JP2009282463A - 積層型電子写真感光体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カブリの発生ばかりでなく、露光メモリの発生についても、効果的に抑制できる積層型電子写真感光体を得ることができる積層型電子写真感光体の製造方法を提供する。
【解決手段】積層型電子写真感光体の製造方法であって、電荷発生層に含まれる電荷発生剤として、所定の光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、所定有機溶媒中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、別の所定有機溶媒中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
【選択図】図2
【解決手段】積層型電子写真感光体の製造方法であって、電荷発生層に含まれる電荷発生剤として、所定の光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、所定有機溶媒中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、別の所定有機溶媒中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
【選択図】図2
Description
本発明は、積層型電子写真感光体の製造方法に関し、特に、カブリ及び露光メモリの発生を効果的に抑制した積層型電子写真感光体を得ることができる積層型電子写真感光体の製造方法に関する。
従来、複写機やレーザープリンタ等の電子写真機器に搭載される有機感光体においては、電荷発生剤として、赤外ないし近赤外の露光光に感応するフタロシアニン系顔料が広く採用されている。
かかる顔料としてのフタロシアニン結晶は、フタロシアニン環に配位する金属原子の種類や、結晶構造の違いばかりでなく、フタロシアニン化合物の製造条件における違いによっても、性質が変化することが知られている。
したがって、フタロシアニン結晶には多くの種類が存在するが、特に優れた電荷発生能及び結晶安定性を有するものとして、所定の光学特性及び熱特性を有するフタロシアニン結晶が開示されている。
例えば、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴うピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶が開示されている(例えば、特許文献1)。
かかる顔料としてのフタロシアニン結晶は、フタロシアニン環に配位する金属原子の種類や、結晶構造の違いばかりでなく、フタロシアニン化合物の製造条件における違いによっても、性質が変化することが知られている。
したがって、フタロシアニン結晶には多くの種類が存在するが、特に優れた電荷発生能及び結晶安定性を有するものとして、所定の光学特性及び熱特性を有するフタロシアニン結晶が開示されている。
例えば、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に最大のピークを有するとともに、示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴うピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有することを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかしながら、特許文献1に開示されているチタニルフタロシアニン結晶は、その電荷発生能及び結晶安定性をある程度発揮させて、高温高湿下におけるカブリの発生を抑制することができるものの、特に積層型電子写真感光体において用いた場合には、露光メモリが発生しやすくなるという問題が見られた。
これは、積層型電子写真感光体における電荷発生層の方が、単層型電子写真感光体の感光層と比較して、結着樹脂に対する電荷発生剤の含有量が大きいことから、その分散性が低下しやすくなることに起因すると考えられる。
これは、積層型電子写真感光体における電荷発生層の方が、単層型電子写真感光体の感光層と比較して、結着樹脂に対する電荷発生剤の含有量が大きいことから、その分散性が低下しやすくなることに起因すると考えられる。
一方、チタニルフタロシアニン結晶の特性をより有効に発揮させるべく、チタニルフタロシアニン結晶を感光層に対してより均一に分散させるための様々な方法が開示されている。
例えば、チタニルフタロシアニン結晶を含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、結着樹脂を含有させずに、または顔料の10重量%以下の結着樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、顔料が分散された溶媒に、結着樹脂が溶解された溶液を添加する工程と、を含む顔料分散液の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
特開2007−161992号公報(特許請求の範囲)
特許3597759号公報(特許請求の範囲)
例えば、チタニルフタロシアニン結晶を含有する顔料を、脂環式ケトン系溶媒または芳香族系溶媒を含む分散媒を用い、結着樹脂を含有させずに、または顔料の10重量%以下の結着樹脂を含有させて分散する初期分散工程と、顔料が分散された溶媒に、結着樹脂が溶解された溶液を添加する工程と、を含む顔料分散液の製造方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
しかしながら、特許文献1において開示されているチタニルフタロシアニン結晶を、例えば、特許文献2に開示されているような方法で分散させて積層型電子写真感光体を製造した場合、逆に、露光メモリがさらに発生しやすくなるという問題が見られた。
したがって、特許文献1において開示されている電荷発生能及び結晶安定性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を、電荷発生層に対して効果的に分散させることができ、カブリの発生とともに、露光メモリの発生についても効果的に抑制できる積層型電子写真感光体の製造方法が求められていた。
したがって、特許文献1において開示されている電荷発生能及び結晶安定性に優れたチタニルフタロシアニン結晶を、電荷発生層に対して効果的に分散させることができ、カブリの発生とともに、露光メモリの発生についても効果的に抑制できる積層型電子写真感光体の製造方法が求められていた。
そこで、本発明者らは、鋭意検討した結果、所定割合の結着樹脂と、特定のチタニルフタロシアニン結晶とを、所定有機溶媒中に分散させて1次分散液を得る工程と、残りの結着樹脂を別の所定有機溶媒中に分散させた分散液を、1次分散液に対して加えて分散させる工程と、を含む電荷発生層用塗布液の製造工程を実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散できることを見出した。
その結果、カブリの発生ばかりでなく、露光メモリの発生についても、効果的に抑制できる積層型電子写真感光体が得られることを見出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、カブリ及び露光メモリの発生を効果的に抑制した積層型電子写真感光体を得ることができる積層型電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
その結果、カブリの発生ばかりでなく、露光メモリの発生についても、効果的に抑制できる積層型電子写真感光体が得られることを見出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、カブリ及び露光メモリの発生を効果的に抑制した積層型電子写真感光体を得ることができる積層型電子写真感光体の製造方法を提供することにある。
本発明によれば、基体上に、電荷発生層と、電荷輸送層と、が形成された積層型電子写真感光体の製造方法であって、電荷発生層に含まれる電荷発生剤として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化にともなうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層を形成するための電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法が提供され、上述した問題を解決することができる。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
すなわち、工程(a)において用いられる分散媒としてのプロピレングリコールモノアルキルエーテルであれば比較的粘度が高いことから、所定添加量の結着樹脂と相俟って、例えば、10〜50cps(測定温度22℃、E型粘度計にて測定)といった所定粘度の1次分散液を容易に調製することができる。そして、1次分散液の粘度を所定の範囲とすることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、溶液成分と、の相互作用を所定の範囲に抑制することができると推測される。その結果、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性を効果的に維持しつつも、所定の範囲まで結着樹脂中に分散させることができる。
一方、工程(b)において、残りの結着樹脂を分散させた状態で加えられる分散媒としての環状エーテル化合物は、比較的粘度が低い上、結着樹脂との相溶性により優れる。
したがって、工程(a)において既に所定の範囲にまで結着樹脂中に分散されている特定のチタニルフタロシアニン結晶を、その結晶安定性を維持したまま、最終的な分散状態にまで、効果的に分散させることができる。
よって、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法であれば、電荷発生層に対して、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散させて、カブリの発生とともに、露光メモリの発生についても効果的に抑制できる積層型電子写真感光体を得ることができる。
なお、工程(a)及び(b)における有機溶媒の種類及び結着樹脂の添加割合を上述したように規定することによる効果は、実施例にも示すように、チタニルフタロシアニン結晶として、電荷発生能及び結晶安定性ばかりでなく、分散性にも優れている特定のチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、特異的に得られるものである。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
すなわち、工程(a)において用いられる分散媒としてのプロピレングリコールモノアルキルエーテルであれば比較的粘度が高いことから、所定添加量の結着樹脂と相俟って、例えば、10〜50cps(測定温度22℃、E型粘度計にて測定)といった所定粘度の1次分散液を容易に調製することができる。そして、1次分散液の粘度を所定の範囲とすることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、溶液成分と、の相互作用を所定の範囲に抑制することができると推測される。その結果、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性を効果的に維持しつつも、所定の範囲まで結着樹脂中に分散させることができる。
一方、工程(b)において、残りの結着樹脂を分散させた状態で加えられる分散媒としての環状エーテル化合物は、比較的粘度が低い上、結着樹脂との相溶性により優れる。
したがって、工程(a)において既に所定の範囲にまで結着樹脂中に分散されている特定のチタニルフタロシアニン結晶を、その結晶安定性を維持したまま、最終的な分散状態にまで、効果的に分散させることができる。
よって、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法であれば、電荷発生層に対して、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散させて、カブリの発生とともに、露光メモリの発生についても効果的に抑制できる積層型電子写真感光体を得ることができる。
なお、工程(a)及び(b)における有機溶媒の種類及び結着樹脂の添加割合を上述したように規定することによる効果は、実施例にも示すように、チタニルフタロシアニン結晶として、電荷発生能及び結晶安定性ばかりでなく、分散性にも優れている特定のチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、特異的に得られるものである。
また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、チタニルフタロシアニン結晶の添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、50〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、所定の電荷発生量を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、より効果的に向上させることができる。
このように実施することにより、所定の電荷発生量を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、より効果的に向上させることができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、結着樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。
このように実施することにより、電荷発生層の機械的強度や、基体及び他の層との接着性を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに効果的に向上させることができる。
このように実施することにより、電荷発生層の機械的強度や、基体及び他の層との接着性を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに効果的に向上させることができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、プロピレングリコールモノアルキルエーテルとして、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を用いるとともに、添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性を向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度を好適な範囲に調節することができる。
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性を向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度を好適な範囲に調節することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、環状エーテル化合物として、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及び1,3−ジオキサンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を用いるとともに、添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性をさらに向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度をより好適な範囲に調節することができる。
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性をさらに向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度をより好適な範囲に調節することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、工程(a)における1次分散条件として、下記条件を満足することが好ましい。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができる。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができる。
また、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法を実施するにあたり、工程(b)における2次分散条件として、下記条件を満足することが好ましい。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性をより確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができる。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
このように実施することにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性をより確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができる。
本発明の実施形態は、図1(a)〜(c)に示すように、基体上12に、電荷発生層24と、電荷輸送層22と、が形成された積層型電子写真感光体20の製造方法であって、電荷発生層に含まれる電荷発生剤として、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化にともなうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、電荷発生層を形成するための電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法である。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
以下、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法について、各構成要件に分けて説明する。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
以下、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法について、各構成要件に分けて説明する。
1.中間層の形成
図1(c)に示すように、中間層25を形成する場合には、まず、結着樹脂、必要に応じて添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を適当な分散媒とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して塗布液を調製することが好ましい。
