JP2004347682A - システムlcd製造用ポジ型ホトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】システムLCD製造用として好適な、高感度と高解像性とを両立したポジ型ホトレジスト組成物、及びレジストパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ナフトキノンジアジドエステル化物、(C)分子量が1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、及び(D)有機溶剤を含有してなるレジスト組成物であって、(B)成分が、下記一般式(I)で表される化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を含有することを特徴とする、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
【化1】
【選択図】なし
【解決手段】(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ナフトキノンジアジドエステル化物、(C)分子量が1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、及び(D)有機溶剤を含有してなるレジスト組成物であって、(B)成分が、下記一般式(I)で表される化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を含有することを特徴とする、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。
【化1】
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物及び該ポジ型ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜トランジスタ(TFT)等の液晶表示素子(LCD)の製造におけるレジスト材料としては、ghi線露光に適しており、比較的安価で、高感度であることから、アルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い、感光性成分(以下、PACと略記することがある)としてナフトキノンジアジド基含有化合物を用いた、ノボラック−ナフトキノンジアジド系ポジ型ホトレジスト組成物が多く利用されていた(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
LCD製造の場合、基板上には、ディスプレイの画素部分を形成するだけであったので、当該ポジ型ホトレジスト組成物は、非常にラフなパターン(例えば3〜5μm程度)を形成できる程度の解像性を有していればよかった。そのため、光源としては短波長の光を用いる必要がなく、ghi線露光で十分であり、PACとしても、当該ghi線露光に適するもので良かった。そのようなPACとしては、安価であることから、ベンゾフェノン系のフェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物(ベンゾフェノン系PAC)が主に使用されていた。すなわち、半導体素子の場合に比べて基板のサイズが大きく、スループット(単位時間あたりの処理数量)向上及び低コスト化が大前提として求められるLCD製造分野においては、ghi線露光に対して高感度であり、かつ安価な材料であることが第一に優先されている。そのため、LCD製造用としては、ベンゾフェノン系PACを含むポジ型ホトレジスト組成物が用いられているのが現状である。
【0004】
現在、次世代のLCDとして、1枚のガラス基板上に、ドライバ、DAC(デジタル−アナログコンバーター)、画像プロセッサ、ビデオコントローラ、RAMなどの集積回路部分がディスプレイ部分と同時に形成される、いわゆる「システムLCD」と呼ばれる高機能LCDに対する技術開発が盛んに行われている(例えば、非特許文献1参照)。
以下、本明細書では、このように1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCDを、便宜的にシステムLCDという。
【0005】
従来のLCDの基板としては、アモルファスシリコンが用いられてきたが、このようなシステムLCDの基板としては、低温ポリシリコン、特に600℃以下の低温プロセスで形成される低温ポリシリコンが、アモルファスシリコンに比べて電気抵抗が小さくて移動度が高いことから好適であると期待されており、低温ポリシリコンを基板に用いるシステムLCDの開発が活発に行われている。
したがって、低温ポリシリコンを用いたシステムLCDの製造に適したレジスト組成物の開発が望まれているが、これまでにシステムLCD用のレジスト材料について報告された例はない。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−131835号公報
【特許文献2】
特開2001−75272号公報
【特許文献3】
特開2000−181055号公報
【特許文献4】
特開2000−112120号公報
【非特許文献1】
Semiconductor FPD World 2001.9, pp.50−67
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
システムLCDにおいては、例えば、ディスプレイ部分のパターン寸法が2〜10μm程度であるのに対し、集積回路部分は0.5〜2.0μm程度と微細な寸法で形成されている。そのため、システムLCD製造用のレジスト組成物には、微細なパターンとラフなパターンを同時に形状良く形成できる能力(高解像性及びリニアリティ)が求められる。当該微細なレジストパターンを形成するためには、ghi線露光に適した従来のベンゾフェノン系PACでは適用が難しく、よって、i線露光に適した非ベンゾフェノン系PACの使用が好適であると予想される。
しかし、本発明者らの知見によると、非ベンゾフェノン系PACは、解像性の点では問題はないものの、感度の点で難点がある。レジスト組成物における感度の低下は重大なスループット低下をもたらすので、非ベンゾフェノン系PACを、スループットを重要視するLCD製造分野に応用することは難しいと考えられる。一般に、レジスト組成物の感度と解像性とは、トレードオフの関係にあり、両立が難しいものであるが、システムLCDを商業ベースで製造していくためには、感度と解像性の両方に優れ、さらにはi線露光等にも適したレジスト組成物が強く望まれている。
【0008】
したがって、本発明は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高感度と高解像性とを両立したポジ型ホトレジスト組成物、及びレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、PACとして、非ベンゾフェノン系のポリフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を用いたポジ型ホトレジスト組成物が、高感度と高解像性とを両立した材料であり、システムLCD製造用として好適であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ナフトキノンジアジドエステル化物、(C)分子量が1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、及び(D)有機溶剤を含有してなるレジスト組成物であって、
前記(B)成分が、下記一般式(I)
【化3】
[式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R10、R11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基の場合は、Q1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は下記化学式(II)
【化4】
(式中、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;cは1〜3の整数を示す)で表される残基を表し、Q1がR9の末端と結合する場合は、Q1はR9及び、Q1とR9との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;a、bは1〜3の整数を表し;dは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す。]
で表される化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を含有することを特徴とする、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物(以下、本発明のポジ型ホトレジスト組成物ということがある)を提供する。
また、本発明は、(1)前記ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、を含むことを特徴とするレジストパターン形成方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
≪LCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物≫
<(A)成分>
(A)成分はアルカリ可溶性樹脂である。
(A)成分は、特に制限されるものでなく、ポジ型ホトレジスト組成物において被膜形成物質として通常用いられ得るものの中から、任意に1種又は2種以上選択して用いることができる。
例えば、フェノール類(フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールなど)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、プロピオンアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒドなど)及び/又はケトン類(メチルエチルケトン、アセトンなど)とを、酸性触媒存在下に縮合させて得られるノボラック樹脂;
ヒドロキシスチレンの単独重合体や、ヒドロキシスチレンと他のスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸又はメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体などのヒドロキシスチレン系樹脂;
アクリル酸又はメタクリル酸とその誘導体との共重合体であるアクリル酸又はメタクリル酸系樹脂などが挙げられる。
特にm−クレゾール、p−クレゾール、3,4−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールの中から選ばれる少なくとも2種を含有するフェノール類とホルムアルデヒドを含有するアルデヒド類とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂が、高感度で解像性に優れたレジスト材料の調整に好適である。
(A)成分は、常法にしたがって製造することができる。
【0011】
(A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量はその種類にもよるが、感度やパターン形成の点から2000〜100000、好ましくは3000〜30000とされる。
