JP2004325836A - マイクロマニピュレータ - Google Patents
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Abstract
【課題】細胞にダメージを与えることなく、この細胞にマニピュレータ用微小器具を挿入できること。
【解決手段】インジェクションピペット11を、ピペットホルダ12を介して固定状態で保持するホルダブロック13が、移動テーブル14により移動されるマイクロマニピュレータ10であって、ホルダブロック13が移動テーブル14に固定して取り付けられ、このホルダブロック13にピエゾ素子15が直接固定して取り付けられたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】インジェクションピペット11を、ピペットホルダ12を介して固定状態で保持するホルダブロック13が、移動テーブル14により移動されるマイクロマニピュレータ10であって、ホルダブロック13が移動テーブル14に固定して取り付けられ、このホルダブロック13にピエゾ素子15が直接固定して取り付けられたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロマニピュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、バイオテクノロジーの分野において、顕微鏡観察下で卵細胞に核や精子を注入するなど、細胞等の対象物に人工操作を実施するものとしてマイクロマニピュレータシステムが、一般に知られている。
【0003】
このマイクロマニピュレータシステムにおいて、マニピュレータ用微小器具を保持し移動させるマイクロマニピュレータに圧電素子が装着され、この圧電素子の伸縮により上記マニピュレータ用微小器具を微小移動させるマイクロマニピュレータが、特許文献1に記載されている。
【0004】
この特許文献1に記載のマイクロマニピュレータは、マニピュレータ用微小器具が保持部材に適切な摩擦力の存在下で移動可能に保持され、この保持部材が移動可能に構成されると共に、上記マニピュレータ用微小器具に圧電素子が装着され、この圧電素子に慣性体が取り付けられたものである。
従って、圧電素子に電圧を印加することにより慣性体を加速させ、この反動を利用して、マニピュレータ用微小器具等を保持部材との間の摩擦力に抗し、当該保持部材に対し微小移動可能としている。
【0005】
【特許文献1】
特公平6‐98582号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般のマイクロマニピュレータシステムにおけるマイクロマニピュレータでは、マニピュレータ用微小器具を対象物である細胞に挿入処理する際に、この細胞を大きく変形してしまい、細胞にダメージを与える恐れがある。
【0007】
これに対し、上記公報記載のマイクロマニピュレータでは、圧電素子の作用でマニピュレータ用微小器具をナノメーターのオーダーで微小移動させることができる。しかしながら、この公報記載のマイクロマニピュレータでは、マニピュレータ用微小器具と保持部材とが摩擦力の存在下で微小移動可能に構成されたことから、この摩擦力を適切に管理しなければならず、この摩擦力が適切でない場合には、マニピュレータ用微小器具を安定して動作させることができず、例えばマニピュレータ用微小器具を細胞に良好に挿入できない恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、細胞などの対象物にダメージを与えることなく、この対象物を処理できるマイクロマニピュレータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、マニピュレータ用微小器具を固定状態で保持する保持部材が、移動体により移動されるマイクロマニピュレータであって、上記保持部材が上記移動体に固定して取り付けられ、この保持部材に圧電・電歪素子が直接固定して取り付けられたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記保持部材は移動体に片持ち状態で取り付けられ、この保持部材の先端側に圧電・電歪素子が取り付けられたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記保持部材は、移動体に弾性体を介して固定して取り付けられたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、上記圧電・電歪素子には、保持部材に固定された端部とは反対側の端部に慣性体が固定して取り付けられたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るマイクロマニピュレータの一実施の形態を示す斜視図である。
この図1に示すマイクロマニピュレータ10は、バイオテクノロジーの分野において細胞などの対象物に人工操作処理を実施するマイクロマニピュレータシステムにおけるインジェクション用マイクロマニピュレータである。
