JPH11209512A - ゴムの再生方法 - Google Patents

ゴムの再生方法

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JPH11209512A
JPH11209512A JP2934598A JP2934598A JPH11209512A JP H11209512 A JPH11209512 A JP H11209512A JP 2934598 A JP2934598 A JP 2934598A JP 2934598 A JP2934598 A JP 2934598A JP H11209512 A JPH11209512 A JP H11209512A
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vulcanized rubber
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Makoto Mori
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Hirotaka Okamoto
浩孝 岡本
Norio Sato
紀夫 佐藤
Noriyuki Suzuki
憲之 鈴木
Yasuyuki Suzuki
康之 鈴木
Masao Owaki
雅夫 大脇
Katsumi Nakajima
克己 中島
Toru Yoshida
徹 吉田
Katsumasa Takeuchi
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  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
  • Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 加硫ゴムの再生と熱可塑性樹脂との複合を簡
便に行い,高品位で利用価値の高い再生ゴム複合材等を
得ることができる,ゴムの再生方法を提供する。 【解決手段】 加硫ゴムを,熱可塑性樹脂と共存させた
状態で,該熱可塑性樹脂の溶融温度以上でかつ上記加硫
ゴムの脱硫温度以上で加熱すると共にせん断力を加え
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,ゴム廃材等の加硫ゴムを再生す
るためのゴムの再生方法に関する。
【0002】
【従来技術】従来,タイヤ廃材等のゴム製品廃材の再利
用が行われている。ゴム製品は加硫ゴムからなるため,
再利用するにあたっては,従来,ゴム廃材等の加硫ゴム
を脱硫し,硫黄等の加硫剤添加による再加硫が行われ
る。しかし,再生ゴムの再加硫物は,生ゴムを加硫させ
た一般のゴムよりも物性が低い。かかるゴムの再利用の
方法として,従来,例えば,ゴム粉法,パン(PAN)
法等がある。
【0003】ゴム粉法は,ゴム廃材等の加硫ゴムを数百
μmまで微粉砕し,生ゴムにブレンドして再利用する技
術である。パン法は,ゴム廃材等の加硫ゴムに分解剤及
び再生油を加え,オートクレーブ中で200℃,14.
5kg/cm2 ,5時間程度で処理し,その後,仕上げ
ロールを用いて精練を行う方法である。この方法により
得られた再生ゴムは,可塑性に富む。
【0004】また,熱可塑性樹脂繊維を含んだゴム廃材
等の加硫ゴム(例えば,廃タイヤ)再利用に関しては,
特開昭56−76349号公報に開示されている。この
方法は,簡易再生法を利用した技術である。即ち,ま
ず,ゴム廃材等の加硫ゴム粉末を脱硫処理で無定化した
後,硫黄を加えて混練し,さらにゴム状弾性を有する熱
可塑性樹脂を加えて加硫温度以上で加熱混練することに
より,射出成形素材を得るという技術である。
【0005】また,特開平5−329842号公報に
は,ゴムに含有する繊維をその形状を維持した状態でゴ
ム製品を得る技術が開示されている。
【0006】
【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の方
法においては,以下の問題がある。ゴム粉法では,未加
硫ゴムに加硫ゴムを添加しているが,加硫ゴムは未加硫
ゴムとなじみが悪い。そのため,このゴム粉法によるゴ
ム加硫物は,生ゴムを加硫させて得た一般のゴムよりも
物性が低くなる。また,ゴム粉法において上記繊維が含
まれている場合には,廃材等の加硫ゴムの粉砕工程で繊
維が絡み合って凝集し,混練時に分散不良箇所となって
ゴム加硫物である成形品の表面品質や物性が更に低くな
ることがある。
【0007】パン法において熱可塑性樹脂繊維が含まれ
ているゴム廃材等の加硫ゴムの再生を行った場合には,
パン法での上記標準処理温度が熱可塑性樹脂の溶融温度
以下であることから,再生ゴムの中に繊維がその形状を
維持したまま残存したり,ストレーナがすぐに目づまり
したりすることになる。また,この状態で仕上げロール
を行うと,繊維が絡み合って凝集するため,この凝集部
分が繊維の分散不良箇所となり,再加硫物である成形品
の表面品質や物性が低下する。
【0008】また,仮に,繊維存在下でゴム廃材等の加
硫ゴムを,熱可塑性樹脂の溶融温度以上で処理したとし
ても,溶融した熱可塑性樹脂にはせん断力が加わってい
ないため,凝集して数百μm以上の塊状粒子になる。そ
のため,この塊状粒子の部分が再加硫物である成形品の
表面品質や物性を低下させることとなる。
【0009】ゴム粉法やパン法などの従来法でも,予め
繊維を除去すれば繊維を含んだゴム廃材等の加硫ゴムの
