JP2004066630A - ヘッド駆動制御装置及び画像記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】滴を吐出しない工程を含むことから印刷速度が低下する。
【解決手段】駆動波形発生回路77から中間電位レベルVHから加圧室46の容積を膨張させる第一の信号aと加圧室46の膨張状態を保持する第二の信号bと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号cを含む工程1と、工程1の終了後、加圧室46の収縮状態を保持する工程2と少なくとも加圧室6の容積を膨張させる第四の信号dと加圧室46の膨張状態を保持する第五の信号eと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号fを含む工程3からなる駆動波形Pvを出力し、工程3の開始タイミングt1は加圧室46の圧力が負圧になっている時間内に設定されている。
【選択図】 図7
【解決手段】駆動波形発生回路77から中間電位レベルVHから加圧室46の容積を膨張させる第一の信号aと加圧室46の膨張状態を保持する第二の信号bと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号cを含む工程1と、工程1の終了後、加圧室46の収縮状態を保持する工程2と少なくとも加圧室6の容積を膨張させる第四の信号dと加圧室46の膨張状態を保持する第五の信号eと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号fを含む工程3からなる駆動波形Pvを出力し、工程3の開始タイミングt1は加圧室46の圧力が負圧になっている時間内に設定されている。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明はヘッド駆動制御装置及び画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧室、液室、加圧室等とも称される。)と、このインク流路内のインクを加圧する圧力発生手段とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】
インクジェットヘッドとしては、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆる圧電型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどが知られている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドの駆動制御装置として、例えば圧電型ヘッドの場合、振動板を加圧室側に押し込み、加圧室内の容積を小さくすることでインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内の内容積を広げた状態から元の容積になるように振動板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打ち法で駆動するものとがある。
【0005】
また、インクジェット記録装置において、高速印字を行うためにインク滴量を増加するため、例えば特開平11−123819号公報には、インク滴を吐出させない程度に圧力発生室を加圧又は減圧し、増減した圧力をホールドすることで発生するノズルメニスカスの振動のタイミングを捉えてインク滴の吐出工程を行うインクジェット式記録ヘッドの駆動方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあっては、インクを吐出させない工程を含むために、記録速度の向上が阻害されているという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくし画像品質を向上し得るヘッド駆動制御装置及び画像記録装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッド駆動制御装置は、少なくとも、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが前記加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されている構成としたものである。
【0009】
ここで、隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に後の駆動パルスは立ち上がりタイミングが加圧室の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることが好ましい。また、隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングがノズル面よりもメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係るヘッド駆動制御装置は、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後、加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動パルスを出力する手段を有し、この駆動パルスの工程3の開始タイミングが加圧室内の圧力が負圧になっている時間内に設定されている構成としたものである。
【0011】
ここで、工程3の開始タイミングがノズル面よりもメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることが好ましい。或いは、工程3の開始タイミングが工程1で吐出される液滴がノズル面から分離した後に設定されていることが好ましい。若しくは、工程3の第六信号の開始タイミングは加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることが好ましい。
【0012】
また、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されていることが好ましい。この場合、工程1の駆動パルスと工程3の駆動パルスとの間の工程2に、加圧室の容積を膨張させる第七の信号と加圧室の膨張状態を保持する第八の信号と膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第九の信号を含むことが好ましい。
【0013】
本発明に係る画像記録装置は、一駆動周期内で時系列的に少なくとも本発明に係るヘッド駆動制御装置における工程1の駆動パルスと工程2の駆動パルスと工程3の駆動パルスのうち2個以上の駆動パルスを含む駆動波形を生成出力して、少なくとも工程1、工程2、工程3の駆動パルスのうち1又は複数の駆動パルスを選択的に圧力発生手段に与える構成としたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機構部の側面説明図である。
【0015】
このインクジェット記録装置装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0016】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側にはヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着している。
【0017】
インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッド14へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクをヘッド14内に供給する。
【0018】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0019】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド14としては、後述するように、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板と、この振動板を圧電素子で変形させるピエゾ型インクジェットヘッドを用いている。
【0020】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0021】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0022】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0023】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37を配置している。回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14をキャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0024】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0025】
次に、このインクジェット記録装置の記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて図3乃至図5を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図、図5は同ヘッドの要部平面説明図である。