(A)成分は、常法にしたがって製造することができる。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分は、ナフトキノンジアジドエステル化物であり、特定の非ベンゾフェノン系PAC、すなわち前記一般式(I)で表されるフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物(以下、4−キノンPACということがある)を含有する。この4−キノンPACを含むポジ型ホトレジスト組成物は、高感度であり且つ高解像性である。また、i線を用いたホトリソグラフィに適しており、リニアリティ、焦点深度(DOF)等の特性の点でも好ましい。
【0013】
一般式(I)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R10、R11はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し;R9が水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基の場合は、Q1は水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、又は前記化学式(II)で表される残基を表し、Q1がR9の末端と結合する場合は、Q1はR9及び、Q1とR9との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;a、bは1〜3の整数を表し;dは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す。
【0014】
なお、Q1とR9とが、Q1とR9との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を形成する場合には、Q1とR9は結合して、炭素数2〜5のアルキレン基を形成している。
【0015】
当該一般式(I)に該当するフェノール化合物としては、例えば、
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が前記化学式(II)で表される残基を表し、nが0を表すトリスフェノール型化合物、
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nが1〜3の整数を表すリニア型ポリフェノール化合物
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nが0を表すビスフェノール型化合物
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が前記化学式(II)で表される残基を表し、nが1を表す多核枝分かれ型化合物
・Q1がR9の末端と結合しており、nが0を表す縮合型フェノール化合物
等を挙げることができる。
【0016】
トリスフェノール型化合物として、より具体的には、トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。
【0017】
リニア型ポリフェノール化合物として、より具体的には、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物などを挙げることができる。
【0018】
また、トリスフェノール型化合物及びリニア型ポリフェノール化合物以外の、一般式(I)に該当するフェノール化合物としては、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパンなどのビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、などの多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどの縮合型フェノール化合物などが挙げられる。
これらのフェノール化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
中でも、トリスフェノール型化合物を主成分とすることが、高感度化と解像性の点において好ましく、特にビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン[以下(B1’)と略記する。]、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン[以下、(B3’)と略記する。]は好ましい。また解像性、感度、耐熱性、DOF特性、リニアリティ等、レジスト特性のトータルバランスに優れたレジスト組成物を調製する目的においては、リニア型ポリフェノール化合物、ビスフェノール型化合物、多核枝分かれ型化合物、および縮合型フェノール化合物等を、上記トリスフェノール型化合物と併用して用いることが好ましく、特にビスフェノール型化合物、中でも、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン[以下(B2’)と略記する。]を併用すると、トータルバランスに優れたレジスト組成物を調製できる。
なお、以下、前記(B1’)、(B2’)、(B3’)のそれぞれのナフトキノンジアジドエステル化物をそれぞれ(B1)、(B2)、(B3)と略記する。
【0020】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物としては、特に限定はないが、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドが商業的に入手容易かつ安価で好ましい。
【0021】
本発明においては、(B)成分として、一般式(I)で表される化合物のフェノール性水酸基の全部又は一部を1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物を用いてエステル化したナフトキノンジアジドエステル化物を含む。
一般式(I)で表される化合物のフェノール性水酸基の全部又は一部をナフトキノンジアジドエステル化する方法は、常法により行うことができる。
例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを上記一般式(I)で表される化合物と縮合させることにより得ることができる。
具体的には、例えば上記一般式(I)で表される化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドとを、ジオキサン、n−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に所定量溶解し、ここにトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等の塩基性触媒を1種以上加えて反応させ、得られた生成物を水洗、乾燥して調製することができる。
【0022】
(B)成分としては、上述の様に、これら例示した好ましいナフトキノンジアジドエステル化物の他に、一般にポジ型ホトレジスト組成物において感光性成分として用いられている他のナフトキノンジアジドエステル化物も用いることができ、例えばポリヒドロキシベンゾフェノンや没食子酸アルキル等のフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応生成物なども用いられ得る。これらの、他のナフトキノンジアジドエステル化物は、1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。
これら他のナフトキノンジアジドエステル化物の使用量は、(B)成分中、80質量%以下、特には50質量%以下であることが、本発明の効果の向上の点から好ましい。
【0023】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物中の(B)成分の配合量は、(A)成分と下記(C)成分との合計量に対し20〜70質量%、好ましくは25〜60質量%とされる。
(B)成分の配合量を上記下限値以上とすることにより、パターンに忠実な画像が得られ、転写性が向上する。上記上限値以下とすることにより、感度の劣化を防ぐことができ、形成されるレジスト膜の均質性が向上し、解像性が向上するという効果が得られる。
【0024】
本発明において用いられる1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物は、その異性体である1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル化合物とともに、感度の良好なPACを提供できるとして、半導体製造分野においては公知であり、例えば特開平6−27655号公報、特開平6−51507号公報、特開平7−92669号公報等には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物を用いたレジスト組成物が記載されている。
しかし、これらの1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル化合物は、低コスト化が重要なLCD製造分野においてはほとんど用いられておらず、用いられる場合であっても、比較的安価な1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル化合物が主に用いられていた。
【0025】
また、システムLCD製造においてレジスト組成物に要求される特性は、半導体製造の場合と様々な点で異なっているが、上記公報にはシステムLCDに関する記載は全くない。
例えば、システムLCDを含め、LCDの製造分野においては、スループットの向上、及び処理コントロール性の観点から、30〜50mJ程度の感度を有するレジスト材料が望まれている。
また、半導体素子の製造においては、最大、直径8インチ(約200mm)〜12インチ(約300mm)程度の円盤型シリコンウェーハが用いられているのに対し、LCDの製造においては、最小でも360mm×460mm程度の角型のガラス基板が用いられている。そのため、スループット向上の観点から、露光面積をできるだけ広く、少なくとも100mm2程度とすることが望まれており、LCDの製造は、一般に、NA(レンズの開口数)が低い条件の露光プロセスを用いることが好ましいとされている。中でもシステムLCDの場合、基板上には、ディスプレイ部分に加え、集積回路部分も形成されるため、基板がさらに大型化する傾向があり、通常のLCD製造の場合よりもさらに低NA条件での露光が望ましく、NAが例えば0.3以下、特には0.2以下の低NA条件の露光プロセスを用いることが好ましいとされている。
また、システムLCDにおいては、例えば、ディスプレイ部分のパターン寸法が2〜10μm程度であるのに対し、集積回路部分は0.5〜2.0μm程度と微細な寸法で形成されている。そのため、0.5〜2.0μm程度の微細なレジストパターンを形成できることが好ましい。しかしながら、上述したような低NA条件での露光プロセスの場合、解像性が悪いという問題がある。
また、システムLCD製造において用いられるポジ型ホトレジスト組成物は、寸法が大きく異なるディスプレイ部分と集積回路部分のレジストパターンを同時に、正確に形成できるリニアリティ特性が良好であること、また、シリコンウェーハ等に比べて表面平滑性の低いガラス基板を用いているため、焦点深度幅(DOF)特性が良好であることも求められる。
【0026】
本発明においては、(B)成分として、一般式(I)で表される特定のフェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を用いることにより、高感度と高解像性とを、例えば低NA条件下であっても両立できるだけでなく、さらにリニアリティやDOF等の特性も良好なポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
【0027】
<(C)成分>
(C)成分は、フェノール性水酸基含有化合物である。この(C)成分を用いることにより、感度向上効果に優れ、低NA条件でのi線露光プロセスにおいても、高感度、高解像度であり、さらにはリニアリティに優れた、システムLCDに適したポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
