JP2004332469A - 視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間に亘って点字ブロック表面の情報を認知、識別することが可能であり、摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が生じても色による識別性が失われないような、視覚障害者誘導用ブロックを提供する。
【解決手段】表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロック1であって、レジンコンクリートを含む基材のベース層Dと、顔料成分を含有する表面側の表面樹脂層Bとの間に、ガラス繊維を含む繊維強化層Cを有する視覚障害者誘導用ブロック、並びに、表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックの製造方法であって、ブロックの型枠内に表面樹脂を注入した後、ガラス繊維を積層し、次いで、ベース樹脂を注入することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックの製造方法。
【選択図】 図1
【解決手段】表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロック1であって、レジンコンクリートを含む基材のベース層Dと、顔料成分を含有する表面側の表面樹脂層Bとの間に、ガラス繊維を含む繊維強化層Cを有する視覚障害者誘導用ブロック、並びに、表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックの製造方法であって、ブロックの型枠内に表面樹脂を注入した後、ガラス繊維を積層し、次いで、ベース樹脂を注入することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックの製造方法。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、長期間の使用に適する、耐久性および識別性に優れた視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に視覚障害者(例えば、全盲者、極度の遠視、近視、乱視等の弱視者等)の歩行を手助けして誘導する手段として、駅構内、公共の建物の通路、又は交差点の歩道等には、点字ブロックが敷設されている。
図1に示すような視覚障害者誘導用ブロック1は、通常コンクリート(例えばモルタル等)などの基材からなるベース部を有する。この板状のベース部の上には、所定形状に形成され情報の伝達を行う複数の突起部2が備えられている。視覚障害者誘導用ブロック1の突起部2の形状(情報)、個数は敷設箇所によって異なり、例えば停止位置に敷設するブロック1の突起部2は、平面視して円形状を呈している(図3参照)。導線上に敷設するブロック1の突起部2は、平面視して進行方向に長い形状を呈している(図4参照)。
【0003】
また、視覚障害者誘導用ブロック1には、表面が平らになった通常のタイルの上面に接着剤によって、樹脂製の凸状の点字鋲を貼着したものや、タイルに装着孔を形成し、その装着孔に金属製又はゴム製等の凸状の点字鋲を嵌め込んだものもある。これにより、全盲者が歩行する場合には、ベース部の上に形成された突起部2の形状を足裏、又はステッキで感知し、進行方向及び停止位置を区別、確認している。また弱視者が歩行する場合は、ベース部の上に形成された突起部2の形状を足裏で確認するだけでなく、ブロック1表面の色や突起部2の形状を視覚的にも区別し、進行方向及び停止位置を区別、確認している。
【0004】
しかしながら、視覚障害者誘導用ブロック1が長期間に亘って敷設されていると、ベース部の上に形成された突起部2が、通行者や通行物によって摩滅や破損されてしまう場合が生じる。そのような点字ブロック1からは、路面情報を十分に確認できない場合が生じていた。
また、視覚障害者誘導用ブロック1の形状の変化以外にも、長期間に亘って路上に敷設されていると、表面の色が剥げてきたり、彩度が失われてきたりすることが多い。特に弱視者の場合は、情報の伝達を行う突起部2とともに当該ブロック1の色を視覚的に確認しづらくなるため、弱視者も全盲者と同様、ベース部の上に形成された突起部2の形状を足裏等で感知しなければ、ブロック1の情報を確認できない。そして、点字鋲をタイルに粘着したり、タイルに嵌め込んだ点字ブロックを使用した場合、点字鋲に対する外力の加わり方や使用環境等により、点字鋲がタイルから外れる可能性がある。これにより、視覚障害者に対して、危険であるという注意信号を送ることができなくなる可能性があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、長期間に亘って点字ブロック表面の情報を認知、識別することが可能であり、摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が生じても色による識別性が失われないような、耐久性および識別性に優れた視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法を開発すべく、鋭意検討した。
その結果、本発明者らは、基材であるコンクリート層と表面樹脂層との間に繊維強化層を設けると共に、一定以上の厚さを有する表面樹脂層を形成することによって、かかる問題点が解決されることを見出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックであって、レジンコンクリートを含む基材のベース層と、顔料成分を含有する表面側の表層樹脂層との間に、ガラス繊維を含む繊維強化層を有することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックを提供するものである。本発明では、前記表面樹脂層の外側表面に、さらにゲルコート層を設けることができる。また、前記ベース層の外側裏面に、さらにブロック下部層を設けることもできる。
【0007】