【0014】
上記マイクロマニピュレータシステムは、細胞などを収容するシャーレを移動するためのXYステージを具備する顕微鏡ユニット(不図示)の両側に、図示しないホールディング用マイクロマニピュレータと上記インジェクション用マイクロマニピュレータ10とが配置され、ホールディング用マイクロマニピュレータに、細胞などをホールドするためのホールディングピペット21(図4)が保持され、インジェクション用マイクロマニピュレータ10に、細胞などに核や精子を注入するためのインジェクションピペット11が保持されたものである。このインジェクションピペット11はマニピュレータ用微小器具であり、ピペットホルダ12及びチューブ(不図示)を介して図示しないインジェクタに接続される。このインジェクタの作用により、インジェクションピペット11内の液体の吐出と吸引が制御される。
【0015】
ところで、インジェクション用マイクロマニピュレータ10は、保持部材としてのホルダブロック13、移動体としての移動テーブル14、圧電・電歪素子(つまり圧電素子または電歪素子)としてのピエゾ素子15、移動ステージ16及びステッピングモータ17を有して構成される。
【0016】
マニピュレータ用微小器具としての前記インジェクションピペット11はピペットホルダ12に装着され、また、ホルダブロック13にはクランプ板18が設けられている。ピペットホルダ12が、ホルダブロック13とクランプ板18との間に着脱自在に挟持されることで、インジェクションピペット11は、ピペットホルダ12を介しホルダブロック13に固定状態で保持される。
【0017】
このホルダブロック13は移動テーブル14に突設、つまり移動テーブル14に片持ち状態で直接固定して取り付けられる。この移動テーブル14は、移動ステージ16に設けられたガイドレール19に沿って、図2及び図3の矢印A方向に直線移動可能に構成される。移動ステージ16にはステッピングモータ17が取り付けられ、このステッピングモータ17の駆動力が図示しないネジ機構等を介して移動テーブル14へ伝達される。これにより、移動テーブル14は、ガイドレール19に沿って直線移動されてホルダブロック13を移動させ、このホルダブロック13及びピペットホルダ12を介して、インジェクションピペット11を所望位置まで直線移動させる。
【0018】
前記ピエゾ素子15は、電圧が印加されることによって歪みを生ずる素子であり、その電圧によって定まる体積に膨張または収縮する。このピエゾ素子15がホルダブロック13の先端側に直接固定して取り付けられる。上記ピペットホルダ12も、このホルダブロック13の先端側にクランプ板18を用いて挟持されて保持される。尚、図中符号20は、ピエゾ素子15へ電圧を印加するためのリード線である。
【0019】
リード線20を介してピエゾ素子15へパルス電圧(例えば電圧値0〜100V、周波数1〜10Hz)を印加してピエゾ素子15を急激に伸縮させると、このピエゾ素子15はホルダブロック13に衝撃力を作用し、この衝撃力がピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11へ伝達され、このインジェクションピペット11が微小振動する。
【0020】
インジェクションピペット11の微小振動の方向Bは、このインジェクションピペット11が移動テーブル14により移動する矢印A方向と一致する方向の成分α(図2)を有する。インジェクションピペット11を移動テーブル14により矢印A方向に移動させながら、ピエゾ素子15によりインジェクションピペット11を微小振動させ、またはインジェクションピペット11を移動テーブル14により矢印A方向に移動させて所定位置に停止させた後、その位置で、ピエゾ素子15によりインジェクションピペット11を微小振動させる。すると、図4に示すように、このインジェクションピペット11内に充填された液体がインジェクションピペット11の先端から押し出しされるときの正圧と、この押し出された上記液体がインジェクションピペット11内へ吸引されるときの負圧とが卵細胞30に作用する。この正圧と負圧が卵細胞30に繰り返し作用されることによって、この卵細胞30の細胞質31を覆う細胞膜32、及びこの細胞膜32の周囲にあって卵細胞30を保護する透明体33に穿孔34が形成される。
【0021】
この穿孔34は、図4の2点鎖線に示す従来技術の如く、インジェクションピペット11を卵細胞30及び透明体33に突き刺して卵細胞30変形させ、この卵細胞30にダメージを与えることにより形成されるものではなく、卵細胞30及び透明体33に何ら変形させることなく形成できる。移動テーブル14により、この穿孔34内を通過してインジェクションピペット11を移動させることによって、このインジェクションピペット11の先端を卵細胞30内の所望位置へ位置付けることができ、この位置でインジェクションピペット11から卵細胞30内へ核または精子を注入する。
【0022】
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば、私の効果▲1▼〜▲3▼を奏する。
