JP2004350639A - 苗移植機 - Google Patents
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Abstract
【課題】苗移植機において、操舵する前輪が圃場面に対して滑ったり空転したりしやすく、進行方向の修正が想うように円滑に行えないことがある。また、走行車体の前後でステップフロアの高さが異なるので、このステップフロアの段差を気にかけながら該フロア上を移動しなければならず、苗植付部への苗補給作業において余計な疲労を生じるおそれがある。
【解決手段】苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成した。また、前後方向において前輪6の前端から後輪7の後端までの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けた。
【選択図】 図1
【解決手段】苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成した。また、前後方向において前輪6の前端から後輪7の後端までの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けた。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、苗移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用型田植機等の苗移植機において、前輪及び後輪を設けた走行車体の後側に苗植付部を装着し、前記前輪を操舵して機体を操向する構成とすると共に、前後方向において前輪の前端から後輪の後端までの間に座席を設けたものが知られている。この苗移植機は、前輪及び後輪の上方にステップフロアを設けているが、後輪の車輪径が前輪の車輪径より大きくなっているため、前輪の上方に位置する座席の前側部分のステップフロアより後輪の上方に位置する座席の後側部分のステップフロアが高位となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種の苗移植機は、後輪に大きなラグを備えており、車輪の回転方向から見て後輪のラグ面を前輪のラグ面より広く構成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平5ー146204号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の苗移植機は、操舵する前輪の車輪径が後輪の車輪径より小さくなっているため、例えば直進しながら植付作業を行うべく、機体の進行方向を修正する場合に、前輪の接地面積が後輪に比較して小さくなるので、前輪が圃場面に対して滑ったり空転したりしやすく、進行方向の修正が想うように円滑に行えないことがある。更には、車輪の回転方向から見て後輪のラグ面を前輪のラグ面より広く構成しているため、進行方向の修正が円滑に行えない傾向が大きい。
【0006】
また、走行車体の前後でステップフロアの高さが異なるので、走行車体に搭乗する作業者が走行車体の後側の苗植付部へ苗補給する際に、ステップフロアの段差を気にかけながら該フロア上を移動しなければならないので、この苗補給作業において余計な疲労を生じるおそれがある。また、ステップフロアの高さが異なるために、場合によっては作業者が足をつまずかせる等の危険を伴うおそれがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着し、前記前輪6を操舵して機体を操向する構成の苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成したことを特徴とする苗移植機とした。
【0008】
従って、請求項1に記載の苗移植機は、前輪6及び後輪7により走行車体2を走行させながら苗植付部4により圃場に苗を植え付けていく。必要に応じて、前輪6を操舵して、機体の進行方向を修正するべく機体を走行させる。このとき、前輪6の車輪径が後輪7の車輪径と同径であり、更には車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成しているので、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度かそれより大きくなり、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われる。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着した苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成すると共に、前後方向において前輪6の前端から後輪7の後端までの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けたことを特徴とする苗移植機とした。
【0010】
従って、請求項2に記載の苗移植機は、前輪6及び後輪7により走行車体2を走行させながら苗植付部4により圃場に苗を植え付けていく。必要に応じて、前輪6を操舵して、機体の進行方向を修正するべく機体を走行させる。このとき、前輪6の車輪径が後輪7の車輪径と同径であるので、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度になり、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われる。そして、平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けているので、走行車体2に搭乗する作業者が苗植付部4へ苗補給する際に、作業者が足をつまずかせる等の危険度が小さくなり、ステップフロア18上の移動が容易に行え、この苗補給作業を楽に行える。
【0011】
【発明の効果】
よって、請求項1に記載の苗移植機により、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度かそれより大きくなるため、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われ、植付作業を容易に所望の走行経路で行える。
【0012】
また、請求項2に記載の苗移植機により、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度になるため、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われ、植付作業を容易に所望の走行経路で行える。しかも、作業者が苗植付部4への苗補給作業を楽に行え、植付作業の作業性又は作業能率が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された実施の形態について説明する。
図1及び図2は、乗用型田植機1の全体側面図及び平面図である。この乗用型田植機1は、走行車体2の後方に昇降リンク装置3を介して4条植の苗植付部4を昇降可能に設けている。また、走行車体2の前部左右両端部には、各2段づつの苗台を備える予備苗枠5をそれぞれ設けている。また、走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪6及び後輪7を備えた四輪駆動車両である。
【0014】
前記前輪6は、スポ−ク6aに円環状に金属製のパイプ材を曲げて構成されるリム6bを固着し、このリム6bの全周をゴムでモ−ルドした構造となっており、ゴムモ−ルド部分で該車輪6の外周に所定間隔ごとにラグ6c(スパイク)を構成している。前記後輪7は、スポ−ク7aに金属製の円環状リム7bを固着し、このリム7bに装着したゴム製のタイヤ7cの内部に所定圧のエアを充填した空気入り車輪であり、該車輪7の接地面(タイヤ7cの外周面及び側面)が突起物又は溝のない滑らかな曲面状になっている。尚、後輪7は、接地面に若干のラグを設けた構成としてもよい。そして、前輪6と後輪7との車輪の直径は同じ直径になっている。
【0015】
図1に示すように、機体の前部に配設されたミッションケース8の左右側面部から前輪アクスルケース(図示せず)を側方に延設し、その先端部に前輪ファイナルケース9を設けている。該前輪ファイナルケース9の下部9aは、上下方向の軸回りに変向可能に設けられ、前輪6を回転自在に支承している。また、ミッションケース8の背面部に左右一対のメインフレーム10の前端部が固着され、該メインフレーム10の後端部から昇降リンク装置3を支持する左右一対のリンク支持フレーム11が上向きに突設されている。
