JP2004322384A - 保護層転写シート - Google Patents
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Abstract
【課題】各種記録方式により受像体上に記録された画像を、熱転写により保護層を転写するために使用される保護層転写シートにおいて、受像体を選ばず、且つ転写された保護層は堅牢性を付与することのできる保護層転写シートを提供する。
【解決手段】基材上に、少なくとも保護層、接着層を順次積層したものであって、保護層がアクリル樹脂からなり、接着層がエポキシ樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする保護層転写シートとする。
【選択図】 なし
【解決手段】基材上に、少なくとも保護層、接着層を順次積層したものであって、保護層がアクリル樹脂からなり、接着層がエポキシ樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする保護層転写シートとする。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インクをインクジェット記録方式により受像体上に記録された画像、又は感熱転写記録媒体により形成された転写画像を保護するために使用される保護層転写シートに関する技術分野であり、さらには、保護層転写シートは、サーマルヘッドを備えた熱転写プリンタ又は熱ラミネーターで転写することが可能なものであり、保護層は、種々の受像体に対して熱転写可能で、画像に対して耐擦性、耐水性、耐候性、光沢性、透明性を付与することができる保護層転写シート。
【0002】
【従来の技術】
昇華型熱転写記録方式や熱溶融型感熱記録方式、インクジェット記録方式による各種受像体(記録用紙、ラベル、カード、プレート類)への文字や画像等の記録は、必要な枚数が比較的少ない印画物、例えば身分証明書等のカード、各種の証明書のようなフルカラー印画物やバーコードラベル等を作成するのに、好適に利用されてきた。
又、従来からこれらの印画物の耐久性向上を目的として、画像の上に熱転写又は熱ラミネートにより保護層を転写させる技術が提案されている。(特許文献1、2参照。)
【特許文献1】
特開昭62−124991号公報(ワックス系の保護層)
【特許文献2】
特開平6−1076号公報(レジン系の保護層)
保護層としては、主に(1)ワックス系の保護層と(2)レジン系の保護層が提供されている。(1)の保護層の転写感度は良好で比較的受像体を選ばないが、耐擦性、光沢性、耐溶剤性等の堅牢性が劣る。又、(2)では、耐擦性、光沢性、耐溶剤性等の堅牢性は良好だが、インクジェット受像紙や紙ラベルとカード・プレート類(塩化ビニル樹脂、PET、アクリル樹脂)への転写性が劣る。(1)または(2)の構成では、いずれも転写性と堅牢性の両性能を満足するのは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、各種記録方式により受像体上に記録された画像を、熱転写により保護層を転写するために使用される保護層転写シートにおいて、受像体を選ばず、且つ転写された保護層が耐擦性、耐水性、耐候性、光沢性、透明性等の堅牢性を付与することのできる保護層転写シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明が提供する手段とは、まず請求項1に示すように、各種記録方式により受像体上に記録された画像を、熱転写により保護層を転写するために使用される保護層転写シートにおいて、基材上に、少なくとも保護層、接着層を順次積層したものであって、保護層がアクリル樹脂からなり、接着層がエポキシ樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする保護層転写シートである。さらに好ましくは、請求項2に示すように、エポキシ樹脂は軟化点80℃〜110℃、エポキシ当量600〜1500の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の保護層転写シートである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。各種記録方式により受像体上に記録された画像に、サーマルヘッドを備えた熱転写プリンタ又は熱ラミネーターを使用して画像を保護する樹脂被膜を転写する媒体としては、基材の片側に保護層、接着層をこの順で積層し、サーマルヘッド又は熱ロールの熱で基材から保護層が剥離し、保護層と接着層が画像上に転写される構成が実用的である。この際、接着層は画像が形成される各種の被転写体、例えばインクジェット用紙、紙ラベル、PETカード、アクリル樹脂プレート、塩化ビニル樹脂カード等に確実に接着し、かつ、転写された領域の端部にバリがあってはならない。本発明者は、これら条件を検討し、適当な接着層材料を探索した結果、エポキシ樹脂を接着層中の50重量%以上を含入させることが有効であり、さらにエポキシ樹脂の中でも特定のエポキシ樹脂が有効であることを見いだしたものである。エポキシ樹脂の含有量が50重量%未満であると、各種の被転写体への転写性及びキレ性が低下する。
【0006】
