JP2594003Y2 - ミシンの上送り装置 - Google Patents
ミシンの上送り装置Info
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- JP2594003Y2 JP2594003Y2 JP1993040162U JP4016293U JP2594003Y2 JP 2594003 Y2 JP2594003 Y2 JP 2594003Y2 JP 1993040162 U JP1993040162 U JP 1993040162U JP 4016293 U JP4016293 U JP 4016293U JP 2594003 Y2 JP2594003 Y2 JP 2594003Y2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ミシンベッド内部の送
り歯(下送り歯)に同期した送り動作をなす送り歯(上
送り歯)をミシンベッドの上部に配し、両送り歯により
縫製生地の上下に送り力を加えて針落ち位置に送り込む
ようになしたミシンの上送り装置に関し、更に詳しく
は、前記上送り歯による送り動作量の調整構造に関す
る。
り歯(下送り歯)に同期した送り動作をなす送り歯(上
送り歯)をミシンベッドの上部に配し、両送り歯により
縫製生地の上下に送り力を加えて針落ち位置に送り込む
ようになしたミシンの上送り装置に関し、更に詳しく
は、前記上送り歯による送り動作量の調整構造に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ミシンによる縫製は、一般的には、ミシ
ンベッド上に供給される縫製生地をミシンアームから垂
下された押え金により針落ち位置の前後に亘って挾持
し、ミシンベッドに内蔵された送り歯により送りを加え
て行われる。該送り歯は、ミシンアーム内部の主軸に公
知の伝動機構を介して連結されており、ミシン各部の動
作に連動して所定の送り動作を行う。この送り動作は、
前記送りの方向に沿う略鉛直な面内での長円運動であ
り、この運動軌跡の上半部においてミシンベッド上に突
出する間に前記縫製生地に送りを加えるようになしてあ
る。
ンベッド上に供給される縫製生地をミシンアームから垂
下された押え金により針落ち位置の前後に亘って挾持
し、ミシンベッドに内蔵された送り歯により送りを加え
て行われる。該送り歯は、ミシンアーム内部の主軸に公
知の伝動機構を介して連結されており、ミシン各部の動
作に連動して所定の送り動作を行う。この送り動作は、
前記送りの方向に沿う略鉛直な面内での長円運動であ
り、この運動軌跡の上半部においてミシンベッド上に突
出する間に前記縫製生地に送りを加えるようになしてあ
る。
【0003】ところが以上の如き縫製においては、例え
ば、滑り易い素材からなる縫製生地を重ねて縫着する場
合等、前記送り歯により送りが付与される下側の生地
と、押え金に沿って滑動する上側の生地との間にずれが
生じ易く、縫いずれのない良質な縫製品を安定して得る
ためには、針落ち位置の前側において作業者の手加減に
よる微妙な送り調節を要する不都合がある。
ば、滑り易い素材からなる縫製生地を重ねて縫着する場
合等、前記送り歯により送りが付与される下側の生地
と、押え金に沿って滑動する上側の生地との間にずれが
生じ易く、縫いずれのない良質な縫製品を安定して得る
ためには、針落ち位置の前側において作業者の手加減に
よる微妙な送り調節を要する不都合がある。
【0004】そこで各種の工業用ミシンにおいては、ミ
シンベッド内部の本来の送り歯(下送り歯)に加えて、
これと同期した送り動作をなす上送り歯をミシンベッド
上部に配し、針落ち位置前の縫製生地を上下の送り歯間
に挾持して、縫製生地の上下両側に送り力を付与する構
成とした上送り装置が装備されることがある。
シンベッド内部の本来の送り歯(下送り歯)に加えて、
これと同期した送り動作をなす上送り歯をミシンベッド
上部に配し、針落ち位置前の縫製生地を上下の送り歯間
に挾持して、縫製生地の上下両側に送り力を付与する構
成とした上送り装置が装備されることがある。
【0005】図4は、上送り装置を備えたミシンの針落
ち位置近傍の側断面図である。図中Aはミシンアーム、
Bはミシンベッドであり、ミシンアームAの下方に対向
するミシンベッドB上には針板Cが架設されている。こ
のミシンでの縫製は、図中に白抜矢符にて示す向きに針
板Cの上面に沿って送られる縫製生地W1 ,W2 に対し
て行われる。
ち位置近傍の側断面図である。図中Aはミシンアーム、
Bはミシンベッドであり、ミシンアームAの下方に対向
するミシンベッドB上には針板Cが架設されている。こ
のミシンでの縫製は、図中に白抜矢符にて示す向きに針
板Cの上面に沿って送られる縫製生地W1 ,W2 に対し
て行われる。
【0006】ミシンアームAは、縫製生地W1 ,W2 の
送り方向前後に並び、共に針板Cに向けて鉛直下方に垂
下された針棒10及び押え棒20を備えている。これらは、
ミシンアームAに嵌着固定した各別のブッシュ11,21に
上下方向への摺動自在に嵌挿され、送り方向前側の針棒
10は、ミシンアームA内部の図示しない主軸からの伝動
に応じて上下動し、また後側の押え棒20は、エアシリン
ダ等の図示しないアクチュエータの動作に応じて上下動
するようになしてある。
送り方向前後に並び、共に針板Cに向けて鉛直下方に垂
下された針棒10及び押え棒20を備えている。これらは、
ミシンアームAに嵌着固定した各別のブッシュ11,21に
上下方向への摺動自在に嵌挿され、送り方向前側の針棒
10は、ミシンアームA内部の図示しない主軸からの伝動
に応じて上下動し、また後側の押え棒20は、エアシリン
ダ等の図示しないアクチュエータの動作に応じて上下動
するようになしてある。
【0007】針棒10の垂下端には、針止め12を介して針
1が固定してあり、針棒10の上下動に伴って針1は、針
板Cの上下に亘る所定ストロークの昇降動作をなす。押
え棒20の垂下端には、押え金2が取付けてあり、該押え
金2は、押え棒20の上下動に伴って昇降し、下降時に縫
製生地W1 ,W2 に弾接して、該縫製生地W1 ,W2を
針板Cとの間に挾持する。
1が固定してあり、針棒10の上下動に伴って針1は、針
板Cの上下に亘る所定ストロークの昇降動作をなす。押
え棒20の垂下端には、押え金2が取付けてあり、該押え
金2は、押え棒20の上下動に伴って昇降し、下降時に縫
製生地W1 ,W2 に弾接して、該縫製生地W1 ,W2を
針板Cとの間に挾持する。
【0008】針板C下側のミシンベッドBの内部には、
前後一対の下送り歯13,13が配してある。これらは、公
知の伝動機構を介して主軸に連繋され、該主軸の回転に
応じた針1の昇降動作に同期して、前記縫製生地W1 ,
W2 の送り方向に沿う略鉛直な面内にて長円形の軌跡を
描く送り動作を行うようになしてある。即ち、下送り歯
13,13は、図示の如く針1が上昇している間には、各別
の送り溝14,14内で針板C上に突出し、押え金2下に挾
持された縫製生地W1 ,W2 を持ち上げつつ送り力を付
与する一方、針1が下降し、縫製生地W1 ,W2 の縫い
合わせが行われている間には、針板Cの下側に退入し
て、次なる送りに備えて前方への復帰動作をなす。
前後一対の下送り歯13,13が配してある。これらは、公
知の伝動機構を介して主軸に連繋され、該主軸の回転に
応じた針1の昇降動作に同期して、前記縫製生地W1 ,
W2 の送り方向に沿う略鉛直な面内にて長円形の軌跡を
描く送り動作を行うようになしてある。即ち、下送り歯
13,13は、図示の如く針1が上昇している間には、各別
の送り溝14,14内で針板C上に突出し、押え金2下に挾
持された縫製生地W1 ,W2 を持ち上げつつ送り力を付
与する一方、針1が下降し、縫製生地W1 ,W2 の縫い
合わせが行われている間には、針板Cの下側に退入し
て、次なる送りに備えて前方への復帰動作をなす。
