JP2010008749A - チタニルフタロシアニン結晶及びチタニルフタロシアニン結晶の製造方法 - Google Patents

チタニルフタロシアニン結晶及びチタニルフタロシアニン結晶の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感光層中における分散性に優れ、電荷発生剤として電子写真感光体に対して含有させた場合には、感度特性及び露光メモリ特性を効果的に向上させることができるチタニルフタロシアニン結晶、及びその効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶及びその製造方法であって、当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、伝導度水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μSの範囲内の値である。
【選択図】図9

Description

本発明は、チタニルフタロシアニン結晶及びチタニルフタロシアニン結晶の製造方法に関する。特に、電子写真感光体における電荷発生剤として使用した場合に、感度特性及び露光メモリ特性を効果的に向上させることができるチタニルフタロシアニン結晶、及びその効率的な製造方法に関する。
一般に、複写機やレーザープリンター等の電子写真機器において使用される電子写真感光体には、近年、低価格や低環境汚染性等の要求から、有機感光体が多く用いられている。このような有機感光体において使用される電荷発生剤としては、半導体レーザーや赤外線LEDなどから照射される赤外ないし近赤外の波長の光に感応するフタロシアニン系顔料が広く使用されている。
また、かかるフタロシアニン系顔料には、その化学構造によって、無金属フタロシアニン化合物、銅フタロシアニン化合物、チタニルフタロシアニン化合物等が存在するとともに、それぞれのフタロシアニン化合物が、その製造条件の違いによって種々の結晶型を採り得ることが知られている。
このように結晶型が異なる多数種のフタロシアニン化合物結晶が存在する中で、電荷発生剤として、Y型結晶構造を有するチタニルフタロシアニン結晶を使用した電子写真感光体を製造した場合、他の結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を使用した場合と比較して、電子写真感光体における電気特性が向上することが知られている(例えば、特許文献1)。
特開昭64−17066号公報(特許請求の範囲)
しかしながら、特許文献1に開示されているチタニルフタロシアニン結晶は、感光層中における分散性が低いという問題が見られた。その結果、かかるチタニルフタロシアニン結晶を電荷発生剤として使用した電子写真感光体においては、感度の低下や、露光メモリの発生といった問題が見られた。
そこで、本発明者は、上述した問題に鑑み、鋭意検討したところ、チタニルフタロシアニン結晶を水に対して所定の条件下にて分散させた分散液のろ液における電気伝導度を、所定の範囲内の値とすることにより、感光層中における分散性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を得ることができることを見出した。
すなわち、本発明の目的は、感光層中における分散性に優れ、電荷発生剤として電子写真感光体に対して含有させた場合には、感度特性及び露光メモリ特性を効果的に向上させることができるチタニルフタロシアニン結晶、及びその効率的な製造方法を提供することにある。
本発明によれば、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であって、当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であることを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、チタニルフタロシアニン結晶を水に対して所定の条件下にて分散させた分散液のろ液における電気伝導度を、所定の範囲内の値とすることにより、感光層中における分散性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
したがって、かかるチタニルフタロシアニン結晶を、電荷発生剤として電子写真感光体に対して含有させた場合には、感度特性及び露光メモリ特性を効果的に向上させることができる。
なお、上述した所定のろ液における電気伝導度と、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性と、の関係としては、所定のろ液における電気伝導度が、チタニルフタロシアニン結晶の表面特性、例えば、表面積や、表面部分における結晶構造等を反映しているものと推測される。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を構成するにあたり、チタニルフタロシアニン結晶0.1gを、メタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度が、0.02〜0.12の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、より向上させることができる。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を構成するにあたり、チタニルフタロシアニン結晶0.1gを、メタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長400nmの光に対する吸光度が、0〜0.04の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに向上させることができる。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を構成するにあたり、CuKα特性X線スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°におけるピーク強度Aと、9.5°におけるピーク強度Bと、の比率A/Bが、0.05〜0.25の範囲内の値であることが好ましい。
このように構成することにより、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに向上させることができるばかりか、結晶安定性を向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であって、当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であるチタニルフタロシアニン結晶の製造方法であって、下記工程(a)〜(g)を含むことを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶の製造方法である。
(a)粗チタニルフタロシアニン結晶を酸に対して溶解し、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程
(b)チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下してウェットケーキを得る工程
(c)ウェットケーキを炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
(d)洗浄後のウェットケーキを非水系溶媒中で加熱撹拌して、初期チタニルフタロシアニン結晶を得る工程
(e)得られた初期チタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
(f)洗浄後の初期チタニルフタロシアニン結晶を微粉砕した後、非水系溶媒中で加熱撹拌して、チタニルフタロシアニン結晶を得る工程
(g)得られたチタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
すなわち、(d)工程において非水系溶媒中で撹拌することにより得られた初期チタニルフタロシアニン結晶を、所定のアルコールで洗浄した後、(f)工程において、微粉砕後さらにもう一度非水系溶媒中で撹拌することにより、所定のろ液における電気伝導度を、効率的に所定の範囲内の値とすることができる。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法を実施するにあたり、(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計を4〜96時間の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、所定のろ液における電気伝導度を、より効率的に所定の範囲内の値とすることができるとともに、結晶安定性を向上させることができる。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法を実施するにあたり、(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌時間を、それぞれ2〜96時間の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、所定のろ液における電気伝導度を、さらに効率的に所定の範囲内の値とすることができる。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法を実施するにあたり、(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌温度を、それぞれ30〜100℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、結晶型の変換効率を、より向上させることができる。
