JP2004322407A - パージ機能性材料、成型機清浄用樹脂組成物及び成型機清浄方法 - Google Patents
パージ機能性材料、成型機清浄用樹脂組成物及び成型機清浄方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】プラスチック、ゴム成型における成型機内の前加工物残渣を排除させる移行作用に加えて、界面活性作用を働かせ、成型機に経時的に固着してくる無機物及び有機物由来の汚染物や成型機自体の腐食変化部分をも剥離、除去する能力を有するパージ機能性材料及びそれを含有させてなる成型機清浄用樹脂組成物、並びにそれらを用いた成型機清浄方法を提供する。
【解決手段】所定の有機ホウ素化合物の1種以上及び/又は前記所定の有機ホウ素化合物の1種以上と塩基性窒素を最小限1個有する窒素化合物の1種以上との反応物よりなることを特徴とするパージ機能性材料である。
【選択図】 図1
【解決手段】所定の有機ホウ素化合物の1種以上及び/又は前記所定の有機ホウ素化合物の1種以上と塩基性窒素を最小限1個有する窒素化合物の1種以上との反応物よりなることを特徴とするパージ機能性材料である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック及びゴム成型機内部の清浄化剤並びに清浄方法に関し、更に詳しくは、パージ機能性の優れた材料及びそれを含有してなる成型機清浄用樹脂組成物並びにそれらを使用する成型機清浄方法に関する。
【0002】
【関連技術】
現代、プラスチック並びにゴム成型品は我々の生活にとって欠かせないものとなり、多量に使われているが、加工性に優れ、また、用途が多様な熱可塑樹脂の占める割合が圧倒的である。それらは、単なる無着色製品から各種の着色製品、さらには、高濃度の無機物粉体含有製品等、多岐に亘っているために、加工現場では品種の切り替えに合わせて、その都度、前成型残存物を完全に成型機から排出させる必要があり、また、成型機に固着する性質の強い無機物材料や炭化物等については成型機を分解して、物理的に剥離、除去する必要があった。
【0003】
このうち、着色製品の色替え時作業を円滑に行うために、加熱した成型機に無着色原料樹脂を流して溶融除去させる操作が一般的であり、さらに、近年、無着色原料樹脂の中にテトラヘドラル型アニオン性ホウ素化合物の重金属塩(特許文献1)や親水性のポリオールを出発物質とするトリエステル型ノニオン性ホウ酸エステルポリマー(特許文献2)を混入させた組成物をそのままか若しくは無着色原料樹脂と同時に加熱した成型機内に融解させつつ流すことによって、清浄化の時間短縮をはかるという技術が公表されてきている。
【0004】
しかしながら、これら二つの技術の元になっているホウ素化合物類は、一方は全く水に溶けない構造のものであり、また、もう一方は炭化水素と親和しない構造のものであるために、単なる摩擦作用とか、反対に滑り効果によって成型機内の残留原料を取り出すことに重点を置いており、それ程吸着力の強くない大きい有機汚れを除去することでは有効であるが、炭化して、成型機壁に強くこびり付いているものや、細部の隙間にたまっている顔料粒子やその他の無機物充填剤等の残存汚れや成型機自体の腐食部分を除去する能力を持ち合わせていず、したがって、パージ効果が不完全であるばかりか、堆積した汚れが絶えず熱履歴を伴って変質し、成型機内に一層強く吸着していくことを阻止できなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−53774号
【特許文献2】
特開平10−77419号
【非特許文献1】
「油化学、第29巻、第12号」893〜900頁、1980年
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、プラスチック又はゴム成型機の清浄化において、前加工物の機内残存成型物の排出と共に焼き付いた原料樹脂や余剰無機充填剤粒子及び金属腐食物をも剥離し、包み込んで除去させることを行い、現加工物の成型品質を再現性良く保護するという界面活性有機ホウ素化合物である新規なパージ機能性材料及びそれを含有してなる新規なパージ機能性成型機清浄用樹脂組成物、並びにそれらを使用する成型機清浄方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研修を重ねた結果、イオン型へ構造変位する特徴を有しながら、通常はノニオンとしての性質を示す半極性有機ホウ素化合物の一群が水溶性、不水溶性を問わず種々の有機化合物と相溶し、かつ、界面活性を呈して界面へ移行すると共に優れた浸透、剥離作用と固体分散作用を現すことに着目して、該半極性有機ホウ素化合物を熱可塑性樹脂の中に練込み、パージ機能性を調べたところ、強固に成型機内にこびり付いて残っている汚染物質を極めて円滑に剥離除去するという事実を見出した。さらに、それらの半極性有機ホウ素界面活性剤の構造の一部若しくは全部を塩基性窒素原子を最小限1個有する窒素化合物と反応させて、水溶性の良好なイオン型へと変換させたもの及びそれを熱可塑性樹脂の中に練込んだ組成物も同様に優れたパージ機能性を有するという事実を見出し、これらの知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のパージ機能性材料は、下記構造式(1)にて表わされる原子団を有する半極性有機ホウ素化合物(以下、所定の有機ホウ素化合物と称する)の1種以上及び/又は上記所定の有機ホウ素化合物の1種以上と塩基性窒素を最小限1個有する窒素化合物の1種以上との反応物よりなることを特徴とする。
【0009】
【化2】
【0010】
本発明の成型機清浄用樹脂組成物は、本発明のパージ機能性材料の1種以上を熱可塑性樹脂に0.1〜10重量%含有させてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の成型機清浄方法の第1の態様は、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明のパージ機能性材料を付着させた後、熱可塑性樹脂を該プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に投入し、次いで、この熱可塑性樹脂をそのガラス転移点以上の温度条件で該プラスチック又はゴム成型機の内部部分に接触させた後、該パージ機能性材料及び熱可塑性樹脂の混合物を排出させることを特徴とする。