(C)成分の分子量は1000以下、好ましくは700以下、実質的には200以上、好ましくは300以上であることが、上記効果の点から好ましい。
【0028】
(C)成分としては、感度向上剤、あるいは増感剤として一般にホトレジスト組成物に用いられるフェノール性水酸基含有化合物であって、好ましくは上記分子量の条件を満足するものであれば、特に制限はなく、1種又は2種以上を任意に選択して用いることができる。そして、中でも、下記一般式(III)
【0029】
【化5】
【0030】
[式中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R30、R31はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;R29が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基の場合は、Q2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は下記化学式(IV)で表される残基
【0031】
【化6】
【0032】
(式中、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;gは0〜3の整数を示す)であり、Q2がR29の末端と結合する場合は、Q2がR29及び、Q2とR29との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;e、fは1〜3の整数を表し;hは0〜3の整数を表し;mは0〜3の整数を表す]で表されるフェノール化合物が、上記の特性を良く示し、好ましい。
【0033】
より具体的には、例えば上記(B)成分において例示した、ナフトキノンジアジドエステル化物において用いられる、一般式(I)で表されるフェノール化合物の他、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−tert−ブチル−4,5−ジヒドロキシフェニル)−フェニルメタン等のトリスフェニル型化合物を好適に用いることができる。中でもビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、1−[1−(4−ヒロドキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンが好ましい。
【0034】
(C)成分の配合量は、効果の点から、(A)成分に対し10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲とされる。
【0035】
<(D)成分>
(D)成分は、ホトレジスト組成物に用いられる一般的なものであれば特に制限なく1種又は2種以上を選択して用いることができるが、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及び/又は2−ヘプタノンを含有するものが、塗布性に優れ、大型ガラス基板上でのレジスト被膜の膜厚均一性に優れている点で好ましい。
なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートと2−ヘプタノンの両方を用いることもできるが、それぞれ単独で、あるいは他の有機溶剤と混合して用いた方がスピンコート法などを利用した塗布時の膜厚均一性の点で好ましい場合が多い。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、(D)成分中、50〜100質量%含有することが好ましい。
【0036】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、例えば炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するものであり、中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記することがある)が、大型ガラス基板上でのレジスト被膜の膜厚均一性に非常に優れるため、特に好ましい。
【0037】
一方、2−ヘプタノンは、特に限定するものではないが、上述の様に(B)ナフトキノンジアジドエステル化物として、非ベンゾフェノン系の感光性成分と組み合わせたときに好適な溶媒である。
2−ヘプタノンは、PGMEAに比べると耐熱性に優れ、スカム発生が低減化されたレジスト組成物を与えるという特性を有し、非常に好ましい溶剤である。
2−ヘプタノンを単独で、あるいは他の有機溶剤と混合して用いる場合には、(D)成分中、50〜100質量%含有することが好ましい。
【0038】
また、これらの好ましい溶媒に、他の溶媒を混合して用いることもできる。
例えば乳酸メチル、乳酸エチルなど(好ましくは乳酸エチル)の乳酸アルキルを配合すると、レジスト被膜の膜厚均一性に優れ、形状に優れたレジストパターンを形成することができて好ましい。
【0039】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルとを混合して用いる場合は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートに対して質量比で0.1〜10倍量、好ましくは1〜5倍量の乳酸アルキルを配合することが望ましい。
また、γ−ブチロラクトンやプロピレングリコールモノブチルエーテルなどの有機溶剤も用いることができる。
γ−ブチロラクトンを用いる場合には、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートに対して質量比で0.01〜1倍量、好ましくは0.05〜0.5倍量の範囲で配合することが望ましい。
【0040】
なお、その他に配合可能な有機溶剤としては、具体的には、例えば以下のものが挙げられる。
すなわち、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類などである。
これらの溶剤を用いる場合、(D)成分中、50質量%以下であることが望ましい。
【0041】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて相容性のある添加物、例えばレジスト膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、保存安定剤、界面活性剤、現像した像をより一層可視的にするための着色料、より増感効果を向上させるための増感剤やハレーション防止用染料、密着性向上剤、などの慣用の添加物を含有させることができる。
ハレーション防止用染料としては、紫外線吸収剤(例えば2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン等)等を用いることができる。
界面活性剤は、例えばストリエーション防止等のために添加することができ、例えばフロラードFC−430、FC431(商品名、住友3M(株)製)、エフトップEF122A、EF122B、EF122C、EF126(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)等のフッ素系界面活性剤、メガファックR−08(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)などを用いることができる。
【0042】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、好ましくは、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じてその他の成分を、(D)有機溶剤に溶解することにより調製することができる。
なお、(D)成分の使用量は、好ましくは(A)〜(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の成分を溶解し、均一なポジ型ホトレジスト組成物が得られる様に適宜調整し得る。好ましくは固形分濃度[(A)〜(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の成分]が10〜50質量%、さらに好ましくは20〜35質量%となる様に用いられる。
【0043】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、該レジスト組成物に含まれる固形分のMw(以下、レジスト分子量という)が5000〜30000の範囲内となるように調製されていることが好ましく、より好ましいMwは6000〜10000である。該レジストレジスト分子量を上記の範囲とすることにより、感度を低下させずに、高解像性を達成できるとともに、リニアリティ及びDOF特性に優れ、さらに耐熱性にも優れたポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
レジスト分子量が上記範囲より小さいと解像性、リニアリティ、DOF特性及び耐熱性が不十分となり、上記の範囲を超えると感度の低下が著しくなり、レジスト組成物の塗布性が損なわれるおそれがある。
【0044】
なお、本明細書において、レジスト分子量としては、次のGPCシステムを用いて測定した値を用いている。
装置名:SYSTEM 11(製品名、昭和電工社製)
プレカラム:KF−G(製品名、Shodex社製)
カラム:KF−805、KF−803、KF−802(製品名、Shodex社製)
検出器:UV41(製品名、Shodex社製)、280nmで測定。
溶媒等:流量1.0ml/分でテトラヒドロフランを流し、35℃にて測定。
測定試料調製方法:測定しようとするホトレジスト組成物を、固形分濃度が30質量%になるように調整し、これをテトラヒドロフランで希釈し、固形分濃度が0.1質量%の測定試料を作成する。当該測定試料の20マイクロリットルを上記装置に打ち込んで測定を行う。
【0045】
また、システムLCD製造においては、従来LCDの製造に用いられていたg線(436nm)露光に代えて、より短波長のi線(365nm)露光を用いたホトリソグラフィ技術を用いることにより解像度を上げようとする傾向がある。これに対して、特に(B)成分として、及び任意に(C)成分として、非ベンゾフェノン系の化合物を用いてなる本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、(B)成分及び(C)成分によるi線の吸収が抑えられるので、i線露光プロセスに好適であり、さらなる高解像度化を実現できる。
【0046】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製において、レジスト分子量が上記の好適範囲となるように調製する方法としては、例えば、(1)全成分を混合した後のMwが上記範囲となるように、混合前に(A)成分に対して分別操作を行うなどして、(A)成分のMwを予め適宜の範囲に調整しておく方法、(2)Mwの異なる(A)成分を複数用意し、これを適宜配合して該固形分のMwを上記の範囲に調整する方法などがある。
特に上記(2)による調製方法が、レジスト分子量の調整、および感度調整が容易である点でより好ましい。
【0047】
≪レジストパターン形成方法≫
以下に、本発明のポジ型ホトレジスト組成物を用いてシステムLCDを製造する際のレジストパターンの好適な形成方法の一例を示す。
まず、上述の本発明のポジ型ホトレジスト組成物を、スピンナー等で基板に塗布して塗膜を形成する。基板としてはガラス基板が好ましい。ガラス基板としては、通常アモルファスシリカが用いられるがシステムLCDの分野においては、低温ポリシリコン等が好ましいとされている。このガラス基板としては、本発明のポジ型ホトレジスト組成物が低NA条件下での解像性に優れるため、500mm×600mm以上、特には550mm×650mm以上の大型の基板を用いることができる。