【0016】
メインフレーム10の前後中央部の上方に原動機となる電動モ−タ12が搭載されており、該電動モ−タ12の上側を覆うモ−タカバー13の上に座席14が設置されている。カバー13内の電動モ−タ12の上方には、該モ−タ12へ電力を供給するバッテリー15が配置されている。尚、このバッテリー15を燃料電池としてもよい。座席14の前方は各種操作機構が内蔵されたボンネット16で、その上方に操向輪である前輪6を操向するための操向ハンドル17が設けられている。カバー13及びボンネット16の周囲は、人が移動したり作業を行ったりするためのステップフロア18になっている。尚、該ステップフロア18は、樹脂で構成されている。
【0017】
操向ハンドル17の左側にはミッションケース8内のギヤ変速機構を操作する変速レバー19と前後輪6,7及び苗植付部4の駆動を入切する主クラッチレバー20を設け、操向ハンドル17の右側には苗植付部4を昇降操作したり苗植付部4を駆動させる植付クラッチを操作する植付昇降レバー21とスロットルレバー22とを設けている。また、座席14の前方の左側には主クラッチペダル23を設けており、該主クラッチペダル23でも前後輪6,7及び苗植付部4の駆動を入切できる構成となっている。操向ハンドル17の下方右側には、植付昇降レバー21とは別に苗植付部4を昇降操作したり苗植付部4を駆動させる植付クラッチを操作する自動復帰式の上下操作スイッチ24を設けている。この上下操作スイッチ24により、機体の畦際旋回時に操向ハンドル17を操作しながら苗植付部4の昇降操作や駆動入切操作を容易に行える。
【0018】
機体の前端部にはフロントア−ム25を設けており、このフロントア−ム25を左右方向の軸25a回りに前側へ回動させて突出させることができる。トラックへの積込時や畦越え時等に機体の前部が浮き上がりそうなときは、作業者が機体から降りてこのフロントア−ム25を前方へ突出させた状態で押えることにより、安全に作業をすることができる。フロントア−ム25を前方へ回動させたとき、該ア−ム25が操向ハンドル17と連結され、その状態で該ア−ム25を左右に回動させることにより、前輪6を操向させることができる。
【0019】
図2及び図4に示すように、操向ハンドル17は、ボンネット16に対してハンドルポスト部26を前側に傾動させることにより機体前方へ向けることができ、作業者が機体から降りた状態でも操作できるようになっている。ハンドルポスト部26の前側への傾動に伴って該ポスト部26に設けた上下操作スイッチ24も前側へ移動し、作業者が機体から降りた状態で上下操作スイッチ24を操作できる。上下操作スイッチ24は、ステアリング軸回りに回動可能なハンドルポスト部26の中途部26aに設けられ、前記中途部26aを回動することにより操向ハンドル17との位置関係を変更することができる。よって、操向ハンドル17を機体前方へ向けたときは、前記中途部26aを180度回動させて上下操作スイッチ24を操向ハンドル17に対して左寄りに位置させると、機体前側から後側を向いて操作する作業者から見て上下操作スイッチ24が操向ハンドル17に対して右寄りに配置され、操向ハンドル17に対する上下操作スイッチ24の位置が座席14に座って操作する通常状態と同じ位置関係になり、違和感なく上下操作スイッチ24を操作でき、操作性が向上する。このように、ハンドルポスト部26に設けた操作具(上下操作スイッチ24)をステアリング軸回りに180度回動させることにより、作業者の前後の向きが変わっても作業者から見て操作具の前後方向及び左右方向の向きが変わらないので、操作具を操作しやすい。尚、上述のように上下操作スイッチ24を操向ハンドル17に対して右寄りに配置すると右利きの作業者が操作しやすくなるが、操作具(上下操作スイッチ24)を作業者から見て操向ハンドル17に対して左寄りに配置して左利きの作業者が操作しやすいようにすることもできる。
【0020】
従来、特開2001−206255号公報に示されるように、ハンドルポスト部の前側への傾動で該ハンドルポスト部に設けた操作具を前側へ移動させ、操作具を機体前側から後側を向いて操作する作業者が操作できるようにしたものがあるが、作業者から見て操作具の前後方向及び左右方向の向きが変わるので操作具の操作に違和感を生じて誤操作するおそれがある。
【0021】
ステップフロア18は、ボンネット16の左右側方及び後方とモ−タカバー13の全周とを囲むように構成され、前後方向において機体前端からモ−タカバー13の後側にまで亘って同じ高さで平面状に構成されている。従って、ステップフロア18の後端部は座席14の後側で左右に連続的に設けられ、作業者が前記後端部を左右に移動しながら苗植付部4の苗載台27の左右に配置された各条苗載部27aへ苗補給することができる。また、ステップフロア18が走行車体2の前端から後端まで設けられているので、機体前端を畦に近づけた状態で畦から直接前記苗載台27へ苗補給したり走行車体2前部の予備苗枠5から前記苗載台27へ苗補給したりすることができ、これらの苗補給作業を容易に行える。
【0022】
尚、ステップフロア18上に表面に所定の配置パタ−ンの凹凸を有するゴム製のステップマットを敷設し、作業者が足を滑らせるのを抑えた構成としてもよい。尚、ステップフロア18の上面にその略全面に亘って所定の配置パタ−ンで凹凸を設け、作業者が足を滑らせるのを抑えた構成としてもよい。
【0023】
次に、この走行車体2の動力伝達機構について説明すると、先ず電動モ−タ12の左側面部にモ−タ出力軸12aが突出し、そのモ−タ出力軸12aの回転動力が、第一ベルト伝動装置28及び第二ベルト伝動装置29を介して、ミッションケース8の左側面部に突出するミッション入力軸8aに伝達される。また、モ−タ出力軸12aの延長線上で第一ベルト伝動装置28よりも外側に油圧ポンプ30が設けられ、モ−タ出力軸12aの回転動力でこの油圧ポンプ30が直接駆動される。このように第一ベルト伝動装置28や第二ベルト伝動装置29よりも伝動上手側から回転動力を取ることにより、ベルトのスリップや脈動による影響を受けず油圧ポンプ30の回転を安定させることができる。
【0024】
ベルト伝動装置28,29を介してミッション入力軸8aに入力された回転動力は、ミッションケース8内のギヤ変速機構により、噛み合う変速ギヤの組合せを変更することにより、走行車体2を前進させる「路上走行速」並びに「通常植付速」、前輪6及び後輪7への伝動を断つ「中立」、走行車体2を後進させる「後進速」の各シフト位置に変速する構成となっている。そして、ギヤ変速機構からの伝動は、前輪6及び後輪7へ伝動する走行用伝動経路と苗植付部4へ伝動する植付部用伝動経路とに分岐される。前記走行用伝動経路において、左右の前輪アクスルに分配して伝達された動力は、前輪ファイナルケース9に伝動されて前輪6を駆動する。また、ミッションケース8の後部から後輪伝動軸31を介して後輪ファイナルケース32に伝達されて後輪7を駆動する。植付部用伝動経路は、ミッションケース8の右側からPTO伝動軸33を介して苗植付部4へ伝動する構成となっている。ミッションケース8内の植付部用伝動経路には、該伝動経路の伝動を断つことができる植付クラッチ(定位置停止クラッチ)を設けている。尚、前記後輪ファイナルケース32は、前輪ファイナルケース9と同様にその下部32aを上下方向の軸回りに変向可能に設けており、前記下部32aに後輪7を回転自在に支承している。
【0025】
