JP2004351867A - サーマルヘッド - Google Patents

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JP2004351867A JP2003154966A JP2003154966A JP2004351867A JP 2004351867 A JP2004351867 A JP 2004351867A JP 2003154966 A JP2003154966 A JP 2003154966A JP 2003154966 A JP2003154966 A JP 2003154966A JP 2004351867 A JP2004351867 A JP 2004351867A
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Tsutomu Takeya
努 竹谷
Mototeru Hirayama
元輝 平山
Daiki Sugiyama
大樹 杉山
Toshihiro Kobayashi
俊宏 小林
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

【目的】製造工程中と完成後の両方において、導体の腐食を防止することができるサーマルヘッドを得る。
【構成】抵抗層3と、この抵抗層3上に部分的に形成された導体5と、この導体5及び抵抗層3を保護する耐摩耗層11と、この耐摩耗層11から離間させて設けた導体用の電極パッド12とを有するサーマルヘッドHにおいて、導体5をすべて耐摩耗層11により覆って形成し、この耐摩耗層11内の導体5(5b)と耐摩耗層11外の電極パッド12を、抵抗層3上に位置する耐腐食金属層10を介して電気的に接続した。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、フォトプリンタやサーマルプリンタ等に搭載されるサーマルヘッドに関する。
【0002】
【従来技術およびその問題点】
図5は、従来構造を有するサーマルヘッドを示す断面図である。図5に示されるサーマルヘッドH’は、例えば、以下の工程により形成されている。
【0003】
先ず、保温層102を有する基板101上に、抵抗層103及び導体105を順番に形成する。次に、フォトリソグラフィ技術を用いて導体パターンを形成し、不要な導体105を除去する。このパターン形成工程では、抵抗層103の表面を露出させる複数の開放部βが形成されることにより導体105がコモン導体105Aと個別導体105Bとに分離され、さらに個別導体105Bは各々に分離される。
【0004】
続いて、コモン導体105A上の一部及び各個別導体105B上の一部にメッキシード膜107A、107Bをそれぞれ形成し、該コモン導体105A上のメッキシード膜107Aの上にコモン厚膜電極108をメッキにより形成する。コモン厚膜電極108を形成したら、コモン導体105A、個別導体105Bの一部、抵抗層103及び保温層102を覆う耐摩耗層111を形成する。この際、耐摩耗層111を形成しない範囲の導体105にはポリイミド樹脂テープを貼って保護し、耐摩耗層111の形成後にポリイミド樹脂テープを剥がす。ポリイミド樹脂テープを剥がした後の導体105の表面には、ポリイミド樹脂テープの粘着剤を除去する洗浄処理を行なう。
【0005】
続いて、耐摩耗層111が形成されていない導体105と耐摩耗層111の間、及びコモン厚膜電極108が形成されている範囲に対応する耐摩耗層111の上面をそれぞれ有機絶縁層113で覆い、各個別導体105B上に形成したメッキシード膜107Bの上に電極パッド112をメッキにより形成する。そして、各電極パッド112と不図示の外部端子とをワイヤー114によりボンディングし、電極パッド112とワイヤー114及びその周辺部を樹脂115で封止する。以上により、図5に示すサーマルヘッドH’が完成する。
【0006】
