JP2018016010A - 木粉ボードの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
その一方で、木材は、火災に弱いという欠点を有している。このため、近年では木材に耐火性能を付与した、いわゆる耐火木材が開発されている。
また、耐火木材は、薬剤含浸の関係から、特定の形状に加工することが困難であるという欠点もある。
かかる不燃性合板によれば、所定の寸法通りに成形することができ、且つ、特定の形状に成形することも可能である。
また、不燃剤溶液は、水系であるため表面張力が高く、表面積が大きい植物繊維粉にはそもそも浸透し難い。
これらのことから、上記不燃性合板は、耐火性が十分優れるとはいえない。
また、不燃剤溶液を加えた植物繊維粉は、乾燥に、時間とエネルギーを要し、製造が困難であるという欠点もある。
すなわち、木粉ボードの製造方法は、浸透工程において、一旦、耐圧容器内を減圧にした後、耐圧容器内を0.2MPa〜5.0MPaの加圧環境下となるように不燃液を注入するため、木材片の内部の空気を可及的に除去すると共に、強制的に不燃液を木材片の内部に浸透させることができる。なお、木材片は表面が平面であり、表面積が比較的小さいため、表面張力による不燃液の浸透不良も抑制できる。
また、乾燥工程において、不燃木材の状態のままで乾燥することにより、要する時間とエネルギーを軽減することができる。
そして、熱圧縮工程において、成形される木粉ボードの密度が0.7g/cm3〜1.5g/cm3となるように、不燃木粉を熱圧縮することにより、不燃木粉が十分に充填された木粉ボードを製造することができる。
また、木粉ボードは、不燃木粉が投入される型枠の形状通りに成形されるため、木材に耐火性能を付与した場合と比較して、所定の寸法通りとすることができ、且つ、特定の形状に成形することも可能である。
このとき、不燃木粉の長径が100μm〜3mmであることが好ましい。
鱗片状であり、且つ、長径が上記範囲内の不燃木粉とすることにより、熱圧縮工程においては、十分な耐火性を備えた状態で、不燃木粉同士を絡ませることができる。これにより、得られる木粉ボードは、保形性に優れると共に、耐久性にも優れるものとなる。
また、得られる木粉ボードは、十分な強度を有する。
また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
図1に示すように、本実施形態に係る木粉ボードの製造方法は、投入工程S1と、浸透工程S2と、乾燥工程S3と、木粉化工程S4と、熱圧縮工程S5とを備える。
木粉ボードの製造方法においては、これらの工程を順次行うことにより、耐火性が極めて優れる木粉ボードを比較的容易に製造することができる。
(投入工程)
投入工程S1は、木材片を耐圧容器内に投入し、該耐圧容器を密閉する工程である。
ここで、本明細書において、木材片には、角材や端材が含まれる。なお、端材を採用する場合は、リサイクル性にも優れる。
木材片は、公知の方法で、原木に対して製材加工を行うことにより得られる。なお、かかる原木の種類としては、特に限定されず、例えば、赤松、檜、唐松、杉、檜葉、栗、米栂、スプルース、米ヒバ、米松等を適宜用いることができる。
また、耐圧容器は、従来公知のものを適宜用いることができる。
図2の(a)に示すように、耐圧容器10は、横方向に延びる中空円筒状であり、前側に蓋11を備え、後ろ側の図示しない側面に注入管12が取り付けられている。
また、図2の(b)に示すように、当該注入管12には、ポンプPが取り付けられている。
そして、注入管12の先には、後述する不燃液が貯留されたタンク13が、耐圧容器10の上方に取り付けられている。すなわち、タンク13は、注入管12を介して、耐圧容器10に連結されている。
浸透工程S2は、耐圧容器10内を密閉した状態で、耐圧容器10内を減圧し、その後、耐圧容器10内に不燃液を注入すると共に、耐圧容器10内を加圧し、木材片1に不燃液を浸透させる工程である。
木粉ボードの製造方法においては、浸透工程S2を行うことにより、木材片1に不燃液が浸透した不燃木材が得られる。なお、かかる不燃木材は、不燃性を示す。
これらの中でも、不燃液は、燃焼時に有害なガスの発生がなく、木材片の傷み、変色も比較的少ないという観点から、ホウ素化合物を含むことが好ましい。