次いで、この塗膜が形成されたガラス基板を例えば100〜140℃で加熱処理(プリベーク)して残存溶媒を除去し、レジスト被膜を形成する。プリベーク方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベークを行うことが好ましい。
さらに、上記レジスト被膜に対し、マスクパターンが描かれたマスクを用いて選択的露光を行う。
光源としては、微細なパターンを形成するためにi線(365nm)を用いることが好ましい。また、この露光で採用する露光プロセスは、NAが0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下の低NA条件の露光プロセスであることが好ましい。
次いで、選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:PEB)を施す。PEB方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。なお、加熱温度は90〜150℃、特には100〜140℃が好ましい。を行うことが好ましい。
上記PEB後のレジスト被膜に対し、現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ水溶液を用いた現像処理を施すと、露光部分が溶解除去されて、基板上に集積回路用のレジストパターンと液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンが同時に形成される。
さらに、レジストパターン表面に残った現像液を純水などのリンス液で洗い落とすことによりレジストパターンを形成できる。
【0048】
このレジストパターン形成方法において、システムLCDを製造する場合には、上記選択的露光を行う工程において、上記マスクとして、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いることが好ましい。
そして、本発明LCD用ポジ型ホトレジスト組成物は、解像性に優れているので、マスクパターンの微細なパターンを忠実に再現したレジストパターンが得られる。よって、上記レジストパターンを同時に形成する工程において、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成することができる。
【0049】
以上説明したように、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、高感度と高解像性とを両立するだけでなく、さらにリニアリティやDOF等の特性も良好であり、システムLCD製造用として好適なものである。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
下記実施例1〜4及び比較例1〜6において調製したポジ型ホトレジスト組成物を用いて、下記の手順でレジストパターンを形成し、評価を行った。
評価方法
(1)リニアリティ評価:
ポジ型ホトレジスト組成物を大型基板用レジスト塗布装置(装置名:TR36000、東京応化工業(株)製)を用いて、Ti膜が形成されたガラス基板(550mm×650mm)上に塗布したのち、ホットプレートの温度を100℃とし、約1mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより90秒間の第1回目の乾燥を行い、次いでホットプレートの温度を90℃とし、0.5mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより90秒間の第2回目の乾燥を施し、膜厚1.5μmのレジスト被膜を形成した。
次いで3.0μmラインアンドスペース(L&S)及び1.5μmL&Sのレジストパターンを再現するためのマスクパターンが同時に描かれたテストチャートマスク(レチクル)を介して、i線露光装置(装置名:FX−702J、ニコン社製;NA=0.14)を用いて、1.5μmL&Sを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)にて選択的露光を行った。
次いで、ホットプレートの温度を120℃とし、0.5mmの間隔をあけて、プロキシミティベークにより、30秒間の加熱処理を施し、次いで同じ温度で間隔をあけないダイレクトベークにより60秒間の加熱処理を施した。
次いで、23℃、2.38質量%TMAH水溶液をスリットコータノズルを有する現像装置(装置名:TD−39000デモ機、東京応化工業(株)製)を用いて、図1に示したように基板端部XからYを経てZにかけて、10秒間を掛けて基板上に液盛りし、55秒間保持した後、30秒間水洗し、スピン乾燥した。
その後、得られたレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、3.0μmL&Sのレジストパターンの再現性を評価した。寸法変化率が±10%以下であったものを○、10%超〜15%以下を△、15%超を×とした。
(2)感度評価:
上記(1)リニアリティ評価において、1.5μmL&Sレジストパターンを忠実に再現できる露光量(Eop)をmJ単位で求めた。
(3)DOF測定:
上記(2)感度評価の露光量(Eop)において、焦点を適宜上下にずらし、1.5μmL&Sが±10%の寸法変化率の範囲内で得られた焦点深度(DOF)の幅をμm単位で求めた。
(4)解像性評価:
上記(2)感度評価の露光量(Eop)における限界解像度を求めた。
【0051】
(実施例1)
(A)〜(D)成分として以下のものを用意した。
(A)成分:
(A1)m−クレゾール/3,4−キシレノール=8/2(モル比)の混合フェノール類1モルと、ホルムアルデヒド0.82モルを用いて常法により合成した、Mw=20000、Mw/Mn=5.2のノボラック樹脂
【0052】
(B)成分:
(B1)1−[1−(4−ヒロドキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン1モルと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド(以下「4−NQD」という)2モルとのエステル化反応生成物
(B2)ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン1モルと4−NQD2モルとのエステル化反応生成物
(B3)ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン1モルと4−NQD3モルとのエステル化反応生成物
(B4)ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン1モルと4−NQD2モルとのエステル化反応生成物
(B1’)〜(B4’):上記(B1)〜(B4)において、4−NQDの代わりに1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド(以下「5−NQD」という)を用いて合成されたエステル化反応生成物
(B5)2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルと5−NQD3モルとのエステル化反応生成物
(B6)2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルと4−NQD3モルとのエステル化反応生成物
【0053】
(C)成分:
(C1)ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン
【0054】
(D)成分:
(D1)PGMEA
【0055】
(実施例1〜4、比較例1〜6)
上記(A)〜(C)成分を下記表1に記載の配合量(質量部)で用いるともに、これら(A)〜(C)成分の合計質量に対して450ppmに相当する量の界面活性剤(製品名「メガファックR−08」;大日本インキ化学工業(株)製)を使用し、これらを下記表1に記載の(D)成分に溶解し、さらに孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過して、ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。得られたポジ型ホトレジスト組成物のレジスト分子量を表1に併記する。得られたポジ型ホトレジスト組成物について、上記(1)〜(4)の各項目をそれぞれ評価した。その結果を下記表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
実施例1〜4のポジ型ホトレジスト組成物は、感度が高く、また低NA条件(NA=0.14)でも解像性が良好であった。また、リニアリティやDOFも良好であった。
また比較例1〜4のポジ型ホトレジスト組成物は、低NA条件(NA=0.14)において解像性が良好であり、また、リニアリティやDOFも良好であったが、感度が実施例よりも劣るものであった。
また比較例5及び6のポジ型ホトレジスト組成物は、未露光部の膜減りが著しく、1.5μmL&Sのレジストパターンの断面形状はテーパー形状を呈し、良好な形状のレジストパターンは得られなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のシステムLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物は、高感度と高解像性とを両立したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】低NA条件下におけるリニアリティ評価のために、ポジ型ホトレジスト組成物をガラス基板に塗布し、べークし乾燥し、パターン露光した後、スリットコーターを有する現像装置で現像液を基板端部XからZにかけて液盛りする旨の説明図。
【発明の属する技術分野】
本発明は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物及び該ポジ型ホトレジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、薄膜トランジスタ(TFT)等の液晶表示素子(LCD)の製造におけるレジスト材料としては、ghi線露光に適しており、比較的安価で、高感度であることから、アルカリ可溶性樹脂としてノボラック樹脂を用い、感光性成分(以下、PACと略記することがある)としてナフトキノンジアジド基含有化合物を用いた、ノボラック−ナフトキノンジアジド系ポジ型ホトレジスト組成物が多く利用されていた(例えば、特許文献1〜4参照)。
【0003】
LCD製造の場合、基板上には、ディスプレイの画素部分を形成するだけであったので、当該ポジ型ホトレジスト組成物は、非常にラフなパターン(例えば3〜5μm程度)を形成できる程度の解像性を有していればよかった。そのため、光源としては短波長の光を用いる必要がなく、ghi線露光で十分であり、PACとしても、当該ghi線露光に適するもので良かった。そのようなPACとしては、安価であることから、ベンゾフェノン系のフェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物(ベンゾフェノン系PAC)が主に使用されていた。すなわち、半導体素子の場合に比べて基板のサイズが大きく、スループット(単位時間あたりの処理数量)向上及び低コスト化が大前提として求められるLCD製造分野においては、ghi線露光に対して高感度であり、かつ安価な材料であることが第一に優先されている。そのため、LCD製造用としては、ベンゾフェノン系PACを含むポジ型ホトレジスト組成物が用いられているのが現状である。
【0004】
