JP3404280B2 - ゴムの変性方法 - Google Patents
ゴムの変性方法Info
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- Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)
- Separation, Recovery Or Treatment Of Waste Materials Containing Plastics (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は,ゴム廃材を再利用するためのゴ
ムの変性方法に関する。 【0002】 【従来技術】従来,タイヤ廃材等のゴム製品廃材の再利
用が行われている。ゴム製品は加硫ゴムからなるため,
再利用するにあたっては,従来,ゴム廃材等の加硫ゴム
を脱硫し,硫黄等の加硫剤添加による再加硫が行われ
る。しかし,再生ゴムの再加硫物は,生ゴムを加硫させ
た一般のゴムよりも物性が低い。かかるゴムの再利用の
方法として,従来,例えば,ゴム粉法,パン(PAN)
法等がある。 【0003】ゴム粉法は,ゴム廃材等の加硫ゴムを数百
μmまで微粉砕し,生ゴムにブレンドして再利用する技
術である。パン法は,ゴム廃材等の加硫ゴムに分解剤及
び再生油を加え,オートクレーブ中で200℃,14.
5kg/cm2 ,5時間程度で処理し,その後,仕上げ
ロールを用いて精練を行う方法である。この方法により
得られた再生ゴムは,可塑性に富む。 【0004】また,熱可塑性樹脂繊維を含んだゴム廃材
等の加硫ゴム(例えば,廃タイヤ)再利用に関しては,
特開昭56−76349号公報に開示されている。この
方法は,簡易再生法を利用した技術である。即ち,ま
ず,ゴム廃材等の加硫ゴム粉末を脱硫処理で無定化した
後,硫黄を加えて混練し,さらにゴム状弾性を有する熱
可塑性樹脂を加えて加硫温度以上で加熱混練することに
より,射出成形素材を得るという技術である。 【0005】また,特開平5−329842号公報に
は,ゴムに含有する繊維をその形状を維持した状態でゴ
ム製品を得る技術が開示されている。 【0006】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の方
法においては,以下の問題がある。ゴム粉法では,未加
硫ゴムに加硫ゴムを添加しているが,加硫ゴムは未加硫
ゴムとなじみが悪い。そのため,このゴム粉法によるゴ
ム加硫物は,生ゴムを加硫させて得た一般のゴムよりも
物性が低くなる。また,ゴム粉法において上記繊維が含
まれている場合には,廃材等の加硫ゴムの粉砕工程で繊
維が絡み合って凝集し,混練時に分散不良箇所となって
ゴム加硫物である成形品の表面品質や物性が更に低くな
ることがある。 【0007】パン法において熱可塑性樹脂繊維が含まれ
ているゴム廃材等の加硫ゴムの再生を行った場合には,
パン法での上記標準処理温度が熱可塑性樹脂の溶融温度
以下であることから,再生ゴムの中に繊維がその形状を
維持したまま残存したり,ストレーナがすぐに目づまり
したりすることになる。また,この状態で仕上げロール
を行うと,繊維が絡み合って凝集するため,この凝集部
分が繊維の分散不良箇所となり,再加硫物である成形品
の表面品質や物性が低下する。 【0008】また,仮に,繊維存在下でゴム廃材等の加
硫ゴムを,熱可塑性樹脂の溶融温度以上で処理したとし
ても,溶融した熱可塑性樹脂にはせん断力が加わってい
ないため,凝集して数百μm以上の塊状粒子になる。そ
のため,この塊状粒子の部分が再加硫物である成形品の
表面品質や物性を低下させることとなる。 【0009】ゴム粉法やパン法などの従来法でも,予め
繊維を除去すれば繊維を含んだゴム廃材等の加硫ゴムの
再利用に適用可能である。しかし,そのためには,凍結
粉砕により微粉化した後に,風選などにより分離する必
要があり,コスト高となっていた。 【0010】また,特開平5−329842号公報の技
術では,パン法と同様の問題がある。そのため,得られ
るゴムの再加硫物の用途は,土木,建築などに用いる表
面品質を要求されないものに限定される。 【0011】また,特開昭56−76348号公報に開
示されている技術には,上記パン法における問題に加え
て,以下の問題がある。 脱硫工程,加硫剤添加工程,熱可塑性樹脂との混練・
再加硫工程の3工程からなり,工程が複雑であり,手間
とコストがかかる。 粘着性及び物性の改善のために硫黄の添加による再加
硫が必要である。 加硫剤を添加した脱硫ゴム及び熱可塑性樹脂を加硫温
度以上で加熱混練するため,脱硫ゴムは再加硫されなが
ら熱可塑性樹脂相内に分散する。この方法では,微細分
散化は困難であり,ゴム相と熱可塑性樹脂相とがアロイ
化した組成物は得られ難い。 タイヤ廃材等の加硫ゴムとゴム状弾性の熱可塑性樹脂
とから射出成形用素材を得ることができるが,得られる
材料がゴム状弾性体となるため用途範囲が限定され,技
術の利用価値も低い。 【0012】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,加硫
ゴムの再生と再生ゴムの変性を簡単に行い,高品位で利
用価値の高い変性ゴムを得ることができる,ゴムの変性
方法を提供しようとするものである。 【0013】 【課題の解決手段】本発明は,加硫ゴムに対して,該加
硫ゴムの脱硫温度以上の熱とせん断力とを加え,上記加
硫ゴムの架橋結合を切断して切断部位にラジカルを発生
させるとともに,該ラジカルと反応可能な活性基を有す
る活性基含有化合物を上記切断部位のラジカルと反応さ
せることを特徴とするゴムの変性方法である。 【0014】本発明の作用及び効果について説明する。
加硫ゴムに脱硫温度以上の熱とせん断力を与えることに
より,加硫ゴムの架橋結合が優先的に切断されて加硫ゴ
ムが再生される。このとき,切断部位に多くのラジカル
が発生する。このラジカルは,上記活性基含有化合物と
