JP3919639B2 - 準不燃木質ボードとその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、準不燃木質ボードとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、パーティクルボード、ウェファーボード、ストランドボードなどの木質ボードは、木材を小片などの構成要素にいったん分解し、これに接着剤などを塗布して成型熱圧したものである。この木質ボードの用途は、主として、家具、建具、建築物の構造材・下地材・内装材などである。しかし、木材には燃えやすいという性質があるため、木質ボードを使用した場合、例えば火事が発生したときには容易に燃え広がる可能性がある。また、建築物の構造材や内装材として用いられる建築材料については、その用いられる用途や部位によって、建築基準法上「不燃材料」、「準不燃材料」、または「難燃材料」として定義付けられる一定の難燃性能を有する材料を使用することが要求される場合がある。
【0003】
このような情勢を背景とし、安全性向上や用途拡大という観点から木質ボードを不燃材料、準不燃材料、または難燃材料とする試みが従来より行われてきた。具体的に説明すると、木質ボードを難燃化するには、成型熱圧した木質ボードの表面に、リン酸アンモニウム、ホウ酸などの難燃剤を塗布する方法や、木材を分解した小片に、難燃剤を塗布し乾燥した後、接着剤を塗布して成型熱圧する方法などがある(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−301402号公報
【特許文献2】
特開平3−258508号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術は次のような不都合を有していた。木質ボードの表面に難燃剤を塗布する方法では、難燃処理を施す容積が大きくなり手間がかかること、難燃剤の厚さ方向への分布がコントロールしにくいこと、塗装など二次加工が阻害されるということ等の問題があった。
【0006】
また、木材を分解した小片に難燃剤を添加する方法では、難燃剤が接着剤の接着性能を阻害するため、難燃剤の添加量が増すにつれて機械的強度が低下する問題があった。また、通常の木質ボードの製造方法に比べて、木材を分解した小片に難燃剤を塗布する工程と、難燃剤を塗布した小片を乾燥する工程とをさらに有することになり、難燃剤の浸透に時間がかかるなど処理効率が悪いこと、水分管理に手間がかかること、その結果製造コストが高くなること等の問題を有していた。
【0007】
加えて、木質ボードを成型熱圧する際に用いられる接着剤は、一般に、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性接着剤が用いられている。これらの接着剤は、熱圧時に木材をプラスチック化することで木質ボードを固めるので、これらの接着剤を用いた木質ボードは、天然材料の木材が持つ優れた調湿性、断熱性、触れた時の生物材料特有の親和性などを損なってしまっていた。また、これらの接着剤は、ホルムアルデヒドなどの揮発性の有害物質を含んでいるため、これらの接着剤を用いた木質ボードを建築材料や家具材料として使用すると、有害物質が室内に揮発して、いわゆるシックハウス症候群の原因となるという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は上記の実情を鑑み、調湿性、断熱性、有害物質に対する安全性などの特性を満たしつつ、建築基準法で準不燃材料または難燃材料と定義される一定の難燃性を有し、内装材など様々な用途に利用可能で工業的実施に有利な準不燃木質ボードとその製造方法の提供を課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる準不燃木質ボードは、木材を分解した小片に、ポリエチレングリコール水溶液、または分子中に1個以上の水酸基を有する非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤、及び、リン酸塩を含有する難燃剤を混合した混合物を塗布して、板状に成型熱圧したものである。
【0010】