現在、次世代のLCDとして、1枚のガラス基板上に、ドライバ、DAC(デジタル−アナログコンバーター)、画像プロセッサ、ビデオコントローラ、RAMなどの集積回路部分がディスプレイ部分と同時に形成される、いわゆる「システムLCD」と呼ばれる高機能LCDに対する技術開発が盛んに行われている(例えば、非特許文献1参照)。
以下、本明細書では、このように1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCDを、便宜的にシステムLCDという。
【0005】
従来のLCDの基板としては、アモルファスシリコンが用いられてきたが、このようなシステムLCDの基板としては、低温ポリシリコン、特に600℃以下の低温プロセスで形成される低温ポリシリコンが、アモルファスシリコンに比べて電気抵抗が小さくて移動度が高いことから好適であると期待されており、低温ポリシリコンを基板に用いるシステムLCDの開発が活発に行われている。
したがって、低温ポリシリコンを用いたシステムLCDの製造に適したレジスト組成物の開発が望まれているが、これまでにシステムLCD用のレジスト材料について報告された例はない。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−131835号公報
【特許文献2】
特開2001−75272号公報
【特許文献3】
特開2000−181055号公報
【特許文献4】
特開2000−112120号公報
【非特許文献1】
Semiconductor FPD World 2001.9, pp.50−67
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
システムLCDにおいては、例えば、ディスプレイ部分のパターン寸法が2〜10μm程度であるのに対し、集積回路部分は0.5〜2.0μm程度と微細な寸法で形成されている。そのため、システムLCD製造用のレジスト組成物には、微細なパターンとラフなパターンを同時に形状良く形成できる能力(高解像性及びリニアリティ)が求められる。当該微細なレジストパターンを形成するためには、ghi線露光に適した従来のベンゾフェノン系PACでは適用が難しく、よって、i線露光に適した非ベンゾフェノン系PACの使用が好適であると予想される。
しかし、本発明者らの知見によると、非ベンゾフェノン系PACは、解像性の点では問題はないものの、感度の点で難点がある。レジスト組成物における感度の低下は重大なスループット低下をもたらすので、非ベンゾフェノン系PACを、スループットを重要視するLCD製造分野に応用することは難しいと考えられる。一般に、レジスト組成物の感度と解像性とは、トレードオフの関係にあり、両立が難しいものであるが、システムLCDを商業ベースで製造していくためには、感度と解像性の両方に優れ、さらにはi線露光等にも適したレジスト組成物が強く望まれている。
【0008】
したがって、本発明は、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されるシステムLCDの製造用として要求される高感度と高解像性とを両立したポジ型ホトレジスト組成物、及びレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、PACとして、非ベンゾフェノン系のポリフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を用いたポジ型ホトレジスト組成物が、高感度と高解像性とを両立した材料であり、システムLCD製造用として好適であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ナフトキノンジアジドエステル化物、(C)分子量が1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、及び(D)有機溶剤を含有してなるレジスト組成物であって、
前記(B)成分が、下記一般式(I)
【化3】
[式中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R10、R11はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基の場合は、Q1は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は下記化学式(II)
【化4】
(式中、R12及びR13はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;cは1〜3の整数を示す)で表される残基を表し、Q1がR9の末端と結合する場合は、Q1はR9及び、Q1とR9との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;a、bは1〜3の整数を表し;dは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す。]
で表される化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を含有することを特徴とする、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物(以下、本発明のポジ型ホトレジスト組成物ということがある)を提供する。
また、本発明は、(1)前記ポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、を含むことを特徴とするレジストパターン形成方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
≪LCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物≫
<(A)成分>
(A)成分はアルカリ可溶性樹脂である。
(A)成分は、特に制限されるものでなく、ポジ型ホトレジスト組成物において被膜形成物質として通常用いられ得るものの中から、任意に1種又は2種以上選択して用いることができる。
例えば、フェノール類(フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、キシレノール、トリメチルフェノールなど)と、アルデヒド類(ホルムアルデヒド、ホルムアルデヒド前駆体、プロピオンアルデヒド、2−ヒドロキシベンズアルデヒド、3−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ヒドロキシベンズアルデヒドなど)及び/又はケトン類(メチルエチルケトン、アセトンなど)とを、酸性触媒存在下に縮合させて得られるノボラック樹脂;
ヒドロキシスチレンの単独重合体や、ヒドロキシスチレンと他のスチレン系単量体との共重合体、ヒドロキシスチレンとアクリル酸又はメタクリル酸あるいはその誘導体との共重合体などのヒドロキシスチレン系樹脂;
アクリル酸又はメタクリル酸とその誘導体との共重合体であるアクリル酸又はメタクリル酸系樹脂などが挙げられる。
特にm−クレゾール、p−クレゾール、3,4−キシレノールおよび2,3,5−トリメチルフェノールの中から選ばれる少なくとも2種を含有するフェノール類とホルムアルデヒドを含有するアルデヒド類とを縮合反応させて得られるノボラック樹脂が、高感度で解像性に優れたレジスト材料の調整に好適である。
(A)成分は、常法にしたがって製造することができる。
【0011】
(A)成分のゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算質量平均分子量はその種類にもよるが、感度やパターン形成の点から2000〜100000、好ましくは3000〜30000とされる。
(A)成分は、常法にしたがって製造することができる。
【0012】
<(B)成分>
(B)成分は、ナフトキノンジアジドエステル化物であり、特定の非ベンゾフェノン系PAC、すなわち前記一般式(I)で表されるフェノール化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物(以下、4−キノンPACということがある)を含有する。この4−キノンPACを含むポジ型ホトレジスト組成物は、高感度であり且つ高解像性である。また、i線を用いたホトリソグラフィに適しており、リニアリティ、焦点深度(DOF)等の特性の点でも好ましい。
【0013】
一般式(I)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を有するアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R10、R11はそれぞれ独立に水素原子、又は炭素原子数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を表し;R9が水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基の場合は、Q1は水素原子、炭素数1〜6の直鎖又は分岐のアルキル基、又は前記化学式(II)で表される残基を表し、Q1がR9の末端と結合する場合は、Q1はR9及び、Q1とR9との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;a、bは1〜3の整数を表し;dは0〜3の整数を表し;nは0〜3の整数を表す。
【0014】
なお、Q1とR9とが、Q1とR9との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を形成する場合には、Q1とR9は結合して、炭素数2〜5のアルキレン基を形成している。
【0015】
当該一般式(I)に該当するフェノール化合物としては、例えば、
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が前記化学式(II)で表される残基を表し、nが0を表すトリスフェノール型化合物、
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nが1〜3の整数を表すリニア型ポリフェノール化合物
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が水素原子、炭素数1〜6のアルキル基を表し、nが0を表すビスフェノール型化合物
・Q1がR9の末端と結合しておらず、R9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が前記化学式(II)で表される残基を表し、nが1を表す多核枝分かれ型化合物
・Q1がR9の末端と結合しており、nが0を表す縮合型フェノール化合物
等を挙げることができる。
【0016】
トリスフェノール型化合物として、より具体的には、トリス(4−ヒドロシキフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタンなどを挙げることができる。
【0017】
リニア型ポリフェノール化合物として、より具体的には、2,4−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−ヒドロキシフェノール、2,6−ビス(2,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェノール等のリニア型3核体フェノール化合物;