ここで、図3及び図4に基づいて操向ハンドル17による前輪6の操舵の連繋機構について説明すると、操向ハンドル17と一体回転するピニオンギヤ34の回転により、該ピニオンギヤ34と噛み合うラック体35を前後移動させ、このラック体35の後端に連結される連動ロッド36を前後移動させる。尚、ピニオンギヤ34の右側にラック体35を設けており、操向ハンドル17を左へ回動操作するとラック体35が前側へ移動し、逆に右へ回動操作するとラック体35が後側へ移動する。前記連動ロッド36の他端を操向用入力ア−ム37に連結し、連動ロッド36の前後移動に伴って操向用入力ア−ム37を前後に回動させ、該ア−ム37と一体回転する左右方向の操向用回動軸38を回動させ、該軸38の左右端にそれぞれ設けた操向用出力ア−ム39L,39Rを回動させる。尚、操向用入力ア−ム37と連動ロッド36との連結位置は操向用回動軸38より上側にあり、ラック体35すなわち連動ロッド36が前側へ移動すると機体の進行方向左側から見て(図4視で)操向用回動軸38が左方向(図3及び図4の実線方向)へ回動し、逆に後側へ移動すると機体の進行方向左側から見て操向用回動軸38が右方向(図3及び図4の破線方向)へ回動する。左側の操向用出力ア−ム39Lは操向用回動軸38より上側位置で左側の前輪操舵ロッド40Lを連結し、該左側の前輪操舵ロッド40Lの他端が左側の前輪ファイナルケース9の下部9aにその内側(右側)で連結されている。また、右側の操向用出力ア−ム39Rは操向用回動軸38より下側位置で右側の前輪操舵ロッド40Rを連結し、該右側の前輪操舵ロッド40Rの他端が右側の前輪ファイナルケース9の下部9aにその内側(左側)で連結されている。従って、操向ハンドル17を左へ回動操作すると、左前輪操舵ロッド40Lが前側へ移動して左前輪6を左操舵すると共に右前輪操舵ロッド40Rが後側へ引かれて移動して右前輪6を左操舵する。逆に、操向ハンドル17を右へ回動操作すると、左前輪操舵ロッド40Lが後側へ引かれて移動して左前輪6を右操舵すると共に右前輪操舵ロッド40Rが前側へ移動して右前輪6を右操舵する。
【0026】
また、左右の後輪ファイナルケース32の下部32aに後輪操舵ロッド41L,41Rがそれぞれ連結され、通常は該後輪操舵ロッド41L,41Rの他端をそれぞれ機体側の固定具42に固定することにより、後輪ファイナルケース32の下部32aが回動せず、後輪7が操向せずに真直に向いた状態で固定される。従って、このときは、操向ハンドル17の操作により前輪6のみが操舵される前輪操舵状態となる。
【0027】
そして、左右の後輪操舵ロッド41L,41Rを固定具42から外し、左後輪操舵ロッド41Lを左側の操向用出力ア−ム39Lに操向用回動軸38より下側位置で連結し、右後輪操舵ロッド41Rを右側の操向用出力ア−ム39Rに操向用回動軸38より上側位置で連結することができる。尚、前記操向用出力ア−ム39L,39Rは、機体側面視で操向用回動軸38から上下に延びた形状であり、上下端のうちの一方に前輪操舵ロッド40L,40R、他方に後輪操舵ロッド41L,41Rを連結できる構成となっている。従って、操向ハンドル17を左へ回動操作すると、左後輪操舵ロッド41Lが後側へ移動して左後輪7を右側へ操舵すると共に右後輪操舵ロッド41Rが前側へ引かれて移動して右後輪7を右側へ操舵する。逆に、操向ハンドル17を右へ回動操作すると、左後輪操舵ロッド41Lが前側へ引かれて移動して左後輪7を左側へ操舵すると共に右後輪操舵ロッド41Rが後側へ移動して右後輪7を左側へ操舵する。よって、前輪6の操向方向と反対側に後輪7が操向し、前後輪6,7共に操向して機体が小回り旋回することのできる四輪操舵状態(4WS)となる。この四輪操舵状態(4WS)にすることで、小回り旋回が可能になるので、山間地等の変形田でも圃場の畦に沿って走行させたり、屈曲の多い畦道を走行させたりすることができる。
【0028】
尚、上述のように左右の後輪操舵ロッド41L,41Rをそれぞれ操向用出力ア−ム39L,39Rに連結した状態で、左右の前輪操舵ロッド40L,40Rをそれぞれ機体側の固定具42に固定することにより、前輪ファイナルケース9の下部9aが回動せず、前輪6が操向せずに真直に向いた状態で固定される。従って、このときは、操向ハンドル17の操作により後輪7のみが操舵される後輪操舵状態となる。
【0029】
このように、左側の前後輪6,7を走行車体2の左側部に設けた左側作動具(左操向用出力ア−ム39L)からの伝達機構(操舵ロッド40L,41L)で操向させ、右側の前後輪6,7を走行車体2の右側部に設けた右側作動具(右操向用出力ア−ム39R)からの伝達機構(操舵ロッド40R,41L)で操向させる構成としたので、前記作動具及び伝達機構が走行車体2の左右側部に振り分けて配置され、これらのメンテナンスや操舵状態の切替を走行車体2の左右側方から該車体2いいかえるとステップフロア18の下方に少し潜り込んで行えばよいため、前記メンテナンスや操舵状態の切替が容易である。更に、それぞれの車輪6,7を操向させる操舵ロッド40L,40R,41L,41Rを前後方向に向け、全ての操舵ロッド40L,40R,41L,41Rを左右方向の操向用回動軸38回りに一体回転する部材(操向用出力ア−ム39L,39R)に連結したので、四輪操舵機構を簡単にできてコストダウンが図れる。しかも、作動具への操舵ロッドの連結、非連結で操舵状態を切り替える構成としたので、構造の簡素化が図れてコストダウンが図れる。
【0030】
従来、左右の前輪を操向させる前側の作動具と左右の後輪を操向させる後側の作動具とが走行車体の左右中央に配置され、それぞれ上下方向の軸回りに回動する構成とし、双方の作動具をロッドで連結した四輪操舵機構があるが、軸回りに回動する作動具を2個要するので、その分構造が複雑になり、作動具が走行車体の左右中央に配置されるために前記ロッドも走行車体の左右中央に配置され、前記作動具及びロッドのメンテナンスを走行車体の左右方向側方から行うのが困難である。ひいては、前記作動具及びロッド等を操作しての操舵状態の切替が困難になったり、容易に操舵状態を切り替えるための格別の機構を要し構造が複雑になったりする。尚、走行車体の後側に苗植付部等の作業装置があると、走行車体の後側からメンテナンスや操舵状態の切替を行うことが困難であるので、走行車体の前側又は左右方向側方から行わざるを得ない。
【0031】
ところで、この乗用型田植機1は、伝動経路に格別に主クラッチを設けておらず、主クラッチレバー20又は主クラッチペダル23を伝動「切」側に操作したことを主クラッチセンサ43で検出すると、図6に示すように電動モータ12の接点スイッチ44が(イ)の接続状態から離れて(ロ)状態になり、電動モータ12が強制駆動されずに惰性で回転する状態となる。そして、左右一方の後輪伝動軸31の回転が停止状態に近い低回転になったことを後輪伝動軸センサ45により検出して走行速度が微速になったことを検出すると、前記接点スイッチ44が(ハ)状態となり電動モータ12の両端子が接続され、逆起電力により回生ブレーキが生じ、傾斜地でも機体の走行が確実に停止するようになっている。これにより、主クラッチレバー20又は主クラッチペダル23を操作しても、即座に回生ブレーキにより走行が急停止しないようになりジャックナイフを起こすのを防止でき、安全に走行停止できる。また、従来のように伝動経路に格別に主クラッチ及び駐車ブレーキを設ける必要がなく、機体をコンパクトに構成できると共にコストダウンが図れる。尚、作業者がブレーキペダルを操作したときは、後輪伝動軸センサ45による走行速度の検出にかかわらず電動モータ12に逆起電力により回生ブレーキを生じさせて急停止できるようにすれば、更に安全性が高まる。
【0032】
昇降リンク装置3は、前記リンク支持フレーム11に上リンク46及び下リンク47が1本づつ回動自在に支持され、これら各リンク46,47の後端部に連結枠48が枢結されている。連結枠48には苗植付部4から前方に突出するローリング軸(図示せず)が挿入され、苗植付部4がローリング自在に連結されている。上リンク46と一体回動するスイングアーム50が設けられ、メインフレーム10に基部側が支持された油圧式の昇降シリンダ51のピストンロッドが上記スイングアーム50に連結されている。この油圧式の昇降シリンダ51を伸縮させると、各リンク46,47が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。油圧式の昇降シリンダ51を制御する油圧バルブ52は、機体右側部のステップフロア18の下側に設けられている。また、上リンク46及び下リンク47の中途部には、それぞれ油圧式の上リンクシリンダ46aと下リンクシリンダ47aとが設けられ、それぞれのシリンダ46a,47aの伸縮で上リンク46及び下リンク47のリンク長を変更する構成となっている。尚、上リンクシリンダ46a及び下リンクシリンダ47aへの油圧供給を制御する上リンクシリンダバルブ及び下リンクシリンダバルブは、それぞれのシリンダ本体に設けられている。
【0033】
