JP2004330514A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】駆動波形の最初と最後にインク滴を吐出させない非吐出パルスを生成するためのダミーパルスPd1、Pd2を加え、時間S1はダミーパスルPd1、時間S2はダミーパルスPd1から第1パルスP1への移行時間、時間S3が第1パルスP1、時間S4が第2パルスP2、時間S5が第3パルスP3、時間S6は第3パルスP3からダミーパルスPd2への移行時間、S7がダミーパルスPd2とし、出力波形を選択することで、ヘッドの共振周波数と異なる駆動周波数でヘッドを駆動する。
【選択図】 図9
Description
【産業上の利用分野】
本発明は画像形成装置に関し、特にヘッドの駆動制御に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平9−29962号
【0003】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像形成装置として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する液室(吐出室、圧力室、加圧室、インク流路、加圧室等とも称される。)と、この液室内のインクを加圧する圧力発生手段とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。
【0004】
インクジェットヘッドとしては、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどが知られている。
【0005】
このようなインクジェットヘッド内、振動板を使用するものにあっては、振動板を加圧室側に押し込み、加圧室内の容積を小さくすることでインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内の内容積を広げた状態から元の容積になるように振動板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打ち法で駆動するもの、これらを組み合わせた方法で駆動するものとがある。
【0006】
ところで、インクジェット記録装置は、通常1色あたり数十個以上のノズルを有し、画像データに応じてインク滴を吐出させるノズルが適宜に選択されて画像を形成する。ここで、多数のノズルを駆動させて(圧力発生手段を駆動させてという意味)画像を形成する場合、インク滴を吐出する圧力の反力がヘッド自体に作用するため、画像によっては吐出圧によってヘッドが加振され、ヘッドの固有振動数で共振する現象が発生する。
【0007】
この共振周波数に近い駆動周波数でヘッドを駆動すると、ノズルから吐出される滴が曲がったり、滴の大きさが変わったり、サテライトが発生したりして、正常な画像が得られない不具合が発生する。
【0008】
そこで、共振による画像への悪影響を回避する方法として、従来、例えば
【特許文献1】に記載されているように、アクチュエータの寸法をバラバラにして共振を避けるようにしたものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したようにアクチュエータの寸法をバラバラにして共振を避けるようにしたヘッドにあっては、アクチュエータの加工が複雑になるという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で共振による影響を抑制して画像品質を向上する画像形成装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、ヘッドの共振周波数と異なる駆動周波数の駆動波形でヘッドの圧力発生手段を駆動するヘッド駆動手段を備えている構成とした。
【0012】
ここで、ヘッド駆動手段は駆動周波数をヘッドの共振周波数と異ならせるために液滴を吐出しないエネルギーを発生する非吐出パルスを印加することが好ましい。この場合、非吐出パルスは液滴を吐出させる吐出パルスの一部を利用して生成することができる。
【0013】
この非吐出パルスはノズルのメニスカスを引き込む側のパルスであることが好ましく、この場合、ノズルのメニスカスを引き込む部分の電圧変化速度がメニスカスを復帰させる部分の電圧変化速度よりも大きいことが好ましい。あるいは、非吐出パルスはノズルのメニスカスを押し出す側のパルスであり、この非吐出パルスの幅はヘッドの液室内の圧力共振周期以下であることが好ましい。さらに、非吐出パルスはノズルのメニスカスを押し出す側の第1波形と、この第1波形に続きノズルのメニスカスを引き込む側の第2波形とを含み、第1波形のパルス幅がヘッドの液室の共振周波数以下であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像形成装置としてのインクジェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機構部の側面説明図である。
【0015】
