JP2008009114A - 電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、波長700nm以上のレーザ光を用いた画像露光手段であり、画像形成の線速が300mm/sec以上であり、転写電流が70μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、架橋型表面層、又は電荷発生層、架橋型電荷輸送層を順に積層してなる感光層を有する電子写真感光体であり、該電荷発生層が少なくともフタロシアニン顔料とジスアゾ顔料を含有し、かつ該ジスアゾ顔料の画像露光手段の波長に対する感度がフタロシアニン顔料の5%以下である電子写真装置。
【選択図】 なし
Description
これら従来技術における電荷輸送性構造を化学結合させた架橋感光層を有する感光体においても、現状では十分な総合特性を有しているとは言えない。
しかしながら高耐久化のため感光層上に表面層を設けた場合、電荷発生層上に層と層との界面が新しく形成されるため、電荷のトラップサイトが増え電荷が蓄積されてしまい残像、残留電位、露光後電位の上昇などの問題が生じてしまい良好な電気特性、画像特性が得られにくくなる。更にそれだけではなく、電荷発生層で発生された電荷は、界面を通過するたびにエネルギー障壁を越えるため電荷発生層から発生した電荷に分布が生じてしまうため界面にトラップされやすくなり、残像などの異常画像がより強く発生してしまうという問題がある。
また、高速機の場合、トナーを紙に転写する際の転写電流が特に大きいため、感光体が繰り返し使用においてガスによって表面が劣化した際、転写電流が感光体内部に入ってしまい、その電流が界面にトラップされてネガ残像といった異常画像を発生してしまう。
電荷発生物質としてアゾ化カリックス[n]アレーン化合物、フタロシアニン顔料などを混合させたものがあるが(例えば特許文献7、8、9)これらは電荷発生層と電荷輸送層、電荷発生層と下引き層、あるいは下引き層と導電層との界面に蓄積されたエレクトロンが影響を与え発生するポジ及びネガ残像についてのみ言及しているものであって、転写電流によって発生するネガ残像について全く言及されていない。また、実施例中に述べられているアゾ化カリックス[n]アレーンの添加量はフタロシアニン顔料に対して0.1〜10質量%であるが、このような少ない添加量では、高い転写電流時に発生するネガ残像に対して改善効果は乏しい。また、この顔料をフタロシアニン顔料と混合した場合においては転写電流によっておこるネガ残像に対して殆ど改善効果は得られない。
従って、高耐久化のため表面層を設けた場合、残像の発生、残留電位、露光後電位の上昇などを抑え、長期間に渡り良好な電気特性、画像特性を保つには創意工夫が必要である。
特許文献12は、硬化性アクリル樹脂と導電性無機粒子を感光体の保護層に含有させて感光層の膜削れと残留電位を改善したが、長期の繰り返し画像形成において十分な解決に至っていない。特に保護層に残留電位が蓄積し画像上地汚れになる問題がある。更なる耐久性が求められている。
特許文献14は、黒ベタ書込み後のハーフトーンにまわりより濃度が高くなる課題に対して書かれているが、主にはチタニルフタロシアニンを使用することによって地汚れに対する改善であり、転写電流によるネガ残像に対しては問題がある。
(1)少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、該画像露光手段が波長700nm以上のレーザ光を用いた画像露光手段であり、該電子写真装置の画像形成の線速が300mm/sec以上であり、該転写手段から感光体に印加される転写電流が70μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、架橋型表面層、又は電荷発生層、架橋型電荷輸送層を順に積層してなる感光層を有する電子写真感光体であり、該電荷発生層が少なくともフタロシアニン顔料とジスアゾ顔料を含有し、かつ該ジスアゾ顔料の画像露光手段の波長に対する感度がフタロシアニン顔料の5%以下であることを特徴とする電子写真装置。
(3)転写手段から感光体に印加される転写電流が70μA以上300μA以下であることを特徴とする(1)又は(2)記載の電子写真装置。
(4)画像形成の線速が300mm/sec以上650mm/sec以下であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の電子写真装置。
(6)フタロシアニン顔料がヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の電子写真装置。
(7)フタロシアニン顔料がクロロガリウムフタロシアニンであることを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の電子写真装置。
一般式(1)
Cp1−N=N−A−N=N−Cp2
(式中、Aは、炭素原子でアゾ基の窒素原子に結合している2価の残基を示す。また、Cp1、Cp2は互いに構造の異なるカプラー残基を示す。)
(11)前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基数が1つであることを特徴とする(10)に記載の電子写真装置。
(13)前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基がアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする(10)乃至(12)のいずれかに記載の電子写真装置。