▲1▼ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11を固定状態で保持するホルダブロック13が、片持ち状態で移動テーブル14に固定して取り付けられ、このホルダブロック13の先端側にピエゾ素子15が直接固定して取り付けられ、上記ピペットホルダ12もホルダブロック13の先端側に保持されたことから、ピエゾ素子15の急激な伸縮による衝撃力をホルダブロック13へ付与でき、この衝撃力によるホルダブロック13の振動が、ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11へ伝達される。この結果、卵細胞30及び透明体33の変形を伴うことなく、これらの卵細胞30及び透明体33に穿孔34を形成できるので、卵細胞30にダメージを与えることなく、この卵細胞30にインジェクションピペット11を挿入処理できる。
【0023】
▲2▼インジェクションピペット11がピペットホルダ12を介してホルダブロック13に固定状態で取り付けられ、このホルダブロック13が移動可能な移動テーブル14に固定して取り付けられと共に、このホルダブロック13にピエゾ素子15が直接固定されたことから、インジェクションピペット11は、ピペットホルダ12及びホルダブロック13を介して移動テーブル14に固定して取り付けられ、ピペットホルダ12及びホルダブロック13を介して移動テーブル14に摩擦力の存在下で移動可能に配設されていないので、摩擦力を適切に管理する必要がなく、インジェクションピペット11の移動は移動テーブル14によって実施される。このため、インジェクションピペット11を所望位置に常に安定して好適に移動させることができる。
【0024】
▲3▼ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11を保持するホルダブロック13が、移動テーブル14に直接固定して取り付けられたことから、移動テーブル14の移動時にインジェクションピペット11が不用意に振動等せず、この移動テーブル14によるインジェクションピペット11の位置決め精度を向上させることができる。
【0025】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11を保持するホルダブロック13が移動テーブル14に直接固定されるものを述べたが、このホルダブロック13を、弾性体を介して移動テーブル14に固定させてもよい。この弾性体としてはゴム、軟質プラスチックまたはばねなどである。この弾性体の存在によって、ピエゾ素子15から付与される衝撃力によるホルダブロック13の振動(振動の振幅)を増大できるので、インジェクションピペット11の振動も増大されて、このインジェクションピペット11により卵細胞30及び透明体33に穿孔34を容易に形成できる。
【0026】
また、ピエゾ素子15には、ホルダブロック13に固定された端部とは反対側の端部22に、図示しない慣性体が直接固着されてもよい。この場合には、この慣性体によってピエゾ素子15からホルダブロック13へ作用する衝撃力が増大されるので、この場合も、ホルダブロック13及びインジェクションピペット11の振動(振動の振幅)を増大でき、卵細胞30及び透明体33に穿孔34を容易に形成できる。
【0027】
尚、上記実施の形態では、インジェクションピペット11を保持するインジェクション用マイクロマニピュレータ10に本発明を適用するものを述べたが、マニピュレータ用微小器具としてのホールディングピペット21を保持するホールディング用マイクロマニピュレータに本発明を適用してもよい。
【0028】
また、上記実施の形態では、バイオテクノロジーの分野において細胞などを人工操作するマイクロマニピュレータシステムに本発明を実施するものを述べたが、化成品や電子部品等の製造工程において、混入異物を採取する工業用マイクロマニピュレータシステムのマイクロマニピュレータに本発明を適用してもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係るマイクロマニピュレータによれば、細胞等の対象物にダメージを与えることなく、この対象物を処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロマニピュレータの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のマイクロマニピュレータを示す正面図である。
【図3】図1のマイクロマニピュレータを示す平面図である。
【図4】図1のマイクロマニピュレータにおけるインジェクションピペットを卵細胞に挿入する状況を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 マイクロマニピュレータ
11 インジェクションピペット
12 ピペットホルダ
13 ホルダブロック(保持部材)
14 移動テーブル(移動体)
15 ピエゾ素子(圧電・電歪素子)
16 移動ステージ
