JP2004329289A - 細筒ミシンの送り装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリンダベッドの後部上面に係合するローラを有し主軸からの伝動により該ローラに間欠駆動を付与する送りユニットとを備えた細筒ミシンの送り装置において、送りユニットが、主軸の偏心ピンに回転可能に取付けられた第1偏心カムと、第1偏心カムの内周面に遊嵌され回動により主軸に対する偏心位置を調整可能な第2偏心カムと、第2偏心カムに係合する操作ボタンと、第1偏心カムに周設された送りロッドと、送りロッドに連結され回転可能に軸支された腕と、腕の揺動を一方向への間欠駆動に切換えるワンウエイクラッチとを備え、操作ボタンをミシンアーム上面に配置し、ワンウエイクラッチをミシンアーム背面の横方部に付設された筐体内に配置した。
【選択図】 図1
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、ベビーウエアの袖口等の縫製時に適用される細筒ミシンの送り装置に関し、特にシリンダベッド後部上面側において生地上面に係合するローラを備えた送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の細筒ミシンの送り装置では、主軸を駆動源とする送り用のユニットがミシンアームの背面に配置されていた(例えば、特許文献1参照。)。このユニットは、シリンダベッドの後部上面に係合するローラ(主送りローラ)を有している。またユニットは間欠回転量を調節できる機能を備え、この機能によりローラの間欠回転は変更される。なおユニットはミシンアーム背面の立設部に配置されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−300168号公報(第3頁右欄、第1図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、従来の細筒ミシンの送り装置では、間欠回転量の調節がミシンアームの背面で行われるので、手が届き難くて操作性が悪かった。また送り用のユニットがミシンアーム背面の立設部に配置されているので、縫製部に配置されたローラまでの連結部材が左右に横断する形となってしまい、製品としての見栄えも悪かった。
従って、本発明の課題は、上送り用のローラについて間欠回転量の調節を容易に行えるようにすると共に、装置全体のコンパクト化を図ることのできる細筒ミシンの送り装置を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、ベッド本体より横方に突出するシリンダベッドと、シリンダベッドの後部上面に係合するローラを有し主軸からの伝動により該ローラに間欠駆動を付与する送りユニットとを備えた細筒ミシンの送り装置において、送りユニットが、主軸の偏心ピンに回転可能に取付けられた第1偏心カムと、第1偏心カムの内周面に遊嵌され回動により主軸に対する偏心位置を調整可能な第2偏心カムと、第2偏心カムに係合する操作ボタンと、第1偏心カムに周設された送りロッドと、送りロッドに連結され回転可能に軸支された腕と、腕の揺動を一方向への間欠駆動に切換えるワンウエイクラッチとを備え、操作ボタンがミシンアーム上面に配置され、ワンウエイクラッチがミシンアーム背面の横方部に付設された筐体内に配置されていることを特徴とする。
【0006】
なお、操作ボタンに圧縮バネを巻装し、通常は操作ボタンを第2偏心カムより離間させるのが望ましい。
【0007】
【作用】
本発明によれば、送りユニットの操作ボタンがミシンアームの上面に配置されているので、ローラの間欠回転量の変更を容易に手動で操作できる。また腕の揺動に関する間欠駆動への切換えは、ミシンアーム背面の横方部に付設された筐体内で行われることとなる。なお操作ボタンに圧縮バネが巻装されているので、通常は操作ボタンが第2偏心カムより離間している。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図面を用いて説明する。図1は本発明に適用される細筒ミシンの送り装置を示す概要側面図である。細筒ミシンは、ミシンアームAとミシンベッドBとを有している。ミシンベッドBはベッド本体1とシリンダベッド2よりなり、シリンダベッド2はベッド本体1より横方に突出している。ミシンアームAは、ベッド本体1に接続される立設部A1と、立設部A1上部に接続され横方に延びる横方部A2とを備えている。シリンダベッド2の上面は針板(図示せず)を備えており、針板の上面とシリンダベッド2の上面は同一平面上にある。また針板に形成された前後の凹部にはローラ3,4が配置されている。ローラ3,4外周の一部は針板の上面より若干露出している。
【0009】
前側のローラ3はシリンダベッド2内に支持された水平軸5に固定されおり、水平軸5は、図2に示されるように、ワンウエイクラッチ6を介してレバー7に連結されている。レバー7はピン8を介してリンク(図示せず)に連結されている。リンクはミシン駆動軸(図示せず)の回転に連動して上下に揺動し、この揺動はレバー7を介してワンウエイクラッチ6に伝達される。その結果、ワンウエイクラッチ6は間欠的な回転運動を水平軸5のローラ3に伝達する。なお水平軸5は図示を省略したカバーで覆われている。
【0010】
ローラ3の上方には従動ローラ9が配置されている。従動ローラ9は支持片10に回転可能に支持され、支持片10より水平に突出したピン10aはブラケット11に回転可能に支持されている。ブラケット11は押え棒12の下端に固定され、押え棒12はミシンアームAに圧入されたブッシュ13に上下スライド可能に支持されている。図示を省略しているが、押え棒12にコイルバネが外装されており、このコイルバネにより従動ローラ9がローラ3側へ押圧されている。またブラケット11には小バネ14が付設されている。小バネ14の一端は支持片10の上部に係止され、他端はブラケット11に付設のピン11aに係止されている。これにより支持片10の先端はローラ3側に押圧され、その押圧力は押え棒12外装のコイルバネのものより微弱となっている。
【0011】