【0012】
本発明の成型機清浄方法の第2の態様は、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明の成型機清浄用樹脂組成物を投入し、この成型機清浄用樹脂組成物をそのガラス転移点以上の温度条件で該プラスチック又はゴム成型機の内部部分に接触させた後、該成型機清浄用樹脂組成物を排出させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0014】
本発明における所定の有機ホウ素化合物は、隣接ヒドロキシル基を有する多価アルコールとホウ酸、無水ホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルとを用いて、ヒドロキシル基4個に対してホウ素原子1個の割合でエステル化若しくはエステル交換させて、分子中にSP2とSP3の中間の軌道を呈する前記構造式Iよりなる半極性構造を形成させることにより得られるもので、ホウ素を中心原子とする半極性構造の部分は1個でも、それ以上存在していても良く、また、所定の有機ホウ素化合物そのものは低分子物質でも、高分子物質でも良い。さらに、所定の有機ホウ素化合物の性状は、親水性でも親油性でも良い。
【0015】
本発明において、場合により所定の有機ホウ素化合物と反応させる塩基性窒素を最小限1個有する窒素化合物は、その塩基性窒素の部分が一級、二級及び三級アミンのいずれでも良く、また、それらが混在しているポリアミンでも良い。さらに、それらの窒素化合物の性状は親水性でも親油性でも良い。
【0016】
ここで、本発明のパージ機能性材料である所定の有機ホウ素化合物が製造されて特異な半極性構造を呈していることや、さらに、その半極性構造の部分が塩基性窒素と反応して、より親水性の大きいイオン型へと構造変位することの確認は、本発明者が行った過去の基礎研究によって既になされており(非特許文献1)、本発明もそれに準じてパージ機能性材料のいくつかの例を製造した。
【0017】
次に、本発明の成型機清浄用樹脂組成物は、母材である熱可塑性樹脂のガラス転移点以上の温度で母材樹脂と前記パージ機能性材料を均一混合させつつ、ペレット化若しくはチップ化することで、作製される。
【0018】
その際の母材である熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド及び硫黄、過酸化物等の加硫剤等との反応前の非架橋ゴム類等を挙げることができる。
【0019】
なお、母材である熱可塑性樹脂とパージ機能性材料との配合において、パージ機能性材料の含有割合が0.1重量%未満であると、成型機清浄作用の促進が殆どなされず、一方、10重量%より多い場合には、均質なパージ機能性成型機清浄用樹脂組成物が製造できにくくなるので、共に好ましくない。
【0020】
以下に本発明の成型機清浄方法について図1及び図2を参照して説明する。図1は本発明の成型機清浄方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。図2は本発明の成型機清浄方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【0021】
図1に示すように、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明のパージ機能性材料の1種以上を予め付着させておき(ステップ100)、熱可塑性樹脂を該パージ機能性材料の付着したプラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に投入し(ステップ102)、上記熱可塑性樹脂をそのガラス転移点以上に加熱し(ステップ104)、上記プラスチック又はゴム成型機の内部部分に、上記加熱された熱可塑性樹脂を接触させ(ステップ106)、上記プラスチック又はゴム成型機から上記パージ機能性材料及び上記熱可塑性樹脂の混合物を排出させることにより(ステップ108)、上記プラスチック又はゴム成型機を清浄することができる(ステップ110)。
【0022】
上記方法において、本発明のパージ機能性材料が、パージ機能性材料及び熱可塑性樹脂の混合物中に、0.1〜10重量%含有されるように本発明のパージ機能性材料及び熱可塑性樹脂を配合することが好ましい。
【0023】
また、図2に示すように、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明の成型機清浄用樹脂組成物を投入し(ステップ200)、上記成型機清浄用樹脂組成物をそのガラス転移点以上に加熱し(ステップ202)、上記プラスチック又はゴム成型機の内部部分に、上記加熱された成型機清浄用樹脂組成物を接触させ(ステップ204)、上記プラスチック又はゴム成型機から上記成型機清浄用樹脂組成物を排出させることにより(ステップ206)、上記プラスチック又はゴム成型機を清浄することもできる(ステップ208)。
【0024】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明のパージ機能性材料の製造例について説明し、次いで、本発明の成型機清浄用樹脂組成物の作製例及び本発明の成型機清浄方法に関する性能試験結果について説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。また、これらの実施例において記載された「%」は重量%を意味する。
【0025】
(製造例1)
揮拌機、温度計、気体流入管及び検量管付きアダプターを備えた密閉型反応装置に、オクタデコキシポリ(10)オキシエチレングリセリンエーテル1570.2g(2モル)とトリエチルボラート146.0g(1モル)を仕込み、N2ガスを通じつつ、100〜140℃で3時間を要して138.3g(3モル)のエチルアルコールを系外に留出させ、下記構造式2よりなる本発明のパージ機能性材料を製造した。
【0026】
【化3】
【0027】
(製造例2)