反応し,脱硫ゴムが変性される。 【0015】以上のように,本発明の変性方法によれ
ば,従来法では得られない特性を有する変性ゴムを得る
ことができ,ゴムの付加価値が向上する。また,ゴムの
有効利用が可能となる。更に,通常の再生工程を利用し
て加硫ゴムの変性ができる。 【0016】また,変性ゴムに粘土鉱物等の充填材や繊
維などの補強材を添加した場合にも,変性ゴムは充填材
や繊維等の補強材との濡れ性が高く,充填材が変性ゴム
の中に分散しやすくなる。また,繊維に対しては,界面
での接着性が向上し剥離しにくくなる。 【0017】なお,本発明の説明において,再生とは,
加硫ゴムを脱硫して,ゴムとして再利用可能な状態にす
ることをいい,ゴムが未加硫の状態のままで利用しても
よいし,再加硫して利用してもよい。また,ゴムのラジ
カルと熱可塑性樹脂とが化学結合して両者が複合化した
ものでもよい。 【0018】以下,本発明を詳細に説明する。 (活性基含有化合物)活性基含有化合物は,加硫ゴムの
脱硫時に発生するラジカルと反応可能な活性基を有す
る。また,再生ゴムに新たに特性を付与して付加価値を
向上させるため,活性基含有化合物には,反応可能な活
性基や相容性,濡れ性,接着性などの特性を付与するこ
とができる極性官能基を有することが好ましい。活性基
含有化合物は,例えば,分子量10,000以下のモノ
マーやオリゴマー等であることが好ましい。10,00
0を超える場合には,再生ゴムとのアロイ化物となり再
生ゴムを変性する本発明の目的と異なることになるおそ
れがある。 【0019】活性基含有化合物としては,例えば,無水
マレイン酸,オレイルアミン,オレイルアルコール等の
オレフィン類,グリシジルメタクリレート,末端ビニル
基変性液状ブタジエンゴムオリゴマー等があげられる。
活性基含有化合物は,2種以上のものを混合して用いる
ことができるが,変性ゴムの安定性の点から,単一化合
物を用いることが好ましい。 【0020】活性基含有化合物は,加硫ゴムの脱硫時に
発生するラジカルと共存させた状態になるように,加硫
ゴムに添加することが好ましい。これにより,再生ゴム
の変性を効率よく行うことができる。かかる活性基含有
化合物の添加方法としては,例えば,再生前に乾燥混
合,再生過程での途中添加等がある。 【0021】活性基含有化合物の添加量は特に限定しな
いが,0.01〜20重量%であることが好ましい。
0.01重量%未満の場合には,変性効果が認められな
いおそれがある。また,20重量%を超える場合には,
活性基含有化合物が大過剰になり,それ以上添加しても
変性の効果は向上しないばかりか未反応の活性基含有化
合物が多量に残存し,変性ゴムの特性が低下するおそれ
がある。また,変性ゴムというよりは複合材を得ること
になり,本発明の目的から逸脱することになるおそれが
ある。特に好ましくは,活性基含有化合物の添加量は
0.1〜5重量%である。これにより,一層効率よく再
生ゴムの変性を行うことができる。 【0022】活性基含有化合物を添加するタイミング
は,熱及びせん断力を加える工程の際,それ以前又はそ
れ以降のいずれでもよい。但し,熱及びせん断力を加え
る工程以降の場合には,加硫ゴムの温度がその脱硫温度
未満にまで冷えないうちに,活性基含有化合物を添加す
ることが好ましい。脱硫温度未満の冷却した後に活性基
含有化合物を添加しても,加硫ゴムは単に再生されるだ
けで変性されないからである。 【0023】(加硫ゴム)加硫ゴムは,ゴム製品の製造
原料となる生ゴムに,硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤を
混合して加硫させて,エラストマー又はゴムの性状を示
すようにしたものである。好ましくは,加硫ゴムは,上
記生ゴムに加硫剤を混合し,炭素主鎖間に−S−,−S
−S−,−S−S−S−結合等の多種の硫黄架橋結合を
形成して,加熱及びせん断力付与の際に,架橋結合が選
択的に切断されラジカルが発生しやすい状態になってい
るエラストマー又はゴムが良い。 【0024】かかるエラストマー又はゴムとしては,例
えば,天然ゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,ブ
チルゴム,エチレン−プロピレンゴム,スチレン−ブタ
ジエンゴム,EPDM(エチレンプロピレンジエンター
ポリマーを意味する。以下,同様。),ニトリルゴム,
アクリルゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が
あげられる。 【0025】また,加硫ゴムは,1種類からなるもので
あってもよいが,2種類以上のものが混合していてもよ
い。その混合状態は,ある程度の大きさのゴムの塊が集
合した状態でもよいし,また1mm以下に分散されてい
る状態でもよい。また,単独加硫物の粉砕物の2種類以
上を混合したものであってもよい。 【0026】混合するゴムの種類は基本的にはどのよう
なものでも良いが,安定した特性を有する変性ゴムを得
る観点から,ゴムの分子構造,極性等が近いもの同士を
用いることが好ましい。具体的には,例えば,天然ゴム
とスチレン−ブタジエンゴム,天然ゴムとスチレン−ブ
タジエンゴムとブタジエンゴムの組合わせがある。 【0027】また,加硫ゴムとして,再生され,再加硫
された再加硫ゴムを再度用いることもできる。更にま
た,加硫ゴムは,種々のゴム材,例えば,ゴムタイヤ,
ホース,ベルト,フロアーカーペット等のゴム部品,使
用済み廃材,新材の端材,成形不良品等を用いることも
できる。 【0028】(脱硫温度以上の熱の付与)「加硫ゴムの
脱硫温度」とは,加硫ゴムの硫黄等による架橋結合が切
断される温度をいう。一方,加熱温度の上限は,加硫ゴ
ムの主鎖の切断が優先的に進行しない温度であることが
好ましい。その理由は,架橋切断よりも主鎖切断が優先
して進行すると,ゴムの種類によっては,低分子量成分
が多く発生して機械的特性低下の原因となったり,逆
