JP2004331572A - 水素化有機シランと炭化水素の併産方法、並びに水素化有機シラン組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】半導体デバイスの膜形成材料として有用な水素化有機シランと炭化水素の混合組成物を効率的に生産する方法を提供する。
【解決手段】一般式[1] R1 nSiX4−n ・・・[1]で表されるハロゲン化有機シラン(例えばトリメチルクロシラン)を一般式[2] R2−O−R3・・・[2]で表されるエーテル系の溶媒(例えばメチルフェニルエーテル)と塩化アルミニウムの共存下に、金属水素化物(例えば水素化リチウム)と反応させることを特徴とする水素化有機シラン(例えばトリメチルシラン)と炭化水素(例えばメタン)の併産方法。
【選択図】なし
【解決手段】一般式[1] R1 nSiX4−n ・・・[1]で表されるハロゲン化有機シラン(例えばトリメチルクロシラン)を一般式[2] R2−O−R3・・・[2]で表されるエーテル系の溶媒(例えばメチルフェニルエーテル)と塩化アルミニウムの共存下に、金属水素化物(例えば水素化リチウム)と反応させることを特徴とする水素化有機シラン(例えばトリメチルシラン)と炭化水素(例えばメタン)の併産方法。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素化有機シランと炭化水素の併産方法に関し、更に詳しくは半導体デバイス製造に於ける層間絶縁膜形成材料、キャップ膜等の材料に使用できる水素化有機シランと炭化水素からなる組成物の製造方法、並びに該製造方法により得られた組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素化有機シランは、シリコーン、シランカップリング剤、シリル化剤等の機能製品の原料、なかでも半導体デバイス製造に於けるドライフォトレジスト剤、或いは低誘電率の層間絶縁膜や配線材料に用いられるCu等の拡散移動を防止するための絶縁膜、即ちキャップ膜用の材料等、半導体内の様々な絶縁膜形成材料として注目を集めており、各種の水素化有機シランの製造方法が提案されている。
【0003】
従来の水素化有機シランを製造する方法としては、例えば(1)モノシランとハロゲン化アルキルとの反応による製造方法(例えば、非特許文献1参照)、(2)少なくとも一つ以上のケイ素−水素結合を有するアルキルアルコキシシラン類の不均化反応による製造方法(例えば、非特許文献2参照)、(3)ハロゲン化アルキルシラン類と金属水素化物との反応(例えば、非特許文献3参照)。等が知られている。
【0004】
しかしながら、炭化水素の効率的な併産方法については全く知られていない。
【0005】
一方、半導体デバイスの層間絶縁膜として用いる材料には電気的絶縁性および耐熱性等に優れることが要求され、その材料には均一な膜組成が得られ平坦化能力を有すること、埋め込み能力を有することが要求され、シリカ絶縁膜、窒化ケイ素、燐珪酸ガラス等を層間絶縁膜として用いて、主に化学的気相成長法により堆積していた。
また、近年、半導体の設計ルールの微細化、高速動作化および低消費電力化等に伴い、各種層間絶縁膜の低比誘電率化が求められており、(1)シリカ絶縁膜を基材として、これにフッ素等の添加物を加える方法(例えば、非特許文献4参照)、(2)モノシランまたはポリシラン等の有機成分を含まないシラン系気体と、有機成分として炭化水素、および酸化剤として酸素原子を有する気体とを、それぞれ所定の流量で直接半導体製造装置内に導入し化学的気相成長法により膜を形成する方法(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【0006】
しかしながら、前述(1)の方法により低比誘電率の膜を得るには、多量のフッ素を含有させる必要があり、吸湿性が発現するとともに、フッ素が加水分解を起こすので膜中に安定に存在できない。更には得られる膜の比誘電率は必ずしも満足の得られるものではないという問題点を有する。前述(2)の方法では有機成分のアルキル基とケイ素との結合を有する酸化ケイ素膜が得られる為、電子分極率および膜の密度が小さくなり比誘電率を低くできるという特徴があるが、原料ガスを個々に半導体製造装置内に導入して膜形成を実施するので、操作が煩雑となるうえ、得られる膜に不均質な部分が発生することもあり品質上問題がある。
【0007】
【非特許文献1】J.Organomet.Chem.,12(3),417(1968)
【非特許文献2】Gaodeng Xueciao Huaxue Xuebao,16(11),1749(1995)
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.,75,3753(1953)
【非特許文献4】宮島、ドライプロセスシンポジウム、133(1994)
【特許文献1】特開平08−227888号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記の問題点を解決した半導体デバイスの膜形成材料として有用な水素化有機シランと炭化水素の混合組成物を効率的に生産する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、従来技術の問題点を解決し得る膜形成用材料として有用な水素化有機シランと飽和炭化水素との効率的な併産方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、
(1) 一般式[1]
R1 nSiX4−n ・・・[1]
(式中、R1は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を表し、nが2または3の場合に於いてR1は、それぞれが同一であっても異なってもよい)で表されるハロゲン化有機シランを