【0009】押え棒20の後側のミシンアームAの下部に
は、縫製生地W1 ,W2 の送り方向と直交する略水平な
軸回りに回動自在に円柱形の保持筒31が枢支され、該保
持筒31にその軸心を直交させて嵌着保持されたブッシュ
32に、軸長方向への摺動自在に上送り軸30が嵌挿されて
いる。ミシンアームAの内部に延設された上送り軸30の
上端は、後述の如く主軸に連繋させてあり、該主軸の回
転に応じて上送り軸30は、縫製生地W1 ,W2 の送り方
向に沿う略鉛直な面内にて、保持筒31を枢軸としてブッ
シュ32と共に揺動し、またブッシュ32に対して軸長方向
に摺動するようになしてある。
は、縫製生地W1 ,W2 の送り方向と直交する略水平な
軸回りに回動自在に円柱形の保持筒31が枢支され、該保
持筒31にその軸心を直交させて嵌着保持されたブッシュ
32に、軸長方向への摺動自在に上送り軸30が嵌挿されて
いる。ミシンアームAの内部に延設された上送り軸30の
上端は、後述の如く主軸に連繋させてあり、該主軸の回
転に応じて上送り軸30は、縫製生地W1 ,W2 の送り方
向に沿う略鉛直な面内にて、保持筒31を枢軸としてブッ
シュ32と共に揺動し、またブッシュ32に対して軸長方向
に摺動するようになしてある。
【0010】ミシンベッドBに向けて垂下された上送り
軸30の下端には、送り歯ホルダ33が固定され、該送り歯
ホルダ33から前方に延びる送りアーム34の先端には、上
送り歯35が、鋸歯状をなす歯部を下向きとし、押え金2
の前部に形成された送り溝22内で前側の下送り歯13に対
向するように固設してあり、上送り軸30の前述した動
作、即ち、保持筒31を枢軸とする揺動とブッシュ32に沿
う摺動とを、送り歯ホルダ33及び送りアーム34を介して
上送り歯35に伝達し、該上送り歯35に送り動作を行わせ
る上送り装置を構成している。
軸30の下端には、送り歯ホルダ33が固定され、該送り歯
ホルダ33から前方に延びる送りアーム34の先端には、上
送り歯35が、鋸歯状をなす歯部を下向きとし、押え金2
の前部に形成された送り溝22内で前側の下送り歯13に対
向するように固設してあり、上送り軸30の前述した動
作、即ち、保持筒31を枢軸とする揺動とブッシュ32に沿
う摺動とを、送り歯ホルダ33及び送りアーム34を介して
上送り歯35に伝達し、該上送り歯35に送り動作を行わせ
る上送り装置を構成している。
【0011】上送り歯35の送り動作は、下送り歯13のそ
れと同一の面内にて、逆回りに、上下逆の位相にて生じ
る長円運動である。即ち、針1が上昇している間、上送
り歯35は、押え金2の送り溝22を介して縫製生地W1 ,
W2 に上側から押し付けられつつ後方向に移動し、該縫
製生地W1 ,W2 に送りを付与する一方、針1が下降し
て、縫製生地W1 ,W2 の縫い合わせが行われている間
には、押え金2の上方に離反して、次なる送りに備えて
前方への復帰動作をなす。即ち、ミシンベッドB上の縫
製生地W1 ,W2 は、上送り歯35の動作により上側か
ら、下送り歯13,13の動作により下側から送り力を付与
されつつ針落ち位置に送り込まれ、縫いずれのない良質
な縫製品が高い生産性にて得られるようになる。
れと同一の面内にて、逆回りに、上下逆の位相にて生じ
る長円運動である。即ち、針1が上昇している間、上送
り歯35は、押え金2の送り溝22を介して縫製生地W1 ,
W2 に上側から押し付けられつつ後方向に移動し、該縫
製生地W1 ,W2 に送りを付与する一方、針1が下降し
て、縫製生地W1 ,W2 の縫い合わせが行われている間
には、押え金2の上方に離反して、次なる送りに備えて
前方への復帰動作をなす。即ち、ミシンベッドB上の縫
製生地W1 ,W2 は、上送り歯35の動作により上側か
ら、下送り歯13,13の動作により下側から送り力を付与
されつつ針落ち位置に送り込まれ、縫いずれのない良質
な縫製品が高い生産性にて得られるようになる。
【0012】また、以上の如き上送り装置を備えたミシ
ンにおいては、上送り歯35の送り動作量(上送り量)を
調整し、下送り歯13,13の送り動作量(下送り量)と差
異を持たせることにより、いせ込み縫い等の特殊な縫い
を作業者の手作業に頼ることなく行えるようにしてあ
る。
ンにおいては、上送り歯35の送り動作量(上送り量)を
調整し、下送り歯13,13の送り動作量(下送り量)と差
異を持たせることにより、いせ込み縫い等の特殊な縫い
を作業者の手作業に頼ることなく行えるようにしてあ
る。
【0013】上送り量は、上送り歯35の駆動軸である上
送り軸30の揺動角度を加減することにより調整できる。
上送り軸30の上部は、ミシンアーム内部の送り駆動軸に
公知のリンク機構を介して連結され、該送り駆動軸に所
定の上限角度内にて生じる反復回動を上送り軸30の揺動
に変換する構成となっている。前記送り駆動軸は、後に
詳述する如く、ミシンアーム内部の主軸と平行をなして
架設され、該主軸の中途部に装着された偏心カムに送り
調整機構を介して連結してあり、上送り量を決定する送
り駆動軸の上限角度は、前記送り調整機構に含まれ、主
軸及び送り駆動軸と平行をなす送り調整軸の回動操作に
より加減できる。
送り軸30の揺動角度を加減することにより調整できる。
上送り軸30の上部は、ミシンアーム内部の送り駆動軸に
公知のリンク機構を介して連結され、該送り駆動軸に所
定の上限角度内にて生じる反復回動を上送り軸30の揺動
に変換する構成となっている。前記送り駆動軸は、後に
詳述する如く、ミシンアーム内部の主軸と平行をなして
架設され、該主軸の中途部に装着された偏心カムに送り
調整機構を介して連結してあり、上送り量を決定する送
り駆動軸の上限角度は、前記送り調整機構に含まれ、主
軸及び送り駆動軸と平行をなす送り調整軸の回動操作に
より加減できる。
【0014】そこで従来においては、いせ込み縫い等の
特殊な縫製に対応するため、前記送り調整軸の一端部を
ミシンアームの外側に延設し、この延設端に回転力を加
えるべく送り操作手段を構成して、上送り量を決定する
送り調整軸の回動調節を外部から行い得るようになす一
方、前記延設端にこれと略直交する面内にて揺動する送
り操作レバーを取り付け、該送り操作レバーの端部を、
例えば、作業者の膝により押圧操作される膝レバーに連
結して、該膝レバーの操作に応じて前記送り操作手段に
よる調整を解除できるようになし、縫製中に前記膝レバ
ーの操作,非操作を繰り返して、上送り量と下送り量と
が異なる特殊な縫いの中途に、上下の送り量が相等しい
通常の縫いを適宜に組み込んだ縫製を連続的に実行でき
るようにしてある。
特殊な縫製に対応するため、前記送り調整軸の一端部を
ミシンアームの外側に延設し、この延設端に回転力を加
えるべく送り操作手段を構成して、上送り量を決定する
送り調整軸の回動調節を外部から行い得るようになす一
方、前記延設端にこれと略直交する面内にて揺動する送
り操作レバーを取り付け、該送り操作レバーの端部を、
例えば、作業者の膝により押圧操作される膝レバーに連
結して、該膝レバーの操作に応じて前記送り操作手段に
よる調整を解除できるようになし、縫製中に前記膝レバ
ーの操作,非操作を繰り返して、上送り量と下送り量と
が異なる特殊な縫いの中途に、上下の送り量が相等しい
通常の縫いを適宜に組み込んだ縫製を連続的に実行でき
るようにしてある。
【0015】
【考案が解決しようとする課題】さて、上送り量調整の
ための前記送り操作手段は、送り調整軸の延設端に送り
調整つまみを取り付け、この送り調整つまみの操作によ
り前記送り調整軸に直接的な回転力を加える構成により
簡素に実現できる。ところが、前記送り調整軸はミシン
アーム内部の主軸と平行をなして配設されており、該送
り調整軸の延設端に取り付けた前記送り調整つまみは、
ミシンアーム一側(基端側)の端面に位置することにな
る一方、上送り量の調整を実際に行う縫製作業者は、ミ
シンの正面側に位置するのが一般的であり、上送り量の