また、この場合、耐火性だけでなく、防腐性、防蟻性、防虫性にも優れる。
ここで、不燃液は、カップリング剤としてシランカップリング剤を更に含むことが好ましい。この場合、シランカップリング剤が、ホウ素化合物と木材片とを繋ぐ働きをするため、ホウ素化合物を木材片に確実に定着させることができる。
また、不燃液は、樹脂としてポリフェノール系化合物を更に含むことが好ましい。なお、ポリフェノール系化合物としては、タンニン、カテキン、アントシアニン等が挙げられる。この場合、ポリフェノール化合物が、後述する不燃木粉同士を繋ぐ、接着剤の働きをするため、より保形性に優れると共に、より耐久性にも優れる木粉ボードを製造することが可能となる。
次に、タンク13に貯留された不燃液を、注入管12内を流通し、ポンプPによって強制的に耐圧容器10内に注入する。
このとき、耐圧容器10内が不燃液で充填されたとしても、ポンプPにより、不燃液を更に耐圧容器10内に注入する。これにより、耐圧容器10内は、加圧環境下となり、木材片1の内部に不燃液を確実に浸透させることができる。
圧力が0.2MPa未満であると、圧力が上記範囲内にある場合と比較して、木材片1の内部への不燃液の浸透に時間がかかり、圧力が5.0MPaを超えても、木材片1の内部への不燃液の浸透効率はそれ以上良くならない。また、圧力が5.0MPaを超えると、安全性の問題が生じる。
温度が20℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、不燃液を十分に活性化させることができず、不燃液の浸透に時間を要する場合があり、温度が80℃を超えると、加圧が安定せず不燃液が浸透しにくくなる可能性がある。
乾燥工程S3は、浸透工程S2で得られた不燃木材を耐圧容器から取り出し、乾燥させることにより、不燃木材に含まれる不燃液の水分を除去し、不燃成分を不燃木材に定着させる工程である。
また、乾燥工程S3においては、粉状である場合と比較して、要する時間とエネルギーを軽減することができる。
重量含水率が5%未満であると、重量含水率が上記範囲内にある場合と比較して、得られる木粉ボードが吸水して、寸法が変化する恐れがあり、重量含水率が20%を超えると、重量含水率が上記範囲内にある場合と比較して、得られる木粉ボードの保形性が不十分となる恐れがある。
木粉化工程S4は、乾燥させた不燃木材の表面を掻き取り作用によって切削し、鱗片状の不燃木粉とする工程である。なお、表面が削られた不燃木材は、建築材料として、柱、梁、床(スラブ)等に用いることも可能である。すなわち、上述した不燃木材自体を建築材料として用いる場合、不燃木材に施される平滑化加工の際に排出される粉体を不燃木粉として用いることができる。
これらの中でも、切削装置は、比較的容易に鱗片状の不燃木粉とすることができることから、かんな盤であることが好ましい。
図3に示すように、木粉化工程S4においては、例えば、不燃木材2を複数の案内ローラー21が搬送しながら、所定の位置に固定された自動かんな盤20により、不燃木材2の表面が削られる。なお、案内ローラー21は、逆回転することにより、不燃木材2を搬送方向とは反対の方向に搬送することも可能となっている。
不燃木材2に対する自動かんな盤20による切削を繰り返すことにより、不燃木粉が得られる。
不燃木粉が鱗片状であり、且つ、長径を上記範囲内とすることにより、後述する熱圧縮工程S5において、十分な量の不燃成分を保持した状態で、不燃木粉同士を絡ませることができる。
図4に示すように、不燃木粉は、複数の針状組織体からなる。
そして、隣り合う針状組織体の長さはそれぞれ異なっており、これにより、不燃木粉の端部は、凹凸となっている。
このことにより、得られる木粉ボードは、複数の不燃木粉の端部同士が複雑に絡み合った構造となる。その結果、木粉ボードは、保形性に優れると共に、耐久性にも優れる。
熱圧縮工程S5は、一定量の不燃木粉を型枠に入れ、熱圧縮を行い成形する工程である。
なお、熱圧縮工程S5においては、木粉化工程S4で製造した不燃木粉をそのまま用いて成形するため、不燃木粉に対して、不燃液付与や乾燥等の加工を別途施す必要はない。
また、上記不燃木粉は、不燃液が付与されたものであるから、比較的比重が大きい。そのため、散逸し難く、取扱い性に優れる。