【0026】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路板41と、この流路板41の下面に接合した振動板42と、流路板41の上面に接合したノズル板43とを有し、これらによって液滴であるインク滴を吐出するノズル45がノズル連通路45aを介して連通するインク流路である加圧室46、加圧室46にインクを供給するための共通液室48にインク供給口49を介して連通する流体抵抗部となるインク供給路17を形成している。
【0027】
そして、振動板42の外面側(液室と反対面側)に各加圧室46に対応して加圧室46内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての積層型圧電素子52を接合し、この圧電素子52をベース基板53に接合している。また、圧電素子52の間には加圧室46、46間の隔壁部41aに対応して支柱部54を設けている。ここでは、圧電素子部材にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施すことで櫛歯状に分割して、1つ毎に圧電素子52と支柱部54して形成している。支柱部54も構成は圧電素子51と同じであるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0028】
さらに、振動板42の外周部はフレーム部材44にギャップ材を含む接着剤50にて接合している。このフレーム部材44には、共通液室48となる凹部、この共通液室48に外部からインクを供給するための図示しないインク供給穴を形成している。このフレーム部材44は、例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0029】
ここで、流路板41は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路45a、加圧室46、インク供給路47となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
【0030】
振動板42は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他の金属板や樹脂板或いは金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板42は加圧室46に対応する部分に変形を容易にするための薄肉部(ダイアフラム部)55及び圧電素子52と接合するための厚肉部(島状凸部)56を形成するとともに、支柱部54に対応する部分及びフレーム部材44との接合部にも厚肉部57を形成し、平坦面側を流路板41に接着剤接合し、島状凸部56を圧電素子52に接着剤接合し、更に厚肉部57を支柱部54及びフレーム部材44に接着剤50で接合している。なお、ここでは、振動板42を2層構造のニッケル電鋳で形成している。この場合、ダイアフラム部55の厚みは3μm、幅は35μm(片側)としている。
【0031】
ノズル板43は各加圧室46に対応して直径10〜35μmのノズル45を形成し、流路板41に接着剤接合している。このノズル板43としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ここでは、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成している。また、ノズル43の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル45の穴径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmとしている。さらに、各列のノズルピッチは150dpiとした。
【0032】
また、ノズル板43のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0033】
圧電素子52は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層61と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層62とを交互に積層したものであり、内部電極62を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極63、共通電極64に電気的に接続したものである。この圧電常数がd33である圧電素子52の伸縮により加圧室46を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子52に駆動信号が印加され充電が行われると図3中の矢印A方向に伸長し、また圧電素子52に充電された電荷が放電すると矢印A方向とは反対方向に収縮するようになっている。
【0034】
なお、圧電素子部材の一端面の端面電極はハーフカットによるダイシング加工で分割されて個別電極63となり、他端面の端面電極は切り欠き等の加工による制限で分割されずにすべての圧電素子52で導通した共通電極64となる。
【0035】
そして、圧電素子52の個別電極63には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル65を接続し、このFPCケーブル65には各圧電素子52に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)を接続している。また、共通電極64は、圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPCケーブル65のグラウンド(GND)電極に接続している。
【0036】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、例えば、記録信号に応じて圧電素子52に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、圧電素子52に積層方向の変位が生起し、振動板42を介して加圧室46内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル45からインク滴が吐出される。
【0037】
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧室46内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧室46内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、図示しないインクタンクから供給されたインクは共通液室48に流入し、共通液室47からインク供給口49を経て流体抵抗部47を通り、加圧室46内に充填される。
【0038】
なお、流体抵抗部47は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部47の流体抵抗値を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0039】
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。
この制御部は、プリンタコントローラ70とヘッド駆動回路71を含むエンジンコントローラとから構成されている。プリンタコントローラ70は、ホストコンピュータ等からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介して受信するインターフェース(以下「I/F」という)72と、CPU等からなる主制御部73と、各種データの記憶等を行うRAM74と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM75と、発振回路76と、ヘッド14の圧電素子52に与える複数の駆動パルスを含む駆動波形Pvを発生させる駆動波形発生手段としての駆動波形発生回路77と、ドットパターンデータ(ビットマップデータ)に展開された印字データ及び駆動波形等をヘッド駆動回路71に送信するためのI/F78、環境温度を検出する温度検出手段である温度センサ80等とを備えている。
【0040】
RAM74は各種バッファ及びワークメモリ等として用いる。ROM75は主制御部73によって実行する各種制御ルーチンとフォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。主制御部73は、I/F72に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータをRAM74の所定のエリアで構成した中間バッファに記憶し、読み出した中間コードデータをROM75に格納したフォントデータを用いてドットパターンデータに展開し、RAM74の異なる所定のエリアに再び記憶する。
【0041】
主制御部73は、記録ヘッド14の1行分に相当するドットパターンデータが得られると、この1行分のドットパターンデータを、発振回路76からのクロック信号CKに同期して、I/F78を介してヘッド駆動回路71にシリアルデータSDで送出する。
【0042】
ヘッド駆動回路71は、ドライバIC上に実装され、プリンタコントローラ70からのクロック信号CK及び印字信号であるシリアルデータSDを入力するシフトレジスタ81と、シフトレジスタ81のレジスト値をプリンタコントローラ70からのラッチ信号LATでラッチするラッチ回路82と、ラッチ回路82の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)83と、このレベルシフタ83でオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ回路)84とからなる。スイッチ回路84は、プリンタコントローラ70の駆動波形発生回路77からの駆動波形Pvを入力するアナログスイッチアレイからなり、記録ヘッド(インクジェットヘッド)の各ノズルに対応する圧電素子52に接続されている。