苗植付部4は、伝動機構が内蔵された苗植付部フレーム60に、苗を載せて左右往復動すると共に各条ごとに苗送りベルト61が苗を下方へ搬送すると共に下端部に設けた左右移動レ−ル62に沿って左右移動して該左右移動レ−ル62に備える所定の苗取出口63に一株づつ供給する苗載台27、前記苗取出口63に供給される苗を取り出して表土面に植え付ける4組のクランク式の苗植付装置64、整地用のセンターフロート65及びサイドフロート66等が組み付けられている。センターフロート65は表土面の凹凸を検出するための接地体でもあり、植付作業時には、センターフロート65によって検出される表土面の凹凸に基づき、前記油圧バルブ52を駆動して苗植付部4を昇降制御し、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0034】
苗植付部4には、該苗植付部4の前後傾斜姿勢を検出する植付部前後傾斜センサ67を設けている。この植付部前後傾斜センサ67の検出に基づいて制御部68(コントローラ)を介して上リンクシリンダバルブ及び下リンクシリンダバルブを制御し、圃場の耕盤の凹凸で走行車体2が前後傾斜しても苗植付部4の前後傾斜姿勢を適正に制御し、適正な植付姿勢で苗を植え付けるようにしている。尚、この苗植付部4の前後傾斜姿勢制御においては、上リンクシリンダ46a及び下リンクシリンダ47aの伸縮動作が背反的に行われるようにしている。すなわち、制御により苗植付部4を前傾させるときは上リンク46が縮小すると共に下リンク47が伸張し、逆に苗植付部4を後傾させるときは上リンク46が伸張すると共に下リンク47が縮小する。これにより、連結枠48より後側で苗植付装置64に近い位置を軸心にして苗植付部4を前後回動させることができるので、苗植付部4の前後傾斜姿勢制御に伴って苗植付装置64の対地高さが変化しにくく、該前後傾斜姿勢制御に伴う苗の植付深さの変動を抑えることができ、苗植付部4の昇降制御すなわち植付深さの制御を精度良く適正に行える。尚、苗植付部4の昇降位置すなわち昇降リンク装置3の角度に応じて上リンク46と下リンク47との伸縮量を異ならせ、前後傾斜姿勢制御に伴う苗の植付深さの変動を高精度で的確に抑えるようにしてもよい。また、苗植付部4の昇降制御の出力状態すなわち制御時の苗植付部4の対地高さに応じて、苗の植付深さが適正となる側に苗植付装置64が上下動するように上リンク46又は下リンク47の伸縮量を補正して制御するようにしてもよい。
【0035】
従来の苗植付部の前後傾斜姿勢制御機構は、上リンクのリンク長を伸縮させる構成となっているので、苗植付部前端に位置する下リンクと連結枠との連結軸回りに苗植付部が前後回動し、この苗植付部の前後回動により苗植付部の後端部に設けた苗植付装置の対地高さが変化しやすく、該前後傾斜姿勢制御に伴って苗の植付深さが変動しやすくなり、苗植付部の昇降制御すなわち植付深さの制御に悪影響を与えるおそれがある。
【0036】
以上により、この乗用型田植機1は、前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着し、通常は前記前輪6を操舵して機体を操向する前輪操舵状態とし、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、後輪7にラグを設けないか又は後輪7のラグの突出量を小さくして、車輪6,7の回転方向から見て後輪7のラグ面の面積を小さくし、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成している。また、図1に示されるように、前後方向において前輪車軸6dから後輪車軸7dまでの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けている。
【0037】
従って、この乗用型田植機1は、前輪6及び後輪7により走行車体2を走行させながら苗植付部4により圃場に苗を植え付けていく。必要に応じて、前輪6を操舵して、機体の進行方向を修正するべく機体を走行させる。このとき、前輪6の車輪径が後輪7の車輪径と同径であり、更には車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成しているので、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度かそれより大きくなり、前輪6の走行駆動力が後輪7の走行駆動力より大きくなり、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われ、植付作業を容易に所望の直進走行経路で走行させながら行える。また、畦際での機体の旋回時も円滑に操向することができる。尚、後輪7を空気入り車輪としたので、機体が圃場に沈み込むようなことを抑え、前輪6により機体を牽引しながら円滑に走行させることができる。
【0038】
また、平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けているので、走行車体2に搭乗する作業者が苗植付部4へ苗補給する際に、作業者が足をつまずかせる等の危険度が小さくなり、ステップフロア18上の移動が容易に行え、この苗補給作業を楽に行え、植付作業の作業性又は作業能率が向上する。このとき、ステップフロア18を前後輪6,7の直上位置の高さに配置してステップフロア18の低位化を図っているので、機体が低重心となり車輪6,7のトレッド幅の狭い4条植えの苗移植機において転倒を防止できると共に、前後輪6,7は共にステップフロア18の直下に位置して最大限の車輪径を有しているので、これらの前後輪6,7により圃場で機体を走行させるのに十分な走行駆動力を得ることができる。
【0039】
尚、上述の乗用型田植機1は単一の電動モータ12により前後輪6,7と苗植付部4とを駆動する構成としたが、前後輪駆動用と苗植付部駆動用とで個別の電動モータを設けた構成としてもよい。このとき、苗植付部4駆動用の電動モータ70を苗植付部4側に配置することができるので、走行車体2からの植付クラッチやPTO伝動軸等の苗植付部4への伝動機構が不要になり、機体のコンパクト化が図れる。また、図8に示すように、苗植付部フレーム60内の伝動機構又は苗植付装置64等に苗植付装置64が苗取出口63から苗を掻き取る前の位相になったことを検出する植付位相検出センサ71を設け、該センサ71の検出に基づいて苗植付部4駆動用の電動モータ70に逆起電力を発生させて回生ブレーキを生じさせ、苗植付装置64が所望の定位置で停止するようにすればよい。これにより、苗植付装置64を定位置で精度良く停止させることができると共に、電動モータ70を駆動して苗植付装置64の作動を即座に再開することができる。従来の植付クラッチは駆動側と従動側との位相が所定の位相でしか噛み合わない爪クラッチ式の定位置停止クラッチであるので、植付クラッチにより苗植付装置の作動を再開するとき、走行車体からの伝動が植付クラッチの停止位置の位相に合致してはじめて植付クラッチが伝動状態となるため、苗植付装置を即座に作動させることができず、圃場における植え始め位置が安定しないことがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の側面図
【図2】乗用型田植機の平面図
【図3】車輪の操向機構を示す平面図
【図4】走行車体の一部を示す側面図
【図5】苗植付部の前後傾斜姿勢制御のブロック図
【図6】電動モータの駆動電気回路図
【図7】電動モータの制御のブロック図
【図8】苗植付部駆動用の電動モータの制御のブロック図
【符号の説明】
1…乗用型田植機、2…走行車体、4…苗植付部、6…前輪、6c…前輪のラグ、7…後輪、14…座席、18…ステップフロア
【発明の属する技術分野】
本発明は、苗移植機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、乗用型田植機等の苗移植機において、前輪及び後輪を設けた走行車体の後側に苗植付部を装着し、前記前輪を操舵して機体を操向する構成とすると共に、前後方向において前輪の前端から後輪の後端までの間に座席を設けたものが知られている。この苗移植機は、前輪及び後輪の上方にステップフロアを設けているが、後輪の車輪径が前輪の車輪径より大きくなっているため、前輪の上方に位置する座席の前側部分のステップフロアより後輪の上方に位置する座席の後側部分のステップフロアが高位となっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この種の苗移植機は、後輪に大きなラグを備えており、車輪の回転方向から見て後輪のラグ面を前輪のラグ面より広く構成している。
【0004】
【特許文献1】