シリンダベッド2の後部上面には送りユニット15用の駆動ローラ16が配置されている。駆動ローラ16は、図3に示されるように、押え金17の後方に位置付けられている。押え金17は針板に対向配置されている。駆動ローラ16は左右に突出する水平軸16aを有し、水平軸16aは押え金17に付設のブラケット18に回転可能に支持されている。ブラケット18は押え棒12の右方に隣接して設けられ、その下端部は押え棒12の下方に延設されている。水平軸16aは、ブラケット18の上部に突設した回転ピン(図示せず)とともに輪状ベルト19を支持している。輪状ベルト19は、ピン20を中心としてL字形に配置された2つの輪状ベルト21,22を介して伝達軸23に連結されている。ピン20は、ミシンアームの横方部A2に付設された筐体A2aに回転可能に支持されている。
【0012】
筐体A2a内にはワンウエイクラッチ24が配置されている。ワンウエイクラッチ24は、図4に示されるように、クラッチ板25,26を備えており、一方のクラッチ板25は伝達軸23に固定されている。他方のクラッチ板26は、筐体A2aに回転可能に軸支された揺動軸27に固定されている。揺動軸27には腕28がネジ29で固定されている。腕28は揺動軸27と平行なピン30を備え、ピン30は送りロッド31に連結されている。送りロッド31は、主軸Sに設けられた偏心部32に連結されている。
【0013】
偏心部32は第1偏心カム33と第2偏心カム34を備える。両部材33,34は主軸Sに挿通され、両部材33,34の外周面33a,34aは主軸Sの軸線より偏心している。第1偏心カム33は調節台35に付設の偏心ピン35aに回転可能に支持され、第1偏心カム33は内周面33bを通じて第2偏心カム34の外周面34aに遊嵌される。調節台35は溝部35bに挿通の止ネジ36によって主軸Sに固定され、偏心ピン35aは第2偏心カム34の円弧溝34bにも挿通されている。また第2偏心カム34の円弧溝34bには、第1偏心カム35に付設のストッパー片35cが挿通されている。送りロッド31はニードルベアリング37を介して第1偏心カム33に周設される。なお送りロッド31を挟んで左右に支持部材38,39が固定され、更に一方の支持部材39と調節台35との間は複数枚のバネ座金40が挿通されている。
【0014】
ミシンアームAの上面には、第2偏心カム34を操作する操作ボタン41が配置されている。操作ボタン41はコイルバネ42に巻装され、その下端部はEリング43によりミシンアーム横方部A2の内壁に支持されている。操作ボタン41の先端41aは幅細になっており、操作ボタン41の押圧時に第2偏心カム34はピン41aにより溝部34cで係止される。つまり通常、操作ボタン41は第2偏心カム34より離間している。
【0015】
次に、主軸Sに設けられた偏心部32の操作について、図5〜図6を参照して説明する。
図5に示された状態において、操作ボタン41を押圧して第2偏心カム34を係止させる。第2偏心カム34の係止状態において主軸Sを回転させると、偏心ピン35aはストッパー35cと共に円弧溝34bに沿って移動する。この移動は、図6に示されるように、ストッパー35cが円弧溝34bの端部に到達するまで行える。偏心ピン35aの移動により、第1偏心カム33は第2偏心カム34の外周面34aに支持されながら偏心ピン35aを中心として回動し、第1偏心カム33の外周面33aつまり主軸Sに対する第1偏心カム33の偏心位置は変更されることとなる。
【0016】
なお本実施の形態では、送りロッド31に連結された腕28とクラッチ板26との間に揺動軸27を介在させているが、これに限定されるだけでなく、腕とクラッチ板とを直接的に連結してもよい。
【0017】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、送りユニットの操作ボタンをミシンアームの上面に配置することにより容易にローラの間欠回転量の変更を手動操作できるので、様々な縫製仕様に応じてローラ送り量の変更を迅速に行うことができる。また送りユニットが主軸に作動的に連結できるので、主軸と同調する確実なローラ間欠送りができる。なおワンウエイクラッチをミシンアーム背面の横方部に付設された筐体内に配置すると、装置全体のコンパクト化を図ることができるとともにミシンを含めた縫製機全体の見栄えをよくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る細筒ミシンの送り装置の側面図である。
【図2】同ミシンのシリンダベッドを示した概略正面図である。
【図3】同ミシンのミシンアームの要部を示した概略平面図である。
【図4】同ミシンの送り装置の要部を説明した分解斜視図である。
【図5】主軸に設けられた偏心部の作用を説明した概略側面図である。
【図6】主軸に設けられた偏心部の作用を説明した概略側面図である。
【符号の説明】
1 ベッド本体
2 シリンダベッド
15 送りユニット
16 駆動ローラ(ローラ)
24 ワンウエイクラッチ
28 腕
31 送りロッド
33 第1偏心カム
33b 内周面
34 第2偏心カム
35a 偏心ピン
41 操作ボタン
A ミシンアーム
A2 ミシンアーム横方部
A2a 筐体
S 主軸
Claims (2)
- ベッド本体より横方に突出するシリンダベッドと、シリンダベッドの後部上面に係合するローラを有し主軸からの伝動により該ローラに間欠駆動を付与する送りユニットとを備えた細筒ミシンの送り装置において、送りユニットが、主軸の偏心ピンに回転可能に取付けられた第1偏心カムと、第1偏心カムの内周面に遊嵌され回動により主軸に対する偏心位置を調整可能な第2偏心カムと、第2偏心カムに係合する操作ボタンと、第1偏心カムに周設された送りロッドと、送りロッドに連結され回転可能に軸支された腕と、腕の揺動を一方向への間欠駆動に切換えるワンウエイクラッチとを備え、操作ボタンがミシンアーム上面に配置され、ワンウエイクラッチがミシンアーム背面の横方部に付設された筐体内に配置されていることを特徴とする細筒ミシンの送り装置。
- 操作ボタンに圧縮バネが巻装され、通常、操作ボタンが第2偏心カムより離間している請求項1記載の細筒ミシンの送り装置。
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