【0043】
そして、シフトレジスタ81にシリアル転送された印字データSDは、一旦、ラッチ回路82によってラッチされる。ラッチされた印字データはレベルシフタ83によってスイッチ回路84のスイッチを駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の所定の電圧値まで昇圧されてスイッチ手段としてのスイッチ回路84に与えられる。
【0044】
このスイッチ回路84の入力側には、駆動波形発生回路77からの駆動波形Pvが印加されており、スイッチ回路84の出力側には、圧力発生手段としての圧電素子52が接続されている。したがって、例えば、スイッチ回路84に加わる印字データが「1」である期間中は、駆動波形Pvから得られる駆動パルス圧電素子52に印加され、この駆動パルスPに応じて圧電素子52は伸縮を行う。一方、スイッチ回路84に加わる印字データが「0」の期間中は、圧電素子52への駆動パルスの供給が遮断される。
【0045】
駆動波形発生回路77は、ディスクリート回路で構成することもできるが、ここでは駆動波形Pvのパターンデータを格納したROMと、このROMから読み出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器とで構成している。そして、ここでは、駆動波形発生回路77には予め環境温度に対応する複数の駆動波形パターンを記憶しておき、温度センサ80で検出された環境温度(検出温度)に応じて出力する駆動波形を選択するようにしている。
【0046】
このように構成したインクジェット記録装置に含まれる本発明に係るヘッド駆動制御装置の実施形態について説明する。
先ず、本発明に係るヘッド駆動制御装置の第1実施形態について図7を参照して説明する。この第1実施形態は、圧電常数がd33である圧電素子52を備えたインクジェットヘッドを引き打ち法で駆動して小滴のインク滴を形成するものである。
【0047】
この実施形態では、駆動波形生成回路77から図7(a)に示すような駆動波形Pvを生成して出力し、この駆動波形Pvがスイッチ回路84を介して駆動パルスとして圧力発生手段である圧電素子52に印加される。なお、以下では駆動パルスが2個の例で説明するが3個以上にすることもできる。
【0048】
この駆動波形Pvは、中間電位レベルVHから加圧室46の容積を膨張させる第一の信号(波形要素)aと加圧室46の膨張状態を保持する第二の信号bと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号cを含む工程1と、工程1の終了後、加圧室46の収縮状態を保持する工程2と少なくとも加圧室6の容積を膨張させる第四の信号dと加圧室46の膨張状態を保持する第五の信号eと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号fを含む工程3からなる駆動波形である。
【0049】
ここで、先ず、初期状態として中間電位レベルVHにより圧電素子52が伸びて振動板42が加圧室46側に変形して加圧室46の容積が収縮している状態から、この駆動波形Pvをインクジェットヘッドの圧電素子52に印加することによって、駆動パルスP1の第一の信号aが印加され圧電素子52が復元して加圧室46の容積が膨張する。そして、膨張状態ホールドの第二の信号bが印加されることで膨張状態がホールドされる。
【0050】
この間インクメニスカスは、同図(b)に示すように、はじめ加圧室46側に移動するが、しばらくするとノズル45外側(インク吐出側)へ向かって移動を開始する。ここで、所望の小さいインク滴(インク小)を形成する場合、インクメニスカスが加圧室46側に移動し始めるタイミングで加圧室46の収縮信号である第三の信号cを印加することで小さいインク滴を吐出することができる。インク滴速度Vjやインク滴量Mjは第三の信号cを調節することで達成できる。
【0051】
その後、インクメニスカスはノズル45外側へ向かって移動を開始するが、第三の信号cを加えたことで、加えないときよりもノズル45外側へ向かう時間が早まっており、高速印字をより容易にする効果がある。
【0052】
そして、インクメニスカスがノズル45外側へ移動している状態では、同図(c)に示すように、加圧室46内の圧力は(大気圧に対して)正圧から負圧へ移行していき、ノズル面からインクメニスカスが盛り上がっているときが加圧室46内の負圧が最大付近になっている。その後、再びインクメニスカスが加圧室46側に移動し始め、その状態では加圧室46内の圧力は(大気圧に対して)負圧から正圧へ移行していく。
【0053】
ここで、加圧室46内が負圧の間(図7中では「最適時刻」と範囲を表記)は、工程3の駆動パルスP2の第四信号dを印加してもメニスカスを加圧室46側へ引き込みにくくなっている。すなわち、吐出できるインク滴量は第六信号fの印加時のメニスカス位置で決まる。したがって、工程3の第四信号dの開始時刻(開始タイミング)t1を加圧室46内が負圧になっている間にすれば、より多くのインク滴量Mjを吐出することができる。
【0054】
したがって、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きなインク滴量を得ることができる。
【0055】
また、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されていることで、引き打ち駆動において短い時間でインク滴量を大きく吐出させることが可能になる。
【0056】
また、工程3の第五信号eを調整して加圧室46内が正圧になっている間に工程3の第六信号fを印加すれば、インク吐出速度Vjが効率よく速くできるので、記録媒体に届くまでに1滴にでき、記録媒体上で真円なドットを形成することができるようになる。
【0057】
したがって、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定され、時系列的に後の駆動パルスの立ち上がりタイミングが加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きなインク滴量を得ることができ、かつインク滴速度を速くできて真円にドットを形成できる。
【0058】
また、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングがインクメニスカスがインク吐出側に移動している時間内で、工程1で吐出されるインク滴がノズル面から分離した後に設定されていることで、引き打ち駆動において工程1で確実にインク滴を吐出できるので、工程3で吐出するインク滴と合わせてインク滴量をより大きく吐出させることが可能になる。
【0059】
また、ノズル面からインクメニスカスが盛り上がっているときが加圧室46内の負圧が最大付近になっているので、このタイミングで工程3の第四信号dを印加すれば、一番効率よく多くのインク滴量Mjを吐出することができる。
【0060】
したがって、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定され、時系列的に先の駆動パルスの立ち下がりタイミングがノズル面からインクメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きなインク滴量を得ることができ、かつ、加圧室内の負圧が最大付近になるので駆動パルスを立ち下げて加圧室を膨張させてもメニスカスを加圧室側へは最も引き込みにくくなる結果、次の駆動パルスの立ち上がりにはより多くのインク滴量を吐出できる。
【0061】
また、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングがインクメニスカスがインク吐出側に移動している時間内で、ノズル面からインクメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることで、加圧室内の負圧が最大付近になるので工程3の第四信号を印加してもメニスカスを加圧室側へは最も引き込みにくくなる結果、第六信号の印加時にはより多くのインク滴量を吐出できる。
【0062】
さらに、工程1で吐出されるインク滴がノズル面から分離した後は、タイミング的に加圧室46内が負圧になっている状態になっているので、工程3でより多くのインク滴量Mjを吐出でき、かつ工程1で吐出したインク滴と合わせて、インク滴量を多くすることができる。
【0063】
したがって、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングがインクメニスカスがインク吐出側に移動している時間内で、工程3の第六信号の開始タイミングが加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合、より大きなインク滴量を得ることができ、かつインク滴速度を大きくできるので、記録媒体に届くまでに1滴に合体させ、記録媒体上に真円にドットを形成できる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態に係るヘッド駆動制御装置について図8を参照して説明する。
