JP2004329165A - 食肉用浸漬剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】一般に食肉は加熱することにより筋肉蛋白質が加熱変性を受け、ドリップの生成や焼き縮みが生じたり、パサついた食感や硬さを感じるなどの諸問題が生じる。これら加熱による食肉の変化は、食肉の旨味を引き出しおいしさを付与する一方、食肉加工上の観点からはその外観を著しく損ねるだけでなく,肉質が硬くしまり、パサパサしたジューシー感を失った食感になったり、歩留まりが低下するなどの問題もあわせて引き起こす。本発明は、冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防ぐための食肉用浸漬剤を提供するものである。
【解決手段】卵白蛋白質の酵素加水分解物を含有させることにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし
【解決手段】卵白蛋白質の酵素加水分解物を含有させることにより上記課題を解決する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食肉用浸漬剤に関する。より詳しくは、冷凍保存後、もしくは加熱調理後においても優れた歩留まりと、良好な食感を食肉に与えることが出来る食肉用浸漬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に食肉は加熱することにより筋肉蛋白質が加熱変性を受け、ドリップの生成や焼き縮みが生じたり、パサついた食感や硬さを感じるなどの諸問題が生じる。これら加熱による食肉の変化は、食肉の旨味を引き出しおいしさを付与する一方、食肉加工上の観点からはその外観を著しく損ねるだけでなく,肉質が硬くしまり、パサパサしたジューシー感を失った食感になったり、歩留まりが低下するなどの問題もあわせて引き起こす。
一般的にこれら食肉加工食品に用いられる原料の大半は冷凍食肉が使用されている。また近年加熱調理後冷凍流通するものも増加している。これら冷凍品は冷凍保存が長期になると保水力が低下するため、上記に示したような食肉加工時に発生する問題点が更に顕著に現れてくる。
従来歩留まりの低下という問題に対して、重合リン酸塩や糖類の添加が行われてきたが、これらの成分の添加では風味や食感が低下するという問題があった。それらの対策としてクエン酸塩を使用する方法(たとえば特許文献1参照)などが開示されているが十分な効果は得られていない。
また卵白の食肉改良技術としてインジェクション法が知られているが、肉に針を打ち込むため、対象にある程度の大きさが必要なため、サイズの小さなものには使えないという問題があり、また肉片に損傷を与える点より好ましくなかった。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第3134678号明細書(第1−3頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防ぐための食肉用浸漬剤を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、卵白蛋白質の酵素加水分解物が、冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防ぐ効果があることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は卵白由来の蛋白の酵素加水分解物を含有する食肉用の浸漬剤に関する。
【0006】
【本発明の実施の形態】
以下本発明を詳述する。
本発明でいう卵白とは、鶏卵から分離されたものであれば、生卵白液、冷凍卵白液、粉末卵白などいずれの形態であってもよく、特に限定されるものではないが、加工性の点から生卵白液または冷凍卵白液が好ましい。
本発明でいう卵白蛋白質とは鶏卵の卵白由来の蛋白質であり、オボアルブミン、コンアルブミン等の種々の蛋白質が混在しているもののことをいい、精製、抽出、濃縮あるいは希釈した卵白でもよく、成分の一部、たとえば糖分やリゾチーム等を除去した卵白でもよい。
蛋白質が大豆、小麦、乳など卵白以外の蛋白質の場合、その酵素加水分解物は強い苦みを呈し、食品の風味を低下させるため好ましくない。
本発明でいう酵素とは、植物、動物または細菌由来のプロテアーゼ(蛋白分解酵素)であれば、特に限定されるものではないが、Bacillus属の菌体より抽出されたプロテアーゼが苦みの生成が少なく好ましい。さらに好ましくはBacillus lichenniformis,Bacillus thermoproteolyticus Rokko,Bacillus subtilis等の菌体より抽出されたプロテアーゼであり、これらを使用する場合、酵素加水分解物は苦みをほとんど呈さず、食品の風味を低下させないため、より好ましい。
酵素加水分解処理の条件は特に限定するものではないが、pH7〜10、55〜65℃で加水分解を行うことが好ましい。加水分解反応速度の点からpH7以上、加水分解温度が55℃以上であることが好ましく、原料蛋白質のアルカリ変性を抑制する点でpH10以下が望ましい。また原料蛋白質の熱変性を抑制する点で加水分解温度が65℃以下であることが好ましい。