特開平5ー146204号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の苗移植機は、操舵する前輪の車輪径が後輪の車輪径より小さくなっているため、例えば直進しながら植付作業を行うべく、機体の進行方向を修正する場合に、前輪の接地面積が後輪に比較して小さくなるので、前輪が圃場面に対して滑ったり空転したりしやすく、進行方向の修正が想うように円滑に行えないことがある。更には、車輪の回転方向から見て後輪のラグ面を前輪のラグ面より広く構成しているため、進行方向の修正が円滑に行えない傾向が大きい。
【0006】
また、走行車体の前後でステップフロアの高さが異なるので、走行車体に搭乗する作業者が走行車体の後側の苗植付部へ苗補給する際に、ステップフロアの段差を気にかけながら該フロア上を移動しなければならないので、この苗補給作業において余計な疲労を生じるおそれがある。また、ステップフロアの高さが異なるために、場合によっては作業者が足をつまずかせる等の危険を伴うおそれがある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着し、前記前輪6を操舵して機体を操向する構成の苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成したことを特徴とする苗移植機とした。
【0008】
従って、請求項1に記載の苗移植機は、前輪6及び後輪7により走行車体2を走行させながら苗植付部4により圃場に苗を植え付けていく。必要に応じて、前輪6を操舵して、機体の進行方向を修正するべく機体を走行させる。このとき、前輪6の車輪径が後輪7の車輪径と同径であり、更には車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成しているので、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度かそれより大きくなり、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われる。
【0009】
また、請求項2に係る発明は、前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着した苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成すると共に、前後方向において前輪6の前端から後輪7の後端までの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けたことを特徴とする苗移植機とした。
【0010】
従って、請求項2に記載の苗移植機は、前輪6及び後輪7により走行車体2を走行させながら苗植付部4により圃場に苗を植え付けていく。必要に応じて、前輪6を操舵して、機体の進行方向を修正するべく機体を走行させる。このとき、前輪6の車輪径が後輪7の車輪径と同径であるので、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度になり、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われる。そして、平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けているので、走行車体2に搭乗する作業者が苗植付部4へ苗補給する際に、作業者が足をつまずかせる等の危険度が小さくなり、ステップフロア18上の移動が容易に行え、この苗補給作業を楽に行える。
【0011】
【発明の効果】
よって、請求項1に記載の苗移植機により、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度かそれより大きくなるため、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われ、植付作業を容易に所望の走行経路で行える。
【0012】
また、請求項2に記載の苗移植機により、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度になるため、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われ、植付作業を容易に所望の走行経路で行える。しかも、作業者が苗植付部4への苗補給作業を楽に行え、植付作業の作業性又は作業能率が向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面に表された実施の形態について説明する。
図1及び図2は、乗用型田植機1の全体側面図及び平面図である。この乗用型田植機1は、走行車体2の後方に昇降リンク装置3を介して4条植の苗植付部4を昇降可能に設けている。また、走行車体2の前部左右両端部には、各2段づつの苗台を備える予備苗枠5をそれぞれ設けている。また、走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪6及び後輪7を備えた四輪駆動車両である。
【0014】
前記前輪6は、スポ−ク6aに円環状に金属製のパイプ材を曲げて構成されるリム6bを固着し、このリム6bの全周をゴムでモ−ルドした構造となっており、ゴムモ−ルド部分で該車輪6の外周に所定間隔ごとにラグ6c(スパイク)を構成している。前記後輪7は、スポ−ク7aに金属製の円環状リム7bを固着し、このリム7bに装着したゴム製のタイヤ7cの内部に所定圧のエアを充填した空気入り車輪であり、該車輪7の接地面(タイヤ7cの外周面及び側面)が突起物又は溝のない滑らかな曲面状になっている。尚、後輪7は、接地面に若干のラグを設けた構成としてもよい。そして、前輪6と後輪7との車輪の直径は同じ直径になっている。
【0015】
図1に示すように、機体の前部に配設されたミッションケース8の左右側面部から前輪アクスルケース(図示せず)を側方に延設し、その先端部に前輪ファイナルケース9を設けている。該前輪ファイナルケース9の下部9aは、上下方向の軸回りに変向可能に設けられ、前輪6を回転自在に支承している。また、ミッションケース8の背面部に左右一対のメインフレーム10の前端部が固着され、該メインフレーム10の後端部から昇降リンク装置3を支持する左右一対のリンク支持フレーム11が上向きに突設されている。
【0016】
メインフレーム10の前後中央部の上方に原動機となる電動モ−タ12が搭載されており、該電動モ−タ12の上側を覆うモ−タカバー13の上に座席14が設置されている。カバー13内の電動モ−タ12の上方には、該モ−タ12へ電力を供給するバッテリー15が配置されている。尚、このバッテリー15を燃料電池としてもよい。座席14の前方は各種操作機構が内蔵されたボンネット16で、その上方に操向輪である前輪6を操向するための操向ハンドル17が設けられている。カバー13及びボンネット16の周囲は、人が移動したり作業を行ったりするためのステップフロア18になっている。尚、該ステップフロア18は、樹脂で構成されている。
【0017】
操向ハンドル17の左側にはミッションケース8内のギヤ変速機構を操作する変速レバー19と前後輪6,7及び苗植付部4の駆動を入切する主クラッチレバー20を設け、操向ハンドル17の右側には苗植付部4を昇降操作したり苗植付部4を駆動させる植付クラッチを操作する植付昇降レバー21とスロットルレバー22とを設けている。また、座席14の前方の左側には主クラッチペダル23を設けており、該主クラッチペダル23でも前後輪6,7及び苗植付部4の駆動を入切できる構成となっている。操向ハンドル17の下方右側には、植付昇降レバー21とは別に苗植付部4を昇降操作したり苗植付部4を駆動させる植付クラッチを操作する自動復帰式の上下操作スイッチ24を設けている。この上下操作スイッチ24により、機体の畦際旋回時に操向ハンドル17を操作しながら苗植付部4の昇降操作や駆動入切操作を容易に行える。
【0018】
機体の前端部にはフロントア−ム25を設けており、このフロントア−ム25を左右方向の軸25a回りに前側へ回動させて突出させることができる。トラックへの積込時や畦越え時等に機体の前部が浮き上がりそうなときは、作業者が機体から降りてこのフロントア−ム25を前方へ突出させた状態で押えることにより、安全に作業をすることができる。フロントア−ム25を前方へ回動させたとき、該ア−ム25が操向ハンドル17と連結され、その状態で該ア−ム25を左右に回動させることにより、前輪6を操向させることができる。
