JP5109949B2 - 印字・記録層を備えたプラスチックカード、シルクスクリーンインク組成物 - Google Patents

印字・記録層を備えたプラスチックカード、シルクスクリーンインク組成物 Download PDF

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Description

本発明は、カード最表面に感熱転写プリンタによる印字・記録可能な層を有する磁気カードやICカード等のプラスチックカード、および当該印字・記録可能な層を形成するためのシルクスクリーンインク組成物に関する。
印字・記録層を備えたプラスチックカードは、該印字・記録層が透明なシルクスクリーンインクの印刷により形成され、当該層が印字受容性を有し、当該層に対してされた印字・記録が優れた耐摩擦性や薬品に対する耐久性を有するようにした特徴がある。
クレジットカード、銀行カード等の各種のIDカードでは、オーバーコート層の内面に施された装飾的デザインを有するほかに、カードの最表面に利用者の氏名や管理用のナンバー、記号、本人確認用の顔写真などの文字情報や画像が印字・記録される場合が多い。
印字・記録は、多階調を有するフルカラー画像によって、例えば、昇華型感熱転写方式によりされ、文字情報は一般には単色の2値画像よりなり溶融型感熱転写方式または昇華型感熱転写方式により印字されることが多い。
このようなカード最表面の印字または画像は、従来の塩化ビニル樹脂製カードのように、印字適性の優れたオーバーシートを表面に積層し、その面に直接印字・記録する場合は、該印字・記録が一定程度の耐久性を有していて特段の問題が生じることはなかった。
しかし、近年、ポリエチレンテレフタレート(PET)やPET−Gシートが最表面となるカードが出現しており、このようなカードに通常の塩化ビニル樹脂製カードの条件で印字・記録を行うと印字・記録の乗りが悪かったり欠けたり擦れたりし、印字・記録の耐久性が十分でない問題が生じてきている。また、印字適性の優れたオーバーシートであっても、その面に磁気テープを隠蔽する隠蔽印刷や図柄印刷がされている場合は、当該印刷面に重ねて印字・記録することが困難になることも認められている。
従来、PETシート等からなるプラスチックカード、または上記図柄等が印刷がされているプラスチックカードに印字適性を付与する方法として、カード表面に塩酢ビ系樹脂を主成分とし、これにポリエチレンワックスを添加剤として加えた無色透明のシルクスクリーンインクの層を追加刷りすることが行われている。基材に対して適合させる観点からこのスクリーンインクには従来から塩酢ビ系樹脂からなるものが使用されている。
しかし、この組成のインク層では、当該層に対してされた印字・記録の磁気ヘッドによる耐久性や耐薬品性が十分でないことが指摘されていた。
図3は、従来のプラスチックカードの態様の1を示す。プラスチックカード1は、一般にカードの中心層となるコアシート101に対してオーバーシート103、104を積層した構造からなっている。コアシート101に印刷層3が設けられていてもよい。オーバーシート103が印字適性の優れた材質である場合は、オーバーシート103の表面に感熱転写プリント法で直接印字・記録2をすることが可能である。このような印字適性の優れたオーバーシートの材質の代表的なものとしては、塩化ビニル樹脂製シートが挙げられる。印字・記録2面には、特別な保護層を設けないのが通常である。
図4は、従来のプラスチックカードの態様の2を示す。この場合もカードの層構成は、図3の場合と同様であるが、オーバーシート102面に、印字・記録層105を備えている特徴がある。印字・記録層105面に印字・記録2がされている。
このようにするのは近年、オーバーシート103にPETやPET−Gシートが用いられる場合が多く、直接では安定した印字・記録ができないからである。従来、この印字・記録層105は、塩酢ビ系樹脂にポリエチレンワックス(PEワックス)を添加した透明シルクスクリーンインクによる印刷した層から構成されていたが、塩酢ビ系樹脂の印字・記録層105は引っ掻き等の耐摩擦性に劣る問題が指摘されていた。この場合も、印字・記録2の面には、特別な保護層を設けないのが通常である。
そこで本発明では、従来の塩酢ビ系樹脂とは異なり、耐久性の向上が期待できるアクリル系樹脂を主成分とし、これに、サーマルヘッドに対する貼り付き(粘着)を防止できる微粒子状のPEワックスと共に、微粒子状のポリテトラフルオロエチレンワックス(以下、「PTFEワックス」とも表記する。)を添加することにより、カード最表面の印字・記録の耐久性を高めようとするものである。