再利用に適用可能である。しかし,そのためには,凍結
粉砕により微粉化した後に,風選などにより分離する必
要があり,コスト高となっていた。
【0010】また,特開平5−329842号公報の技
術では,パン法と同様の問題がある。そのため,得られ
るゴムの再加硫物の用途は,土木,建築などに用いる表
面品質を要求されないものに限定される。
【0011】また,特開昭56−76348号公報に開
示されている技術には,上記パン法における問題に加え
て,以下の問題がある。 脱硫工程,加硫剤添加工程,熱可塑性樹脂との混練・
再加硫工程の3工程からなり,工程が複雑であり,手間
とコストがかかる。 粘着性及び物性の改善のために硫黄の添加による再加
硫が必要である。 加硫剤を添加した脱硫ゴム及び熱可塑性樹脂を加硫温
度以上で加熱混練するため,脱硫ゴムは再加硫されなが
ら熱可塑性樹脂相内に分散する。この方法では,微細分
散化は困難であり,ゴム相と熱可塑性樹脂相とがアロイ
化した組成物は得られ難い。 タイヤ廃材等の加硫ゴムとゴム状弾性の熱可塑性樹脂
とから射出成形用素材を得ることができるが,得られる
材料がゴム状弾性体となるため用途範囲が限定され,技
術の利用価値も低い。
【0012】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,加硫
ゴムの再生と熱可塑性樹脂との複合を簡便に行い,高品
位で利用価値の高い再生ゴム複合材等(再生ゴム複合
材,再加硫ゴム複合材)を得ることができる,ゴムの再
生方法を提供しようとするものである。
【0013】
【課題の解決手段】本発明は,加硫ゴムを,熱可塑性樹
脂と共存させた状態で,該熱可塑性樹脂の溶融温度以上
でかつ上記加硫ゴムの脱硫温度以上で加熱すると共にせ
ん断力を加えることを特徴とするゴムの再生方法であ
る。
【0014】本発明において最も注目すべきことは,加
硫ゴムを熱可塑性樹脂共存下で上記の温度以上で加熱し
つつせん断力を与えることである。これにより,加硫ゴ
ムを脱硫して再生ゴムとなし,熱可塑性樹脂と複合化し
て,ゴムと熱可塑性樹脂との複合材を得ることができ
る。
【0015】即ち,加硫ゴムを熱可塑性樹脂との共存下
で,熱可塑性樹脂の溶融温度以上で,かつ加硫ゴムの脱
硫温度以上の熱と,せん断力とを加えることにより,熱
可塑性樹脂が溶融して,脱硫した再生ゴムと,熱可塑性
樹脂とが十分に混練する。そのため,分散相となったも
のが,マトリックス相の中で微細に分散する。例えば,
分散相が熱可塑性樹脂であり,マトリックス相が再生ゴ
ムである場合には,熱可塑性樹脂が,再生ゴムの中で微
細粒子化して微分散することができる。
【0016】また,繊維等の形状を有する熱可塑性樹脂
の凝集を抑制し,再生ゴム複合材等のゴム特性の低下を
防止できる。また,再生ゴム複合材等の特性を,ゴム単
味と同程度の特性に保持できる。更に,熱可塑性樹脂が
充填材として作用するため,再生ゴム複合材等の耐摩耗
性等の特性が向上する。また,せん断力の付与及び加硫
剤の添加によって混練時に同時に脱硫ゴムの動的加硫が
行われる。そのため,より高品位のブレンド材を得るこ
とができる。
【0017】また,加硫ゴムを熱可塑性樹脂共存下で加
熱及びせん断力の付与を行うことにより,加硫ゴムの脱
硫反応と熱可塑性樹脂との混合が同時に行われる。この
脱硫の際に,熱可塑性樹脂又は脱硫ゴムからなる分散相
が微細に分散するとともに,加硫ゴムの硫黄架橋結合等
の架橋結合が切断して多くのラジカルが発生する。この
ラジカルによって,再生ゴムと熱可塑性樹脂とが化学結
合して両者が複合化する。従って,従来の再生ゴムでは
得られない新規な特性を有する再生ゴム複合材等を得る
ことができ,再生ゴム複合材等の高付加価値化が実現で
きる。
【0018】また,加硫ゴムの再生を熱可塑性樹脂の共
存下で行っているため,加硫ゴムの再生と補強とを同時
に行うことができ,工程数を削減でき簡略化を図ること
ができる。
【0019】なお,本発明の説明において,再生とは,
加硫ゴムを脱硫して,ゴムとして再利用可能な状態にす
ることをいい,ゴムが未加硫の状態のままで利用しても
良いし,再加硫して利用しても良い。また,ゴムのラジ
カルと熱可塑性樹脂とが化学結合して両者が複合化した
ものでも良い。
【0020】次に,本発明の詳細について説明する。 (加硫ゴム)加硫ゴムは,ゴム製品の製造原料となる生
ゴムに,硫黄又は硫黄化合物,過酸化物等の加硫剤を混
合して架橋結合を形成させて,エラストマー又はゴムの
性状を示すようにしたものである。好ましくは,加硫ゴ
ムは,上記生ゴムに加硫剤を混合し,炭素主鎖間に−S
−結合,−S−S−結合,−S−S−S−結合等の多種
の硫黄架橋結合を形成して,加熱及びせん断力付与の際
に,架橋結合が選択的に切断されラジカルが発生しやす
い状態になっているエラストマー又はゴムが良い。
【0021】かかるエラストマー又はゴムとしては,具
体的には,天然ゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴ
ム,ブチルゴム,エチレン−プロピレンゴム,スチレン
−ブタジエンゴム,EPDM(エチレンプロピレンジエ
ンターポリマーを意味する。以下,同様),ニトリルゴ
ム,アクリルゴム,アクリルニトリル−ブタジエンゴム
等が挙げられる。
【0022】また,加硫ゴムは,1種類からなるもので
あってもよいが,2種類以上のものが混合していてもよ
い。その混合状態は,ある程度の大きさのゴムの塊が集
合した状態でもよいし,また1mm以下に分散されてい