上記従来の製造工程では、低抵抗及び低コストであることから一般にAl導体膜によって導体105が形成されており、ポリイミド樹脂テープを剥がした後の導体105の表面を洗浄する際には、水を含むとアルカリ性を呈する洗浄剤が用いられている。このため、上記洗浄剤を用いて導体105の表面を洗浄しているときに水分が混入すると、アルカリ溶液が生成されることになり、このアルカリ溶液によって導体105が容易に腐食されてしまうことが問題になっている。導体105の腐食は、断線の要因になる。
【0007】
また完成後のサーマルヘッドH’では、耐摩耗層111の端面と導体105の間に大きな段差γが生じており、段差γ付近には製造過程で欠陥が生じ易い傾向がある。この段差γを含む耐摩耗層111と導体105の間は有機絶縁層113によって覆われているが、段差γでは十分な膜厚を確保することが難しく、段差γ付近に生じている欠陥を完全にカバーしきれないことがある。また、有機絶縁層113自体にピンホールが生じている場合もある。このため、使用環境下において、サーマルヘッドH’が水で濡らされたり、人間の手で直接触れられたりすると、塩素や水が上記欠陥やピンホールを介して導体105まで入り込み、導体105を腐食させてしまう問題があった。
【0008】
さらに従来構造のサーマルヘッドH’では、図6に示すように、有機絶縁層113と電極パッド112の間から導体105Bが露出しており、この露出部分からも腐食が進行する虞がある。この露出部分からの腐食を防止するには、該露出部分を有機絶縁層などで覆う必要があった。
【0009】
【特許文献】
特開平7−32634号公報
特許公報第2839600号
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記問題点に鑑み、製造工程中と完成後の両方において、導体の腐食を防止することができるサーマルヘッドを得ることを目的とする。
【0011】
【発明の概要】
本発明は、導体がすべて耐摩耗層で覆われていれば、製造工程時にも完成後も腐食されないことに着目してなされたものである。
【0012】
すなわち、本発明は、抵抗層と、この抵抗層上に部分的に形成された導体と、この導体及び抵抗層を保護する耐摩耗層と、この耐摩耗層から離間させて設けた前記導体用の電極パッドとを有するサーマルヘッドにおいて、導体はすべて耐摩耗層により覆われていて、この耐摩耗層内の導体と耐摩耗層外の電極パッドは、抵抗層上に形成された耐腐食金属層を介して電気的に接続されていることを特徴としている。
【0013】
耐腐食金属層は、抵抗層上の導体が形成されていない範囲に形成されていて、一端部が耐摩耗層内に位置して導体に接し、他端部が耐摩耗層外に位置して電極パッドに接していることが好ましい。特に、耐摩耗層内に位置する耐腐食金属層の一端部は、導体の端面に面で接していてもよいが、導体との間に隙間を生じさせないように、導体の端面にオーバーレイしていることがより好ましい。
【0014】
耐腐食金属層は、電極パッドのメッキシード膜を兼ねていることが好ましい。すなわち、耐摩耗層外に位置する耐腐食金属層の他端部が電極パッドのメッキシード膜となり、この他端部上に電極パッドが形成されていることが好ましい。このように耐腐食金属層の上に電極パッドを直接形成することができれば、耐腐食金属層の上にメッキシード膜を形成してから電極パッドを形成する場合よりも1層少ないので電極パッドを形成するためのスペースを縮小することができ、サーマルヘッドの高密度化が図れる。
【0015】
耐腐食金属層は、Au膜又はAu合金膜によって形成されていることが好ましい。Au合金膜としては、例えばAuPd膜がある。この場合、電極パッドはAuにより形成される。
【0016】
導体は、低抵抗且つ低コストであることから、Al導体膜により形成されることが実際的である。このため、耐腐食金属層は、少なくとも導体との接合部に、Ti又はCrにより形成された密着層を備えていることが好ましい。
