JP2004351704A - 液体噴射装置 - Google Patents

液体噴射装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004351704A
JP2004351704A JP2003150859A JP2003150859A JP2004351704A JP 2004351704 A JP2004351704 A JP 2004351704A JP 2003150859 A JP2003150859 A JP 2003150859A JP 2003150859 A JP2003150859 A JP 2003150859A JP 2004351704 A JP2004351704 A JP 2004351704A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electromotive force
back electromotive
liquid
signal
period
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2003150859A
Other languages
English (en)
Inventor
Tomohiro Sayama
山 朋 裕 狭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2003150859A priority Critical patent/JP2004351704A/ja
Publication of JP2004351704A publication Critical patent/JP2004351704A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Coating Apparatus (AREA)
  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

【課題】十分に高精度に、とりわけ極めて迅速に、圧力発生室内の液体の固有周期を計測すると共に、当該固有周期に基づいて液体噴射作業用の駆動信号を修正することができる液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、ノズル開口13と、圧力発生室16と、圧力発生室16内の液体の圧力を変化させてノズル開口13から液体滴を吐出させる圧電部材2と、を有するヘッド部材1を備えた液体噴射装置である。本発明の液体噴射装置は、圧電部材2に固有周期測定用の電気駆動信号を供給する電気駆動手段30と、当該電気駆動信号が供給された後の圧電部材2の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段31と、逆起電力周期計測手段31によって計測された逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段46と、を備えている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ノズル開口と、ノズル開口に連通すると共に液体を収容可能な圧力発生室と、圧力発生室に液体を供給する液体供給路と、圧力発生室を変形させてノズル開口から液体滴を吐出させる圧電部材と、を有するヘッド部材にTcID自動補正を備えた液体噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ノズル開口と、ノズル開口に連通すると共に液体を収容可能な圧力発生室と、圧力発生室に液体を供給する液体供給路と、圧力発生室を変形させてノズル開口から液体滴を吐出させる圧電部材と、を有するヘッド部材が、種々の用途に用いられている。
【0003】
例えば、液体滴としてインク滴を吐出するヘッド部材が、インクジェット式記録装置の記録ヘッドとして、記録紙等への記録のために用いられている。
【0004】
例えば、圧電振動子を用いた記録ヘッドでは、圧力室を部分的に区画する弾性板を圧電振動子で変形させることで圧力室(圧力発生室)内のインク圧力を変動させ、このインク圧力の変動によってノズル開口からインク滴を吐出させる。
【0005】
この種の記録ヘッドでは、インク圧力の変動に伴って圧力室内のインクには圧力室内が恰も音響管であるかのように振る舞う圧力振動が励起される。例えば、圧電振動子を用いた記録ヘッドでは、主に弾性板の厚さや面積、圧力室の形状、インクの圧縮性によって定まる固有振動周期の圧力振動が励起される。
【0006】
そして、この種の記録ヘッドにおいて、インク滴の吐出タイミングは、インクの固有振動周期に基づいて設定され、インク滴の吐出を効率良く行えるように構成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この種の記録ヘッドは、μm(マイクロメートル)レベルの極めて微細な加工や組み立てを行っている。このため、弾性板の厚さや面積、圧力室の形状、ノズル開口の大きさ等が記録ヘッド毎にばらつき、圧力室内のインクの固有振動周期もばらついてしまう。従って、全ての記録ヘッドを同じ波形形状の駆動信号で駆動すると、固有振動周期のばらつきに応じてインク滴の吐出特性もばらついてしまう。
【0008】
例えば、固有振動周期が設計値(公差)からずれると、インク滴吐出後におけるメニスカス、即ち、ノズル開口で露出しているインクの自由表面の振動の抑制が不十分になって安定しない。また、圧電部材の作動によってインクに加えられた外力がインク内の圧力振動によって打ち消されたりもする。このため、続いて吐出されるインク滴の量(つまり、インク量)やインク滴の飛行速度(つまり、インク速度)が記録ヘッド毎にばらついてしまう。その結果、記録ヘッド毎に記録画像の画質がばらついてしまうという問題が生じる。
【0009】
そこで、組立後の記録ヘッドについて圧力室内のインクの固有振動周期を測定し、測定した固有振動周期に応じて駆動信号の波形形状を決定することで画質の均一化を図ることが有効である。
【0010】
特開2002−154212号公報は、評価信号における励振要素から吐出要素までの時間間隔を変えてインク量またはインク速度の測定を複数回行い、励振要素から吐出要素までの時間間隔とインク量またはインク速度との相関関係から固有振動周期を判定する方法を開示している。
【0011】
しかしながら、特開2002−154212号公報に開示された技術では、インク量またはインク速度の測定を複数回行う必要があるため、固有振動周期の判定に時間を要する。
【0012】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、十分に高精度に、とりわけ極めて迅速に、圧力発生室内の液体の固有周期を計測すると共に、当該固有周期に基づいて液体噴射作業用の駆動信号を修正することができる液体噴射装置を提供することを目的とする。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−154212号公報
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、ノズル開口と、該ノズル開口に連通すると共に液体を収容可能な圧力発生室と、該圧力発生室に液体を供給する液体供給路と、前記圧力発生室を変形させて前記ノズル開口から液体滴を吐出させる圧電部材と、を有するヘッド部材と、固有周期測定用の電気駆動信号を圧電部材に供給する電気駆動手段と、前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の前記圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、該逆起電力周期計測手段によって計測された前記逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置である。
【0015】
本発明によれば、圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定することによって圧力発生室内の液体の固有周期に対応する情報が求められるため、原理的に圧電部材への電気駆動信号の1回の供給で、すなわち、極めて迅速に、圧力発生室内の液体の固有周期に対応する情報を導出することができる。また、本発明によれば、信号修正手段が、計測された逆起電力信号の周期(圧力発生室内の液体の固有周期に対応する)に基づいて液体噴射作業用の駆動信号を修正するため、より好適に液体噴射作業用の駆動信号を修正することができる。
【0016】
あるいは、本発明は、複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材と、固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル開口毎に修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置である。
【0017】
本発明によれば、各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定することによって各圧力発生室内の液体の固有周期に対応する情報が求められるため、原理的に各圧電部材への電気駆動信号の1回の供給で、すなわち、極めて迅速に、各圧力発生室内の液体の固有周期に対応する情報を導出することができる。また、本発明によれば、信号修正手段が、計測された各逆起電力信号の周期(各圧力発生室内の液体の固有周期に対応する)に基づいて液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル開口毎に修正するため、より好適に液体噴射作業用の駆動信号を修正することができる。
【0018】
あるいは、本発明は、複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材と、固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備え、複数のノズル開口は、複数のノズル列を形成しており、信号修正手段は、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル列毎に修正するようになっていることを特徴とする液体噴射装置である。
【0019】
本発明によれば、各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定することによって各圧力発生室内の液体の固有周期に対応する情報が求められるため、各圧電部材への電気駆動信号の1回の供給で、すなわち、極めて迅速に、各圧力発生室内の液体の固有周期に対応する情報を導出することができる。また、本発明によれば、信号修正手段が、計測された各逆起電力信号の周期(各圧力発生室内の液体の固有周期に対応する)に基づいて液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル列毎に修正するため、より好適に液体噴射作業用の駆動信号を修正することができる。
【0020】
一般に、ヘッド部材の製造上の理由等により、液体滴吐出の特性は各ノズル列毎に一致する傾向にある。従って、各ノズル列毎に液体噴射作業用の駆動信号を修正することは、より簡易に液体滴の吐出制御を実施するために有効である。
【0021】
例えば、同一のノズル列を形成するノズル開口は、同一種類の液体滴を吐出するようになっている。同一種類の液体滴とは、例えば、同一色のインク滴である。
【0022】
また、例えば、逆起電力周期測定手段は、圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号から、当該逆起電力信号の隣接する極大値(波形の山)または隣接する極小値(波形の谷)を抽出するピーク値抽出手段と、ピーク値抽出手段により抽出された前記逆起電力信号の隣接する極大値間または隣接する極小値間の間隔を逆起電力信号の周期として把握するピーク間隔把握手段と、を有し得る。
【0023】
この場合、逆起電力信号の周期が直接的に測定され得る。
【0024】
ピーク値抽出手段及びピーク間隔把握手段は、例えばオシロスコープと専用の信号処理回路とによって構成され得る。