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法を実施するにあたり、(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌における撹拌速度を30〜180rpmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、結晶型の変換効率を、さらに向上させることができる。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であって、当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であることを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶である。
以下、第1の実施形態としてのチタニルフタロシアニン結晶について、具体的に説明する。
1.チタニルフタロシアニン化合物
本発明のチタニルフタロシアニン結晶を構成するチタニルフタロシアニン化合物としては、下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物であれば、チタニルフタロシアニン結晶の安定性をさらに向上させることができるばかりでなく、そのようなチタニルフタロシアニン結晶を安定して製造することができるためである。
また、特に、チタニルフタロシアニン化合物の構造が、下記一般式(2)で表されることが好ましい。その中でも特に、下記式(3)で表される無置換のチタニルフタロシアニン化合物であることが好ましい。
この理由は、このような構造のチタニルフタロシアニン化合物を用いることによって、より安定した性質を備えたチタニルフタロシアニン結晶をさらに容易に製造することができるためである。
(一般式(1)中、X1、X2、X3、及びX4はそれぞれ同一または異なっても良い置換基であり、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、またはニトロ基を示し、繰り返し数a、b、c及びdはそれぞれ1〜4の整数を示し、それぞれ同一または異なっても良い。)
(一般式(2)中、Xは水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、またはニトロ基を示しており、繰り返し数eは1〜4の整数を示す。)
2.チタニルフタロシアニン結晶
(1)光学特性
本発明のチタニルフタロシアニン結晶は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする(第1の光学特性)。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=26.2°にピークを有さないことが好ましい(第2の光学特性)。
さらに、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°にピークを有さないことが好ましい(第3の光学特性)。
この理由は、かかる第1の光学特性を有さない結晶型の場合には、このような光学特性を有する所定の結晶型であるチタニルフタロシアニン結晶と比較して、感光層における分散性、有機溶媒中における結晶安定性及び電荷発生能が著しく低下する傾向にあるためである。逆に言えば、第1の光学特性、より好ましくは、さらに第2の光学特性及び第3の光学特性を有する結晶型であることにより、感光層における分散性、有機溶媒中における結晶安定性及び電荷発生能を向上させることができるためである。
また、CuKα特性X線スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°におけるピーク強度Aと、9.5°におけるピーク強度Bと、の比率A/B(以下、α化度と称する場合がある)が、0.05〜0.25の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、所定ピーク強度の比率をかかる範囲とすることにより、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに向上させることができるばかりか、結晶安定性についても向上させることができるためである。
すなわち、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5°におけるピークは、上述したブラッグ角2θ±0.3°=27.2°におけるピークと共に、本発明のチタニル二ロシアニン結晶が有する所定の結晶型に特有の主ピークであるためである。一方、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°におけるピークは、本発明のチタニルフタロシアニン結晶と比較して、感光層における分散性、有機溶媒中における結晶安定性及び電荷発生能に劣るα型の結晶に特有のピークである。
したがって、比率A/Bの値を0.25以下の値とすることによって、α型に結晶転移しにくく、より安定的に特定の結晶型を保持することができる。一方、比率A/Bの値を0.05未満の値とすることは、α型への結晶転移を抑制する観点からは、より好ましいが、実際上困難となる場合が多い。
よって、CuKα特性X線スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°におけるピーク強度Aと、9.5°におけるピーク強度Bと、の比率A/Bが、0.1〜0.25の範囲内の値であることがより好ましく、0.15〜0.20の範囲内の値であることがさらに好ましい。
なお、α化度は、実際にチタニルフタロシアニン結晶を電荷発生剤として用いる段階における値とすべきである。
したがって、例えば、実施例に示すように、感光層用塗布液(電荷発生層用塗布液)において使用する所定の溶剤中に、所定時間分散させた後のα化度を測定することが好ましい。
また、光学特性の測定方法については、実施例において記載する。
次いで、図1及び図2を用いて、α化度(A/B)と、感度特性及び露光メモリ特性と、の関係を説明する。
すなわち、図1においては、横軸にα化度(A/B)(−)を採り、縦軸に感度(V)を採った特性曲線が示してある。
また、図2においては、横軸にα化度(A/B)(−)を採り、縦軸にメモリ電位(V)を採った特性曲線が示してある。
なお、α化度、感度及びメモリ電位の測定方法や、感光体の構成等については、実施例において記載する。
かかる図1及び図2に示すそれぞれの特性曲線からは、α化度(A/B)の値が増加するのにともなって、感度及びメモリ電位の値が共に増加する相関関係を読み取ることができる。
より具体的には、これらの特性曲線から、α化度(A/B)の値を0.25以下の範囲に抑制することにより、感度を52V以下、メモリ電位を21V以下の範囲に安定的に保持できることがわかる。
この結果は、α化度(A/B)の値を所定の範囲とすることにより、本発明のチタニルフタロシアニン結晶が有する感光層における分散性、有機溶媒中における結晶安定性及び電荷発生能等の諸特性が、効果的に発揮されることを示している。
(2)熱特性
また、本発明としてのチタニルフタロシアニン結晶は、熱特性として、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴なうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することが好ましい。
この理由は、熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、有機溶媒中に添加して長時間放置した場合であっても、結晶構造が、α型結晶及びβ型結晶へと結晶転移することを有効に抑制することができるためである。したがって、このようなチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、貯蔵安定性に優れた感光層用塗布液を得るこができ、その結果、電気特性や画像特性に優れた電子写真感光体を安定して製造することができる。
また、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
なお、熱特性の測定方法については、実施例において記載する。
(3)電気伝導度
また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶は、当該チタニルフタロシアニン結晶を水に対して所定の条件下にて分散させた分散液のろ液における電気伝導度を、所定の範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であることを特徴とする。
この理由は、このようにすることにより、感光層中における分散性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を、得ることができるためである。
したがって、かかるチタニルフタロシアニン結晶を、電荷発生剤として電子写真感光体に対して含有させた場合には、感度特性及び露光メモリ特性を効果的に向上させることができるためである。
なお、上述した所定のろ液における電気伝導度と、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性と、の関係としては、所定のろ液における電気伝導度が、チタニルフタロシアニン結晶の表面特性、例えば、表面積や、表面部分における結晶構造等を反映しているものと推測される。
いずれにしても、感光層中における分散性をより向上させて、感度特性及び露光メモリ特性を、さらに効果的に向上させることができることから、チタニルフタロシアニン結晶を水に対して所定の条件下にて分散させた分散液のろ液における電気伝導度を1.0〜2.4μS/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1.5〜2.4μS/cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、所定のろ液における電気伝導度の測定方法については、実施例において記載する。