この実施形態は、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧を同じ電圧に設定した駆動パルスを生成出力して、これらの複数の駆動パルスから所望の波形を有する駆動パルスを得るものである。
【0065】
ここでは、駆動波形発生回路77は、図8に示すように、駆動波形Pvとして、1駆動周期内で、2個の駆動パルスである工程1、工程3の駆動パルスを生成して出力する。また、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されている。
【0066】
したがって、スイッチ回路84のオン/オフにより表1に示すような駆動パルスを選択すると、4階調(Mj0、Mj1、Mj2、Mj3)のインク滴量の異なるインク滴を吐出させることができる。
【0067】
【表1】
【0068】
次に、本発明の第2実施形態に係るヘッド駆動制御装置について図8を参照して説明する。
この実施形態は、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧を同じ電圧に設定した駆動パルスを生成出力して、これらの複数の駆動パルスから所望の波形を有する駆動パルスを得るものである。
【0069】
ここでは、駆動波形発生回路77は、図9に示すように、駆動波形Pvとして、1駆動周期内で、3個の駆動パルスである工程1、工程2、工程3の駆動パルスを生成して出力する。また、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されている。さらに、工程2でも工程1、工程3と同様な駆動パルスを設定した駆動パルスを生成出力する。つまり、工程2は加圧室46の容積を膨張させる第七の信号gと加圧室46の膨張状態を保持する第八の信号hと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第九の信号iを含む信号である。
【0070】
したがって、スイッチ回路84のオン/オフにより表2に示すような駆動パルスを選択すると、5階調(Mj0、Mj1、Mj2、Mj3、Mj4)のインク滴量の異なるインク滴を吐出させることができる。
【0071】
【表2】
【0072】
このように、第2、第3実施形態によれば、引き打ち駆動において1印刷周期で様々なインク滴量のインク滴を打ち分けることが可能となって、インク滴量の可変範囲を大きくできるので、高画質印刷が可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態においては、圧電素子はd33方向変位のPZTを前提にしたが、たわみ振動型のPZTでもよい。しかし、d33方向変位のPZTを用いた方が、素子の信頼性が高い。また、本発明に係る画像記録装置としてインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置に適用したが、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどを搭載する画像記録装置にも適用することできる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るヘッド駆動制御装置によれば、少なくとも、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されている構成としたので、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きな滴量を得ることができ、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくして画像品質の向上を図ることができる。
【0075】
本発明に係るヘッド駆動制御装置によれば、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後、加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動パルスを出力する手段を有し、この駆動パルスの工程3の開始タイミングが加圧室内の圧力が負圧になっている時間内に設定されているので、引き打ち駆動において短い時間でより大きな滴量を得ることができ、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくして画像品質の向上を図ることができる。
【0076】
本発明に係る画像記録装置によれば、一駆動周期内で時系列的に少なくとも本発明に係るヘッド駆動制御装置における工程1の駆動パルスと工程2の駆動パルスと工程3の駆動パルスのうち2個以上の駆動パルスを含む駆動波形を生成出力して、少なくとも工程1、工程2、工程3の駆動パルスのうち1又は複数の駆動パルスを選択的に圧力発生手段に与える構成としたので、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくして画像品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の機構部の一例を示す斜視説明図
【図2】同記録装置の機構部の側断面説明図
【図3】同記録装置の記録ヘッドを構成するインクジェットヘッドの一例を説明するヘッドの液室長辺方向に沿う断面説明図
【図4】同ヘッドの液室短辺方向に沿う断面説明図
【図5】同ヘッドの要部平面説明図
【図6】同記録装置の制御部の概要を説明するブロック図
【図7】本発明に係るヘッド駆動制御装置の第1実施形態の説明に供する駆動波形、インクメニスカス位置、加圧室内圧力の変化の説明図
【図8】本発明に係るヘッド駆動制御装置の第2実施形態の説明に供する説明図
【図9】本発明に係るヘッド駆動制御装置の第3実施形態の説明に供する説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…記録ヘッド、41…流路板、42…振動板、43…ノズル板、45…ノズル、46…加圧室、47…流体抵抗部、48…共通液室、52…圧電素子、71…ヘッド駆動回路、77…駆動波形発生回路、84…スイッチ回路。
【産業上の利用分野】
本発明はヘッド駆動制御装置及び画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像記録装置(画像形成装置)として用いるインクジェット記録装置は、インク滴を吐出するノズルと、このノズルが連通するインク流路(吐出室、圧力室、加圧室、液室、加圧室等とも称される。)と、このインク流路内のインクを加圧する圧力発生手段とを備えた液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドを搭載したものである。なお、液滴吐出ヘッドとしては例えば液体レジストを液滴として吐出する液滴吐出ヘッド、DNAの試料を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドなどもあるが、以下ではインクジェットヘッドを中心に説明する。
【0003】
インクジェットヘッドとしては、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いてインク流路の壁面を形成する振動板を変形させてインク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆる圧電型のもの、或いは、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させることによる圧力でインク滴を吐出させるいわゆるサーマル型のもの、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることで、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のものなどが知られている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドの駆動制御装置として、例えば圧電型ヘッドの場合、振動板を加圧室側に押し込み、加圧室内の容積を小さくすることでインク滴を吐出させる押し打ち法で駆動するものと、振動板をインク室の外側方向の力で変形させインク室内の内容積を広げた状態から元の容積になるように振動板の変位を元に戻すことでインク滴を吐出させる引き打ち法で駆動するものとがある。
【0005】
また、インクジェット記録装置において、高速印字を行うためにインク滴量を増加するため、例えば特開平11−123819号公報には、インク滴を吐出させない程度に圧力発生室を加圧又は減圧し、増減した圧力をホールドすることで発生するノズルメニスカスの振動のタイミングを捉えてインク滴の吐出工程を行うインクジェット式記録ヘッドの駆動方法が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のインクジェット式記録ヘッドの駆動方法にあっては、インクを吐出させない工程を含むために、記録速度の向上が阻害されているという課題がある。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくし画像品質を向上し得るヘッド駆動制御装置及び画像記録装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明に係るヘッド駆動制御装置は、少なくとも、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが前記加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されている構成としたものである。
