JP2004343884A - 三相モータ駆動回路と駆動方法 - Google Patents

三相モータ駆動回路と駆動方法 Download PDF

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Abstract

【課題】直流電源で三相モータを駆動する回路を4個のスイッチング素子で構成できるようにし、回路構成が簡略な三相モータの駆動回路を提供する。
【解決手段】第1スイッチング素子31を介して正電位端子43とU相を接続する接続線37と、第2スイッチング素子32を介して負電位端子44とU相を接続する接続線38と、第3スイッチング素子33を介して正電位端子43とV相を接続する接続線39と、第4スイッチング素子34を介して負電位端子44とV相を接続する接続線40と、中間電位端子47とW相を常時に接続する接続線52を備えている三相モータ駆動回路で、第1〜第4スイッチング素子を制御することにより三相モータ内部に回転磁界を発生させ、三相モータを駆動することができる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、U相とV相とW相を持つ三相モータの駆動回路と駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】三相モータはU相とV相とW相を持ち、U相とV相とW相に印加する電圧が経時的に変化することによってモータ内部に回転磁場が形成されることを利用して回転する。
【0003】
直流電力を交流電力へ変換するインバータ技術が広く知られており、スイッチング素子によって電流もしくは電圧を断続的にオン/オフする。直流電源で三相モータを駆動する回路では、三相モータの各相毎に、直流電源の正電位と負電位を選択的に印加しなければならない。そのために、三相モータの各相毎に、直流電源の正電位端子との間を導通、遮断するスイッチング素子と、負電位端子との間を導通、遮断するスイッチング素子が必要であり、合計6個のスイッチング素子が必要となる。
図1(A)は、直流電源25で三相モータ26を駆動する従来の駆動回路を示し、第1スイッチング素子11を介して正電位端子23とU相を接続する接続線17と、第2スイッチング素子12を介して負電位端子24とU相を接続する接続線18と、第3スイッチング素子13を介して正電位端子23とV相を接続する接続線19と、第4スイッチング素子14を介して負電位端子24とV相を接続する接続線20と、第5スイッチング素子15を介して正電位端子23とW相を接続する接続線21と、第6スイッチング素子16を介して負電位端子24とW相を接続する接続線22とを備えている。
U相とV相とW相に印加する電圧を経時的に変化させるために、第1〜第6スイッチング素子11〜16は、例えば図1(E)に示すようにオン/オフが制御される。図1(E)の丸印はオンを示し、空欄はオフを示す。第1〜第6スイッチング素子11〜16のオン/オフを、図1(E)の(1)から(6)に示すように切替えると、図1(F)の(1)から(6)に示す方向に電流が流れ、図1(G)の(1)から(6)に模式的に示す方向に磁場が形成される。第1〜第6スイッチング素子11〜16を、図1(E)の(1)から(6)を経て(1)に戻るように切替えつづけると、図1(G)に示す回転磁場が形成される。
図1(H)は、図1(E)の(1)から(6)のオン/オフ状態に対応するUVW相の電圧を示している。第1〜第6スイッチング素子11〜16のオン/オフを、図1(E)に示すように経時的に切替えることによって、図1(H)に示すように経時的に変化する電位をUVW相に印加すると、モータ内には間欠的に回転する回転磁場が形成され、三相モータが回転する。経時的な切替えパターンを逆にし、図1(E)の(6)から(1)を経て(6)に戻るように切替えつづけると、三相モータが逆回転する。
【0004】
図1(I)は、図1(H)のパルス状の電圧変化パターンを正弦波電圧に置き換えたものであり、三相モータのUVW相に2π/3だけ位相がずれた正弦波電位を印加すると、モータ内に形成される磁場の方位は等速度で回転する。
図2(A)は、第1スイッチング素子11と第2スイッチング素子12をPWM(パルス幅変調)制御することによって作り出されるU相電圧を示し、所定時間毎に平均すると正弦波電圧となる電圧変化が得られる。図2(B)は、第3スイッチング素子13と第4スイッチング素子14をPWM(パルス幅変調)制御することによって作り出されるV相電圧を示し、所定時間毎に平均すると正弦波電圧となる電圧変化が得られる。U相電圧から2π/3だけ位相がずれている。
図2(c)は、第5スイッチング素子15と第6スイッチング素子16をPWM(パルス幅変調)制御することによって作り出されるW相電圧を示し、所定時間毎に平均すると正弦波電圧となる電圧変化が得られる。V相電圧から2π/3だけ位相がずれており、U相電圧から4π/3だけ位相がずれている(−2π/3だけ位相がずれているといってもよい)。図3は、図2の電圧をUVW相に印加したときの線間電圧を示し、(A)はUV相の線間電圧、(B)はVW相の線間電圧、(C)はWU相の線間電圧を示している。相互に2π/3だけ位相がずれている線間電圧を三相モータに印加すると、連続的に等速度で回転する回転磁場が形成され、三相モータが滑らかに回転する。
本明細書は、電圧の位相の記述では角度の単位をラジアンとし、回転磁場の記述では角度の単位を度(°)とする。
【0005】
図1(E)に示すように第1〜第6スイッチング素子11〜16のオン/オフを切替えるか、あるいは、図2の電位変化が得られるように第1〜第6スイッチング素子11〜16をPWM制御すると、モータ内に回転磁場が形成される。
