径100mm長さ1000mmの檜の小径木を定温乾燥機内で60℃の雰囲気中にて1週間乾燥を行い、檜の含水率を6%まで落とした。この檜Jを減圧加圧漕内に投入し25トールの減圧状態で2時間吸引を続け、檜J中の水分や空気を除去した。この減圧加圧漕にポリエステル樹脂とリン酸アンモニウム30%をスチレンモノマーに分散させたものを3:1の割合で混合し、過酸化物触媒0.2%を添加した溶液を流入させた。その後、檜Jが溶液の中に浸せきした事を確認後、加圧ポンプにて圧力30kg/cm2で15時間加圧し、溶液を檜Jの中に加圧含浸注入を行い樹脂含浸された檜Kを得た。この時、檜Kの比重は1.01となり、檜Jの比重が0.52と比べて、溶液の注入量は、比重に於いて0.49増えた事が判明した。これは重量換算で、1本当り3850gの溶液が注入された事になる。この檜Kをディスクタイプチッパにて削片し、均一に100mmの厚さにホーミングを行った。このホーミングの時に、あらたに接着剤を塗布する事はなかった。さらに予備圧8kg/cm2で30分間圧縮を行い、熱板の温度を140℃にしてプレス圧50kg/cm2で20分間熱圧を行い、厚み20mmの製板Lを得た。製板Lを切り出し、縦横200mmの試験片を作り、耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、60℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに60℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して3mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向に於いて2mmの長さ増が見られた。厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いて檜片Kの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0012】
実施例4
ラワン材の廃材をディスクタイプチッパにて削片し、ボードの表面層としての微小片と中芯材料としての粗削片を得た。この削片を60℃の定温乾燥機で1時間乾燥を行い、実施例1で用いたポリプロプレン袋に入れ、減圧加圧層に投入した。減圧40トールで2時間吸引を続け木材中の水分、空気を除去し、スルフォン酸アンモニウム10%を溶解した水溶性フェノール樹脂を流入させた。削片の浸せきが確認された後、さらに加圧ポンプにて加圧25kg/cm2で5時間水溶性フェノール樹脂を送り込み、ラワン削片の導管、仮導管の内部まで含浸注入を行い、削片Mを得た。この削片Mを温度60℃の定温乾燥機で2時間乾燥を行い、表面層用の微小片20mm、中芯材料用粗い削片60mmさらに微小片20mmの順に三層を造り、あらたに接着剤を塗布する事なく積み上げ、圧力8kg/cm2で20分間圧縮した後、圧力30kg/cm2温度130℃で20分間熱圧プレスを行い、製板Nを得た。この製板Nで耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、60℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに60℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して3mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向に於いて2mmの長さ増が見られた。厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いて檜片Kの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0013】
実施例5
直径100mm長さ1000mmのブナの小径木を定温乾燥機内で60℃の雰囲気中にて1週間乾燥を行い、ブナの含水率を4%まで落した。このブナOを減圧加圧漕内に投入し25トールの減圧状態で2時間吸引を続け、ブナO中の水分や空気を除去した。この減圧加圧漕にあらかじめ用意したアクリル樹脂にポリリン酸アンモニウム10%をウレタン樹脂に分散させたものを、3:1の割合で混合し流入させた。その後、ブナOが溶液の中に浸せきした事を確認後、加圧ポンプにて圧力30kg/cm2で15時間加圧し、溶液をブナOの中に加圧含浸注入を行い樹脂含浸されたブナPを得た。この時、ブナPの比重は0.90となり、ブナOの比重が0.54と比べて、溶液の注入量は、比重に於いて0.36増えた事が判明した。これは重量換算で1本当り2830gのウレタン樹脂溶液が注入された事になる。このブナPをディスクタイプチッパにて削片し、均一に40mmの厚さにホーミングを行った。このホーミングの時に、あらたにウレタン樹脂接着剤を1000cm2当り、50gを投入し撹拌を行った。