JP2004331081A - 湯切り機能付蓋材 - Google Patents
湯切り機能付蓋材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004331081A JP2004331081A JP2003125035A JP2003125035A JP2004331081A JP 2004331081 A JP2004331081 A JP 2004331081A JP 2003125035 A JP2003125035 A JP 2003125035A JP 2003125035 A JP2003125035 A JP 2003125035A JP 2004331081 A JP2004331081 A JP 2004331081A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- layer
- hot water
- paper sheet
- lid
- water draining
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Abstract
【課題】易剥離層から剥離して湯切り口を開口する蓋材で、湯切り口形成用ハーフカットが紙シートまで達した場合、又は紙シートを薄くしても、外気からの湿分が内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下のない湯切り機能付蓋材の提供にある。
【解決手段】紙シート21の裏面の目止めニス層40面と接着性樹脂層15、アルミニウム箔17、シーラント層16の順でなる複合シート10の接着性樹脂層面とを内径rのハーフカット領域内接着部60を除いた易剥離層30を介して接着され、複合シートの2個所には内径Rの湯切り口形成用ハーフカット50がシーラント層面から紙シート21まで刻設されている蓋材で、前記紙シート21の外面に20〜50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム22が積層されている湯切り機能付蓋材1である。
【選択図】図1
【解決手段】紙シート21の裏面の目止めニス層40面と接着性樹脂層15、アルミニウム箔17、シーラント層16の順でなる複合シート10の接着性樹脂層面とを内径rのハーフカット領域内接着部60を除いた易剥離層30を介して接着され、複合シートの2個所には内径Rの湯切り口形成用ハーフカット50がシーラント層面から紙シート21まで刻設されている蓋材で、前記紙シート21の外面に20〜50μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム22が積層されている湯切り機能付蓋材1である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼そばなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材に関するものであり、特に即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切り口を備えた湯切り機能付蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、即席食品容器の湯切り機能付蓋材として種々提案されているが、その中でも最近開発されたものとして、例えば、図4(a)の側断面図および図4(b)の平面図に示すような湯切り口付剥離性蓋材(2)がある。それは、外周縁に開封用プルタブ(13)と湯切り口開口用プルタブ(12)を有し、紙シート(21)の裏面に目止めニス層(40)が施されている表面シート(20)の目止めニス層(40)面と接着性樹脂層(15)、アルミニウム箔(17)、シーラント層(16)の順に積層されている複合シート(10)の接着性樹脂層(15)面とを所定の形状(湯切り口形状を除いた形状)に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層(30)を介して積層接着されていて、前記プルタブ(12)側に於ける複合シート(10)の2個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)がそのシーラント層(16)面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット(50)領域内の複合シート(10)の接着性樹脂層(15)面と目止めニス層(40)面には、内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部(60)が形成されている湯切り口付剥離性蓋材(2)がある。
【0003】
上記湯切り口付剥離性蓋材(2)を、例えば図5の側断面図に示すように容器本体(5)のフランジ部(51)にシールして即席食品容器とするもので、その使用は、湯切り口開口用プルタブ(12)と対向する側の開封用プルタブ(図4(b)に示す)を引っ張り上げ、フランジ部(51)からほぼ半分位剥離開口し、その開口部から熱湯を注いで内容物を温めた後、前記の湯切り口開口用プルタブ(12)を引っ張り上げ、表面シート(20)を易剥離層(30)部で部分的に蓋から剥離することにより、湯切り口(70)を開口し、この湯切り口(70)から湯切りを行えるようにした即席食品容器(3)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−219278号公報(第1頁〜第4頁、図1、図2、図4)
【0005】
しかし、上記従来の湯切り口付剥離性蓋材(2)でなる即席食品容器(3)では、シーラント層(16)面から内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)の刻設が、バリア(酸素バリアと水蒸気バリア)層として積層しているアルミニウム箔(17)を通過(破る)し、さらに易剥離層(30)を通過して表面シート(20)を構成する紙シート(21)まで達する場合がしばしばあり、このことによって外気からの湿分が表面シート(20)を通過して湯切り口形成用ハーフカット(50)から内部まで浸透し、それを即席食品等内容物が吸収し、食品の味等が変化するという問題点があった。
【0006】