る状態でもよい。また,単独加硫物の粉砕物の2種類以
上が混合されているようなものであってもよい。混合さ
れるゴムの種類は基本的にはどのようなものでも良い
が,安定した特性を有する再生物を得る観点から,ゴム
の分子構造,極性等が近いものが好ましい。具体的に
は,例えば,天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴム,天
然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムとブタジエンゴムの
組合わせがある。
【0023】加硫ゴムは,種々のゴム材から得られる。
例えば,ゴムタイヤ,ウェザーストリップ,ホース,ピ
ストンカップ,ベルト,フロアーカーペット等のゴム部
品,使用済み廃材,新材の端材,成形不良品等から得ら
れる。これら各種のゴム材は混合して用いてもよいが,
安定した特性を有する再生物を得る観点から,単一部材
を用いた方が好ましい。
【0024】ゴム材は,熱可塑性樹脂との複合材であっ
てもよい。かかる複合材としては,例えば,熱可塑性樹
脂を裏打ち材又は/及び表皮材に用いているゴム製カー
ペット,熱可塑性樹脂繊維添加により強化されたホース
等がある。加硫ゴムと熱可塑性樹脂とからなる複合材を
ゴム材として用いる場合には,熱可塑性樹脂を別途添加
することなく,加熱及びせん断力付与だけで再生ゴム複
合材等が得られる。もちろん,複合材に更に熱可塑性樹
脂を添加してもよい。加硫ゴムとして既に再生した再生
ゴムの再加硫複合材を用いることもできる。
【0025】加硫ゴムは,カーボンブラックを含有して
いることが好ましい。これにより,ゴム相の導電性,帯
電性,ゴムの耐油性,引裂き強度,エネルギー吸収能等
の物性が向上し,ブレンド材としての特性も向上する。
再生ゴム複合材ではカーボンブラックとゴム分子とがカ
ーボンゲルを形成するため,カーボンブラックの熱可塑
性樹脂相への移行はない。そのため,従来材ではみられ
ない新規な特性を有する再生ゴム複合材等が得られる。
【0026】一方,未加硫ゴムにカーボンブラックを添
加した場合には,カーボンブラックが熱可塑性樹脂相に
移行しやすく,上記の再生ゴムのような構造を得ること
は困難である。そして,カーボンブラックが多量に移行
すると,機械的特性が低下するおそれがある。
【0027】(熱可塑性樹脂)熱可塑性樹脂は,一般的
に不織布状,長繊維状,織布状等の繊維,粒子,フィル
ム状,棒状,板状等の種々の形状をもつ。熱可塑性樹脂
は,熱に溶融可能なものであれば特に限定されない。ま
た,熱可塑性樹脂は,加硫ゴムの脱硫により発生するラ
ジカルと反応し得る性質を有することが好ましい。これ
により,再生ゴムと熱可塑性樹脂との界面で化学結合が
形成され,物性の良い再生ゴム複合材等を得ることがで
きる。
【0028】上記のごとく熱溶融性及び反応性を有する
熱可塑性樹脂としては,例えば,ポリアミド樹脂,ポリ
エステル樹脂,ポリアクリロニトリル樹脂,熱可塑性ポ
リウレタン樹脂,ポリプロピレン(以下,PPとい
う。)樹脂,ポリスチレン系樹脂,アクリロニトリル−
スチレン系樹脂,ポリカーボネート,ポリアセタール樹
脂等を挙げることができ,これらは1種又は2種以上の
組合わせで用いられる。
【0029】特に,熱可塑性樹脂がマトリックスの場
合,硬質の熱可塑性樹脂と加硫ゴムとのブレンドによ
り,硬質の熱可塑性樹脂の靭性を改良できる。この硬質
の熱可塑性樹脂は広く利用されており,ゴム廃材等の加
硫ゴムの有効利用が可能となる。
【0030】加硫ゴムと熱可塑性樹脂との配合比は,特
に限定しないが,熱可塑性樹脂の添加量が多い場合に
は,再生ゴム複合材の改質効果が高まる。積極的に再生
ゴム複合材等を改質する場合には,熱可塑性樹脂を多く
添加してもよい。
【0031】積極的に再生ゴムを改質する場合には,加
硫ゴムに対する熱可塑性樹脂の重量比(熱可塑性樹脂/
加硫ゴム)は,5/95〜95/5の範囲であることが
好ましい。熱可塑性樹脂が5未満の場合又は加硫ゴムが
95を超える場合には,熱可塑性樹脂未添加の加硫ゴム
単品と同様の特性となり改質効果は期待できない。また
熱可塑性樹脂が95を超える場合又は加硫ゴムが5未満
には,加硫ゴム未添加の熱可塑性樹脂単品と同様の特性
となり改質効果は期待できない。
【0032】更に好ましくは,熱可塑性樹脂/加硫ゴム
は,10/90〜90/10である。これにより,改質
効果がより高い再生ゴム複合材等を得ることができる。
【0033】(温度範囲)加硫ゴム及び熱可塑性樹脂の
加熱温度は,熱可塑性樹脂の溶融温度以上でかつ加硫ゴ
ムの脱硫温度以上である。「熱可塑性樹脂の溶融温度」
とは,熱可塑性樹脂が溶融して流動性を示すようになっ
たときの温度をいう。「加硫ゴムの脱硫温度」とは,加
硫ゴムの硫黄等による架橋結合が切断される温度をい
う。
【0034】一方,加熱温度の上限は,加硫ゴムの主鎖
の切断が優先的に進行しない温度であることが好まし
い。その理由は,加硫ゴムの架橋切断よりも主鎖切断が
優先して進行すると,ゴムの種類によっては,低分子量
成分が多く発生して機械特性低下の原因となったり,逆
に,ゴム分子間あるいは分子内の反応でゴムが硬くな
り,ゴムとしての特性が失われるためである。
【0035】また,加硫ゴム及び熱可塑性樹脂にせん断
力を付与することにより,架橋結合の熱安定性が低下す
るので,せん断力が大きいほど低温で再生することが可
能となる。具体的には,上記の加熱温度は180℃〜3
50℃であることが好ましい。180℃未満の場合に