このような視覚障害者誘導用ブロックによれば、表面の摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が表面で生じても従来よりも深部まで顔料を含ませることができるので、長期間に亘り、色による識別性が失われない。また、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、繊維強化層を介在させた積層構造を採用することによって、耐久性に著しく優れる。これにより、従来は2〜3年おきに破損等により取り替える必要が生じていた視覚障害者誘導用ブロックも、長期間に亘り使用することが可能となり、経済的にも作業上の負担も大幅に軽減できる。さらに、長期間敷設使用することで、突起部の摩耗が進行したとしても、ゲルコート層および表面樹脂層の色による識別作用により、特に弱視者等に視覚情報を有効に提供できる。
【0008】
また、本発明は、表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックの製造方法であって、型枠内の底部に突起部成型用の凹部を有するブロックの型枠に、表面樹脂を注入した後、ガラス繊維を積層して含浸させ、次いで、ベース樹脂を注入することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックの製造方法を提供するものである。ここで、表面樹脂を注入する前に、ゲルコート樹脂を底部に吹き付ける工程を含む方法も可能である。
【0009】
このようなブロック製造法によれば、表面樹脂層と繊維強化層は含浸により一体的に成形されるため、積層構造であっても層間の剥離の問題が発生しにくい。また、表面と裏面側で組成の異なる材料を段階的に積層使用することにより、収縮率の違いによるブロック全体の反りの問題を有効に回避することができる。
以下、本発明に係る視覚障害者誘導用ブロックについて、添付図面を参照しながら、その具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、表面に複数の突起部を有するとともに、レジンコンクリートを含む基材のベース層と、顔料成分を含有する表面側の表層樹脂層との間に、ガラス繊維を含む繊維強化層を有する。
実施の形態(その1)
図1に、本発明に係る視覚障害者誘導用ブロックの一例を示す。図1の(a)、(b)は、それぞれ当該ブロックの平面図および側面図である。
本実施の形態における視覚障害者誘導用ブロック1は、図1に示すように、板状のブロック1の表面上に所定形状に形成され情報の伝達を行う複数の突起部2を備えた点字ブロックである。突起部2は、平面視して円形であり、突起部2の情報は停止を意味するものである。
【0011】
本実施の形態の視覚障害者誘導用ブロックは、図1(b)に示すように、表面に複数の突起部2を有する点字ブロックであり、表面から、ゲルコート層A、顔料成分を含有する表層樹脂層B、ガラス繊維を含む繊維強化層C、レジンコンクリートを含む基材のベース層D、および、ブロック下部層Eからなる積層構造を有している。このうち、顔料成分を含有する表層樹脂層Bと、ガラス繊維を含む繊維強化層Cと、レジンコンクリートを含む基材のベース層Dとが必須の構成であり、ゲルコート層Aおよびブロック下部層Eは、必要に応じて設けられる任意の層である。
上記の積層構造を有する視覚障害者誘導用ブロックの総厚は、通常10〜60mm、好ましくは20〜50mm、特に好ましくは20〜30mmであり、表面の突起部2の高さは通常4〜6mm程度である。
【0012】
まず、ゲルコート層Aは、視覚障害者誘導用ブロックの表面を形成する層であり、顔料成分を含む樹脂コート層である。樹脂成分としては通常ポリエステル系樹脂が主成分として用いられ、コートされる樹脂量は0.1〜1.5kg/m2、好ましくは0.2〜0.8kg/m2であり、例えば0.3kg/m2とすることができる。樹脂成分の硬化のためには、適宜、硬化剤を添加する。
顔料成分を含有する表層樹脂層Bは、視覚障害者誘導用ブロックの表面側を形成するもう1つの層であり、顔料成分を含む樹脂コート層である。樹脂としては通常ポリエステル系樹脂が用いられ、コート層を形成する樹脂組成物中、樹脂の配合比は通常10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%であり、例えば25重量%とすることができる。樹脂組成物中の他の成分としては、顔料、硬化剤、フィラーが含まれる。
【0013】
ゲルコート層Aもしくは表面樹脂層Bに加える顔料としては、弱視者が確認しやすいように一般的には黄色を使用することが好ましい。この黄色の顔料としては、例えば黄鉛PbCrO4 、亜鉛黄ZnCrO4 、カドミウム黄CdS、アンチモン黄Pb(SbO3)2 、(5)黄土Fe2O3・xAl2O3・ySiO2、黄色酸化鉄Fe2O3・nH2Oなどが挙げられる(商品名リゴラックなど)。また、ブロック表面の色相を視覚的に明確に区別できるように、前記黄色の顔料の他にも、亜鉛華(亜鉛白)、リトポン、チタン白等の白色顔料や、炭素の黒鉛型微結晶の集まりである黒色顔料、そして弁柄、鉛丹等の赤色顔料等を任意に用いることもできる。また、周囲の景観等を考慮して、顔料に青色顔料や、緑色顔料、そして紫色顔料を使用することも可能である。
【0014】
これらの顔料の樹脂組成物中の含有量は各層毎に任意に定められる。ゲルコート層Aでは、主成分であるポリエステル樹脂および硬化剤100重量部に対して、前記顔料成分を2〜30重量部、好ましくは5〜20重量部含有する。表面樹脂層Bでは、樹脂組成物中の顔料成分量が通常0.5〜20.0重量%、好ましくは3.0〜10.0重量%添加され、例えば5.0重量%添加することができる。
【0015】
ゲルコート層Aもしくは表面樹脂層Bには、主成分としてポリエステル樹脂が用いられ、具体的には、例えば商品名リゴラックのようなポリエステル樹脂が好適に用いられる。また、この主成分であるポリエステル樹脂の硬化のために、適宜、硬化剤を添加することができる。硬化剤として具体的には、例えば商品名カヤメックA、カヤメックLHなどの過酸化物系化合物を用いることができる
【0016】