上記湿分の内部浸透の問題を解決するものとして、例えば上記紙シートの表面に厚さ12μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムを接着剤を介して積層したものがある。しかしこれによりある程度の防湿性の抑止にはなるが、このポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さを考慮して紙シートを薄くするので、上記湯切り口形成用ハーフカットの刻設が、この薄い紙シートまで達すると、防湿性が低下することに加え、蓋材の突き刺し強度が低下し、誤って箸などで突いた場合や輸送中などで孔があいたりするという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、湯切りを必要とする即席食品等の容器の蓋材で、紙シートを主体とした表面シートと、内面側の複合シートとの間の易剥離層から剥離して湯切り口を開口する湯切り機能付蓋材において、この複合シートに湯切り口形成用ハーフカットの刻設で、バリア層として設けられているアルミニウム箔を通過し、易剥離層を通過して紙シートまで達した場合でも、あるいは紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、裏面が容器本体のフランジ部にシールされる蓋材で、外周縁に開封用プルタブと湯切り口開口用プルタブとを有し、紙シートの裏面に目止めニス層が施された表面シートの目止めニス層面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記プルタブ側に於ける複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット領域内の複合シートの接着性樹脂層面と目止めニス層面には、少なくとも内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部が形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムが接着剤層を介して積層されていることを特徴とする湯切り機能付蓋材としたものである。
【0009】
上記請求項1の発明によれば、紙シートを主体とした表面シートの目止めニス層面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に防湿性と突き刺し強度に優れる1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムを接着剤層を介して積層することによって、この複合シートに湯切り口形成用ハーフカットの刻設で、バリア層として設けられているアルミニウム箔を通過し、易剥離層を通過して紙シートまで達した場合でも、あるいは紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材を提供することができる。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは20〜50μmの範囲でなることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能付蓋材としたものである。
【0011】
上記請求項2の発明によれば、上記1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜50μmの範囲とすることによって、紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部までの浸透を防止し、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材とすることができ、このフイルムの厚みが20μmに満たないと防湿効果が少なくなり、また50μmを越えると腰が強く成り過ぎて湯の注入がし難くなるので好ましくない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の湯切り機能付蓋材の一事例を示す側断面図とその上面図であり、図3は、本発明の湯切り機能付蓋材を用いた即席食品容器の一事例を示す側断面図である。
【0014】
上記本発明は、例えば図3の側断面図に示すように、焼そばなど即席食品を包装する即席食品容器(3)で、その容器本体(5)のフランジ部(51)にシールし、その即席食品(図示せず)を温めたりあるいは柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出する湯切り口開口機能を備えた湯切り機能付蓋材(1)に関するものである。
【0015】
そこで、上記請求項1に係る発明は、例えば図1の側断面図および図2の上面図に示すように、外周縁に開封用プルタブ(13)と湯切り口開口用プルタブ(12)とを有し、紙シート(21)の裏面に目止めニス層(40)が施された表面シート(20)の目止めニス層(40)面と、接着性樹脂層(15)、アルミニウム箔(17)、シーラント層(16)の順で積層してなる複合シート(10)の接着性樹脂層(15)面とを所定の形状、即ち湯切り口形状を除いた形状に形成された易剥離層(30)を介して積層接着されていて、外周縁の湯切り口開口用プルタブ(12)側に於ける複合シート(10)の2個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)がシーラント層(16)面から刻設されていて、その湯切り口形成用ハーフカット(50)領域内の複合シートの接着性樹脂層(15)面と目止めニス層(40)面には、内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部(60)が形成されている湯切り機能付蓋材(1)において、上記紙シート(21)の表面に施された印刷層(24)の外面に2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)が接着剤層(23)を介して積層されている湯切り機能付蓋材(1)とするものである。
上記2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)に代え1軸延伸ポリプロピレンフィルムとするこもできる。
【0016】
また、上記請求項2に係る発明は、例えば図1に示す2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)あるいは1軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜30μmの範囲でなるものとした湯切り機能付蓋材(1)である。
【0017】
上記のように本発明では、例えば図3に示すように、表面に印刷層(24)が施されている紙シート(21)の外面に厚さ20〜30μmの範囲の1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)を接着剤層(23)を介して積層した湯切り機能付蓋材(1)とするもので、この複合シート(10)に湯切り口形成用ハーフカット(50)の刻設で、シーラント層(16)、バリア層として設けられているアルミニウム箔(17)、易剥離層(30)、目止め層(40)を通過して紙シート(21)まで達した場合でも、あるいは紙シート(21)を薄くした場合でも、外気からの湿分が上記湯切り口形成用ハーフカット(50)を通って容器本体(5)の内部まで浸透することがなく、かつ突き刺し強度の低下もない湯切り機能付蓋材(1)とすることができる。