は,ゴムの再生が十分に進行しないおそれがあり,35
0℃を超える場合にはゴムの主鎖の切断が進行し再生ゴ
ム複合材が粘着性を帯びて物性が低下するおそれがあ
る。
【0036】もちろん複合化するべき加硫ゴムの種類に
よって最適な温度範囲は異なる。例えば,加硫ゴムが,
天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴム,天然ゴムとスチ
レン−ブタジエンゴムとブタジエンゴム等である場合に
は,180℃〜250℃で加熱することがより好まし
い。また,上記の加熱温度は,熱可塑性樹脂がPP樹脂
の場合には180℃程度であり,6ナイロンの場合には
230℃程度の温度であることが好ましい。これによ
り,ゴムの再生が十分に進行し粘着性も生じない。
【0037】(せん断力)加硫ゴム及び熱可塑性樹脂に
加えるせん断力は10〜150kg/cm2 であること
が好ましい。10kg/cm2 未満の場合には,せん断
力が小さすぎて架橋切断の促進,均一な混合や混練が十
分に行えず,再生ゴム複合材等の物性が悪くなるおそれ
がある。また,150kg/cm2 を超える場合には,
せん断力により架橋結合の切断だけでなく,主鎖の切断
も進行するおそれがあり,粘着性を帯やすくなり,物性
が低下する場合がある。
【0038】せん断力の最適値は,加硫ゴムの種類によ
り異なる。例えば,加硫ゴムが天然ゴムとスチレン−ブ
タジエンゴム,天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムと
ブタジエンゴム等である場合には,せん断力は10〜5
0kg/cm2 であることがより好ましい。なお,せん
断力を与えることができる装置としては,例えば,二軸
押出機等の押出機,射出成形機がある。
【0039】(加熱及びせん断力付与のタイミング)加
硫ゴム及び熱可塑性樹脂への上記加熱及びせん断力の付
与のタイミングは,両者を同時に行ってもよいし,加熱
終了後に適正温度範囲内にある間にせん断力を与えても
よいし,また加熱とせん断力付与とを交互に行ってもよ
い。
【0040】(再生度)再生ゴムにおけるゲル成分中の
ゴムの網目鎖濃度は,再生前の加硫ゴムの1/20〜1
/4の範囲であることが好ましい。1/4を超える場合
には,加硫ゴムの再生が十分に行われないおそれがあ
る。また,1/20未満の場合には,再生ゴムの機械的
特性が低下するおそれがある。
【0041】(加硫ゴムと熱可塑性樹脂とを共存させた
状態)加硫ゴムを熱可塑性樹脂と共存させた状態とは,
加硫ゴム及び熱可塑性樹脂に対して,両者が共存した状
態で,熱可塑性樹脂の溶融温度以上でかつ加硫ゴムの脱
硫温度以上の温度で加熱すると共にせん断力を加えたと
きの状態をいう。この共存状態には,加硫ゴムの再生過
程に熱可塑性樹脂を途中添加する場合や,逆に,溶融状
態の熱可塑性樹脂に加硫ゴムを途中添加する場合なども
含まれる。特に,加硫ゴムの再生過程に熱可塑性樹脂を
途中添加することが好ましい。その理由は,加硫ゴムの
再生と得られた再生ゴムと熱可塑性樹脂とのブレンドを
効率よく行うことができるからである。
【0042】(添加剤)加熱及びせん断力付与の際に
は,加硫ゴム及び熱可塑性樹脂に対して,種々の添加剤
を添加することができる。添加剤としては,例えば,脱
硫剤,反応性相容化剤,加硫剤,フィラー,酸化防止
剤,紫外線吸収剤,再生油,素練促進剤,カーボンブラ
ック等がある。この中,特に,脱硫剤,反応性相容剤,
加硫剤について以下に説明する。
【0043】(1)脱硫剤 脱硫剤とは,加硫ゴムの架橋結合を切断して脱硫させる
ものをいう。本発明においては脱硫剤の添加は必須では
ない。しかし,脱硫剤の添加により,本発明の加熱及び
せん断力による脱硫を容易に進行させることができる。
かかる脱硫剤としては,例えば,ジフェニルジスルフィ
ド,フェニルヒドラジン−塩化鉄,過酸化物等を用いる
事ができる。
【0044】(2)反応性相容化剤 反応性相容化剤とは,熱可塑性樹脂と再生ゴムとの相容
性を向上させるためのものをいう。上記添加剤としての
反応性相容化剤を添加することにより,加硫ゴムと熱可
塑性樹脂との相容化が効率よく進行する。
【0045】反応性相容化剤は,加硫ゴムの再生時に発
生するラジカルと反応可能であれば,特に限定しない。
反応性相容化剤は,一般に分子量10,000以下のモ
ノマー,オリゴマー等であることが多い。好ましくは,
反応可能な活性基や相容性,濡れ性,接着性等の特性を
付与する官能基を有する化合物が良い。例えば,無水マ
レイン酸,オレイルアミン,オレイルアルコール等のオ
レフィン類,グリシジルメタクリレート,末端ビニル基
変性液状ブタジエンゴムオリゴマー等が挙げられる。反
応性相容化剤は,2種以上のものを混合して用いてもよ
いが,安定した特性の再生ゴム複合材等を得るために単
一化合物を用いた方が好ましい。
【0046】反応性相容化剤は,再生時に発生するゴム
のラジカルと共存するように添加することが好ましい。
その添加方法は,再生前にドライブレンド(乾燥状態で
の混合),再生過程での途中添加等があげられる。
【0047】反応性相容化剤の添加量は,0.01〜2
0重量%以下であることが好ましい。0.01重量%未
満の場合には,相容化に対する促進効果がなくなる場合
がある。また,20重量%を超える場合には,添加量が
大過剰になり,それ以上添加しても促進効果は向上しな
いばかりか,未反応の反応性相容化剤が多量に残存し再
生ゴム複合材等のゴム特性が低下する場合がある。ま
た,更に好ましくは,反応性相容化剤の添加量は,0.