次いで、図3、及び図4を用いて、所定のろ液における電気伝導度と、感度特性及び露光メモリ特性と、の関係を説明する。
すなわち、図3においては、横軸にチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度(μS/cm)を採り、縦軸に感度(V)を採った特性曲線が示してある。
また、図4においては、横軸に図3と同様に所定のろ液における電気伝導度(μS/cm)を採り、縦軸にメモリ電位(V)を採った特性曲線が示してある。
また、分散液からろ液を得るためのフィルタとしては、2〜6μmのガラス繊維ろ紙を用いることが好ましい。
なお、所定のろ液における電気伝導度、感度及びメモリ電位の測定方法や、感光体の構成等については、実施例において記載する。
かかる図3及び図4に示すそれぞれの特性曲線からは、所定のろ液における電気伝導度の値が増加するのにともなって、感度及びメモリ電位の値が共に増加する相関関係を読み取ることができる。
より具体的には、これらの特性曲線から、所定のろ液における電気伝導度の値を2.4μS/cm以下の範囲に抑制することにより、感度を52V未満、メモリ電位を20V未満の範囲に臨界的、かつ安定的に保持できることがわかる。
したがって、優れた感度特性及び露光メモリ特性を得るためには、所定のろ液における電気伝導度の値を2.4以下の値とすることが有効であることが理解される。
次いで、図5を用いて、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性と、感度特性と、の関係を説明する。
なお、感光層が積層型の場合は、電荷発生層におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性で代替しても、同趣旨である。
ここで、分散性の指標としては、チタニルフタロシアニン結晶を含んだ感光層における波長700nmの光に対する反射吸光度(A/−)と、感光層における膜厚(d/m)と、感光層におけるチタニルフタロシアニン結晶の濃度(C/重量%)と、からなるパラメータ(A・C-1・d-1)(単位:1/(重量%・m)、以下同様である)を用いることとする。かかるパラメータ及び感光層における反射吸光度の測定方法等については後述するが、基本的にランベルト・ベールの法則に準じて感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を評価したパラメータである。
すなわち、図5においては、横軸に(A・C-1・d-1)を採り、左縦軸に感度(V)を採った特性曲線Aを、右縦軸に感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性(相対評価)を採った特性曲線Bを、それぞれ示している。
また、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性の相対評価は、感光層を顕微鏡で観察した結果に基づく評価である。
特性曲線Bから理解されるように、(A・C-1・d-1)の値が増加する程、チタニルフタロシアニン結晶の分散性(相対評価)が向上している。
すなわち、(A・C-1・d-1)の値が大きい程、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性が高いことを示している。
したがって、(A・C-1・d-1)によって、チタニルフタロシアニン結晶の分散性を明確に評価できると言える。
また、特性曲線Aから理解されるように、(A・C-1・d-1)の値が増加するのにしたがって、感度の値が減少している。
したがって、特性曲線A及びBの結果を総合的に評価すると、チタニルフタロシアニン結晶の分散性が向上するほど、感度特性が向上すると言える。
よって、本発明としての所定のろ液における電気伝導度が所定の範囲内の値であるチタニルフタロシアニン結晶は、感光層中における分散性に優れており、それ故に、図3において示したように、感度特性を効果的に向上させることができると判断できる。
なお、露光メモリ特性についても感度特性と同様に、チタニルフタロシアニン結晶の分散性との間に明確な相関があることが、別途確認されている。
なお、感光層における波長700nmの光に対する反射吸光度(A/−)の測定は、例えば、以下のようにして行うことができる。
まず、感光層(基準厚さ2.5×10-5m)を積層した支持基体における、波長700nmの光に対する反射吸光度(A1)を、色差計(ミノルタ(株)製、色差計CM1000)を用いて測定する。次に、感光層を積層していない支持基体における、波長700nmの光に対する反射吸光度(A2)を、同様に測定する。
より具体的に、図6(a)及び(b)を用いて説明すると、図6(a)は、支持基体12上に感光層14が積層してある状態を示しており、図6(b)は、支持基体12のみの状態を示している。そして、図6(a)及び(b)中のI0は、それぞれの支持基体に対して照射された光(入射光)の強度を表しており、I1及びI2はそれぞれの支持基体に対して照射された入射光における反射光の強度を表している。したがって、支持基体の影響を排除して、感光層における反射吸光度を求めるためには、感光層と支持基体の反射吸光度が混在しているA1から、支持基体の反射吸光度であるA2を差し引けばよい。
よって、得られた反射吸光度の値(A1、A2)をもとに、下記数式(1)から、中間層の反射吸光度(A)を算出すればよい。
なお、図6(a)における反射吸光度(A1)は、下記数式(2)から算出され、同様に、図6(b)における反射吸光度(A2)は、下記数式(3)から算出される。
(4)吸光度
また、チタニルフタロシアニン結晶0.1gを、メタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度が、0.02〜0.12の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、このようにすることにより、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、より向上させることができるためである。
すなわち、所定有機溶媒のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度が、0.02未満の値となると、チタニルフタロシアニン結晶における結晶形成自体に問題が生じている場合があるためである。一方、所定有機溶媒のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度が0.12を超えた値となると、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性が低下しやすくなって、感度特性や露光メモリ特性が低下する原因となる場合があるためである。
したがって、所定有機溶媒のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度を0.02〜0.1の範囲内の値とすることがより好ましく、0.02〜0.08の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、分散液からろ液を得るためのフィルタとしては、PTFEタイプの0.1μmメンブランフィルタを用い、所定ろ液の吸光度を測定する際の吸収層(ろ液)の厚さは、10mm(セル長)とする。また、その他のさらなる詳細については、実施例において記載する。
また、チタニルフタロシアニン結晶0.1gをメタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長400nmの光に対する吸光度が、0〜0.04の範囲内の値であることが好ましい。
この理由は、上述した波長323.5nmの光に対する吸光度の場合と同様に、感光層中におけるチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに向上させることができるためである。
したがって、所定有機溶媒のろ液における波長400nmの光に対する吸光度を0.005〜0.02の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜0.018の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、波長323.5nm及び400nmの光に対する吸光度を、チタニルフタロシアニン結晶の分散性の指標として用いるのは、他の波長の光を用いた場合よりも、チタニルフタロシアニン結晶の分散性との相関が強く見られることが、経験的に見出されているためである。
より具体的には、波長323.5nmの光に対する吸光度は、チタニルフタロシアニン化合物を合成する際に生成する不純物量を反映し、波長400nmの光に対する吸光度は、チタニルフタロシアニン化合物を合成するための原料由来の不純物量を反映している。
したがって、これらの不純物量を所定の範囲まで抑制することで、結果として分散性が向上するものと考えられる。
次いで、図7及び図8を用いて、所定有機溶媒のろ液における吸光度と、感度特性と、の関係を説明する。
すなわち、図7においては、横軸にチタニルフタロシアニン結晶0.1gを、メタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度(−)を採り、縦軸に感度(V)を採った特性曲線が示してある。
また、図8においては、横軸に波長400nmの光を用いた以外は図7における横軸と同様の条件にて得られた吸光度(−)を採り、縦軸に感度(V)を採った特性曲線が示してある。
