JP2001179964A - ヘッド駆動制御装置及びインクジェット記録装置 - Google Patents

ヘッド駆動制御装置及びインクジェット記録装置

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JP2001179964A
JP2001179964A JP36707899A JP36707899A JP2001179964A JP 2001179964 A JP2001179964 A JP 2001179964A JP 36707899 A JP36707899 A JP 36707899A JP 36707899 A JP36707899 A JP 36707899A JP 2001179964 A JP2001179964 A JP 2001179964A
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ink
ink jet
drive waveform
head
drive
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JP36707899A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Shingyouchi
充 新行内
Taeko Murai
妙子 村井
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構成が複雑になり、低コスト化を図れない。 【解決手段】 インク滴を吐出させる吐出パルスDpと
インク滴を吐出させないでメニスカスを振動させるメニ
スカス振動パルスBpを時系列で生成出力する波形生成
回路87を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はヘッド駆動制御装置及び
インクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置において使用するインクジェッ
トヘッドは、インク滴を吐出するノズルと、このノズル
が連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧液室、液
室等とも称される。)と、このインク流路内のインクを
加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段とを
備えて、エネルギー発生手段を駆動することでインク流
路内インクを加圧してノズルからインク滴を吐出させる
ものであり、記録の必要なときにのみインク滴を吐出す
るインク・オン・デマンド方式のものが主流である。
【0003】従来、インク流路内のインクを加圧するエ
ネルギーを発生するエネルギー発生手段として、圧電素
子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形さ
せてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させ
るいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公
報参照)、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内で
インクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でイ
ンク滴を吐出させるいわゆるバブル型のもの(特開昭6
1−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成
する振動板と電極とを平行に配置し(これにより形成さ
れるギャップを「平行ギャップ」と称する。)、振動板
と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形
させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴
を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公
報参照)などが知られている。
【0004】ところで、インクジェットヘッドは、ノズ
ルからインク滴を吐出するため、インク粘度が環境によ
って変化すると、安定したインク滴吐出特性(滴速度V
j、滴体積Mj、滴噴射方向の曲がり)が得られなくな
り、画像品質が劣化する。また、環境変化だけでなく、
非印字時にインク粘度が高くなると、ノズルの目詰まり
が生じて、著しく画像が劣化する。特に、画質を向上す
るために、吐出インク滴を微小化しなければならないこ
とから、ノズルの小径化が進んでおり、一層ノズルの目
詰まりが生じ易くなっている。さらに、目詰まりを起こ
さないまでも、非印字時間の長さによって、次に印字信
号が入力された際の滴吐出特性に差が生じて画質が低下
する。
【0005】そこで、例えば再公表特許WO97/32
728に記載されているように、単一周期の基準信号に
同期して、インク滴吐出が可能な振幅の第1の電気パル
スと、この第1の電気パルスの振幅より小さく、ノズル
内のインクをノズル内で流動させる第2の電圧パルスの
いずれか一方を、目詰まり防止の回復処理動作時と印刷
行程中に各圧力発生手段に印加するインクジェットプリ
ンタの駆動方法が知られている。
【0006】このインクジェットプリンタの駆動方法に
あっては、第1の電気パルスと第2の電気パルスを同じ
タイミングで選択的に各圧力発生手段に印加するため、
インクジェットヘッドのエネルギー発生手段をなす共通
電極(振動板)と個別電極のうち、共通電極に与える電
圧を切り換えるスイッチ手段と、個別電極の電圧を切り
換えるスイッチ手段とを有し、かつ個別電極には2つの
水準の電圧を切り換えて与えるようにしている。
【0007】また、従来、二種類の駆動パルスを選択的
にヘッドに与える構成としては、図25に示すように、
二種類の駆動パルス(吐出パルスとメニスカス振動パル
ス)を同じタイミングで並列的に発生させて、3端子ス
イッチ201を用いていずれかの駆動パルスをエネルギ
ー発生手段202に与える構成が採用される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述したインクジェッ
トヘッドの駆動方法にあっては、第1の電気パルスとこ
の第1の電気パルスより振幅の小さな第2の電気パルス
を同じタイミングで選択的に各圧力発生手段に印加する
ため、回路構成が複雑になり、コストが高くなる。ま
た、二種類の駆動パルスを同じタイミングで発生させ
て、3端子スイッチを用いていずれかの駆動パルスを選
択する場合、3端子スイッチは実質的にスイッチが2個
必要になってコストが高くなり、しかもノズル数分必要
なために多ノズル化の下ではコスト増が著しくなる。
【0009】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、単純な構成でインクメニスカスを振動させるこ
とができるヘッド駆動制御装置、インクジェット記録装
置及びヘッドの信頼性維持回復方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係るヘッド駆動制御装置は、エネルギー発
生手段がインク滴を吐出させるエネルギーを発生する第
1駆動波形と、インク滴を吐出させずにメニスカスを振
動させるエネルギーを発生する第2駆動波形とを、時系
列で発生する手段を有するものである。
【0011】ここで、第1駆動波形及び第2駆動波形の
いずれかを選択する手段を有することが好ましい。この
場合、第1駆動波形及び第2駆動波形のいずれかを印字
信号に応じて選択する手段を有することができる。
【0012】また、第2駆動波形は、第1駆動波形より
も幅の狭いパルス、或いは、第1駆動波形よりも波高値
の低いパルス、若しくは、第1駆動波形よりも幅が狭
く、かつ波高値の低いパルスとすることができる。さら
に、第2駆動波形は複数のパルスとすることができる。
【0013】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インクジェットヘッドのエネルギー発生手段がインク滴
を吐出させるエネルギーを発生する第1駆動波形と、イ
ンク滴を吐出させずにメニスカスを振動させるエネルギ
ーを発生する第2駆動波形とを、時系列で発生する手段
と、第1駆動波形と第2駆動波形を印字信号に応じて選
択する手段を有するものである。
【0014】ここで、第2駆動波形は第1駆動波形より
も幅の狭いパルス、或いは、第1駆動波形よりも波高値
の低いパルス、若しくは、第1駆動波形よりも幅が狭
く、かつ波高値の低いパルスとすることができる。ま
た、第2駆動波形は複数のパルスとすることができる。
【0015】さらに、第1駆動波形は複数のパルスから
なり、印字信号に応じて印加するパルス数を選択する手
段を有することができる。また、各ノズルに対するメニ
スカス振動を含む多値化の値をビット情報とした印字信
号を出力する手段と、この印字信号を復元するデコーダ
とを有することができる。
【0016】さらにまた、インクジェットヘッドのエネ
ルギー発生手段はインク流路の壁面を形成する振動板と
これに対向する電極とを有し、振動板と電極との間に発