(15)少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行う画像形成手段を複数配列したことを特徴とする(1)乃至(14)のいずれかに記載の電子写真装置。
少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該画像露光手段が波長700nm以上のレーザ光を用いた画像露光手段であり、該電子写真装置の画像形成の線速が300mm/sec以上であり、該転写手段から感光体に印加される転写電流が70μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、架橋型表面層、又は電荷発生層、架橋型電荷輸送層を順に積層してなる感光層を有する電子写真感光体であり、該電荷発生層がフタロシアニン顔料とジスアゾ顔料の2つの電荷発生物質を有することによって優れた電子写真感光体特性を持つ高耐久電子写真装置が実現された。
「電荷発生物質について」
本発明に用いる電荷発生物質は、ジスアゾ顔料とフタロシアニン顔料の2種類以上を用いる。本発明では、電荷発生物質として上記一般式(1)に示した、極めて高感度な非対称ジスアゾ顔料を用いるのが好ましい。これら非対称ジスアゾ顔料は、相当するジアゾニウム塩化合物とCp1又はCp2に相当するカプラーとを2段階に順次反応させるか、あるいは最初のCp1又はCp2とのカップリング反応によって得られるカプラーを反応させることによって得ることができる。これら非対称ジスアゾ顔料のA、Cp1、Cp2の例を表1〜表8に示す。
本発明に用いられるラジカル重合性化合物において電荷輸送性構造を有するものが良好に使用可能である。本発明に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマー(以下、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物とも称す)とは、例えばトリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造、例えば縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基やニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送性構造を有しており、且つラジカル重合性官能基を有する化合物を指す。このラジカル重合性官能基とは、炭素−炭素二重結合を有し、ラジカル重合可能な基であれば何れでもよい。
(1)1−置換エチレン官能基としては、例えば以下の式で表わされる官能基が挙げられる。
CH2=CH−X1−
〔ただし、式中、X1は、置換基を有していてもよいフェニレン基、ナフチレン基等のアリーレン基、置換基を有していてもよいアルケニレン基、−CO−基、−COO−基、−CON(R10)−基(R10は、水素、メチル基、エチル基等のアルキル基、ベンジル基、ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−S−基を表わす。〕
これらの官能基を具体的に例示すると、ビニル基、スチリル基、2−メチル−1,3−ブタジエニル基、ビニルカルボニル基、アクリロイルオキシ基、アクリロイルアミド基、ビニルチオエーテル基等が挙げられる。
CH2=C(Y)−X2−
〔ただし、式中、Yは、置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、メトキシ基あるいはエトキシ基等のアルコキシ基、−COOR11基(R11は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル、フェネチル基等のアラルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表す。)、または−CONR12R13(R12およびR13は、水素原子、置換基を有していてもよいメチル基、エチル基等のアルキル基、置換基を有していてもよいベンジル基、ナフチルメチル基、あるいはフェネチル基等のアラルキル基、または置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基等のアリール基を表わし、互いに同一または異なっていてもよい。)、また、X2は上記のX1と同一の置換基及び単結合、アルキレン基を表わす。ただし、Y、X2の少なくとも何れか一方がオキシカルボニル基、シアノ基、アルケニレン基、及び芳香族環である。〕
前記一般式(3)、(4)において、R1の置換基中、アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等、アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が、アラルキル基としては、ベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基が、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等がそれぞれ挙げられ、これらは、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メチル基、エチル基等のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニル基、ナフチル基等のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基等により置換されていても良い。