このインクジェット記録装置装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0016】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側にはヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着している。
【0017】
インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッド14へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクをヘッド14内に供給する。
【0018】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0019】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド14としては、後述するように、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板と、この振動板を圧電素子で変形させるピエゾ型インクジェットヘッドを用いている。
【0020】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0021】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0022】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0023】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37を配置している。回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14をキャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0024】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0025】
次に、このインクジェット記録装置の記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて図3乃至図5を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図である。
【0026】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路板41と、この流路板41の下面に接合した振動板42と、流路板41の上面に接合したノズル板43とを有し、これらによって液滴であるインク滴を吐出するノズル45がノズル連通路45aを介して連通するインク流路である加圧室46、加圧室46にインクを供給するための共通液室48にインク供給口49を介して連通する流体抵抗部となるインク供給路47を形成している。
【0027】
そして、振動板42の外面側(液室と反対面側)に各加圧室46に対応して加圧室46内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての積層型圧電素子52を接合し、この圧電素子52をベース基板53に接合している。また、圧電素子52の間には加圧室46、46間の隔壁部41aに対応して支柱部54を設けている。ここでは、圧電素子部材にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施すことで櫛歯状に分割して、1つ毎に圧電素子52と支柱部54を形成している。支柱部54も構成は圧電素子51と同じであるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0028】
さらに、振動板42の外周部はフレーム部材44にギャップ材を含む接着剤50にて接合している。このフレーム部材44には、共通液室48となる凹部、この共通液室48に外部からインクを供給するための図示しないインク供給穴を形成している。このフレーム部材44は、例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0029】
ここで、流路板41は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路45a、加圧室46、インク供給路47となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
【0030】
振動板42は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他の金属板や樹脂板或いは金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板42は加圧室46に対応する部分に変形を容易にするための薄肉部(ダイアフラム部)55及び圧電素子52と接合するための厚肉部(島状凸部)56を形成するとともに、支柱部54に対応する部分及びフレーム部材44との接合部にも厚肉部57を形成し、平坦面側を流路板41に接着剤接合し、島状凸部56を圧電素子52に接着剤接合し、更に厚肉部57を支柱部54及びフレーム部材44に接着剤50で接合している。なお、ここでは、振動板42を2層構造のニッケル電鋳で形成している。この場合、ダイアフラム部55の厚みは3μm、幅は35μm(片側)としている。