【0009】
ここで、隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に後の駆動パルスは立ち上がりタイミングが加圧室の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることが好ましい。また、隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングがノズル面よりもメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることが好ましい。
【0010】
本発明に係るヘッド駆動制御装置は、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後、加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動パルスを出力する手段を有し、この駆動パルスの工程3の開始タイミングが加圧室内の圧力が負圧になっている時間内に設定されている構成としたものである。
【0011】
ここで、工程3の開始タイミングがノズル面よりもメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることが好ましい。或いは、工程3の開始タイミングが工程1で吐出される液滴がノズル面から分離した後に設定されていることが好ましい。若しくは、工程3の第六信号の開始タイミングは加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることが好ましい。
【0012】
また、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されていることが好ましい。この場合、工程1の駆動パルスと工程3の駆動パルスとの間の工程2に、加圧室の容積を膨張させる第七の信号と加圧室の膨張状態を保持する第八の信号と膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第九の信号を含むことが好ましい。
【0013】
本発明に係る画像記録装置は、一駆動周期内で時系列的に少なくとも本発明に係るヘッド駆動制御装置における工程1の駆動パルスと工程2の駆動パルスと工程3の駆動パルスのうち2個以上の駆動パルスを含む駆動波形を生成出力して、少なくとも工程1、工程2、工程3の駆動パルスのうち1又は複数の駆動パルスを選択的に圧力発生手段に与える構成としたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の機構部の概略斜視説明図、図2は同機構部の側面説明図である。
【0015】
このインクジェット記録装置装置は、記録装置本体1の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ、キャリッジに搭載したインクジェットヘッドからなる記録ヘッド、記録ヘッドへのインクを供給するインクカートリッジ等で構成される印字機構部2等を収納し、給紙カセット4或いは手差しトレイ5から給送される用紙3を取り込み、印字機構部2によって所要の画像を記録した後、後面側に装着された排紙トレイ6に排紙する。
【0016】
印字機構部2は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド11と従ガイドロッド12とでキャリッジ13を主走査方向(図2で紙面垂直方向)に摺動自在に保持し、このキャリッジ13にはイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出するインクジェットヘッドからなるヘッド14をインク滴吐出方向を下方に向けて装着し、キャリッジ13の上側にはヘッド14に各色のインクを供給するための各インクタンク(インクカートリッジ)15を交換可能に装着している。
【0017】
インクカートリッジ15は上方に大気と連通する大気口、下方にはインクジェットヘッド14へインクを供給する供給口を、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力によりインクジェットヘッド14へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。このインクカートリッジ15からインクをヘッド14内に供給する。
【0018】
ここで、キャリッジ13は後方側(用紙搬送方向下流側)を主ガイドロッド11に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送方向上流側)を従ガイドロッド12に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ13を主走査方向に移動走査するため、主走査モータ17で回転駆動される駆動プーリ18と従動プーリ19との間にタイミングベルト20を張装し、このタイミングベルト20をキャリッジ13に固定しており、主走査モータ17の正逆回転によりキャリッジ13が往復駆動される。
【0019】
また、記録ヘッドとしてここでは各色のヘッド14を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個のヘッドでもよい。さらに、ヘッド14としては、後述するように、インク流路の壁面の少なくとも一部を形成する振動板と、この振動板を圧電素子で変形させるピエゾ型インクジェットヘッドを用いている。
【0020】
一方、給紙カセット4にセットした用紙3をヘッド14の下方側に搬送するために、給紙カセット4から用紙3を分離給装する給紙ローラ21及びフリクションパッド22と、用紙3を案内するガイド部材23と、給紙された用紙3を反転させて搬送する搬送ローラ24と、この搬送ローラ24の周面に押し付けられる搬送コロ25及び搬送ローラ24からの用紙3の送り出し角度を規定する先端コロ26とを設けている。搬送ローラ24は副走査モータ27によってギヤ列を介して回転駆動される。
【0021】
そして、キャリッジ13の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラ24から送り出された用紙3を記録ヘッド14の下方側で案内する用紙ガイド部材である印写受け部材29を設けている。この印写受け部材29の用紙搬送方向下流側には、用紙3を排紙方向へ送り出すために回転駆動される搬送コロ31、拍車32を設け、さらに用紙3を排紙トレイ6に送り出す排紙ローラ33及び拍車34と、排紙経路を形成するガイド部材35,36とを配設している。
【0022】
記録時には、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙3にインクを吐出して1行分を記録し、用紙3を所定量搬送後次の行の記録を行う。記録終了信号または、用紙3の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙3を排紙する。
【0023】
また、キャリッジ13の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、ヘッド14の吐出不良を回復するための回復装置37を配置している。回復装置37は、キャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ13は印字待機中にはこの回復装置37側に移動されてキャッピング手段でヘッド14をキャッピングされ、吐出口部(ノズル孔)を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係しないインクを吐出する(パージする)ことにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出性能を維持する。
【0024】
吐出不良が発生した場合等には、キャッピング手段でヘッド14の吐出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸い出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
【0025】
次に、このインクジェット記録装置の記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドについて図3乃至図5を参照して説明する。なお、図3は同ヘッドの液室長手方向に沿う断面説明図、図4は同ヘッドの液室短手方向に沿う断面説明図、図5は同ヘッドの要部平面説明図である。
【0026】
このインクジェットヘッドは、単結晶シリコン基板で形成した流路板41と、この流路板41の下面に接合した振動板42と、流路板41の上面に接合したノズル板43とを有し、これらによって液滴であるインク滴を吐出するノズル45がノズル連通路45aを介して連通するインク流路である加圧室46、加圧室46にインクを供給するための共通液室48にインク供給口49を介して連通する流体抵抗部となるインク供給路17を形成している。
【0027】
そして、振動板42の外面側(液室と反対面側)に各加圧室46に対応して加圧室46内のインクを加圧するための圧力発生手段(アクチュエータ手段)である電気機械変換素子としての積層型圧電素子52を接合し、この圧電素子52をベース基板53に接合している。また、圧電素子52の間には加圧室46、46間の隔壁部41aに対応して支柱部54を設けている。ここでは、圧電素子部材にハーフカットのダイシングによるスリット加工を施すことで櫛歯状に分割して、1つ毎に圧電素子52と支柱部54して形成している。支柱部54も構成は圧電素子51と同じであるが、駆動電圧を印加しないので単なる支柱となる。