【0025】
あるいば、逆起電力周期測定手段は、圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号を、適宜のサンプリング周期で2値化する2値化手段と、2値化手段により2値化されたデータ列の繰り返し周期を逆起電力信号の周期として把握するデータ列周期把握手段と、を有し得る。
【0026】
この場合、逆起電力信号の周期の測定に、デジタル信号回路が利用できる。
【0027】
圧電部材の残留振動は、圧電部材がたわみ型の圧電振動子を有する場合に顕著に現れる。逆に言えば、圧電部材がたわみ型の圧電振動子を有する場合に、本発明は特に有効である。
【0028】
なお、電気駆動手段が圧電部材に供給する電気駆動信号は、例えば、圧力発生室を膨張させて内部を減圧するような電圧勾配を圧電部材に供給する第1傾斜電圧部と、当該減圧状態を維持するような電圧を圧電部材に供給する第1電圧維持部と、圧力発生室を収縮させて内部を加圧するような電圧勾配を圧電部材に供給する第2傾斜電圧部と、当該加圧状態を維持するような電圧を圧電部材に供給する第2電圧維持部と、圧力発生室を元の状態に戻すような電圧勾配を圧電部材に供給する第3傾斜電圧部と、を有し得る。
【0029】
また、本発明は、ノズル開口と、前記ノズル開口に連通すると共に液体を収容可能な圧力発生室と、該圧力発生室に液体を供給する液体供給路と、前記圧力発生室を変形させてノズル開口から液体滴を吐出させる圧電部材と、を有するヘッド部材を備えた液体噴射装置を制御する制御装置であって、固有周期測定用の電気駆動信号を前記圧電部材に供給する電気駆動手段と、前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の前記圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、該逆起電力周期計測手段によって計測された前記逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする制御装置である。
【0030】
あるいは、本発明は、複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材を備えた液体噴射装置を制御する制御装置であって、固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル開口毎に修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする制御装置である。
【0031】
あるいは、本発明は、複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材を備え、複数のノズル開口は複数のノズル列を形成している液体噴射装置を制御する制御装置であって、固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備え、前記信号修正手段は、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル列毎に修正するようになっていることを特徴とする制御装置である。
【0032】
前記の制御装置あるいは制御装置の各要素手段は、コンピュータシステムによって実現され得る。
【0033】
また、コンピュータシステムに各装置または各手段を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本件の保護対象である。
【0034】
ここで、記録媒体とは、フロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、各種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0036】
図1は、本実施の形態の液体噴射装置であるインクジェットプリンタ1の概略斜視図である。インクジェットプリンタ1において、キャリッジ2が、ガイド部材3に移動可能に取り付けられている。このキャリッジ2は、駆動プーリ4と遊転プーリ5との間に掛け渡されたタイミングベルト6に接続されている。駆動プーリ4は、パルスモータ7の回転軸に接合されている。以上のような構成により、キャリッジ2は、パルスモータ7の駆動によって、記録紙8の幅方向に移動(主走査)されるようになっている。
【0037】
キャリッジ2における記録紙8との対向面(下面)には、記録ヘッド10(ヘッド部材)が取り付けられている。
【0038】
記録ヘッド10は、図2に示すように、インクカートリッジ11(図1参照)からのインクが供給されるインク室12と、複数(例えば64個)のノズル開口13が副走査方向に列設されたノズルプレート14と、ノズル開口13のそれぞれに対応して複数設けられた圧力室16と、を主に備える。圧力室16は、圧電振動子15の変形によって膨張・収縮するようになっている。
【0039】
インク室12と圧力室16とは、インク供給口18及び供給側連通孔17を介して連通されている。また、圧力室16とノズル開口13とは、第1ノズル連通孔19及び第2ノズル連通孔20を介して連通されている。即ち、インク室12から圧力室16を通ってノズル開口13に至る一連のインク流路が、ノズル開口13毎に形成されている。
【0040】
本実施の形態におけるノズルプレート14は、撥インク処理ノズルプレート14として構成してある。この撥インク処理ノズルプレート14は、均一に形成された撥インク性皮膜をノズルプレート基板の表面上に担持させたものである。撥インク処理ノズルプレート14は、貫通孔として設けられた複数個のノズル開口13を含む。
【0041】
ノズル開口13は、記録紙8と対向するノズルプレート14の外側の表面に、比較的小さい口径で開口している一方、第2ノズル連通孔20側であるノズルプレートの裏側に、比較的大きい口径で開口している。このため、ノズル開口13の内側壁面は、漏斗状、あるいは、コーン状となる。なお、前記の撥インク性皮膜は、ノズルプレート14の少なくとも外側表面に形成される。
【0042】
上記の圧電振動子15は、所謂たわみ振動モードの圧電振動子15である。たわみ振動モードの圧電振動子15を用いると、充電により圧電振動子15が電界と直交する方向に縮んで圧力室16が収縮し、充電された圧電振動子15を放電することにより、圧電振動子15が電界と直交する方向に伸長して圧力室16が膨張する。
【0043】
すなわち、記録ヘッド10では、圧電振動子15に対する充放電に伴って、対応する圧力室16の容量が変化する。このような圧力室16の圧力変動を利用して、ノズル開口13からインク滴を吐出させることができる。
【0044】
さて、記録ヘッド10の圧力室16内のインク圧力の固有振動周期Tcは、記録ヘッド10の組立後に設計値通りに実現されていない場合もあるし、また、経年変化等を生じる場合もある。
【0045】
そこで、本実施の形態では、記録ヘッド10の製造後及びその後の適宜のタイミング毎に、例えば記録ヘッド10の製造後10日が経過する毎に、あるいは、インク滴吐出回数が10000回を超える毎に、記録ヘッド10の圧力室16内のインク圧力の固有振動周期Tcが測定され、それに応じて圧電振動子15に供給される駆動信号が修正(調整)される。
【0046】
本実施の形態における駆動信号の修正方法は、記録ヘッド10の圧力室16内のインク圧力の固有振動周期Tcを測定する測定工程と、測定工程で得られた固有振動周期Tcに基づき、測定後の記録ヘッド10の状態をランク分けするランク分け工程と、を有している。
【0047】
本実施形態のランク分け工程では、固有振動周期Tcが設計値通りであるのか、設計値よりも短いのか、設計値よりも長いのかという観点に基づいて、記録ヘッド10を3段階のTcランクに分類する。
【0048】
以下、各工程について説明する。
【0049】
測定工程は、図3に示すように、電気駆動手段の一種である評価パルス発生回路30と、逆起電力周期測定手段の一種である逆起電力周期測定回路31及び演算回路32とにより行われる。本実施形態では、評価パルス発生回路30、逆起電力周期測定回路31及び演算回路32は、いずれもインクジェット記録装置(液体噴射装置の一種)に搭載されたプリンタコントローラ41(後述)によって構成されている。例えばフラッシング制御時において評価パルス発生回路30と記録ヘッド10とが電気的に接続され、評価パルス発生回路30が発生した評価パルスTP1(評価信号の一種)が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15が変形されて、記録ヘッド10からインク滴が吐出される。そして、圧電振動子15の前記変形後の残留振動に基づく逆起電力信号が逆起電力周期測定回路31に取り込まれ、当該逆起電力信号の周期が測定される。演算回路32は、測定された逆起電力信号の周期に基づいて、圧力室16内のインクの固有振動周期Tcを導出する。この場合、演算回路32は、逆起電力信号の周期=固有振動周期Tcとして固有振動周期Tcを導出する。
【0050】
評価パルス発生回路30は、例えば、図4に示す評価パルスTP1(電気駆動信号の一種)を発生する。この評価パルスTP1は、基準電位としての中間電位Vmから最大電位VLまで一定勾配で電位を下降させる励振要素P1と、励振要素P1に続いて発生されて最低電位VLを維持する第1ホールド要素P2と、第1ホールド要素P2に続いて発生されて最低電位VLから最大電位Vhまで一定勾配で電位を上昇させ、これによりノズル開口13からインク滴を吐出させる吐出要素P3と、吐出要素P3に続いて発生されて最大電位Vhを維持する第2ホールド要素P4と、最大電位Vhから中間電位Vmまで一定勾配で電位を下降させる制振要素P5とから構成される。
【0051】
励振要素P1は、圧力室16内のインクに圧力振動を励起させる要素である。この励振要素P1が圧電振動子15に供給されると、つまり、励振要素P1を供給し、最低電位VLを維持すると、圧力室16内のインク圧力は、図5に示すように変動する。即ち、励振要素P1の供給により圧力室16が膨張されてインク圧力は定常状態よりも低くなる。その後、ダイヤフラム部を構成する樹脂フィルム23の反動等によってインク圧力は定常状態よりも高くなり、その後、インク圧力は定常状態よりも低くなる。即ち、この励振要素P1の供給によって圧力室16内のインクには、上記した固有振動周期Tcの圧力振動が励起される。
【0052】
この励振要素P1の発生時間Pwd1、つまり、圧電振動子15への供給時間は、固有振動周期Tcの圧力振動を励起させ得る時間に設定される。そして、圧力振動を効率よく励起させるという目的からすれば、この時間Pwd1は、圧力室16内におけるインクの固有振動周期Tcの設計値以下に設定されることが好ましく、設計値の1/2以下に設定されるのがより好ましい。
【0053】
吐出要素P3は、圧力室16を収縮させることでインクを加圧して、インク滴をノズル開口13から吐出させる要素である。この吐出要素P3の発生時間Pwc1は、インク滴を吐出させるために必要な圧力が得られる時間に設定される。この時間Pwc1は、好ましくは、固有振動周期Tcの設計値の1/2以下に設定される。
【0054】
第1ホールド要素P2は、吐出要素P3の供給開始タイミング、言い換えれば励振要素P1の終端から吐出要素P3の始端までの時間間隔を規定する要素である。本実施形態では、発生時間Pwh1を基準となる第1標準時間に設定した第1評価パルスが用いられる。
【0055】
ここで、上記の第1標準時間は、組み立て後の記録ヘッド10が設計値通りの固有振動周期Tcを有していた場合に、最も吐出インク量が少なくなる時間に設定される。例えば、第1標準時間は、励振要素P1の発生時間Pwd1との和が固有振動周期Tcの設計値における±10%の範囲内に入る時間に設定される。
【0056】
具体的に説明すると、固有振動周期Tcの設計値が約8.4μs(マイクロ秒)であり、励振要素P1の発生時間Pwd1が4.2μsの場合には、図6に示すように、第1標準時間(M)が4.2μsとされる。
【0057】
