JP2004326070A - 電子写真装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、解像度の高い画像と、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合でもチタニルフタロシアニン固有の高感度を維持した電子写真装置を提供する。
【解決手段】 感光体に印加される転写電流が65μA以上で、少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層した電子写真感光体で、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピーク、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピーク、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピーク、かつ前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真装置。
【選択図】 図2

Description

本発明は、特定電流以上の印加による転写が行なわれ、少なくとも特定のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体を用いた電子写真装置に関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため今後その需要性が益々高まっていくと予想される。さらに、パーソナルコンピュータの普及、及び性能の向上にともない、画像及びドキュメントのカラー出力を行なうためのデジタルカラープリンタの進歩も急激に進んでいる。
近年、上記プリンタや複写機は装置の小型化、高速化が要望されている。それに伴って、感光体についても小型でかつ高速回転する必要が生じるが、そのため、感光体に露光した後、トナー像が現像されるまでの時間が短くなること、また感光体の回転数の増加によって、繰り返し使用に伴い電気特性の劣化を加速すること等の課題が生じている。
これを達成する手段として、電荷発生物質に、高感度な材料である、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている。
しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、特にネガ・ポジ現像に基づく、転写手段による感光体への逆帯電の印加が帯電性の低下を加速し、特に地汚れ画像と呼ばれる異常画像が起こりやすいという問題点も有している。
また、画像を出力する頻度が大幅に増加していることから、装置の高画質化も重要な課題となっているが、これを達成するためには、(I)帯電手段、露光手段によって形成される感光体上の静電潜像を高密度な画像で形成すること、(II)それに続く現像手段にて静電潜像に忠実にトナー像を形成すること、(III)最後に感光体上のトナー像を正確に転写紙に転写することの3つの課題が挙げられる。
これらの課題解決のための手段としてはそれぞれ、(I)露光手段に小径ビームを用いた高密度書き込みにより静電潜像を形成する方法、(II)現像手段においてトナー粒径を小粒径化することによって静電潜像に忠実なトナー像を感光体上に形成する方法、(III)転写手段において空隙電界強度を高くすることで転写効率を上げ感光体上のトナー像を忠実に転写紙に転写する方法が挙げられる。
しかしながら、転写手段による空隙電界強度の増加は、上記CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を繰り返し用いた際、特に電気特性の劣化を促進してしまうことから、上記と同様に地汚れと呼ばれる異常画像の原因となっている。このため、前記チタニルフタロシアニン結晶の高感度という長所を活かしきれない。
一方、電荷輸送機能を担う電荷輸送層は先述のような電荷輸送物質と結着樹脂を主体としており、これらの材料を溶媒に溶解または分散した塗工液を塗布することで形成するのが一般的である。この溶媒としては溶解性や塗工性に優れた特性を示すことから、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒が主に利用されている。
近年、環境問題への意識が高まり、人体や環境への負荷が小さい非ハロゲン系溶媒を用いた感光体の開発が望まれている。しかしながら、特許文献1に記載のように、この非ハロゲン系溶媒を用いた電荷輸送層用塗工液を使用して感光体を作製した場合、低電界における光減衰特性の低下や、残留電位の上昇という問題がある。特に、現在LDやLEDの比較的安定な発振出力が得られる波長範囲(600〜780nm)に対して類い希なる高感度を示す特定結晶型(CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)のチタニルフタロシアニンにおいては、この現象は顕著であり、この電荷発生物質本来の特性を活かすことができなく、大きな課題となっている。
また、非ハロゲン系溶媒を用いる方法としても、種々の検討がなされており、例えばハロゲンを含まない有機溶媒としてジオキソラン化合物を溶媒として用いる方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。更に、テトラヒドロフラン等の環状エーテル溶媒に特定の酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加する方法(例えば、特許文献3、4参照)が提案されている。しかしながら、これらの方法を用いても、上記欠点に対する効果が充分でなかったり、あるいは添加剤の影響により感度特性が逆に悪化してしまう等の問題があった。
したがって、特有の高感度を有するチタニルフタロシアニンを電荷発生物質に用い、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合においても、良好な光減衰特性を示す電子写真感光体、それを用いた電子写真装置及び電子写真用プロセスカートリッジの完成が望まれていた。
特開平5−134437号公報 特開平10−326023号公報(第3頁第3欄第4行目〜第25行目) 特開2001−356506号公報(第3頁第4欄第13行目〜第23行目) 特開平4−191745号公報(第2頁右上欄第3行目〜第9行目)
したがって、本発明の目的は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する電子写真装置を提供することにある。
具体的には、転写手段における転写電流を制御し、逆帯電による感光体の電気的劣化に強い感光体を用いることで前記を解消し、安定で解像度の高い画像を出力する電子写真装置を提供することにある。また、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合においても、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持した電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは、高速デジタル電子写真装置において、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力するため数々の検討を行なったところ、転写手段から感光体に印加される印加電流が65μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
このような転写電流65μA以上は、電子写真における一般的な転写電流よりも大きいものであり(図1:電子写真学会編「続 電子写真技術の基礎と応用」第51頁の図1.37から)、特に高速での使用、好ましくは200mm/sec以上の線速を有する高速デジタル電子写真装置において、より効果を得られるものである。本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、我々の検討結果では、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来しているものと推定される。
ところで、転写電流の制御自体に関しては、定電流制御が知られており、例えば、特開平7−302002号公報、特開平10−186886号公報、特開2000−75572号公報、特開2001−305888号公報等に記載されている。特に、定電流制御を行なうにあたっては、転写部材に電荷を供給する電源供給手段(高圧電源など)からの出力電流と、転写ベルト等を支持する支持体に流れる電流を計測し、モニタされた差分変化により該差分を制御するフィードバック制御法が知られている。これら公報では、上述の文献に記載された事実と同様に、感光体に流れる電流が大きすぎると発生する不具合を減少させることが目的で電流制御を行なっているものであり、その上限値はたかだか50μA程度の小さなものである。これは、先に記載した課題と同様に、転写における逆バイアスの印加により感光体への静電劣化が起こってしまうためである。このように、プロセスを制御する有効な手段が開発されていながら、その特長を活かす有効な感光体が開発されてため、高画質化のために高い転写電流を流すことができずに、感光体への転写残トナーの存在、感光体上の静電潜像に忠実なトナー像を正確に転写することができないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、転写手段から感光体に印加される転写電流が65μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真装置」;
(2)「前記チタニルフタロシアニン結晶は、26.3゜のピーク強度が、最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真装置」;
(3)「前記電子写真装置が、転写電流を定電流制御にて制御を行なうものであることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真装置」;
(4)「転写中に電源から感光体に流れず転写部材に流れるバイパス電流を電源に帰還させるフィードバック機構に設けられた電流計測手段を有し、これにより、電源からの出力電流と該電流計測手段により計測された電流との差分としての感光体に流れる転写電流を制御することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真装置」;
(5)「前記チタニルフタロシアニン結晶が、一次粒子の平均サイズが0.3μm未満であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(6)「チタニルフタロシアニン結晶粒子の体積平均粒径が0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、電荷発生層を塗工した感光体を用いることを特徴とする前記第(5)項に記載の電子写真装置」;
(7)「前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過されたものであることを特徴とする前記第(5)項に記載の電子写真装置」;
(8)「前記電荷輸送層に少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(7)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(9)「前記電荷輸送層上に保護層を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(10)「前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料または金属酸化物を含有することを特徴とする前記第(9)項に記載の電子写真装置」;
(11)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真装置」;
(12)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする前記第(11)項に記載の電子写真装置」;