この削片のブロックを常温冷圧で圧力8kg/cm2で10時間プレスを行い、厚み20mmの製板Qを得た。製板Qを切り出し、縦横200mmの試験片を作り、耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、80℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに80℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して1mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向及び、厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いてブナPの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0014】
実施例6
メープル材の廃材をディスクタイプチッパにて削片し、ボードの表面層としての微小片と中芯材料としての粗削片を得た。この削片を60℃の定温乾燥機で1時間乾燥を行い、実施例1で用いたポリプロプレン袋に入れ、減圧加圧層に投入した。減圧40トールで2時間吸引を続け木材中の水分、空気を除去し、スルフォン酸アンモニウム10%を溶解した水溶性フェノール樹脂を流入させた。削片の浸せきが確認された後、さらに加圧ポンプにて加圧25kg/cm2で5時間水溶性フェノール樹脂を送り込み、メープル削片の導管、仮導管の内部まで含浸注入を行い、削片Rを得た。この削片Rを温度60℃の定温乾燥機で2時間乾燥を行い、含水率4%の削片類を得た。この削片を表面層用の微小片10mm、中芯材料用粗い削片20mm、さらに表面層用微小片10mmの順に、あらたに接着剤用フェノール樹脂を1000cm2当り50gを混合しながら三層のブロックを造り、圧力5kg/cm2で20分間圧縮した後、圧力10kg/cm2温度130℃で20分間熱圧プレスを行い、製板Sを得た。この製板Sで耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、80℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに80℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して1mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向及び、厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いて檜片Kの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【発明の属する技術分野】
従来、合板等を用い、不燃性薬剤を塗布する事により、難燃性及び防炎性を高めた製板は見られるが、木材の廃材、小径木の有効利用をもとに開発されたパーティクルボード、ファイバーボード、フレークボード等の難燃化、防炎化は、木材を削片し、ホーミングする時に不燃性薬剤を混入、溶解した合成樹脂接着剤を塗布し、製板するか、木材を削片し合成樹脂接着剤を塗布し製板した後、表面に不燃性薬剤を塗布するか、不燃化シートを張り上げる方法がとられていた。このため燃焼性の高い木片はそのまま存在し、火災が発生した場合、一次的に不燃性薬剤により燃えるのを押さえる事ができるが、充分な消火活動が行われるまで、燃え移る事を防止する事は困難であった。
本発明は、木材又は、木材の削片に不燃性薬剤を芯部まで含浸注入をする事により、より難燃性、防炎性を高めた人工的に製板した製品を製造する方法を提供する。さらに、木材又は、木材の削片に合成樹脂と不燃性薬剤を同時に含浸注入させ製板する事により、寸法安定性の高い、難燃性、防炎性をより高めた板状製品の製造する方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】
1.木材を削片し、これに合成樹脂接着剤を塗布し、熱圧又は、冷圧下に於いて、人工的に成形し、パーティクルボード、ファイバーボード、フレークボード等を製造する方法は公知の技術である。
2.これらボード製造過程で、合成樹脂接着剤の中に不燃性薬剤を混合、溶解し、木材の削片に塗布し、製板を得る方法は公知の技術である。又、製板されたボードに上塗塗料として不燃性薬剤を合成樹脂の中に混合し、塗装する事により、難燃性を高める製造方法も公知の技術である。
3.ボードが製板された後に、不燃性薬剤を浸透されたレジンシートを張り付け、難燃性を高める製造方法も公知の技術である。
4.いずれの手法も、元来燃焼性の高い木片は、木片自身が何ら不燃化される事なく、火災を防御する事は不可能な現状にある。