製造例1と同様の装置に、デセンオキシド312.5g(2モル)とホウ酸61.8g(1モル)を仕込み、N2ガスを通じつつ、はじめに120〜130℃で2時間を要して開環エステル化反応を行った。しかる後、内温を180℃に上げ、180〜200℃で3時間を要して18g(1モル)の水を系外に留出させ、下記構造式3よりなる本発明のパージ機能性材料を製造した。
【0028】
【化4】
【0029】
(製造例3)
製造例1と同様の装置に、ジグリセリン166.2g(1モル)とホウ酸61.8g(1モル)を仕込み、15〜20mmHgの減圧下で、210〜220℃で5時間反応させて、54g(3モル)の水を系外に留出させて、はじめに下記構造式4よりなる半極性有機ホウ素高分子化合物である本発明のパージ機能性材料を合成した。
【0030】
【化5】
【0031】
(製造例4)
上記製造例3と同様の手順により半極性有機ホウ素高分子化合物を合成し、次いで、内温を100℃まで下げた後、N2ガスを通じて内部を常圧にし、2−ヒドロキシエチルウンデシルイミダゾリン268.4g(1モル)を投入して、90〜100℃で10時間反応させ、下記構造式5よりなる本発明のパージ機能性材料を製造した。
【0032】
【化6】
【0033】
(製造例5〜16)
製造例1、2若しくは3の方法に準じて、半極性有機ホウ素化合物及び/又はそれに由来するN+・B−結合体の構造式からなる本発明のパージ機能性材料をそれぞれ製造した。製造例5〜16より、それぞれ下記構造式6〜17からなるパージ機能性材料が製造される。
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
上記構造式(8)において、a+b=25である。
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
上記構造式(16)において、a+b=8である。
【0047】
【化18】
【0048】
(製造例17)
表1に示した如く、ポリエチレンパウダー(但し、東ソー株式会社製ペトロセンNM15PWを使用、ガラス転移点:−30℃)5.0%、直鎖状低密度ポリエチレンペレット(但し、東ソー株式会社製FS240Aを使用、ガラス転移点:−30℃)94.0%及び製造例1の本発明のパージ機能性材料1.0%からなる混合物を連続混練押出機に仕込み、シリンダー温度185℃にて、ペレット状の本発明の成型機清浄用樹脂組成物を作製した。
【0049】
(製造例18)
表1に示した如く、ポリエチレンパウダー(但し、東ソー株式会社製ペトロセンNM15PWを使用)4.0%、低密度ポリエチレンペレット(但し、東ソー株式会社製ペトロセン183を使用、ガラス転移点:−30℃)94.5%、製造例2の本発明のパージ機能性材料1.0%及び製造例4の本発明のパージ機能性材料0.5%からなる混合物を連続混練押出機に仕込み、製造例17と同様にして本発明の成型機清浄用樹脂組成物を作製した。
【0050】
(製造例19〜26)
製造例17及び18と同様にして、表1に示す配合割合によって本発明の成型機清浄用樹脂組成物を作製した。
【0051】
【表1】
【0052】
(比較製造例1及び2)
表2に示すように、配合物質及び配合割合を変更した以外は、製造例17〜26と同様にして、表2に示される配合物質よりなる樹脂組成物をそれぞれ作製し、下記比較例で用いた。なお、比較製造例1及び2より得られた樹脂組成物をそれぞれ比較試験物1及び2とした。
【0053】
【表2】
【0054】
(実施例1及び比較例1)
25日稼動で1年間、それぞれ同様のポリエチレン成型体の製造に使用している65mm押出成型機(但し、ダイス径300mmのもの)を12基選び、表3に示した如く、各1基毎に試験物として製造例17〜26の成型機清浄用樹脂組成物(実施例1−1〜実施例1−10)及び上記2種類の比較試験物1及び2(比較例1−1及び比較例1−2)をそれぞれ20kgづつ、185℃の加熱下に通過させた後、成型機の清浄性を観察した。
【0055】
以下に述べる評価基準にしたがい、表3に試験結果を示したが、本発明のパージ機能性材料を含有する成型機清浄用樹脂組成物は非常に優れた清浄作用を呈することが確認された。
【0056】
(1)無機物由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
A…成型機内の付着固体や腐食部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
B…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
C…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
D…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0057】
(2)樹脂由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
◎…成型機内の炭化物や焼付き部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
○…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
△…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
×…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0058】
【表3】
【0059】
(実施例2及び比較例2)
予め清浄化処理されている実施例1及び比較例1と同様の押出成型機12基に対し、ブルー着色マスターバッチ(但し、東京インキ株式会社製PEX−3152を使用)5%と無着色ポリエチレンペレット(但し、東ソー株式会社製ペトロセン183)95%とをドライブレンドさせたものを100kgシリンダー温度185℃で先行して通過させた。しかる後、表4に示した如く、各1基毎に試験物として製造例17〜26の成型機清浄用樹脂組成物(実施例2−1〜実施例2−10)及び前記比較試験物1〜2(比較例2−1〜比較例2−2)をそれぞれ上述の温度条件で必要量通過させ、色抜きパージ性能を調べた。
【0060】
