JP2004332023A - 難導電性体への金属めっき方法 - Google Patents

難導電性体への金属めっき方法 Download PDF

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豊 津留
Yashichi Oyagi
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Abstract

【課題】プラスチックスやセラミックス等の難導電性体からなる被めっき物の表面へ密着性の優れた金属めっきを行う難導電性体への金属めっき方法を提供する。
【解決手段】難導電性体からなる被めっき物12の表面に熱硬化性塗料を塗布し、熱硬化性塗料からなる塗膜13が硬化する前に、塗膜13上に金属めっきを行って更に外部から加圧処理を行ないながら熱硬化性塗料の完全硬化のための加熱処理を行う。これにより、プラスチックスやセラミックス等の難導電性体の表面に、熱硬化性塗料を介して、極めて密着性に優れた金属めっきを施すことができる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックスやセラミックス等の難導電性体からなる被めっき物の表面に熱硬化性塗料を塗布し、その塗膜を介して密着性の優れた金属めっきを行う難導電性体への金属めっき方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックスやセラミックス等の難導電性体は、その基本特性として導電性がないため、電気めっきを簡単に行うことができない。また、難導電性体の表面に触媒を塗布し、化学めっきを行うことは比較的簡単に行うことができるが、難導電性体への金属めっきの密着性が悪く、実用性能は期待できない。
しかしながら、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(以下、ABS樹脂という)成形品においては、高濃度のクロム酸及び硫酸の混合溶液によるエッチング工程、パラジウム触媒付与工程、化学めっき工程、及び後続の電気めっき工程を最適化することにより、密着性に優れた金属めっきが行われている。このめっきプロセスは、ABS樹脂の専用プロセスであり、ABS樹脂の構造とエッチング条件との最適な組み合わせにより、実用化されたものである。
【0003】
しかしながら、ABS樹脂用に開発されたプロセス条件は、他の樹脂にとっては必ずしも有効なプロセスではなく、ほとんど実用化されていない。従って、ABS樹脂以外の成形品に最適な各種のプロセスを開発する試みが行われている。
例えば、特許文献1には、繊維強化プラスチック(以下、FRPという)成形品の表面に、まず、FRPと密着性の良いエポキシ樹脂又はウレタン樹脂を結合剤とする塗料を塗装し、更に、その上にめっき可能なエポキシ樹脂又はフッ素樹脂を結合剤とする塗料を塗装し、次いで該二層の塗膜を形成した成形品に通常のめっき工程によりめっきを施すFRP成形品のめっき方法が開示されている。この方法による金属めっき成形品のピーリング試験による密着強度は、例えば、0.860kg/cmであり、めっきに必要な密着強度(通常1.000kg/cm)を満たしていない。
【0004】
また、特許文献2には、平均粒子径が2μm以下のグラファイト粒子及びバインダーを含有する水分散液を非導電体、特にプリント配線板(PWB)の表面に接触させ、グラファイト粒子を付着させてグラファイト粒子層を形成した後、前記グラファイト粒子層を導電層として導電性金属を電気めっきする方法が開示されている。
【0005】
更に、特許文献3には、熱硬化性樹脂基体上に、無電解めっき及び電解めっきを順次施した後、該熱硬化性樹脂のガラス転移温度乃至ガラス転移温度に70℃を加えた温度で加熱処理を行う熱硬化性樹脂のめっき方法が開示しされている。この方法による金属めっき成形品の引き剥がし強度(つまり、ピーリング試験による密着強度)は、例えば、1.16kgf/cmであった。
【0006】