また、添加剤は製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止したり、分散性向上等を図ったりする目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することが好ましい。
図1(c)に示すように、中間層25を形成する場合には、まず、結着樹脂、必要に応じて添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を適当な分散媒とともに、公知の方法、例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して塗布液を調製することが好ましい。
また、添加剤は製造時の沈降等が問題とならない範囲であって、光散乱を生じさせて干渉縞の発生を防止したり、分散性向上等を図ったりする目的のために、各種添加剤(有機微粉末または無機微粉末)を少量添加することが好ましい。
中間層に使用される結着樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン、メラミン、エポキシ、アルキッド、フェノール、アクリル、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
また、添加剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、リトポン等の白色顔料や、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の体質顔料としての無機顔料やフッ素樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子、スチレン樹脂粒子等が挙げられる。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で10重量%以下の値、0.01〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、微粉末等の添加剤を添加する場合、その粒径を0.01〜3μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粒径が大きすぎると中間層の凹凸が大きくなったり、電気的に不均一な部分が生じたり、さらには、画質欠陥を生じ易くなったりする場合があるためである。一方、かかる粒径が小さすぎると、十分な光散乱効果が得られない場合があるためである。
なお、微粉末等の添加剤を添加する場合、その添加量を、中間層の固形分に対して重量比で10重量%以下の値、0.01〜5重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.01〜1重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、結着樹脂や添加剤等を分散させるための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、これらの溶剤は単独または2種以上を混合して用いることができる。
次いで、得られた塗布液を、公知の製造方法に準じて、例えば、基体(アルミニウム素管)上に、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いて塗布することが好ましい。
その後、基体上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。
ここで、中間層は膜厚を厚くすることによって、支持基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する方向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する方向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
その後、基体上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。
ここで、中間層は膜厚を厚くすることによって、支持基材における凹凸の隠蔽性が高まるため、スポット状の画質欠陥は低減する方向にあって好ましいが、それとは逆に、残留電位の上昇等の電気的特性が低下する方向にある。
したがって、中間層の膜厚を0.1〜50μmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜30μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
2.電荷発生層の形成
(1)チタニルフタロシアニン結晶の特性
本発明においては、電荷発生剤として、所定の光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることを特徴とする。
すなわち、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化にともなうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることを特徴とする。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、有機溶媒中に添加して長時間放置した場合であっても、結晶構造が、電荷発生能に劣るα型結晶及びβ型結晶へと結晶転移することを有効に抑制することができるためである。
また、かかる特定のチタニルフタロシアニン結晶であれば、分散性にも優れることが確認されている。
したがって、このようなチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、貯蔵安定性に優れ、かつ、電荷発生剤が均一に分散された電荷発生層用塗布液を得ることができ、その結果、電気特性や画像特性に優れた積層型電子写真感光体を安定して製造することができるためである。
(1)チタニルフタロシアニン結晶の特性
本発明においては、電荷発生剤として、所定の光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることを特徴とする。
すなわち、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化にともなうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることを特徴とする。
この理由は、かかる光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶であれば、有機溶媒中に添加して長時間放置した場合であっても、結晶構造が、電荷発生能に劣るα型結晶及びβ型結晶へと結晶転移することを有効に抑制することができるためである。
また、かかる特定のチタニルフタロシアニン結晶であれば、分散性にも優れることが確認されている。
したがって、このようなチタニルフタロシアニン結晶を用いることによって、貯蔵安定性に優れ、かつ、電荷発生剤が均一に分散された電荷発生層用塗布液を得ることができ、その結果、電気特性や画像特性に優れた積層型電子写真感光体を安定して製造することができるためである。
なお、電荷発生層用塗布液の貯蔵安定性をさらに向上させるために、さらに、以下の光学特性を有することが好ましい。
すなわち、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.2°にピークを有さないことが好ましい。
さらに、チタニルフタロシアニン結晶が、有機溶媒中に7日間浸漬した後に測定されるCuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するとともに、26.2°にピークを有しないことが好ましい。
このとき使用する有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1,4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
また、有機溶媒への浸漬条件としては、例えば、電荷発生層用塗布液を実際に保管する条件と、同一条件で実施することが好ましい。したがって、例えば、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下で、密閉系中において、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価することが好ましい。
なお、熱特性については、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角の具体的な測定方法、及び、示差走査熱量分析の具体的な方法については、実施例において詳述する。
すなわち、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=26.2°にピークを有さないことが好ましい。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=7.2°にピークを有さないことが好ましい。
さらに、チタニルフタロシアニン結晶が、有機溶媒中に7日間浸漬した後に測定されるCuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有するとともに、26.2°にピークを有しないことが好ましい。
このとき使用する有機溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、トルエン、1,4−ジオキサン、及び1−メトキシ−2−プロパノールからなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
また、有機溶媒への浸漬条件としては、例えば、電荷発生層用塗布液を実際に保管する条件と、同一条件で実施することが好ましい。したがって、例えば、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下で、密閉系中において、チタニルフタロシアニン結晶の貯蔵安定性を評価することが好ましい。
なお、熱特性については、吸着水の気化に伴うピーク以外のピークであって、270〜400℃の範囲内に現れる1つのピークは、290〜400℃の範囲内に現れることがより好ましく、300〜400℃の範囲内に現れることがさらに好ましい。
また、CuKα特性X線回折スペクトルにおけるブラッグ角の具体的な測定方法、及び、示差走査熱量分析の具体的な方法については、実施例において詳述する。
(2)チタニルフタロシアニン化合物の製造工程
上述した所定の光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を安定的に得るためには、以下に記載する所定の製造工程を実施することが好ましい。
すなわち、チタニルフタロシアニン化合物の製造材料としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体と、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、を尿素化合物の存在下において反応させて、チタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
より具体的には、下記反応式(1)または下記反応式(2)に準じて実施することが好ましい。なお、反応式(1)及び反応式(2)においては、チタンアルコキシドとして、一例ではあるが、式(3)で表されるチタンテトラブトキシドを用いている。
上述した所定の光学特性及び熱特性を有するチタニルフタロシアニン結晶を安定的に得るためには、以下に記載する所定の製造工程を実施することが好ましい。
すなわち、チタニルフタロシアニン化合物の製造材料としてのo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体と、チタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、を尿素化合物の存在下において反応させて、チタニルフタロシアニン化合物を製造することが好ましい。
より具体的には、下記反応式(1)または下記反応式(2)に準じて実施することが好ましい。なお、反応式(1)及び反応式(2)においては、チタンアルコキシドとして、一例ではあるが、式(3)で表されるチタンテトラブトキシドを用いている。
(2)−1 反応式
したがって、反応式(1)に示すように、式(2)で表されるo−フタロニトリルと、式(3)で表されるチタンアルコキシドとしてのチタンテトラブトキシドとを反応させるか、反応式(2)において示すように、式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリンと、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドとを反応させて、式(1)で表されるチタニルフタロシアニン化合物(CGM−1)を製造することが好ましい。
なお、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドの替わりに、四塩化チタンを用いてもよい。
したがって、反応式(1)に示すように、式(2)で表されるo−フタロニトリルと、式(3)で表されるチタンアルコキシドとしてのチタンテトラブトキシドとを反応させるか、反応式(2)において示すように、式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリンと、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドとを反応させて、式(1)で表されるチタニルフタロシアニン化合物(CGM−1)を製造することが好ましい。
なお、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドの替わりに、四塩化チタンを用いてもよい。
(2)−2 添加量
また、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(2)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.40〜0.53モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(2)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体に対して、1/4モル当量を超えた過剰量を添加することにより、後述する尿素化合物との相互作用が効果的に発揮されるためである。なお、かかる相互作用については、尿素化合物の項で詳述する。
したがって、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(2)で表されるo−フタロニトリルまたは式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリン等1モルに対して、0.42〜0.50モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.45〜0.47モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(2)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.40〜0.53モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(2)で表されるo−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体に対して、1/4モル当量を超えた過剰量を添加することにより、後述する尿素化合物との相互作用が効果的に発揮されるためである。なお、かかる相互作用については、尿素化合物の項で詳述する。
したがって、式(3)で表されるチタンテトラブトキシド等のチタンアルコキシドまたは四塩化チタンの添加量を、式(2)で表されるo−フタロニトリルまたは式(4)で表される1,3−ジイミノイソインドリン等1モルに対して、0.42〜0.50モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.45〜0.47モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)−3 尿素化合物
また、上述した反応式(1)及び(2)で表される反応を、尿素化合物の存在下において行うことが好ましい。この理由は、尿素化合物の存在下において製造されたチタニルフタロシアニン化合物を用いることにより、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンにおける相互作用が発揮されるため、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効率的に得ることができるためである。
すなわち、かかる相互作用とは、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンとの反応によって生成するアンモニアが、さらにチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をより促進させる作用である。そして、このような促進作用のもとに、原料物質を反応させることにより、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。
また、上述した反応式(1)及び(2)で表される反応を、尿素化合物の存在下において行うことが好ましい。この理由は、尿素化合物の存在下において製造されたチタニルフタロシアニン化合物を用いることにより、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンにおける相互作用が発揮されるため、特定のチタニルフタロシアニン結晶を効率的に得ることができるためである。
すなわち、かかる相互作用とは、尿素化合物とチタンアルコキシドまたは四塩化チタンとの反応によって生成するアンモニアが、さらにチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をより促進させる作用である。そして、このような促進作用のもとに、原料物質を反応させることにより、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することができる。
また、反応式(1)及び(2)で使用される尿素化合物が、尿素、チオ尿素、O−メチルイソ尿素硫酸塩、O−メチルイソ尿素炭酸塩、及びO−メチルイソ尿素塩酸塩からなる群の少なくとも1種であることが好ましい。
この理由は、かかる尿素化合物を、反応式(1)及び(2)中の尿素化合物として用いることにより、反応の過程で生成するアンモニアが、より効率的にチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