一般式[2]
R2−O−R3 ・・・[2]
(式中、R2およびR3は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい、)で表されるエーテル系の溶媒と塩化アルミニウムの共存下に、金属水素化物と反応させることを特徴とする水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(2) R1がメチル基であり、Xが塩素原子であり、nが1である(1)記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(3) 金属水素化物が水素化リチウムアルミニウムである(1)または(2)に記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(4) R2がフェニル基またはn−ブチル基であり、R3がメチル基またはn−ブチル基である(1)〜(4)のいずれかに記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(5) 生成した水素化有機シランの量に対して生成した炭化水素の量が0.1〜10モル%の範囲にあることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の併産方法。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の併産方法により得られた水素化有機シランと炭化水素を含有してなる組成物。
(7) 半導体デバイスの膜形成材料に用いることを特徴とする(6)に記載の組成物。
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、ハロゲン化有機シランをエーテル系溶媒および塩化アルミニウムの存在下、金属水素化物と反応することを特徴とする。
使用するハロゲン化有機シランである一般式[1]中、R1は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい。炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げれら、アルケニル基としてはビニル、アリル等が挙げられ、アルキニル基としてはエチニル、2−プロピニル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナフチルメチル、2−ナフチルエチル等が挙げられる。Xはハロゲン原子を表しフッ素、塩素、臭素またはヨウ素が例示できる。特にR1がメチル基であり、Xが塩素であり、nが3であるものが好ましく用いられる。
【0012】
一般式[1]で表されるハロゲン化有機シランの具体例としては、モノフルオロメチルシラン、モノクロロメチルシラン、モノブロモメチルシラン、モノヨードメチルシラン、モノフルオロエチルシラン、モノクロロエチルシラン、モノブロモエチルシラン、モノヨードエチルシラン、モノフルオロイソプロピルシラン、モノクロロイソプロピルシラン、モノブロモイソプロピルシラン、モノヨードイソプロピルシラン、モノフルオロシクロヘキシルシラン、モノクロロシクロヘキシルシラン、モノブロモシクロヘキシルシラン、モノヨードシクロヘキシルシラン等のモノハロゲン化アルキルシラン類、ジフルオロジメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジブロモジメチルシラン、ジヨードジメチルシラン等のジハロゲン化アルキルシラン類、トリフルオロメチルシラン、トリクロロメチルシラン、トリブロモメチルシラン、トリヨードメチルシラン等のトリハロゲン化アルキルシラン類、モノフルオロビニルシラン、モノクロロビニルシラン、モノブロモビニルシラン、モノヨードビニルシラン等のモノハロゲン化アルケニルシラン類、モノフルオロエチニルシラン、モノクロロエチニルシラン、モノブロモエチニルシラン、モノヨードエチニルシラン等のモノハロゲン化アルキニルシラン類、モノフルオロフェニルシラン、モノクロロフェニルシラン、モノブロモフェニルシラン、モノヨードフェニルシラン等のモノハロゲン化アリールシラン類、モノフルオロベンジルシラン、モノクロロベンジルシラン、モノブロモベンジルシラン、モノヨードベンジルシラン等のモノハロゲン化アラルキルシラン類、モノフルオロジメチルフェニルシラン、モノクロロジメチルフェニルシラン、モノブロモジメチルフェニルシラン、モノヨードジメチルフェニルシラン等のモノハロゲン化アルキルアリールシラン類が例示できる。
【0013】
本発明では、水素化剤としての金属水素化物を用いる。
金属水素化物としては、例えばLiH、NaH、AlH3等の1個の金属からなる水素化物、或いはLiAlH4、NaAlH4、NaBH4、LiBH4等の複合金属水素化物が挙げられる。これらのうち原料であるハロゲン化有機シランに対する水素化活性および併産する炭化水素の生産性が優れる点から、水素化リチウムアルミニウムの使用が好ましい。
これらの金属水素化物は単独で用いても、また2種類以上を混合して用いてもよい。
水素化剤の使用量は特に制限はないが、通常ハロゲン化有機シランに対して、1〜10当量、更に好ましくは1〜4当量の範囲である。
反応に使用する水素化剤の形状は、粉末状であっても破砕状であってもよいし、またペレット状や球状に成形されていてもよい。
金属水素化物は、一般式[2]で表されるエーテル系の溶媒に分散または溶解して反応を行う。
【0014】