生する静電力で振動板を変位させるものであることが好
ましい。特に、振動板と電極との間に形成されるギャッ
プが断面形状で変曲点を有する形状であることが好まし
い。
【0017】また、非駆動から駆動になるノズルに対応
するエネルギー発生手段に対して少なくとも1駆動タイ
ミングより前に第2駆動波形を与えることができる。或
いは、非駆動時間が予め定めた所定時間を越えたノズル
に対応するエネルギー発生手段に対して第2駆動波形を
与えることができる。
【0018】本発明に係る他のインクジェット記録装置
は、インクジェットヘッドが信頼性維持回復位置にある
ときに、時系列で入力されるインク滴を吐出させるエネ
ルギーを発生する第1駆動波形及びインク滴を吐出させ
ずにメニスカスを振動させるエネルギーを発生する第2
駆動波形のうちの第2駆動波形を選択してインクジェッ
トヘッドに与えるものである。
【0019】ここで、インクジェットヘッドが印字動作
に移行する直前に第2駆動波形をインクジェットヘッド
に与えることができる。また、所定時間経過する毎に第
2駆動波形をインクジェットヘッドに与えるようにする
こともできる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。図1は本発明に係るインクジ
ェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機
構部の側面説明図である。
【0021】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キ
ャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録
ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカート
リッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、装置本
体1の下方部には前方側から多数枚の用紙3を積載可能
な給紙カセット(或いは給紙トレイでもよい。)4を抜
き差し自在に装着することができ、また、用紙3を手差
しで給紙するための手差しトレイ5を開倒することがで
き、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送され
る用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像
を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙
する。
【0022】印字機構部2は、図示しない左右の側板に
横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイ
ドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で
紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ1
3にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ
(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する
インクジェットヘッドからなるヘッド14をインク滴吐
出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側に
はヘッド14に各色のインクを供給するための各インク
タンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着し
ている。
【0023】ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬
送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装
し、前方側(用紙搬送方向下流側)を従ガイドロッド1
2に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ
13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ1
7で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19と
の間にタイミングベルト20を張装し、このタイミング
ベルト20をキャリッジ13に固定している。
【0024】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノ
ズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド1
4として用いるインクジェットヘッドは、圧電素子など
の電気機械変換素子で液室(インク流路)壁面を形成す
る振動板を介してインクを加圧するピエゾ型のもの、或
いは発熱抵抗体による膜沸騰でバブル生じさせてインク
を加圧するバブル型のもの、若しくはインク流路壁面を
形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で
振動板を変位させてインクを加圧する静電型のものなど
を使用することができるが、本実施形態では後述するよ
うに静電型インクジェットヘッドを用いている。
【0025】一方、給紙カセット4にセットした用紙3
をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット
4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリク
ションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23
と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ
24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬
送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し
角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ロー
ラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0026】そして、キャリッジ13の主走査方向の移
動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙
3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材
である印写受け部材29を設けている。この印写受け部
材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ
送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32
を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ロ
ーラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部
材35,36とを配設している。
【0027】また、キャリッジ13の移動方向右端側に
はヘッド14の信頼性を維持、回復するための信頼性維
持回復機構(以下「サブシステム」という。)37を配
置している。キャリッジ13は印字待機中にはこのサブ
システム37側に移動されてキャッピング手段などでヘ
ッド14をキャッピングされる。また、このサブシステ
ム37側の位置(これを「信頼性維持回復位置」とい
う。)にあるときに、本発明に係る第2駆動波形を用い
た信頼性維持回復動作の一環としてのメニスカス振動を
発生させる制御も行う。
【0028】次に、このインクジェット記録装置のヘッ
ド14を構成するインクジェットヘッドについて図3乃
至図5を参照して説明する。なお、図3はヘッド14の
分解斜視説明図、図4は同ヘッド14のノズル配列方向
と直交する方向の断面説明図、図5は同ヘッド14のノ
ズル配列方向の要部拡大断面図である。
【0029】静電アクチュエータであるインクジェット
ヘッド40は、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基
板、SOI基板などのシリコン基板等を用いた振動板/
液室基板41と、この振動板/液室基板1の下側に設け
たシリコン基板、パイレックスガラス基板、セラミック
ス基板等を用いた電極基板42と、振動板/液室基板4
1の上側に設けたノズル板43とを備え、複数のインク
滴を吐出するノズル44、各ノズル44が連通するイン
ク流路である加圧室46、各加圧室46にインク供給路
を兼ねた流体抵抗部47を介して連通する共通液室流路
48などを形成している。
【0030】振動板/液室基板41には加圧室46及び
この加圧室46の壁面である底部をなす振動板50(第
1の電極となる。)を形成する凹部を形成し、ノズル板
43には流体抵抗部47を形成する溝を形成し、また振
動板/液室基板41と電極基板42には共通液室流路4