以下に述べる評価基準にしたがい、表4に試験結果を示したが、本発明の成型機清浄用樹脂組成物の良好なパージ性能が確認された。
【0061】
パージ性能の評価基準は次の通りである。
良好…試験物の使用量が25kg未満で色抜きができたもの。
やや劣る…試験物の使用量が25kg以上100kg未満で色抜きができたもの。
不良…色抜きが完全にできるまで、試験物の使用量が100kg以上要したもの。
【0062】
【表4】
【0063】
(実施例3及び比較例3)
予め清浄化処理されている実施例2及び比較例2と同様の押出成型機12基に対し、ブルー着色マスターバッチ(但し、東京インキ株式会社製PEX−3152を使用)5%と無着色ポリプロピレンペレット(但し、日本ポリオレフィン株式会社製FA235−1、ガラス転移点:−10℃)95%とをドライブレンドさせたものを100kg230℃の温度条件で先行して通過させた。しかる後、表5に示した如く、各1基毎に試験物として製造例17〜26の成型機清浄用樹脂組成物(実施例3−1〜実施例3−10)及び前記比較試験物1〜2(比較例3−1〜比較例3−2)をそれぞれ必要量185℃の温度条件で通過させ、色抜きパージ性能を調べた。
【0064】
実施例2と同様に、以下に述べる評価基準にしたがい、表5に試験結果を示したが、ポリプロピレンについても本発明の成型機清浄用樹脂組成物の良好なパージ性能が確認された。
【0065】
パージ性能の評価基準は次の通りである。
良好…試験物の使用量が15kg未満で色抜きができたもの。
やや劣る…試験物の使用量が15kg以上50kg未満で色抜きができたもの。
不良…色抜きが完全にできるまで、試験物の使用量が50kg以上要したもの。
【0066】
【表5】
【0067】
(製造例27〜34)
表6に示す配合割合により、本発明のパージ機能性材料を含有してなる本発明の成型機清浄用樹脂組成物を混練り機により作製した。なお、SBR−1500(日本ゼオン株式会社製)は、−50℃以下のガラス転移点を有するスチレンブタジエン系重合体である。
【0068】
【表6】
【0069】
(比較製造例3及び4)
製造例27〜34と同様にして、表7に示す配合物質及び配合割合よりなるエラストマー組成物を作製した。なお、比較製造例3及び4より得られたエラストマー組成物をそれぞれ比較試験物3及び4とした。
【0070】
【表7】
【0071】
(実施例4及び比較例4)
25日稼動で1年間、それぞれ同様のゴム製品を製造しているプレス加工機(但し、加重150tのもの)を10基選び、表8に示した如く、各1基毎に試験物として製造例27〜34の成型機清浄用樹脂組成物(実施例4−1〜実施例4−8)及び比較試験物3、4(比較例4−1及び比較例4−2)の100重量部に対して2.5重量部のイオウを添加したものを仕込み、165℃で10分間、それぞれ加硫処理した。しかる後、試験物を加工機から取り出し、清浄性を観察した。
【0072】
以下に述べる評価基準にしたがい、表8に試験結果を示したが、本発明のパージ機能性材料を含有する成型機清浄用樹脂組成物がゴム成型機に対しても優れた清浄作用を呈することが確認された。
【0073】
(1)無機物由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
A…成型機内の付着固体や腐食部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
B…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
C…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
D…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0074】
(2)ゴム由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
◎…成型機内の炭化物や焼付き部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
○…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
△…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
×…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0075】
(3)離型性
評価基準は次の通りである。
良好…加硫操作終了後の高温下で型離れが円滑にできたもの。
やや劣る…高温下では型離れに難があるが、冷却した時点で円滑にできたもの。
不良…成型機との間の付着力が増し、冷却した時点でも型離れに難があるもの。
【0076】
【表8】
【0077】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、界面活性能を呈する半極性有機ホウ素化合物及び/又はそれが構造変位してなる塩基性窒素を有する窒素化合物との間のイオン結合体が新機構型のパージ機能性材料となり、作用媒体である熱可塑性樹脂と共にプラスチック、ゴム成型における成型機内の前加工物残渣を排除させることに止らず、種々の使用原料の劣化や熱変化吸着物及び成型機自体の腐食変化部分等に作用して、それらを剥離させ、更に、効率良く成型機清浄用樹脂組成物中に包み込み込んだ後、再付着させないという有益な分散力を示すために、成型機の初期性能への回復と保護をなし得る。
【0078】
よって、本発明のパージ機能性材料又は該パージ機能性材料を含有させてなる本発明の成型機清浄用樹脂組成物を使用する本発明の成型機清浄方法により成型機の運転状態を常に最高の条件に保ちつつ、しかも、加工製品をより正確に再現性良く、効率的に製造できるので、プラスチック産業における品質保全と合理化に大いに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成型機清浄方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【図2】本発明の成型機清浄方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチック及びゴム成型機内部の清浄化剤並びに清浄方法に関し、更に詳しくは、パージ機能性の優れた材料及びそれを含有してなる成型機清浄用樹脂組成物並びにそれらを使用する成型機清浄方法に関する。