一般式[2]中、R2およびR3は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい。炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナフチルメチル、2−ナフチルエチル等が挙げられる。
水素化反応に用いるエーテル系の溶媒の具体例としては、例えばジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、ベンジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル等が例示できる。
【0015】
これらのエーテル系の溶媒は単独で用いても、また2種類以上を混合して用いてもよいが、併産する炭化水素の種類により適宜選ばれる。
エーテル系溶媒の使用量は特に制限はなく、反応温度および併産する炭化水素並びに使用する金属水素化物やハロゲン化有機シランなどの種類や量などにより異なり一様ではなく適宜選ばれるが通常、使用する水素化剤の重量に対して2〜20倍の範囲である。
また本発明の水素化反応は、塩化アルミニウムの共存下に実施する。塩化アルミニウムの共存下に本発明の水素化反応を実施すると炭化水素の生産性が向上する。
塩化アルミニウムの使用量は特に制限はないが、通常金属水素化物に対して、0.1当量〜20当量、好ましくは0.5〜5当量の範囲である。
【0016】
本発明に於ける塩化アルミニウムの調製方法は特に限定されず、一般に入手可能な市販品をそのまま用いるか、或いは予め塩化アルミニウムを添加することなく、水素化剤としてアルミニウム含有複合金属水素化物を用い、更にハロゲン原子が塩素原子であるハロゲン化有機シランを用いることにより、水素化反応の進行と共に反応系内に逐次生成させる方法を採用することも出来る。
塩化アルミニウムの形状は、粉末状であっても破砕状であってもよいし、またペレット状や球状に成形されていてもよい。
【0017】
水素化有機シランとは、原料として用いたハロゲン化有機シランの水素化物である。原料として用いるハロゲン化有機シランと得られる水素化有機シランの具体例としては、例えばモノメチルトリクロロシランを用いた場合はモノメチルシランが得られ、ジメチルジクロロシランを用いた場合はジメチルシランが得られ、トリメチルクロロシランを用いた場合はトリメチルシランが得られる。
【0018】
炭化水素は、ハロゲン化有機シランの水素化反応による水素化有機シランの製造と同時に併産する。使用するエーテル系溶媒のエーテル結合を金属水素化物で還元的に切断することで炭化水素を併産できる。
【0019】
併産する炭化水素の種類は一般式[2]で表されるエーテル系溶媒のR2および/またはR3の構造に由来する炭化水素である。具体的には例えば、R2および/またはR3がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、ヘキシルまたはシクロヘキシル等のアルキル基の場合は、メタン、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、ヘキサンまたはシクロヘキサン等を併産することが可能であり、フェニルまたはナフチル等のアリール基の場合は、ベンゼンまたはナフタレン等を併産することが可能であり、ベンジルまたはフェネチル等のアラルキル基の場合は、トルエンまたはエチルベンゼン等を併産することが可能である。
【0020】
本発明の反応は通常、反応温度30〜150℃で反応させるが、用いるハロゲン化有機シラン、溶媒および併産する炭化水素の種類や量並びに水素化剤および塩化アルミニウムの量などにより適宜調整する。
本発明の炭化水素の併産量は、反応温度、用いるハロゲン化有機シラン、溶媒および水素化剤の種類や量並びに塩化アルミニウムの量などにより異なり一様ではないが通常、ハロゲン化有機シランの水素化反応によって生成した水素化有機シランの生産量に対して0.1〜10モル%の範囲である。
本発明に於ける反応の実施方式は特に限定されるものではなく、回分式、半回分式および連続流通式等の何れの方式でも実施できる。
生成した水素化有機シランと炭化水素との組成物は、必要により公知の洗浄、吸着、蒸留等の精製操作を加えることにより、高純度化、或いは併産した炭化水素の含有量を調整することで、半導体材料分野に使用できる水素化有機シランと炭化水素の組成物にすることができる。
本発明の方法により得られる水素化有機シランと炭化水素の組成物に於ける炭化水素の含有量は特に制限はないが、好ましくは併産した水素化有機シランに対して0.1〜10モル%の範囲である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。尚、実施例において得られた分析値は以下の方法により測定した。
ケイ素含有化合物:
島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B型(FID)を用い、分析カラムにはキャピラリーカラムDB−5を用いて分析した。
炭化水素系化合物:
日立製作所製ガスクロマトグラフィーPID−CG型(FID)を用い、分析カラムにはパックドカラムMS−5Aを用いて分析した。
収率:捕集ガス量とその分析値から反応に用いた原料のハロゲン化有機シラン量を基準に算出した。
【0022】
実施例1