8を形成する貫通部を形成している。
【0031】ここで、振動板/液室基板41は、例えば
単結晶シリコン基板を用いた場合、予め振動板厚さにボ
ロンを注入してエッチングストップ層となる高濃度ボロ
ン層を形成し、電極基板42と接合した後、加圧室46
となる凹部をKOH水溶液などのエッチング液を用いて
異方性エッチングすることにより、このとき高濃度ボロ
ン層がエッチングストップ層となって振動板50が高精
度に形成される。また、多結晶シリコン基板で振動板5
0を形成する場合は、液室基板上に振動板となる多結晶
シリコン薄膜を形成する方法、または、予め電極基板4
2を犠牲材料で平坦化し、その上に多結晶シリコン薄膜
を成膜した後、犠牲材料を除去することで形成できる。
【0032】なお、振動板50に別途電極膜を形成して
もよいが、上述したように不純物の拡散などによって振
動板が電極を兼ねるようにしている。また、振動板50
の電極基板42側の面に絶縁膜を形成することもでき
る。この絶縁膜としてはSiO2等の酸化膜系絶縁膜、S
i34等の窒化膜系絶縁膜などを用いることができる。
絶縁膜の成膜は、振動板表面を熱酸化して酸化膜を形成
したり、成膜手法を用いたりすることができる。
【0033】また、電極基板42には酸化膜層42aを
形成し、この酸化膜層42aの部分に凹部54を形成し
て、この凹部54底面に振動板50に対向する電極15
(第2の電極となる。)を設け、振動板50と電極55
との間にギャップ56を形成し、これらの振動板50と
電極55とによってアクチュエータ部を構成している。
なお、電極55表面にはSiO2膜などの酸化膜系絶縁
膜、Si34膜などの窒化膜系絶縁膜からなる電極保護
膜57を成膜しているが、電極表面55に電極保護膜5
7を形成しないで、振動板50側に絶縁膜を形成するこ
ともできる。
【0034】この電極基板42として単結晶シリコン基
板を用いる場合には通常のシリコンウエハーを用いるこ
とができる。その厚さはシリコンウエハーの直径で異な
るが、直径4インチのシリコンウエハーであれば厚さが
500μm程度、直径6インチのシリコンウエハーであ
れば厚さは600μm程度であることが多い。シリコン
ウエハー以外の材料を選択する場合には、振動板/液室
基板のシリコンと熱膨張係数の差が小さい方が振動板と
接合する場合に信頼性を向上できる。例えば、ガラス材
料としては、コーニング社製#7740(商品名)、岩
城硝子社製SW3(商品名)、ホーヤ社製SD2(商品
名)などを用いることができる。
【0035】これらの振動板/液室基板41と電極基板
42との接合は、接着剤による接合も可能であるが、よ
り信頼性の高い物理的な接合、例えば電極基板42がシ
リコンで形成される場合、酸化膜を介した直接接合法を
用いることができる。この直接接合は1000℃程度の
高温化で実施する。また、電極基板42がガラスの場
合、陽極接合を行うことができる。電極基板42をシリ
コンで形成して、陽極接合を行う場合には、電極基板4
2と振動板/液室基板41との間にパイレックスガラス
を成膜し、この膜を介して陽極接合を行うこともでき
る。さらに、振動板/液室基板41と電極基板42にシ
リコン基板を使用して金等のバインダーを接合面に介在
させた共晶接合で接合することもできる。
【0036】また、電極基板42の電極55としては、
通常半導体素子の形成プロセスで一般的に用いられるA
l、Cr、Ni等の金属材料や、Ti、TiN、W等の
高融点金属、または不純物により低抵抗化した多結晶シ
リコン材料などを用いることができる。電極基板42を
シリコンウエハで形成する場合には、電極基板42と電
極55との間には絶縁層(上述した酸化膜層42a)を
形成する必要がある。電極基板42にガラス等の絶縁性
材料を用いる場合には電極55との間に絶縁層を形成す
る必要はない。
【0037】また、電極基板42にシリコン基板を用い
る場合、電極55としては、不純物拡散領域を用いるこ
とができる。この場合、拡散に用いる不純物は基板シリ
コンの導電型と反対の導電型を示す不純物を用い、拡散
領域周辺にpn接合を形成し、電極55と電極基板42
とを電気的に絶縁する。
【0038】ノズル板43は多数のノズル44を二列配
置して形成したものであり、吐出面には撥水処理を施し
ている。ここでは、このノズル板43はNi電鋳工法で
製作しているが、この他、例えば樹脂と金属層の複層構
造のものなども用いることができる。このノズル板43
は振動板/液室基板41に接着剤にて接合している。
【0039】このインクジェットヘッド40ではノズル
44を二列配置し、この各ノズル44に対応して加圧室
46、振動板50、電極55なども二列配置し、各ノズ
ル列の中央部に共通液室流路48を配置して、左右の加
圧室46にインクを供給する構成を採用している。これ
により、簡単なヘッド構成で多数のノズルを有するマル
チノズルヘッドを構成することができる。
【0040】そして、インクジェットヘッド40の電極
55は外部に延設して接続部(電極パッド部)55aと
し、これにヘッド駆動回路であるドライバIC60を搭
載したFPCケーブル61を異方性導電膜などを介して
接続している。このとき、電極基板42とノズル板43
との間は図4に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤を用
いたギャップ封止剤62にて気密封止している。
【0041】さらに、インクジェットヘッド40全体を
フレーム部材65上に接着剤で接合している。このフレ
ーム部材65にはインクジェットヘッド40の共通液室
流路48に外部からインクを供給するためのインク供給
穴66を形成しており、またFPCケーブル61等はフ
レーム部材65に形成した穴部67に収納される。
【0042】このフレーム部材65とノズル板43との
間は図4に示すようにエポキシ樹脂等の接着剤を用いた
ギャップ封止剤68にて封止し、撥水性を有するノズル
板43表面のインクが電極基板42やFPCケーブル6
1等に回り込むことを防止している。
【0043】そして、このヘッド14のフレーム部材6
5にはインクカートリッジ15とのジョイント部材70
が連結されて、フィルタ71を介してインクカートリッ
ジ15からインク供給穴66を通じて共通液室流路48
にインクが供給される。
【0044】このインクジェットヘッド40において
は、振動板50を共通電極とし、電極55を個別電極と
して(逆の構成とすることもできる。)、振動板50と
電極55との間に駆動電圧を印加することによって、振
動板50と電極55との間に発生する静電力によって振
動板50が電極55側に変形変位し、この状態から振動
板50と電極55間の電荷を放電させることによって振
動板50が復帰変形して、加圧室46の内容積(体積)
/圧力が変化することによって、ノズル44からインク
滴が吐出される。
【0045】すなわち、個別電極とする電極55にパル
ス電圧を印加すると、共通電極となる振動板50との間
に電位差が生じて、個別電極55と振動板50の間に静
電力が生じる。この結果、振動板50は印加した電圧の
大きさに応じて変位する。その後、印加したパルス電圧
を立ち下げることで、振動板50の変位が復元して、そ
の復元力により加圧室46内の圧力が高くなり、ノズル
44からインク滴が吐出される。この場合、振動板50
を電極55(実際には絶縁保護膜57表面)に当接する
まで変位させる方式を当接駆動方式、振動板50を電極
55に当接させない位置まで変位させる方式を非当接駆
動方式と称する。
【0046】ところで、パルス電圧が印加されて振動板
50が引き付けられる時には、加圧室46内には負圧が
生じている。圧力は加圧室46の固有振動数で振動する
ので、パルス立ち下げ時の圧力は、パルス立ち上げ時の
残留圧力振動と、復元圧力の重ね合せになる。
【0047】したがって、静電型インクジェットヘッド
40においては、印加するパルス電圧のパルス幅によっ
てインク滴吐出特性に差が生じる。すなわち、例えば、
図6に示すように、吐出特性(吐出滴速度Vj、吐出滴
質量Mj)は、パルス幅PWによる圧力の重ね合せのタ
イミングによって変動する。
【0048】この図6に示す例の場合、パルス幅PWを
4μsecより狭く設定した場合、吐出滴速度Vj及び吐
出滴体積Mjが第1のピークになるパルス幅と次の第2
のピークになるパルス幅の間のパルス幅に設定した場合
では、インク滴が吐出されないことが分かる。
【0049】つまり、パルス電圧の印加により振動板5
0が変位し始めて、ギャップ長の1/3の位置に達する
までの時間内にパルスを立ち下げるような、短い時間
(パルス幅の狭い)のパルスや、圧力振動が相殺される
ようなタイミングに当たるパルス幅では、振動板50は
インク滴が吐出するほどの復元力にならないため、イン
ク滴は吐出せずにノズル44内のメニスカスが振動する
のみとなる。
【0050】また、パルス立ち下げ時間を長くとり、振
動板50の変位の復元をゆっくり行うことでも、インク
滴を吐出させずにノズル44内のメニスカスのみを振動
させることが可能である。これらの特性を積極的に利用
することで、インクの増粘によるノズル目詰まりを予防
することができる。
【0051】次に、このインクジェット記録装置の制御
部の概要について図7を参照して説明する。この制御部
