JP2003051627A - 圧電型駆動体及びその製造方法、圧電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

圧電型駆動体及びその製造方法、圧電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置

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JP2003051627A
JP2003051627A JP2001238792A JP2001238792A JP2003051627A JP 2003051627 A JP2003051627 A JP 2003051627A JP 2001238792 A JP2001238792 A JP 2001238792A JP 2001238792 A JP2001238792 A JP 2001238792A JP 2003051627 A JP2003051627 A JP 2003051627A
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piezoelectric
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layer
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ink
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Application number
JP2001238792A
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English (en)
Inventor
Kenichi Ogata
賢一 尾方
Atsushi Takaura
淳 高浦
Yasuyuki Okada
康之 岡田
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Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 駆動効率が高く、特性変動要因が少ない積層
圧電型駆動体およびその製造方法、圧電型アクチュエー
タ、液滴吐出ヘッド、インクジェット記録装置を提供す
る。 【解決手段】圧電体層11は、圧電体層11と内部電極
12,13とを交互に複数層積層配置し、かつ、各圧電
体層11は、1層毎に千鳥状にずらして配置し、積層面
の一部(領域C)は隣接する圧電体層11と接していな
いので、領域Cの部分によって空間17を形成する。各
圧電体11および内部電極12,13の一端部には、そ
れぞれ内部電極12,13に接続した外部電極14,1
5を設けている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液滴吐出ヘッド及びイン
クジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プ
ロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いる
インクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズル
と、このノズルが連通する液室(インク流路、吐出室、
圧力室、加圧液室、流路等とも称される。)と、この液
室内のインクを加圧するための駆動手段(圧力発生手
段)とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェット
ヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドと
しては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐
出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出
ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを
中心に説明する。
【0003】インクジェットヘッドとしては、液室内の
インクを加圧する圧力を発生するための駆動手段として
圧電素子などの電気機械変換素子を用いて、駆動手段の
変位で液室の壁面を形成する弾性変形可能な振動板を変
形させて液室内容積/圧力を変化させてインク滴を吐出
させるいわゆるピエゾ型のものが知られている(特開平
2−51734号公報参照)。
【0004】このインクジェットヘッドは、圧電素子を
充放電することで変形させ、圧電素子に当接した振動板
を変位させ、振動板が加圧液室の容積を収縮するように
変位することで加圧液室内部の圧力が上昇し、インク滴
をノズルから吐出させるものであり、インク滴を吐出し
た後は、加圧液室の容積を膨張させるように振動板に変
位を与えるべく、圧電素子を変形させる。
【0005】このようなインクジェットヘッドの圧電素
子として積層型圧電素子(積層圧電型駆動体)を用いる
ものがある。従来の積層型圧電素子は、その電極形成に
おいて、一般に、主として次のの二通りの方式のいずれ
かが用いられている。
【0006】第1の方式の圧電型駆動体は、図21に示
すように、圧電体201と内部電極202及び内部電極
203とを交互に積層し、内部電極202は一方の端面
に引き出して端面電極(外部電極)204に接続し、内
部電極203は他方の端面に引き出して端面電極(外部
電極)205に接続する。
【0007】この圧電型駆動体においては、内部電極2
02と内部電極203がオーバーラップしている領域b
は、内部電極202と内部電極203間に電位を与える
ことで圧電体201に電位が加えられる活性部(活性領
域)となるが、両端の内部電極202、203のいずれ
か一方のみ存在している領域aは、不活性領域となる。
【0008】この場合、同図で左側に出ている内部電極
202に正(プラス)の電位を、右側に出ている内部電
極203の負(GND)の電位を与えるために、圧電素
子の両端面に外部電極204、205を設けることで、
各層の内部電極202、203に対して一括して電位を
与えるようにしている。そして、電位が与えられること
によって、活性部が圧電作用によって変形し、結果とし
て積層方向に変位が発生し、駆動力となる。
【0009】第2の方式の圧電型駆動体は、図22に示
すように、内部電極202、203は正負ともに圧電体