ジャケットと環流器を備えた反応器(容量300ml、材質SUS−316製)に溶媒としてメチルフェニルエーテル90mlを入れ、更に水素化剤として水素化リチウム9.24g(1.32mol)および塩化アルミニウム133.33g(0.132mol)を加え、このスラリーを攪拌混合した。更にジャケット部に温水を通液し、スラリー温度を80℃とした。次いで原料としてトリメチルクロロシラン129.25g(1.19mol)を1時間かけて全量滴下し、発生ガスは全て水による洗浄およびMS−5Aのモレキュラーシーブによる不純物の吸着除去を行った後、ボンベに捕集した。捕集したガスの一部をサンプリングし、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率67.9mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量5.9mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0023】
実施例2
ジャケットと環流器を備えた反応器(容量2L、材質SUS−316製)に溶媒としてメチルフェニルエーテル500mlを入れ、更に水素化剤として水素化リチウムアルミニウム50.00g(1.32mol)を添加し、このスラリーを攪拌混合した。更にジャケット部に温水を通液し、スラリー温度を60℃とした。次いで原料としてトリメチルクロロシラン500.00g(4.60mol)を1時間かけて全量滴下し、発生ガスは全て水による洗浄およびMS−5Aのモレキュラーシーブによる不純物の吸着除去を行った後、ボンベに捕集した。捕集したガスの一部をサンプリングし、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率83.2mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量2.8mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0024】
実施例3
溶媒としてメチルフェニルエーテルをジ−n−ブチルエーテルに変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるn−ブタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率80mol%、トリメチルシラン中のn−ブタン含有量3.9mol%であり、高いトリメチルシラン収率でn−ブタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとn−ブタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0025】
実施例4
水素化リチウムアルミニウム50.00g(1.32mol)を水素化ナトリウムアルミニウム71.29g(1.32mol)に変えて、メチルフェニルエーテルの使用量を500mlから713mlに変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率80.2mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量3.3mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0026】
実施例5
原料としてトリメチルクロロシラン500.00g(4.60mol)をモノメチルトリクロロシラン147.99g(0.99mol)に変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるモノメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、モノメチルシラン収率69.3mol%、モノメチルシラン中のメタン含有量3.2mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてモノメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<5と高い絶縁性が確認できた。
【0027】
比較例1
塩化アルミニウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率52.4mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量は0.06mol%であった。
【0028】
比較例2
メチルフェニルエーテルをトルエンに変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび炭化水素の分析を行った結果、トリメチルシラン収率16.4mol%、トリメチルシラン中の炭素数1〜4の炭化水素含有量は0.01mol%以下であった。
【0029】
比較例1および2の結果から明らかなように、本発明の方法を用いない場合は、炭化水素の併産は困難であるうえ、目的の水素化有機シランの収率も低く好ましくない。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体デバイス製造に於ける層間絶縁膜形成材料、キャップ膜等の材料に有用である水素化有機シランと炭化水素の組成物の併産方法、並びに該併産方法により得られる組成物が提供され工業的に極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水素化有機シランと炭化水素の併産方法に関し、更に詳しくは半導体デバイス製造に於ける層間絶縁膜形成材料、キャップ膜等の材料に使用できる水素化有機シランと炭化水素からなる組成物の製造方法、並びに該製造方法により得られた組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素化有機シランは、シリコーン、シランカップリング剤、シリル化剤等の機能製品の原料、なかでも半導体デバイス製造に於けるドライフォトレジスト剤、或いは低誘電率の層間絶縁膜や配線材料に用いられるCu等の拡散移動を防止するための絶縁膜、即ちキャップ膜用の材料等、半導体内の様々な絶縁膜形成材料として注目を集めており、各種の水素化有機シランの製造方法が提案されている。