は、この記録装置全体の制御を司るマイクロコンピュー
タ(以下、「CPU」と称する。)80と、所要の固定
情報を格納したROM81と、ワーキングメモリ等とし
て使用するRAM82と、ホスト側から転送される画像
データを処理したデータを格納する画像メモリ83と、
パラレル入出力(PIO)ポート84と、入力バッファ
85と、パラレル入出力(PIO)ポート86と、波形
生成回路87と、ヘッド駆動回路88及びドライバ89
等を備えている。
【0052】ここで、PIOポート84にはホスト側か
ら画像データなどの各種情報、図示しない操作パネルか
らの信頼性回復指示情報等の各種指示情報、用紙の始
端、終端を検知する紙有無センサからの検知信号、キャ
リッジ13のホームポジション(基準位置)を検知する
ホームポジションセンサ等の各種センサからの信号等が
入力され、またこのPIOポート84を介してホスト側
や操作パネル側に対して所要の情報が送出される。
【0053】また、波形生成回路87は、インクジェッ
トヘッド40の振動板50と電極55との間にインク滴
を吐出させるエネルギーを発生する、つまり、振動板5
0をインク滴が吐出するだけの変位量、タイミングで電
極55側に変位させる第1駆動波形と、インク滴を吐出
させずにメニスカスを振動させるエネルギーを発生す
る、つまり、振動板50をインク滴が吐出せずにインク
メニスカスが振動するにとまる変位量、タイミングで電
極55側に変位させる第2駆動波形とを、時系列で発生
する。
【0054】ヘッド駆動回路88は、PIOポート86
を介して与えられる各種データ及び信号に基づいて、ヘ
ッド14の各ノズル44に対応するエネルギー発生手段
(振動板50と電極55)に対して駆動波形等を印加す
る。さらに、ドライバ89は、PIOポート86を介し
て与えられる駆動データに応じて主走査モータ17及び
副走査モータ27を各々駆動制御することで、キャリッ
ジ13を主走査方向に移動走査し、搬送ローラ24を回
転させて用紙3を所定量搬送させる。
【0055】次に、この制御部における本発明に係るヘ
ッド駆動制御装置としてのヘッド駆動制御部に係わる部
分について図8を参照して説明する。なお、同図はヘッ
ド駆動制御部の第1実施形態を示すブロック図である。
このヘッド駆動制御部は、前述したCPU80、ROM
81、RAM82及び周辺回路等を含む主主制御部91
と、波形生成回路87と、アンプ92と、駆動回路(ド
ライバIC)93等とを備えている。
【0056】主主制御部91は、波形生成回路87に対
して第1駆動波形と第2駆動波形を生成するためのデー
タを与え、ドライバIC93に対して印字信号(シリア
ルデータである)SD、シフトクロックCLK、ラッチ
信号LATなどを与える。
【0057】波形生成回路87は、前述したようにイン
クジェットヘッド40のアクチュエータ部に対してノズ
ル44からインク滴を吐出させるエネルギーを発生させ
る第1駆動波形と、インク滴を吐出しないでノズル44
のインクメニスカス面を振動させる第2駆動波形とを時
系列で発生する。この波形生成回路87からの出力を駆
動波形(駆動電圧)Pvとする。
【0058】この波形生成回路87にはD/A変換器を
用いて主主制御部91から与えられる電圧データをD/
A変換することによりパルス幅の異なる駆動波形を時系
列で生成出力するようにしている。すなわち、主主制御
部91と波形生成回路87で第1駆動波形と第2駆動波
形を時系列で生成出力する手段を構成している。
【0059】すなわち、ここでは、駆動波形Pvは、図
9(a)に示すように、パルス幅PW1のパルスを第1
駆動波形(これを「吐出パルス」と称する。)Dpと
し、第1駆動波形である吐出パルスDpよりも狭いパル
ス幅PW2の二個のパルスを第2駆動波形(これを「メ
ニスカス振動パルス」と称する。)Bpとし、これらの
吐出パルスDp及びメニスカス振動パルスBpをヘッド
の1駆動周期で繰り返し時系列で発生する。
【0060】ドライバIC93は、時系列で入力される
駆動波形Pvから吐出パルスDp及びメニスカス振動パ
ルスBpのいずれかを印字信号に応じて選択して、ヘッ
ド14を構成するインクジェットヘッド40の各個別電
極55に与える制御を行う制御手段である。
【0061】すなわち、ドライバIC93は、主主制御
部91からのシリアルクロックCLK及び印字信号であ
るシリアルデータSDを入力するシフトレジスタ95
と、シフトレジスタ95のレジスト値を主主制御部91
からのラッチ信号LATでラッチするラッチ回路96
と、ラッチ回路96の出力値をレベル変化するレベル変
換回路97と、このレベル変換回路97でオン/オフが
制御されるアナログスイッチアレイ98とからなる。ア
ナログスイッチアレイ98は、インクジェットヘッド4
0のm個(ノズル数をm個とする。)の個別電極55に
接続したアナログスイッチAS1〜ASmからなる。な
お、インクジェットヘッド40の共通電極となる振動板
50は接地している。
【0062】 そして、このシフトレジスタ95にシフ
トクロックに応じてシリアルデータ(印字信号)SDを
取込み、ラッチ回路96でラッチ信号LATによってシ
フトレジスタ回路95に取り込んだシリアルデータSD
をラッチしてレベル変換回路98に入力する。このレベ
ル変換回路98は、データの内容に応じて各アクチュエ
ータ部の個別電極55に接続しているアナログスイッチ
ASm(m=1〜m)をオン/オフする。
【0063】このアナログスイッチASm(m=1〜
m)には波形生成回路87からアンプ92を介して駆動
波形Pvを与えているので、アナログスイッチASm
(m=1〜m)がオンしたときの駆動波形(吐出パルス
Dp又はメニスカス振動パルスBp)が個別電極55に
選択的に与えられる。
【0064】次に、このように構成したインクジェット
記録装置におけるヘッド駆動制御部の作用について図9
及び図10をも参照して説明する。まず、上述したよう
に、波形生成回路92からは図9(a)に示すように1
駆動周期内で第1駆動波形である吐出パルスDpと2個
のメニスカス振動パルスBpが時系列で生成出力され、
これがドライバIC93のアナログスイッチAS1〜A
Smに与えられている。
【0065】そこで、主制御部91から印字信号を与え
ることによって、例えば同図(b)に示すように、ドラ
イバIC93のアナログスイッチASn(n=1〜mの
いずれか)がオン又はオフし、アナログスイッチASn
がオンしている間に入力される吐出パルスDp又はメニ
スカス振動パルスBpのいずれかが選択されて、同図
(c)に示すようにインクジェットヘッド40の個別電
極55に与えられる。
【0066】同図(c)は1つのノズルに対応する個別
電極に印加されるパルスを示しているものであり、この
ノズルは、図示している最初の駆動周期では印字(駆
動)であるので吐出パルスDpを選択してインク滴を吐
出させ、次の駆動周期では非印字(非駆動)であるので
吐出パルスDpは選択せず、メニスカス振動を行うため
にメニスカス振動パルスBpを選択してメニスカス振動
のみ行わせ、次の駆動周期では印字であるので吐出パル
スDpを選択してインク滴を吐出させ、更に次の駆動周
期ではアナログスイッチASnを全期間オフにして吐出
パルスDp及びメニスカス振動パルスBpのいずれも選
択せず、非印字でもメニスカス振動を行っていない。
【0067】ここで、1駆動周期内で吐出パルスDpと
メニスカス振動パルスBpの選択を行うため、主制御部
91から与える印字信号は、図10に示すように、1駆
動周期内で二回のデータDataの書き換えを行うよう
にしている。これにより、上述したように非印字(非駆
動)でもメニスカス振動を行う場合と、メニスカス振動
を行わない場合とを選択することができる。
【0068】具体的には、インクジェットヘッド40の
構成を加圧室長約1000μm、振動板厚さ約2μm、
ノズル径約20μmとし、また、図6のパルス幅特性を
参考にして、メニスカスの振動に使うメニスカス振動パ
ルスBpのパルス幅PW2を2μsec、インク滴吐出に
使う吐出パルスDpのパルス幅PW1を6μsec、駆動
波形Pvの電圧は両パルスとも30Vに設定し、非駆動
ノズル(インク滴を吐出させないノズルの意味)に対し
てメニスカス振動パルスBpが与えられるように選択し
たところ、インク滴吐出頻度の多少に関わらず差異のな
いインク滴吐出特性が得られた。
【0069】このように、インク滴を吐出させる第1駆
動波形とインク滴を吐出させないでメニスカスを振動さ
せる第2駆動波形とを時系列で生成出力する手段を備え
ることにより、そのいずれかを選択してインクジェット
ヘッドに与えるようにでき、ノズルのインクメニスカス
を振動させて目詰まりを防止することができる。この場
合、第1駆動波形と第2駆動波形とを時系列で生成出力
することにより、図8に示すように、各ノズル44に対
して、第1駆動波形と第2駆動波形とを選択するスイッ
チ手段(アナログスイッチ)が1個で済むので、3端子
スイッチを用いた場合よりも構成が簡単になり低コスト
が図れる。
【0070】また、第1駆動波形と第2駆動波形とを印
字信号に応じて選択してインクジェットヘッドに与える
ことにより、印字中に非駆動ノズルはインク滴を吐出さ
せないでメニスカスを振動させることができ、非駆動ノ
ズルのインクの増粘による目詰まりを確実に防止でき