従来の技術では、モータ内に回転磁場を作り出すために、6個のスイッチング素子を必要とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】直流電源で三相モータを駆動する回路には、6個のスイッチング素子が必要とされる。6個のスイッチング素子のそれぞれを直流電源とスイッチング制御回路に接続する必要があり、回路構成が複雑となってしまう。
本発明は上述の課題を解決するために創作されたものであり、直流電源で三相モータを駆動する回路を4個のスイッチング素子で構成できるようにする。
【0007】
【課題を解決するための手段と作用と効果】請求項1の三相モータ駆動回路は、少なくとも正電位端子と負電位端子を持つ直流電源と、U相とV相とW相を持つ三相モータとの間に接続して三相モータを駆動する回路に関する。この駆動回路は、第1スイッチング素子を介して正電位端子とU相を接続する接続線と、第2スイッチング素子を介して負電位端子とU相を接続する接続線と、第3スイッチング素子を介して正電位端子とV相を接続する接続線と、第4スイッチング素子を介して負電位端子とV相を接続する接続線と、正電位端子と負電位端子の中間電位を常時にW相に接続する接続線とを備えている。
正電位端子と負電位端子の中間電位は、駆動回路の中で作り出してもよいが、直流電源自体が正電位端子と負電位端子の他に中間電位端子を持っている場合には、W相をその中間電位端子に常時接続しておけばよい(請求項2)。
なお、直流電源の中間電位は、直流電源の正電位と負電位の中央値を意味するものであるが、厳密な中央値に限定されるものではなく、意図的に中央値と幾ばくか異なる電位を使用するものも、本発明に含まれると解釈されるべきである。
三相モータの三相に対してUVW相は任意に名付けることが可能であり、中間電位端子に接続されているものをW相と言う。
【0008】
図4の(A)は、正電位端子43と負電位端子44と中間電位端子47を持つ直流電源45と、U相とV相とW相を持つ三相モータ46を接続して三相モータ46を駆動する回路51を示している。
この駆動回路51は、第1スイッチング素子31を介して正電位端子43とU相を接続する接続線37と、第2スイッチング素子32を介して負電位端子44とU相を接続する接続線38と、第3スイッチング素子33を介して正電位端子43とV相を接続する接続線39と、第4スイッチング素子34を介して負電位端子44とV相を接続する接続線40と、中間電位端子47とW相を常時に接続する接続線52を備えている。
直流電源45が、中間電位端子47を備えていなければ、図4(J)に示すように、駆動回路52の中で中間電位を作り出してもよい。抵抗48、49とコンデンサ53、54で分圧することによってノード50に中間電位を形成することができる。
【0009】
第1〜第4スイッチング素子31〜34を、例えば図4(B)に示すように制御すると、図4(C)に示す方向に電流が流れ、図4(D)に模式的に示す方向に磁場が形成される。図4(B)の丸印はオンを示し、空欄はオフを示す。第1〜第4スイッチング素子31〜34のオン/オフを、図4(B)の(a)から(d)を経て(a)に戻るように切替えつづけると、図4(D)に示す回転磁場が形成され、三相モータ46が回転する。図4(D)に示す回転磁場は90°づつ間欠的に回転する。
スイッチング素子の制御部が、(a)期間から(d)期間を経て(a)期間に戻るように第1〜第4スイッチング素子31〜34を制御すると、反時計方向に回転する磁場が形成されて三相モータ46が反時計方向に回転する。(d)期間から(a)期間を経て(d)期間に戻るように第1〜第4スイッチング素子31〜34を制御すると、時計方向に回転する磁場が形成されて三相モータ46が時計方向に回転する。
【0010】
スイッチング素子をPWM制御して電圧をコントロールすると、図1(G)に示した60°づつ間欠的に回転する回転磁場を作ることができる。図4(E)の丸印は連続してオンする状態を示し、Xと丸が複合した印はPWM制御されて断続的にオフ/オフを繰り返す状態を示し、空欄は連続してオフする状態を示している。
図4(E)(1)の状態では、U相に直流電源45の正電位が印加され、V相に第3スイッチング素子33と第4スイッチング素子34によってPWM制御された平均電位(直流電源45の正電位よりも低い)が印加され、W相に中間電位が印加される。図4(H)に、U相に印加される直流電源45の正電位(56で示される)と、V相に印加されるPWM制御された平均電位(58で示される)を示し、後者は前者よりも低い。この結果、図4(F)(1)に示す方向に、図示する大きさの電流が流れ、図4(G)(1)に模式的に示す方向に磁場が形成される。(1)から(6)を経て(1)に戻るように第1〜第4スイッチング素子31〜34をPWM制御すると、反時計方向に略60°づつ間欠的に回転する磁場が形成されて三相モータ46が反時計方向に回転する。(6)から(1)を経て(6)に戻るように第1〜第4スイッチング素子31〜34をPWM制御すると、時計方向に略60°づつ間欠的に回転する磁場が形成されて三相モータ46が時計方向に回転する。図4(H)は、U相電位とV相電位の経時的変化を示している。
【0011】
図4(H)のU相電位とV相電位の経時的変化から明らかなように、スイッチング素子のPWM制御の基本周期を短くし、ディーティ比を時間的に細かく変動させることによって、図4(I)に示す正弦波電位を作ることができる。この場合、U相に印加する正弦波電位とV相に印加する正弦波電位は、π/3だけ位相がずれている。
【0012】
図5(A)〜(C)は、従来の駆動回路でUVW相に印加するUVW相電位を示し、2π/3づつ位相がずれている。図5(D)〜(F)は、UV線間電圧とVW線間電圧とWU線間電圧を示しており、2π/3づつ位相がずれている。