【0019】
図2及び図4に示すように、操向ハンドル17は、ボンネット16に対してハンドルポスト部26を前側に傾動させることにより機体前方へ向けることができ、作業者が機体から降りた状態でも操作できるようになっている。ハンドルポスト部26の前側への傾動に伴って該ポスト部26に設けた上下操作スイッチ24も前側へ移動し、作業者が機体から降りた状態で上下操作スイッチ24を操作できる。上下操作スイッチ24は、ステアリング軸回りに回動可能なハンドルポスト部26の中途部26aに設けられ、前記中途部26aを回動することにより操向ハンドル17との位置関係を変更することができる。よって、操向ハンドル17を機体前方へ向けたときは、前記中途部26aを180度回動させて上下操作スイッチ24を操向ハンドル17に対して左寄りに位置させると、機体前側から後側を向いて操作する作業者から見て上下操作スイッチ24が操向ハンドル17に対して右寄りに配置され、操向ハンドル17に対する上下操作スイッチ24の位置が座席14に座って操作する通常状態と同じ位置関係になり、違和感なく上下操作スイッチ24を操作でき、操作性が向上する。このように、ハンドルポスト部26に設けた操作具(上下操作スイッチ24)をステアリング軸回りに180度回動させることにより、作業者の前後の向きが変わっても作業者から見て操作具の前後方向及び左右方向の向きが変わらないので、操作具を操作しやすい。尚、上述のように上下操作スイッチ24を操向ハンドル17に対して右寄りに配置すると右利きの作業者が操作しやすくなるが、操作具(上下操作スイッチ24)を作業者から見て操向ハンドル17に対して左寄りに配置して左利きの作業者が操作しやすいようにすることもできる。
【0020】
従来、特開2001−206255号公報に示されるように、ハンドルポスト部の前側への傾動で該ハンドルポスト部に設けた操作具を前側へ移動させ、操作具を機体前側から後側を向いて操作する作業者が操作できるようにしたものがあるが、作業者から見て操作具の前後方向及び左右方向の向きが変わるので操作具の操作に違和感を生じて誤操作するおそれがある。
【0021】
ステップフロア18は、ボンネット16の左右側方及び後方とモ−タカバー13の全周とを囲むように構成され、前後方向において機体前端からモ−タカバー13の後側にまで亘って同じ高さで平面状に構成されている。従って、ステップフロア18の後端部は座席14の後側で左右に連続的に設けられ、作業者が前記後端部を左右に移動しながら苗植付部4の苗載台27の左右に配置された各条苗載部27aへ苗補給することができる。また、ステップフロア18が走行車体2の前端から後端まで設けられているので、機体前端を畦に近づけた状態で畦から直接前記苗載台27へ苗補給したり走行車体2前部の予備苗枠5から前記苗載台27へ苗補給したりすることができ、これらの苗補給作業を容易に行える。
【0022】
尚、ステップフロア18上に表面に所定の配置パタ−ンの凹凸を有するゴム製のステップマットを敷設し、作業者が足を滑らせるのを抑えた構成としてもよい。尚、ステップフロア18の上面にその略全面に亘って所定の配置パタ−ンで凹凸を設け、作業者が足を滑らせるのを抑えた構成としてもよい。
【0023】
次に、この走行車体2の動力伝達機構について説明すると、先ず電動モ−タ12の左側面部にモ−タ出力軸12aが突出し、そのモ−タ出力軸12aの回転動力が、第一ベルト伝動装置28及び第二ベルト伝動装置29を介して、ミッションケース8の左側面部に突出するミッション入力軸8aに伝達される。また、モ−タ出力軸12aの延長線上で第一ベルト伝動装置28よりも外側に油圧ポンプ30が設けられ、モ−タ出力軸12aの回転動力でこの油圧ポンプ30が直接駆動される。このように第一ベルト伝動装置28や第二ベルト伝動装置29よりも伝動上手側から回転動力を取ることにより、ベルトのスリップや脈動による影響を受けず油圧ポンプ30の回転を安定させることができる。
【0024】
ベルト伝動装置28,29を介してミッション入力軸8aに入力された回転動力は、ミッションケース8内のギヤ変速機構により、噛み合う変速ギヤの組合せを変更することにより、走行車体2を前進させる「路上走行速」並びに「通常植付速」、前輪6及び後輪7への伝動を断つ「中立」、走行車体2を後進させる「後進速」の各シフト位置に変速する構成となっている。そして、ギヤ変速機構からの伝動は、前輪6及び後輪7へ伝動する走行用伝動経路と苗植付部4へ伝動する植付部用伝動経路とに分岐される。前記走行用伝動経路において、左右の前輪アクスルに分配して伝達された動力は、前輪ファイナルケース9に伝動されて前輪6を駆動する。また、ミッションケース8の後部から後輪伝動軸31を介して後輪ファイナルケース32に伝達されて後輪7を駆動する。植付部用伝動経路は、ミッションケース8の右側からPTO伝動軸33を介して苗植付部4へ伝動する構成となっている。ミッションケース8内の植付部用伝動経路には、該伝動経路の伝動を断つことができる植付クラッチ(定位置停止クラッチ)を設けている。尚、前記後輪ファイナルケース32は、前輪ファイナルケース9と同様にその下部32aを上下方向の軸回りに変向可能に設けており、前記下部32aに後輪7を回転自在に支承している。
【0025】
ここで、図3及び図4に基づいて操向ハンドル17による前輪6の操舵の連繋機構について説明すると、操向ハンドル17と一体回転するピニオンギヤ34の回転により、該ピニオンギヤ34と噛み合うラック体35を前後移動させ、このラック体35の後端に連結される連動ロッド36を前後移動させる。尚、ピニオンギヤ34の右側にラック体35を設けており、操向ハンドル17を左へ回動操作するとラック体35が前側へ移動し、逆に右へ回動操作するとラック体35が後側へ移動する。前記連動ロッド36の他端を操向用入力ア−ム37に連結し、連動ロッド36の前後移動に伴って操向用入力ア−ム37を前後に回動させ、該ア−ム37と一体回転する左右方向の操向用回動軸38を回動させ、該軸38の左右端にそれぞれ設けた操向用出力ア−ム39L,39Rを回動させる。尚、操向用入力ア−ム37と連動ロッド36との連結位置は操向用回動軸38より上側にあり、ラック体35すなわち連動ロッド36が前側へ移動すると機体の進行方向左側から見て(図4視で)操向用回動軸38が左方向(図3及び図4の実線方向)へ回動し、逆に後側へ移動すると機体の進行方向左側から見て操向用回動軸38が右方向(図3及び図4の破線方向)へ回動する。左側の操向用出力ア−ム39Lは操向用回動軸38より上側位置で左側の前輪操舵ロッド40Lを連結し、該左側の前輪操舵ロッド40Lの他端が左側の前輪ファイナルケース9の下部9aにその内側(右側)で連結されている。また、右側の操向用出力ア−ム39Rは操向用回動軸38より下側位置で右側の前輪操舵ロッド40Rを連結し、該右側の前輪操舵ロッド40Rの他端が右側の前輪ファイナルケース9の下部9aにその内側(左側)で連結されている。従って、操向ハンドル17を左へ回動操作すると、左前輪操舵ロッド40Lが前側へ移動して左前輪6を左操舵すると共に右前輪操舵ロッド40Rが後側へ引かれて移動して右前輪6を左操舵する。逆に、操向ハンドル17を右へ回動操作すると、左前輪操舵ロッド40Lが後側へ引かれて移動して左前輪6を右操舵すると共に右前輪操舵ロッド40Rが前側へ移動して右前輪6を右操舵する。
【0026】
また、左右の後輪ファイナルケース32の下部32aに後輪操舵ロッド41L,41Rがそれぞれ連結され、通常は該後輪操舵ロッド41L,41Rの他端をそれぞれ機体側の固定具42に固定することにより、後輪ファイナルケース32の下部32aが回動せず、後輪7が操向せずに真直に向いた状態で固定される。従って、このときは、操向ハンドル17の操作により前輪6のみが操舵される前輪操舵状態となる。
【0027】
そして、左右の後輪操舵ロッド41L,41Rを固定具42から外し、左後輪操舵ロッド41Lを左側の操向用出力ア−ム39Lに操向用回動軸38より下側位置で連結し、右後輪操舵ロッド41Rを右側の操向用出力ア−ム39Rに操向用回動軸38より上側位置で連結することができる。尚、前記操向用出力ア−ム39L,39Rは、機体側面視で操向用回動軸38から上下に延びた形状であり、上下端のうちの一方に前輪操舵ロッド40L,40R、他方に後輪操舵ロッド41L,41Rを連結できる構成となっている。従って、操向ハンドル17を左へ回動操作すると、左後輪操舵ロッド41Lが後側へ移動して左後輪7を右側へ操舵すると共に右後輪操舵ロッド41Rが前側へ引かれて移動して右後輪7を右側へ操舵する。逆に、操向ハンドル17を右へ回動操作すると、左後輪操舵ロッド41Lが前側へ引かれて移動して左後輪7を左側へ操舵すると共に右後輪操舵ロッド41Rが後側へ移動して右後輪7を左側へ操舵する。よって、前輪6の操向方向と反対側に後輪7が操向し、前後輪6,7共に操向して機体が小回り旋回することのできる四輪操舵状態(4WS)となる。この四輪操舵状態(4WS)にすることで、小回り旋回が可能になるので、山間地等の変形田でも圃場の畦に沿って走行させたり、屈曲の多い畦道を走行させたりすることができる。