る。
【0071】また、吐出パルス(第1駆動波形)よりも
パルス幅の狭いパルスを第2駆動波形(メニスカス振動
パルス)として用いることにより、図6で説明したよう
に、パルス幅が狭い領域ではインク滴が吐出されずにメ
ニスカスが振動するだけの領域があるので、メニスカス
を振動させる他の駆動波形に対して、メニスカス振動波
形に要する時間を短く設定することができる。
【0072】このように第2駆動波形のパルス幅を狭く
することにより、複数の吐出パルスとメニスカス振動パ
ルスを時系列に並べても駆動周波数の律即にならずに、
インクジェットヘッドの応答周波数の限界まで、駆動周
波数を高くすることができる。また、複数のメニスカス
振動パルスを使用することも可能となり、インク攪拌が
有効に行われ、より確実に、ノズルのインク増粘を防ぐ
ことができる。
【0073】なお、メニスカス振動を行う第2駆動波形
は、上述したものに限るものではなく、電圧の波高値を
第1駆動波形よりも下げたパルス、パルスの立ち下がり
を緩やかにしたパルス、図6でパルス特性のピークとピ
ークの間にあるインクを吐出しないパルス幅のパルス等
を利用することができる。また、駆動電圧が低ければ、
正弦波など、パルス状でない駆動波形でも良い。さら
に、上述した例では2個のメニスカス振動パルスを用い
ているが、1又は3以上のパルス数であってもよい。
【0074】次に、本発明に係るヘッド駆動制御部の第
2実施形態について図11及び図12を参照して説明す
る。この実施形態においては、図11に示すように、ド
ライバIC101にラッチ回路96の出力を主制御部9
1からの制御信号CS1に応じて反転する反転回路10
2を設け、この反転回路102の出力をレベル変換回路
97に入力している。
【0075】したがって、図12に示すように、主制御
部91から印字信号SDをシフトレジスタ95に与えて
ラッチ回路96でラッチした後、所定のタイミングで、
制御信号CS1によって反転回路102の出力を反転さ
せることにより、吐出パルスとメニスカス振動パルスと
を選択することができる。
【0076】これにより、主制御部91からの印字信号
のデータ転送は1駆動周期に1回で足りることになり、
データ転送レートを低くすることができて、多ノズル
化、高速化を図れる。
【0077】次に、本発明に係るヘッド駆動制御部の第
3実施形態について図13を参照して説明する。ここで
は、波形生成回路87からは、同図(a)に示すよう
に、複数(この例では3個としていう。)の吐出パルス
Dpと2個のメニスカス振動パルスBpとを時系列で生
成出力する。このように複数の吐出パルスDpでインク
ジェットヘッド40を駆動することもできる。なお、駆
動波形として駆動電圧部分の波形、及びメニスカス振動
波形を変更することもできる。
【0078】次に、本発明に係るヘッド駆動制御部の第
4実施形態について図14及び図15をも参照して説明
する。ここでは、図15に示すように吐出パルスDpの
各パルス毎にデータ転送を行ってアナログスイッチAS
nをオン/オフすることで、アナログスイッチASnを
オン時間幅を選択するようにしている。これにより、図
14(c)に示すように、通過させる吐出パルスDpの
パルス数を変化させることができ、通過するパルス数に
応じた小ドット、中ドット、大ドットの多値化を実現す
ることができる。なお、多値化の場合、各吐出パルスで
吐出したインク滴が用紙上に着弾する前にマージするこ
とが好ましい。
【0079】また、メニスカス振動パルスBpについて
も、前述したように印字信号の転送を行うので、非印字
状態でメニスカスを振動させる場合と振動させない場合
を選択することができる。したがって、メニスカス振動
を多値化の1段階として捉える、つまり、「0」、「メ
ニスカス振動」、「小ドット」、「中ドット」、「大ド
ット」という5段階の多値化とすると、多値化と同様の
制御方法及び制御回路によって、非駆動ノズル(インク
滴を吐出しないノズル、非吐出ノズルとも称する。)に
メニスカス振動を与えることができる。
【0080】次に、本発明に係るヘッド駆動制御部の第
5実施形態について図16及び図17を参照して説明す
る。ここでは、主制御部91から印字信号DSの多値化
データを数ビットの情報としてドライバIC103に転
送し、ドライバIC103のデコーダ104で復元する
ものであり、上述したように多値化の1段階としてメニ
スカス振動をとらえている。
【0081】すなわち、主制御部91はメニスカス振
動、小、中、大ドットの4段階の多値化を行うため、印
字信号として2ビットのデータ(22=4段階)を転送
する。一方、ドライバIC103には転送されるシリア
ルデータである印字信号SDを各ノズルに対して2ビッ
ト情報に変換するため2つのラッチ回路96a、96b
と、各ラッチ回路96a、96bでラッチされた2ビッ
トデータを主制御部91からの制御信号CSによって復
元するデコーダ104を設け、このデコーダ104の出
力をレベル変換回路97に入力している。これにより、
アナログスイッチASnのオン/オフ時間が設定され
る。
【0082】したがって、図17に示すように、主制御
部91からは1駆動周期内に2ビット分のデータを転送
すればよくなるので、第4実施形態の場合に比べても転
送レートが低くなり、多ノズル化、高速化を図れる。
【0083】次に、本発明に係るヘッド制御装置の第6
実施形態について図18を参照して説明する。ここで
は、波形生成回路87から同図(a)に示すように複数
の吐出パルスDpとこの吐出パルスDpよりも波高値の
低いメニスカス振動パルスBpを時系列で生成出力する
ようにしている。このような波形は、前述したようにメ
モリに保存したデータをD/A変換回路である波形生成
回路87でD/A変換することで簡単に生成出力するこ
とができる。
【0084】このように、メニスカス振動パルスの波高
値を吐出パルスよりも低くすることにより、メニスカス
を振動させる他の駆動波形と比べた場合、メニスカス振
動パルスに要する時間を吐出パルスと同程度に設定でき
るので、複数の吐出パルスとメニスカス振動パルスを時
系列に並べても駆動周波数の律即にならずに、インクジ
ェットヘッドの応答周波数の限界まで、駆動周波数を高
くすることができる。
【0085】次に、本発明に係るヘッド駆動制御装置の
第7実施形態について図19を参照して説明する。ここ
では、当該ノズルが非印字(非駆動)から印字(駆動)
に変わる少なくとも駆動の2タイミング前からメニスカ
ス振動パルスを与えて、メニスカス振動を行わせ、イン
ク増粘による吐出特性の変化を回復するようにしてい
る。
【0086】この実施形態のドライバICとしては、例
えば「0、メニスカス振動、小、中、大ドット」の5段
階の多値化を得るために、図8に示したドライバIC9
3を制御手段を使って、各パルス毎にデータ転送を実行
する。また、例えば「0、メニスカス振動、小、大ドッ
ト」の4値とする場合には図15と同様のドライバIC
を用いることができる。さらに、また、多値化の段階を
増やすために、印字信号のビット数を増やしても良いこ
とはもちろんである。
【0087】すなわち、ここでは、非駆動ノズルに対し
て、メニスカス振動させる場合と、メニスカス振動させ
ない場合が選択できる制御手段(ドライバIC)を用い
て、非駆動から駆動になるノズルに対してのみ、少なく
とも1駆動タイミングより前にインクを吐出しないメニ
スカス振動パルスを選択してインクジェットヘッドに与
えている。
【0088】これによれば、無駄なく、駆動前のインク
攪拌が実行され、インク吐出の頻度が少ないノズルにお
いてもインクの増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑
えることができる。また、すべての非駆動ノズルのメニ
スカスを振動させる場合よりも消費エネルギーが少な
く、共通流路液室内の圧力変動も小さいため信頼性が向
上する。
【0089】次に、本発明に係るヘッド駆動制御装置の
第8実施形態について図20を参照して説明する。ここ
では、非印字が所定時間(駆動周期×n回)以上続いた
ノズルに対して、メニスカス振動パルスを印加するよう
にしている。
【0090】上述した第7実施形態と同様に、「0、メ
ニスカス振動、小、中、大ドット」の5段階の多値化を
得るために、図8に示した制御手段であるドライバIC
93を使って、各パルス毎にデータ転送を実行している
が、多値化を「0、メニスカス振動、小、大ドット」の
4値として図15に示した制御手段を使用することも可
能である。さらに、多値化の段階を増やすために、印字
信号のビット数を増やしても構わない。
【0091】ここでは、非駆動ノズルに対して、メニス
カス振動させる場合と、メニスカス振動させない場合が
選択できる制御手段を用いて、非印字が所定時間(駆動
周期×n回)以上続いた場合のみメニスカス振動させる
ことで、無駄なく、駆動前のインク攪拌を実行する。
【0092】これにより、インク吐出の頻度が少ないノ
ズルにおいてもインクの増粘によるインク滴吐出特性の
変動を抑えることができる。また、すべての非駆動ノズ
ルのメニスカスを振動させる場合よりも消費エネルギー
が少なく、共通液室内の圧力変動も小さいため信頼性が
向上する。この実施形態と上記第7実施形態の各駆動制