【0017】
耐腐食金属層を構成するAu又はAu合金膜は、サーマルヘッドの熱特性を良好に維持するため、少なくとも150nm以上の膜厚を有していることが好ましい。
【0018】
耐摩耗層と電極パッドの間に位置する耐腐食金属層の表面は、有機絶縁層により覆うことができる。有機絶縁層は、耐腐食金属層に生じたピンホールや欠陥を塞ぐキャップとして機能する。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1及び図2は、本発明の一実施形態によるサーマルヘッドHの構造を示す断面図及び平面図である。サーマルヘッドHは、抵抗層3、導体5、耐摩耗層11、導体用の電極パッド12及び有機絶縁層13を備えている。なお、図2では、図示都合上、図1に示される耐摩耗層11、有機絶縁層13、ワイヤー14及びワイヤー封止樹脂15を省略して示してある。
【0020】
抵抗層3は、図示上方向に一部を突出させたグレーズ保温層(ガラス)2を有するアルミナセラミック基板1の上に全面的に設けられていて、高抵抗化しやすいTa−Si−O、TaSiONb、Ti−Si−O、Cr−Si−O等の高融点金属のサーメット材により、例えば100nm程度の膜厚で形成されている。この抵抗層3において、グレーズ保温層2の凸部上面2aの上に位置する範囲は、通電により発熱する複数の発熱抵抗部3aとなっている。隣接する発熱抵抗部3a間には、図2に示すように、発熱抵抗部3aの抵抗長方向(図示左右方向)に平行な方向に細長く延びるギャップ領域(穴部)6が存在し、ギャップ領域6からはグレーズ保温層2が露出している。
【0021】
各発熱抵抗部3aの表面は、該発熱抵抗部3aの平面的な大きさ(抵抗長L及び抵抗幅W)を定める絶縁バリア層4によって覆われている。絶縁バリア層4は、例えばSiO、SiON、AlSiO、Al等の絶縁性を有する無機酸化物により、約200Å以上2000Å以下の膜厚、例えば800Åで形成されている。この絶縁バリア層4は、ヘッド動作中、各発熱抵抗部3aへの印加電力が増大したときに該印加電力によるアニール効果(発熱抵抗部3aを構成する元素の結晶化)を遅らせ、印加電力に対するサーマルヘッドの抵抗値変化を抑制する機能を有している。また絶縁バリア層4は、発熱抵抗部3aの表面酸化を防止する酸化防止層、製造工程時にエッチングダメージから発熱抵抗部3aを保護する保護層としても機能する。
【0022】
導体5は、抵抗層3の上に部分的に形成されていて、絶縁バリア層4の表面を露出させる開放部αを複数備えている。別言すれば、導体5は、開放部αを挟んで、全ての発熱抵抗部3aに導通する1つのコモン導体5aと、各発熱抵抗部3aに独立して導通する複数の個別導体5bとに分かれており、発熱抵抗部3aの抵抗長方向の両端部にそれぞれ接している。隣接する個別導体5b間にはギャップ領域(穴部)6が設けられており、ギャップ領域6からはグレーズ保温層2が露出している。各個別電極5bの幅寸法はギャップ領域6により規制される。本実施形態では、導体5として、約300nmの膜厚で形成されたAl導体膜を用いている。
【0023】
コモン導体5aの上には、コモン導体5aでの電圧降下(コモンドロップ)を抑制するため、コモン導体5aの抵抗値を低減させるメッキシード膜7及びコモン厚膜電極8が備えられている。メッキシード膜7は、例えばAu等により形成されている。コモン厚膜電極8は、例えば、メッキシード膜7上にメッキにより形成された厚いCu膜と、キャップ機能を有する薄いNi膜との2層構造により形成されている。
【0024】
耐摩耗層11は、絶縁バリア層4、導体5及びコモン厚膜電極8をすべて覆うことにより、ヘッド動作時に生じる摩擦から抵抗層3、絶縁バリア層4、導体5及びコモン厚膜電極8を保護する保護膜である。この耐摩耗層11は、例えばSiAlONやTa等の耐摩耗性材料により、約6μmの膜厚で形成されている。
【0025】