【0028】
尚、上述のように左右の後輪操舵ロッド41L,41Rをそれぞれ操向用出力ア−ム39L,39Rに連結した状態で、左右の前輪操舵ロッド40L,40Rをそれぞれ機体側の固定具42に固定することにより、前輪ファイナルケース9の下部9aが回動せず、前輪6が操向せずに真直に向いた状態で固定される。従って、このときは、操向ハンドル17の操作により後輪7のみが操舵される後輪操舵状態となる。
【0029】
このように、左側の前後輪6,7を走行車体2の左側部に設けた左側作動具(左操向用出力ア−ム39L)からの伝達機構(操舵ロッド40L,41L)で操向させ、右側の前後輪6,7を走行車体2の右側部に設けた右側作動具(右操向用出力ア−ム39R)からの伝達機構(操舵ロッド40R,41L)で操向させる構成としたので、前記作動具及び伝達機構が走行車体2の左右側部に振り分けて配置され、これらのメンテナンスや操舵状態の切替を走行車体2の左右側方から該車体2いいかえるとステップフロア18の下方に少し潜り込んで行えばよいため、前記メンテナンスや操舵状態の切替が容易である。更に、それぞれの車輪6,7を操向させる操舵ロッド40L,40R,41L,41Rを前後方向に向け、全ての操舵ロッド40L,40R,41L,41Rを左右方向の操向用回動軸38回りに一体回転する部材(操向用出力ア−ム39L,39R)に連結したので、四輪操舵機構を簡単にできてコストダウンが図れる。しかも、作動具への操舵ロッドの連結、非連結で操舵状態を切り替える構成としたので、構造の簡素化が図れてコストダウンが図れる。
【0030】
従来、左右の前輪を操向させる前側の作動具と左右の後輪を操向させる後側の作動具とが走行車体の左右中央に配置され、それぞれ上下方向の軸回りに回動する構成とし、双方の作動具をロッドで連結した四輪操舵機構があるが、軸回りに回動する作動具を2個要するので、その分構造が複雑になり、作動具が走行車体の左右中央に配置されるために前記ロッドも走行車体の左右中央に配置され、前記作動具及びロッドのメンテナンスを走行車体の左右方向側方から行うのが困難である。ひいては、前記作動具及びロッド等を操作しての操舵状態の切替が困難になったり、容易に操舵状態を切り替えるための格別の機構を要し構造が複雑になったりする。尚、走行車体の後側に苗植付部等の作業装置があると、走行車体の後側からメンテナンスや操舵状態の切替を行うことが困難であるので、走行車体の前側又は左右方向側方から行わざるを得ない。
【0031】
ところで、この乗用型田植機1は、伝動経路に格別に主クラッチを設けておらず、主クラッチレバー20又は主クラッチペダル23を伝動「切」側に操作したことを主クラッチセンサ43で検出すると、図6に示すように電動モータ12の接点スイッチ44が(イ)の接続状態から離れて(ロ)状態になり、電動モータ12が強制駆動されずに惰性で回転する状態となる。そして、左右一方の後輪伝動軸31の回転が停止状態に近い低回転になったことを後輪伝動軸センサ45により検出して走行速度が微速になったことを検出すると、前記接点スイッチ44が(ハ)状態となり電動モータ12の両端子が接続され、逆起電力により回生ブレーキが生じ、傾斜地でも機体の走行が確実に停止するようになっている。これにより、主クラッチレバー20又は主クラッチペダル23を操作しても、即座に回生ブレーキにより走行が急停止しないようになりジャックナイフを起こすのを防止でき、安全に走行停止できる。また、従来のように伝動経路に格別に主クラッチ及び駐車ブレーキを設ける必要がなく、機体をコンパクトに構成できると共にコストダウンが図れる。尚、作業者がブレーキペダルを操作したときは、後輪伝動軸センサ45による走行速度の検出にかかわらず電動モータ12に逆起電力により回生ブレーキを生じさせて急停止できるようにすれば、更に安全性が高まる。
【0032】
昇降リンク装置3は、前記リンク支持フレーム11に上リンク46及び下リンク47が1本づつ回動自在に支持され、これら各リンク46,47の後端部に連結枠48が枢結されている。連結枠48には苗植付部4から前方に突出するローリング軸(図示せず)が挿入され、苗植付部4がローリング自在に連結されている。上リンク46と一体回動するスイングアーム50が設けられ、メインフレーム10に基部側が支持された油圧式の昇降シリンダ51のピストンロッドが上記スイングアーム50に連結されている。この油圧式の昇降シリンダ51を伸縮させると、各リンク46,47が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。油圧式の昇降シリンダ51を制御する油圧バルブ52は、機体右側部のステップフロア18の下側に設けられている。また、上リンク46及び下リンク47の中途部には、それぞれ油圧式の上リンクシリンダ46aと下リンクシリンダ47aとが設けられ、それぞれのシリンダ46a,47aの伸縮で上リンク46及び下リンク47のリンク長を変更する構成となっている。尚、上リンクシリンダ46a及び下リンクシリンダ47aへの油圧供給を制御する上リンクシリンダバルブ及び下リンクシリンダバルブは、それぞれのシリンダ本体に設けられている。
【0033】
苗植付部4は、伝動機構が内蔵された苗植付部フレーム60に、苗を載せて左右往復動すると共に各条ごとに苗送りベルト61が苗を下方へ搬送すると共に下端部に設けた左右移動レ−ル62に沿って左右移動して該左右移動レ−ル62に備える所定の苗取出口63に一株づつ供給する苗載台27、前記苗取出口63に供給される苗を取り出して表土面に植え付ける4組のクランク式の苗植付装置64、整地用のセンターフロート65及びサイドフロート66等が組み付けられている。センターフロート65は表土面の凹凸を検出するための接地体でもあり、植付作業時には、センターフロート65によって検出される表土面の凹凸に基づき、前記油圧バルブ52を駆動して苗植付部4を昇降制御し、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0034】
苗植付部4には、該苗植付部4の前後傾斜姿勢を検出する植付部前後傾斜センサ67を設けている。この植付部前後傾斜センサ67の検出に基づいて制御部68(コントローラ)を介して上リンクシリンダバルブ及び下リンクシリンダバルブを制御し、圃場の耕盤の凹凸で走行車体2が前後傾斜しても苗植付部4の前後傾斜姿勢を適正に制御し、適正な植付姿勢で苗を植え付けるようにしている。尚、この苗植付部4の前後傾斜姿勢制御においては、上リンクシリンダ46a及び下リンクシリンダ47aの伸縮動作が背反的に行われるようにしている。すなわち、制御により苗植付部4を前傾させるときは上リンク46が縮小すると共に下リンク47が伸張し、逆に苗植付部4を後傾させるときは上リンク46が伸張すると共に下リンク47が縮小する。これにより、連結枠48より後側で苗植付装置64に近い位置を軸心にして苗植付部4を前後回動させることができるので、苗植付部4の前後傾斜姿勢制御に伴って苗植付装置64の対地高さが変化しにくく、該前後傾斜姿勢制御に伴う苗の植付深さの変動を抑えることができ、苗植付部4の昇降制御すなわち植付深さの制御を精度良く適正に行える。尚、苗植付部4の昇降位置すなわち昇降リンク装置3の角度に応じて上リンク46と下リンク47との伸縮量を異ならせ、前後傾斜姿勢制御に伴う苗の植付深さの変動を高精度で的確に抑えるようにしてもよい。また、苗植付部4の昇降制御の出力状態すなわち制御時の苗植付部4の対地高さに応じて、苗の植付深さが適正となる側に苗植付装置64が上下動するように上リンク46又は下リンク47の伸縮量を補正して制御するようにしてもよい。
【0035】
従来の苗植付部の前後傾斜姿勢制御機構は、上リンクのリンク長を伸縮させる構成となっているので、苗植付部前端に位置する下リンクと連結枠との連結軸回りに苗植付部が前後回動し、この苗植付部の前後回動により苗植付部の後端部に設けた苗植付装置の対地高さが変化しやすく、該前後傾斜姿勢制御に伴って苗の植付深さが変動しやすくなり、苗植付部の昇降制御すなわち植付深さの制御に悪影響を与えるおそれがある。