御を組み合わせて実行することもできる。
【0093】次に、本発明の第9実施形態について図2
1をも参照して説明する。この実施形態は、前記の各実
施形態が印字中にメニスカス振動を行うものであったの
に対して、印字待機中の信頼性維持回復動作の一環とし
てメニスカス振動を行うようにしたものである。
【0094】すなわち、ヘッド14を印字待機位置(サ
ブシステム37による信頼性維持回復位置)にしたとき
に、タイマT1をセット・スタートして、タイマT1が
タイムアップしたときには信頼性維持回復処理を行う。
この信頼性維持回復処理では、公知のようにヘッド14
をキャップ手段でキャッピングした状態で吸引手段を駆
動してヘッド14のノズル44からインクを吸引排出す
ることによってノズル44の増粘したインクを排出する
処理をしたり、或いは、全ノズル44を駆動してインク
滴を吐出することによってノズル44の増粘したインク
を排出する処理をする。
【0095】そして、信頼性維持回復動作後タイマT
1、T2をセット・スタートし、印字指令があるか否か
を判別し、印字指令がなければ、タイマT1がタイムア
ップしたか否かを判別する処理に戻る。
【0096】ここで、タイマT1がタイムアップしてい
なければ、タイマT2がタイムアップしているか否かを
判別し、タイマT2がタイムアップしたときには、前記
各実施形態で説明したと同様なヘッド駆動制御によっ
て、時系列で生成出力される吐出パルスDpとメニスカ
ス振動パルスBpのうちのメニスカス振動パルスBpの
みを選択してヘッド14に与えることにより、信頼性維
持回復動作間メニスカス振動のみを行って、ノズル44
のインクの増粘を抑制する処理を行う。
【0097】このように、信頼性維持回復動作の一環と
して所定時間毎にインク滴を吐出しないでメニスカス振
動のみを行う維持回復処理を行うことによって、インク
の増粘を抑えることができるので、インク滴の排出を伴
なう維持回復処理の回数を減らすことができて、無駄な
インク消費を低減することができる。
【0098】そして、このメニスカス振動のためのヘッ
ドの駆動を時系列で生成出力される第1駆動波形と第2
駆動波形のうちの第2駆動波形のみを選択してヘッドに
与えることにより、構成が簡単になり、低コスト化を図
れる。さらに、前記各実施形態のように印字動作中にも
メニスカス振動を行う構成と組み合わせることができ、
これによりよりインクの増粘を低コストで抑制すること
ができる。
【0099】図21に戻って、印字指令が与えられたと
きには、印字動作に移行する直前に時系列で生成出力さ
れる吐出パルスDpとメニスカス振動パルスBpのうち
のメニスカス振動パルスBpのみを選択してヘッド14
に与えることにより、メニスカス振動を行ってノズル4
4内のインク粘度を回復した後、印字処理に移行する。
これにより、安定した印字を迅速に開始することができ
る。
【0100】次に、静電型インクジェットヘッドの他の
例について図22乃至図24をも参照して説明する。な
お、図22は同インクジェットヘッドの短辺方向の模式
的壇面図、図23を同インクジェットヘッドの長辺方向
の模式的断面図、図24は同短辺方向の模式図である。
【0101】このインクジェットヘッドも、シリコン基
板等を用いた振動板/液室基板111と、この振動板/
液室基板111の下側に設けたシリコン基板、パイレッ
クスガラス基板、セラミックス基板等を用いた電極基板
112と、振動板/液室基板111の上側に設けたノズ
ル板113とを備え、複数のインク滴を吐出するノズル
114、各ノズル114が連通するインク流路である加
圧室116、各加圧室116にインク供給路を兼ねた流
体抵抗部117を介して連通する共通液室流路118な
どを形成している。
【0102】そして、振動板/液室基板111には加圧
室46及びこの加圧室46の壁面である底部をなす振動
板120(第1の電極となる。)を形成する凹部、流体
抵抗部117を形成する溝、及び共通液室流路118を
形成する貫通部を形成している。また、電極基板112
には酸化膜層を形成し、この酸化膜層の部分に凹部12
4を形成して、この凹部124底面に振動板110に対
向する電極115(第2の電極となる。)を設け、振動
板110と電極115との間にギャップ116を形成
し、電極115表面には電極保護膜117を成膜してい
る。
【0103】ノズル板113は多数のノズル114を二
列配置して形成したものであり、吐出面には撥水処理を
施し、また、共通流路液室118に外部からインクを供
給するためのインク供給穴128を形成している。この
ノズル板113は振動板/液室基板111に接着剤にて
接合している。
【0104】このように、このインクジェットヘッドの
基本的構成や各部の材料などは前記図3乃至図5に示す
インクジェットヘッドと同様であるが、図3乃至図5に
示すインクジェットヘッドは振動板50と電極55とを
平行に配置した平行ギャップ型であるのに対し、この図
22及び図23に示すインクジェットヘッドは振動板1
20と電極125とを非平行に配置した非平行ギャップ
型としている。
【0105】すなわち、ギャップ126は、図24に示
すように、電極125と振動板120との短手方向にお
ける間隔yが、周辺部が中央部より小さくなるように形
成され、その短手方向断面形状で変曲点130を有して
いる。言いかえれば、電極125の振動板側の表面は短
手方向断面形状で変曲点130を有する面としている。
【0106】また、電極125はその短手方向(短辺方
向)両端部で接線をなして振動板120に接触する接触
部位131を有している。この電極125の接触部位1
31では振動板120との実効的なギャップ長(振動板
が変位可能なギャップ長さ)が「0」になる。
【0107】この場合、振動板120及び電極125を
平面矩形状に形成し、図24に示すように、電極125
の一辺(ここでは短辺)をxとし、この電極125の一
辺(短辺)xに沿った振動板120と電極125とのギ
ャップ寸法をyとし、定数をA、Lとしたとき、ギャッ
プ126の全域で、次の(1)式が成り立つ形状に、ギ
ャップ126の断面形状を設定している。
【0108】
【数1】
【0109】この(1)式で表される形状はガウシャン
形状と称される形状である。ギャップ126の断面形状
の電極側をガウシャン形状にすることが特に好ましい
が、ギャップ126の断面形状に変曲点130を有する
形状にすることで、ガウシャン形状そのものでなくと
も、ガウシャン形状に近い形状にすることができる。ま
た、ここでは、ギャップ126の全域において上記
(1)式が成り立つようにしているが、ギャップ126
の一部の領域において上記(1)式が成り立つ形状にし
ても略同様の作用効果が得られる。
【0110】すなわち、ギャップ126は断面形状で電
極125に沿う辺に変曲点130を有することにより、
低い駆動電圧で振動板120の大きな変位量を得ること
ができる。つまり、静電アクチュエータは振動板120
と電極125との間に発生する静電力と振動板120の
剛性力の釣り合いにより動作する。この静電力は2つの
電極間の距離tの二乗に反比例するので、電極間距離t
が小さいほどより低い電圧Vで所望の静電力を得ること
ができる。
【0111】したがって、まず、このインクジェットヘ
ッドでは振動板120と電極125との間のギャップ1
26は周辺部が中央より小さくなっているために、駆動
電圧の印加に従って振動板120の変位は距離が小さい
周辺部から開始する。この時の変位開始電圧は、振動板
中央部の変位開始電圧より低い。そして、振動板120
の周辺部の変位開始に従い、振動板120と電極125
との間隔が順次小さくなり、小さな電圧増加で大きな変
位量が得られる。よって、図3乃至図5に示すインクジ
ェットヘッドに比べて低い電圧で駆動することが可能に
なる。
【0112】さらに、このインクジェットヘッドでは、
振動板120と電極125とは周辺の接触部位130で
接触しているので、振動板120は実効ギャップ長
「0」から変位が開始され、より低電圧で駆動すること
が可能になる。加えて、ギャップ126が断面形状で電
極125に沿う辺に変曲点130を有していることか
ら、振動板125の変位が一層容易になり、低い駆動電
圧で振動板120のより大きな変位量を得ることができ
る。
【0113】したがって、このインクジェットヘッドを
用いた本発明に係るインクジェット記録装置を構成する
ことにより、低電圧駆動が可能で、しかもインク粘度の
増粘による画質低下を抑制できる高速印字可能な記録装
置を得ることができる。
【0114】なお、上記各実施形態においては、静電型
インクジェットヘッドの振動板と電極の平面形状を矩形
とした例で説明したが、平面形状を台形、三角形とする
こともできる。また、上記各実施形態ではインクジェッ
トヘッドは振動板と液室とを振動板/液室基板として同
一部材から形成しているが、振動板と液室形成部材とを
別部材で形成して接合することもできる。
【0115】また、本発明で駆動制御するインクジェッ
トヘッドは振動板/液室基板中に形成したノズル、加圧
室、流体抵抗部、共通流路液室の形状、配置、形成方法
は適切に変更することができる。例えば、上記実施形態
においては、ノズルは振動板の変位方向にインク滴が吐
出するように形成したサイドシュータ方式のインクジェ