1,1−ビス〔3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル〕イソプロパン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル]メタン、ビス[3−(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシベンジル)−4−ヒドロキシ−5−エチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[4−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−5−メチルフェニル]メタン、ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシフェニル]メタン等のリニア型4核体フェノール化合物;
2,4−ビス[2−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,4−ビス[4−ヒドロキシ−3−(4−ヒドロキシベンジル)−5−メチルベンジル]−6−シクロヘキシルフェノール、2,6−ビス[2,5−ジメチル−3−(2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−ヒドロキシベンジル]−4−メチルフェノール等のリニア型5核体フェノール化合物などを挙げることができる。
【0018】
また、トリスフェノール型化合物及びリニア型ポリフェノール化合物以外の、一般式(I)に該当するフェノール化合物としては、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4−トリヒドロキシフェニル−4’−ヒドロキシフェニルメタン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(2’,4’−ジヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−(3’−フルオロ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジメチルフェニル)プロパンなどのビスフェノール型化合物;
1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、1−[1−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、などの多核枝分かれ型化合物;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンなどの縮合型フェノール化合物などが挙げられる。
これらのフェノール化合物は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0019】
中でも、トリスフェノール型化合物を主成分とすることが、高感度化と解像性の点において好ましく、特にビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン[以下(B1’)と略記する。]、ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン[以下、(B3’)と略記する。]は好ましい。また解像性、感度、耐熱性、DOF特性、リニアリティ等、レジスト特性のトータルバランスに優れたレジスト組成物を調製する目的においては、リニア型ポリフェノール化合物、ビスフェノール型化合物、多核枝分かれ型化合物、および縮合型フェノール化合物等を、上記トリスフェノール型化合物と併用して用いることが好ましく、特にビスフェノール型化合物、中でも、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)メタン[以下(B2’)と略記する。]を併用すると、トータルバランスに優れたレジスト組成物を調製できる。
なお、以下、前記(B1’)、(B2’)、(B3’)のそれぞれのナフトキノンジアジドエステル化物をそれぞれ(B1)、(B2)、(B3)と略記する。
【0020】
1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物としては、特に限定はないが、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドが商業的に入手容易かつ安価で好ましい。
【0021】
本発明においては、(B)成分として、一般式(I)で表される化合物のフェノール性水酸基の全部又は一部を1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物を用いてエステル化したナフトキノンジアジドエステル化物を含む。
一般式(I)で表される化合物のフェノール性水酸基の全部又は一部をナフトキノンジアジドエステル化する方法は、常法により行うことができる。
例えば、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドを上記一般式(I)で表される化合物と縮合させることにより得ることができる。
具体的には、例えば上記一般式(I)で表される化合物と、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライドとを、ジオキサン、n−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフラン等の有機溶媒に所定量溶解し、ここにトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジン、炭酸アルカリ、炭酸水素アルカリ等の塩基性触媒を1種以上加えて反応させ、得られた生成物を水洗、乾燥して調製することができる。
【0022】
(B)成分としては、上述の様に、これら例示した好ましいナフトキノンジアジドエステル化物の他に、一般にポジ型ホトレジスト組成物において感光性成分として用いられている他のナフトキノンジアジドエステル化物も用いることができ、例えばポリヒドロキシベンゾフェノンや没食子酸アルキル等のフェノール化合物とナフトキノンジアジドスルホン酸化合物とのエステル化反応生成物なども用いられ得る。これらの、他のナフトキノンジアジドエステル化物は、1種または2種以上を任意に選択して用いることができる。
これら他のナフトキノンジアジドエステル化物の使用量は、(B)成分中、80質量%以下、特には50質量%以下であることが、本発明の効果の向上の点から好ましい。
【0023】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物中の(B)成分の配合量は、(A)成分と下記(C)成分との合計量に対し20〜70質量%、好ましくは25〜60質量%とされる。
(B)成分の配合量を上記下限値以上とすることにより、パターンに忠実な画像が得られ、転写性が向上する。上記上限値以下とすることにより、感度の劣化を防ぐことができ、形成されるレジスト膜の均質性が向上し、解像性が向上するという効果が得られる。
【0024】
本発明において用いられる1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物は、その異性体である1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル化合物とともに、感度の良好なPACを提供できるとして、半導体製造分野においては公知であり、例えば特開平6−27655号公報、特開平6−51507号公報、特開平7−92669号公報等には、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物を用いたレジスト組成物が記載されている。
しかし、これらの1,2−ナフトキノンジアジドスルホニル化合物は、低コスト化が重要なLCD製造分野においてはほとんど用いられておらず、用いられる場合であっても、比較的安価な1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニル化合物が主に用いられていた。
【0025】
また、システムLCD製造においてレジスト組成物に要求される特性は、半導体製造の場合と様々な点で異なっているが、上記公報にはシステムLCDに関する記載は全くない。
例えば、システムLCDを含め、LCDの製造分野においては、スループットの向上、及び処理コントロール性の観点から、30〜50mJ程度の感度を有するレジスト材料が望まれている。
また、半導体素子の製造においては、最大、直径8インチ(約200mm)〜12インチ(約300mm)程度の円盤型シリコンウェーハが用いられているのに対し、LCDの製造においては、最小でも360mm×460mm程度の角型のガラス基板が用いられている。そのため、スループット向上の観点から、露光面積をできるだけ広く、少なくとも100mm2程度とすることが望まれており、LCDの製造は、一般に、NA(レンズの開口数)が低い条件の露光プロセスを用いることが好ましいとされている。中でもシステムLCDの場合、基板上には、ディスプレイ部分に加え、集積回路部分も形成されるため、基板がさらに大型化する傾向があり、通常のLCD製造の場合よりもさらに低NA条件での露光が望ましく、NAが例えば0.3以下、特には0.2以下の低NA条件の露光プロセスを用いることが好ましいとされている。
また、システムLCDにおいては、例えば、ディスプレイ部分のパターン寸法が2〜10μm程度であるのに対し、集積回路部分は0.5〜2.0μm程度と微細な寸法で形成されている。そのため、0.5〜2.0μm程度の微細なレジストパターンを形成できることが好ましい。しかしながら、上述したような低NA条件での露光プロセスの場合、解像性が悪いという問題がある。
また、システムLCD製造において用いられるポジ型ホトレジスト組成物は、寸法が大きく異なるディスプレイ部分と集積回路部分のレジストパターンを同時に、正確に形成できるリニアリティ特性が良好であること、また、シリコンウェーハ等に比べて表面平滑性の低いガラス基板を用いているため、焦点深度幅(DOF)特性が良好であることも求められる。
【0026】
本発明においては、(B)成分として、一般式(I)で表される特定のフェノール化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を用いることにより、高感度と高解像性とを、例えば低NA条件下であっても両立できるだけでなく、さらにリニアリティやDOF等の特性も良好なポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
【0027】
<(C)成分>
(C)成分は、フェノール性水酸基含有化合物である。この(C)成分を用いることにより、感度向上効果に優れ、低NA条件でのi線露光プロセスにおいても、高感度、高解像度であり、さらにはリニアリティに優れた、システムLCDに適したポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
(C)成分の分子量は1000以下、好ましくは700以下、実質的には200以上、好ましくは300以上であることが、上記効果の点から好ましい。
【0028】
(C)成分としては、感度向上剤、あるいは増感剤として一般にホトレジスト組成物に用いられるフェノール性水酸基含有化合物であって、好ましくは上記分子量の条件を満足するものであれば、特に制限はなく、1種又は2種以上を任意に選択して用いることができる。そして、中でも、下記一般式(III)
【0029】
【化5】
【0030】
[式中、R21〜R28はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;R30、R31はそれぞれ独立に水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表し;R29が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基の場合は、Q2は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又は下記化学式(IV)で表される残基
【0031】
【化6】
【0032】