本発明の酵素加水分解物の分解度は特に限定するものではないが、好ましくはアミノ基量が原料卵白蛋白質の7倍以上20倍以下になるまで分解されており、且つ酵素加水分解物の平均アミノ酸鎖長が2以上15以下で、より好ましくは3以上8以下であり、遊離アミノ酸含量が40%以下で、より好ましくは20%以下のものがよい。アミノ基量が卵白蛋白質の7倍未満または20倍を越えると、改善効果が弱くなる。また、本発明でいうアミノ基量とは、蛋白または蛋白加水分解物の末端及びリジン残基のアミノ基量である。アミノ基量及び平均アミノ酸鎖長、遊離アミノ酸含量はホルモール滴定法、TNBS発色法、またはニンヒドリン発色法等により測定することができる。
本発明でいう浸漬とは食肉の加工工程において食肉の物性向上を目的として、塩類等の水溶液に漬け込む工程であれば特に限定されるものではないが、水溶液中にて一定時間、好ましくは30分以上、より好ましくは2時間以上の静置もしくはタンブリングを行うことが効果の点で望ましい。食肉の改質効果としては保水性向上、食感向上、風味改善等が挙げられる。
本発明でいう浸漬剤とは食肉の浸漬工程において用いられるものであり、対象に接触し浸透していくものであれば特に限定されるものではないが、効果の点で有機酸塩もしくはリン酸塩を含むものが好ましく、さらには浸漬剤の水溶液がアルカリを呈していると効果の点でより好ましい。
【0007】
本発明における卵白蛋白質の酵素加水分解物の含有量は、浸漬液中の0.01重量%以上1重量%以下であり、0.01重量%未満では歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防止する効果が十分ではなく、1重量%を超えると風味を低下させる場合があり好ましくない。
【0008】
本発明でいう有機酸塩とは特に限定されるものではなく、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酢酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩などを用いることができるが、この中でも特にクエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムの使用が望ましい。
【0009】
本発明でいうリン酸塩とは特に限定されるものではなく、モノリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩などを用いることができる。
【0010】
本発明品の水溶液のpHは特に限定されるものではないが好ましくはアルカリ性を呈していることが望ましく、さらに好ましくはpH9.0〜12.0であることが望ましい。pH9.0以下では歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防止する効果が十分ではなく、pH12.0を超えると食感、風味を低下させる場合があり好ましくない。
【0011】
本発明における食肉とは、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、馬肉等の畜肉系原料肉、鯨肉及び、鮪、鰹、鮭、鰯、鱈、エビ、イカ、タコ、貝、ホタテ貝の貝柱等の魚介類系原料肉等の一般に食用に供される肉をいう。これら食肉の部位、グレード、形状等に限定はなく、また生肉であっても、冷凍肉であってもよい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これによって限定されるものではない。
【0012】
【実施例】
実施例1
液卵白1000gに3N−クエン酸溶液を添加してpH8.5に調整し、オリエンターゼ22BF(Bacillus subtilis由来:阪急バイオインダストリー(株)製)を7g添加し、60℃にて10時間反応させた。90℃にて15分間加熱して酵素を失活させ、pHを7.0に調整後、噴霧乾燥して卵白蛋白質の酵素加水分解物1を得た。卵白蛋白質の酵素加水分解物1のアミノ基量をTNBS法にて測定した結果、分解前の液卵白の17.6倍であった。
【0013】
実施例2
クエン酸三ナトリウム1.2kg、塩化カリウム0.3kg、炭酸ナトリウム0.2kg、炭酸水素ナトリウム0.2kg、実施例1にて得られた卵白蛋白質の酵素加水分解物1 0.1kg、水98kgからなるpH10.0の本発明品1を調整した。また比較のためにクエン酸三ナトリウム1.3kg、塩化カリウム0.3kg、炭酸ナトリウム0.2kg、炭酸水素ナトリウム0.2kg、水98kgからなるpH10.1の対照品1、塩化カリウム0.8kg、炭酸ナトリウム0.6kg、炭酸水素ナトリウム0.6kg、水98kgからなるpH10.4の対照品2、対照品1をクエン酸にてpH8.0に調整した対照品3を調製した。
【0014】
実施例3
ピロリン酸カリウム1.1kg、ピロリン酸ナトリウム0.2kg、トリポリリン酸ナトリウム0.2kg、塩化カリウム0.2kg、メタリン酸ナトリウム0.1kg、リン酸三ナトリウム0.1kg、実施例1にて得られた卵白蛋白質の酵素加水分解物1 0.1kgからなるpH9.0の本発明品2を調製した。また比較のためにピロリン酸カリウム1.2kg、ピロリン酸ナトリウム0.2kg、トリポリリン酸ナトリウム0.2kg、塩化カリウム0.2kg、メタリン酸ナトリウム0.1kg、リン酸三ナトリウム0.1kgからなるpH10.9の対照品4、塩化カリウム2kg、水98kgからなるpH6.8の対照品5、メタリン酸ナトリウム2kg、水98kgからなるpH7.0の対照品6、リン酸三ナトリウム2kg、水98kgからなるpH12.5の対照品7を調製した。