表面樹脂層Bには、通常フィラーを添加する。樹脂組成物におけるフィラー量は各層との関係から適宜定めることができるが、該組成物中に通常30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%用いられ、具体的には60〜70重量%用いる態様が挙げられる。この場合、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂成分は、樹脂組成物中に、通常20〜70重量%、好ましくは25〜60重量%程度用いられ、具体的には30〜40重量%用いる態様が挙げられる。
フィラーの種類としては、種々のものを任意に選択して使用することができるが、例えば炭酸カルシウムなどの化合物や寒水石などの鉱石を用いることが可能である。具体的には、炭酸カルシウムと寒水石を1:0.5〜1.5の割合で、樹脂組成物中に合計で40〜70重量%配合する態様が挙げられる。より具体的には、例えば上記ポリエステル樹脂34.5重量%に、顔料成分1.8重量%、炭酸カルシウムを31.8重量%、寒水石を31.8重量%含有する態様が挙げられる。
上記のようなゲルコート層Aおよび表面樹脂層Bの層厚は、合わせて通常0.5〜10.0mm、好ましくは2.0〜7.0mmである。このうち、ゲルコート層Aの層厚は、例えば0.1〜0.8mmの範囲が好ましい。
【0017】
ガラス繊維を含む繊維強化層Cには、ガラス繊維が用いられる。具体的には、ガラス繊維マット#300、#450、ガラスクロス#230などを使用することができる。これらのガラス繊維は、視覚障害者誘導用ブロックの大きさに合わせて裁断して用い、例えば幅300mmのタイプでは290mm角、幅400mmのタイプでは390mm角に寸法を合わせる。
この繊維強化層Cには、ガラス繊維に前記表面樹脂層Bの樹脂組成物が含浸されているため、強固な層を形成している。繊維強化層Cの層厚は、通常0.1〜0.8mm程度であるが、より一層強度を向上させる場合には、1.0mm程度まで厚くする態様も可能である。
【0018】
レジンコンクリートを含む基材のベース層Dには、ポリエステル樹脂を含むコンクリートが用いられる。このレジンコンクリートは、不飽和ポリエステル樹脂を含有し、これに硬化剤、炭酸カルシウム粉末、寒水石(結晶質石灰岩)、珪砂などを混合したものである。機械的強度特性などの強度において、セメントコンクリートに比べてレジンコンクリートは、特に引張強度と曲げ強度が大きく、セメントコンクリートの数倍の強度を有する。また、レジンコンクリートは、耐薬品特性にも優れており、耐摩耗性が大きく、圧縮強度も高い。更に、レジンコンクリートは不透水性で、凍結融解による強度劣化の影響を受けにくい。
このベース層Dの具体的な組成としては、例えばポリエステル樹脂10〜30重量%に対して、フィラー70〜90重量%を含む組成物が挙げられ、その他に硬化剤成分も含まれる。
【0019】
ここでのフィラーとしては、例えば炭酸カルシウムなどの化合物や寒水石及び珪砂などの鉱石の他、スラジライト等のリサイクル品を用いることが可能である。具体的には、炭酸カルシウム:珪砂:スラジライトが1:0.5〜3:0.5〜3、好ましくは1:1〜2:1〜2の割合で、樹脂組成物中に合計で70〜90重量%配合する態様が挙げられる。より具体的には、例えば上記ポリエステル樹脂13.7重量%に、炭酸カルシウムを23.2重量%、珪砂を31.6重量%、スラジライトを31.6重量%含有する態様が挙げられる。
上記のようなレジンコンクリートを含む基材のベース層Dの層厚は、通常20〜25mm程度である。
【0020】
最後に、任意の層であるブロック下部層Eには、スラジライト(商品名)等の粒度の粗いものを均一に散布されていることが好ましい。この層の存在によって、例えば本発明のブロックを路上に設置した場合、アンカー効果が発揮されて施工が容易になると同時に、使用による該ブロックのズレや破損も減少できる。
【0021】
本実施の形態においては、視覚障害者誘導用ブロックの表面のゲルコート層およびその突起部の上面を粗面とすることで、滑りにくくすることも可能である。該ブロック自体の形状についても、正方形に限定されるものではなく、必要に応じて長方形とすることも可能である。また、突起部の個数がそれぞれ25個の場合について示したが、各自治体等の基準に沿って、突起部の個数は任意設定することが可能である。
【0022】
実施の形態(その2)
図3(a)には、本実施の形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、図3(b)には、当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す。
本実施の形態では、視覚障害者誘導用ブロックの幅が通常200〜500mm程度、長さが通常200〜500mm程度であり、例えば図3のように300mmとすることができる。ブロック1の厚みは、例えば10〜60mm程度、好ましく20〜50mm程度である。また、このブロック上部の周辺部には、該ブロック1の作業性を考慮して、1〜3mm程度面取りすることが好ましい。ここで、当該ブロック1の基材に、強度を有する不飽和ポリエステル樹脂を主体とするレジンコンクリートを使用するとともに、表面樹脂層との間に繊維強化層Cを設けることにより、強度を有するブロックを提供できる。
【0023】
本実施の形態では、視覚障害者誘導用ブロックは、表面上に所定形状に形成され情報の伝達を行う複数の突起部(本形態では25個)を備えた点字ブロックである。突起部2は平面視して円形であり、突起部2の情報は停止を意味するものである。突起部は、表面上に形成され、高さnが通常3〜8mm例えば5mm程度であり、直径が例えば30〜40mm程度である。また、突起部の周辺部は、基材部の上から上方にかけて、縮径する形状となっている。よって、頂部の幅lが例えば10〜14mm程度、底部の幅l’が例えば18〜26mm程度、突起部同士の距離mが例えば幅lの2〜8倍程度である。この複数の突起部2は、幅及び長さ方向に5列5行にそれぞれ略等間隔に配置され、当該ブロック表面上にそれぞれ整列した状態で配置されている。これにより、視覚障害者は、突起部の情報を認知、識別し、停止することが可能となる。
【0024】