また、特許文献4には、炭酸マグネシウム及び/又はドロマイト(炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムとの複塩)を含有するめっき用熱硬化性樹脂組成物、及び該樹脂組成物を含有する繊維強化樹脂成形体が開示されている。この方法による金属めっき成形品の剥離試験による荷重(つまり、ピーリング試験による密着強度)は、例えば、1.3〜2.3kg/cmであった。
【0007】
【特許文献1】
特開平6−322581号公報
【特許文献2】
特開平6−280089号公報
【特許文献3】
特開平7−157882号公報
【特許文献4】
特開平3−163166号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の難導電性体への金属めっき方法は未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1〜4は、難めっき材料であるプラスチックスやセラミックス等に対して、普遍性のあるめっきプロセスの提供を目的とするものである。しかしながら、プラスチックスやセラミックスといっても非常に他種類のものがあり、それらに共通の金属めっき方法を見いだすのは困難である。従って、本発明では、めっき対象物である難導電性体のプラスチックスやセラミックス成形品、更に、電導性体である金属成形品の表面に、最も相性の良い有機物被膜(有機塗料)を形成し、その有機塗膜上に密着性に優れた金属めっきを施すことを基本構想としている。
【0009】
現在、各種の有機塗料が、開発され、更に実用化されており、基材であるプラスチックスやセラミックス成形物に対して密着性の優れた塗料を見つけだすことは容易であるが、その塗料、塗膜に対して、密着性の優れた金属めっき方法が存在しない現実がある。前述のABS樹脂成形品の場合、エッチング、触媒付与、化学めっき、及び電気めっきの一連のプロセスの最適化により、ピーリング試験による密着強度(50μm程度の電気銅めっき被膜の破壊試験による測定値)は、1.0kg/cm以上を得ることが可能となった。
【0010】
しかしながら、ABS樹脂用に開発されためっきプロセスでは、アクリル、ウレタン、ポリエステル、エポキシ等の樹脂を有する塗膜に金属めっきを施しても、0.2kg/cm以下の密着性しか得られず、実用性は認められない。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、プラスチックスやセラミックス等の難導電性体からなる被めっき物の表面へ密着性の優れた金属めっきを行う難導電性体への金属めっき方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う本発明に係る難導電性体への金属めっき方法は、難導電性体からなる被めっき物の表面に熱硬化性塗料を塗布し、該熱硬化性塗料からなる塗膜が硬化する前に、該塗膜上に金属めっきを行って更に外部から加圧処理を行ないながら前記熱硬化性塗料の完全硬化のための加熱処理を行う。
これによって、熱硬化性塗料を介して、プラスチックスやセラミックス等の難導電性体からなる被めっき物に金属めっきを施すことができる。また、被めっき物としては、金属等の導電性体を用いることもできる。このように、難導電性体及び導電性体のいずれにも金属めっきを行えるので、電子部品、自動車部品、家電製品、住宅建材部品等に適用することがき、各種素材の幅広い活用が可能となる。
【0012】
また、めっき金属と塗膜には大きな熱膨張率の差が存在するため、加圧せずに加熱処理を行うと、大きな熱応力の発生によって、ブリスター(ふくれ)が発生する。しかしながら、外部からの加圧処理によって、めっき金属と塗膜は、被めっき物に押しつけられるので、ブリスターの発生を防止することができる。また、めっき金属は、強く塗膜に押しつけられ、密に塗膜と接触し、めっき金属と塗膜との界面部分が増大するので、加熱処理による熱硬化性塗料の硬化反応中に、めっき金属と塗膜とは、化学結合が生じ、強固な密着性を確保することができる。
【0013】
ここで、熱硬化性塗料としては、アクリル、ウレタン、ポリエステル、エポキシ等の樹脂を有する塗料が代表例として挙げられるが、特に限定するものでない。これら既知の熱硬化性塗料を使用し、熱硬化性塗料の塗布後の工程を最適化することで、強固な密着性を確保できる。