に,ゴム分子間あるいは分子内の反応でゴムが硬くな
り,ゴムとしての特性が失われるおそれがあるためであ
る。 【0029】また,加硫ゴムにせん断力を付与すること
により,架橋結合の熱安定性が低下するので,せん断力
が大きいほど低温で変性することが可能となる。具体的
には,加熱温度は180℃〜350℃であることが好ま
しい。180℃未満の場合には,加硫ゴムの変性及び再
生が十分に進行しないおそれがあり,350℃を超える
場合にはゴム分子の主鎖の切断が進行し変性ゴムが粘着
性を帯びて物性が低下するおそれがある。 【0030】もちろん変性する加硫ゴムの種類によって
最適な温度範囲は異なる。例えば,加硫ゴムが,天然ゴ
ムとスチレン−ブタジエンゴム,天然ゴムとスチレン−
ブタジエンゴムとブタジエンゴム等である場合には,1
80℃〜250℃で加熱することがより好ましい。これ
により,加硫ゴムの変性及び再生が十分に進行し,粘着
性も生じない。 【0031】(せん断力)加硫ゴムに加えるせん断力は
10〜150kg/cm2 であることが好ましい。10
kg/cm2 未満の場合には,せん断力が小さすぎて,
架橋切断の促進,均一な混合や混練が十分に行えず,変
性ゴムの物性が悪くなるおそれがある。また,150k
g/cm2 を超える場合には,せん断力により架橋結合
の切断だけでなく,ゴム分子の主鎖の切断も進行するお
それがあり,粘着性を帯やすくなり,物性が低下する場
合がある。 【0032】せん断力は,加硫ゴムの種類により最適値
は異なる。例えば,加硫ゴムが天然ゴムとスチレン−ブ
タジエンゴム,天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムと
ブタジエンゴム等である場合には,せん断力は10〜5
0kg/cm2 であることがより好ましい。なお,せん
断力を与えることができる装置としては,例えば,二軸
押出機等の押出機,射出成形機がある。 【0033】(加熱及びせん断力付与のタイミング)加
硫ゴムへの上記加熱及びせん断力付与は,両者を同時に
行ってもよいし,加熱終了後に適正温度範囲内にある間
にせん断力を与えてもよいし,また加熱とせん断力付与
とを交互に行ってもよい。 【0034】(再生度)変性ゴムにおけるゲル成分中の
ゴムの網目鎖濃度は,変性前の加硫ゴムの1/20〜1
/4の範囲であることが好ましい。1/4を超える場合
には,加硫ゴムの再生が十分に行われないおそれがあ
る。また,1/20未満の場合には,変性ゴムの機械的
特性が低下するおそれがある。 【0035】(変性度)変性ゴムの変性度は,0.01
〜5.0重量%であることが好ましい。0.01重量%
未満の場合には,変性の効果が現れないおそれがある。
また,5.0重量%を超える場合には,それに見合う変
性効果は向上しないばかりか,コストアップになるおそ
れがある。なお,ラジカルと反応可能な化合物は,再生
過程ですべてゴムに付加するのではなく,未反応の化合
物も残存する。この未反応物は必要に応じて除去しても
よい。 【0036】(添加剤)加熱及びせん断力付与の際に
は,加硫ゴムに対して,種々の添加剤を添加することが
できる。添加剤としては,例えば,再生油,素練促進
剤,脱硫剤,パーオキサイド等のラジカル発生剤等があ
る。また,変性ゴムには,粘土鉱物,シリカ等の充填材
を添加することが好ましい。これにより,変性ゴムに粘
土鉱物等が分散して,新規な特性を有する変性ゴム複合
材が得られる。また,加硫ゴムは変性されているため,
粘土鉱物等との相容性が良く,粘土鉱物等の分散性が向
上する。 【0037】粘土鉱物としては,例えば,モンモリロナ
イト,サポナイト,ヘクトライト,バイデライト,ステ
ィブンサイト,ノントロナイト等のスメクタイト系粘土
鉱物,バーミキュライト,ハロイサイト,又はマイカ等
があり,天然のものでも合成されたものでもよい。ま
た,ポリアミド,ポリエステルなどの繊維を添加した場
合に界面の結合性が向上する。また,塗膜接着性,金属
との接着性も向上する。 【0038】(成形)本変性方法により得られた変性ゴ
ムは,それ単味で成形することができるし,新材に混入
して成形することもできる。また,変性ゴムには,ゴム
に一般的に用いられる添加剤,フィラー等を添加するこ
ともできる。 【0039】また,本発明の変性ゴムはゴム製品のどの
ようなものにも用いることができる。例えば,タイヤの
トレッド部分,ホース類,パッキン,ベルト,自動車用
内・外装部品等に用いることができる。また,本発明の
変性ゴムを熱可塑性樹脂に加えることにより,熱可塑性
樹脂の耐衝撃性を向上させることもできる。 【0040】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態例について,実
施例及び比較例を用いて説明する。 (実施例1)加硫ゴムとして,硫黄架橋したブチルゴム
チューブ端材を10mm角程度に粉砕し,再生用試料と
した。活性基含有化合物としては無水マレイン酸を用い
た。加硫ゴム100重量部に対して,無水マレイン酸1
重量部を乾燥状態で混合した。これを二軸押出機(スク
リュ径30mm,スクリュ長さ1200mm)に投入し
た。スクリュ回転数は400rpm,処理温度は200
℃,処理能力は5kg/hとした。なお,処理温度は,
ブチルゴムの脱硫温度(180℃)よりも高い。これに
より,再生ブチルゴムを得た。 【0041】得られた再生ブチルゴムのムーニー粘度は
50であった。また,酸変性度は0.20重量%であっ
た。このことから,脱硫過程で加硫ゴムが変性している
ことがわかる。なお,得られた再生ブチルゴム中のポリ
マーゲルの網目鎖濃度は,加硫ゴムの1/10であっ
た。 【0042】次に,上記の再生ブチルゴムに対して,有
機化モンモリロナイト(豊順鉱業製,商品名;S−BE
N W)10重量部と,加硫剤としての,硫黄0.8重
量部,酸化亜鉛1.7重量部,ステアリン酸0.3重量
部,ノクセラーTT0.67重量部,ノクセラーM0.