201の両端にまで達する構成とする。このため、不活
性領域aは形成されず、全体が活性領域bとなる。この
構造では、単に、圧電素子の端面に外部電極204,2
05を形成するのみでは正負の外部電極204,205
を独立して接続することが出来ないため、外部電極20
4、205端に絶縁領域106を形成し、一側面では一
方の極性の電位のみが内部電極202、203に接続さ
れる構造としている。
【0010】以上2つの方式が、積層型圧電素子として
広く用いられている形式であるが、その他にも、例えば
特開平2000−025227号公報に記載されている
ように、圧電素子の両端に支持板を取り付けることによ
り、被駆動体に対する位置決め精度を向上させるもの、
特開平06−188474号公報に記載されているよう
に、内部電極の加工精度が低いことに起因する特性ばら
つきを抑えるため、不活性領域の幅を活性領域の幅に対
し1/2以上と広く取ったもの、特開平11−0484
79号公報に記載されているように、不活性領域の一部
に切欠き部を形成し、活性領域に対する不活性領域の比
率を下げることにより、変位効率を向上させたもの、及
び特開平11−348276号公報に記載されているよ
うに、圧電型駆動体の基板への取り付け(固定)を不活
性部のみを用いて行うことにより、活性部に発生するひ
ずみが基板に伝わることを抑え、相互干渉を抑制を試み
たものもある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た第1の方式の圧電型駆動体のように、圧電体の活性領
域の両側に不活性部(不活性領域)を設けるものにあっ
ては、加工が容易でインクジェットヘッドとして必要な
微細なアレイ構造を作りやすいという利点があるが、次
のような課題がある。
【0012】すなわち、第1に、不活性部が存在するた
めに圧電体の変位が抑えられ、その分だけ効率が低下す
るため、十分な変位を得るために、印加電圧を上げた
り、或いは積層数を増加するなどしなければならず、消
費電力の増大、コスト高を招くことになる。
【0013】第2に、内部電極形成時の加工精度の高精
度化が困難である。即ち、内部電極は圧電体の活性部と
不活性部を区別する重要な構成要素であるが、その加工
精度を上げることは難しく、寸法誤差が生じやすい。
【0014】この点について、インクジェットヘッドに
適用した場合を例に図23を参照して説明する。圧電素
子をインクジェットヘッドに適用する場合、通常、最初
1枚のシート状(若しくはプレート状)に形成した圧電
素子を、各ヘッド(ビット)位置に対応してスリット加
工により複数個に分割して用いる。図23では簡易的に
1枚のシート状の圧電素子を、12の領域(ヘッド)に
分割した場合を示している。また、実際は圧電素子は積
層されているが、ここではその中の一層のみを取り出し
た図となっている。
【0015】この場合、同図(a)に示すように、電極
111がビット列方向に対して不均一であると、結果と
して、同図(b)、(c)に示すように、各ヘッドに対
する駆動素子の活性領域の幅bが異なることとなり、同
じ電位を与えても、発生する変位量に差が生じてしま
う。このため、各ヘッドの振動板に加えられる変位力に
ばらつぎが生じ、これが吐出特性のばらつきとなって画
像品質の低下を招くことになる。
【0016】第3に、図21における外部電極204及
び205に圧電体の伸縮運動によるストレスが掛かるこ
とにより、外部電極が破断してしまうおそれがある。特
に、印刷速度を向上させるためにノズル数を増大させる
と、ノズルピッチを増大させる必要が生じ、結果として
1ビット当たりの圧電素子の幅が狭くなり、電極幅も狭
くなる。また、印字速度向上のためには、高周波駆動も
要求されるようになり、これによって電極面に加わるス
トレスも高周波の伸縮となり、より破断しやすくなる。
【0017】第4に、圧電型駆動体を用いたアクチュエ
ータはインクジェットヘッドの圧力発生手段として、他
の静電方式等に比べ、より大きな変位を容易に得ること
ができ、またその制御も容易であるという利点がある
が、極めて強い伸縮力が、圧電型駆動体を固定する基板
面にも伝わり、これを変形させてしまうことがある。こ
の基板の変形は、そのまま隣接ビットの駆動体に伝わ
り、その駆動特性に影響を及ぼすようになる。即ち、相
互干渉が発生するようになる。
【0018】すなわち、従来の積層圧電型駆動体を基板
に取り付けた場合、図24に示すように、圧電体201
が直接基板210に接するため、駆動時に圧電体に発生
するひずみが直接基板210に伝達される。そのため、
基板210にひずみが発生し、このひずみが隣接する別
の積層圧電型駆動体に伝わることによって、隣接する積
層圧電型駆動体の駆動特性に影響を及ぼすようになり、
インクジェットヘッドに適用した場合に結果として隣接
ビットの影響により吐出特性が安定しない相互干渉が発
生してしまうおそれがある。
【0019】これらの課題のうち、第1、第2の課題に
ついては、上述した図22で説明した第2の方式の圧電
型駆動体の構成で解決を図ることができる。すなわち、
この圧電型駆動体は、圧電体の全面を活性領域とするた
めに、変位効率の低下が無く、また内部電極も圧電体全
体に形成すれば良く、形成領域を精度良く制御する必要
がないという利点がある。しかしながら、第2の方式に
圧電型駆動体にあっては、一層毎に表面を絶縁しなけれ
ばならないため、微細加工が難しく、特にインクジェッ
トヘッドの圧力発生手段として用いることが難しいとい
う課題がある。
【0020】また、特開平06−188474号公報に
記載されているように、不活性部の幅を十分に広く取る
ことによって第2の課題を改善することができ、また、
この構造においては、圧電体端部が活性部から離れるた
め、第3の課題に対しても効果があると考えられる。し
かしながら、このように不活性部の幅を十分に広く取る
ことは、不活性部が広がることであり、第1の課題が更
に大きくなるという課題が生じる。
【0021】さらに、特開平11−048479号公報
に記載されているように不活性領域の形成領域を活性領
域に対し狭くすることで第1の課題を改善することが考
えられる。しかしながら、この場合には、外部電極の幅
が狭くなってしまうため、第3の課題が大きくなる。ま
た、不活性部が残っているため、第1の課題も完全に改
善することは難しい。
【0022】さらにまた、特開平11−348276号
公報に記載されているように、圧電型駆動体の活性領域
を基板から分離して配置することで第4の課題を改善す
ることができるが、他の第1〜第3の課題については何