本発明に直接関連する先行技術は検出されないが、多少とも関係するものとして特許文献1〜特許文献5がある。特許文献1は、「印字カードとその製造方法」に関し、カード上の第1の印字・記録に対して、第2のインク受容層を転写して、当該層に昇華転写法で第2の印字・記録を行うことを記載している。しかし、第2のインク受容層をシルクスクリーン印刷法で形成する本願のプラスチックカードと相違している。また、微粒子状のPTFEワックスを使用することについても記載していない。
特許文献2は、磁気カード、ICカード等のプラスチックカードにおいて、インクジェットインクの定着性等に優れ、高い印字・画像を形成できるインクジェット受容層の形成について記載している。実施例では、トリメチロールプロパントリアクリレートと光重合開始剤等とからなるシルクスクリーンインクをインク受容層の形成に使用することを記載しているが、微粒子状のPTFEワックスを使用することは同様に記載していない。
特許文献3は、「インク組成物」に関し、厚膜を形成し耐摩擦性の高いインクジェット用インク組成物として、粒子状ワックスを添加することを記載している。PTFEワックスについての言及が見られるが、本願とは、目的、構成、効果が相違している。
特許文献4は、インク組成物にポリオレフィンワックスを添加することを記載しているが、PTFEワックスについての言及はない。特許文献5は、オーバープリントニス組成物に関し、PTFEワックス粒子を添加することを記載しているが、15〜40重量%もの大量に添加するもので本願とは相違している。
特開平11−91269号 特開2004−276323号 特開2007−161823号 特開2005−48108号 特開平9−249828号
ICカード、磁気カード等のプラスチックカードであって、感熱転写記録が困難なカード表面に、溶融型感熱転写方式または昇華型感熱転写方式により美麗な印字・記録が可能な層を備えたプラスチックカードを提供すること。また、当該印字・記録が可能な層は、印字・記録適性(印字受容性)を備えることのほか、耐摩擦性、耐薬品性等の十分な耐久性を備えることを課題とする。
また、そのような印字・記録層を形成できるシルクスクリーンインク組成物を提供することも課題とする。
上記課題を解決する本発明の要旨の1は、カード表面に印字・記録可能な層を有するプラスチックカードであって、当該印字・記録可能な層が、アクリル系樹脂を主成分とし、これに塩酢ビ系樹脂を加えたバインダーに、溶剤を除く固形分比で、微粒子状のポリエチレンワックス0.5〜2.8質量%、微粒子状のポリテトラフルオロエチレンワックス0.2〜0.5質量%を添加した組成に、適量の溶剤を加えた、着色剤を含まないシルクスクリーンインクにより印刷された層からなることを特徴とする印字・記録層を備えたプラスチックカード、にある。
上記印字・記録層を備えたプラスチックカードにおいて、印字・記録層の下地となるカード表面が、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、またはPET−G樹脂であり、その表面に印字・記録層が備えられている、ようにすることができ、印字・記録層の下地となるカード表面が、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、PET−G樹脂のいずれかからなり、その表面の隠蔽印刷層や図柄印刷を介して印字・記録可能な層が備えられている、ようにすることもできる。
上記課題を解決する本発明の要旨の2は、アクリル系樹脂を主成分とし、これに塩酢ビ系樹脂を加えたバインダーに、溶剤を除く固形分比で、微粒子状のポリエチレンワックス0.5〜2.8質量%、微粒子状のポリテトラフルオロエチレンワックス0.2〜0.5質量%を添加し着色剤を含まない組成に、適量の溶剤を加えたことを特徴とするシルクスクリーンインク組成物、にある。
本発明の印字・記録層を備えたプラスチックカードは、外観性(主として艶)、印字適性(印字受容性)に優れることの他、磁気ヘッドに対する耐摩擦性、耐薬品性試験に十分耐える特性を有する。
本発明のシルクスクリーンインク組成物は、プラスチックカードの表面に、外観性、印字適性(印字受容性)、耐摩耗性等の優れた印字・記録層を確実に形成できる。
以下、まず、印字・記録層を備えたプラスチックカードについて図面を参照して説明する。図1は、印字・記録層を備えたプラスチックカードの例1を示す図、図2は、印字・記録層を備えたプラスチックカードの例2を示す図、である。