R1の置換基のうち、特に好ましいものは水素原子、メチル基である。
該縮合多環式炭化水素基としては、好ましくは環を形成する炭素数が18個以下のもの、例えば、ペンタニル基、インデニル基、ナフチル基、アズレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、as(asym)−インダセニル基、s(sym)−インダセニル基、フルオレニル基、アセナフチレニル基、プレイアデニル基、アセナフテニル基、フェナレニル基、フェナントリル基、アントリル基、フルオランテニル基、アセフェナントリレニル基、アセアントリレニル基、トリフェニレル基、ピレニル基、クリセニル基、及びナフタセニル基等が挙げられる。
(1)ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等。
(2)アルキル基;
好ましくは、C1〜C12とりわけC1〜C8、さらに好ましくはC1〜C4の直鎖または分岐鎖のアルキル基であり、これらのアルキル基にはさらにフッ素原子、水酸基、シアノ基、C1〜C4のアルコキシ基、フェニル基又はハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基もしくはC1〜C4のアルコキシ基で置換されたフェニル基を有していてもよい。具体的にはメチル基、エチル基、n−ブチル基、i−プロピル基、t−ブチル基、s−ブチル基、n−プロピル基、トリフルオロメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−エトキシエチル基、2−シアノエチル基、2−メトキシエチル基、ベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−フェニルベンジル基等が挙げられる。
R2は(2)で定義したアルキル基を表わす。具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、i−ブトキシ基、2−ヒドロキシエトキシ基、ベンジルオキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。
(4)アリールオキシ基;
アリール基としてはフェニル基、ナフチル基が挙げられる。これは、C1〜C4のアルコキシ基、C1〜C4のアルキル基またはハロゲン原子を置換基として含有してもよい。具体的には、フェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基、4−メトキシフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基等が挙げられる。
(5)アルキルメルカプト基またはアリールメルカプト基;
具体的にはメチルチオ基、エチルチオ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基等が挙げられる。
具体的には、アミノ基、ジエチルアミノ基、N−メチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N,N−ジ(トリール)アミノ基、ジベンジルアミノ基、ピペリジノ基、モルホリノ基、ピロリジノ基等が挙げられる。
(8)置換又は無置換のスチリル基、置換又は無置換のβ−フェニルスチリル基、ジフェニルアミノフェニル基、ジトリルアミノフェニル基等。
前記Xは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わす。
置換もしくは未置換のアルキレン基としては、前記Xのアルキレン基と同様なものが挙げられる。
置換もしくは無置換のアルキレンエーテル2価基としては、前記Xのアルキレンエーテル2価基が挙げられる。
アルキレンオキシカルボニル2価基としては、カプロラクトン変性2価基が挙げられる。
上記一般式で表わされる化合物としては、Rb、Rcの置換基として、特にメチル基、エチル基である化合物が好ましい。
置換基としては、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、ベンジル基、ハロゲン原子が挙げられる。また、上記アルキル基、アルコキシ基は、さらにハロゲン原子、フェニル基を置換基として有していても良い。
R13、R14の置換もしくは無置換のアルキル基はAr5の置換基で述べたアルキル基と同様である。
R21のハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
R21のアミノ基としては、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジベンジルアミノ基、4−メチルベンジル基等が挙げられる。
また、3級アミノ基を有する複素環式化合物骨格としては、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジオキサゾール、インドール、イソインドール、ベンズイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイソキサジン、カルバゾール、フェノキサジン等のアミン構造を有する複素環化合物が挙げられる。これらは、Ar5で定義されたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子を置換基として有していても良い。
アリール基は、R13、R14で定義されたアリール基と同様である。アリレン基は、そのアリール基から誘導される二価基である。