図5の(G)から(I)は、図4(A)または(J)の駆動回路でUVW相に印加するUVW相電位を示し、W相電位は中間電位に固定されている。U相電位とV相電位は正弦波電位であり(ピーク電圧は、図5(A)〜(C)の場合のルート3倍にとってある)、π/3だけ位相がずれている。図5(J)〜(L)は、UV線間電圧とVW線間電圧とWU線間電圧を示しており、2π/3づつ位相がずれており、図5(D)〜(F)に示したUV線間電圧とVW線間電圧とWU線間電圧に全く等しい。
図4(A)または(J)に示す駆動回路において、第1〜第4スイッチング素子31〜34をPWM制御することによって、図5(G)〜(H)に示す正弦波電位を作ることができ、2π/3づつ位相がずれているUV線間電圧とVW線間電圧とWU線間電圧を印加することができる。4つのスイッチング素子31〜34を利用するだけで、従来の駆動回路と全く同じように三相モータを回転駆動することができる。この場合、同じ定格のモータであるのならルート3倍だけ電圧の高い直流電源を用いる必要があるが、スイッチング素子の個数を6個から4個に減少できる利点の方が高い直流電源を必要とする問題を補って余りある。
図4の(I)に示すきれいな正弦波電位に代えて、正電位と負電位の間で電位が断続的に切替えられるものの、平均すると正弦波に近似するパルス状の電位を利用することもできる。このようにしても、時間平均した磁場の方向は回転し、モータは回転する。モータのロータは慣性を持ち、時間平均した磁場の回転に追従して回転する。
請求項3に示すように、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32を制御して平均処理すると正弦波に近似する電位をU相に印加し、第3スイッチング素子33と第4スイッチング素子34を制御して平均処理すると正弦波に近似する電位をV相に印加し、U相に印加する正弦波とV相に印加する正弦波の位相を略π/3ずらす制御部を用いると、従来の駆動回路と全く同じように三相モータを回転駆動することができる。
【0013】
図6は、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32を制御することによって平均処理すると正弦波に近似する電位に調整するPWM制御の制御内容を示す。制御部では、正弦波64と三角波66を生成し、前者64が後者66以上であれば第1スイッチング素子31をオンして第2スイッチング素子32をオフし、前者が後者以下であれば第1スイッチング素子31をオフして第2スイッチング素子32をオンする。これによって、U相に印加する電位は(B)のように変化する。(B)の電位変化を所定の時間について移動平均をとっていくと、その移動平均値は略正弦波に一致する。第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32をPWM制御することによって、平均処理すると正弦波に近似する電位を得ることができ、それをU相に印加することができる。同様に、第3スイッチング素子33と第4スイッチング素子34をPWM制御することによって、V相に印加する電位を実質的に略正弦波に調整することができる。また、制御に用いる正弦波64の位相をπ/3だけずらすことによって、U相電位とV相電位の位相をπ/3だけずらすことができる。
【0014】
図7(A)は、第1スイッチング素子31と第2スイッチング素子32をPWM制御して作出されたU相電位を示し、移動平均値は正弦波68になっている。
図7(B)は、第3スイッチング素子33と第4スイッチング素子34をPWM制御して作出されたV相電位を示し、移動平均値は正弦波70になっている。正弦波68と正弦波70は、位相がπ/3だけずれている。
図8(A)〜(C)は、UV線間電圧とVW線間電圧とWU線間電圧を示しており、実効的には2π/3づつ位相がずれた正弦波となっており、図3に示したUV線間電圧とVW線間電圧とWU線間電圧に全く等しい。
【0015】
従来の三相モータ駆動回路は、図1を参照して説明したように、第1スイッチング素子11を介して直流電源25の正電位端子23とU相を接続する接続線17と、第2スイッチング素子12を介して負電位端子24とU相を接続する接続線18と、第3スイッチング素子13を介して正電位端子23とV相を接続する接続線19と、第4スイッチング素子14を介して負電位端子24とV相を接続する接続線20と、第5スイッチング素子15を介して正電位端子23とW相を接続する接続線21と、第6スイッチング素子16を介して負電位端子24とW相を接続する接続線22を備えている。
この従来の駆動回路の制御態様を切替えることで、本発明の駆動回路に切替えることができる。切替えることによってルート3倍の定格電圧を持つ直流電源で三相モータを駆動することが可能となる。
ルート3倍の定格電圧を持つ直流電源を利用して本発明の駆動回路で駆動する場合には、従来の駆動回路の第5スイッチング素子15と第6スイッチング素子16を常時オフし、代わりに、正電位端子23と負電位端子24の中間電位を常時にW相に印加する(請求項4)。
この場合、同一の回路によって異なる直流電源で三相モータを駆動することが可能となる。低電圧電源を利用する場合には、第5スイッチング素子15と第6スイッチング素子16を活用する従来の駆動回路で対応し、そのルート3倍の電圧を持つ直流電源を利用する場合には、第5スイッチング素子15と第6スイッチング素子16を常時オフし、代わりに、中間電位をW相に印加することによって三相モータを駆動することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】最初に以下で説明する実施例の主要な特徴を列記する。
(形態1)スイッチング制御部は、正弦波とそれよりも高周波で同一電位領域で変動するパルス波(三角波またはのこぎり波を含む)を出力する信号波生成部と、両者を比較する比較部を有する。
(形態2)相に印加する電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。