1〜5重量%以下である。
【0048】(3)加硫剤 添加剤としての加硫剤の添加により,再生時に発生した
脱硫ゴムのラジカルと効率よく架橋する。この場合,再
生ゴムの再加硫ゴム複合材の表面品質及び物性が向上す
る。加硫剤による再加硫は,加硫ゴムと熱可塑性樹脂と
を混合し加硫ゴムの脱硫を行った後に,加硫反応が進行
するようにしなければならない。再生ゴムが加硫した場
合には,加硫ゴムの微細分散が十分に行えず,再生ゴム
複合材等の表面品質及び特性が低下する場合があるから
である。
【0049】加硫剤添加による再加硫方法としては,例
えば,予め脱硫温度以上で加硫する加硫剤を,加硫ゴム
及び熱可塑性樹脂に添加しておき,再生及びブレンドの
後に加硫温度にすることにより加硫する方法,あるいは
再生及びブレンド中に加硫剤を添加する方法等がある。
【0050】特に,再生及びブレンド中に加硫剤を添加
することが好ましい。その理由は,せん断力を付与した
状態で加硫剤を添加することができ,脱硫ゴムが動的加
硫により再加硫し,射出成形可能な複合材を得ることが
できるからである。また,再生ゴム複合材を製造した後
に,加硫剤を添加してロール混練,再押出等により再度
加硫させてもよい。
【0051】(再生ゴム複合材等の特性)本発明の再生
方法を行うことにより再生ゴム複合材が得られる。再生
ゴム複合材等は,再生ゴムと熱可塑性樹脂とからなる。
再生ゴムと熱可塑性樹脂とは,再生ゴムのラジカル活性
点において熱可塑性樹脂と強固に結合しているブレンド
材であり,いずれがマトリックスを形成していてもよ
い。
【0052】1)再生ゴムがマトリックスを形成してい
る場合 再生ゴムがマトリックスを形成している場合には,その
中に熱可塑性樹脂が微分散している。この再生ゴム複合
材はそのままゴム材料として用いることができる。ま
た,加硫剤等を添加して再加硫し,再加硫ゴム複合材と
して用いることが好ましい。この場合には安定した特性
を有する成形品が得られる。
【0053】この再生ゴム複合材等には,熱可塑性樹脂
からなる微粒子が平均直径100μm以下に微分散して
いることが好ましい。100μmを超える場合には,再
生ゴム複合材等の表面品質や物性が低下するおそれがあ
る。より好ましくは微粒子の最大直径は100μm以下
であり,その平均粒径が10μm以下である。そうでな
い場合には,100μmを超える粒子が多く存在するこ
とになり,その割合に応じて再生ゴム複合材等の表面品
質や物性が低下するおそれがある。
【0054】2)熱可塑性樹脂がマトリックスを形成し
ている場合 熱可塑性樹脂がマトリックスを形成している場合には,
ゴム複合材をそのままゴム材料として用いても安定した
特性を有する成形品を得ることができる。また,再生ゴ
ム複合材に加硫剤等を添加してゴム分散相を加硫し,再
加硫ゴム複合材としてもよい。
【0055】(成形)再生ゴム複合材等の成形法として
は,射出成形,押出成形,プレス成形等がある。なお,
成形時には,再生ゴム複合材に一般的に用いられる添加
材,充填材等を添加することもできる。再生ゴム複合材
等を新材に添加して用いることもできる。また,本発明
の再生方法により得た再生ゴム複合材100%からなる
再生製品を製造することもできる。
【0056】本発明により得られる再生ゴム複合材等
は,一般のゴム及び熱可塑性樹脂と同様に種々の用途が
ある。例えば,タイヤのトレッド部分,ホース類,パッ
キン,ベルト,ウェザーストリップなどの自動車用内・
外装ゴム部品等に用いることができる。また,バンパー
などの自動車用内・外装樹脂部品,ケース類,カバー
類,構造材としてのチューブ,板材,棒材などの樹脂部
品に用いることもできる。
【0057】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態にかかる実施例
を,比較例とともに説明する。 (実施例1)EPDMゴム製の66ナイロン繊維補強ホ
ース(繊維量2重量%)を10mm角程度に裁断し,再
生用試料とした。これを,二軸押出機(スクリュ径30
mm,スクリュ長さ1200mm)に投入した。スクリ
ュ回転数は400rpm,処理温度は300℃,処理能
力は5kg/hとした。なお,処理温度の300℃は,
66ナイロン繊維の溶融温度(260℃)よりも高く,
かつEPDMゴムの脱硫温度(280℃)よりも高い。
これにより,加硫ゴムの脱硫と同時に混練を行った。
【0058】得られた脱硫状態の再生ゴムのムーニー粘
度(ML1+4 ,100℃)は,60であった。また,再
生ゴム中の66ナイロン繊維の状態を透過電子顕微鏡
(TEM)で観察したところ,図1に示すごとく,66
ナイロン繊維は1μm以下に微細分散していた。なお,