B1〜B4は、一般式(6)におけるB1、B2と同様であり、B1〜B4の内、どれか一つだけが存在し、二つ以上の存在は除外される。uは0〜5の整数、vは0〜4の整数を表す。
次に本発明に用いられるラジカル重合性化合物として、電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーが良好に使用可能である。本発明に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーは、先の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物で示したラジカル重合性官能基を有するものが挙げられ、ラジカル重合性官能基としては特にアクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基が有用である。また耐摩耗性の向上という観点からアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基のラジカル重合性官能基を3個以上有するラジカル重合性モノマーが有効に用いることができる。
すなわち、本発明において使用する上記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アルキレン変性(以後HPA変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、エチレンオキシ変性(以後EO 変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシ変性(以後PO 変性)トリメチロールプロパントリアクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、HPA変性トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(PETTA)、グリセロールトリアクリレート、エピクロロヒドリン変性(以後ECH 変性)グリセロールトリアクリレート、EO変性グリセロールトリアクリレート、PO変性グリセロールトリアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTA)、ペンタエリスリトールエトキシテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、2,2,5,5,−テトラヒドロキシメチルシクロペンタノンテトラアクリレートなどが挙げられ、これらは、単独又は2種類以上を併用しても差し支えない。
但し、1官能及び2官能のラジカル重合性モノマーやラジカル重合性オリゴマーを多量に含有させると架橋表面層の3次元架橋結合密度が実質的に低下し、耐摩耗性の低下を招く。このためこれらのモノマーやオリゴマーの含有量は、3官能以上のラジカル重合性モノマー100重量部に対し50重量部以下、好ましくは30重量部以下に制限される。
また、本発明の架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性化合物を光硬化することにより形成されるものであることが好ましいが、必要に応じてこの架橋反応を効率よく進行させるために架橋型表面層中又は架橋型電荷輸送層中に重合開始剤を使用してもよい。
更に、本発明の架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層塗工液中には必要に応じて各種可塑剤(応力緩和や接着性向上の目的)、レベリング剤、ラジカル反応性を有しない低分子電荷輸送物質などの添加剤が含有できる。これらの添加剤は公知のものが使用可能であり、可塑剤としてはジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂に使用されているものが利用可能で、その使用量は塗工液の総固形分に対し20重量%以下、好ましくは10重量%以下に抑えられる。また、レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが利用でき、その使用量は塗工液の総固形分に対し3重量%以下が適当である。
架橋型表面層塗工液又は架橋型電荷輸送層塗工液の希釈溶媒に関しては、蒸発速度の遅い溶剤を用いた場合、残留する溶媒が硬化の妨げとなったり、下層成分の混入量を増加させることがあり、不均一硬化や硬化密度低下をもたらす。このため有機溶剤に対し、可溶性となりやすい。具体的には、テトラヒドロフラン、テトラヒドロフランとメタノール混合溶剤、酢酸エチル、メチルエチルケトン、エチルセロソルブなどが有用であるが、塗工法と合わせて選択される。また、固形分濃度に関しては、同様な理由で低すぎる場合、有機溶剤に対し可溶性となりやすい。逆に、膜厚、塗工液粘度の制限から上限濃度の制約をうける。具体的には10〜50重量%の範囲で用いることが望ましい。架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層の塗工方法としては、同様な理由で塗工膜形成時の溶剤含有量、溶媒との接触時間を少なくする方法が好ましく、具体的にはスプレーコート法、塗工液量を規制したリングコート法が好ましい。また、下層成分の混入量を抑えるためには、電荷輸送層として高分子電荷輸送物質を用いること、架橋型電荷輸送層の塗工溶媒に対し不溶性の中間層を設けることも有効である。