【0018】
上記1軸延伸ポリプロピレンフィルムあるいは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)の物性、材料特性等を特に限定するものではないが、例えば融点が160℃以上で、かつ結晶配列の密度を高くする結晶化核剤(例えばチタン等)を1重量%以上添加されていて、図3に示す容器本体(5)のフランジ部(5)にヒートシールする際のシール熱で収縮しないようにしたフィルムが好ましく用いることができる。
【0019】
上記1軸延伸ポリプロピレンフィルムあるいは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)は、例えばポリエステル・ウレタン系のドライラミネーション用接着剤でなる接着剤層(23)を介して印刷層(24)が施された紙シート(21)に接着されるものである。
【0020】
以下に本発明の湯切り機能付蓋材(1)を構成する上記1軸あるいは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)を除いた材料やその形成方法等について説明する。
【0021】
まず、上記表面シート(20)を構成する紙シート(21)としては、その表面が印刷適性に優れている例えば坪量97g/m2 程度の薄い片面アート紙、両面アート紙が好ましく、他に同程度の厚さのコート紙、上質紙なども用いることができる。
【0022】
また、上記紙シート(21)の裏面に施す目止めニス層(40)としては、例えばこの紙シート(21)の目止めをするもので、例えば硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂とウレタン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂の混合ニスなどが挙げられるがこれらに限定するものではない。
【0023】
また、上記複合シート(10)を構成するシーラント層(16)としては、容器本体(5)のフランジ部(51)とのヒートシール性に優れ、かつイージーピール性をも有していて、内容物である食品に影響を与えない熱可塑性樹脂で、例えば直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタアクリル酸共重合体(EMAA)等エチレン共重合樹脂などの単体のフィルムでもよいが、これらポリオレフィン樹脂にポリスチレンやポリブデン等からなる、該ポリオレフィン樹脂に対し不相溶性成分を混合したものとしてイージーピール性を付与したフイルムが好適に使用される。また、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂等からなるホットメルト接着剤を塗布量15〜25g/m2 程度で設けてもよい。
【0024】
また、食品等に対する遮光やガスバリアなど保存性を考慮して、複合シート(10)にバリア層として12〜15μm程度のアルミニウム箔(17)を使用するのが一般的であり、このアルミニウム箔(17)は、特に本発明の湯切り機能付蓋材(1)のように、開封用プルタブ(13)側から一部を開封剥離して、熱湯を注ぐに際し、蓋材が剥離された状態を保持している性質(デッドホールド性という)を有することによって、熱湯を安全に確実に注ぎ易くすることができることから好適に使用される。
【0025】
また、複合シート(10)を構成する接着性樹脂層(15)としては、蓋材の生産性を考慮して、例えば熱溶融押出しによるポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン等によるフィルム層とすることが好ましいが、特にこれに限定するものではない。
【0026】
また、易剥離層(30)としては、例えば硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などにワックス類を混合して易剥離性を調整したものが挙げられ、そのワックス類としては、例えばポリエチレン系ワックス、ポエステル系ワックスなどが挙げられるが、前記易剥離樹脂と相溶性があればよく、これら易剥離樹脂等でなる塗布液をグラビア印刷法あるいはスクリーン印刷法等によるパートコートで易剥離層(30)とすることができる。
【0027】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉
紙シートとして坪量50g/m2 の上質紙を用い、その裏面にニトロセルロースとウレタン樹脂の混合ニスをグラビア法にて目止めニス層を形成して表面シートとした。
【0028】
上記で得られた表面シートの表面に融点165℃、結晶化核剤としてチタンが添加されている厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム:MI(片面処理)(東セロ社製)をウレタン系のドライラミネーション用接着剤を介してラミネートした。
【0029】
さらに上記表面シートの目止めニス層面には、ニトロセルロースを主体とした剥離ニスで内径rのハーフカット領域内接着部を除いたパターンの易剥離層をグラビア法によって形成した。
【0030】
一方、厚さ12μmのアルミニウム箔の裏面に、溶融低密度ポリエチレン樹脂を押し出して厚さ25μmのシーラント層を形成し、上記で得られた表面シートの目止めニス層面に形成された易剥離層面と、このアルミニウム箔(19)面との間に、溶融ポリエチレン樹脂を押し出して厚さ15μmの接着性樹脂層(15)として接着せしめ蓋用の積層体とした。
【0031】
〈実施例2〉
紙シートとして坪量79.1g/m2 の片面アート紙とした以外は、実施例1と同様にして湯切り機能付蓋材を得た。
【0032】
〈比較例1〉
厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムに代え、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は実施例2と同様にして湯切り機能付蓋材を得た。
【0033】
〈比較例2〉
紙シートの表面に2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層しない以外は、実施例2と同様にして湯切り機能付蓋材を得た。
【0034】
上記実施例および比較例で得られた湯切り機能付蓋材を、塩化カルシウム約50gを入れたポリスチレンでなる容器のフランジ部にヒートシールして、防湿試験用サンプルを各3個作成して、40℃90%RHの雰囲気下で24時間経過後の防湿試験用サンプルの平均重量増加量を測定し、その結果を表1に示し、防湿性の評価とした。