(13)「前記保護層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(9)項乃至第(12)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(14)「前記感光体の電荷輸送層が、非ハロゲン系溶媒を用いて形成されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(15)「前記非ハロゲン系溶媒として、少なくとも環状エーテル、あるいは芳香族系炭化水素より選ばれる1種を用いることを特徴とする前記第(14)項に記載の電子写真装置」;
(16)「前記電子写真感光体の導電性支持体表面が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(17)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする前記第(1)項乃至第(16)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(18)「前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(17)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(19)「前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第(17)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(20)「前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする前記第(19)項に記載の電子写真装置」;
(21)「前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする前記第(18)項乃至第(20)項の何れかに記載の電子写真装置」;
(22)「前記電子写真装置が、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする前記第(1)項乃至第(21)項の何れかに記載の電子写真装置」によって解決される。
本発明によれば、あらゆる環境下においても、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する電子写真装置が提供される。
具体的には、転写手段における逆帯電による感光体の電気的劣化を解消し、安定で解像度の高い画像を出力する電子写真装置が提供される。また、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合においても、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持した電子写真装置が提供される。
初めに図面を用いて本発明の電子写真装置を詳しく説明する。
図2は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図2において、感光体(1)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ前記7.3゜のピークと9.4°のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電ローラ(3)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)等の公知の手段を用いることが可能である。
また、帯電方式のうち、少なくとも感光体への主帯電に用いられる帯電部材(図2には帯電ローラ(3)として表記されている)には、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式が望ましい。接触帯電方式あるいは非接触の近接配置方式の帯電部材においては帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラや帯電ブラシが良好に使用される。
また、近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。このギャップは、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、ギャップは10〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当である。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知のチャージ・ワイヤータイプの帯電器、接触方式の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材とは区別されるものである。
このような近接配置された帯電部材は、その表面が感光体表面と非接触状態で設置されるため、帯電部材表面へのトナー汚染が少ない、帯電部材表面の摩耗が少ない、帯電部材表面の物理的/化学的劣化が少ないといった利点を有し、帯電部材そのものの高耐久化も実現できるものである。接触帯電部材を使用して上記のような不具合が発生し、帯電部材の耐久性が低くなった場合、電子写真装置内での繰り返し使用において、帯電能力が低下したり、帯電が不均一になったりする。この帯電不良を回避するために、繰り返し使用においては帯電能力の低下にあわせて帯電部材への印加電圧を上昇させるなどの処置を施す。その場合には、感光体にかかる帯電によるハザードが大きくなり、結果として感光体の耐久性を低下させたり、異常画像の発生を生み出す。更に帯電部材への印加電圧上昇に伴って、帯電部材そのものの耐久性も低下させてしまう。しかしながら、非接触帯電部材を使用することにより、帯電部材の高耐久化に伴って、帯電部材の帯電能が安定することにより、帯電部材、感光体、ひいてはシステム全体の耐久性・安定性を向上させることになる。
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させるような方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図3に示す。前記方式を用いることで、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能、さらには、トナー等による汚れが生じない、接触による機械的摩耗が発生しない等の利点を有していることから良好に使用される。
更に印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。特に、後述のタンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるものであるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、感光体へのハザードが大きくなり、感光体の劣化を早めてしまう場合がある。このため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるべきである。
交流成分の周波数に関しては感光体線速等により変化するものであるが、3kHz以下、好ましくは2kHz以下が妥当である。ピーク間電圧に関しては、帯電部材への印加電圧と感光体への帯電電位の関係をプロットすると、電圧を印加しているにもかかわらず感光体が帯電しない領域があり、ある点から帯電が立ち上がる電位が認められる。この立ち上り電位の2倍程度がピーク間電圧としては最適な電位(通常、1200〜1500V程度)になる。しかしながら、感光体の帯電能が低かったり、線速が非常に大きい場合には、前記の如く立ち上り電位の2倍のピーク間電圧では不足する場合がある。逆に帯電性が良好な場合には、2倍以下でも充分に電位安定性を示すことがある。したがって、ピーク間電圧は立ち上り電位の3倍以下、好ましくは2倍以下である。ピーク間電圧を絶対値として書き直せば、3kV以下、好ましくは2kV以下、より好ましくは1.5kV以下で使用されることが望ましい。
また、画像露光部(5)には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度を確保できる光源が使用される。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、本発明で用いられる電荷発生材料である特定結晶型のフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。
現像ユニット(6)は、使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。先の画像露光部に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行なう反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行なう1成分方式と、トナーおよびキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
また、感光体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、この際、2つの方法がある。1つは図2に示すような感光体表面に現像されたトナー像を転写紙に直接転写する方法と、もう1つはいったん感光体から中間転写体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれの場合にも本発明において用いることができる。
図2には転写部材として、転写ベルト(10)が記載されているが、このほかに転写チャージャー、転写ローラを用いることも可能である。中でも、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、いずれも公知のものを使用することができる。
なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。特に、転写部材に電荷を供給する電源供給用部材(高圧電源)から出力された電流のうち、転写部材に関連する部分に流れ、感光体に流れ込まない電流を差し引くことにより、感光体への電流値を制御する方法が好ましい。具体的には、転写ベルトを保持するローラなどに流れる電流を求めるため、ローラなど関連部材をアースに直接落とすのではなく、関連部材に流れた電流を高圧電源に戻すような構成とし、高圧電源の出力との差を求め、この差が一定値となるようなフィードバック機能を有する高圧電源を用い、定電流制御することが望ましい。このような形態を取り得る回路構成図の一例を図4に示す。
図4に示される例の転写手段は、転写搬送ベルト(101)と、転写搬送ベルト(101)が張架された駆動ローラ(102)及び従動ローラ(103)と、転写搬送ベルト(101)の裏面に当接されるバイアスローラ(104)と、図示してないクリーニング装置とを有し、駆動ローラ(102)がギヤを介してメインモータに連結されていてメインモータの回転時に転写搬送ベルト(101)を回転させるとともに、転写搬送ベルト(101)がベルト接離機構により感光体ドラム(100)へ当接される。また、転写搬送ベルト(101)はベルト接離機構によりメインモータのオフで感光体ドラム(100)から離される。
また、バイアスローラ(104)は、レジストローラからこの例の転写手段へ転写紙が送出されるときに高圧電源(105)からバイアスローラ(104)へトナーの帯電極性とは反対極性の転写バイアスが印加され、転写紙は転写搬送ベルト(101)と感光体ドラム(100)とのニップ部(転写ニップ部)で高圧電源(105)からバイアスローラ(104)及び転写搬送ベルト(101)を介してトナーの帯電極性とは反対極性の電荷が供給されて感光体ドラム(100)上のトナー像が転写される。
転写搬送ベルト(101)は、高圧電源(105)からバイアスローラ(104)を介して転写バイアスが印加されることにより転写紙を静電的に吸着して回転に伴って搬送し、転写紙をトナー像転写後に感光体ドラム(100)から静電的に分離させる。感光体ドラム(100)から分離されなかった転写紙は図示されてない分離爪により感光体ドラム(100)から分離されて転写搬送ベルト(101)により搬送される。