図1において,白色の粒状部分が66ナイロン繊維を示
し,黒色部分がEPDMゴムを示している。
【0059】次に,この脱硫状態の再生ゴムに,加硫剤
として,硫黄0.8重量部,酸化亜鉛1.7重量部,ス
テアリン酸0.3重量部,ノクセラーTT(商品名,大
内新興化学社製)0.67重量部,及びノクセラーM
(商品名,大内新興化学社製)0.17重量部を加えて
混練した。その後,160℃で20分間プレス加硫し
た。 これにより,厚み2mmの30cm角の再生ゴム
の再加硫ゴム複合材からなる成形品を得た。
【0060】なお,ノクセラーTTはTetramet
hylthiuramdisulfideであり,ノク
セラーMは2−Mercaptobenzothiaz
oleである。
【0061】次に,成形品から試験片を切り出し,JI
S−K6301に従って試験片の物性試験を行った。そ
の結果,表1に示すごとく,ムーニー粘度(ML1+4
100℃)は60であり,繊維は1μm以下に微細分散
していた。試験片の強度は19.0MPaであった。伸
び率は610%であった。試験片の硬度(JIS−Aに
準ずる)は75であった。表面品質は良好であった。
【0062】(比較例1)66ナイロン繊維で補強され
ていないEPDMゴムホースを用いて,実施例1と同一
条件で再生処理をし,その後,再加硫して再加硫ゴム複
合材を得,その物性試験を行なった。その結果,表1に
示すごとく,物性に差異はなかった。
【0063】(比較例2)実施例1で用いたEPDMゴ
ム製の66ナイロン繊維補強ホースの再生用試料を用い
て,オートクレーブで再生を行った。オートクレーブ内
での再生条件は,温度200℃,水蒸気圧14.5kg
/cm2 ,反応時間5時間とした。その後,仕上げロー
ルを用いて5分間程度精練を行った。
【0064】得られた脱硫状態の再生ゴムのムーニー粘
度(ML1+4 ,100℃)は60であった。また,再生
ゴム中の66ナイロン繊維の状態を目視観察したとこ
ろ,66ナイロン繊維は溶融せずに残存し,繊維同士が
絡み合って凝集していた。次に,実施例1と同一条件で
再加硫を行った。これにより,本例の再加硫ゴム複合材
の成形品を得た。
【0065】次に,実施例1と同一条件で,本例の成形
品の物性試験を行った。その結果,本例の成形品は表面
品質が悪く,材料特性も低かった。その理由は,再生時
の加熱温度が200℃と低かったためと,再生時にせん
断力が加わっていなかったからであると考えられる。以
上のことから,実施例1の方法が,繊維等で複合化され
たゴムの再生に有効であることがわかる。
【0066】なお,表1及び後述の表2〜6において,
各欄中「−」は,未添加又は未測定を意味する。
【0067】
【表1】
【0068】(実施例2,比較例3〜6)加硫ゴムとし
て,硫黄架橋したEPDMゴム端材とブチルゴム(以
下,IIRという。)端材とを10mm角程度に粉砕
し,再生用試料とした。また,熱可塑性樹脂として6P
A(6ナイロンを意味する。以下同様)樹脂,66PA
(66ナイロンを意味する。以下同様)樹脂のペレット
を用いた。
【0069】加硫ゴム粉砕物と熱可塑性樹脂とを乾燥状
態で二軸押出機に投入して,加硫ゴムの再生と同時に溶
融混練を行った。このときのスクリュ回転数は400r
pmであり,処理能力は5kg/hであり,加硫ゴム粉
砕物と熱可塑性樹脂との重量比(加硫ゴム粉砕物/熱可
塑性樹脂)は,80/20とした。処理温度と組成は変
化させた。以上により,種々の再生ゴム複合材の成形品
を得,それぞれ実施例2,比較例3〜5とした。また,
加硫EPDMゴム単独で再生処理を300℃で行い再生
ゴムを得,これを比較例6とした。
【0070】次に,これらの成形品について押出品の状
態を,目視により観察した。その観察結果を表2に示し
た。表2に示すごとく,実施例2ではストランド状の押
出処理物が得られ,その表面はなめらかであった。これ
を電子顕微鏡で観察すると,EPDM中に66PAが1
0μm程度の粒子となって微細分散していた。
【0071】これに対して,比較例3〜5では,熱可塑
性樹脂は微細分散していなかった。この結果から,加硫
ゴムを熱可塑性樹脂共存下で,熱可塑性樹脂の溶融温度
以上で,かつ脱硫温度以上で加熱しつつせん断力を与え
ることにより,良好な再生ゴム複合材が得られることが
わかる。また,比較例6では,熱可塑性樹脂を含まず,
従来の一般的なゴム再生方法で試料を得たものである。
【0072】
【表2】
【0073】(実施例3)上記実施例2と同様の条件と
方法で再生ゴムと熱可塑性樹脂とのブレンド材を得た。
次いで,このブレンド材に,その中のEPDMゴム分1
00重量部に対して,硫黄0.8重量部,酸化亜鉛1.