すなわち、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成するためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
なお、かかる錯体化合物は、180℃以上の高温条件で反応させた場合に、特異的に生成しやすいことが判明している。そのため、沸点が180℃以上の含窒素化合物中、例えば、キノリン(沸点::237.1℃)やイソキノリン(沸点:242.5℃)、あるいはこれらの混合物(重量比10:90〜90:10)中で実施することがより有効である。
また、反応促進剤としてのアンモニアや、それに起因した錯体化合物がさらに生成しやすいことから、上述した尿素化合物の中でも、尿素を用いることがより好ましい。
この理由は、かかる尿素化合物を、反応式(1)及び(2)中の尿素化合物として用いることにより、反応の過程で生成するアンモニアが、より効率的にチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと錯体を形成し、かかる物質が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
すなわち、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成するためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させるためである。
なお、かかる錯体化合物は、180℃以上の高温条件で反応させた場合に、特異的に生成しやすいことが判明している。そのため、沸点が180℃以上の含窒素化合物中、例えば、キノリン(沸点::237.1℃)やイソキノリン(沸点:242.5℃)、あるいはこれらの混合物(重量比10:90〜90:10)中で実施することがより有効である。
また、反応促進剤としてのアンモニアや、それに起因した錯体化合物がさらに生成しやすいことから、上述した尿素化合物の中でも、尿素を用いることがより好ましい。
また、反応式(1)及び(2)で使用する尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.1〜0.95モルの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、尿素化合物の添加量をかかる範囲内の値とすることにより、上述した尿素化合物の作用をより効率的に発揮させることができるためである。
したがって、かかる尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.2〜0.9モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.8モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、尿素化合物の添加量をかかる範囲内の値とすることにより、上述した尿素化合物の作用をより効率的に発揮させることができるためである。
したがって、かかる尿素化合物の添加量を、o−フタロニトリルまたはその誘導体、もしくは1,3−ジイミノイソインドリンまたはその誘導体1モルに対して、0.2〜0.9モルの範囲内の値とすることがより好ましく、0.3〜0.8モルの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)−4 溶媒
また、反応式(1)及び(2)で使用する溶媒としては、例えば、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリン、及びニトロベンゼン等の炭化水素系溶剤、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、及びクロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、及びジエチレングリコール等のアルコール系溶剤、シクロヘキサノン、アセトフェノン、1−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のケトン系溶剤、ホルムアミド、及びアセトアミド等のアミド系溶剤、ピコリン、キノリン、及びイソキノリン等の窒素含有溶剤からなる群の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
特に、沸点が180℃以上の含窒素化合物、例えば、キノリンやイソキノリンであれば、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成しやすくなることから好適な溶媒である。
また、反応式(1)及び(2)で使用する溶媒としては、例えば、キシレン、ナフタレン、メチルナフタレン、テトラリン、及びニトロベンゼン等の炭化水素系溶剤、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン、ジブロモベンゼン、及びクロロナフタレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、ヘキサノール、オクタノール、デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、及びジエチレングリコール等のアルコール系溶剤、シクロヘキサノン、アセトフェノン、1−メチル−2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のケトン系溶剤、ホルムアミド、及びアセトアミド等のアミド系溶剤、ピコリン、キノリン、及びイソキノリン等の窒素含有溶剤からなる群の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
特に、沸点が180℃以上の含窒素化合物、例えば、キノリンやイソキノリンであれば、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して生成するアンモニアが、さらに効率的にチタンアルコキシド等と錯体化合物を形成しやすくなることから好適な溶媒である。
(2)−5 反応温度
また、反応式(1)及び(2)における反応温度を150℃以上の高温とすることが好ましい。この理由は、かかる反応温度が150℃未満、特に135℃以下となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応温度を180〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜240℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、反応式(1)及び(2)における反応温度を150℃以上の高温とすることが好ましい。この理由は、かかる反応温度が150℃未満、特に135℃以下となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても、結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応温度を180〜250℃の範囲内の値とすることがより好ましく、200〜240℃の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(2)−6 反応時間
また、反応式(1)及び(2)における反応時間は、反応温度にもよるが、0.5〜10時間の範囲とすることが好ましい。この理由は、かかる反応時間が0.5時間未満となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。一方、かかる反応時間が10時間を超えると、経済的に不利となったり、あるいは生成した錯体化合物が減少したりする場合があるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応時間を0.6〜3.5時間の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、反応式(1)及び(2)における反応時間は、反応温度にもよるが、0.5〜10時間の範囲とすることが好ましい。この理由は、かかる反応時間が0.5時間未満となると、原料物質としてのチタンアルコキシドまたは四塩化チタンと、尿素化合物とが反応して、錯体化合物を形成しにくくなるためである。したがって、かかる錯体化合物が反応式(1)及び(2)で表される反応をさらに促進させることが困難となって、有機溶媒中であっても結晶転移しにくいチタニルフタロシアニン結晶を効率的に製造することが困難となるためである。一方、かかる反応時間が10時間を超えると、経済的に不利となったり、あるいは生成した錯体化合物が減少したりする場合があるためである。
したがって、反応式(1)及び(2)における反応時間を0.6〜3.5時間の範囲内の値とすることがより好ましく、0.8〜3時間の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)チタニルフタロシアニン結晶の製造工程
(3)−1 酸処理前工程
次いで、上述した工程またはその他の工程によって製造されたチタニルフタロシアニン化合物に対して酸処理を実施する前段階として、かかるチタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、攪拌処理し、ついで当該攪拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理をするための酸処理前工程を行うことが好ましい。
また、酸処理前工程に使用する水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、及びエチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
(3)−1 酸処理前工程
次いで、上述した工程またはその他の工程によって製造されたチタニルフタロシアニン化合物に対して酸処理を実施する前段階として、かかるチタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、攪拌処理し、ついで当該攪拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理をするための酸処理前工程を行うことが好ましい。
また、酸処理前工程に使用する水溶性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、及びイソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、及びエチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
また、酸処理前工程のうち攪拌処理の条件は特に限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度範囲の一定温度条件下で、1〜3時間程度の攪拌処理を行うのが好ましい。
さらにまた、攪拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜15時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。このように酸処理前工程を行うことによって、粗チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
さらにまた、攪拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜15時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。このように酸処理前工程を行うことによって、粗チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
(3)−2 酸処理工程
次いで、酸処理工程として、粗チタニルフタロシアニン結晶を酸に対して溶解し、チタニルフタロシアニン溶液を得ることが好ましい。
この理由は、酸に対して粗チタニルフタロシアニン結晶を溶解することによって、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に残留した材料物質等に由来する不純物を、十分に分解することができるためである。
また、使用する酸としては、濃硫酸、トリフルオロ酢酸及びスルホン酸からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、このような酸であれば、上述した不純物をより効果的に分解することができる一方、チタニルフタロシアニン化合物の分解については、効果的に抑制することができるためである。
また、かかる酸処理後においては、これらの酸に由来する成分を、後述する洗浄によって容易に除去することができるためである。
なお、酸処理工程は、使用する酸によっても異なるが、一般に0〜10℃、0.5〜3.0時間の条件で行うことが好ましい。
次いで、酸処理工程として、粗チタニルフタロシアニン結晶を酸に対して溶解し、チタニルフタロシアニン溶液を得ることが好ましい。
この理由は、酸に対して粗チタニルフタロシアニン結晶を溶解することによって、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に残留した材料物質等に由来する不純物を、十分に分解することができるためである。
また、使用する酸としては、濃硫酸、トリフルオロ酢酸及びスルホン酸からなる群から選択される少なくとも一種であることが好ましい。
この理由は、このような酸であれば、上述した不純物をより効果的に分解することができる一方、チタニルフタロシアニン化合物の分解については、効果的に抑制することができるためである。
また、かかる酸処理後においては、これらの酸に由来する成分を、後述する洗浄によって容易に除去することができるためである。
なお、酸処理工程は、使用する酸によっても異なるが、一般に0〜10℃、0.5〜3.0時間の条件で行うことが好ましい。
(3)−3 滴下工程
次いで、酸処理工程において得られたチタニルフタロシアニン溶液を、貧溶媒中に滴下してウェットケーキを得ることが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下することによって、後の洗浄工程における洗浄効果を、有効に発揮させることができるためである。
すなわち、滴下によって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキが、表面積が大きな不定形となるため、後の洗浄工程における洗浄効果を、有効に発揮させることができるためである。
また、使用する貧溶媒が、水であることが好ましい。
この理由は、水であれば、極性や温度調節の点から、さらに容易にチタニルフタロシアニン化合物を析出させることができるためである。
したがって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキにおける表面積を増加させて、より効果的に洗浄工程を実施することができるためである。
また、その他の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、メタノールと水の混合溶媒、エタノールと水の混合溶媒等を用いることもできる。
なお、貧溶媒の温度は、使用する貧溶媒の種類によっても異なるが、一般に0〜20℃範囲内とすることが好ましい。
次いで、酸処理工程において得られたチタニルフタロシアニン溶液を、貧溶媒中に滴下してウェットケーキを得ることが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニン溶液を貧溶媒中に滴下することによって、後の洗浄工程における洗浄効果を、有効に発揮させることができるためである。
すなわち、滴下によって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキが、表面積が大きな不定形となるため、後の洗浄工程における洗浄効果を、有効に発揮させることができるためである。
また、使用する貧溶媒が、水であることが好ましい。
この理由は、水であれば、極性や温度調節の点から、さらに容易にチタニルフタロシアニン化合物を析出させることができるためである。
したがって、析出したチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキにおける表面積を増加させて、より効果的に洗浄工程を実施することができるためである。
また、その他の貧溶媒としては、メタノール、エタノール、メタノールと水の混合溶媒、エタノールと水の混合溶媒等を用いることもできる。
なお、貧溶媒の温度は、使用する貧溶媒の種類によっても異なるが、一般に0〜20℃範囲内とすることが好ましい。
(3)−4 洗浄工程
次いで、滴下工程において得られたチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキを、水またはアルカリ水溶液を洗浄液として、これらの洗浄液が中性になるまで洗浄することが好ましい。
また、かかる洗浄に用いる水またはアルカリ水溶液の温度としては、例えば、0〜50℃の範囲内の値とすることが好ましく、10〜40℃の範囲内の値とすることがより好ましい。洗浄時間については、例えば、5分〜10時間の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜8時間の範囲内の値とすることがより好ましい。
次いで、滴下工程において得られたチタニルフタロシアニン化合物のウェットケーキを、水またはアルカリ水溶液を洗浄液として、これらの洗浄液が中性になるまで洗浄することが好ましい。
また、かかる洗浄に用いる水またはアルカリ水溶液の温度としては、例えば、0〜50℃の範囲内の値とすることが好ましく、10〜40℃の範囲内の値とすることがより好ましい。洗浄時間については、例えば、5分〜10時間の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜8時間の範囲内の値とすることがより好ましい。
(3)−5 結晶型変換工程
次いで、洗浄工程において得られた洗浄後のウェットケーキを非水系溶媒中で加熱撹拌して、特定のチタニルフタロシアニン結晶を得ることが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニンのウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌することによって、所定の光学特性及び熱特性を有する結晶型に変換することができるためである。
なお、上述した加熱撹拌は、水が存在した状態で非水系溶媒中に分散させて、30〜70℃で5〜40時間攪拌することが好ましい。
また、非水系溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
次いで、洗浄工程において得られた洗浄後のウェットケーキを非水系溶媒中で加熱撹拌して、特定のチタニルフタロシアニン結晶を得ることが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニンのウェットケーキを、非水系溶媒中で加熱撹拌することによって、所定の光学特性及び熱特性を有する結晶型に変換することができるためである。