本発明の基材としては、厚み3〜25μmの耐熱性フィルムを使用する。耐熱性フィルムとしては、コスト、転写感度の面からPETフィルムが特に好ましい。又、熱転写プリンタを使用して保護層を転写する場合には、PETフィルムの厚みは、3〜12μmが好ましい。基材の背面側には、サーマルヘッドとのスティッキング防止の為に、シリコン系樹脂等による耐熱層を厚み0.05〜0.5μmに設ける必要がある。
【0007】
保護層は、主成分がアクリル樹脂であり、耐擦性、耐候性、光沢性の観点と、熱転写時における基材からの離型性、転写性の観点から、ガラス転移点(Tg)が80℃〜110℃で、重量平均分子量は2万〜15万のものが材料として好ましい。アクリル樹脂の中でも、上記の観点からポリメチルメタクリレートが、特に好ましい。
【0008】
保護層にはエポキシ樹脂の他に保護層の性能を低下させない範囲で、他の熱可塑性樹脂、ワックスを加えることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アセトフェノンホルムアルデヒド樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂環族炭化水素樹脂、ロジン、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、マレイン化ワックス、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸エステル塩、高級アルコール類等が挙げられる。
【0009】
又、熱転写された被膜の端部のバリ防止のため、保護層中に各種の無機粒子、有機粒子を添加してもよい。この無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、アルミナ等を挙げることができ、有機粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、酸化ポリエチレン粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。
【0010】
なお、保護層の厚みは0.5〜3.5μmの範囲であることが好ましく、特に1.0〜3.0μmが好ましい。0.5μm未満では良好な膜形成ができず耐擦性が劣る。3.5μmを超えると転写感度不足や保護層の膜強度が強すぎて、熱転写時のキレ性が劣化する。熱転写プリンタを使用して保護層を転写する場合には、保護層の厚みは、1.0〜3.0μmが好ましい。
【0011】
接着層は、主成分としてエポキシ樹脂を50重量%以上含有し、該エポキシ樹脂は、熱転写時における各種被転写体(インクジェット用紙、紙ラベル、PETカード、アクリルプレート、塩ビカード等)への接着性および熱転写された接着層端部のバリ防止の観点から、軟化点(環球法による。)が80℃〜110℃、エポキシ当量600〜1500の範囲にあるものが材料として好ましい。軟化点が前記範囲未満であると、保護層転写シートもしくは保護層転写画像の保存性に問題を生じ、前記範囲を超えると転写感度不足や保護層の膜強度が強すぎて熱転写時のキレ性が劣化する。エポキシ当量が前記範囲未満であると、保護層転写シートもしくは保護層転写画像の保存性に問題を生じ、前記範囲を超えると転写感度不足や保護層の膜強度が強すぎて熱転写時のキレ性が劣化する。さらには、経時的な黄変を防ぐ為、エポキシ樹脂はフェノールノボラック型のものより、ビスフェノールA骨格を含むもののほうが好ましい。
【0012】
接着層にはエポキシ樹脂の他に、他の熱可塑性樹脂、ワックスを加えることができる。この熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アセトフェノンホルムアルデヒド樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂環族炭化水素樹脂、ロジン、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、マレイン化ワックス、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸エステル塩、高級アルコール類等が挙げられる。
【0013】
又、熱転写された被膜の端部のバリ防止のため、接着層中に各種の無機粒子、有機粒子を添加してもよい。この無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、アルミナ等を挙げることができ、有機粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、酸化ポリエチレン粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。
【0014】
なお、接着層の厚みは0.5〜3.0μmの範囲であることが好ましく、特に1.0〜2.5μmが好ましい。0.5μm未満では各種受像体への浸透、定着性が劣る。3.0μmを超えると転写感度不足や接着層の膜強度が強すぎて、熱転写時のキレ性が劣化する。熱転写プリンタを使用して、本発明の保護層を転写する場合には、接着層の厚みは、1.0〜2.5μmが好ましい。
【0015】
なお本発明では、熱転写時における保護層の剥離をさらに容易にするため、基材と保護層との間に、保護層の耐擦性、光沢性、透明性等を阻害しない範囲で剥離層を適宜に設けてもよい。或いは、保護層と接着層との密着性を向上させるために、保護層と接着層との間にプライマー層(中間層)を適宜に設けてもよい。