【0014】
本発明に係る難導電性体への金属めっき方法において、前記熱硬化性塗料は、銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び金のいずれか1又は2以上からなる金属粉末又は前記金属の化合物粉末、若しくは前記金属粉末と前記化合物粉末との混合物を含むのが好ましい。
これによって、銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び金の金属元素を単独又は複合して含有させ、その後に行う金属めっきでの触媒機能、及び熱硬化性塗料中への投錨(アンカー)効果により、密着性の高いめっきを施すことができ、金属めっき成形品の品質が高位安定化する。
【0015】
ここで、銅、及びニッケルは、それぞれ化合物として添加するのが好ましい。また、パラジウム、銀、白金、及び金等の貴金属は、それぞれ化合物として添加してもよく、また、添加時点で金属状態として添加してもよい。
熱硬化性塗料塗布後の工程において、銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び金の金属の化合物は、水素化ホウ素カリウム、次亜リン酸ナトリウム、及びホルムアルデヒド等の還元剤により金属化することで、触媒機能を発揮させることができる。ここで、触媒反応が弱い場合には、塩化パラジウム溶液への浸漬と還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウム溶液への浸漬を繰り返し、触媒能力の増強を行うことができる。このようにして、触媒化した塗料表面に化学めっき、いわゆる無電解めっきを行うのが好ましい。
【0016】
また、塗料が有機溶剤ベースの場合には、銅、及びニッケルの化合物をアルコールに溶解させた後、溶剤型塗料に添加する。また、水溶性塗料の場合には、それぞれの金属化合物の水溶液として容易に添加できる。
金属元素の添加量としては、0%HPR及び0%HPRを超えて、10%HPR以下である範囲が好ましく、更に好ましくは、0.005%HPR以上で2.0%HPR以下で添加するのが好ましい。ここで、HPRとは、樹脂に対する重量百分率であり、重量%と同義である。
【0017】
本発明に係る難導電性体への金属めっき方法において、前記加圧処理は、0.1kg/cm 以上で10.0kg/cm 以下、好ましくは、0.4kg/cm 以上で8.0kg/cm 以下、更に好ましくは、1.0kg/cm 以上で6.0kg/cm 以下で行うのが好ましい。
これによって、被めっき物に金属めっきを十分に密着することができる。なお、加圧処理は、0.1kg/cm 未満では、被めっき物に金属めっきを十分に密着させることができず、また、10.0kg/cm を超えても、被めっき物への金属めっきの密着強度は向上しない。
【0018】
本発明に係る難導電性体への金属めっき方法において、前記金属めっきは、銅又はニッケルの化学めっきを行った後、更にそのめっき被膜上に電気めっきを行うのが好ましい。
これによって、銅又はニッケルの化学めっきにより形成される実質的に1.0μm以下の薄い被膜を、電気めっきにより補強を行うことができる。従って、電気めっき後に行われる加圧処理下での加熱処理中においても、めっき被膜は、柔軟性と強度が保持される。
【0019】
ここで、化学めっき浴は、特に限定するものではないが、銅めっきが望ましく、ニッケルめっきも、銅めっきに近い柔らかいめっき被膜の形成が可能なめっき条件によりめっきを施すようにするとよい。
また、電気めっきによるめっき被膜の厚みとしては、1μm以上で80μm以下、好ましくは、2μm以上で20μm以下の範囲が推奨される。また、電気めっきにおいては、電気めっき後、加圧により、めっき被膜が難導電性体に押しつけられるので、銅めっき、ニッケルめっき、金めっき、銀めっき、錫めっき等の柔らかいめっき被膜を形成する金属を用いるのが好ましい。
【0020】