なお、上述した加熱撹拌は、水が存在した状態で非水系溶媒中に分散させて、30〜70℃で5〜40時間攪拌することが好ましい。
また、非水系溶媒としては、例えば、クロロベンゼン、及びジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
(4)電荷発生層用塗布液の製造工程
(4)−1 工程(a)
本発明においては、電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)を含むことを特徴とする。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
この理由は、電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、特定のチタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテルに中に1次分散させることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性を効果的に維持しつつも、所定の範囲まで結着樹脂中に分散させることができるためである。
より具体的には、プロピレングリコールモノアルキルエーテルであれば比較的粘度が高いことから、所定添加量の結着樹脂と相俟って、例えば、10〜50cps(測定温度22℃、E型粘度計にて測定)といった所定粘度の1次分散液を容易に調製することができるためである。
その結果、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、溶液成分と、の相互作用を所定の範囲に抑制することができるためと推測されるが、いずれにしても、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性を効果的に維持しつつ、所定の範囲まで結着樹脂中に分散させることができるためである。
すなわち、1次分散液において分散させる結着樹脂量を、電荷発生層における全結着樹脂の80重量%未満の値とすると、分散時の1次分散液の粘度が過度に低下して、特定のチタニルフタロシアニン結晶に対して強い力がかかることとなり、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性が低下する場合があるためである。
したがって、1次分散液において分散させる結着樹脂量を、電荷発生層における全結着樹脂の85〜100重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜100重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)−1 工程(a)
本発明においては、電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)を含むことを特徴とする。
(a)電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
この理由は、電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、特定のチタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテルに中に1次分散させることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性を効果的に維持しつつも、所定の範囲まで結着樹脂中に分散させることができるためである。
より具体的には、プロピレングリコールモノアルキルエーテルであれば比較的粘度が高いことから、所定添加量の結着樹脂と相俟って、例えば、10〜50cps(測定温度22℃、E型粘度計にて測定)といった所定粘度の1次分散液を容易に調製することができるためである。
その結果、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、溶液成分と、の相互作用を所定の範囲に抑制することができるためと推測されるが、いずれにしても、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性を効果的に維持しつつ、所定の範囲まで結着樹脂中に分散させることができるためである。
すなわち、1次分散液において分散させる結着樹脂量を、電荷発生層における全結着樹脂の80重量%未満の値とすると、分散時の1次分散液の粘度が過度に低下して、特定のチタニルフタロシアニン結晶に対して強い力がかかることとなり、特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶安定性が低下する場合があるためである。
したがって、1次分散液において分散させる結着樹脂量を、電荷発生層における全結着樹脂の85〜100重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、90〜100重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、プロピレングリコールモノアルキルエーテルの具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルが挙げられ、これらのうちから選択される少なくとも一種の化合物を用いることが好ましい。
また、これらのプロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量としては、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、上述したプロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量をかかる範囲とすることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性を向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度を好適な範囲に調節することができるためである。
したがって、上述した相溶性及び粘度をより好適な範囲に調節することができることから、これらのプロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、2000〜10000重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2000〜9000重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、これらのプロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量としては、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、上述したプロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量をかかる範囲とすることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性を向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度を好適な範囲に調節することができるためである。
したがって、上述した相溶性及び粘度をより好適な範囲に調節することができることから、これらのプロピレングリコールモノアルキルエーテルの添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、2000〜10000重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2000〜9000重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、1次分散液における特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、50〜400重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、1次分散液における特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量をかかる範囲とすることによって、所定の電荷発生量を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、より効果的に向上させることができるためである。
すなわち、特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量が50重量部未満の値となると、分散性を向上させることは容易となるものの、電荷発生量が過度に低下する場合があるためである。一方、特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量が400重量部を超えた値となると、工程(a)及び後述する工程(b)を実施した場合であっても、分散性を向上させることが困難となる場合があるためである。
したがって、1次分散液における特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、50〜380重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、60〜350重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、1次分散液における特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量をかかる範囲とすることによって、所定の電荷発生量を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、より効果的に向上させることができるためである。
すなわち、特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量が50重量部未満の値となると、分散性を向上させることは容易となるものの、電荷発生量が過度に低下する場合があるためである。一方、特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量が400重量部を超えた値となると、工程(a)及び後述する工程(b)を実施した場合であっても、分散性を向上させることが困難となる場合があるためである。
したがって、1次分散液における特定のチタニルフタロシアニン結晶の添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、50〜380重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、60〜350重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、1次分散液における結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂であれば、電荷発生層の機械的強度や、基体及び他の層との接着性を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに効果的に向上させることができるためである。
すなわち、ポリビニルアセタール樹脂であれば、カルボキシル基、メトキシ基を有していることから、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を効果的に向上させることができるためである。
また、ポリビニルアセタール樹脂は、特定溶剤にしか溶解しないために、他の層と積層させた場合であっても、溶解を起こすことなく安定的に接着させることができる。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂であれば、電荷発生層の機械的強度や、基体及び他の層との接着性を確保しつつ、電荷発生層における特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を、さらに効果的に向上させることができるためである。
すなわち、ポリビニルアセタール樹脂であれば、カルボキシル基、メトキシ基を有していることから、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を効果的に向上させることができるためである。
また、ポリビニルアセタール樹脂は、特定溶剤にしか溶解しないために、他の層と積層させた場合であっても、溶解を起こすことなく安定的に接着させることができる。
具体的なポリビニルアセタール樹脂としては、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、変性ポリビニルホルマール樹脂、変性ポリビニルブチラール樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
ここで、ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度を10〜50%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアセチル化度が10%未満になると、特定の溶剤への溶解性が低くなるため、中間層の塗布液を作成するのが困難になる場合があるためである。一方、アセチル化度が50%を超えると、特定の溶剤への溶解性が非常に高くなるため、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。したがって、アセチル化度を20〜40%の範囲内の値とすることがより好ましい。
ここで、ポリビニルアセタール樹脂のアセチル化度を10〜50%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるアセチル化度が10%未満になると、特定の溶剤への溶解性が低くなるため、中間層の塗布液を作成するのが困難になる場合があるためである。一方、アセチル化度が50%を超えると、特定の溶剤への溶解性が非常に高くなるため、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。したがって、アセチル化度を20〜40%の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、ポリビニルアセタール樹脂の重合度を5〜700の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂の重合度が5未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の重合度が700を超えると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合があるためである。したがって、ポリビニルアセタール樹脂の重合度を100〜500の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂の重合度が5未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の重合度が700を超えると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合があるためである。したがって、ポリビニルアセタール樹脂の重合度を100〜500の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量(重量平均分子量、以下同様である。)を100,000以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる平均分子量が100,000未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。
但し、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量が過度に高くなると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合がある。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量を120,000〜500,000の範囲内の値とすることがより好ましく、150,000〜300,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することもできる。
この理由は、かかる平均分子量が100,000未満になると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく低下し、均一な膜厚を得ることが困難になったり、機械的強度や成膜性、あるいは接着性が著しく低下したりする場合があるためである。
但し、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量が過度に高くなると、電荷発生層を形成する際の塗布液の粘度が著しく増加し、電荷発生層の厚さを制御することが困難になる場合がある。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量を120,000〜500,000の範囲内の値とすることがより好ましく、150,000〜300,000の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、ポリスチレン換算の分子量として測定することもできる。
また、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を5〜200mPa・sec.の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が5mPa・sec.未満になると、電荷発生層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、電荷発生層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が200mPa・sec.を超えると、均一な厚さの電荷発生層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を10〜180mPa・sec.の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜150mPa・sec.の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、溶液粘度はB型粘度計を用いて室温(25℃)下で測定することができる。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が5mPa・sec.未満になると、電荷発生層の成膜性が低下して膜厚差が大きくなったり、電荷発生層の機械的強度や接着性が著しく低下したり、さらには特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性についても低下したりする場合があるためである。一方、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度が200mPa・sec.を超えると、均一な厚さの電荷発生層を形成することが困難になったりする場合があるためである。