【0016】
さらに本発明では、各種記録方式により受像体上に記録された画像の耐候性向上のために、保護層転写シートの保護層又は/および接着層中に、各種性能を阻害しない範囲で紫外線吸収剤等の添加剤を加えても構わない。
【0017】
保護層、接着層は、前記バインダー及びその他材料を溶剤に溶解、分散させた塗工液を、基材上に通常のバーコーターやグラビアコーター等の塗工機により、塗布、乾燥して作製することができる。
【0018】
【実施例】
保護層転写シートの作製
厚み4.5μmのPETフィルムにシリコン系樹脂を厚み0.2μmに設けて、耐熱層を形成した。その他方の面に、表1の保護層塗工液を塗布、乾燥、更に表1の接着層塗工液を、塗布、乾燥して積層し、実施例1〜3、比較例1〜3の保護層転写シートサンプルを作製した。
【0019】
2.保護層転写方法
実施例1〜3及び、比較例1〜3では、まず下記各プリンタと表1の受像体を使用し、文字及び画像を印刷した。この画像に対し、さらに熱転写テストプリンタ及びプレートプリンタで各実施例および比較例の保護層転写シートを下記条件で熱転写し、下記評価方法にて評価した。
【0020】
3.印画条件
3−1.インクジェット用ラベルへの印画条件及び保護層転写条件
▲1▼印画プリンタ:キヤノンファインテック製インクジェット式カラーラベルプリンタ P−640L
印画パターン:文字およびベタパターン
▲2▼保護層転写プリンタ:自社製 熱転写テストプリンタ
ヘッド密度:300dpi(ライン型ヘッド)
保護層転写速度:1インチ/sec
印加エネルギー:0.153mj/dot
印加後の剥離時間:800msec(冷時剥離条件)
3−2.PETカードへの印画条件及び保護層転写条件
印画プリンタ及び保護層転写プリンタ:自社製 熱転写テストプリンタ
ヘッド密度:300dpi(ライン型ヘッド)
印画速度:1インチ/sec
印加エネルギー:0.153mj/dot
印加後の剥離時間:800msec(冷時剥離条件)
印画パターン:文字およびベタパターン
保護層転写速度:1インチ/sec
印加エネルギー:0.153mj/dot
印画用の熱転写シートは、樹脂型の着色層からなる熱転写シートを用いた。
3−3.アクリルプレートへの印画条件及び保護層転写条件
印画プリンタ及び保護層転写プリンタ:キヤノン・エヌ・ティー・シー製 熱転写式プレートプリンタ MARK300
印画モード:品質モード
印加エネルギーモード:3
印画パターン:文字およびベタパターン
印画用の熱転写シートは、プリンタ専用の溶融型熱転写シートを使用した。保護層転写時の、印加エネルギーモードは、3とした。
【0021】
3.転写性評価
転写された保護層表面を目視で観察し、下記基準で評価した。評価結果は、表1の通りであった。
:完全に保護層で被覆できた。
△:保護層で被覆できるが、やや感度不足である。一部かすれる。
×:保護層の被覆(転写)が不十分である。
△以上が実用レベルである。
4.バリ評価
転写された保護層表面を目視で観察し、下記基準で評価した。評価結果は、表1の通りであった。
:バリはみられない。
△:一部にバリが見られる。
×:バリが見られる。
△以上が実用レベルである。
5.耐擦性評価
アトラスエレクトリックデバイス社製の A.A.T.C.C.クロックメータ試験機 モデル CM−5 を使って、5枚重ねの綿布に、500g/cm2 の荷重をかけ、100mm/秒の速度で1秒間で1往復した時を1回として、印画面を100回擦った時の印画状態を調べた。
:印画に変化は見られなかった。
×:印画にカケが見られた。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例の各サンプルは、転写性、バリ、耐擦性に対して満足できるものであったが、比較例の各サンプルは、転写性又はバリに対して問題のあるものとなった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の保護層転写シートを使用し、各種記録方式(インクジェット、熱転写等)で各種受像体(記録用紙、ラベル、カード、プレート類)に形成された画像上に、保護層を熱転写にてバリなく均一に形成することができた。形成された保護層は、耐擦性、耐水性、耐候性、光沢性、透明性の各性能に優れたものになる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性インクをインクジェット記録方式により受像体上に記録された画像、又は感熱転写記録媒体により形成された転写画像を保護するために使用される保護層転写シートに関する技術分野であり、さらには、保護層転写シートは、サーマルヘッドを備えた熱転写プリンタ又は熱ラミネーターで転写することが可能なものであり、保護層は、種々の受像体に対して熱転写可能で、画像に対して耐擦性、耐水性、耐候性、光沢性、透明性を付与することができる保護層転写シート。
【0002】
【従来の技術】
昇華型熱転写記録方式や熱溶融型感熱記録方式、インクジェット記録方式による各種受像体(記録用紙、ラベル、カード、プレート類)への文字や画像等の記録は、必要な枚数が比較的少ない印画物、例えば身分証明書等のカード、各種の証明書のようなフルカラー印画物やバーコードラベル等を作成するのに、好適に利用されてきた。