【0015】
試験例1
冷凍エビを解凍しエビ500gに対し本発明品1及び対照品1〜3を500g加え、それぞれ2時間5℃にて浸漬させ歩留まりを測定した後、沸騰水中にて3分間ボイルし歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。また解凍した後、浸漬処理を行わないエビに関してもボイルを行い歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。官能検査はパネラー10人にて、良いものを10点,極めて悪いものを1点とし、パネラー10人の平均値で示した。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
表1より明らかに本発明は、歩留まり、食感、味を向上させることができる。
【0018】
試験例2
冷凍チキンを解凍しチキン500gに対し本発明品1及び対照品4〜7を125g加え、それぞれ60分間5℃にてタンブリングを行い歩留まりを測定した後、200℃のオーブンにて5分間焼成し歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。また解凍した後、タンブリング処理を行わないチキンに関しても焼成を行い歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。官能検査はパネラー10人にて、良いものを10点、極めて悪いものを1点とし、パネラー10人の平均値で示した。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
表2より明らかに本発明は、歩留まり、食感、味を向上させることができる。
【0021】
本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。
(1) 卵白蛋白質の酵素加水分解物を含有することを特徴とする食肉用浸漬剤。
(2) 有機酸塩、リン酸塩を1種または2種以上含有することを特徴とする(1)記載の食肉用浸漬剤。
(3) アルカリ性を呈する(1)または(2)記載の食肉用浸漬剤。
(4) 卵白蛋白質の酵素加水分解物の含有量が浸漬液中0.01〜1重量%である(1)〜(3)いずれか記載の食肉用浸漬剤。
(5) pHが9.0〜12.0であることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の食肉用浸漬剤。
【0022】
【発明の効果】
本発明より得られた食肉用浸漬剤は、食肉加工品の冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防止するため食品産業に大いに貢献できるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、食肉用浸漬剤に関する。より詳しくは、冷凍保存後、もしくは加熱調理後においても優れた歩留まりと、良好な食感を食肉に与えることが出来る食肉用浸漬剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に食肉は加熱することにより筋肉蛋白質が加熱変性を受け、ドリップの生成や焼き縮みが生じたり、パサついた食感や硬さを感じるなどの諸問題が生じる。これら加熱による食肉の変化は、食肉の旨味を引き出しおいしさを付与する一方、食肉加工上の観点からはその外観を著しく損ねるだけでなく,肉質が硬くしまり、パサパサしたジューシー感を失った食感になったり、歩留まりが低下するなどの問題もあわせて引き起こす。
一般的にこれら食肉加工食品に用いられる原料の大半は冷凍食肉が使用されている。また近年加熱調理後冷凍流通するものも増加している。これら冷凍品は冷凍保存が長期になると保水力が低下するため、上記に示したような食肉加工時に発生する問題点が更に顕著に現れてくる。
従来歩留まりの低下という問題に対して、重合リン酸塩や糖類の添加が行われてきたが、これらの成分の添加では風味や食感が低下するという問題があった。それらの対策としてクエン酸塩を使用する方法(たとえば特許文献1参照)などが開示されているが十分な効果は得られていない。
また卵白の食肉改良技術としてインジェクション法が知られているが、肉に針を打ち込むため、対象にある程度の大きさが必要なため、サイズの小さなものには使えないという問題があり、また肉片に損傷を与える点より好ましくなかった。
【0003】
【特許文献1】
米国特許第3134678号明細書(第1−3頁)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防ぐための食肉用浸漬剤を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、卵白蛋白質の酵素加水分解物が、冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防ぐ効果があることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明は卵白由来の蛋白の酵素加水分解物を含有する食肉用の浸漬剤に関する。