図2に、突起部2の1つを取り出した拡大図を示す。突起部2は、上記したように底部から頂部の上方にかけて、幅が短くなるようになっており、突起部2の周辺部に、足等を引っ掛ける恐れが無く、周辺部が欠ける可能性も低減できる。また、頂部の角は、図2(b)に示すように、一定のRを有するように曲線状にしておくことにより、頂部の破損の可能性や事故の可能性を低減できる。
【0025】
実施の形態(その3)
図4(a)には、本実施の形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、図4(b)には、当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す。
本実施の形態では、突起部2は、平面視して、進行方向に長い長方形を備えた形状であり、突起部の情報は進行方向を意味するものである。この突起部2は、高さnが例えば3〜8mm程度で、頂部の幅lが例えば15〜19mm程度、底部の幅l’が例えば23〜31mm程度、突起部同士の距離mが例えば幅lの2〜8倍程度である。この突起部2は、幅方向に複数(本形態では4列)配置され、それぞれの突起部2は、表面上に幅方向に、それぞれ略等間隔に配置されている。これにより、視覚障害者は、突起部2の情報を的確に認知、識別して歩行することができる。
【0026】
実施の形態(その3)においては、突起部の所定形状として、進行方向に長い長方形を備えた形状、実施の形態(その2)においては円形の形状についてそれぞれ示したが、進行方向や停止位置が確認できるのであれば、突起部の所定形状を他の形状とすることも可能である。
【0027】
実施の形態(その4)
本実施の形態では、視覚障害者誘導用ブロック1の製造法について説明する。
製造に用いる型枠は通常鋼材からなり、突起部2を形成する凹部を底部に備えている。型枠は、停止位置に敷設する視覚障害者誘導用ブロック(図3参照)の製造用と、導線上に敷設する当該ブロック(図4参照)の製造用とによって、それぞれ区別して使用される。
型枠は、製造する視覚障害者誘導用ブロック1の大きさに対応した空間部を有しており、この空間部の幅は例えば200〜500mm程度、長さは例えば200〜500mm程度、高さは例えば50〜200mm程度である。底部に対して実質的に垂直に設けられた側壁部の厚みは、製造時に視覚障害者誘導用ブロック1の寸法や形状に大きく影響を及ぼさない程度の強度を有する。また、型枠の底部にそれぞれ形成される複数の凹部の大きさや個数は、実施の形態(その2)(その3)で説明したブロックの複数の突起部の大きさや個数に対応して設けられている。
【0028】
本実施の形態における視覚障害者誘導用ブロック1の製造には、突起部2を形成する凹部が底部に形成された型枠を用いる。先ず、型処理として、型内面の清掃の後、型の状態を確認する。この型枠の内壁には、離型剤を塗布した後、型枠の凹部を含む底部にゲルコート樹脂を吹き付ける。コート厚は通常0.3〜0.5mm程度であり、10〜60分間程度で硬化させる。次いで、顔料成分を含む表面樹脂層を注型する。この流し込んだ表面樹脂層がゲル化する前に、ガラス繊維などの繊維強化材料を型内に含浸させて、硬化させる。この工程によって、繊維強化層と表面樹脂層が一体化して硬化する。
【0029】
その後、レジンコンクリートを含む基材である前記ベース樹脂を型内に注型する。この後、必要に応じてスラジライト(商品名)等のアンカー効果を有するブロック下部層を加えてから、硬化させる。硬化は、通常5〜60分間程度行う。また、コンクリート材を注型した後には空隙が発生しないように、型枠に横方向の振動を与え、コンクリート材が固化するまで放置することができる。
型枠に充填したレジンコンクリート材が固化した後、型枠から視覚障害者誘導用ブロック1を離型する。離型した後には仕上げ工程として、通常バリ切りや面取りを行う。製造後の各ブロックは、反り検査や外観検査等の検査工程を実施する。
【0030】
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明してきたが、本発明は上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、その他の実施の形態や変形例も可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、長期間、視覚障害者が点字ブロック表面の情報を認知、識別することができる、耐久性および識別性に優れた視覚障害者誘導用ブロックを提供できる。
すなわち、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が表面で生じても従来よりも深部まで顔料が含まれているので、長期間、色による識別性が失われない。視覚障害者誘導用ブロックを長期間敷設使用することで、突起部の摩耗が進行したとしても、ゲルコート層および表面樹脂層の色による識別作用により、特に弱視者等に視覚情報を有効に提供できる。
また、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、繊維強化層を介在させた積層構造を採用することによって、耐久性に著しく優れる。これにより、従来は2〜3年おきに破損等により取り替える必要が生じていた点字ブロックも、長期間に亘り使用することが可能となり、経済的にも作業上の負担も大幅に軽減できる。
【0032】
さらに、本発明の製造方法によれば、表面樹脂層と繊維強化層は含浸により一体的に成形されるため、積層構造であっても層間の剥離の問題が発生しにくい。また、表面と裏面側で組成の異なる材料を段階的に積層使用することにより、収縮率の違いによるブロック全体の反り及び割れの問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の視覚障害者誘導用ブロックの構造の概略を示す平面図(a)および側面図(b)である。
【図2】視覚障害者誘導用ブロック表面の突起部の拡大図である。
【図3】(a)は実施の形態(その3)に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、(b)は当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す図である。