5.塗装に於ける不燃性薬剤の塗布は、成形した板の表面層のみが燃えにくい構造となり、塗装されていない次層に於いては、木材の主成分であるセルロース等有機物で構成されているために燃焼する。又、表面に塗布された塗料は、自然界の紫外線や雨等により劣化する事は避けられず、経年後塗装されていない木質部が露出し、外部からの炎や熱により燃焼は避けられない。
6.ボードが製板された上に不燃性薬剤を浸透させたレジンシートを張り付けた場合、表面は燃えにくい構造であるが、ボードそのものは木材の主成分であるセルロース等有機物で構成され、燃えやすい状態にある。また、レジンシートを合成樹脂接着剤で張り付けた場合、自然界の紫外線、雨、風、温度差等で接着力が劣化し、剥がれ脱落し、全く難燃効果を失ってしまう。
7.いずれのボード製板手法も、木材の削片が湿度の変化等により寸法変化を生じるため、製板そのものの変形、接着面の剥離が生じるために、屋外で使用する事は困難とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の技術的欠点を除き、木材の削片の芯部まで充分に不燃性薬剤を含浸注入を施し削片を不燃化する事により、経年変化により表面層が劣化した場合でも、難燃性を持続する手法として発明された。又、本発明は、従来の製板方法では屋外に使用するのが困難であったが、合成樹脂と不燃性薬剤を木材の削片の中へ含浸注入し、合成樹脂を硬化させる事により削片の寸法安定性を高め、製板したボードが湿度等により変形をしないで屋外に使用できるボードの製板手法として発明された。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、木材及び、木材の削片の芯部まで不燃性薬剤を含浸注入する事により、木質部を不燃化し、製板する方法を提供する。さらに本発明は、合成樹脂と不燃性薬剤とを同時に木材又は、木材の削片の芯部まで含浸注入し、含浸された合成樹脂を硬化させる事により、ボードの寸法安定性を高め、屋外に使用できる難燃性の高いボードの製造方法を提供する。
【0005】
本発明の請求項1については、減圧加圧漕内に充分に乾燥させた木材を投入し、減圧脱気を行う。この事により、木材の中の導管、仮導管等の水分や空気を充分に除去する。その後、不燃性薬剤を溶解した溶液を減圧加圧漕内に流入させる。木材が溶液内に浸せきした事を確認した後、さらに溶液を加圧ポンプで押し込み、木材の芯部に溶液が浸透するように加圧を行う。これを取り出し、従来のボード製造方法に準じて木材を削片してボードの原材料とする。この時使用する不燃性薬剤は、一般的に防火合板等に使用されているシュウ酸アンモニウム系、リン酸アンモニウム系等の水溶性防火薬剤やポリリン酸アンモニウム、スルフォン酸アンモニウム、テトラキスオキシメチルホスホニウムクロリド、ホスホリルアシド等、一般的薬剤を用いる。又、非発泡性防炎剤として、ホウ砂、ホウ素系等を用いる事もできる。
【0006】
本発明の請求項2については、従来のボード製造の過程で、木材を削片した後の減圧加圧漕の中に投入し、これを減圧する事により削片内の水分及び、空気を除去する。この減圧加圧漕内に、不燃性薬剤の溶解した溶液を流入させ、充分に削片を浸した後、さらに溶液を加圧ポンプで押し込み、削片内の導管、仮導管や木材の粉砕にし生じた割れ、ササクレ等に薬剤を含浸注入する。
この事により、削片の各々を燃えにくい材料に造り替える事により、これを用いてボード化した場合、ボード形成時の密度の上昇と相乗作用を行い、より不燃性の高いボードを形成する。
【0007】
本発明の請求項3については、合成樹脂の中に不燃性薬剤を溶解した溶液を減圧加圧手法を用いて木材の中に含浸する。又、合成樹脂の溶剤は100%硬化可能なモノマー類を用いた場合、ボードを製板する時、削片後に乾燥する事なく熱圧、冷圧工程へ進み、さらなる工程の簡素化ができる。又、熱を掛けた時に較化又は、流動化する合成樹脂を木材の芯部まで充分に含浸注入を施した場合、木材を削片した後、従来のボード製板方法の如く、接着剤を削片に散布する事なく、熱圧工程へ進み、熱圧を行うと木材の削片の中に含浸注入された合成樹脂が削片の外部に流れ出し、さらに熱硬化反応を起こし接着する。この手法により工程の簡素化が進み、生産のコストダウンにつながる。この手法を取る場合、木材の削片各々の内部から浸み出した合成樹脂が一本化し、削片の寸法安定化が同時になされた製板を得る事ができる。しかしながら、湿地帯や池周辺等、水分による寸法変化の起きやすい場所や腐れが生じやすい場所に使用する場合、請求項5に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合もある。請求項5に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合、ボード内の樹脂量が高く製板の一体化が顕微であり、より強度なものとなる。そのため圧縮率を下げる事ができ、ホーミングの際、削片の投入量が少量で済む。
【0008】