又、従来からこれらの印画物の耐久性向上を目的として、画像の上に熱転写又は熱ラミネートにより保護層を転写させる技術が提案されている。(特許文献1、2参照。)
【特許文献1】
特開昭62−124991号公報(ワックス系の保護層)
【特許文献2】
特開平6−1076号公報(レジン系の保護層)
保護層としては、主に(1)ワックス系の保護層と(2)レジン系の保護層が提供されている。(1)の保護層の転写感度は良好で比較的受像体を選ばないが、耐擦性、光沢性、耐溶剤性等の堅牢性が劣る。又、(2)では、耐擦性、光沢性、耐溶剤性等の堅牢性は良好だが、インクジェット受像紙や紙ラベルとカード・プレート類(塩化ビニル樹脂、PET、アクリル樹脂)への転写性が劣る。(1)または(2)の構成では、いずれも転写性と堅牢性の両性能を満足するのは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明では、各種記録方式により受像体上に記録された画像を、熱転写により保護層を転写するために使用される保護層転写シートにおいて、受像体を選ばず、且つ転写された保護層が耐擦性、耐水性、耐候性、光沢性、透明性等の堅牢性を付与することのできる保護層転写シートを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明が提供する手段とは、まず請求項1に示すように、各種記録方式により受像体上に記録された画像を、熱転写により保護層を転写するために使用される保護層転写シートにおいて、基材上に、少なくとも保護層、接着層を順次積層したものであって、保護層がアクリル樹脂からなり、接着層がエポキシ樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする保護層転写シートである。さらに好ましくは、請求項2に示すように、エポキシ樹脂は軟化点80℃〜110℃、エポキシ当量600〜1500の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の保護層転写シートである。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。各種記録方式により受像体上に記録された画像に、サーマルヘッドを備えた熱転写プリンタ又は熱ラミネーターを使用して画像を保護する樹脂被膜を転写する媒体としては、基材の片側に保護層、接着層をこの順で積層し、サーマルヘッド又は熱ロールの熱で基材から保護層が剥離し、保護層と接着層が画像上に転写される構成が実用的である。この際、接着層は画像が形成される各種の被転写体、例えばインクジェット用紙、紙ラベル、PETカード、アクリル樹脂プレート、塩化ビニル樹脂カード等に確実に接着し、かつ、転写された領域の端部にバリがあってはならない。本発明者は、これら条件を検討し、適当な接着層材料を探索した結果、エポキシ樹脂を接着層中の50重量%以上を含入させることが有効であり、さらにエポキシ樹脂の中でも特定のエポキシ樹脂が有効であることを見いだしたものである。エポキシ樹脂の含有量が50重量%未満であると、各種の被転写体への転写性及びキレ性が低下する。
【0006】
本発明の基材としては、厚み3〜25μmの耐熱性フィルムを使用する。耐熱性フィルムとしては、コスト、転写感度の面からPETフィルムが特に好ましい。又、熱転写プリンタを使用して保護層を転写する場合には、PETフィルムの厚みは、3〜12μmが好ましい。基材の背面側には、サーマルヘッドとのスティッキング防止の為に、シリコン系樹脂等による耐熱層を厚み0.05〜0.5μmに設ける必要がある。
【0007】
保護層は、主成分がアクリル樹脂であり、耐擦性、耐候性、光沢性の観点と、熱転写時における基材からの離型性、転写性の観点から、ガラス転移点(Tg)が80℃〜110℃で、重量平均分子量は2万〜15万のものが材料として好ましい。アクリル樹脂の中でも、上記の観点からポリメチルメタクリレートが、特に好ましい。
【0008】
保護層にはエポキシ樹脂の他に保護層の性能を低下させない範囲で、他の熱可塑性樹脂、ワックスを加えることができる。この熱可塑性樹脂としては、ポリエステル樹脂、アセトフェノンホルムアルデヒド樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂環族炭化水素樹脂、ロジン、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、マレイン化ワックス、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸エステル塩、高級アルコール類等が挙げられる。
【0009】
又、熱転写された被膜の端部のバリ防止のため、保護層中に各種の無機粒子、有機粒子を添加してもよい。この無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、アルミナ等を挙げることができ、有機粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、酸化ポリエチレン粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。
【0010】