【0006】
【本発明の実施の形態】
以下本発明を詳述する。
本発明でいう卵白とは、鶏卵から分離されたものであれば、生卵白液、冷凍卵白液、粉末卵白などいずれの形態であってもよく、特に限定されるものではないが、加工性の点から生卵白液または冷凍卵白液が好ましい。
本発明でいう卵白蛋白質とは鶏卵の卵白由来の蛋白質であり、オボアルブミン、コンアルブミン等の種々の蛋白質が混在しているもののことをいい、精製、抽出、濃縮あるいは希釈した卵白でもよく、成分の一部、たとえば糖分やリゾチーム等を除去した卵白でもよい。
蛋白質が大豆、小麦、乳など卵白以外の蛋白質の場合、その酵素加水分解物は強い苦みを呈し、食品の風味を低下させるため好ましくない。
本発明でいう酵素とは、植物、動物または細菌由来のプロテアーゼ(蛋白分解酵素)であれば、特に限定されるものではないが、Bacillus属の菌体より抽出されたプロテアーゼが苦みの生成が少なく好ましい。さらに好ましくはBacillus lichenniformis,Bacillus thermoproteolyticus Rokko,Bacillus subtilis等の菌体より抽出されたプロテアーゼであり、これらを使用する場合、酵素加水分解物は苦みをほとんど呈さず、食品の風味を低下させないため、より好ましい。
酵素加水分解処理の条件は特に限定するものではないが、pH7〜10、55〜65℃で加水分解を行うことが好ましい。加水分解反応速度の点からpH7以上、加水分解温度が55℃以上であることが好ましく、原料蛋白質のアルカリ変性を抑制する点でpH10以下が望ましい。また原料蛋白質の熱変性を抑制する点で加水分解温度が65℃以下であることが好ましい。
本発明の酵素加水分解物の分解度は特に限定するものではないが、好ましくはアミノ基量が原料卵白蛋白質の7倍以上20倍以下になるまで分解されており、且つ酵素加水分解物の平均アミノ酸鎖長が2以上15以下で、より好ましくは3以上8以下であり、遊離アミノ酸含量が40%以下で、より好ましくは20%以下のものがよい。アミノ基量が卵白蛋白質の7倍未満または20倍を越えると、改善効果が弱くなる。また、本発明でいうアミノ基量とは、蛋白または蛋白加水分解物の末端及びリジン残基のアミノ基量である。アミノ基量及び平均アミノ酸鎖長、遊離アミノ酸含量はホルモール滴定法、TNBS発色法、またはニンヒドリン発色法等により測定することができる。
本発明でいう浸漬とは食肉の加工工程において食肉の物性向上を目的として、塩類等の水溶液に漬け込む工程であれば特に限定されるものではないが、水溶液中にて一定時間、好ましくは30分以上、より好ましくは2時間以上の静置もしくはタンブリングを行うことが効果の点で望ましい。食肉の改質効果としては保水性向上、食感向上、風味改善等が挙げられる。
本発明でいう浸漬剤とは食肉の浸漬工程において用いられるものであり、対象に接触し浸透していくものであれば特に限定されるものではないが、効果の点で有機酸塩もしくはリン酸塩を含むものが好ましく、さらには浸漬剤の水溶液がアルカリを呈していると効果の点でより好ましい。
【0007】
本発明における卵白蛋白質の酵素加水分解物の含有量は、浸漬液中の0.01重量%以上1重量%以下であり、0.01重量%未満では歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防止する効果が十分ではなく、1重量%を超えると風味を低下させる場合があり好ましくない。
【0008】
本発明でいう有機酸塩とは特に限定されるものではなく、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、酢酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩などを用いることができるが、この中でも特にクエン酸ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸ナトリウムの使用が望ましい。
【0009】
本発明でいうリン酸塩とは特に限定されるものではなく、モノリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸等のカリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩などを用いることができる。
【0010】
本発明品の水溶液のpHは特に限定されるものではないが好ましくはアルカリ性を呈していることが望ましく、さらに好ましくはpH9.0〜12.0であることが望ましい。pH9.0以下では歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防止する効果が十分ではなく、pH12.0を超えると食感、風味を低下させる場合があり好ましくない。
【0011】