調整に際し、このためだけにミシンアームの基端側への
回り込みを強いられるという煩わしさがある。
ための前記送り操作手段は、送り調整軸の延設端に送り
調整つまみを取り付け、この送り調整つまみの操作によ
り前記送り調整軸に直接的な回転力を加える構成により
簡素に実現できる。ところが、前記送り調整軸はミシン
アーム内部の主軸と平行をなして配設されており、該送
り調整軸の延設端に取り付けた前記送り調整つまみは、
ミシンアーム一側(基端側)の端面に位置することにな
る一方、上送り量の調整を実際に行う縫製作業者は、ミ
シンの正面側に位置するのが一般的であり、上送り量の
調整に際し、このためだけにミシンアームの基端側への
回り込みを強いられるという煩わしさがある。
【0016】また前記送り調整つまみには、これの操作
による上送り量調整の結果を示すべく目盛り板を付設す
る必要があるが、この目盛り板もまたミシンアームの基
端側端面に配設されることから、縫製作業中に現状の上
送り調整量を確認することが難しく、誤った設定のまま
縫製が実施されて、不良縫製品が排出される虞が生じ
る。
による上送り量調整の結果を示すべく目盛り板を付設す
る必要があるが、この目盛り板もまたミシンアームの基
端側端面に配設されることから、縫製作業中に現状の上
送り調整量を確認することが難しく、誤った設定のまま
縫製が実施されて、不良縫製品が排出される虞が生じ
る。
【0017】そこで、送り調整軸の端部に軸心に直交し
て前方に延びる揺動アームを取り付け、該揺動アームの
前端の上下方向への揺動操作により送り調整軸を回動せ
しめる構成とし、更に、前記揺動アームの前端の移動経
路に沿わせた目盛り板をミシンの正面に向けて付設し、
上送り調整量に対応する前記送り調整軸の回動操作量
を、前記揺動アームの前端の動きを媒介として前記目盛
り板に表示する構成とした上送り装置が実用化されてい
る。
て前方に延びる揺動アームを取り付け、該揺動アームの
前端の上下方向への揺動操作により送り調整軸を回動せ
しめる構成とし、更に、前記揺動アームの前端の移動経
路に沿わせた目盛り板をミシンの正面に向けて付設し、
上送り調整量に対応する前記送り調整軸の回動操作量
を、前記揺動アームの前端の動きを媒介として前記目盛
り板に表示する構成とした上送り装置が実用化されてい
る。
【0018】この構成においては、上送り量の調整が、
前記揺動アームの操作によりミシンの正面側から実施で
き、またこの調整の結果が、前記目盛り板上にてミシン
の正面側から確認できるようになり、前述した難点は解
消される。ところが一方、上送り装置は、これの装備を
前提とせずに設計されたミシンに後付けされることがあ
り、このようなミシンにおいては、ミシンアームの内部
空間が限定されることから、送り駆動軸及び送り調整軸
を主軸の近傍に配設せざるを得ず、ミシンアームの外側
への送り調整軸の延設端における前記揺動アームの取り
付け、又は、該揺動アームの揺動空間の確保が、同側へ
の主軸の突出部との干渉により困難となる場合が多く、
前述した構成を採用し得ないという問題があった。
前記揺動アームの操作によりミシンの正面側から実施で
き、またこの調整の結果が、前記目盛り板上にてミシン
の正面側から確認できるようになり、前述した難点は解
消される。ところが一方、上送り装置は、これの装備を
前提とせずに設計されたミシンに後付けされることがあ
り、このようなミシンにおいては、ミシンアームの内部
空間が限定されることから、送り駆動軸及び送り調整軸
を主軸の近傍に配設せざるを得ず、ミシンアームの外側
への送り調整軸の延設端における前記揺動アームの取り
付け、又は、該揺動アームの揺動空間の確保が、同側へ
の主軸の突出部との干渉により困難となる場合が多く、
前述した構成を採用し得ないという問題があった。
【0019】本考案は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、正面側からの上送り量の調整及び調整結果の視
認が可能であり、また前記調整及び視認のための手段の
配設位置を適宜に設定でき、ミシンの種類によらずに適
用可能な上送り装置を提供することを目的とする。
であり、正面側からの上送り量の調整及び調整結果の視
認が可能であり、また前記調整及び視認のための手段の
配設位置を適宜に設定でき、ミシンの種類によらずに適
用可能な上送り装置を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本考案に係るミシンの上
送り装置は、ミシンアームの内部に主軸と平行をなして
送り駆動軸及び送り調整軸を架設し、該送り調整軸を含
む送り調整機構を介して前記主軸と前記送り駆動軸とを
連結してなり、主軸の回転に応じて所定の上限角度内に
て生じる送り駆動軸の反復回動をミシンアームの先端に
垂下支持された上送り歯に伝え、ミシンベッド上の縫製
生地に上部から送りを加えると共に、前記反復回動の上
限角度を前記送り調整軸の回動操作により加減し、前記
上送り歯の送り動作量を調整する構成としたミシンの上
送り装置において、前記送り調整軸の一部に係合し、該
送り調整軸と略直交する面内にて揺動する送り調整レバ
ーと、該送り調整レバーの下方への延長端にその後端を
連結され、前記ミシンアームの外側に前後方向への摺動
自在に支承してある送り調整ロッドと、該送り調整ロッ
ドに並設され、該送り調整ロッドに長手方向の相対移動
を許容して連結してあり、その操作により前記送り調整
ロッドを介して送り調整レバーを揺動させ、前記送り調
整軸を回動操作する送り操作軸と、前記送り調整ロッド
の長手方向に沿って前記上送り歯の動作位置に面して配
設され、該上送り歯の送り動作量を、前記送り操作軸の
操作に伴う前記送り調整ロッドの摺動位置の変化を媒介
として表示する目盛り板とを具備することを特徴とす
る。
送り装置は、ミシンアームの内部に主軸と平行をなして
送り駆動軸及び送り調整軸を架設し、該送り調整軸を含
む送り調整機構を介して前記主軸と前記送り駆動軸とを
連結してなり、主軸の回転に応じて所定の上限角度内に
て生じる送り駆動軸の反復回動をミシンアームの先端に
垂下支持された上送り歯に伝え、ミシンベッド上の縫製
生地に上部から送りを加えると共に、前記反復回動の上
限角度を前記送り調整軸の回動操作により加減し、前記
上送り歯の送り動作量を調整する構成としたミシンの上
送り装置において、前記送り調整軸の一部に係合し、該
送り調整軸と略直交する面内にて揺動する送り調整レバ
ーと、該送り調整レバーの下方への延長端にその後端を
連結され、前記ミシンアームの外側に前後方向への摺動
自在に支承してある送り調整ロッドと、該送り調整ロッ
ドに並設され、該送り調整ロッドに長手方向の相対移動
を許容して連結してあり、その操作により前記送り調整
ロッドを介して送り調整レバーを揺動させ、前記送り調
整軸を回動操作する送り操作軸と、前記送り調整ロッド
の長手方向に沿って前記上送り歯の動作位置に面して配
設され、該上送り歯の送り動作量を、前記送り操作軸の
操作に伴う前記送り調整ロッドの摺動位置の変化を媒介
として表示する目盛り板とを具備することを特徴とす
る。
【0021】
【作用】本考案においては、上送り量を決定する送り調
整軸に、これと直交する面内にて揺動する送り調整レバ
ーを係合し、また、ミシンアーム外側の適宜位置に前後
方向への摺動自在に送り調整ロッドを支承して、該送り
調整ロッドの後端を送り調整レバーの下方への延長端に
連結した構成とし、送り調整ロッドを前後に摺動させて
送り調整レバーを揺動させ、送り調整軸を回動せしめて
上送り量を調整する。送り調整レバーは、軸長方向の適
宜位置にて送り調整軸に係合させることができ、また送
り調整ロッドの支承位置は、送り調整レバーの下方、即
ち、前記主軸、送り駆動軸及び送り調整軸を内蔵するミ
シンアームの下部外側に適宜に設定できる。このような
送り調整ロッドの先端をミシンアームの前側にまで延設