本発明の請求項4については、木材の削片を乾燥後、減圧加圧漕内に投入し、合成樹脂の中へ不燃性薬剤を溶解した溶液を減圧加圧方法を用いて木材の中へ注入する。この手法は、薬液と合成樹脂を木材の中に含浸注入しているため、従来のボード製板方法の如く、接着剤を削片に散布する事なく、熱圧、冷圧工程へ進み、工程の簡素化が進み、生産のコストダウンにつながる。この手法は、木材をあらかじめ削片して、乾燥するため、削片する時、木材の含水率が高くても良く、刃物の消耗を助け、小片化しているために乾燥時間を短縮する事ができる。しかしながら、湿地帯や池周辺等、水分による寸法変化の起きやすい場所や腐れが生じやすい場所に使用する場合、請求項6に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合もある。請求項6に挙げた合成樹脂接着剤を併用する場合、ボード内の樹脂量が高く製板の一体化が顕微であり、より強度なものとなる。そのため圧縮率を下げる事ができ、ホーミングの際、削片の投入量が少量で済む。
【0009】
【実施例】
実施例1
直径10mm長さ1000mm含水率80%の杉の小径木を定温乾燥機を用いて60℃の乾気中で1週間乾燥させ、含水率4%の木材Aを得た。注入溶液として、無機リン酸チッソ系化合物を10%溶解させた水溶液Bをあらかじめ用意した。木材Aを減圧加圧漕内へ投入し、25トールの減圧状態で2時間吸引し、木材の導管、仮導管及び、細胞内の空気、水分を除去した。その後、水溶液Bを減圧下で減圧加圧漕内に流入させた。木材Aが充分に浸せきするまで水溶液Bを流入させた後、加圧ポンプを用いてさらに水溶液Bを加圧注入した。この時加圧された水溶液Bは30kg/cm2の圧力下で20時間加圧を続け、常圧に戻してから水溶液Bを排出し、薬剤注入木材Cを得た。この時木材Cの比重は1.14となり、木材Aの比重0.42と比べて水溶液Bの注入量は比重0.72増えた事が判明した。これは重量換算で1本当たり5650g水溶液Bが成された事になる。この木材Cをボード製作用のディスクタイプチッパを用い、削片を行い定温乾燥機にて80℃で3時間乾燥させ小片Dを得た。接着剤として、ユリアメラシン共縮合樹脂に、硬化剤のNH4Clを1.5%添加したものを使用した。この接着剤をスプレーで小片Dに塗布しながら、撹拌機で撹拌を行った。これにより充分に接着剤が塗布された事を確認した上でホーミングを行い、小片Dの厚み100mmの層を整えプレスに挿入し、常温で8kg/cm2で30分間圧縮し、予備締めを行った。予備締めを行った後に熱板の温度130℃、圧力15kg/cm2で5分間熱圧プレスを行い、製板Eを得た。製板Eの燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である消防法施行規則及び、JASにより定められている消防合板の試験方法に準じた検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0010】
実施例2
小径木のカラマツ材をディスクタイプチッパを用い、ボードの中芯用削片F及び、表面層用微小削片Gを製作した。中芯用削片Fを直径600mm長さ1000mmの円筒形の網カゴの中へ投入する。網カゴはポリプロピレン製で、網目3mmの穴のあいたものを使用した。
同様に表面層用、微小削片Gを含浸するためには、中芯用削片Fと同種の網カゴで網目が1mmのメッシュ網を使用した。削片F、Gを入れた網を減圧加圧漕の中に挿入し、減圧を行った。減圧状態は40トールで1時間吸引した。減圧度を40トールとしたのは、微小削片の飛散を防止するために、真空減圧の状態を悪くし、飛散する事を防止した。この状態で1時間吸引を行った後に、シュウ酸アンモニウム系不燃性薬剤が12%溶解された水溶液Hを減圧加圧漕内に流入した。削片F、Gが充分浸せきした事を確認の上、加圧ポンプで15kg/cm2で3時間、水溶液Hをさらに押し込み含浸させた。この削片F、Gを乾燥機にて60℃で12時間乾燥させ、含水率を6%までにした。削片Eを20mm、削片Fを40mm、削片Eを20mmと三層にホーミングを行いながら、接着剤としてフェノール樹脂を1000cm2当り50gスプレーに於いて散布した。このホーミングしたブロックを常温で8kg/cm2で30分間圧縮し、予備締めを行い、後に熱板の温度が140℃、圧力20kg/cm2で10分間熱圧プレスを行い製板Iを得た。製板Iの燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。さらに製板Iは炎を上げて燃える事はなく、バーナーの炎があたった部分では炭化するにとどまった。
【0011】
実施例3