(式中、R32及びR33はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を表し;gは0〜3の整数を示す)であり、Q2がR29の末端と結合する場合は、Q2がR29及び、Q2とR29との間の炭素原子とともに、炭素鎖3〜6のシクロアルキル基を表し;e、fは1〜3の整数を表し;hは0〜3の整数を表し;mは0〜3の整数を表す]で表されるフェノール化合物が、上記の特性を良く示し、好ましい。
【0033】
より具体的には、例えば上記(B)成分において例示した、ナフトキノンジアジドエステル化物において用いられる、一般式(I)で表されるフェノール化合物の他、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、ビス(2−tert−ブチル−4,5−ジヒドロキシフェニル)−フェニルメタン等のトリスフェニル型化合物を好適に用いることができる。中でもビス(2−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−フェニルメタン、1−[1−(4−ヒロドキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼンが好ましい。
【0034】
(C)成分の配合量は、効果の点から、(A)成分に対し10〜70質量%、好ましくは20〜60質量%の範囲とされる。
【0035】
<(D)成分>
(D)成分は、ホトレジスト組成物に用いられる一般的なものであれば特に制限なく1種又は2種以上を選択して用いることができるが、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、及び/又は2−ヘプタノンを含有するものが、塗布性に優れ、大型ガラス基板上でのレジスト被膜の膜厚均一性に優れている点で好ましい。
なお、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートと2−ヘプタノンの両方を用いることもできるが、それぞれ単独で、あるいは他の有機溶剤と混合して用いた方がスピンコート法などを利用した塗布時の膜厚均一性の点で好ましい場合が多い。
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、(D)成分中、50〜100質量%含有することが好ましい。
【0036】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、例えば炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するものであり、中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、PGMEAと略記することがある)が、大型ガラス基板上でのレジスト被膜の膜厚均一性に非常に優れるため、特に好ましい。
【0037】
一方、2−ヘプタノンは、特に限定するものではないが、上述の様に(B)ナフトキノンジアジドエステル化物として、非ベンゾフェノン系の感光性成分と組み合わせたときに好適な溶媒である。
2−ヘプタノンは、PGMEAに比べると耐熱性に優れ、スカム発生が低減化されたレジスト組成物を与えるという特性を有し、非常に好ましい溶剤である。
2−ヘプタノンを単独で、あるいは他の有機溶剤と混合して用いる場合には、(D)成分中、50〜100質量%含有することが好ましい。
【0038】
また、これらの好ましい溶媒に、他の溶媒を混合して用いることもできる。
例えば乳酸メチル、乳酸エチルなど(好ましくは乳酸エチル)の乳酸アルキルを配合すると、レジスト被膜の膜厚均一性に優れ、形状に優れたレジストパターンを形成することができて好ましい。
【0039】
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートと乳酸アルキルとを混合して用いる場合は、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートに対して質量比で0.1〜10倍量、好ましくは1〜5倍量の乳酸アルキルを配合することが望ましい。
また、γ−ブチロラクトンやプロピレングリコールモノブチルエーテルなどの有機溶剤も用いることができる。
γ−ブチロラクトンを用いる場合には、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテートに対して質量比で0.01〜1倍量、好ましくは0.05〜0.5倍量の範囲で配合することが望ましい。
【0040】
なお、その他に配合可能な有機溶剤としては、具体的には、例えば以下のものが挙げられる。
すなわち、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン等のケトン類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、あるいはこれらのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテル等の多価アルコール類及びその誘導体;ジオキサンのような環式エーテル類;及び酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類などである。
これらの溶剤を用いる場合、(D)成分中、50質量%以下であることが望ましい。
【0041】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて相容性のある添加物、例えばレジスト膜の性能などを改良するための付加的樹脂、可塑剤、保存安定剤、界面活性剤、現像した像をより一層可視的にするための着色料、より増感効果を向上させるための増感剤やハレーション防止用染料、密着性向上剤、などの慣用の添加物を含有させることができる。
ハレーション防止用染料としては、紫外線吸収剤(例えば2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン等)等を用いることができる。
界面活性剤は、例えばストリエーション防止等のために添加することができ、例えばフロラードFC−430、FC431(商品名、住友3M(株)製)、エフトップEF122A、EF122B、EF122C、EF126(商品名、トーケムプロダクツ(株)製)等のフッ素系界面活性剤、メガファックR−08(商品名、大日本インキ化学工業(株)製)などを用いることができる。
【0042】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、好ましくは、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び必要に応じてその他の成分を、(D)有機溶剤に溶解することにより調製することができる。
なお、(D)成分の使用量は、好ましくは(A)〜(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の成分を溶解し、均一なポジ型ホトレジスト組成物が得られる様に適宜調整し得る。好ましくは固形分濃度[(A)〜(C)成分及び必要に応じて用いられるその他の成分]が10〜50質量%、さらに好ましくは20〜35質量%となる様に用いられる。
【0043】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、該レジスト組成物に含まれる固形分のMw(以下、レジスト分子量という)が5000〜30000の範囲内となるように調製されていることが好ましく、より好ましいMwは6000〜10000である。該レジストレジスト分子量を上記の範囲とすることにより、感度を低下させずに、高解像性を達成できるとともに、リニアリティ及びDOF特性に優れ、さらに耐熱性にも優れたポジ型ホトレジスト組成物が得られる。
レジスト分子量が上記範囲より小さいと解像性、リニアリティ、DOF特性及び耐熱性が不十分となり、上記の範囲を超えると感度の低下が著しくなり、レジスト組成物の塗布性が損なわれるおそれがある。
【0044】
なお、本明細書において、レジスト分子量としては、次のGPCシステムを用いて測定した値を用いている。
装置名:SYSTEM 11(製品名、昭和電工社製)
プレカラム:KF−G(製品名、Shodex社製)
カラム:KF−805、KF−803、KF−802(製品名、Shodex社製)
検出器:UV41(製品名、Shodex社製)、280nmで測定。
溶媒等:流量1.0ml/分でテトラヒドロフランを流し、35℃にて測定。
測定試料調製方法:測定しようとするホトレジスト組成物を、固形分濃度が30質量%になるように調整し、これをテトラヒドロフランで希釈し、固形分濃度が0.1質量%の測定試料を作成する。当該測定試料の20マイクロリットルを上記装置に打ち込んで測定を行う。
【0045】
また、システムLCD製造においては、従来LCDの製造に用いられていたg線(436nm)露光に代えて、より短波長のi線(365nm)露光を用いたホトリソグラフィ技術を用いることにより解像度を上げようとする傾向がある。これに対して、特に(B)成分として、及び任意に(C)成分として、非ベンゾフェノン系の化合物を用いてなる本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、(B)成分及び(C)成分によるi線の吸収が抑えられるので、i線露光プロセスに好適であり、さらなる高解像度化を実現できる。
【0046】
本発明のポジ型ホトレジスト組成物の調製において、レジスト分子量が上記の好適範囲となるように調製する方法としては、例えば、(1)全成分を混合した後のMwが上記範囲となるように、混合前に(A)成分に対して分別操作を行うなどして、(A)成分のMwを予め適宜の範囲に調整しておく方法、(2)Mwの異なる(A)成分を複数用意し、これを適宜配合して該固形分のMwを上記の範囲に調整する方法などがある。
特に上記(2)による調製方法が、レジスト分子量の調整、および感度調整が容易である点でより好ましい。
【0047】
≪レジストパターン形成方法≫
以下に、本発明のポジ型ホトレジスト組成物を用いてシステムLCDを製造する際のレジストパターンの好適な形成方法の一例を示す。
まず、上述の本発明のポジ型ホトレジスト組成物を、スピンナー等で基板に塗布して塗膜を形成する。基板としてはガラス基板が好ましい。ガラス基板としては、通常アモルファスシリカが用いられるがシステムLCDの分野においては、低温ポリシリコン等が好ましいとされている。このガラス基板としては、本発明のポジ型ホトレジスト組成物が低NA条件下での解像性に優れるため、500mm×600mm以上、特には550mm×650mm以上の大型の基板を用いることができる。
次いで、この塗膜が形成されたガラス基板を例えば100〜140℃で加熱処理(プリベーク)して残存溶媒を除去し、レジスト被膜を形成する。プリベーク方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベークを行うことが好ましい。
さらに、上記レジスト被膜に対し、マスクパターンが描かれたマスクを用いて選択的露光を行う。
光源としては、微細なパターンを形成するためにi線(365nm)を用いることが好ましい。また、この露光で採用する露光プロセスは、NAが0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.15以下の低NA条件の露光プロセスであることが好ましい。
次いで、選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク:PEB)を施す。PEB方法としては、ホットプレートと基板の間に隙間を持たせるプロキシミティベーク、隙間を持たせないダイレクトベークが挙げられ、基板の反りを生じさせることをなく、PEBによる拡散効果を得るために、プロキシミティベークを行った後、ダイレクトベークを行う方法が好ましい。なお、加熱温度は90〜150℃、特には100〜140℃が好ましい。を行うことが好ましい。