し、これに並設された送り操作軸に連結して、該送り操
作軸の操作により送り量の調整を可能とする。また送り
操作軸の操作に伴う送り調整ロッドの摺動位置の変化
を、これの長手方向に沿って延設され、上送り歯の動作
位置、即ち、縫製位置に面して配した目盛り板に表示さ
せる。これにより、ミシンアームの下部前側での送り操
作軸の操作により上送り量の調整が可能であり、調整の
結果は、前記目盛り板の読み取りにより縫製作業中に容
易に確認することができる。更に、送り調整ロッドと送
り操作軸とが、送り調整ロッドの長手方向の相対移動を
許容して連結されており、縫製作業中の適宜のタイミン
グにて他の手段により送り調整レバーを揺動させること
により、上送り量を一時的に変更することができ、上送
り量を2種に変更しての縫いを実現し、いせ込み縫い等
の特殊な縫いへの対応を可能とする。
整軸に、これと直交する面内にて揺動する送り調整レバ
ーを係合し、また、ミシンアーム外側の適宜位置に前後
方向への摺動自在に送り調整ロッドを支承して、該送り
調整ロッドの後端を送り調整レバーの下方への延長端に
連結した構成とし、送り調整ロッドを前後に摺動させて
送り調整レバーを揺動させ、送り調整軸を回動せしめて
上送り量を調整する。送り調整レバーは、軸長方向の適
宜位置にて送り調整軸に係合させることができ、また送
り調整ロッドの支承位置は、送り調整レバーの下方、即
ち、前記主軸、送り駆動軸及び送り調整軸を内蔵するミ
シンアームの下部外側に適宜に設定できる。このような
送り調整ロッドの先端をミシンアームの前側にまで延設
し、これに並設された送り操作軸に連結して、該送り操
作軸の操作により送り量の調整を可能とする。また送り
操作軸の操作に伴う送り調整ロッドの摺動位置の変化
を、これの長手方向に沿って延設され、上送り歯の動作
位置、即ち、縫製位置に面して配した目盛り板に表示さ
せる。これにより、ミシンアームの下部前側での送り操
作軸の操作により上送り量の調整が可能であり、調整の
結果は、前記目盛り板の読み取りにより縫製作業中に容
易に確認することができる。更に、送り調整ロッドと送
り操作軸とが、送り調整ロッドの長手方向の相対移動を
許容して連結されており、縫製作業中の適宜のタイミン
グにて他の手段により送り調整レバーを揺動させること
により、上送り量を一時的に変更することができ、上送
り量を2種に変更しての縫いを実現し、いせ込み縫い等
の特殊な縫いへの対応を可能とする。
【0022】
【実施例】以下本考案をその実施例を示す図面に基づい
て詳述する。図1は、本考案に係る上送り装置の特徴部
分の斜視図である。図中Sは、ミシン各部の駆動源とな
る主軸であり、該主軸Sの後側(図においては左奥側)
には、これと平行をなして送り駆動軸4及び送り調整軸
5が架設されている。主軸Sは、図示しないミシンモー
タからの伝動により軸心回りに回転駆動されており、ま
た送り駆動軸4及び送り調整軸5は、ミシンアームの内
部に夫々の軸心回りでの回動可能に支承されている。
て詳述する。図1は、本考案に係る上送り装置の特徴部
分の斜視図である。図中Sは、ミシン各部の駆動源とな
る主軸であり、該主軸Sの後側(図においては左奥側)
には、これと平行をなして送り駆動軸4及び送り調整軸
5が架設されている。主軸Sは、図示しないミシンモー
タからの伝動により軸心回りに回転駆動されており、ま
た送り駆動軸4及び送り調整軸5は、ミシンアームの内
部に夫々の軸心回りでの回動可能に支承されている。
【0023】送り駆動軸4は、主軸Sの回転を前記上送
り軸30(図4参照)に伝えるための伝動軸である。送り
駆動軸4の軸長方向一側には、主軸Sからの伝動のため
の伝動アーム40が、また他側には、上送り軸30への伝動
のための伝動フォーク41が夫々嵌着固定してあり、主軸
Sからの伝動により送り駆動軸4に後述の如く生じる反
復回動が、前記伝動フォーク41に係合する角駒 41aに連
設された図示しないリンク機構を介して前記上送り軸30
に伝達され、該上送り軸30の下端に取り付けた上送り歯
35(図4参照)に前述した送り動作を行わせる構成とな
っている。
り軸30(図4参照)に伝えるための伝動軸である。送り
駆動軸4の軸長方向一側には、主軸Sからの伝動のため
の伝動アーム40が、また他側には、上送り軸30への伝動
のための伝動フォーク41が夫々嵌着固定してあり、主軸
Sからの伝動により送り駆動軸4に後述の如く生じる反
復回動が、前記伝動フォーク41に係合する角駒 41aに連
設された図示しないリンク機構を介して前記上送り軸30
に伝達され、該上送り軸30の下端に取り付けた上送り歯
35(図4参照)に前述した送り動作を行わせる構成とな
っている。
【0024】主軸Sの中途には、送り駆動軸4への伝動
のためのカムリング42が装着してあり、該カムリング42
から後下方に突設されたカムロッド43の先端と、送り駆
動軸4に基端を嵌着された前記伝動アーム40の先端と
は、前記送り調整軸5を含む送り調整機構を介して連結
されている。この送り調整機構は、相等しい長さを有
し、夫々の一端部が連結ピン52により連結された一対の
リンク部材50,51を備えており、前記伝動アーム40の先
端は、一方のリンク部材50の他端部に連結ピン53を介し
て連結され、また前記カムロッド43の先端は、リンク部
材50,51を相互に連結する前記連結ピン52に嵌着されて
いる。
のためのカムリング42が装着してあり、該カムリング42
から後下方に突設されたカムロッド43の先端と、送り駆
動軸4に基端を嵌着された前記伝動アーム40の先端と
は、前記送り調整軸5を含む送り調整機構を介して連結
されている。この送り調整機構は、相等しい長さを有
し、夫々の一端部が連結ピン52により連結された一対の
リンク部材50,51を備えており、前記伝動アーム40の先
端は、一方のリンク部材50の他端部に連結ピン53を介し
て連結され、また前記カムロッド43の先端は、リンク部
材50,51を相互に連結する前記連結ピン52に嵌着されて
いる。
【0025】また、他方のリンク部材51の他端部は、リ
ンク部材50の逆側に配された揺動板54に連結ピン55を介
して連結してある。この揺動板54は、前記リンク部材5
0,51と等長の2辺を、連結ピン55の嵌着部位の両側に
有する2等辺三角形をなす部材であり、一方の辺の他端
部に嵌挿された支軸56に、これの軸心回りでの揺動自在
に支持されている。揺動板54の他方の辺の他端部には、
角駒57が装着してあり、この角駒57は、前記送り調整軸
5の一端部に、半径方向外向きに突設されたフォーク58
に係合させてある。
ンク部材50の逆側に配された揺動板54に連結ピン55を介
して連結してある。この揺動板54は、前記リンク部材5
0,51と等長の2辺を、連結ピン55の嵌着部位の両側に
有する2等辺三角形をなす部材であり、一方の辺の他端
部に嵌挿された支軸56に、これの軸心回りでの揺動自在
に支持されている。揺動板54の他方の辺の他端部には、
角駒57が装着してあり、この角駒57は、前記送り調整軸
5の一端部に、半径方向外向きに突設されたフォーク58
に係合させてある。
【0026】図2及び図3は、以上の如く構成された伝
動系の動作説明図である。主軸S中途のカムリング42
は、該主軸Sに嵌合する偏心カムを内蔵しており、カム
リング42に突設されたカムロッド43は、主軸Sの中心回
りに所定の偏心円に沿って生じるカムリング42の動作に
応じて、主軸Sの回転毎に一回の進退動作を行うように
なしてある。カムロッド43に進退動作が生じた場合、こ
れの先端に嵌着された連結ピン52が押し引きされ、更
に、リンク部材50を介して連結ピン53が押し引きされ
て、これに伴う伝動アーム40の揺動が送り駆動軸4に伝
達される結果、送り駆動軸4は、伝動アーム40の揺動角
度に対応する角度範囲内にて、主軸Sの回転毎に一回の
反復回動を行う。
動系の動作説明図である。主軸S中途のカムリング42