【0002】
【関連技術】
現代、プラスチック並びにゴム成型品は我々の生活にとって欠かせないものとなり、多量に使われているが、加工性に優れ、また、用途が多様な熱可塑樹脂の占める割合が圧倒的である。それらは、単なる無着色製品から各種の着色製品、さらには、高濃度の無機物粉体含有製品等、多岐に亘っているために、加工現場では品種の切り替えに合わせて、その都度、前成型残存物を完全に成型機から排出させる必要があり、また、成型機に固着する性質の強い無機物材料や炭化物等については成型機を分解して、物理的に剥離、除去する必要があった。
【0003】
このうち、着色製品の色替え時作業を円滑に行うために、加熱した成型機に無着色原料樹脂を流して溶融除去させる操作が一般的であり、さらに、近年、無着色原料樹脂の中にテトラヘドラル型アニオン性ホウ素化合物の重金属塩(特許文献1)や親水性のポリオールを出発物質とするトリエステル型ノニオン性ホウ酸エステルポリマー(特許文献2)を混入させた組成物をそのままか若しくは無着色原料樹脂と同時に加熱した成型機内に融解させつつ流すことによって、清浄化の時間短縮をはかるという技術が公表されてきている。
【0004】
しかしながら、これら二つの技術の元になっているホウ素化合物類は、一方は全く水に溶けない構造のものであり、また、もう一方は炭化水素と親和しない構造のものであるために、単なる摩擦作用とか、反対に滑り効果によって成型機内の残留原料を取り出すことに重点を置いており、それ程吸着力の強くない大きい有機汚れを除去することでは有効であるが、炭化して、成型機壁に強くこびり付いているものや、細部の隙間にたまっている顔料粒子やその他の無機物充填剤等の残存汚れや成型機自体の腐食部分を除去する能力を持ち合わせていず、したがって、パージ効果が不完全であるばかりか、堆積した汚れが絶えず熱履歴を伴って変質し、成型機内に一層強く吸着していくことを阻止できなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−53774号
【特許文献2】
特開平10−77419号
【非特許文献1】
「油化学、第29巻、第12号」893〜900頁、1980年
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記した問題点に鑑みなされたもので、プラスチック又はゴム成型機の清浄化において、前加工物の機内残存成型物の排出と共に焼き付いた原料樹脂や余剰無機充填剤粒子及び金属腐食物をも剥離し、包み込んで除去させることを行い、現加工物の成型品質を再現性良く保護するという界面活性有機ホウ素化合物である新規なパージ機能性材料及びそれを含有してなる新規なパージ機能性成型機清浄用樹脂組成物、並びにそれらを使用する成型機清浄方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意研修を重ねた結果、イオン型へ構造変位する特徴を有しながら、通常はノニオンとしての性質を示す半極性有機ホウ素化合物の一群が水溶性、不水溶性を問わず種々の有機化合物と相溶し、かつ、界面活性を呈して界面へ移行すると共に優れた浸透、剥離作用と固体分散作用を現すことに着目して、該半極性有機ホウ素化合物を熱可塑性樹脂の中に練込み、パージ機能性を調べたところ、強固に成型機内にこびり付いて残っている汚染物質を極めて円滑に剥離除去するという事実を見出した。さらに、それらの半極性有機ホウ素界面活性剤の構造の一部若しくは全部を塩基性窒素原子を最小限1個有する窒素化合物と反応させて、水溶性の良好なイオン型へと変換させたもの及びそれを熱可塑性樹脂の中に練込んだ組成物も同様に優れたパージ機能性を有するという事実を見出し、これらの知見に基いて本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明のパージ機能性材料は、下記構造式(1)にて表わされる原子団を有する半極性有機ホウ素化合物(以下、所定の有機ホウ素化合物と称する)の1種以上及び/又は上記所定の有機ホウ素化合物の1種以上と塩基性窒素を最小限1個有する窒素化合物の1種以上との反応物よりなることを特徴とする。
【0009】
【化2】
【0010】
本発明の成型機清浄用樹脂組成物は、本発明のパージ機能性材料の1種以上を熱可塑性樹脂に0.1〜10重量%含有させてなることを特徴とする。
【0011】
本発明の成型機清浄方法の第1の態様は、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明のパージ機能性材料を付着させた後、熱可塑性樹脂を該プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に投入し、次いで、この熱可塑性樹脂をそのガラス転移点以上の温度条件で該プラスチック又はゴム成型機の内部部分に接触させた後、該パージ機能性材料及び熱可塑性樹脂の混合物を排出させることを特徴とする。
【0012】
本発明の成型機清浄方法の第2の態様は、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明の成型機清浄用樹脂組成物を投入し、この成型機清浄用樹脂組成物をそのガラス転移点以上の温度条件で該プラスチック又はゴム成型機の内部部分に接触させた後、該成型機清浄用樹脂組成物を排出させることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明するが、これらの実施の形態は例示的に示されるもので、本発明の技術思想から逸脱しない限り種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0014】