【0035】
また、食品衛生法に定められている器具又は容器包装一般の試験方法の一つで、上記実施例および比較例で得られた湯切り機能付蓋材を固定し、その蓋材面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±5mmの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した値を突き差し強度とし、その結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
上記表1より、実施例1および実施例2のように、紙シートの表面に2軸延伸ポリプロピレンフィルムを施すことによって、紙シートが薄く、かつ湯切り口形成用ハーフカットをこの紙シートの中心まで施されたものでも、防湿性(水蒸気バリア性)と、さらに突き刺し強度に優れているものであった。
これに対し比較例1のように、紙シートの表面にポリエチレンテレフタレートフィルムを施したものは、これらいずれのフィルムを施さない比較例2のものに比べある程度の防湿性と突き刺し強度の向上はみられるが、上記実施例1および実施例2に比べれば防湿性と突き刺し性(強度)に欠けるものであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明において、裏面が容器本体のフランジ部にシールされる蓋材で、外周縁に開封用プルタブと湯切り口開口用プルタブとを有し、外側表面の紙シートの裏面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記プルタブ側に於ける複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット領域内の複合シートの接着性樹脂層面と目止めニス層面には、少なくとも内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部が形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に防湿性と突き刺し強度に優れる1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムを接着剤層を介して積層することによって、この複合シートに湯切り口形成用ハーフカットの刻設で、シーラント層、バリア層として設けられているアルミニウム箔、易剥離層を通過して紙シートの中心まで達した場合でも、あるいは紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材を提供できる効果がある。
【0039】
また、上記請求項2に係る発明において、紙シートの表面に施す1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜50μmの範囲とすることによって、紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部までの浸透を防止できるとともに突き刺し強度がより低下しない湯切り機能付蓋材とすることができる。
【0040】
従って本発明は、焼そばなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材で、特に即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切り口を備えた湯切り機能付蓋材として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湯切り機能付蓋材の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明の湯切り機能付蓋材の一実施の形態を上面で表した説明図である。
【図3】本発明の湯切り機能付蓋材の一事例を用いてシールした即席食品容器を側断面で表した説明図である。
【図4】従来の湯切り口付剥離性蓋材の一事例の説明図であり、
(a)は、その側断面図であり、
(b)は、上面図である。
【図5】従来の湯切り口付剥離性蓋材を即席食品容器にシールし、湯切り口を開口した一事例を側断面で表した説明図である。
【符号の説明】
1‥‥湯切り機能付蓋材
2‥‥湯切り口付剥離性蓋材
3‥‥即席食品容器
5‥‥容器本体
10‥‥表面シート
12‥‥湯切り口開口用プルタブ
13‥‥開封用プルタブ
15‥‥接着性樹脂層
16‥‥シーラント層
17‥‥アルミニウム箔
20‥‥表面シート
21‥‥紙シート
22‥‥2軸延伸ポリプロピレンフィルム
23‥‥接着剤層
24‥‥印刷層
30‥‥易剥離層
40‥‥目止めニス層
50‥‥湯切り口形成用ハーフカット
51‥‥フランジ部
60‥‥ハーフカット領域内接着部
70‥‥湯切り口
R‥‥湯切り口形成用ハーフカットの内径
r‥‥ハーフカット領域内接着部の内径
【発明の属する技術分野】
本発明は、焼そばなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材に関するものであり、特に即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切り口を備えた湯切り機能付蓋材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、即席食品容器の湯切り機能付蓋材として種々提案されているが、その中でも最近開発されたものとして、例えば、図4(a)の側断面図および図4(b)の平面図に示すような湯切り口付剥離性蓋材(2)がある。それは、外周縁に開封用プルタブ(13)と湯切り口開口用プルタブ(12)を有し、紙シート(21)の裏面に目止めニス層(40)が施されている表面シート(20)の目止めニス層(40)面と接着性樹脂層(15)、アルミニウム箔(17)、シーラント層(16)の順に積層されている複合シート(10)の接着性樹脂層(15)面とを所定の形状(湯切り口形状を除いた形状)に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層(30)を介して積層接着されていて、前記プルタブ(12)側に於ける複合シート(10)の2個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)がそのシーラント層(16)面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット(50)領域内の複合シート(10)の接着性樹脂層(15)面と目止めニス層(40)面には、内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部(60)が形成されている湯切り口付剥離性蓋材(2)がある。