したがって、ポリビニルアセタール樹脂の溶液粘度(エタノール/トルエン=7/3溶剤中、5重量%濃度)を10〜180mPa・sec.の範囲内の値とすることがより好ましく、30〜150mPa・sec.の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、溶液粘度はB型粘度計を用いて室温(25℃)下で測定することができる。
また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋剤、例えば、有機酸によって架橋してあることが好ましい。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、高分子量化して、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性等を向上させることができるためである。また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、電荷発生層の上に、電荷輸送層を均一な厚さで形成することができるためである。
この理由は、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、高分子量化して、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性等を向上させることができるためである。また、ポリビニルアセタール樹脂が架橋してあることにより、電荷発生層の上に、電荷輸送層を均一な厚さで形成することができるためである。
また、ポリビニルアセタール樹脂とともに、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂を併用することが好ましい。
この理由は、このような樹脂を併用することにより、製造時における電荷発生層の膜厚のばらつきがさらに小さくなるとともに、さらに優れた電気特性や画像特性が得ることができるためである。
この理由は、このような樹脂を併用することにより、製造時における電荷発生層の膜厚のばらつきがさらに小さくなるとともに、さらに優れた電気特性や画像特性が得ることができるためである。
また、工程(a)における1次分散条件として、下記条件を満足することが好ましい。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
この理由は、かかる条件で1次分散させることにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができるためである。
したがって、分散性の向上及び結晶転移の抑制におけるバランスがさらに良好なることから、工程(a)における1次分散条件として、下記条件を満足することがさらに好ましい。
分散温度:15〜35℃
分散時間:2〜40時間
回転速度:30〜180rpm
pH :6.5〜7.5
なお、1次分散を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
この理由は、かかる条件で1次分散させることにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性を確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができるためである。
したがって、分散性の向上及び結晶転移の抑制におけるバランスがさらに良好なることから、工程(a)における1次分散条件として、下記条件を満足することがさらに好ましい。
分散温度:15〜35℃
分散時間:2〜40時間
回転速度:30〜180rpm
pH :6.5〜7.5
なお、1次分散を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
(4)−2 工程(b)
本発明においては、電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(b)を含むことを特徴とする。
(b)電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
この理由は、電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂と、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させることによって、最終的な分散状態にまで、効果的に分散させることができるためである。
より具体的には、残りの結着樹脂を分散させた状態で加えられる分散媒としての環状エーテル化合物は、比較的粘度が低い上、結着樹脂との相溶性により優れる。したがって、工程(a)において既に所定の範囲にまで結着樹脂中に分散されている特定のチタニルフタロシアニン結晶を、その結晶安定性を維持したまま、最終的な分散状態にまで、効果的に分散させることができるためである。
なお、最終的に得られる電荷発生層用塗布液の粘度は、3〜10cps(測定温度22℃、E型粘度計にて測定)の範囲内の値とすることが好ましい。
本発明においては、電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(b)を含むことを特徴とする。
(b)電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程
この理由は、電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂と、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を1次分散液に対して加えるとともに2次分散させることによって、最終的な分散状態にまで、効果的に分散させることができるためである。
より具体的には、残りの結着樹脂を分散させた状態で加えられる分散媒としての環状エーテル化合物は、比較的粘度が低い上、結着樹脂との相溶性により優れる。したがって、工程(a)において既に所定の範囲にまで結着樹脂中に分散されている特定のチタニルフタロシアニン結晶を、その結晶安定性を維持したまま、最終的な分散状態にまで、効果的に分散させることができるためである。
なお、最終的に得られる電荷発生層用塗布液の粘度は、3〜10cps(測定温度22℃、E型粘度計にて測定)の範囲内の値とすることが好ましい。
また、環状エーテル化合物の具体例としては、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及び1,3−ジオキサンが挙げられ、これらのうちから選択される少なくとも一種の化合物を用いることが好ましい。
また、これらの環状エーテル化合物の添加量としては、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、上述した環状エーテル化合物の添加量をかかる範囲とすることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性をさらに向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度をより好適な範囲に調節することができるためである。
したがって、上述した相溶性及び粘度をより好適な範囲に調節することができることから、これらの環状エーテル化合物の添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、2000〜10000重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2000〜9000重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、これらの環状エーテル化合物の添加量としては、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、上述した環状エーテル化合物の添加量をかかる範囲とすることによって、特定のチタニルフタロシアニン結晶と、結着樹脂と、の相溶性をさらに向上させることができるばかりか、電荷発生層用塗布液の粘度をより好適な範囲に調節することができるためである。
したがって、上述した相溶性及び粘度をより好適な範囲に調節することができることから、これらの環状エーテル化合物の添加量を、電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、2000〜10000重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2000〜9000重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、工程(b)における2次分散条件として、下記条件を満足することが好ましい。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
この理由は、かかる条件で2次分散させることにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性をより確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができるためである。
したがって、分散性の向上及び結晶転移の抑制におけるバランスがさらに良好なることから、工程(b)における2次分散条件として、下記条件を満足することがさらに好ましい。
分散温度:15〜35℃
分散時間:2〜40時間
回転速度:30〜180rpm
pH :6.5〜7.5
なお、2次分散を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
この理由は、かかる条件で2次分散させることにより、特定のチタニルフタロシアニン結晶の分散性をより確実に向上させることができるばかりか、結晶転移についても最小限に抑制することができるためである。
したがって、分散性の向上及び結晶転移の抑制におけるバランスがさらに良好なることから、工程(b)における2次分散条件として、下記条件を満足することがさらに好ましい。
分散温度:15〜35℃
分散時間:2〜40時間
回転速度:30〜180rpm
pH :6.5〜7.5
なお、2次分散を行う方法は、特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー等を用いることが好ましい。
(4)−3 製造工程及び露光メモリの関係
次いで、図2を用いて、工程(a)及び工程(b)における結着樹脂の添加割合、並びに工程(a)及び工程(b)それぞれにおいて使用される有機溶媒の種類と、露光メモリと、の関係を説明する。
すなわち、図2においては、横軸に工程(a)において添加される結着樹脂の添加割合(重量%)を採り、縦軸に積層型電子写真感光体を製造して測定したメモリ電位(V)を採った特性曲線を示している。
ここで、工程(a)において添加される結着樹脂の添加割合とは、電荷発生層の全結着樹脂量に対し、工程(a)において添加される結着樹脂量の割合(重量%)を示す。
なお、結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いた。
その他、積層型電子写真感光体の製造条件及びメモリ電位の測定方法の詳細については、実施例において記載する。
次いで、図2を用いて、工程(a)及び工程(b)における結着樹脂の添加割合、並びに工程(a)及び工程(b)それぞれにおいて使用される有機溶媒の種類と、露光メモリと、の関係を説明する。
すなわち、図2においては、横軸に工程(a)において添加される結着樹脂の添加割合(重量%)を採り、縦軸に積層型電子写真感光体を製造して測定したメモリ電位(V)を採った特性曲線を示している。
ここで、工程(a)において添加される結着樹脂の添加割合とは、電荷発生層の全結着樹脂量に対し、工程(a)において添加される結着樹脂量の割合(重量%)を示す。
なお、結着樹脂としては、ポリビニルアセタール樹脂を用いた。
その他、積層型電子写真感光体の製造条件及びメモリ電位の測定方法の詳細については、実施例において記載する。
また、図2における特性曲線A〜Dは、それぞれ工程(a)及び工程(b)において使用する有機溶媒の種類を、以下のようにした場合の特性曲線を示している。
なお、いずれの場合においても、工程(a)における有機溶媒の添加量を、電荷発生層の全結着樹脂100重量部に対して3000重量部とし、工程(b)における有機溶媒の添加量を、電荷発生層の全結着樹脂100重量部に対して3000重量部とした。
特性曲線A:工程(a)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
工程(b)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
特性曲線B:工程(a)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
工程(b)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
特性曲線C:工程(a)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
工程(b)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
特性曲線D:工程(a)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
工程(b)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
なお、いずれの場合においても、工程(a)における有機溶媒の添加量を、電荷発生層の全結着樹脂100重量部に対して3000重量部とし、工程(b)における有機溶媒の添加量を、電荷発生層の全結着樹脂100重量部に対して3000重量部とした。
特性曲線A:工程(a)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
工程(b)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
特性曲線B:工程(a)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
工程(b)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
特性曲線C:工程(a)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
工程(b)の有機溶媒=プロピレングリコールモノメチルエーテル
特性曲線D:工程(a)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
工程(b)の有機溶媒=テトラヒドロフラン
すなわち、特性曲線A〜Dから明らかなように、工程(a)及び(b)において使用する有機溶媒の種類にかかわらず、工程(a)(1次分散)における結着樹脂の添加量が増加するほど、メモリ電位を低い値に抑制できる。
これは、工程(a)における結着樹脂の添加量が少ないと、1次分散液の粘度が低下して、分散中に特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶型が変化しやすくなるためであると推定される。
一方、メモリ電位を20V以下にまで抑制することができるのは、特性曲線Aの場合、すなわち、工程(a)における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとし、工程(b)における有機溶媒をテトラヒドロフランとして分散工程を実施した場合のみであることがわかる。
さらに、特性曲線Aの場合においても、特に、工程(a)における結着樹脂の添加量を80〜100重量%の範囲内の値とした場合に限られることがわかる。
したがって、図2からは、工程(a)における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとし、工程(b)における有機溶媒をテトラヒドロフランとして分散工程を実施した場合であって、かつ、工程(a)における結着樹脂の添加量を80〜100重量%の範囲内の値とした場合に、非予測的にメモリ電位を抑制できることが理解される。
なお、プロピレングリコールモノメチルエーテル以外のプロピレングリコールモノアルキルエーテルを用いた場合であっても、また、テトラヒドロフラン以外の環状エーテル化合物を用いた場合であっても、同様の効果が得られることが、別途確認されている。
これは、工程(a)における結着樹脂の添加量が少ないと、1次分散液の粘度が低下して、分散中に特定のチタニルフタロシアニン結晶の結晶型が変化しやすくなるためであると推定される。
一方、メモリ電位を20V以下にまで抑制することができるのは、特性曲線Aの場合、すなわち、工程(a)における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとし、工程(b)における有機溶媒をテトラヒドロフランとして分散工程を実施した場合のみであることがわかる。
さらに、特性曲線Aの場合においても、特に、工程(a)における結着樹脂の添加量を80〜100重量%の範囲内の値とした場合に限られることがわかる。
したがって、図2からは、工程(a)における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとし、工程(b)における有機溶媒をテトラヒドロフランとして分散工程を実施した場合であって、かつ、工程(a)における結着樹脂の添加量を80〜100重量%の範囲内の値とした場合に、非予測的にメモリ電位を抑制できることが理解される。
なお、プロピレングリコールモノメチルエーテル以外のプロピレングリコールモノアルキルエーテルを用いた場合であっても、また、テトラヒドロフラン以外の環状エーテル化合物を用いた場合であっても、同様の効果が得られることが、別途確認されている。
(5)塗布及び乾燥工程
得られた電荷発生層用塗布液を、基体上、あるいは既に形成してある中間層表面に対して塗布する方法としては、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
また、塗布した電荷発生層用塗布液を乾燥させる条件としては、温度を20〜200℃にて5分〜2時間の範囲とすることが好ましい。
なお、電荷発生層の厚さは、一般に0.02〜1.5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.04〜1μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
得られた電荷発生層用塗布液を、基体上、あるいは既に形成してある中間層表面に対して塗布する方法としては、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることができる。
また、塗布した電荷発生層用塗布液を乾燥させる条件としては、温度を20〜200℃にて5分〜2時間の範囲とすることが好ましい。