本発明における所定の有機ホウ素化合物は、隣接ヒドロキシル基を有する多価アルコールとホウ酸、無水ホウ酸若しくは低級アルコールのホウ酸エステルとを用いて、ヒドロキシル基4個に対してホウ素原子1個の割合でエステル化若しくはエステル交換させて、分子中にSP2とSP3の中間の軌道を呈する前記構造式Iよりなる半極性構造を形成させることにより得られるもので、ホウ素を中心原子とする半極性構造の部分は1個でも、それ以上存在していても良く、また、所定の有機ホウ素化合物そのものは低分子物質でも、高分子物質でも良い。さらに、所定の有機ホウ素化合物の性状は、親水性でも親油性でも良い。
【0015】
本発明において、場合により所定の有機ホウ素化合物と反応させる塩基性窒素を最小限1個有する窒素化合物は、その塩基性窒素の部分が一級、二級及び三級アミンのいずれでも良く、また、それらが混在しているポリアミンでも良い。さらに、それらの窒素化合物の性状は親水性でも親油性でも良い。
【0016】
ここで、本発明のパージ機能性材料である所定の有機ホウ素化合物が製造されて特異な半極性構造を呈していることや、さらに、その半極性構造の部分が塩基性窒素と反応して、より親水性の大きいイオン型へと構造変位することの確認は、本発明者が行った過去の基礎研究によって既になされており(非特許文献1)、本発明もそれに準じてパージ機能性材料のいくつかの例を製造した。
【0017】
次に、本発明の成型機清浄用樹脂組成物は、母材である熱可塑性樹脂のガラス転移点以上の温度で母材樹脂と前記パージ機能性材料を均一混合させつつ、ペレット化若しくはチップ化することで、作製される。
【0018】
その際の母材である熱可塑性樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリエステル、ポリアミド及び硫黄、過酸化物等の加硫剤等との反応前の非架橋ゴム類等を挙げることができる。
【0019】
なお、母材である熱可塑性樹脂とパージ機能性材料との配合において、パージ機能性材料の含有割合が0.1重量%未満であると、成型機清浄作用の促進が殆どなされず、一方、10重量%より多い場合には、均質なパージ機能性成型機清浄用樹脂組成物が製造できにくくなるので、共に好ましくない。
【0020】
以下に本発明の成型機清浄方法について図1及び図2を参照して説明する。図1は本発明の成型機清浄方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。図2は本発明の成型機清浄方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【0021】
図1に示すように、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明のパージ機能性材料の1種以上を予め付着させておき(ステップ100)、熱可塑性樹脂を該パージ機能性材料の付着したプラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に投入し(ステップ102)、上記熱可塑性樹脂をそのガラス転移点以上に加熱し(ステップ104)、上記プラスチック又はゴム成型機の内部部分に、上記加熱された熱可塑性樹脂を接触させ(ステップ106)、上記プラスチック又はゴム成型機から上記パージ機能性材料及び上記熱可塑性樹脂の混合物を排出させることにより(ステップ108)、上記プラスチック又はゴム成型機を清浄することができる(ステップ110)。
【0022】
上記方法において、本発明のパージ機能性材料が、パージ機能性材料及び熱可塑性樹脂の混合物中に、0.1〜10重量%含有されるように本発明のパージ機能性材料及び熱可塑性樹脂を配合することが好ましい。
【0023】
また、図2に示すように、プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、本発明の成型機清浄用樹脂組成物を投入し(ステップ200)、上記成型機清浄用樹脂組成物をそのガラス転移点以上に加熱し(ステップ202)、上記プラスチック又はゴム成型機の内部部分に、上記加熱された成型機清浄用樹脂組成物を接触させ(ステップ204)、上記プラスチック又はゴム成型機から上記成型機清浄用樹脂組成物を排出させることにより(ステップ206)、上記プラスチック又はゴム成型機を清浄することもできる(ステップ208)。
【0024】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明のパージ機能性材料の製造例について説明し、次いで、本発明の成型機清浄用樹脂組成物の作製例及び本発明の成型機清浄方法に関する性能試験結果について説明するが、これらの実施例は例示的に示されるもので限定的に解釈されるべきでないことはいうまでもない。また、これらの実施例において記載された「%」は重量%を意味する。
【0025】
(製造例1)
揮拌機、温度計、気体流入管及び検量管付きアダプターを備えた密閉型反応装置に、オクタデコキシポリ(10)オキシエチレングリセリンエーテル1570.2g(2モル)とトリエチルボラート146.0g(1モル)を仕込み、N2ガスを通じつつ、100〜140℃で3時間を要して138.3g(3モル)のエチルアルコールを系外に留出させ、下記構造式2よりなる本発明のパージ機能性材料を製造した。
【0026】
【化3】
【0027】
(製造例2)
製造例1と同様の装置に、デセンオキシド312.5g(2モル)とホウ酸61.8g(1モル)を仕込み、N2ガスを通じつつ、はじめに120〜130℃で2時間を要して開環エステル化反応を行った。しかる後、内温を180℃に上げ、180〜200℃で3時間を要して18g(1モル)の水を系外に留出させ、下記構造式3よりなる本発明のパージ機能性材料を製造した。
【0028】
【化4】
【0029】
(製造例3)
製造例1と同様の装置に、ジグリセリン166.2g(1モル)とホウ酸61.8g(1モル)を仕込み、15〜20mmHgの減圧下で、210〜220℃で5時間反応させて、54g(3モル)の水を系外に留出させて、はじめに下記構造式4よりなる半極性有機ホウ素高分子化合物である本発明のパージ機能性材料を合成した。
【0030】
【化5】
【0031】
(製造例4)
上記製造例3と同様の手順により半極性有機ホウ素高分子化合物を合成し、次いで、内温を100℃まで下げた後、N2ガスを通じて内部を常圧にし、2−ヒドロキシエチルウンデシルイミダゾリン268.4g(1モル)を投入して、90〜100℃で10時間反応させ、下記構造式5よりなる本発明のパージ機能性材料を製造した。