【0003】
上記湯切り口付剥離性蓋材(2)を、例えば図5の側断面図に示すように容器本体(5)のフランジ部(51)にシールして即席食品容器とするもので、その使用は、湯切り口開口用プルタブ(12)と対向する側の開封用プルタブ(図4(b)に示す)を引っ張り上げ、フランジ部(51)からほぼ半分位剥離開口し、その開口部から熱湯を注いで内容物を温めた後、前記の湯切り口開口用プルタブ(12)を引っ張り上げ、表面シート(20)を易剥離層(30)部で部分的に蓋から剥離することにより、湯切り口(70)を開口し、この湯切り口(70)から湯切りを行えるようにした即席食品容器(3)がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−219278号公報(第1頁〜第4頁、図1、図2、図4)
【0005】
しかし、上記従来の湯切り口付剥離性蓋材(2)でなる即席食品容器(3)では、シーラント層(16)面から内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)の刻設が、バリア(酸素バリアと水蒸気バリア)層として積層しているアルミニウム箔(17)を通過(破る)し、さらに易剥離層(30)を通過して表面シート(20)を構成する紙シート(21)まで達する場合がしばしばあり、このことによって外気からの湿分が表面シート(20)を通過して湯切り口形成用ハーフカット(50)から内部まで浸透し、それを即席食品等内容物が吸収し、食品の味等が変化するという問題点があった。
【0006】
上記湿分の内部浸透の問題を解決するものとして、例えば上記紙シートの表面に厚さ12μm程度のポリエチレンテレフタレートフィルムを接着剤を介して積層したものがある。しかしこれによりある程度の防湿性の抑止にはなるが、このポリエチレンテレフタレートフィルムの厚さを考慮して紙シートを薄くするので、上記湯切り口形成用ハーフカットの刻設が、この薄い紙シートまで達すると、防湿性が低下することに加え、蓋材の突き刺し強度が低下し、誤って箸などで突いた場合や輸送中などで孔があいたりするという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、湯切りを必要とする即席食品等の容器の蓋材で、紙シートを主体とした表面シートと、内面側の複合シートとの間の易剥離層から剥離して湯切り口を開口する湯切り機能付蓋材において、この複合シートに湯切り口形成用ハーフカットの刻設で、バリア層として設けられているアルミニウム箔を通過し、易剥離層を通過して紙シートまで達した場合でも、あるいは紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、裏面が容器本体のフランジ部にシールされる蓋材で、外周縁に開封用プルタブと湯切り口開口用プルタブとを有し、紙シートの裏面に目止めニス層が施された表面シートの目止めニス層面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記プルタブ側に於ける複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット領域内の複合シートの接着性樹脂層面と目止めニス層面には、少なくとも内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部が形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムが接着剤層を介して積層されていることを特徴とする湯切り機能付蓋材としたものである。
【0009】
上記請求項1の発明によれば、紙シートを主体とした表面シートの目止めニス層面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に防湿性と突き刺し強度に優れる1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムを接着剤層を介して積層することによって、この複合シートに湯切り口形成用ハーフカットの刻設で、バリア層として設けられているアルミニウム箔を通過し、易剥離層を通過して紙シートまで達した場合でも、あるいは紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材を提供することができる。
【0010】
また、請求項2の発明では、前記1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは20〜50μmの範囲でなることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能付蓋材としたものである。
【0011】
上記請求項2の発明によれば、上記1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜50μmの範囲とすることによって、紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部までの浸透を防止し、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材とすることができ、このフイルムの厚みが20μmに満たないと防湿効果が少なくなり、また50μmを越えると腰が強く成り過ぎて湯の注入がし難くなるので好ましくない。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1および図2は、本発明の湯切り機能付蓋材の一事例を示す側断面図とその上面図であり、図3は、本発明の湯切り機能付蓋材を用いた即席食品容器の一事例を示す側断面図である。
【0014】
上記本発明は、例えば図3の側断面図に示すように、焼そばなど即席食品を包装する即席食品容器(3)で、その容器本体(5)のフランジ部(51)にシールし、その即席食品(図示せず)を温めたりあるいは柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出する湯切り口開口機能を備えた湯切り機能付蓋材(1)に関するものである。
【0015】