【0003】
従来の水素化有機シランを製造する方法としては、例えば(1)モノシランとハロゲン化アルキルとの反応による製造方法(例えば、非特許文献1参照)、(2)少なくとも一つ以上のケイ素−水素結合を有するアルキルアルコキシシラン類の不均化反応による製造方法(例えば、非特許文献2参照)、(3)ハロゲン化アルキルシラン類と金属水素化物との反応(例えば、非特許文献3参照)。等が知られている。
【0004】
しかしながら、炭化水素の効率的な併産方法については全く知られていない。
【0005】
一方、半導体デバイスの層間絶縁膜として用いる材料には電気的絶縁性および耐熱性等に優れることが要求され、その材料には均一な膜組成が得られ平坦化能力を有すること、埋め込み能力を有することが要求され、シリカ絶縁膜、窒化ケイ素、燐珪酸ガラス等を層間絶縁膜として用いて、主に化学的気相成長法により堆積していた。
また、近年、半導体の設計ルールの微細化、高速動作化および低消費電力化等に伴い、各種層間絶縁膜の低比誘電率化が求められており、(1)シリカ絶縁膜を基材として、これにフッ素等の添加物を加える方法(例えば、非特許文献4参照)、(2)モノシランまたはポリシラン等の有機成分を含まないシラン系気体と、有機成分として炭化水素、および酸化剤として酸素原子を有する気体とを、それぞれ所定の流量で直接半導体製造装置内に導入し化学的気相成長法により膜を形成する方法(例えば、特許文献1参照)等が知られている。
【0006】
しかしながら、前述(1)の方法により低比誘電率の膜を得るには、多量のフッ素を含有させる必要があり、吸湿性が発現するとともに、フッ素が加水分解を起こすので膜中に安定に存在できない。更には得られる膜の比誘電率は必ずしも満足の得られるものではないという問題点を有する。前述(2)の方法では有機成分のアルキル基とケイ素との結合を有する酸化ケイ素膜が得られる為、電子分極率および膜の密度が小さくなり比誘電率を低くできるという特徴があるが、原料ガスを個々に半導体製造装置内に導入して膜形成を実施するので、操作が煩雑となるうえ、得られる膜に不均質な部分が発生することもあり品質上問題がある。
【0007】
【非特許文献1】J.Organomet.Chem.,12(3),417(1968)
【非特許文献2】Gaodeng Xueciao Huaxue Xuebao,16(11),1749(1995)
【非特許文献3】J.Am.Chem.Soc.,75,3753(1953)
【非特許文献4】宮島、ドライプロセスシンポジウム、133(1994)
【特許文献1】特開平08−227888号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は前記の問題点を解決した半導体デバイスの膜形成材料として有用な水素化有機シランと炭化水素の混合組成物を効率的に生産する方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を達成するために鋭意検討を行った結果、従来技術の問題点を解決し得る膜形成用材料として有用な水素化有機シランと飽和炭化水素との効率的な併産方法を見いだし、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち本発明は、
(1) 一般式[1]
R1 nSiX4−n ・・・[1]
(式中、R1は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を表し、nが2または3の場合に於いてR1は、それぞれが同一であっても異なってもよい)で表されるハロゲン化有機シランを
一般式[2]
R2−O−R3 ・・・[2]
(式中、R2およびR3は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい、)で表されるエーテル系の溶媒と塩化アルミニウムの共存下に、金属水素化物と反応させることを特徴とする水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(2) R1がメチル基であり、Xが塩素原子であり、nが1である(1)記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(3) 金属水素化物が水素化リチウムアルミニウムである(1)または(2)に記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(4) R2がフェニル基またはn−ブチル基であり、R3がメチル基またはn−ブチル基である(1)〜(4)のいずれかに記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
(5) 生成した水素化有機シランの量に対して生成した炭化水素の量が0.1〜10モル%の範囲にあることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の併産方法。
(6) (1)〜(5)のいずれかに記載の併産方法により得られた水素化有機シランと炭化水素を含有してなる組成物。
(7) 半導体デバイスの膜形成材料に用いることを特徴とする(6)に記載の組成物。
に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、ハロゲン化有機シランをエーテル系溶媒および塩化アルミニウムの存在下、金属水素化物と反応することを特徴とする。