この例における転写搬送ベルト(101)の抵抗範囲は1×10〜1×1012Ω/□であり、転写搬送ベルト(101)の抵抗変動,環境変動及び転写紙の厚みによらずに常に一定の良好なトナー像転写を行なうことができる。バイアスローラ(104)は、転写搬送ベルト(101)に対して転写ニップ部より転写搬送ベルト(101)回転方向下流側にて当接され、メインモータの回転時に転写搬送ベルト(101)に連れ廻りする。
この例におけるフィードバック電極は、金属板などではなく駆動ローラ(102)及び従動ローラ(103)が兼ねていて駆動ローラ(102)及び従動ローラ(103)が導電性を有する金属ローラからなり、転写搬送ベルト(101)への摺動抵抗を限りなく低減でき、かつ、駆動ローラ(102)及び従動ローラ(103)が確実にフィードバック電極としての機能を果たすことが可能となる。しかも、駆動ローラ(102)及び従動ローラ(103)がフィードバック電極を兼ねることにより、装置の簡素化を計ることができ、且つ、コストの低減にもつながる。駆動ローラ(102)及び従動ローラ(103)は高圧電源(105)の低圧側(アース側)端子に接続される。高圧電源(105)の低圧側端子は電流検出抵抗(106)を介して接地され、また、感光体ドラム(100)が機械本体を介して接地される。電流検出抵抗(106)はトナー像の転写に寄与する転写電流を検出するための電流検出手段として用いられている。
図4(b)はこの転写部の等価回路を示す。図において、R11は転写搬送ベルト(101)におけるバイアスローラ(104)と転写ニップ部との間の抵抗値、R12は転写搬送ベルト(101)における転写ニップ部と従動ローラ(103)との間の抵抗値、Rは転写搬送ベルト(101)におけるバイアスローラ(104)と駆動ローラ(102)との間の抵抗値、Rは感光体ドラム(100)の抵抗値、Rは転写紙の抵抗値、Rは電流検出抵抗(106)の抵抗値を示し、転写搬送ベルト(101)におけるバイアスローラ(104)と従動ローラ(103)との間の抵抗値RはR=R11+R12となる。
また、iは高圧電源(105)からバイアスローラ(104)、転写搬送ベルト(101)、駆動ローラ(102)を介して流れる電流、iは高圧電源(105)からバイアスローラ(104)、転写搬送ベルト(101)、従動ローラ(103)を介して流れる電流、iは高圧電源(105)からバイアスローラ(104)、転写搬送ベルト(101)、転写紙、感光体ドラム(100)を介して流れる電流である。
この例の構成において、高圧電源(105)はレジストローラから送出された転写紙が転写搬送ベルト(101)で搬送されるタイミングにてオンされて転写バイアスをバイアスローラ(104)に印加する。このとき、高圧電源(105)からバイアスローラ(104)へ出力される転写バイアス電流は、転写搬送ベルト(101)、転写紙、感光体ドラム(100)を介して流れ、その一部が転写搬送ベルト(101)、駆動ローラ(102)、従動ローラ(103)を介して流れる。
バイアスローラ(104)から転写搬送ベルト(101)を介して感光体ドラム(100)側へ流れた電流iはトナー像の転写に寄与する転写電流であって機械本体を通してアースへ流れるが、この電流iは電流検出抵抗(106)を通って高圧電源(105)へ戻る。また、バイアスローラ(104)から転写搬送ベルト(101)を介して駆動ローラ(102)、従動ローラ(103)を介して流れるフィードバック電流i、iは、電流検出抵抗(106)を通らずに高圧電源(105)へ戻り、電流検出抵抗(106)の両端の電位差及び電流検出抵抗(106)の抵抗値Rから電流検出抵抗(106)を流れる転写電流が判る。
本実施例では、高圧電源(105)はバイアスローラ(104)へ転写バイアス電流を出力する転写バイアス電源と、この転写バイアス電源から電流検出抵抗(106)に流れる転写電流(バイアスローラ(104)から流れ出る電流と、フィードバック電極(102)、(103)に流れ込むフィードバック電流との差分)が一定の設定転写電流となるように制御する定電流制御部とからなる。この定電流制御部は、転写バイアス電源の出力電流をPWMパルスにより制御し、電流検出抵抗(106)の電圧に応じてそのPWMパルスのデューティ比(もしくは転写バイアス電源の出力電流のゲイン)を所定の周波数で更新することによって転写バイアス電流を一定の値に制御する。このため、転写ニップ部では、感光体ドラム(100)上のトナー層表面電位と転写紙上の表面電位とで作られる転写電界を一定にすることができ、転写搬送ベルト(101)の抵抗変動,環境変動及び転写紙の厚みによらずに常に良好なトナー像転写を行なうことができて良好な複写画像が得られる。
また、本例では、高圧電源(105)の定電流制御部は、転写バイアス電源の出力電流をPWMパルスにより制御してそのPWMパルスのデューティ比(もしくは転写バイアス電源の出力電流のゲイン)を電流検出抵抗(106)の電圧に応じて所定の周波数で更新するが、この更新周波数(周期)を人間の視覚特性上の許容レベル下限以上である空間周波数0.5サイクル/mm以下、もしくは1.5サイクル/mm以上、あるいは書き込みユニットにおけるレーザ光による画像書き込みの1ドットライン以下(1ドットラインの画像書き込みを行なう時間以下)毎としている。このため、転写電流の更新周期にて複写画像上に現われるバンディングの発生を防ぐことが可能となる。
さらに、図示されるように実際にトナー像の転写に寄与する電流は転写電流iであり、i,iはトナー像の転写には寄与しないフィードバック電流である。本例では、転写電流iを高圧電源(105)の定電流制御部により一定に制御しているので、高圧電源(105)からバイアスローラ(104)へ印加する転写バイアス電圧は転写電流iが流れる系の抵抗(R11,R,R,R)及び転写電流iによって決まる。このため、仮にR11がRに比べて大きい場合は、トナー像転写に寄与しないiが大きくなり、転写バイアス電源の容量を大きくしなければならず、とても効率の良い系とは言えない。そこで、本例では、バイアスローラ(104)から従動ローラ(103)までの距離をL、バイアスローラ(104)から駆動ローラ(102)までの距離をLとすると、RとRとの関係がR<RとなるようにL<Lに設計している。このため、転写バイアス電源の容量を小さく抑えることができる。
転写電流は、感光体に静電的に付着しているトナーを引きはがし、被転写体(転写紙もしくは中間転写体など)へ移行させるために与える必要電荷量に基づく電流である。転写残などの転写不良を回避するためには、転写電流を大きくすれば良いことになるが、ネガ・ポジ現像を用いた場合には、感光体の帯電極性と逆極性の帯電を与えることになり、感光体の静電疲労が著しいものとなる。このため、ここまでの電子写真装置では、感光体の逆帯電印加による静電疲労特性の劣化が律速で、転写電流を大きくすることが困難であったが、本発明者らは、特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を使用することにより、この問題を解決できることを見出した。
転写電流は大きいほど、感光体−トナー間の静電付着力を上回る電荷量を与えられるため有利であるが、ある閾値を越えると転写部材−感光体間で放電現象を生じてしまい、微細に現像されたトナー像を散らせる結果になる。このため、上限値としてはこの放電現象を起こさない範囲ということになる。この閾値は転写部材−感光体間の空隙(距離)、両者を構成する材料などによって変わるものであるが、概ね200μA以下程度で使用することにより、放電現象を回避できる。したがって、転写電流の上限値は200μA程度である。
除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図2に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
先の帯電方式においてAC成分を重畳して使用する場合や、感光体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印加したあるいはアース接地した除電ブラシなど)を用いることもできる。
また、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(7)に転写されるが、感光体(1)上に残存するトナーが生じた場合、ファーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図5に示すものが挙げられる。感光体(1)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、前記7.3°のピークと9.4゜のピーク間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。また、このプロセスカートリッジを画像形成装置で用いる際は転写手段から感光体に印加される転写電流が65μA以上にて使用される。
ここで、転写電流について定義する。転写電流は帯電部材から感光体に流れる電流として定義できる。また、転写材(紙など)にトナー像を直接転写する場合には、転写材が転写部材幅いっぱいまである状態での感光体に流れる電流として定義できる。中間転写体などを使用して1次転写し、更に転写材に2次転写する方式の場合には、中間転写体から感光体に流れる電流として定義される。
この測定法に関しては、幾つかの方法があるが、例として2つの方法を記載する。
1つは、実際に感光体に流れる電流を測定するものであり、感光体からアースに向かって流れる電流を測定するものである。しかしながら、電子写真装置の動作時においては、帯電からの電流なども含まれてしまうため、感光体からのアースへの電流を直接計測する場合には、転写部材だけの動作を行ない、計測する必要がある。
もう1つは、間接的に測定する方法である。転写部に使用された高圧電源から出力される電流を計測し、感光体以外の転写部材関連(例えば、転写ベルトの駆動ローラなど)へ流れる電流を計測し、両者の差を求めて感光体への転写電流を間接的に求めるものである。この計測方法においては、高圧電源がフィードバック機能を有したものを使用し、前記ローラなどがアースに接地されているのではなく、高圧電源に戻し、出力電流と戻り電流の差を検知できるようなものを用いると簡便的である。
図6は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図6において、符号(1C),(1M),(1Y),(1K)はドラム状の感光体であり、感光体(1)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。この感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)、現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)、クリーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)が配置されている。帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)と現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)の間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(3C),(3M),(3Y),(3K)が照射され、感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C),(6M),(6Y),(6K)の現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)とクリーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)の間で感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C),(11M),(11Y),(11K)が配置されている。各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図6に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)において、感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)により帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C),(3M),(3Y),(3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C),(11M),(11Y),(11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C),(5M),(5Y),(5K)で回収される。なお、図6の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素((6C),(6M),(6Y))が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図6において帯電部材は感光体と当接しているが、図3に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10−200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