そこで、上記請求項1に係る発明は、例えば図1の側断面図および図2の上面図に示すように、外周縁に開封用プルタブ(13)と湯切り口開口用プルタブ(12)とを有し、紙シート(21)の裏面に目止めニス層(40)が施された表面シート(20)の目止めニス層(40)面と、接着性樹脂層(15)、アルミニウム箔(17)、シーラント層(16)の順で積層してなる複合シート(10)の接着性樹脂層(15)面とを所定の形状、即ち湯切り口形状を除いた形状に形成された易剥離層(30)を介して積層接着されていて、外周縁の湯切り口開口用プルタブ(12)側に於ける複合シート(10)の2個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)がシーラント層(16)面から刻設されていて、その湯切り口形成用ハーフカット(50)領域内の複合シートの接着性樹脂層(15)面と目止めニス層(40)面には、内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部(60)が形成されている湯切り機能付蓋材(1)において、上記紙シート(21)の表面に施された印刷層(24)の外面に2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)が接着剤層(23)を介して積層されている湯切り機能付蓋材(1)とするものである。
上記2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)に代え1軸延伸ポリプロピレンフィルムとするこもできる。
【0016】
また、上記請求項2に係る発明は、例えば図1に示す2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)あるいは1軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜30μmの範囲でなるものとした湯切り機能付蓋材(1)である。
【0017】
上記のように本発明では、例えば図3に示すように、表面に印刷層(24)が施されている紙シート(21)の外面に厚さ20〜30μmの範囲の1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)を接着剤層(23)を介して積層した湯切り機能付蓋材(1)とするもので、この複合シート(10)に湯切り口形成用ハーフカット(50)の刻設で、シーラント層(16)、バリア層として設けられているアルミニウム箔(17)、易剥離層(30)、目止め層(40)を通過して紙シート(21)まで達した場合でも、あるいは紙シート(21)を薄くした場合でも、外気からの湿分が上記湯切り口形成用ハーフカット(50)を通って容器本体(5)の内部まで浸透することがなく、かつ突き刺し強度の低下もない湯切り機能付蓋材(1)とすることができる。
【0018】
上記1軸延伸ポリプロピレンフィルムあるいは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)の物性、材料特性等を特に限定するものではないが、例えば融点が160℃以上で、かつ結晶配列の密度を高くする結晶化核剤(例えばチタン等)を1重量%以上添加されていて、図3に示す容器本体(5)のフランジ部(5)にヒートシールする際のシール熱で収縮しないようにしたフィルムが好ましく用いることができる。
【0019】
上記1軸延伸ポリプロピレンフィルムあるいは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)は、例えばポリエステル・ウレタン系のドライラミネーション用接着剤でなる接着剤層(23)を介して印刷層(24)が施された紙シート(21)に接着されるものである。
【0020】
以下に本発明の湯切り機能付蓋材(1)を構成する上記1軸あるいは2軸延伸ポリプロピレンフィルム(22)を除いた材料やその形成方法等について説明する。
【0021】
まず、上記表面シート(20)を構成する紙シート(21)としては、その表面が印刷適性に優れている例えば坪量97g/m2 程度の薄い片面アート紙、両面アート紙が好ましく、他に同程度の厚さのコート紙、上質紙なども用いることができる。
【0022】
また、上記紙シート(21)の裏面に施す目止めニス層(40)としては、例えばこの紙シート(21)の目止めをするもので、例えば硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂とウレタン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂の混合ニスなどが挙げられるがこれらに限定するものではない。
【0023】
また、上記複合シート(10)を構成するシーラント層(16)としては、容器本体(5)のフランジ部(51)とのヒートシール性に優れ、かつイージーピール性をも有していて、内容物である食品に影響を与えない熱可塑性樹脂で、例えば直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタアクリル酸共重合体(EMAA)等エチレン共重合樹脂などの単体のフィルムでもよいが、これらポリオレフィン樹脂にポリスチレンやポリブデン等からなる、該ポリオレフィン樹脂に対し不相溶性成分を混合したものとしてイージーピール性を付与したフイルムが好適に使用される。また、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂等からなるホットメルト接着剤を塗布量15〜25g/m2 程度で設けてもよい。
【0024】
また、食品等に対する遮光やガスバリアなど保存性を考慮して、複合シート(10)にバリア層として12〜15μm程度のアルミニウム箔(17)を使用するのが一般的であり、このアルミニウム箔(17)は、特に本発明の湯切り機能付蓋材(1)のように、開封用プルタブ(13)側から一部を開封剥離して、熱湯を注ぐに際し、蓋材が剥離された状態を保持している性質(デッドホールド性という)を有することによって、熱湯を安全に確実に注ぎ易くすることができることから好適に使用される。
【0025】
また、複合シート(10)を構成する接着性樹脂層(15)としては、蓋材の生産性を考慮して、例えば熱溶融押出しによるポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン等によるフィルム層とすることが好ましいが、特にこれに限定するものではない。
【0026】
また、易剥離層(30)としては、例えば硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などにワックス類を混合して易剥離性を調整したものが挙げられ、そのワックス類としては、例えばポリエチレン系ワックス、ポエステル系ワックスなどが挙げられるが、前記易剥離樹脂と相溶性があればよく、これら易剥離樹脂等でなる塗布液をグラビア印刷法あるいはスクリーン印刷法等によるパートコートで易剥離層(30)とすることができる。
【0027】
【実施例】
次に実施例により、本発明を具体的に説明する。
〈実施例1〉
紙シートとして坪量50g/m2 の上質紙を用い、その裏面にニトロセルロースとウレタン樹脂の混合ニスをグラビア法にて目止めニス層を形成して表面シートとした。
【0028】