印字・記録層を備えたプラスチックカード1は、各種の層構成を採用できるが、図1の場合は、ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる2層のコアシート101,102と表裏のPET製透明オーバーシート103,104の構成からなっている。表面側コアシート101には、印刷層3が設けられている。
図示してないが、コアシート101とオーバーシート103の間、またはコアシート102とオーバーシート104の間にはスペーサシートや接着シートが介在しても良いものである。また、非接触ICカードの場合は、コアシート101、または102にアンテナコイルが形成され、アンテナコイルにICチップが装着されているのが通常である。
非接触型・接触型共用ICカードの場合は、カード基体内に内蔵したアンテナコイルに、カード表面からICモジュール装着用凹部を切削して、当該凹部に装着したICモジュールの非接触端子とアンテナコイルを当該凹部内で接続する構造が採用される。
磁気カードの場合は、オーバーシート103の外面、またはオーバーシート103,104の双方の外面に磁気テープが転写され、表面側の磁気テープ面には隠蔽印刷がされているのが通常である。
コアシートやオーバーシートには、PET樹脂やPET−G樹脂、塩化ビニルやポリプロピレン、アクリルニトリル−ブタジエン共重合(ABS)樹脂、トリアセテート、ポリアミド、ポリカーボネート(PC)、PCとポリエステルのアロイシート等を使用できる。なお、PET−G樹脂とは、ポリエチレンテレフタレートにおけるエチレングリコール成分の一部をシクロヘキサンジメタノールで置換した共重合ポリエステル樹脂のことをいう。
以上の層構成は、プラスチックカードの一般的な形態である。本発明の印字・記録層を備えたプラスチックカード1の特徴は、カードの最表面に印字・記録層(印字・記録可能な層)105を備え、当該印字・記録層105が特定の組成のシルクスクリーンインクによりスクリーン印刷された層である特徴がある。印字・記録層105は、カード基材にあらかじめ別に印刷されている図柄の視認を妨げないために無色透明であることが必要であり、カード表面が本来有する光沢を低下させない特性が必要になる。従って、有効量の着色顔料等の着色剤は当然に含まれない。
印字・記録層105はプラスチックカード1の全表面に塗工してもよく、印字・記録が必要な部分に限って部分的に塗工してもよいものである。
印字・記録層105の厚みは、1〜20μm、好ましくは、2〜10μm程度である。シルクスクリーン印刷による印刷層であるため、比較的に厚みのある層となる。印字・記録層105の面に印字・記録2がされている。印字・記録2は、溶融型感熱転写か昇華型感熱転写によるものである。溶融型感熱転写の場合は、ワックスと着色料を主成分とする溶融した転写材料が印字・記録層105に文字・記号等を薄膜状に付着させる。昇華型感熱転写の場合は、熱により昇華した転写リボンの染料が印字・記録層105面に吸収されて画像等を染着することになる。
図2は、印字・記録層を備えたプラスチックカードの例2を示す図である。図1と同様であるが、オーバーシート103の外面に磁気テープ4が転写され、磁気テープ4を隠蔽する隠蔽印刷5や下地印刷がされている点で相違している。オーバーシート103が塩化ビニル樹脂製等であるカードのように、印字適性の優れたオーバーシートに直接、印字・記録2した場合は、前記のように特に問題を生じることがないが、当該オーバーシートに隠蔽印刷5や下地印刷がされている場合は、インク皮膜や剥離兼保護層の影響で印字記録性や耐摩擦性等に問題が生じる場合がある。この場合にも、図2のように、カードの最表面に特性の優れた印字・記録層105を備えさせることにより、印字受容性を高め、当該層にされた印字・記録2の耐摩耗性や耐薬品性を向上させることができる。
なお、隠蔽印刷5や下地印刷は転写方式でされることが多い。剥離兼保護層とは、絵付け用転写フィルムの基材に施した剥離層が、絵柄と共にカード側の最表面に転移して転移後は保護層の役割をするものである。剥離層としても保護層としても機能するので、このように剥離兼保護層と言っている。
従来から、カード表面に耐摩擦性を付与する場合は、表面塗工剤に低分子量のポリエチレンやポリプロピレンワックスを添加することが行われるている。これらのワックスは、パラフィンワックスやカルナウバワックスのような天然ワックスに較べて軟化点が高く、硬度が大で耐摩擦性に優れる特徴がある。ポリプロピレンワックスはポリエチレンよりも軟化点や硬度が高い性質を有し、優れた傷防止性、耐ブロッキング性の効果を付与できるが、スリップ性が低下するため、インク用途にはポリエチレンンワックスほどには広く使用されていない。