電極パッド12は、各個別導体5bと不図示の外部端子とをワイヤーボンディング接続するための電極パッド部であり、耐摩耗層11から離間させた位置に設けられている。この電極パッド12は、各個別導体5b毎に独立して備えられ、Auを用いて例えば1.5μm程度の膜厚で形成されている。電極パッド12と該電極パッド12に半田付けされたワイヤー14は、ワイヤー封止樹脂15によって保護されている。
【0026】
有機絶縁層13は、耐摩耗層11と電極パッド12の間に挟まれた範囲と、コモン厚膜電極8が形成されている範囲に対応する耐摩耗層11の上面位置とに設けられている。この有機絶縁層13は、例えばレジスト材料により例えば1μm程度の膜厚で形成され、該有機絶縁層13の下層に生じているピンホールや欠陥などを塞いでいる。
【0027】
不図示であるが、サーマルヘッドHにはさらに、発熱抵抗部3aを通電制御するための駆動ICやPCB(Print Circuit Board)等も備えられている。このサーマルヘッドHは、フォトプリンタやサーマルプリンタ等に搭載され、発熱抵抗部3aの発する熱を感熱紙またはインクリボンに与えることで印刷を行なう。
【0028】
以上のサーマルヘッドHにおいて、導体5はすべて耐摩耗層11に被覆されていて、耐摩耗層11内の導体5(個別導体5b)と耐摩耗層11外の各電極パッド12は、耐腐食金属層10を介して電気的に接続されている。図3に示すように電極パッド12と有機絶縁層13の間には、導体5は存在せず、耐腐食金属層10が露出している。このように導体5がすべて耐摩耗層11に覆われていて露出しなければ、サーマルヘッドHが水で濡らされたり人間の手で直接触れられたりしても、塩素や水が導体5に付着することがない。すなわち、導体5は腐食されない。耐摩耗層11外では、導体5に導通する耐腐食金属層10が存在しているので、導体5を腐食させることなく、導体5と電極パッド12を容易に導通接続させることができる。
【0029】
また本サーマルヘッドHでは、図6に示す従来構造と比較して、導体105Bの形成されている面積が省かれるので、電極パッド12を形成するためのスペースが従来構造よりも小さくなり、ヘッドの高密度化が図れる。また本サーマルヘッドHでは、導体5が全く露出しないことから、従来の、露出している導体を有機絶縁層等で覆う処理も不要になる。
【0030】
耐腐食金属層10は、抵抗層3上の導体5が形成されていない範囲に形成されており、その一端部が耐摩耗層11内で各個別導体5bの端面にオーバーレイして個別導体5bと密接している。一方、耐腐食金属層10の他端部は、耐摩耗層11外で電極パッド12の直下に位置し、電極パッド12のメッキシード膜として機能している。また耐腐食金属層10は、耐摩耗層11と電極パッド12の間に挟まれた範囲で、有機絶縁層13により覆われている。
【0031】
耐腐食金属層10は、Au膜又はAu合金膜により形成することができ、酸やアルカリに晒されても腐食されにくい。本実施形態では、導体5がAl導体膜により形成されているため、導体5中のAlの拡散を防止し、且つ、導体5とAu膜又はAu合金膜とを良好に密着させる密着層が耐腐食金属層10の一部として備えられている。すなわち、本実施形態の耐腐食金属層10は、Tiからなる密着層10aとAu層10bによる2層構造で形成されている。耐腐食金属層10中のAu膜又はAu合金膜は、ヘッドの熱特性を良好に維持できるように少なくとも150nm以上の膜厚で形成されていることが好ましく、本実施形態ではTiからなる密着層10aが約45nm程度の膜厚、Au層10bが約200nm程度の膜厚で形成され、全体として約245nm程度の膜厚を有している。密着層としては、Tiのほかに、Crを用いることができる。
【0032】
次に、図1及び図2に示すサーマルヘッドHの製造方法の一実施形態について説明する。ただし、各層の材料及び膜厚は、図1に示された完成状態のサーマルヘッドHと同一であるため、説明を省略する。