本発明の架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層は、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体において、該感光層の表面層が少なくともラジカル重合性化合物を光硬化することにより形成されるが、塗布方法としては浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができるが、塗工時における塗膜中の残留溶媒量を適度に調整できるスプレーコート法がより好ましく選択できる。
架橋型表面層及び架橋型電荷輸送層の硬化条件としては、加熱または光照射のエネルギーが低いと硬化が完全に終了せず、有機溶剤に対し溶解性があがる。逆に非常に高いエネルギーにより硬化させた場合、硬化反応が不均一となり未架橋部やラジカル停止部の増加や微小な硬化物の集合体となりやすい。このため有機溶剤に対し溶解性となることが在る。有機溶剤に対し不溶化するには、熱硬化の条件としては100〜170℃、10分〜3時間が好ましく、UV光照射による硬化条件としては50〜1000mW/cm2、5秒〜5分で且つ温度上昇を50℃以下に制御し、不均一な硬化反応を抑えることが望ましい。
本発明においては、電荷発生層にフタロシアニン顔料とジスアゾ顔料を同時に含有させることにより、帯電性が劣化しやすい表面層を設けた場合に特有の問題となる転写電流によるネガ残像を解決することができる。
転写電流は、感光体に静電的に付着しているトナーを引き剥がし、被転写体(転写紙もしくは中間転写体など)へ移行させるために与える必要電荷量に基づく電流である。転写残トナーなどの転写不良を回避するためには、転写電流を大きくすれば良いことになるが、ネガ・ポジ現像を用いた場合には、感光体の帯電極性と逆極性の帯電を与えることになり、感光体の静電疲労が著しいものとなる。このため、ここまでの電子写真装置では、感光体の逆帯電印加による静電疲労特性の劣化が律速で、転写電流を大きくすることが困難であったが、本発明者らは、電荷発生物質としてビスアゾ顔料、フタロシアニン顔料を混合することによりこの問題を解決できる。
転写電流について定義する。転写電流は帯電部材から感光体に流れる電流として定義できる。また、転写材(紙など)にトナー像を直接転写する場合には、転写材が転写部材幅いっぱいまである状態での感光体に流れる電流として定義できる。中間転写体などを使用して1次転写し、更に点謝罪に2次転写する方式の場合には、中間転写体から感光体に流れる電流として定義される。
一つは、実際に感光体に流れる電流を測定するものであり、感光体からアースに向かって流れる電流を測定するものである。しかしながら、電子写真装置の動作時においては、帯電からの電流なども含まれてしまうため、感光体からアースへの電流を直接計測する場合には、転写部材だけの動作を行い、計測する必要がある。
導電性支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体として用いることができる。
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
次に感光層について説明する。感光層は、電荷発生層、電荷輸送層、架橋型表面層、又は電荷発生層、架橋型電荷輸送層を順に積層してなる構成からなる。
ジスアゾ顔料とフタロシアニン顔料の重量比は、1/10以上5/1以下(画像露光手段の波長におけるジスアゾ顔料の感度がフタロシアニン顔料の感度の5%以下、好ましくは0.05以上3%以下)であることが好ましい。分光感度は、例えば分光光度計(UV3100;島津製作所社製)を用いて測定することができる。例えば画像露光手段の波長が780nmの場合、2つの電荷発生層用塗工液の780nmの吸光度を求める。上記を満たす分光感度となるよう調合して溶液を作製する。ジスアゾ顔料が少なすぎる場合、表面層から注入された転写電流が感光層内部を通過することができない。ジスアゾ顔料が多すぎる場合、除電光によって電荷が多く発生し、異常画像が発生してしまう。
結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し10〜500重量部、好ましくは25〜300重量部が適当である。
電荷発生層に併用できる低分子電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、たとえばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ジフェノキノン誘導体などの電子受容性物質が挙げられる。これらの電子輸送物質は、単独または2種以上の混合物として用いることができる。
前者の方法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行なうことができる。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.05〜2μmである。
電荷輸送層は電荷輸送機能を有する層で、本発明の電荷輸送性構造を有する架橋型表面層は電荷輸送層として有用に用いられる。架橋型表面層が電荷輸送層の全体である場合、即ち架橋型電荷輸送層の場合は、前述の架橋型表面層作製方法に記載したように電荷発生層上に本発明のラジカル重合性組成物(電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマー及びラジカル重合性官能基を有する電荷輸送性化合物、又は電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーのみ;以下同じ)を含有する塗工液を塗布、必要に応じて乾燥後、外部エネルギーにより硬化反応を開始させ、架橋型電荷輸送層が形成される。このとき、架橋型電荷輸送層の膜厚は、10〜30μm、好ましくは10〜25μmである。10μmより薄いと充分な帯電電位が維持できず、30μmより厚いと硬化時の体積収縮により下層との剥離が生じやすくなる。