【0028】
さらに、振動板42の外周部はフレーム部材44にギャップ材を含む接着剤50にて接合している。このフレーム部材44には、共通液室48となる凹部、この共通液室48に外部からインクを供給するための図示しないインク供給穴を形成している。このフレーム部材44は、例えばエポキシ系樹脂或いはポリフェニレンサルファイトで射出成形により形成している。
【0029】
ここで、流路板41は、例えば結晶面方位(110)の単結晶シリコン基板を水酸化カリウム水溶液(KOH)などのアルカリ性エッチング液を用いて異方性エッチングすることで、ノズル連通路45a、加圧室46、インク供給路47となる凹部や穴部を形成したものであるが、単結晶シリコン基板に限られるものではなく、その他のステンレス基板や感光性樹脂などを用いることもできる。
【0030】
振動板42は、ニッケルの金属プレートから形成したもので、例えばエレクトロフォーミング法(電鋳法)で作製しているが、この他の金属板や樹脂板或いは金属と樹脂板との接合部材などを用いることもできる。この振動板42は加圧室46に対応する部分に変形を容易にするための薄肉部(ダイアフラム部)55及び圧電素子52と接合するための厚肉部(島状凸部)56を形成するとともに、支柱部54に対応する部分及びフレーム部材44との接合部にも厚肉部57を形成し、平坦面側を流路板41に接着剤接合し、島状凸部56を圧電素子52に接着剤接合し、更に厚肉部57を支柱部54及びフレーム部材44に接着剤50で接合している。なお、ここでは、振動板42を2層構造のニッケル電鋳で形成している。この場合、ダイアフラム部55の厚みは3μm、幅は35μm(片側)としている。
【0031】
ノズル板43は各加圧室46に対応して直径10〜35μmのノズル45を形成し、流路板41に接着剤接合している。このノズル板43としては、ステンレス、ニッケルなどの金属、金属とポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂との組み合せ、、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものを用いることができる。ここでは、電鋳工法によるNiメッキ膜等で形成している。また、ノズル43の内部形状(内側形状)は、ホーン形状(略円柱形状又は略円錘台形状でもよい。)に形成し、このノズル45の穴径はインク滴出口側の直径で約20〜35μmとしている。さらに、各列のノズルピッチは150dpiとした。
【0032】
また、ノズル板43のノズル面(吐出方向の表面:吐出面)には、図示しない撥水性の表面処理を施した撥水処理層を設けている。撥水処理層としては、例えば、PTFE−Ni共析メッキやフッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチなど)を蒸着コートしたもの、シリコン系樹脂・フッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼き付け等、インク物性に応じて選定した撥水処理膜を設けて、インクの滴形状、飛翔特性を安定化し、高品位の画像品質を得られるようにしている。
【0033】
圧電素子52は、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の圧電層61と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極層62とを交互に積層したものであり、内部電極62を交互に端面の端面電極(外部電極)である個別電極63、共通電極64に電気的に接続したものである。この圧電常数がd33である圧電素子52の伸縮により加圧室46を収縮、膨張させるようになっている。圧電素子52に駆動信号が印加され充電が行われると図3中の矢印A方向に伸長し、また圧電素子52に充電された電荷が放電すると矢印A方向とは反対方向に収縮するようになっている。
【0034】
なお、圧電素子部材の一端面の端面電極はハーフカットによるダイシング加工で分割されて個別電極63となり、他端面の端面電極は切り欠き等の加工による制限で分割されずにすべての圧電素子52で導通した共通電極64となる。
【0035】
そして、圧電素子52の個別電極63には駆動信号を与えるために半田接合又はACF(異方導電性膜)接合若しくはワイヤボンディングでFPCケーブル65を接続し、このFPCケーブル65には各圧電素子52に選択的に駆動波形を印加するための駆動回路(ドライバIC)を接続している。また、共通電極64は、圧電素子の端部に電極層を設けて回し込んでFPCケーブル65のグラウンド(GND)電極に接続している。
【0036】
このように構成したインクジェットヘッドにおいては、例えば、記録信号に応じて圧電素子52に駆動波形(10〜50Vのパルス電圧)を印加することによって、圧電素子52に積層方向の変位が生起し、振動板42を介して加圧室46内のインクが加圧されて圧力が上昇し、ノズル45からインク滴が吐出される。
【0037】
その後、インク滴吐出の終了に伴い、加圧室46内のインク圧力が低減し、インクの流れの慣性と駆動パルスの放電過程によって加圧室46内に負圧が発生してインク充填行程へ移行する。このとき、図示しないインクタンクから供給されたインクは共通液室48に流入し、共通液室47からインク供給口49を経て流体抵抗部47を通り、加圧室46内に充填される。
【0038】
なお、流体抵抗部47は、吐出後の残留圧力振動の減衰に効果が有る反面、表面張力による最充填(リフィル)に対して抵抗になる。流体抵抗部47の流体抵抗値を適宜に選択することで、残留圧力の減衰とリフィル時間のバランスが取れ、次のインク滴吐出動作に移行するまでの時間(駆動周期)を短くできる。
【0039】
次に、このインクジェット記録装置の制御部の概要について図6を参照して説明する。
この制御部は、プリンタコントローラ70とヘッド駆動回路71を含むエンジンコントローラとから構成されている。プリンタコントローラ70は、ホストコンピュータ等からの印刷データ等をケーブル或いはネットを介して受信するインターフェース(以下「I/F」という)72と、CPU等からなる主制御部73と、各種データの記憶等を行うRAM74と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM75と、発振回路76と、ヘッド14の圧電素子52に与える複数の駆動パルスを含む駆動波形Pvを発生させる駆動波形発生手段としての駆動波形発生回路77と、ドットパターンデータ(ビットマップデータ)に展開された印字データ及び駆動波形等をヘッド駆動回路71に送信するためのI/F78、環境温度を検出する温度検出手段である温度センサ80等とを備えている。
【0040】
RAM74は各種バッファ及びワークメモリ等として用いる。ROM75は主制御部73によって実行する各種制御ルーチンとフォントデータ及びグラフィック関数、各種手続き等を記憶している。主制御部73は、I/F72に含まれる受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードに変換し、この中間コードデータをRAM74の所定のエリアで構成した中間バッファに記憶し、読み出した中間コードデータをROM75に格納したフォントデータを用いてドットパターンデータに展開し、RAM74の異なる所定のエリアに再び記憶する。
【0041】
主制御部73は、記録ヘッド14の1行分に相当するドットパターンデータが得られると、この1行分のドットパターンデータを、発振回路76からのクロック信号CKに同期して、I/F78を介してヘッド駆動回路71にシリアルデータSDで送出する。
【0042】
ヘッド駆動回路71は、ドライバIC上に実装され、プリンタコントローラ70からのクロック信号CK及び印字信号であるシリアルデータSDを入力するシフトレジスタ81と、シフトレジスタ81のレジスト値をプリンタコントローラ70からのラッチ信号LATでラッチするラッチ回路82と、ラッチ回路82の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)83と、このレベルシフタ83でオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ回路)84とからなる。スイッチ回路84は、プリンタコントローラ70の駆動波形発生回路77からの駆動波形Pvを入力するアナログスイッチアレイからなり、記録ヘッド(インクジェットヘッド)の各ノズルに対応する圧電素子52に接続されている。
【0043】
そして、シフトレジスタ81にシリアル転送された印字データSDは、一旦、ラッチ回路82によってラッチされる。ラッチされた印字データはレベルシフタ83によってスイッチ回路84のスイッチを駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の所定の電圧値まで昇圧されてスイッチ手段としてのスイッチ回路84に与えられる。
【0044】
このスイッチ回路84の入力側には、駆動波形発生回路77からの駆動波形Pvが印加されており、スイッチ回路84の出力側には、圧力発生手段としての圧電素子52が接続されている。したがって、例えば、スイッチ回路84に加わる印字データが「1」である期間中は、駆動波形Pvから得られる駆動パルス圧電素子52に印加され、この駆動パルスPに応じて圧電素子52は伸縮を行う。一方、スイッチ回路84に加わる印字データが「0」の期間中は、圧電素子52への駆動パルスの供給が遮断される。