17 ステッピングモータ
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロマニピュレータに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、バイオテクノロジーの分野において、顕微鏡観察下で卵細胞に核や精子を注入するなど、細胞等の対象物に人工操作を実施するものとしてマイクロマニピュレータシステムが、一般に知られている。
【0003】
このマイクロマニピュレータシステムにおいて、マニピュレータ用微小器具を保持し移動させるマイクロマニピュレータに圧電素子が装着され、この圧電素子の伸縮により上記マニピュレータ用微小器具を微小移動させるマイクロマニピュレータが、特許文献1に記載されている。
【0004】
この特許文献1に記載のマイクロマニピュレータは、マニピュレータ用微小器具が保持部材に適切な摩擦力の存在下で移動可能に保持され、この保持部材が移動可能に構成されると共に、上記マニピュレータ用微小器具に圧電素子が装着され、この圧電素子に慣性体が取り付けられたものである。
従って、圧電素子に電圧を印加することにより慣性体を加速させ、この反動を利用して、マニピュレータ用微小器具等を保持部材との間の摩擦力に抗し、当該保持部材に対し微小移動可能としている。
【0005】
【特許文献1】
特公平6‐98582号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般のマイクロマニピュレータシステムにおけるマイクロマニピュレータでは、マニピュレータ用微小器具を対象物である細胞に挿入処理する際に、この細胞を大きく変形してしまい、細胞にダメージを与える恐れがある。
【0007】
これに対し、上記公報記載のマイクロマニピュレータでは、圧電素子の作用でマニピュレータ用微小器具をナノメーターのオーダーで微小移動させることができる。しかしながら、この公報記載のマイクロマニピュレータでは、マニピュレータ用微小器具と保持部材とが摩擦力の存在下で微小移動可能に構成されたことから、この摩擦力を適切に管理しなければならず、この摩擦力が適切でない場合には、マニピュレータ用微小器具を安定して動作させることができず、例えばマニピュレータ用微小器具を細胞に良好に挿入できない恐れがある。
【0008】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、細胞などの対象物にダメージを与えることなく、この対象物を処理できるマイクロマニピュレータを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、マニピュレータ用微小器具を固定状態で保持する保持部材が、移動体により移動されるマイクロマニピュレータであって、上記保持部材が上記移動体に固定して取り付けられ、この保持部材に圧電・電歪素子が直接固定して取り付けられたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、上記保持部材は移動体に片持ち状態で取り付けられ、この保持部材の先端側に圧電・電歪素子が取り付けられたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、上記保持部材は、移動体に弾性体を介して固定して取り付けられたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、上記圧電・電歪素子には、保持部材に固定された端部とは反対側の端部に慣性体が固定して取り付けられたことを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき説明する。
図1は、本発明に係るマイクロマニピュレータの一実施の形態を示す斜視図である。
この図1に示すマイクロマニピュレータ10は、バイオテクノロジーの分野において細胞などの対象物に人工操作処理を実施するマイクロマニピュレータシステムにおけるインジェクション用マイクロマニピュレータである。
【0014】
上記マイクロマニピュレータシステムは、細胞などを収容するシャーレを移動するためのXYステージを具備する顕微鏡ユニット(不図示)の両側に、図示しないホールディング用マイクロマニピュレータと上記インジェクション用マイクロマニピュレータ10とが配置され、ホールディング用マイクロマニピュレータに、細胞などをホールドするためのホールディングピペット21(図4)が保持され、インジェクション用マイクロマニピュレータ10に、細胞などに核や精子を注入するためのインジェクションピペット11が保持されたものである。このインジェクションピペット11はマニピュレータ用微小器具であり、ピペットホルダ12及びチューブ(不図示)を介して図示しないインジェクタに接続される。このインジェクタの作用により、インジェクションピペット11内の液体の吐出と吸引が制御される。
【0015】