(形態3)下記の第1期間から第4期間に向けて、またはその逆方向に経時的にスイッチング素子を制御する制御部を持つ。
第1期間:第2スイッチング素子をオフして第1スイッチング素子をオンさせ、第4スイッチング素子をオフして第3スイッチング素子をオンさせる
第2期間:第1スイッチング素子をオフして第2スイッチング素子をオンさせ、第4スイッチング素子をオフして第3スイッチング素子をオンさせる
第3期間:第1スイッチング素子をオフして第2スイッチング素子をオンさせ、第3スイッチング素子をオフして第4スイッチング素子をオンさせる
第4期間:第2スイッチング素子をオフして第1スイッチング素子をオンさせ、第3スイッチング素子をオフして第4スイッチング素子をオンさせる
(形態4) スイッチング素子をPWM制御する代わりに、形態3の切替えによって間欠的に回転する磁場を作り出す。
【0017】
【実施例】(第1実施例) 本発明に係る三相モータ駆動回路の第1実施例を図面を参照して説明する。なお、この三相モータ駆動回路は、ドリルドライバー等の充電式電動工具に搭載され、三相モータを駆動するものである。
図9は、その充電式工具の回路図であり、本実施例の三相モータ駆動回路82に、電池パック74と三相モータ102を併せて示したものである。
【0018】
電池パック74は出力電圧が12Vであり、中間電位76(以下ではこの電位を基準とするためにゼロボルトとする)と、正電位75(+6V)と、負電位77(−6V)を出力する。電池パック74は三相モータ駆動回路82に接続されて利用され、正電位端子78と負電位端子79と中間電位端子80は、三相モータ駆動回路82の対応する端子に電気的に接続されて利用される。
三相モータ102は、U相コイルとV相コイルとW相コイルを持ち、U相端子104とV相端子106とW相端子108が、三相モータ駆動回路82の対応する端子に電気的に接続されて利用される。
【0019】
三相モータ駆動回路82は、第1スイッチング素子91を介して正電位端子78とU相端子104を接続する接続線95と、第2スイッチング素子92を介して負電位端子79とU相端子104を接続する接続線96と、第3スイッチング素子93を介して正電位端子78とV相端子106を接続する接続線97と、第4スイッチング素子94を介して負電位端子79とV相端子106を接続する接続線98と、中間電位端子80をW相端子108に常時に接続する接続線99を備えている。
第1〜第4スイッチング素子91〜94は、半導体スイッチとして一般的なトランジスタである。また、スイッチング時のモータ電流回生用として、トランジスタと並列にダイオード100が挿入されている。
【0020】
三相モータ駆動回路82は、第1〜第4スイッチング素子91〜94のスイッチングを制御するスイッチング制御部84を具備している。スイッチング制御部84と第1〜第4スイッチング素子91〜94のそれぞれが接続されており、スイッチング信号を第1〜第4スイッチング素子91〜94へ独立選択的に印加することができる。その信号によって、第1〜第4スイッチング素子91〜94のスイッチングは独立選択的に制御される。
スイッチング制御部84は、正電位端子78および負電位端子79に接続されており、電池パック74から電源が供給される。
充電式工具は、図示はしていないが、運転スイッチ等の入力手段、ランプ等の表示手段なども備える。
【0021】
スイッチング制御部84は、PWM制御に係る演算機能を有している。
本実施例におけるPWM制御について、簡単に説明する。スイッチング制御部84は、正弦波と、それよりも高周波で同一電位領域で変動する三角波またはのこぎり波(以下では単に三角波とする)を出力する信号波生成部と、両者を比較する比較部とを有している。該信号波生成部で出力された正弦波と三角波は、該比較部でその大小が比較される。一般にPWM制御では、前者の正弦波を信号波と呼び、後者の三角波をキャリア波と呼ぶ。信号波生成部では、2つの正弦波と1つの三角波が同時並行的に生成される。それら2つの正弦波と三角波に対して、比較部は第1の正弦波と三角波の大小を比較すると同時に、第2の正弦波と三角波の大小をも比較する。これら2つの比較は、互いに独立で行われる。スイッチング制御部84は、第1の正弦波と三角波の比較結果に基づいて第1、第2スイッチング素子91、92へスイッチング信号を出力し、第2の正弦波と三角波の比較結果に基づいて第3、第4スイッチング素子93、94へスイッチング信号を出力する。
【0022】
第1、第2スイッチング素子91、92のスイッチングについて、図6を用いて説明する。生成された第1の正弦波64と三角波66の大小が比較され、前者64が後者66以上であれば、第1スイッチング素子91をオンして第2スイッチング素子92をオフし、前者が後者以下であれば第1スイッチング素子91をオフして第2スイッチング素子92をオンする。これにより、三相モータ102のU相に印加される電位は(B)のように変化する。(B)の電位変化を所定の時間について移動平均をとっていくと、その移動平均値は略正弦波に一致する。第1スイッチング素子91と第2スイッチング素子92をPWM制御することによって、平均処理すると正弦波に近似する電位を得ることができ、それをU相端子104に印加することができる。PWM制御により作り出される略正弦波電位は、使用された信号波と同位相となる。
第3、第4スイッチング素子93、94のスイッチングについても、同様にPWM制御が行われ、平均処理すると正弦波に近似する電位を得ることができ、それをV相端子106に印加することができる。
【0023】
本実施例においては、信号波生成部で生成される、第1の正弦波と第2の正弦波は、位相がπ/3だけずれている。そのため、第1スイッチング素子91と第2スイッチング素子92をPWM制御することによって得る略正弦波電位と、第3スイッチング素子93と第4スイッチング素子94をPWM制御することによって得る略正弦波電位は、π/3だけ位相がずれている。つまり、U相端子104に印加される電位とV相端子106に印加される電位は、π/3だけ位相がずれている。