【図4】(a)は実施の形態(その4)に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、(b)は当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す図である。
【符号の説明】
1 視覚障害者誘導用ブロック
2 突起部
A ゲルコート層
B 表面樹脂層
C 繊維強化層
D ベース層
E ブロック下部層
【発明の属する技術分野】
本発明は、視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、長期間の使用に適する、耐久性および識別性に優れた視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に視覚障害者(例えば、全盲者、極度の遠視、近視、乱視等の弱視者等)の歩行を手助けして誘導する手段として、駅構内、公共の建物の通路、又は交差点の歩道等には、点字ブロックが敷設されている。
図1に示すような視覚障害者誘導用ブロック1は、通常コンクリート(例えばモルタル等)などの基材からなるベース部を有する。この板状のベース部の上には、所定形状に形成され情報の伝達を行う複数の突起部2が備えられている。視覚障害者誘導用ブロック1の突起部2の形状(情報)、個数は敷設箇所によって異なり、例えば停止位置に敷設するブロック1の突起部2は、平面視して円形状を呈している(図3参照)。導線上に敷設するブロック1の突起部2は、平面視して進行方向に長い形状を呈している(図4参照)。
【0003】
また、視覚障害者誘導用ブロック1には、表面が平らになった通常のタイルの上面に接着剤によって、樹脂製の凸状の点字鋲を貼着したものや、タイルに装着孔を形成し、その装着孔に金属製又はゴム製等の凸状の点字鋲を嵌め込んだものもある。これにより、全盲者が歩行する場合には、ベース部の上に形成された突起部2の形状を足裏、又はステッキで感知し、進行方向及び停止位置を区別、確認している。また弱視者が歩行する場合は、ベース部の上に形成された突起部2の形状を足裏で確認するだけでなく、ブロック1表面の色や突起部2の形状を視覚的にも区別し、進行方向及び停止位置を区別、確認している。
【0004】
しかしながら、視覚障害者誘導用ブロック1が長期間に亘って敷設されていると、ベース部の上に形成された突起部2が、通行者や通行物によって摩滅や破損されてしまう場合が生じる。そのような点字ブロック1からは、路面情報を十分に確認できない場合が生じていた。
また、視覚障害者誘導用ブロック1の形状の変化以外にも、長期間に亘って路上に敷設されていると、表面の色が剥げてきたり、彩度が失われてきたりすることが多い。特に弱視者の場合は、情報の伝達を行う突起部2とともに当該ブロック1の色を視覚的に確認しづらくなるため、弱視者も全盲者と同様、ベース部の上に形成された突起部2の形状を足裏等で感知しなければ、ブロック1の情報を確認できない。そして、点字鋲をタイルに粘着したり、タイルに嵌め込んだ点字ブロックを使用した場合、点字鋲に対する外力の加わり方や使用環境等により、点字鋲がタイルから外れる可能性がある。これにより、視覚障害者に対して、危険であるという注意信号を送ることができなくなる可能性があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、上記問題点に鑑み、長期間に亘って点字ブロック表面の情報を認知、識別することが可能であり、摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が生じても色による識別性が失われないような、耐久性および識別性に優れた視覚障害者誘導用ブロックおよびその製造方法を開発すべく、鋭意検討した。
その結果、本発明者らは、基材であるコンクリート層と表面樹脂層との間に繊維強化層を設けると共に、一定以上の厚さを有する表面樹脂層を形成することによって、かかる問題点が解決されることを見出した。本発明は、かかる見地より完成されたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックであって、レジンコンクリートを含む基材のベース層と、顔料成分を含有する表面側の表層樹脂層との間に、ガラス繊維を含む繊維強化層を有することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックを提供するものである。本発明では、前記表面樹脂層の外側表面に、さらにゲルコート層を設けることができる。また、前記ベース層の外側裏面に、さらにブロック下部層を設けることもできる。
【0007】
このような視覚障害者誘導用ブロックによれば、表面の摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が表面で生じても従来よりも深部まで顔料を含ませることができるので、長期間に亘り、色による識別性が失われない。また、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、繊維強化層を介在させた積層構造を採用することによって、耐久性に著しく優れる。これにより、従来は2〜3年おきに破損等により取り替える必要が生じていた視覚障害者誘導用ブロックも、長期間に亘り使用することが可能となり、経済的にも作業上の負担も大幅に軽減できる。さらに、長期間敷設使用することで、突起部の摩耗が進行したとしても、ゲルコート層および表面樹脂層の色による識別作用により、特に弱視者等に視覚情報を有効に提供できる。
【0008】
また、本発明は、表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックの製造方法であって、型枠内の底部に突起部成型用の凹部を有するブロックの型枠に、表面樹脂を注入した後、ガラス繊維を積層して含浸させ、次いで、ベース樹脂を注入することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックの製造方法を提供するものである。ここで、表面樹脂を注入する前に、ゲルコート樹脂を底部に吹き付ける工程を含む方法も可能である。