は、該主軸Sに嵌合する偏心カムを内蔵しており、カム
リング42に突設されたカムロッド43は、主軸Sの中心回
りに所定の偏心円に沿って生じるカムリング42の動作に
応じて、主軸Sの回転毎に一回の進退動作を行うように
なしてある。カムロッド43に進退動作が生じた場合、こ
れの先端に嵌着された連結ピン52が押し引きされ、更
に、リンク部材50を介して連結ピン53が押し引きされ
て、これに伴う伝動アーム40の揺動が送り駆動軸4に伝
達される結果、送り駆動軸4は、伝動アーム40の揺動角
度に対応する角度範囲内にて、主軸Sの回転毎に一回の
反復回動を行う。
【0027】このとき、リンク部材50両側の連結ピン5
2,53の内、伝動アーム40との連結側の連結ピン53は、
送り駆動軸4の軸心を中心とし、伝動アーム40の有効長
さを半径とする円弧D上に拘束される一方、リンク部材
51との連結側の連結ピン52は、リンク部材51の他方の連
結ピン55を中心とし、該リンク部材51の有効長さを半径
とする円弧E上に拘束される。ここで、円弧Eの中心と
なる連結ピン55は、固定的に支持されたものではなく、
該連結ピン55の支持位置は、フォーク58及び角駒57を介
して伝達される送り調整軸5の回動により、支軸56を揺
動中心として生じる揺動板54の揺動に応じて変化する。
2,53の内、伝動アーム40との連結側の連結ピン53は、
送り駆動軸4の軸心を中心とし、伝動アーム40の有効長
さを半径とする円弧D上に拘束される一方、リンク部材
51との連結側の連結ピン52は、リンク部材51の他方の連
結ピン55を中心とし、該リンク部材51の有効長さを半径
とする円弧E上に拘束される。ここで、円弧Eの中心と
なる連結ピン55は、固定的に支持されたものではなく、
該連結ピン55の支持位置は、フォーク58及び角駒57を介
して伝達される送り調整軸5の回動により、支軸56を揺
動中心として生じる揺動板54の揺動に応じて変化する。
【0028】而して、送り調整軸5を回動操作して揺動
板54を揺動せしめ、リンク部材51の揺動中心、即ち、円
弧Eの中心となる連結ピン55を、連結ピン53が拘束され
る円弧Dの周上に位置させた場合、図2に示す如く、リ
ンク部材50,51が円弧Eの半径線上にて重なり、両リン
ク部材50,51を連結する連結ピン52は、円弧Dの周上に
中心を有する円弧Eの周上に拘束される。この結果、前
記カムロッド43の進退動作により作用する押し引き力
は、連結ピン53,55を中心とする円弧Eの周上にて生じ
る連結ピン52の移動により吸収され、リンク部材50は、
連結ピン53の軸心回りに揺動するのみであり、伝動アー
ム40に何らの作用も及ぼさず、送り駆動軸4の回動は生
じない。
板54を揺動せしめ、リンク部材51の揺動中心、即ち、円
弧Eの中心となる連結ピン55を、連結ピン53が拘束され
る円弧Dの周上に位置させた場合、図2に示す如く、リ
ンク部材50,51が円弧Eの半径線上にて重なり、両リン
ク部材50,51を連結する連結ピン52は、円弧Dの周上に
中心を有する円弧Eの周上に拘束される。この結果、前
記カムロッド43の進退動作により作用する押し引き力
は、連結ピン53,55を中心とする円弧Eの周上にて生じ
る連結ピン52の移動により吸収され、リンク部材50は、
連結ピン53の軸心回りに揺動するのみであり、伝動アー
ム40に何らの作用も及ぼさず、送り駆動軸4の回動は生
じない。
【0029】一方、送り調整軸5を更に回動操作して揺
動板54を他の揺動位置に拘束した場合、リンク部材51の
揺動中心たる連結ピン55が円弧Dの周上から離反し、図
3に示す如く、リンク部材50とリンク部材51とに食い違
いが生じる。従って、カムロッド43の進退動作により両
リンク部材50,51を連結する連結ピン52が押し引きされ
た場合、リンク部材50の他側の連結ピン53は、前記円弧
Dの周上に沿って変位するようになり、図3(a),
(b)に示す如く、この変位が伝動アーム40を介して送
り駆動軸4に伝達されて、該送り駆動軸4は、カムロッ
ド43の進出時に一方向に、退入時に他方向に夫々回動す
る動作を、主軸Sの回転毎に反復するようになる。
動板54を他の揺動位置に拘束した場合、リンク部材51の
揺動中心たる連結ピン55が円弧Dの周上から離反し、図
3に示す如く、リンク部材50とリンク部材51とに食い違
いが生じる。従って、カムロッド43の進退動作により両
リンク部材50,51を連結する連結ピン52が押し引きされ
た場合、リンク部材50の他側の連結ピン53は、前記円弧
Dの周上に沿って変位するようになり、図3(a),
(b)に示す如く、この変位が伝動アーム40を介して送
り駆動軸4に伝達されて、該送り駆動軸4は、カムロッ
ド43の進出時に一方向に、退入時に他方向に夫々回動す
る動作を、主軸Sの回転毎に反復するようになる。
【0030】このとき、送り駆動軸4の反復回動は、円
弧D上での連結ピン53の最大変位を上限とする角度範囲
内にて生じるが、この上限角度の大小は、カムリング42
に内蔵された偏心カムの偏心量と共に、リンク部材50と
リンク部材51との間の食い違い角度の大小に対応し、こ
の食い違い角度の大小は、送り調整軸5の回動角度の大
小に対応する。また一方、このように生じる送り駆動軸
4の反復回動は、前述した如く、上送り軸30を介して上
送り歯35に伝達され、該上送り歯35の送り動作が生じ
る。従って、上送り歯35の送り動作量(上送り量)は、
送り調整軸5を回動せしめ、送り駆動軸4の反復回動の
上限角度を加減することにより、下送り歯13,13の送り
動作量(下送り量)から零までの範囲で自在に調整で
き、いせ込み縫い等、上下の送り量を異ならせた状態で
行われる特殊な縫いに対応できる。
弧D上での連結ピン53の最大変位を上限とする角度範囲
内にて生じるが、この上限角度の大小は、カムリング42
に内蔵された偏心カムの偏心量と共に、リンク部材50と
リンク部材51との間の食い違い角度の大小に対応し、こ
の食い違い角度の大小は、送り調整軸5の回動角度の大
小に対応する。また一方、このように生じる送り駆動軸
4の反復回動は、前述した如く、上送り軸30を介して上
送り歯35に伝達され、該上送り歯35の送り動作が生じ
る。従って、上送り歯35の送り動作量(上送り量)は、
送り調整軸5を回動せしめ、送り駆動軸4の反復回動の
上限角度を加減することにより、下送り歯13,13の送り
動作量(下送り量)から零までの範囲で自在に調整で
き、いせ込み縫い等、上下の送り量を異ならせた状態で
行われる特殊な縫いに対応できる。
【0031】さて、本考案に係る上送り装置の特徴は、
上送り量の調整のために送り調整軸5を回動操作する操
作機構の構成にある。図1に示す如く、送り調整軸5の
他側は、L字形をなす送り調整レバー6に係合させてあ
る。送り調整レバー6は、送り調整軸5と平行をなす枢
支ピン60により、L字の角部をミシンアームの内部に揺
動自在に枢支して取付けてあり、下方及び後方に延びる
L字の両辺は、図示しないミシンアームの下側及び後側
外部に夫々適長突出せしめてある。
上送り量の調整のために送り調整軸5を回動操作する操
作機構の構成にある。図1に示す如く、送り調整軸5の
他側は、L字形をなす送り調整レバー6に係合させてあ
る。送り調整レバー6は、送り調整軸5と平行をなす枢
支ピン60により、L字の角部をミシンアームの内部に揺
動自在に枢支して取付けてあり、下方及び後方に延びる
L字の両辺は、図示しないミシンアームの下側及び後側
外部に夫々適長突出せしめてある。
【0032】送り調整レバー6と送り調整軸5との係合
は、後者の端部に固着された係合板62の上部に軸長方向
外向きに突設された係合ピン63を、前者の下方への延設
部の中途に、上下方向に適宜の長さを有して形成された
係合孔61に嵌入せしめ、送り調整軸5の回動が、送り調
整レバー6の揺動の向きと逆向きに生じるようになして
ある。即ち、後端部の下方への引っ張り、又は下端部の