7重量部,ステアリン酸0.3重量部,ノクセラーTT
0.67重量部,ノクセラーM0.17重量部を加え
て,ロールにて混練した。次いで,160℃で20分間
プレスして再加硫させて,厚み2mmの30cm角の再
加硫ゴム成形品を得た。
【0074】次に,得られた成形品の物性を測定した。
その結果,表3に示すごとく,引張強度が19.5MP
aで,引張伸びは630%で,硬度(JIS−Aに準ず
る)は80で,耐摩耗性は後述の比較例7に比べて1.
3倍であった。また,表面品質も良好であった。これら
の物性は,後述の比較例7(単純な再加硫ゴム)と同様
に良好であった。
【0075】このように良好な物性を示すのは,再生時
に発生するラジカルにより相容性が向上して,機械的特
性が向上したからであると考えられる。また,本例の成
形品は,後述の比較例7のような単純な再加硫ゴムでは
得られない特性を有しており,用途範囲が広い再生材で
あるといえる。
【0076】(比較例7)熱可塑性樹脂を含まない硫黄
架橋EPDMゴムのみからなる上記の比較例6の成形品
を用いて,上記実施例3と同様の再加硫処理を行った。
加硫剤としての,硫黄,酸化亜鉛,ステアリン酸,ノク
セラーTT,ノクセラーMの添加量は実施例3と同様と
する。これにより,再加硫ゴム成形品を得た。
【0077】得られた成形品について物性の測定を行っ
たところ,表3に示す結果が得られた。
【0078】
【表3】
【0079】(実施例4)加硫ゴムとして,カーボンブ
ラックを50重量%含有する硫黄架橋のEPDMゴム端
材を10mm角程度に粉砕し再生用試料とした。熱可塑
性樹脂としては,PP樹脂からなるペレットを用いた。
加硫ゴム粉砕物を二軸押出機に投入し,300℃で再生
処理を行った。このとき,再生工程の途中からサイドフ
ィーダを用いてPP樹脂を添加することにより加硫ゴム
の再生と同時に溶融混練を行った。なお,ポリプレピレ
ン樹脂添加後の混練時の温度は230℃まで低下させ
た。スクリュ回転数は400rpmであり,処理能力は
5kg/hであり,加硫EPDMゴム粉砕物とPP樹脂
との配合比(加硫EPDMゴム粉砕物/PP樹脂)は,
30重量部/70重量部とした。次いで,押出処理で得
られた再生ゴム複合材のペレットを用いて,これを20
0℃で射出成形して,再生ゴム複合材からなる成形品を
得た。
【0080】得られた成形品の物性について測定した。
その結果,表4に示すごとく,引張強度は21MPa
で,引張伸びは400%で,アイゾット衝撃強度は32
0J/mであった。このような優れた物性を示すのは,
EPDMゴムとカーボンブラックとが結合しているた
め,カーボンブラックは混練過程でPP樹脂相に移行し
ないため,物性が低下せず,更に,再生時に発生するラ
ジカルによりPPとEPDMとの相容性が向上して,機
械的特性も向上したためであると考えられる。また,本
例の再生ゴム複合材は,後述の比較例10のような従来
の加硫ゴムの再利用で用いられる材料では得られない特
性を有しており,用途範囲が広い。
【0081】(比較例8)実施例4で用いたPP樹脂単
独での可塑化・溶融処理を230℃で行った。次いで,
これを200℃で射出成形して,成形品を得た。この成
形品の物性を測定したところ,表4に示すごとく,実施
例4よりも低かった。
【0082】(比較例9)硫黄架橋していないEPDM
ゴム(加硫剤未添加)を準備した。この未加硫EPDM
ゴムは,50重量%のカーボンブラックを含有してい
る。その他は,実施例4と同様にして成形品を得た。こ
の成形品の物性を測定したところ,表4に示すごとく,
実施例4よりも低かった。その原因は,ゴム中に多量含
まれているカーボンブラックがPP樹脂相に移行してし
まったためであると考えられる。
【0083】(比較例10)凍結粉砕により得た加硫E
PDMゴムのゴム粉(粉径100μm)を用い,これを
射出成形時にPP樹脂へ添加した。その添加量は,PP
70重量部に対して30重量部である。得られた成形品
の物性を測定したところ,表4に示すごとく,実施例4
よりも低かった。その原因は,EPDMゴムが異物とし
て存在するだけであり,複合材の物性向上へ何ら寄与し
ていないためであると考えられる。
【0084】
【表4】
【0085】(実施例5)熱可塑性樹脂として6PAを
用いた。加硫EPDMゴム粉砕物と6PA樹脂との配合
比(加硫EPDMゴム粉砕物/6PA樹脂)は,重量比
で80/20とした。その他は,実施例4と同一の条件
で再生,溶融混練を行った。次いで,その混練物を,そ
の中に含まれているEPDMゴム分100重量部に対し
て,硫黄0.8重量部,酸化亜鉛1.7重量部,ステア
リン酸0.3重量部,ノクセラーTT0.67重量部,
ノクセラーM0.17重量部を加えてロールにて混練
し,次いで160℃で20分間プレス加硫し,厚み2m
mの30cm角の再加硫ゴム成形品を得た。
【0086】得られた成形品の物性について測定した。
その結果,表5に示すごとく,成形品の引張強度は19
MPaで,引張伸びは600%で,硬度(JIS−A準
拠)は78であった。また,成形品を電子顕微鏡で観察
したところ,6PAは再生ゴムの中に約10μm程度の
微細粒子として存在していた。このような良好な物性
は,再生時に発生するEPDMゴムのラジカル発生によ
り,EPDMゴムと6PAとの相容性が向上したためで
あると考えられる。このことから,加硫ゴムの再生工程
を利用して得た本例の再加硫ゴム複合材は,有用なブレ
ンド材であることがわかる。
【0087】(実施例6)本例の成形品は,実施例5に
おける再生時にサイドフィーダで6PAを添加するとき
に無水マレイン酸1重量部も同時に添加した点が,実施
例5と相違する。その他は,実施例5と同様に成形品を
製造した。
【0088】得られた成形品の物性について測定した。
その結果,表5に示すごとく,成形品の引張強度,引張
伸び及び硬度は,実施例5と同様に良好であった。ま
た,6PAは再生ゴムの中に約1μm程度の微細粒子と
して存在していた。これは,無水マレイン酸は反応性相
容化剤として働き,EPDMゴムと6PAとの相容性が
実施例5より更に向上したためであると考えられる。こ