本発明に係る難導電性体への金属めっき方法において、前記加熱処理を施して前記熱硬化性塗料を完全硬化させた後に、更に、電気めっき処理を行うのが好ましい。
これによって、更に、強固な金属めっきを施すことができる。なお、熱硬化性塗料の完全硬化後に行う電気めっきは、銅めっき、ニッケルめっき、金めっき、銀めっき、錫めっき等の柔らかいめっき被膜を形成する金属の他に、クロム、ルテニウム、ロジウム等の硬い被膜を形成する金属を用いてもよく、更には、半光沢ニッケルめっき、光沢ニッケルめっき、ジュールニッケルめっき、及びクロムめっきを順に施す多層めっきによる装飾めっき等を行ってもよい。
【0021】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法を適用して金属めっきが行われた金属めっき成形品の説明図、図2は同金属めっき方法の工程の説明図である。
【0022】
図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法を適用した難導電性体の金属めっき成形品11について説明する。
ここで、被めっき物としては、難導電性体の一例である繊維強化プラスチック(以下、FRPという)12を使用した。金属めっき成形品11は、FRP12の表面に熱硬化性塗料の一例であるエポキシ樹脂主剤のアラルダイト(登録商標)が塗布され、アラルダイトによる塗膜13が形成されている。また、塗膜13の上部には、硫酸銅めっき浴を用いた化学めっきによる化学めっき層14が形成され、更に、化学めっき層14の上部には、硫酸銅めっき浴を用いた電気めっきによる電気めっき層15が形成されている。
【0023】
次に、図2を参照して、本発明の一実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法ついて説明する。
まず、FRP12の表面汚れ(例えば、指紋、機械油、及びほこり)を除去する洗浄工程16を行う。洗浄工程16は、溶剤洗浄や非シリカ系のアルカリクリーナーによって行う。
【0024】
洗浄工程16によって、表面の汚れが除去されたFRP12に、アラルダイトを塗布する塗布工程17を行う。アラルダイトには、銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び金のいずれか1又は2以上からなる金属粉末又はこれらの金属の化合物粉末、若しくは金属粉末と化合物粉末との混合物を含有させてもよい。ここで、銅、及びニッケルは、それぞれ化合物として添加するのが好ましい。また、パラジウム、銀、白金、及び金の貴金属は、それぞれ化合物として添加してもよく、また、添加時点で金属状態として、添加してもよい。これらの金属元素は、金属めっきでの触媒機能、及び塗料中への投錨(アンカー)効果により、FRP12に、密着性の高いめっきを施すことができ、金属めっき成形品11の品質が高位安定化する。
【0025】
また、熱硬化性塗料が有機溶剤ベースの場合には、銅、ニッケル化合物をアルコールに溶解させた後、溶剤型の熱硬化性塗料に添加する。また、水溶性の熱硬化性塗料の場合には、それぞれの金属化合物の水溶液として容易に添加できる。
金属元素の添加量としては、樹脂に対する百分率として、0重量%及び0重量%を超えて10重量%以下の範囲が好ましく、更に好ましくは、0.005重量%以上で2.0重量%以下の範囲で添加するのが好ましい。
【0026】
更に、塗布工程17後、還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウムにより形成した塗膜13を還元する還元工程18を行う。還元工程18では、塗布工程17において塗布したアラルダイト中に金属元素を含有させた場合に、含有した金属元素を金属化することができる。この金属化した金属元素は、触媒機能を発揮する。また、めっき金属とアラルダイト中の金属元素が結合することによる投錨効果により、密着性の高いめっきを施すことができる。
【0027】