本発明における食肉とは、牛肉、豚肉、鶏肉、羊肉、馬肉等の畜肉系原料肉、鯨肉及び、鮪、鰹、鮭、鰯、鱈、エビ、イカ、タコ、貝、ホタテ貝の貝柱等の魚介類系原料肉等の一般に食用に供される肉をいう。これら食肉の部位、グレード、形状等に限定はなく、また生肉であっても、冷凍肉であってもよい。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これによって限定されるものではない。
【0012】
【実施例】
実施例1
液卵白1000gに3N−クエン酸溶液を添加してpH8.5に調整し、オリエンターゼ22BF(Bacillus subtilis由来:阪急バイオインダストリー(株)製)を7g添加し、60℃にて10時間反応させた。90℃にて15分間加熱して酵素を失活させ、pHを7.0に調整後、噴霧乾燥して卵白蛋白質の酵素加水分解物1を得た。卵白蛋白質の酵素加水分解物1のアミノ基量をTNBS法にて測定した結果、分解前の液卵白の17.6倍であった。
【0013】
実施例2
クエン酸三ナトリウム1.2kg、塩化カリウム0.3kg、炭酸ナトリウム0.2kg、炭酸水素ナトリウム0.2kg、実施例1にて得られた卵白蛋白質の酵素加水分解物1 0.1kg、水98kgからなるpH10.0の本発明品1を調整した。また比較のためにクエン酸三ナトリウム1.3kg、塩化カリウム0.3kg、炭酸ナトリウム0.2kg、炭酸水素ナトリウム0.2kg、水98kgからなるpH10.1の対照品1、塩化カリウム0.8kg、炭酸ナトリウム0.6kg、炭酸水素ナトリウム0.6kg、水98kgからなるpH10.4の対照品2、対照品1をクエン酸にてpH8.0に調整した対照品3を調製した。
【0014】
実施例3
ピロリン酸カリウム1.1kg、ピロリン酸ナトリウム0.2kg、トリポリリン酸ナトリウム0.2kg、塩化カリウム0.2kg、メタリン酸ナトリウム0.1kg、リン酸三ナトリウム0.1kg、実施例1にて得られた卵白蛋白質の酵素加水分解物1 0.1kgからなるpH9.0の本発明品2を調製した。また比較のためにピロリン酸カリウム1.2kg、ピロリン酸ナトリウム0.2kg、トリポリリン酸ナトリウム0.2kg、塩化カリウム0.2kg、メタリン酸ナトリウム0.1kg、リン酸三ナトリウム0.1kgからなるpH10.9の対照品4、塩化カリウム2kg、水98kgからなるpH6.8の対照品5、メタリン酸ナトリウム2kg、水98kgからなるpH7.0の対照品6、リン酸三ナトリウム2kg、水98kgからなるpH12.5の対照品7を調製した。
【0015】
試験例1
冷凍エビを解凍しエビ500gに対し本発明品1及び対照品1〜3を500g加え、それぞれ2時間5℃にて浸漬させ歩留まりを測定した後、沸騰水中にて3分間ボイルし歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。また解凍した後、浸漬処理を行わないエビに関してもボイルを行い歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。官能検査はパネラー10人にて、良いものを10点,極めて悪いものを1点とし、パネラー10人の平均値で示した。結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
表1より明らかに本発明は、歩留まり、食感、味を向上させることができる。
【0018】
試験例2
冷凍チキンを解凍しチキン500gに対し本発明品1及び対照品4〜7を125g加え、それぞれ60分間5℃にてタンブリングを行い歩留まりを測定した後、200℃のオーブンにて5分間焼成し歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。また解凍した後、タンブリング処理を行わないチキンに関しても焼成を行い歩留まりを測定し食感及び味について官能検査にて評価した。官能検査はパネラー10人にて、良いものを10点、極めて悪いものを1点とし、パネラー10人の平均値で示した。結果を表2に示す。
【0019】
【表2】
【0020】
表2より明らかに本発明は、歩留まり、食感、味を向上させることができる。
【0021】
本発明の実施態様ならびに目的生成物を挙げれば以下のとおりである。
(1) 卵白蛋白質の酵素加水分解物を含有することを特徴とする食肉用浸漬剤。
(2) 有機酸塩、リン酸塩を1種または2種以上含有することを特徴とする(1)記載の食肉用浸漬剤。
(3) アルカリ性を呈する(1)または(2)記載の食肉用浸漬剤。
(4) 卵白蛋白質の酵素加水分解物の含有量が浸漬液中0.01〜1重量%である(1)〜(3)いずれか記載の食肉用浸漬剤。
(5) pHが9.0〜12.0であることを特徴とする(1)〜(4)いずれか記載の食肉用浸漬剤。
【0022】
【発明の効果】
本発明より得られた食肉用浸漬剤は、食肉加工品の冷凍保存または加熱調理における歩留まりの低下および食感・味・風味の劣化を防止するため食品産業に大いに貢献できるものである。
Claims (3)
- 卵白蛋白質の酵素加水分解物を含有することを特徴とする食肉用浸漬剤。
- 有機酸塩及びリン酸塩からなる群より選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の食肉用浸漬剤。
- アルカリ性を呈する事を特徴とする請求項1または2記載の食肉用浸漬剤。
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