ら改善されない。
【0023】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、駆動効率が高く、特性変動要因が少ない積層圧
電型駆動体及びその製造方法、圧電型アクチュエータ、
液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置を提供する
ことを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明に係る圧電型駆動体は、圧電体層を1層毎に
千鳥状にずらして配置し、積層面の一部を隣接する圧電
体層と接していない構成としたものである。
【0025】ここで、圧電体層には隣接する圧電体層と
接していない領域を含めて内部電極が形成されているこ
とが好ましい。また、隣接する圧電体層に接しない2つ
の圧電体層間に形成される空間には圧電体層よりも弾性
率の低い部材が充填されていることが好ましい。この場
合、充填される部材の弾性率が、1×1010N/m
以下であることが好ましい。
【0026】また、圧電体層の両端部に圧電体と同等又
はそれ以上の弾性率(N/m)を有する支持部材を取
り付けることが好ましい。この場合、支持部材の圧電体
層と接する面に内部電極に接続する電極面を形成するこ
とが好ましい。また、支持部材の長さは積層体全体の積
層方向長さよりも長いことが好ましい。
【0027】本発明に係る圧電型駆動体の製造方法は、
請求項1乃至7の圧電型駆動体を製造する方法であっ
て、圧電体層毎に内部電極を含めて焼成した後、各圧電
体層を積層するものである。
【0028】また、本発明に係る圧電型駆動体の製造方
法は、請求項3又は4の圧電型駆動体を製造する方法で
あって、圧電体層を積層した後に圧電体層よりも弾性率
の低い部材を充填するものである。この場合、圧電体層
よりも弾性率の低い部材を充填した後、圧電体層の両端
部に圧電体と同等又はそれ以上の弾性率(N/m)を
有する支持部材を取り付け、この支持部材を充填した部
材で固定することが好ましい。
【0029】本発明に係る圧電型アクチュエータは、可
動部分とこの可動部分を駆動する本発明に係る圧電型駆
動体とを備えたものである。
【0030】本発明に係る液滴吐出ヘッドは、本発明に
係る圧電型駆動体を圧力室に液滴吐出のための圧力を発
生させる圧力発生手段に含むものである。
【0031】本発明に係るインクジェット記録装置は、
インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして本発明
に係る液滴吐出ヘッドを搭載したものである。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面を参照して説明する。先ず、本発明の第1実施形態
に係る圧電型駆動体について図1を参照して説明する。
この圧電型駆動体1は、圧電材料からなる圧電体層11
と内部電極12、13とを交互に複数層積層配置し、且
つ、各圧電体層11は1層毎に千鳥状にずらして積層し
ている。
【0033】すなわち、各圧電体層11は、積層面の一
部(図中の領域c)が積層面であっても上側又は下側の
圧電体層11と接しておらず、1層置きに対向する圧電
体層11、11の領域cの部分によって空間17が形成
されている。そして、各圧電体層11及び内部電極1
2、13の一端部には、それぞれ内部電極12、13に
接続した外部電極14、15を設けている。この内部電
極12、13は各圧電体層11の全面に形成しないで、
各圧電体層11の空間17に臨む側の端部11a部分に
は内部電極12、13を設けない構成としている。
【0034】ここで、圧電体層11は、例えば厚さ10
〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等
の圧電材により形成され、内部電極12及び13は厚さ
数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)等の金属
材によって形成しているが、これに限るものではない。
【0035】また、この圧電型駆動体1をインクジェッ
トヘッドの圧力発生手段として用いる場合、例えば内部
電極12と13が対向しない不活性部(領域)aの幅は
100〜500μm、内部電極12、13が対向する活
性部(領域)bの幅は1000〜3000μm、積層数
は10〜15層が一般的な寸法となるが、これに限るも
のではない。
【0036】このように構成した圧電型駆動体1におい
ては、従前の積層圧電型駆動体に比べて、不活性部aが
積層方向に非連続な構成(空間17を介在する構成)と
なるので、変形しやすくなる。これにより、活性部bで
発生するひずみを吸収することができ、結果として活性
部bの伸縮動作を抑制しにくくなっている。
【0037】このため、活性部bはより自由度の高い伸
縮が行われ、これによって同じ電界が印加された場合で
も、図21で説明した従前の積層圧電型駆動体に比べ
て、より大きな変位量を得ることができるので、より効
率的な駆動を行うことができ、消費電力も抑えることが
できる。
【0038】次に、本発明の第2実施形態に係る圧電型
駆動体について図2を参照して説明する。この圧電型駆
動体21は、各圧電体層11の全面にわたって内部電極
12、13を形成したものである。すなわち、各圧電体
層11の端部11a部分にも内部電極12、13を形成
することで、圧電体層11には隣接する圧電体層11と
接していない領域を含めて内部電極12又は13を形成
した。その他の構成は第1実施形態の圧電型駆動体1と
同様である。
【0039】このように構成すれば、非活性部aの各圧
電体層11は各層毎に完全に分離され、連続している部
分がないため、活性部bで発生するひずみをより吸収し
やすくなり、それによって、より効率的に駆動できるよ
うになる。また、圧電体層の全面に内部電極を形成する
ことができることにより、前述した図23で説明したよ
うな内部電極の寸法ずれが発生することがなくなり、特
性ばらつきを抑えることができる。
【0040】次に、本発明の第3実施形態に係る圧電型
駆動体について図3を参照して説明する。この圧電型駆
動体31は、上記第2実施形態の圧電型駆動体21の空
間17に、圧電体層11よりも弾性率が小さい部材であ
る充填材18を充填したものである。なお、第1実施形
態の圧電型駆動体21の空間17に充填材18を充填し
た構成とすることもできる。
【0041】このように構成したので、外部電極14、
15を形成する端面が連続的な平坦面になることから、