【0009】
このようなブロック製造法によれば、表面樹脂層と繊維強化層は含浸により一体的に成形されるため、積層構造であっても層間の剥離の問題が発生しにくい。また、表面と裏面側で組成の異なる材料を段階的に積層使用することにより、収縮率の違いによるブロック全体の反りの問題を有効に回避することができる。
以下、本発明に係る視覚障害者誘導用ブロックについて、添付図面を参照しながら、その具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、表面に複数の突起部を有するとともに、レジンコンクリートを含む基材のベース層と、顔料成分を含有する表面側の表層樹脂層との間に、ガラス繊維を含む繊維強化層を有する。
実施の形態(その1)
図1に、本発明に係る視覚障害者誘導用ブロックの一例を示す。図1の(a)、(b)は、それぞれ当該ブロックの平面図および側面図である。
本実施の形態における視覚障害者誘導用ブロック1は、図1に示すように、板状のブロック1の表面上に所定形状に形成され情報の伝達を行う複数の突起部2を備えた点字ブロックである。突起部2は、平面視して円形であり、突起部2の情報は停止を意味するものである。
【0011】
本実施の形態の視覚障害者誘導用ブロックは、図1(b)に示すように、表面に複数の突起部2を有する点字ブロックであり、表面から、ゲルコート層A、顔料成分を含有する表層樹脂層B、ガラス繊維を含む繊維強化層C、レジンコンクリートを含む基材のベース層D、および、ブロック下部層Eからなる積層構造を有している。このうち、顔料成分を含有する表層樹脂層Bと、ガラス繊維を含む繊維強化層Cと、レジンコンクリートを含む基材のベース層Dとが必須の構成であり、ゲルコート層Aおよびブロック下部層Eは、必要に応じて設けられる任意の層である。
上記の積層構造を有する視覚障害者誘導用ブロックの総厚は、通常10〜60mm、好ましくは20〜50mm、特に好ましくは20〜30mmであり、表面の突起部2の高さは通常4〜6mm程度である。
【0012】
まず、ゲルコート層Aは、視覚障害者誘導用ブロックの表面を形成する層であり、顔料成分を含む樹脂コート層である。樹脂成分としては通常ポリエステル系樹脂が主成分として用いられ、コートされる樹脂量は0.1〜1.5kg/m2、好ましくは0.2〜0.8kg/m2であり、例えば0.3kg/m2とすることができる。樹脂成分の硬化のためには、適宜、硬化剤を添加する。
顔料成分を含有する表層樹脂層Bは、視覚障害者誘導用ブロックの表面側を形成するもう1つの層であり、顔料成分を含む樹脂コート層である。樹脂としては通常ポリエステル系樹脂が用いられ、コート層を形成する樹脂組成物中、樹脂の配合比は通常10〜50重量%、好ましくは15〜30重量%であり、例えば25重量%とすることができる。樹脂組成物中の他の成分としては、顔料、硬化剤、フィラーが含まれる。
【0013】
ゲルコート層Aもしくは表面樹脂層Bに加える顔料としては、弱視者が確認しやすいように一般的には黄色を使用することが好ましい。この黄色の顔料としては、例えば黄鉛PbCrO4 、亜鉛黄ZnCrO4 、カドミウム黄CdS、アンチモン黄Pb(SbO3)2 、(5)黄土Fe2O3・xAl2O3・ySiO2、黄色酸化鉄Fe2O3・nH2Oなどが挙げられる(商品名リゴラックなど)。また、ブロック表面の色相を視覚的に明確に区別できるように、前記黄色の顔料の他にも、亜鉛華(亜鉛白)、リトポン、チタン白等の白色顔料や、炭素の黒鉛型微結晶の集まりである黒色顔料、そして弁柄、鉛丹等の赤色顔料等を任意に用いることもできる。また、周囲の景観等を考慮して、顔料に青色顔料や、緑色顔料、そして紫色顔料を使用することも可能である。
【0014】
これらの顔料の樹脂組成物中の含有量は各層毎に任意に定められる。ゲルコート層Aでは、主成分であるポリエステル樹脂および硬化剤100重量部に対して、前記顔料成分を2〜30重量部、好ましくは5〜20重量部含有する。表面樹脂層Bでは、樹脂組成物中の顔料成分量が通常0.5〜20.0重量%、好ましくは3.0〜10.0重量%添加され、例えば5.0重量%添加することができる。
【0015】
ゲルコート層Aもしくは表面樹脂層Bには、主成分としてポリエステル樹脂が用いられ、具体的には、例えば商品名リゴラックのようなポリエステル樹脂が好適に用いられる。また、この主成分であるポリエステル樹脂の硬化のために、適宜、硬化剤を添加することができる。硬化剤として具体的には、例えば商品名カヤメックA、カヤメックLHなどの過酸化物系化合物を用いることができる
【0016】
表面樹脂層Bには、通常フィラーを添加する。樹脂組成物におけるフィラー量は各層との関係から適宜定めることができるが、該組成物中に通常30〜80重量%、好ましくは40〜70重量%用いられ、具体的には60〜70重量%用いる態様が挙げられる。この場合、ポリエステル樹脂を主成分とする樹脂成分は、樹脂組成物中に、通常20〜70重量%、好ましくは25〜60重量%程度用いられ、具体的には30〜40重量%用いる態様が挙げられる。
フィラーの種類としては、種々のものを任意に選択して使用することができるが、例えば炭酸カルシウムなどの化合物や寒水石などの鉱石を用いることが可能である。具体的には、炭酸カルシウムと寒水石を1:0.5〜1.5の割合で、樹脂組成物中に合計で40〜70重量%配合する態様が挙げられる。より具体的には、例えば上記ポリエステル樹脂34.5重量%に、顔料成分1.8重量%、炭酸カルシウムを31.8重量%、寒水石を31.8重量%含有する態様が挙げられる。
上記のようなゲルコート層Aおよび表面樹脂層Bの層厚は、合わせて通常0.5〜10.0mm、好ましくは2.0〜7.0mmである。このうち、ゲルコート層Aの層厚は、例えば0.1〜0.8mmの範囲が好ましい。
【0017】
ガラス繊維を含む繊維強化層Cには、ガラス繊維が用いられる。具体的には、ガラス繊維マット#300、#450、ガラスクロス#230などを使用することができる。これらのガラス繊維は、視覚障害者誘導用ブロックの大きさに合わせて裁断して用い、例えば幅300mmのタイプでは290mm角、幅400mmのタイプでは390mm角に寸法を合わせる。