ここで、触媒反応が弱い場合には、塩化パラジウム溶液への浸漬を行う浸漬工程19を行うのが好ましい。この浸漬工程19において、塩化パラジウムが塗膜13に付着する。更に、再び還元剤、例えば、水素化ホウ素カリウム溶液への浸漬を繰り返す、つまり、還元工程18と浸漬工程19を繰り返すことにより、触媒能力の増強を行うことができる。このように、浸漬工程19は、FRP12表面への触媒の付与を行っている。
【0028】
次に、浸漬工程19によって、触媒が付与され、触媒能力が増強したFRP12の塗膜13を銅めっき浴に浸漬して、化学めっきを行う化学めっき工程20を行う。化学めっき工程20により、塗膜13上に化学めっき層14が形成される。化学めっき層14によって、化学めっきされためっき被膜の表面は、導電性を帯びるようになる。化学めっき層14は、1.0μm以下の薄い被膜であり、加圧処理下の加熱処理に耐えきれず、剥離することがある。
【0029】
更に、化学めっき工程20を経たFRP12に、電気めっきを行う電気めっき工程21を行い、更に、金属めっきによる補強を行う。これによって、加圧処理下での加熱処理中においても、めっき被膜は、柔軟性と強度が保持される。ここで、電気めっきによるめっき被膜の厚みとしては、1μm以上で80μm以下、好ましくは、2μm以上で20μm以下の範囲が推奨される。
【0030】
次に、電気めっき工程21終了後、電気めっきされたFRP12を洗浄し、更に乾燥を行う第1の洗浄乾燥工程22を行い、更に、乾燥したFRP12は、めっき金属をアラルダイトに押しつけるために、外部から加圧処理を行いながら、アラルダイトを完全に硬化させるために加熱処理を施す加圧加熱工程23を行う。ここで、加圧加熱とは、所定の圧力まで加圧し、所定の圧力になった後、所定の温度(例えば、塗料系によりことなるが、100〜200℃)まで加熱することをいう。また、加熱保持時間とは、所定の温度まで加熱してからその温度を保つ時間をいう。
【0031】
ここで、従来のように、加熱だけで熱硬化性塗料を硬化させる方法では、化学めっき層及び電気めっき層の金属と塗膜の熱硬化性塗料には大きな熱膨張率の差が存在するため、大きな熱応力の発生によって、ブリスター(ふくれ)が発生し易くなる。しかしながら、本実施の形態の難導電性体への金属めっき方法では、加圧加熱工程23によって、塗膜13、化学めっき層14、及び電気めっき層15は、FRP12に押しつけられるので、ブリスターの発生を防止することができる。また、めっき金属は、強く塗膜13に押しつけられるので、銅とアラルダイトが、密に接触し、めっき金属と塗膜13との界面部分が増大するので、加熱処理による熱硬化性塗料の硬化反応中に、めっき金属と塗膜13とは、化学結合が生じ、強固な密着性を確保することができる。
【0032】
なお、加圧処理は、0.1kg/cm 以上で10.0kg/cm 以下、好ましくは、0.4kg/cm 以上で8.0kg/cm 以下、更に好ましくは、1.0kg/cm 以上で6.0kg/cm 以下で行うことが好ましい。
これによって、十分に金属めっきを密着させることができる。なお、加圧処理が、0.1kg/cm 未満では、十分に金属めっきを密着させることができず、10.0kg/cm を超えても、密着強度は向上しない。
更に、加圧加熱工程23の終了後、加圧加熱工程23の終了したFRP12を洗浄して、乾燥させる第2の洗浄乾燥工程を行い、金属めっき成形品11を得た。
【0033】
【実施例】
(試験例1)
前記実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法によって、以下に示すように、被めっき物に金属めっきを施し、金属めっき成形品を形成した。
洗浄工程16において、FRP12の表面の汚れを除去した。熱硬化性塗料としてエポキシ樹脂主剤のアラルダイトを使用し、アラルダイト120gを1リットルの有機溶剤に溶解したものを使用した。次に、塗布工程17において、この熱硬化性塗料をFRP12に塗布し、塗膜13を形成する。
【0034】
更に、還元工程18において、1.5g/Lの水素化ホウ素カリウム溶液に5分間浸漬した後、浸漬工程19において、0.3g/Lの塩化パラジウム溶液に5分間浸漬した。なお、還元工程18及び浸漬工程19の連続した工程を繰り返し3回行い、FRP12の触媒能力の増強を行った。