ットヘッドであるが、ノズルを振動板の変位方向と交差
する方向にインク滴が吐出するように形成したエッジシ
ュータ方式のインクジェットヘッドでもよい。
【0116】さらに、上記各実施形態においては、イン
クジェットヘッドが静電型インクジェットヘッドである
例で説明しているが、圧電素子を用いたピエゾ型インク
ジェットヘッド、或いは発熱抵抗体を用いたバブル型イ
ンクジェットヘッドなど、その他の方式のインクジェッ
トを駆動制御する場合にも適用することができる。もっ
とも、ピエゾ型インクジェットヘッドの場合、駆動波形
の立下り時間をある程度確保する必要があるため、第1
駆動波形と第2駆動波形を時系列で並べた場合に静電型
インクジェットヘッドよりも駆動周波数が低くなるの
で、静電型インクジェットヘッドを用いることが好まし
い。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るヘッ
ド駆動制御装置によれば、エネルギー発生手段がインク
滴を吐出させるエネルギーを発生する第1駆動波形と、
インク滴を吐出させずにメニスカスを振動させるエネル
ギーを発生する第2駆動波形とを、時系列で発生する手
段を有するので、インク滴吐出を行う第1駆動波形とメ
ニスカス振動を行う第2駆動波形の選択手段の構成が簡
単になり、低コストで、インク増粘による画像乱れを防
止することができるようになり、画質の高品質化を図れ
るようになる。
【0118】ここで、第1駆動波形及び第2駆動波形の
いずれかを選択する手段を有することにより、低コスト
で、インク増粘による画像乱れを防止することができ、
画質の高品質化を図れる。この場合、第1駆動波形及び
第2駆動波形のいずれかを印字信号に応じて選択する手
段を有することで、印字中に非駆動ノズルにメニスカス
振動を与えることができて、インク吐出の頻度の少ない
ノズルに対してインク増粘によるインク滴吐出特性の変
動を抑えることができて、印字画像の乱れが予防でき、
より高品質の画像を得ることができる。
【0119】また、第2駆動波形は、第1駆動波形より
も幅の狭いパルスとすることにより、簡単な回路構成で
二つのパルスを生成することができ、また、メニスカス
振動用の第2駆動波形に要する時間が短くて済むので、
第1、第2駆動波形を時系列で並べても駆動周波数の律
即にならず、ヘッドの応答周波数の限界まで、駆動周波
数を高くすることができて、高速印字を実現できる。
【0120】或いは、第2駆動波形は、第1駆動波形よ
りも波高値の低いパルスとすることにより、若しくは、
パルス幅が狭く波高値の低いパルスとすることにより、
メニスカス振動用の第2駆動波形に要する時間が短くて
済むので、第1、第2駆動波形を時系列で並べても駆動
周波数の律即にならず、ヘッドの応答周波数の限界ま
で、駆動周波数を高くすることができて、高速印字を実
現できる。さらに、第2駆動波形は複数のパルスとする
ことにより、より安定してメニスカス振動のみを行うこ
とができる。
【0121】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インクジェットヘッドのエネルギー発生手段がイ
ンク滴を吐出させるエネルギーを発生する第1駆動波形
と、インク滴を吐出させずにメニスカスを振動させるエ
ネルギーを発生する第2駆動波形とを、時系列で発生す
る手段と、第1駆動波形と第2駆動波形を印字信号に応
じて選択する手段を有するので、印字中に非駆動ノズル
にメニスカス振動を与えることができて、インク吐出の
頻度の少ないノズルに対してインク増粘によるインク滴
吐出特性の変動を抑えることができて、印字画像の乱れ
が予防でき、より高品質の画像を得ることができる。
【0122】ここで、第2駆動波形は第1駆動波形より
も幅の狭いパルス、或いは、第1駆動波形よりも波高値
の低いパルス、若しくは、第1駆動波形よりも幅が狭
く、かつ波高値の低いパルスとすることで、第1、第2
駆動波形を時系列で並べても駆動周波数の律即になら
ず、ヘッドの応答周波数の限界まで、駆動周波数を高く
することができて、高速印字を実現できる。さらに、第
2駆動波形は複数のパルスとすることにより、より安定
してメニスカス振動のみを行うことができる。
【0123】さらに、第1駆動波形は複数のパルスから
なり、印字信号に応じて印加するパルス数を選択する手
段を有することにより、ドットの多値化を実現すること
ができ、メニスカス振動を多値化の一段階と扱うことが
できて、特別な回路を用いることなく、メニスカス振動
と多値化を実現することができる。
【0124】また、各ノズルに対するメニスカス振動を
含む多値化の値をビット情報とした印字信号を出力する
手段と、この印字信号を復元するデコーダとを有するこ
とにより、データの転送速度を抑えることができ、多ノ
ズル化を図ることができて、高速印字が可能になる。
【0125】さらにまた、インクジェットヘッドとして
は、インク流路の壁面を形成する振動板とこれに対向す
る電極とを有し、振動板と電極との間に発生する静電力
で振動板を変位させる静電型インクジェットヘッドを用
いることにより、第1駆動波形と第2駆動波形とを時系
列で並べても駆動周波数を高くすることができ、高画
質、高速印字を行うことができる。特に、振動板と電極
との間に形成されるギャップが断面形状で変曲点を有す
る形状とするインクジェットヘッドを用いることによ
り、低電圧駆動で、インク増粘による画像乱れを抑えた
高画質を画像を得ることができる。
【0126】また、非駆動から駆動になるノズルに対応
するエネルギー発生手段に対して少なくとも1駆動タイ
ミングより前に第2駆動波形を与えることによって、非
駆動ノズルも駆動時には十分にインクが攪拌されるの
で、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動を抑える
ことができるとともに、すべての非駆動ノズルにメニス
カス振動を与える場合よりも消費エネルギーが少なくな
り、共通液室流路内の圧力変動を抑えることができ、加
圧室間の相互干渉を低減できる。
【0127】或いは、非駆動時間が予め定めた所定時間
を越えたノズルに対応するエネルギー発生手段に対して
第2駆動波形を与えることもでき、これによっても、に
よって、非駆動ノズルも駆動時には十分にインクが攪拌
されるので、インク増粘によるインク滴吐出特性の変動
を抑えることができるとともに、すべての非駆動ノズル
にメニスカス振動を与える場合よりも消費エネルギーが
少なくなり、共通液室流路内の圧力変動を抑えることが
でき、加圧室間の相互干渉を低減できる。
【0128】本発明に係る他のインクジェット記録装置
は、インクジェットヘッドが信頼性維持回復位置にある
ときに、時系列で入力されるインク滴を吐出させるエネ
ルギーを発生する第1駆動波形及びインク滴を吐出させ
ずにメニスカスを振動させるエネルギーを発生する第2
駆動波形のうちの第2駆動波形を選択してインクジェッ
トヘッドに与えるので、インク滴吐出を行う第1駆動波
形とメニスカス振動を行う第2駆動波形の選択手段の構
成が簡単になり、低コストで、信頼性回復動作としてイ
ンク滴吐出を伴わないメニスカス振動によってインク増
粘を抑えることができ、無駄なインク消費を低減でき
る。
【0129】ここで、インクジェットヘッドが印字動作
に移行する直前に第2駆動波形をインクジェットヘッド
に与えることにより、インク増粘によるインク滴吐出特
性の変動を抑えた状態で印字動作に移行することがで
き、画像品質が向上する。また、所定時間経過する毎に
第2駆動波形をインクジェットヘッドに与えるようにす
ることで、インク滴消費を伴う維持回復動作の回数を低
減することができ、インクの無駄な消費を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の機構部
の概略斜視説明図
【図2】同機構部の側面説明図
【図3】同記録装置のヘッドの分解斜視説明図
【図4】同ヘッドの振動板長手方向の断面説明図
【図5】同ヘッドの振動板短手方向の要部拡大断面説明
【図6】同ヘッドの駆動波形のパルス幅と吐出滴速度及
び吐出滴体積の関係を説明する説明図
【図7】同記録装置の制御部の一例を示すブロック図
【図8】同制御部の内の本発明に係るヘッド駆動制御部
の第1実施形態を示すブロック図
【図9】同ヘッド駆動制御部の作用説明に供する説明図
【図10】同ヘッド駆動制御部の作用説明のうちのデー
タ転送の説明に供する説明図
【図11】本発明に係るヘッド駆動制御部の第2実施形
態を示すブロック図
【図12】同実施形態のデータ転送の説明に供する説明
【図13】本発明に係るヘッド駆動制御部の第3実施形
態の説明に供する説明図
【図14】本発明に係るヘッド駆動制御部の第4実施形
態の説明に供する説明図
【図15】同実施形態のデータ転送の説明に供する説明
【図16】本発明に係るヘッド駆動制御部の第5実施形
態を示すブロック図
【図17】同実施形態のデータ転送の説明に供する説明
【図18】本発明に係るヘッド駆動制御部の第6実施形
態の説明に供する説明図
【図19】本発明に係るヘッド駆動制御部の第7実施形
態の説明に供する説明図
【図20】本発明に係るヘッド駆動制御部の第8実施形
態の説明に供する説明図
【図21】本発明に係るヘッド駆動制御部の第9実施形
態の説明に供するフロー図