以下、本発明に用いられる電子写真感光体について詳しく説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を形成してなる電子写真感光体であって、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有するものである。
この結晶型は、特開2001−187794号公報に記載されているものであるが、このチタニルフタロシアニン結晶を用いることで、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体を得ることができる。
前記特開2001−187794号公報には、本発明で使用される電荷発生物質およびこれを用いた感光体、電子写真装置などが開示されている。しかしながら、600dpi以上あるいは1200dpi以上の解像度で使用される様な状況下においては、転写電流の適正化(通常よりも大きくする)を行なわないと、上述のような転写不良に基づく解像度低下を引き起こしていた。このような現象は、同公報に記載された画像形成装置よりも高速な画像形成装置での使用の場合に、顕著に発現する。このように、過去のプロセス(装置)では、必ずしも同公報に記載された材料の実力を充分に引き出していないだけでなく、プロセス条件を適正化してやらないと逆に副作用を生み出すものであった。
また、チタニルフタロシアニン結晶の合成方法として、特開平6−293769号公報に記載されているように、ハロゲン化チタンを原料に用いない方法が良好に用いられるものである。この方法の最大のメリットは、合成されたチタニルフタロシアニン結晶がハロゲン化フリーであることである。チタニルフタロシアニン結晶は不純物としてのハロゲン化チタニルフタロシアニン結晶を含むと、これを用いた感光体の静電特性において光感度の低下や、帯電性の低下といった悪影響を及ぼす場合が多い(Japan Hardcopy‘89論文集p.103 1989年)。本発明においても、前記特開2001−187794号公報に記載されているようなハロゲン化フリーチタニルフタロシアニン結晶をメインに対象にしているものであり、これらの材料が有効に使用される。
ここでまず、本発明で用いられる特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。
フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
例えば、第1の方法として、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。
第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。第3の方法は、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。特に、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法である。
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の合成法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッド・ペースト法あるいはアシッド・スラリー法と呼ばれるものが使用できる。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行ない、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行ない、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。この際、この不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有するものであることが好ましい。特に、その回折ピークの半値巾が1゜以上であることがより好ましい。更に、一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下であることが好ましい。
次に、結晶変換方法について述べる。本発明においては、少なくとも2回の結晶変換工程よりチタニルフタロシアニン結晶が合成される。
先ず、1回目の結晶変換方法について述べる。1回目の結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下の元で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。
結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニンの重量の10倍以上、好ましくは30倍以上の重量であることが望ましい。これは、結晶変換を素早く充分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニンに含まれる不純物を充分に取り除く効果が発現されるからである。なお、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニンは、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を充分に洗浄したものを使用することが望ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行なうと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、でき上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことができない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。例えば、特開平8−110649号公報(比較例)には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行なう方法が記載されている。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることができるが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。
以上の結晶変換方法は前述の特開2001−187794号公報に準じた結晶変換方法である。本発明の電子写真装置に用いる感光体に含有される電荷発生物質においては、チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくすることにより、その効果がより一層顕著なものとなる。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが(図15)、結晶変換の際に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが判った。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである(図16)。
このように作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子サイズを小さなもの(0.3μm未満、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)にするため、強いシェアを与えることで分散を行ない、更には必要に応じて一次粒子を粉砕する強いエネルギーを与えて分散を行なっている。この結果、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移し易い結果を生んでいる。
ここでいう粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、チタニルフタロシアニン結晶粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
分散液の更なる観察により、微小欠陥に関して検討した結果、上記現象は次のように理解された。通常、平均粒子サイズを測定するような方法においては、極端に大きな粒子が数%以上も存在するような場合には、その存在が検出できるものであるが、全体の1%以下程度のような微量になってくると、その測定は検出限界以下になってしまうものである。その結果として、平均粒子サイズの測定だけでは粗大粒子の存在が検出されずに、上述のような微小欠陥に関する解釈を困難にしていた。
図18および図19に、分散条件を固定して分散時間だけを変更した2種類の分散液の状態を観察した写真を示す。同一条件における分散時間の短い分散液の写真を図18に示すが、分散時間の長い図19と比較して、粗大粒子が残っている様子が観測される。図18中の黒い粒が粗大粒子である。この2種類の分散液の平均粒径並びに粒度分布を公知の方法に従って、市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製:超遠心式自動粒度分布測定装置、CAPA700)により測定した。その結果を図20に示す。図20における「A」が図18に示す分散液に対応し、「B」が図19に示す分散液に対応する。両者を比較すると、粒度分布に関してはほとんど差が認められない。また、両者の平均粒径値は、「A」が0.29μm、「B」が0.28μmと求められ、測定誤差を加味した上では、両者に全くの差異が認められない。
したがって、公知の平均粒径(粒子サイズ)の規定だけでは、微量な粗大粒子の残存を検出できずに、昨今の高解像度のネガ・ポジ現像には対応できていないことが理解される。この微量な粗大粒子の存在は、塗工液を顕微鏡レベルで観察することにより、初めて認識できたものである。
このような事実に対して、1回目の結晶変換時に作製される一次粒子をできる限り小さいものを作製することは有効な手段である。このために、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めつつ、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるような手法は有効である。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行なわれ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
また、上述のように結晶粒子サイズと結晶変換時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶変換)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行なった後、直ちに結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。このような結晶変換方法を採用することにより、一次粒子サイズの小さな(0.3μm未満、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる(図17)。図17には、短時間で結晶変換を行なった場合のチタニルフタロシアニン結晶のTEM像を示す。図16の場合とは異なり、粒子サイズが小さく、ほぼ均一であり、図16に観察されるような粗大粒子は全く認められない。前記特開2001−187794号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明の効果を高めるために有効な手段である。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行なわれる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