使用するハロゲン化有機シランである一般式[1]中、R1は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい。炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げれら、アルケニル基としてはビニル、アリル等が挙げられ、アルキニル基としてはエチニル、2−プロピニル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナフチルメチル、2−ナフチルエチル等が挙げられる。Xはハロゲン原子を表しフッ素、塩素、臭素またはヨウ素が例示できる。特にR1がメチル基であり、Xが塩素であり、nが3であるものが好ましく用いられる。
【0012】
一般式[1]で表されるハロゲン化有機シランの具体例としては、モノフルオロメチルシラン、モノクロロメチルシラン、モノブロモメチルシラン、モノヨードメチルシラン、モノフルオロエチルシラン、モノクロロエチルシラン、モノブロモエチルシラン、モノヨードエチルシラン、モノフルオロイソプロピルシラン、モノクロロイソプロピルシラン、モノブロモイソプロピルシラン、モノヨードイソプロピルシラン、モノフルオロシクロヘキシルシラン、モノクロロシクロヘキシルシラン、モノブロモシクロヘキシルシラン、モノヨードシクロヘキシルシラン等のモノハロゲン化アルキルシラン類、ジフルオロジメチルシラン、ジクロロジメチルシラン、ジブロモジメチルシラン、ジヨードジメチルシラン等のジハロゲン化アルキルシラン類、トリフルオロメチルシラン、トリクロロメチルシラン、トリブロモメチルシラン、トリヨードメチルシラン等のトリハロゲン化アルキルシラン類、モノフルオロビニルシラン、モノクロロビニルシラン、モノブロモビニルシラン、モノヨードビニルシラン等のモノハロゲン化アルケニルシラン類、モノフルオロエチニルシラン、モノクロロエチニルシラン、モノブロモエチニルシラン、モノヨードエチニルシラン等のモノハロゲン化アルキニルシラン類、モノフルオロフェニルシラン、モノクロロフェニルシラン、モノブロモフェニルシラン、モノヨードフェニルシラン等のモノハロゲン化アリールシラン類、モノフルオロベンジルシラン、モノクロロベンジルシラン、モノブロモベンジルシラン、モノヨードベンジルシラン等のモノハロゲン化アラルキルシラン類、モノフルオロジメチルフェニルシラン、モノクロロジメチルフェニルシラン、モノブロモジメチルフェニルシラン、モノヨードジメチルフェニルシラン等のモノハロゲン化アルキルアリールシラン類が例示できる。
【0013】
本発明では、水素化剤としての金属水素化物を用いる。
金属水素化物としては、例えばLiH、NaH、AlH3等の1個の金属からなる水素化物、或いはLiAlH4、NaAlH4、NaBH4、LiBH4等の複合金属水素化物が挙げられる。これらのうち原料であるハロゲン化有機シランに対する水素化活性および併産する炭化水素の生産性が優れる点から、水素化リチウムアルミニウムの使用が好ましい。
これらの金属水素化物は単独で用いても、また2種類以上を混合して用いてもよい。
水素化剤の使用量は特に制限はないが、通常ハロゲン化有機シランに対して、1〜10当量、更に好ましくは1〜4当量の範囲である。
反応に使用する水素化剤の形状は、粉末状であっても破砕状であってもよいし、またペレット状や球状に成形されていてもよい。
金属水素化物は、一般式[2]で表されるエーテル系の溶媒に分散または溶解して反応を行う。
【0014】
一般式[2]中、R2およびR3は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい。炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基としてはメチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル等が挙げられ、アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、アラルキル基としてはベンジル、フェネチル、フェニルイソプロピル、2−ナフチルメチル、2−ナフチルエチル等が挙げられる。
水素化反応に用いるエーテル系の溶媒の具体例としては、例えばジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジシクロヘキシルエーテル、ベンジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル等が例示できる。
【0015】
これらのエーテル系の溶媒は単独で用いても、また2種類以上を混合して用いてもよいが、併産する炭化水素の種類により適宜選ばれる。
エーテル系溶媒の使用量は特に制限はなく、反応温度および併産する炭化水素並びに使用する金属水素化物やハロゲン化有機シランなどの種類や量などにより異なり一様ではなく適宜選ばれるが通常、使用する水素化剤の重量に対して2〜20倍の範囲である。
また本発明の水素化反応は、塩化アルミニウムの共存下に実施する。塩化アルミニウムの共存下に本発明の水素化反応を実施すると炭化水素の生産性が向上する。
塩化アルミニウムの使用量は特に制限はないが、通常金属水素化物に対して、0.1当量〜20当量、好ましくは0.5〜5当量の範囲である。
【0016】
本発明に於ける塩化アルミニウムの調製方法は特に限定されず、一般に入手可能な市販品をそのまま用いるか、或いは予め塩化アルミニウムを添加することなく、水素化剤としてアルミニウム含有複合金属水素化物を用い、更にハロゲン原子が塩素原子であるハロゲン化有機シランを用いることにより、水素化反応の進行と共に反応系内に逐次生成させる方法を採用することも出来る。
塩化アルミニウムの形状は、粉末状であっても破砕状であってもよいし、またペレット状や球状に成形されていてもよい。
【0017】