所定有機溶媒のろ液における吸光度及び感度の測定方法や、感光体の構成等については、実施例において記載する。
かかる図7及び図8に示すそれぞれの特性曲線からは、所定有機溶媒のろ液におけるそれぞれの波長の光に対する吸光度の値が増加するのにともなって、感度の値が増加する相関関係を読み取ることができる。
より具体的には、これらの特性曲線から、波長323.5nmの光に対する吸光度の値を0.12以下の値とすることにより、また、波長400nmの光に対する吸光度の値を0.04以下の値とすることにより、感度を52V以下の低い値に保持できることがわかる。
したがって、優れた感度特性を得るためには、所定有機溶媒のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度を0.12以下の値とすることが有効であり、所定有機溶媒のろ液における波長400nmの光に対する吸光度を0.04以下の値とすることが有効であることが理解される。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=9.2及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であって、当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であるチタニルフタロシアニン結晶の製造方法であって、下記工程(a)〜(g)を含むことを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶の製造方法である。
(a)粗チタニルフタロシアニン結晶を酸に対して溶解し、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程
(b)チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下してウェットケーキを得る工程
(c)ウェットケーキを炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
(d)洗浄後のウェットケーキを非水系溶媒中で加熱撹拌して、初期チタニルフタロシアニン結晶を得る工程
(e)得られた初期チタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
(f)洗浄後の初期チタニルフタロシアニン結晶を微粉砕した後、非水系溶媒中で加熱撹拌して、チタニルフタロシアニン結晶を得る工程
(g)得られたチタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
以下、第1の実施形態において既に説明した内容については適宜省略し、第2の実施形態であるチタニルフタロシアニン結晶の製造方法について説明する。
1.チタニルフタロシアニン化合物の製造
チタニルフタロシアニン化合物の製造方法としては、かかる分子の製造材料としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体と、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、を尿素化合物の存在下において反応させて、チタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
すなわち、下記反応式(1)または下記反応式(2)に準じて実施することが好ましい。なお、反応式(1)及び反応式(2)においては、チタンアルコキシドとして、一例ではあるが、式(5)で表されるチタンテトラブトキシドを用いている。
(1)反応式
したがって、反応式(1)に示すように、式(4)で表されるo−フタロニトリルと、式(5)で表されるチタンアルコキシドとしてのチタンテトラブトキシドとを反応させるか、反応式(2)において示すように、式(6)で表される1,3−ジイミノイソインドリンと、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドとを反応させて、式(3)で表されるチタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
なお、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドの替わりに、四塩化チタンを用いてもよい。
(2)添加量
また、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(4)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(6)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.40〜0.53モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(4)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(6)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体に対して、1/4モル当量を超えた過剰量を添加することにより、後述する尿素化合物との相互作用が効果的に発揮されるためである。なお、かかる相互作用については、尿素化合物の項で詳述する。
したがって、式(5)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(4)で表されるo−フタロニトリルまたは式(6)で表される1,3−ジイミノイソインドリン等1モルに対して、0.42〜0.50モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.45〜0.47モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)尿素化合物
また、上述した反応式(1)及び(2)で表される反応を、尿素化合物の存在下において行うことが好ましい。この理由は、尿素化合物の存在下において製造されたチタニルフタロシアニン化合物を用いることにより、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンにおける相互作用が発揮されるため、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効率的に得ることができるためである。
すなわち、かかる相互作用とは、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンとの反応によって生成するアンモニアが、さらにチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をより促進させる作用である。そして、このような促進作用のもとに、原料物質を反応させることにより、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。
(3)−1 種類
また、反応式(1)及び(2)で使用される尿素化合物が、尿素、チオ尿素、O−メチルイソ尿素硫酸塩、O−メチルイソ尿素炭酸塩、及びO−メチルイソ尿素塩酸塩からなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
この理由は、かかる尿素化合物を、反応式(1)及び(2)中の尿素化合物として用いることにより、反応の過程で生成するアンモニアが、より効率的にチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
すなわち、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成するためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
なお、かかる錯体化合物は、180℃以上の高温条件で反応させた場合に、特異的に生成しやすいことが判明している。そのため、沸点が180℃以上の含窒素化合物中、例えば、キノリン(沸点:237.1℃)やイソキノリン(沸点:242.5℃)、あるいはこれらの混合物(重量比10:90〜90:10)中で実施することがより有効である。
また、反応促進剤としてのアンモニアや、それに起因した錯体化合物がさらに生成しやすいことから、上述した尿素化合物の中でも、尿素を用いることがより好ましい。
(3)−2 添加量
また、反応式(1)及び(2)で使用する尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.1〜0.95モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、尿素化合物の添加量をかかる範囲内の値とすることにより、上述した尿素化合物の作用をより効率的に発揮させることができるためである。
したがって、かかる尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.2〜0.8モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.7モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)溶媒
また、反応式(1)及び(2)で使用する溶媒としては、例えば、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリン、及びニトロベンゼン等の炭化水素系溶剤、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、及びクロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、及びジエチレングリコール等のアルコール系溶剤、シクロヘキサノン、アセトフェノン、1−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のケトン系溶剤、ホルムアミド、及びアセトアミド等のアミド系溶剤、ピコリン、キノリン、及びイソキノリン等の窒素含有溶剤からなる群の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