図5に示すように、熱圧縮工程S5においては、まず、型枠30内に不燃木粉3が投入される。
そして、型枠30内を、上方からプレス31にて押圧して押し固めることにより、木粉ボードが得られる。
加圧力が40kg/m2未満であると、加圧力が上記範囲内にある場合と比較して、得られる木粉ボードの保形性が不十分となる恐れがあり、加圧力が100kg/m2を超えても、得られる木粉ボードの保形性はそれ以上向上しない。また、加圧力が100kg/m2を超えると、安全性の問題が生じる。
温度が160℃未満であると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、得られる木粉ボードの保形性が不十分となる恐れがあり、温度が220℃を超えると、温度が上記範囲内にある場合と比較して、得られる木粉ボードが変色する恐れがある。
したがって、得られる木粉ボードは、寸法及び形状を自由に設定することができるため、用途が広がり、汎用性に優れるものとなる。
図6の(a)に示すように、本実施形態に係る木粉ボードの製造方法で得られる木粉ボードは、直方体状であり、図6の(b)に示すように、複数の不燃木粉同士が複雑に絡み合った構造となっている。
密度が0.7g/cm3未満であると、木粉ボードの保形性が不十分となり、密度が1.5g/cm3を超えると、硬くなり過ぎ、正寸加工が困難になる傾向にある。
なお、不燃木材を粉砕する装置としては、ウッドチッパー等の公知の装置が適宜用いられる。
また、本実施形態に係る木粉ボードの製造方法の木粉化工程S4においては、自動かんな盤20により、不燃木材2の表面を削っているが、用いる切削装置は、これに限定されるものではない。
なお、かかる樹脂としては、公知の合成木材用の樹脂を適宜採用することができる。
また、得られる木粉ボードは、建築物の骨組みである建築材料(柱、梁、壁、基礎、耐火被覆材、圧縮材等)、家具、建具、土木材料として好適に用いられる。
本発明に係る木粉ボードの製造方法によれば、耐火性が極めて優れる木粉ボードが得られ、また、木粉ボードを比較的容易に製造することができる。
10・・・耐圧容器
11・・・蓋
12・・・注入管
13・・・タンク
2・・・不燃木材
20・・・自動かんな盤
21・・・案内ローラー
3・・・不燃木粉
30・・・型枠
31・・・プレス
P・・・ポンプ
S1・・・投入工程
S2・・・浸透工程
S3・・・乾燥工程
S4・・・木粉化工程
S5・・・熱圧縮工程
Claims (7)
- 不燃木粉からなる木粉ボードの製造方法であって、
木材片を耐圧容器内に投入し、該耐圧容器を密閉する投入工程と、
該耐圧容器内を減圧し、その後、該耐圧容器内に前記不燃液を注入すると共に、該耐圧容器内を加圧し、前記木材片を前記不燃液が浸透した不燃木材にする浸透工程と、
該不燃木材を乾燥させる乾燥工程と、
乾燥させた前記不燃木材を切削又は粉砕し、鱗片状の前記不燃木粉とする木粉化工程と、
一定量の前記不燃木粉を型枠に入れ、熱圧縮を行い成形する熱圧縮工程と、
を備え、
前記浸透工程における前記耐圧容器内の圧力が0.2MPa〜5.0MPaであり、
前記木粉ボードの密度が0.7g/cm3〜1.5g/cm3である木粉ボードの製造方法。 - 前記木粉化工程が、乾燥させた前記不燃木材の表面を、掻き取り作用によって切削し、鱗片状の不燃木粉とする工程である請求項1記載の木粉ボードの製造方法。
- 前記浸透工程における前記耐圧容器内の温度が、20℃〜80℃である請求項1又は2に記載の木粉ボードの製造方法。
- 前記不燃木粉の長径が100μm〜3mmである請求項1〜3のいずれか1項に記載の木粉ボードの製造方法。
- 前記不燃木粉が複数の針状組織体からなり、
隣り合う前記針状組織体の長さが異なる請求項1〜4のいずれか1項に記載の木粉ボードの製造方法。 - 前記熱圧縮工程における加熱温度が160℃〜220℃であり、加圧力が40kg/m2〜100kg/m2である請求項1〜5のいずれか1項に記載の木粉ボードの製造方法。
- 前記不燃液が、ホウ素化合物と、シランカップリング剤と、ポリフェノール系化合物とを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の木粉ボードの製造方法。
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