ところで、インジェクション用マイクロマニピュレータ10は、保持部材としてのホルダブロック13、移動体としての移動テーブル14、圧電・電歪素子(つまり圧電素子または電歪素子)としてのピエゾ素子15、移動ステージ16及びステッピングモータ17を有して構成される。
【0016】
マニピュレータ用微小器具としての前記インジェクションピペット11はピペットホルダ12に装着され、また、ホルダブロック13にはクランプ板18が設けられている。ピペットホルダ12が、ホルダブロック13とクランプ板18との間に着脱自在に挟持されることで、インジェクションピペット11は、ピペットホルダ12を介しホルダブロック13に固定状態で保持される。
【0017】
このホルダブロック13は移動テーブル14に突設、つまり移動テーブル14に片持ち状態で直接固定して取り付けられる。この移動テーブル14は、移動ステージ16に設けられたガイドレール19に沿って、図2及び図3の矢印A方向に直線移動可能に構成される。移動ステージ16にはステッピングモータ17が取り付けられ、このステッピングモータ17の駆動力が図示しないネジ機構等を介して移動テーブル14へ伝達される。これにより、移動テーブル14は、ガイドレール19に沿って直線移動されてホルダブロック13を移動させ、このホルダブロック13及びピペットホルダ12を介して、インジェクションピペット11を所望位置まで直線移動させる。
【0018】
前記ピエゾ素子15は、電圧が印加されることによって歪みを生ずる素子であり、その電圧によって定まる体積に膨張または収縮する。このピエゾ素子15がホルダブロック13の先端側に直接固定して取り付けられる。上記ピペットホルダ12も、このホルダブロック13の先端側にクランプ板18を用いて挟持されて保持される。尚、図中符号20は、ピエゾ素子15へ電圧を印加するためのリード線である。
【0019】
リード線20を介してピエゾ素子15へパルス電圧(例えば電圧値0〜100V、周波数1〜10Hz)を印加してピエゾ素子15を急激に伸縮させると、このピエゾ素子15はホルダブロック13に衝撃力を作用し、この衝撃力がピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11へ伝達され、このインジェクションピペット11が微小振動する。
【0020】
インジェクションピペット11の微小振動の方向Bは、このインジェクションピペット11が移動テーブル14により移動する矢印A方向と一致する方向の成分α(図2)を有する。インジェクションピペット11を移動テーブル14により矢印A方向に移動させながら、ピエゾ素子15によりインジェクションピペット11を微小振動させ、またはインジェクションピペット11を移動テーブル14により矢印A方向に移動させて所定位置に停止させた後、その位置で、ピエゾ素子15によりインジェクションピペット11を微小振動させる。すると、図4に示すように、このインジェクションピペット11内に充填された液体がインジェクションピペット11の先端から押し出しされるときの正圧と、この押し出された上記液体がインジェクションピペット11内へ吸引されるときの負圧とが卵細胞30に作用する。この正圧と負圧が卵細胞30に繰り返し作用されることによって、この卵細胞30の細胞質31を覆う細胞膜32、及びこの細胞膜32の周囲にあって卵細胞30を保護する透明体33に穿孔34が形成される。
【0021】
この穿孔34は、図4の2点鎖線に示す従来技術の如く、インジェクションピペット11を卵細胞30及び透明体33に突き刺して卵細胞30変形させ、この卵細胞30にダメージを与えることにより形成されるものではなく、卵細胞30及び透明体33に何ら変形させることなく形成できる。移動テーブル14により、この穿孔34内を通過してインジェクションピペット11を移動させることによって、このインジェクションピペット11の先端を卵細胞30内の所望位置へ位置付けることができ、この位置でインジェクションピペット11から卵細胞30内へ核または精子を注入する。
【0022】
以上のように構成されたことから、上記実施の形態によれば、私の効果▲1▼〜▲3▼を奏する。
▲1▼ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11を固定状態で保持するホルダブロック13が、片持ち状態で移動テーブル14に固定して取り付けられ、このホルダブロック13の先端側にピエゾ素子15が直接固定して取り付けられ、上記ピペットホルダ12もホルダブロック13の先端側に保持されたことから、ピエゾ素子15の急激な伸縮による衝撃力をホルダブロック13へ付与でき、この衝撃力によるホルダブロック13の振動が、ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11へ伝達される。この結果、卵細胞30及び透明体33の変形を伴うことなく、これらの卵細胞30及び透明体33に穿孔34を形成できるので、卵細胞30にダメージを与えることなく、この卵細胞30にインジェクションピペット11を挿入処理できる。
【0023】
