JP2004338205A - タイヤ成形用ドラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成形用ドラム1は、周方向に複数に分割された(この実施形態では5分割であるが、分割数については特に限定されない)拡縮可能なドラムセグメント1aにより構成されている。ドラムセグメント1aの一つ、即ち、カーカスプライWのスプライス部分Xに対応するドラムセグメント1aの表面幅方向には、カーカスプライWのスプライス部分Xでの不均一を改善し、タイヤインフレート時のサイド部の凹凸を減少させるために帯状の突起部2が一体的に取付けてある。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤ成形用ドラムにかかわり、更に詳しくはタイヤ成形時におけるカーカススプライス部での不均一を改善し、タイヤインフレート時のタイヤサイド凹凸を減少させて製品タイヤ外観を向上させると共に、タイヤの不均一性を解消させることが出来るタイヤ成形用ドラムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、周方向に複数に分割されたドラムセグメントを備え、かつ拡縮可能なタイヤの成形用ドラムは、製品タイヤでの周上均一なカーカス材のコードペリフェリー(所謂、コードの輪郭形状)を確保させる目的で、成形用ドラム自身も周上均一な幅、及び形状を有するように設計されている。
【0003】
然しながら、成形用ドラム自身が均一に設計されていても、例えば、図5(a),(b)に示すように、成形用ドラム1に巻付けられるカーカスプライWは、スプライス部分(重ね繋ぎ部分)Xが存在するため、そのスプライス部分Xは他の部分とに比べてコードペリフェリーや強度(張力)が異なる。
【0004】
そのため、コードのペリフェリーや強度の差が製品タイヤの均一性、特にタイヤインフレート時のタイヤサイド部の凹凸を大きくし、タイヤの外観を損ねたり、タイヤの品質(タイヤユニフォミティー等)を阻害させる原因の一つと成っていた。
【0005】
そこで、かかる問題を解決するために、カーカスプライのスプライス部に対応するドラムセグメントの一つを他のドラムセグメントよりも軸方向の長さを短く設定したり、またカーカスプライの重ね合わせ接合端末部分に一方に、少なくとも一箇所にヒダを形成するような発明が提案されている(例えば、例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−170395号公報(第2〜3頁、図1)。
【特許文献2】
特開平5−16265号公報(第2〜3頁、図1)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、従来の方法は、部分的にコードパスを小さくしたり、またカーカスプライの接合端末部分の一方のみを対象としており、タイヤインフレート時のタイヤサイド凹凸を減少させ、タイヤの外観をより向上させることが難しいと言う問題があった。
【0008】
この発明は、かかる従来の問題点に着目して案出されたもので、ドラムセグメントの一つの表面幅方向に、帯状の突起部を設けることで、タイヤインフレート時のタイヤサイド凹凸を減少させて製品タイヤ外観を向上させると共に、タイヤの不均一性を解消させることが出来るタイヤ成形用ドラムを提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記目的を達成するため、ドラムセグメントの一つの表面幅方向に、帯状の突起部を設けたことを要旨とするものである。
【0010】
ここで、前記帯状の突起部は、ドラムセグメントの幅方向両端側から中央に向かって連続または間欠的に設け、また帯状の突起部は、少なくともドラムセグメントの幅方向両端側から5mm以上の長さで形成するものである。
【0011】
また、前記帯状の突起部は、ドラム周方向の幅が3mm〜20mmで、高さが1mm〜3mmに設定するのが好ましい。
【0012】
このように、ドラムセグメントの一つの表面幅方向に、帯状の突起部を設けることで、タイヤ成形時におけるカーカススプライス部での不均一を改善し、タイヤインフレート時のタイヤサイド凹凸を減少させて製品タイヤ外観を向上させると共に、タイヤの不均一性を解消させることが出来る。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づきこの発明の実施の形態を説明する。
【0014】
なお、以下の説明において、従来例と同一構成要素は同一符号を付して説明は省略する。
【0015】
図1は、この発明を実施したタイヤ成形用ドラムの斜視図、図2は図1のA−A矢視断面図,図3は図1のB−B矢視断面図を示し、この成形用ドラム1は、周方向に複数に分割された(この実施形態では5分割であるが、分割数については特に限定されない)拡縮可能なドラムセグメント1aにより構成されている。
【0016】
前記ドラムセグメント1aの一つ、即ち、カーカスプライWのスプライス部分Xに対応するドラムセグメント1aの表面幅方向には、カーカスプライWのスプライス部分Xでの不均一を改善し、タイヤインフレート時のサイド部の凹凸を減少させるために帯状の突起部2が一体的に取付けてある。
【0017】
この突起部2は、予め所定の幅L1、所定の高さL2、所定の長さL3に形成したものを、ドラムセグメント1aの表面にビス止め等により取付けて固定するものである。
【0018】