【0024】
図7に、三相モータ102のU,V,W相に印加される電位の模式図を示す。
図7の(A)は三相モータ102のU相端子104に印加される電位を示す。図7の(B)は三相モータ102のV相端子106に印加される電位を示す。図7の(C)は三相モータ102のW相端子108に印加される電位を示す。(A)と(B)は位相がπ/3だけずれた同形の正弦波に近似できる。また、(C)は中間電位が常時にW相へ印加されることを表している。
【0025】
運転スイッチの入力により、スイッチング制御部84に三相モータ102の駆動指令が入ると、PWM制御に係る演算をスタートし、その演算に基づき第1〜第4スイッチング素子91〜94に対してスイッチング指令をスタートする。
上述したように、該スイッチング指令はパルス幅変調制御に基づく。したがって、相に印加する電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。三相モータのU相端子104とV相端子106に印加される電位は、実効的に略正弦波変動する電位と同等であり、両者は同波形で位相がπ/3だけずれている。U相端子104に印加される電位をVu、V相端子106に印加される電位をVvとすると、Vu=Vsinωt、Vv=Vsin(ωt+π/3)と表すことができる。またW相端子106に印加される電位をVwとした場合、Vw=0と表される。
三相モータ102のUV線間電圧をVuv、VW線間電圧をVvw、WU線間電圧をVwuとすると、
Vuv=Vu−Vv=Vsin(ωt−π/3)
Vvw=Vv−Vw=Vsin(ωt+π/3)
Vwu=Vw−Vu=Vsin(ωt−π)となる。
相互に2π/3だけ位相がずれた正弦波であることがわかる。
実際のUV、VW、WU線間電圧はパルス状の波形であり、その模式図を図8に示す。図8の(A)はUV線間電圧を示している。図8の(B)はVW線間電圧を示している。図8の(C)はWU線間電圧を示している。移動平均処理した線間電圧Vuv、Vvw、Vwuは、同波形で2π/3づつの位相差を持つ三相交流電圧となっている。三相モータ102の線間電圧が2π/3づつの位相差を持つ三相交流電圧であれば、モータ内部に発生する磁界は、磁界の強さが一定であり、一定速度(角速度ω)で連続的に回転する回転磁界となる。この回転磁界により、三相モータ102の回転は一定速度で一定トルクで駆動される。
【0026】
以上のごとく、本実施例では従来からの充電式電動工具と同様に、ネジ締め等の作業が可能であるが、その特徴は三相モータ駆動回路に使用されているスイッチング素子が従来品にくらべて2個少ないことにある。そのため、駆動回路の構成が簡略となっている。
【0027】
(実施例2) 本実施例は、第1実施例のスイッチング制御部を置換したものである。本実施例については第1実施例と異なる点を中心に説明する。
本実施例は、図9で示した回路構成をもつ充電式電動工具であり、下記の第1期間から第4期間に向けて、またはその逆方向に経時的にスイッチング素子を制御するスイッチング制御部84を持つ。
第1期間:第2スイッチング素子をオフして第1スイッチング素子をオンさせ、第4スイッチング素子をオフして第3スイッチング素子をオンさせる。
第2期間:第1スイッチング素子をオフして第2スイッチング素子をオンさせ、第4スイッチング素子をオフして第3スイッチング素子をオンさせる。
第3期間:第1スイッチング素子をオフして第2スイッチング素子をオンさせ、第3スイッチング素子をオフして第4スイッチング素子をオンさせる。
第4期間:第2スイッチング素子をオフして第1スイッチング素子をオンさせ、第3スイッチング素子をオフして第4スイッチング素子をオンさせる。
例えば、第1スイッチング素子91と第2スイッチング素子92が図4(B)に示すように制御されると、図4(C)に示す方向に電流が流れ、図4(D)に模式的に示す方向に磁場が形成される。図4(B)の丸印はオンを示し、空欄はオフを示す。図4の(a)〜(d)は第1〜第4期間をそれぞれ示している。第1〜第4スイッチング素子91〜94のオン/オフを、図4(B)の(a)から(d)を経て(a)に戻るように切替えつづけると、図1(D)に示す回転磁場が形成され、三相モータ46が回転する。図1(D)に示す回転磁場は90°づつ間欠的に回転する。
スイッチング制御部84が、第1期間から第4期間を経て第1期間に戻るように第1〜第4スイッチング素子91〜94を制御すると、反時計方向に回転する磁場が形成されて三相モータ102が反時計方向に回転する。第4期間から第1期間を経て第4期間に戻るように第1〜第4スイッチング素子91〜94を制御すると、時計方向に回転する磁場が形成されて三相モータ102が時計方向に回転する。
以上のように、本実施例の制御形態によっても充電式電動工具は駆動する。第1実施例に対して、本実施例の制御方法は極めて単純であり、三相モータ駆動回路の構造のさらなる簡略化が可能である。
【0028】
(実施例3) 本発明の第3実施例について、図面を参照して説明する。図10は、充電式電動工具に搭載された直流電源とU相とV相とW相を持つ三相モータを接続して三相モータを駆動する回路110の概略図である。
三相モータ制御回路110は、第1スイッチング素子111を介して正電位端子127とU相を接続する接続線117と、第2スイッチング素子112を介して負電位端子128とU相を接続する接続線118と、第3スイッチング素子113を介して正電位端子127とV相を接続する接続線119と、第4スイッチング素子114を介して負電位端子128とV相を接続する接続線120と、第5スイッチング素子115を介して正電位端子127とW相を接続する接続線121と、第6スイッチング素子116を介して負電位端子128とW相を接続する接続線122を備えている。この他、W相に接続する接続線123と接続端子129を備えている。