また、架橋表面層が電荷輸送層の表面部分に形成され、電荷輸送層が積層構造である場合、電荷輸送層の下層部分は電荷輸送機能を有する電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成し、この上に上記本発明のラジカル重合性組成物を含有する架橋型表面層塗工液を塗布し、外部エネルギーにより架橋硬化させる。
電荷輸送層の下層部分の塗工に用いられる溶媒としては前記電荷発生層と同様なものが使用できるが、電荷輸送物質及び結着樹脂を良好に溶解するものが適している。これらの溶剤は単独で使用しても2種以上混合して使用しても良い。また、電荷輸送層の下層部分の形成には電荷発生層と同様な塗工法が可能である。
電荷輸送層の下層部分に併用できる可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等の一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜30重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分に併用できるレベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいはオリゴマーが使用され、その使用量は、結着樹脂100重量部に対して0〜1重量部程度が適当である。
電荷輸送層の下層部分の膜厚は、5〜40μm程度が適当であり、好ましくは10〜30μm程度が適当である。
本発明の感光体においては、架橋型表面層が感光層の表面部分となる場合、架橋型表面層への下層成分混入を抑える又は下層との接着性を改善する目的で中間層を設けることが可能である。この中間層はラジカル重合性組成物を含有する最表面層中に下部感光層組成物の混入により生ずる、硬化反応の阻害や架橋表面層の凹凸を防止する。また、下層の電荷輸送層と架橋型表面層の接着性を向上させることも可能である。
本発明の感光体においては、導電性支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、架橋型表面層、架橋型電荷輸送層、電荷発生層、電荷輸送層、下引き層、中間層等の各層に酸化防止剤を添加することができる。
本発明に用いることができる酸化防止剤として、下記のものが挙げられる。
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。
本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
次に図面に基づいて本発明の電子写真装置を詳しく説明する。
本発明の電子写真装置とは、本発明に係る感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなる電子写真装置である。
図2は、電子写真装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ(3)が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラー帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
露光手段には、半導体レーザーを用いるが、その波長はアゾ顔料の感度がほとんどない700nm以上が好ましい。655nmのようにアゾ顔料の感度があるものを用いた場合、ホールが過剰に発生してしまい過剰なホールがフタロシアニン顔料にトラップされてしまい帯電低下を起こしてしまう。上限値としては、フタロシアニン顔料が十分に感度をもつ850nm程度である。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
この画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱自在としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図3に示す。
プロセスカートリッジとは、感光体(101)を内蔵し、他に帯電手段(102)、現像手段(104)、転写手段(106)、クリーニング手段(107)、除電手段(図示せず)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
以上の説明から明らかなように、本発明の電子写真装置は電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンター、液晶プリンター及びレーザー製版等の電子写真応用分野にも広く用いることができるものである。
実施例1〜11、比較例1〜9
φ100mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生用塗工液、電荷輸送層用塗工液又は架橋型電荷輸送層を準じ、塗布乾燥することにより、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、18μmの電荷輸送層又は架橋型電荷輸送層を形成した。電荷輸送層上に架橋型表面層を形成する場合は、更にこの電荷輸送層上に下記組成の架橋型表面層用塗工液をスプレー塗工し、20分自然乾燥した後、メタルハライドランプ:160W/cm、照射距離:120mm。照射強度:500mW/cm2、照射時間:60秒の条件で光照射を行い塗布膜を硬化させた。更に130℃で20分乾燥を加え5.2μmの架橋型表面層を設け、電子写真感光体1〜20を得た。