外部電極14、15の断線が起こりにくくなる。また、
積層された各圧電体層11間の密着性も向上し、より強
固な構造となる。
【0042】このとき、活性領域bで発生するひずみを
容易に吸収できるようにする必要から、充填材18の弾
性率は、圧電体層11よりも低くする必要があり、例え
ばエポキシ材等が好ましいが、これに限るものではな
い。
【0043】また、この充填材18の弾性率は、1×1
10N/m以下のものであることがより好ましい。
すなわち、この充填材18として、弾性率を変えた部材
を使って発生する駆動力の差を駆動方向の発生変位量と
して測定した。
【0044】ここでは、積層圧電型駆動体31は、圧電
体層11をPZT、内部電極12及び13をAgPt、
外部電極14及び15を銀ペーストにて構成した。充填
材18は、その弾性率を1×1019(N/m2)から1
×1012(N/m2)まで変えた材料で比較している。
寸法は、不活性部の幅aを300μm、活性部bの幅を
2000μmとし、各層の厚さは圧電体層11が35μ
m、内部電極12及び13を3μmとしている。圧電型
駆動体は150dpiのインクジェットヘッドに適用す
ることを想定し、図6において紙面に垂直方向の圧電体
層11の幅は99μmとしている。
【0045】そして、この積層圧電型駆動体31を、B
aTiO3にて構成し、圧電体に比べて十分に大きい体
積を持つ基板に取り付けた状態で、25Vの電圧をかけ
て、その積層方向の変位発生量を比較した。この比較結
果を表1に示している。
【0046】
【表1】
【0047】この表1から分かるように、充填材18の
弾性率が1×1010N/m2以下となると、変位量が急
激に増加する。したがって、充填材18としては、弾性
率が1×1010N/m2以下の部材を使うことが好まし
く、例えば1×109〜1×1010N/m2の範囲となる
材料が多いエポキシ材の適用が可能である。
【0048】次に、本発明の第4実施形態に係る圧電型
駆動体について図4を参照して説明する。この圧電型駆
動体41は、上記第3実施形態の圧電型駆動体31の両
端面側に支持部材19、19を取り付けたものである。
この支持部材19は、圧電体層11の積層方向の全面に
わたって圧電体層11と接するように形成し、各支持部
材19、19に外部電極14、15(電極面)をそれぞ
れ形成し、外部電極14を内部電極12と、外部電極1
5を内部電極13にそれぞれ接続している。
【0049】この支持部材19は、圧電体と同等もしく
はそれ以上の弾性率を持つ材料で形成し、例えばBaT
iO3のようなセラミック材で形成しているが、これに
限るものではない。
【0050】なお、ここでは、第3実施形態の圧電型駆
動体31に支持部材19を設けた構成としているが、第
1、第2実施形態の圧電型駆動体1、21に支持部材1
9を設けることもできる。
【0051】このように構成したので、外部電極14、
15は変形の少ない支持部材19に貼り付けた状態で圧
電体層11及び内部電極12、13と接続されるので、
直接圧電体層11に外部電極14、15を取り付ける場
合に比べて、より強固な構造となり、外部電極の破断を
防ぐことができる。
【0052】次に、本発明の第5実施形態に係る圧電型
駆動体及び圧電型アクチュエータについて図5を参照し
て説明する。この圧電型駆動体51は第4実施形態の圧
電型駆動体41の支持部材19の長さを圧電体層11の
積層方向全体の長さよりも長く形成している。そして、
この圧電型駆動体51の支持部材19のみで圧電型駆動
体51を基板20に固定している。
【0053】なお、ここでは、第4実施形態の圧電型駆
動体41に支持部材19を設けた構成で説明している
が、第1、第2、第3実施形態の圧電型駆動体1、2
1、31に支持部材19を設けた圧電型駆動体とするこ
ともできる。
【0054】このように構成したので、圧電型駆動体5
1の圧電体層11が直接固定基板20に接することがな
くなり、圧電体層11が伸縮を行っても、基板20との
間に空間が形成されているために、この伸縮即ちひずみ
が基板20に伝わることはなく、相互干渉の発生を抑え
ることができる。
【0055】ここで、本発明に係る具体的な圧電型駆動
体による変位効率の改善効果について説明する。 (実施例1)図2に示す第2実施形態の構造を持つ積層
圧電型駆動体を作製した。圧電体層11をPZT、内部
電極12及び13をAgPt、外部電極14及び15を
銀ペーストにて構成した。寸法は、不活性部の幅aを3
00μm、活性部bの幅を2000μmとし、各層の厚
さは圧電体層11が35μm、内部電極12及び13を
3μmとしている。圧電型駆動体は150dpiのイン
クジェットヘッドに適用することを想定し、図2におい
て紙面に垂直方向の圧電体層11の幅は99μmとして
いる。
【0056】(比較例)図21に示す構造を持つ積層圧
電型駆動体を作製した。圧電体層201をPZT、内部
電極202及び203をAgPt、外部電極204及び
205を銀ペーストにて構成した。寸法は、不活性部a
の幅を300μm、活性部bの幅を2000μmとし、
各層の厚さは圧電体層201が35μm、内部電極20
2及び203を3μmとしている。圧電型駆動体は15
0dpiのインクジェットヘッドに適用することを想定
し、図21において紙面に垂直方向の圧電体層201の
幅は99μmとしている。
【0057】そして、これらの実施例1及び比較例の各
積層圧電型駆動体を、それぞれBaTiO3にて構成
し、圧電体に比べて十分に大きい体積を持つ基板に取り
付けた状態で、25Vの電圧をかけて、その積層方向の
変位発生量を測定した。各各積層圧電型駆動体の変位発
生量の測定結果を表2に示している。
【0058】
【表2】
【0059】これより、本発明を適用した場合には、1
5%程度変位効率を改善することができる。これから、
逆に同じ変位量を与えるのであれば、印加電圧を15%
抑えることができ、消費電力を低減することが可能とな
ることが分かる。
【0060】(実施例2)図3に示す第3実施形態の構
造を持つ積層圧電型駆動体を作製した。圧電体層11を
PZT、内部電極12及び13をAgPt、外部電極1
4及び15を銀ペーストにて構成した。寸法は、不活性
部の幅aを300μm、活性部bの幅を2000μmと
し、各層の厚さは圧電体層11が35μm、内部電極1
2及び13を3μmとしている。圧電型駆動体は150
dpiのインクジェットヘッドに適用することを想定
し、図3において紙面に垂直方向の圧電体層11の幅は
99μmとしている。また、充填材18は、弾性率2.