【0031】
ノズル板43は各加圧室46に対応して直径10〜35μmのノズル45を形成し、流路板41に接着剤接合している。このノズル板43としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ここでは、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成している。また、ノズル43の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル45の穴径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmとしている。さらに、各列のノズルピッチは150dpiとした。
【0032】
また、ノズル板43のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0033】
圧電素子52は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層61と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層62とを交互に積層したものであり、内部電極62を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極63、共通電極64に電気的に接続したものである。この圧電常数がd33である圧電素子52の伸縮により加圧室46を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子52に駆動信号が印加され充電が行われると伸長し、また圧電素子52に充電された電荷が放電すると反対方向に収縮するようになっている。
【0034】
なお、圧電素子部材の一端面の端面電極はハーフカットによるダイシング加工で分割されて個別電極63となり、他端面の端面電極は切り欠き等の加工による制限で分割されずにすべての圧電素子52で導通した共通電極64となる。
【0035】
そして、圧電素子52の個別電極63には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル65を接続し、このFPCケーブル65には各圧電素子52に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)を接続している。また、共通電極64は、圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPCケーブル65のグラウンド(GND)電極に接続している。
【0036】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、例えば、記録信号に応じて圧電素子52に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、圧電素子52に積層方向の変位が生起し、振動板42を介して加圧室46内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル45からインク滴が吐出される。
【0037】
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧室46内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧室46内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、図示しないインクタンクから供給されたインクは共通液室48に流入し、共通液室47からインク供給口49を経て流体抵抗部47を通り、加圧室46内に充填される。
【0038】
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図5及び図6を参照して説明する。なお、図5は同制御部の全体ブロック図、図6は同制御部のヘッド駆動制御に係わる部分のブロック説明図である。
【0039】
この制御部は、プリンタコントローラ70と、主走査モータ17及び副走査モータ18を駆動するためのモータドライバ81と、記録ヘッド14(インクジェットヘッド)を駆動するためのヘッドドライバ(ヘッド駆動回路、ドライバICで構成)82等を備えている。
【0040】
プリンタコントローラ70は、ホストコンピュータ等からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介して受信するインターフェース(以下「I/F」という)72と、CPU等からなる主制御部73と、各種データの記憶等を行うRAM74と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM75と、発振回路76と、インクジェットヘッド14への駆動波形を発生させる駆動波形発生手段としての駆動信号発生回路77と、ドットパターンデータ(ビットマップデータ)に展開された印字データ及び駆動波形等をヘッドドライバ82に送信するためのI/F78、モータ駆動データをモータドライバ81に送信するためのI/F79等とを備えている。