低分子(分子量1000〜10000)のポリエチレンは、融点が100〜130°Cと高く優れたブロッキング性、耐摩耗性、耐溶剤性を付与できることから、各種塗料や印刷インクに使用されている。添加方法は溶剤中またはビヒクル中に湿式粉砕して添加されることが多いが、乾式粉砕で微粒化し、インク中に添加することも行われる。
ポリエチレンワックスは、一般に3%以上添加しても物性が向上しなくなる。それ以上添加しても光沢(艶)が低下し、カードの外観性を損ねる問題も生じる。
そこで、本発明では、ポリエチレンンワックスよりも融点が高く優れたスリップ性、耐摩耗性、傷防止性を付与できると考えられるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ワックス(融点370°C程度)を微粒子状にして併用することを検討するものである。
微粒子状とは、平均粒径がミクロンからサブミクロンの範囲になる。PEワックスも微粒子であるが、本発明ではPTFEワックスには、PEワックスよりは微粒のものを使用することが好ましい。PTFEワックスの密度が大きいため、微粒子にして表面張力等の作用を大きくして沈降を防止するためである。
インク組成物中にポリオレフィンワックスを添加する場合は、塗着により形成される乾燥膜厚よりも粒径の大きなワックス粒子を添加して、乾燥後に乾燥膜面からワックス粒子が露出することにより耐摩耗性を得ることが、前記特許文献4等には記載されている。
しかし、シルクスクリーン印刷の場合は、印刷膜厚が2〜4μm程度またはそれ以上にはなるので、そのような効果を発揮させるためには、かなり粒径の大きいワックスを添加する必要があることになる。しかし、経験的には、乾燥後の印刷膜厚よりも粒径の小さい微粒のワックスを使用する場合にも、一定の耐摩擦性向上効果が得られることが認められている。
これは、PEワックスのように低密度(比重0.91〜0.95)のワックスは、ビヒクルとの密度の違いや表面張力の関係で、未乾燥状態のインク表面に浮き上がり易いことに関係していると考えられる。乾燥後は、そのまま塗膜表面に固定される。従って、必ずしもワックスの粒径が膜厚よりも大きいことは必要とされないと考えられる。
また、低分子のポリエチレンの融点は、100〜130°Cで融点が高く優れたブロッキング性、耐摩耗性、耐溶剤性を付与できる。
PTFEワックスは、融点が高く(370°C)、極めて優れたスリップ性があることから耐摩耗性、耐ブロッキング性を付与できる。ただし、密度がPEワックスよりは大きい(2.15程度)ので、単独では未乾燥状態のインク表面での浮き上がり効果はあまり期待できない。そこで、他のワックスと併用して、PTFEワックスをその他のワックス粒子に付着させた状態で塗膜表面に浮き上がらせ、耐摩耗性を向上させることが考えられる。ただし、PEワックス以外の他のワックス(例えば、天然ワックスであるパラフィンワックスやカルナウバワックス等)は融点が低いので、高温度にさらされる場合もあり得るプラスチックカードとしては適切でなく、感熱転写用の受容層としても適切でない。
一般のシルクスクリーンインクは、20〜40%の着色剤と、20〜25%の樹脂(バインダー)、25〜45%の溶剤、少量の補助剤からなるが、このプラスチックカード用シルクスクリーンインク組成物では、無色透明が好ましいので着色剤は添加しない。
溶剤は、使用樹脂との相溶性を考慮して脂肪族・芳香族炭化水素、アルコール、エステル、エーテル等を使用する。以下、実施例、比較例について説明する。
以下の表1の組成による試作インク(実施例1〜6、比較例1〜6)を作成し、該試作インクを後述する<プラスチックカードの準備>で作製したカード(後述するC1とC2の2種)の表面にシルクスクリーン印刷して印字・記録層105を形成し、その印字・記録層105面に、熱転写リボンとサーマルプリンタを使用して印字・記録2を行った後、後述する試験方法により試験を行った。
なお、試作インクに使用したアクリル系樹脂には、三菱レイヨン株式会社製のメタアクリル酸メチル樹脂(ダイアナール;商標)を使用し、塩酢ビ系樹脂(塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂)には、三菱化学製(サンプレーン;商標)を使用した。
また、PEワックスには、中心粒径が0.6〜1.8μmの範囲のもの(三井化学株式会社製)を混合して使用し、PTFEワックス(Shamrock Technology社製「SST」)を乾式法で粉砕して粒径を調整し、微粒子の80%(質量比)の粒径が0.1〜0.5μmの範囲となるようにしたものを使用した。