特に、沸点が180℃以上の含窒素化合物、例えば、キノリンやイソキノリンであれば、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成しやすくなることから好適な溶媒である。
(5)反応温度
また、反応式(1)及び(2)における反応温度を150℃以上の高温とすることが好ましい。この理由は、かかる反応温度が150℃未満、特に135℃以下となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応温度を180〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜240℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(6)反応時間
また、反応式(1)及び(2)における反応時間は、反応温度にもよるが、0.5〜10時間の範囲とすることが好ましい。この理由は、かかる反応時間が0.5時間未満となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。一方、かかる反応時間が10時間を越えると、経済的に不利となったり、あるいは生成した錯体化合物が減少したりする場合があるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応時間を0.6〜3.5時間の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
2.チタニルフタロシアニン結晶の製造方法
(1)酸処理前工程
次いで、上述した工程またはその他の工程によって製造されたチタニルフタロシアニン化合物に対して酸処理を実施する前段階として、かかるチタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、攪拌処理し、ついで当該攪拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理する酸処理前工程を行うことが好ましい。
また、酸処理前工程に使用する水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、及びエチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
また、酸処理前工程のうち攪拌処理の条件は特に限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度範囲の一定温度条件下で、1〜3時間程度の攪拌処理を行うのが好ましい。
さらにまた、攪拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜15時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。このように酸処理前工程を行うことによって、粗チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
(2)酸処理工程(工程(a))
次いで、酸処理工程として、粗チタニルフタロシアニン結晶を酸に対して溶解し、チタニルフタロシアニン溶液を得ることを特徴とする。
この理由は、酸に対して粗チタニルフタロシアニン結晶を溶解することによって、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に残留した材料物質等由来する不純物を、十分に分解することができるためである。
また、使用する酸としては、濃硫酸、トリフルオロ酢酸及びスルホン酸からなる群から選択される少なくとも一種のであることが好ましい。
この理由は、このような酸であれば、上述した不純物をより効果的に分解することができる一方、チタニルフタロシアニン化合物の分解については、効果的に抑制することができるためである。
また、かかる酸処理後においては、これらの酸に由来する成分を、後述する洗浄によって容易に除去することができるためである。
なお、酸処理工程は、使用する酸によっても異なるが、一般に0〜10℃、0.5〜3.0時間の条件で行うことが好ましい。
(3)滴下工程(工程(b))
次いで、酸処理工程において得られたチタニルフタロシアニン溶液を、貧溶媒中に滴下してウェットケーキを得ることを特徴とする。
この理由は、チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下することによって、後の洗浄工程における洗浄効果を、有効に発揮させることができるためである。
すなわち、滴下によって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキが、表面積が大きな不定形となるため、後の洗浄工程における洗浄効果を、有効に発揮させることができるためである。
また、使用する貧溶媒が、水であることが好ましい。
この理由は、水であれば、極性や温度調節の点から、さらに容易にチタニルフタロシアニン化合物を析出させることができるためである。
したがって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキにおける表面積を増加させて、より効果的に洗浄工程を実施することができるためである。
また、その他の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、メタノールと水の混合溶媒、エタノールと水の混合溶媒等を用いることもできる。
なお、貧溶媒の温度は、使用する貧溶媒の種類によっても異なるが、一般に0〜20℃範囲内とすることが好ましい。
(4)洗浄工程1(工程(c))
次いで、滴下工程において得られたチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキを炭素数1〜4のアルコールによって洗浄することを特徴とする。
この理由は、炭素数1〜4のアルコールを用いて洗浄することによって、ウェットケーキに残留している不純物を効果的に除去し、後の結晶型変換工程1(工程(d))における初期チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換効率を、促進させることができるためである。
なお、炭素数1〜4のアルコールとしては、メタノール、エタノール及び1−プロパノールからなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、これらのアルコールであれば、さらに効果的にチタニルフタロシアニン結晶の感光層中における分散性を向上させることができるためである。
なお、具体的な洗浄方法としては、例えば、10g程度のウェットケーキを、500ml程度の所定のアルコールや水等に浸漬した後、撹拌等によって懸濁させて行うことができる。
また、かかる洗浄に用いる所定のアルコール及び水等の温度については、例えば、0〜50℃の範囲内の値とすることが好ましく、10〜40℃の範囲内の値とすることがより好ましい。洗浄時間については、例えば、5分〜10時間の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜8時間の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、炭素数1〜4のアルコール及び水による洗浄は、それぞれ複数回繰り返すことも好ましい。
(5)結晶型変換工程1(工程(d))
次いで、洗浄工程において得られた洗浄後のウェットケーキを非水系溶媒中で加熱撹拌して、初期チタニルフタロシアニン結晶を得ることを特徴とする。
この理由は、チタニル二ロシアニンのウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌することによって、結晶型を所定の結晶型に変換し、初期チタニルフタロシアニン結晶を得ることができるためである。
また、非水系溶媒中での撹拌時間を2〜96時間の範囲内の値とすることが好ましく、撹拌温度を30〜100℃の範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、撹拌速度を30〜180rpmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、非水系溶媒中での撹拌時間、撹拌温度及び撹拌速度を、それぞれかかる範囲内の値とすることにより、後述する結晶型変換工程2(工程(f))の実施と相俟って、後述する検査工程にて測定される所定ろ液における電気伝導度を、効率的に所定の範囲内の値とすることができるためである。
したがって、所定ろ液における電気伝導度を、さらに効率的に所定の範囲内の値とすることができることから、撹拌時間を5〜36時間の範囲内の値とすることがより好ましく、撹拌温度を45〜55℃の範囲内の値とすることがより好ましく、さらに、撹拌速度を80〜100rpmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、非水系溶媒中での加熱撹拌は、チタニルフタロシアニンのウェットケーキを、水が存在した状態で非水系溶媒中に分散させて行うことが、より好ましい。
また、非水系溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
(6)洗浄工程2(工程(e))