アルキッド樹脂 6部
(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 4部
(スーパーベッカミン C−821−60、大日本インキ化学工業製)
酸化チタン 40部
メチルエチルケトン 50部
下記構造式の化合物5部をポリビニルブチラール(エスレックBM−S:積水化学社製)1部をシクロヘキサノン80部に溶解した樹脂液に添加し、ボールミルにて72時間分散を行った。分散終了後、シクロヘキサノン360部を加え3時間分散を行い、アゾ顔料分散液を作製した。
上記2つのアゾ顔料分散液とチタニルフタロシアニン顔料分散液を混ぜ、ジスアゾ顔料の画像露光手段の波長に対する感度をフタロシアニン顔料に対して3%になるよう調製し、30分間攪拌し電荷発生用塗工液を作製した。
電荷発生層用塗工液Iのチタニルフタロシアニン顔料をτ型無金属フタロシアニン顔料にした以外は同様に作製した。
電荷発生層用塗工液Iのチタニルフタロシアニン顔料をX型無金属フタロシアニン顔料にした以外は同様に作製した。
電荷発生層用塗工液Iのビスアゾ顔料を下記構造式のものに変えた以外は同様に作製した。
電荷発生用塗工液Iをチタニルフタロシアニン顔料のみに変えた以外は同様に作製した。
[電荷発生用塗工液VI]
電荷発生用塗工液Iをビスアゾ顔料のみに変えた以外は同様に作製した。
電荷発生用塗工液Iのチタニルフタロシアニン顔料をCu−Kα特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°(それぞれ±0.2°)に存在するヒドロキシガリウムフタロシアニンに変えた以外は同様に作製した。
電荷発生用塗工液Iの顔料をCu−Kα特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが7.5°、9.9°、16.3°、18.6°、25.1°および28.3°(それぞれ±0.2°)に存在するヒドロキシガリウムフタロシアニンのみに変えた以外は同様に作製した。
電荷発生用塗工液Iのチタニルフタロシアニン顔料をCu−Kα特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが7.4°、16.6°、25.5°および28.2°(それぞれ±0.2°)に存在するクロロガリウムフタロシアニンに変えた以外は同様に作製した。
電荷発生用塗工液Iの顔料をCu−Kα特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの主要ピークが7.4°、16.6°、25.5°および28.2°(それぞれ±0.2°)に存在するクロロガリウムフタロシアニンのみに変えた以外は同様に作製した。
ビスフェノールZポリカーボネート 10部
(パンライトTS−2050、帝人化成製)
下記構造式の低分子電荷輸送物質(D−1) 7部
テトラヒドロフラン 100部
1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液 0.2部
(KF50−100CS、信越化学工業製)
下記構造式の電荷輸送性化合物40部をジクロロメタン20部、トルエン40部を混合溶液溶媒中に溶解し、架橋型電荷輸送層用液を調整した。
架橋型電荷輸送用塗工液Iの電荷輸送性化合物を下記化合物に変えた以外は同様にして作製した。
電荷輸送性構造を有さない3官能以上のラジカル重合性モノマー 10部
トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA、日本化薬製)
分子量:296、官能基数:3官能、分子量/官能基数=99
NO.10の電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物 10部
光重合開始剤 1部
イルガキュア184(日本化薬製、分子量:204)
溶剤 100部
テトラヒドロフラン
架橋型表面層用塗工液Iの電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物をNO.13のものに変えた以外は同様に作製した。
架橋型表面層用塗工液Iの電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式の化合物に変えた以外は同様に作製した。
架橋型表面層用塗工液Iの電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式の化合物に変えた以外は同様に作製した。
架橋型表面層用塗工液Iの電荷輸送性構造を有するラジカル重合性化合物を下記構造式の化合物に変えた以外は同様に作製した。
ランク1:ネガ残像が全くみえない
ランク2:ネガ残像がうっすらとみえる
ランク3:ネガ残像がみえるレベル
ランク4:ネガ残像が極めて強くみえるレベル
次に、感光体1を用いて画像形成の線速500mm/sec、転写電流60μA〜320μAとした以外は実施例1と同様に5万枚通紙試験を行った。その結果を表11に示す。
比較例11においては、数10枚通紙試験を行った所で転写電流が高すぎるため感光体が絶縁破壊を起こしたので試験を中止した。