【0029】
図10の(A)は、三相モータ駆動回路110に電池パック130がセットされた状態を示している。電池パック130の正電位端子127と負電位端子128が三相モータ駆動回路110と接続されている。このとき、駆動回路110の接続端子129は未接続となる。
図10の(B)は、三相モータ駆動回路110に電池パック140がセットされた状態を示している。電池パック140の正電位端子127と負電位端子128と中間電位端子129が三相モータ駆動回路110と接続されている。電池パック140の出力電圧は、電池パック130の出力電圧のルート3倍である。
【0030】
三相モータ駆動回路110は図示されていないスイッチング制御部を有し、第1〜第6スイッチング素子111〜116は、スイッチング制御部により制御される。該スイッチング制御部はPWM制御に係る演算機能を有している。
本実施例におけるPWM制御について、簡単に説明する。スイッチング制御部は、正弦波とそれよりも高周波の三角波またはのこぎり波(以下では単に三角波とする)を出力する信号波生成部と、両者を比較する比較部を有している。
信号波生成部は、すくなくとも下記2形態で信号波を生成する。
第1形態:第1正弦波と第2正弦波と第3正弦波の3つの正弦波と、1つの三角波を同時に生成する。第1正弦波と第2正弦波と第3正弦波は、位相が互いに2π/3だけずれている。
第2形態:第1正弦波と第2正弦波の2つの正弦波と、1つの三角波を同時に生成する。第1正弦波と第2正弦波は、位相がπ/3だけずれている。
本実施例は、図示されていない電池パック種別検出手段を有しており、その電池パック種別検出手段が接続されている電池パックの種別を検出し、信号波生成部の信号波生成の形態を、前記2つの形態から選択する。
比較部は、信号波生成部で生成された信号波について、それぞれの正弦波と三角波の比較を、同時かつ独立的に行う。すなわち、信号波生成部が第1形態で信号波を生成する場合は、第1正弦波と三角波の比較と、第2正弦波と三角波の比較と、第3正弦波と三角波の比較を同時にかつ独立的に行う。同様に、信号波生成部が第2形態で信号波を生成する場合は、第1正弦波と三角波の比較と、第2正弦波と三角波の比較を同時にかつ独立的に行う。さらに第3の正弦波は生成されていないと判断する。
【0031】
スイッチング制御部は、比較部の比較結果に基づいて第1〜第6スイッチング素子111〜116を制御する。
第1正弦波と三角波の比較に基づいて第1、第2スイッチング素子111、112を制御し、第2正弦波と三角波の比較に基づいて第3、第4スイッチング素子113、114を制御し、第3正弦波と三角波の比較に基づいて第5、第6スイッチング素子115、116を制御する。
【0032】
第1、第2スイッチング素子111、112の制御では、第1正弦波が三角波以上であれば第1スイッチング素子111をオンして第2スイッチング素子112をオフし、第1正弦波が三角波以下であれば第1スイッチング素子111をオフして第2スイッチング素子112をオンする。これにより、三相モータ152のU相に印加される電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。U相の電位は正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。この略正弦波は、信号波生成部で生成された第1正弦波と位相が同一である。
第3、第4スイッチング素子113、114の制御では、第2正弦波が三角波以上であれば第3スイッチング素子113をオンして第4スイッチング素子114をオフし、第2正弦波が三角波以下であれば第3スイッチング素子113をオフして第4スイッチング素子114をオンする。これにより、三相モータ152のV相に印加される電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。V相の電位は正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。この略正弦波は、信号波生成部で生成された第2正弦波と位相が同一である。
第5、第6スイッチング素子115、116の制御では、比較部が信号波生成部で第3正弦波が生成されていないと判断している期間は、第5、第6スイッチング素子115、116が常時オフに制御される。第3正弦波が生成されていれば、第3正弦波が三角波以上であれば第5スイッチング素子115をオンして第6スイッチング素子116をオフし、第3正弦波が三角波以下であれば第5スイッチング素子115をオフして第6スイッチング素子116をオンする。これにより、三相モータ152のW相に印加される電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。W相の電位は正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。この略正弦波は、信号波生成部で生成された第3正弦波と位相が同一である。
【0033】
出力電圧値が2Vaで中間電位出力部を持たない電池パック130を電源として使用する場合について説明する。図10(A)で示すように、電池パック130は、正電位端子127と負電位端子128で三相モータ駆動回路110と接続される。このとき、電池パック種別検出手段によって電池パック130が接続されていることを検出し、信号波生成部における信号波生成の形態を第1形態に選択する。運転スイッチの入力により、スイッチング制御部に三相モータ152の駆動指令が入ると、PWM制御に係る演算をスタートする。その演算に基づき第1〜第6スイッチング素子111〜116に対してスイッチング指令をスタートする。