そして、測定工程では、上記の如く定めた評価パルスTP1を圧電振動子15に供給する。このような評価パルスTP1が圧電振動子15に供給されると、励振要素P1の供給に伴って圧力室16が膨張し、圧力室16内のインクに圧力振動が励起される。続いて、圧力室16の膨張状態が第1ホールド要素P2の供給時間に亘って維持され、吐出要素P3の供給に伴って圧力室16が収縮し、ノズル開口13からインク滴が吐出される。
【0058】
また、逆起電力周期測定回路31は、図6に示すように、圧電振動子15の残留振動に基づく逆起電力信号から、当該逆起電力信号の隣接する極大値(波形の山)または隣接する極小値(波形の谷)を抽出するピーク値抽出回路31aと、ピーク値抽出回路31aにより抽出された前記逆起電力信号の隣接する極大値間または隣接する極小値間の間隔を逆起電力信号の周期として把握するピーク間隔把握回路31bと、を有する。ここで、ピーク値抽出回路31aとピーク間隔把握回路31bとは、オシロスコープを含む専用の信号処理回路で構成されている。この場合、逆起電力信号の周期が直接的に測定され得る。
【0059】
なお、ピーク間隔把握回路31bは、隣接する極大値間の間隔または隣接する極小値間の間隔を、複数の間隔データの平均値として取得することが好ましい。この場合、測定精度が向上する。
【0060】
あるいは、逆起電力周期測定回路31は、図7に示すように、圧電振動子15の残留振動に基づく逆起電力信号を、適宜のサンプリング周期で2値化する2値化回路31cと、2値化回路31cにより2値化されたデータ列の繰り返し周期を逆起電力信号の周期として把握するデータ列周期把握回路31dと、から構成されてもよい。この場合、逆起電力信号の周期の測定に、デジタル信号回路が利用できる。
【0061】
次に、ランク分け工程では、測定工程における固有周期の導出結果に基づき、その時の記録ヘッド10のTc状態を3段階のTcランクに分類する。即ち、図8に示すように、固有振動周期Tcが設計値通りである場合には標準(def)ランクに分類してTcランクID=0を付与する。また、固有振動周期Tcが設計値より短い場合にはTcminランクに分類してTcランクID=1を付与し、固有振動周期Tcが設計値より長い場合にはTcmaxランクに分類してTcランクID=2を付与する。
【0062】
そして、本実施形態では、固有振動周期Tcの設計値が約8.4μsであるので、図9に示すように、圧力室16内のインクの固有振動周期Tcが7.6μs以上9.2μs以下である記録ヘッド10の状態が標準ランクに分類され、固有振動周期Tcが7.6μs未満の記録ヘッド10の状態がTcminランクに分類され、固有振動周期Tcが9.2μsよりも大きい記録ヘッド10の状態がTcmaxランクに分類される。
【0063】
このように、本実施形態の製造方法では、Tcランクとして、固有振動周期Tcが設計値通りである標準ランクと、固有振動周期Tcが設計値より短いTcminランクと、固有振動周期Tcが設計値より長いTcmaxランクとを設定し、各時の記録ヘッド10の状態をこれら3つのTcランクに分類するようにしたので、後述するように、Tcランク毎に記録用の駆動波形を修正することができ、画質の均一化が容易である。また、圧電振動子15の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定することによって圧力発生室16内のインクの固有振動周期Tcが求められるため、測定工程における圧電振動子15への電気駆動信号の供給は1回で良く、すなわち、圧力室16内のインクの固有振動周期Tcが極めて迅速に導出され得る。なお、圧電振動子15の残留振動に基づく逆起電力信号の周期と圧力室16内のインクの固有振動周期Tcとは、極めて高精度に対応しているため、本実施の形態によれば圧力室16内のインクの固有振動周期Tcを極めて高精度に導出することができる。なお、本実施の形態の測定工程は、自動化された態様で実施される。
【0064】
なお、上記の実施の形態では、なお、上記実施に形態にあるように、本願の記録ヘッドで特に、たわみ振動モードの圧電振動子を用いた際に非常に有効である。
【0065】
さて、Tcランク毎に分類された記録ヘッド10の状態は、適宜の表示装置を介して使用者に表示され得る。例えば、インクジェット記録装置に接続されたディスプレイ上に、Tcランクが表示され得る。表示装置に付されるランク表記情報は、文字、数字、図形等の記号によって構成されたマーク情報によって構成することもできる。
【0066】
上記のマーク情報としては、Tcランクを示す記号(第1マーク情報)を用いることができる。例えば、標準ランクのTcランクIDが「0」、TcminランクのTcランクIDが「1」、TcmaxランクのTcランクIDが「2」であった場合には、マーク情報として「0」、「1」、「2」を用いることができる。同様に、アルファベットも用いることもできる。
【0067】
また、上記のノズル列を複数列備えた記録ヘッド10では、ノズル列同士のTcランクの組み合わせを示す記号(第2マーク情報)を用いることもできる。例えば、ノズル列を2列備え、各ノズル列が3ランク(標準、Tcmin、Tcmax)に分類された記録ヘッド10では、マーク情報を次のように設定することができる。即ち、第1ノズル列と第2ノズル列とが共に標準ランクの場合にはマーク情報として「A」を用いる。また、第1ノズル列が標準ランクであって、第2ノズル列がTcminランクの場合にはマーク情報として「B」を用いる。さらに、第1ノズル列が標準ランクであって、第2ノズル列がTcmaxランクの場合にはマーク情報として「C」を用いる。以下同様に、9通りのTcランクの各組み合わせについてマーク情報を付与する。
【0068】
このような構成を採ることにより、複数のノズル列を備えた記録ヘッド10においても表示装置に表示するマーク情報の数を減らすことができ、表示領域を有効利用することができる。
【0069】
図10に示すように、Tcランクを示すランク識別情報は、ランク識別情報記憶素子34に電気的に記憶される。ランク識別情報記憶素子34は、記録ヘッド10に内蔵されている。本実施の形態では、図11に示すように、ランク識別情報記憶素子34と記録装置の制御部46とが電気的に接続され、ランク識別情報の読み取りが自動化されている。ランク識別情報記憶素子34は、ランク識別情報を電気的に読み取り可能に記憶する素子であればよく、例えば、EEPROMやICメモリといった情報の書き換えが可能な不揮発性メモリが好適に用いられる。
【0070】
次に、Tcランクに基づいて駆動信号を構成する波形要素の制御因子を修正する手順について説明する。ここで、図11はプリンタやプロッタ等のインクジェット式記録装置の電気的構成を説明するブロック図である。
【0071】
例示した記録装置は、プリンタコントローラ41とプリントエンジン42とを備えている。
【0072】
プリンタコントローラ41は、ホストコンピュータ(図示せず)等からの印刷データ等を受信するインターフェース43と、各種データの記憶等を行うRAM44と、各種データ処理のための制御ルーチン等を記憶したROM45と、本発明の信号修正手段としても機能し、CPUを含んで構成された制御部46と、発振回路47と、本発明の駆動信号発生手段として機能し、記録ヘッド10へ供給する駆動信号を発生する駆動信号発生回路48と、印刷データをドット毎に展開することで得られた印字データや駆動信号等をプリントエンジン42に送信するためのインターフェース49とを備えている。
【0073】
プリントエンジン42は、上記の記録ヘッド10と、キャリッジ機構51と、紙送り機構52とから構成されている。記録ヘッド10は、印字データがセットされるシフトレジスタ53と、シフトレジスタ53にセットされた印字データをラッチするラッチ回路54と、電圧増幅器として機能するレベルシフタ55と、圧電振動子15に対する駆動信号の供給を制御するスイッチ回路56と、圧電振動子15と、上記のランク識別情報記憶素子34とを備えている。
【0074】
上記の制御部46は、ROM45に記憶された動作プログラムに則って動作し、記録装置の各部を制御する。駆動信号発生回路48は、制御部46によって定められた波形形状の駆動信号COMを発生する。そして、制御部46(信号修正手段)は、記録ヘッド10のTcランクの状態に応じて駆動信号発生回路48を制御し、駆動信号の波形形状を修正する。つまり、Tcランクに応じて、駆動信号を構成する波形要素の制御因子を修正する。
【0075】
以下、Tcランクに基づく駆動信号の修正(波形制御)について説明する。まず、Tcランクに応じて、インク滴吐出後におけるメニスカスの振動抑制に影響を及ぼす振動抑制要素の制御因子を定めた例について説明する。
【0076】
図12に例示した駆動信号COM1は、メニスカスを微振動させる微振動パルスDP1と、この微振動パルスDP1の後に発生され、ノーマルドット(ND)のインク滴をノズル開口13から吐出させるノーマルドット駆動パルスDP2とを含む。そして、これらの微振動パルスDP1及びノーマルドット駆動パルスDP2を、印刷周期T毎に繰り返し発生する。
【0077】
この駆動信号COM1では、微振動パルスDP1とノーマルドット駆動パルスDP2の何れか一方を、圧電振動子15に供給する。即ち、インク滴を吐出させる場合にはノーマルドット駆動パルスDP2のみを選択して圧電振動子15に供給し、インク滴を吐出させない場合には微振動パルスDP1のみを選択して圧電振動子15に供給する。
【0078】
微振動パルスDP1は、印字内微振動を行わせるための駆動パルスであり、中間電位VMからこの中間電位よりも少し低い第2中間電位VMLまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる微振動膨張要素P21と、微振動膨張要素P21に続いて発生されて第2中間電位VMLを所定時間維持する微振動ホールド要素P22と、微振動ホールド要素P22に続いて発生されて第2中間電位VMLから中間電位VMまで比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる微振動収縮要素P23とから構成される。
【0079】
この微振動パルスDP1が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は次のように動作する。即ち、微振動膨張要素P21の供給に伴って圧電振動子15が少し収縮し、圧力室16が定常状態から少し膨張する。この膨張に伴って圧力室16内が減圧され、メニスカスが圧力室側に少し引き込まれる。この圧力室16の膨張状態は微振動ホールド要素P22の供給期間に亘って維持され、メニスカスはこの維持期間中に亘って自由振動する。その後、微振動収縮要素P23が供給されて圧電振動子15が少し伸長し、圧力室16は定常状態まで収縮する。この収縮に伴い、圧力室16内のインクが少し加圧されメニスカスの振動が加振される。これにより、ノズル開口13付近のインクの増粘が防止される。
【0080】
ノーマルドット駆動パルスDP2は、本発明の第1駆動パルスに相当し、中間電位VMから最低電位VGまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を下降させる膨張要素P24と、膨張要素P24に続いて発生されて最低電位VGを所定時間維持する膨張ホールド要素P25と、膨張ホールド要素P25に続いて発生されて最低電位VGから最大電位VPまで急激に電位を上昇させる吐出要素P26と、吐出要素P26に続いて発生されて最大電位VPを所定時間維持する制振ホールド要素P27と、制振ホールド要素P27に続いて発生されて最大電位VPから中間電位VMまで電位を下降させる制振要素P28とから構成される。
【0081】
このノーマルドット駆動パルスDP2において、膨張要素P24から制振要素P28までの各要素が本発明の波形要素に相当する。また、膨張要素P24が本発明の第1膨張要素に相当し、吐出要素P26が本発明の第1吐出要素に相当し、制振ホールド要素P27が本発明の制振ホールド要素(振動抑制要素の一種)に相当し、制振要素P28が本発明の第1制振要素に相当する。
【0082】
このノーマルドット駆動パルスDP2が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は次のように動作する。
【0083】