17重量部を加えてロール混合し,その後160℃でプ
レスして再加硫するとともに成形した。これにより,厚
さ2mmの30cm角の変性ゴム成形品を得た。 【0043】なお,上記ノクセラーTTは,Tetra
methylthiuramdisulfideであ
り,ノクセラーMは2−Mercaptobenzot
hiazolであり,いずれも大内新興化学社製であ
る。 【0044】(比較例1)本例においては,無水マレイ
ン酸を添加しない点を除いて,実施例1と同一条件で再
生ブチルゴムを作り,その後,加硫剤等を加えて再加硫
して成形品を製造した。 【0045】(比較例2)本例においては,有機化モン
モリロナイトを添加しない点を除いて,実施例1と同一
条件で再生ブチルゴムを作り,その後,加硫剤等を加え
て,再加硫して成形品を製造した。 【0046】(実施例2)実施例1における脱硫ブチル
ゴムに,平均粒径1.0μmのシリカ30重量部と,加
硫剤としての,硫黄0.8重量部,酸化亜鉛1.7重量
部,ステアリン酸0.3重量部,ノクセラーTT0.6
7重量部,ノクセラーM0.17重量部とを加えてロー
ル混合後,160℃で20分間プレスして再加硫した。
これにより,厚さ2mmの30cm角の変性ゴム成形品
を得た。 【0047】得られた成形品を電子顕微鏡で観察した。
その結果,成形品における変性ブチルゴムの中で,シリ
カが均一に微分散していた。 【0048】(比較例3)未変性再生ブチルゴムに,実
施例2と同様にシリカ及び加硫剤を添加し,プレスして
再加硫した。これにより,厚さ2mmの30cm角の再
加硫ゴム成形品を得た。 【0049】得られた成形品を電子顕微鏡で観察した。
その結果,再加硫ブチルゴムの中で,シリカの凝集が認
められ,不均一に分散していた。 【0050】(実験例1)本実験例においては,上記実
施例1,比較例1,2の成形品のガス透過率を測定し
た。測定値は,比較例2に対する相対値で示した。その
値を表1に示した。同表より,実施例1の成形品は,比
較例1,2のものに比べて,ガス透過率が低かった。 【0051】このことから,本例の変性ゴム成形品は,
比較例1に比べてガス遮断性が高いことがわかる。これ
は,ブチルゴムの酸変性により,変性ブチルゴムと有機
化粘土鉱物(有機化モンモリロナイト)との相容性が向
上して,有機化モンモロリナイトが変性ゴムの中で微分
散したためであると考えられる。以上より,実施例1の
変性方法によれば,従来の再生ゴムでは得られない特有
の特性を有する変性ゴムが得られることがわかる。 【0052】 【表1】 【0053】(実験例2)実施例2,比較例2,比較例
3の成形品について,JIS−K6301に従って試験
片を切り出し,物性試験を行った。その結果を表2に示
した。同表より知られるように,実施例2の成形品は,
比較例2,3の場合に比べてその物性が優れていること
がわかる。 【0054】 【表2】 【0055】(実施例3)加硫ゴムとして,硫黄架橋し
たEPDMゴムの端材を10mm角程度に粉砕し,再生
用試料とした。これを二軸押出機(スクリュ径30m
m,スクリュ長さ1200mm)に投入し,加硫ゴムの
脱硫を行い,未変性再生EPDMゴムを得た。このとき
のスクリュ回転数は400rpm,処理温度は300
℃,処理能力は5kg/hとした。得られた再生EPD
Mゴムのムーニー粘度は60であった。 【0056】次に,再生EPDMゴム100重量部に,
無水マレイン酸2重量部を乾燥状態で添加し,熱とせん
断力とを加えて混練して,変性ゴム成形品を得た。この
ときのスクリュ回転数は400rpm,処理温度は23
0℃,処理能力は5kg/hとした。 【0057】得られた変性EPDMゴムの酸変性度は
0.23重量%であった。このことから,本例の方法に
よれば,再混練によりラジカルが発生し,変性可能であ
ることがわかる。なお,上記の方法により変性されたE
PDMゴム中のポリマーゲルの網目鎖濃度は,再加硫E
PDMゴムの1/5であった。 【0058】(実施例4)実施例3における再生EPD
Mゴム100重量部に,無水マレイン酸1重量部と,パ
ーオキサイド(日本油脂製,商品名;パーヘキシン25
B−40)0.01重量部とを乾燥状態で添加し,再度
混練処理を行い,変性ゴム成形品を得た。このときのス
クリュ回転数は400rpm,処理温度は230℃,処
理能力は5kg/hとした。 【0059】得られた成形品の酸変性度は0.15重量
%であった。このことから,通常の再処理工程において
も,無水マレイン酸添加により変性可能であることがわ
かる。 【0060】 【発明の効果】本発明によれば,加硫ゴムの再生と活性
基含有化合物との複合を簡便に行い,高品位で利用価値
の高い変性ゴムを得ることができる,ゴムの変性方法を
提供することができる。
ムの変性方法に関する。 【0002】 【従来技術】従来,タイヤ廃材等のゴム製品廃材の再利
用が行われている。ゴム製品は加硫ゴムからなるため,
再利用するにあたっては,従来,ゴム廃材等の加硫ゴム
を脱硫し,硫黄等の加硫剤添加による再加硫が行われ
る。しかし,再生ゴムの再加硫物は,生ゴムを加硫させ
た一般のゴムよりも物性が低い。かかるゴムの再利用の
方法として,従来,例えば,ゴム粉法,パン(PAN)
法等がある。 【0003】ゴム粉法は,ゴム廃材等の加硫ゴムを数百
μmまで微粉砕し,生ゴムにブレンドして再利用する技
術である。パン法は,ゴム廃材等の加硫ゴムに分解剤及
び再生油を加え,オートクレーブ中で200℃,14.