この繊維強化層Cには、ガラス繊維に前記表面樹脂層Bの樹脂組成物が含浸されているため、強固な層を形成している。繊維強化層Cの層厚は、通常0.1〜0.8mm程度であるが、より一層強度を向上させる場合には、1.0mm程度まで厚くする態様も可能である。
【0018】
レジンコンクリートを含む基材のベース層Dには、ポリエステル樹脂を含むコンクリートが用いられる。このレジンコンクリートは、不飽和ポリエステル樹脂を含有し、これに硬化剤、炭酸カルシウム粉末、寒水石(結晶質石灰岩)、珪砂などを混合したものである。機械的強度特性などの強度において、セメントコンクリートに比べてレジンコンクリートは、特に引張強度と曲げ強度が大きく、セメントコンクリートの数倍の強度を有する。また、レジンコンクリートは、耐薬品特性にも優れており、耐摩耗性が大きく、圧縮強度も高い。更に、レジンコンクリートは不透水性で、凍結融解による強度劣化の影響を受けにくい。
このベース層Dの具体的な組成としては、例えばポリエステル樹脂10〜30重量%に対して、フィラー70〜90重量%を含む組成物が挙げられ、その他に硬化剤成分も含まれる。
【0019】
ここでのフィラーとしては、例えば炭酸カルシウムなどの化合物や寒水石及び珪砂などの鉱石の他、スラジライト等のリサイクル品を用いることが可能である。具体的には、炭酸カルシウム:珪砂:スラジライトが1:0.5〜3:0.5〜3、好ましくは1:1〜2:1〜2の割合で、樹脂組成物中に合計で70〜90重量%配合する態様が挙げられる。より具体的には、例えば上記ポリエステル樹脂13.7重量%に、炭酸カルシウムを23.2重量%、珪砂を31.6重量%、スラジライトを31.6重量%含有する態様が挙げられる。
上記のようなレジンコンクリートを含む基材のベース層Dの層厚は、通常20〜25mm程度である。
【0020】
最後に、任意の層であるブロック下部層Eには、スラジライト(商品名)等の粒度の粗いものを均一に散布されていることが好ましい。この層の存在によって、例えば本発明のブロックを路上に設置した場合、アンカー効果が発揮されて施工が容易になると同時に、使用による該ブロックのズレや破損も減少できる。
【0021】
本実施の形態においては、視覚障害者誘導用ブロックの表面のゲルコート層およびその突起部の上面を粗面とすることで、滑りにくくすることも可能である。該ブロック自体の形状についても、正方形に限定されるものではなく、必要に応じて長方形とすることも可能である。また、突起部の個数がそれぞれ25個の場合について示したが、各自治体等の基準に沿って、突起部の個数は任意設定することが可能である。
【0022】
実施の形態(その2)
図3(a)には、本実施の形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、図3(b)には、当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す。
本実施の形態では、視覚障害者誘導用ブロックの幅が通常200〜500mm程度、長さが通常200〜500mm程度であり、例えば図3のように300mmとすることができる。ブロック1の厚みは、例えば10〜60mm程度、好ましく20〜50mm程度である。また、このブロック上部の周辺部には、該ブロック1の作業性を考慮して、1〜3mm程度面取りすることが好ましい。ここで、当該ブロック1の基材に、強度を有する不飽和ポリエステル樹脂を主体とするレジンコンクリートを使用するとともに、表面樹脂層との間に繊維強化層Cを設けることにより、強度を有するブロックを提供できる。
【0023】
本実施の形態では、視覚障害者誘導用ブロックは、表面上に所定形状に形成され情報の伝達を行う複数の突起部(本形態では25個)を備えた点字ブロックである。突起部2は平面視して円形であり、突起部2の情報は停止を意味するものである。突起部は、表面上に形成され、高さnが通常3〜8mm例えば5mm程度であり、直径が例えば30〜40mm程度である。また、突起部の周辺部は、基材部の上から上方にかけて、縮径する形状となっている。よって、頂部の幅lが例えば10〜14mm程度、底部の幅l’が例えば18〜26mm程度、突起部同士の距離mが例えば幅lの2〜8倍程度である。この複数の突起部2は、幅及び長さ方向に5列5行にそれぞれ略等間隔に配置され、当該ブロック表面上にそれぞれ整列した状態で配置されている。これにより、視覚障害者は、突起部の情報を認知、識別し、停止することが可能となる。
【0024】
図2に、突起部2の1つを取り出した拡大図を示す。突起部2は、上記したように底部から頂部の上方にかけて、幅が短くなるようになっており、突起部2の周辺部に、足等を引っ掛ける恐れが無く、周辺部が欠ける可能性も低減できる。また、頂部の角は、図2(b)に示すように、一定のRを有するように曲線状にしておくことにより、頂部の破損の可能性や事故の可能性を低減できる。
【0025】
実施の形態(その3)
図4(a)には、本実施の形態に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、図4(b)には、当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す。
本実施の形態では、突起部2は、平面視して、進行方向に長い長方形を備えた形状であり、突起部の情報は進行方向を意味するものである。この突起部2は、高さnが例えば3〜8mm程度で、頂部の幅lが例えば15〜19mm程度、底部の幅l’が例えば23〜31mm程度、突起部同士の距離mが例えば幅lの2〜8倍程度である。この突起部2は、幅方向に複数(本形態では4列)配置され、それぞれの突起部2は、表面上に幅方向に、それぞれ略等間隔に配置されている。これにより、視覚障害者は、突起部2の情報を的確に認知、識別して歩行することができる。
【0026】
実施の形態(その3)においては、突起部の所定形状として、進行方向に長い長方形を備えた形状、実施の形態(その2)においては円形の形状についてそれぞれ示したが、進行方向や停止位置が確認できるのであれば、突起部の所定形状を他の形状とすることも可能である。
【0027】