即ち、膨張要素P24の供給に伴って圧電振動子15が大きく収縮し、圧力室16が定常状態から最大容積まで膨張する。この膨張に伴って圧力室16内が減圧され、メニスカスが圧力室側に引き込まれる。この圧力室16の膨張状態は膨張ホールド要素P25の供給期間に亘って維持され、メニスカスはこの維持期間中に亘って固有振動周期Tcで自由振動する。続いて、吐出要素P26が供給されて圧電振動子15が大きく伸長し、圧力室16は最小容積まで急激に収縮する。この収縮に伴い、圧力室16内のインクが加圧されてノズル開口13からインク滴が吐出される。吐出要素P26に続いて制振ホールド要素P27が供給されるので圧力室16の収縮状態は維持されるが、このときメニスカスはインク滴吐出の影響を受けて大きく振動している。その後、メニスカスの振動を打ち消し得るタイミングで制振要素P28が供給され、圧力室16が定常状態まで膨張復帰する。即ち、圧力室16内のインク圧力を相殺すべく、圧力室16を膨張させてインク圧力を減圧する。これにより、メニスカスの振動を短時間で抑制することができ、次のインク滴の吐出を安定させることができる。
【0084】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、吐出要素P26と制振要素P28との間に発生する制振ホールド要素P27の発生時間Pwh2を変更する。つまり、Tcランクに応じて制振要素P28による圧力室16の減圧タイミングを変える。
例えば、標準ランク及びTcmaxの記録ヘッド10については、発生時間Pwh2を4.5μsに設定し、Tcminの記録ヘッド10については、発生時間Pwh2を3.3μsに設定する。
【0085】
このように制振ホールド要素P27の発生時間Pwh2をTcランクに応じて変えると、メニスカスの振動を効率良く抑えることができる。即ち、インク滴吐出直後におけるメニスカスの振動は、圧力室16内のインク圧力に大きく影響されている。つまり、固有振動周期Tcの影響を大きく受けて振動している。このため、Tcランクに応じて制振ホールド要素P27の発生時間Pwh2を変えることにより、その記録ヘッド10の固有振動周期Tcに適したタイミングで制振要素P28を供給することができる。従って、メニスカスの振動を効率良く抑えることができる。
【0086】
なお、本実施形態ではTcランクが標準の記録ヘッド10とTcmaxの記録ヘッド10について同じ発生時間Pwh2としたが、勿論、標準ランクの記録ヘッド10とTcmaxの記録ヘッド10とで別個の発生時間Pwh2を設定してもよい。
【0087】
次に、一印刷周期内における先の駆動パルスの終端と後の駆動パルスの始端との間を接続する第2パルス接続要素の発生時間を、Tcランクによって定めた例について説明する。
【0088】
図13に例示した駆動信号COM2は、ノーマルドット駆動パルスを一印刷周期内に3つ含み、これらのノーマルドット駆動パルスDP3〜DP5を印刷周期T毎に繰り返し発生する。
【0089】
そして、この駆動信号COM2では、ドットの階調に応じてこれらの駆動パルスDP3〜DP5を選択して圧電振動子15に供給する。例えば、ドットパターンデータが階調値(01)であった場合には、2番目のノーマルドット駆動パルスDP4のみを圧電振動子15に供給する。また、階調値(10)であった場合には、1番目のノーマルドット駆動パルスDP3と3番目のノーマルドット駆動パルスDP5とを圧電振動子15に供給する。さらに、階調値(11)であった場合には、各ノーマルドット駆動パルスDP3〜DP5を圧電振動子15に供給する。
【0090】
これらのノーマルドット駆動パルスDP3〜DP5を構成する各波形要素P24〜P28は、ノーマルドット駆動パルスDP2の波形要素P24〜P28と同様である。このため、その説明は省略する。
【0091】
この駆動信号COM2では、ノーマルドット駆動パルス同士の間にパルス接続要素P31,P32を発生させ、駆動パルス同士を一連に接続している。即ち、パルス接続要素P31により、ノーマルドット駆動パルスDP3の終端とノーマルドット駆動パルスDP4の始端とを接続している。また、パルス接続要素P32により、ノーマルドット駆動パルスDP4の終端とノーマルドット駆動パルスDP5の始端とを接続している。従って、この駆動信号COM2において、パルス接続要素P31、P32は、本発明の振動抑制要素の一種であり、第2パルス接続要素に相当する。
【0092】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、制振ホールド要素P27の発生時間Pwh2と、パルス接続要素P31の発生時間pdis1と、パルス接続要素P32の発生時間pdis2を変更する。
【0093】
これは、各ノーマルドット駆動パルスDP3〜DP5によるインク滴吐出タイミングを揃えるためである。即ち、発生時間Pwh2の変更により、制振要素P28の供給タイミングについては適正化が図られたが、単に発生時間Pwh2を変更しただけでは、ノーマルドット駆動パルスDP4,DP5の供給タイミングが前後してしまう。そこで、発生時間Pwh2の変更に併せて発生時間pdis1と発生時間pdis2とを適宜変更し、インク滴の吐出タイミングを揃えている。これにより、各ノーマルドット駆動パルスDP3〜DP5におけるインク滴吐出タイミングが揃えられるので、インク滴の着弾位置の均一化が図れ、画質向上に寄与する。
【0094】
次に、第2駆動パルスの第2制振要素の発生時間と、第3駆動パルスの第1パルス接続要素の発生時間とを、Tcランクによって定めた例について説明する。
【0095】
図14に例示した駆動信号COM3は、メニスカスを微振動させる微振動パルスDP1´と、この微振動パルスDP1´の後に発生され、マイクロドットのインク滴をノズル開口13から吐出させるマイクロドット駆動パルスDP6と、ミドルドットのインク滴をノズル開口13から吐出させるミドルドット駆動パルスDP7とを含み、これらの駆動パルスDP1´,DP6,DP7を印刷周期T毎に繰り返し発生する。
【0096】
この駆動信号COM3では、インク滴を吐出させない場合に微振動パルスDP1´のみを選択して圧電振動子15に供給し、ドットパターンデータがマイクロドットのデータであった場合にマイクロドット駆動パルスDP6のみを圧電振動子15に供給する。また、ミドルドットのデータであった場合にミドルドット駆動パルスDP7のみを圧電振動子15に供給する。さらに、ラージドットのデータであった場合にマイクロドット駆動パルスDP6とミドルドット駆動パルスDP7とを圧電振動子15に供給する。
【0097】
微振動パルスDP1´は、上記した微振動パルスDP1と同様に印字内微振動を行わせる駆動パルスであり、微振動膨張要素P21´と微振動ホールド要素P22´と微振動収縮要素P23´とから構成される。この微振動パルスDP1´と微振動パルスDP1との違いは、微振動パルスDP1が中間電位VMから第2中間電位VMLの範囲で電位を変化させているのに対し、この微振動パルスDP1´が最大電位VPから中間電位VMの範囲で電位を変化させている点である。
そして、他の点に変わりはないので、この微振動パルスDP1´に関する詳細な説明は省略する。
【0098】
マイクロドット駆動パルスDP6は、最大電位VPから最低電位VGLまで比較的急峻な勾配で電位を下降させる膨張要素P41と、膨張要素P41に続いて発生されて最低電位VGLを極く短い時間維持する膨張ホールド要素P42と、最低電位VGLからこの最低電位VGLよりも少し高い第2最低電位VGHまで比較的急峻な勾配で電位を上昇させる吐出要素P43と、第2最低電位VGHを極く短い時間維持する吐出ホールド要素P44と、第2最低電位VGHから最大電位VPまで比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる制振要素P45とから構成される。
【0099】
このマイクロドット駆動パルスDP6においては、膨張要素P41から制振要素P45までの各要素が本発明の波形要素に相当する。また、膨張要素P41が本発明の第2膨張要素に相当し、吐出要素P43が本発明の第2吐出要素に相当し、制振要素P45が本発明の第2制振要素(振動抑制要素の一種)に相当する。
【0100】
このマイクロドット駆動パルスDP6が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は次のように動作する。即ち、膨張要素P41の供給に伴って圧電振動子15が大きく収縮し、圧力室16が最小容積から最大容積まで急速に膨張する。この膨張に伴って圧力室16内が大きく減圧され、メニスカスが圧力室側に大きく引き込まれる。このとき、メニスカスの中心部分、即ち、ノズル開口13の中央付近は、一旦大きく引き込まれ、その後、反動で凸状に盛り上がった状態になる。次に、膨張ホールド要素P42と吐出要素P43とが続けて供給されて、吐出要素P43の供給に伴って圧力室16が少し収縮してインクが少し加圧され、メニスカスの中心部分がインク滴として吐出される。このインク滴の吐出に伴ってメニスカスは大きく振動するが、その後に供給される制振要素P45によって圧力室16が緩やかに収縮し、インク滴吐出後のメニスカスの振動が抑制される。
【0101】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、制振要素P45の発生時間Pwcμ2を変更する。つまり、Tcランクに応じて制振要素P45による圧力室16の収縮速度を変える。併せて、マイクロドット駆動パルスDP6とミドルドット駆動パルスDP7との間に発生されるパルス接続要素P33の発生時間Pwhμ3も変更する。
【0102】
例えば、標準ランクの記録ヘッド10については発生時間Pwcμ2を4.3μsに、発生時間Pwhμ3を11.0μsにそれぞれ設定し、Tcminの記録ヘッド10については発生時間Pwcμ2を4.1μsに、発生時間Pwhμ3を11.2μsにそれぞれ設定し、Tcmaxの記録ヘッド10については発生時間Pwcμ2を4.7μsに、発生時間Pwhμ3を10.6μsにそれぞれ設定する。
【0103】
これも、メニスカスの振動を効率良く抑えるためである。即ち、インク滴吐出直後においてメニスカスは、固有振動周期Tcの影響を大きく受けて振動している。このため、Tcランクに応じて制振要素P45の発生時間Pwdμ2を変えることにより、圧力室16内のインクの加圧速度が変化し、インク内の圧力振動を効率よく抑えることができる。また、パルス接続要素P53の発生時間Pwhμ3も併せて変更しているので、次に発生されるミドルドット駆動パルスDP7によるインク滴の吐出タイミングを揃えることができる。
【0104】
次に、ミドルドット駆動パルスDP7について説明する。このミドルドット駆動パルスDP7は、インク滴を吐出する吐出パルスPS1と、この吐出パルスPS1の後に発生されてインク滴吐出後におけるメニスカスの振動を抑制する制振パルスPS2と、これらの吐出パルスPS1と制振パルスPS2との間を接続する第1パルス接続要素P49とを備える。
【0105】
吐出パルスPS1は、最大電位VPから第3最低電位VGMまでインク滴を吐出させない程度の勾配で電位を下降させる膨張要素P46と、膨張要素P46に続いて発生されて第3最低電位VGMを所定時間維持する膨張ホールド要素P47と、第3最低電位VGMから最大電位VPまで比較的急峻な勾配で電位を上昇させる吐出要素P48とから構成される。なお、第3最低電位VGMは、最低電位VGLよりも低く、且つ、第2最低電位VGHよりも低い電位に設定される。
【0106】
制振パルスPS2は、最大電位VPから中間電位VMまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる制振膨張要素P50と、制振膨張要素P50に続いて発生されて中間電位VMを所定時間維持する制振ホールド要素P51と、制振ホールド要素P51に続いて発生されて中間電位VMから最大電位VPまで比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる制振収縮要素P52とから構成される。
【0107】
そして、第1パルス接続要素P49は、吐出パルスPS1における吐出要素P48の終端と制振パルスPS2における制振膨張要素P50の始端との間を接続している。
【0108】