なお、電荷発生層の厚さは、一般に0.02〜1.5μmの範囲内の値とすることが好ましく、0.04〜1μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
3.電荷輸送層の形成
次いで、電荷輸送層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に、電荷輸送剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を形成することが好ましい。
分散処理を行う方法は特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いることが好ましい。
次いで、電荷輸送層を形成するにあたり、樹脂成分を溶解した溶液中に、電荷輸送剤等を添加して、分散処理を行い、塗布液を形成することが好ましい。
分散処理を行う方法は特に制限されるものではないが、一般的に公知のロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、サンドミル、コロイドミル、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いることが好ましい。
また、電荷輸送層において使用される電荷輸送剤としては、従来公知の種々の化合物を使用することができる。具体的に、ベンジジン系化合物、フェニレンジアミン系化合物、ナフチレンジアミン系化合物、フェナントリレンジアミン系化合物、オキサジアゾール系化合物、スチリル系化合物、カルバゾール系化合物、ピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、トリフェニルアミン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物、ブタジエン系化合物、ピレン−ヒドラゾン系化合物、アクロレイン系化合物、カルバゾール−ヒドラゾン系化合物、キノリン−ヒドラゾン系化合物、スチルベン系化合物、スチルベン−ヒドラゾン系化合物、およびジフェニレンジアミン系化合物の一種単独または二種以上の組合せが挙げられる。
また、電荷輸送層において使用される結着樹脂としては、従来公知の種々の樹脂を使用することができる。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。中でも、ポリカーボネート樹脂等であれば、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や電荷輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂をはじめ、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、アイオノマー、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
これらのバインダー樹脂は、単独または2種以上をブレンドまたは共重合して使用できる。中でも、ポリカーボネート樹脂等であれば、透明性や耐熱性に優れているばかりか、機械的特性や電荷輸送剤との相溶性にも優れていることから好ましい結着樹脂である。
また、電荷輸送剤や結着樹脂を分散させるための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
次いで、得られた塗布液を、既に形成してある電荷発生層表面に対して塗布する。この塗布方法としては、例えば、ディップコート法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラ塗布法等の塗布法を用いることが好ましい。
その後、この電荷発生層表面上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。
なお、電荷輸送層の膜厚は、一般に2〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
その後、この電荷発生層表面上の塗布液を乾燥する工程は、20〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲で行うことが望ましい。
なお、電荷輸送層の膜厚は、一般に2〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
1.チタニルフタロシアニン結晶の製造
(1)チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)の製造
(1)−1 チタニルフタロシアニン化合物の製造
アルゴン置換したフラスコ内に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gと、を加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この反応温度を維持しつつさらに2時間、攪拌して反応させた。次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、及びメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。
(1)チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)の製造
(1)−1 チタニルフタロシアニン化合物の製造
アルゴン置換したフラスコ内に、o−フタロニトリル22g(0.17mol)と、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)と、キノリン300gと、を加え、撹拌しつつ150℃まで昇温した。次いで、反応系から発生する蒸気を系外へ留去しながら215℃まで昇温した後、この反応温度を維持しつつさらに2時間、攪拌して反応させた。次いで、反応終了後、150℃まで冷却した時点で反応混合物をフラスコから取り出し、ガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をN,N−ジメチルホルムアミド、及びメタノールで順次洗浄したのち真空乾燥して、青紫色の固体24gを得た。
(1)−2 酸処理前工程
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、攪拌しつつ130℃に加熱して2時間、攪拌処理を行った。次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却した時点で攪拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。次いで、安定化された液をガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
上述したチタニルフタロシアニン化合物の製造で得られた青紫色の固体10gを、N,N−ジメチルホルムアミド100ミリリットル中に加え、攪拌しつつ130℃に加熱して2時間、攪拌処理を行った。次いで、2時間経過した時点で加熱を停止し、23±1℃まで冷却した時点で攪拌も停止し、この状態で12時間、液を静置して安定化処理を行った。次いで、安定化された液をガラスフィルターによってろ別し、得られた固体をメタノールで洗浄した後、真空乾燥して、チタニルフタロシアニン化合物の粗結晶9.83gを得た。
(1)−3 酸処理工程
上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。次いで、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
上述した酸処理前工程で得られたチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、濃硫酸100ミリリットルに加えて溶解した。次いで、この溶液を、氷冷下の水中に滴下したのち室温で15分間攪拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた固体を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて50℃に加熱して10時間攪拌した。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別したのち、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニンの結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(2)チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)の製造
チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した酸処理前工程を行う前の段階における非結晶性のチタニルフタロシアニン2gをガラスビーカーに収容し、ジエチレングリコールジメチルエーテルを、総量が200ミリリットルになるまで加えた後、23±1℃で24時間、撹拌した。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別した後、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)1.8gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した酸処理前工程を行う前の段階における非結晶性のチタニルフタロシアニン2gをガラスビーカーに収容し、ジエチレングリコールジメチルエーテルを、総量が200ミリリットルになるまで加えた後、23±1℃で24時間、撹拌した。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別した後、得られた固体を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)1.8gを得た。
(3)チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)の製造
チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した酸処理前工程後の段階におけるチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、ジクロロメタンと、トリフルオロ酢酸と、の混合溶媒(体積比4:1)100ミリリットルに加えて溶解した。次いで、この溶液を、メタノールと、水と、の混合貧溶媒(体積比1:1)中に滴下した後、室温で15分間、撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた結晶を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて室温で1時間、撹拌した。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別した後、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.2gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)の製造においては、上述したチタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にして製造した酸処理前工程後の段階におけるチタニルフタロシアニンの粗結晶5gを、ジクロロメタンと、トリフルオロ酢酸と、の混合溶媒(体積比4:1)100ミリリットルに加えて溶解した。次いで、この溶液を、メタノールと、水と、の混合貧溶媒(体積比1:1)中に滴下した後、室温で15分間、撹拌し、さらに23±1℃付近で30分間、静置して再結晶させ、上澄みと分離させた。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別し、得られた結晶を洗浄液が中性になるまで水洗した後、乾燥させずに水が存在した状態で、クロロベンゼン200ミリリットル中に分散させて室温で1時間、撹拌した。次いで、上澄みをガラスフィルターによってろ別した後、得られた結晶を50℃で5時間、真空乾燥させて、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.2gを得た。
(4)チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の製造
チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、アルゴン置換したフラスコに対して、o−フタロニトリル22g(0.17mol)、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)、キノリン300gのほかに、尿素2.28g(0.038mol)を加えた以外は、チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、アルゴン置換したフラスコに対して、o−フタロニトリル22g(0.17mol)、チタンテトラブトキシド25g(0.073mol)、キノリン300gのほかに、尿素2.28g(0.038mol)を加えた以外は、チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(5)チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)の製造
チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えた尿素の添加量を5.7g(0.095mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えた尿素の添加量を5.7g(0.095mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(6)チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)の製造
チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、加えたo−フタロニトリルの添加量を22g(0.19mol)とし、チタンテトラブトキシドの添加量を25g(0.073mol)とし、さらに、尿素の添加量を8.4g(0.14mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に、加えたo−フタロニトリルの添加量を22g(0.19mol)とし、チタンテトラブトキシドの添加量を25g(0.073mol)とし、さらに、尿素の添加量を8.4g(0.14mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(7)チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)の製造
チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えたo−フタロニトリルの添加量を22g(0.17mol)とし、チタンテトラブトキシドの添加量を15g(0.044mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)の製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えたo−フタロニトリルの添加量を22g(0.17mol)とし、チタンテトラブトキシドの添加量を15g(0.044mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
(8)チタニルフタロシアニン結晶H(TiOPc−H)の製造
チタニルフタロシアニン結晶Hの製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えたo−フタロニトリルの添加量を22g(0.17mol)とし、チタンテトラブトキシドの添加量を25g(0.073mol)とし、さらに尿素の添加量を20.25g(0.342mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
チタニルフタロシアニン結晶Hの製造においては、チタニルフタロシアニン化合物を製造する際に加えたo−フタロニトリルの添加量を22g(0.17mol)とし、チタンテトラブトキシドの添加量を25g(0.073mol)とし、さらに尿素の添加量を20.25g(0.342mol)とした以外は、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)と同様にチタニルフタロシアニン結晶を製造し、チタニルフタロシアニン結晶(青色粉末)4.1gを得た。
2.チタニルフタロシアニン結晶の評価
(1)CuKα特性X線回折スペクトル測定
上述した各製造方法にて得られた製造後60分以内のチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で7日間、保管した後、X線回折装置(理学電機(株)製、RINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、それぞれ図3〜10に示す。
なお、測定条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
また、CuKα特性X線回折スペクトルを、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:ブラッグ角2θ±0.2=27.2に強いピークを有するとともに、26.2°においてピークを有さない。
×:ブラッグ角2θ±0.2=26.2°に強いピークを有する。
なお、表1には記載しないが、TiOPc−A〜Hの製造直後において測定したCuKα特性X線回折スペクトルを、上述した基準に沿って評価したところ、いずれのチタニルフタロシアニン結晶も、○の評価であることが確認できた。
(1)CuKα特性X線回折スペクトル測定
上述した各製造方法にて得られた製造後60分以内のチタニルフタロシアニン結晶0.3gを、テトラヒドロフラン5g中に分散させ、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で7日間、保管した後、X線回折装置(理学電機(株)製、RINT1100)のサンプルホルダーに充填して測定を行った。得られたスペクトルチャートを、それぞれ図3〜10に示す。
なお、測定条件は、下記の通りとした。
X線管球:Cu
管電圧:40kV
管電流:30mA
スタート角度:3.0°
ストップ角度:40.0°
走査速度:10°/分
また、CuKα特性X線回折スペクトルを、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:ブラッグ角2θ±0.2=27.2に強いピークを有するとともに、26.2°においてピークを有さない。
×:ブラッグ角2θ±0.2=26.2°に強いピークを有する。