【0034】
上述したように、該スイッチング指令はパルス幅変調制御に基づく。したがって、相に印加する電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。三相モータ152のU相端子154とV相端子156とW相端子158に印加される電位は、実効的に略正弦波変動する電位と同等であり、三者は同波形で位相が互いに2π/3だけずれている。U相端子154に印加される電位をVu、V相端子156に印加される電位をVv、W相端子158に印加される電位をVwとし、基準電位を電池パック130の中間電位とすると、
Vu=Vasinωt
Vv=Vasin(ωt+2π/3)
Vw=Vasin(ωt+4π/3)と表すことができる。
ここでVaは、電池パック130の出力電圧の1/2である。
三相モータ152のUV線間電圧をVuv、三相モータ152のVW線間電圧をVvw、三相モータ152のWU線間電圧をVwuとすると、
Vuv=Vu−Vv=−Va’cos(ωt+π/3)
Vvw=Vv−Vw=−Va’cos(ωt+π)
Vwu=Vw−Vu=−Va’cos(ωt+5π/3)と表される。
ここでVa’はVaのルート3倍である。すなわち、Va’=Vbとすれば
Vuv=−Vbcos(ωt+π/3)
Vvw=−Vbcos(ωt+π)
Vwu=−Vbcos(ωt+5π/3)と表すことができる。
VuvとVvwとVwuは同波形で互いに2π/3だけの位相差を持つ三相交流電圧である。三相モータ152の線間電圧がこの状態のとき、その内部に発生する磁界は、磁界の強さが一定で、なおかつ一定速度(角速度ω)で連続的に回転する回転磁界となる。この回転磁界により、三相モータ102の回転は一定速度かつ一定トルクで駆動する。なお、実際のUV、VW、WU線間電圧はパルス状の波形であるが、平均化すると正弦波となるので、上記の事象が得られる。
【0035】
次に、出力電圧値が2Vbで中間電位出力部を持つ電池パック140を電源として使用する場合を説明する。図10(B)で示すように、電池パック140の正電位端子127と負電位端子128と中間電位端子129が三相モータ駆動回路110と接続される。この場合には、電池パック種別検出手段によって電池パック140が接続されていることを検出し、信号波生成部における信号波生成の形態を第2形態に選択する。運転スイッチの入力により、スイッチング制御部に三相モータ152の駆動指令が入ると、PWM制御に係る演算をスタートする。
その演算に基づき第1〜第6スイッチング素子111〜116に対してスイッチング指令をスタートする。
上述したように、該スイッチング指令はパルス幅変調制御に基づく。ただし、信号波生成部では第3の正弦波が生成されないため、第5、第6スイッチング素子115、116は常時オフの制御となる。W相端子158に印加される電位をVwとするとVw=0と表すことができる。
U相とV相に印加する電位は、正電位と負電位の間で断続的に切り替る。正電位にある期間と負電位にある期間の比率が経時的に切替えられ、移動平均値が略正弦波となる。三相モータ152のU相端子154とV相端子に印加される電位は、実効的に略正弦波変動する電位と同等であり、両者は同波形で位相がπ/3だけずれている。W相端子に印加される電位は、経時的に一定である。U相端子154に印加される電位をVu、V相端子156に印加される電位をVv、W相端子158に印加される電位をVwとし、基準電位を電池パック140の中間電位とすると、
Vu=Vbsinωt
Vv=Vbsin(ωt+π/3)
Vw=0と表すことができる。
ここでVbは、電池パック140の出力電圧の1/2である。
三相モータ152のUV線間電圧をVuv、三相モータ152のVW線間電圧をVvw、三相モータ152のWU線間電圧をVwuとすると、
Vuv=Vu−Vv=Vbsin(ωt−π/3)
Vvw=Vv−Vw=Vbsin(ωt+π/3)
Vwu=Vw−Vu=Vbsin(ωt−π)と表される。
ここで注目すべきは、出力電圧が2Vaの電池パック130を使用した場合と、出力電圧が2Vb(VbはVaのルート3倍)の電池パック140を使用した場合とで、三相モータ152に現れる線間電圧Vuv、Vvw、Vwuが全く等しくなる点である。すなわち、出力電圧がルート3倍の差をもつ2種の電源によって、三相モータが同じ出力で駆動することを示している。したがって、本実施例の充電式電動工具は、出力電圧がルート3倍の差をもつ2種の電源によって同じ出力で作業することができる。
PWM制御におけるディーティ比を変えることで、ルート3倍以上の電位差、例えば2倍の電圧を持つ2種類の電池パックで駆動することもできる。2倍の電圧を持つ2種類の電池パックで駆動する場合は、高電圧の電池パック使用時にディーティ比を変更して線間電圧を下げることで、低電圧の電池パック使用時の線間電圧と同一にすることができる。もしくは、低電圧の電池パック使用時にディーティ比の変更によって線間電圧を上げることで、高電圧の電池パック使用時の線間電圧と同一にすることができる。好ましいのは後者であり、PWM制御法で使用する信号波の波形を変更することにより、線間電圧を上昇させて出力を向上させる技術が公知であり、それによって低電圧の電池パック使用時の線間電圧を上げ、2倍の電圧差を持つ2種類の電池パックを使用することが可能となる。
【0036】