なお、保護層の厚みは0.5〜3.5μmの範囲であることが好ましく、特に1.0〜3.0μmが好ましい。0.5μm未満では良好な膜形成ができず耐擦性が劣る。3.5μmを超えると転写感度不足や保護層の膜強度が強すぎて、熱転写時のキレ性が劣化する。熱転写プリンタを使用して保護層を転写する場合には、保護層の厚みは、1.0〜3.0μmが好ましい。
【0011】
接着層は、主成分としてエポキシ樹脂を50重量%以上含有し、該エポキシ樹脂は、熱転写時における各種被転写体(インクジェット用紙、紙ラベル、PETカード、アクリルプレート、塩ビカード等)への接着性および熱転写された接着層端部のバリ防止の観点から、軟化点(環球法による。)が80℃〜110℃、エポキシ当量600〜1500の範囲にあるものが材料として好ましい。軟化点が前記範囲未満であると、保護層転写シートもしくは保護層転写画像の保存性に問題を生じ、前記範囲を超えると転写感度不足や保護層の膜強度が強すぎて熱転写時のキレ性が劣化する。エポキシ当量が前記範囲未満であると、保護層転写シートもしくは保護層転写画像の保存性に問題を生じ、前記範囲を超えると転写感度不足や保護層の膜強度が強すぎて熱転写時のキレ性が劣化する。さらには、経時的な黄変を防ぐ為、エポキシ樹脂はフェノールノボラック型のものより、ビスフェノールA骨格を含むもののほうが好ましい。
【0012】
接着層にはエポキシ樹脂の他に、他の熱可塑性樹脂、ワックスを加えることができる。この熱可塑性樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アセトフェノンホルムアルデヒド樹脂、テルペンフェノール樹脂、脂環族炭化水素樹脂、ロジン、クマロンインデン樹脂、キシレン樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス、モンタンワックス、マレイン化ワックス、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸エステル塩、高級アルコール類等が挙げられる。
【0013】
又、熱転写された被膜の端部のバリ防止のため、接着層中に各種の無機粒子、有機粒子を添加してもよい。この無機粒子としては、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、タルク、クレー、カオリン、ベントナイト、アルミナ等を挙げることができ、有機粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、酸化ポリエチレン粒子、シリコン樹脂粒子等の樹脂粒子を挙げることができる。
【0014】
なお、接着層の厚みは0.5〜3.0μmの範囲であることが好ましく、特に1.0〜2.5μmが好ましい。0.5μm未満では各種受像体への浸透、定着性が劣る。3.0μmを超えると転写感度不足や接着層の膜強度が強すぎて、熱転写時のキレ性が劣化する。熱転写プリンタを使用して、本発明の保護層を転写する場合には、接着層の厚みは、1.0〜2.5μmが好ましい。
【0015】
なお本発明では、熱転写時における保護層の剥離をさらに容易にするため、基材と保護層との間に、保護層の耐擦性、光沢性、透明性等を阻害しない範囲で剥離層を適宜に設けてもよい。或いは、保護層と接着層との密着性を向上させるために、保護層と接着層との間にプライマー層(中間層)を適宜に設けてもよい。
【0016】
さらに本発明では、各種記録方式により受像体上に記録された画像の耐候性向上のために、保護層転写シートの保護層又は/および接着層中に、各種性能を阻害しない範囲で紫外線吸収剤等の添加剤を加えても構わない。
【0017】
保護層、接着層は、前記バインダー及びその他材料を溶剤に溶解、分散させた塗工液を、基材上に通常のバーコーターやグラビアコーター等の塗工機により、塗布、乾燥して作製することができる。
【0018】
【実施例】
保護層転写シートの作製
厚み4.5μmのPETフィルムにシリコン系樹脂を厚み0.2μmに設けて、耐熱層を形成した。その他方の面に、表1の保護層塗工液を塗布、乾燥、更に表1の接着層塗工液を、塗布、乾燥して積層し、実施例1〜3、比較例1〜3の保護層転写シートサンプルを作製した。
【0019】
2.保護層転写方法
実施例1〜3及び、比較例1〜3では、まず下記各プリンタと表1の受像体を使用し、文字及び画像を印刷した。この画像に対し、さらに熱転写テストプリンタ及びプレートプリンタで各実施例および比較例の保護層転写シートを下記条件で熱転写し、下記評価方法にて評価した。
【0020】
3.印画条件
3−1.インクジェット用ラベルへの印画条件及び保護層転写条件
▲1▼印画プリンタ:キヤノンファインテック製インクジェット式カラーラベルプリンタ P−640L
印画パターン:文字およびベタパターン
▲2▼保護層転写プリンタ:自社製 熱転写テストプリンタ
ヘッド密度:300dpi(ライン型ヘッド)
保護層転写速度:1インチ/sec
印加エネルギー:0.153mj/dot
印加後の剥離時間:800msec(冷時剥離条件)
3−2.PETカードへの印画条件及び保護層転写条件
印画プリンタ及び保護層転写プリンタ:自社製 熱転写テストプリンタ
ヘッド密度:300dpi(ライン型ヘッド)
印画速度:1インチ/sec
印加エネルギー:0.153mj/dot
印加後の剥離時間:800msec(冷時剥離条件)
印画パターン:文字およびベタパターン
保護層転写速度:1インチ/sec
印加エネルギー:0.153mj/dot