5kg/cm2 ,5時間程度で処理し,その後,仕上げ
ロールを用いて精練を行う方法である。この方法により
得られた再生ゴムは,可塑性に富む。 【0004】また,熱可塑性樹脂繊維を含んだゴム廃材
等の加硫ゴム(例えば,廃タイヤ)再利用に関しては,
特開昭56−76349号公報に開示されている。この
方法は,簡易再生法を利用した技術である。即ち,ま
ず,ゴム廃材等の加硫ゴム粉末を脱硫処理で無定化した
後,硫黄を加えて混練し,さらにゴム状弾性を有する熱
可塑性樹脂を加えて加硫温度以上で加熱混練することに
より,射出成形素材を得るという技術である。 【0005】また,特開平5−329842号公報に
は,ゴムに含有する繊維をその形状を維持した状態でゴ
ム製品を得る技術が開示されている。 【0006】 【解決しようとする課題】しかしながら,上記従来の方
法においては,以下の問題がある。ゴム粉法では,未加
硫ゴムに加硫ゴムを添加しているが,加硫ゴムは未加硫
ゴムとなじみが悪い。そのため,このゴム粉法によるゴ
ム加硫物は,生ゴムを加硫させて得た一般のゴムよりも
物性が低くなる。また,ゴム粉法において上記繊維が含
まれている場合には,廃材等の加硫ゴムの粉砕工程で繊
維が絡み合って凝集し,混練時に分散不良箇所となって
ゴム加硫物である成形品の表面品質や物性が更に低くな
ることがある。 【0007】パン法において熱可塑性樹脂繊維が含まれ
ているゴム廃材等の加硫ゴムの再生を行った場合には,
パン法での上記標準処理温度が熱可塑性樹脂の溶融温度
以下であることから,再生ゴムの中に繊維がその形状を
維持したまま残存したり,ストレーナがすぐに目づまり
したりすることになる。また,この状態で仕上げロール
を行うと,繊維が絡み合って凝集するため,この凝集部
分が繊維の分散不良箇所となり,再加硫物である成形品
の表面品質や物性が低下する。 【0008】また,仮に,繊維存在下でゴム廃材等の加
硫ゴムを,熱可塑性樹脂の溶融温度以上で処理したとし
ても,溶融した熱可塑性樹脂にはせん断力が加わってい
ないため,凝集して数百μm以上の塊状粒子になる。そ
のため,この塊状粒子の部分が再加硫物である成形品の
表面品質や物性を低下させることとなる。 【0009】ゴム粉法やパン法などの従来法でも,予め
繊維を除去すれば繊維を含んだゴム廃材等の加硫ゴムの
再利用に適用可能である。しかし,そのためには,凍結
粉砕により微粉化した後に,風選などにより分離する必
要があり,コスト高となっていた。 【0010】また,特開平5−329842号公報の技
術では,パン法と同様の問題がある。そのため,得られ
るゴムの再加硫物の用途は,土木,建築などに用いる表
面品質を要求されないものに限定される。 【0011】また,特開昭56−76348号公報に開
示されている技術には,上記パン法における問題に加え
て,以下の問題がある。 脱硫工程,加硫剤添加工程,熱可塑性樹脂との混練・
再加硫工程の3工程からなり,工程が複雑であり,手間
とコストがかかる。 粘着性及び物性の改善のために硫黄の添加による再加
硫が必要である。 加硫剤を添加した脱硫ゴム及び熱可塑性樹脂を加硫温
度以上で加熱混練するため,脱硫ゴムは再加硫されなが
ら熱可塑性樹脂相内に分散する。この方法では,微細分
散化は困難であり,ゴム相と熱可塑性樹脂相とがアロイ
化した組成物は得られ難い。 タイヤ廃材等の加硫ゴムとゴム状弾性の熱可塑性樹脂
とから射出成形用素材を得ることができるが,得られる
材料がゴム状弾性体となるため用途範囲が限定され,技
術の利用価値も低い。 【0012】本発明はかかる従来の問題点に鑑み,加硫
ゴムの再生と再生ゴムの変性を簡単に行い,高品位で利
用価値の高い変性ゴムを得ることができる,ゴムの変性
方法を提供しようとするものである。 【0013】 【課題の解決手段】本発明は,加硫ゴムに対して,該加
硫ゴムの脱硫温度以上の熱とせん断力とを加え,上記加
硫ゴムの架橋結合を切断して切断部位にラジカルを発生
させるとともに,該ラジカルと反応可能な活性基を有す
る活性基含有化合物を上記切断部位のラジカルと反応さ
せることを特徴とするゴムの変性方法である。 【0014】本発明の作用及び効果について説明する。
加硫ゴムに脱硫温度以上の熱とせん断力を与えることに
より,加硫ゴムの架橋結合が優先的に切断されて加硫ゴ
ムが再生される。このとき,切断部位に多くのラジカル
が発生する。このラジカルは,上記活性基含有化合物と
反応し,脱硫ゴムが変性される。 【0015】以上のように,本発明の変性方法によれ
ば,従来法では得られない特性を有する変性ゴムを得る
ことができ,ゴムの付加価値が向上する。また,ゴムの
有効利用が可能となる。更に,通常の再生工程を利用し
て加硫ゴムの変性ができる。 【0016】また,変性ゴムに粘土鉱物等の充填材や繊
維などの補強材を添加した場合にも,変性ゴムは充填材
や繊維等の補強材との濡れ性が高く,充填材が変性ゴム
の中に分散しやすくなる。また,繊維に対しては,界面
での接着性が向上し剥離しにくくなる。 【0017】なお,本発明の説明において,再生とは,
加硫ゴムを脱硫して,ゴムとして再利用可能な状態にす
ることをいい,ゴムが未加硫の状態のままで利用しても
よいし,再加硫して利用してもよい。また,ゴムのラジ
カルと熱可塑性樹脂とが化学結合して両者が複合化した