次に、2回目の結晶変換方法について述べる。2回目の結晶変換は、1回目の結晶変換で作製したチタニルフタロシアニン結晶(乾燥粉末)を用いて、更に結晶変換を行なう工程である。具体的な方法としては、2種類の方法が挙げられる。
1つは、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中で処理する方法である。使用される有機溶媒としては、27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型を、26.3゜に最大回折ピークを有する結晶型に変換できる溶媒であればいかなるものも使用できるが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、2―ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類が良好に用いられる。有機溶媒の処理に関しては、前記チタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中にそのまま浸漬させておくだけでも構わないが、撹拌、超音波印加などの補助手段を併用することにより、処理時間を短縮することができ、有効である。有機溶媒による処理を行なった後、濾過分別して、再び乾燥を行なうことにより、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
もう1つの方法としては、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶に、機械的剪断力を与えることにより結晶変換を行なう方法である。この際、有機溶媒を併用しても構わないが、併用せずに乾式状態で処理を行なうことが望ましい。使用される方法としては、ボールミル、アトライター、振動ミル、ニーダーなどによる乾式ミリング、簡便的にはミキサーによる乾式ミリングも効果的である。また、乾式ミリングの際に、食塩等の無機塩を助剤として用いても良い。助剤を用いた場合には、結晶変換処理の後に、無機塩を除去する洗浄工程が必要である。このようにして、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
いずれの方法を用いる場合にも、26.3゜のピーク強度が最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であることが重要である。溶媒中での処理時間あるいは機械的剪断力を与える処理時間により26.3゜のピーク強度が決定されるが、使用する原料(1回目の結晶変換により作製したチタニルフタロシアニン結晶)の状態(例えば、粉末の大きさ、固さ等)によっても異なるため、予備的な実験により、処理時間を決定することが望ましい。
このように得られた特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用電荷発生物質として極めて有用である。しかしながら、先述のように結晶型が不安定であり、分散液を作製する際に結晶型が転移し易いという欠点を有しているものであった。しかしながら、本発明のように一次粒子を限りなく小さなものに合成することにより、分散液作製時に過剰なシェアを与えることなく、平均粒径の小さな分散液を作製することができ、結晶型も極めて安定に(合成した結晶型を変えることなく)作製することができるものである。
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
既に述べたように、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー・機械的シェア等のストレスにより他の結晶型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。すなわち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶型の安定性と微粒子化はトレード・オフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下のような方法も有効な手段である。
すなわち、結晶転移が起こらない範囲でできる限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過してしまう方法である。この方法では、残存する目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行ない、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.3μm未満、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶のみを含む分散液を作製することができ、これを用いた感光体を搭載使用することにより、本発明の効果をより一層顕著にするものである。
本発明におけるチタニルフタロシアニン結晶における26.3゜のピーク強度の27.2゜のピーク強度に対する強度比について説明する。
使用するチタニルフタロシアニン結晶を粉末状態で、一般的なX線回折装置にて、X線回折スペクトルを測定する。得られたスペクトルに対して、ベースライン補正を行なった後、26.3±0.2゜のピーク強度、および27.2±0.2゜のピーク強度を求める。その値を用いて、26.3±0.2゜のピーク強度を27.2±0.2゜のピーク強度で割った値が、本発明で言うところのピーク強度比である。
Figure 2004326070
なお、ピーク強度比が1%以下になるような場合には、広い範囲での測定ではベースラインの補正が難しい場合がある。その場合には、測定範囲を狭めて(例えば、25〜30゜の範囲で測定する等)、再測定を行なうことにより、より正確に強度比を求めることができる。
続いて、本発明に用いられる電子写真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。
図7は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
また、図8は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、中間層(33)、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行なうことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行なったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行なわれる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10−20%、浴温:5−25℃、電流密度:1−4A/dm、電解電圧:5−30V、処理時間:5−60分程度の範囲で処理が行なわれるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。
これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。
封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行なわれる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は他段階の洗浄を行なう。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれい(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、他段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5−15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
次に、感光層について説明する。感光層は前述のように、電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される積層型が感度、耐久性において優れた特性を示し、良好に使用される。
電荷発生層(35)は、電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)に変換する工程である。特に、前記結晶型のうち、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、26.3゜のピーク強度が最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶は特に良好に用いられる。また、この結晶の一次粒子の平均粒子サイズが0.3μm未満(好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)であることは、本発明の効果を一層顕著にするものであり、有効な手段である。
電荷発生層(35)は、前記顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、式(I)〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 2004326070

式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表わす。なお、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中、Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
Figure 2004326070
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
Figure 2004326070

式中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、ArAr、Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070
式中、R、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070

式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070

式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070

式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 2004326070
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報、特開2000−206723号公報、特開2001−34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
本発明において電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体(31)と感光層との間に中間層を設けることができる。中間層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるようになり、プリンタによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
即ち、本発明の感光体においては、保護層(39)が感光層の上に設けられることもある。保護層(39)に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方最密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−94049号公報(図1)、特開平5−113688号公報(図1)に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明でいうところの比抵抗値と定義するものである。