ここに粒径とは、株式会社島津製作所製の粒度分布測定装置(SALD2000J)によるレーザ回折法で測定した径をいうものとする。
なお、表1中の比率(%)は、溶剤を含まない固形分量全体に対する質量%を意味している。溶剤には、シクロヘキサノンとキシロールの混合物を使用した。
Figure 0005109949
<プラスチックカードの準備−1>
別に、厚み0.26mmの2軸延伸PETシート2枚を中心のコアシート101,102とし、その表裏に厚み50μmのホットメルト型接着シートを介して、厚み0.10mmの透明PET−Gシート(三菱樹脂株式会社製「ディアフィクス」)をオーバーシート103,104とし、熱圧(145°C、30kg/cm2 、10分間)をかけてプレスラミネートしたカードを試作した。なお、コアシート101は、非接触ICカード用のアンテナコイルをエッチングして形成し、非接触ICチップを実装したものであり、コアシート102との間にも厚み50μmのホットメルト型接着シートを使用した。
これをプラスチックカードC1とする。
このプラスチックカードC1の最表面に、上記による試作インク(実施例1〜6、比較例1〜6)を、シルクスクリーン印刷により厚み3μm〜5μmの層になるように、それぞれ塗工し、印字・記録層105を形成した。塗膜が完全に乾燥した後、該印字・記録層105面に、個人の氏名や登録番号等を黒色の熱溶融転写リボンとサーマルプリンタを用いて印字し、続いて、個人の顔写真をカラー昇華転写リボンとサーマルプリンタを用いて記録し、印字・記録2を行った。
<プラスチックカードの準備−2>
厚み0.30mmの白色硬質塩化ビニルシート(太平化学薬品株式会社製造「TN828」)2枚を中心のコアシート101,102として使用し、白色コアシート間を熱圧(145°C、30kg/cm2 、10分間)をかけてプレスラミネートした。
次いで、磁気テープ転写済みの塩化ビニル製透明オーバーシート(厚み0.10mm)103,104を白色コアシートの両側にあてがい、さらに絵付け用転写フィルムを透明オーバーシート103面に位置合わせして重ね、この仮積積層体を鏡面板間に挟み、熱圧(120°C、25kg/cm2、10分間)をかけてプレスラミネートしてカードを試作した。これをプラスチックカードC2とする。
なお、絵付け用転写フィルムは基材として、厚み150μmのPETフィルムを使用し、グラビア印刷で剥離兼保護層を厚さ1〜2μmになるように印刷し、続いてシルクスクリーンインクで下地印刷や隠蔽印刷5を行った。剥離兼保護層には、ワックス含有透明樹脂を使用でき、この透明樹脂には、アクリル樹脂、変性セルロース樹脂を使用できるが、実施例(および比較例)では、変性セルロース樹脂にワックスを添加して使用した。
シルクスクリーン印刷には、アクリル系樹脂と酢酸ビニル系樹脂からなるインクを使用した。剥離兼保護層は、前記のように転写後はカード表面側に残る層である。
このプラスチックカードC2の最表面に、上記による試作インク(実施例1〜6、比較例1〜6)を、シルクスクリーン印刷により厚み3μm〜5μmの層になるように、それぞれ塗工し、印字・記録層105を形成した。塗膜が完全に乾燥した後、該印字・記録層105面に、個人の氏名や登録番号等を黒色の熱溶融転写リボンとサーマルプリンタを用いて印字し、続いて、個人の顔写真をカラー昇華転写リボンとサーマルプリンタを用いて記録し、印字・記録2を行った。
印字・記録2を行ったカードC1とカードC2について、以下の試験方法で、プラスチックカードの評価試験を行った。
〔外観性試験〕
カードの印字・記録層105形成域と、非形成域の艶を肉眼で観察し、有為な艶差がある場合を「×」、有為な艶差がない場合を「○」として評価した。
〔印字受容性試験〕
(a)サーマルヘッドと熱溶融転写リボン(黒色)を使用する感熱溶融熱転写プリント法による文字・記号を印字・記録層105に印字し文字欠けや薄色転写の有無を観察する。
(b)サーマルヘッドと昇華転写リボン(4色)を使用する感熱昇華転写プリント法により多階調の顔写真を印字・記録層105にプリントし、転写性の良否を観察する。
(c)印字・記録後に、プリント面を消しゴムで摩擦する。
(d)印字・記録後に、プリント面にセロファンテープを貼り付けし、24時間放置した後、急速に剥離する。
上記、(a)〜(d)のいずれかの試験で、欠陥が生じた場合を「×」、欠陥が生じない場合を「○」として評価した。
〔耐摩擦性試験〕