直径100mm長さ1000mmの檜の小径木を定温乾燥機内で60℃の雰囲気中にて1週間乾燥を行い、檜の含水率を6%まで落とした。この檜Jを減圧加圧漕内に投入し25トールの減圧状態で2時間吸引を続け、檜J中の水分や空気を除去した。この減圧加圧漕にポリエステル樹脂とリン酸アンモニウム30%をスチレンモノマーに分散させたものを3:1の割合で混合し、過酸化物触媒0.2%を添加した溶液を流入させた。その後、檜Jが溶液の中に浸せきした事を確認後、加圧ポンプにて圧力30kg/cm2で15時間加圧し、溶液を檜Jの中に加圧含浸注入を行い樹脂含浸された檜Kを得た。この時、檜Kの比重は1.01となり、檜Jの比重が0.52と比べて、溶液の注入量は、比重に於いて0.49増えた事が判明した。これは重量換算で、1本当り3850gの溶液が注入された事になる。この檜Kをディスクタイプチッパにて削片し、均一に100mmの厚さにホーミングを行った。このホーミングの時に、あらたに接着剤を塗布する事はなかった。さらに予備圧8kg/cm2で30分間圧縮を行い、熱板の温度を140℃にしてプレス圧50kg/cm2で20分間熱圧を行い、厚み20mmの製板Lを得た。製板Lを切り出し、縦横200mmの試験片を作り、耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、60℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに60℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して3mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向に於いて2mmの長さ増が見られた。厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いて檜片Kの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0012】
実施例4
ラワン材の廃材をディスクタイプチッパにて削片し、ボードの表面層としての微小片と中芯材料としての粗削片を得た。この削片を60℃の定温乾燥機で1時間乾燥を行い、実施例1で用いたポリプロプレン袋に入れ、減圧加圧層に投入した。減圧40トールで2時間吸引を続け木材中の水分、空気を除去し、スルフォン酸アンモニウム10%を溶解した水溶性フェノール樹脂を流入させた。削片の浸せきが確認された後、さらに加圧ポンプにて加圧25kg/cm2で5時間水溶性フェノール樹脂を送り込み、ラワン削片の導管、仮導管の内部まで含浸注入を行い、削片Mを得た。この削片Mを温度60℃の定温乾燥機で2時間乾燥を行い、表面層用の微小片20mm、中芯材料用粗い削片60mmさらに微小片20mmの順に三層を造り、あらたに接着剤を塗布する事なく積み上げ、圧力8kg/cm2で20分間圧縮した後、圧力30kg/cm2温度130℃で20分間熱圧プレスを行い、製板Nを得た。この製板Nで耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、60℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに60℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して3mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向に於いて2mmの長さ増が見られた。厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いて檜片Kの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0013】
実施例5
直径100mm長さ1000mmのブナの小径木を定温乾燥機内で60℃の雰囲気中にて1週間乾燥を行い、ブナの含水率を4%まで落した。このブナOを減圧加圧漕内に投入し25トールの減圧状態で2時間吸引を続け、ブナO中の水分や空気を除去した。この減圧加圧漕にあらかじめ用意したアクリル樹脂にポリリン酸アンモニウム10%をウレタン樹脂に分散させたものを、3:1の割合で混合し流入させた。その後、ブナOが溶液の中に浸せきした事を確認後、加圧ポンプにて圧力30kg/cm2で15時間加圧し、溶液をブナOの中に加圧含浸注入を行い樹脂含浸されたブナPを得た。この時、ブナPの比重は0.90となり、ブナOの比重が0.54と比べて、溶液の注入量は、比重に於いて0.36増えた事が判明した。これは重量換算で1本当り2830gのウレタン樹脂溶液が注入された事になる。このブナPをディスクタイプチッパにて削片し、均一に40mmの厚さにホーミングを行った。このホーミングの時に、あらたにウレタン樹脂接着剤を1000cm2当り、50gを投入し撹拌を行った。この削片のブロックを常温冷圧で圧力8kg/cm2で10時間プレスを行い、厚み20mmの製板Qを得た。製板Qを切り出し、縦横200mmの試験片を作り、耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、80℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに80℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して1mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向及び、厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いてブナPの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