94×109N/m2のエポキシ材を適用した。
【0061】そして、この実施例2及び比較例の各積層
圧電型駆動体を、それぞれBaTiO3にて構成し、圧
電体に比べて十分に大きい体積を持つ基板に取り付けた
状態で、25Vの電圧をかけて、その積層方向の変位発
生量を測定した。各各積層圧電型駆動体の変位発生量の
測定結果を表3に示している。
【0062】
【表3】
【0063】これから、実施例1の場合と同様に駆動効
率を改善できていることが分かる。
【0064】次に、本発明に係る圧電型駆動体の製造方
法の第1実施形態について前述した図1、図2を参照し
て説明する。第1実施形態の圧電型駆動体1或いは第2
実施形態の圧電型駆動体21を製造する場合、各層即ち
圧電体11及び内部電極12若しくは13を一つの組と
して、各層毎に独立して内部電極を有する圧電体層11
を焼成し、しかる後に各層を接着等の手段により積層し
て構成する。これによって、内部電極の制御を容易に行
えると同時に、容易に圧電体層11を千鳥状に積層配置
することができる。
【0065】次に、本発明に係る圧電型駆動体の製造方
法の第2実施形態について前述した図3を参照して説明
する。図3の第3実施形態の圧電型駆動体31を製造す
る場合、充填材18は圧電体層11を積層形成した後空
間17に充填する。圧電体層11の形成前、即ち圧電体
の焼成時に充填を行おうとすると、焼成温度に耐えうる
部材を選ぶ必要があるが、積層形成後に充填すれば、高
温のかかる製作工程はそれ以降は存在せず、耐熱性を考
慮せずに充填材を選択することができる。
【0066】次に、本発明に係る圧電型駆動体の製造方
法の第3実施形態について前述した図4を参照して説明
する。図4の第4実施形態の圧電型駆動体41を製造す
る場合、充填材18を充填した直後に支持部材19を取
り付けて、充填材18で支持部材18を固定する。この
ように充填材18によって支持部材19の固定を行うよ
うにすれば、充填材18の充填工程と支持部材19の取
付工程を同時に行うことができ、製造工程を簡略化でき
る。例えば、充填材に接着性のあるエポキシ材等を適用
すれば、その接着力によって支持部材19の固定も同時
に行うことができる。
【0067】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドとして
のインクジェットヘッドの一例について図6乃至図9を
参照して説明する。なお、図6は同ヘッドの分解斜視説
明図、図7は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明
図、図8は図2の要部拡大説明図、図9は同ヘッドの液
室短手方向に沿う断面説明図である。
【0068】このインクジェットヘッドは、単結晶シリ
コン基板で形成した流路形成基板(液室基板)61と、
この流路形成基板61の下面に接合した振動板62と、
流路形成基板61の上面に接合したノズル板63とを有
し、これらによってインク滴を吐出するノズル65が連
通する流路(インク液室)である加圧液室66、加圧液
室66に流体抵抗部となるインク供給路67を介してイ
ンクを供給する共通液室68を形成している。
【0069】そして、振動板62の面外側(液室66と
反対面側)に各加圧液室66に対応して駆動手段として
の本発明に係る積層圧電型駆動体(積層型圧電素子)7
2を接合し、この積層型圧電素子72はベース基板73
に接合して固定している。この場合、図5に示した第5
実施形態に係る構成とすることで、前述したようにベー
ス基板73と積層型圧電素子72の圧電体層間にギャッ
プを空けることができる。これらの振動板62と積層型
圧電素子72によって振動板62を可動部分とする圧電
型アクチュエータを構成している。
【0070】このベース基板73の圧電素子72の列の
中央部にはインク供給口形成部材74をベース基板73
に接合している。なお、インク供給口形成部材74はベ
ース基板73をエッチングすることでベース基板73と
一体形成することもできる。ベース基板73及びインク
供給口形成部材74には共通液室68に外部からインク
を供給するためのインク供給口69を形成する貫通穴を
形成している。
【0071】また、流路形成基板61の外周部及び振動
板62の下面側外縁部をエポキシ系樹脂或いはポリフェ
ニレンサルファイトで射出成形により形成したヘッドフ
レーム77に接着接合し、このヘッドフレーム77とベ
ース基板73とは図示しない部分で接着剤などで相互に
固定している。
【0072】さらに、圧電素子72には駆動信号を与え
るために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若し
くはワイヤボンディングでFPCケーブル78を接続
し、このFPCケーブル78には各圧電素子72の内部
電極に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ド
ライバIC)79を実装している。
【0073】ここで、流路形成基板61は、結晶面方位
(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶
液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異
方性エッチングすることで、各加圧液室66となる貫通
穴、インク供給路67となる溝部、共通液室68となる
貫通穴をそれぞれ形成している。各加圧液室66の間は
隔壁80となる。
【0074】振動板62は例えばニッケルの金属プレー
トから形成したものであるが、この他、樹脂部材或いは
樹脂部材と金属部材の積層部材などで形成することがで
きる。この振動板62は加圧液室66に対応する部分に
変形を容易にするための薄肉部81及び圧電素子72と
接合するための中央厚肉部72を形成するとともに、隔
壁70に対応する部分にも周囲厚肉部73を形成し、平
坦面側を流路形成基板61に接着剤接合し、周囲厚肉部
83をフレーム77に接着剤接合している。
【0075】この振動板62の液室間隔壁80(加圧液
室66、66間の隔壁80)に対応する周囲厚肉部83
とベース基板83との間には支持部材などを設けず空間
としている。この場合、上部の加圧液室66の剛性を保
つとともに圧電素子72の変形による振動板72の中央
厚肉部82の変位効率を確保するために、加圧液室6
6、すなわち、隔壁80やノズル板63及び振動板62
の剛性を高くし、また、それぞれの接合部分の強度を十
分に確保している。
【0076】ノズル板63は各加圧液室66に対応して
直径10〜30μmのノズル65を形成し、流路形成基
板61に接着剤接合している。このノズル板63として