次に、実施例1において、チタニルフタロシアニン顔料の波長780nmに対する感度に対して、実施例1のアゾ顔料の感度が5%、6%となるよう電荷発生層塗工液Iを調合し、他の層は実施例1と同様にして感光体を作製した(図6参照)。そして、露光手段としては波長780nmのレーザー光を用い、画像形成の線速500mm/sec、転写電流70μAで実施例1と同様に5万枚通紙試験を行い、評価した。結果を実施例1の結果とともに表12に示す。
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
9 転写体
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
101 感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
Claims (16)
- 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる電子写真装置において、該画像露光手段が波長700nm以上のレーザ光を用いた画像露光手段であり、該電子写真装置の画像形成の線速が300mm/sec以上であり、該転写手段から感光体に印加される転写電流が70μA以上であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層、架橋型表面層、又は電荷発生層、架橋型電荷輸送層を順に積層してなる感光層を有する電子写真感光体であり、該電荷発生層が少なくともフタロシアニン顔料とジスアゾ顔料を含有し、かつ該ジスアゾ顔料の画像露光手段の波長に対する感度がフタロシアニン顔料の5%以下であることを特徴とする電子写真装置。
- ジスアゾ顔料の画像露光手段の波長に対する感度がフタロシアニン顔料の0.05%以上3%以下であることを特徴とする請求項1記載の電子写真装置。
- 転写手段から感光体に印加される転写電流が70μA以上300μA以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真装置。
- 画像形成の線速が300mm/sec以上650mm/sec以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真装置。
- フタロシアニン顔料がチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真装置。
- フタロシアニン顔料がヒドロキシガリウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真装置。
- フタロシアニン顔料がクロロガリウムフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記ジスアゾ顔料が下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子写真装置。
一般式(1)
Cp1−N=N−A−N=N−Cp2
(式中、Aは、炭素原子でアゾ基の窒素原子に結合している2価の残基を示す。また、Cp1、Cp2は互いに構造の異なるカプラー残基を示す。) - 前記ジスアゾ顔料が下記一般式(2)で表される化合物であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層が、電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーと電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーを、光エネルギー照射手段によって硬化することにより形成されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基数が1つであることを特徴とする請求項10記載の電子写真装置。
- 前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基数が3つ以上であることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子写真装置。
- 前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマー及び電荷輸送性構造を有しないラジカル重合性モノマーのラジカル重合性官能基がアクリロイルオキシ基またはメタクリロイルオキシ基であることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記架橋型表面層又は架橋型電荷輸送層に用いられる電荷輸送性構造を有するラジカル重合性モノマーの電荷輸送構造がトリアリールアミン構造であることを特徴とする請求項10乃至13のいずれかに記載の電子写真装置。
- 少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行う画像形成手段を複数配列したことを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置が、電子写真感光体と、帯電手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段及び除電手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを掲載していることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の電子写真装置。
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