【図22】静電型インクジェットヘッドの他の例を示す
短手方向の断面説明図
【図23】同ヘッドの長手方向の断面説明図
【図24】同ヘッドの模式的説明図
【図25】従来のヘッド駆動部の説明に供する説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…ヘッド、24…搬送ローラ、
33…排紙ローラ、40…インクジェットヘッド、41
…振動板/液室基板、42…電極基板、43…ノズル
板、44…ノズル、46…加圧室、47…流体抵抗部、
48…共通流路液室、50…振動板、55…電極、56
…ギャップ、87…波形生成回路、91…主制御部、9
3、101、103…ドライバIC、95…シフトレジ
スタ、96…ラッチ回路、97…レベル変換回路、98
…アナログスイッチアレイ、104…デコーダ。

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 インク滴を吐出するノズルと、このノズ
    ルが連通するインク流路と、このインク流路内のインク
    を加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段と
    を有するインクジェットヘッドを駆動制御するためのヘ
    ッド駆動制御装置において、前記エネルギー発生手段が
    インク滴を吐出させるエネルギーを発生する第1駆動波
    形と、インク滴を吐出させずにメニスカスを振動させる
    エネルギーを発生する第2駆動波形とを、時系列で発生
    する手段を有することを特徴とするヘッド駆動制御装
    置。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のヘッド駆動制御装置に
    おいて、前記第1駆動波形及び第2駆動波形のいずれか
    を選択する手段を有することを特徴とするヘッド駆動制
    御装置。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のヘッド駆動制御装置に
    おいて、前記第1駆動波形及び第2駆動波形のいずれか
    を印字信号に応じて選択する手段を有することを特徴と
    するヘッド駆動制御装置。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載のヘッ
    ド駆動制御装置において、前記第2駆動波形は第1駆動
    波形よりも幅の狭いパルスであることを特徴とするヘッ
    ド駆動制御装置。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至3のいずれかに記載のヘッ
    ド駆動制御装置において、前記第2駆動波形は第1駆動
    波形よりも波高値の低いパルスであることを特徴とする
    ヘッド駆動制御装置。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至3のいずれかに記載のヘッ
    ド駆動制御装置において、前記第2駆動波形は第1駆動
    波形よりも幅が狭く、かつ波高値の低いパルスであるこ
    とを特徴とするヘッド駆動制御装置。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれかに記載のヘッ
    ド駆動制御装置において、前記第2駆動波形は複数のパ
    ルスであることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
  8. 【請求項8】 インク滴を吐出するノズルと、このノズ
    ルが連通するインク流路と、このインク流路内のインク
    を加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段と
    を有するインクジェットヘッドを備えたインクジェット
    記録装置において、前記インクジェットヘッドのエネル
    ギー発生手段がインク滴を吐出させるエネルギーを発生
    する第1駆動波形と、インク滴を吐出させずにメニスカ
    スを振動させるエネルギーを発生する第2駆動波形と
    を、時系列で発生する手段と、前記第1駆動波形と第2
    駆動波形を印字信号に応じて選択する手段を有すること
    を特徴とするインクジェット記録装置。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載のインクジェット記録装
    置において、前記第2駆動波形は第1駆動波形よりも幅
    の狭いパルスであることを特徴とするインクジェット記
    録装置。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載のヘッド駆動制御装置
    において、前記第2駆動波形は第1駆動波形よりも波高
    値の低いパルスであることを特徴とするヘッド駆動制御
    装置。
  11. 【請求項11】 請求項8に記載のヘッド駆動制御装置
    において、前記第2駆動波形は第1駆動波形よりも幅が
    狭く、かつ波高値の低いパルスであることを特徴とする
    ヘッド駆動制御装置。
  12. 【請求項12】 請求項9乃至11のいずれかに記載の
    ヘッド駆動制御装置において、前記第2駆動波形は複数
    のパルスであることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  13. 【請求項13】 請求項8乃至12のいずれかに記載の
    インクジェット記録装置において、前記第1駆動波形は
    複数のパルスからなり、印字信号に応じて印加するパル
    ス数を選択する手段を有することを特徴とするインクジ
    ェット記録装置。
  14. 【請求項14】 請求項8乃至13のいずれかに記載の
    インクジェット記録装置において、各ノズルに対するメ
    ニスカス振動を含む多値化の値をビット情報とした印字
    信号を出力する手段と、この印字信号を復元するデコー
    ダとを有することを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  15. 【請求項15】 請求項8乃至14のいずれかに記載の
    インクジェット記録装置において、前記インクジェット
    ヘッドのエネルギー発生手段は前記インク流路の壁面を
    形成する振動板とこれに対向する電極とを有し、前記振
    動板と電極との間に発生する静電力で前記振動板を変位
    させることを特徴とするインクジェット記録装置。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載のインクジェット記
    録装置において、前記インクジェットヘッドは前記振動
    板と電極との間に形成されるギャップが断面形状で変曲
    点を有する形状であることを特徴とするインクジェット
    記録装置。
  17. 【請求項17】 請求項8乃至16のいずれかに記載の
    インクジェット記録装置において、非駆動から駆動にな
    るノズルに対応するエネルギー発生手段に対して少なく
    とも1駆動タイミングより前に前記第2駆動波形を与え
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  18. 【請求項18】 請求項8乃至17のいずれかに記載の
    インクジェット記録装置において、非駆動時間が予め定
    めた所定時間を越えたノズルに対応するエネルギー発生
    手段に対して前記第2駆動波形を与えることを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
  19. 【請求項19】 インク滴を吐出するノズルと、このノ
    ズルが連通するインク流路と、このインク流路内のイン
    クを加圧するエネルギーを発生するエネルギー発生手段
    とを有するインクジェットヘッドを備え、このインクジ
    ェットヘッドが信頼性維持回復位置にあるときにメニス
    カス振動を与えるインクジェット記録装置において、時
    系列で入力されるインク滴を吐出させるエネルギーを発
    生する第1駆動波形及びインク滴を吐出させずにメニス
    カスを振動させるエネルギーを発生する第2駆動波形の
    うちの第2駆動波形を選択して前記インクジェットヘッ
    ドに与えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  20. 【請求項20】 請求項19に記載のインクジェット記
    録装置において、前記インクジェットヘッドが印字動作
    に移行する直前に前記第2駆動波形を前記インクジェッ
    トヘッドに与えることを特徴とするインクジェット記録
    装置。
  21. 【請求項21】 請求項19に記載のインクジェット記
    録装置において、所定時間経過する毎に前記第2駆動波
    形を前記インクジェットヘッドに与えることを特徴とす
    るインクジェット記録装置。
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