原料の木材は、形態別では、例えば、林地残材、間伐材、小径丸太、工場残材、建築解体材、家具材などが挙げられる。また、樹種別では、例えば、ヒノキ、スギ、マツ、ヒバなどの針葉樹、ナラ、カンバ、ブナ、ケヤキ、ラワン・メランチ類、アピトン・クルイン類、マトア、ナトーなどの広葉樹が挙げられる。さらに、木材を分解した小片としては、チップ、フレーク、ウェファー、ストランドなどが挙げられる。
【0011】
また、難燃剤が含有するリン酸塩は、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸アミド、ポリリン酸カルバメートなどが挙げられる。
【0012】
したがって、請求項1の発明の準不燃木質ボードによれば、木材を分解した小片に、熱可塑性接着剤及び難燃剤を混合した混合物を塗布することによって、難燃性能と接着性能を一度に付与することが可能になる。これにより、難燃剤と接着剤とを順次塗布する従来法に比べ、処理効率が改善されるとともに、水分管理等の手間も比較的容易になる。また、難燃剤が接着剤の接着性能を阻害することなく、木質ボードが準不燃材料となる程度までの難燃剤を塗布することが可能となる。
【0013】
また、本発明の準不燃木質ボードによれば、上記の準不燃木質ボードの作用に加え、ポリエチレングリコール水溶液または非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤によって、熱圧の際に木材細胞壁や細胞間層を構成するヘミセルロース、リグニンは可塑化されて接着層を形成する。ポリエチレングリコール水溶液または非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤は、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などのように常温硬化性、熱硬化性、またはエマルジョン型などの特性を持つものではないので、製造工程中に、その使用時間が制限されたり、使用中にゲル化、皮膜化したりすることがない。また、ホルムアルデヒド、トルエンをはじめとする揮発性の有害物質を含まないため、木質ボードを建築材料や家具材料として使用しても、有害物質が揮発することがない。
【0016】
さらに、本発明の準不燃木質ボードによれば、上記の準不燃木質ボードの作用に加え、リン酸塩は脱水触媒として作用し、木材を分解した小片に含まれるセルロースなどを炭素と水に熱分解しカーボン皮膜を生成する。これにより酸素の進入、熱エネルギーの供給を遮断して、燃焼を抑制する。
【0019】
請求項2の発明にかかる準不燃木質ボードの製造方法は、木材を小片に分解する分解工程と、前記木材を分解した前記小片を乾燥する第一乾燥工程と、前記小片にポリエチレングリコール水溶液、または分子中に1個以上の水酸基を有する非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤、及び、リン酸塩を含有する難燃剤を混合した混合物を塗布する塗布工程と、前記混合物を塗布した前記小片を乾燥する第二乾燥工程と、前記小片を集積して板状のマットを成型する成型工程と、前記マットを熱圧する熱圧工程とを有するものである。
【0020】
したがって、請求項2の発明の準不燃木質ボードの製造方法によれば、先ず、原料の木材を、ディスクフレーカ、ドラムフレーカ、リングフレーカなどの切削機を用いて切削して小片を得る。なお、原料の木材の含水率が高い方が切削の際に良好な小片を得られることから、分解工程に先立ち木材を水中浸漬するほうがより好ましい。また、原料の木材が切削に適しない場合は、木材を破砕したり、摩砕したりして小片を得ることもある。次に、小片を高温熱風乾燥機などの乾燥機を用いて乾燥する。乾燥しすぎのものや、不十分な乾燥で含水率が高いものは、成型できなかったり、成型できたとしても機械的強度が低下するため、含水率2〜15%程度、好ましくは5%程度に乾燥する。次に、ポリエチレングリコール水溶液、または分子中に1個以上の水酸基を有する非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤、及び、リン酸塩を含有する難燃剤を攪拌機などを用いて混合し、この混合物を塗布機によって小片に塗布する。次に、混合物を塗布した小片を乾燥する。これにより、熱可塑性接着剤及び難燃剤が乾燥され、小片に接着性能及び難燃性能の両方が発現することになる。