なお、表1には記載しないが、TiOPc−A〜Hの製造直後において測定したCuKα特性X線回折スペクトルを、上述した基準に沿って評価したところ、いずれのチタニルフタロシアニン結晶も、○の評価であることが確認できた。
(2)示差走査熱量分析
示差走査熱量計(理学電機(株)製、TAS−200型、DSC8230D)を用いて、各製造方法にて得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査熱量分析チャートを、それぞれ図11〜18に示す。また、それぞれのチャートにおけるピーク温度及びピークの個数を表1に示す。
なお、測定条件は下記のとおりとした。
サンプルパン:Al
昇温速度:20℃/分
示差走査熱量計(理学電機(株)製、TAS−200型、DSC8230D)を用いて、各製造方法にて得られたチタニルフタロシアニン結晶の示差走査熱量分析を行った。得られた示差走査熱量分析チャートを、それぞれ図11〜18に示す。また、それぞれのチャートにおけるピーク温度及びピークの個数を表1に示す。
なお、測定条件は下記のとおりとした。
サンプルパン:Al
昇温速度:20℃/分
[実施例1]
1.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
容器内に、酸化チタン(MT−02、テイカ(株)製:アルミナ、シリカ、シリコーンによる表面処理が施された数平均1次粒子径10nmの酸化チタン)200重量部と、四元共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製、CM8000)100重量部と、エタノール2000重量部と、ブタノール500重量部と、を収容した後、ビーズミルを用いて5時間分散させ、中間層用塗布液を得た。
得られた製造直後の中間層用塗布液を、5ミクロンのフィルタにてろ過した後、基体としての直径30mm、全長238.5mmのアルミニウム製の切削管(最大表面粗さRy=0.75)に対し、ディップコート法にて塗布した。その後、130℃で、30分間、熱処理して、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
1.積層型電子写真感光体の製造
(1)中間層の形成
容器内に、酸化チタン(MT−02、テイカ(株)製:アルミナ、シリカ、シリコーンによる表面処理が施された数平均1次粒子径10nmの酸化チタン)200重量部と、四元共重合ポリアミド樹脂(東レ(株)製、CM8000)100重量部と、エタノール2000重量部と、ブタノール500重量部と、を収容した後、ビーズミルを用いて5時間分散させ、中間層用塗布液を得た。
得られた製造直後の中間層用塗布液を、5ミクロンのフィルタにてろ過した後、基体としての直径30mm、全長238.5mmのアルミニウム製の切削管(最大表面粗さRy=0.75)に対し、ディップコート法にて塗布した。その後、130℃で、30分間、熱処理して、膜厚1.5μmの中間層を形成した。
(2)電荷発生層の形成
(2)−1 1次分散
次いで、容器内に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)200重量部と、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製、KS−5Z)100重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル3000重量部と、を収容した後、ボールミルを用いて40rpmで24時間分散させ、1次分散液を得た。
このとき、分散温度を25℃とし、分散液のpHを7とした。
(2)−1 1次分散
次いで、容器内に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)200重量部と、ポリビニルアセタール樹脂(積水化学(株)製、KS−5Z)100重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル3000重量部と、を収容した後、ボールミルを用いて40rpmで24時間分散させ、1次分散液を得た。
このとき、分散温度を25℃とし、分散液のpHを7とした。
(2)−2 2次分散
次いで、容器中に、得られた1次分散液の全量と、テトラヒドロフラン3000重量部と、を収容した後、ビーズミルを用いて40rpmで24時間分散させて、電荷発生層用塗布液を得た。
このとき、分散温度を25℃とし、分散液のpHを7とした。
さらに、得られた電荷発生層用塗布液を、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で7日間液を放置した。
次いで、容器中に、得られた1次分散液の全量と、テトラヒドロフラン3000重量部と、を収容した後、ビーズミルを用いて40rpmで24時間分散させて、電荷発生層用塗布液を得た。
このとき、分散温度を25℃とし、分散液のpHを7とした。
さらに、得られた電荷発生層用塗布液を、温度23±1℃、相対湿度50〜60%RHの条件下、密閉系中で7日間液を放置した。
(2)−3 塗布及び乾燥
次いで、得られた7日間放置後の電荷発生層用塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、既に形成してある中間層上に、ディップコート法にて塗布した。その後、80℃で、5分間、熱処理して、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
次いで、得られた7日間放置後の電荷発生層用塗布液を、3ミクロンのフィルタにてろ過後、既に形成してある中間層上に、ディップコート法にて塗布した。その後、80℃で、5分間、熱処理して、膜厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(3)電荷輸送層の形成
次いで、容器内に、正孔輸送剤としての下記式(5)で表される化合物(HTM−1)70重量部と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、TS2020)100重量部と、テトラヒドロフラン460重量部と、を収容した後、超音波分散機を用いて10分間分散させ、電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた製造直後の電荷輸送層用塗布液を、上述した電荷発生層用塗布液と同様にして既に形成してある電荷発生層上に、ディップコート法にて塗布した。その後、130℃で、30分間、乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を得た。
次いで、容器内に、正孔輸送剤としての下記式(5)で表される化合物(HTM−1)70重量部と、ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製、TS2020)100重量部と、テトラヒドロフラン460重量部と、を収容した後、超音波分散機を用いて10分間分散させ、電荷輸送層用塗布液を得た。
得られた製造直後の電荷輸送層用塗布液を、上述した電荷発生層用塗布液と同様にして既に形成してある電荷発生層上に、ディップコート法にて塗布した。その後、130℃で、30分間、乾燥させ、膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、積層型電子写真感光体を得た。
2.評価
(1)明電位変化の評価
また、得られた積層型電子写真感光体をプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)に搭載させるとともに、−400Vに帯電後、ベタ画像に相当する露光を行い、帯電及び露光を行い、感光層の露光部分における表面電位を明電位として測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:明電位の絶対値が、50V未満の値である
△:明電位の絶対値が、50V以上、60V未満の値である。
×:明電位が、60V以上の値である
(1)明電位変化の評価
また、得られた積層型電子写真感光体をプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)に搭載させるとともに、−400Vに帯電後、ベタ画像に相当する露光を行い、帯電及び露光を行い、感光層の露光部分における表面電位を明電位として測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:明電位の絶対値が、50V未満の値である
△:明電位の絶対値が、50V以上、60V未満の値である。
×:明電位が、60V以上の値である
(2)カブリの評価
また、得られた積層型電子写真感光体を搭載したプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)にて白紙画像を5枚印刷し、かかる白紙画像におけるFD値を測定し、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:FD値が0.010未満である。
△:FD値が0.010以上、0.014未満の値である。
×:FD値が0.014以上である。
また、得られた積層型電子写真感光体を搭載したプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)にて白紙画像を5枚印刷し、かかる白紙画像におけるFD値を測定し、下記の基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:FD値が0.010未満である。
△:FD値が0.010以上、0.014未満の値である。
×:FD値が0.014以上である。
(3)メモリ電位の評価
また、得られた積層型電子写真感光体を搭載したプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)を用いて、未露光部分の表面電位、及び露光部分の帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差をメモリ電位として測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:露光メモリが20V未満の値である。
△:露光メモリが20V以上、30V未満の値である。
×:露光メモリが30V以上の値である。
また、得られた積層型電子写真感光体を搭載したプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)を用いて、未露光部分の表面電位、及び露光部分の帯電工程実施後の表面電位を測定し、その差をメモリ電位として測定し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:露光メモリが20V未満の値である。
△:露光メモリが20V以上、30V未満の値である。
×:露光メモリが30V以上の値である。
(4)メモリ画像の評価
また、電子写真感光体を搭載したプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)、及び低温低湿下(温度:10℃、湿度:20%)において、それぞれ10万枚複写した上で、文字画像の後にハーフトーン画像を連続複写し、ハーフトーン画像上に残像としての文字画像が発生しているかを観察し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:ハーフトーン画像上に文字画像の発生が観察されない
△:ハーフトーン画像上にわずかに画像むらの発生が観察される
×:ハーフトーン画像上にはっきりと文字画像の発生が観察される
また、電子写真感光体を搭載したプリンタ(京セラミタ(株)製、FS1010を負帯電で画像出力できるように改造したもの)を用いて、高温高湿下(温度:35℃、湿度:85%)、及び低温低湿下(温度:10℃、湿度:20%)において、それぞれ10万枚複写した上で、文字画像の後にハーフトーン画像を連続複写し、ハーフトーン画像上に残像としての文字画像が発生しているかを観察し、下記基準に沿って評価した。得られた結果を表2に示す。
○:ハーフトーン画像上に文字画像の発生が観察されない
△:ハーフトーン画像上にわずかに画像むらの発生が観察される
×:ハーフトーン画像上にはっきりと文字画像の発生が観察される
[実施例2]
実施例2では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散として、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)200重量部と、ポリビニルアセタール樹脂90重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル3000重量部と、をボールミルを用いて40rpmで24時間分散させて、1次分散液とした。
また、2次分散として、得られた1次分散液の全量と、ポリビニルアセタール樹脂10重量部及びテトラヒドロフラン3000重量部を分散させた分散液と、を加え、ボールミルを用いて40rpmで24時間分散させて、電荷発生層用塗布液とした。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例2では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散として、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)200重量部と、ポリビニルアセタール樹脂90重量部と、プロピレングリコールモノメチルエーテル3000重量部と、をボールミルを用いて40rpmで24時間分散させて、1次分散液とした。
また、2次分散として、得られた1次分散液の全量と、ポリビニルアセタール樹脂10重量部及びテトラヒドロフラン3000重量部を分散させた分散液と、を加え、ボールミルを用いて40rpmで24時間分散させて、電荷発生層用塗布液とした。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例3]
実施例3では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を80重量部とするとともに、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を20重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例3では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を80重量部とするとともに、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を20重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例4]
実施例4では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例4では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例5]
実施例5では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)を用いたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例5では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶E(TiOPc−E)を用いたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例6では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例6では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶F(TiOPc−F)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例7]
実施例7では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を6000重量部とするとともに、2次分散におけるテトラヒドロフランの添加量を2000重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例7では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を6000重量部とするとともに、2次分散におけるテトラヒドロフランの添加量を2000重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例8]
実施例8では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を2000重量部とするとともに、2次分散におけるテトラヒドロフランの添加量を8000重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例8では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を2000重量部とするとともに、2次分散におけるテトラヒドロフランの添加量を8000重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例9では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を80重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例9では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を80重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例10]
実施例10では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を280重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例10では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を280重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例11では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を380重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例11では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を380重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例12]