印画用の熱転写シートは、樹脂型の着色層からなる熱転写シートを用いた。
3−3.アクリルプレートへの印画条件及び保護層転写条件
印画プリンタ及び保護層転写プリンタ:キヤノン・エヌ・ティー・シー製 熱転写式プレートプリンタ MARK300
印画モード:品質モード
印加エネルギーモード:3
印画パターン:文字およびベタパターン
印画用の熱転写シートは、プリンタ専用の溶融型熱転写シートを使用した。保護層転写時の、印加エネルギーモードは、3とした。
【0021】
3.転写性評価
転写された保護層表面を目視で観察し、下記基準で評価した。評価結果は、表1の通りであった。
:完全に保護層で被覆できた。
△:保護層で被覆できるが、やや感度不足である。一部かすれる。
×:保護層の被覆(転写)が不十分である。
△以上が実用レベルである。
4.バリ評価
転写された保護層表面を目視で観察し、下記基準で評価した。評価結果は、表1の通りであった。
:バリはみられない。
△:一部にバリが見られる。
×:バリが見られる。
△以上が実用レベルである。
5.耐擦性評価
アトラスエレクトリックデバイス社製の A.A.T.C.C.クロックメータ試験機 モデル CM−5 を使って、5枚重ねの綿布に、500g/cm2 の荷重をかけ、100mm/秒の速度で1秒間で1往復した時を1回として、印画面を100回擦った時の印画状態を調べた。
:印画に変化は見られなかった。
×:印画にカケが見られた。
【0022】
【表1】
【0023】
実施例の各サンプルは、転写性、バリ、耐擦性に対して満足できるものであったが、比較例の各サンプルは、転写性又はバリに対して問題のあるものとなった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の保護層転写シートを使用し、各種記録方式(インクジェット、熱転写等)で各種受像体(記録用紙、ラベル、カード、プレート類)に形成された画像上に、保護層を熱転写にてバリなく均一に形成することができた。形成された保護層は、耐擦性、耐水性、耐候性、光沢性、透明性の各性能に優れたものになる。
Claims (2)
- 各種記録方式により受像体上に記録された画像を、熱転写により保護層を転写するために使用される保護層転写シートにおいて、基材上に、少なくとも保護層、接着層を順次積層したものであって、保護層がアクリル樹脂からなり、接着層がエポキシ樹脂を50重量%以上含むことを特徴とする保護層転写シート。
- エポキシ樹脂は軟化点80℃〜110℃、エポキシ当量600〜1500の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の保護層転写シート。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003117718A JP2004322384A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 保護層転写シート |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003117718A JP2004322384A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 保護層転写シート |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2004322384A true JP2004322384A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33497481
Family Applications (1)
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JP2003117718A Pending JP2004322384A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 保護層転写シート |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004322384A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007324662A (ja) * | 2006-05-30 | 2007-12-13 | Fujicopian Co Ltd | 非接触通信媒体のアンテナの形成方法および接着層転写シート |
JP2014198430A (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-23 | 大日本印刷株式会社 | 保護層転写シート |
-
2003
- 2003-04-23 JP JP2003117718A patent/JP2004322384A/ja active Pending
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JP2007324662A (ja) * | 2006-05-30 | 2007-12-13 | Fujicopian Co Ltd | 非接触通信媒体のアンテナの形成方法および接着層転写シート |
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