カードをATM(Automatic Teller Machine)機仕様の磁気リーダライタを通過させた場合を想定し、磁気ヘッドによる耐久性試験を行う。具体的には、通常の磁気ヘッドの圧力下に、プラスチックカードの印字・記録2面を通過させて、500回から3000回の間で剥離や摩耗が生じるか否かを観察する。
3000回の通過テストで、印字・記録2の剥離や摩耗が生じた場合は、「×」、剥離や摩耗が生じない場合は、「○」として評価をした。
〔耐薬品性試験〕
カードの耐薬品性試験方法として、ISO/IEC7810:2003には、汚染試験として、ISO/IEC10373−1の5.4.1.1に規定する次の7種の溶液を使用することが規定されている。
a)5%NaCl(塩化ナトリウム)溶液
b)5%CH3 COOH(酢酸)溶液
c)5%Na2 CO3 (炭酸ソーダ) 溶液
d)60%CH3CH2OH(エチルアルコール)溶液
e)10%C122211 (砂糖)溶液
f)FuelB(2,2,4−Tri methylpentane Toluene)g)50%HOCH2CH2OH(エチレングリコール)溶液
上記各溶液中に短時間(1分)および24時間浸漬して、カードの寸法に変化がないこと、よじれが生じないこと、層の剥離がないことが規定されている。
本発明のプラスチックカード1では、特に印字・記録層105や印字・記録2の汚染や表面性状の変化に着目し、いずれかの溶液で、汚染、または表面性状の変化が見られた場合は、「×」、いずれかの溶液でも、汚染、または表面性状の変化が見られない場合は、「○」として評価をした。表2は以上の試験の評価結果である。
Figure 0005109949
上記の結果から、PEワックスとPTFEワックスの合計量の固形分全体に対する質量%が、3.0%を超える、比較例3〜比較例6では外観性(艶)が合格基準を満たさないことが認められる。概ね3.0%以内では外観性(艶)の低下はないものと認められた。
耐摩擦性は、PTFEワックス量が、0.1%以下では十分な効果が得られないものと評価された。0.2%から0.5質量%の範囲でほぼ良好な結果が得られている。
印字受容性と耐薬品性は、何れの場合も良好であった。
また、PEワックスの固形分全体に対する質量%が0.5〜2.8質量%、PTFEワックスの固形分全体に対する質量%が0.2〜0.5%の範囲(実施例1〜6)であれば、良好な結果が得られることが確認できた。
印字・記録層を備えたプラスチックカードの例1を示す図である。 印字・記録層を備えたプラスチックカードの例2を示す図である。 従来のプラスチックカードの態様の1を示す。 従来のプラスチックカードの態様の2を示す。
符号の説明
1 プラスチックカード
2 印字・記録
3 印刷層
4 磁気テープ
5 隠蔽印刷
101、102 コアシート
103,104 オーバーシート
105 印字・記録層(印字・記録可能な層)

Claims (4)

  1. カード表面に印字・記録可能な層を有するプラスチックカードであって、当該印字・記録可能な層が、アクリル系樹脂を主成分とし、これに塩酢ビ系樹脂を加えたバインダーに、溶剤を除く固形分比で、微粒子状のポリエチレンワックス0.5〜2.8質量%、微粒子状のポリテトラフルオロエチレンワックス0.2〜0.5質量%を添加した組成に、適量の溶剤を加えた、着色剤を含まないシルクスクリーンインクにより印刷された層からなることを特徴とする印字・記録層を備えたプラスチックカード。
  2. 印字・記録層の下地となるカード表面が、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、またはPET−G樹脂であり、その表面に印字・記録層が備えられていることを特徴とする請求項1記載の印字・記録層を備えたプラスチックカード。
  3. 印字・記録層の下地となるカード表面が、塩化ビニル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、PET−G樹脂のいずれかからなり、その表面の隠蔽印刷層や図柄印刷を介して印字・記録可能な層が備えられていることを特徴とする請求項1記載の印字・記録層を備えたプラスチックカード。
  4. アクリル系樹脂を主成分とし、これに塩酢ビ系樹脂を加えたバインダーに、溶剤を除く固形分比で、微粒子状のポリエチレンワックス0.2〜2.8質量%、微粒子状のポリテトラフルオロエチレンワックス0.2〜0.5質量%を添加し着色剤を含まない組成に、適量の溶剤を加えたことを特徴とするシルクスクリーンインク組成物。
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