次いで、乾燥した小片を集積し、厚さや比重にむらができないようにして板状のマットを成型する。さらに、成型したマットをホットプレスなどによって熱圧して準不燃木質ボードを得る。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態である準不燃木質ボードとその製造方法について、図1に基づき説明する。図1は本発明の一実施形態である準不燃木質ボードの製造方法を説明するための説明図である。本実施形態の準不燃木質ボード1は、図1に示すように、小径丸太2を切削したストランド3に、熱可塑性接着剤及び難燃剤を混合した混合物を塗布して、板状に成型熱圧した長さ2000mm、幅1000mm、厚さ14mmのものである。
【0022】
原料の小径丸太2は、約径13cmのヒノキ原木を約18cmに玉切りし、3〜5日程度水中浸漬したものである。小径丸太2を水中浸漬するのは、小径丸太2の含水率が高い方が切削の際に良好な小片を得られるためである。ここで、小径丸太2が本発明の木材に相当する。
【0023】
ストランド3は、小径丸太2から厚さ及び長さを規整して切削され、平滑な正方形状または長方形状に形成されているものである。ストランドの寸法は、長さあるいは幅が10〜80mm程度、好ましくは25〜30mm程度で、厚さが0.2〜0.6mm程度、好ましくは0.3mm程度になるようにする。ここで、ストランド3が本発明の小片に相当する。
【0024】
熱可塑性接着剤は、特公平7−20609号公報に開示されているように、ポリエチレングリコール水溶液を含有する熱可塑性のもので、固形分57%である。なお、ストランド3に対する熱可塑性接着剤の割合の目安は、ストランド3:熱可塑性接着剤=100:30である。なお、熱可塑性接着剤は、酸、増粘剤なども含有している。
【0025】
難燃剤は、ポリリン酸アンモニウムを含有した無色透明水溶液で、pH5.0〜6.8,固形分50%以上である。難燃剤は、ストランド3質量に対して90〜200kg/m3程度、好ましくは準不燃材料の目安である150kg/m3程度の量を使用する。この他、ポリリン酸アミド、ポリリン酸カルバメートなどリン酸塩系の難燃剤を用いることもできる。
【0026】
次に、本実施形態の準不燃木質ボード1の製造方法について説明する。本実施形態の準不燃木質ボード1の製造方法は、水中浸漬した小径丸太2をストランド3に切削する分解工程と、小径丸太2を切削したストランド3を乾燥する第一乾燥工程と、ストランド3にポリエチレングリコール水溶液を含有する熱可塑性接着剤及びポリリン酸アンモニウムを含有する難燃剤を混合した混合物を塗布する塗布工程と、混合物を塗布したストランド3を乾燥する第二乾燥工程と、混合物を塗布したストランド3を集積して板状のマットに成型する成型工程と、マットを熱圧する熱圧工程とから構成されている。
【0027】
分解工程では、水中浸漬した小径丸太2を切削しストランド3を得る。この際にディスクフレーカ、ドラムフレーカなどの切削機を用いる。これらは、木材の繊維方向とナイフの刃先線を一致させ、繊維に直交して切削するので、繊維の切損が少なく、平坦な表面性の良いストランド3を得ることができる。また、チップのような小木片を原料とする場合は、リングフレーカが用いられ、原料の木材が切削に適さない場合は、木材を破砕したり、摩砕したりして小片を得ることもある。
【0028】
第一乾燥工程では、分解工程で得られたストランド3を乾燥する。これは、熱圧工程の際に、ストランド3相互の良好な接着を得るとともに熱圧時間の短縮をはかるためである。乾燥しすぎのものや、不十分な乾燥で含水率が高いものは、成型できなかったり、成型できたとしても機械的強度が低下するため、含水率2〜15%程度、好ましくは5%程度に乾燥する。この際、回転ドラム式高温熱風乾燥機を用いる。これは、熱風(上限160℃)をドラムの後方から吹き込みながら、回転するドラム内でストランド3を攪拌しつつ移送して乾燥させるものである。
【0029】
塗布工程では、ポリエチレングリコール水溶液を含有する熱可塑性接着剤及びポリリン酸アンモニウムを含有する難燃剤を攪拌機によって混合し、得られた混合物をブレンダーなどを用いて、第一乾燥工程で乾燥したストランド3に均一に塗布する。ブレンダーは、連続的に攪拌しながら送られるストランド3に接着剤を吹き付けるものである。