上記PEB後のレジスト被膜に対し、現像液、例えば1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ水溶液を用いた現像処理を施すと、露光部分が溶解除去されて、基板上に集積回路用のレジストパターンと液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンが同時に形成される。
さらに、レジストパターン表面に残った現像液を純水などのリンス液で洗い落とすことによりレジストパターンを形成できる。
【0048】
このレジストパターン形成方法において、システムLCDを製造する場合には、上記選択的露光を行う工程において、上記マスクとして、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いることが好ましい。
そして、本発明LCD用ポジ型ホトレジスト組成物は、解像性に優れているので、マスクパターンの微細なパターンを忠実に再現したレジストパターンが得られる。よって、上記レジストパターンを同時に形成する工程において、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成することができる。
【0049】
以上説明したように、本発明のポジ型ホトレジスト組成物は、高感度と高解像性とを両立するだけでなく、さらにリニアリティやDOF等の特性も良好であり、システムLCD製造用として好適なものである。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例を示して詳しく説明する。
下記実施例1〜4及び比較例1〜6において調製したポジ型ホトレジスト組成物を用いて、下記の手順でレジストパターンを形成し、評価を行った。
評価方法
(1)リニアリティ評価:
ポジ型ホトレジスト組成物を大型基板用レジスト塗布装置(装置名:TR36000、東京応化工業(株)製)を用いて、Ti膜が形成されたガラス基板(550mm×650mm)上に塗布したのち、ホットプレートの温度を100℃とし、約1mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより90秒間の第1回目の乾燥を行い、次いでホットプレートの温度を90℃とし、0.5mmの間隔をあけたプロキシミティベークにより90秒間の第2回目の乾燥を施し、膜厚1.5μmのレジスト被膜を形成した。
次いで3.0μmラインアンドスペース(L&S)及び1.5μmL&Sのレジストパターンを再現するためのマスクパターンが同時に描かれたテストチャートマスク(レチクル)を介して、i線露光装置(装置名:FX−702J、ニコン社製;NA=0.14)を用いて、1.5μmL&Sを忠実に再現することのできる露光量(Eop露光量)にて選択的露光を行った。
次いで、ホットプレートの温度を120℃とし、0.5mmの間隔をあけて、プロキシミティベークにより、30秒間の加熱処理を施し、次いで同じ温度で間隔をあけないダイレクトベークにより60秒間の加熱処理を施した。
次いで、23℃、2.38質量%TMAH水溶液をスリットコータノズルを有する現像装置(装置名:TD−39000デモ機、東京応化工業(株)製)を用いて、図1に示したように基板端部XからYを経てZにかけて、10秒間を掛けて基板上に液盛りし、55秒間保持した後、30秒間水洗し、スピン乾燥した。
その後、得られたレジストパターンの断面形状をSEM(走査型電子顕微鏡)写真にて観察し、3.0μmL&Sのレジストパターンの再現性を評価した。寸法変化率が±10%以下であったものを○、10%超〜15%以下を△、15%超を×とした。
(2)感度評価:
上記(1)リニアリティ評価において、1.5μmL&Sレジストパターンを忠実に再現できる露光量(Eop)をmJ単位で求めた。
(3)DOF測定:
上記(2)感度評価の露光量(Eop)において、焦点を適宜上下にずらし、1.5μmL&Sが±10%の寸法変化率の範囲内で得られた焦点深度(DOF)の幅をμm単位で求めた。
(4)解像性評価:
上記(2)感度評価の露光量(Eop)における限界解像度を求めた。
【0051】
(実施例1)
(A)〜(D)成分として以下のものを用意した。
(A)成分:
(A1)m−クレゾール/3,4−キシレノール=8/2(モル比)の混合フェノール類1モルと、ホルムアルデヒド0.82モルを用いて常法により合成した、Mw=20000、Mw/Mn=5.2のノボラック樹脂
【0052】
(B)成分:
(B1)1−[1−(4−ヒロドキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン1モルと1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニルクロライド(以下「4−NQD」という)2モルとのエステル化反応生成物
(B2)ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン1モルと4−NQD2モルとのエステル化反応生成物
(B3)ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン1モルと4−NQD3モルとのエステル化反応生成物
(B4)ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5−トリメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン1モルと4−NQD2モルとのエステル化反応生成物
(B1’)〜(B4’):上記(B1)〜(B4)において、4−NQDの代わりに1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホニルクロライド(以下「5−NQD」という)を用いて合成されたエステル化反応生成物
(B5)2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルと5−NQD3モルとのエステル化反応生成物
(B6)2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン1モルと4−NQD3モルとのエステル化反応生成物
【0053】
(C)成分:
(C1)ビス(5−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−2−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン
【0054】
(D)成分:
(D1)PGMEA
【0055】
(実施例1〜4、比較例1〜6)
上記(A)〜(C)成分を下記表1に記載の配合量(質量部)で用いるともに、これら(A)〜(C)成分の合計質量に対して450ppmに相当する量の界面活性剤(製品名「メガファックR−08」;大日本インキ化学工業(株)製)を使用し、これらを下記表1に記載の(D)成分に溶解し、さらに孔径0.2μmのメンブランフィルターを用いてろ過して、ポジ型ホトレジスト組成物を調製した。得られたポジ型ホトレジスト組成物のレジスト分子量を表1に併記する。得られたポジ型ホトレジスト組成物について、上記(1)〜(4)の各項目をそれぞれ評価した。その結果を下記表2に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】
実施例1〜4のポジ型ホトレジスト組成物は、感度が高く、また低NA条件(NA=0.14)でも解像性が良好であった。また、リニアリティやDOFも良好であった。
また比較例1〜4のポジ型ホトレジスト組成物は、低NA条件(NA=0.14)において解像性が良好であり、また、リニアリティやDOFも良好であったが、感度が実施例よりも劣るものであった。
また比較例5及び6のポジ型ホトレジスト組成物は、未露光部の膜減りが著しく、1.5μmL&Sのレジストパターンの断面形状はテーパー形状を呈し、良好な形状のレジストパターンは得られなかった。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のシステムLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物は、高感度と高解像性とを両立したものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】低NA条件下におけるリニアリティ評価のために、ポジ型ホトレジスト組成物をガラス基板に塗布し、べークし乾燥し、パターン露光した後、スリットコーターを有する現像装置で現像液を基板端部XからZにかけて液盛りする旨の説明図。
Claims (7)
- (A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ナフトキノンジアジドエステル化物、(C)分子量が1000以下のフェノール性水酸基含有化合物、及び(D)有機溶剤を含有してなるレジスト組成物であって、
前記(B)成分が、下記一般式(I)
で表される化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を含有することを特徴とする、1つの基板上に集積回路と液晶ディスプレイ部分が形成されたLCD製造用ポジ型ホトレジスト組成物。 - 前記(B)成分が、前記一般式(I)中のR9が水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表し、Q1が前記化学式(II)で表される残基を表し、nが0を表すトリスフェノール型化合物と1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホニル化合物とのエステル化反応生成物を含有する請求項1記載のポジ型ホトレジスト組成物。
- 前記(D)成分が、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート及び/又は2−ヘプタノンを含有する請求項1又は2記載のポジ型ホトレジスト組成物。
- i線露光プロセス用である請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型ホトレジスト組成物。
- NAが0.3以下の露光プロセス用であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型ホトレジスト組成物。
- (1)請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型ホトレジスト組成物を基板上に塗布し、塗膜を形成する工程、(2)上記塗膜が形成された基板を加熱処理(プリベーク)し、基板上にレジスト被膜を形成する工程、(3)上記レジスト被膜に対し、2.0μm以下のレジストパターン形成用マスクパターンと、2.0μm超のレジストパターン形成用マスクパターンの双方が描かれたマスクを用いて選択的露光を行う工程、(4)上記選択的露光後のレジスト被膜に対し、加熱処理(ポストエクスポージャーベーク)を施す工程、(5)上記加熱処理後のレジスト被膜に対し、アルカリ水溶液を用いた現像処理を施し、上記基板上に、パターン寸法2.0μm以下の集積回路用のレジストパターンと、2.0μm超の液晶ディスプレイ部分用のレジストパターンを同時に形成する工程、を含むことを特徴とするレジストパターン形成方法。
- 前記(3)選択的露光を行う工程が、i線を光源に用い、かつNAが0.3以下の低NA条件下での露光プロセスにより行われることを特徴とする請求項6記載のレジストパターン形成方法。
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