このミドルドット駆動パルスDP7においては、膨張要素P46から制振収縮要素P52までの各要素が本発明の波形要素に相当する。そして、吐出パルスPS1が本発明の吐出パルスに相当し、制振パルスPS2が本発明の制振パルスに相当する。また、第1パルス接続要素P49が本発明の第1パルス接続要素(振動抑制要素の一種)に相当する。
【0109】
このミドルドット駆動パルスDP7が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は次のように動作する。即ち、膨張要素P46の供給に伴って圧電振動子15が大きく収縮し、圧力室16が最小容積から大きく膨張する。圧力室16の膨張状態は、膨張ホールド要素P47の供給期間中に亘って維持される。そして、この維持期間中におけるインクの圧力変動によって、引き込まれたメニスカスがノズル開口13の開口縁付近まで戻ってくる。その後、吐出要素P48が供給されてノズル開口13からはミドルドットに対応する量のインク滴が吐出される。
【0110】
吐出要素P48に続いて第1パルス接続要素P49が供給される。この第1パルス接続要素P49の電位は最大電位VPであるため、圧力室16の収縮状態は維持される。そして、この維持期間中において、メニスカスは、インク滴吐出の影響を受けて大きく振動している。その後、このメニスカスの振動を打ち消し得るタイミングで制振膨張要素P50が供給されて圧力室16が再度膨張し、圧力室16内のインクを減圧する。さらに、制振ホールド要素P51で規定される時間の経過後、制振収縮要素P52が供給されてメニスカスの振動を打ち消すように圧力室16を収縮させ、インクを加圧する。
【0111】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、第1パルス接続要素P49の発生時間Pwhm2を変更する。つまり、Tcランクに応じて制振パルスPS2の供給タイミングを変える。
【0112】
例えば、標準ランクの記録ヘッド10については発生時間Pwhm2を4.0μsに設定し、Tcminの記録ヘッド10については発生時間Pwhm2を2.8μsに設定し、Tcmaxの記録ヘッド10については発生時間Pwhm2を5.4μsに設定する。これにより、上記した制振ホールド要素P27の発生時間Pwh2を変えたときと同様な作用をなし、メニスカスの振動を効率良く抑えることができる。
【0113】
ところで、上記の各駆動信号COM1〜COM3では、Tcランクに応じて振動抑制要素の制御因子を定めた例について説明したが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、インク滴の吐出特性に影響を及ぼす特性変動要素の制御因子を、Tcランクに応じて定めてもよい。以下、特性変動要素の制御因子を定めた例について説明する。
【0114】
図15に例示した駆動信号COM4は、メニスカスを微振動させる微振動パルスDP8と、この微振動パルスDP8の後に発生され、マイクロドットのインク滴をノズル開口13から吐出させるマイクロドット駆動パルスDP9と、ミドルドットのインク滴をノズル開口13から吐出させるミドルドット駆動パルスDP10とを含み、これらの駆動パルスDP8,DP9,DP10を印刷周期T毎に繰り返し発生する。
【0115】
この駆動信号COM4では、インク滴を吐出させない場合に微振動パルスDP8のみを選択して圧電振動子15に供給し、ドットパターンデータがマイクロドットのデータであった場合にマイクロドット駆動パルスDP9のみを圧電振動子15に供給する。また、ミドルドットのデータであった場合にミドルドット駆動パルスDP10のみを圧電振動子15に供給する。さらに、ラージドットのデータであった場合にマイクロドット駆動パルスDP9とミドルドット駆動パルスDP10とを圧電振動子15に供給する。
【0116】
微振動パルスDP8は、上記した微振動パルスDP1,DP1´と同様に、印字内微振動を行わせるための駆動パルスである。そして、この微振動パルスDP8は、最大電位VPからこの最大電位VPよりも少し低い第2最大電位VPLまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる微振動膨張要素P61と、微振動膨張要素P61に続いて発生されて第2最低電位VGHを所定時間維持する微振動ホールド要素P62と、微振動ホールド要素P62に続いて発生されて第2最大電位VGLから最大電位VPまで比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる微振動収縮要素P63とから構成される。
【0117】
そして、この微振動パルスDP8が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は、微振動パルスDP1,DP1´が供給された場合と同様に動作し、ノズル開口13付近のインク増粘、目詰まりが防止される。
【0118】
マイクロドット駆動パルスDP9は、上記のマイクロドット駆動パルスDP6と同様な波形形状である。
【0119】
このマイクロドット駆動パルスDP9は、最大電位VPから最低電位VGLまで比較的急峻な勾配で電位を下降させる膨張要素P64と、膨張要素P64に続いて発生されて最低電位VGLを極く短い時間維持する膨張ホールド要素P65と、最低電位VGLからこの最低電位VGLよりも少し低い第2最低電位VGHまで比較的急峻な勾配で電位を上昇させる吐出要素P66と、第2最低電位VGHを極く短い時間維持する吐出ホールド要素P67と、第2最低電位VGHから最大電位VPまで電位を上昇させる制振要素P68とから構成される。
【0120】
このマイクロドット駆動パルスDP9において、膨張要素P64から制振要素P68までの各要素が本発明の波形要素に相当する。そして、膨張要素P64が本発明の第2膨張要素に相当し、膨張ホールド要素P65が本発明の第2ホールド要素に相当し、吐出要素P66が本発明の第2吐出要素に相当する。また、これらの膨張要素P64、膨張ホールド要素P65及び吐出要素P66は、インク滴を吐出させる目的で圧力室16内の圧力変動に関与する波形要素であり、本発明の特性変動要素の一種である。即ち、膨張要素P64及び吐出要素P66は、インク滴を吐出させるために圧力室16内を加減圧する波形要素であり、膨張ホールド要素P65は、吐出要素P66の供給開始タイミングを規定する波形要素である。
【0121】
このマイクロドット駆動パルスDP9が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は次のように動作する。即ち、膨張要素P64の供給に伴って圧電振動子15が大きく収縮し、圧力室16が最小容積から最大容積まで急速に膨張する。この膨張に伴って圧力室16内が大きく減圧され、メニスカスが圧力室側に大きく引き込まれる。このとき、メニスカスの中心部分が大きく引き込まれ、その反動でメニスカスの中心部分が凸状に盛り上がった状態になる。その後、膨張ホールド要素P65と吐出要素P66とが続けて供給されて、吐出要素P66の供給に伴って圧力室16が少し収縮してインクが少し加圧され、メニスカスの中心部分がインク滴として吐出される。このインク滴の吐出に伴いメニスカスは大きく振動する。続いて、吐出ホールド要素P67と制振要素P68とが供給され、制振要素P68の供給に伴って圧力室16が収縮し、インク滴吐出後のメニスカスの振動を抑制する。
【0122】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、膨張要素P64の発生時間や電位差(始端電位と終端電位との差)を変える。つまり、Tcランクに応じて膨張要素P64による圧力室16の膨張速度や膨張度合い(最大膨張容積)を変える。例えば、Tcmaxの記録ヘッド10については、膨張要素P64の発生時間Pwdμ1を標準ランクにおける発生時間Pwdμ1よりも長く設定し、膨張要素P64の電位差Vdμ1を標準ランクにおける電位差Vdμ1よりも大きく設定する。一方、Tcminの記録ヘッド10については、膨張要素P64の発生時間Pwdμ1を標準ランクにおける発生時間Pwdμ1よりも短く設定し、膨張要素P64の電位差Vcμ1を標準ランクにおける電位差Vdμ1よりも小さく設定する。
【0123】
これは、インク滴の速度を適正化するためである。このマイクロドット駆動パルスDP9に関しては、図16に示すように、横軸にPwdμ1をとり縦軸にインク速度Vmをとると、上側に凸の特性カーブが描ける。そして、この特性カーブにおけるインク滴速度のピークは、発生時間Pwdμ1を固有振動周期Tcに略一致させた際に得られる。これは、発生時間Pwdμ1を固有振動周期Tcに揃えることにより、圧電振動子15の作動によってインクに加えられた外力が最も効率よくインク内の圧力振動に変換されるためと考えられる。さらに、ピーク速度について、電位差Vdμ1を揃えた場合には、固有振動周期Tcが長いと速度が遅くなり、固有振動周期Tcが短く応答が良いほど速度が速くなる。即ち、固有振動周期Tcが短い程、インク滴の飛行速度が速い特性となる。
【0124】
従って、Tcmaxの記録ヘッド10については、膨張要素P64の発生時間Pwdμ1を標準ランクにおける発生時間Pwdμ1よりも長く設定することにより、圧電振動子15からの外力を最も効率よくインク内の圧力振動に変換できる。そして、電位差Vdμ1を標準ランク用の電位差Vdμ1よりも高く設定することでインク滴の速度を高めることができ、インク滴の速度を標準ランクの記録ヘッド10に揃えることができる。
【0125】
反対に、Tcminの記録ヘッド10については、膨張要素P64の発生時間Pwdμ1を標準ランクにおける発生時間Pwdμ1よりも短く設定することにより、圧電振動子15からの外力を最も効率よくインク内の圧力振動に変換できる。そして、Tcminの記録ヘッド10は、インク滴の速度が標準ランクの記録ヘッド10よりも速い特性なので、電位差Vdμ1を標準ランク用の電位差Vdμ1よりも低く設定してもインク滴の速度を標準ランクの記録ヘッド10に揃えることができる。また、この電位差Vdμ1は、駆動信号COM4の駆動電圧Vhを規定する要因でもあるので、この電位差Vdμ1を低くできることにより駆動電圧Vhを下げることもできる。
【0126】
なお、発生時間Pwdμ1と電位差Vdμ1は、少なくとも一方を変えてやれば、インク滴の吐出特性の適正化が図れる。
【0127】
また、制御部46(信号修正手段)により、吐出要素P66の発生時間Pwcμ1や電位差Vcμ1をTcランクに応じて変えてもよい。即ち、吐出要素P66による圧力室16の収縮速度や収縮度合いを変えてもよい。この場合には、インク滴吐出時における圧力室16の加圧条件を変えることができるので、インク滴の速度を適正化することができる。
【0128】
さらに、制御部46(信号修正手段)により、膨張ホールド要素P65の発生時間をTcランクに応じて変えるようにしてもよい。即ち、この膨張ホールド要素P65は、膨張要素P64による圧力室16の膨張状態を保持することで、吐出要素P66の供給開始タイミングを規定する波形要素である。このため、膨張ホールド要素P65の発生時間を変えることにより、圧力室16を収縮させるタイミングを適正化することができる。その結果、圧力室16内の圧力変動を効率よく使用することができ、インク滴の吐出を効率よく行わせることができる。
【0129】
なお、制振要素P68は、上記のマイクロドット駆動パルスDP6における制振要素P45と同じ作用を奏する。このため、Tcランクに応じて制振要素P68の発生時間Pwcμ2を変えることにより、インク滴吐出後におけるメニスカスの制振を効率よく行うことができる。
【0130】
上記のミドルドット駆動パルスDP10は、最大電位VPから中間電位VMまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を下降させる予備膨張要素P69と、中間電位VMを所定時間維持する予備ホールド要素P70と、中間電位VMから最低電位VGLまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を下降させる膨張要素P71と、最大低電位VGLを所定時間維持する膨張ホールド要素P72と、最低電位VGLから最大電位VPまで急激に電位を上昇させる吐出要素P73と、最大電位VPを所定時間維持する第1制振ホールド要素P74と、最大電位VPから中間電位VMまで電位を下降させる制振要素P75と、中間電位VMを所定時間維持する第2制振ホールド要素P76と、中間電位VMから最大電位VPGまで電位を上昇させる復帰要素P77とから構成される。