また、上記の帯状の突起部2は、図1の実施形態のように、ドラムセグメント1aの幅方向両端側から中央に向かって予め所定の長さL3に形成されたものを取付ける他、予めドラム幅中央部の長さL4を含むドラム全幅に形成したものを取付けて構成することも可能である。
【0019】
前記帯状の突起部2のドラム周方向の幅L1は、3mm〜20mm、好ましくはカーカスプライWのスプライス部分Xの範囲となる4〜6mmに設定するのが良い。このように、カーカスプライWのスプライス部分Xの範囲で幅L1を限定することが出来れば、突起部2の高さL2は、コードペリフェリー(所謂、コードの輪郭形状)の減少相当分の半分である3mm以上にすることが望ましいが、実際には、スプライス部分Xとドラムセグメント1aとの相対位置にバラツキがあるため、ドラム周方向の幅L1は、20mm程度まで広げる場合もある。
【0020】
またこの場合に、スプライス部分X以外の部分のコードペリフェリーも拡大させてしまうため、タイヤの均一性に悪影響を及ぼすことがあり、突起部2の高さL2は、1〜3mm、好ましくは2mm程度に設定するのが好ましい。
【0021】
また、前記突起部2の長さL3位置は、突起部2の高さL2をその部分のコードペリフェリーを拡大するのに有効にするためには、出来るだけ成形用ドラム1のドラムセグメント1aの両端近傍にあることが望ましい。しかし、あまり短いと効果が薄いため、少なくともドラムセグメント1aの幅方向両端側から5mm以上、最大成形ドラム1の全幅に設けるのが好ましい。
【0022】
図4は、乗用車用タイヤ(評価サイズ 215/70R16)の突起部2の高さL2と、タイヤサイド凹凸量との評価結果を示すグラフ説明図であり、この評価試験は、カーカスプライWのスプライス部分Xと、インフレート時のタイヤサイド部の凹凸との関係をレーザー変位計で測定したものである。
【0023】
また、図5(a),(b)は、ドラムセグメント1aの表面に突起部を設けていない時のカーカスプライWのスプライス部分Xの断面形状と、タイヤサイド表面凹凸波形を示したもので、タイヤサイド凹凸量0.46mmであった。
【0024】
また、図6(a),(b)は、この発明の第1実施形態におけるドラムセグメント1aの表面に高さ2mmの突起部を設けた時のカーカスプライWのスプライス部分Xの断面形状と、タイヤサイド表面凹凸波形を示したもので、タイヤサイド凹凸量0.30mmであった。
【0025】
また、図7(a),(b)は、この発明の第2実施形態におけるドラムセグメント1aの表面に高さ3mmの突起部を設けた時のカーカスプライWのスプライス部分Xの断面形状と、タイヤサイド表面凹凸波形を示したもので、タイヤサイド凹凸量0.30mmであった。なお、この実施形態の場合には、スプライス部分X以外の部分のコードペリフェリーの拡大範囲が広いため、全体として凸状になっている。
【0026】
以上ように、ドラムセグメント1aの一つの表面幅方向に、所定の幅L1、所定の高さL2、所定の長さL3の帯状の突起部2を設けることで、インフレート時のタイヤサイドの凹凸量は、0.46mmから0.30mmに半減し、タイヤの外観も向上させることが出来る。
【0027】
【発明の効果】
この発明は、上記のようにドラムセグメントの一つの表面幅方向に、帯状の突起部を設けることで、タイヤインフレート時のタイヤサイド凹凸を減少させて製品タイヤ外観を向上させると共に、タイヤの不均一性を解消させることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を実施したタイヤ成形用ドラムの斜視図である。
【図2】図1のA−A矢視断面図である。
【図3】図1のB−B矢視断面図である。
【図4】乗用車用タイヤの突起部の高さと、タイヤサイド凹凸量との評価結果を示すグラフ説明図である。
【図5】(a),(b)は、ドラムセグメントの表面に突起部を設けていない時のカーカスプライのスプライス部分の断面形状と、タイヤサイド表面凹凸波形を示した説明図である。
【図6】(a),(b)は、この発明の第1実施形態におけるドラムセグメントの表面に高さ2mmの突起部を設けた時のカーカスプライのスプライス部分の断面形状と、タイヤサイド表面凹凸波形を示した説明図である。
【図7】(a),(b)は、この発明の第2実施形態におけるドラムセグメントの表面に高さ3mmの突起部を設けた時のカーカスプライのスプライス部分の断面形状と、タイヤサイド表面凹凸波形を示した説明図である。
【符号の説明】
1 成形用ドラム W カーカスプライ
X スプライス部分
1a ドラムセグメント 2 突起部
L1 突起部の幅
L2 突起部の高さ
L3 突起部の長さ
L4 ドラム幅中央部の長さ
Claims (4)
- 周方向に複数に分割されたドラムセグメントを備え、かつ拡縮可能なタイヤ成形用ドラムにおいて、
前記ドラムセグメントの一つの表面幅方向に、帯状の突起部を設けたことを特徴とするタイヤ成形用ドラム。 - 前記帯状の突起部は、ドラムセグメントの幅方向両端側から中央に向かって連続または間欠的に設けた請求項1に記載のタイヤ成形用ドラム。
- 前記帯状の突起部は、少なくともドラムセグメントの幅方向両端側から5mm以上の長さで形成した請求項1または2に記載のタイヤ成形用ドラム。
- 前記帯状の突起部は、ドラム周方向の幅が3mm〜20mmで、高さが1mm〜3mmに設定した請求項1,2または3に記載のタイヤ成形用ドラム。
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