▲2▼インジェクションピペット11がピペットホルダ12を介してホルダブロック13に固定状態で取り付けられ、このホルダブロック13が移動可能な移動テーブル14に固定して取り付けられと共に、このホルダブロック13にピエゾ素子15が直接固定されたことから、インジェクションピペット11は、ピペットホルダ12及びホルダブロック13を介して移動テーブル14に固定して取り付けられ、ピペットホルダ12及びホルダブロック13を介して移動テーブル14に摩擦力の存在下で移動可能に配設されていないので、摩擦力を適切に管理する必要がなく、インジェクションピペット11の移動は移動テーブル14によって実施される。このため、インジェクションピペット11を所望位置に常に安定して好適に移動させることができる。
【0024】
▲3▼ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11を保持するホルダブロック13が、移動テーブル14に直接固定して取り付けられたことから、移動テーブル14の移動時にインジェクションピペット11が不用意に振動等せず、この移動テーブル14によるインジェクションピペット11の位置決め精度を向上させることができる。
【0025】
以上、本発明を上記実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態では、ピペットホルダ12を介してインジェクションピペット11を保持するホルダブロック13が移動テーブル14に直接固定されるものを述べたが、このホルダブロック13を、弾性体を介して移動テーブル14に固定させてもよい。この弾性体としてはゴム、軟質プラスチックまたはばねなどである。この弾性体の存在によって、ピエゾ素子15から付与される衝撃力によるホルダブロック13の振動(振動の振幅)を増大できるので、インジェクションピペット11の振動も増大されて、このインジェクションピペット11により卵細胞30及び透明体33に穿孔34を容易に形成できる。
【0026】
また、ピエゾ素子15には、ホルダブロック13に固定された端部とは反対側の端部22に、図示しない慣性体が直接固着されてもよい。この場合には、この慣性体によってピエゾ素子15からホルダブロック13へ作用する衝撃力が増大されるので、この場合も、ホルダブロック13及びインジェクションピペット11の振動(振動の振幅)を増大でき、卵細胞30及び透明体33に穿孔34を容易に形成できる。
【0027】
尚、上記実施の形態では、インジェクションピペット11を保持するインジェクション用マイクロマニピュレータ10に本発明を適用するものを述べたが、マニピュレータ用微小器具としてのホールディングピペット21を保持するホールディング用マイクロマニピュレータに本発明を適用してもよい。
【0028】
また、上記実施の形態では、バイオテクノロジーの分野において細胞などを人工操作するマイクロマニピュレータシステムに本発明を実施するものを述べたが、化成品や電子部品等の製造工程において、混入異物を採取する工業用マイクロマニピュレータシステムのマイクロマニピュレータに本発明を適用してもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明に係るマイクロマニピュレータによれば、細胞等の対象物にダメージを与えることなく、この対象物を処理できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマイクロマニピュレータの一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1のマイクロマニピュレータを示す正面図である。
【図3】図1のマイクロマニピュレータを示す平面図である。
【図4】図1のマイクロマニピュレータにおけるインジェクションピペットを卵細胞に挿入する状況を示す概略断面図である。
【符号の説明】
10 マイクロマニピュレータ
11 インジェクションピペット
12 ピペットホルダ
13 ホルダブロック(保持部材)
14 移動テーブル(移動体)
15 ピエゾ素子(圧電・電歪素子)
16 移動ステージ
17 ステッピングモータ
Claims (4)
- マニピュレータ用微小器具を固定状態で保持する保持部材が、移動体により移動されるマイクロマニピュレータであって、
上記保持部材が上記移動体に固定して取り付けられ、
この保持部材に圧電・電歪素子が直接固定して取り付けられたことを特徴とするマイクロマニピュレータ。 - 上記保持部材は移動体に片持ち状態で取り付けられ、この保持部材の先端側に圧電・電歪素子が取り付けられたことを特徴とする請求項1に記載のマイクロマニピュレータ。
- 上記保持部材は、移動体に弾性体を介して固定して取り付けられたことを特徴とする請求項1または2に記載のマイクロマニピュレータ。
- 上記圧電・電歪素子には、保持部材に固定された端部とは反対側の端部に慣性体が固定して取り付けられたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のマイクロマニピュレータ。
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