【0041】
RAM74は各種バッファ及びワークメモリ等として用いる。ROM75は主制御部73によって実行する各種制御ルーチンとフォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。
【0042】
主制御部73は、I/F72に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータをRAM74の所定のエリアで構成した中間バッファに記憶し、読み出した中間コードデータをROM75に格納したフォントデータを用いてドットパターンデータに展開し、RAM74の異なる所定のエリアに再び記憶する。なお、ホスト側のプリンタドライバで印刷データをビットマップデータに展開してこの記録装置に転送する場合には、単にRAM74に受信したビットマップの印刷データを格納する。
【0043】
そして、主制御部73は、記録ヘッド14の1行分に相当するドットパターンデータが得られると、図7に示すように、この1行分のドットパターンデータを、発振回路76からのクロック信号CLKに同期して、I/F78を介してヘッドドライバ82にシリアルデータSDで送出し、また所定のタイミングでラッチ信号LTAをヘッドドライバ82に送出する。
【0044】
駆動信号発生回路77は、図7に示すように、駆動波形(駆動信号)Pvのパターンデータを格納したROM(ROM75で構成することもできる。)と、このROMから読み出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器を含む波形生成回路91と、アンプ92とで構成している。
【0045】
ヘッド駆動回路82は、主制御部73からのクロック信号CLK及び印字信号であるシリアルデータSDを入力するシフトレジスタ95と、シフトレジスタ95のレジスト値を主制御部73からのラッチ信号LATでラッチするラッチ回路96と、ラッチ回路96の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)97と、このレベルシフタ97でオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)98とからなる。
【0046】
このスイッチ回路98には、駆動信号発生回路77からの駆動波形Pvを入力するスイッチAS1〜ASnのアレイからなり、各スイッチAS1〜ASnは記録ヘッド(インクジェットヘッド)14の各ノズルに対応する圧電素子52にそれぞれ接続されている。
【0047】
そして、シフトレジスタ95にシリアル転送された印字データSDは、一旦、ラッチ回路96によってラッチされる。ラッチされた印字データはレベルシフタ97によってスイッチ回路98のスイッチを駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の所定の電圧値まで昇圧されてスイッチ手段としてのスイッチ回路98に与えられる。
【0048】
このスイッチ回路98の入力側には駆動信号発生回路77からの駆動波形(駆動信号)Pvが印加されており、スイッチ回路98の出力側には圧力発生手段としての圧電素子52が接続されている。したがって、例えば、スイッチ回路98に加わる印字データが「1」である期間中は、駆動波形Pvから得られる駆動パルスが圧電素子52に印加され、この駆動パルスに応じて圧電素子52は伸縮を行う。一方、スイッチ回路98に加わる印字データが「0」の期間中は、圧電素子52への駆動パルスの供給が遮断される。
【0049】
なお、シフトレジスタ95及びラッチ回路96はロジック回路で組んであり、レベル変換回路97及びスイッチ回路98はアナログ回路で組んである。
【0050】
次に、このように構成したインクジェット記録装置において駆動信号発生回路77から発生する圧電素子52に印加する駆動波形(駆動信号)について図6以降をも参照して説明する。
先ず、本発明を適用していない駆動波形の例について図7を参照して説明する。同図の駆動波形は、大、中、小の3種類の大きさのインク滴を吐出させることができる波形の一例である。
【0051】
印字の際は、画像データに対して表1の制御テーブルに基づいてスイッチングが行われ、所望のパルスが選択され、出力される。例えば、大滴を吐出させる場合には、表1より図7(a)において時間S1と時間S2のスイッチ回路98に加わる印字データを「1」にし、時間S3とS4の印字データを「0」にすることで、同図(b)に示すように第1パルスP1と第2パルスP2のみが圧電素子52に印加される。また、中滴を吐出させる場合には、同様に表1の制御テーブルに基づいてスイッチングが行われ、同図(c)に示すように第1パルスP1のみが圧電素子52に印加され、小滴を吐出させる場合には、同様に表1の制御テーブルに基づいてスイッチングが行われ、同図(d)に示すように第3パルスP3のみが圧電素子52に印加される。
【0052】
このような制御により図7(b)〜(d)のパルスが印字データに基づいて各ノズルに対して適宜に選択され、駆動周期ごとにヘッド14の圧力発生手段である圧電素子52に出力されることにより液滴が吐出されて印字が行われる。
【0053】
【表1】
【0054】