上記で得られた表面シートの表面に融点165℃、結晶化核剤としてチタンが添加されている厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム:MI(片面処理)(東セロ社製)をウレタン系のドライラミネーション用接着剤を介してラミネートした。
【0029】
さらに上記表面シートの目止めニス層面には、ニトロセルロースを主体とした剥離ニスで内径rのハーフカット領域内接着部を除いたパターンの易剥離層をグラビア法によって形成した。
【0030】
一方、厚さ12μmのアルミニウム箔の裏面に、溶融低密度ポリエチレン樹脂を押し出して厚さ25μmのシーラント層を形成し、上記で得られた表面シートの目止めニス層面に形成された易剥離層面と、このアルミニウム箔(19)面との間に、溶融ポリエチレン樹脂を押し出して厚さ15μmの接着性樹脂層(15)として接着せしめ蓋用の積層体とした。
【0031】
〈実施例2〉
紙シートとして坪量79.1g/m2 の片面アート紙とした以外は、実施例1と同様にして湯切り機能付蓋材を得た。
【0032】
〈比較例1〉
厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムに代え、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムとした以外は実施例2と同様にして湯切り機能付蓋材を得た。
【0033】
〈比較例2〉
紙シートの表面に2軸延伸ポリプロピレンフィルムを積層しない以外は、実施例2と同様にして湯切り機能付蓋材を得た。
【0034】
上記実施例および比較例で得られた湯切り機能付蓋材を、塩化カルシウム約50gを入れたポリスチレンでなる容器のフランジ部にヒートシールして、防湿試験用サンプルを各3個作成して、40℃90%RHの雰囲気下で24時間経過後の防湿試験用サンプルの平均重量増加量を測定し、その結果を表1に示し、防湿性の評価とした。
【0035】
また、食品衛生法に定められている器具又は容器包装一般の試験方法の一つで、上記実施例および比較例で得られた湯切り機能付蓋材を固定し、その蓋材面に直径1.0mm、先端形状半径0.5mmの半円形の針を毎分50±5mmの速度で突き刺し、針が貫通するまでの最大荷重を測定した値を突き差し強度とし、その結果を表1に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
上記表1より、実施例1および実施例2のように、紙シートの表面に2軸延伸ポリプロピレンフィルムを施すことによって、紙シートが薄く、かつ湯切り口形成用ハーフカットをこの紙シートの中心まで施されたものでも、防湿性(水蒸気バリア性)と、さらに突き刺し強度に優れているものであった。
これに対し比較例1のように、紙シートの表面にポリエチレンテレフタレートフィルムを施したものは、これらいずれのフィルムを施さない比較例2のものに比べある程度の防湿性と突き刺し強度の向上はみられるが、上記実施例1および実施例2に比べれば防湿性と突き刺し性(強度)に欠けるものであった。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
即ち、上記請求項1に係る発明において、裏面が容器本体のフランジ部にシールされる蓋材で、外周縁に開封用プルタブと湯切り口開口用プルタブとを有し、外側表面の紙シートの裏面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記プルタブ側に於ける複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット領域内の複合シートの接着性樹脂層面と目止めニス層面には、少なくとも内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部が形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に防湿性と突き刺し強度に優れる1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムを接着剤層を介して積層することによって、この複合シートに湯切り口形成用ハーフカットの刻設で、シーラント層、バリア層として設けられているアルミニウム箔、易剥離層を通過して紙シートの中心まで達した場合でも、あるいは紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部まで浸透せず、かつ突き刺し強度の低下がない湯切り機能付蓋材を提供できる効果がある。
【0039】
また、上記請求項2に係る発明において、紙シートの表面に施す1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みを20〜50μmの範囲とすることによって、紙シートを薄くした場合でも、外気からの湿分が容器内部までの浸透を防止できるとともに突き刺し強度がより低下しない湯切り機能付蓋材とすることができる。
【0040】
従って本発明は、焼そばなど即席食品の密封包装に使用する容器の蓋材で、特に即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出するための湯切り口を備えた湯切り機能付蓋材として、優れた実用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の湯切り機能付蓋材の一実施の形態を側断面で表した説明図である。
【図2】本発明の湯切り機能付蓋材の一実施の形態を上面で表した説明図である。
【図3】本発明の湯切り機能付蓋材の一事例を用いてシールした即席食品容器を側断面で表した説明図である。
【図4】従来の湯切り口付剥離性蓋材の一事例の説明図であり、
(a)は、その側断面図であり、
(b)は、上面図である。
【図5】従来の湯切り口付剥離性蓋材を即席食品容器にシールし、湯切り口を開口した一事例を側断面で表した説明図である。
【符号の説明】
1‥‥湯切り機能付蓋材
2‥‥湯切り口付剥離性蓋材
3‥‥即席食品容器
5‥‥容器本体
10‥‥表面シート
12‥‥湯切り口開口用プルタブ
13‥‥開封用プルタブ
15‥‥接着性樹脂層
16‥‥シーラント層
17‥‥アルミニウム箔
20‥‥表面シート
21‥‥紙シート
22‥‥2軸延伸ポリプロピレンフィルム
23‥‥接着剤層
24‥‥印刷層
30‥‥易剥離層
40‥‥目止めニス層
50‥‥湯切り口形成用ハーフカット
51‥‥フランジ部
60‥‥ハーフカット領域内接着部
70‥‥湯切り口
R‥‥湯切り口形成用ハーフカットの内径
r‥‥ハーフカット領域内接着部の内径
Claims (2)