【0030】
第二乾燥工程では、塗布工程で混合物を塗布したストランド3を乾燥する。これにより、熱可塑性接着剤及び難燃剤が乾燥され、ストランド3に接着性能及び難燃性能が発現する。この乾燥は、60〜80℃程度で3〜6時間程度行う。
【0031】
成型工程では、第二乾燥工程で乾燥したストランド3を集積して一定の長さ及び厚さの板状のマットに成型する。ストランド3の分布が均等にいかないと木質ボードの材質にむらを生じることになるため、連続秤でストランド3質量を一定量ずつ秤量しながら送り込む方法や、ベルトコンベヤで送りながら表面をかきならして一定容積送り込む方法などが用いられる。なお、ストランド3は、ランダムに集積されていてもよく、所定方向に配向されて集積されていてもよい。
【0032】
熱圧工程では、成型工程で成型した板状のマットをホットプレスで熱圧する。熱盤温度は140〜200℃程度、好ましくは約180℃に設定し、圧締圧力は10〜35kg/cm2程度、好ましくは約30kg/cm2で、10〜30分間程度、好ましくは約15分間圧締する。熱圧されたマットは、寸法安定化のために養生期間を置き、トリミングなど仕上げ処理をして、製品の木質ボードを得ることになる。
【0033】
このように、上記実施形態の準不燃木質ボード1では、小径丸太2を切削したストランド3に、ポリエチレングリコール水溶液を含有する熱可塑性接着剤及びポリリン酸アンモニウムを含有する難燃剤を混合した混合物を塗布することによって、準不燃木質ボード1に建築基準法で準不燃材料と定義されるところの一定の難燃性を付与している。したがって、難燃剤と接着剤とを順次塗布する従来法に比べ、準不燃木質ボード1の難燃処理を簡易かつ効率的に施すことができる。
【0034】
また、上記実施形態の準不燃木質ボード1では、水溶性の熱可塑性接着剤と水溶性の難燃剤を混合するため、難燃剤が接着剤の接着性能を阻害することなく、難燃剤の添加量を増やしても準不燃木質ボード1の機械的強度が低下することがない。これにより、準不燃木質ボード1が準不燃材料となる程度までの難燃剤を塗布することが可能となる。したがって、準不燃木質ボード1は、安全性が向上し、家具、建具などはもとより、内装材や大規模な公共空間など建築基準法上使用が制限されていた建築材料としても利用でき、用途を拡大できる。用途拡大は、準不燃木質ボード1が原料の形態によらないことから、人工林資源の有効活用や資源リサイクルという観点からも有意義である。
【0035】
上記実施形態の準不燃木質ボード1では、ポリエチレングリコール水溶液を含有する熱可塑性接着剤によって、熱圧の際に木材細胞壁や細胞間層を構成するヘミセルロース、リグニンは可塑化されて接着層を形成する。ポリエチレングリコール水溶液を含有する熱可塑性接着剤は、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などのように常温硬化性、熱硬化性、またはエマルジョン型などの特性を持つものではないので、製造工程中に、その使用時間が制限されたり、使用中にゲル化、皮膜化したりすることがない。したがって、製造時の取扱いが容易であるとともに、木質をプラスチック化していないので、天然材料の木材が持つ調湿性、断熱性、触れた時の生物材料特有の親和性などの特性を維持することができる。
【0036】
上記実施形態の準不燃木質ボード1では、接着剤としてポリエチレングリコール水溶液を含む熱可塑性接着剤を利用しているので、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂などの接着剤のように、ホルムアルデヒドやトルエンなどをはじめとする揮発性の有害物質を含有していない。したがって、準不燃木質ボード1を建築材料や家具材料として使用しても、有害な物質を揮発することがなく、安全性を確保できる。
【0037】
また、上記実施形態の準不燃木質ボード1では、構成要素として厚さ及び長さを規整して切削した平滑な長方形状のストランド3を利用したことから、準不燃木質ボード1を家具、建具、内装材などに利用し、独特の意匠性と質感を表現できる。
【0038】