次に、化学めっき工程20において、銅めっき浴中で、20分間の化学めっきを行い化学めっき層14を形成した。更に、電気めっき工程21において、硫酸銅めっき液中で、実質的に50μmの電気めっきを行い電気めっき層15を形成した。
【0035】
更に、第1の洗浄乾燥工程22において、洗浄後、乾燥した。次に、加圧加熱工程23において、圧力室内にサンプルを静置し、空気加圧し、ゲージ圧を2.0kg/cm に設定した。ゲージ圧が2.0kg/cm に到達した時点より、加温を開始し、170℃で10分間保持して、めっき下地のアラルダイトを完全硬化させた後、冷却した。最後に第2の洗浄乾燥工程24において、洗浄後、乾燥して、金属めっき成形品を得た。
【0036】
(比較例1)
比較例1として、前記した試験例1の洗浄工程16から第1の洗浄乾燥工程22までを行い、加圧加熱工程23及び第2の洗浄乾燥工程24を行わずに金属めっき成形品を形成した。
(比較例2)
比較例2として、FRP12に洗浄工程16、及び塗布工程17を行った後、170℃にて10分間加熱し、アラルダイトを完全に硬化させた。次に、還元工程18及び浸漬工程19の連続した工程を繰り返し3回行い、化学めっき工程20、及び電気めっき工程21を行った。更に、第1の洗浄乾燥工程22において、洗浄後、乾燥し、金属めっき成形品を形成した。
【0037】
試験例1、比較例1及び比較例2の金属めっき成形品に、めっき被膜の素地に達する切れ込みを入れ、幅1cm当たりの銅被膜の剥離強度を引っ張り試験器を用いてピーリング試験を行い、それぞれ密着強度を測定した。その結果、試験例1、比較例1及び比較例2の密着強度は、それぞれ1.2kg/cm、0.1kg/cm、及び0.1kg/cmであった。この結果より、試験例1のように、完全に硬化する前に化学めっき及び電気めっきを行い、更に、加圧条件下において、加熱して、硬化させる加圧加熱工程によって、被めっき物への金属めっきの密着強度が高くなることが分かった。
【0038】
(試験例2〜試験例7)
前記実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法を適用して、熱硬化性塗料への添加する金属元素を変えて、被めっき物に金属めっきを施し、金属めっき成形品を形成した。また、これらの金属めっき成形品について、それぞれピーリング試験を行い、密着強度を測定した。
試験例2〜試験例7として、試験例1と同様に、FRP12に洗浄工程16、塗布工程17、還元工程18、浸漬工程19を行った。更に、還元工程18及び浸漬工程19の連続した工程を繰り返し3回行った。次に、化学めっき工程20、及び電気めっき工程21行った。更に、第1の洗浄乾燥工程22、加圧加熱工程23、及び第2の洗浄乾燥工程24を経て、金属めっき成形品を得た。
【0039】
なお、表1に示すように、塗布工程17において、試験例2では、アラルダイト120gを1リットルの有機溶剤に硫酸銅を、メタノールに飽和濃度で溶解し、アラルダイト溶液と5対2の比率で混合した。また、試験例3〜試験例7では、アラルダイト120gを1リットルの溶剤に、それぞれ硫酸ニッケル、金属パラジウム(ナノクリスタル)、金属銀(サブミクロン粉末)、硫酸白金、及び金粉末を溶解し、試験例2〜試験例7それぞれの濃度を、飽和、飽和、0.15g/L、0.20g/L、飽和、及び0.20g/Lとした。
【0040】
【表1】
Figure 2004332023
【0041】
表1に示すように、試験例2〜試験例7の金属めっきの密着強度は、いずれも1.4kg/cmよりも大きな値となり、熱硬化性塗料に銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金、及び金を含有させることで、めっき金属の塗膜への密着性が向上することが分かった。
【0042】
(試験例8〜試験例16)
前記実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法を適用して、加圧加熱工程時の圧力及び加熱保持時間を変えて、被めっき物に金属めっきを施し、金属めっき成形品を形成した。また、これらの金属めっき成形品について、それぞれピーリング試験を行い、密着強度を測定した。