【0131】
このミドルドット駆動パルスDP10において、予備膨張要素P69から復帰要素P77までの各要素が本発明の波形要素に相当する。そして、膨張要素P71が本発明の第1膨張要素に相当し、膨張ホールド要素P72が本発明の第1ホールド要素に相当し、吐出要素P73が本発明の第1吐出要素に相当する。即ち、これらの膨張要素P71、膨張ホールド要素P72及び吐出要素P73も、インク滴を吐出させる目的で圧力室16内の圧力変動に関与する波形要素であり、本発明の特性変動要素の一種である。
【0132】
このミドルドット駆動パルスDP10が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は次のように動作する。即ち、予備膨張要素P69の供給に伴って圧電振動子15が少し収縮し、圧力室16が最小容積から中間電位VMで規定される基準容積まで膨張する。そして、予備ホールド要素P70の供給により、基準容積が所定時間維持される。続いて、膨張要素P71の供給に伴って圧電振動子15が大きく収縮し、圧力室16が基準容積から最大容積まで膨張する。この膨張に伴って圧力室16内が減圧される。この圧力室16の膨張状態は膨張ホールド要素P72の供給期間に亘って維持される。その後、吐出要素P73が供給されて圧電振動子15が大きく伸長し、圧力室16は最小容積まで急激に収縮する。この収縮に伴い、圧力室16内のインクが加圧されてノズル開口13からインク滴が吐出される。そして、制振ホールド要素P74が供給されるので圧力室16の収縮状態が維持され、メニスカスの振動を打ち消し得るタイミングで制振要素P75が供給されて圧力室16が基準容積まで膨張復帰する。これにより、メニスカスの振動を短時間で抑制することができ、次のインク滴の吐出を安定させることができる。さらに、第2制振ホールド要素P76で定められたタイミングで復帰要素P77が供給される。
【0133】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、膨張要素P71及び吐出要素P73の発生時間や電位差を変える。つまり、Tcランクに応じて膨張要素P71による圧力室16の膨張速度や膨張度合い、及び、吐出要素P73による圧力室16の収縮速度や収縮度合いを変える。
【0134】
例えば、膨張要素P71に関し、Tcmaxの記録ヘッド10については、発生時間Pwdm1を標準ランクにおける発生時間Pwdm1よりも長く設定し、電位差Vdm1を標準ランクにおける電位差Vdm1よりも大きく設定する。一方、Tcminの記録ヘッド10については、発生時間Pwdm1を標準ランクにおける発生時間Pwdm1よりも短く設定し、電位差Vdm1を標準ランクにおける電位差Vdm1よりも小さく設定する。
【0135】
また、吐出要素P73に関しても、Tcmaxの記録ヘッド10については、発生時間Pwcm1を標準ランクにおける発生時間Pwcm1よりも長く設定し、電位差Vcm1を標準ランクにおける電位差Vcm1よりも大きく設定する。一方、Tcminの記録ヘッド10については、発生時間Pwcm1を標準ランクにおける発生時間Pwcm1よりも短く設定し、電位差Vcm1を標準ランクにおける電位差Vcm1よりも小さく設定する。
【0136】
これにより、固有振動周期Tcがばらついていてもインク滴の吐出速度を揃えることができる。なお、この場合においても、発生時間Pwdm1やPwcm1と電位差Vdm1やVcm1は、少なくとも一方を変えてやることでインク滴の吐出特性の適正化が図れる。勿論、両方変えてもよい。
【0137】
また、制御部46(信号修正手段)により、膨張ホールド要素P72の発生時間をTcランクに応じて変えるようにしてもよい。即ち、この膨張ホールド要素P72は、上記した膨張ホールド要素P65と同様な作用をなし、膨張要素P71による圧力室16の膨張状態を保持することで吐出要素P73の供給開始タイミングを規定する。このため、膨張ホールド要素P72の発生時間を変えることにより、圧力室16を収縮させるタイミングを適正化することができる。その結果、圧力室16内の圧力変動を効率よく使用することができ、インク滴の吐出を効率よく行わせることができる。
【0138】
なお、このミドルドット駆動パルスDP10において、第1制振ホールド要素P74は、制振要素P75の供給開始タイミングを規定する。即ち、上記したミドルドット駆動パルスDP7における第1パルス接続要素P49と同様の作用を奏する。このため、Tcランクに応じて、第1制振ホールド要素P74の発生時間Pwhm2を変えてやることにより、インク滴吐出後におけるメニスカスの制振を効率よく行うことができる。
【0139】
次に、特性変動要素の制御因子を定めた他の例について説明する。
【0140】
図17に例示した駆動信号COM5は、メニスカスを微振動させる微振動パルスDP11と、この微振動パルスDP11の後に発生され、ノーマルドットのインク滴をノズル開口13から吐出させるノーマルドット駆動パルスDP12とを含み、これらの微振動パルスDP11及びノーマルドット駆動パルスDP12を印刷周期T毎に繰り返し発生する。そして、この駆動信号COM5では、微振動パルスDP11とノーマルドット駆動パルスDP12の何れか一方を、圧電振動子15に供給する。即ち、インク滴を吐出させる場合にはノーマルドット駆動パルスDP12のみを選択して圧電振動子15に供給し、インク滴を吐出させない場合には微振動パルスDP11のみを選択して圧電振動子15に供給する。
【0141】
微振動パルスDP11は、印字内微振動を行わせるための駆動パルスであり、中間電位VMからこの中間電位よりも少し低いい第2中間電位VMLまで、インク滴を吐出させない程度の比較的緩やかな電位勾配で電位を下降させる微振動膨張要素P81と、微振動膨張要素P81に続いて発生されて第2中間電位VMLを所定時間維持する微振動ホールド要素P82と、微振動ホールド要素P82に続いて発生されて第2中間電位VMLから中間電位VMまで比較的緩やかな電位勾配で電位を上昇させる微振動収縮要素P83とから構成される。
【0142】
そして、この微振動パルスDP11が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は、微振動パルスDP1,DP8等が供給された場合と同様に動作し、ノズル開口13付近のインク増粘が防止される。
【0143】
ノーマルドット駆動パルスDP12は、本発明の第4駆動パルス及び第5駆動パルスに相当し、中間電位VMから最低電位VGまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を下降させる膨張要素P84と、膨張要素P84に続いて発生されて最低電位VGを所定時間維持する膨張ホールド要素P85と、膨張ホールド要素P85に続いて発生されて最低電位VGから最大電位VPまで急激に電位を上昇させる吐出要素P86と、吐出要素P86に続いて発生されて最大電位VPを所定時間維持する制振ホールド要素P87と、制振ホールド要素P87に続いて発生されて最大電位VPから中間電位VMまで電位を下降させる制振要素P88とから構成される。
【0144】
このノーマルドット駆動パルスDP12において、膨張要素P84から制振要素P88までが本発明の波形要素に相当する。そして、膨張要素P84が本発明の第1膨張要素に相当し、膨張ホールド要素P85が本発明の第1ホールド要素に相当し、吐出要素P86が本発明の第1吐出要素に相当する。即ち、これらの膨張要素P84、膨張ホールド要素P85及び吐出要素P86も、インク滴を吐出させる目的で圧力室16内の圧力変動に関与する波形要素であり、本発明の特性変動要素の一種である。
【0145】
このノーマルドット駆動パルスDP12が圧電振動子15に供給されると、圧電振動子15や圧力室16は、上記のノーマルドット駆動パルスDP2が供給されたときと同様に動作する。
【0146】
即ち、膨張要素P84の供給に伴って圧電振動子15が大きく収縮し、圧力室16が基準容積から最大容積まで膨張する。この膨張に伴って圧力室16内が減圧される。その後、吐出要素P86が供給されて圧電振動子15が大きく伸長し、圧力室16は最小容積まで急激に収縮する。この収縮に伴い、圧力室16内のインクが加圧されてノズル開口13からインク滴が吐出される。吐出要素P86に続いて制振ホールド要素P87が供給されるので圧力室16の収縮状態は維持される。その後、メニスカスの振動を打ち消し得るタイミングで制振要素P88が供給され、圧力室16が基準容積まで膨張復帰する。即ち、圧力室16内のインク圧力を相殺すべく、圧力室16を膨張させてインク圧力を減圧する。
【0147】
そして、制御部46(信号修正手段)は、Tcランクに応じて駆動信号発生回路48(駆動信号発生手段)を制御し、膨張要素P84及び吐出要素P86の発生時間発生時間Pwdm1´,Pwcm1´や電位差Vdm1´,Vcm1´を変える。つまり、Tcランクに応じて膨張要素P84による圧力室16の膨張速度や膨張度合い、及び、吐出要素P86による圧力室16の収縮速度や収縮度合いを変える。
【0148】
例えば、膨張要素P84に関し、Tcmaxの記録ヘッド10については、発生時間Pwdm1´を標準ランクにおける発生時間Pwdm1´よりも長く設定し、電位差Vdm1´を標準ランクにおける電位差Vdm1´よりも大きく設定する。一方、Tcminの記録ヘッド10については、発生時間Pwdm1´を標準ランクにおける発生時間Pwdm1´よりも短く設定し、電位差Vdm1´を標準ランクにおける電位差Vdm1´よりも小さく設定する。
【0149】
また、吐出要素P86に関しても、Tcmaxの記録ヘッド10については、発生時間Pwcm1´を標準ランクにおける発生時間Pwcm1´よりも長く設定し、電位差Vcm1´を標準ランクにおける電位差Vcm1´よりも大きく設定する。一方、Tcminの記録ヘッド10については、発生時間Pwcm1´を標準ランクにおける発生時間Pwcm1´よりも短く設定し、電位差Vcm1´を標準ランクにおける電位差Vcm1´よりも小さく設定する。
【0150】
これにより、固有振動周期Tcがばらついていてもインク滴の吐出速度を揃えることができる。なお、この場合においても、発生時間Pwdm1´やPwcm1´と電位差Vcm1´やVdm1´は、少なくとも一方を変えることにより、インク速度の適正化が図れる。
【0151】
また、上記したミドルドット駆動パルスDP10と同様に、制御部46(波形制御手段)により、膨張ホールド要素P85の発生時間をTcランクに応じて変えるようにしてもよい。これにより、圧力室16を収縮させるタイミングを適正化することができ、インク滴の吐出を効率よく行わせることができる。
【0152】
以上説明したように、上記の各実施形態では、圧電振動子15の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定することによって圧力発生室16内のインクの固有振動周期Tcが求められるため、測定工程における圧電振動子15への電気駆動信号の供給は1回で良く、すなわち、圧力室16内のインクの固有振動周期Tcが極めて迅速に導出され得る。
【0153】
また、圧電振動子15の残留振動に基づく逆起電力信号の周期と圧力室16内のインクの固有振動周期Tcとは、極めて高精度に対応しているため、圧力室16内のインクの固有振動周期Tcを極めて高精度に導出することができる。
【0154】
また、記録ヘッド10の状態に対して圧力室内のインクの固有振動周期に基づいて定めたTcランクを付与すると共に、付与されたTcランクに応じて、駆動信号COMを構成する波形要素の制御因子を例えばノズル開口毎あるいはノズル列毎に定め(修正し)、設定した制御因子による駆動信号を各圧電振動子15に供給するので、Tcランクに応じて駆動信号の波形形状等を設定(修正)できて適正化が図れ、画質ばらつきを容易に補正することができる。
【0155】