は、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミ
ド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、
及びそれらの組み合わせからなるものを用いることがで
きる。また、ノズル面(吐出方向の表面:吐出面)に
は、インクとの撥水性を確保するため、メッキ被膜、あ
るいは撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を
形成している。このノズル板63の周囲とヘッドフレー
ム77との間には封止剤86を充填している。この封止
剤86は接着の役割も兼ねている。
【0077】このように構成したインクジェットヘッド
においては、圧電素子72に対して選択的に20〜50
Vの駆動パルス電圧を印加することによって、パルス電
圧が印加された圧電素子72が積層方向(d33方向を
用いる場合)に変位して振動板62をノズル65方向に
変形させ、加圧液室66の容積/体積変化によって加圧
液室66内のインクが加圧され、ノズル65からインク
滴が吐出(噴射)される。
【0078】そして、インク滴の吐出に伴って加圧液室
66内の液圧力が低下し、このときのインク流れの慣性
によって加圧液室66内には若干の負圧が発生する。こ
の状態の下において、圧電素子72への電圧の印加をオ
フ状態にすることによって、振動板62が元の位置に戻
って加圧液室66が元の形状になるため、さらに負圧が
発生する。このとき、インク供給口69から共通液室6
8、流体抵抗部であるインク供給路67を経て加圧液室
66内にインクが充填される。そこで、ノズル65のイ
ンクメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次のイ
ンク滴吐出のために圧電素子72にパルス電圧を印加し
インク滴を吐出させる。
【0079】このように本発明に係る圧電型駆動体を圧
力発生手段とすることによって、低消費電流で動作し、
印字特性の安定したインクジェットヘッドを得ることが
できる。
【0080】次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドである
インクジェットヘッドを搭載したインクジェット記録装
置の一例について図10及び図11を参照して説明す
る。なお、図10は同記録装置の斜視説明図、図11は
同記録装置の機構部の側面説明図である。
【0081】このインクジェット記録装置は、記録装置
本体111の内部に主走査方向に移動可能なキャリッ
ジ、キャリッジに搭載した本発明に係るインクジェット
ヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへインクを供給
するインクカートリッジ等で構成される印字機構部11
2等を収納し、装置本体111の下方部には前方側から
多数枚の用紙113を積載可能な給紙カセット(或いは
給紙トレイでもよい。)114を抜き差し自在に装着す
ることができ、また、用紙113を手差しで給紙するた
めの手差しトレイ115を開倒することができ、給紙カ
セット114或いは手差しトレイ115から給送される
用紙113を取り込み、印字機構部112によって所要
の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ1
16に排紙する。
【0082】印字機構部112は、図示しない左右の側
板に横架したガイド部材である主ガイドロッド12と従
ガイドロッド122とでキャリッジ123を主走査方向
(図15で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキ
ャリッジ123にはイエロー(Y)、シアン(C)、マ
ゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐
出する本発明に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェッ
トヘッドからなるヘッド124を複数のインク吐出口を
主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向
を下方に向けて装着している。またキャリッジ123に
はヘッド124に各色のインクを供給するための各イン
クカートリッジ125を交換可能に装着している。
【0083】インクカートリッジ125は上方に大気と
連通する大気口、下方にはインクジェットヘッドへイン
クを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多
孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジ
ェットヘッドへ供給されるインクをわずかな負圧に維持
している。
【0084】また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘ
ッド124を用いているが、各色のインク滴を吐出する
ノズルを有する1個のヘッドでもよい。
【0085】ここで、キャリッジ123は後方側(用紙
搬送方向下流側)を主ガイドロッド121に摺動自在に
嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッ
ド122に摺動自在に載置している。そして、このキャ
リッジ123を主走査方向に移動走査するため、主走査
モータ127で回転駆動される駆動プーリ128と従動
プーリ129との間にタイミングベルト130を張装
し、このタイミングベルト130をキャリッジ123に
固定しており、主走査モーター127の正逆回転により
キャリッジ123が往復駆動される。
【0086】一方、給紙カセット114にセットした用
紙113をヘッド124の下方側に搬送するために、給
紙カセット114から用紙113を分離給装する給紙ロ
ーラ131及びフリクションパッド132と、用紙11
3を案内するガイド部材133と、給紙された用紙11
3を反転させて搬送する搬送ローラ134と、この搬送
ローラ134の周面に押し付けられる搬送コロ135及
び搬送ローラ134からの用紙113の送り出し角度を
規定する先端コロ136とを設けている。搬送ローラ1
34は副走査モータ137によってギヤ列を介して回転
駆動される。
【0087】そして、キャリッジ123の主走査方向の
移動範囲に対応して搬送ローラ134から送り出された
用紙113を記録ヘッド124の下方側で案内する用紙
ガイド部材である印写受け部材139を設けている。こ
の印写受け部材139の用紙搬送方向下流側には、用紙
113を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送