【0014】
実施例6
メープル材の廃材をディスクタイプチッパにて削片し、ボードの表面層としての微小片と中芯材料としての粗削片を得た。この削片を60℃の定温乾燥機で1時間乾燥を行い、実施例1で用いたポリプロプレン袋に入れ、減圧加圧層に投入した。減圧40トールで2時間吸引を続け木材中の水分、空気を除去し、スルフォン酸アンモニウム10%を溶解した水溶性フェノール樹脂を流入させた。削片の浸せきが確認された後、さらに加圧ポンプにて加圧25kg/cm2で5時間水溶性フェノール樹脂を送り込み、メープル削片の導管、仮導管の内部まで含浸注入を行い、削片Rを得た。この削片Rを温度60℃の定温乾燥機で2時間乾燥を行い、含水率4%の削片類を得た。この削片を表面層用の微小片10mm、中芯材料用粗い削片20mm、さらに表面層用微小片10mmの順に、あらたに接着剤用フェノール樹脂を1000cm2当り50gを混合しながら三層のブロックを造り、圧力5kg/cm2で20分間圧縮した後、圧力10kg/cm2温度130℃で20分間熱圧プレスを行い、製板Sを得た。この製板Sで耐温水試験を行った。耐温水試験方法は、80℃の温水に2時間浸せきし、−20℃の冷気中に2時間、さらに80℃の乾気中に2時間の工程を2サイクル繰り返し、寸法の変化を見た。この時ホーミングの方向に合わせて100mmに対して1mmの長さ増が見られ、ホーミングの直角方向及び、厚みの方向に於いては、1mm以下の増加を検知した。又、この試験に於いて檜片Kの脱落はなかった。さらに燃焼試験を行う。試験方法は、プロパンガスを燃料とするメッケルバーナーを用い、製板Eを縦29cm横19cmにカットし、その中央部に長さ65mmの炎の先端が接するようにし、2分間加熱を行う。加熱終了後の残炎時間が10秒以下、残じん時間が30秒以下、炭化面積が50cm2以下である検査基準を充分にクリアできる事が判明した。
Claims (6)
- 不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで含浸注入を施した木材を削片し、その小片に合成樹脂接着剤を塗布し、人工的に製板した板状製品の製造方法
- あらかじめ木材を削片した小片に不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで含浸注入を施し、合成樹脂接着剤を塗布し、人工的に製板した板状製品の製造方法
- 木材の中に不燃性薬剤と合成樹脂を混合した樹脂液を減圧、加圧のもとで含浸注入を施した木材を削片した上で、あらたに合成樹脂接着剤を用いないで、人工的に製板した板状製品の製造方法
- 木材を削片した小片に、不燃性薬剤と合成樹脂を混合した樹脂液を減圧、加圧のもとで含浸注入を施し、あらたに合成接着剤を用いないで人工的に製板した板状製品の製造方法
- 木材の中に不燃性薬剤と合成樹脂を混合した樹脂液を減圧、加圧のもとで含浸注入を施した木材を削片した上で、合成樹脂接着剤を塗布し、人工的に製板した板状製品の製造方法
- 木材を削片した小片に、不燃性薬剤と合成樹脂を混合した樹脂液を減圧、加圧のもとで含浸注入を施し、合成樹脂接着剤を塗布し、人工的に製板した板状製品の製造方法
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JP2003189883A JP2004351914A (ja) | 2003-05-27 | 2003-05-27 | 木材又は木材の削片に不燃性薬剤を減圧、加圧のもとで含浸注入を施し、燃えなくした削片を用い、製板した板状製品の製造方法 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN101863066A (zh) * | 2009-10-16 | 2010-10-20 | 东营正和木业有限公司 | 阻燃型中高密度板生产工艺 |
CN103406968A (zh) * | 2013-05-07 | 2013-11-27 | 广西大学 | 高级环保阻燃纤维板及其制造方法 |
JP2018016010A (ja) * | 2016-07-29 | 2018-02-01 | 株式会社アサノ不燃 | 木粉ボードの製造方法 |
-
2003
- 2003-05-27 JP JP2003189883A patent/JP2004351914A/ja active Pending
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