ものでもよい。 【0018】以下,本発明を詳細に説明する。 (活性基含有化合物)活性基含有化合物は,加硫ゴムの
脱硫時に発生するラジカルと反応可能な活性基を有す
る。また,再生ゴムに新たに特性を付与して付加価値を
向上させるため,活性基含有化合物には,反応可能な活
性基や相容性,濡れ性,接着性などの特性を付与するこ
とができる極性官能基を有することが好ましい。活性基
含有化合物は,例えば,分子量10,000以下のモノ
マーやオリゴマー等であることが好ましい。10,00
0を超える場合には,再生ゴムとのアロイ化物となり再
生ゴムを変性する本発明の目的と異なることになるおそ
れがある。 【0019】活性基含有化合物としては,例えば,無水
マレイン酸,オレイルアミン,オレイルアルコール等の
オレフィン類,グリシジルメタクリレート,末端ビニル
基変性液状ブタジエンゴムオリゴマー等があげられる。
活性基含有化合物は,2種以上のものを混合して用いる
ことができるが,変性ゴムの安定性の点から,単一化合
物を用いることが好ましい。 【0020】活性基含有化合物は,加硫ゴムの脱硫時に
発生するラジカルと共存させた状態になるように,加硫
ゴムに添加することが好ましい。これにより,再生ゴム
の変性を効率よく行うことができる。かかる活性基含有
化合物の添加方法としては,例えば,再生前に乾燥混
合,再生過程での途中添加等がある。 【0021】活性基含有化合物の添加量は特に限定しな
いが,0.01〜20重量%であることが好ましい。
0.01重量%未満の場合には,変性効果が認められな
いおそれがある。また,20重量%を超える場合には,
活性基含有化合物が大過剰になり,それ以上添加しても
変性の効果は向上しないばかりか未反応の活性基含有化
合物が多量に残存し,変性ゴムの特性が低下するおそれ
がある。また,変性ゴムというよりは複合材を得ること
になり,本発明の目的から逸脱することになるおそれが
ある。特に好ましくは,活性基含有化合物の添加量は
0.1〜5重量%である。これにより,一層効率よく再
生ゴムの変性を行うことができる。 【0022】活性基含有化合物を添加するタイミング
は,熱及びせん断力を加える工程の際,それ以前又はそ
れ以降のいずれでもよい。但し,熱及びせん断力を加え
る工程以降の場合には,加硫ゴムの温度がその脱硫温度
未満にまで冷えないうちに,活性基含有化合物を添加す
ることが好ましい。脱硫温度未満の冷却した後に活性基
含有化合物を添加しても,加硫ゴムは単に再生されるだ
けで変性されないからである。 【0023】(加硫ゴム)加硫ゴムは,ゴム製品の製造
原料となる生ゴムに,硫黄又は硫黄化合物等の加硫剤を
混合して加硫させて,エラストマー又はゴムの性状を示
すようにしたものである。好ましくは,加硫ゴムは,上
記生ゴムに加硫剤を混合し,炭素主鎖間に−S−,−S
−S−,−S−S−S−結合等の多種の硫黄架橋結合を
形成して,加熱及びせん断力付与の際に,架橋結合が選
択的に切断されラジカルが発生しやすい状態になってい
るエラストマー又はゴムが良い。 【0024】かかるエラストマー又はゴムとしては,例
えば,天然ゴム,ブタジエンゴム,イソプレンゴム,ブ
チルゴム,エチレン−プロピレンゴム,スチレン−ブタ
ジエンゴム,EPDM(エチレンプロピレンジエンター
ポリマーを意味する。以下,同様。),ニトリルゴム,
アクリルゴム,アクリロニトリル−ブタジエンゴム等が
あげられる。 【0025】また,加硫ゴムは,1種類からなるもので
あってもよいが,2種類以上のものが混合していてもよ
い。その混合状態は,ある程度の大きさのゴムの塊が集
合した状態でもよいし,また1mm以下に分散されてい
る状態でもよい。また,単独加硫物の粉砕物の2種類以
上を混合したものであってもよい。 【0026】混合するゴムの種類は基本的にはどのよう
なものでも良いが,安定した特性を有する変性ゴムを得
る観点から,ゴムの分子構造,極性等が近いもの同士を
用いることが好ましい。具体的には,例えば,天然ゴム
とスチレン−ブタジエンゴム,天然ゴムとスチレン−ブ
タジエンゴムとブタジエンゴムの組合わせがある。 【0027】また,加硫ゴムとして,再生され,再加硫
された再加硫ゴムを再度用いることもできる。更にま
た,加硫ゴムは,種々のゴム材,例えば,ゴムタイヤ,
ホース,ベルト,フロアーカーペット等のゴム部品,使
用済み廃材,新材の端材,成形不良品等を用いることも
できる。 【0028】(脱硫温度以上の熱の付与)「加硫ゴムの
脱硫温度」とは,加硫ゴムの硫黄等による架橋結合が切
断される温度をいう。一方,加熱温度の上限は,加硫ゴ
ムの主鎖の切断が優先的に進行しない温度であることが
好ましい。その理由は,架橋切断よりも主鎖切断が優先
して進行すると,ゴムの種類によっては,低分子量成分
が多く発生して機械的特性低下の原因となったり,逆
に,ゴム分子間あるいは分子内の反応でゴムが硬くな
り,ゴムとしての特性が失われるおそれがあるためであ
る。 【0029】また,加硫ゴムにせん断力を付与すること
により,架橋結合の熱安定性が低下するので,せん断力
が大きいほど低温で変性することが可能となる。具体的
には,加熱温度は180℃〜350℃であることが好ま
しい。180℃未満の場合には,加硫ゴムの変性及び再
生が十分に進行しないおそれがあり,350℃を超える