ここで、特に高速印字が可能なノズル数が多いヘッドでは、ベタ画像等の多数のチャンネルから同時にインク滴を吐出して印字する場合、その反力でヘッド自身が加振され、振動する現象が生じる。この振動数がヘッドの固有振動数と一致すると、ノズルから正常にインク滴が吐出せず、異常画像となる。
【0055】
図8はヘッドの全チャンネルのアクチュエータ(圧電素子52)を駆動した場合の周波数特性の一例を示すものである。このヘッドでは、4.5kHzに一次共振が、11.2kHzに二次共振が発生している。
【0056】
そこで、図7(a)において、駆動周期が125μsであると8kHz以下の周波数で印字することが可能である。ベタ画像を印字する場合は毎駆動周期で多数のチャンネルからインクを吐出させて印字することができ、この場合は最高周波数の8kHzでヘッド自身が加振されることになる。また、画像によって、あるいは印字方法によっては、倍の周期の250μs間隔で多数のチャンネルからインクを吐出させる場合がある。このときは、実質的に4kHzでアクチュエータを駆動するため、この周波数でヘッドは加振される。
【0057】
図8に示すような周波数特性を持つヘッドを実質的に4kHzで駆動して画像を印字すると、ヘッドの固有振動数に近いため、ヘッドが共振し、異常画像が発生する。
【0058】
そこで、本発明ではヘッドの共振周波数と異なる駆動周波数で駆動する駆動波形を生成するようにしている。
先ず、駆動波形の第1例について図9を参照して説明する。この駆動波形は、図7に示した駆動波形の最初と最後にインク滴を吐出させない非吐出パルスを生成するためのダミーパルスPd1、Pd2を加えており、時間S1がダミーパスルPd1、時間S2はダミーパルスPd1から第1パルスP1への移行時間、時間S3が第1パルスP1、時間S4が第2パルスP2、時間S5が第3パルスP3、時間S6は第3パルスP3からダミーパルスPd2への移行時間、S7がダミーパルスPd2とし、表2の制御テーブルに基づいて出力波形を選択する。
【0059】
【表2】
【0060】
この駆動波形では大、中、小滴は前記図7と駆動波形と同様であるが、印字データがないときに図9(e)に示すようにダミーパルスPd1で立下り、立下った後の電圧(Vb−Vdの電圧)を維持したままダミーパルスPd2で立ち上がる波形(パルス)が出力されることになる。
【0061】
前述した図8に示すような周波数特性を持つヘッドを図9に示す駆動波形で駆動すると、実質的に4kHzで駆動する画像を印字した場合でも、図9(b)〜(d)のインク滴を吐出させる吐出パルスか、同図(e)に示すインク滴を吐出させない非吐出パルス(ダミーパルス)のいずれかのがヘッド14に印加されることになるので、実質的に8kHzで励振されることになる、4kHzでの共振の影響を受けず、良好な画質を得ることができる。
【0062】
この場合、同図(e)に示す非吐出パルスではインク滴吐出をしないことが絶対であるため、電圧Vd降下後の電圧がインクを吐出しない程度の電圧に設定されるか、パルスの立ち下がり時定数tf及び立上がり時定数trの傾きがゆるく設定される。固有振動数以外の周波数で励振するという目的では電圧Vdを大きくしてパルスの立上がり、立下りの傾斜をゆるくするようにした方が効果的であるが、傾斜をゆるくすると、ダミーパルスのパルス幅が大きくなるため、駆動周期を長くしなければならなくなり、結果的に印字速度が低下してしまうことになる。したがって、必要以上にパスルの傾斜をゆるくすることは好ましくない。
【0063】
また、パルスの立上りは傾きを急にするとインクが吐出しないまでも残留振動が発生し、その残留振動によりインク吐出が不安定になることがある。したがって、非吐出パルスにおいては、パルスの立上がりを立下りよりも傾斜をゆるくするようにすると良い。すなわち、非吐出パルスをメニスカスを引き込む側のパスル(パスルの立下り)とした場合、メニスカスを引き込む部分の電圧速度変化をメニスカスを復帰させる部分の電圧変化速度よりも大きくすることにより、非吐出パルスの振幅を大きくできるので、大きな励振効果が得られ、共振による画質への悪影響を有効に回避できる。
【0064】
次に、本発明に係る駆動波形の第2例について図10を参照して説明する。この駆動波形は、図9の第1例の駆動波形の変形であり、ダミーパルスPd1、Pd2のベース電位Vbに対する極性を反転した波形である。この図10(a)の駆動波形を前述した表2の制御テーブルに基づいて選択することにより、同図(b)〜(e)に示すような各パルスが出力される。
【0065】
この波形によっても、図10(e)に示す非吐出パルスによりヘッドが非共振周波数で励振(駆動)されるため、前述したようにヘッド共振の悪影響を受けずに良好な画質を得ることができる。
【0066】
ただし、この図10の波形では、同図(e)に示す非吐出パルスは上記ヘッドにおいては図3に示す加圧室46の体積を小さくして保持する形状のパルスとなる。このことは、ノズル45に形成されたメニスカスが盛り上がった高い位置にシフトする状態を作り出すため、インクミスト等によってノズル周囲が汚れている場合、このノズル近傍に付着したインクとメニスカスがブリッジしてノズル面の汚れを促進するという悪さを引き起こすおそれがある。
【0067】