【0032】
【化6】
【0033】
(製造例5〜16)
製造例1、2若しくは3の方法に準じて、半極性有機ホウ素化合物及び/又はそれに由来するN+・B−結合体の構造式からなる本発明のパージ機能性材料をそれぞれ製造した。製造例5〜16より、それぞれ下記構造式6〜17からなるパージ機能性材料が製造される。
【0034】
【化7】
【0035】
【化8】
【0036】
【化9】
【0037】
上記構造式(8)において、a+b=25である。
【0038】
【化10】
【0039】
【化11】
【0040】
【化12】
【0041】
【化13】
【0042】
【化14】
【0043】
【化15】
【0044】
【化16】
【0045】
【化17】
【0046】
上記構造式(16)において、a+b=8である。
【0047】
【化18】
【0048】
(製造例17)
表1に示した如く、ポリエチレンパウダー(但し、東ソー株式会社製ペトロセンNM15PWを使用、ガラス転移点:−30℃)5.0%、直鎖状低密度ポリエチレンペレット(但し、東ソー株式会社製FS240Aを使用、ガラス転移点:−30℃)94.0%及び製造例1の本発明のパージ機能性材料1.0%からなる混合物を連続混練押出機に仕込み、シリンダー温度185℃にて、ペレット状の本発明の成型機清浄用樹脂組成物を作製した。
【0049】
(製造例18)
表1に示した如く、ポリエチレンパウダー(但し、東ソー株式会社製ペトロセンNM15PWを使用)4.0%、低密度ポリエチレンペレット(但し、東ソー株式会社製ペトロセン183を使用、ガラス転移点:−30℃)94.5%、製造例2の本発明のパージ機能性材料1.0%及び製造例4の本発明のパージ機能性材料0.5%からなる混合物を連続混練押出機に仕込み、製造例17と同様にして本発明の成型機清浄用樹脂組成物を作製した。
【0050】
(製造例19〜26)
製造例17及び18と同様にして、表1に示す配合割合によって本発明の成型機清浄用樹脂組成物を作製した。
【0051】
【表1】
【0052】
(比較製造例1及び2)
表2に示すように、配合物質及び配合割合を変更した以外は、製造例17〜26と同様にして、表2に示される配合物質よりなる樹脂組成物をそれぞれ作製し、下記比較例で用いた。なお、比較製造例1及び2より得られた樹脂組成物をそれぞれ比較試験物1及び2とした。
【0053】
【表2】
【0054】
(実施例1及び比較例1)
25日稼動で1年間、それぞれ同様のポリエチレン成型体の製造に使用している65mm押出成型機(但し、ダイス径300mmのもの)を12基選び、表3に示した如く、各1基毎に試験物として製造例17〜26の成型機清浄用樹脂組成物(実施例1−1〜実施例1−10)及び上記2種類の比較試験物1及び2(比較例1−1及び比較例1−2)をそれぞれ20kgづつ、185℃の加熱下に通過させた後、成型機の清浄性を観察した。
【0055】
以下に述べる評価基準にしたがい、表3に試験結果を示したが、本発明のパージ機能性材料を含有する成型機清浄用樹脂組成物は非常に優れた清浄作用を呈することが確認された。
【0056】
(1)無機物由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
A…成型機内の付着固体や腐食部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
B…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
C…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
D…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0057】
(2)樹脂由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
◎…成型機内の炭化物や焼付き部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
○…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
△…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
×…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0058】
【表3】
【0059】
(実施例2及び比較例2)
予め清浄化処理されている実施例1及び比較例1と同様の押出成型機12基に対し、ブルー着色マスターバッチ(但し、東京インキ株式会社製PEX−3152を使用)5%と無着色ポリエチレンペレット(但し、東ソー株式会社製ペトロセン183)95%とをドライブレンドさせたものを100kgシリンダー温度185℃で先行して通過させた。しかる後、表4に示した如く、各1基毎に試験物として製造例17〜26の成型機清浄用樹脂組成物(実施例2−1〜実施例2−10)及び前記比較試験物1〜2(比較例2−1〜比較例2−2)をそれぞれ上述の温度条件で必要量通過させ、色抜きパージ性能を調べた。
【0060】
以下に述べる評価基準にしたがい、表4に試験結果を示したが、本発明の成型機清浄用樹脂組成物の良好なパージ性能が確認された。
【0061】
パージ性能の評価基準は次の通りである。
良好…試験物の使用量が25kg未満で色抜きができたもの。
やや劣る…試験物の使用量が25kg以上100kg未満で色抜きができたもの。
不良…色抜きが完全にできるまで、試験物の使用量が100kg以上要したもの。
【0062】
【表4】
【0063】
(実施例3及び比較例3)
予め清浄化処理されている実施例2及び比較例2と同様の押出成型機12基に対し、ブルー着色マスターバッチ(但し、東京インキ株式会社製PEX−3152を使用)5%と無着色ポリプロピレンペレット(但し、日本ポリオレフィン株式会社製FA235−1、ガラス転移点:−10℃)95%とをドライブレンドさせたものを100kg230℃の温度条件で先行して通過させた。しかる後、表5に示した如く、各1基毎に試験物として製造例17〜26の成型機清浄用樹脂組成物(実施例3−1〜実施例3−10)及び前記比較試験物1〜2(比較例3−1〜比較例3−2)をそれぞれ必要量185℃の温度条件で通過させ、色抜きパージ性能を調べた。