また、Tcランクとして、固有振動周期Tcが設計値通りである標準ランクと、固有振動周期Tcが設計値より短いTcminランクと、固有振動周期Tcが設計値より長いTcmaxランクとを設定し、固有周期測定時の記録ヘッド10をこれら3つのTcランクに分類し、Tcランク毎に同じ補正を施して駆動信号を修正している。このように、Tcランク毎に設定された波形を使用するものであるので、画質の適正化を容易に実現できる。
【0156】
ところで、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づき、種々の変形が可能である。
【0157】
例えば、圧力室16内のインク圧力の固有振動周期Tcの測定及び駆動信号の修正の実施間隔は、適宜に設定され得る。圧力室16内のインク圧力の固有振動周期Tcの測定及び駆動信号の修正は、使用者からの指示入力を待って行うようにしてもよい。
【0158】
また、Tcランクについては、4以上のランクを用いることも可能である。また、固有振動周期TcとTcランクとの対応関係は、使用者の使用状況によって修正可能であることが好ましい。
【0159】
また、前述のように、プリンタコントローラ41はコンピュータシステムによって構成されているが、コンピュータシステムに前記各要素手段(回路)を実現させるためのプログラム及び当該プログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体201(図11参照)も、本件の保護対象である。
【0160】
さらに、前記の各要素手段(回路)が、コンピュータシステム上で動作するOS等のプログラムによって実現される場合、当該OS等のプログラムを制御する各種命令を含むプログラム及び当該プログラムを記録した記録媒体202(図11参照)も、本件の保護対象である。
【0161】
ここで、記録媒体201、202とは、フロッピーディスク等の単体として認識できるものの他、各種信号を伝搬させるネットワークをも含む。
【0162】
なお、以上の説明はインクジェット式記録装置についてなされているが、本発明は、広く液体噴射装置全般を対象としたものである。液体の例としては、インクの他に、グルー、マニキュア、液体電極材料、生体有機物液体等が用いられ得る。更に、本発明は、液晶等の表示体におけるカラーフィルタの製造装置にも適用され得る。
【0163】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定することによって圧力発生室内の液体の固有周期が求められるため、原理的に圧電部材への電気駆動信号の供給は1回で良く、従って、圧力発生室内の液体の固有周期を極めて迅速に導出することができる。
【0164】
また、本発明によれば、信号修正手段が、計測された逆起電力信号の周期(圧力発生室内の液体の固有周期に対応する)に基づいて液体噴射作業用の駆動信号を修正するため、より好適に液体噴射作業用の駆動信号を修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるインクジェット式プリンタの概略斜視図である。
【図2】記録ヘッドの内部構造を説明する断面図である。
【図3】測定工程で使用する装置を説明する図である。
【図4】評価パルス発生回路から発生される評価パルスを説明する図である。
【図5】励振要素を供給した際の圧力室内のインクの圧力変動を説明する図である。
【図6】逆起電力周期測定回路の構成を示す概略ブロック図である。
【図7】逆起電力周期測定回路の他の構成例を示す概略ブロック図である。
【図8】TcランクIDについて説明する図である。
【図9】TcランクIDと固有振動周期Tcとの関係を説明する模式図である。
【図10】ランク識別情報記憶素を設けた記録ヘッドを説明する図である。
【図11】記録装置の構成を説明するブロック図である。
【図12】駆動信号COM1を説明する図である。
【図13】駆動信号COM2を説明する図である。
【図14】駆動信号COM3を説明する図である。
【図15】駆動信号COM4を説明する図である。
【図16】マイクロドット駆動パルスにおけるインク滴の速度特性を説明する図である。
【図17】駆動信号COM5を説明する図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式プリンタ
2 キャリッジ
3 ガイド部材
4 駆動プーリ
5 遊転プーリ
6 タイミングベルト
7 パルスモータ
8 記録紙
10 記録ヘッド
11 インクカートリッジ
12 インク室
13 ノズル開口
14 ノズルプレート
15 圧電振動子
16 圧力室
17 供給側連通孔
18 インク供給口
19 第1ノズル連通孔
20 第2ノズル連通孔
30 評価パルス発生回路
31 逆起電力周期測定回路
31a ピーク値抽出回路
31b ピーク間隔把握回路
31c 2値化回路
31d データ列周期把握回路
32 演算回路
34 ランクID記憶素子
41 プリンタコントローラ
42 プリントエンジン
43 インターフェース
44 RAM
45 ROM
46 制御部
47 発振回路
48 駆動信号発生回路
49 インターフェース
51 キャリッジ機構
52 紙送り機構
53 シフトレジスタ
54 ラッチ回路
55 レベルシフタ
56 スイッチ回路

Claims (16)

  1. ノズル開口と、前記ノズル開口に連通すると共に液体を収容可能な圧力発生室と、該圧力発生室に液体を供給する液体供給路と、前記圧力発生室を変形させてノズル開口から液体滴を吐出させる圧電部材と、を有するヘッド部材と、
    固有周期測定用の電気駆動信号を前記圧電部材に供給する電気駆動手段と、
    前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の前記圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、
    該逆起電力周期計測手段によって計測された前記逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
  2. 複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材と、
    固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、
    前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、
    該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル開口毎に修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする液体噴射装置。
  3. 複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材と、
    固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、
    前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、
    該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、
    を備え、
    前記複数のノズル開口は、複数のノズル列を形成しており、
    前記信号修正手段は、前記液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル列毎に修正するようになっていることを特徴とする液体噴射装置。
  4. 同一のノズル列を形成するノズル開口は、同一種類の液体滴を吐出するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
  5. 同一のノズル列を形成するノズル開口は、同一色のインク滴を吐出するようになっていることを特徴とする請求項3に記載の液体噴射装置。
  6. 前記逆起電力周期測定手段は、
    各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号から、当該逆起電力信号の隣接する極大値または隣接する極小値を抽出するピーク値抽出手段と、
    該ピーク値抽出手段により抽出された前記逆起電力信号の隣接する極大値間または隣接する極小値間の間隔を当該逆起電力信号の周期として把握するピーク間隔把握手段と、を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体噴射装置。
  7. 前記逆起電力周期測定手段は、
    各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号を、適宜のサンプリング周期で2値化する2値化手段と、
    該2値化手段により2値化されたデータ列の繰り返し周期を各逆起電力信号の周期として把握するデータ列周期把握手段と、
    を有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の液体噴射装置。
  8. 前記圧電部材は、たわみ型の圧電振動子を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の液体噴射装置。
  9. 前記電気駆動手段が前記圧電部材に供給する前記固有周期測定用の電気駆動信号は、
    前記圧力発生室を膨張させて内部を減圧するような電圧勾配を前記圧電部材に供給する第1傾斜電圧部と、
    当該減圧状態を維持するような電圧を前記圧電部材に供給する第1電圧維持部と、
    前記圧力発生室を収縮させて内部を加圧するような電圧勾配を前記圧電部材に供給する第2傾斜電圧部と、
    当該加圧状態を維持するような電圧を前記圧電部材に供給する第2電圧維持部と、
    前記圧力発生室を元の状態に戻すような電圧勾配を前記圧電部材に供給する第3傾斜電圧部と、を有していることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の液体噴射装置。
  10. ノズル開口と、前記ノズル開口に連通すると共に液体を収容可能な圧力発生室と、該圧力発生室に液体を供給する液体供給路と、前記圧力発生室を変形させてノズル開口から液体滴を吐出させる圧電部材と、を有するヘッド部材を備えた液体噴射装置を制御する制御装置であって、
    固有周期測定用の電気駆動信号を圧電部材に供給する電気駆動手段と、
    前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の前記圧電部材の残留振動に基づく逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、
    該逆起電力周期計測手段によって計測された前記逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする制御装置。
  11. 複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材を備えた液体噴射装置を制御する制御装置であって、
    固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、
    前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、
    逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル開口毎に修正する信号修正手段と、を備えたことを特徴とする制御装置。
  12. 複数のノズル開口と、各ノズル開口にそれぞれ連通すると共に液体を収容可能な複数の圧力発生室と、各圧力発生室に液体を供給する複数の液体供給路と、各圧力発生室をそれぞれ変化させて各ノズル開口から液体滴を吐出させる複数の圧電部材と、を有するヘッド部材を備え、複数のノズル開口は複数のノズル列を形成している液体噴射装置を制御する制御装置であって、
    固有周期測定用の電気駆動信号を各圧電部材に供給する電気駆動手段と、
    前記固有周期測定用の電気駆動信号が供給された後の各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号の周期を測定する逆起電力周期測定手段と、