そこで、このような悪さを回避するには、図11のような非吐出パルスとしてメニスカスを盛り上がった位置に保持させないようにすることができる。
すなわち、本発明の駆動波形の第3例について図11を参照して説明すると、この駆動波形は、図7で説明した駆動波形の第1パルスP1の前にインク滴を吐出させない非吐出パルスPeを加えたものであり、表3に示す制御テーブルに基づいて出力波形を選択することで、図11(b)〜(e)のパルスを出力することができる。
【0068】
【表3】
【0069】
ここで、図11(e)の非吐出パルスPeのパルス幅としては、加圧室46の圧力共振周期よりも短いことが好ましい。この圧力共振周期とは、圧電素子52にステップ状の電圧信号を入力したときに加圧室46内に発生する圧力波の周期である。
【0070】
この非吐出パルスPeのパルス幅を圧力共振周期よりも短くすることにより、図11(e)に示すように非吐出パルスPeでメニスカスは1度だけ盛り上がりすぐ下がるので、図10の場合のようにメニスカスが高い位置に保持される悪さがなくなる。逆に、メニスカスが盛り上がった際にノズル開口近傍に付着した微小なインクミスト等をメニスカスに取り込んでクリーニングする効果があり、吐出安定性を向上することができる。
【0071】
ただし、この図11に示す駆動波形の場合には、非吐出パルスのパルス幅が短いため、ヘッド共振を回避するための励振の効果は若干小さくなる。
【0072】
そこで、この点を解決した本発明の駆動波形の第4例について図12を参照して説明する。この駆動波形では、同図(a)に示すように、非吐出パルスPe1、Pe2を時間S1及びS4の2箇所に入れたものであり、表4に示す制御テーブルに基づいて出力波形を選択することで、図12(b)〜(e)のパルスを出力することができる。
【0073】
【表4】
【0074】
この駆動波形では、図11の駆動波形よりも非吐出パルスが高頻度で印加されるため励振の効果が高く、また、実質的に高周波数で励振されることになる。なお、ここでは、非吐出パルスを2箇所としたが、駆動波形によってはさらに数が多くても良く、ヘッドの振動特性等によりパルスの位置も含めて適宜決めることができる。
【0075】
次に、本発明の駆動波形の第5例について図13を参照して説明する。
この駆動波形は、図9に示す第1例の駆動波形の変形例であり、図9のダミーパスルPd2を省略したもので、図13(a)の駆動波形について表5に示す制御テーブルに基づいて出力波形を選択することで、図13(b)〜(e)のパルスを出力することができる。
【0076】
【表5】
【0077】
つまり、ここでは、同図(e)に示すように、吐出パルスである第3パルスP3の一部を利用して非吐出パルスを生成している。このように駆動波形の一部を利用することにより、波形長を短くすることができ、印字速度を向上することができる。
【0078】
次に、本発明の駆動波形の第6例について図14を参照して説明する。
この駆動波形は、図13に示す第5例の駆動波形の変形例であり、区間S1及び区間S2で立ち上がり立ち下がる非吐出パルスPeを入れたもので、この図14(a)の駆動波形について前述した表5に示す制御テーブルによって出力波形を選択することによって図14(b)〜(e)のパルスを出力することができる。
【0079】
つまり、図14(e)に示す非吐出パルスは、図11と同様の短いパルス幅の上に凸のパルスと図13(e)と同様のパルス幅の長い下に凸のパルスの複合パルスとなっている。
【0080】
このパルスによれば、前半の短いパルスでメニスカスを一旦盛り上げてメニスカス周囲のミスト等を取り込んでクリーニング作用が得られ、後半の下に凸なパルスにより大きな励振効果を得ている。
【0081】
すなわち、ここでの非吐出パルスPeは、ノズル面に形成されるメニスカスを押し出す側の第1波形とこの第1波形に続いて設けられたメニスカスを引き込む側の第2波形からなり、前記第1波形のパルスのパルス幅は前述したように圧力室(加圧室)内の圧力共振周期以下としてものである。これにより、非吐出パルスの振幅を大きくできるので、大きな励振効果が得られ、共振による画質への悪影響を有効に回避できるとともに、連続して印字した場合にノズル面に付着するインクミストによる悪影響を回避でき、インクの吐出安定性を向上することができる。
【0082】
以上説明したように、ヘッドの特性等に応じて、ダミーパルスや駆動波形の一部を適宜利用して非吐出パルスを生成することにより、ヘッド共振の影響をキャンセルして安定した高画質印字を実現することができる。なお、上記説明においては図8に示す振動特性を有する圧電方式のインクジェットヘッドのみで説明したが、記録方式や振動特性はこれに限られるものではなく、本発明は広く適用することができる。
【0083】
そこで、具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
ここでは、インクジェットヘッド構成を図15に示す構成とし、厚さ2mmで表面に電極パターンが形成されたセラミックスからなる基板101の上面に嫌気性接着剤で積層型圧電素子102を接着固定した。
【0084】