【0064】
実施例2と同様に、以下に述べる評価基準にしたがい、表5に試験結果を示したが、ポリプロピレンについても本発明の成型機清浄用樹脂組成物の良好なパージ性能が確認された。
【0065】
パージ性能の評価基準は次の通りである。
良好…試験物の使用量が15kg未満で色抜きができたもの。
やや劣る…試験物の使用量が15kg以上50kg未満で色抜きができたもの。
不良…色抜きが完全にできるまで、試験物の使用量が50kg以上要したもの。
【0066】
【表5】
【0067】
(製造例27〜34)
表6に示す配合割合により、本発明のパージ機能性材料を含有してなる本発明の成型機清浄用樹脂組成物を混練り機により作製した。なお、SBR−1500(日本ゼオン株式会社製)は、−50℃以下のガラス転移点を有するスチレンブタジエン系重合体である。
【0068】
【表6】
【0069】
(比較製造例3及び4)
製造例27〜34と同様にして、表7に示す配合物質及び配合割合よりなるエラストマー組成物を作製した。なお、比較製造例3及び4より得られたエラストマー組成物をそれぞれ比較試験物3及び4とした。
【0070】
【表7】
【0071】
(実施例4及び比較例4)
25日稼動で1年間、それぞれ同様のゴム製品を製造しているプレス加工機(但し、加重150tのもの)を10基選び、表8に示した如く、各1基毎に試験物として製造例27〜34の成型機清浄用樹脂組成物(実施例4−1〜実施例4−8)及び比較試験物3、4(比較例4−1及び比較例4−2)の100重量部に対して2.5重量部のイオウを添加したものを仕込み、165℃で10分間、それぞれ加硫処理した。しかる後、試験物を加工機から取り出し、清浄性を観察した。
【0072】
以下に述べる評価基準にしたがい、表8に試験結果を示したが、本発明のパージ機能性材料を含有する成型機清浄用樹脂組成物がゴム成型機に対しても優れた清浄作用を呈することが確認された。
【0073】
(1)無機物由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
A…成型機内の付着固体や腐食部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
B…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
C…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
D…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0074】
(2)ゴム由来付着汚染物の清浄性
評価基準は次の通りである。
◎…成型機内の炭化物や焼付き部が除去されて、きれいな表面を完全に復活させているもの。
○…成型機内はきれいな表面を復活させてきているが、まだ不完全なもの。
△…成型機内はきれいな表面状態にはまだなっていないが、試験物中への汚染物の移行が見られるもの。
×…試験物中への汚染物の移行が殆ど無く、成型機内に汚染物を多く残存させているもの。
【0075】
(3)離型性
評価基準は次の通りである。
良好…加硫操作終了後の高温下で型離れが円滑にできたもの。
やや劣る…高温下では型離れに難があるが、冷却した時点で円滑にできたもの。
不良…成型機との間の付着力が増し、冷却した時点でも型離れに難があるもの。
【0076】
【表8】
【0077】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明によれば、界面活性能を呈する半極性有機ホウ素化合物及び/又はそれが構造変位してなる塩基性窒素を有する窒素化合物との間のイオン結合体が新機構型のパージ機能性材料となり、作用媒体である熱可塑性樹脂と共にプラスチック、ゴム成型における成型機内の前加工物残渣を排除させることに止らず、種々の使用原料の劣化や熱変化吸着物及び成型機自体の腐食変化部分等に作用して、それらを剥離させ、更に、効率良く成型機清浄用樹脂組成物中に包み込み込んだ後、再付着させないという有益な分散力を示すために、成型機の初期性能への回復と保護をなし得る。
【0078】
よって、本発明のパージ機能性材料又は該パージ機能性材料を含有させてなる本発明の成型機清浄用樹脂組成物を使用する本発明の成型機清浄方法により成型機の運転状態を常に最高の条件に保ちつつ、しかも、加工製品をより正確に再現性良く、効率的に製造できるので、プラスチック産業における品質保全と合理化に大いに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の成型機清浄方法の第1の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
【図2】本発明の成型機清浄方法の第2の態様の手順の大略を示すフローチャートである。
Claims (4)
- 請求項1記載のパージ機能性材料の1種以上を熱可塑性樹脂に0.1〜10重量%含有させてなることを特徴とする成型機清浄用樹脂組成物。
- プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、請求項1記載のパージ機能性材料を付着させた後、熱可塑性樹脂を該プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に投入し、次いで、この熱可塑性樹脂をそのガラス転移点以上の温度条件で該プラスチック又はゴム成型機の内部部分に接触させた後、該パージ機能性材料及び熱可塑性樹脂の混合物を排出させることを特徴とする成型機清浄方法。
- プラスチック又はゴム成型機の清浄すべき内部部分に、請求項2記載の成型機清浄用樹脂組成物を投入し、この成型機清浄用樹脂組成物をそのガラス転移点以上の温度条件で該プラスチック又はゴム成型機の内部部分に接触させた後、該成型機清浄用樹脂組成物を排出させることを特徴とする成型機清浄方法。
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