【0033】
先ず、図1の上方向に一部を突出させたグレーズ保温層2を有するアルミナセラミック基板1を準備する。次に、グレーズ保温層2の上に全面的に、抵抗層3と絶縁バリア層4を同一真空中で連続成膜した後、アニール処理を施す。このアニール処理は、予め大きい熱的負荷を加えて抵抗層3の抵抗値を安定させる加速処理である。
【0034】
アニール処理後は、形成すべき発熱抵抗部の抵抗長Lを定める第1レジスト層を絶縁バリア層4の上に形成し、第1レジスト層で覆われていない部分の絶縁バリア層4を例えばRIE(反応性イオンエッチング)により除去する。これにより、絶縁バリア層4は、グレーズ保温層2の凸部上面2a上に位置する範囲にのみ残る。そして、第1レジスト層を残したままの状態で抵抗膜4の上に導体5を成膜する。導体5の成膜後は、第1レジスト層を除去する。
【0035】
続いて、フォトリソグラフィ技術を用いて導体パターンを形成し、不要な導体を除去する。このパターニング工程では、絶縁バリア層4の表面を露出させる複数の開放部αが形成され、この開放部αにより導体5がコモン導体5aと個別導体5bとに分離される。導体5は、開放部αを形成したときに同時に長さ寸法(図1の左右方向の寸法)が規制され、抵抗層3の上には導体5が形成されている範囲と形成されていない範囲とが存在する。さらにこのパターニング工程では、形成すべき発熱抵抗部の抵抗幅Wを定めるギャップ領域6が形成され、つながっていた絶縁バリア層4及び個別導体5bが個々に離される。このギャップ領域6からはグレーズ保温層2が露出する。抵抗層3のうち絶縁バリア層4に覆われた各領域が発熱抵抗部3aとなり、発熱抵抗部3aの平面的な大きさ(抵抗長L及び抵抗幅W)は、絶縁バリア層4の平面的な大きさによって規定される。
【0036】
導体パターンを形成したら、リフトオフ法により、露出している抵抗層3の上に(抵抗層3上の導体5が形成されていない範囲に)、Tiからなる密着層10aとAu層10bとを積層して耐腐食金属層10を形成する。このとき、耐腐食金属層10の一端部を個別導体5bの端面にオーバーレイさせ、耐腐食金属層10と個別導体5bを密接させる。耐腐食金属層10が形成された状態では、基板表面に抵抗層3は露出しない。
【0037】
続いて、リフトオフ法により、コモン導体5aの特定範囲上にメッキシード膜7を形成し、このメッキシード膜7上にコモン厚膜電極8をメッキにより形成する。
【0038】
コモン厚膜電極8を形成したら、次工程で形成する耐摩耗層を形成しない範囲、すなわち、個別導体5bにオーバーレイしている一端部側を除く耐腐食金属層10上に、例えばポリイミド樹脂テープを貼って保護しておく。そして、形成する耐摩耗層との密着性を高めるため、逆スパッタ等により絶縁バリア層4、導体5、コモン厚膜電極8及び耐腐食金属層10の一端部の新たな膜面を露出させた後、ポリイミド樹脂テープで覆われていない耐腐食金属層10の一端部側、導体5、絶縁バリア層4、コモン厚膜電極8及びグレーズ保温層2を耐摩耗層11によって覆う。耐摩耗層11の形成には、バイアススパッタ法を用いることができる。
【0039】
耐摩耗層11の形成後は、ポリイミド樹脂テープを剥がし、基板表面に耐腐食金属層10を露出させる。このとき、基板表面には耐摩耗層11と耐腐食金属層10のみが露出する。
【0040】
続いて、ポリイミド樹脂テープを剥がした後の耐腐食金属層10の表面を洗浄する。この洗浄工程では、耐腐食金属層10に付着したポリイミド樹脂テープの粘着剤を除去しやすいように、洗浄剤を用いる。この洗浄剤は、水に溶けるとアルカリ溶液になる性質を有しているが、耐腐食金属層10は酸にもアルカリにも腐食されにくく、また、導体5は耐摩耗層11で覆われていて洗浄剤に触れないので腐食されることがない。本実施形態では、耐腐食金属層10が耐摩耗層11の内部まで延びて導体5に接しているので、耐摩耗層11の端面に欠陥が生じていても洗浄剤が耐摩耗層11内の導体5まで達することがなく、導体5の腐食を防止することができる。