【0045】
駆動波形発生回路77は、ディスクリート回路で構成することもできるが、ここでは駆動波形Pvのパターンデータを格納したROMと、このROMから読み出される駆動波形のデータをD/A変換するD/A変換器とで構成している。そして、ここでは、駆動波形発生回路77には予め環境温度に対応する複数の駆動波形パターンを記憶しておき、温度センサ80で検出された環境温度(検出温度)に応じて出力する駆動波形を選択するようにしている。
【0046】
このように構成したインクジェット記録装置に含まれる本発明に係るヘッド駆動制御装置の実施形態について説明する。
先ず、本発明に係るヘッド駆動制御装置の第1実施形態について図7を参照して説明する。この第1実施形態は、圧電常数がd33である圧電素子52を備えたインクジェットヘッドを引き打ち法で駆動して小滴のインク滴を形成するものである。
【0047】
この実施形態では、駆動波形生成回路77から図7(a)に示すような駆動波形Pvを生成して出力し、この駆動波形Pvがスイッチ回路84を介して駆動パルスとして圧力発生手段である圧電素子52に印加される。なお、以下では駆動パルスが2個の例で説明するが3個以上にすることもできる。
【0048】
この駆動波形Pvは、中間電位レベルVHから加圧室46の容積を膨張させる第一の信号(波形要素)aと加圧室46の膨張状態を保持する第二の信号bと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号cを含む工程1と、工程1の終了後、加圧室46の収縮状態を保持する工程2と少なくとも加圧室6の容積を膨張させる第四の信号dと加圧室46の膨張状態を保持する第五の信号eと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号fを含む工程3からなる駆動波形である。
【0049】
ここで、先ず、初期状態として中間電位レベルVHにより圧電素子52が伸びて振動板42が加圧室46側に変形して加圧室46の容積が収縮している状態から、この駆動波形Pvをインクジェットヘッドの圧電素子52に印加することによって、駆動パルスP1の第一の信号aが印加され圧電素子52が復元して加圧室46の容積が膨張する。そして、膨張状態ホールドの第二の信号bが印加されることで膨張状態がホールドされる。
【0050】
この間インクメニスカスは、同図(b)に示すように、はじめ加圧室46側に移動するが、しばらくするとノズル45外側(インク吐出側)へ向かって移動を開始する。ここで、所望の小さいインク滴(インク小)を形成する場合、インクメニスカスが加圧室46側に移動し始めるタイミングで加圧室46の収縮信号である第三の信号cを印加することで小さいインク滴を吐出することができる。インク滴速度Vjやインク滴量Mjは第三の信号cを調節することで達成できる。
【0051】
その後、インクメニスカスはノズル45外側へ向かって移動を開始するが、第三の信号cを加えたことで、加えないときよりもノズル45外側へ向かう時間が早まっており、高速印字をより容易にする効果がある。
【0052】
そして、インクメニスカスがノズル45外側へ移動している状態では、同図(c)に示すように、加圧室46内の圧力は(大気圧に対して)正圧から負圧へ移行していき、ノズル面からインクメニスカスが盛り上がっているときが加圧室46内の負圧が最大付近になっている。その後、再びインクメニスカスが加圧室46側に移動し始め、その状態では加圧室46内の圧力は(大気圧に対して)負圧から正圧へ移行していく。
【0053】
ここで、加圧室46内が負圧の間(図7中では「最適時刻」と範囲を表記)は、工程3の駆動パルスP2の第四信号dを印加してもメニスカスを加圧室46側へ引き込みにくくなっている。すなわち、吐出できるインク滴量は第六信号fの印加時のメニスカス位置で決まる。したがって、工程3の第四信号dの開始時刻(開始タイミング)t1を加圧室46内が負圧になっている間にすれば、より多くのインク滴量Mjを吐出することができる。
【0054】
したがって、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きなインク滴量を得ることができる。
【0055】
また、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されていることで、引き打ち駆動において短い時間でインク滴量を大きく吐出させることが可能になる。
【0056】
また、工程3の第五信号eを調整して加圧室46内が正圧になっている間に工程3の第六信号fを印加すれば、インク吐出速度Vjが効率よく速くできるので、記録媒体に届くまでに1滴にでき、記録媒体上で真円なドットを形成することができるようになる。
【0057】
したがって、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定され、時系列的に後の駆動パルスの立ち上がりタイミングが加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きなインク滴量を得ることができ、かつインク滴速度を速くできて真円にドットを形成できる。
【0058】
また、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングがインクメニスカスがインク吐出側に移動している時間内で、工程1で吐出されるインク滴がノズル面から分離した後に設定されていることで、引き打ち駆動において工程1で確実にインク滴を吐出できるので、工程3で吐出するインク滴と合わせてインク滴量をより大きく吐出させることが可能になる。
【0059】
また、ノズル面からインクメニスカスが盛り上がっているときが加圧室46内の負圧が最大付近になっているので、このタイミングで工程3の第四信号dを印加すれば、一番効率よく多くのインク滴量Mjを吐出することができる。
【0060】
したがって、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定され、時系列的に先の駆動パルスの立ち下がりタイミングがノズル面からインクメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きなインク滴量を得ることができ、かつ、加圧室内の負圧が最大付近になるので駆動パルスを立ち下げて加圧室を膨張させてもメニスカスを加圧室側へは最も引き込みにくくなる結果、次の駆動パルスの立ち上がりにはより多くのインク滴量を吐出できる。
【0061】
また、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングがインクメニスカスがインク吐出側に移動している時間内で、ノズル面からインクメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることで、加圧室内の負圧が最大付近になるので工程3の第四信号を印加してもメニスカスを加圧室側へは最も引き込みにくくなる結果、第六信号の印加時にはより多くのインク滴量を吐出できる。
【0062】
さらに、工程1で吐出されるインク滴がノズル面から分離した後は、タイミング的に加圧室46内が負圧になっている状態になっているので、工程3でより多くのインク滴量Mjを吐出でき、かつ工程1で吐出したインク滴と合わせて、インク滴量を多くすることができる。
【0063】
したがって、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、この駆動波形の工程3の開始タイミングがインクメニスカスがインク吐出側に移動している時間内で、工程3の第六信号の開始タイミングが加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることで、複数の駆動パルスで吐出させる場合、より大きなインク滴量を得ることができ、かつインク滴速度を大きくできるので、記録媒体に届くまでに1滴に合体させ、記録媒体上に真円にドットを形成できる。
【0064】
次に、本発明の第2実施形態に係るヘッド駆動制御装置について図8を参照して説明する。
この実施形態は、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧を同じ電圧に設定した駆動パルスを生成出力して、これらの複数の駆動パルスから所望の波形を有する駆動パルスを得るものである。
【0065】
ここでは、駆動波形発生回路77は、図8に示すように、駆動波形Pvとして、1駆動周期内で、2個の駆動パルスである工程1、工程3の駆動パルスを生成して出力する。また、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されている。
【0066】
したがって、スイッチ回路84のオン/オフにより表1に示すような駆動パルスを選択すると、4階調(Mj0、Mj1、Mj2、Mj3)のインク滴量の異なるインク滴を吐出させることができる。
【0067】
【表1】
【0068】
次に、本発明の第2実施形態に係るヘッド駆動制御装置について図8を参照して説明する。
この実施形態は、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧を同じ電圧に設定した駆動パルスを生成出力して、これらの複数の駆動パルスから所望の波形を有する駆動パルスを得るものである。
【0069】