圧電素子102は、GND側とHot側の内部電極が交互に配置された積層構造のもので、それぞれの内部電極は絶縁された2つの異なる面に形成された外部電極に接続されている。この2つの外部電極間に電圧を印加することにより、圧電素子52に変位が発生する。この圧電素子102の厚み方向の変位を利用してインクの吐出圧を得るものである。そして、Hot側外部電極と基板101の境界部に導電性ペーストを塗布硬化させ、圧電素子102の外部電極と基板101の電極パターンを導通させた。
【0085】
次に、ダイシングソーによる溝加工により圧電素子102及び基板101の電極パターンを約85μmピッチで分割した後、基板101のGND側の電極を導電性ペーストでショートした。その後、ガラス強化されたエポキシ樹脂からなるフレーム103をエポキシ樹脂で基板101に接合し、最後に、平面研削により圧電振動子102とフレーム103の上面を同一面にした後、エポキシ接着剤をスクリーン印刷でフレーム103及び圧電素子102の上面適所に塗布し、液室ユニットを高精度に位置決めして接合した。
【0086】
液室ユニットは、シリコン基板のエッチングにより共通液室流路105、圧力室(加圧室)106、流体抵抗部107等が形成された流路板104を、電鋳工法により製造したノズル板108、振動板109でサンドイッチし、それぞれの界面をエポキシ接着剤で接合した構造体であり、ノズル板108には液滴を吐出するためのノズル110が、振動板109には変形可能なダイアフラム部111が設けられている。
【0087】
このようにして作製したヘッドにインクを充填し、ステップ状の電圧を入力し、ノズル面に形成されたメニスカスの応答をレーザードップラ振動計を用いて測定したところ、振動周期Tcは約12μsecであった。さらに、周波数を掃引しながらノズル面の振動を測定し、ヘッドの振動特性を評価したところ、図8に示すように4.5kHzに第1ピーク、11.2kHzに第2ピークを有する共振特性が確認された。
【0088】
そして、このヘッドをプリンタに搭載し、図7のように大中小滴を打ち分け可能な駆動周期125μsecの駆動波形を用いて、画像評価を行った。画像評価に使用した画像は、図16に示すように大中小滴の各滴のベタ画像で、印字周波数4水準(8、4、2.7、2kHz)でヘッドの全チャンネル(ノズル)からインク滴を吐出する画像を用いた。
【0089】
この印字試験の結果、8kHz、2.7kHz、2kHzの各画像は良好であったが、4kHzの中、小滴の画像に横スジが発生した。
【0090】
次に、図9に示したようにダミーパルスを利用して、非印字時に図9(e)に示すようなインクを吐出させないパルス電圧がヘッドに印加されるようにして、同様の評価を行ったところ、4kHzで駆動した場合の画像においても横スジのない良好な画像を得ることができた。
【0091】
次に、この非吐出パルスの効果が得られる範囲を調べるため、図9(e)におけるベース電圧Vdをパラメータとして同様の画像評価を行った。なお、この評価においては、パルスの立下げ時間tf、立上げ時間trを、いずれも3μsecとした。このときの評価結果を表6に示している。なお、表6で、ベース電圧Vdがマイナスの数値になっているのは、図10に示すように非吐出パルスがベース電圧Vdに対して図9とは逆極性の電圧のパルスであることを示している。また、評価項目の耐久性とは、評価画像を多数枚連続印字した前後での画質の劣化を評価したものである。
【0092】
【表6】
【0093】
この表6において、電圧Vdが−10、−8.8、−8、+8、+10(V)の場合は、図16の背景部にインクが付着しており、非印字部でインクが吐出し画像不良となった。また、電圧Vdが−2〜+2(V)では、前述した4kHz評価画像において異常画像が発生した。
【0094】
次に、初期画質評価で良好な結果が得られた条件についてのみ、評価チャートを500枚連続印字して耐久評価を行ったところ、電圧Vdが−6、−4(V)の場合には、画質が劣化したり、悪い場合はノズル抜けが生じる結果となった。一方で、電圧Vdが4、6(V)の条件では、500枚印字後も良好な画像が得られた。
【0095】
次に、図14あるいは図10に示したような駆動波形で同様の評価を行った。ここで、電圧Vdは5(V)とし、パルス幅を3、8、12、16、20、30、100(μsec)として比較評価を行った。この結果を表7に示している。
【0096】
【表7】
【0097】
初期の画質の点ではパルス幅が長いと良好な結果であり、パルス幅が短い場合は小滴の4kHz画像部に若干スジが見られた。一方、500枚連続印字後の画質評価の結果では、本ヘッドのメニスカス振動の固有周期Tcの12μsec以下のパルス幅では良好な結果であったが、16及び20μsecのパルス幅の場合は小滴画像で噴射曲がりが原因と見られる濃度ムラが見られ、また、30及び100μsecのパルス幅の場合にはスジ画像が発生した。
【0098】
次に、パルス幅を8μsecとして図12に示したように非吐出パルスを増やした波形で先と同じように500枚連続印字評価を行った。その結果、初期の画像、500枚印字後の画像共に良好な結果が得られた。
【0099】
さらに、比較実験として図14に示したような波形を用いて実験を行った。図14において、小滴を吐出する第3パルスP3の一部であるS6区間とS1区間とで非吐出パルスを形成している。ここでS1区間のパルスの立上り開始から立下り開始までの時間は5μsecとし、S6区間のパルスの立上り時間は10μsecとしている。また、非吐出パルスの電圧は、S1区間の上に凸な部分がベース電圧Vbより5(V)大きい電圧とし、下に凸な部分は第3パルスP3の電位に合わベース電圧Vbより10(V)小さい電圧とした。