実施例12では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を800重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例12では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるプロピレングリコールモノメチルエーテルの添加量を800重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例13では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、2次分散におけるテトラヒドロフランの添加量を800重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例13では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、2次分散におけるテトラヒドロフランの添加量を800重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例14]
実施例14では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を30重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例14では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を30重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[実施例15]
実施例15では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を450重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
実施例15では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶D(TiOPc−D)の添加量を450重量部としたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例1]
比較例1では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例1では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶A(TiOPc−A)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例2]
比較例2では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例2では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶B(TiOPc−B)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例3]
比較例3では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例3では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶C(TiOPc−C)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例4]
比較例4では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例4では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶G(TiOPc−G)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例5]
比較例5では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶H(TiOPc−H)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例5では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、チタニルフタロシアニン結晶として、チタニルフタロシアニン結晶H(TiOPc−H)を用いたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例6]
比較例6では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を70重量部とするとともに、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を30重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例6では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を70重量部とするとともに、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を30重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例7]
比較例7では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を30重量部とするとともに、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を70重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例7では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を30重量部とするとともに、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を70重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例8]
比較例8では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散においてポリビニルアセタール樹脂を添加せず、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を100重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例8では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散においてポリビニルアセタール樹脂を添加せず、2次分散におけるポリビニルアセタール樹脂の添加量を100重量部としたほかは、実施例2と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例9]
比較例9では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散における有機溶媒の種類をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒の種類をプロピレングリコールモノメチルエーテルとしたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例9では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散における有機溶媒の種類をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒の種類をプロピレングリコールモノメチルエーテルとしたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例10]
比較例10では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散における有機溶媒の種類をジクロロメタンとしたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例10では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散における有機溶媒の種類をジクロロメタンとしたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
[比較例11]
比較例11では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散における有機溶媒の種類をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒の種類をジクロロメタンとしたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
比較例11では、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散における有機溶媒の種類をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒の種類をジクロロメタンとしたほかは、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、評価した。得られた結果を表2に示す。
*PVAc樹脂:ポリビニルアセタール樹脂
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
また、電荷発生層用塗布液を製造する際に、1次分散及び2次分散のそれぞれの工程において使用される有機溶媒の種類と、結着樹脂の添加割合と、の関係をより明確にすべく、以下の実施例及び比較例を実施した。
[実施例1〜3、比較例6〜8及12〜14]
実施例1〜3、比較例6〜8及12〜14においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとするとともに、2次分散における有機溶媒をテトラヒドロフランとした。
さらに、それぞれ、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
実施例1〜3、比較例6〜8及12〜14においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとするとともに、2次分散における有機溶媒をテトラヒドロフランとした。
さらに、それぞれ、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
[比較例15〜23]
比較例15〜23においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとするとともに、2次分散における有機溶媒についてもプロピレングリコールモノメチルエーテルとした。
さらに、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
比較例15〜23においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとするとともに、2次分散における有機溶媒についてもプロピレングリコールモノメチルエーテルとした。
さらに、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
[比較例9及び24〜31]
比較例9及び24〜31においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとした。
さらに、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
比較例9及び24〜31においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルとした。
さらに、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
[比較例32〜40]
比較例32〜40においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒についてもテトラヒドロフランとした。
さらに、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
比較例32〜40においては、それぞれ1次分散における有機溶媒をテトラヒドロフランとするとともに、2次分散における有機溶媒についてもテトラヒドロフランとした。
さらに、1次分散及び2次分散における結着樹脂としてのポリビニルアセタール樹脂の添加割合を、表3に示すように変化させた。
それ以外は、実施例1と同様に積層型電子写真感光体を製造するとともに、メモリ電位を評価した。得られた結果を表3に示す。
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
THF:テトラヒドロフラン
本発明にかかる積層型電子写真感光体の製造方法によれば、所定割合の結着樹脂と
、所定のチタニルフタロシアニン結晶とを、所定有機溶媒中に分散させて1次分散液を得る工程、と、残りの結着樹脂を別の所定有機溶媒中に分散させた分散液を、1次分散液に対して加えて分散させる工程と、を含む電荷発生層用塗布液の製造工程を実施することによって、所定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散できるようになった。
その結果、カブリの発生ばかりでなく、露光メモリの発生についても、効果的に抑制できる積層型電子写真感光体を製造することができるようになった。
したがって、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における電気特性や画像特性の向上のみならず、製造管理を容易にし、ひいては経済的効果に著しく寄与することが期待される。
、所定のチタニルフタロシアニン結晶とを、所定有機溶媒中に分散させて1次分散液を得る工程、と、残りの結着樹脂を別の所定有機溶媒中に分散させた分散液を、1次分散液に対して加えて分散させる工程と、を含む電荷発生層用塗布液の製造工程を実施することによって、所定のチタニルフタロシアニン結晶を効果的に分散できるようになった。
その結果、カブリの発生ばかりでなく、露光メモリの発生についても、効果的に抑制できる積層型電子写真感光体を製造することができるようになった。
したがって、本発明の積層型電子写真感光体の製造方法は、複写機やプリンタ等の各種画像形成装置における電気特性や画像特性の向上のみならず、製造管理を容易にし、ひいては経済的効果に著しく寄与することが期待される。
20:積層型感光体
20´:積層型感光体
20´´:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
20´:積層型感光体
20´´:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
25:中間層
Claims (7)
- 基体上に、電荷発生層と、電荷輸送層と、が形成された積層型電子写真感光体の製造方法であって、
前記電荷発生層に含まれる電荷発生剤として、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θ±0.2°=27.2°に主ピークを有し、かつ、示差走査熱量分析において、吸着水の気化にともなうピーク以外に270〜400℃の範囲内に、1つのピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いるとともに、
前記電荷発生層を形成するための電荷発生層用塗布液の製造工程として、下記工程(a)〜(b)を含むことを特徴とする積層型電子写真感光体の製造方法。
(a)前記電荷発生層における全結着樹脂量の80〜100重量%の結着樹脂と、前記チタニルフタロシアニン結晶とを、プロピレングリコールモノアルキルエーテル中に1次分散させ、1次分散液を得る工程
(b)前記電荷発生層における全結着樹脂量の0〜20重量%の結着樹脂を、環状エーテル化合物中に分散させて分散液を得た後、当該分散液を前記1次分散液に対して加えるとともに2次分散させ、電荷発生層用塗布液を得る工程 - 前記チタニルフタロシアニン結晶の添加量を、前記電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、50〜400重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
- 前記結着樹脂として、ポリビニルアセタール樹脂を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
- 前記プロピレングリコールモノアルキルエーテルとして、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル及びプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を用いるとともに、添加量を、前記電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
- 前記環状エーテル化合物として、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン及び1,3−ジオキサンからなる群から選択される少なくとも一種の化合物を用いるとともに、添加量を、前記電荷発生層における全結着樹脂100重量部に対して、1000〜10000重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
- 前記工程(a)における1次分散条件として、下記条件を満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8 - 前記工程(b)における2次分散条件として、下記条件を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の積層型電子写真感光体の製造方法。
分散温度:15〜40℃
分散時間:0.5〜48時間
回転速度:20〜200rpm
pH :6〜8
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JP2008137090A JP2009282463A (ja) | 2008-05-26 | 2008-05-26 | 積層型電子写真感光体の製造方法 |
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WO2013183526A1 (en) * | 2012-06-04 | 2013-12-12 | Canon Kabushiki Kaisha | Method of producing electrophotographic photosensitive member |
-
2008
- 2008-05-26 JP JP2008137090A patent/JP2009282463A/ja active Pending
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