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気)を使用した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
また、保護層(39)には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、あるいは感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、後述のようなタンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端のほうに位置され、また使用される色も限定される。ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行なわれることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現われにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、本発明に用いた電荷発生材料の合成例について述べる。
(合成例1)
1,3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)50gをテトラヒドロフラン500gに投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行なった。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行ない、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料1とする。
(合成例2)
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、本発明のチタニルフタロシアニン結晶(図10参照)を得た。これを顔料2とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行なったチタニルフタロシアニン結晶30gを、市販のミキサーにより機械的剪断力を5分間与えた後、粉末を取り出した。
(合成例3)
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料3とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行なったチタニルフタロシアニン結晶30gを、2kgのφ6mmのジルコニアボールと共に、φ90mmのガラスポットに投入し、乾式ミリングを10分間行なった後、粉末を取り出した。
(比較合成例1)
合成例1における2回目の結晶変換溶媒をテトラヒドロフランからメタノールに変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料4とする。
(比較合成例2)
合成例1において、1回目の結晶変換溶媒として、テトラヒドロフランの代わりに2−ブタノンを用い、2回目の結晶変換を行なわない以外は、合成例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料5とする。
合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。
上述のように得られた水ペーストの乾燥粉末と、合成例1〜3および比較合成例1〜2で得られたチタニルフタロシアニン結晶についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図9に示す。
X線管球:Cu
電圧:40kV
電流:20mA
走査速度:1°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
合成例1〜3については、26.3°のピーク強度以外は、いずれの場合にも同様のX線回折スペクトルを示したため、代表例として合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図10に示す(図中の矢印が、26.3°のピークであり、ピーク強度比は8%である。)。
比較合成例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図11に示すが、26.3°にピークを示さないものであった。
比較合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図12に示すが、最低角が7.5°に存在するものであった。
(比較合成例3)
特開平1−299874号(特許第2512081号)公報、実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料6とする。
(比較合成例4)
特開平3−269064号(特許第2584682号)公報、製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料7とする。
(比較合成例5)
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料8とする。
(比較合成例6)
特開昭64−17066号(特公平7−97221号)公報、合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料9とする。
(比較合成例7)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報、実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン部7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩化水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行ない、ろ過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、顔料を得た。これを顔料10とする。
(比較合成例8)
特開平3−255456号(特許第3005052号)公報、合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、左記の合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行なった。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行なった。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行ない、顔料を得た。これを顔料11とする。
(比較合成例9)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報、実施例4に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例7で得られたウェットケーキを5%の塩酸で洗浄し、中性になるまで水洗・濾過を行ない、乾燥した。更にこれをTHFと共にボールミルで10時間分散し、濾過・乾燥して顔料粉末を得た。これを顔料12とする。
(比較合成例10)
特開平5−134437号公報、製造例1及び製造例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。
即ち、フタロジニトリル97.5gをα−クロロナフタレン750ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン22mlを滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、放冷し、100〜130℃で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄した。更に200mlのN−メチルピロリドンで熱懸洗処理(100℃、1時間)を3回行なった。続いてメタノール300mlで室温にて懸洗し、さらにメタノール500mlで1時間熱懸洗を3回行なった。これをフタロシアニン1とする。
次いで、フタロシアニン1をサンドグラインドミルにて20時間磨砕処理を行ない、続いて水400ml、o−ジクロロベンゼン40mlの懸濁液中に入れ、60℃で1時間加熱処理を行なった。これをフタロシアニン2とする。
更に、特開平5−134437号公報の実施例1に準じて、フタロシアニン1およびフタロシアニン2をそれぞれ6重量部および4重量部混合し、n−プロパノール200重量部を加え、サンドグラインドミルで10時間粉砕、微粒化分散処理を行なった。これを乾燥して、フタロシアニン粉末を得た。これを顔料13とする。
(合成例4)
合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行ない、合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト60部にテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶58部を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行なった。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行ない、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料14とする。
合成例1で作製された結晶変換前チタニルフタロシアニン(水ペースト)の一部をイオン交換水でおよそ1重量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子サイズを透過型電子顕微鏡(TEM、日立:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行なった。平均粒子サイズとして、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとした。
以上の方法により求められた合成例1における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
また、合成例1及び合成例4における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1重量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行なった。上記のようにして求めた平均粒子サイズを表1に示す。なお、合成例1及び合成例4で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行なった。
Figure 2004326070
また、以上の比較合成例3〜10で作製した顔料は、先程と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。表2にそれぞれのX線回折スペクトルと合成例1で得られた顔料のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
なお、表2中の26.3°のピーク強度とは、前述の通り、26.3°のピーク強度の27.2°のピーク強度の比である。この計算に際して、図11のように26.3°のピークが明確に観測されない場合には、ピーク強度=0として計算を行なった。また、合成例4で作製した顔料のX線回折スペクトルは、26.3°のピーク強度以外は、合成例1で作製した顔料のスペクトルと一致した。表2にそれぞれのX線回折スペクトルと合成例1で得られた顔料のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
Figure 2004326070
(感光体作製例1)
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
合成例1で作製したチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1500r.p.m.にて30分間分散を行ない、分散液を作製した。