次いで、得られた初期チタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄することを特徴とする。
この理由は、炭素数1〜4のアルコールを用いて洗浄することによって、得られた初期チタニルフタロシアニン結晶に残留している不純物を効果的に除去し、後の結晶型変換工程2(工程(f))におけるチタニルフタロシアニン結晶の変換効率を、促進させることができるためである。
なお、洗浄条件については、洗浄工程1(工程(c))におけるのと同様の条件にて実施することができる。
(7)結晶型変換工程2(工程(f))
次いで、洗浄後の初期チタニルフタロシアニン結晶を微粉砕した後、非水系溶媒中で加熱撹拌して、チタニルフタロシアニン結晶を得ることを特徴とする。
この理由は、結晶型変換工程1(工程(d))において非水系溶媒中で撹拌することにより得られた初期チタニルフタロシアニン結晶を、所定のアルコールで洗浄した後、微粉砕後さらにもう一度非水系溶媒中で撹拌することにより、所定ろ液における電気伝導度を、効率的に所定の範囲内の値とすることができるためである。
なお、初期チタニルフタロシアニン結晶の微粉砕は、薬さじを用いた手作業であっても、例えば、ミキサー等の機器を用いた方法であってもよいが、結晶の数平均粒子径が1〜10μmの範囲内の値となるまで行うことが好ましい。
また、非水系溶媒中での加熱撹拌条件については、結晶型変換工程1(工程(d))におけるのと同様の条件にて実施することが好ましい。
また、上述した結晶変換工程1(工程(d))及び結晶変換工程2(工程(f))における非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計を4〜96時間の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、これらの工程における非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計をかかる範囲内の値とすることにより、所定ろ液における電気伝導度を、より効率的に所定の範囲内の値とすることができるとともに、結晶安定性を向上させることができるためである。
すなわち、非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計が4時間未満の値となると、所定ろ液における電気伝導度を、十分に低下させることが困難となったり、結晶安定性が低下する場合があるためである。一方、非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計が96時間を超えた値となると、結晶が過度に大きく成長して、分散性に問題が生じる場合があるためである。
したがって、結晶変換工程1(工程(d))及び結晶変換工程2(工程(f))における非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計を10〜72時間の範囲内の値とすることがより好ましく、24〜72時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、結晶型変換工程2(工程(f))の実施後に、さらに複数回、洗浄工程2(工程(e))及び結晶型変換工程2(工程(f))を繰り返してもよい。
次いで、図9及び図10を用いて、加熱撹拌時間の合計と、所定のろ液における電気伝導度及びα化度(A/B)と、の関係を説明する。
すなわち、図9においては、横軸に非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計(時間)を採り、縦軸に後の検査工程において測定される所定ろ液における電気伝導度(μS/cm)を採った特性曲線が示してある。
また、図10においては、横軸に図9と同様に非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計(時間)を採り、縦軸にα化度(A/B)(−)を採った特性曲線が示してある。
これらの図9及び図10のそれぞれに示す特性曲線のうち、特性曲線Aは、結晶型変換工程1(工程(d))及び結晶型変換工程2(工程(f))において、非水系溶媒中での加熱撹拌時間をそれぞれ同時間ずつ実施した場合の特性曲線を示している。
一方、特性曲線Bは、結晶変換工程として、結晶変換工程1(工程(d))のみを実施し、結晶型変換工程2(工程(f))を実施しなかった場合の特性曲線を示している。
さらに、プロットCは、結晶型変換工程2(工程(f))の実施後に、さらに洗浄工程2(工程(e))及び結晶型変換工程(2)(工程(f))を実施して、それぞれ4時間ずつ、合計12時間の加熱撹拌を実施した場合のプロットを示している。
なお、所定のろ液における電気伝導度及びα化度の測定方法については、実施例において記載する。
まず、図9及び図10に示すそれぞれの特性曲線A及びBからは、加熱撹拌時間の合計の値が増加するのにともなって、所定ろ液における電気伝導度及びα化度(A/B)の値が共に減少する相関関係を読み取ることができる。
すなわち、特性曲線Aにおいては、撹拌時間の合計の値が12時間となった時点で、所定ろ液における電気伝導度が2.3μS/cm前後の値をとるとともにα化度の値も0.2前後の値をとっていることがわかる。
一方、特性曲線Bにおいては、特性曲線Aと比較して、撹拌時間の合計の値の増加にともなう所定ろ液における電気伝導度及びα化度の値の低下割合が小さく、撹拌時間の合計の値が12時間となった時点でも、所定ろ液における電気伝導度が2.5μS/cm前後の値であるとともにα化度の値も0.3前後の高い値となっている。
したがって、特性曲線A及びBの比較から、合計時間として同じ時間の加熱撹拌を行った場合、結晶変換工程として、結晶変換工程1のみを実施するよりも、結晶変換工程1及び結晶変換工程2を実施した場合の方が、時間的な面及び得られるチタニルフタロシアニン結晶の品質の面において、著しく効率的であることがわかる。
また、図9及び図10に示すそれぞれの特性曲線A及びプロットCからは、過熱撹拌を3回に分けて合計12時間実施した場合であっても、2回に分けて合計12時間実施した場合であっても、最終的な結果には、ほとんど差異が生じないことが理解できる。
以上より、効率化の観点から非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計を4〜24時間といった比較的短い時間とした場合であっても、結晶変換工程1(工程(d))及び結晶変換工程2(工程(f))、つまり2回の結晶変換工程を実施することによって、所定ろ液における電気伝導度を、より効率的に所定の範囲内の値とすることができるとともに、結晶安定性を向上させることができることが理解される。
(8)洗浄工程3(工程(g))
次いで、得られたチタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄することを特徴とする。
この理由は、炭素数1〜4のアルコールを用いて洗浄することによって、得られたチタニルフタロシアニン結晶に残留している不純物を効果的に除去し、さらには感光層中における分散性を効果的に向上させることができるためである。
なお、洗浄条件については、洗浄工程1(工程(c))におけるのと同様の条件にて実施することができる。
(9)検査工程
次いで、洗浄後のチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であることを確認することが好ましい。
なお、所定ろ液における電気伝導度を所定の範囲内の値とすることによる効果については、既に第1の実施形態において説明したため、重複を避けて省略する。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。
[実施例1]
1.チタニルフタロシアニン化合物の製造
アルゴン置換したフラスコ中に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gと、尿素2.28g(0.038mol)を加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。
次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温したのち、この温度を維持しつつさらに2時間、撹拌して反応させた。
次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、およびメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。
2.チタニルフタロシアニン結晶の製造
(1)顔料化前処理
上述した粗チタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体12gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、撹拌しつつ130℃に加熱して2時間、撹拌処理を行った。
次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、さらに、23±1℃まで冷却した時点で撹拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。そして安定化された後の上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄したのち真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶11.8gを得た。
(2)顔料化処理
上述した顔料化前処理で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶10gを、97%の濃硫酸100gに加えて溶解した。なお、かかる酸処理は、5℃で1時間行った。