【0100】
このような駆動波形を用いて前述と同様の評価を行ったところ、初期画像、多数枚印字後の画像のいずれにおいても良好な画像が得られた。なお、本波形においては、非吐出パルスのS6区間部の電圧の立上り時間を緩やかにしているので、表6において非吐出パルスの電圧を大きくした場合の不具合が発生することなく、大きな励振効果を得ることができた。
【0101】
なお、上記実施形態においては、圧電素子はd33方向変位のPZTを前提にしたが、たわみ振動型のPZTでもよい。しかし、d33方向変位のPZTを用いた方が、素子の信頼性が高い。さらに、圧力発生手段が圧電素子であるものに限らず、サーマル型や静電型などのヘッドの駆動にも適用できる。また、本発明に係る画像形成装置はインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載したものであるが、本発明は、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどを搭載する画像形成装置にも適用することできる。
【0102】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置によれば、ヘッドの共振周波数と異なる駆動周波数の駆動波形で前記ヘッドの圧力発生手段を駆動するヘッド駆動手段を備えているので、簡単な構成で共振による不具合を回避できて、安定した画像品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部の一例を示す斜視説明図
【図2】同記録装置の機構部の側断面説明図
【図3】同記録装置の記録ヘッドを構成するインクジェットヘッドの一例を説明するヘッドの液室長辺方向に沿う断面説明図
【図4】同ヘッドの液室短辺方向に沿う断面説明図
【図5】同記録装置の制御部の概要を説明するブロック図
【図6】同制御部のヘッド駆動制御に係わる部分のブロック図
【図7】一般的な駆動波形の一例を説明する説明図
【図8】ヘッドの共振周波数特性の一例を説明する説明図
【図9】本発明に係る駆動波形の第1例を説明する説明図
【図10】同駆動波形の第2例を説明する説明図
【図11】同駆動波形の第3例を説明する説明図
【図12】同駆動波形の第4例を説明する説明図
【図13】同駆動波形の第5例を説明する説明図
【図14】同駆動波形の第6例を説明する説明図
【図15】具体的な実施例の説明に用いたヘッド構成を説明する説明図
【図16】同じく印字評価に用いたパターンの説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…記録ヘッド、41…流路板、42…振動板、43…ノズル板、45…ノズル、46…加圧室、47…流体抵抗部、48…共通液室、52…圧電素子、77…駆動信号発生回路。
Claims (7)
- ノズルが連通する液室内の液体を加圧する圧力発生手段を有し、この圧力発生手段を駆動することで前記ノズルから液滴を吐出するヘッドを搭載する画像形成装置において、前記ヘッドの共振周波数と異なる駆動周波数の駆動波形で前記ヘッドの圧力発生手段を駆動するヘッド駆動手段を備えていることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項1に記載の画像形成装置において、前記ヘッド駆動手段は前記駆動周波数を前記ヘッドの共振周波数と異ならせるために液滴を吐出しないエネルギーを発生する非吐出パルスを印加することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記非吐出パルスは液滴を吐出させる吐出パルスの一部を利用して生成することを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記非吐出パルスは前記ノズルのメニスカスを引き込む側のパルスであることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記非吐出パルスは前記ノズルのメニスカスを押し出す側のパルスであり、この非吐出パルスの幅は前記ヘッドの液室内の圧力共振周期以下であることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項4又は5に記載に画像形成装置において、前記非吐出パルスは前記ノズルのメニスカスを引き込む部分の電圧変化速度がメニスカスを復帰させる部分の電圧変化速度よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
- 請求項2に記載の画像形成装置において、前記非吐出パルスは前記ノズルのメニスカスを押し出す側の第1波形と、この第1波形に続き前記ノズルのメニスカスを引き込む側の第2波形とを含み、前記第1波形のパルス幅が前記ヘッドの液室の共振周波数以下であることを特徴とする画像形成装置。
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