ここでは、駆動波形発生回路77は、図9に示すように、駆動波形Pvとして、1駆動周期内で、3個の駆動パルスである工程1、工程2、工程3の駆動パルスを生成して出力する。また、工程1の開始及び終了の電圧と工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されている。さらに、工程2でも工程1、工程3と同様な駆動パルスを設定した駆動パルスを生成出力する。つまり、工程2は加圧室46の容積を膨張させる第七の信号gと加圧室46の膨張状態を保持する第八の信号hと膨張状態から加圧室46の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第九の信号iを含む信号である。
【0070】
したがって、スイッチ回路84のオン/オフにより表2に示すような駆動パルスを選択すると、5階調(Mj0、Mj1、Mj2、Mj3、Mj4)のインク滴量の異なるインク滴を吐出させることができる。
【0071】
【表2】
【0072】
このように、第2、第3実施形態によれば、引き打ち駆動において1印刷周期で様々なインク滴量のインク滴を打ち分けることが可能となって、インク滴量の可変範囲を大きくできるので、高画質印刷が可能となる。
【0073】
なお、上記実施形態においては、圧電素子はd33方向変位のPZTを前提にしたが、たわみ振動型のPZTでもよい。しかし、d33方向変位のPZTを用いた方が、素子の信頼性が高い。また、本発明に係る画像記録装置としてインク滴を吐出する液滴吐出ヘッドを搭載したインクジェット記録装置に適用したが、インク以外の液体の滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッドなどを搭載する画像記録装置にも適用することできる。
【0074】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係るヘッド駆動制御装置によれば、少なくとも、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されている構成としたので、複数の駆動パルスで吐出させる場合により大きな滴量を得ることができ、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくして画像品質の向上を図ることができる。
【0075】
本発明に係るヘッド駆動制御装置によれば、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、工程1の終了後、加圧室の収縮状態を保持する工程2と、少なくとも加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動パルスを出力する手段を有し、この駆動パルスの工程3の開始タイミングが加圧室内の圧力が負圧になっている時間内に設定されているので、引き打ち駆動において短い時間でより大きな滴量を得ることができ、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくして画像品質の向上を図ることができる。
【0076】
本発明に係る画像記録装置によれば、一駆動周期内で時系列的に少なくとも本発明に係るヘッド駆動制御装置における工程1の駆動パルスと工程2の駆動パルスと工程3の駆動パルスのうち2個以上の駆動パルスを含む駆動波形を生成出力して、少なくとも工程1、工程2、工程3の駆動パルスのうち1又は複数の駆動パルスを選択的に圧力発生手段に与える構成としたので、高速印字を可能にし、かつ滴量の可変範囲を大きくして画像品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像記録装置としてのインクジェット記録装置の機構部の一例を示す斜視説明図
【図2】同記録装置の機構部の側断面説明図
【図3】同記録装置の記録ヘッドを構成するインクジェットヘッドの一例を説明するヘッドの液室長辺方向に沿う断面説明図
【図4】同ヘッドの液室短辺方向に沿う断面説明図
【図5】同ヘッドの要部平面説明図
【図6】同記録装置の制御部の概要を説明するブロック図
【図7】本発明に係るヘッド駆動制御装置の第1実施形態の説明に供する駆動波形、インクメニスカス位置、加圧室内圧力の変化の説明図
【図8】本発明に係るヘッド駆動制御装置の第2実施形態の説明に供する説明図
【図9】本発明に係るヘッド駆動制御装置の第3実施形態の説明に供する説明図
【符号の説明】
13…キャリッジ、14…記録ヘッド、41…流路板、42…振動板、43…ノズル板、45…ノズル、46…加圧室、47…流体抵抗部、48…共通液室、52…圧電素子、71…ヘッド駆動回路、77…駆動波形発生回路、84…スイッチ回路。
Claims (10)
- 液滴吐出ヘッドのノズルが連通する加圧室の容積を収縮、膨張させる圧力発生手段を駆動制御するヘッド駆動制御装置において、少なくとも、1印刷周期内に複数の駆動パルスを含む駆動波形を出力する手段を有し、前記駆動波形の隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングが前記加圧室の圧力が負圧になっている時間内に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 請求項1に記載のヘッド駆動制御装置において、前記隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に後の駆動パルスは立ち上がりタイミングが前記加圧室の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 請求項1又は2に記載のヘッド駆動制御装置において、前記隣り合う駆動パルスのうちの時系列的に先の駆動パルスは立下りタイミングがノズル面よりもメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 液滴吐出ヘッドのノズルが連通する加圧室容積を収縮、膨張させる圧力発生手段を駆動制御するヘッド駆動制御装置において、
少なくとも前記加圧室の容積を膨張させる第一の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第二の信号と、膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第三の信号を含む工程1と、
前記工程1の終了後、前記加圧室の収縮状態を保持する工程2と、
少なくとも前記加圧室の容積を膨張させる第四の信号と、加圧室の膨張状態を保持する第五の信号と、膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第六の信号を含む工程3とを含む駆動波形を出力する手段を有し、
この駆動波形の工程3の開始タイミングが前記加圧室内の圧力が負圧になっている時間内に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。 - 請求項4に記載のヘッド駆動制御装置において、前記工程3の開始タイミングがノズル面よりもメニスカスが盛り上がっている時間内に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 請求項4に記載のヘッド駆動制御装置において、前記工程3の開始タイミングが前記工程1で吐出される液滴がノズル面から分離した後に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 請求項4に記載のヘッド駆動制御装置において、前記工程3の第六信号の開始タイミングは前記加圧室内の圧力が正圧になっている時間内に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 請求項4に記載のヘッド駆動制御装置において、前記工程1の開始及び終了の電圧と前記工程3の開始及び終了の電圧が同じ電圧に設定されていることを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- 請求項8に記載のヘッド駆動制御装置において、前記工程1の駆動パルスと前記工程3の駆動パルスとの間の工程2に、前記加圧室の容積を膨張させる第七の信号と加圧室の膨張状態を保持する第八の信号と膨張状態から前記加圧室の容積を収縮させてインク滴を吐出させる第九の信号を含むことを特徴とするヘッド駆動制御装置。
- ノズルが連通する加圧室の容積を収縮、膨張させる圧力発生手段を備えた液滴吐出ヘッドを備えた画像記録装置において、一駆動周期内で時系列的に少なくとも前記請求項4における工程1の駆動パルスと工程2の駆動パルスと工程3の駆動パルスのうち2個以上の駆動パルスを含む駆動波形を生成出力して、少なくとも工程1、工程2、工程3の駆動パルスのうち1又は複数の駆動パルスを選択的に前記圧力発生手段に与えることを特徴とする画像記録装置。
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JP2009160758A (ja) * | 2007-12-28 | 2009-07-23 | Brother Ind Ltd | 液体吐出装置 |
JP2011084022A (ja) * | 2009-10-19 | 2011-04-28 | Seiko Epson Corp | 印刷装置及び駆動波形生成方法 |
US8845051B2 (en) | 2012-12-07 | 2014-09-30 | Ricoh Company, Ltd. | Droplet ejecting apparatus and method for driving the same |
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