次いで、この溶液を、氷冷下の純水5リットル中に毎分10mlにて滴下したのち15±3℃付近で30分間、攪拌し、その後30分静置した。次いで溶液をガラスフィルターでろ過し、ウェットケーキを得た。
次いで、得られたウェットケーキをメタノール500mlに懸濁して洗浄し、洗浄後のメタノールをガラスフィルターによってろ別した。そして、かかる洗浄を4回行った。次に得られたウェットケーキを60℃の条件で十分に真空乾燥させた。
次いで、洗浄後のウェットケーキ5gを、水0.75g、クロロベンゼン100g中に加えて、50℃にて6時間加熱撹拌を行った。なお、撹拌はナス型フラスコ内でマグネティックスターラーを用い、撹拌速度を90rpmとして行った。
そして上澄みをガラスフィルターによってろ別して得られた結晶を、100mlのメタノールで漏斗上にて洗浄したのち、50℃で5時間、真空乾燥させて、初期チタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.5gを得た。
次いで、得られたチタニルフタロシアニン結晶4.5gを、薬さじを用いて結晶の数平均粒子径が10μm程度となるまで微粉砕した後、水0.68g、クロロベンゼン90g中に加え、50℃にて6時間加熱撹拌を行った。なお、撹拌はナス型フラスコ内でマグネティックスターラーを用い、撹拌速度を90rpmとして行った。
そして上澄みをガラスフィルターによってろ別して得られた結晶を、90mlのメタノールで漏斗上にて洗浄した後、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.0gを得た。
3.チタニルフタロシアニン結晶の評価
(1)CuKα特性X線回折スペクトル測定
得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%の条件下、密閉系中で24時間、保管したのちテトラヒドロフランを除去して、X線回折装置(理学電機(株)製のRINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、図11に示す。また、かかるスペクトルチャートは、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有していることから、得られたチタニルフタロシアニン結晶が、安定した所定の結晶型を有していることが確認できた。
また、得られたスペクトルから、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°におけるピーク強度Aと、9.5°におけるピーク強度Bと、の比率A/Bを算出した。得られた結果を表1に示す。
なお、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°における二つの主ピークは、テトラヒドロフラン中に分散させる前の段階におけるスペクトルチャートにおいても確認することができた。
また、測定の条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
(2)示差走査熱量分析
また、示差走査熱量計(理学電機(株)製のTAS−200型、DSC8230D)を用いて、得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査分析チャートを、図12に示す。また、かかるチャートにおいては、吸着水の気化にともなうピーク以外に、296℃において1つのピークが確認された。
なお、測定条件は下記の通りとした。
サンプルパン:アルミニウム製
昇温速度:20℃/分
(3)吸光度の測定
また、得られたチタニル二ロシアニン結晶0.1gを、メタノール及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる混合溶媒(メタノール:N,N−ジメチルホルムアミド=1:1(重量比))8gに対して加えて、液の温度を23℃に保ちながら、超音波発生装置(ヤマト科学(株)製、BRANSON1200)を用いて、周波数47kHzにて1時間超音波処理して懸濁液とした。次いで、得られた懸濁液を、PTFEタイプの0.1μmメンプランフィルタ(アドバンテスト(株)製)を用いてろ過し、ろ液を得た。次いで、得られたろ液をセル長10mmのセルに収容した後、かかるろ液における波長323.5nm及び400nmの光に対する吸光度を吸光度計(HITACHI(株)製、分光光度計U3000)で測定した。得られた結果を表1に示す。
(4)電気伝導度の測定
また、得られたチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、伝導度水20gに対して加えて、液の温度を23℃に保ちながら、超音波発生装置(島田理化工業(株)製)を用いて、周波数18kHzにて90秒間超音波処理して懸濁液とした。次いで、得られた懸濁液を、ガラス繊維ろ紙(ADVANTEC(株)製、GC−50)を用いてろ過し、ろ液を得た。次いで、得られたろ液を伝導度計にて測定した。得られた結果を表1に示す。
4.電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
ビーズミルを用いて、酸化チタン(SMT−02、アルミナシリカ及びメチルハイドロジェンポリシロキサンで表面処理した数平均一次粒子径が10nm(テイカ製))200重量部、四元共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製、CM8000)100重量部、メタノール1000重量部と、n-ブタノール200重量部とを、5時間混合、分散させ、さらに5ミクロンのフィルタにてろ過処理して、中間層用塗布液を得た。
次いで、直径30mm、長さ238.5mmのアルミニウム基体(支持基体)の一端を上にして、得られた中間層用塗布液中に5mm/secの速度で浸漬させて中間層用塗布液を塗布した。その後、130℃、30分の条件で硬化処理を行って、膜厚2μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の形成
次いで、ビーズミルを用いて、上述したようにして製造したチタニルフタロシアニン結晶を230重量部と、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学工業(株)製、エスレック KS−5)50重量部と、フェノキシ樹脂(InChem(株)製、PKKH)50重量と、プロピレングリコールモノメチルエーテル4000重量部と、テトラヒドロフラン4000重量部とを、2時間混合、分散させ、さらに3ミクロンのフィルタにてろ過処理して電荷発生層用塗布液を得た。
次いで、上述した中間層上にディップコート法にて塗布し、50℃で5分間乾燥させて、膜厚0.1μmの電荷発生層を形成した。
(3)電荷輸送層の形成
次いで、超音波分散機内に、下記式(7)で表されるビストリフェニルアミン誘導体(HTM−1)70重量部と、メタターフェニル15重量部と、樹脂溶液380重量部と、テトラヒドロフラン320重量部と、を収容したのち、10分間分散処理させて、電荷輸送層用塗布液を得た。
なお、樹脂溶液とは、下記式(8)で表される粘度平均分子量20,000のポリカーボネート樹脂(Resin−1)100重量部を、テトラヒドロフラン280重量部に対して混合分散させて得たものである。
得られた電荷輸送層用塗布液を、電荷発生層用塗布液と同様にして電荷発生層上に塗布し、130℃で30分間乾燥し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し積層型電子写真感光体を作製した。
5.評価
(1)感度の測定
得られた電子写真感光体における感度を測定した。
すなわち、得られた電子写真感光体を、プリンタ(沖データ(株)製、MicroLine−22)に対して組み付け、常温常湿環境下(温度25℃、湿度60%RH)、現像位置での電位(絶対値)を感度(V)として測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:感度の値が52V未満の値である
△:感度の値が52〜55V未満の値である
×:感度の値が55V以上の値である
(2)メモリ電位の測定
得られた電子写真感光体におけるメモリ電位を測定した。
すなわち、得られた電子写真感光体を、プリンタ(沖データ(株)製、MicroLine−22)に対して組み付け、常温常湿環境下(温度25℃、湿度60%RH)、電子写真感光体における未露光部分の表面電位、及び露光部分の帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差をメモリ電位とし、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:メモリ電位の値が20V未満の値である
△:メモリ電位の値が21〜23V未満の値である
×:メモリ電位の値が24V以上の値である
[実施例2]
実施例2においては、チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、実施例1においては6時間ずつ2回行った加熱撹拌を、4時間ずつ3回の実施に変えたほかは、実施例1と同様にチタニルフタロシアニン結晶の製造及び評価、並びに電子写真感光体の製造及び評価を行った。得られた結果を表1に示す。また、得られたCuKα特性X線回折スペクトルチャートを図13に示す。
なお、示差走査熱量分析においては、実施例1と同様に、270〜400℃の間に一つのピークが確認された。
[実施例3]
実施例3においては、チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、実施例1においては6時間ずつ2回行った加熱撹拌を、2時間ずつ2回の実施に変えたほかは、実施例1と同様にチタニルフタロシアニン結晶の製造及び評価、並びに電子写真感光体の製造及び評価を行った。得られた結果を表1に示す。また、得られたCuKα特性X線回折スペクトルチャートを図14に示す。