試験例8〜試験例16として、試験例1と同様に、FRP12に洗浄工程16、塗布工程17、還元工程18、浸漬工程19を行った。更に、還元工程18及び浸漬工程19の連続した工程を繰り返し3回行った。次に、化学めっき工程20、及び電気めっき工程21行った。更に、第1の洗浄乾燥工程22、加圧加熱工程23、及び第2の洗浄乾燥工程24を経て、金属めっき成形品を得た。
【0043】
なお、表2に示すように、加圧加熱工程23において、試験例8〜試験例13では、加圧処理をそれぞれ0.5、1.0、2.0、4.0、6.0、及び8.0kg/cm とし、加熱温度及び加熱保持時間をいずれも170℃、10分とした。また、試験例14〜試験例16では、加圧処理及び加熱温度をいずれも4.0kg/cm 、170℃とし、加熱保持時間をそれぞれ5、20、60分とした。
【0044】
【表2】
Figure 2004332023
【0045】
表2に示すように、試験例8の金属めっきの密着強度は、0.8kg/cmとなったが、試験例9〜試験例16の金属めっきの密着強度は、いずれも1.2kg/cmよりも大きな値となり、加圧処理によって、めっきの密着性が向上することが分かった。また、試験例11、及び試験例14〜試験例16から、加熱保持時間の影響は少ないことが分かった。
【0046】
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明の難導電性体への金属めっき方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態において、被めっき物を繊維強化プラスチックとしたが、繊維強化プラスチック以外のプラスチックスやセラミックス等の難導電性体としてもよく、更に、金属等の導電性体としてもよい。また、熱硬化性塗料としては、アクリル、ウレタン、及びポリエステル等の樹脂をベースとする塗料を使用してもよい。
【0047】
更に、還元工程において、水素化ホウ素カリウムを用いたが、次亜リン酸ナトリウム、及びホルムアルデヒド等の還元剤を用いてもよい。
また、化学めっき工程においては、銅めっきを行ったが、ニッケルめっきを行ってもよい。また、化学めっきに続いて行う電気めっき工程においても、銅めっきを行ったが、ニッケルめっき、金めっき、銀めっき、錫めっき等の柔らかいめっき被膜を形成する電気めっきを行ってもよい。ここで、化学めっき工程において、銅めっきを施した後、電気めっき工程でニッケルめっきを行う、或いは、化学めっき工程において、ニッケルめっきを施した後、電気めっき工程で銅めっきを行ってもよいが、ニッケルめっきにおいては、銅めっきに近い柔らかいめっき被膜の形成が可能なめっき条件を選ぶことが必要である。
【0048】
また、第2の洗浄乾燥工程の後、すなわち、熱硬化性塗料を完全硬化させた後、更に、電気めっき処理を行ってもよい。これによって、更に強固な金属めっきを施すことができる。この金属めっきとしては、銅めっき、ニッケルめっき、金めっき、銀めっき、錫めっき等の柔らかいめっき被膜を形成する金属の他に、クロム、ルテニウム、ロジウム等の硬い被膜を形成する金属を用いてもよく、更には、半光沢ニッケルめっき、光沢ニッケルめっき、ジュールニッケルめっき、及びクロムめっきを順に施す多層めっきによる装飾めっき等を行ってもよい。
【0049】
【発明の効果】
請求項1〜5記載の難導電性体への金属めっき方法においては、難導電性体からなる被めっき物の表面に熱硬化性塗料を塗布し、熱硬化性塗料からなる塗膜が硬化する前に、塗膜上に金属めっきを行って更に外部から加圧処理を行ないながら熱硬化性塗料の完全硬化のための加熱処理を行うので、熱硬化性塗料を介して、プラスチックスやセラミックス等の難導電性体からなる被めっき物に金属めっきを施すことができる。
【0050】
また、外部からの加圧処理によって、めっき金属と塗膜が、被めっき物に押しつけられるので、熱応力によるブリスターの発生を防止することができる。また、めっき金属は、強く塗膜に押しつけられ、密に塗膜と接触し、めっき金属と塗膜との界面部分が増大するので、加熱処理による熱硬化性塗料の硬化反応中に、めっき金属と塗膜とは、化学結合が生じ、強固な密着性を確保することができる。