また、上記実施形態の準不燃木質ボード1の製造方法では、熱可塑性接着剤及び難燃剤を混合して一度に塗布できるので、通常の木質ボードとほぼ同様の製造工程で木質ボードに難燃処理を施すことが可能となる。また、必要な装置は、通常の木質ボードを製造するプラントに、熱可塑性接着剤及び難燃剤を混合する攪拌機のみである。したがって、準不燃材料である準不燃木質ボード1を、短時間かつ低コストで製造でき、従来法に比べ工業的実施に有利である。
【0039】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
【0040】
すなわち、上記実施形態の準不燃木質ボード1では、原料の木材としてヒノキ原木を玉切りした小径丸太2を示した。しかし、これに特に限定されるものではなく、この他、原料の木材として利用できるものをいくつか例示すると、形態別では、林地残材、間伐材、工場残材、建築解体材、家具材、などが挙げられ、また、樹種別では、スギ、マツ、ヒバなどの針葉樹、ナラ、カンバ、ブナ、ケヤキ、ラワン・メランチ類、アピトン・クルイン類、マトア、ナトーなどの広葉樹が挙げられる。
【0041】
また、上記実施形態の準不燃木質ボード1では、小径丸太2から切削した小片としてストランド3を示した。しかしこれに特に限定されるものではなく、構成要素の小片は、様々な形状のものが利用可能であり、ストランド3の他に、ファイン、シェービング、フレーク、セミフレーク、ウェファーなどがある。ファインは、鋸屑などから摩砕により得られる短い通直な繊維束であって、主に表面層に用いられる。シェービングは、切削により得られ、かんな屑状で不定寸法の木材小片である。フレークは、厚さと長さを規整して切削された長方形状小片である。セミフレークは、パルプチップのような小木片からリングフレーカにより切削して得られる比較的小さいフレークである。ウェファーは、切削機により厚さと長さを規整して切削された、平滑な正方形状の比較的大きいフレークである。
【0042】
さらに、上記実施形態の準不燃木質ボード1では、熱可塑性接着剤として、ポリエチレングリコール水溶液を含有するものを示した。しかし、これは特に限定されるものではなく、分子中に1個以上の水酸基を含有する非イオン界面活性剤水溶液を含有するものを利用してもよい。分子中に1個以上の水酸基を含有する非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、多価アルコールと脂肪酸エステル系、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレンのポリオキシエチレンエーテルなどが挙げられる。また、ポリエチレングリコール及び非イオン界面活性剤は、単独または二種類以上を混合して水溶液として使用することもできる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳細かつ具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0044】
小片は、岐阜県産の約径13cmのヒノキ原木を18cmに玉切りし、3〜5日水中浸漬したものをディスクフレーカ(飯田工業(株)製)によって切削した後、ドライヤーで含水率5%に乾燥した長さ30mm、幅30mm、厚さ0.3mmのストランドを利用した。
【0045】
接着剤は、熱可塑性水溶性接着剤ノンゲルR−431(主成分:ポリエチレングリコール、固形分57%、飯田工業(株)製)から増粘剤を取り除いた接着剤を用いた。接着剤はストランドに対して18%添加した。
【0046】
難燃剤は、窒素、リン酸系のノンネンW2ー50(丸菱油化工業(株)製)を用いた。難燃剤と接着剤を攪拌機で混合した。難燃剤はストランドに対して150kg/m3塗布した。
【0047】
表1に製造条件を示す。仕上がりボードサイズは、長さ2000mm、幅1000mm、厚さ14mmとし、ホットプレス(飯田工業(株)製)の熱盤温度は180℃に設定し、圧締圧力30kg/cm2で15分または30分間圧締した。
【0048】
【表1】
【0049】
上記各材料及び製造条件により、ストランドボードを難燃化した。製造したストランドボードから試験片を採取し、JIS A 5908準拠の密度試験、含水率試験、曲げ強さ試験、湿潤曲げ強さ試験、吸水厚さ膨張率、はく離強さ試験、木ねじ保持力試験、及びホルムアルデヒド放出量試験の各種物性評価試験を行った。その集計結果を表2に示す。なお、比較例として、通常の製造方法で得られるストランドボードとパーティクルボード(JIS A 5908 化粧パーティクルボード13タイプ、E0タイプ)も合わせて示す。