なお、示差走査熱量分析においては、実施例1と同様に、270〜400℃の間に一つのピークが確認された。
[比較例1]
比較例1においては、チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、実施例1においては6時間ずつ2回行った加熱撹拌を、最初の1回のみを12時間行う実施に変えたほかは、実施例1と同様にチタニルフタロシアニン結晶の製造及び評価、並びに電子写真感光体の製造及び評価を行った。得られた結果を表1に示す。
なお、比較例1においてはCuKα特性X線回折スペクトルチャートを示さないが、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有することが確認できた。
また、示差走査熱量分析においては、実施例1と同様に、270〜400℃の間に一つのピークが確認された。
[比較例2]
比較例2においては、チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、加熱撹拌時間を24時間に変えたほかは、比較例1と同様にチタニルフタロシアニン結晶の製造及び評価、並びに電子写真感光体の製造及び評価を行った。得られた結果を表1に示す。また、得られたCuKα特性X線回折スペクトルチャートを図15に示す。
なお、示差走査熱量分析においては、実施例1と同様に、270〜400℃の間に一つのピークが確認された。
[比較例3]
比較例3においては、チタニルフタロシアニン結晶を製造する際に、加熱撹拌時間を36時間に変えたほかは、比較例1と同様にチタニルフタロシアニン結晶の製造及び評価、並びに電子写真感光体の製造及び評価を行った。得られた結果を表1に示す。また、得られたCuKα特性X線回折スペクトルチャートを図16に示す。
なお、示差走査熱量分析においては、実施例1と同様に、270〜400℃の間に一つのピークが確認された。
本発明によれば、当該チタニルフタロシアニン結晶を水に対して所定の条件下にて分散させた分散液のろ液における電気伝導度を、所定の範囲内の値とすることにより、感光層中における分散性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を得ることができるようになった。
また、本発明によれば、上述した所定条件下の電気伝導度が所定の範囲内の値であるチタニルフタロシアニン結晶を、効率的に製造することができるようになった。
したがって、かかるチタニルフタロシアニン結晶を電荷発生剤として用いた電子写真感光体は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における電気特性の向上や、品質の安定化に著しく寄与することが期待される。
図1は、α化度と、感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 図2は、α化度と、露光メモリ特性と、の関係を説明するために供する図である。 図3は、電気伝導度と、感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 図4は、電気伝導度と、露光メモリ特性と、の関係を説明するために供する図である。 図5は、チタニルフタロシアニン結晶の分散性と、感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 図6は、感光層における反射吸光度の測定方法を説明するために供する図である。 図7は、323.5nmの光に対する吸光度と、感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 図8は、400nmの光に対する吸光度と、感度特性と、の関係を説明するために供する図である。 図9は、加熱撹拌時間の合計と、電気伝導度と、の関係を説明するために供する図である。 図10は、加熱撹拌時間の合計と、α化度と、の関係を説明するために供する図である。 図11は、実施例1におけるチタニルフタロシアニン結晶のCuKα特性X線回折スペクトルである。 図12は、実施例1におけるチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析チャートである。 図13は、実施例2におけるチタニルフタロシアニン結晶のCuKαX線回折スペクトルである。 図14は、実施例3におけるチタニルフタロシアニン結晶のCuKαX線回折スペクトルである。 図15は、比較例2におけるチタニルフタロシアニン結晶のCuKαX線回折スペクトルである。 図16は、比較例3におけるチタニルフタロシアニン結晶のCuKαX線回折スペクトルである。
符号の説明
12:基体、14:感光層

Claims (9)

  1. CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であって、
    当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であることを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶。
  2. 前記チタニルフタロシアニン結晶0.1gを、メタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長323.5nmの光に対する吸光度が、0.02〜0.12の範囲内の値であることを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  3. 前記チタニルフタロシアニン結晶0.1gを、メタノール4g及びジメチルホルムアミド4gからなる混合溶媒に対して加え、23±3℃の環境下にて1時間超音波分散(周波数47kHz)を行って得た分散液のろ液における波長400nmの光に対する吸光度が、0〜0.04の範囲内の値であることを特徴とする請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  4. 前記CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=7.2°におけるピーク強度Aと、9.5°におけるピーク強度Bと、の比率A/Bが、0.05〜0.25の範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  5. CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.3°=9.5及び27.2°に主ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶であって、当該チタニルフタロシアニン結晶0.3gを、水20gに対して加え、23±3℃の環境下にて90秒間超音波分散(周波数:18kHz)を行って得た分散液のろ液における電気伝導度が、0.6〜2.4μS/cmの範囲内の値であるチタニルフタロシアニン結晶の製造方法であって、
    下記工程(a)〜(g)を含むことを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
    (a)粗チタニルフタロシアニン結晶を酸に対して溶解し、チタニルフタロシアニン溶液を得る工程
    (b)前記チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下してウェットケーキを得る工程
    (c)前記ウェットケーキを炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
    (d)洗浄後の前記ウェットケーキを非水系溶媒中で加熱撹拌して、初期チタニルフタロシアニン結晶を得る工程
    (e)得られた初期チタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
    (f)洗浄後の初期チタニルフタロシアニン結晶を微粉砕した後、非水系溶媒中で加熱撹拌して、チタニルフタロシアニン結晶を得る工程
    (g)得られたチタニルフタロシアニン結晶を、炭素数1〜4のアルコールによって洗浄する工程
  6. 前記(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌時間の合計を4〜96時間の範囲内の値とすることを特徴とする請求項5に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
  7. 前記(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌時間を、それぞれ2〜96時間の範囲内の値とすることを特徴とする請求項5または6に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
  8. 前記(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌温度を、それぞれ30〜100℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項5〜7のいずれか一項に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
  9. 前記(d)工程及び(f)工程における非水系溶媒中での加熱撹拌における撹拌速度を30〜180rpmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項5〜8のいずれか一項に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
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