場合にはゴム分子の主鎖の切断が進行し変性ゴムが粘着
性を帯びて物性が低下するおそれがある。 【0030】もちろん変性する加硫ゴムの種類によって
最適な温度範囲は異なる。例えば,加硫ゴムが,天然ゴ
ムとスチレン−ブタジエンゴム,天然ゴムとスチレン−
ブタジエンゴムとブタジエンゴム等である場合には,1
80℃〜250℃で加熱することがより好ましい。これ
により,加硫ゴムの変性及び再生が十分に進行し,粘着
性も生じない。 【0031】(せん断力)加硫ゴムに加えるせん断力は
10〜150kg/cm2 であることが好ましい。10
kg/cm2 未満の場合には,せん断力が小さすぎて,
架橋切断の促進,均一な混合や混練が十分に行えず,変
性ゴムの物性が悪くなるおそれがある。また,150k
g/cm2 を超える場合には,せん断力により架橋結合
の切断だけでなく,ゴム分子の主鎖の切断も進行するお
それがあり,粘着性を帯やすくなり,物性が低下する場
合がある。 【0032】せん断力は,加硫ゴムの種類により最適値
は異なる。例えば,加硫ゴムが天然ゴムとスチレン−ブ
タジエンゴム,天然ゴムとスチレン−ブタジエンゴムと
ブタジエンゴム等である場合には,せん断力は10〜5
0kg/cm2 であることがより好ましい。なお,せん
断力を与えることができる装置としては,例えば,二軸
押出機等の押出機,射出成形機がある。 【0033】(加熱及びせん断力付与のタイミング)加
硫ゴムへの上記加熱及びせん断力付与は,両者を同時に
行ってもよいし,加熱終了後に適正温度範囲内にある間
にせん断力を与えてもよいし,また加熱とせん断力付与
とを交互に行ってもよい。 【0034】(再生度)変性ゴムにおけるゲル成分中の
ゴムの網目鎖濃度は,変性前の加硫ゴムの1/20〜1
/4の範囲であることが好ましい。1/4を超える場合
には,加硫ゴムの再生が十分に行われないおそれがあ
る。また,1/20未満の場合には,変性ゴムの機械的
特性が低下するおそれがある。 【0035】(変性度)変性ゴムの変性度は,0.01
〜5.0重量%であることが好ましい。0.01重量%
未満の場合には,変性の効果が現れないおそれがある。
また,5.0重量%を超える場合には,それに見合う変
性効果は向上しないばかりか,コストアップになるおそ
れがある。なお,ラジカルと反応可能な化合物は,再生
過程ですべてゴムに付加するのではなく,未反応の化合
物も残存する。この未反応物は必要に応じて除去しても
よい。 【0036】(添加剤)加熱及びせん断力付与の際に
は,加硫ゴムに対して,種々の添加剤を添加することが
できる。添加剤としては,例えば,再生油,素練促進
剤,脱硫剤,パーオキサイド等のラジカル発生剤等があ
る。また,変性ゴムには,粘土鉱物,シリカ等の充填材
を添加することが好ましい。これにより,変性ゴムに粘
土鉱物等が分散して,新規な特性を有する変性ゴム複合
材が得られる。また,加硫ゴムは変性されているため,
粘土鉱物等との相容性が良く,粘土鉱物等の分散性が向
上する。 【0037】粘土鉱物としては,例えば,モンモリロナ
イト,サポナイト,ヘクトライト,バイデライト,ステ
ィブンサイト,ノントロナイト等のスメクタイト系粘土
鉱物,バーミキュライト,ハロイサイト,又はマイカ等
があり,天然のものでも合成されたものでもよい。ま
た,ポリアミド,ポリエステルなどの繊維を添加した場
合に界面の結合性が向上する。また,塗膜接着性,金属
との接着性も向上する。 【0038】(成形)本変性方法により得られた変性ゴ
ムは,それ単味で成形することができるし,新材に混入
して成形することもできる。また,変性ゴムには,ゴム
に一般的に用いられる添加剤,フィラー等を添加するこ
ともできる。 【0039】また,本発明の変性ゴムはゴム製品のどの
ようなものにも用いることができる。例えば,タイヤの
トレッド部分,ホース類,パッキン,ベルト,自動車用
内・外装部品等に用いることができる。また,本発明の
変性ゴムを熱可塑性樹脂に加えることにより,熱可塑性
樹脂の耐衝撃性を向上させることもできる。 【0040】 【発明の実施の形態】本発明の実施形態例について,実
施例及び比較例を用いて説明する。 (実施例1)加硫ゴムとして,硫黄架橋したブチルゴム
チューブ端材を10mm角程度に粉砕し,再生用試料と
した。活性基含有化合物としては無水マレイン酸を用い
た。加硫ゴム100重量部に対して,無水マレイン酸1
重量部を乾燥状態で混合した。これを二軸押出機(スク
リュ径30mm,スクリュ長さ1200mm)に投入し
た。スクリュ回転数は400rpm,処理温度は200
℃,処理能力は5kg/hとした。なお,処理温度は,
ブチルゴムの脱硫温度(180℃)よりも高い。これに
より,再生ブチルゴムを得た。 【0041】得られた再生ブチルゴムのムーニー粘度は
50であった。また,酸変性度は0.20重量%であっ
た。このことから,脱硫過程で加硫ゴムが変性している
ことがわかる。なお,得られた再生ブチルゴム中のポリ
マーゲルの網目鎖濃度は,加硫ゴムの1/10であっ
た。 【0042】次に,上記の再生ブチルゴムに対して,有
機化モンモリロナイト(豊順鉱業製,商品名;S−BE
N W)10重量部と,加硫剤としての,硫黄0.8重
量部,酸化亜鉛1.7重量部,ステアリン酸0.3重量
部,ノクセラーTT0.67重量部,ノクセラーM0.