【0051】
特に、請求項2記載の難導電性体への金属めっき方法においては、熱硬化性塗料は、銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び金のいずれか1又は2以上からなる金属粉末又は金属の化合物粉末、若しくは金属粉末と化合物粉末との混合物を含むので、金属めっきでの触媒機能、及び熱硬化性塗料中への投錨(アンカー)効果により、密着性の高いめっきを施すことができ、金属めっき成形品の品質が高位安定化する。
【0052】
請求項3記載の難導電性体への金属めっき方法においては、加圧処理は、0.1kg/cm 以上で10.0kg/cm 以下、好ましくは、0.4kg/cm 以上で8.0kg/cm 以下、更に好ましくは、1.0kg/cm 以上で6.0kg/cm 以下で行うので、被めっき物に金属めっきを十分に密着することができる。
【0053】
請求項4記載の難導電性体への金属めっき方法においては、金属めっきは、銅又はニッケルの化学めっきを行った後、更にそのめっき被膜上に電気めっきを行うので、銅又はニッケルの化学めっきにより形成される実質的に1.0μm以下の薄い被膜を、電気めっきにより補強を行うことができる。従って、電気めっき後に行われる加圧処理下での加熱処理中においても、めっき被膜は、柔軟性と強度が保持される。
【0054】
請求項5記載の難導電性体への金属めっき方法においては、加熱処理を施して熱硬化性塗料を完全硬化させた後に、更に、電気めっき処理を行うので、更に、強固な金属めっきを施すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る難導電性体への金属めっき方法を適用して金属めっきが行われた金属めっき成形品の説明図である。
【図2】同金属めっき方法の工程の説明図である。
【符号の説明】
11:金属めっき成形品、12:繊維強化プラスチック(FRP)、13:塗膜、14:化学めっき層、15:電気めっき層、16:洗浄工程、17:塗布工程、18:還元工程、19:浸漬工程、20:化学めっき工程、21:電気めっき工程、22:第1の洗浄乾燥工程、23:加圧加熱工程、24:第2の洗浄乾燥工程

Claims (5)

  1. 難導電性体からなる被めっき物の表面に熱硬化性塗料を塗布し、該熱硬化性塗料からなる塗膜が硬化する前に、該塗膜上に金属めっきを行って更に外部から加圧処理を行ないながら前記熱硬化性塗料の完全硬化のための加熱処理を行うことを特徴とする難導電性体への金属めっき方法。
  2. 請求項1記載の難導電性体への金属めっき方法において、前記熱硬化性塗料は、銅、ニッケル、パラジウム、銀、白金及び金のいずれか1又は2以上からなる金属粉末又は前記金属の化合物粉末、若しくは前記金属粉末と前記化合物粉末との混合物を含むことを特徴とする難導電性体への金属めっき方法。
  3. 請求項1及び2のいずれか1項に記載の難導電性体への金属めっき方法において、前記加圧処理は、0.1kg/cm 以上で10.0kg/cm 以下、好ましくは、0.4kg/cm 以上で8.0kg/cm 以下、更に好ましくは、1.0kg/cm 以上で6.0kg/cm 以下で行うことを特徴とする難導電性体への金属めっき方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の難導電性体への金属めっき方法において、前記金属めっきは、銅又はニッケルの化学めっきを行った後、更にそのめっき被膜上に電気めっきを行うことを特徴とする難導電性体への金属めっき方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難導電性体への金属めっき方法において、前記加熱処理を施して前記熱硬化性塗料を完全硬化させた後に、更に、電気めっき処理を行うことを特徴とする難導電性体への金属めっき方法。
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