のことから,加硫ゴムの再生工程を利用して得た本例の
再加硫ゴム複合材は,有用なブレンド材であることがわ
かる。
【0089】(比較例11)未加硫EPDMゴム(加硫
剤未添加)80重量部と,6PA樹脂20重量部とを2
30℃にて溶融混練し,これを実施例5と同様の条件で
加硫処理を行った。加硫処理時に添加する硫黄,酸化亜
鉛,ステアリン酸,ノクセラーTT及びノクセラーMの
添加量は実施例5と同様とした。これにより,加硫ゴム
複合材からなる成形品を得た。
【0090】得られた成形品の物性について測定した。
その結果,表5に示すごとく,本例の成形品は,実施例
5,6に比べて,引張強度及び引張伸びが低かった。ま
た,6PAは100μm程度の比較的大きな粒子を形成
していた。EPDMゴムと6PAとの相容性が悪かっ
た。その理由は,再生時のラジカル発生,カーボンブラ
ックの樹脂相への移行,再生ゴムと未加硫ゴムに加わる
せん断力の相違,両者の混練時での粘度の差異のためで
あると考えられる。
【0091】
【表5】
【0092】(実施例7)実施例4と同様に,加硫ゴム
として,カーボンブラック50重量%含有する硫黄架橋
のEPDMゴム端材を10mm角程度に粉砕し再生用試
料とした。また,熱可塑性樹脂として,PP樹脂のペレ
ットを用いた。硫黄架橋EPDMゴムとPP樹脂との配
合比(硫黄架橋EPDMゴム/PP樹脂)は重量比で3
0/70とした。実施例4における再生工程においてサ
イドフィーダでPPを添加するときにタルクも同時に添
加した。射出成形は200℃にて行った。その他は,実
施例4と同様に成形品を製造した。
【0093】得られた成形品の物性について測定した。
その結果,表6に示すごとく,引張強度が23MPa
で,引張伸びが400%以上で,アイゾット衝撃強度が
300J/mで,ロックウェル硬度(Rスケール)が7
0で,455KPaでの熱変形温度が115℃であり,
帯電性はなかった。
【0094】また,成形品を電子顕微鏡で観察したとこ
ろ,PP樹脂がマトリックス相を形成し,EPDMゴム
から得られる再生ゴムが分散相を形成していた。EPD
M粒子が5μm程度に微細分散していた。また,本例の
成形品は,再生ゴムのゴム相は多量のカーボンブラック
を含むため,カーボンブラック未添加の後述の比較例1
2とは異なった特性を有していた。
【0095】このように良好な結果が得られるのは,再
生ゴムの中に含まれるカーボンブラックが,EPDMと
結合しているため,PP樹脂からなるマトリックス相へ
移行せず,物性低下の原因とはならなかったためである
と考えられる。
【0096】(比較例12)未加硫EPR(エチレンプ
ロピレンゴム)と未加硫EBR(エチレンブタジエンゴ
ム)と準備した。両者には,加硫剤とブラックカーボン
が含まれていない。これら未加硫EPR及び未加硫EB
Rを用いて溶融混練を230℃にて行った。その他は,
実施例7と同様に成形品を製造した。表6に示すごと
く,得られた成形品の各種物性を測定したところ,実施
例7よりも低い物性値であった。
【0097】
【表6】
【0098】
【発明の効果】本発明によれば,加硫ゴムの再生と熱可
塑性樹脂との複合を簡便に行い,高品位で利用価値の高
い再生ゴム複合材等を得ることができる,ゴムの再生方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の再生ゴム組織における樹脂の分散状
態を示すための図面代用写真(倍率20,000倍)。
フロントページの続き (72)発明者 松下 光正 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 毛利 誠 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 岡本 浩孝 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 佐藤 紀夫 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1 株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 鈴木 憲之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 鈴木 康之 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 大脇 雅夫 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中島 克己 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 吉田 徹 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内 (72)発明者 竹内 勝政 愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑1 番地 豊田合成株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 加硫ゴムを,熱可塑性樹脂と共存させた
    状態で,該熱可塑性樹脂の溶融温度以上でかつ上記加硫
    ゴムの脱硫温度以上で加熱すると共にせん断力を加える
    ことを特徴とするゴムの再生方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002103330A (ja) * 2000-09-26 2002-04-09 Hiroshima Kasei Ltd カーペットマットの材料リサイクル方法
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CN110483985A (zh) * 2019-08-26 2019-11-22 广东技塑新材料股份有限公司 一种以热塑性硫化橡胶(tpv)为基材的非充气轮胎材料及其制备方法

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