前方への引っ張りにより、送り調整レバー6を反時計回
りに揺動させた場合、送り調整軸5は時計回りに回動
し、上送り量は増加する。
は、後者の端部に固着された係合板62の上部に軸長方向
外向きに突設された係合ピン63を、前者の下方への延設
部の中途に、上下方向に適宜の長さを有して形成された
係合孔61に嵌入せしめ、送り調整軸5の回動が、送り調
整レバー6の揺動の向きと逆向きに生じるようになして
ある。即ち、後端部の下方への引っ張り、又は下端部の
前方への引っ張りにより、送り調整レバー6を反時計回
りに揺動させた場合、送り調整軸5は時計回りに回動
し、上送り量は増加する。
【0033】送り調整レバー6の後方への延設端は、こ
れに係止された連結チェーン64を介して、例えば、作業
者の膝により押圧操作される膝レバーに連結してあり、
該膝レバーの操作が行われた場合、送り調整レバー6の
後端が下方に引かれて、前述した如く、上送り量が増す
ようになっている。
れに係止された連結チェーン64を介して、例えば、作業
者の膝により押圧操作される膝レバーに連結してあり、
該膝レバーの操作が行われた場合、送り調整レバー6の
後端が下方に引かれて、前述した如く、上送り量が増す
ようになっている。
【0034】一方、送り調整レバー6の下方への延設端
は、送り調整ロッド7の一端に連結されている。送り調
整ロッド7は、細幅板状をなす部材であり、長手方向を
前後に向け、送り調整レバー6との連結部を後端とし
て、図示しないミシン本体の一部に、送り調整レバー6
の下端部が突出せしめられたミシンアームの下側に位置
して前後方向への摺動自在に支承されている。このよう
に支承された送り調整ロッド7の一側には、これと平行
するように送り操作軸8が並設してある。該送り操作軸
8は、ミシンアームの一部に固定された目盛り板9に軸
心回りでの回動自在に枢支されており、目盛り板9の前
部に突出する送り操作軸8の先端には操作つまみ80が固
定され、該操作つまみ80の操作により送り操作軸8を正
逆両方向に回転させ得るようにしてある。
は、送り調整ロッド7の一端に連結されている。送り調
整ロッド7は、細幅板状をなす部材であり、長手方向を
前後に向け、送り調整レバー6との連結部を後端とし
て、図示しないミシン本体の一部に、送り調整レバー6
の下端部が突出せしめられたミシンアームの下側に位置
して前後方向への摺動自在に支承されている。このよう
に支承された送り調整ロッド7の一側には、これと平行
するように送り操作軸8が並設してある。該送り操作軸
8は、ミシンアームの一部に固定された目盛り板9に軸
心回りでの回動自在に枢支されており、目盛り板9の前
部に突出する送り操作軸8の先端には操作つまみ80が固
定され、該操作つまみ80の操作により送り操作軸8を正
逆両方向に回転させ得るようにしてある。
【0035】図示の如く送り操作軸8は、前半部の外周
にねじ部を備えたねじ軸であり、このねじ部には、ナッ
ト部材81が螺合せしめてある。一方、送り調整ロッド7
の前部には、長手方向に沿って長孔70が形成してあり、
また目盛り板9には、一部を破断して示す如く、送り操
作軸8の前半部に整合する位置に長孔90が形成してあ
り、これらの長孔70,90には、ナット部材81の両側に突
設された係合突起82,83が係合させてある。即ちナット
部材81は、長孔70,90との係合により回転を拘束されて
おり、前記操作つまみ80の操作により送り操作軸8を回
転せしめた場合、ねじ部の送り作用により前後に移動す
る。
にねじ部を備えたねじ軸であり、このねじ部には、ナッ
ト部材81が螺合せしめてある。一方、送り調整ロッド7
の前部には、長手方向に沿って長孔70が形成してあり、
また目盛り板9には、一部を破断して示す如く、送り操
作軸8の前半部に整合する位置に長孔90が形成してあ
り、これらの長孔70,90には、ナット部材81の両側に突
設された係合突起82,83が係合させてある。即ちナット
部材81は、長孔70,90との係合により回転を拘束されて
おり、前記操作つまみ80の操作により送り操作軸8を回
転せしめた場合、ねじ部の送り作用により前後に移動す
る。
【0036】送り調整ロッド7は、これの後端に接続さ
れた送り調整レバー6を介して後向きに付勢されてお
り、ナット部材81の係合突起82は、図示の如く、前記長
孔70の前端に押し付けられている。而して、操作つまみ
80の操作により送り操作軸8を回転させ、ナット部材81
を前方に移動せしめた場合、送り調整ロッド7は長孔70
を介して前方に引かれ、これに応じた送り調整レバー6
の揺動により送り調整軸5が回動して、上送り量が増量
側に調整される一方、操作つまみ80を逆方向に操作し、
ナット部材81を後方に移動せしめた場合、送り調整レバ
ー6は、送り調整ロッド7による引っ張りの解除に伴っ
て逆向きに揺動し、上送り量が減量側に調整される。
れた送り調整レバー6を介して後向きに付勢されてお
り、ナット部材81の係合突起82は、図示の如く、前記長
孔70の前端に押し付けられている。而して、操作つまみ
80の操作により送り操作軸8を回転させ、ナット部材81
を前方に移動せしめた場合、送り調整ロッド7は長孔70
を介して前方に引かれ、これに応じた送り調整レバー6
の揺動により送り調整軸5が回動して、上送り量が増量
側に調整される一方、操作つまみ80を逆方向に操作し、
ナット部材81を後方に移動せしめた場合、送り調整レバ
ー6は、送り調整ロッド7による引っ張りの解除に伴っ
て逆向きに揺動し、上送り量が減量側に調整される。
【0037】このように本考案に係る上送り装置は、操
作つまみ80を操作して送り操作軸8を回転させ、これに
連結された送り調整ロッド7を前方に引っ張り、送り調
整レバー6を揺動させて、ミシンアームの内部に支承さ
れた送り調整軸5を回動操作し、この回動操作に応じて
加減された上送り量を得る構成となっている。この構成
において、送り調整軸5と送り調整レバー6との係合
は、送り調整軸5の軸長方向の適宜位置にて実現でき、
また送り調整ロッド7の配設位置は、これの後端が連結
された送り調整レバー6の下端が突出する図示しないミ
シンアームの下部外側において、他の構成部品に干渉し
ない範囲で適宜に設定できる上、前後に延びる送り調整
ロッド7に並設された送り調整軸8の前端に最終的な操
作端となる操作つまみ80が取り付けられているから、こ
のような操作系を、例えば、ミシンアームの基部を支持
する脚フレームの内側面(縫製位置に対向する側面)に
構成することにより、正面側からの上送り量の調整が行
えるようになる。
作つまみ80を操作して送り操作軸8を回転させ、これに
連結された送り調整ロッド7を前方に引っ張り、送り調
整レバー6を揺動させて、ミシンアームの内部に支承さ
れた送り調整軸5を回動操作し、この回動操作に応じて
加減された上送り量を得る構成となっている。この構成
において、送り調整軸5と送り調整レバー6との係合
は、送り調整軸5の軸長方向の適宜位置にて実現でき、
また送り調整ロッド7の配設位置は、これの後端が連結
された送り調整レバー6の下端が突出する図示しないミ
シンアームの下部外側において、他の構成部品に干渉し
ない範囲で適宜に設定できる上、前後に延びる送り調整
ロッド7に並設された送り調整軸8の前端に最終的な操
作端となる操作つまみ80が取り付けられているから、こ
のような操作系を、例えば、ミシンアームの基部を支持
する脚フレームの内側面(縫製位置に対向する側面)に
構成することにより、正面側からの上送り量の調整が行
えるようになる。
【0038】図示の如く、送り調整軸8を支持する前記
目盛り板9の長孔90の下側には、これの長手方向に並ぶ
複数の目盛り線が形成され、また、この長孔90に係合す
るナット部材81の係合突起83の端面には、1本の目盛り
線が形成されており、これらの目盛り線の整合状態の視
認により、長孔90に対するナット部材81の移動位置の変
化、即ち、ナット部材81と一体的に移動する送り調整ロ