この分散液中の顔料粒子の粒度分布を、堀場製作所:CAPA−700にて測定した。その結果、平均粒径0.29μm、標準偏差0.18μmであった。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
塩化メチレン 80部
(感光体作製例2〜14)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液に用いたチタニルフタロシアニン顔料(合成例1で作製)をそれぞれ、合成例2〜4、比較合成例1〜10で作製したチタニルフタロシアニン顔料に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。
(感光体作製例15)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液を、塗工前にアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行なった。
(感光体作製例16)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液を、塗工前にアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行なった。
(感光体作製例17)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液を、塗工前にアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行なった。
(実施例1〜7および比較例1〜27)
以上のように作製した感光体作製例1〜17の電子写真感光体を図2に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材として接触方式の帯電ローラ、転写部材として転写ベルトを用い、下記の帯電、転写条件にて、書き込み率6%のチャートを用い、連続20万枚印刷後の画像を評価し、文字抜け、地汚れの有無を確認した(試験環境は、22℃−55%RHである)。この際、図4に示すような回路にて、転写電流の制御を行なった。なお、評価は4段階にて行ない、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表3−1に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(Peak to peak)、周波数:1.5kHz
転写条件:
75μA、60μAの2条件
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(転写条件は75μAのみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行ない、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行なった。結果をそれぞれ、表3−2、表3−3に示す。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
Figure 2004326070
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
Figure 2004326070
実施例1〜3の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例2の画像は、実施例1および実施例3の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>
Figure 2004326070
(感光体作製例18)
感光体作製例1における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約135000)
Figure 2004326070
下記構造の添加剤 0.5部
Figure 2004326070
塩化メチレン 100部
(感光体作製例19)
感光体作製例1における電荷輸送層の膜厚を20μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例20)
感光体作製例19における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例19と同様に感光体を作製した。
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例21)
感光体作製例19における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例19と同様に感光体を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
(感光体作製例22)
感光体作製例1におけるアルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行ない、次いで下引き層を設けずに、感光体作製例1と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行ない、脱脂洗浄、水洗浄を行なった後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行なった。更に、水洗浄を行なった後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行なった。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
(実施例8〜19および比較例28〜37)
以上のように作製した感光体作製例1〜22の電子写真感光体を図2に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として帯電部材として図3に示すような帯電ローラの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電、転写条件にて、書き込み率6%のチャートを用い、連続25万枚印刷後の地汚れの有無、及びハーフトーン画像を確認した(試験環境は、22℃−55%RHである)。この際、図4に示すような回路にて、転写電流の制御を行なった。なお、地汚れの評価は4段階にて行ない、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、25万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表4に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(Peak to peak)、周波数:1.5kHz
転写条件:
90μA
Figure 2004326070
(実施例20)
実施例8において25万枚の通紙試験の後、30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例21)
実施例8における帯電部材を近接配置用帯電部材からスコロトロン・チャージャーに変更し、感光体非画像部の表面電位を実施例8と同じ(−900V)にあわせるようにセッティングした。これ以外の条件を変更せずに、実施例8と同様に25万枚の通紙試験を行なった。通紙試験の後、実施例20と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例22)
実施例8における帯電部材を近接配置用帯電部材から接触用帯電部材(空隙なし)に変更し、帯電条件を実施例8と同じ条件にセッティングした。これ以外の条件を変更せずに、実施例8と同様に25万枚の通紙試験を行なった。通紙試験の後、実施例20と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例23)
実施例22における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例22と同様に評価を行なった。
帯電条件:
DCバイアス:−1600V(初期状態の感光体非画像部の表面電位が−900V)
ACバイアス:なし
(実施例24)
実施例8における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例8と同様に評価を行なった。25万枚の通紙試験の後、実施例20と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
帯電条件:
DCバイアス:−1600V(初期状態の感光体非画像部の表面電位が−900V)
ACバイアス:なし
(実施例25)
実施例8で使用した帯電部材(近接帯電ローラ)のギャップを100μmに変更した以外は、実施例8と同様に評価を行なった。25万枚の通紙試験の後、実施例20と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例26)
実施例8で使用した帯電部材(近接帯電ローラ)のギャップを150μmに変更した以外は、実施例8と同様に評価を行なった。25万枚の通紙試験の後、実施例20と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例27)
実施例8で使用した帯電部材(近接帯電ローラ)のギャップを250μmに変更した以外は、実施例8と同様に評価を行なった。25万枚の通紙試験の後、実施例20と同様に30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例28)
実施例11において25万枚の通紙試験の後、30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
(実施例29)
実施例12において25万枚の通紙試験の後、30℃−90%RH環境下でハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。
以上の実施例20〜29における評価結果を表5に示す。
Figure 2004326070
(感光体作製例23)
感光体作製例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
テトラヒドロフラン 80部
(感光体作製例24)
感光体作製例11の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例11と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
テトラヒドロフラン 80部
(感光体作製例25)
感光体作製例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
ジオキソラン 80部
(感光体作製例26)
感光体作製例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
テトラヒドロフラン 40部
トルエン 40部
(感光体作製例27)
感光体作製例4の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例4と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
テトラヒドロフラン 80部
(感光体作製例28)
感光体作製例14の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例14と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 2004326070
テトラヒドロフラン 80部
(実施例30〜34および比較例38)
以上のように作製した感光体作製例23〜28の感光体を実施例1の場合と同様に、図2に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として接触方式の帯電ローラを用い、下記の帯電、転写条件にて、ハーフトーンライン画像を出力した。この際、図4に示すような回路にて、転写電流の制御を行なった。以上の結果を実施例1および比較例7と併せて表6に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(Peak to peak)、周波数:1.5kHz