本願発明に係る三相モータ駆動方法を充電式電動工具に適用することで、出力電圧がルート3倍ないし2倍の電位差を持つ2種の電池パックを使用することができる充電式電動工具を実現することができる。一般に充電式電動工具には、高電圧の電池パックを使用する高出力タイプと、低電圧の電池パックを使用する低出力タイプがある。充電式電動工具の使用者は、両者をともに所有して作業に応じて使い分けることが多い。その場合、高電圧の電池パックと低電圧の電池パックをそれぞれに準備する必要があり、長時間作業を行う場合は、複数の電池パックをそれぞれに準備する必要が生じる。本実施例の充電式電動工具は、低電位の電池パックと高電位の電池パックの両者を共に使用できるので、電池パックの効率的な保有と使用が可能となる。また、高電位の電池パックを使用する場合は、2個のスイッチング素子が不作動となるため、スイッチング素子における電力ロスを減少させることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、本実施形態では、電源として中間電位の出力端子を具備する電池パックを用い、その中間電位を直接的に三相モータへ印加したが、電源が中間電位を出力することは必ずしも必要ではなく、図4の(J)に示したように、三相モータ駆動回路に、入力電圧の中間電位を出力する中間電位出力部を具備させてもよい。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の直流電源で三相モータを駆動する回路を説明する図である。
【図2】従来の三相モータ駆動回路でPWM制御された各相への印加電位の模式図である。
【図3】従来の三相モータ駆動回路でPWM制御された線間電圧の模式図である。
【図4】本発明に係る直流電源で三相モータを駆動する回路を説明する模式図である。
【図5】三相モータの各相電位と線間電圧を、従来の方法と本発明に係る方法で比較する説明図である。
【図6】PWM制御によるスイッチング素子のオン/オフを説明する図である。
【図7】本発明に係る三相モータ駆動回路でPWM制御された各相への印加電位の模式図である。
【図8】本発明に係る三相モータ駆動回路でPWM制御された線間電圧の模式図である。
【図9】本発明に係る第1および第2実施例を説明する図である。
【図10】本発明に係る第3実施例を説明する図である。
【符号の説明】
11〜16 スイッチング素子
17〜22 接続線
23 電池パック25の正電位
24 電池パック25の負電位
25 電池パック
26 三相モータ
31〜34 スイッチング素子
37〜40 接続線
43 電池パック45の正電位
44 電池パック45の負電位
45 電池パック
46 三相モータ
48、49 抵抗
50 中間電位
51 三相モータ駆動回路
52 中間電位とW相の接続線
53、54 コンデンサ
64 正弦波
66 三角波
74 電池パック
75 電池パック74の正電位
76 電池パック74の中間電位
77 電池パック74の負電位
78 正電位端子
79 負電位端子
80 中間電位端子
82 第1実施例の三相モータ駆動回路
84 スイッチング制御部
91〜94 スイッチング素子
95〜98 接続線
99 中間電位の接続線
100 ダイオード
102 三相モータ
104 三相モータ102のU相端子
106 三相モータ104のV相端子
108 三相モータ106のW相端子
111〜116 スイッチング素子
117〜122 接続線
123 中間電位の接続線
127 正電位端子
128 負電位端子
129 中間電位端子
130 電池パック
152 三相モータ
154 三相モータ152のU相端子
156 三相モータ152のV相端子
158 三相モータ152のW相端子

Claims (4)

  1. 少なくとも正電位端子と負電位端子を持つ直流電源と、U相とV相とW相を持つ三相モータとの間に接続して三相モータを駆動する回路であり、
    第1スイッチング素子を介して正電位端子とU相を接続する接続線と、
    第2スイッチング素子を介して負電位端子とU相を接続する接続線と、
    第3スイッチング素子を介して正電位端子とV相を接続する接続線と、
    第4スイッチング素子を介して負電位端子とV相を接続する接続線と、
    正電位端子と負電位端子の中間電位を常時にW相に接続する接続線とを備えている三相モータ駆動回路。
  2. 正電位端子と負電位端子と中間電位端子を持つ直流電源と、U相とV相とW相を持つ三相モータとの間に接続して三相モータを駆動する回路であり、
    第1スイッチング素子を介して正電位端子とU相を接続する接続線と、
    第2スイッチング素子を介して負電位端子とU相を接続する接続線と、
    第3スイッチング素子を介して正電位端子とV相を接続する接続線と、
    第4スイッチング素子を介して負電位端子とV相を接続する接続線と、
    中間電位端子を常時にW相に接続する接続線とを備えている三相モータ駆動回路。
  3. 第1スイッチング素子と第2スイッチング素子を制御して平均処理すると正弦波に近似する電位をU相に印加し、第3スイッチング素子と第4スイッチング素子を制御して平均処理すると正弦波に近似する電位をV相に印加し、U相に印加する正弦波とV相に印加する正弦波の位相を略π/3ずらす制御部が付加されている請求項1または2の三相モータ駆動回路。
  4. 少なくとも正電位端子と負電位端子を持つ直流電源と、U相とV相とW相を持つ三相モータとの間に接続して三相モータを駆動する回路、即ち、
    第1スイッチング素子を介して正電位端子とU相を接続する接続線と、
    第2スイッチング素子を介して負電位端子とU相を接続する接続線と、
    第3スイッチング素子を介して正電位端子とV相を接続する接続線と、
    第4スイッチング素子を介して負電位端子とV相を接続する接続線と、
    第5スイッチング素子を介して正電位端子とW相を接続する接続線と、
    第6スイッチング素子を介して負電位端子とW相を接続する接続線とを備えている三相モータ駆動回路を利用して三相モータを駆動する方法であり、
    第5と第6スイッチング素子を常時オフし、正電位端子と負電位端子の中間電位を常時にW相に印加することによって、三相モータを駆動する方法。
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