【0036】
以上により、この乗用型田植機1は、前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着し、通常は前記前輪6を操舵して機体を操向する前輪操舵状態とし、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、後輪7にラグを設けないか又は後輪7のラグの突出量を小さくして、車輪6,7の回転方向から見て後輪7のラグ面の面積を小さくし、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成している。また、図1に示されるように、前後方向において前輪車軸6dから後輪車軸7dまでの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けている。
【0037】
従って、この乗用型田植機1は、前輪6及び後輪7により走行車体2を走行させながら苗植付部4により圃場に苗を植え付けていく。必要に応じて、前輪6を操舵して、機体の進行方向を修正するべく機体を走行させる。このとき、前輪6の車輪径が後輪7の車輪径と同径であり、更には車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成しているので、前輪6の接地面積が後輪7の接地面積と同じ程度かそれより大きくなり、前輪6の走行駆動力が後輪7の走行駆動力より大きくなり、前輪6が圃場面を滑ったり空転するようなことが抑えられ、進行方向の修正が円滑に行われ、植付作業を容易に所望の直進走行経路で走行させながら行える。また、畦際での機体の旋回時も円滑に操向することができる。尚、後輪7を空気入り車輪としたので、機体が圃場に沈み込むようなことを抑え、前輪6により機体を牽引しながら円滑に走行させることができる。
【0038】
また、平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けているので、走行車体2に搭乗する作業者が苗植付部4へ苗補給する際に、作業者が足をつまずかせる等の危険度が小さくなり、ステップフロア18上の移動が容易に行え、この苗補給作業を楽に行え、植付作業の作業性又は作業能率が向上する。このとき、ステップフロア18を前後輪6,7の直上位置の高さに配置してステップフロア18の低位化を図っているので、機体が低重心となり車輪6,7のトレッド幅の狭い4条植えの苗移植機において転倒を防止できると共に、前後輪6,7は共にステップフロア18の直下に位置して最大限の車輪径を有しているので、これらの前後輪6,7により圃場で機体を走行させるのに十分な走行駆動力を得ることができる。
【0039】
尚、上述の乗用型田植機1は単一の電動モータ12により前後輪6,7と苗植付部4とを駆動する構成としたが、前後輪駆動用と苗植付部駆動用とで個別の電動モータを設けた構成としてもよい。このとき、苗植付部4駆動用の電動モータ70を苗植付部4側に配置することができるので、走行車体2からの植付クラッチやPTO伝動軸等の苗植付部4への伝動機構が不要になり、機体のコンパクト化が図れる。また、図8に示すように、苗植付部フレーム60内の伝動機構又は苗植付装置64等に苗植付装置64が苗取出口63から苗を掻き取る前の位相になったことを検出する植付位相検出センサ71を設け、該センサ71の検出に基づいて苗植付部4駆動用の電動モータ70に逆起電力を発生させて回生ブレーキを生じさせ、苗植付装置64が所望の定位置で停止するようにすればよい。これにより、苗植付装置64を定位置で精度良く停止させることができると共に、電動モータ70を駆動して苗植付装置64の作動を即座に再開することができる。従来の植付クラッチは駆動側と従動側との位相が所定の位相でしか噛み合わない爪クラッチ式の定位置停止クラッチであるので、植付クラッチにより苗植付装置の作動を再開するとき、走行車体からの伝動が植付クラッチの停止位置の位相に合致してはじめて植付クラッチが伝動状態となるため、苗植付装置を即座に作動させることができず、圃場における植え始め位置が安定しないことがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用型田植機の側面図
【図2】乗用型田植機の平面図
【図3】車輪の操向機構を示す平面図
【図4】走行車体の一部を示す側面図
【図5】苗植付部の前後傾斜姿勢制御のブロック図
【図6】電動モータの駆動電気回路図
【図7】電動モータの制御のブロック図
【図8】苗植付部駆動用の電動モータの制御のブロック図
【符号の説明】
1…乗用型田植機、2…走行車体、4…苗植付部、6…前輪、6c…前輪のラグ、7…後輪、14…座席、18…ステップフロア
Claims (2)
- 前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着し、前記前輪6を操舵して機体を操向する構成の苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成し、車輪6,7の回転方向から見て前輪6のラグ面を後輪7のラグ面より広く構成したことを特徴とする苗移植機。
- 前輪6及び後輪7を設けた走行車体2の後側に苗植付部4を装着した苗移植機において、前輪6及び後輪7の車輪径を同径に構成すると共に、前後方向において前輪6の前端から後輪7の後端までの間に座席14を設け、前輪6及び後輪7の上方に設けた平面状のステップフロア18を座席14の前後に亘って同じ高さで設けたことを特徴とする苗移植機。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003154686A JP2004350639A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 苗移植機 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003154686A JP2004350639A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 苗移植機 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004350639A true JP2004350639A (ja) | 2004-12-16 |
Family
ID=34049281
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003154686A Pending JP2004350639A (ja) | 2003-05-30 | 2003-05-30 | 苗移植機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004350639A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100409737C (zh) * | 2006-09-04 | 2008-08-13 | 福田雷沃国际重工股份有限公司 | 改进的插秧机 |
JP2019514434A (ja) * | 2016-05-05 | 2019-06-06 | ドンフェン アグリカルチュラル イクイップメント (シアンヤン) カンパニー リミテッドDongfeng Agricultural Equipment (Xiangyang) Co., Ltd. | 電動高速田植機 |
-
2003
- 2003-05-30 JP JP2003154686A patent/JP2004350639A/ja active Pending
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JP2019514434A (ja) * | 2016-05-05 | 2019-06-06 | ドンフェン アグリカルチュラル イクイップメント (シアンヤン) カンパニー リミテッドDongfeng Agricultural Equipment (Xiangyang) Co., Ltd. | 電動高速田植機 |
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