転写条件:
110μA
Figure 2004326070
(感光体作製例29)
感光体作製例1のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例1と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例30)
感光体作製例9のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例9と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例31)
感光体作製例10のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例10と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例32)
感光体作製例4のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例4と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例33)
感光体作製例15のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例15と同じ組成の感光体を作製した。
(実施例35〜37および比較例39〜45)
以上のように作製した感光体作製例29〜33の感光体を、帯電部材と共に1つの電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図6に示すフルカラー電子写真装置に搭載した。4つの画像形成要素は以下に示すプロセス条件にてフルカラー画像20万枚通紙試験の後に文字抜け、地汚れの有無の確認、及びハーフトーン画像評価を実施した(試験環境は、22℃−55%RHである)。この際、図4に示すような回路にて、転写電流の制御を行なった。なお、文字抜け、地汚れ評価は4段階にて行ない、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表7に示す。
帯電条件:DCバイアス −800V、
ACバイアス 1.5kV(peak to peak)、
周波数 2.0kHz
帯電部材:実施例8に使用したものと同じ
書き込み:780nmのLD(ポリゴン・ミラー使用)
転写条件:75μA、60μAの2条件
Figure 2004326070
最後に、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
(測定例1)
比較合成例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図13に示す。
(測定例2)
比較合成例2で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図14に示す。
図13のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが判る。一方、図14のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図13のスペクトルとは明らかに異なっている。
以上のことから、本発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
転写電流と転写効率の関係を表わした図である。 本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図である。 本発明において、帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を示した図である。 定電流制御可能な転写回路を表わした図である。 本発明の電子写真装置用プロセスカートリッジを説明するための図である。 本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図である。 本発明に用いられる電子写真感光体の層構成を表わした図である。 本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図である。 水ペーストの乾燥粉末のXDスペクトルを表わした図である。 合成例1で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 比較合成例1で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 比較合成例2で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 測定例1で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 測定例2で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 不定形チタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 結晶変換後のチタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 短時間で結晶変換を行なったチタニルフタロシアニン結晶のTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 分散時間が短い場合の分散液の状態を示す図である。 分散時間が長い場合の状態を示す図である。 図18、19の分散液について、平均粒径及び粒度分布を示す図である。
符号の説明
1 感光体
1C 感光体
1M 感光体
1Y 感光体
1K 感光体
2 除電ランプ
2C 帯電部材
2M 帯電部材
2Y 帯電部材
2K 帯電部材
3 帯電ローラ
3C レーザー光
3M レーザー光
3Y レーザー光
3K レーザー光
4C 現像部材
4M 現像部材
4Y 現像部材
4K 現像部材
5 画像露光部
5C クリーニング部材
5M クリーニング部材
5Y クリーニング部材
5K クリーニング部材
6 現像ユニット
6C 画像形成要素
6M 画像形成要素
6Y 画像形成要素
6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11 転写バイアスローラ
11C 転写ブラシ
11M 転写ブラシ
11Y 転写ブラシ
11K 転写ブラシ
12 定着装置
13 クリーニング前チャージャー
14 ファーブラシ
15 クリーニングブラシ
16 現像ローラ
17 転写ローラ
18 分離爪
21 ギャップ形成部材
22 金属シャフト
23 画像形成領域
24 非画像形成領域
31 導電性支持体
33 中間層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
100 感光体
101 転写搬送ベルト
102 駆動ローラ
103 従動ローラ
104 バイアスローラ
105 高圧電源(パワーパック)
106 電流検出抵抗

Claims (22)

  1. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、転写手段から感光体に印加される転写電流が65μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ前記7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真装置。
  2. 前記チタニルフタロシアニン結晶は、26.3゜のピーク強度が、最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真装置。
  3. 前記電子写真装置が、転写電流を定電流制御にて制御を行なうものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真装置。
  4. 転写中に電源から感光体に流れず転写部材に流れるバイパス電流を電源に帰還させるフィードバック機構に設けられた電流計測手段を有し、これにより、電源からの出力電流と該電流計測手段により計測された電流との差分としての感光体に流れる転写電流を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真装置。
  5. 前記チタニルフタロシアニン結晶が、一次粒子の平均サイズが0.3μm未満であることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の電子写真装置。
  6. チタニルフタロシアニン結晶粒子の体積平均粒径が0.3μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散を行ない、その後有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行なった分散液を使用し、電荷発生層を塗工した感光体を用いることを特徴とする請求項5に記載の電子写真装置。
  7. 前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.3μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過されたものであることを特徴とする請求項5に記載の電子写真装置。
  8. 前記電荷輸送層に少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電子写真装置。
  9. 前記電荷輸送層上に保護層を有することを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の電子写真装置。
  10. 前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料または金属酸化物を含有することを特徴とする請求項9に記載の電子写真装置。
  11. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の電子写真装置。
  12. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項11に記載の電子写真装置。
  13. 前記保護層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項9乃至12の何れかに記載の電子写真装置。
  14. 前記感光体の電荷輸送層が、非ハロゲン系溶媒を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の電子写真装置。
  15. 前記非ハロゲン系溶媒として、少なくとも環状エーテル、あるいは芳香族系炭化水素より選ばれる1種を用いることを特徴とする請求項14に記載の電子写真装置。
  16. 前記電子写真感光体の導電性支持体表面が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至15の何れかに記載の電子写真装置。
  17. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項1乃至16の何れかに記載の電子写真装置。
  18. 前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の電子写真装置。
  19. 前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の電子写真装置。
  20. 前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする請求項19に記載の電子写真装置。
  21. 前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする請求項18乃至20の何れかに記載の電子写真装置。
  22. 前記電子写真装置が、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする請求項1乃至21の何れかに記載の電子写真装置。
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