    該逆起電力周期計測手段によって計測された各逆起電力信号の周期に基づいて、液体噴射作業用の駆動信号を修正する信号修正手段と、を備え、
    前記信号修正手段は、液体噴射作業用の駆動信号を各ノズル列毎に修正するようになっていることを特徴とする制御装置。
  13. 前記逆起電力周期測定手段は、
    各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号から、当該逆起電力信号の隣接する極大値または隣接する極小値を抽出するピーク値抽出手段と、
    該ピーク値抽出手段により抽出された前記逆起電力信号の隣接する極大値間または隣接する極小値間の間隔を当該逆起電力信号の周期として把握するピーク間隔把握手段と、を有していることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の制御装置。
  14. 逆起電力周期測定手段は、
    各圧電部材の残留振動に基づく各逆起電力信号を、適宜のサンプリング周期で2値化する2値化手段と、
    該2値化手段により2値化されたデータ列の繰り返し周期を各逆起電力信号の周期として把握するデータ列周期把握手段と、を有していることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の制御装置。
  15. 少なくとも1台のコンピュータを含むコンピュータシステムによって実行されて、前記コンピュータシステムに請求項10乃至14のいずれかに記載の制御装置を実現させるプログラム。
  16. 少なくとも1台のコンピュータを含むコンピュータシステム上で動作する第2のプログラムを制御する命令が含まれており、
    前記コンピュータシステムによって実行されて、前記第2のプログラムを制御して、前記コンピュータシステムに請求項10乃至14のいずれかに記載の制御装置を実現させるプログラム。
JP2003150859A 2003-05-28 2003-05-28 液体噴射装置 Withdrawn JP2004351704A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003150859A JP2004351704A (ja) 2003-05-28 2003-05-28 液体噴射装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003150859A JP2004351704A (ja) 2003-05-28 2003-05-28 液体噴射装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004351704A true JP2004351704A (ja) 2004-12-16

Family

ID=34046544

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003150859A Withdrawn JP2004351704A (ja) 2003-05-28 2003-05-28 液体噴射装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004351704A (ja)

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006218727A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置
JP2007030344A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置及びヘッド駆動方法
JP2007111981A (ja) * 2005-10-20 2007-05-10 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、及び、その制御方法
JP2007216581A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Fujifilm Corp 液体吐出装置及び圧力検出方法
JP2007223272A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Seiko Epson Corp 固有振動周期測定装置、及び、固有振動周期測定方法
JP2007245463A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、固有振動周期測定装置
JP2011056964A (ja) * 2010-12-24 2011-03-24 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置、インクジェットプリンタのヘッド駆動方法
JP2011140244A (ja) * 2011-04-25 2011-07-21 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置及びヘッド駆動方法
JP2012045957A (ja) * 2011-12-08 2012-03-08 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置、インクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタのヘッド駆動方法
JP2012179879A (ja) * 2011-03-03 2012-09-20 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、検査方法およびプログラム
JP2015150855A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 セイコーインスツル株式会社 液体吐出装置
US11850841B2 (en) 2020-11-17 2023-12-26 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting apparatus

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4729935B2 (ja) * 2005-02-10 2011-07-20 セイコーエプソン株式会社 インクジェットプリンタ、インクジェットプリンタのヘッド駆動装置、インクジェットプリンタのヘッド駆動方法
JP2006218727A (ja) * 2005-02-10 2006-08-24 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置
JP2007030344A (ja) * 2005-07-27 2007-02-08 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置及びヘッド駆動方法
JP2007111981A (ja) * 2005-10-20 2007-05-10 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、及び、その制御方法
JP2007216581A (ja) * 2006-02-17 2007-08-30 Fujifilm Corp 液体吐出装置及び圧力検出方法
JP2007223272A (ja) * 2006-02-27 2007-09-06 Seiko Epson Corp 固有振動周期測定装置、及び、固有振動周期測定方法
JP2007245463A (ja) * 2006-03-15 2007-09-27 Seiko Epson Corp 液体噴射装置、固有振動周期測定装置
JP2011056964A (ja) * 2010-12-24 2011-03-24 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置、インクジェットプリンタのヘッド駆動方法
JP2012179879A (ja) * 2011-03-03 2012-09-20 Seiko Epson Corp 液体吐出装置、検査方法およびプログラム
JP2011140244A (ja) * 2011-04-25 2011-07-21 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置及びヘッド駆動方法
JP2012045957A (ja) * 2011-12-08 2012-03-08 Seiko Epson Corp インクジェットプリンタのヘッド駆動装置、インクジェットプリンタ及びインクジェットプリンタのヘッド駆動方法
JP2015150855A (ja) * 2014-02-18 2015-08-24 セイコーインスツル株式会社 液体吐出装置
US11850841B2 (en) 2020-11-17 2023-12-26 Seiko Epson Corporation Liquid ejecting apparatus

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4251912B2 (ja) 画像形成装置
JP3419401B2 (ja) インクジェット式記録ヘッドの製造方法、及び、インクジェット式記録ヘッド
JP3264422B2 (ja) インクジェット式プリントヘッドの駆動装置及び駆動方法
US6598950B1 (en) Ink jet recording apparatus and method of driving ink jet recording head incorporated in the same
US20150116400A1 (en) Image forming apparatus including recording head for ejecting liquid droplets
JP6547364B2 (ja) 液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法、及び、液体吐出装置の制御プログラム
JP2004351704A (ja) 液体噴射装置
JP2003334949A (ja) 液体噴射ヘッドの固有振動周期測定方法、及び固有振動周期測定装置、並びに、液体噴射ヘッド、及び液体噴射装置
JP6326863B2 (ja) 液体吐出装置、及び残留振動検出方法
JP2003034019A (ja) 液体噴射装置
JP3671932B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、その駆動方法
JP2004058606A (ja) 液体噴射装置
JP6003128B2 (ja) インクジェット記録装置及びインクジェット記録ヘッドの駆動制御方法
JP2005041039A (ja) 画像形成装置
JP4342781B2 (ja) インクジェット記録装置、画像形成装置、液滴を吐出する装置
JP2003103777A (ja) 液体噴射装置
JP3636129B2 (ja) インクジェット式記録装置、及び、その駆動方法
JP3965845B2 (ja) インクジェット式記録装置
JP2004351703A (ja) 固有周期計測装置及びその計測方法
CN111746116B (zh) 液体喷出装置的致动器驱动电路及印刷控制装置
JP4529515B2 (ja) 液体噴射装置
JP3988130B2 (ja) 液体噴射装置
JP3419372B2 (ja) インクジェット式記録装置
JPH11268266A (ja) インクジェット記録装置の駆動方法
JP2001270092A (ja) アクチュエータ装置及びインクジェット式記録装置、およびそれらを駆動させるためのプログラムが格納された記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060529

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070525

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070719