【0041】
続いて、電極パッド形成エリア(他端部)を除く露出している耐腐食金属層10上から耐摩耗層11の端面にかけて、有機絶縁層13を形成する。同時に、コモン厚膜電極8が形成されている範囲に対応する耐摩耗層11の上面位置にも有機絶縁層13を形成する。有機絶縁層13は、耐腐食金属層10及び耐摩耗層11に生じているピンホールや欠陥を念のために塞ぐものである。この有機絶縁層13は形成してもしなくてもよい。
【0042】
有機絶縁層13を形成したら、該有機絶縁層13に覆われていない耐腐食金属層10の上に、該耐腐食金属層10をメッキシード膜としてメッキにより電極パッド12を形成する。電極パッド12の形成後は、各電極パッド12と不図示の外部接続端子とをワイヤー14によりボンディング接続し、これら電極パッド12及びワイヤー14をワイヤー封止樹脂15によって覆う。
【0043】
以上により、図1及び図2に示すサーマルヘッドHを得ることができる。
【0044】
以上のように本実施形態では、導体5がすべて耐摩耗層11で覆われ、耐摩耗層11の外には酸にもアルカリにも腐食されにくい耐腐食金属層10が備えられていて、この耐腐食金属層10によって耐摩耗層11内の導体5(個別導体5b)と耐摩耗層11外の電極パッド12が電気的に接続されている。このように導体5が耐摩耗層11外に露出していなければ、完成後にサーマルヘッドHが水で濡らされたり人間の手で直接触れられたりしても、水分や塩素などが耐摩耗層11内の導体5にまで入り込むことがないので、導体5の腐食を防止することができる。
【0045】
また本実施形態では、製造工程において、耐摩耗層11を形成する前にポリイミド樹脂テープで覆われるのは耐腐食金属層10であるため、ポリイミド樹脂テープの粘着剤を除去するために用いる洗浄剤によっても、耐腐食金属層10が腐食されることがなく、延いては導体5が腐食されることもない。
【0046】
さらに本実施形態では、耐腐食金属層10が、その一端部を耐摩耗層11の内部で導体5の端面にオーバーレイさせて形成されているので、導体5と耐腐食金属層10の間に隙間が生じることなく、この隙間から導体5に洗浄剤が入り込む虞もない。また、導体5と耐腐食金属層10を確実に接続させることができる。なお、耐腐食金属層10の一端部は、導体5の端面にオーバーレイせずに該端面で接するように形成することも可能である。
【0047】
また本実施形態では、耐腐食金属層10が電極パッド12のメッキシード膜を兼ねているので、電極パッド12と耐腐食金属層10の間に別のメッキシード層を設ける必要がなく、図5及び図6に示す従来構造よりも電極パッド12を形成するためのスペースを縮小することができる。つまり、サーマルヘッドHの高密度化に貢献できる。
【0048】
以上の本実施形態では、Tiからなる密着層10aとAu層10bとの2層構造で耐腐食金属層10を形成してあるが、密着層は、少なくとも耐腐食金属層10と導体5の接合部に形成されていればよい。例えば、図4に示すように、導体5との接合部のみを密着層10a’とAu層(又はAu合金層)10b’による2層構造とし、該接合部以外ではAu層(又はAu合金層)10b’による単層構造とした耐腐食金属層10’を備えることができる。
【0049】