【0050】
【表2】
【0051】
内部はく離を減少させるために、圧締時間を15分と30分としたが、15分圧締の方がよい物性試験結果が出ている。また、通常の製造方法で得られるストランドボードに比べ、吸水厚さ膨張率が低下して改善された。
【0052】
燃焼性に関しては、ISO 5660準拠のコーンカロリーメーター試験を行った。試験は準不燃性能試験とし、試験時間は10分間とした。この試験は、(財)日本建築総合研究所に委託した。表3にコーンカロリーメーターの試験結果を示す。
【0053】
【表3】
【0054】
コーンカロリーメーターの試験では、全ての試験体において、準不燃材料の基準をクリアーし、準不燃材料であることが認定された。
【0055】
以上のように、難燃剤ノンネンW2ー50をストランドに対して150kg/m3、及び増粘剤を取り除いた接着剤ノンゲルR−431をストランドに対して18%使用した混合液を、ストランドにスプレー塗布し、次いで熱盤温度180℃、15分間圧締、30kg/cm2の条件下で成型することでストランドボードをISO 5660発熱性試験の準不燃材料にすることができた。
【0056】
【発明の効果】
以上のように、請求項1の発明の準不燃木質ボードは、従来法に比べ、木質ボードの難燃処理を簡易かつ効率的に施すことができる。また、木質ボードを準不燃材料または難燃材料とすることで安全性が向上し、家具、建具などはもとより、内装材や大規模な公共空間など建築基準法上使用が制限されていた建築材料としても利用でき、木質ボードの用途を拡大できる。木質ボードの用途拡大は、原料の木材が形態によらないことから、人工林資源の有効活用や資源リサイクルという観点からも有意義である。
【0057】
また、請求項1の発明の準不燃木質ボードは、上記の準不燃木質ボードの効果に加えて、製造時の取扱いが容易であるとともに、木質をプラスチック化していないので、天然材料の木材が持つ調湿性、断熱性、触れた時の生物材料特有の親和性などの特性を維持することができる。また、ホルムアルデヒドやトルエンをはじめとする有害な物質を全く含まないので、安全性を確保できる。
【0058】
さらに、請求項1の発明の準不燃木質ボードは、上記の発明の準不燃木質ボードの効果に加えて、セルロースから可燃性ガスへの分解ルートを断ち、難燃効果を得ることができる。また、燃焼時にハロゲンなどが発生することなく、安全性を確保できる。
【0060】
請求項2の発明の準不燃木質ボードの製造方法は、熱可塑性接着剤及び難燃剤を混合して一度に塗布できるので、通常の木質ボードとほぼ同様の製造工程で木質ボードに難燃処理を施すことが可能となり、準不燃材料または難燃材料である木質ボードを、短時間かつ低コストで効率的に製造でき、従来法に比べ工業的実施に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である準不燃木質ボードの製造方法を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 準不燃木質ボード
2 小径丸太(木材)
3 ストランド(小片)
Claims (2)
- 木材を分解した小片に、ポリエチレングリコール水溶液、または分子中に1個以上の水酸基を有する非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤、及び、リン酸塩を含有する難燃剤を混合した混合物を塗布して、板状に成型熱圧した準不燃木質ボード。
- 木材を小片に分解する分解工程と、
前記木材を分解した前記小片を乾燥する第一乾燥工程と、
前記小片にポリエチレングリコール水溶液、または分子中に1個以上の水酸基を有する非イオン界面活性剤水溶液を含有する熱可塑性接着剤、及び、リン酸塩を含有する難燃剤を混合した混合物を塗布する塗布工程と、
前記混合物を塗布した前記小片を乾燥する第二乾燥工程と、
前記小片を集積して板状のマットを成型する成型工程と、
前記マットを熱圧する熱圧工程と
を有することを特徴とする準不燃木質ボードの製造方法。
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