17重量部を加えてロール混合し,その後160℃でプ
レスして再加硫するとともに成形した。これにより,厚
さ2mmの30cm角の変性ゴム成形品を得た。 【0043】なお,上記ノクセラーTTは,Tetra
methylthiuramdisulfideであ
り,ノクセラーMは2−Mercaptobenzot
hiazolであり,いずれも大内新興化学社製であ
る。 【0044】(比較例1)本例においては,無水マレイ
ン酸を添加しない点を除いて,実施例1と同一条件で再
生ブチルゴムを作り,その後,加硫剤等を加えて再加硫
して成形品を製造した。 【0045】(比較例2)本例においては,有機化モン
モリロナイトを添加しない点を除いて,実施例1と同一
条件で再生ブチルゴムを作り,その後,加硫剤等を加え
て,再加硫して成形品を製造した。 【0046】(実施例2)実施例1における脱硫ブチル
ゴムに,平均粒径1.0μmのシリカ30重量部と,加
硫剤としての,硫黄0.8重量部,酸化亜鉛1.7重量
部,ステアリン酸0.3重量部,ノクセラーTT0.6
7重量部,ノクセラーM0.17重量部とを加えてロー
ル混合後,160℃で20分間プレスして再加硫した。
これにより,厚さ2mmの30cm角の変性ゴム成形品
を得た。 【0047】得られた成形品を電子顕微鏡で観察した。
その結果,成形品における変性ブチルゴムの中で,シリ
カが均一に微分散していた。 【0048】(比較例3)未変性再生ブチルゴムに,実
施例2と同様にシリカ及び加硫剤を添加し,プレスして
再加硫した。これにより,厚さ2mmの30cm角の再
加硫ゴム成形品を得た。 【0049】得られた成形品を電子顕微鏡で観察した。
その結果,再加硫ブチルゴムの中で,シリカの凝集が認
められ,不均一に分散していた。 【0050】(実験例1)本実験例においては,上記実
施例1,比較例1,2の成形品のガス透過率を測定し
た。測定値は,比較例2に対する相対値で示した。その
値を表1に示した。同表より,実施例1の成形品は,比
較例1,2のものに比べて,ガス透過率が低かった。 【0051】このことから,本例の変性ゴム成形品は,
比較例1に比べてガス遮断性が高いことがわかる。これ
は,ブチルゴムの酸変性により,変性ブチルゴムと有機
化粘土鉱物(有機化モンモリロナイト)との相容性が向
上して,有機化モンモロリナイトが変性ゴムの中で微分
散したためであると考えられる。以上より,実施例1の
変性方法によれば,従来の再生ゴムでは得られない特有
の特性を有する変性ゴムが得られることがわかる。 【0052】 【表1】 【0053】(実験例2)実施例2,比較例2,比較例
3の成形品について,JIS−K6301に従って試験
片を切り出し,物性試験を行った。その結果を表2に示
した。同表より知られるように,実施例2の成形品は,
比較例2,3の場合に比べてその物性が優れていること
がわかる。 【0054】 【表2】 【0055】(実施例3)加硫ゴムとして,硫黄架橋し
たEPDMゴムの端材を10mm角程度に粉砕し,再生
用試料とした。これを二軸押出機(スクリュ径30m
m,スクリュ長さ1200mm)に投入し,加硫ゴムの
脱硫を行い,未変性再生EPDMゴムを得た。このとき
のスクリュ回転数は400rpm,処理温度は300
℃,処理能力は5kg/hとした。得られた再生EPD
Mゴムのムーニー粘度は60であった。 【0056】次に,再生EPDMゴム100重量部に,
無水マレイン酸2重量部を乾燥状態で添加し,熱とせん
断力とを加えて混練して,変性ゴム成形品を得た。この
ときのスクリュ回転数は400rpm,処理温度は23
0℃,処理能力は5kg/hとした。 【0057】得られた変性EPDMゴムの酸変性度は
0.23重量%であった。このことから,本例の方法に
よれば,再混練によりラジカルが発生し,変性可能であ
ることがわかる。なお,上記の方法により変性されたE
PDMゴム中のポリマーゲルの網目鎖濃度は,再加硫E
PDMゴムの1/5であった。 【0058】(実施例4)実施例3における再生EPD
Mゴム100重量部に,無水マレイン酸1重量部と,パ
ーオキサイド(日本油脂製,商品名;パーヘキシン25
B−40)0.01重量部とを乾燥状態で添加し,再度
混練処理を行い,変性ゴム成形品を得た。このときのス
クリュ回転数は400rpm,処理温度は230℃,処
理能力は5kg/hとした。 【0059】得られた成形品の酸変性度は0.15重量
%であった。このことから,通常の再処理工程において
も,無水マレイン酸添加により変性可能であることがわ
かる。 【0060】 【発明の効果】本発明によれば,加硫ゴムの再生と活性
基含有化合物との複合を簡便に行い,高品位で利用価値
の高い変性ゴムを得ることができる,ゴムの変性方法を
提供することができる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 松下 光正
愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41
番地の1 株式会社豊田中央研究所内
(72)発明者 毛利 誠
愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41
番地の1 株式会社豊田中央研究所内
(72)発明者 岡本 浩孝
愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41
番地の1 株式会社豊田中央研究所内
(72)発明者 佐藤 紀夫
愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41
番地の1 株式会社豊田中央研究所内
(72)発明者 鈴木 憲之
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自
動車株式会社内
(72)発明者 鈴木 康之
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自
動車株式会社内
(72)発明者 大脇 雅夫
愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自
動車株式会社内
(72)発明者 中島 克己
愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑
1番地 豊田合成株式会社内
(72)発明者 吉田 徹
愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑
1番地 豊田合成株式会社内
(72)発明者 竹内 勝政
愛知県西春日井郡春日町大字落合字長畑
1番地 豊田合成株式会社内
(56)参考文献 特開 平7−227846(JP,A)
特開 昭52−117384(JP,A)
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
C08J 11/00 - 11/28
C08J 9/00 - 9/42
C08J 7/00 - 7/02
C08J 7/12 - 7/18
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 加硫ゴムに対して,該加硫ゴムの脱硫温
度以上の熱とせん断力とを加え,上記加硫ゴムの架橋結
合を切断して切断部位にラジカルを発生させるととも
に,該ラジカルと反応可能な活性基を有する活性基含有
化合物を上記切断部位のラジカルと反応させることを特
徴とするゴムの変性方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2934698A JP3404280B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | ゴムの変性方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2934698A JP3404280B2 (ja) | 1998-01-26 | 1998-01-26 | ゴムの変性方法 |
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Family
ID=12273677
Family Applications (1)
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---|---|---|---|---|
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-
1998
- 1998-01-26 JP JP2934698A patent/JP3404280B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
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