上記本実施形態では、一部を突出させたグレーズ保温層2を基板全面に有するサーマルヘッドHについて説明したが、本発明は、平坦なグレーズ保温層を基板全面に有する全面グレーズタイプにも、また、部分グレーズやリアルエッジ、ダブルグレーズ、DOS等の他タイプにも適用可能である。また本実施形態では、基板としてアルミナセラミック基板1を用いているが、アルミナセラミック基板1に替えてシリコン基板を用いることも可能である。さらに本発明は、シリアルヘッドにもラインヘッドにも適用可能である。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、導体はすべて耐摩耗層に被覆されていて耐摩耗層外に露出せず、耐摩耗層内の導体と耐摩耗層外の電極パッドとは耐腐食金属層により電気的に接続されているので、サーマルヘッドが水で濡らされたり人間の手で直接触れられたりしても塩素や水が導体に付着することがなく、導体の腐食を防止することができる。また、製造時に用いられる洗浄剤によっても耐腐食金属層は腐食されず、導体は洗浄剤に触れることがないので、導体の腐食を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態によるサーマルヘッドを示す断面図である。
【図2】図1のサーマルヘッド(保護層を形成する前の状態)を示す平面図である。
【図3】図1に示すサーマルヘッドの電極パッド付近を示す拡大平面図である。
【図4】図1とは別の態様で形成された耐腐食金属層を示す断面図である。
【図5】従来構造によるサーマルヘッドを示す断面図である。
【図6】図5のサーマルヘッドの電極パッド付近を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
H サーマルヘッド
1 アルミナセラミック基板
2 グレーズ保温層
2a 凸部上面
3 抵抗層
3a 発熱抵抗部
4 絶縁バリア層
5 導体
5a コモン導体
5b 個別導体
6 ギャップ領域
7 メッキシード膜
8 コモン厚膜電極
10 耐腐食金属層
10a 密着層
10b Au層
11 耐摩耗層
12 電極パッド
13 有機絶縁層
14 ワイヤー
15 ワイヤー封子樹脂
α 開放部

Claims (8)

  1. 抵抗層と、この抵抗層上に部分的に形成された導体と、この導体及び抵抗層を保護する耐摩耗層と、この耐摩耗層から離間させて設けた前記導体用の電極パッドとを有するサーマルヘッドにおいて、
    前記導体は、すべて前記耐摩耗層により覆われていて、
    この耐摩耗層内の導体と耐摩耗層外の前記電極パッドは、前記抵抗層上に形成された耐腐食金属層を介して電気的に接続されていることを特徴とするサーマルヘッド。
  2. 請求項1記載のサーマルヘッドにおいて、前記耐腐食金属層は、前記抵抗層上の前記導体が形成されていない範囲に形成されていて、一端部が前記耐摩耗層内に位置して前記導体に接し、他端部が前記耐摩耗層外に位置して前記電極パッドに接しているサーマルヘッド。
  3. 請求項2記載のサーマルヘッドにおいて、前記耐摩耗層内に位置する前記耐腐食金属層の一端部は、前記導体の端面にオーバーレイしているサーマルヘッド。
  4. 請求項2又は3記載のサーマルヘッドにおいて、前記耐摩耗層外に位置する前記耐腐食金属層の他端部は、前記電極パッドのメッキシード膜であり、この他端部上に前記電極パッドが形成されているサーマルヘッド。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のサーマルヘッドにおいて、前記耐腐食金属層はAu膜又はAu合金膜によって形成され、前記電極パッドはAuにより形成されているサーマルヘッド。
  6. 請求項5記載のサーマルヘッドにおいて、前記導体はAl導体膜により形成されていて、前記耐腐食金属層は、少なくとも前記導体との接合部に、Ti又はCrにより形成された密着層を備えているサーマルヘッド。
  7. 請求項1ないし6のいずれか一項に記載のサーマルヘッドにおいて、前記耐腐食金属層を構成するAu又はAu合金膜は、少なくとも150nm以上の膜厚を有しているサーマルヘッド。
  8. 請求項1ないし7のいずれか一項に記載のサーマルヘッドにおいて、前記耐摩耗層と前記電極パッドの間に位置する前記耐腐食金属層の表面は、有機絶縁層により覆われているサーマルヘッド。
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