水素化有機シランとは、原料として用いたハロゲン化有機シランの水素化物である。原料として用いるハロゲン化有機シランと得られる水素化有機シランの具体例としては、例えばモノメチルトリクロロシランを用いた場合はモノメチルシランが得られ、ジメチルジクロロシランを用いた場合はジメチルシランが得られ、トリメチルクロロシランを用いた場合はトリメチルシランが得られる。
【0018】
炭化水素は、ハロゲン化有機シランの水素化反応による水素化有機シランの製造と同時に併産する。使用するエーテル系溶媒のエーテル結合を金属水素化物で還元的に切断することで炭化水素を併産できる。
【0019】
併産する炭化水素の種類は一般式[2]で表されるエーテル系溶媒のR2および/またはR3の構造に由来する炭化水素である。具体的には例えば、R2および/またはR3がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、ヘキシルまたはシクロヘキシル等のアルキル基の場合は、メタン、エタン、n−プロパン、イソプロパン、n−ブタン、ヘキサンまたはシクロヘキサン等を併産することが可能であり、フェニルまたはナフチル等のアリール基の場合は、ベンゼンまたはナフタレン等を併産することが可能であり、ベンジルまたはフェネチル等のアラルキル基の場合は、トルエンまたはエチルベンゼン等を併産することが可能である。
【0020】
本発明の反応は通常、反応温度30〜150℃で反応させるが、用いるハロゲン化有機シラン、溶媒および併産する炭化水素の種類や量並びに水素化剤および塩化アルミニウムの量などにより適宜調整する。
本発明の炭化水素の併産量は、反応温度、用いるハロゲン化有機シラン、溶媒および水素化剤の種類や量並びに塩化アルミニウムの量などにより異なり一様ではないが通常、ハロゲン化有機シランの水素化反応によって生成した水素化有機シランの生産量に対して0.1〜10モル%の範囲である。
本発明に於ける反応の実施方式は特に限定されるものではなく、回分式、半回分式および連続流通式等の何れの方式でも実施できる。
生成した水素化有機シランと炭化水素との組成物は、必要により公知の洗浄、吸着、蒸留等の精製操作を加えることにより、高純度化、或いは併産した炭化水素の含有量を調整することで、半導体材料分野に使用できる水素化有機シランと炭化水素の組成物にすることができる。
本発明の方法により得られる水素化有機シランと炭化水素の組成物に於ける炭化水素の含有量は特に制限はないが、好ましくは併産した水素化有機シランに対して0.1〜10モル%の範囲である。
【0021】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を詳細に説明するが、本発明がこれらによって限定されるものではない。尚、実施例において得られた分析値は以下の方法により測定した。
ケイ素含有化合物:
島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−14B型(FID)を用い、分析カラムにはキャピラリーカラムDB−5を用いて分析した。
炭化水素系化合物:
日立製作所製ガスクロマトグラフィーPID−CG型(FID)を用い、分析カラムにはパックドカラムMS−5Aを用いて分析した。
収率:捕集ガス量とその分析値から反応に用いた原料のハロゲン化有機シラン量を基準に算出した。
【0022】
実施例1
ジャケットと環流器を備えた反応器(容量300ml、材質SUS−316製)に溶媒としてメチルフェニルエーテル90mlを入れ、更に水素化剤として水素化リチウム9.24g(1.32mol)および塩化アルミニウム133.33g(0.132mol)を加え、このスラリーを攪拌混合した。更にジャケット部に温水を通液し、スラリー温度を80℃とした。次いで原料としてトリメチルクロロシラン129.25g(1.19mol)を1時間かけて全量滴下し、発生ガスは全て水による洗浄およびMS−5Aのモレキュラーシーブによる不純物の吸着除去を行った後、ボンベに捕集した。捕集したガスの一部をサンプリングし、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率67.9mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量5.9mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0023】
実施例2
ジャケットと環流器を備えた反応器(容量2L、材質SUS−316製)に溶媒としてメチルフェニルエーテル500mlを入れ、更に水素化剤として水素化リチウムアルミニウム50.00g(1.32mol)を添加し、このスラリーを攪拌混合した。更にジャケット部に温水を通液し、スラリー温度を60℃とした。次いで原料としてトリメチルクロロシラン500.00g(4.60mol)を1時間かけて全量滴下し、発生ガスは全て水による洗浄およびMS−5Aのモレキュラーシーブによる不純物の吸着除去を行った後、ボンベに捕集した。捕集したガスの一部をサンプリングし、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率83.2mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量2.8mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0024】
実施例3