ッド7の摺動位置の変化を媒介として、前述の如く調整
される上送り量の確認をなし得る構成となっている。こ
こで前述した操作系の配置により目盛り板9は、図1に
示す如く、前記送り駆動軸4の一端部に上送り歯への伝
動のために設けられた前記伝動フォーク41の側、即ち、
前記上送り歯の動作位置に面してミシンアームの下部外
側に配設することができ、この目盛り板9に形成された
目盛り線は、上送り歯による送り動作が行われる縫製位
置からの視認が可能であり、前述の如く調整される上送
り量は、縫製作業中に容易に確認することができる。
目盛り板9の長孔90の下側には、これの長手方向に並ぶ
複数の目盛り線が形成され、また、この長孔90に係合す
るナット部材81の係合突起83の端面には、1本の目盛り
線が形成されており、これらの目盛り線の整合状態の視
認により、長孔90に対するナット部材81の移動位置の変
化、即ち、ナット部材81と一体的に移動する送り調整ロ
ッド7の摺動位置の変化を媒介として、前述の如く調整
される上送り量の確認をなし得る構成となっている。こ
こで前述した操作系の配置により目盛り板9は、図1に
示す如く、前記送り駆動軸4の一端部に上送り歯への伝
動のために設けられた前記伝動フォーク41の側、即ち、
前記上送り歯の動作位置に面してミシンアームの下部外
側に配設することができ、この目盛り板9に形成された
目盛り線は、上送り歯による送り動作が行われる縫製位
置からの視認が可能であり、前述の如く調整される上送
り量は、縫製作業中に容易に確認することができる。
【0039】また目盛り板9には、前記長孔90の下側に
前後に並べて一対の長孔91,92が形成してあり、これら
には、送り調整ロッド7の所定位置に突設された目盛り
突起71とストッパ突起72とが夫々嵌合させてある。目盛
り突起71の突設位置は、前述した如く行われる上送り量
調整に際し、長孔91に沿う目盛り突起71の移動が、長孔
90に沿うナット部材81の係合突起83の移動と略一致して
生じるように設定してある。目盛り突起71の先端面に
は、前記係合突起83の端面におけるそれと一致するよう
に1本の目盛り線が形成してあり、この目盛り線と長孔
90下側の複数の目盛り線との整合により、送り調整ロッ
ド7の摺動位置が直接的に表示されるようになしてあ
る。
前後に並べて一対の長孔91,92が形成してあり、これら
には、送り調整ロッド7の所定位置に突設された目盛り
突起71とストッパ突起72とが夫々嵌合させてある。目盛
り突起71の突設位置は、前述した如く行われる上送り量
調整に際し、長孔91に沿う目盛り突起71の移動が、長孔
90に沿うナット部材81の係合突起83の移動と略一致して
生じるように設定してある。目盛り突起71の先端面に
は、前記係合突起83の端面におけるそれと一致するよう
に1本の目盛り線が形成してあり、この目盛り線と長孔
90下側の複数の目盛り線との整合により、送り調整ロッ
ド7の摺動位置が直接的に表示されるようになしてあ
る。
【0040】一方、前記ストッパ突起72の突設位置は、
これの長孔92への嵌合位置が、前記目盛り突起71の長孔
91への嵌合位置に対応するように設定してある。前記長
孔92には、ストッパ突起72の嵌合位置よりも前側の適宜
位置にねじ止め固定可能にストッパねじ93が取り付けて
ある。この構成によりストッパ突起72は、送り調整ロッ
ド7の前方への摺動に伴って長孔92に沿って移動すると
き、ストッパねじ93に当接して、送り調整ロッド7の前
方への摺動、即ち、上送り量の増量を制限する作用をな
す。
これの長孔92への嵌合位置が、前記目盛り突起71の長孔
91への嵌合位置に対応するように設定してある。前記長
孔92には、ストッパ突起72の嵌合位置よりも前側の適宜
位置にねじ止め固定可能にストッパねじ93が取り付けて
ある。この構成によりストッパ突起72は、送り調整ロッ
ド7の前方への摺動に伴って長孔92に沿って移動すると
き、ストッパねじ93に当接して、送り調整ロッド7の前
方への摺動、即ち、上送り量の増量を制限する作用をな
す。
【0041】また本考案においては、送り調整ロッド7
と送り操作軸8とが、前者に形成された長孔70に後者に
螺合するナット部材81の係合突起82を係合せしめ、送り
調整ロッド7の長手方向の相対移動を許容して連結され
ている。従って、操作つまみ80の操作により上送り量の
調整を行い、この状態での縫製の実施中に、送り調整レ
バー6の後端に連結された膝レバーの押圧操作が行われ
た場合、前記送り調整レバー6を前記長孔70の長さ範囲
内にて揺動させて上送り量を変更(増す)ことができ
る。このとき、送り調整レバー6の揺動により送り調整
ロッド7が前方に押圧されて移動するが、この移動は、
前記長孔70の全長に亘って生じるのではなく、前記スト
ッパ突起72と前記ストッパねじ93との当接により制限さ
れる。つまり、ストッパねじ93の固定位置を変えること
により、膝レバーの操作に伴う上送り量の増量範囲を制
限することができる。
と送り操作軸8とが、前者に形成された長孔70に後者に
螺合するナット部材81の係合突起82を係合せしめ、送り
調整ロッド7の長手方向の相対移動を許容して連結され
ている。従って、操作つまみ80の操作により上送り量の
調整を行い、この状態での縫製の実施中に、送り調整レ
バー6の後端に連結された膝レバーの押圧操作が行われ
た場合、前記送り調整レバー6を前記長孔70の長さ範囲
内にて揺動させて上送り量を変更(増す)ことができ
る。このとき、送り調整レバー6の揺動により送り調整
ロッド7が前方に押圧されて移動するが、この移動は、
前記長孔70の全長に亘って生じるのではなく、前記スト
ッパ突起72と前記ストッパねじ93との当接により制限さ
れる。つまり、ストッパねじ93の固定位置を変えること
により、膝レバーの操作に伴う上送り量の増量範囲を制
限することができる。
【0042】膝レバーの操作は、例えば、いせ込み縫い
に際して、所定のいせ込み量を与えるべく行われるもの
であり、この操作による上送り量の変更の程度がストッ
パねじ93の締め付け位置に応じて適宜に設定できる。な
お、この締め付け位置は、上送り量の調整を行った後、
膝レバーを押圧程度を加減しつつ操作し、本来一致すべ
き目盛り突起71の目盛り線と係合突起83の目盛り線との
間に所望のずれが生じた位置にて、前記ストッパ突起72
との当接が生じるように決定すればよく、この後におい
ては、通常時には、操作つまみ80の操作により設定され
た上送り量での縫製が行われ、膝レバーの操作がなされ
ている間には、前記上送り量を所定量だけ増した状態で
の縫製が行われるようになり、2種の異なる上送り量を
適宜に組み合わせての縫製が可能となる。このような縫
製は、送り調整ロッド7と、これに並設された送り操作
軸8との連結が、後者に対する前者の前方向への相対移
動を許容してなされていることにより実現される。
に際して、所定のいせ込み量を与えるべく行われるもの
であり、この操作による上送り量の変更の程度がストッ
パねじ93の締め付け位置に応じて適宜に設定できる。な
お、この締め付け位置は、上送り量の調整を行った後、
膝レバーを押圧程度を加減しつつ操作し、本来一致すべ
き目盛り突起71の目盛り線と係合突起83の目盛り線との
間に所望のずれが生じた位置にて、前記ストッパ突起72
との当接が生じるように決定すればよく、この後におい
ては、通常時には、操作つまみ80の操作により設定され
た上送り量での縫製が行われ、膝レバーの操作がなされ
ている間には、前記上送り量を所定量だけ増した状態で
の縫製が行われるようになり、2種の異なる上送り量を
適宜に組み合わせての縫製が可能となる。このような縫
製は、送り調整ロッド7と、これに並設された送り操作
軸8との連結が、後者に対する前者の前方向への相対移
動を許容してなされていることにより実現される。
【0043】なお、送り調整レバー6の形状、及び、送