実施の形態(その4)
本実施の形態では、視覚障害者誘導用ブロック1の製造法について説明する。
製造に用いる型枠は通常鋼材からなり、突起部2を形成する凹部を底部に備えている。型枠は、停止位置に敷設する視覚障害者誘導用ブロック(図3参照)の製造用と、導線上に敷設する当該ブロック(図4参照)の製造用とによって、それぞれ区別して使用される。
型枠は、製造する視覚障害者誘導用ブロック1の大きさに対応した空間部を有しており、この空間部の幅は例えば200〜500mm程度、長さは例えば200〜500mm程度、高さは例えば50〜200mm程度である。底部に対して実質的に垂直に設けられた側壁部の厚みは、製造時に視覚障害者誘導用ブロック1の寸法や形状に大きく影響を及ぼさない程度の強度を有する。また、型枠の底部にそれぞれ形成される複数の凹部の大きさや個数は、実施の形態(その2)(その3)で説明したブロックの複数の突起部の大きさや個数に対応して設けられている。
【0028】
本実施の形態における視覚障害者誘導用ブロック1の製造には、突起部2を形成する凹部が底部に形成された型枠を用いる。先ず、型処理として、型内面の清掃の後、型の状態を確認する。この型枠の内壁には、離型剤を塗布した後、型枠の凹部を含む底部にゲルコート樹脂を吹き付ける。コート厚は通常0.3〜0.5mm程度であり、10〜60分間程度で硬化させる。次いで、顔料成分を含む表面樹脂層を注型する。この流し込んだ表面樹脂層がゲル化する前に、ガラス繊維などの繊維強化材料を型内に含浸させて、硬化させる。この工程によって、繊維強化層と表面樹脂層が一体化して硬化する。
【0029】
その後、レジンコンクリートを含む基材である前記ベース樹脂を型内に注型する。この後、必要に応じてスラジライト(商品名)等のアンカー効果を有するブロック下部層を加えてから、硬化させる。硬化は、通常5〜60分間程度行う。また、コンクリート材を注型した後には空隙が発生しないように、型枠に横方向の振動を与え、コンクリート材が固化するまで放置することができる。
型枠に充填したレジンコンクリート材が固化した後、型枠から視覚障害者誘導用ブロック1を離型する。離型した後には仕上げ工程として、通常バリ切りや面取りを行う。製造後の各ブロックは、反り検査や外観検査等の検査工程を実施する。
【0030】
以上、本発明を実施の形態により具体的に説明してきたが、本発明は上記した実施の形態に何ら限定されるものではなく、その他の実施の形態や変形例も可能である。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、長期間、視覚障害者が点字ブロック表面の情報を認知、識別することができる、耐久性および識別性に優れた視覚障害者誘導用ブロックを提供できる。
すなわち、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは摩滅や破損が起こりにくいと同時に、仮に摩滅等が表面で生じても従来よりも深部まで顔料が含まれているので、長期間、色による識別性が失われない。視覚障害者誘導用ブロックを長期間敷設使用することで、突起部の摩耗が進行したとしても、ゲルコート層および表面樹脂層の色による識別作用により、特に弱視者等に視覚情報を有効に提供できる。
また、本発明の視覚障害者誘導用ブロックは、繊維強化層を介在させた積層構造を採用することによって、耐久性に著しく優れる。これにより、従来は2〜3年おきに破損等により取り替える必要が生じていた点字ブロックも、長期間に亘り使用することが可能となり、経済的にも作業上の負担も大幅に軽減できる。
【0032】
さらに、本発明の製造方法によれば、表面樹脂層と繊維強化層は含浸により一体的に成形されるため、積層構造であっても層間の剥離の問題が発生しにくい。また、表面と裏面側で組成の異なる材料を段階的に積層使用することにより、収縮率の違いによるブロック全体の反り及び割れの問題を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の視覚障害者誘導用ブロックの構造の概略を示す平面図(a)および側面図(b)である。
【図2】視覚障害者誘導用ブロック表面の突起部の拡大図である。
【図3】(a)は実施の形態(その3)に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、(b)は当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す図である。
【図4】(a)は実施の形態(その4)に係る視覚障害者誘導用ブロックの具体例、(b)は当該ブロックを設置する場合の敷設例を示す図である。
【符号の説明】
1 視覚障害者誘導用ブロック
2 突起部
A ゲルコート層
B 表面樹脂層
C 繊維強化層
D ベース層
E ブロック下部層
Claims (5)
- 表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックであって、
レジンコンクリートを含む基材のベース層と、顔料成分を含有する表面側の表面樹脂層との間に、ガラス繊維を含む繊維強化層を有することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロック。 - 前記表面樹脂層の外側表面に、さらにゲルコート層が設けられていることを特徴とする請求項1記載の視覚障害者誘導用ブロック。
- 前記ベース層の外側裏面に、さらにブロック下部層が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の視覚障害者誘導用ブロック。
- 表面に複数の突起部を有する視覚障害者誘導用ブロックの製造方法であって、型枠内の底部に突起部成型用の凹部を有するブロックの型枠に、表面樹脂を注入した後、ガラス繊維を積層して含浸させ、次いで、ベース樹脂を注入することを特徴とする視覚障害者誘導用ブロックの製造方法。
- 前記表面樹脂を注入する前に、ゲルコート樹脂を底部に吹き付ける工程を含むことを特徴とする請求項4記載の視覚障害者誘導用ブロックの製造方法。
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