溶媒としてメチルフェニルエーテルをジ−n−ブチルエーテルに変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるn−ブタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率80mol%、トリメチルシラン中のn−ブタン含有量3.9mol%であり、高いトリメチルシラン収率でn−ブタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとn−ブタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0025】
実施例4
水素化リチウムアルミニウム50.00g(1.32mol)を水素化ナトリウムアルミニウム71.29g(1.32mol)に変えて、メチルフェニルエーテルの使用量を500mlから713mlに変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率80.2mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量3.3mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてトリメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<2と高い絶縁性が確認できた。
【0026】
実施例5
原料としてトリメチルクロロシラン500.00g(4.60mol)をモノメチルトリクロロシラン147.99g(0.99mol)に変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるモノメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、モノメチルシラン収率69.3mol%、モノメチルシラン中のメタン含有量3.2mol%であり、高いトリメチルシラン収率でメタンを併産した。得られた主としてモノメチルシランとメタンからなる混合ガスを半導体回路を形成するチャンバーに導入し、層間絶縁膜用途として使用したところ均質な膜が得られた。この膜の比誘電率を測定したところ、k<5と高い絶縁性が確認できた。
【0027】
比較例1
塩化アルミニウムを添加しなかったこと以外は、実施例1と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび併産した炭化水素であるメタンの分析を行った結果、トリメチルシラン収率52.4mol%、トリメチルシラン中のメタン含有量は0.06mol%であった。
【0028】
比較例2
メチルフェニルエーテルをトルエンに変えた以外は、実施例2と同様に反応および精製を実施して、目的の水素化有機シランであるトリメチルシランおよび炭化水素の分析を行った結果、トリメチルシラン収率16.4mol%、トリメチルシラン中の炭素数1〜4の炭化水素含有量は0.01mol%以下であった。
【0029】
比較例1および2の結果から明らかなように、本発明の方法を用いない場合は、炭化水素の併産は困難であるうえ、目的の水素化有機シランの収率も低く好ましくない。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、半導体デバイス製造に於ける層間絶縁膜形成材料、キャップ膜等の材料に有用である水素化有機シランと炭化水素の組成物の併産方法、並びに該併産方法により得られる組成物が提供され工業的に極めて有用である。
Claims (7)
- 一般式[1]
R1nSiX4−n ・・・[1]
(式中、R1は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、Xはハロゲン原子を表し、nは1〜3の整数を表し、nが2または3の場合に於いてR1は、それぞれが同一であっても異なってもよい)で表されるハロゲン化有機シランを
一般式[2]
R2−O−R3 ・・・[2]
(式中、R2およびR3は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2およびR3は、それぞれが同一であっても異なってもよい、)で表されるエーテル系の溶媒と塩化アルミニウムの共存下に、金属水素化物と反応させることを特徴とする水素化有機シランと炭化水素の併産方法。 - R1がメチル基であり、Xが塩素原子であり、nが1である請求項1記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
- 金属水素化物が水素化リチウムアルミニウムである請求項1または2に記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
- R2がフェニル基またはn−ブチル基であり、R3がメチル基またはn−ブチル基である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
- 生成した水素化有機シランの量に対して生成した炭化水素の量が0.1〜10モル%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の水素化有機シランと炭化水素の併産方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の併産方法により得られた水素化有機シランと炭化水素を含有してなる組成物。
- 半導体デバイスの膜形成材料に用いることを特徴とする請求項6に記載の組成物。
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2003
- 2003-05-08 JP JP2003129735A patent/JP2004331572A/ja active Pending
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