- 裏面が容器本体のフランジ部にシールされる蓋材で、外周縁に開封用プルタブと湯切り口開口用プルタブとを有し、紙シートの裏面に目止めニス層が施された表面シートの目止めニス層面と接着性樹脂層、アルミニウム箔層、シーラント層の順で積層してなる複合シートの接着性樹脂層面とを所定の形状に易剥離剤を塗布することによって得られる易剥離層を介して積層接着され、前記プルタブ側に於ける複合シートの1個所乃至複数個所には内径Rの湯切り口形状の湯切り口形成用ハーフカットがシーラント層面から形成され、該湯切り口形成用ハーフカット領域内の複合シートの接着性樹脂層面と目止めニス層面には、少なくとも内径rが2R/3以下のハーフカット領域内接着部が形成されている湯切り機能付蓋材において、前記紙シートの外面に1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムが接着剤層を介して積層されていることを特徴とする湯切り機能付蓋材。
- 前記1軸もしくは2軸延伸ポリプロピレンフィルムの厚みは20〜50μmの範囲でなることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能付蓋材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003125035A JP2004331081A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 湯切り機能付蓋材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003125035A JP2004331081A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 湯切り機能付蓋材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004331081A true JP2004331081A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33502419
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003125035A Pending JP2004331081A (ja) | 2003-04-30 | 2003-04-30 | 湯切り機能付蓋材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004331081A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006346993A (ja) * | 2005-06-16 | 2006-12-28 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 湯切付即席食品容器蓋材用ワニス |
JP2009280283A (ja) * | 2008-04-24 | 2009-12-03 | Toppan Printing Co Ltd | バリア性を有する蓋 |
WO2012073274A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 共同印刷株式会社 | 蓋材 |
US8800612B2 (en) | 2008-04-24 | 2014-08-12 | Toppan Printing Co., Ltd. | Container and package using the same |
-
2003
- 2003-04-30 JP JP2003125035A patent/JP2004331081A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006346993A (ja) * | 2005-06-16 | 2006-12-28 | Toyo Ink Mfg Co Ltd | 湯切付即席食品容器蓋材用ワニス |
JP4611814B2 (ja) * | 2005-06-16 | 2011-01-12 | 東洋インキ製造株式会社 | 湯切付即席食品容器蓋材用ワニス |
JP2009280283A (ja) * | 2008-04-24 | 2009-12-03 | Toppan Printing Co Ltd | バリア性を有する蓋 |
US8800612B2 (en) | 2008-04-24 | 2014-08-12 | Toppan Printing Co., Ltd. | Container and package using the same |
WO2012073274A1 (ja) * | 2010-11-30 | 2012-06-07 | 共同印刷株式会社 | 蓋材 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4491930B2 (ja) | 即席食品用容器の蓋材 | |
JP5347819B2 (ja) | 湯切り孔付き蓋材 | |
JP2008001414A (ja) | 湯切り機能付き蓋材 | |
JP2000219278A (ja) | 湯切り口付剥離性蓋材 | |
JP2007145371A (ja) | 湯切り機能付蓋材 | |
JP2004331081A (ja) | 湯切り機能付蓋材 | |
JP4774592B2 (ja) | 湯切り機能付蓋材 | |
JP2011093536A (ja) | 蓋材およびその蓋材を用いた容器 | |
JPH09323377A (ja) | 易突き刺し性を有する蓋材 | |
JP5262542B2 (ja) | 蓋材及びその蓋材を用いた容器 | |
JP4843865B2 (ja) | 蓋材 | |
JPH0929898A (ja) | ふた材 | |
JP2004142780A (ja) | 蓋材 | |
JP4644931B2 (ja) | 湯切り機能付蓋材 | |
JP4483465B2 (ja) | 湯切り機能付き即席食品容器 | |
JP4449411B2 (ja) | 湯切り機能を有する蓋材 | |
JP4609021B2 (ja) | 湯切り機能付蓋材 | |
JP4240952B2 (ja) | 即席食品容器用湯切孔付蓋材 | |
JP6566710B2 (ja) | ホットスポット付蓋材 | |
JP4161639B2 (ja) | 即席食品容器用湯切孔付蓋材 | |
JP2004035074A (ja) | 容器口部密封用インナーシール材 | |
JP2004010146A (ja) | 紙カップ用蓋材 | |
JP2023086365A (ja) | 複合フィルム、蓋材、及び内容物入り蓋付容器 | |
JP2004106914A (ja) | 湯切り機能付蓋材 | |
JP4240969B2 (ja) | 湯切り機能付蓋材 |