り調整レバー6と送り調整軸5又は送り調整ロッド7と
の連結構造は、本実施例に示すものに限らず、同様の機
能を果たし得るものであれば他のいかなる構成を採用し
てもよい。また本実施例においては、送り操作軸8の回
転をねじ機構により直線運動に変換し、送り調整ロッド
7を前方に引っ張り操作する操作手段を構成してある
が、例えば、送り調整ロッド7の前端に直接的な引っ張
り力を加え、適宜の位置にて拘束する等、他の構成の操
作手段を採用してもよい。
り調整レバー6と送り調整軸5又は送り調整ロッド7と
の連結構造は、本実施例に示すものに限らず、同様の機
能を果たし得るものであれば他のいかなる構成を採用し
てもよい。また本実施例においては、送り操作軸8の回
転をねじ機構により直線運動に変換し、送り調整ロッド
7を前方に引っ張り操作する操作手段を構成してある
が、例えば、送り調整ロッド7の前端に直接的な引っ張
り力を加え、適宜の位置にて拘束する等、他の構成の操
作手段を採用してもよい。
【0044】
【考案の効果】以上詳述した如く本考案に係るミシンの
上送り装置においては、上送り量を決定する送り調整軸
に、これと直交する面内にて揺動する送り調整レバーを
係合し、この送り調整レバーの下方への延長端に送り調
整ロッドの後端部を連結して、上送り量の調整のための
前記送り調整軸の回動操作が、前記送り調整ロッドの前
後方向への操作により行われる構成としたから、ミシン
アームの下部前側、即ちミシンの正面側での上送り量の
調整が可能である。また、前記送り調整ロッドに長手方
向の相対移動を許容して送り操作軸を連結し、この送り
操作軸により送り調整ロッドを操作する構成としたか
ら、上送り量を調整した後の縫製作業中に他の手段によ
り送り調整レバーを揺動させて上送り量を一時的に変え
ることができ、2種の上送り量を組み合わせた縫製が可
能であり、いせ込み縫い等の特殊な縫いへの対応が可能
となる。更に、前述した調整により得られる上送り量
を、送り調整ロッドの長手方向に沿って、上送り歯の動
作位置に面して配された目盛り板上に表示する構成とし
たから、縫製作業中に上送り量の確認が容易に行え、誤
った調整下での縫製を未然に防止できる等、本考案は優
れた効果を奏する。
上送り装置においては、上送り量を決定する送り調整軸
に、これと直交する面内にて揺動する送り調整レバーを
係合し、この送り調整レバーの下方への延長端に送り調
整ロッドの後端部を連結して、上送り量の調整のための
前記送り調整軸の回動操作が、前記送り調整ロッドの前
後方向への操作により行われる構成としたから、ミシン
アームの下部前側、即ちミシンの正面側での上送り量の
調整が可能である。また、前記送り調整ロッドに長手方
向の相対移動を許容して送り操作軸を連結し、この送り
操作軸により送り調整ロッドを操作する構成としたか
ら、上送り量を調整した後の縫製作業中に他の手段によ
り送り調整レバーを揺動させて上送り量を一時的に変え
ることができ、2種の上送り量を組み合わせた縫製が可
能であり、いせ込み縫い等の特殊な縫いへの対応が可能
となる。更に、前述した調整により得られる上送り量
を、送り調整ロッドの長手方向に沿って、上送り歯の動
作位置に面して配された目盛り板上に表示する構成とし
たから、縫製作業中に上送り量の確認が容易に行え、誤
った調整下での縫製を未然に防止できる等、本考案は優
れた効果を奏する。
【図1】本考案に係る上送り装置の特徴部分の斜視図で
ある。
ある。
【図2】上送り装置への伝動系の動作説明図である。
【図3】上送り装置への伝動系の動作説明図である。
【図4】上送り装置を備えたミシンの針落ち位置近傍の
側断面図である。
側断面図である。
4 送り駆動軸 5 送り調整軸 6 送り調整レバー 7 送り調整ロッド 8 送り操作軸 9 目盛り板 30 上送り軸 35 上送り歯 42 カムリング 43 カムロッド 50 リンク部材 51 リンク部材 54 揺動板 56 支軸 60 枢支ピン 62 係合板 70 長孔 71 目盛り突起 72 ストッパ突起 80 操作つまみ 81 ナット部材 93 ストッパねじ S 主軸
Claims (1)
- 【請求項1】 ミシンアームの内部に主軸と平行をなし
て送り駆動軸及び送り調整軸を架設し、該送り調整軸を
含む送り調整機構を介して前記主軸と前記送り駆動軸と
を連結してなり、主軸の回転に応じて所定の上限角度内
にて生じる送り駆動軸の反復回動をミシンアームの先端
に垂下支持された上送り歯に伝え、ミシンベッド上の縫
製生地に上部から送りを加えると共に、前記反復回動の
上限角度を前記送り調整軸の回動操作により加減し、前
記上送り歯の送り動作量を調整する構成としたミシンの
上送り装置において、前記送り調整軸の一部に係合し、
該送り調整軸と略直交する面内にて揺動する送り調整レ
バーと、該送り調整レバーの下方への延長端にその後端
を連結され、前記ミシンアームの外側に前後方向への摺
動自在に支承してある送り調整ロッドと、該送り調整ロ
ッドに並設され、該送り調整ロッドに長手方向の相対移
動を許容して連結してあり、その操作により前記送り調
整ロッドを介して送り調整レバーを揺動させ、前記送り
調整軸を回動操作する送り操作軸と、前記送り調整ロッ
ドの長手方向に沿って前記上送り歯の動作位置に面して
配設され、該上送り歯の送り動作量を、前記送り操作軸
の操作に伴う前記送り調整ロッドの摺動位置の変化を媒
介として表示する目盛り板とを具備することを特徴とす
るミシンの上送り装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993040162U JP2594003Y2 (ja) | 1993-07-22 | 1993-07-22 | ミシンの上送り装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1993040162U JP2594003Y2 (ja) | 1993-07-22 | 1993-07-22 | ミシンの上送り装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH079271U JPH079271U (ja) | 1995-02-10 |
JP2594003Y2 true JP2594003Y2 (ja) | 1999-04-19 |
Family
ID=12573071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1993040162U Expired - Lifetime JP2594003Y2 (ja) | 1993-07-22 | 1993-07-22 | ミシンの上送り装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2594003Y2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006305213A (ja) * | 2005-05-02 | 2006-11-09 | Morimoto Mfg Co Ltd | ミシンの送り装置 |
-
1993
- 1993-07-22 JP JP1993040162U patent/JP2594003Y2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH079271U (ja) | 1995-02-10 |
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Legal Events
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EXPY | Cancellation because of completion of term | ||
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