コロ141、拍車142を設け、さらに用紙113を排
紙トレイ116に送り出す排紙ローラ143及び拍車1
44と、排紙経路を形成するガイド部材145,146
とを配設している。
【0088】記録時には、キャリッジ123を移動させ
ながら画像信号に応じて記録ヘッド124を駆動するこ
とにより、停止している用紙113にインクを吐出して
1行分を記録し、用紙113を所定量搬送後次の行の記
録を行う。記録終了信号または、用紙113の後端が記
録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を
終了させ用紙113を排紙する。この場合、ヘッド12
4を構成する本発明に係るインクジェットヘッドはイン
ク滴噴射の制御性が向上し、特性変動が抑制されている
ので、安定して高い画像品質の画像を記録することがで
きる。
【0089】また、キャリッジ123の移動方向右端側
の記録領域を外れた位置には、ヘッド124の吐出不良
を回復するための回復装置147を配置している。回復
装置147はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手
段を有している。キャリッジ123は印字待機中にはこ
の回復装置147側に移動されてキャッピング手段でヘ
ッド124をキャッピングされ、吐出口部を湿潤状態に
保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。
また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出す
ることにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、
安定した吐出性能を維持する。
【0090】吐出不良が発生した場合等には、キャッピ
ング手段でヘッド124の吐出口を密封し、チューブを
通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸
い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニ
ング手段により除去され吐出不良が回復される。また、
吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜
(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体
に吸収保持される。
【0091】なお、上記実施形態においては、液滴吐出
ヘッドとしてインクジェットヘッドに適用した例で説明
したが、インクジェットヘッド以外の液滴吐出ヘッドと
して、例えば、液体レジストを液滴として吐出する液滴
吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐
出ヘッドなどの他の液滴吐出ヘッド及びその圧電型アク
チュエータ部にも適用できる。
【0092】また、上記実施形態においては、本発明を
振動板変位方向と液滴吐出方向が同じになるサイドシュ
ータ方式のヘッドに適用したが、振動板変位方向とイン
ク滴吐出方向とが直交するエッジシュータ方式のヘッド
にも同様に適用することができる。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る圧電
型駆動体によれば、圧電体層を1層毎に千鳥状にずらし
て配置し、積層面の一部を隣接する圧電体層と接してい
ない構成としたので、変位効率が向上し、消費電力を低
減できる。
【0094】ここで、圧電体層には隣接する圧電体層と
接していない領域を含めて内部電極を形成することで、
より変位効率が向上するとともに、内部電極に高い加工
精度が要求されず、よりばらつきの少ない安定した駆動
特性が得られる。また、隣接する圧電体層に接しない2
つの圧電体層間に形成される空間には圧電体層よりも弾
性率の低い部材が充填されていることで、圧電体層間の
密着性が増すと同時に、外部電極がより破断しにくくな
り、より特性の安定した駆動体を得ることができる。こ
の場合、充填する部材の弾性率を、1×1010N/m
以下とすることで、活性部によって発生するひずみを
十分に吸収でき、かつ駆動効率を改善することができ
る。
【0095】また、圧電体層の両端部に圧電体と同等又
はそれ以上の弾性率(N/m)を有する支持部材を取
り付けることにより、外部電極の破断を抑制でき、より
安定した駆動体が得られる。この場合、支持部材の圧電
体層と接する面に内部電極に接続する電極面を形成する
ことで、容易に内部電極との接続を行うことができる。
【0096】また、支持部材の長さは積層体全体の積層
方向長さよりも長くすることで、圧電体層を接触させる
ことなく基板に固定することが可能になり、基板を介し
た相互干渉を防止できる。
【0097】本発明に係る圧電型駆動体の製造方法によ
れば、請求項1乃至7の圧電型駆動体を製造する方法で
あって、圧電体層毎に内部電極を含めて焼成した後、各
圧電体層を積層するので、簡単な工程で本発明に係る圧
電型駆動体を得ることができる。
【0098】また、本発明に係る圧電型駆動体の製造方
法によれば、請求項3又は4の圧電型駆動体を製造する
方法であって、圧電体層を積層した後に圧電体層よりも
弾性率の低い部材を充填するので、充填材の選択の幅が
広がり、駆動体の構造、特定に適した充填材を選択する
ことができる。この場合、圧電体層よりも弾性率の低い
部材を充填した後、圧電体層の両端部に圧電体と同等又
はそれ以上の弾性率(N/m)を有する支持部材を取
り付け、この支持部材を充填した部材で固定することに
よって、製造工程を簡略化できる。
【0099】本発明に係る圧電型アクチュエータによれ
ば、可動部分とこの可動部分を駆動する本発明に係る圧
電型駆動体とを備えたので、変位効率が高く、消費電力
が小さいアクチュエータを得られる。
【0100】本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、本
発明に係る圧電型駆動体を圧力室に液滴吐出のための圧
力を発生させる圧力発生手段に含むので、駆動効率が高
く、安定した特性が得られ、より低消費電力で駆動可能
になるとともに安定した滴吐出特性が得られる。
【0101】本発明に係るインクジェット記録装置によ
れば、インク滴を吐出するインクジェットヘッドとして
本発明に係る液滴吐出ヘッドを搭載したので、安定して
高品質の画像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る圧電型駆動体の断
面説明図
【図2】本発明の第2実施形態に係る圧電型駆動体の断
面説明図
【図3】本発明の第3実施形態に係る圧電型駆動体の断
面説明図
【図4】本発明の第4実施形態に係る圧電型駆動体の断
面説明図
【図5】本発明の第5実施形態に係る圧電型駆動体及び
圧電型アクチュエータの断面説明図
【図6】本発明に係る液滴吐出ヘッドの一例を示す分解
斜視説明図
【図7】同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図
【図8】図7の要部拡大説明図
【図9】同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図
【図10】本発明に係るインクジェット記録装置の一例
を示す斜視説明図
【図11】同記録装置の機構部の側面説明図
【図12】従来の圧電型駆動体の断面説明図
【図13】従来の他の圧電型駆動体の断面説明図
【図14】従来の圧電型駆動体における活性領域のばら
つきの説明に供する説明図
【図15】従来の圧電型駆動体における相互干渉の説明
に供する説明図
【符号の説明】
1,21,31,41,51…圧電型駆動体、11…圧
電体層、12、13…内部電極、14,15…外部電
極、17…空間、18…充填材、19…支持部材、20
…基板、61…流路形成基板、62…振動板、63…ノ
ズル板、65…ノズル、66…加圧液室、67…インク
供給路、68…共通液室、72…圧電素子、73…ベー
ス基板。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/22 H01L 41/22 Z H02N 2/00 (72)発明者 岡田 康之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2C057 AF51 AG42 AG47 AG94 AP14 AP21 BA03 BA14

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料からなる圧電体層と内部電極と
    が交互に複数層積層され、前記内部電極間に電圧を印加
    することにより変位を発生する積層圧電型駆動体におい
    て、前記圧電体層は、1層毎に千鳥状にずれて配置さ
    れ、積層面の一部は隣接する圧電体層と接していないこ
    とを特徴とする圧電型駆動体。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の圧電型駆動体におい
    て、前記圧電体層には隣接する圧電体層と接していない
    領域を含めて前記内部電極が形成されていることを特徴
    とする圧電型駆動体。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の圧電型駆動体に
    おいて、隣接する圧電体層に接しない2つの圧電体層間
    に形成される空間には圧電体層よりも弾性率の低い部材
    が充填されていることを特徴とする圧電型駆動体。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の圧電型駆動体におい
    て、充填される部材の弾性率が、1×1010N/m
    以下であることを特徴とする圧電型駆動体。
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の圧電
    型駆動体おいて、圧電体層の両端部に圧電体と同等又は
    それ以上の弾性率(N/m)を有する支持部材を取り
    付けたことを特徴とする圧電型駆動体。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の圧電型駆動体におい
    て、前記支持部材の圧電体層と接する面に前記内部電極
    に接続した電極面を形成したことを特徴とする圧電型駆
    動体。
  7. 【請求項7】 請求項5又は6に記載の圧電型駆動体に
    おいて、前記支持部材の長さは積層体全体の積層方向長
    さよりも長いことを特徴とする圧電型駆動体。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載の圧電
    型駆動体を製造する方法であって、前記圧電体層毎に内
    部電極を含めて焼成した後、各圧電体層を積層すること
    を特徴とする圧電型駆動体の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項3又は4に記載の圧電型駆動体を
    製造する方法であって、前記圧電体層を積層した後に前
    記圧電体層よりも弾性率の低い部材を充填することを特
    徴とする圧電型駆動体の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の圧電型駆動体の製造
    方法において、前記圧電体層よりも弾性率の低い部材を
    充填した後、圧電体層の両端部に圧電体と同等又はそれ
    以上の弾性率(N/m)を有する支持部材を取り付
    け、この支持部材を前記充填した部材で固定することを
    特徴とする圧電型駆動体。
  11. 【請求項11】 可動部分とこの可動部分を駆動する圧
    電型駆動体を備えた圧電型アクチュエータにおいて、前
    記圧電型駆動体は請求項1乃至7のいずれかに記載の圧
    電型駆動体であることを特徴とする圧電型アクチュエー
    タ。
  12. 【請求項12】 液滴を吐出するノズルと、ノズルが連
    通する圧力室と、圧力室に液滴吐出のための圧力を発生
    させる圧力発生手段を備えた液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記圧力発生手段は前記請求項1乃至7のいずれかに記
    載の圧電型駆動体を含むことを特徴とする液滴吐出ヘッ
    ド。
  13. 【請求項13】 インク滴を吐出するインクジェットヘ
    ッドを搭載したインクジェット記録装置において、前記
    インクジェットヘッドは請求項12に記載の液滴吐出ヘ
    ッドであることを特徴とするインクジェット記録装置。
JP2001238792A 2001-08-07 2001-08-07 圧電型駆動体及びその製造方法、圧電型アクチュエータ、液滴吐出ヘッド及びインクジェット記録装置 Pending JP2003051627A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2006066878A (ja) * 2004-07-27 2006-03-09 Denso Corp 積層型圧電体素子及び、これを用いたインジェクタ

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